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特許7541969溶融塩超音波洗浄機、及び溶融塩超音波洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】溶融塩超音波洗浄機、及び溶融塩超音波洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/12 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
B08B3/12 A
B08B3/12 B
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021208709
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023050057
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202111151000.8
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521560414
【氏名又は名称】ジエンスー エックスシーエムジー コンストラクション マシーナリー リサーチ インスティチュート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シャンゴン
(72)【発明者】
【氏名】ゾン, シュエメイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, グアンツン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111185442(CN,A)
【文献】中国実用新案第208083000(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112545330(CN,A)
【文献】中国実用新案第207694312(CN,U)
【文献】中国実用新案第210730403(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融塩超音波洗浄機であって、
溶融塩及び被洗浄素材を収容するように構成されるとともに、底壁と、包囲する仕方で周方向に配置される側壁とを含むタンク本体(4)と、
前記タンク本体(4)内の前記被洗浄素材に超音波衝撃を適用するように構成される超音波適用システムと、
前記タンク本体(4)内の前記溶融塩を加熱するように構成される溶融塩加熱システムと、
前記タンク本体(4)内に回転可能に配置される攪拌棒(10)を含む攪拌システムと、
タンクカバー(1)と、
ガスセンサ(19)と、
コントローラと、を含んでおり、
前記タンクカバー(1)が、前記タンク本体(4)に対して開放可能に配置されて前記タンク本体(4)を閉鎖又は開放し、
前記溶融塩超音波洗浄機が洗浄状態にあるとき、前記タンクカバー(1)が前記タンク本体(4)を閉鎖し、前記ガスセンサ(19)が、前記被洗浄素材の洗浄工程中に発生する排ガスの量を監視し、
前記コントローラは、
前記排ガスの量が設定範囲にあるとき、前記攪拌システムをオンし、前記攪拌棒(10)を回転させ、
前記排ガスの量が前記設定範囲の最小よりも低いとき、前記攪拌システム及び前記超音波適用システムをオフし、洗浄を終了するよう構成されている、
溶融塩超音波洗浄機。
【請求項2】
前記攪拌システムが、前記底壁の外側に配置される駆動組立体を更に含み、前記駆動組立体が、前記底壁の内側に配置される前記攪拌棒(10)に磁気的に接続されている、請求項1に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項3】
前記駆動組立体が、駆動装置と、磁石回転ディスク(12)と、少なくとも2つの中間磁石(11)とを含み、
前記磁石回転ディスク(12)が前記駆動装置の主軸に接続され、
前記少なくとも2つの中間磁石(11)が、前記磁石回転ディスク(12)の、前記底壁に近い一方の側に配置され、
前記少なくとも2つの中間磁石(11)のそれぞれの磁気が前記攪拌棒(10)の磁気と反対であるため、前記攪拌棒(10)が磁力により駆動されて前記磁石回転ディスク(12)と共に回転する、請求項2に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項4】
前記少なくとも2つの中間磁石(11)のそれぞれの第1端が前記磁石回転ディスク(12)に接続され、前記中間磁石(11)の第2端が前記底壁と接触していない、請求項3に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項5】
前記少なくとも2つの中間磁石(11)が第1中間磁石と第2中間磁石を含み、前記第1中間磁石と前記攪拌棒(10)の第1端とが対応するように配置され、前記第2中間磁石と前記攪拌棒(10)の第2端とが対応するように配置される、請求項3に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項6】
