(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】胃腸管へのアクセスおよびモニタリングのための栄養チューブシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/053 20210101AFI20240822BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B5/053
A61B5/01 250
(21)【出願番号】P 2021514412
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 US2019053217
(87)【国際公開番号】W WO2020069171
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517399675
【氏名又は名称】グラビタス メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】スタリア,サヒール
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】バキュラ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スピビー,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ベネット-ゲレーロ,エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ラドチョンスキ,サム
(72)【発明者】
【氏名】マーサー,ニコラス
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503557(JP,A)
【文献】特表2018-524042(JP,A)
【文献】特表2012-500700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053-5/0538
A61B 5/01
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手部分を有する胃アクセスデバイスと、
前記胃アクセスデバイスと通信する制御部と、
前記長手部分に沿って配置された1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサであって、少なくとも1つのインピーダンスまたは導電性センサが前記長手部分の遠位端に配置され、または同遠位端に近接して配置されており、前記1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサの各々が前記制御部と通信しており、前記制御部は、被験者の体内で前記1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサと接触している流体のインピーダンスレベルまたは導電性レベルを示す第1の信号を受信するように構成されている、1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサと、
前記長手部分に沿って配置されるとともに前記制御部と通信している1つまたは複数の温度センサであって、前記制御部は、呼吸に関連付けられるとともに前記1つまたは複数の温度センサと接触している前記被験者の体内の環境の温度レベルを示す第2の信号を受信する間、一時停止を示すようにさらに構成されている、1つまたは複数の温度センサと、
を備え、
前記制御部が、前記第1の信号を受信し、前記第2の信号の変動の有無を検知し、前記第1の信号および前記第2の信号の両者に基づいて、前記胃アクセスデバイスの配置が前記被験者の胃の中にあるかどうかを判断するように構成されている、栄養チューブシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインピーダンスまたは導電性センサ、および前記1つまたは複数
の温度センサのうちの少なくとも1つが、共通電極を構成している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記共通電極は、前記胃アクセスデバイスの周囲を包囲する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の温度センサが、前記長手部分の前記遠位端に配置された、または前記遠位端に近接して配置された、少なくとも1つのセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記長手部分に沿って配置されるとともに前記少なくとも1つのセンサの近位側にある少なくとも1つの第2の温度センサをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の信号を受信し、前記呼吸による前記温度レベルの変動を検知するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部が、前記第2の信号を受信し、前記呼吸による前記温度レベルの平均値を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の信号は、前記被験者の体内の呼吸に関連付けられる空気の前記温度レベルを示すものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数の温度センサのうち少なくとも1つは、前記被験者の外部の周囲温度を検知するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2の信号を前記周囲温度と比較するようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部が、前記胃内の胃の状態を監視するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御部が、前記胃の中の胃残留物の容積を判定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部が、胃の逆流を検知するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の信号が、前記胃内の前記流体の前記インピーダンスレベルまたは導電性レベルを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1の信号が食道環境の前記インピーダンスまたは導電性よりも高い導電性または低いインピーダンスを示した場合に、前記胃内への配置を確認するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記胃アクセスデバイスが、前記胃の幽門部の遠位側に配置されるような大きさに形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記インピーダンスまたは導電性センサが電極を含み、前記制御部が、前記電極のうちの2つの電極間の信号の比較に基づいて、前記長手部分の脱落または屈曲を監視するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御部が、前記胃アクセスデバイスの前記被験者への前進の一時停止を示すようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御部は、少なくとも1秒間の前記一時停止を示すようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記胃アクセスデバイスの開口部に近接して配置された詰まり防止機構をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つまたは複数の温度センサが、前記長手部分に沿って、円周方向に互いに対向して
各々配置され
る少なくとも2つの温度センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記
2つの温度センサが、前記長手部分に沿って、円周方向に180度互いに対向して
各々配置されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つまたは複数の温度センサが、前記長手部分に沿って、互いに異なる位置で
各々配置され
る少なくとも2つの温度センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つまたは複数の温度センサが、前記長手部分に沿って、互いに異なる位置で、円周方向に互いに対向し
て各々配置され
る少なくとも2つの温度センサである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養チューブの設置/モニタリングの他、胃の容積の測定、胃の空洞化、胃液逆流の検知および管理に関するものである。
参照による組み込み
本明細書に記載されているすべての刊行物および特許出願は、そのような個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されている場合と同様の範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者が口から栄養を摂取できないときや、安全に飲み込めないとき、あるいは補助的に栄養を補給するために、栄養チューブを使って経腸栄養を行う。
【0003】
胃管(経鼻・経腸管、ここではNGチューブ、または栄養チューブとも呼ぶ)を入れることにも課題がある。NGチューブが誤って食道ではなく気管に入ってしまうと、合併症や死に至ることもある。また、NGチューブを気管や肺ではなく、消化管(すなわち、食道、胃、または腸)に正確に留置するための解決策も必要である。
【0004】
また、患者の栄養状態を把握することも重要であり、これにより、栄養不足や栄養過多にならないようにする。なお、本明細書で使用する「GRV」という用語は、Gastric Residual Volume(胃内残留量)、胃内空洞化、胃内残留食料、胃内運動、あるいは胃内状態を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経腸栄養法では、胃液の逆流が肺に入り込み、重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、胃液の逆流を予防、特定、管理することも重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、自信を持ってGI管にアクセスする能力を向上させ、患者の気管/肺への不注意な侵入を回避する胃アクセスデバイスの実施形態が開示されている。実施形態は、デバイスがGI管内にあるか、気管/肺にあるかを判断するために、1つ以上のセンサタイプを含む。インピーダンス/導電性センサ、pHセンサ、ECG(心電図)センサ、圧力センサなど、GI(胃腸)管を積極的に識別するセンサタイプもある。また、温度センサ、湿度センサ、O2センサ、CO2センサ、流量センサ、音響センサ、圧力センサなど、気管/肺を積極的に識別するセンサタイプもある。これらのセンサの中には、両者を識別するものもある。GI管(または気管/肺)にデバイスを適切に設置するために、少なくとも1つがGI管を積極的に識別するセンサであるセンサと、少なくとも1つが気管/肺を積極的に識別するセンサであるセンサとを組み合わせて使用することができる。これに代えて、GI管を積極的に識別する2つの異なるセンサタイプを使用して、デバイスを適切に配置することもできる。これに代えて、気管や肺を積極的に識別する2つの異なるセンサタイプを使用して、デバイスを適切に配置することもできる。
【0007】
いくつかの実施形態では、デバイスを適切に配置するために、1つのセンサタイプのみが必要となる。いくつかの実施形態では、デバイスを適切に配置するために、2つのセンサタイプが利用可能である。いくつかの実施形態では、デバイスを適切に配置するために、3つのセンサタイプが利用可能である。利用可能なすべてのセンサタイプが、すべての環境ですべての患者に利用可能とは限らない。
【0008】
胃アクセスデバイスの長手部分に沿って、任意のセンサタイプの1つまたは複数を使用することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサが機能的な位置にあるように、2つ以上のセンサが胃アクセスデバイス上またはそれに沿って配置される。例えば、少なくとも1つの温度センサが、周囲の流体を測定する位置にあり、胃アクセスデバイスが前進する際に組織に当たらないように、2つ以上の温度センサを胃アクセスデバイスに沿って配置することができる。例えば、2つ以上の温度センサをデバイスの周方向に複数の箇所に配置してもよい。これに代えて、または加えて、2つ以上の温度センサをデバイスの長さ方向に沿って2つ以上の箇所に配置してもよい。
【0009】
デバイスのモニタ/制御部は、1種類以上のセンサの信号を分析して、デバイスの位置を判定してもよい。信号の種類によっては、他の信号よりも信頼性が高く、他の信号よりも優先される場合がある。信号の種類によっては、分析により時間がかかるものや、以前の信号に対する確証となるもの、あるいは確証とならないものがある。モニタは、継続的、断続的、または必要に応じてセンサからの信号を受信することができる。信号の種類によっては、基本的にリアルタイムで受信および分析できるものもあれば、受信および分析により時間がかかるものもある。
【0010】
胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、胃残量または胃の空洞化を監視する機能を含む。いくつかの実施形態では、胃残量または胃の空洞化に基づいて供給速度および/または供給量を制御する機能が含まれる。
【0011】
胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、胃の逆流を防止、識別および/または管理することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、センサタイプは、患者のモニタリングにも使用することができる。例えば、温度センサは、デバイスの位置を特定するためにも、一旦デバイスが設置された後に患者の温度をモニタリングするためにも使用できる。インピーダンス/導電性センサは、デバイスの位置の決定、逆流の確認、およびデバイス装着後の経時的な胃残量や胃空洞化のモニタリングのうちの少なくともいずれかに使用することができる。ECGセンサは、デバイスを設置する際に使用されるほか、デバイスを設置した後に患者のECGを監視するためにも使用される。ECGセンサ、インピーダンス/導電性センサ、および/またはその他のセンサは、同じかまたは異なる電極を使用することができる。
【0013】
一実施形態では、栄養チューブシステムは、一般に、長手部分を有する胃アクセスデバイスと、胃アクセスデバイスと通信する制御部と、長手部分に沿って配置された1つ以上のインピーダンスまたは導電性センサであって、少なくとも1つのインピーダンスまたは導電性センサが長手部分の遠位端に配置されるかまたは遠位端に近接して配置されている1つ以上のインピーダンスまたは導電性センサとを備える。1つ以上のインピーダンスまたは導電性センサの各々は、制御部と通信し、制御部は、第1の信号を受信し、また、第1の信号が被験者の体内で1つ以上のインピーダンスまたは導電性センサと接触している流体のインピーダンスレベルまたは導電性レベルを示していることを確認するように構成されている。加えて、1つまたは複数の温度センサが長手部分に沿って配置され、制御部と通信してもよく、制御部は、第2の信号を受信し、第2の信号が呼吸に関連付けられるとともに1つまたは複数の温度センサと接触している被験者の体内の環境の温度レベルを示すものであることを確認するようにさらに構成されている。さらに、制御部は、第1の信号および第2の信号を受信し、胃アクセスデバイスの配置が被験者の胃の中にあるかどうかを判断するように構成されてもよい。
【0014】
一実施形態による使用方法では、被験者の胃内に装置を配置する方法は、一般に、胃アクセスデバイスの長手部分に沿って配置された1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサが、胃アクセスデバイスが被験者の体内で前進する際に流体に接触するときに、被験者の体内の流体のインピーダンスレベルまたは導電性レベルを検知するステップを含んでもよい。加えて、本方法は、長手部分に沿って配置された1つまたは複数の温度センサを用いて、呼吸に関連付けられる被験者の体内の環境の温度レベルを検知するステップと、1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサからの第1の信号および1つまたは複数の温度センサからの第2の信号を、胃アクセスデバイスと通信する制御部に受信するステップと、制御部により、第1の信号が胃内の流体を示し、第2の信号が呼吸に関連付けられる被験者の体内の環境の温度信号が無いことを示す場合を判断するステップと、を含むことができる。
【0015】
別の実施形態による栄養チューブシステムでは、システムは、一般的に、長手部分を有する胃アクセスデバイスと、胃アクセスデバイスと通信する制御部と、長手部分に沿って配置された1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサであって、少なくとも1つのインピーダンスまたは導電性センサが長手部分の遠位端に配置されるかまたは遠位端に近接して配置されている1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサと、を備えることができる。1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサの各々は、制御部と通信し、制御部は、第1の信号を受信し、また第1の信号が、1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサと接触している被験者の体内の環境のインピーダンスレベルまたは導電性レベルを示すことを確認するように構成されている。加えて、1つまたは複数の温度センサが長手部分に沿って配置されるとともに制御部と通信し、制御部は、第2の信号を受信し、また、第2の信号が1つまたは複数の温度センサと接触している、呼吸に関連付けられる被験者の体内の領域の温度レベルを示すものであることを確認するようにさらに構成されている。さらに、制御部は、第2の信号が呼吸に関連付けられる領域の温度レベルが無いことを示すまで、胃アクセスデバイスの被験者の体内への前進を一時停止することを示すように構成されてもよい。
【0016】
被験者の胃の中にデバイスを配置する別の実施形態による方法では、この方法は、一般に、胃アクセスデバイスの長手部分に沿って配置された1つまたは複数のインピーダンスまたは導電性センサが、胃アクセスデバイスが被験者の体内で前進する際に流体に接触するときに、被験者の体内の環境のインピーダンスまたは導電性レベルを検知するステップと、長手部分に沿って配置された1つまたは複数の温度センサを用いて、被験者の体内の呼吸に関連付けられる領域の温度レベルを検知するステップとを含むことができる。加えて、本方法は、1つまたは複数のインピーダンスセンサまたは導電性センサからの第1の信号および1つまたは複数の温度センサからの第2の信号を、胃アクセスデバイスと通信する制御部に受信するステップと、第2の信号が呼吸に関連付けられる領域の温度レベルが無いことを示すまで、被験者への胃アクセスデバイスの前進を一時停止するステップとを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、人体の組織の所定の箇所における一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図2】
図2は、胃アクセスデバイスに組み込まれたインピーダンスまたは導電性センサが、解剖学的組織の異なる領域で検知した相対的な導電性を示す図である。
【
図3】
図3は、2つの温度センサを備えた胃アクセスデバイスの測定値を示すグラフである。
【
図4】
図4は、2つの温度センサを備えた胃アクセスデバイスの測定値を示すグラフである。
【
図5】
図5は、胃アクセスデバイスが気管を通って肺に入っていく態様を示す図である。
【
図6】
図6は、患者の胃の中に設置された胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図7】
図7は、1つ以上のインピーダンス/導電性センサおよび1つ以上の温度センサを備えた胃アクセスデバイスと通信する制御部の機能を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、センサが心臓に近づいているときの、胃アクセスデバイスの栄養チューブの態様を示す図である。
【
図9】
図9は、ECGセンサを鼻、鼻孔、口または顔のパッチに組み込んだ一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図10】
図10は、1つ以上のインピーダンス/導電性センサおよび1つ以上のECGセンサを備えた胃アクセスデバイスと通信する制御部の機能を示したフローチャートである。
【
図12】
図12は、胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態を示す図である。
【
図13】
図13は、胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態を示す図である。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態によるモニタの詳細を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、組織のインピーダンス/導電性を検知するための1つ以上の組織検知電極を含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図15B】
図15Bは、組織のインピーダンス/導電性を検知するための1つ以上の組織検知電極を含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図16A】
図16Aは、1つ以上の組織電極/1つ以上のセンサ、および1つ以上の逆流センサを含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図16B】
図16Bは、1つ以上の組織電極/1つ以上のセンサ、および1つ以上の逆流センサを含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図17】
図17は、
図16Aに示した実施形態に、拡張可能な部材および吸引チューブを追加したものを示す図である。
【
図19】
図19は、吸引チューブが胃アクセスデバイスの主デバイスシャフトの隣にある一実施形態を示す図である。
【
図20】
図20は、患者の腸内での栄養供給を可能にするために幽門括約筋の位置を特定して通過させるように構成された、一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図21A】
図21Aは、栄養チューブを介して腹腔内圧を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図21B】
図21Bは、栄養チューブを介して腹腔内圧を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図21C】
図21Cは、栄養チューブを介して腹腔内圧を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図22A】
図22Aは、栄養チューブを介してIAP(腹腔内圧)を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図22B】
図22Bは、栄養チューブを介してIAP(腹腔内圧)を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図22C】
図22Cは、栄養チューブを介してIAP(腹腔内圧)を測定/判定する一実施形態を示す図である。
【
図23】
図23は、IAPの測定/判定に使用可能な別の実施形態による胃アクセスデバイスシステムを示す図である。
【
図24】
図24は、胃アクセスデバイスの屈曲および/またはよじれを検知するために使用することができる一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図25】
図25は、胃アクセスデバイスの屈曲および/またはよじれを検知するために使用することができる一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図26】
図26は、胃アクセスデバイスを配置する際に使用される解剖学的組織の目標の一部を示す図である。
【
図27】
図27は、温度センサがインピーダンス/導電性電極と同じ電極を使用する場合の一実施形態を示す図である。
【
図28A】
図28Aは、解剖学的組織の異なる部分のおおよその長さを示すスケール内の胃アクセスデバイスを示す図である。
【
図28B】
図28Bは、子供の体内での胃アクセスデバイスの配置の一例を示す図である。
【
図29A】
図29Aは、1つの電極を複数のセンサに使用する実施形態に関する詳細を示す図である。
【
図29B】
図29Bは、1つの電極を複数のセンサに使用する実施形態に関する詳細を示す図である。
【
図31】
図31は、本発明の任意の実施形態で使用することができるデータ処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な例示的な実施形態が、以下の図を参照して詳細に説明されている。
【0019】
説明の便宜上、例示的な実施形態を、栄養チューブの設置、胃残量/胃空洞化の評価、患者の胃液逆流の防止/特定/管理/監視という文脈で、図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
図1は、人体の組織の所定の箇所における一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。解剖学的組織は、食道102、胃104、気管106、肺108、および心臓110を含む。胃アクセスデバイス112は、食道を介して胃に進んでいる状態が示されている。胃アクセスデバイスは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のタイプのセンサを含み、胃または胃経路の他の領域へのアクセスを支援するだけでなく、栄養供給中に胃残量または胃空洞化を評価したり、逆流を防止、特定、および/または管理したりする。胃アクセスデバイスは、患者の胃に栄養を導入するためのルーメンを含むことができる。これに代えて、胃アクセスデバイスは、栄養チューブと組み合わせて(栄養チューブの内側または栄養チューブと並んで)使用してもよい。
【0021】
図1では、114で示されるタイプ1と116で示されるタイプ2の2種類のセンサが示されている。いくつかの実施形態では、センサタイプ1は、インピーダンスまたは導電性を検知するための一対の電極、または複数の電極である。タイプ2のセンサは温度センサである。その他のタイプのセンサとしては、湿度センサ、圧力センサ、化学物質センサ、ECGセンサ、EGG(Electrogastrogram)センサ、pHセンサ、光センサなどがある。例えば、圧力センサや湿度センサは、呼吸に伴う圧力や湿度の変動を検知するために使用することができ、その結果、デバイスが気管/肺にあるときを判断することができる。
