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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240822BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240822BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20240822BHJP
   H04N 25/705 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 F
H01L21/88 J
H01L21/02 B
H04N25/70
H04N25/704
H04N25/705
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021501912
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2020005581
(87)【国際公開番号】W WO2020170936
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019028062
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣年
(72)【発明者】
【氏名】平松 克規
(72)【発明者】
【氏名】中澤 圭一
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-114326(JP,A)
【文献】特開2014-022561(JP,A)
【文献】特開2015-135938(JP,A)
【文献】国際公開第2011/077580(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/190759(WO,A1)
【文献】特開2016-009739(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186192(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0179691(US,A1)
【文献】国際公開第2014/013696(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03349250(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284753(US,A1)
【文献】国際公開第2015/093017(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03540776(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0155893(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02518768(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076500(US,A1)
【文献】国際公開第2015/198876(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0104571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/02
H04N 25/70
H04N 25/704
H04N 25/705
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体基板に、光電変換を行うセンサ画素を有する第1基板と、
第2半導体基板に、前記センサ画素から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路を有すると共に、前記第1基板に積層された第2基板と、
第3半導体基板に、前記画素信号を処理するロジック回路を有する第3基板と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に設けられると共に、前記第1の絶縁層よりも膜密度の低い第2の絶縁層とを備え、
前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板はこの順に積層され、
前記第1基板および前記第2基板からなる積層体は、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に、層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜内に設けられた第1貫通配線とをさらに有し、
前記第1基板および前記第2基板は、前記第1貫通配線によって互いに電気的に接続され、
前記第2基板および前記第3基板は、それぞれ、パッド電極を有し、前記パッド電極同士の接合によって互いに電気的に接続され、
前記センサ画素は、光電変換素子と、前記光電変換素子と電気的に接続された転送トランジスタと、前記転送トランジスタを介して前記光電変換素子から出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンとを有し、
前記読み出し回路は、前記フローティングディフュージョンの電位を所定の電位にリセットするリセットトランジスタと、前記画素信号として、前記フローティングディフュージョンに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタからの前記画素信号の出力タイミングを制御する選択トランジスタとを有し、
前記第2基板は、4つの前記センサ画素ごとに前記読み出し回路を有し、
複数の前記第1貫通配線は、前記第1基板の面内において第1方向に帯状に並んで配置され、
各前記センサ画素は、前記第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向とに、マトリクス状に配置され、
前記第2基板は、前記第2方向に並んで配置された各前記センサ画素の前記転送トランジスタのゲートに電気的に接続された第1制御線と、前記第2方向に並んで配置された各前記リセットトランジスタのゲートに電気的に接続された第2制御線と、前記第2方向に並んで配置された各前記選択トランジスタのゲートに電気的に接続された第3制御線と、前記第1方向に並んで配置された各前記読み出し回路の出力端に電気的に接続された出力線とをさらに有する
撮像装置。
【請求項2】
前記第2の絶縁層は、2nm以上前記第1の絶縁層以下の膜厚を有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層は、前記第1半導体基板側からこの順に積層されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層は、前記第2半導体基板側からこの順に積層されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に第3の絶縁膜をさらに有し、
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層および前記第3の絶縁膜は、この順に積層されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の絶縁層は、窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜または炭化ケイ素(SiC)膜である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁層は、酸化ケイ素(SiO2-x)膜、酸窒化ケイ素(SiON)膜、酸炭化窒化ケイ素(SiOCN)膜または炭化窒化ケイ素(SiCN)膜である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第3の絶縁膜は、前記第1の絶縁層と同じ材料を用いて形成されている、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記層間絶縁膜は、前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層を含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1基板は、前記第2基板と対向する前記第1半導体基板の一の面側に、前記光電変換素子、前記転送トランジスタおよび前記フローティングディフュージョンが設けられた構成となっており、
前記第2基板は、前記第2半導体基板の一の面側に前記読み出し回路が設けられた構成となっており、且つ、前記第1半導体基板の前記一の面側に、前前記第2半導体基板の前記一の面と対向する他の面を向けて前記第1基板に貼り合わされている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第3基板は、前記第3半導体基板の前記一の面側に前記ロジック回路が設けられた構成となっており、且つ、前記第2半導体基板の前記一の面側に、前記第3半導体基板の前記一の面を向けて前記第2基板に貼り合わされている、請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記ロジック回路は、ソース電極またはドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドを含んで構成されている、請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記転送トランジスタのゲートは、前記第1貫通配線と、前記パッド電極とを介して、前記ロジック回路に電気的に接続されている、請求項11に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1基板は、前記層間絶縁膜内に、前記第1基板と平行な方向に延在するゲート配線をさらに有し、
前記転送トランジスタのゲートは、前記ゲート配線を介して、前記ロジック回路に電気的に接続されている、請求項11に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元構造を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元構造の撮像装置の1画素あたりの面積の微細化は、微細プロセスの導入と実装密度の向上によって実現されてきた。近年、撮像装置のさらなる小型化および画素の高密度化を実現するため、3次元構造の撮像装置が開発されている。3次元構造の撮像装置では、例えば、複数のセンサ画素を有する半導体基板と、各センサ画素で得られた信号を処理する信号処理回路を有する半導体基板とが互いに積層されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-245506号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、3次元構造を有する撮像装置では製造プロセスの自由度の向上が求められている。
【0005】
製造プロセスの自由度を向上させることが可能な撮像装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態の撮像装置は、第1半導体基板に、光電変換を行うセンサ画素を有する第1基板と、第2半導体基板に、センサ画素から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路を有すると共に、第1基板に積層された第2基板と、第3半導体基板に、画素信号を処理するロジック回路を有する第3基板と、第1半導体基板と第2半導体基板との間に設けられた第1の絶縁層と、第1半導体基板と第2半導体基板との間に設けられると共に、第1の絶縁層よりも膜密度の低い第2の絶縁層とを備えたものであり、第1基板、第2基板および第3基板はこの順に積層され、第1基板および第2基板からなる積層体は、第1半導体基板と第2半導体基板との間に、層間絶縁膜と、層間絶縁膜内に設けられた第1貫通配線とをさらに有し、第1基板および第2基板は、第1貫通配線によって互いに電気的に接続され、第2基板および第3基板は、それぞれ、パッド電極を有し、パッド電極同士の接合によって互いに電気的に接続され、センサ画素は、光電変換素子と、光電変換素子と電気的に接続された転送トランジスタと、転送トランジスタを介して光電変換素子から出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンとを有し、読み出し回路は、フローティングディフュージョンの電位を所定の電位にリセットするリセットトランジスタと、画素信号として、フローティングディフュージョンに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する増幅トランジスタと、増幅トランジスタからの画素信号の出力タイミングを制御する選択トランジスタとを有し、第2基板は、4つのセンサ画素ごとに読み出し回路を有し、複数の第1貫通配線は、第1基板の面内において第1方向に帯状に並んで配置され、各センサ画素は、第1方向と、第1方向と直交する第2方向とに、マトリクス状に配置され、第2基板は、第2方向に並んで配置された各センサ画素の転送トランジスタのゲートに電気的に接続された第1制御線と、第2方向に並んで配置された各リセットトランジスタのゲートに電気的に接続された第2制御線と、第2方向に並んで配置された各選択トランジスタのゲートに電気的に接続された第3制御線と、第1方向に並んで配置された各読み出し回路の出力端に電気的に接続された出力線とをさらに有する
