(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】粉粒体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20240822BHJP
B65G 65/46 20060101ALI20240822BHJP
B65G 69/08 20060101ALI20240822BHJP
B65D 88/68 20060101ALI20240822BHJP
B65G 11/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B65G65/40 B
B65G65/46 E
B65G69/08
B65D88/68 A
B65G11/00 A
(21)【出願番号】P 2021190652
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大上 智史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 信之
(72)【発明者】
【氏名】黒水 泰守
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-139333(JP,A)
【文献】実開平5-51436(JP,U)
【文献】特開2005-132427(JP,A)
【文献】実開平2-149635(JP,U)
【文献】特開2020-66490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30 - 65/48
B65G 69/00 - 69/34
B65G 11/00 - 11/20
B65D 88/00 - 90/66
B01F 27/00 - 27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が投入されるホッパと、
前記粉粒体を排出する排出部と、
前記ホッパから降下される前記粉粒体を前記排出部に導くシュートと、
前記シュートの内部に設けられて前記ホッパから降下される前記粉粒体を攪拌する攪拌部と、
を備える粉粒体供給装置であって、
前記攪拌部は、
前記粉粒体を押し上げるように攪拌する第1攪拌部材と、
前記第1攪拌部材の上方に設けられて前記粉粒体を押し下げるように攪拌する第2攪拌部材と、
を有すること
を特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記第2攪拌部材は、前記第1攪拌部材と同軸上で対向して配置されること
を特徴とする請求項1に記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記第2攪拌部材は、前記第1攪拌部材と対向する面の少なくとも一部に傾斜が設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
前記第2攪拌部材は、その長手方向の先端が前記第1攪拌部材側に湾曲していること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記第2攪拌部材は、その長手方向の先端から分岐して形成される分岐攪拌部材を備え、
前記分岐攪拌部材は、前記シュートの内壁面に沿うように形成されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項6】
前記第2攪拌部材は、その長手方向が先端に向かって先細り形状であること
を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の粉粒体供給装置。
【請求項7】
前記第2攪拌部材は、その長手方向の端面に傾斜面が形成されていること
を特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項8】
前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材との位相が、前記シュートに降下される前記粉粒体の特性に応じて変更可能に構成されること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項9】
前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材との回転周期が異なること
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項10】
前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材とが、互いに逆方向に回転すること
を特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項11】
前記第1攪拌部材及び前記第2攪拌部材は、前記シュートの内部における下部から斜め上方に向けて傾斜した状態で突出する軸心部を中心として回転すること
を特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項12】
前記ホッパ、前記排出部、前記シュート、及び前記攪拌部における接粒粉面のうちの少なくともいずれか1つの接粒粉面に、前記粉粒体との摩擦係数を低下させる表面処理がなされていること
を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体供給装置に関し、特に、粉粒体を定量供給する場合等に適した粉粒体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉粒体供給装置としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の粒状体供給装置は、粉粒体が投入されるホッパと、粉粒体を排出する排出部と、ホッパから降下してきた粉粒体を排出部に導くシュートと、シュートの内部における下部から斜め上方に向けて傾斜した状態で突出する軸心部を中心として攪拌部材が回転する攪拌部と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の粉粒体供給装置では、シュート内の粉粒体が攪拌部材によって押し上げられてホッパの内壁面に圧密されることによって、攪拌部材の低速回転時における粉粒体の流動性が低下