前記攪拌棒(10)が、攪拌棒本体と、前記攪拌棒本体の外側に配置されるコーティングとを含み、前記攪拌棒本体がサマリウムコバルト磁石製であり、前記コーティングがナノセラミック製である、請求項1~5のいずれか1項に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項7】
前記攪拌システムが、前記攪拌棒(10)の外側を被覆する保護網(9)を更に含み、前記保護網(9)が前記底壁上に固定的に配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項8】
前記攪拌システムが、少なくとも2つの、前記底壁上に均一に配分される攪拌棒(10)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項9】
前記超音波適用システムが、前記側壁に取付けられる超音波振動子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の溶融塩超音波洗浄機。
【請求項10】
請求項1に記載の溶融塩超音波洗浄機を使用する溶融塩超音波洗浄方法であって、以下のステップ、
前記タンクカバー(1)が前記タンク本体(4)に対して移動して前記タンク本体(4)を閉鎖するよう制御し、前記超音波適用システムが前記被洗浄素材の洗浄を開始するよう制御するステップと、
前記被洗浄素材の洗浄工程中に発生する排ガスの量を取得するステップと、
前記排ガスの前記量に応じて前記攪拌棒(10)の回転速度及び前記超音波適用システムの停止時間を制御するステップと、を含み、
前記排ガスの前記量に応じて前記攪拌棒(10)の前記回転速度及び前記超音波適用システムの前記停止時間を制御する前記ステップは、
前記排ガスの前記量が設定範囲内になると、前記コントローラにより前記攪拌システムをオンにして前記攪拌棒を回転させるステップと、
前記排ガスの前記量が前記設定範囲の最小値未満になると、前記コントローラにより前記攪拌システム及び前記超音波適用システムをオフにして洗浄を終了するステップとを含む、
前記排ガスの前記量に応じて前記攪拌棒(10)の前記回転速度及び前記超音波適用システムの停止時間を制御する前記ステップは、
前記排ガスの量が前記設定範囲にあるとき、前記コントローラにより前記攪拌システムをオンし、前記攪拌棒(10)を回転させるステップと、
前記排ガスの量が前記設定範囲の最小よりも低いとき、前記コントローラにより前記攪拌システム及び前記超音波適用システムをオフし、洗浄を終了させるステップとを含む溶融塩超音波洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、素材洗浄の技術分野に関し、特に、溶融塩超音波洗浄機、及び溶融塩超音波洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の表面上の、塗料、油染み、カーボンデポジット等の汚染物質の統合的な洗浄は、部品の再製造、機械加工、検出、組立て、及びコーティングへの基本的な中継点である。塗料、油染み、カーボンデポジット及びその他の汚染物質という危険要因は、油圧弁、ポンプ、モータ、及びエンジン等の基本的な部品にとって特に深刻である。
【0003】
油圧弁、ポンプ、モータ、及びエンジン等の部品の表面上の塗料、油染み、カーボンデポジット及びその他の汚染物質を洗浄するために、主に塗料除去剤、手動による擦過、及び機械研磨が使用されるが、これらの方法は全て、洗浄が不完全であること、環境汚染度が高いこと、及び部品の表面を損傷しやすいこと等の問題を有する。近年、溶融塩超音波複合洗浄技術が、複数の汚染層の洗浄における利点を示している。塗料、油染み、カーボンデポジット及びその他の汚染層は、高温溶融塩反応及び超音波キャビテーション剥離を通して、ならびに、複数の物理分野の連結作用下において、除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧弁、ポンプ、モータ、及びエンジン等の部品の表面上の塗料、油染み、カーボンデポジット及びその他の汚染物質を洗浄するために、主に塗料除去剤、手動による擦過、及び機械研磨が使用されるが、これらの方法は全て、洗浄が不完全であること、環境汚染度が高いこと、及び部品の表面を損傷しやすいこと等の問題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶融塩超音波洗浄機、及び溶融塩超音波洗浄方法を提供し、これによって洗浄効率を向上させる。
【0006】
本発明の第1態様によれば、溶融塩超音波洗浄機が提供される。溶融塩超音波洗浄機は、
溶融塩及び被洗浄素材を収容するように構成されるとともに、底壁と、包囲する仕方で周方向に配置される側壁とを含んでいるタンク本体と、
タンク本体内の被洗浄素材に超音波衝撃を適用するように構成される超音波適用システムと、
タンク本体内の溶融塩を加熱するように構成される溶融塩加熱システムと、
タンク本体内に回転可能に配置される攪拌棒を包含する攪拌システムと
を含んでいる。
【0007】
幾つかの実施形態において、攪拌棒が底壁上に平らに置かれ、攪拌棒の中心軸と回転軸とは互いに垂直である。
【0008】