【0007】
本開示の一実施形態の撮像装置では、第1基板と第2基板との積層体において、第1基板を構成する第1半導体基板と、第2基板を構成する第2半導体基板との間に、第1の絶縁層と、第1の絶縁層よりも膜密度の低い第2の絶縁層とを設ける。これにより、第1半導体基板と第2半導体基板との接合工程において発生する水分子(H2O)を第2の絶縁層で吸収する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係る撮像装置の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
図2図1に示した撮像装置の概略構成の一例を表す図である。
図3図1に示したセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
図4図1に示したセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
図5図1に示したセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
図6図1に示したセンサ画素および読み出し回路の一例を表す図である。
図7】複数の読み出し回路と複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
図8図1に示した撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図9図1に示した撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図10図1に示した撮像装置の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
図11図1に示した撮像装置の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
図12図1に示した撮像装置の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
図13図1に示した撮像装置の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
図14A図1に示した撮像装置の製造過程の一例を表す図である。
図14B図14Aに続く製造過程の一例を表す図である。
図14C図14Bに続く製造過程の一例を表す図である。
図14D図14Cに続く製造過程の一例を表す図である。
図14E図14Dに続く製造過程の一例を表す図である。
図14F図14Eに続く製造過程の一例を表す図である。
図14G図14Fに続く製造過程の一例を表す図である。
図15A図14Bの工程を詳細に説明する図である。
図15B図15Aに続く製造過程の一例を表す図である。
図15C図15Bに続く製造過程の一例を表す図である。
図16図15Cの接合工程における接合面の様子を説明する図である。
図17】本開示の変形例1に係る撮像装置の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
図18】本開示の変形例2に係る撮像装置の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
図19】本開示の変形例3に係る撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図20】本開示の変形例3に係る撮像装置の水平方向の断面構成の他の例を表す図である。
図21】本開示の変形例4に係る撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図22】本開示の変形例5に係る撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図23】本開示の変形例6に係る撮像装置の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
図24】本開示の変形例6に係る撮像装置の水平方向の断面構成の他の例を表す図である。
図25】本開示の変形例6に係る撮像装置の水平方向の断面構成の他の例を表す図である。
図26】本開示の変形例7に係る撮像装置に撮像装置の回路構成の一例を表す図である。
図27】本開示の変形例8に係る図26の撮像装置を3つの基板を積層して構成した例を表す図である。
図28】本開示の変形例9に係るロジック回路を、センサ画素の設けられた基板と、読み出し回路の設けられた基板とに分けて形成した例を表す図である。
図29】本開示の変形例10に係るロジック回路を、第3基板に形成した例を表す図である。
図30】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
図31図30の撮像システムにおける撮像手順の一例を表す図である。
図32】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図33】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図34】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図35】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(第1半導体基板と第2半導体基板との間に水素拡散防止層を設けた例)
1-1.撮像装置の構成
1-2.撮像装置の製造方法
1-3.作用・効果
2.変形例
2-1.変形例1(平面型TGを用いた例)
2-2.変形例2(パネル外縁でCu-Cu接合を用いた例)
2-3.変形例3(センサ画素と読み出し回路との間にオフセットを設けた例)
2-4.変形例4(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
2-5.変形例5(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
2-6.変形例6(FDを4つのセンサ画素で共有した例)
2-7.変形例7(カラム信号処理回路を一般的なカラムADC回路で構成した例)
2-8.変形例8(撮像装置を、3つの基板を積層して構成した例)
2-9.変形例9(ロジック回路を第1基板、第2基板に設けた例)
2-10.変形例10(ロジック回路を第3基板に設けた例)
3.適用例
4.応用例
【0010】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。図2は、図1に示した撮像装置1の概略構成の一例を表したものである。撮像装置1は、半導体基板11に、光電変換を行うセンサ画素12を有する第1基板10と、半導体基板21に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画像信号を出力する読み出し回路22を有する第2基板20とが積層された3次元構造を有する撮像装置である。本実施の形態の撮像装置1は、第1基板10および第2基板20の積層体において、半導体基板11と半導体基板21との間に、絶縁層46A,46B,46Cからなる絶縁層46が設けられたものである。絶縁層46Bは、絶縁層46A,46Cよりも膜密度の低い絶縁膜で構成されている。
【0011】
(1-1.撮像装置の構成)
撮像装置1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20および第3基板30)がこの順に積層されたものである。
【0012】
第1基板10は、上記のように、半導体基板11に、光電変換を行う複数のセンサ画素12を有している。半導体基板11は、本開示の「第1半導体基板」の一具体例に相当する。複数のセンサ画素12は、第1基板10における画素領域13内に行列状に設けられている。第2基板20は、半導体基板21に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路22を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。半導体基板21は、本開示の「第2半導体基板」の一具体例に相当する。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。第3基板30は、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。半導体基板31は、本開示の「第3半導体基板」の一具体例に相当する。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35およびシステム制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、センサ画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0013】
垂直駆動回路33は、例えば、複数のセンサ画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各センサ画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34および水平駆動回路35)の駆動を制御する。
【0014】
図3は、センサ画素12および読み出し回路22の一例を表したものである。以下では、図3に示したように、4つのセンサ画素12が1つの読み出し回路22を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つのセンサ画素12の出力が共通の読み出し回路22に入力されることを指している。
【0015】
各センサ画素12は、互いに共通の構成要素を有している。図3には、各センサ画素12の構成要素を互いに区別するために、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。以下では、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0016】
各センサ画素12は、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPDは、本開示の「光電変換素子」の一具体例に相当する。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。転送トランジスタTRのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、転送トランジスタTRのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。転送トランジスタTRは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0017】
1つの読み出し回路22を共有する各センサ画素12のフローティングディフュージョンFDは、互いに電気的に接続されると共に、共通の読み出し回路22の入力端に電気的に接続されている。読み出し回路22は、例えば、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタRSTのソース(読み出し回路22の入力端)がフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23に電気的に接続されている。
【0018】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、例えば、図1に示したように、半導体基板11の表面からpウェル層42を貫通してPD41に達する深さまで延在している。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、読み出し回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、CMOSトランジスタである。