することから、流動特性の悪い粉粒体ではホッパ或いはシュート内における粉体圧の高い箇所を起点にブリッジ或いはラットホールが形成することがあるいう問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、ホッパ或いはシュート内におけるブリッジ或いはラットホールの発生を防止可能な粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体が投入されるホッパと、前記粉粒体を排出する排出部と、前記ホッパから降下される前記粉粒体を前記排出部に導くシュートと、前記シュートの内部に設けられて前記ホッパから降下される前記粉粒体を攪拌する攪拌部と、を備える粉粒体供給装置であって、前記攪拌部は、前記粉粒体を押し上げるように攪拌する第1攪拌部材と、前記第1攪拌部材の上方に設けられて前記粉粒体を押し下げるように攪拌する第2攪拌部材と、を有するものである。
【0007】
上記構成では、第1攪拌部材によって押し上げられた粉粒体を、第2攪拌部材によって押し下げるように攪拌できる。
【0008】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材は、前記第1攪拌部材と同軸上で対向して配置されるものである。
【0009】
上記構成では、シュート内の粉粒体を第1攪拌部材と第2攪拌部材との間で攪拌できる。
【0010】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材が、前記第1攪拌部材と対向する面の少なくとも一部に傾斜が設けられているものである。
【0011】
上記構成では、第2攪拌部材がシュート内の粉粒体を押し下げるように攪拌できる。
【0012】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材の長手方向の先端が前記第1攪拌部材側に湾曲しているものである。
【0013】
上記構成では、シュートの内壁面近傍の粉粒体を確実に攪拌することができる。
【0014】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材が、その長手方向の先端から分岐して形成される分岐攪拌部材を備え、前記分岐攪拌部材が、前記シュートの内壁面に沿うように形成されるものである。
【0015】
上記構成では、シュートの内壁面近傍の粉粒体を確実に攪拌することができる。
【0016】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材の長手方向が先端に向かって先細り形状のものである。
【0017】
上記構成では、第2攪拌部材の回転抵抗を減らすことができる。
【0018】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第2攪拌部材の長手方向の端面に傾斜面が形成されているものである。
【0019】
上記構成では、第2攪拌部材がシュート内の粉粒体を押し下げるように攪拌できる。
【0020】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材との位相が、前記シュートに降下される前記粉粒体の特性に応じて変更可能に構成されるものである。
【0021】
上記構成では、特性の異なる様々な粉粒体を充分に攪拌することができる。
【0022】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材との回転周期が異なるものである。
【0023】
上記構成では、シュート内の粉粒体を充分に攪拌することができる。
【0024】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第1攪拌部材と前記第2攪拌部材とが、互いに逆方向に回転するものである。
【0025】
上記構成では、シュート内の粉粒体を充分に攪拌することができる。
【0026】
本発明の粉粒体供給装置は、前記第1攪拌部材及び前記第2攪拌部材が、前記シュートの内部における下部から斜め上方に向けて傾斜した状態で突出する軸心部を中心として回転するものである。
【0027】
上記構成では、シュート内の粉粒体を充分に攪拌することができる。
【0028】
本発明の粉粒体供給装置は、前記ホッパ、前記排出部、前記シュート、及び前記攪拌部における接粒粉面のうちの少なくともいずれか1つの接粒粉面に、前記粉粒体との摩擦係数を低下させる表面処理がなされているものである。
【0029】
上記構成では、装置の内壁面近傍の粉粒体の流動性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の粉粒体供給装置によれば、第1攪拌部材によって押し上げられた粉粒体を第2攪拌部材によって押し下げることから、第1攪拌部材による粉粒体の押し上げによって生じるホッパの内面壁における粉粒体の圧密が解消するとともに、当該粉粒体の圧密によって低下していた攪拌部材の低速回転時における粉粒体の流動性が向上する。そのため、ホッパ或いはシュート内におけるブリッジ或いはラットホールの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る粉粒体供給装置の斜視図である。
【
図4】同粉粒体供給装置の部分切欠縦断側面図である。
【
図5】(a)は、従来の粉粒体供給装置のホッパ及びシュート内における粉粒体による圧力の分布を示す図、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る粉粒体供給装置のホッパ及びシュート内における粉粒体による圧力の分布を示す図である。
【
図6】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る粉粒体供給装置の第2攪拌部材の底面図、(b)は、(a)のA-A断面図、(c)は、同粉粒体供給装置の第1攪拌部材の平面図、(d)は、(c)のB-B断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る粉粒体供給装置の斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る粉粒体供給装置の斜視図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る粉粒体供給装置の斜視図である。