【0022】
センサは、デバイスの配置を支援するために使用してもよいし、胃の空洞化や内容物の評価、逆流の防止、特定、および/または管理のために使用してもよいし、これらの目的のうちの任意の2つ以上の目的で使用してもよい。例えば、胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、センサの周囲の環境のインピーダンスを測定する少なくとも1つのインピーダンスセンサと、少なくとも1つの温度センサとを含む。1つ以上のインピーダンスセンサは、デバイスの配置、胃の空洞化のモニタリング、逆流などに使用され、1つ以上の温度センサは、デバイスの配置や、場合によっては患者の体温の継続的なモニタリングに使用されることがある。
【0023】
1つまたは複数の温度センサは、体温とは異なる温度の周囲の空気を吸うことで生じる比較的小さな温度変動を検知することで、デバイスの配置に使用することができる。例えば、常温の空気は通常、体温よりも低い温度である。誤って食道ではなく気管に胃アクセスデバイスを進めてしまった場合、胃アクセスデバイスの1つ以上の温度センサが呼吸に伴う温度変化を検知するであろう。これらの温度変動は、胃アクセスデバイスが胃系、すなわち食道、胃、腸に配置されている場合には生じない。
【0024】
胃アクセスデバイス上の温度センサは、センサからの温度信号を、胃アクセスデバイス内のリード線を介して制御部に伝達する。この温度信号は、胃アクセスデバイスが気管や肺に誤って配置された場合に、呼吸に伴う変動を示すであろう。これは危険な誤りであり、後に栄養供給が誤って肺に入ってしまうと、合併症を引き起こし、死に至ることもあるので重要である。
【0025】
図1の実施形態は、例えば、2つ以上のインピーダンスセンサ114と2つ以上の温度センサ116とを含んでもよい。インピーダンスセンサは、デバイスの配置、胃残量(GRV)/胃排出量の測定、および逆流の測定に使用することができる。インピーダンスセンサまたは他のセンサを使用したGRV/胃の空洞化を含む実施形態の詳細は、2016年11月23日に出願された米国特許出願公開第2017-0071502号明細書、2016年7月28日に出願された米国特許出願公開第2016-0331298号明細書、および2017年11月13日に出願された米国特許出願公開第2018-0078195号に含まれており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。温度センサは、デバイスの配置を確認するために使用することもできるし、状況によっては、配置の主要な指標として使用することもできる。
【0026】
図2は、胃アクセスデバイスに組み込まれたインピーダンスセンサまたは導電性センサが、解剖学的組織の異なる領域で検知した相対的な導電性を示す図である。肺よりも胃の方が導電性が高いのが特徴である。胃アクセスデバイスが鼻や口から食道に進み、おそらく胃の中に入ると、1つ以上の導電性/インピーダンスセンサは、一般的に食道の環境や流体よりも高い導電性(低いインピーダンス)を有する胃の流体内容物との接触による導電性の増加(またはインピーダンスの減少)によって、デバイスの遠位先端が胃の中に入ったことを識別することができる。この検知もリアルタイム、つまり1秒未満または数秒(1乃至4秒)の調子でかなり高速に行われる。しかしながら、このようなインピーダンス/導電性の変化がはっきりしない状況や、胃アクセスデバイス上のインピーダンス/導電性センサが気管や肺で導電性の高い領域を検知する場合があり、例えばセンサが粘液に埋まっていたり、組織に突き当たっていたりする状況が考えられる。
【0027】
胃アクセスデバイスが肺や気管ではなく胃に配置されていることを確認するために、二次検知システムを利用することができる。例えば、1つまたは複数の温度センサを胃アクセスデバイス上に使用して、呼吸により生じる温度変動または温度変動の欠如を検知することができる。呼吸に伴う温度変化が検知された場合は、デバイスが気管や肺に入っている可能性が高いので、引っ込める必要がある。呼吸に伴う温度変化が検知されず、かつ1つ以上のインピーダンスセンサが高導電性/低インピーダンスを示す場合は、デバイスが胃の中にある可能性が高い。呼吸に伴う温度変動は、例えば、呼吸に伴う周波数を有する可能性が高い。
【0028】
誕生日から6週間:毎分30乃至40回の呼吸
6ヶ月:毎分25乃至40回の呼吸
3年:毎分20乃至30回の呼吸
6年:毎分18乃至25回の呼吸
10年:毎分17乃至23回の呼吸
成人:12乃至18回/分
65歳以上の高齢者:12乃至28回/分
80歳以上の高齢者:10乃至30回/分
制御部は、呼吸に伴う温度変動を時間経過とともに温度信号から分離するために、これらの呼吸周波数または他の呼吸周波数をフィルタリングする周波数フィルタを組み込んでもよい。
【0029】
制御部/モニタは、これらの周波数を、温度変動が呼吸に伴うものであるかどうかを判断するために使用できる。この信号は、複数回の呼吸にわたって分析する必要があり、その結果、インピーダンス/コンダクタンス信号よりも制御部の分析に時間がかかることがある。温度信号が呼吸を表しているかどうかの判断には、8乃至15秒または10乃至20秒かかることがある。その結果、温度測定値は、デバイスの配置に関する二次的な指標として、つまりインピーダンスセンサ指標による配置の確認として使用することができる。ユーザは、この確認が行われている間、デバイスの前進を一時停止するようにデバイスから促されてもよい。
【0030】
図3および
図4は、2つの温度センサを備えた胃アクセスデバイスの測定値を示し、デバイスの遠位先端から18cmのところに1つのセンサ、デバイスの遠位先端から40cmのところに1つのセンサがある。
図3は、患者の食道や胃の中にデバイスを配置したときの温度測定値を示す。
図4は、患者の気管や肺にデバイスを配置したときの温度測定値を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの温度センサは、デバイスの先端が患者の肺にあるときに気管内に配置されるように構成されてもよい。
【0031】
図4は、
図3にはない呼吸に伴う温度信号の変動を示している。温度センサが組織に接していたり、組織の中に埋め込まれていたりすると、組織周辺の環境に温度変動があっても、その温度変動が検知されないことがある。これは、
図4の一番上のグラフに示されている。デバイスが肺の中に進められると、最遠位端のセンサが組織に埋もれてしまい、温度信号が平坦になってしまった。より近位側にある第2の温度センサでは、
図4の下側のグラフ上に温度変動が明瞭に示された。このような現象があるため、2つ以上の温度センサが有効であり、制御部は温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサから呼吸に伴う温度変動を探す。また、温度センサ(または任意のセンサ)を、デバイスの長手方向および/または周方向の異なる箇所に配置してもよい。例えば、温度センサは、胃アクセスデバイスの半径方向、互いに180度離間するように、かつ/または長手方向に沿って配置することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、温度センサを使用して、デバイスが最初に体内に入った時点とその場所の温度を検知する。温度センサは、デバイスが挿入される際の患者の喉の呼吸による温度変動を検知してもよい。これらの変動は、デバイスが気管と食道との間の接合部を通過するときに停止することがある。この距離は患者の体内に至る中でも比較的短い距離(約5乃至15cm)であるため、この距離での温度変動の平坦化は、デバイスが食道と気管との間を適切に下って伝搬していることを示す指標となり得る。このように、患者の体内への比較的短い距離で温度変動が平坦化または消失することは、デバイスが正しく配置されていることを示すさらなる指標となる。これに代えて、装置を前進させたときに温度変動が平坦にならないこと、あるいは温度変動の大きさが大きくなることは、装置が気管内に前進していることを示している。デバイスが前進した唇の向こう側の距離は、デバイスのシャフトの長手部分に沿った寸法マーキングまたは指標と、唇/デバイスの入口にあるカメラまたは他の検知機構とを利用して、システムによって自動的に判断されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、栄養チューブ上の1つ以上の温度センサは、チューブが患者の体内に挿入されるに先だって周囲の温度を検知することができる。いくつかの実施形態では、制御部に内蔵された周囲温度センサや、患者の体外に残る栄養チューブの近位端にある周囲温度センサなど、患者の体外にある温度センサを使用して、周囲温度を経時的に連続的または断続的に測定することができる。周囲温度センサは、栄養チューブおよび制御部の両者から離間していてもよいが、制御部と通信している。周囲温度は、栄養チューブ上のセンサが検知した温度を周囲温度と比較することで、解剖学的に異なる箇所での患者の相対的な温度を決定するために使用することができる。このようにして、栄養チューブに沿って、解剖学的組織内の異なる箇所で相対的な温度を測定することができる。また、減衰した温度信号を見て平均温度を求めてもよい。平均的な、あるいは減衰された温度信号は、肺の温度の同じ変動を示さないかもしれないし、食道の温度の変動がないかもしれないが、周囲の温度が体温よりも低い場合、肺の平均温度は食道の温度よりも低くなるであろう。デバイスを前進させながら、1点、2点、または栄養チューブに沿って平均/減衰温度を監視することで、制御部はデバイスが解剖学的組織のどの位置にあるかをおおよそ判断することができる。栄養チューブの長手部分に沿って異なる箇所で異なる信号が温度情報(平均温度または温度変動のいずれか)を提供し、栄養チューブのセグメントが咽頭、気管、食道、肺、胃、腸内になるか、または組織に接しているかどうかを示すことができる。場所の特定を支援するために、インピーダンス/導電性センサなどの他のセンサを使用することもできる。例えば、温度センサが体温を測定しており、温度の変動がない場合、これらのセンサを備えた栄養チューブの部分は、胃の中にあるかもしれないし、組織に接しているかもしれない。導電性/インピーダンスセンサでこれらの2者間を区別可能であってもよい。また、ECGやpHなどのセンサタイプも使用可能である。
【0034】
図5は、胃アクセスデバイスが気管を通って肺に入っていく態様を示す図である。これは望ましくない状況であり、胃アクセスデバイスの実施形態では、そのように識別される。インピーダンス/導電性センサでは、
図2のグラフに示されている導電性の大幅な増加を検知することができない。加えて、温度センサは、
図4に示すように、呼吸に伴う温度の変動を検知する。これらの信号は、ハブ510を介して胃アクセスデバイス112に接続されている有線または無線接続508を介して制御部/モニタ502によって受信される。アクセスデバイス112上のセンサは、様々なセンサからハブ510に至るデバイス112内のリード線を介してハブ510と電気的に接続されている。モニタ502はまた、有線または無線接続506を介して栄養供給ポンプ504に接続され、デバイス112の栄養供給ルーメンを介して、または個別の栄養供給チューブを介して、患者の栄養供給を制御してもよい。モニタは、これらの信号の1つ以上を解釈して、デバイスが適切に配置されていないため、後退させる必要があることを示す。
【0035】
図6は、患者の胃の中に配置された胃アクセスデバイスを示す図である。この状況では、インピーダンス/導電性センサは高い導電性を示し、1つ以上の温度センサは呼吸に伴う温度変動が無いことを示す。モニタはこれらの信号の1つ以上を解釈し、デバイスが胃の中に適切に配置されていることを示す。
【0036】
図7は、1つ以上のインピーダンス/導電性センサおよび1つ以上の温度センサを備えた胃アクセスデバイスと通信する制御部の機能の概略を示したフローチャートである。ボックス702は、制御部がユーザにデバイスを患者の体内に前進させるように指示していることを表している。装置が前進すると、制御部は胃アクセスデバイスに組み込まれたセンサからの信号を受信する。制御部は、インピーダンス/導電性センサが高導電性または低インピーダンスを検知するまで、あるいは1つ以上の温度センサが呼吸に伴う温度変動を検知するまで、ユーザにデバイスを前進させるように指示し続けることができる。
【0037】
制御部が、ボックス714に示すように、呼吸に伴う温度変動を示す温度センサからの信号を受信した場合、温度センサがRGJ(Respiratory-Gastric Junction)を過ぎたところで、制御部は、デバイスが気管または肺にある可能性が高いことをユーザに示し、ボックス716に示すように、ユーザにデバイスを後退させるように指示する。
【0038】
デバイスの前進中に、ボックス704に示すように、センサが最初に高い導電性を検知した場合、胃アクセスデバイスが胃の中にあり、センサが胃の内容物を検知している可能性がある。制御部は、デバイスが胃の中にあることを示したり、一時停止信号を表示または再生することで、ユーザに数秒間の一時停止を求めたりして、温度センサの信号データを収集し、温度センサで検知される呼吸に伴う変動があるかどうかを判断できるようにする。ボックス706に示すように、温度センサがRGJを過ぎたところで、これらの変動が検知された場合、制御部は、アクセスデバイスが肺に入っている可能性があると判断し、ボックス708に示すように、ユーザに装置を後退させるように指示することができる。ボックス710で示されるように、温度変動が検知されない場合、制御部は、ボックス712で示されるように、デバイスが胃の中に正しく配置されていることを確認してもよい。
【0039】