【0019】
なお、図4に示したように、選択トランジスタSELが、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。また、図5および図6に示したように、FD転送トランジスタFDGが、リセットトランジスタRSTのソースと増幅トランジスタAMPのゲートとの間に設けられていてもよい。
【0020】
FD転送トランジスタFDGは、変換効率を切り替える際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD転送トランジスタFDGをオンにしたときには、FD転送トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD転送トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD転送トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。
【0021】
図7は、複数の読み出し回路22と、複数の垂直信号線24との接続態様の一例を表したものである。複数の読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、複数の垂直信号線24は、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。例えば、図7に示したように、4つの読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、4つの垂直信号線24が、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。なお、図7では、各垂直信号線24を区別するために、各垂直信号線24の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。
【0022】
次に、撮像装置1の垂直方向の断面構成について図1を用いて説明する。撮像装置1は、上記のように、第1基板10、第2基板20および第3基板30がこの順に積層された構成を有し、さらに、第1基板10の裏面(光入射面)側に、カラーフィルタ40および受光レンズ50を備えている。カラーフィルタ40および受光レンズ50は、それぞれ、例えば、センサ画素12ごとに1つずつ設けられている。つまり、撮像装置1は、裏面照射型の撮像装置である。
【0023】
第1基板10は、半導体基板11の表面(面11S1)上に絶縁層46を積層して構成されている。第1基板10は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層46を有している。絶縁層46は、半導体基板11と、後述の半導体基板21との間に設けられている。半導体基板11は、シリコン基板で構成されている。半導体基板11は、例えば、表面の一部およびその近傍に、pウェル層42を有しており、それ以外の領域(pウェル層42よりも深い領域)に、pウェル層42とは異なる導電型のPD41を有している。pウェル層42は、p型の半導体領域で構成されている。PD41は、pウェル層42とは異なる導電型(具体的にはn型)の半導体領域で構成されている。半導体基板11は、pウェル層42内に、pウェル層42とは異なる導電型(具体的にはn型)の半導体領域として、フローティングディフュージョンFDを有している。
【0024】
本実施の形態では、絶縁層46は、上記のように、絶縁層46A,46B,46Cによって構成されている。絶縁層46A,46B,46Cは、半導体基板11側から順に積層されている。
【0025】
絶縁層46Aは、半導体基板11の表面を保護するためのものである。絶縁層46Aは、本開示の「第1の絶縁層」の一具体例に相当する。絶縁層46Aの材料としては、窒化ケイ素(Si3-x4-y、x,yは、それぞれ、原子の欠損量を示す(以下、同様とする))または炭化ケイ素(SiC)等が挙げられる。絶縁層46Aは、例えば、半導体基板11の表面を平坦化する絶縁膜46A1と、半導体基板11の表面を保護する絶縁膜46A2とを有する(例えば、図15A図15C参照)。絶縁膜46A1は、例えば酸化ケイ素(SiO2-x、原子の欠損量を示す(以下、同様とする))を用いて形成されている。絶縁膜46A2は、上記窒化ケイ素(Si3-x4-y)または炭化ケイ素(SiC)を用いて形成されている。絶縁層46Aの垂直方向の膜厚(以下、単に厚みという)は、例えば20nm以上200nm以下である。なお、上記化学式は一例であり、上記表記の他、化学量論に則さない同種の化合物も含むものとする。以下に記載する化学式についても同様である。
【0026】
絶縁層46Bは、層内に図分子が拡散可能な隙間を有するものであり、絶縁層46Aよりも膜密度の低い絶縁膜で構成されている。絶縁層46Bは、本開示の「第2の絶縁層」の一具体例に相当する。詳細は後述するが、半導体基板11と半導体基板21とを接合する際に発生する水分が絶縁層46Bに吸収される。絶縁層46Bの材料としては、酸化ケイ素(SiO2-x)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸炭化窒化ケイ素(SiOCN)または炭化窒化(SiCN)等が挙げられる。絶縁層46Bの厚み(w:図16参照)は、水分子(H2O)の分子長以上であればよく、例えば2nm以上、例えば水分子(H2O)の10倍以上の厚み(約200nm)であることが好ましい。絶縁層46Bの厚みの上限は、特に問わないが、例えば絶縁層46Aを構成する窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜(絶縁膜46A2)の厚み以下である。
【0027】
絶縁層46Cは、半導体基板21の裏面(面21S2)を保護するためのものである。絶縁層46Cは、本開示の「第3の絶縁層」の一具体例に相当する。絶縁層46Cの材料としては、絶縁層46Aと同様に、窒化ケイ素(Si3-x4-y)または炭化ケイ素(SiC)等が挙げられる。絶縁層46Cは、単層膜でもよいし、例えば、絶縁膜46C1と絶縁膜46C2との積層膜としてもよい(例えば、図15A図15C参照)。絶縁膜46C1は、例えば酸化ケイ素(SiO2-x)を用いて形成されている。絶縁膜46C2は、上記窒化ケイ素(Si3-x4-y)または炭化ケイ素(SiC)を用いて形成されている。絶縁層46Cの厚みは、例えば20nm以上200nm以下である。なお、絶縁層46Cは必ずしも設ける必要はなく、適宜省略しても構わない。
【0028】
第1基板10は、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDをセンサ画素12ごとに有している。第1基板10は、半導体基板11の面11S1側(光入射面側とは反対側、第2基板20側)の一部に、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDが設けられた構成となっている。第1基板10は、各センサ画素12を分離する素子分離部43を有している。素子分離部43は、半導体基板11の法線方向(半導体基板11の表面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。素子分離部43は、互いに隣接する2つのセンサ画素12の間に設けられている。素子分離部43は、互いに隣接するセンサ画素12同士を電気的に分離する。素子分離部43は、例えば、酸化シリコンによって構成されている。素子分離部43は、例えば、半導体基板11を貫通している。第1基板10は、例えば、さらに、素子分離部43の側面であって、且つ、フォトダイオードPD側の面に接するpウェル層44を有している。pウェル層44は、フォトダイオードPDとは異なる導電型(具体的にはp型)の半導体領域で構成されている。第1基板10は、例えば、さらに、半導体基板11の裏面(面11S2、他の面)に接する固定電荷膜45を有している。固定電荷膜45は、半導体基板11の受光面側の界面準位に起因する暗電流の発生を抑制するため、負に帯電している。固定電荷膜45は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。そのような絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。固定電荷膜45が誘起する電界により、半導体基板11の受光面側の界面にホール蓄積層が形成される。このホール蓄積層によって、界面からの電子の発生が抑制される。カラーフィルタ40は、半導体基板11の裏面側に設けられている。カラーフィルタ40は、例えば、固定電荷膜45に接して設けられており、固定電荷膜45を介してセンサ画素12と対向する位置に設けられている。受光レンズ50は、例えば、カラーフィルタ40に接して設けられており、カラーフィルタ40および固定電荷膜45を介してセンサ画素12と対向する位置に設けられている。
【0029】
第2基板20は、半導体基板21上に絶縁層52を積層して構成されている。絶縁層52は、第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層52を有している。絶縁層52は、半導体基板21と、半導体基板31との間に設けられている。半導体基板21は、シリコン基板で構成されている。第2基板20は、4つのセンサ画素12ごとに、1つの読み出し回路22を有している。第2基板20は、半導体基板21の表面(第3基板30と対向する面21S1、一の面)側の一部に読み出し回路22が設けられた構成となっている。第2基板20は、半導体基板11の表面(面11S1)に対して半導体基板21の裏面(面21S2)を向けて第1基板10に貼り合わされている。つまり、第2基板20は、第1基板10に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。第2基板20は、さらに、半導体基板21と同一の層内に、半導体基板21を貫通する絶縁層53を有している。第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層53を有している。絶縁層53は、後述の貫通配線54の側面を覆うように設けられている。
【0030】
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、層間絶縁膜51と、層間絶縁膜51内に設けられた貫通配線54を有している。貫通配線54は、本開示の「第1貫通配線」の一具体例に相当する。上記積層体は、センサ画素12ごとに、1つの貫通配線54を有している。貫通配線54は、半導体基板21の法線方向に延びており、層間絶縁膜51のうち、絶縁層53を含む箇所を貫通して設けられている。第1基板10および第2基板20は、貫通配線54によって互いに電気的に接続されている。具体的には、貫通配線54は、フローティングディフュージョンFDおよび後述の接続配線55に電気的に接続されている。
【0031】
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、さらに、層間絶縁膜51内に設けられた貫通配線47,48(後述の図8参照)を有している。貫通配線47,48は、本開示の「第2貫通配線」の一具体例に相当する。上記積層体は、センサ画素12ごとに、1つの貫通配線47と、1つの貫通配線48とを有している。貫通配線47,48は、それぞれ、半導体基板21の法線方向に延びており、層間絶縁膜51のうち、絶縁層53を含む箇所を貫通して設けられている。第1基板10および第2基板20は、貫通配線47,48によって互いに電気的に接続されている。具体的には、貫通配線47は、半導体基板11のpウェル層42と、第2基板20内の配線とに電気的に接続されている。貫通配線48は、転送ゲートTGおよび画素駆動線23に電気的に接続されている。
【0032】
第2基板20は、例えば、絶縁層52内に、読み出し回路22や半導体基板21と電気的に接続された複数の接続部59を有している。第2基板20は、さらに、例えば、絶縁層52上に配線層56を有している。配線層56は、例えば、絶縁層57と、絶縁層57内に設けられた複数の画素駆動線23および複数の垂直信号線24を有している。配線層56は、さらに、例えば、絶縁層57内に複数の接続配線55を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。接続配線55は、読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12に含まれるフローティングディフュージョンFDに電気的に接続された各貫通配線54を互いに電気的に接続している。ここで、貫通配線54,48の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも多く、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数の2倍となっている。また、貫通配線54,48,47の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも多く、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数の3倍となっている。