幾つかの実施形態において、攪拌システムは、底壁の外側に配置される駆動組立体を更に含んでおり、駆動組立体は、底壁の内側に配置される攪拌棒に磁気的に接続される。
【0009】
幾つかの実施形態において、駆動組立体は、駆動装置と、磁石回転ディスクと、少なくとも2つの中間磁石とを含んでおり、磁石回転ディスクは駆動装置の主軸に接続され、少なくとも2つの中間磁石は、磁石回転ディスクの、底壁に近い一方の側に配置され、各中間磁石の磁気が攪拌棒の磁気と反対であるため、攪拌棒は磁力により駆動されて磁石回転ディスクと共に回転する。
【0010】
幾つかの実施形態において、各中間磁石の第1端は磁石回転ディスクに接続されており、中間磁石の第2端は底壁とは接触していない。
【0011】
幾つかの実施形態において、少なくとも2つの中間磁石は第1中間磁石と第2中間磁石を含んでおり、第1中間磁石と攪拌棒の第1端とが対応するように配置されており、第2中間磁石と攪拌棒の第2端とが対応するように配置されている。
【0012】
幾つかの実施形態において、攪拌棒は、攪拌棒本体と、攪拌棒本体の外側に配置されるコーティングとを含んでおり、攪拌棒本体はサマリウムコバルト磁石製であり、コーティングはナノメータサイズのセラミック製である。
【0013】
幾つかの実施形態において、攪拌システムは、攪拌棒の外側を被覆する保護網を更に含んでおり、保護網は底壁上に固定的にと配置されている。
【0014】
幾つかの実施形態において、攪拌システムは、少なくとも2つの、底壁上に均一に配分される攪拌棒を含んでいる。
【0015】
幾つかの実施形態において、超音波適用システムは、側壁に取付けられた超音波振動子を含んでいる。
【0016】
幾つかの実施形態において、溶融塩超音波洗浄機は、タンクカバーと、ガスセンサと、コントローラとを更に含んでおり、タンクカバーは、タンク本体に対して開放可能に配置されてタンク本体を閉鎖又は開放し、溶融塩超音波洗浄機が洗浄状態にあるとき、タンクカバーがタンク本体を閉鎖し、ガスセンサが、素材洗浄工程中に発生する排ガスの量を監視し、コントローラが、排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度を制御する。
【0017】
本発明の第2態様によれば、溶融塩超音波洗浄方法が提供される。溶融塩超音波洗浄方法は、以下のステップ、
タンクカバーがタンク本体に対して移動してタンク本体を閉鎖するよう制御し、超音波適用システムが素材の洗浄を開始するよう制御するステップと、
素材洗浄工程中に発生する排ガスの量を取得するステップと、
排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度及び超音波適用システムの停止時間を制御するステップと
を含んでいる。
【0018】
幾つかの実施形態において、排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度及び超音波適用システムの停止時間を制御するステップは、排ガスの量が設定範囲内になると、コントローラにより攪拌システムをオンにして攪拌棒を回転させるステップと、排ガスの量が設定範囲の最小値未満になると、コントローラにより攪拌システム及び超音波適用システムをオフにして洗浄を終了させるステップとを含んでいる。
【0019】
本発明により提供される技術的解決策に基づき、溶融塩超音波洗浄機は、タンク本体と、溶融塩加熱システムと、超音波適用システムと、攪拌システムとを含み、タンク本体は、溶融塩及び被洗浄素材を収容するように構成され、タンク本体は、底壁と、包囲する仕方で周方向に配置される側壁とを含み、溶融塩加熱システムは、タンク本体内の溶融塩を加熱するように構成され、超音波適用システムは、タンク本体内の被洗浄素材に超音波衝撃を適用するように構成され、攪拌システムは、タンク本体内に回転可能に配置される攪拌棒を含んでいる。本発明により提供される溶融塩超音波洗浄機が素材を洗浄する際、攪拌棒が回転して溶融塩の流動性を向上させる。超音波適用システムの超音波衝撃と組み合わさって、素材の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去が加速されるのであり、洗浄効率が向上する。更に、溶融塩流動性を向上させることで、液面上を浮遊する未反応の塗料及び残留物と溶融塩との間の完全な反応を促進することができるのであり、発生する排ガスの量が低減される。排ガスの量を低減することで、排ガスの加工費を低減することができ、洗浄機の環境保護レベルを高めることもできる。
【0020】
以下の添付の図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に説明することにより、本発明のその他の特徴及び利点を明らかにすることにする。
【0021】
ここに記載する添付の図面は、本発明の更なる理解のために提供されるのであり、本願の一部を成している。本発明の例示的実施形態及びその記載は、本発明を説明することが意図されているのであり、本発明を不適当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のある実施形態による溶融塩超音波洗浄機の三次元構造の概略図である。