【
図12】同粉粒体供給装置の部分切欠縦断側面図である。
【
図13】同粉粒体供給装置の第2攪拌部材の斜視図である。
【
図14】本発明の第5の実施形態に係る粉粒体供給装置の部分切欠縦断側面図である。
【
図15】本発明の第6の実施形態に係る粉粒体供給装置の部分切欠縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る粉粒体供給装置10について説明する。なお、以下の説明では、排出部12において粉粒体が排出される方向を粉粒体供給装置10の前方とする。
【0033】
図1から
図4に示すように、粉粒体供給装置10は、粉粒体が投入されるホッパ11と、粉粒体を排出する排出部12と、ホッパ11から降下される粉粒体を排出部12に導くシュート13と、シュート13の内部に設けられてホッパ11から降下される粉粒体を攪拌する攪拌部14と、これらを載せる計量部15と、図示しない制御部等を備えている。粉粒体供給装置10では、ホッパ11、排出部12、シュート13及び攪拌部14が計量部15上に載せられ、これらの構成要素と粉粒体とを合わせた重量が計量部15によって測定される。そして、図示しない制御部によって粉粒体の時間当たりの排出重量が一定となるように、又は1回に排出される粉粒体の重量が一定となるように排出部12のスクリュ12dの回転速度が制御される。
【0034】
ホッパ11は、平面視略円形状の筒型の部材である。ホッパ11は、上下方向に略円形状の同じ横断面形状に形成されている。
【0035】
シュート13は、ホッパ11の下方に設けられる平面視略楕円形状の筒型の部材である。シュート13は、側壁部13aが上方側よりも下方側が大きい横断面形状に形成されている。シュート13は、正面視において、左右側の側壁部13aが下方側に広がっている。シュート13は、側面視において、前後端の側壁部13aが上下方向に真っ直ぐ形成されている。シュート13は、左右側の側壁部13a及び前後端の側壁部13aが周方向及び上下方向になだらかにつながる形状に形成されている。
【0036】
シュート13は、その下部後面側に、傾斜面13bが形成されている。傾斜面13bは、シュート13の前側から後側へ斜め上方に臨むように傾斜して形成される。傾斜面13bは、略円形状に形成されている。シュート13の円錐壁部13cは、傾斜面13bから前方並びに左右及び上方に円錐台形状に広がる形状によって形成されている。
【0037】
排出部12は、前後方向に延びる排出筒12a及びスクリュケーシング12bと、排出筒12aの先端に接続される排出出口筒12cと、を備える。排出筒12a及びスクリュケーシング12bの内部には、1軸又は2軸のスクリュ12dが回転自在に配設されている。
【0038】
スクリュケーシング12bは、その上縁部が、シュート13の円錐壁部13cにおける前後に延びる部分と直線状に接続されて開口されている。シュート13内の粉粒体は、スクリュケーシング12bの上縁部の開口部12eからスクリュケーシング12bの内部に充填される。スクリュケーシング12bの内部に充填された粉粒体は、スクリュ12dによって排出出口筒12c内に送り出され、排出出口筒12cから外部に排出される。
【0039】
攪拌部14は、軸心部16と、軸心部16を中心に回転する攪拌部材17A、17Bと、から主に構成されている。軸心部16は、傾斜面13bに直交するとともに、平面視においてシュート13の内部の中心部に向けて突出するように配設されている。すなわち、軸心部16は、シュート13の内部における下部から斜め上方に向けて傾斜した状態で突出する。
【0040】
第1攪拌部材17Aは、軸心部16の基端部側に設けられる。第2攪拌部材17Bは、軸心部16の先端部側であって、第1攪拌部材17Aの上方に設けられる。すなわち、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとは、互いに同軸上(軸心部16上)で対向して配置される。第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、シュート13の傾斜面13bの直径方向に沿って延設されている。第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、その位相が90度となるように、軸心部16を中心に互いに直交して90度ずつ異なる角度で広がるように配設されている。
【0041】
第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、軸心部16がモータ18によって駆動されることで、軸心部16を中心として同方向に同一周期で回転する。モータ18は、シュート13斜め後方箇所に配設されている。モータ18の駆動軸の先端にウォームギヤ18aが取り付けられている。また、攪拌部14の軸心部16の下方への突出部分の端部に攪拌部用ギヤ18bが取り付けられている。さらに、スクリュ12dの軸部後端の突出部分に排出用ギヤ18cが取り付けられている。そして、モータ18の駆動軸の先端に取り付けられたウォームギヤ18aに、攪拌部用ギヤ18bと排出用ギヤ18cとが噛み合わされている。これにより、モータ18が駆動されることで、攪拌部用ギヤ18b、排出用ギヤ18c等を介して、攪拌部14の第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17B並びに排出部12のスクリュ12dが回転される。
【0042】
第1攪拌部材17Aは、軸心部16を中心として回転することで、シュート13内の粉粒体を押し上げる。一方で、第2攪拌部材17Bは、軸心部16を中心として回転することで、第1攪拌部材17Aによって押し上げられた粉粒体をシュート13の内面へ押し下げる。
【0043】
ここで、従来の粉粒体供給装置10A(シュート13内を第1攪拌部材17Aのみで攪拌した場合)と、粉粒体供給装置10と、を比較する。
図5は、ホッパ11及びシュート13内における粉粒体による圧力の分布を示す。
図5において、Lの領域は、粉粒体による圧力が低い領域を示し、Hの領域は、粉粒体による圧力の高い領域を示す。
図5(a)に示すように、シュート13内を第1攪拌部材17Aのみで攪拌した場合には、シュート13の前面側へ受ける粉粒体による圧力が上昇する(
図5(a)では、Lの領域が少ない。)。一方で、