【0033】
配線層56は、さらに、例えば、絶縁層57内に複数のパッド電極58を有している。各パッド電極58は、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等の金属で形成されている。各パッド電極58は、配線層56の表面に露出している。各パッド電極58は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。複数のパッド電極58は、例えば、画素駆動線23および垂直信号線24ごとに1つずつ設けられている。ここで、パッド電極58の総数(または、パッド電極58とパッド電極64(後述)との接合の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも少ない。
【0034】
第3基板30は、例えば、半導体基板31上に層間絶縁膜61を積層して構成されている。なお、第3基板30は、後述するように、第2基板20に、表面側の面同士で貼り合わされていることから、第3基板30内の構成について説明する際には、上下の説明が、図面での上下方向とは逆となっている。半導体基板31は、シリコン基板で構成されている。第3基板30は、半導体基板31の表面(面31S1)側の一部にロジック回路32が設けられた構成となっている。第3基板30は、さらに、例えば、層間絶縁膜61上に配線層62を有している。配線層62は、例えば、絶縁層63と、絶縁層63内に設けられた複数のパッド電極64を有している。複数のパッド電極64は、ロジック回路32と電気的に接続されている。各パッド電極64は、例えば、Cu(銅)で形成されている。各パッド電極64は、配線層62の表面に露出している。各パッド電極64は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。また、パッド電極64は、必ずしも複数でなくてもよく、1つでもロジック回路32と電気的に接続が可能である。第2基板20および第3基板30は、パッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。つまり、転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、貫通配線54と、パッド電極58,64とを介して、ロジック回路32に電気的に接続されている。第3基板30は、半導体基板21の表面(面21S1)側に半導体基板31の表面(面31S1)を向けて第2基板20に貼り合わされている。つまり、第3基板30は、第2基板20に、フェイストゥーフェイスで貼り合わされている。
【0035】
図8および図9は、撮像装置1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図8および図9の上側の図は、図1の断面Sec1での断面構成の一例を表す図であり、図8および図9の下側の図は、図1の断面Sec2での断面構成の一例を表す図である。図8には、2×2の4つのセンサ画素12を2組、第2方向Hに並べた構成が例示されており、図9には、2×2の4つのセンサ画素12を4組、第1方向Vおよび第2方向Hに並べた構成が例示されている。なお、図8および図9の上側の断面図では、図1の断面Sec1での断面構成の一例を表す図に、半導体基板11の表面構成の一例を表す図が重ね合わされると共に、絶縁層46が省略されている。また、図8および図9の下側の断面図では、図1の断面Sec2での断面構成の一例を表す図に、半導体基板21の表面構成の一例を表す図が重ね合わされている。
【0036】
図8および図9に示したように、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47は、第1基板10の面内において第1方向V(図8の上下方向、図9の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、図8および図9には、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。第1方向Vは、マトリクス状の配置された複数のセンサ画素12の2つの配列方向(例えば行方向および列方向)のうち一方の配列方向(例えば列方向)と平行となっている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、素子分離部43を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送ゲートTGは、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
【0037】
絶縁層53は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板21は、第1方向Vに延在すると共に、絶縁層53を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、複数組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と対向する領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、絶縁層53の左隣りのブロック21A内の増幅トランジスタAMPと、絶縁層53の右隣りのブロック21A内のリセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELとによって構成されている。
【0038】
図10図11図12および図13は、撮像装置1の水平面内での配線レイアウトの一例を表したものである。図10図13には、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が4つのセンサ画素12と対向する領域内に設けられている場合が例示されている。図10図13に記載の配線は、例えば、配線層56において互いに異なる層内に設けられている。
【0039】
互いに隣接する4つの貫通配線54は、例えば、図10に示したように、接続配線55と電気的に接続されている。互いに隣接する4つの貫通配線54は、さらに、例えば、図10に示したように、接続配線55および接続部59を介して、絶縁層53の左隣りブロック21Aに含まれる増幅トランジスタAMPのゲートと、絶縁層53の右隣りブロック21Aに含まれるリセットトランジスタRSTのゲートとに電気的に接続されている。
【0040】
電源線VDDは、例えば、図11に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。電源線VDDは、例えば、図11に示したように、接続部59を介して、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22の増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに電気的に接続されている。2本の画素駆動線23が、例えば、図11に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。一方の画素駆動線23(第2制御線)は、例えば、図11に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22のリセットトランジスタRSTのゲートに電気的に接続された配線RSTGである。他方の画素駆動線23(第3制御線)は、例えば、図11に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22の選択トランジスタSELのゲートに電気的に接続された配線SELGである。各読み出し回路22において、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとが、例えば、図11に示したように、配線25を介して、互いに電気的に接続されている。
【0041】
2本の電源線VSSが、例えば、図12に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。各電源線VSSは、例えば、図12に示したように、第2方向Hに並んで配置された各センサ画素12と対向する位置において、複数の貫通配線47に電気的に接続されている。4本の画素駆動線23が、例えば、図12に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。4本の画素駆動線23の各々は、例えば、図12に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22に対応する4つのセンサ画素12のうちの1つのセンサ画素12の貫通配線48に電気的に接続された配線TRGである。つまり、4本の画素駆動線23(第1制御線)は、第2方向Hに並んで配置された各センサ画素12の転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)に電気的に接続されている。図12では、各配線TRGを区別するために、各配線TRGの末尾に識別子(1,2,3,4)が付与されている。
【0042】
垂直信号線24は、例えば、図13に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。垂直信号線24(出力線)は、例えば、図13に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路22の出力端(増幅トランジスタAMPのソース)に電気的に接続されている。
【0043】
(1-2.撮像装置の製造方法)
次に、撮像装置1の製造方法について説明する。図14A図14Fは、撮像装置1の製造過程の一例を表したものである。
【0044】
まず、半導体基板11に、pウェル層42や、素子分離部43、pウェル層44を形成する。次に、半導体基板11に、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDを形成する(図14A)。これにより、半導体基板11に、センサ画素12が形成される。このとき、センサ画素12に用いる電極材料として、サリサイドプロセスによるCoSi2やNiSi等の耐熱性の低い材料を用いないことが好ましい。むしろ、センサ画素12に用いる電極材料としては、耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。耐熱性の高い材料としては、例えば、ポリシリコンが挙げられる。その後、半導体基板11上に、絶縁層46(絶縁層46A,46B)を形成する(図14A)。このようにして、第1基板10が形成される。
【0045】
次に、第1基板10(絶縁層46B)上に、半導体基板21を貼り合わせる(図14B)。その後、必要に応じて半導体基板21を薄肉化する。この際、半導体基板21の厚さを、読み出し回路22の形成に必要な膜厚にする。この半導体基板11と半導体基板21との貼り合わせについて、図15A図15Cおよび図16を用いて詳細を後述する。半導体基板21の厚さは、一般的には数百nm程度である。しかし、読み出し回路22のコンセプトによっては、FD(Fully Depletion)型も可能であるので、その場合には、半導体基板21の厚さとしては、数nm~数μmの範囲を採り得る。
【0046】
続いて、半導体基板21と同一の層内に、絶縁層53を形成する(図14C)。絶縁層53を、例えば、フローティングディフュージョンFDと対向する箇所に形成する。例えば、半導体基板21に対して、半導体基板21を貫通するスリット(開口21H)を形成して、半導体基板21を複数のブロック21Aに分離する。その後、スリットを埋め込むように、絶縁層53を形成する。その後、半導体基板21の各ブロック21Aに、増幅トランジスタAMP等を含む読み出し回路22を形成する(図14C)。このとき、センサ画素12の電極材料として、耐熱性の高い金属材料が用いられている場合には、読み出し回路22のゲート絶縁膜を、熱酸化により形成することが可能である。
【0047】
次に、半導体基板21上に絶縁層52を形成する。このようにして、絶縁層46,52,53からなる層間絶縁膜51を形成する。続いて、層間絶縁膜51に貫通孔51A,51Bを形成する(図14D)。具体的には、絶縁層52のうち、読み出し回路22と対向する箇所に、絶縁層52を貫通する貫通孔51Bを形成する。また、層間絶縁膜51のうち、フローティングディフュージョンFDと対向する箇所(つまり、絶縁層53と対向する箇所)に、層間絶縁膜51を貫通する貫通孔51Aを形成する。