インピーダンス/導電性センサおよび温度センサに加えて、またはこれらに代えて、他のセンサを使用して、解剖学的組織内での胃アクセスデバイスの位置を判断することができる。例えば、1つ以上の心電図(ECG)センサを使用して、胃アクセスデバイスが心臓の上にあるか下にあるかを判断することができる。デバイスが心臓よりも下にある場合は、肺や気管には入っていないと考えられるため、胃に入っている可能性が高い。
図8は、肺108、心臓110、胃104の相対的な解剖学的組織を示している。胃は心臓よりも下にあり、肺は心臓よりも上、あるいは心臓の高さあたりにあることに注意されたい。胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、インピーダンスセンサ804に加えてECGセンサ802を含んでもよい。これらのセンサは、本明細書に開示されている胃アクセスデバイスの他のセンサと同様に、デバイスの長手部分に沿って延びるリード線またはワイヤを有し、デバイスをデバイスハブ510に接続する。デバイスハブは、各種センサからの信号を受信するモニタに電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、両方のセンサタイプが同じ電極を利用している。
【0040】
ECGセンサは、例えば、Pゾーン、Qゾーン、Rゾーン、Sゾーン、Tゾーン、Uゾーン、信号の起点などを含む信号を含む心臓の電気的活動を検知する。信号は、大きさおよび周波数を有し、様々なゾーンは、様々な正の大きさおよび負の大きさのピークを含み得る。胃アクセスデバイスは、センサ804のようにデバイス自体に2つ以上のECGセンサを備えていてもよい。これに代えて、胃アクセスデバイスが1つ以上のECGセンサを有し、システムが外部ECGセンサ806を含んでいてもよい。また、外部ECGセンサは、有線または無線でモニタに電気的に接続されている。胃アクセスデバイスが前進すると、ECG信号がモニタによって継続的に受信される。ECGセンサは心臓の電気的活動を検知しているため、センサが食道を通り、心臓を過ぎて胃に向かうにつれて信号が変化していく。これらの変化は、ECG信号の1つまたは複数のゾーンの大きさまたは方向(正または負)であり得る。この変化は、システム内のECGセンサの位置に応じて異なってもよい。例えば、栄養チューブにECGセンサを1つ、胸骨にECGを1つ備えるシステムは、栄養チューブにECGセンサを2つまたは3つ備えるシステムとは異なる変化を示す可能性がある。この変化は、システム構成に応じて異なり得るが、センサが心臓を通過する際には、少なくとも1つ以上のECGセンサ(栄養チューブのセンサ)の心臓に対する相対的な位置が変化するため、所定のシステム構成の場合には、制御部によって変化が検知される。
【0041】
図8は、センサが心臓の高さに近づいているときの、胃アクセスデバイスの栄養チューブの態様を示す。この時点では、アクセスデバイスが食道にあるのか、肺にあるのか、ECGセンサの測定値からはまだ不明である。しかしながら、デバイスが食道に下方に前進されるにつれて、ECGの測定値は、デバイスが心臓を通過していることを示すサインに変化する。例えば、ECG信号が反転したり、ECGの特定のゾーンが反転したり、信号の大きさが変化したり、ECGの特定のゾーンの大きさが変化したりする可能性がある。一旦このシグネチャを制御部が検知すると、胃アクセスデバイスが心臓よりも下にある胃の中にあると判断される。外部ECGセンサ806はあってもなくてもよい。
【0042】
ECGセンサは、インピーダンス/導電性センサや温度センサなどの他のセンサと組み合わせて使用することで、胃の中での胃アクセスデバイスの位置を確認することを支援する。いずれのセンサタイプも、他のセンサタイプと同じ電極を共有することができる。
【0043】
図9は、ECGセンサを鼻または鼻孔または口または顔のパッチ902に組み込んだ、一実施形態による胃アクセスデバイスを示す。このセンサは、鼻の外側、鼻の内側、口の外側、口の内側、または顔の他の箇所に配置することができる。このセンサは、例えば、胃アクセスデバイスの栄養チューブ自体に、デバイスを所定の箇所に保持するテープの一部として組み込んでもよい。
【0044】
図10は、1つ以上のインピーダンス/導電性センサおよび1つ以上のECGセンサを備えた胃アクセスデバイスと通信する制御部の機能の概略を示したフローチャートである。ボックス1002は、制御部がユーザにデバイスを患者の体内に前進させるように指示していることを表している。装置が前進すると、制御部は胃アクセスデバイスに組み込まれたセンサからの信号を受信する。制御部は、インピーダンス/導電性センサが高い導電性または低いインピーダンスを検知するか、1つ以上のECGセンサがデバイスが心臓の下を通過したことを示すECG信号の変化を検知するまで、ユーザにデバイスを前進させるように指示し続けることができる。
【0045】
制御部は、ボックス1014に示すように、ECGセンサからデバイスが心臓よりも下にあることを示す信号を受信した場合、制御部は、デバイスが胃の中にある可能性が高いことをユーザに示すことができる。これに代えて、または加えて、制御部は、導電性センサからの信号を使用して配置を確認することもできる。制御部は、ボックス1016に示すように、デバイス上の1つ以上のインピーダンスセンサから高い導電性または低いインピーダンスを示す信号を受信していない場合、デバイスが胃の中にないと思われるため、ボックス1018に示すように、制御部はユーザにデバイスを後退させるように指示することができる。しかしながら、ボックス1020に示すように、デバイス上の1つ以上のインピーダンスセンサから、高い導電性、または低いインピーダンスを示す信号を受信した場合、制御部は、ボックス1022に示すように、デバイスが胃の中にある可能性が高いことをユーザに示す。
【0046】
デバイスの前進中に、ボックス1004に示されているように、センサが最初に高い導電性を検知した場合は、胃アクセスデバイスが胃の中にある可能性がある。制御部は、デバイスが胃の中にあることを示し、かつ/または、制御部は、ECGセンサ信号データを分析して、ECG信号シグネチャがデバイスが心臓を通過したことを示しているかどうかを判断してもよい。ボックス1006に示すように、このシグネチャが検知された場合、制御部は、ボックス1008に示すように、アクセスデバイスが胃の中にある可能性が高いと判断し、通信する。ECGセンサ信号シグネチャが、ボックス1010で示されるように、デバイスが心臓の下を通過していないことを示す場合、制御部は、デバイスが胃の中に無い可能性があることを示し、ボックス1012で示されるように、デバイスを後退させるとともに再前進させることを示してもよい。
【0047】
ECG信号がデバイスが心臓の下にあることを示していることを示すステップ1006および1014(および同様に、
図7のステップ704)は、栄養チューブの端部が逸脱して不正確な信号シグネチャを生じさせていないことを確認するサブステップを含んでもよい。これは、異なるセンサ間、または異なる対の電極間のインピーダンス/導電性を確認し、栄養チューブが比較的まっすぐな場合に比べて、それら異なるセンサ、または異なる対の電極が互いに接近しているかどうかを確認することで行われ得る。例えば、制御部は、最遠位端のインピーダンスセンサと次に最も近いインピーダンスセンサとの間に異常に高い導電性があるかどうかを迅速に確認することができる。制御部は、続いて最遠位端のインピーダンスセンサと、最近位端のインピーダンスセンサよりも1センサ離れたインピーダンスセンサとの間等に異常に高い導電性があるかどうかを確認することができる。栄養チューブ上の2つのインピーダンスセンサ間に異常に高い導電性が無い場合、栄養チューブは逸脱していない可能性が高く、ECG信号シグネチャは信頼できる。
【0048】
これまでのフローチャートでは、2種類のセンサを備えた実施形態の流れを示してきたが、1種類のセンサは、他の種類のセンサに基づいて装置の配置を確認または問題とすることができ、胃アクセスデバイスの実施形態には、1種類、2種類、3種類、またはそれ以上の種類のセンサを組み込むことができることを理解されたい。センサは、例えば、特定の患者タイプや特定の環境下で独立して動作する場合もあれば、ここで紹介するフローチャートのように協調して動作する場合もある。加えて、すべての患者に対してすべてのセンサが使用されるとは限らない。例えば、本デバイスの実施形態は、例えば、温度センサ、インピーダンス/コンダクタンスセンサ、ECGセンサの3種類のセンサを含むことができる。様々な患者や環境に応じて、1種類、2種類、3種類のセンサを使用することができる。例えば、3つのセンサはほとんどの患者に使用されるが、暖かい部屋では、温度センサは使用されない場合がある。別の例として、不整脈のある患者にはECGセンサを使用しないことがある。いくつかの実施形態では、2種類のセンサがあり、大多数の患者および環境で1種類または2種類のセンサを使用できるようになっている。いくつかの実施形態では、配置確認の冗長性のために2種類以上のセンサが設けられる。
【0049】
図11A、
図11B、
図12、および
図13は、胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態を示す図である。
図11Aは、主デバイスシャフト1102、栄養供給ポンプコネクタ1104、モニタコネクタ1106を示している。
図11Bは、
図11Aの楕円形の輪郭内の部分を拡大したものである。
図11Bは、電極1108を含み、任意の対の電極は、インピーダンス/導電性センサを表す。センサを構成する電極の対は、互いに隣接している必要はない。また、サーミスタや熱電対などの温度センサ1110も示されており、さらに、供給栄養がデバイスから出るための開口部1112も示されている。また、
図11Bは、デバイスの先端から各種センサまでの距離の例を示している。
図11Bは、円周方向に互いに180度離れ、デバイスの長手部分に沿って異なる点にある2つの温度センサ1110を備えたデバイスを示している。
図12は、4つの温度センサ1110を示しており、センサはデバイスの長手部分に沿った2つの異なる位置で円周方向に180度互いに対向している。ここでは2箇所を図示しているが、1箇所、あるいは2箇所以上に温度センサを設置してもよい。
図13は、デバイスの周囲を360度、完全に取り囲むように配置された温度センサ1110を示している。これらの実施形態やその他の実施形態では、デバイスが肺に入っているときに呼吸に伴う変動を温度センサが検知し、デバイスの制御部がユーザにデバイスを後退させるように指示することができる。
図4に示すように、複数の箇所(周方向、長手方向のいずれか、または両者)に温度センサを有することで、より多くの状況で呼吸による温度変動を検知することが支援される。いくつかの実施形態では、温度センサは周方向に互いに90度よりも大きく離間するように配置される。いくつかの実施形態では、温度センサは周方向に互いに45度よりも大きく離間するように配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの温度センサが周方向の1箇所に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも3つの温度センサが周方向の1箇所に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも4つの温度センサが周方向の1箇所に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの温度センサがデバイスの長手部分に沿って周方向に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも3つの温度センサがデバイスの長手部分に沿って周方向に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも4つの温度センサがデバイスの長手部分に沿って周方向に配置される。また、その他の構成も想定される。例えば、温度センサをモニタに設置し、センサから栄養チューブまでの流体経路を確保することができる。また、温度センサ以外のセンサも同様に配置することができる。
【0050】
1つ以上の温度センサは、デバイスの遠位先端が肺にある場合、気管にあるように配置することができる。例えば、このセンサは遠位先端から250乃至350cm程度の位置に配置することができる。これに代えて、このセンサを遠位先端から200乃至400cm程度の位置に配置することも可能である。これに代えて、小柄な患者には、このセンサを遠位先端から100乃至150cm程度の位置に配置することもできる。これに代えて、このセンサを遠位先端から100乃至200cm程度の位置に配置することも可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の温度センサを、胃アクセスデバイスの外側に配置することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の温度センサを、胃アクセスデバイスの壁部内に完全に配置することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の温度センサを胃アクセスデバイスの壁部内に配置して、温度センサがデバイスの外側に露出するようにしてもよい。
【0052】
ECGセンサおよび温度センサのうちの少なくともいずれかは、インピーダンス/コンダクタンスセンサとは個別のものであってもよいし、同じ電極の一部または全部を利用してもよい。同一の電極を使用する実施形態において、異なる種類の検知(温度、ECG、インピーダンス/コンダクタンスなど)を同一の電極で交互に使用したり、手技の異なる箇所やタイミングで使用したり、異なる患者で使用したりすることができる。1つの電極の異なる機能のために、異なるかまたは同じリード線を使用することができる。いずれのセンサも、デバイスを完全に包囲する電極を使用してもよいし、デバイスを部分的にしか包囲しない電極を使用してもよい。
【0053】