図2図1に示す溶融塩超音波洗浄機の、タンクカバーが開放されている際の断面図である。
図3図1に示す溶融塩超音波洗浄機の攪拌棒の、タンク本体の底壁上での配分図である。
図4図1に示す溶融塩超音波洗浄機の攪拌棒の駆動組立体の三次元構造の断面図である。
図5図1に示す溶融塩超音波洗浄機の超音波適用システムの構造概略図である。
図6】本発明の幾つかの実施形態による溶融塩超音波洗浄方法のステップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下は、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付の図面を参照してはっきりと完全に記載する。明らかなことであるが、記載する実施形態は、本発明の実施形態の全てではなくほんの一部である。以下の、少なくとも1つの例示的実施形態の記載は、実際には単に図説のためのものであり、本発明及びその適用又は使用を一切限定するものではない。本発明の例に基づき、創造的な取り組み無しに当業者により得られる他の全ての例は、本発明の保護範囲に入るものとする。
【0024】
特に指定するのでない限り、実施形態において記載する部品の相対配置、数式、及び値、ならびにステップは、本発明の範囲を限定するものではない。一方、記載の便宜上、添付の図面に示す各部品の寸法が、実際の比例関係に従って描かれているのでないことが理解されるべきである。当業者にとって公知である技術、方法、及び機器を詳細には検討しない可能性があるが、適切な場合には、その技術、方法、及び機器は本明細書の一部と見なされるべきである。本明細書において示し検討する全ての例において、任意の特定値は、それに限定されるものではなく単に例示的なものと解釈されるべきである。従って、例示的実施形態の他の例が、異なる値を有することがある。以下では、添付の図面において、同様の参照符号及び文字が同様の部材を表すことに留意すべきである。従って、1つの図面において一旦部材が規定されると、その部材を後続の図面において更に検討する必要はない。
【0025】
本明細書において、図に示す一方の装置又は形状構成と、他方の装置又は形状構成との間の空間的位置関係を記載するために、記載の便宜上、「の上方に」、「を越えて」、「の上面上に」、「の上に」、及び同類のもの等、空間的に関連する用語を使用することがある。空間的に関連するこれらの用語は、使用中又は動作中、図に記載する装置の配向に加えて異なる配向を包含することが意図されることが理解されるべきである。例えば、「他の装置又は構造の上方に」或いは「他の装置又は構造を越えて」と記載する装置は、装置がこれらの図面内で反転すれば「他の装置又は構造の下に」或いは「他の装置又は構造の下方に」として位置決めされることになる。従って、例示的な用語「の上方に」は、2つの配向、つまり「の上方に」及び「の下に」を包含することがある。装置は、その他の異なる仕方で位置決めされることもあるため、本明細書において使用する、空間的に関連する記載は、状況に応じて説明することにする。
【0026】
幾つかの部品が複雑な構造を有し、塗料及び油染み等の汚染物質が溝及び小溝にて蓄積されるため、超音波が溝、小溝、及びその他の複雑な空間内へ効果的に衝突することは困難であり、部品の表面上及び底層上の汚染物質が強い接着力を有するため、超音波衝撃時間が長くなり、結果として、部品全体の洗浄時間が長くなり、洗浄時間は不確実になる。洗浄工程は高温環境において遂行されるが、このことにより、部品が高温になり、部品の磁気特性及び寸法精度全体が影響を受けることになる。従って、溶融塩の流動性を向上させて、これによって汚染層の除去効率を高めるための外力が早急に必要である。同時に、被洗浄素材が溶融塩に急速に浸漬されることから、素材の表面の表層上の大量の塗料及び油染みが、溶融塩のアルカリ吸着を受けて不完全反応となり、新たに発生したガスと浮渣を発生させる高温熱との作用下に、液面に押し上げられる。浮渣と溶融塩液との間に泡が混交しているため、浮渣は、溶融塩との接触が不完全であり反応を継続することはできないが、タンク本体内で高温にてゆっくりと熱分解されることになり、排ガスの発生量が増加する。結論として、部品の表面の表層上の汚染物質が激しく反応することに起因して、不完全に反応した塗料及び油染み残留物の1つの層が、溶融塩タンクの液体表面に急速に付着することになり、汚染物質残留物は不完全に反応し、排ガスが大量に発生するため、洗浄時間が長くなって環境保護レベルが低くなるという問題が生じる。
【0027】
これに鑑みて、本発明の実施形態は、溶融塩超音波洗浄機を提供する。図1図5を参照すると、溶融塩超音波洗浄機は、タンク本体4と、超音波適用システムと、溶融塩加熱システムと、攪拌システムとを含んでおり、タンク本体4は、溶融塩及び被洗浄素材を収容するように構成され、タンク本体4は、底壁と、包囲する仕方で周方向に配置される側壁とを含んでおり、超音波適用システムは、タンク本体4内の被洗浄素材に超音波衝撃を適用するように構成され、溶融塩加熱システムは、タンク本体4内の溶融塩を加熱するように構成され、攪拌システムは、タンク本体4内に回転可能に配置される攪拌棒10を含んでいる。
【0028】