【0048】
続いて、貫通孔51A,51Bに導電性材料を埋め込むことにより、貫通孔51A内に貫通配線54を形成すると共に、貫通孔51B内に接続部59を形成する(図14E)。さらに、絶縁層52上に、貫通配線54と接続部59とを互いに電気的に接続する接続配線55を形成する(図14E)。その後、配線層56を、絶縁層52上に形成する(図14F)。このようにして、第2基板20が形成される。
【0049】
次に、第2基板20を、半導体基板31の表面側に半導体基板21の表面を向けて、ロジック回路32や配線層62が形成された第3基板30に貼り合わせる(図14G)。このとき、第2基板20のパッド電極58と、第3基板30のパッド電極64とを互いに接合することにより、第2基板20と第3基板30とを互いに電気的に接続する。このようにして、撮像装置1が製造される。
【0050】
図15A図15Cは、半導体基板11と半導体基板21との接合工程の一例を表したものである。本実施の形態では、半導体基板11にフォトダイオードPD、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDを形成したのち、図15Aに示したように、例えば高密度プラズマ化学気相成長(CVD)を用いて酸化ケイ素(SiO2-x)膜からなる絶縁膜46A1を成膜し、表面を平坦化する。その後、絶縁膜46A1上に、例えば減圧プラズマCVDを用いて窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜からなる絶縁膜46A2を成膜し、絶縁層46Aを形成する。また、同様に、半導体基板21の半導体基板11との接合面(裏面、面21S2)上に、絶縁膜46C1および絶縁膜46C2からなる絶縁膜46C1を形成する。
【0051】
次に、図15Bに示したように、例えば絶縁層46A上に、例えば化学気相成長法(CVD)を用いて例えば酸化ケイ素(SiO2-x)膜からなる絶縁層46Bを形成する。なお、図15Bでは、絶縁層46Bを半導体基板11側に設けた例を示したが、半導体基板21側に設けるようにしてもよい。あるいは、半導体基板11および半導体基板21のそれぞれに、絶縁層46Bとなる酸化ケイ素(SiO2-x)膜を設けるようにしてもよい。この時点では、半導体基板21には読み出し回路22を構成する各種トランジスタおよび配線等は形成されていないため、半導体基板21側に絶縁層46Bを容易に成膜することができる。また、半導体基板21側に絶縁層46Bを形成する場合には、半導体基板21の裏面(面21S2)に形成される絶縁層46Cは省略しても構わない。
【0052】
続いて、図15Cに示したように、例えば酸素プラズマを照射して表面を活性化し、半導体基板11と半導体基板21とを接合する。これにより、半導体基板11と半導体基板21との間には、絶縁層46A、絶縁層46Aよりも膜密度の低い絶縁層46Bおよび絶縁層46A同様の膜密度を有する絶縁層46Cがこの順に積層された絶縁層46が形成される。絶縁層46のような積層構造は、例えば透過電子顕微鏡(TEM)によって膜密度の差をコントラストとして確認することができる。
【0053】
図16は、半導体基板11と半導体基板21との接合時における接合面の様子を表したものである。上記のように、酸素プラズマを照射して表面を活性化した場合、絶縁層46Bおよび絶縁層46Cの表面には、図16に示したように、酸素原子(O)や水酸基(-OH)が生成される。その後、加圧することで半導体基板11と半導体基板21とは接合されるが、その際、接合界面では、脱水縮合によって水分子(H2O)が生成される。このとき、接合面が窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜/窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜であった場合、水分子(H2O)は吸収されずにボイド(気孔)となる。接合面に形成されたボイドは、半導体基板11と半導体基板21との接合強度を低下させると共に、上述した読み出し回路22の形成工程等における加熱処理時に接合面が破壊される。これに対して、本実施の形態では、窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜からなる絶縁膜46A2上に酸化ケイ素(SiO2-x)膜からなる絶縁層46Bを設け、半導体基板11と半導体基板21との接合面を窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜/酸化ケイ素(SiO2-x)膜となるようにした。酸化ケイ素(SiO2-x)膜は窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜と比較して、膜内に隙間(結晶欠陥)を有し、膜密度が低い。膜密度の低い膜は、膜密度が高い膜よりも多くの水分子が拡散可能となっている。これにより、接合界面で発生した水分子(H2O)は、図16に示したように、絶縁層46Bに吸収される。よって、接合界面におけるボイドの発生が抑制される。
【0054】
(1-3.作用・効果)
従来、2次元構造の撮像装置の1画素あたりの面積の微細化は、微細プロセスの導入と実装密度の向上によって実現されてきた。近年、撮像装置のさらなる小型化および1画素あたりの面積の微細化を実現するため、3次元構造の撮像装置が開発されている。3次元構造の撮像装置では、例えば、複数のセンサ画素を有する半導体基板(第1半導体基板)と、各センサ画素で得られた信号を処理する信号処理回路を有する半導体基板(第2半導体基板)とが互いに積層されている。これにより、今までと同等のチップサイズで、センサ画素の集積度をより高くしたり、信号処理回路のサイズをより大きくしたりすることができる。
【0055】
ところで、3次元構造を有する撮像装置では、上記第1半導体基板にトランジスタを形成した後に、第2半導体基板を接合し、Front End Of the Line(FEOL)を流動する工程がある。このため、高温条件(例えば800℃超)でも変化しない接合技術および接合構造の開発が求められている。
【0056】
これに対して、本実施の形態では、第1基板10と第2基板20とが積層された積層体において、第1基板10を構成する半導体基板11と、第2基板20を構成する半導体基板21との間に設けられる絶縁層46を、絶縁層46Aと、絶縁層46Aよりも膜密度の低い絶縁層46Bと、絶縁層46Aと同様の構成を有する絶縁層46Cとの積層構造とした。また、半導体基板11と半導体基板21との接合工程において、接合面の一方を絶縁層46Bとして半導体基板11と半導体基板21とを貼り合わせるようにした。これにより、半導体基板11と半導体基板21との接合工程において発生する水分子(H2O)が絶縁層46Bに吸収されるようになり、接合界面におけるボイドの発生が抑制される。
【0057】
以上により、本実施の形態の撮像装置1では、半導体基板11と半導体基板21との接合界面におけるボイドの発生が抑制されるため、製造プロセスの自由度を向上させることが可能となる。また、これにより、3次元構造を有する撮像装置1を実現できると共に、製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0058】
以下に、変形例1~10について説明する。なお、以下の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0059】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図17は、上記実施の形態の変形例(変形例1)に係る撮像装置(撮像装置1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。本変形例では、転送トランジスタTRが、平面型の転送ゲートTGを有している。そのため、転送ゲートTGは、pウェル層42を貫通しておらず、半導体基板11の表面だけに形成されている。転送トランジスタTRに平面型の転送ゲートTGが用いられる場合であっても、撮像装置1は、上記実施の形態と同様の効果を有する。
【0060】
(2-2.変形例2)
図18は、上記実施の形態の変形例(変形例2)に係る撮像装置(撮像装置1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。本変形例では、第2基板20と第3基板30との電気的な接続が、第1基板10における周辺領域14と対向する領域でなされている。周辺領域14は、第1基板10の額縁領域に相当しており、画素領域13の周縁に設けられている。本変形例では、第2基板20は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極58を有しており、第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極64を有している。第2基板20および第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。
【0061】
このように、本変形例では、第2基板20および第3基板30が、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。これにより、画素領域13と対向する領域で、パッド電極58,64同士を接合する場合と比べて、1画素あたりの面積の微細化を阻害するおそれを低減することができる。従って、上記実施の形態の効果に加えて、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像装置1を提供することができる。
【0062】
(2-3.変形例3)
図19は、上記実施の形態の変形例(変形例3)に係る撮像装置(撮像装置1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。図20は、上記実施の形態の変形例(変形例3)に係る撮像装置(撮像装置1)の垂直方向の断面構成の他の例を表すものである。図19および図20の上側の図は、図1の断面Sec1での断面構成の一変形例であり、図19の下側の図は、図1の断面Sec2での断面構成の一変形例である。なお、図19および図20の上側の断面図では、図1の断面Sec1での断面構成の一変形例を表す図に、図1の半導体基板11の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされると共に、絶縁層46が省略されている。また、図19および図20の下側の断面図では、図1の断面Sec2での断面構成の一変形例を表す図に、半導体基板21の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされている。
【0063】
図19および図20に示したように、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47(図中の行列状に配置された複数のドット)は、第1基板10の面内において第1方向V(図19および図20の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、図19および図20には、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、素子分離部43を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送ゲートTG(TG1,TG2,TG3,TG4)は、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
【0064】
絶縁層53は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板21は、第1方向Vに延在すると共に、絶縁層53を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第2方向Hにずれて配置されている。
【0065】
図19では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック21A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELによって構成されている。
【0066】
図20では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック21A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。
【0067】