図14は、いくつかの実施形態のモニタ502の詳細を示している。1つまたは複数の表示領域は、ユーザに情報を表示することができる。例えば、図示のものでは、チューブ配置表示領域1402、リアルタイム栄養供給速度表示領域1404、および経時的栄養供給速度領域または栄養供給速度傾向領域1406が示されている。他の表示領域には、経時的なGRV/胃空洞化傾向、リアルタイムのGRV/胃空洞化、配置の指示(「後退」、「一時停止」、「継続」など)、警告表示、回避のための警告、逆流事象の識別、管理などの胃逆流入力が含まれてもよい。また、音声によるプロンプトおよび/または警告を流すこともできる。制御ボタン1408は、電源ボタン、設定ボタンなどを含んでいてもよく、物理的なボタンであっても、タッチパネルのボタンであってもよい。
【0054】
配置表示領域1402は、食道、胃、肺/気管を含む解剖学的組織のグラフィック表現を含んでもよい。この表示には、正しい配置、疑わしい配置、間違った配置を示す色が含まれてもよい。例えば、1種類以上のセンサが、デバイスが胃の中にあることを検知した場合、胃が点滅したり、緑色に表示されたりする。1種類以上のセンサが肺にデバイスがあることを検知すると、肺が点滅したり、赤く表示されたりする。胃も肺もセンサが検知していない場合は、食道が緑色やその他の色に点滅するなどして、ユーザに前進を継続するように指示してもよい。デバイスが患者の体内を移動した距離を配置の査定に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、制御部は、患者の体内にあるデバイスの長さを自動的に測定する光学センサなどのセンサと通信する。複数のセンサタイプからの信号が矛盾している場合、またはいずれかのセンサタイプからの信号が矛盾している場合、身体の対応する部分が点滅またはオレンジ色に表示される。
【0055】
さらに詳しい情報がモニタの別の場所に表示されてもよい。いくつかの実施形態では、情報が確認されると、身体領域インジケータが点滅した後に、点灯してもよい。例えば、デバイスが胃の中に入り、インピーダンスセンサが高い導電性を検知した場合、胃の形が緑色に点滅し(または、デバイスの前進を一時停止するようにユーザに示し、または、ユーザまたは制御部が栄養供給を開始する前に一時停止するように示す)、予備的に制御部がデバイスが胃の中にあると判断したことを示す。制御部は、続いて数秒から数十秒かけて温度センサデータの収集を継続してもよい。このデータにより、デバイスが肺に入っていない可能性が高い(呼吸に伴う変動がない)と判断された場合、胃の形が緑の点滅ではなく緑の点灯になり(または一時停止の表示が消える)、ユーザは栄養供給を開始するか、デバイスの前進を継続することができる。
【0056】
これに代えて、温度センサで温度変動があることがわかると、胃の形がオレンジや赤に変わり、肺に入っている可能性があることを示してもよい。加えて、またはこれに代えて、このシナリオでは、肺が赤やオレンジになってもよい。制御部は、ユーザにデバイスの後退を指示してもよいし、栄養供給機能が開始されるのを防いでもよい。
【0057】
温度データを収集するための一時停止は、少なくとも1秒、少なくとも3秒、少なくとも5秒、少なくとも7秒、少なくとも10秒、少なくとも15秒などとすることができる。一時停止は、デバイスを前進させないように、かつ/またはデバイスを介した栄養供給を開始しないように、ユーザに指示する形態で行われてもよい。この一時停止により、制御部は、一時停止が終了し、胃が肯定的に識別され確認されるまで、デバイスによる栄養供給の開始を防止することができる。
【0058】
また、ディスプレイ上に表示されたり、音や感触(振動など)で示される指標としては、
-一時停止
-x秒一時停止
-インジケータ(視認、音、触覚)がデバイスの前進または後退を指示するまで一時停止
-デバイスをxcm後退
-デバイスをxcm前進
-デバイスをxcm後退させて一時停止
-デバイスをxcm前進させて一時停止
-デバイスをxcm後退させてから、再度前進などが挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、配置ディスプレイ1416、および/または他のディスプレイは、代替的に、または追加的に、栄養チューブ1412、および/または携帯電話、タブレット、コンピュータ、サーバ、電子医療記録などの遠隔デバイス1418上に設けられている。いくつかの実施形態では、制御部機能は、完全に、または部分的に、遠隔ディスプレイに含まれる。例えば、デバイスのいくつかの実施形態は、モニタ筐体1410を含まず、ディスプレイ1416を備えた独立型の栄養チューブ1412を含んでいてもよい。この小型ディスプレイは、完全に携帯可能で、モニタ/制御部の機能のすべてまたは一部を組み込むことができる。モニタ機能の一部は、遠隔電子デバイス1418に組み込まれてもよい。また、栄養供給入力ライン1414も示されている。モニタ筐体1410は、栄養チューブがモニタにドッキングされている場合に、栄養チューブが配置ディスプレイ1416で動作したり、筐体1410に含まれるフルモニタディスプレイで動作したりするように、栄養チューブがドッキングされるドッキング領域を含んでもよい。
【0060】
その他の表示領域としては、温度データビューや、センサからの信号をグラフ化したECGデータビューなどのデータビューがある。その他の表示領域には、リスク、事象、管理、コンテクスト(すなわち、履歴)情報や傾向などの逆流情報が含まれる。
【0061】
栄養供給速度は、検知されたGRV/胃の空洞化に依存し、制御部によって自動的に、または半自動的に、または手動で制御されてもよい。半自動制御とは、小さな調整は自動で行い、大きな調整はユーザに促すというものである。
【0062】
図15Aおよび
図15Bは、組織との接触時に組織のインピーダンス/導電性を検知するための1つ以上の組織検知電極1502を含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。これらのセンサは、LES(下部食道括約筋)、UES(上部食道括約筋)および/または幽門括約筋、あるいは解剖学的組織の他の領域の位置を特定するために使用することができる。括約筋は周囲の組織に比べて直径が小さいため、接触型センサでは識別しやすい傾向がある。これらは、胃アクセスデバイスの周囲にある電極に組織が接触していることを検知することで識別することができる。すなわち、2つ以上の電極をデバイスの周囲上に配置して、電極間の組織接触(例えば、センサが解剖学的組織の小さい直径の領域内にある場合)を判断してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、デバイスのシャフトの直径は、組織検知電極の位置で、デバイスの他の領域よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、組織検知電極の位置におけるデバイスのシャフトの直径は、組織との接触を増やすために、ケージやバルーンのように拡張可能かつ/または収縮可能であってもよい。
【0064】
図15Bは、
図15Aのデバイスの断面図である。なお、組織電極1502は、デバイスの外側シャフト1504の外側に突出していてもよく、その場合、電極が組織に接触する可能性が高くなる。いくつかの実施形態では、突出した電極は格納可能であってもよいし、デバイスのシャフトから異なる距離だけ突出するようにしてもよい。デバイスの周囲上には、シャフトに沿った任意の1つ以上の位置に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の電極が設けられる。また、図には、外側シャフト1504に封入された電極リード1506が示されている。LES、UESや、幽門括約筋の位置は、組織への接触度(周囲上のいくつの電極が組織に接触しているか)と、患者の体内にあるデバイスの長さによって特定される。
【0065】
例えば、センサが体の中に15乃至20cm程度入っていれば(切歯から測定)、UESを特定することができる。センサが体の中に30乃至50cm程度入っていれば、LESを特定することができる。センサが50乃至100cm程度であれば、幽門括約筋を特定することができる。これらの測定対象は、患者の体格を考慮して絞り込むことができる。なお、解剖学的に異なる組織領域を識別するために、デバイスのシャフトの長手部分に沿って異なる組織の電極/センサを使用することができる。また、直径、すなわち組織電極がシャフトから突出している距離から、電極がどの括約筋を検知しているかを判断することもできる。
【0066】
本実施形態では、温度センサ1110と同様に、インピーダンス/コンダクタンス電極1108を含んでいてもいなくてもよい。いくつかの実施形態では、電極1502は、組織のインピーダンス/導電性を検知することに加えて、GRV/胃の空洞化、またはデバイスの配置を決定するために使用されてもよい。
【0067】
胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、逆流現象を回避し、逆流現象またはデバイスの移動を検知し、例えば患者から逆流物質を吸引することによって、逆流現象を管理する能力を含む。位置決めに使用するセンサと同じものを使用してもよいし、他のセンサを使用してもよい。
【0068】
図16Aおよび
図16Bは、1つ以上の組織電極/1つ以上のセンサ1502、および1つ以上の逆流センサ1602を含む一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。1つ以上の逆流センサがシャフトのより近位部に配置され、LESの上の食道で胃の逆流を検知することができる。これらのセンサは、デバイスを患者に配置した後に、胃の逆流を検知するように構成されている。これらのセンサはデバイス配置後に食道内に1つ以上存在するように配置されている。これらのセンサはインピーダンス/導電性を検知する電極であったり、pHセンサやその他のセンサであってもよい。デバイスのシャフトの周囲上には、シャフトに沿った任意の位置に1つの電極があってもよいし、複数の電極があってもよい。
【0069】
逆流センサが逆流の流体の存在下にあると、導電性が上昇し、インピーダンスが低下する。逆流センサと食道の組織との間の接触を避けることが有利であるため、逆流センサ1602は、デバイス外側シャフトの凹部1604に配置されてもよい。
図16Cの断面図にこれを示す。
図16Bに組織センサエリアの断面図を示す。デバイスのシャフトの長手部分に沿った複数の逆流センサは、逆流の程度、すなわち食道のどのくらい上にあるのか、逆流が進行しているのか、後退しているのか、および/または吸引される危険性があるのかを特定するのに役立つだろう。これに代えて、逆流センサは、デバイスのシャフトの外周面と比較的同じ位置にあるか、または外周面からわずかに突出していてもよい。
【0070】
図17は、
図16Aに示した実施形態に、拡張可能な部材1702および吸引チューブ1704を加えたものである。逆流センサ1706は、上述したように逆流の存在を識別するために使用されてもよい。逆流が検知された場合、または逆流が検知され、リスクがあると判断された場合、制御部は、膨張可能なバルーンなどの機構である拡張可能な部材を拡張し、吸引チューブを吸引して食道から逆流を取り払ってもよい。逆流センサは、逆流が取り払われたことを検知し、拡張可能な部材を小さくして吸引を停止することができる。これらのアクションは、アラートに基づいて手動で実行される場合と、制御部によって自動的に実行される場合がある。
【0071】
いくつかの実施形態は、拡張可能な部材1702の無い吸引チューブ1704を含んでもよい。これらの実施形態では、胃の内容物が食道に吸引されないように、吸引レベルを制御する必要がある。吸引チューブはLESの上または下のどこにでも配置できる。いくつかの実施形態では、吸引チューブをシャフトに沿って移動させて、吸引の位置を正確に決めることができる。この吸引チューブの位置決めは、デバイスのシャフトの長手部分に沿った複数の逆流センサからの信号によって決定される、逆流のレベルによって決定されてもよい。
【0072】
図18は、
図17に示した実施形態を解剖学的組織に配置した状態を示す図である。組織センサ1502は、デバイスの配置を支援することができる。例えば、LESの位置を確認することで、医師はデバイスの開口部がLESを通過して胃の中に入り、栄養供給可能な配置状態になったことを知ることができる。拡張可能な部材1702はLESのすぐ上に示されており、逆流センサ1706は食道に示されている。吸引チューブ1704は、ここでは食道のさらに上に示されているが、食道の中でより高くても低くてもよい。
【0073】
吸引チューブの吸引ルーメンは、吸引デバイス1802に接続されている。吸引デバイス1802は、ポンプであってもよいし、壁部の吸引を制御するバルブであってもよいし、他の吸引機構であってもよい。吸引ライン1804は、ハブ510を通っていてもいなくてもよい。
【0074】
図18は、胃アクセスデバイスの主デバイスシャフトおよびその同心円状の吸引チューブを示す。
図19は、吸引チューブ1902が、胃アクセスデバイスの主デバイスシャフトの隣にあるか、またはデバイスの片側に沿っている別の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、吸引チューブは、胃アクセスデバイスの主シャフトとは個別に導入および取り外しが可能な個別のデバイスであってもよい。吸引チューブは、これに代えて、胃アクセスデバイスのルーメンを介して配置されたり、胃アクセスデバイスのシャフトの一部ではあるがその外側に配置されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、食道に逆流が存在することを示す、逆流センサからの信号に基づいて、逆流の吸引が開始および/または継続される。いくつかの実施形態では、制御部/モニタは、定期的に少量の吸引を吸引デバイスに適用して、存在するかどうかわからない逆流を取り払い、かつ/または逆流を試験するようにプログラムされていてもよい。このような定期的な吸引の実施は、逆流を検知しているかどうかに関わらず行われる。このような定期的な吸引実施の際には、拡張可能な部材は拡張してもしなくてもよい。定期的に吸引を行うことで、逆流の検知に頼ることなく、逆流のリスクを効果的に取り除くことができる。好ましくは、これらの定期的に予定されている逆流吸引事象は、拡張可能な部材が存在しないかまたは拡張されていない実施形態において、胃の内容物が吸引されないような十分に低いレベルの吸引を適用する。逆流を(解剖学的組織において、または吸引チューブやその他の箇所で)検知した場合、または定期的に予定されている逆流の吸引事象中に収集した場合、制御部は、すべての逆流を確実に吸引するために吸引事象を増加または延長するようにプログラムすることができる。また、制御部は、逆流吸引事象の吸引レベルが上昇した場合や延長された場合に、拡張部材の拡張をトリガしてもよい。