本発明の実施形態により提供される溶融塩超音波洗浄機が素材を洗浄する際、攪拌棒10が回転して溶融塩の流動性を向上させる。超音波衝撃と組み合わさって、素材の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去が加速されるのであり、洗浄効率が向上する。更に、溶融塩流動性を向上させることで、液面上を浮遊する未反応の塗料及び残留物と溶融塩との間の完全な反応を促進することができるのであり、発生する排ガスの量が低減される。排ガスの量を低減することで、排ガスの加工費を低減することができ、洗浄機の環境保護レベルを高めることもできる。
【0029】
幾つかの実施形態において、図5を参照すると、溶融塩超音波洗浄機は、超音波適用システムを更に含んでいる。超音波適用システムは、タンク本体4内の被洗浄素材に超音波衝撃を適用するために、側壁に取付けられた超音波振動子21を含んでいる。
【0030】
攪拌棒10の設定に起因する、タンク本体4内の溶融塩の量への大きな影響を回避するために、幾つかの実施形態において、攪拌棒10が底壁上に平らに置かれ、攪拌棒10の中心軸と回転軸とは互いに垂直となっている。このようにして、攪拌棒10はタンク本体4内の小さい空間を占めるが、このことがタンク本体4内の溶融塩の量に大きく影響することにはならないため、攪拌棒に起因してタンク本体4全体の容量を拡張する必要はない。従って、既存の溶融塩超音波洗浄機が修正される。攪拌棒10は、底壁上に平らに置かれ、タンク本体4内の溶融塩を少ない程度に攪拌するのであり、溶融塩の反応に影響しないことに基づいて、溶融塩の流動性が向上する。
【0031】
図面には示さない他の実施形態において、攪拌棒は側壁上にも配置してもよい。あるいは、攪拌棒はタンクカバー上に配置してもよい。タンクカバーが閉鎖されるとタンクカバー上の攪拌棒が溶融塩と接触するため、攪拌棒は回転して溶融塩を攪拌することができる。
【0032】
溶融塩を異なる位置にて攪拌して溶融塩の全体的な流動性を向上させるために、図3を参照すると、幾つかの実施形態において、攪拌システムは、底壁上に均一に配分される少なくとも2つの攪拌棒10を含んでいる。
【0033】
図2に示すように、幾つかの実施形態において、攪拌システムは、攪拌棒10の外側を被覆する保護網9を更に含んでおり、保護網9は底壁上に固定的に配置され、攪拌棒10は保護網9の内側に配置されるため、保護網9は攪拌棒の位置を固定する役割を果たし、攪拌棒10は、過度な高回転速度に起因して制御を失うということが防止される。
【0034】
幾つかの実施形態において、図2及び図4を参照すると、攪拌システムは、底壁の外側に配置される駆動組立体を更に含んでいる。駆動組立体は、底壁の内側に配置される攪拌棒10に磁気的に接続されている。駆動組立体は底壁の外側に配置されるのであり、タンク本体4内の空間は占められず、攪拌システムに起因するタンク本体内の溶融塩の量への影響は更に低減される。更に、攪拌システムの駆動組立体は、底壁の内側に配置される攪拌棒10に磁気的に接続されるため、底壁上に穴開けを遂行することは不要であり、これによってタンク本体4全体の密封が確実になる。タンク本体4内での素材洗浄工程中に発生する排ガスの量は、タンク本体4が確実に密封されている際にのみ正確に検出することができるのであり、検出された排ガスの量に応じて洗浄工程を判断することができ、溶融塩超音波洗浄機は自動的に制御することができる。
【0035】
図2及び図4を参照すると、幾つかの実施形態において、駆動組立体は、駆動装置と、磁石回転ディスク12と、少なくとも2つの中間磁石11とを含んでいる。磁石回転ディスク12は駆動装置の主軸に接続されている。少なくとも2つの中間磁石11は、磁石回転ディスク12と底壁との間に配置されている。各中間磁石11の第1端は磁石回転ディスク12に接続されている。中間磁石11の第2端は、底壁の近くに配置されるが底壁と接触していない。つまり、中間磁石11の第2端と底壁の外面とは離間配置されている。中間磁石11の第1端は、磁石回転ディスク12の磁気とは反対の磁気であることに起因して磁石回転ディスク12に接続され、中間磁石11の第2端は、攪拌棒10の磁気とは反対の磁気であることに起因して攪拌棒10に磁気的に接続されており、磁力の作用下に、攪拌棒10は磁石回転ディスク12と共に回転することができる。
【0036】
具体的には、少なくとも2つの中間磁石11は、2つの中間磁石11を含んでいる。2つの中間磁石11というのはそれぞれ第1中間磁石及び第2中間磁石であり、これらの中間磁石は、攪拌棒10の2つの端部に対応するように配置される。
【0037】
幾つかの実施形態において、中間磁石11は磁石棒又は磁石ストリップである。
【0038】
図1及び図2を参照すると、幾つかの実施形態において、溶融塩超音波洗浄機は、タンク本体外殻3とタンク外枠5とを更に含んでいる。タンク本体4はタンク外枠5上に装着され、タンク本体外殻3はタンク本体4の外側に、タンク本体4を包むように配置されている。駆動組立体は、タンク本体外殻3の底面の内側とタンク本体4との間に配置され、タンク外枠5上に装着されている。
【0039】