図5(b)に示すように、シュート13内を第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bによって攪拌した場合には、シュート13の前面側へ受ける粉粒体による圧力が低下する(
図5(b)では、Lの領域が増加している。)。このように、第2攪拌部材17Bが第1攪拌部材17Aによって押し上げられた粉粒体をシュート13の内面へ押し下げることで、第1攪拌部材17Aによって生じるホッパ11の内面壁及びシュート13の前面側における粉粒体の圧密が解消される。
【0044】
さらに、第2攪拌部材17Bが、排出部12が設けられている側のシュート13の側壁部13a近傍の粉粒体を攪拌することで粉粒体の流動性が向上する。特に、粉粒体の圧密によって低下していた攪拌部材17A、17Bの低速回転時における粉粒体の流動性が向上する。このようなことから、ホッパ11或いはシュート13内におけるブリッジ或いはラットホールの起点となる側壁部13a付近における粉粒体の圧密を解消することができる。
【0045】
また、粉粒体供給装置10では、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの間において、第1攪拌部材17Aによる粉粒体の圧密と、第2攪拌部材17Bによる粉粒体の崩壊と、を連続的に繰り返すことで、粉粒体の供給量を一定にすることができる。
【0046】
図1から
図4及び
図6に示すように、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、第1攪拌翼21と、第2攪拌翼22と、攪拌翼支持部材23と、から構成されている。すなわち、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、複数(2枚)の攪拌翼によって構成されている。
【0047】
第1攪拌翼21は、長尺状の板材であり、攪拌翼支持部材23の一方側から延設される。第2攪拌翼22は、長尺状の板材であり、攪拌翼支持部材23の他方側から第1攪拌翼21と直線を形成するように延設される。攪拌翼支持部材23は、軸心部16の基端部及び先端部にそれぞれ固定される。
【0048】
第1攪拌部材17Aは、その長手方向の先端が第2攪拌部材17B側に湾曲している。具体的には、第1攪拌部材17Aの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の長手方向の先端が第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22側に湾曲している。より具体的には、第1攪拌部材17Aの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の先端側に、シュート13の円錐壁部13cの内面に沿うような湾曲部24が上方に向けて形成されている。
【0049】
第2攪拌部材17Bは、その長手方向の先端が第1攪拌部材17A側に湾曲している。具体的には、第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の長手方向の先端が第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22側に湾曲している。より具体的には、第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の先端側に、シュート13の側壁部13aの内面に沿うような湾曲部24が下方に向けて形成されている。
【0050】
第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22は、その長手方向が先端に向かって先細り形状である。第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22を先細り形状とすることで、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22による回転抵抗を減らすことができる。そのため、回転トルクが減り、消費電力を小さくできるとともに、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bを回転するためのモータを小型化できる。
【0051】
第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、互いに対向する面の少なくとも一部に傾斜が設けられている。具体的には、第1攪拌部材17Aの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の上面(第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の下面と対向する面)、及び第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の下面(第1攪拌部材17Aの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の上面と対向する面)に、傾斜部25が設けられている。
【0052】
図6に示すように、傾斜部25は、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の幅方向の中央に対して、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の回転方向K側の面に形成される。すなわち、傾斜部25は、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の幅方向の中央から幅方向の一方側に形成される面に設けられる。このように第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22に傾斜部25を設けることで、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bによってシュート13内の粉粒体を攪拌する際に、第1攪拌部材17Aがシュート13内の粉粒体を押し上げるとともに、第2攪拌部材17Bが、第1攪拌部材17Aによって押し上げられた粉粒体をシュート13の内面へ押し下げることができる。
【0053】