【0076】
定期的にスケジュールされた逆流吸引事象を含む実施形態は、デバイス上に逆流センサを含まない場合がある。しかしながら、逆流が体外に吸引されているかどうかを判断するために、他の逆流センサを搭載することもある。例えば、逆流センサは、体外、制御部、排泄物受け、吸引ライン、ハブなどに存在してもよい。定期的にスケジュールされた逆流吸引事象は、5分ごと、10分ごと、30分ごと、60分ごと、または5乃至30分ごと、または30乃至60分ごと、またはその他の適切な時間枠でスケジュールされてもよい。スケジュールは、ユーザが自由に設定することができる。過去の逆流現象に応じて間隔を変えてもよい。例えば、逆流が1回または2回以上検知された場合、予定されている逆流吸引事象がより頻繁になることがある。この変更は、手動または自動で行われる。
【0077】
いくつかの実施形態では、低レベルの吸引を連続的または半連続的に使用することができる。これらの実施形態では、食道が長時間遮断されないように、連続吸引中に拡張部材を拡張させないようにしてもよい。この連続モードは、栄養供給中、常時、あるいは1つ以上の逆流事象の結果として起動することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、拡張部材を拡張して食道をより長時間遮断し、実質的に人工LESとして機能させて逆流を防止することができる。
【0079】
【0080】
図20は、患者の腸内での栄養供給を可能にするために幽門括約筋の位置を特定して通過させるように構成された、一実施形態による胃アクセスデバイスを示す図である。組織検知センサ1502は、幽門括約筋2002の領域に示されている。組織検知センサの電極は、LESの検知と同様に、幽門括約筋を検知することができる。組織のこれらの領域は、周囲の組織よりも直径が小さいため、組織検知電極は、電極が組織に直接接触しているときに、電極間の導電性の増加または抵抗の減少を検知することで、組織の接触を検知することができる。この接触は、デバイスのシャフトの周方向に配置された単一または複数の電極の対の間で生じ得る。これらの小径領域では、デバイスのシャフト周囲上のより多くの電極が組織と接触しているため、デバイスがこの領域を通過する際のセンサ信号の変化により、組織接触センサ/電極信号はこれらの領域を特定することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、幽門括約筋でのデバイスの配置またはそれを過ぎての配置は、他の方法で識別または確認することができる。また、同じ方法を使用してデバイスを胃の中に配置することもできる。例えば、pHセンサは、アクセスデバイスが幽門後またはその他の箇所にあることを判定することができる。本明細書に記載されている様々なセンサは、pHの変動、絶対温度または相対温度、蠕動運動、インピーダンス/導電性など、特定のシグネチャを拾うために使用することができる。ECGセンサは、デバイス上の電極が解剖学的組織に移動する際に変化するECG信号を測定するために使用することができる。例えば、デバイスが患者の正中線を通過する際に、ECG信号が変化することがある。デバイスの遠位端が腸内にあることを識別するために、皮膚を通して検知可能な明るい光、またはその他の検知可能な光をデバイスに使用してもよい。デバイス上の電極は、インピーダンス、導電性、またはその他の方法で、互いに近接していることを検知するために使用することができる。これにより、デバイスが急なカーブを描いている場合、すなわちデバイスの長手部分に沿ったある部分が、デバイスの長手部分に沿った別の部分に比較的近接している場合を示すことができる。例えば、
図24および
図35に開示されている実施形態を参照されたい。力センサや圧力センサを使用して、デバイスの曲率を評価し、腸の湾曲部分にあるかどうかを判断することもできる。
【0082】
いくつかの実施形態は、目的の解剖学的組織にデバイスを配置することを決定および/または確認するために、カメラやファイバーオプティックスなどの直接的な視覚化を含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態は、デバイスのルーメンを通して真空を引いたときに、デバイス内に吸引された空気/ガスの量を検知することで、食道と気管とを区別する機能を含むことができる。空気/ガスをデバイスに吸引する能力は、食道よりも気管の方が高くなる。真空引きの際にデバイスが組織に接触することを回避するために、真空引きの前に1つまたは複数の小さな空気の塊をデバイスに導入することができる。これに代えて、または加えて、デバイスのシャフトの周囲上にある開口部を使用することもできる。
【0084】
いくつかの実施形態では、電極を用いて筋電活動を測定することができる。これは、デバイスを目的の箇所に配置することを補助するために使用されることがある。
【0085】
本明細書に開示される実施形態のいずれも、逆流の検知に基づいて、または逆流吸引スケジュールに基づいて、患者の食道から逆流を自動的に吸引してもよい。
【0086】
胃アクセスデバイスに内蔵されたセンサは、連続的、断続的、必要に応じて、あるいは、装着の確認が必要な場合など、特定のタイミングのみでデータを収集することができる。
【0087】
本明細書に開示されているデバイスには、チューブの気管や肺への偶発的な配置を避け、胃への配置を支援するように構成されたセンサを備えた経鼻胃管が含まれる。これらのセンサには、呼吸による変動を検知するための温度センサや、胃を検知するためのインピーダンス/導電性センサなどがある。これらのセンサには、これに代えて温度、インピーダンス/導電性、ECGが含まれてもよい。これらのセンサには、これに代えて温度、インピーダンス/導電性、圧力、湿度、pH、ECGのいずれか2つが含まれてもよい。これらのセンサには、温度、インピーダンス/導電性、圧力、湿度、pH、ECGのうちのいずれか3つが含まれてもよい。
【0088】
胃電図(EGG)は、胃の中の胃アクセスデバイスの位置を識別するために使用されてもよい。EGGセンサは、他のセンサタイプとは異なる場合もあるし、例えばECGセンサやインピーダンス/導電性センサと同じ電極を使用する場合もある。
【0089】
いくつかの実施形態では、配置のための他のセンサに加えて、電磁センサを使用することができる。
【0090】
本明細書に開示された実施形態では、GI管にアクセスして気管/肺を回避することについて述べているが、気管/肺の位置を特定してGI管を回避するために同じ概念を使用することができる。
【0091】
図21A乃至
図21Cは、栄養チューブを介して腹腔内圧を測定/判定する一実施形態を示す図である。
図21Aは、胃へのアクセスデバイス、またはその代わりに、胃内の従来の栄養チューブを示している。
図21Bは、チューブのルーメンに導入された空気または他の流体のカラム2102を示している。流体のカラムが導入されると、制御部はルーメン内の圧力を測定する。流体がルーメンを満たすと、圧力が高まる。気体/流体の一部すなわちバブル2104が胃アクセスデバイス/栄養チューブのルーメンを出る時点で、圧力が突然低下し、流体のカラム内の圧力が胃の流体内の圧力に打ち勝ったことを示すことになる。胃の中の流体の圧力は、患者の腹腔内圧(IAP)と同一、または相関している。したがって、制御部は、流体のカラムが胃アクセスデバイス/栄養チューブのルーメンに導入される際の圧力を監視することで、患者のIAPを導き出すことができる。流体は、空気やその他の気体であってもよいし、水やその他の液体であってもよい。流体のカラムは、中実であってもよいし、間欠的であってもよい。IAP測定シーケンスは、制御部によって定期的に実行されてもよい。IAP測定シーケンスは、栄養供給前でも後でも実行可能である。栄養供給後の胃にはより多くの流体が入っているので、IAPを測定するにはこの時期が好ましい。また、IAP測定は、血圧計のカフに似たゲージの圧力を物理的に見て、手動で行ってもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、バブル2104と同様のバブルを使用して、食道または気管のいずれかにデバイスを配置することを確認するのに役立つ圧力変動を測定することができる。
【0093】
図22A乃至22Cは、栄養チューブを介してIAPを測定/判定する別の実施形態を示す。
図22Aは、胃へのアクセスデバイス、またはその代わりに、胃内の従来の栄養チューブを示している。胃は、空気/ガス2202を含んでいてもよい。この実施形態では、空気/ガス2202を必要なだけ、吸引によって除去する。
図22Bに示すように、胃の中を液体などで満たす。正確なIAP測定値を得るためには、この空気/ガスの低減ステップが必要な場合もあれば、そうでない場合もある。
図22Cに示すように、流体、好ましくは液体のカラム2204が、続いてチューブのルーメンに導入される。そして、流体のカラムの圧力を測定することで、胃内の流体の圧力、つまりIAPの指標を測定することができる。これらのステップは、制御部で行う場合と手動で行う場合、またはその両者で行う場合がある。
【0094】
図23は、IAPの測定/判定に使用できるGRV測定システムの別の実施形態を示している。本実施形態は、バルーン、または圧力に敏感な他のブラダーとすることができるブラダー2302を含む。ブラダーの膨張/収縮は、ルーメン2304を介して行われる。ルーメン2304は、バルーン/ブラダー内の圧力を監視するために使用することもできる。この圧力がIAPの指標となる。膨張/収縮および圧力の測定は、制御部によって自動的に、またはコマンドによって実行される。測定は定期的に自動で行ってもよいし、栄養供給の前と後の少なくともいずれかに自動で行ってもよい。
【0095】
胃アクセスデバイスのいくつかの実施形態は、栄養チューブが屈曲しているか、よじれているかを試験する機能を含んでもよい。一実施形態では、制御部は、加圧された流体(気体または液体)を栄養チューブのルーメンに導入し、流体がルーメンを流れるのに必要な圧力を測定してもよい。よじれの無い圧力範囲を決定するために、屈曲していない栄養チューブのベースライン圧力を検知することができる。チューブが屈曲したり、よじれたりすると、必要な圧力が高くなる。制御部は、この圧力を経時的に測定および追跡し、絶対圧、相対圧、圧力の変化、または圧力の経時的な変化の傾きに基づいて、栄養チューブの状態を判断することができる。
【0096】
栄養チューブの屈曲またはよじれは、電極の互いの近接度を測定するなどして、電子的に測定することもできる。電極が栄養チューブに沿った間隔よりも互いに近い場合は、チューブによじれやきつい屈曲が存在する可能性がある。これは、電極間のインピーダンスおよびコンダクタンスのうちの少なくともいずれかを測定することで可能である。電極の対は、電極の近接度を判断するために制御部によって変更することができる。これに代えて、同じ電極の対を使用することもできる。
【0097】
例えば、
図24および
図25を参照のこと。
図24は、pH、または温度、または他のセンサ2402、開口部(供給用)2404、電極1、2、3、4、5、6、7、および8を含む電極2406を有する胃アクセスデバイスを示す。電極の対1と2、3と4、5と6、7と8は、栄養供給中や栄養チューブの配置の際に対として使用し、電極の対でのコンダクタンス/インピーダンスを測定する。しかしながら、異なる電極の対を使用することもできる。例えば、電極1および電極6を対として使用してもよい。電極1と電極6との間の距離は、コンダクタンス/インピーダンスにより決定することができる。デバイスが比較的真っ直ぐな場合、電極1と電極6との間の距離はZであるが、
図25に示すZ’のように距離が短くなると、制御部は、アラーム/警報を鳴らすか、チューブのよじれの解消を試みるよじれ解消手順を自動的に試みることができる。あるいは、この状態は、デバイスが患者の腸内にあることを示してもよい。なお、屈曲の検知には、任意の電極の対とその対の相対的な距離が関係し得る。例えば、屈曲/よじれがあっても元の電極対のコンダクタンス/インピーダンスは変化しないが、より離れた電極対のコンダクタンス/インピーダンスは変化してもよい。この組み合わせは、屈曲/よじれの状況を示し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、デバイスの屈曲/よじれが極端で、デバイス上の2つの電極が互いに接触し、信号がショートしてしまうことがある。この情報はよじれの評価に使用され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、圧電部材がデバイスに組み込まれ、圧電部材の電気的特性の変化を監視することで、デバイスの配向(屈曲/よじれているか、そうでないかを含む)を判断することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、デバイスのよじれ/屈曲を評価するために、1つまたは複数のストレインゲージを使用することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の加速度計を使用して、デバイスのさまざまな部分の配向を判断することができる。いくつかの実施形態では、デバイスの先端の配向を判定するために、重み付けした先端を使用することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、デバイスの配置に1つまたは複数の圧力センサが使用される。例えば、胃の中でデバイスにかかる圧力は、食道の中でかかる圧力よりも高い。2つ以上の圧力センサを有する実施形態では、2つの圧力測定値の間に差がない場合、これは、1つの圧力センサが胃の中にあり、1つの圧力センサが食道の中にあることを示し得る。2つの同じような圧力の測定値は、デバイスが食道でよじれていることを示している可能性がある。
