(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】タービンバイパス装置および発電プラント
(51)【国際特許分類】
F01D 21/00 20060101AFI20240822BHJP
F01K 7/24 20060101ALI20240822BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20240822BHJP
F01K 9/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F01D21/00 G
F01K7/24 C
F01K9/00 A
F01K9/00 B
F01K9/04 B
(21)【出願番号】P 2021174542
(22)【出願日】2021-10-26
【審査請求日】2021-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小暮 典沙
(72)【発明者】
【氏名】藤島 英樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一平
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】山本 信平
【審判官】青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-138704(JP,A)
【文献】特開昭63-277805(JP,A)
【文献】特開2007-177665(JP,A)
【文献】特表2018-501425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンバイパス制御弁の開度を調節して復水器へ流入する蒸気を制御するタービンバイパス装置であって、
前記タービンバイパス制御弁へ流入する蒸気の圧力及び温度と、固定値とした復水器流入許容蒸気量とから、操業状態の弁流入許容蒸気容積量を演算する弁流入許容蒸気容積量演算手段と、
前記弁流入許容蒸気容積量に対応する、前記タービンバイパス制御弁の開度を求めて上限開度とする開度変換手段と
を具備したことを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項2】
請求項1記載のタービンバイパス装置であって、
蒸気圧力から余剰蒸気逃し制御量が目標値となるよう制御するための前記タービンバイパス制御弁の弁開度を算出する制御部を具備し、
前記制御部によって算出された弁開度に対し、前記開度変換手段による前記上限開度を設定し、前記復水器への蒸気の過剰流入を抑止する、
ことを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタービンバイパス装置であって、
前記上限開度と、前記制御部によって算出された弁開度との偏差を算出し、当該偏差が、閾値を超過して少なくなった際に、冷却塔ファンの出力増加又は予備機を増台運転する
ことを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項4】
請求項2に記載のタービンバイパス装置であって、
前記上限開度と、前記制御部によって算出された弁開度との偏差を算出し、当該偏差が、閾値を超過して少なくなった際に、復水器循環ポンプの出力増加又は予備機を増台運転する
ことを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項5】
請求項2に記載のタービンバイパス装置であって、
前記上限開度と、前記制御部によって算出された弁開度との偏差を算出し、当該偏差が、閾値を超過して少なくなった際に、復水器真空ポンプの出力増加又は予備機を増台運転する
ことを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のタービンバイパス装置であって、
前記タービンバイパス制御弁が、コンベンショナル火力発電プラントの低圧タービンバイパス制御弁であることを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のタービンバイパス装置であって、
前記タービンバイパス制御弁が、コンバインドサイクル発電プラントの、高圧、中圧、低圧タービンバイパス制御弁であることを特徴とするタービンバイパス装置。