第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bは、その長手方向の端面に傾斜面が形成されている。具体的には、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の長手方向の端面に傾斜面26が形成されている。傾斜面26は、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の幅方向の中央に対して、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の回転方向K側に形成される。
【0054】
また、粉粒体供給装置10では、ホッパ11、排出部12、シュート13、及び攪拌部14における接粒粉面のうちの少なくともいずれか1つの接粒粉面に、粉粒体との摩擦係数を低下させる表面処理がなされている。具体的には、ホッパ11、排出部12、シュート13、及び攪拌部14において、粉粒体と接触する部分を電気めっき等によって加工(被膜)する。このように、粉粒体と接触する部分を表面処理することで、装置内における粉粒体の流動抵抗が低下する。特に、第2攪拌部材17Bの回転時に第2攪拌部材17Bの先端が通過する付近のシュート13の側壁部13aを表面処理することで、シュート13の側壁部13a付近における粉粒体の流動性が向上し、ホッパ11或いはシュート13内におけるブリッジ或いはラットホールの起点となる側壁部13a付近における粉粒体の圧密を充分に解消することができる。
【0055】
さらに、粉粒体供給装置10では、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの位相が、シュート13に降下される粉粒体の特性に応じて変更される。ここで、粉粒体の特性とは、例えば、粉粒体の圧密、嵩密度、粒径、付着性等が挙げられる。具体的には、シュート13に降下される粉粒体の特性に応じて、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの位相を90度(
図1)、45度(
図7)、0度(
図8)に変更する。なお、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの位相は、90度(
図1)、45度(
図7)、0度(
図8)に限定されるものではなく、粉粒体の特性に応じて様々な位相に変更可能である。
【0056】
以上のように、粉粒体供給装置10においては、第1攪拌部材17Aによって押し上げられた粉粒体を第2攪拌部材17Bによって押し下げることから、第1攪拌部材17Aによる粉粒体の押し上げによって生じるホッパ11の内面壁及びシュート13の前面側における粉粒体の圧密が解消するとともに、当該粉粒体の圧密によって低下していた攪拌部材17A、17Bの低速回転時における粉粒体の流動性が向上する。そのため、ホッパ11或いはシュート13内におけるブリッジ或いはラットホールの発生を防止できる。
【0057】
また、粉粒体供給装置10においては、ホッパ11、排出部12、シュート13、及び攪拌部14における接粒粉面のうちの少なくともいずれか1つの接粒粉面に、粉粒体との摩擦係数を低下させる表面処理がなされていることから、装置の内壁面への粉粒体の付着が減少し、装置内の粉粒体の残量が低減する。そのため、廃棄原料が減少する。また、装置の内壁面への粉粒体の付着が減少するため、作業員等の装置の清掃性が向上する。
【0058】
なお、本実施の形態では、第2攪拌部材17Bの長手方向の先端が第1攪拌部材17A側に湾曲しているが、これに限定されるものではなく、
図9から
図13に示すように、第2攪拌部材17Bの長手方向の先端に分岐攪拌部材27を設けても構わない。分岐攪拌部材27は、第2攪拌部材17Bの長手方向の先端から分岐して形成されるものである。具体的には、分岐攪拌部材27は、第2攪拌部材17Bの第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の長手方向の先端から分岐して形成されるものである。
【0059】
図12及び
図13に示すように、分岐攪拌部材27は、長尺状の板材であり、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の長手方向の先端から分岐することで、略T字状の第2攪拌部材17Bを形成する。分岐攪拌部材27は、第2攪拌部材17Bが回転する際に、シュート13の側壁部13a(内壁面)に沿うように、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22に対して所定の角度を有して形成されている。分岐攪拌部材27をシュート13の側壁部13a(内壁面)に沿うように形成することで、シュート13の上部付近の粉粒体を確実に攪拌することができる。具体的には、第2攪拌部材17Bに分岐攪拌部材27を設けることで、第2攪拌部材17Bの上方に位置するシュート13の上部領域Rにおける粉粒体を確実に攪拌することができる。
【0060】
なお、分岐攪拌部材27は、1枚の板材によって構成されているが、これに限定されるものではなく、複数(例えば、2枚)の板材によって構成しても構わない。また、分岐攪拌部材27は、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22とともに、略T字状の第2攪拌部材17Bを形成するものに限定されるものではなく、湾曲状に形成された分岐攪拌部材27、或いは2枚の板材によって形成された分岐攪拌部材27を第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22から分岐させることで、略Y字状或いは略矢印状の第2攪拌部材17Bを形成しても構わない。さらに、分岐攪拌部材27は、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の先端から二方向(例えば、上下方向)に分岐しているが、これに限定されるものではなく、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の先端から一方向(例えば、上方向)にのみ分岐したものであっても構わない。
【0061】