【0103】
いくつかの実施形態では、導電性流体の注入を使用して、デバイスの屈曲/よじれを評価することができる。配置後、導電性の流体を患者の口内に注入してもよい。デバイスが解剖学的組織において折り返して屈曲されていない状況では、電極は最初により近位側の電極から徐々に遠位側の電極へと導電性信号の増加を読み取る。デバイスが折り返して屈曲されている場合、より近位側の電極が導電性の増加を信号で示すに先だって、遠位側の電極から順番違いで導電性の増加を信号で示すことがあり得る。同様に、デバイスは温度センサと熱い液体または冷たい液体とを使用して、同様の評価を行うことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、デバイスのよじれを低減するために自動空気注入を取り入れている。制御部は、デバイスが挿入される際に、自動的にストリーム、すなわち空気の吹き出しをデバイスに注入する。この空気またはガスは、デバイスを硬化させ、挿入時のよじれを防ぐように機能する。このプロセスは、挿入プロセス全体で自動的に行われることもあれば、抵抗を感じたときにのみ行われたり、デバイスが患者の体内で一定の距離を保ったときに行われることもある。
【0105】
いくつかの実施形態では、スタイレットを使用する代わりに、またはそれに加えて、デバイスのルーメン内で加圧された空気または流体を使用してデバイスを硬化させることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、よじれを防ぐために、挿入中にデバイスを自動的に振動または回転させてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、遠位先端はコークスクリュー形状を有し、挿入中に回転させることができる。
【0108】
いくつかの実施形態は、バルーンまたは他の拡張可能な部材を含み、デバイスが配置された後に偶発的にデバイスが引き抜かれるのを防止することができる。また、胃アクセスデバイスは、胃への挿入後に食道胃接合部に対して膨らませることで、食道への巻き返しや不用意な引き抜きを防止するバルーンを備えていてもよい。
【0109】
また、デバイスの屈曲/よじれを判定する機能を含む実施形態のいずれも、解剖学的組織内のデバイスの形状を評価するためにも使用することができる。すなわち、これらの実施形態は、屈曲/よじれの検知に加えて、一般的なデバイスの形状モデリングに使用することができる。
【0110】
図26は、胃アクセスデバイスを配置する際に使用される解剖学的組織の目標の一部を示す図である。入口2602は、患者の鼻の穴や唇であってもよい。呼吸器-胃接合部(RGJ)2604は、気管と食道との接合部である。下部食道括約筋(LES)2610は、食道の下端部、胃との接合部の手前にある。幽門2612は、胃と腸との境目にある。気管2606は、気管と肺の気管支の分岐点との接合部を示している。気管支2608は、栄養チューブを誤って挿入した場合の推定最大深度を示す。以下に、様々な長さにおける幼児および成人の長さの目安を示す。
【0111】
【表1】
これらの長さに基づいて、胃アクセスデバイスは、配置時および継続的な使用時に、適切な解剖学的組織に適切なタイプのセンサを有するように設計することができる。
【0112】
図27は、
図13に示したデバイスと同様のデバイスを示している。本実施形態では、熱電対などの温度センサ1110は、インピーダンス/導電性電極1108と同じ電極を使用してもよい。また、同じ電極からECGやその他の信号を得ることもできる。
図13は、一実施形態による胃アクセスデバイスの一例を示しているが、センサ/電極の位置や間隔、数は異なっていてもよい。各電極は、その機能に応じて、同じリード線を使用してもよいし、異なるリード線を使用してもよい。
【0113】
図28Aは、
図27に示した胃アクセスデバイスを、解剖学的組織の異なる部分のおおよその長さを示すスケール内に示したものである。寸法は年齢や個人によって大きく異なり、このスケールよりも狭かったり広かったりするが、この図は解剖学的組織および胃アクセスデバイスの両者に視覚的なスケールを提供する。
【0114】
図28Bは、子供の体内での胃アクセスデバイスの配置の一例を示す図である。この例では、5つのインピーダンスセンサ(Z1乃至Z5)および2つの温度センサ(T1、T2)が異なるデバイスの位置/挿入深さに設置されており、デバイスの位置をリアルタイムにマッピングしている。また、電極の対Z3およびZ5は、電極の各対Z3およびZ5の一方の電極に接合された熱電対を含み、温度を測定する。検知された測定値は制御部に中継され、制御部によって処理され、デバイスの解剖学的組織の位置が分類される。また、このデバイスには、栄養供給/投薬ルーメンに内部センサが搭載されており、導入される経腸栄養剤を直接サンプリングすることができる。栄養供給のための胃アクセスデバイスの配置は、Z1乃至Z3が胃内に、Z4が下部食道括約筋(LES)に対して1乃至4cm近位側に、Z5が食道内でZ4よりも近位側に配置されることが予想される。配置のガイダンスおよび確認のために、制御部はデバイスの遠位部分の位置に関する連続的な視覚的フィードバックを操作者に提供する。
【0115】
いくつかの実施形態では、1つの温度センサをデバイスの遠位先端にできるだけ近づけることが望ましいが、遠位先端に近すぎて、前進中に温度センサが一般的に組織に当たってしまうことはない。この最遠位端の温度センサは、デバイスの配置を支援する。デバイスが前進されると、最遠位端の温度センサは、センサがRGJの上にある間、周囲の空気を吸うことに関連付けられた温度変動、またはより低い温度を検知する。さらに食道にデバイスを進めていくと、温度の変動が平坦になるか、平均温度が上昇するはずである。しかしながら、望ましくないことであるが、デバイスを気管内に進入させた場合、最遠位端の温度センサは、気管内に進入しても温度の変動や体温よりも低い温度を検知し続ける。この望ましくない前進により、システムの制御部がユーザに警告を発し、ユーザにデバイスを後退させるよう指示する。
【0116】
いくつかの例では、胃アクセスデバイスが望ましくない形で気管内にある場合があるが、最遠位端の温度センサは組織に密着しているため、温度の変動や体温よりも低い温度を検知することはない。第2のより近位側の温度センサは、デバイスが気管内に誤って配置された場合に、温度の変動や体温よりも低い温度を検知するように配置されている。より近位側の温度センサは、デバイスの遠位端が気管支に過度に入る前にRGJを通過するように、デバイスの長手部分に沿って配置されることが望ましい。
【0117】
ここでは2つの温度センサを示しているが、これよりも少ない数または多い数の温度センサがデバイスに沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス上の各電極は、インピーダンス/導電性、温度、ECG、および場合によってはその他のパラメータを検知することができる。異なる電極の機能は、制御部で制御することができる。検知されたパラメータは、配置時および使用時に交互に変化したり、検知されたパラメータは、患者の体格や解剖学的組織の長さに連動したりする。
【0118】
例えば、胃アクセスデバイスは、10組の電極を含んでいる。患者は背の高い成人であり得る。患者の身長やその他の測定値に基づいて、デバイスに沿った電極に適切な機能を割り当て、これにより、少なくとも最遠位端の温度センサおよび近位側の温度センサを設けて、デバイスが患者に導入されている間に、気管や食道の温度変動および平均温度のうちの少なくともいずれかを検知できるようにする。いくつかの実施形態では、近位側の温度センサは、最遠位端の温度センサが気管支内に進みすぎる前にRGJを通過するように配置されている。いくつかの実施形態では、最遠位端の温度センサは、最遠位端の電極の対の近位側にある。いくつかの実施形態では、最遠位端の温度センサは、最遠位端の電極の対に組み込まれている。
【0119】
追加の電極が、最も近位側で使用される電極の近位側に設けられてもよい。これらの電極は、身長の高い人や体格の良い人には有効であるが、身長の低い人や体格の悪い人には有用ではない。このようにして、同じデバイスを異なる体格および解剖学的組織を有する患者に使用することができる。
【0120】
また、本明細書に開示される温度、インピーダンス/コンダクタンス、ECG、pH、その他のセンサをデバイスの長手部分に沿って使用することで、幽門後の配置を含むあらゆるタイプの配置を検知することができる。例えば、デバイスは、その長手部分の相当の部分に沿って電極を有しており、これにより、制御部は、デバイスを前進させたとき、または前進させた後に、デバイスが配置されている解剖学的部位のすべての部分からセンサ信号を受信することができる。制御部は、温度マップ、インピーダンス/導電性マップ、ECGマップ、pHマップ、組み合わせパラメータマップなどを生成し、これらのシグネチャを分析することで、解剖学的組織内に各電極の位置を決定することができる。これにより、ユーザはカテーテルの先端がどこにあるのかや、栄養供給のための開口部などを把握することができる。
【0121】
図29Aおよび
図29Bは、1つの電極を複数のセンサに使用する実施形態に関する詳細を示す図である。これらの図は、一対の電極がインピーダンスまたはコンダクタンスおよび温度の両者を検知できるように構成したものである。このように電極を共有することで、コストやスペースを削減し、デバイスの小型化を実現している。インピーダンス/導電性電極1108、および温度センサ1110が示されており、これらの実施形態では、インピーダンス/導電性電極のうちの1つであり、本質的に導電性を備える(すなわち、金属の)バンドである。これは、インピーダンス/コンダクタンス電極1108をリード線2902を介して制御部に接続し、温度センサの熱電対をリード線2904を介して制御部に接続することで実現できる。これらの図は、異なるセンサのためのリード線の個別の対を示しているが、いくつかの実施形態では、2つのセンサ間またはそれ以上のセンサ間でリード線を共有することも想定される。
【0122】
図29Aに示すように、リード線は一般的にデバイスの長手部分に沿って延びる。
図29Bは、説明のために、これらの接続と、制御部の関連機能の一部とを示す電気図である。リード線2902は、金属バンドすなわち電極を制御部のインピーダンス/導電性論理領域2906に接続する。リード線2904は、金属バンドすなわち電極を、制御部の温度論理領域2908に接続する。これらの2つの論理領域はスイッチ2910に接続されており、これにより制御部は同じ1つ以上の電極を使用して導電性/インピーダンスまたは温度の測定を切り替えることができる。
【0123】
スイッチ2910は、ECGやpHなどの他の論理領域/検知領域を接続してもよく、ここでは温度および導電性/インピーダンスと同様に、重複する電極を使用してもよい。pH検知の場合は、電極を使用してpHを測定するために、システムに標準物質を組み込むことになる。ECGおよびpHセンサは、インピーダンス/導電性センサと同じリード線を使用し得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、物理的または論理的なスイッチは必要なく、様々なリード線/電極の機能は制御部内の論理によって駆動される。同じ電極で2つの異なるパラメータを検知することは、時間的にも重なることがある。例えば、制御部は同じ電極から温度およびインピーダンスの両者を同時に検知することができる。制御部は、サンプリングレートが許せば、温度、インピーダンス、ECGを実質的に同時に検知することができる。例えば、サンプリングレートは5サンプル/秒よりも大きくてもよい。これに代えて、例えば、サンプリングレートは10サンプル/秒よりも大きくてもよい。これに代えて、例えば、サンプリングレートは20サンプル/秒よりも大きくてもよい。これに代えて、例えば、サンプリングレートは100サンプル/秒よりも大きくてもよい。
【0125】
これらのタイプのセンサに360度、またはほぼ360度の導電性バンドを使用することの別の利点は以下の通りである。
【0126】
各センサのインピーダンス/導電性センサ(一般的には2つの電極リングで構成されているが、1つ、2つ、またはそれ以上の電極リングで構成されている場合もある)は、2つのリングの間の最小インピーダンス、または最大導電性の経路を測定しようとする。つまり、インピーダンス/導電性センサは、リングの周囲上360度を同時に検知していることになる。例えば、インピーダンス/導電性センサの2つのリングが胃壁に当接している場合、胃壁組織は栄養チューブの片側、つまり電極リングの片側のみにしか接触していない。センサは、リングの周囲の大部分が高導電性/低インピーダンスの環境と接触していなくても、胃壁組織との上記接触の高導電性/低インピーダンスを検知する。つまり、360度リングを使ったインピーダンス/導電性センサは、実質的にはスポットセンサなのである。
【0127】