【請求項8】
タービンバイパス制御弁及び当該タービンバイパス制御弁からの蒸気が流入する復水器を具備した発電プラントであって、
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載されたタービンバイパス装置を有することを特徴とする発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タービンバイパス装置および発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蒸気発生装置から発生された蒸気および蒸気配管と、蒸気によって駆動する蒸気タービンおよび蒸気制御弁と、蒸気タービンにて仕事を終えた排気蒸気を凝縮させて蒸気発生のための復水を生成する復水器および蒸気冷却付帯設備と、蒸気タービンの起動停止時や蒸気緊急遮断時に発生する余剰蒸気を蒸気タービン手前から復水器にバイパスさせて逃す蒸気配管およびタービンバイパス制御弁から構成される発電サイクルシステムが知られている。
【0003】
図4は、高圧蒸気と再熱蒸気にて蒸気タービンを駆動させるコンベンショナル火力発電プラントにおける再熱復水タービンシステムの一例を示している。このシステムは、蒸気発生装置101、高圧/中圧タービン102、低圧タービン103、復水器104を具備している。
図4では、図中矢印でコンベンショナル火力発電プラントの運転中における蒸気の流れを示している。なお、
図4において、11は高温再熱蒸気圧力、12は高温再熱蒸気温度、18は高圧タービンバイパス制御弁、19は低圧タービンバイパス制御弁、21は高圧主蒸気圧力である。
【0004】
また、
図5は、高圧蒸気と中圧蒸気と低圧蒸気にて蒸気タービンを駆動させるガスタービンと蒸気タービンとのコンバインドサイクル発電プラントにおける再熱復水タービンシステムの一例を示している。このシステムは、蒸気発生装置101、高圧/中圧タービン102、低圧タービン103、復水器104に加えて、ガスタービン105を具備している。
図5では、図中矢印でコンバインドサイクル発電プラントの運転中における蒸気の流れを示している。なお、
図5において、21は高圧主蒸気圧力、22は高圧主蒸気温度、29は高圧タービンバイパス制御弁、31は中圧主蒸気圧力、32は中圧主蒸気温度、39は中圧タービンバイパス制御弁、41は低圧主蒸気圧力、42は低圧主蒸気温度、49は低圧タービンバイパス制御弁である。
【0005】
上述したシステムにおいて、蒸気タービンの非常停止時や負荷遮断時等のタービン負荷の急減により、蒸気制御弁が蒸気遮断操作を実行した場合、蒸気発生装置から蒸気タービン入口配管内に行き場を失った余剰蒸気が発生する。蒸気配管の最大許容圧力超過時緊急逃し弁として安全弁が設置されているが、作動後の修繕やサイクル外への蒸気の放出で不足した水質管理された水の補給を考慮すれば極力避けるべきであることから、急速に発生した余剰蒸気を減少させて蒸気配管の圧力上昇を抑制すべくタービンバイパス制御弁を開弁させて余剰蒸気を復水器に一気に逃す運用(タービンバイパス運転)が必要となる。
【0006】
図6に、コンベンショナル火力発電プラントにおけるタービンバイパス運転の動作例、
図7に、コンバインドサイクル発電プラントにおけるタービンバイパス運転の動作例を示す。なお、これらの図において、図中矢印でタービンバイパス運転中の蒸気の流れを示している。
図6のコンベンショナル火力発電プラントでは、高圧タービンバイパス制御弁18、低圧タービンバイパス制御弁19が開かれて、蒸気が復水器104に導かれる。また、
図7のコンバインドサイクル発電プラントでは、高圧タービンバイパス制御弁29、中圧タービンバイパス制御弁39、低圧タービンバイパス制御弁49が開かれて、蒸気が復水器104に導かれる。
【0007】
ここで、タービンバイパス制御の過渡的現象として、蒸気遮断発生直後は蒸気配管に蓄積された蒸気を一気に復水器に逃すことになるが、その時の蒸気状態によっては過大流入となる可能性がある。仮に、過大流入した蒸気が復水器の蒸気冷却能力を超えてしまうと、復水器内の温度、圧力が異常に上昇し、最悪の場合、蒸気タービン排気部に設置される圧力安全装置が作動することになる。
【0008】
更に、この圧力安全装置は、非再生式のラプチャーディスクを適用することが多く、作動(破断)した場合は、交換に多大な時間が必要となる事から、その間のプラント発電運転が不可能となってしまう。