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、4つのセンサ画素12と正対する位置から第2方向Hにずれて配置されている。このようにした場合には、配線25を短くすることができ、または、配線25を省略して、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとを共通の不純物領域で構成することもできる。その結果、読み出し回路22のサイズを小さくしたり、読み出し回路22内の他の箇所のサイズを大きくしたりすることができる。
【0068】
(2-4.変形例4)
図21は、上記実施の形態の変形例(変形例4)に係る撮像装置(撮像装置1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図21には、図9の断面構成の一変形例が示されている。
【0069】
本変形例では、半導体基板21が、絶縁層53を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0070】
(2-5.変形例5)
図22は、上記実施の形態の変形例(変形例5)に係る撮像装置(撮像装置1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図22には、図21の断面構成の一変形例が示されている。
【0071】
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第1方向Vにずれて配置されている。本変形例では、さらに、変形例4と同様、半導体基板21が、絶縁層53を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。本変形例では、さらに、複数の貫通配線47および複数の貫通配線54が、第2方向Hにも配列されている。具体的には、複数の貫通配線47が、ある読み出し回路22を共有する4つの貫通配線54と、その読み出し回路22の第2方向Hに隣接する他の読み出し回路22を共有する4つの貫通配線54との間に配置されている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53および貫通配線47によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0072】
(2-6.変形例6)
図23は、上記実施の形態の変形例(変形例6)に係る撮像装置(撮像装置1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図23には、図8の断面構成の一変形例が示されている。
【0073】
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12ごとに、1つの貫通配線54が設けられている。
【0074】
マトリクス状に配置された複数のセンサ画素12において、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12に対応する単位領域を、1つのセンサ画素12分だけ第1方向Vにずらすことにより得られる領域に対応する4つのセンサ画素12を、便宜的に、4つのセンサ画素12Aと称することとする。このとき、本変形例では、第1基板10は、貫通配線47を4つのセンサ画素12Aごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12Aごとに、1つの貫通配線47が設けられている。
【0075】
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。素子分離部43は、半導体基板11の法線方向から見て、センサ画素12を完全には囲っておらず、フローティングディフュージョンFD(貫通配線54)の近傍と、貫通配線47の近傍に、隙間(未形成領域)を有している。そして、その隙間によって、4つのセンサ画素12による1つの貫通配線54の共有や、4つのセンサ画素12Aによる1つの貫通配線47の共有を可能にしている。本変形例では、第2基板20は、フローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12ごとに読み出し回路22を有している。
【0076】
図24は、本変形例に係る撮像装置1の水平方向の断面構成の他の例を表したものである。図24には、図21の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。更に、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。
【0077】
図25は、本変形例に係る撮像装置1の水平方向の断面構成の他の例を表したものである。図43には、図22の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。更に、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。
【0078】
(2-7.変形例7)
図26は、上記実施の形態および変形例1~6の変形例(変形例7)に係る撮像装置(撮像装置1)の回路構成の一例を表したものである。本変形例に係る撮像装置1は、列並列ADC搭載のCMOSイメージセンサである。
【0079】
図26に示すように、本変形例に係る撮像装置1は、光電変換素子を含む複数のセンサ画素12が行列状(マトリクス状)に2次元配置されてなる画素領域13に加えて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36を有する構成となっている。
【0080】
このシステム構成において、システム制御回路36は、マスタークロックMCKに基づいて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35等の動作の基準となるクロック信号や制御信号等を生成し、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35等に対して与える。
【0081】
また、垂直駆動回路33は、画素領域13の各センサ画素12と共に、第1基板10形成されており、さらに、読み出し回路22の形成されている第2基板20にも形成される。カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36は、第3基板30に形成される。
【0082】
センサ画素12としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フォトダイオードPDの他に、フォトダイオードPDで光電変換して得られる電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTRとを有する構成のものを用いることができる。また、読み出し回路22としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フローティングディフュージョンFDの電位を制御するリセットトランジスタRSTと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタAMPと、画素選択を行うための選択トランジスタSELとを有する3トランジスタ構成のものを用いることができる。
【0083】
画素領域13には、センサ画素12が2次元配置されると共に、このm行n列の画素配置に対して行毎に画素駆動線23が配線され、列毎に垂直信号線24が配線されている。複数の画素駆動線23の各一端は、垂直駆動回路33の各行に対応した各出力端に接続されている。垂直駆動回路33は、シフトレジスタ等によって構成され、複数の画素駆動線23を介して画素領域13の行アドレスや行走査の制御を行う。
【0084】
カラム信号処理回路34は、例えば、画素領域13の画素列毎、即ち、垂直信号線24毎に設けられたADC(アナログ-デジタル変換回路)34-1~34-mを有し、画素領域13の各センサ画素12から列毎に出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0085】
参照電圧供給部38は、時間が経過するにつれてレベルが傾斜状に変化する、いわゆるランプ(RAMP)波形の参照電圧Vrefを生成する手段として、例えばDAC(デジタル-アナログ変換回路)38Aを有している。なお、ランプ波形の参照電圧Vrefを生成する手段としては、DAC38Aに限られるものではない。
【0086】
DAC38Aは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS1による制御の下に、当該システム制御回路36から与えられるクロックCKに基づいてランプ波形の参照電圧Vrefを生成してカラム信号処理回路34のADC34-1~34-mに対して供給する。
【0087】
なお、ADC34-1~34-mの各々は、センサ画素12全ての情報を読み出すプログレッシブ走査方式での通常フレームレートモードと、通常フレームレートモード時に比べて、センサ画素12の露光時間を1/Nに設定してフレームレートをN倍、例えば2倍に上げる高速フレームレートモードとの各動作モードに対応したAD変換動作を選択的に行い得る構成となっている。この動作モードの切り替えは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2,CS3による制御によって実行される。また、システム制御回路36に対しては、外部のシステムコントローラ(図示せず)から、通常フレームレートモードと高速フレームレートモードの各動作モードとを切り替えるための指示情報が与えられる。
【0088】
ADC34-1~34-mは全て同じ構成となっており、ここでは、ADC34-mを例に挙げて説明するものとする。ADC34-mは、比較器34A、計数手段である例えばアップ/ダウンカウンタ(図中、U/DCNTと記している)34B、転送スイッチ34Cおよびメモリ装置34Dを有する構成となっている。
【0089】
比較器34Aは、画素領域13のn列目の各センサ画素12から出力される信号に応じた垂直信号線24の信号電圧Vxと、参照電圧供給部38から供給されるランプ波形の参照電圧Vrefとを比較し、例えば、参照電圧Vrefが信号電圧Vxよりも大なるときに出力Vcoが"H"レベルになり、参照電圧Vrefが信号電圧Vx以下のときに出力Vcoが"L"レベルになる。
【0090】
アップ/ダウンカウンタ34Bは非同期カウンタであり、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2による制御の下に、システム制御回路36からクロックCKがDAC18Aと同時に与えられ、当該クロックCKに同期してダウン(DOWN)カウントまたはアップ(UP)カウントを行うことにより、比較器34Aでの比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。
【0091】
具体的には、通常フレームレートモードでは、1つのセンサ画素12からの信号の読み出し動作において、1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことにより1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことにより2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0092】
一方、高速フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのカウント結果をそのまま保持しておき、引き続き、次の行のセンサ画素12について、前回のカウント結果から1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことで1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことで2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0093】
転送スイッチ34Cは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS3による制御の下に、通常フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン(閉)状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0094】
一方、例えばN=2の高速フレームレートでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオフ(開)状態のままであり、引き続き、次の行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bの垂直2画素分についてのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0095】