溶融塩超音波洗浄機が作動している際には溶融塩の温度が非常に高いことから、幾つかの実施形態において、攪拌棒10は、攪拌棒本体と、攪拌棒本体の外側に配置されるコーティングとを含んでいる。攪拌棒本体はサマリウムコバルト磁石製であり、コーティングはナノメータサイズのセラミック製である。サマリウムコバルト磁石は350℃の高温に耐える。他の実施形態において、攪拌棒本体は、他の耐高温性磁石材料製であってもよい。この実施形態における攪拌棒10は底壁上に平らに置かれるため、攪拌棒本体の外側のコーティングが底壁と直接接触している。攪拌棒10と底壁との間の摩擦を低減するために、コーティングは低摩擦材料製である。更に、高温にて攪拌棒本体の強い磁気特性を保護するために、コーティングは耐高温性、断熱性、及び耐アルカリ性の材料製でもある。
【0040】
幾つかの実施形態において、溶融塩超音波洗浄機は、ガスセンサ19とコントローラとを更に含んでいる。ガスセンサ19は、素材洗浄工程中に発生する排ガスの量を監視するように構成され、コントローラは、排ガスの量に応じて攪拌棒10の回転速度を制御する。例えば、排ガスの量が設定範囲内になると、コントローラが攪拌システムをオンにし、攪拌棒が回転を開始し、タンク本体4内の溶融塩が僅かに攪拌される。排ガスの量が設定範囲の最小値未満になると、コントローラは、攪拌システム及び超音波適用システムをオフにし、洗浄を終了させる。
【0041】
幾つかの実施形態において、溶融塩超音波洗浄機は更に、タンクカバー1を含んでいる。タンクカバー1は、タンク本体4に対して開放可能に配置されてタンク本体4を閉鎖又は開放する。溶融塩超音波洗浄機が洗浄状態にあるときタンクカバー1はタンク本体4を閉鎖する。ガスセンサは、素材洗浄工程中のタンク本体内の排ガスの量を監視するように構成され、コントローラは、排ガスの量に応じて攪拌棒10の回転速度を制御する。つまり、タンクカバー1がタンク本体4を閉鎖するため、溶融塩超音波洗浄機の全体的な洗浄反応が閉鎖空間内で遂行され、ガスセンサ19は、タンク本体4内の包括的な排ガスの量を正確に監視することができる。
【0042】
図6を参照すると、本発明の実施形態は、溶融塩超音波洗浄方法を更に提供する。溶融塩超音波洗浄方法は、以下のステップ、
S101:タンクカバーがタンク本体に対して移動してタンク本体を閉鎖するよう制御し、超音波適用システムが素材の洗浄を開始するよう制御するステップと、
S102:素材洗浄工程中に発生する排ガスの量を取得するステップと、
S103:排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度及び超音波適用システムの停止時間を制御するステップと、を含んでいる。
【0043】
本発明の実施形態により提供される溶融塩超音波洗浄方法によれば、タンク本体内での洗浄のためにタンク本体が閉鎖されるため、素材洗浄工程中に発生する排ガスの量を正確に取得することができ、コントローラは、排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度を制御し、自動洗浄を実現することができる。
【0044】
具体的には、素材洗浄工程中に発生する排ガスの量は、ガスセンサ19により取得される。
【0045】
幾つかの実施形態において、排ガスの量に応じて攪拌棒の回転速度を制御するステップは、排ガスの量が設定範囲内になるとコントローラにより攪拌システムをオンにして攪拌棒を回転するステップと、排ガスの量が設定範囲の最小値未満になるとコントローラにより攪拌システム及び超音波適用システムをオフにして洗浄を終了するステップとを含んでいる。
【0046】
例えば、タンク内の包括的な排ガスの発生量が0.5mg/mより多くかつ5mg/m未満になると、攪拌システムはオンにされるとともに攪拌棒の回転速度がコントローラにより調整され、これによって、タンク本体内の溶融塩が僅かに攪拌されることが確実になり、部品の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去、ならびに、液体表面上の汚染物質残留物の完全な反応が促進される。部品の表面上の汚染物質の反応が次第に遅くなるにつれてタンク内の包括的な排ガスの発生量が0.5mg/m未満になると攪拌システム及び超音波適用システムはオフにされる。勿論、他の実施形態において、被洗浄素材の種類に応じて排ガス量の設定範囲が変更されてもよい。
【0047】
図1図5により、本発明の特定の一実施形態による溶融塩超音波洗浄機の構造及び作動工程を以下に詳細に記載する。
【0048】
図1図5に示すように、本発明の実施形態により提供される溶融塩超音波洗浄機は、洗浄機本体と、攪拌システムと、超音波適用システムと、排ガス収集システムと、溶融塩加熱システムと、塩排出システムとを含んでおり、洗浄機本体は、溶融塩及び被洗浄素材を貯蔵するように構成されている。図1及び図2に示すように、洗浄機本体は、タンクカバー1と、空気シリンダ2と、タンク本体外殻3と、タンク本体4と、タンク外枠5とを含んでいる。タンク本体4は耐食性ステンレス鋼製である。タンク本体4はタンク外枠5上に装着される。更に、タンク本体4はタンク本体外殻3により包まれ、洗浄機の外部雑音が低減される。タンクカバー1はタンク外枠5上で空気シリンダ2を介して蝶番式に動き、空気シリンダ2は、タンクカバー1を制御して自動的にオン及びオフにするよう作用する。
【0049】