【0009】
このため、タービンバイパス制御は、蒸気タービン入口蒸気配管の圧力上昇の抑制だけでなく、復水器に過大流入する蒸気量も配慮する必要がある。
【0010】
過大流入の抑制手段は、タービンバイパス制御弁開度を抑制することであり、流量検出器を設置して流入蒸気量を計測して超過発生時に開度制御する方法や、蒸気発生装置側の操業状態や復水器器内状況等によりインターロックとして強制的に規定開度へ開度抑制させる方法などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開昭54-077803号公報
【文献】特開昭63-277805号公報
【文献】特開平11-270305号公報
【文献】特開昭2013-064372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
復水器に過大流入する蒸気量に配慮したタービンバイパス制御弁開度を抑制するための手段として、例えば、流量検出器を設置した場合は、流量検出器の追設による費用や設置のための配管長スペースが必要となる等のハード面の制約がある。また、インターロックとして強制的に規定開度への開度抑制を行う場合は、想定状態による開度設定であったり時限的な逃し動作であったりするため、実際にバイパスさせる蒸気によっては過不足が発生することがある。
【0013】
このため、簡易な方法で最適な復水器への流入可能最大蒸気量を可変管理して制限することが課題となる。また、蒸気流入中の復水器は、開度制限動作が働いたとしても、流入初期時においては復水器器内の状態が蒸気冷却最大能力点に近づく可能性がある。このため、蒸気を受け入れる復水器も蒸気冷却性能を改善する必要がある。
【0014】
本発明は、上記した従来の事情に対処してなされたもので、その目的は、蒸気制御弁が蒸気遮断操作を実行した場合などにおいて、より安全に、かつ、効率的に運転を継続することのできるタービンバイパス装置および発電プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態のタービンバイパス装置は、タービンバイパス制御弁の開度を調節して復水器へ流入する蒸気を制御するタービンバイパス装置であって、前記タービンバイパス制御弁へ流入する蒸気の圧力及び温度と、固定値とした復水器流入許容蒸気量とから、操業状態の弁流入許容蒸気容積量を演算する弁流入許容蒸気容積量演算手段と、前記弁流入許容蒸気容積量に対応する、前記タービンバイパス制御弁の開度を求めて上限開度とする開度変換手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蒸気制御弁が蒸気遮断操作を実行した場合などにおいて、より安全に、かつ、効率的に運転を継続することのできるタービンバイパス装置および発電プラントを提供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】コンベンショナル火力発電プラントの構成例を示す図。
【
図5】コンバインドサイクル発電プラントの構成例を示す図。
【
図6】コンベンショナル火力発電プラントにおけるタービンバイパス運転の動作例を示す図。
【
図7】コンバインドサイクル発電プラントにおけるタービンバイパス運転の動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係るタービンバイパス装置および発電プラントについて、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態において、復水器への流入可能最大蒸気量は、実際にタービンバイパス制御弁を通過して復水器に流入する蒸気量により管理する。その蒸気量は、蒸気条件によって異なるタービンバイパス制御弁の通過蒸気量(CV値)より算出する。
【0020】
タービンバイパス制御弁の通過蒸気量(CV値)は、弁を通過する蒸気量が一定であっても流入する蒸気条件(圧力・温度)により容積量は変化するため、蒸気状態に合わせた制限を変化させれば過不足のない最適な制限が可能となる。これを実現するために、復水器への流入可能最大蒸気量を固定した上で、蒸気条件を常時監視して常にCV値を補正計算し、制限開度を可変させる。これにより、過渡的現象の発生初期時における高圧・高温状態の蒸気条件は低開度で制限され、逃し動作により蒸気条件が改善されると共に制限が緩和されることで流入状況に見合った最適な管理が可能となり、サイクル外への放出により不足した水質管理された水の補給を低減させることが可能となる。