このようにして、画素領域13の各センサ画素12から垂直信号線24を経由して列毎に供給されるアナログ信号が、ADC34-1~34-mにおける比較器34Aおよびアップ/ダウンカウンタ34Bの各動作により、Nビットのデジタル信号に変換されてメモリ装置34Dに格納される。
【0096】
水平駆動回路35は、シフトレジスタ等によって構成され、カラム信号処理回路34におけるADC34-1~34-mの列アドレスや列走査の制御を行う。この水平駆動回路35による制御の下に、ADC34-1~34-mの各々でAD変換されたNビットのデジタル信号は順に水平出力線37に読み出され、当該水平出力線37を経由して撮像データとして出力される。
【0097】
なお、本開示には直接関連しないため特に図示しないが、水平出力線37を経由して出力される撮像データに対して各種の信号処理を施す回路等を、上記構成要素以外に設けることも可能である。
【0098】
上記構成の本変形例に係る列並列ADC搭載の撮像装置1では、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果を、転送スイッチ34Cを介して選択的にメモリ装置34Dに転送することができるため、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作と、当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果の水平出力線37への読み出し動作とを独立して制御することが可能である。
【0099】
(2-8.変形例8)
図27は、図26の撮像装置を3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成した例を表したものである。本変形例では、第1基板10において、中央部分に、複数のセンサ画素12を含む画素領域13が形成されており、画素領域13の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。また、第2基板20において、中央部分に、複数の読み出し回路22を含む読み出し回路領域15が形成されており、読み出し回路領域15の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。第3基板30において、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、システム制御回路36、水平出力線37および参照電圧供給部38が形成されている。これにより、上記実施の形態およびその変形例と同様、基板同士を電気的に接続する構造に起因して、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像装置1を提供することができる。なお、垂直駆動回路33は、第1基板10のみに形成されても、第2基板20のみに形成されてもよい。
【0100】
(2-9.変形例9)
図28は、上記実施の形態およびその変形例1~8の変形例(変形例9)に係る撮像装置(撮像装置1)の断面構成の一例を表したものである。上記実施および変形例1~8等では、撮像装置1は、3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成されていた。しかし、上記第5の実施の形態における撮像装置5,6のように、2つの基板(第1基板10,第2基板20)を積層して構成されていてもよい。このとき、ロジック回路32は、例えば、図28に示したように、第1基板10と、第2基板20とに分けて形成されていてもよい。ここで、ロジック回路32のうち、第1基板10側に設けられた回路32Aでは、高温プロセスに耐え得る材料(例えば、high-k)からなる高誘電率膜とメタルゲート電極とが積層されたゲート構造を有するトランジスタが設けられている。一方、第2基板20側に設けられた回路32Bでは、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域26が形成されている。シリサイドからなる低抵抗領域は、半導体基板の材料と金属との化合物で形成されている。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化等の高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32のうち、第2基板20側に設けられた回路32Bにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域26を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
【0101】
(2-10.変形例10)
図29は、上記第1~第4の実施の形態およびその変形例1~8の変形例(変形例10)に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態およびその変形例1~8に係る第3基板30のロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域37が形成されていてもよい。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化等の高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域37を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
【0102】
なお、上記実施の形態およびその変形例1~10では、導電型が逆になっていてもよい。例えば、上記実施の形態およびその変形例1~10の記載において、p型をn型に読み替えると共に、n型をp型に読み替えてもよい。このようにした場合であっても、上記1~第5の実施の形態およびその変形例1~10と同様の効果を得ることができる。
【0103】
<3.適用例>
図30は、上記実施の形態およびその変形例1~10に係る撮像装置(撮像装置1)を備えた撮像システム2の概略構成の一例を表したものである。
【0104】
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置等の電子機器である。撮像システム7は、例えば、光学系141、シャッタ装置142、撮像装置1、DSP回路143、フレームメモリ144、表示部145、記憶部146、操作部147および電源部148を備えている。撮像システム7において、シャッタ装置142、撮像装置1、DSP回路143、フレームメモリ144、表示部145、記憶部146、操作部147および電源部148は、バスライン149を介して相互に接続されている。
【0105】
撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。光学系141は、1枚または複数枚のレンズを有するものであり、被写体からの光(入射光)を撮像装置1に導き、撮像装置1の受光面に結像させる。シャッタ装置142は、光学系141および撮像装置1の間に配置され、操作部147の制御に従って、撮像装置1への光照射期間および遮光期間を制御する。DSP回路143は、撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ144は、DSP回路143により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部145は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部146は、撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部147は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部148は、撮像装置1、DSP回路143、フレームメモリ144、表示部145、記憶部146および操作部147の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0106】
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
【0107】
図31は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部147を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部147は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0108】
撮像装置1は、光学系141およびシャッタ装置142を介して受光面に結像された光(画像データ)をDSP回路143に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路143は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理等)を行う(ステップS104)。DSP回路143は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ144に保持させ、フレームメモリ144は、画像データを記憶部146に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
【0109】
本適用例では、撮像装置1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
【0110】
<4.応用例>
(応用例1)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0111】
図32は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0112】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図32に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0113】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0114】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0115】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させると共に、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0116】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0117】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0118】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0119】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0120】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0121】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図32の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0122】
図33は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0123】
図33では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0124】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0125】
なお、図33には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0126】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0127】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。更に、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0128】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0129】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0130】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0131】