また、本実施の形態では、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの回転周期を同一としているが、これに限定されるものではなく、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの回転周期を異なる周期で回転させても構わない。すなわち、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとの回転をそれぞれ異なる回数で行って構わない。例えば、第1攪拌部材17Aを一回転させている間に、第2攪拌部材17Bを二回転させる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとを同方向に回転させているが、これに限定されるものではなく、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとを逆方向に回転させても構わない。この場合、クラウンギア等によって第1攪拌部材17Aの回転軸と第2攪拌部材17Bの回転軸との回転方向を変換することによって第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとを逆方向に回転させる。
【0063】
さらにまた、本実施の形態では、シュート13の下部後面側に傾斜面13bが形成さるとともに、傾斜面13bに直交するように攪拌部14の軸心部16を突出させているが、これに限定されるものではなく、シュート13の下部後面側を水平面とし、当該水平面から軸心部16を突出させても構わない。つまり、軸心部16を斜め上方に向けて傾斜した状態で突出させるだけでなく、軸心部16を斜めに傾斜させることなく垂直に突出させても構わない。
【0064】
さらにまた、本実施の形態では、第1攪拌部材17Aと第2攪拌部材17Bとを同軸上で回転させているが、これに限定されるものではなく、異なる軸上で回転させても構わない。
【0065】
さらにまた、本実施の形態では、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bを、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の2枚の攪拌翼によって構成しているが、これに限定されるものではなく、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bを1枚の攪拌翼(1枚の長尺状の板材)によって構成しても構わない。また、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bを、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22のいずれか一方の攪拌翼のみで構成しても良く、又は、3枚以上の攪拌翼によって構成しても構わない。
【0066】
さらにまた、本実施の形態では、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bの傾斜部25が、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の幅方向の中央に対して、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の回転方向K側の面に形成されているが、これに限定されるものではなく、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の回転方向Kと反対側の面にも傾斜部25を形成しても構わない。すなわち、第1攪拌翼21及び第2攪拌翼22の幅方向の切断面が略山形状或いは略台形状となるように傾斜部25を形成しても構わない。
【0067】
さらにまた、本実施の形態では、攪拌部14を第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bによって構成しているが、これに限定されるものではなく、第2攪拌部材17Bの上方に別途の攪拌部材を設けて3つの攪拌部材としても構わない。
【0068】
さらにまた、本実施の形態では、第1攪拌部材17A、第2攪拌部材17B及びスクリュ12dが1基のモータ18によって駆動する様に構成しているが、これに限定されるものではなく、それぞれ独立制御とした複数のモータによって駆動させても構わない。例えば、
図14に示す粉粒体供給装置10Bのように、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bを回転させるための攪拌用モータ30と、排出部12のスクリュ12dを回転させるための排出用モータ31と、を設ける。攪拌用モータ30及び排出用モータ31は、図示しない制御部に接続され、当該制御部によってそれぞれ独立して制御される。攪拌用モータ30の駆動力は、駆動傘歯車32及び従動傘歯車33等を介して軸心部16に伝達される。排出用モータ31の駆動力は、駆動平歯車34及び従動傘歯車35、36等を介してスクリュ12dに伝達される。
【0069】
さらにまた、本実施の形態では、モータ18の駆動軸の先端に取り付けられたウォームギヤ18aに、攪拌部用ギヤ18bと排出用ギヤ18cとが噛み合わされることで、モータ18の駆動力が、攪拌部用ギヤ18b、排出用ギヤ18c等を介して、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17B並びにスクリュ12dに伝達されているが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、
図15に示す粉粒体供給装置10Cのように構成しても構わない。粉粒体供給装置10Cでは、撹拌・排出用モータ40の駆動軸の先端に取り付けられた駆動用平歯車41に、攪拌用従動平歯車42と排出用入力平歯車43とが噛み合わされる。これにより、撹拌・排出用モータ40の駆動力が駆動用平歯車41を介して攪拌用従動平歯車42に伝達され、さらに駆動傘歯車44及び従動傘歯車45に伝達されることで、第1攪拌部材17A及び第2攪拌部材17Bが回転する。また同時に撹拌・排出用モータ40の駆動力が駆動用平歯車41を介して排出用入力平歯車43に伝達され、さらに従動傘歯車35、36に伝達されることで、スクリュ12dが回転する。
【符号の説明】
【0070】
10 粉粒体供給装置
11 ホッパ
12 排出部
13 シュート
14 攪拌部
17A 第1攪拌部材
17B 第2攪拌部材