攪拌システムは、タンク本体4内の溶融塩を攪拌して溶融塩の流動性を向上させるように構成されている。攪拌システムは、保護網9と、攪拌棒10と、中間磁石11と、磁石回転ディスク12と、モータ主軸13と、モータ14とを含んでいる。図3に示すように、この実施形態では、攪拌システムは4つの攪拌棒10を含んでおり、これらの攪拌棒は、タンク本体4の底部の四隅にそれぞれ配置され、異なる攪拌位置にて溶融塩を攪拌する。
【0050】
具体的には、攪拌棒10は、タンク本体4の底面上に平らに置かれている。更に、攪拌棒10の外側が保護網9で被覆されている。保護網9は、攪拌棒10の位置を固定できるよう底壁上に固定的に装着されており、攪拌棒10は、過度な高回転速度に起因して制御を失うということを防止することができる。
【0051】
図4に示すように、攪拌システムは、攪拌棒10の回転を駆動するための駆動組立体を更に含んでいる。駆動組立体は、モータ14と、磁石回転ディスク12と、中間磁石11とを含んでいる。モータ14のモータ主軸13は、磁石回転ディスク12に接続されて磁石回転ディスク12の回転を駆動する。中間磁石11は磁力により磁石回転ディスク12の上面に接続され、攪拌棒10と中間磁石11の上端とが、反対の磁気であることに起因して互いに引き付け合うのであり、攪拌棒10は、磁力により駆動され、タンク本体4内の溶融塩を攪拌するように回転し、これによって、素材の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去が促進される。更に、液体表面上の汚染物質残留物の完全な反応を促進することができる。
【0052】
タンク本体4内の攪拌棒10の回転速度が制御されるように磁石回転ディスク12の回転速度はコントローラにより制御及び調整される。具体的には、攪拌棒10の攪拌力Pstirringは、液体の、単位体積当たりの平均攪拌力Pにより決定される。Pstirring=K*P*Vliquid+workpiece、ここにKは補正係数であり、攪拌棒10の上方に加熱管及び保護外枠が配置されるとともにタンク本体の底壁が粗く不均一である際にはKの値の範囲は2~3である。Vliquid+workpieceは、タンク本体内の溶融塩の体積と素材の体積との和である。
【0053】
攪拌棒10は、内側に位置する攪拌棒本体と、攪拌棒主本体の外側に配置されるコーティングとを含んでいる。攪拌棒主本体は、耐高温性磁石製、例えば350℃の高温に耐えられるサマリウムコバルト磁石製である。コーティングは、ナノメータサイズのセラミック等、低摩擦性、耐高温性、断熱性及び耐アルカリ性の材料製である。コーティングは、攪拌棒10とタンク本体4の底壁との間の摩擦を低減し、高温にて攪拌棒主本体の強い磁気特性を保護することができる。
【0054】
超音波適用システムは、タンク本体4内の素材に超音波衝撃を適用して素材の表面上の汚染物質を急速に除去するように構成される。図5に示すように、超音波適用システムは、超音波振動子21と、超音波振動子ボックス22と、循環冷却システム23とを含んでいる。超音波振動子21は、タンク本体4の外側に取付けられている。超音波振動子ボックス22は、超音波振動子21の外側に配置されている。循環冷却システム23は、超音波振動子21を継続的に冷却して超音波振動子21が40℃~60℃の温度にて作動することを確実にするように構成される。超音波適用システムと攪拌システムとが組み合わさって、底層上の汚染物質の除去が加速され、液体表面上の浮渣の完全な反応が実現される。
【0055】
排ガス収集システムは、洗浄工程中に発生する排ガスを収集し処理するように構成される。図2に示すように、排ガス収集システムは、ガス抽出モジュール18と、ガスセンサ19と、ガス送風モジュール20とを含んでおり、ガス抽出モジュール18は、タンク本体の後ろ側に装着され、ガス抽出用の排気ファンを含んでおり、ガス送風モジュール20は、タンク本体の前側に装着され、ガス送風用の給気ファンを含んでいる。タンク内で発生する排ガスは、ガス送風モジュール20及びガス抽出モジュール18を介してタイムリーに収集され、その後、環境保護処理のため排ガス処理装置に運搬される。ガスセンサ19は、洗浄工程中に発生する排ガスの量を監視するためにガス抽出モジュール18の下側に配置されている。例えば、ガスセンサ19は赤外線ガスセンサであってもよい。
【0056】
具体的には、ガス送風モジュール20からガス抽出モジュール18まで排ガスの流路が形成され、ガスセンサ19はこの排ガスの流路上に、排ガスの量を正確に監視できるように配置されている。図1に示すように、ガスセンサ19はガス抽出モジュール18の近くに配置されている。
【0057】
ガスセンサ19にはコントローラが連結される。タンク本体4内の溶融塩が僅かに攪拌されることを確実にし、素材の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去を促進するために、コントローラが、ガスセンサ19により測定される排ガス量に応じて攪拌棒10の回転速度を調整してもよい。
【0058】