(応用例2)
図34は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0132】
図34では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0133】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0134】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向且つて照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0135】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0136】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。更に、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0137】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0138】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0139】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0140】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0141】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0142】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0143】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注すると共に当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0144】
図35は、図34に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0145】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0146】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0147】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0148】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0149】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0150】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0151】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0152】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0153】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0154】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0155】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0156】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0157】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0158】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0159】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0160】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0161】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0162】
以上、実施の形態およびその変形例1~10、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、3次元構造を有する撮像装置1を例に本技術を説明したがこれに限らない。本技術は、3次元積層型の大規模集積化(LSI)されたあらゆる半導体装置に適用することができる。
【0163】
なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0164】
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、第1半導体基板と第2半導体基板との接合工程において発生する水分子が第2の絶縁層によって吸収されるため、接合面におけるボイドの発生が抑えられる。よって、製造プロセスの自由度を向上させることが可能となる。
(1)
第1半導体基板に、光電変換を行うセンサ画素を有する第1基板と、
第2半導体基板に、前記センサ画素から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路を有すると共に、前記第1基板に積層された第2基板と、
第3半導体基板に、前記画素信号を処理するロジック回路を有する第3基板と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に設けられると共に、前記第1の絶縁層よりも膜密度の低い第2の絶縁層とを備え、
前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板はこの順に積層され、
前記第1基板および前記第2基板からなる積層体は、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に、層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜内に設けられた第1貫通配線とをさらに有し、
前記第1基板および前記第2基板は、前記第1貫通配線によって互いに電気的に接続され、
前記第2基板および前記第3基板は、それぞれ、パッド電極を有し、前記パッド電極同士の接合によって互いに電気的に接続され、
前記センサ画素は、光電変換素子と、前記光電変換素子と電気的に接続された転送トランジスタと、前記転送トランジスタを介して前記光電変換素子から出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンとを有し、
前記読み出し回路は、前記フローティングディフュージョンの電位を所定の電位にリセットするリセットトランジスタと、前記画素信号として、前記フローティングディフュージョンに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタからの前記画素信号の出力タイミングを制御する選択トランジスタとを有し、
前記第2基板は、4つの前記センサ画素ごとに前記読み出し回路を有し、
複数の前記第1貫通配線は、前記第1基板の面内において第1方向に帯状に並んで配置され、
各前記センサ画素は、前記第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向とに、マトリクス状に配置され、
前記第2基板は、前記第2方向に並んで配置された各前記センサ画素の前記転送トランジスタのゲートに電気的に接続された第1制御線と、前記第2方向に並んで配置された各前記リセットトランジスタのゲートに電気的に接続された第2制御線と、前記第2方向に並んで配置された各前記選択トランジスタのゲートに電気的に接続された第3制御線と、前記第1方向に並んで配置された各前記読み出し回路の出力端に電気的に接続された出力線とをさらに有する
撮像装置。
(2)
前記第2の絶縁層は、2nm以上前記第1の絶縁層以下の膜厚を有する、前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層は、前記第1半導体基板側からこの順に積層されている、前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層は、前記第2半導体基板側からこの順に積層されている、前記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(5)
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板との間に第3の絶縁膜をさらに有し、
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層および前記第3の絶縁膜は、この順に積層されている、前記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(6)
前記第1の絶縁層は、窒化ケイ素(Si3-x4-y)膜または炭化ケイ素(SiC)膜である、前記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(7)
前記第2の絶縁層は、酸化ケイ素(SiO2-x)膜、酸窒化ケイ素(SiON)膜、酸炭化窒化ケイ素(SiOCN)膜または炭化窒化ケイ素(SiCN)膜である、前記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(8)
前記第3の絶縁膜は、前記第1の絶縁層と同じ材料を用いて形成されている、前記(5)乃至(7)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(9
記層間絶縁膜は、前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層を含む、前記(1)乃至(8)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(10)
前記第1基板は、前記第2基板と対向する前記第1半導体基板の一の面側に、前記光電変換素子、前記転送トランジスタおよび前記フローティングディフュージョンが設けられた構成となっており、
前記第2基板は、前記第2半導体基板の一の面側に前記読み出し回路が設けられた構成となっており、且つ、前記第1半導体基板の前記一の面側に、前前記第2半導体基板の前記一の面と対向する他の面を向けて前記第1基板に貼り合わされている、前記(1)乃至(9)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
(11)
前記第3基板は、前記第3半導体基板の一の面側に前記ロジック回路が設けられた構成となっており、且つ、前記第2半導体基板の前記一の面側に、前記第3半導体基板の前記一の面を向けて前記第2基板に貼り合わされている、前記(10)に記載の撮像装置。
(12)
前記ロジック回路は、ソース電極またはドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドを含んで構成されている、前記(11)に記載の撮像装置。
(13)
前記転送トランジスタのゲートは、前記第1貫通配線と、前記パッド電極とを介して、前記ロジック回路に電気的に接続されている、前記(11)または(12)に記載の撮像装置。
(14)
前記第1基板は、前記層間絶縁膜内に、前記第1基板と平行な方向に延在するゲート配線をさらに有し、
前記転送トランジスタのゲートは、前記ゲート配線を介して、前記ロジック回路に電気的に接続されている、前記(11)乃至(13)のうちのいずれかに記載の撮像装置。
【0165】
本出願は、日本国特許庁において2019年2月20日に出願された日本特許出願番号2019-028062号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0166】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
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