【0021】
また、復水器への蒸気流入初期時における蒸気冷却性能の改善は、蒸気冷却付帯設備の改善操作により、復水器冷却水量、復水器冷却水温度、復水器器内圧力を改善させることで解決可能である。これを、復水器器内の状態異常検知にて行うのではなく、開度制限動作に近付いた時点で先行的に行うことで流入状況に見合った最適な蒸気冷却性能を準備することが可能となる。
【0022】
(第1実施形態)
先ず、
図1を参照して第1実施形態について説明する。
図1に示す例は、コンベンショナル火力発電プラントの低圧タービンバイパス制御弁19へ適用した場合を示しており、前述した
図6と対応する部分には、同一の符号が付してある。
図1に示すように、実施形態に係る発電プラントでは、低圧タービンバイパス制御弁19において、この低圧タービンバイパス制御弁19に流入する蒸気の状態値(弁流入蒸気圧力1、弁流入蒸気温度2の測定値)および復水器流入許容蒸気量(固定値)4から、弁流入許容容積量(CV値)演算器5で弁流入許容容積量を常に演算し、通常の圧力PID制御により求められた余剰蒸気逃し制御量8にて設定された開度指令に対して、演算したCV値に相当する上限開度を上限開度制限器9にて設定し、復水器104へ流入する蒸気量を制限する。
【0023】
図1に示すコンベンショナル火力発電プラントでは、蒸気発生装置101より発生した高圧タービン供給蒸気の余剰量は、高圧タービンバイパス制御弁18にて、減温・減圧バイパスされ蒸気発生装置101に戻る。蒸気発生装置101にて再び過熱化したこの蒸気は、低圧タービンバイパス制御弁19により、同じく余剰量を復水器104へ逃すカスケード動作を行う。
【0024】
弁流入蒸気圧力1および弁流入蒸気温度2には、状態値として、高温再熱蒸気圧力11、高温再熱蒸気温度12を適用する。これらにより弁流入蒸気過熱度3を求め、これと固定値である復水器流入許容蒸気量4を用いて弁流入許容容積量(CV値)演算器5により実際に流れ込む蒸気容積量を演算させる。その演算結果を、CV値・開度変換器6によりCV値から開度に変換し、通常制御量として設定される高温再熱蒸気圧力11を制御量とするPID制御である余剰蒸気逃し制御量8の上限開度制限器9に設定する。インターロックで別開度の制限が必要な場合は、信号切替器7により切替を行う。また、下限開度制限器90により必要に応じて0%またはインターロック強制開度を設定する。
【0025】
この時の、制御の状態を
図1の右上部分に概略チャートとして模式的に示す。この概略チャートにおいて、点線で示すのがCV値・開度変換器6の出力である可能上限開度であり、実線で示すのが余剰蒸気逃し制御量8の出力である弁開度である。ここに示されるように、プラントの負荷によって変化する蒸気の性状により制御弁を通過する許容蒸気容積量が変化するため、その値を上限開度としている。また、常に復水器104に流入可能な許容蒸気容積量を上限開度として監視しながら、PID制御を継続し、上限を超えている時間のみ流入制限として開度制限を行う。つまり、必要な時間のみ制限し、できる限り連続制御を継続する。
【0026】
また、本実施形態は、
図7の動作例に示すコンバインドサイクル発電プラントにおける、蒸気発生装置101より発生した高圧タービン供給蒸気の余剰量を減温・減圧バイパスして復水器104に逃す高圧タービンバイパス制御弁29、蒸気発生装置101より発生した中圧タービン供給蒸気の余剰量を減温・減圧バイパスして復水器104に逃す中圧タービンバイパス制御弁39、蒸気発生装置101より発生した低圧タービン供給蒸気の余剰量を減温・減圧バイパスして復水器104に逃す低圧タービンバイパス制御弁49においても、
図1の弁流入蒸気圧力1および弁流入蒸気温度2に、それぞれ高圧主蒸気圧力21、高圧主蒸気温度22、中圧主蒸気圧力31、中圧主蒸気温度32、低圧主蒸気圧力41、低圧主蒸気温度42を適用し、3つのタービンバイパス制御弁の流入可能蒸気量の合計値が、復水器流入可能蒸気量を下回る設定を各々のタービンバイパス制御弁に与えることで適用することができる。
【0027】