溶融塩加熱システムは、タンク本体内の溶融塩が充分に溶融するとともに洗浄温度が維持されるようタンク本体を加熱するように構成されている。溶融塩加熱システムは、タンク底加熱管15と、側壁加熱管16と、温度センサ17とを含んでいる。コントローラは、温度センサ17により測定される温度に応じてタンク底加熱管15及び/又は側壁加熱管16の加熱力を制御し、タンク本体内の洗浄温度を制御する。
【0059】
塩排出システムは、タンク本体内の溶融塩を排出するように構成されている。塩排出システムは、塩排出弁断熱層6と、塩排出弁加熱管7と、塩排出弁8とを含んでいる。塩排出弁8はタンク本体の側壁の底に装着されており、排出弁加熱管7及び塩排出弁断熱層6により、塩排出弁内の溶融塩の溶融及び充分な排出が確実になる。
【0060】
この実施形態により提供される溶融塩超音波洗浄機によれば、攪拌システムが攪拌効果を適用して溶融塩の流動性を向上させる。超音波適用システムの超音波衝撃と組み合わさって、部品の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去が加速され、液体表面上に浮遊する残留物と溶融塩との完全な反応が促進される。ガスセンサを介して洗浄時間が自動的に制御され、洗浄機の洗浄効率が向上し、自動化及び環境保護レベルが高まる。部品の表面上の、塗料、油染み、及びカーボンデポジット等の汚染物質は、より完全に洗浄されるのであり、部品の表面上の汚染物質の、環境に優しく、充分な、かつ自動の洗浄が実現される。
【0061】
この実施形態において、溶融塩超音波洗浄方法の洗浄方法は、以下のステップ、
ステップa:タンクカバーを開放し、工業用塩を付加するステップと、
ステップb:タンクカバーを閉鎖し、超音波適用システムの循環冷却システム及び溶融塩加熱システムをオンにし、工業用塩を加熱管により280℃~300℃に加熱するステップと、
ステップc:タンクカバーを開放し、排ガス収集システムをオンにし、溶融塩に被洗浄素材を入れるステップと、
ステップd:タンクカバーを閉鎖し、超音波適用システムをオンにし、被洗浄素材の洗浄を開始するステップと、
ステップe:排ガス収集システム内のガスセンサを介してタンク内の排ガスの発生量を監視し、タンク内の包括的な排ガスの発生量が0.5mg/mより多くかつ5mg/m未満になると攪拌システムをオンにし、コントローラにより攪拌棒の回転速度を調整し、これによって、タンク本体内の溶融塩が僅かに攪拌されることを確実にし、部品の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の急速な除去、ならびに、液体表面上の汚染物質残留物の完全な反応を促進するステップと、
ステップf:部品の表面上の汚染物質の反応が次第に遅くなるにつれて、タンク内の包括的な排ガスの発生量が0.5mg/m未満になると磁石攪拌システム及び超音波適用システムをオフにし、タンクカバーを開放し、洗浄済み素材を取り出し、その後、更なる精密洗浄のために、清浄水タンク、酸洗浄タンク、及びその他の後処理システムへ素材を運搬するステップと、
ステップg:溶融塩加熱システム及び排ガス収集システムをオフにし、タンクカバーを閉鎖し、タンク内の溶融塩の温度が50℃未満になると洗浄機の電源をオフにするステップと、を含んでいる。
【0062】
要するに、この実施形態により提供される溶融塩超音波洗浄機によれば、攪拌システムが攪拌効果を適用して溶融塩の流動性を向上させる。超音波適用システムの超音波衝撃と組み合わさって、素材の複雑な空間内の汚染物質、及び表面の底層上の汚染物質の洗浄効率を向上させることができる。更に、溶融塩超音波洗浄機は、洗浄工程中に発生する排ガスの量をガスセンサを介して監視し、攪拌システムの開始時間及び洗浄終了時間を自動的に制御するのであり、洗浄機を自動的に制御することができる。更に、攪拌システムに起因して、不完全に反応した、液体表面上の塗料及び油染み等の残留物を、溶融塩と更に反応するように促進することができ、排ガスの発生量を低減することができる。更に、排ガス収集システムは、タンク内で発生する排ガスをタイムリーに収集することができ、洗浄機の環境保護レベルを高めることができる。
【0063】
最後に、上記の実施形態が、本発明の技術的解決策を記載するためにのみ使用されるがこれらを限定するためではないのであり、好適な実施形態を参照して本発明が詳細に記載されるが、本発明の特定の実施をやはり修正することができる、或いは、技術的特徴の一部を等しく再適応させることができることを当業者ならば理解すべきであり、それらの修正又は等しい再適応が、本発明により主張される技術的解決策の範囲内に、本発明の技術的解決策の精神から逸脱することなく網羅されるべきであるということに留意すべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 タンクカバー、 2 空気シリンダ、 3 タンク本体外殻、 4 タンク本体、 5 タンク外枠、 6 塩排出弁断熱層、 7 塩排出弁加熱管、 8 塩排出弁、 9 保護網、 10 攪拌棒、 11 中間磁石、 12 磁石回転ディスク、 13 モータ主軸、 14 モータ、 15 タンク底加熱管、 16 側壁加熱管、 17 温度センサ、 18 ガス抽出モジュール、 19 ガスセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6