以上のように第1実施形態によれば、タービンバイパス制御弁の流入蒸気条件にて常にCV値を補正計算し、制限開度を可変させることができる。これにより、過渡的現象の初期時における高圧・高温状態時は低開度で制限され、蒸気条件が改善されると共に制限が緩和され、従来のPID演算結果に制御を移行させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、
図2を参照して第2実施形態について説明する。復水器104は、冷却性能を保つため、付帯設備の冷却塔にて冷却塔ファン62により冷却した復水器冷却水を復水器循環ポンプ63にて循環させ熱交換を行っている。第2実施形態では、上述した第1実施形態における、可能上限開度と余剰蒸気逃し制御量が近づいた時に、冷却塔ファン62や復水器循環ポンプ63の出力増加や予備機を増台運転させることで先行的に復水器104の冷却性能を向上させる。
【0029】
図2に示すように第2実施形態では、可能上限開度61と余剰蒸気逃し制御量8の偏差を検出するコンパレータを設置し、制御量が可能上限開度に近づいたことを管理する。すなわち、偏差設定器10に、余剰蒸気逃し制御量8の出力である弁開度と、CV値・開度変換器6の出力である可能上限開度61が入力され、これらの偏差が算出される。そして、これらの偏差が、閾値を超過して減少した場合は、冷却性能安定化信号66を補機制御装置65に与え、補機制御装置65は冷却塔ファン62や、復水器循環ポンプ63の、予備機増台やインバータ等による出力増加による冷却性能向上操作を行う。
【0030】
第2実施形態では、可能上限開度61と余剰蒸気逃し制御量が近づいたということは、より多くの蒸気が復水器104へ流入し、その冷却性能が悪化する懸念があるため、冷却塔ファン62の出力増加や予備機の増台運転にて、復水器冷却水温度を低減し冷却性能の安定化を図ることができる。また、復水器循環ポンプ63の出力増加や予備機の増台運転にて、復水器冷却水量を増加し冷却性能の安定化を図ることができる。
【0031】
(第3実施形態)
次に、
図3を参照して第3実施形態について説明する。復水器104は、冷却性能を保つため、復水器真空ポンプ64にて真空引きを行っている。第3実施形態では、上述した第1実施形態における、可能上限開度と余剰蒸気逃し制御量が近づいた時に、復水器真空ポンプ64の出力増加や予備機を増台運転させることで先行的に復水器104の冷却性能を向上させる。
【0032】
図3に示すように第3実施形態では、可能上限開度61と余剰蒸気逃し制御量8の偏差を検出するコンパレータを設置し、制御量が可能上限開度に近づいたことを管理する。すなわち、偏差設定器10に、余剰蒸気逃し制御量8の出力である弁開度と、CV値・開度変換器6の出力である可能上限開度61が入力され、これらの偏差が算出される。そして、これらの偏差が、閾値を超過して減少した場合は、冷却性能安定化信号66を補機制御装置65に与え、補機制御装置65は復水器真空ポンプ64の、予備機増台やインバータ等による出力増加による冷却性能向上操作を行う。
【0033】
第3実施形態では、可能上限開度61と余剰蒸気逃し制御量が近づいたということは、より多くの蒸気が復水器104へ流入し、その冷却性能が悪化する懸念があるため、復水器真空ポンプ64の出力増加や予備機の増台運転にて、復水器104の真空度を保ち、冷却性能の安定化を図ることができる。
【0034】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1……弁流入蒸気圧力、2……弁流入蒸気温度、3……弁流入蒸気過熱度、4……復水器流入許容蒸気量(固定値)、5……弁流入許容容積量演算器、6……CV値・開度変換器、7……信号切替器、8……余剰蒸気逃し制御量、9……上限開度制限器、10……偏差設定器、11……高温再熱蒸気圧力、12……高温再熱蒸気温度、18……高圧タービンバイパス制御弁、19……低圧タービンバイパス制御弁、21……高圧主蒸気圧力、22……高圧主蒸気温度、29……高圧タービンバイパス制御弁、31……中圧主蒸気圧力、32……中圧主蒸気温度、39……中圧タービンバイパス制御弁、41……低圧主蒸気圧力、42……低圧主蒸気温度、49……低圧タービンバイパス制御弁、62……冷却塔ファン、63……復水器循環ポンプ、64……復水器真空ポンプ、65……補機制御装置、66……冷却性能安定化信号、90……下限開度制限器、101……蒸気発生装置、102……高圧/中圧タービン、103……低圧タービン、104……復水器、105……ガスタービン。