一方、各温度センサは、360度の電極や導電性リングに熱電対を接合したものであってもよい。この接合により、熱電対は実質的にリングの周囲上の平均温度を検知していることになる。栄養チューブ、つまり温度センサが組織に押し付けられている状況では、温度センサは組織の平均的な温度と、リングの残りの周囲を包囲する環境を検知する。これにより、栄養チューブが呼吸器系の壁部に突き当たっていても、温度センサが呼吸器系の呼吸を検知し、誤検知を避けることができる。つまり、360度リングを利用した温度センサは、本質的には環境平均センサなのである。
【0128】
2種類のセンサに同じ電極を使用することで、システムは組織への接触(導電性/インピーダンス検知に切り替える)および温度環境(温度検知に切り替える)の両者を検知することができる。制御部は、現在の必要性や特定のセンサの位置に応じて、この2つの間を切り替えることができる。
【0129】
制御部は、一定振幅の交流電流を印加したときの電極対の電圧降下(周期的な電圧信号の振幅)を測定することにより、インピーダンスを決定することができる。例えば、AC電流は30kHz、100μA(ピーク間)とすることができる。温度測定は、一方の電極リングに熱的に接合された銅/コンスタンタン熱電対(T型)を使用して得ることができる。この設計解決手段により、断続的な組織接触や他の交絡因子があっても、真のインピーダンスおよび温度の測定を容易にする360度の検知が可能になる。センサの位置は、各センサが局所的な環境を測定した結果に基づいて、デバイスの解剖学的な位置を正確に分類するように設計されている。胃アクセスデバイスは、患者の上部消化管(GI)内でのセンサの最終的な最適位置を確保するための挿入長の決定に一般的に使用されている臨床的な鼻-耳-中-腰(NEMU)法に基づいて、最適なセンサ間隔を確保するために異なる長さにすることができる。インピーダンスおよび温度データは、二次的な非流体接触ルーメンを介して制御部にリアルタイムで配信することができる。センサデータは、制御部によって、配置(デバイスの挿入時、または定期的な位置の監視)および胃の状態(栄養供給時のGRV胃空洞化などの判定)の2つの異なる機能について分析されてもよい。
【0130】
配置機能では、デバイスの位置を分類するために、2つの部分からなる同時解析を使用することができる。すなわち、(1)時系列の温度パターン認識機能、および(2)食道、胃、呼吸器系などの内部のデバイス先端の配置を識別するためのインピーダンス閾値分類器(ITC)である。
【0131】
温度パターン認識機能は、センサT1およびT2からの温度データを約5Hzの速度で評価し、連続する局所的な最大値および最小値(LMM)を識別および分類することで、気道内へのデバイスの誤配置を検知することができる。一旦温度パターン認識機能により、2つの呼吸サイクルを代表するパターンがLMMに認識されると(通常、乳児では2乃至4秒以内に発生し、成人ではより長い)、気道の誤配置が肯定的に判定される。
【0132】
温度解析と同時に、または温度解析と並行して、配置機能でデバイスに沿ったインピーダンス測定を連続的または断続的に評価する。一般的に、胃のインピーダンス測定値は食道に比べて相当低いものである。いくつかの実施形態では、胃と食道とを区別するには、350Ωの単一の閾値で十分である。いくつかの実施形態では、位置を定義する閾値分類器は、3つの遠位側センサのうちの少なくとも2つのインピーダンス測定値に基づいている。これにより、断続的な組織接触や胃内の気泡などの交絡因子があっても、適切な設置を確実に行うことができる剛健なアプローチが提供される。
【0133】
【表2】
なお、ここでは350Ωのカットオフを示しているが、カットオフは約350Ω乃至400Ωの範囲であってもよい。これに代えて、カットオフは、約350Ω乃至450Ωの範囲内とすることもできる。これに代えて、カットオフは、約350Ω乃至500Ωの範囲内とすることもできる。これに代えて、カットオフは、約350Ω乃至650Ωの範囲内とすることもできる。これに代えて、カットオフは、約300Ω乃至400Ωの範囲内とすることもできる。
【0134】
胃の状態の機能は、患者のリアルタイムの胃の内容物の構成を以下に基づいて計算する。すなわち、1)栄養供給前の患者の空っぽの胃のインピーダンス測定(この測定は、1つまたは複数の最遠位側の電極対を用いて行うことができる)、(2)調合薬のインピーダンス測定(デバイスルーメン内の内部センサを用いて検知)、(3)胃内のリアルタイムの平均インピーダンス値(1つまたは複数の最遠位側の電極対を用いて検知)、および(4)ライブラリからの適切な検量線の選択である。胃内容物の組成パターン特性の変化を4時間、8時間、12時間、24時間のウィンドウで時系列および潜在変数のトレンド分析の両者を用いて評価し、胃の状態を自動的にフィードバックすることができる。異なるステータスのカテゴリーには次のようなものがある。すなわち、1)栄養供給が最適化されている、2)栄養供給不耐性のリスクが低い(カロリー目標が達成されていない場合は栄養供給を進める)、3)栄養供給不耐性のリスクが高い(栄養供給不耐性の臨床的徴候がある場合は栄養供給を減らす)である。
【0135】
配置および胃の状態の機能出力は制御部上に視覚的に表示され、臨床スタッフにリアルタイムにフィードバックされる。再利用可能なポールマウント型制御部には、ユーザインターフェースディスプレイが搭載されており、標準的なコンセントから電力を供給することができ、12時間以上の連続機能をサポートする内蔵バッテリーを搭載することができる。デバイスの初期配置のために、操作者は以下のような通知を受け取る。すなわち、(1)オレンジ色の食道:「デバイスの遠位先端は食道にある。前進を継続」、(2)赤色の肺:「デバイスの遠位先端が気道に入った状態。後退させる」、(3)緑色の胃:「デバイスの遠位先端が胃の中に適切に配置されている」である。一旦胃の位置が正しく設定された後は、制御部の胃の状態機能により、消化の変化を継続的に監視し、最適な栄養供給方法を自動的にフィードバックする。すなわち、1)栄養供給が最適化されている、2)栄養供給不耐性のリスクが低い(栄養供給を進める)、3)栄養供給不耐性のリスクが高い(栄養供給を低減する)。
【0136】
場合によっては、ユーザが栄養チューブの栄養供給ルーメンから薬を導入することもある。この薬は、砕いた錠剤やその他のかさばる物質の形態をとり得る。栄養チューブの栄養供給ルーメンは、添加された薬剤のためにしばしば閉塞されることがあり、閉塞を解除するのは困難である。薬剤の大きな粒子が栄養チューブに入るのを防ぐために、胃アクセスデバイスや任意の栄養チューブと組み合わせて、詰まり防止機構を使用することができる。
【0137】
図30Aは、どのような栄養チューブにも使用可能な薬剤導入付属物である。薬剤粉砕機3002は、回転セグメント3006およびシース3008を含む。錠剤などの薬剤3004は、回転セグメント3006内の空洞に導入される。歯、または他の粉砕機構(図示しない)が、空洞と連通している。錠剤が空洞に入った後にシースを回転させることで、付属物から薬剤が出てしまうのを防ぐことができる。2つの回転セグメントを続いて互いに回転させて薬剤を粉砕し、栄養チューブを詰まらせることなく栄養チューブの栄養供給ルーメンに入るのに十分な大きさの粒子にする。粉砕機構は、ペッパーグラインダのようなものであってもよい。いくつかの実施形態では、粉砕動作はラチェット動作であってもよく、セグメントを一方向に回転させたときにのみ薬剤が粉砕され、逆方向に回転させたときには粉砕されないという、やはりペッパーグラインダに似た動作をする。
【0138】
図30Bに示すように、粉砕機付属物3002は、栄養チューブまたは胃アクセスデバイスに接続される。
【0139】
図30Cは、別例による詰まり防止機構を示す。この導入器付属物3010には、大きな塊の薬剤が栄養チューブに入るのを防ぐためのリミッタ、フィルタ、カッタなどが含まれる。
図30Cに示すように、フィルタは、金網、すなわちクロス3012の形態であってもよい。ワイヤフィルタは、直径0.003インチ(約76.2μメートル)のステンレスワイヤなどを使用することができる。
図30Dは、一実施形態による狭窄部3014を含む導入器付属物3010を示す。狭くすることで、薬剤の塊が栄養チューブに入らないようにしているのである。栄養供給内の薬剤の塊が、狭窄部3014の直径よりも大きい場合、これらは栄養チューブには導入されない。狭窄部3014は、栄養チューブの栄養供給ルーメンの直径よりも小さい直径を有している。
【0140】
詰まり防止機構の他の実施形態では、開口部から押し出された薬剤の大きな塊を切断するための鋭利な刃が設けられる場合がある。
【0141】
図30Eに示すように、導入器付属物3010は、栄養チューブまたは胃アクセスデバイスに接続される。
【0142】
本明細書で開示するいずれかの実施形態の制御部は、状況データを分析および/または表示する機能を含むことができる。例えば、逆流の履歴を収集、分析、表示し、制御部の自動制御に利用することができる。例えば、逆流が多い患者は、より頻繁に、あるいは継続的に吸引事象を行う必要がある。制御部は、逆流事象の程度および/または頻度を考慮して、逆流吸引スケジュールおよび/または吸引レベルを決定してもよい。また、文脈上の逆流情報は、吸引事象中に拡張可能な部材が拡張されるかどうかを決定することもできる。また、状況における栄養供給、GRV、配置情報もこの方法で使用することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、胃アクセスデバイスは、胃の壁部で生成された受動的な電気信号を検知するために、デバイスに沿った電極を使用することができる。これらの信号は、蠕動運動などの胃の健康状態を評価するために使用され得る。
【0144】
GRV/胃の空洞化は、測定可能なパラメータを持つ付加的な要素を導入することにより、システムによって経時的に追跡することができる。この場合、パラメータは胃の内容物のレベルとは異なるレベルにある。パラメータのレベルは、栄養チューブのセンサによって検知され、その変化を経時的に分析してGRV/胃空洞化を決定する。例えば、胃の内容物(栄養供給物など)よりも低い導電性の流体を、1回のボーラスで、あるいは複数回に分けて、あるいは継続的に、あるいは時間をかけて、胃の中に導入することができる。胃アクセスデバイスに沿ったセンサは、導電性/インピーダンスセンサであってもよく、デバイスに沿った導電性/インピーダンスを経時的に検知して、GRV/胃の空洞化を判定することができる。また、温度、pH、化学的含有量、光学的パラメータなど、他のパラメータを使用することもできる。
【0145】
いくつかの実施形態では、センサは、デバイスの添加物要素送出ルーメン(栄養供給ルーメンであってもよいし、別のルーメンであってもよい)の内部にも存在する。この1つ以上のセンサは、胃に添加する前に添加物のパラメータを測定し、これにより添加物のパラメータレベルが胃に導入される前にわかるようにしてもよい。これにより、制御部はGRV/胃の空洞化をより正確に判断することができる。例えば、上記の導電性/インピーダンスの例では、一対の電極がデバイスの栄養供給ルーメン内に存在し、胃に入る直前の添加物(栄養供給物であってもよい)の導電性/インピーダンスを測定することができる。電極は、栄養供給ルーメンの内面と同一平面上にあってもよい。この測定値は、GRV/胃内容物によるパラメータの変化を正確に判断できるように、GRV/胃空洞化分析に織り込むことができる。この内側ルーメンセンサは、「キャリブレーションセンサ」と考えてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、制御部は、デバイスの栄養供給ルーメン内の栄養供給物または液体を検知すると、GRVを監視するために栄養供給モードに切り替わる。
【0147】
胃アクセスデバイスが栄養供給モードにあるとき、それは異なる状態に置かれる可能性がある。例えば、1)栄養供給が最適化される、2)栄養供給不耐性のリスクが低い(カロリー目標が達成されていない場合は栄養供給を進める)、3)栄養供給不耐性のリスクが高い(不耐性の臨床的兆候がある場合は、栄養供給を減らす)である。いくつかの実施形態では、胃アクセスデバイスは、添加物(この場合は食物)のパラメータの測定に基づいて、胃内の食物対胃液の濃度%を経時的に測定できる。これらの実施形態は、キャリブレーションセンサを含んでいてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、消化器系の健康は、添加物のボーラスを提供し、ボーラスの直後にGRV/胃空洞化を追跡することによって評価することができる。GRV/胃空洞化プロファイルは、健康なヒトや不健康なヒト、および/または集団のプロファイルと比較することで、特定の患者の健康状態を判断するために使用することができる。例えば、高濃度のグルコースを添加したボーラスを使用し、ボーラス後のGRV/胃空洞化をモニタリングすることができる。また、血糖値などの他の指標を監視することもできる。
【0149】
本明細書に開示されたいずれかの実施形態における特徴のいずれかは、他の特徴のいずれかと組み合わせてもよく、本明細書に開示されたいずれかの実施形態で使用してもよい。
【0150】
データ処理システムの例
図31は、本発明の任意の実施形態で使用することができるデータ処理システムを示すブロック図である。例えば、システム3100は、本明細書に開示される制御部/モニタの一部として使用されてもよい。
図31は、コンピュータシステムの様々な構成要素を図示しているが、これは構成要素を相互接続する特定のアーキテクチャまたは方法を表すことを意図したものではなく、従って、そのような詳細は本発明には関係ない。また、ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイルデバイス、タブレット、携帯電話、およびより少ない構成要素を有する、またはおそらくより多くの構成要素を有する他のデータ処理システムもまた、本発明と組み合わせて使用され得ることが理解されるであろう。
【0151】
図31に示すように、データ処理システムの一実施形態であるコンピュータシステム3100は、1つ以上のマイクロプロセッサ3103およびROM3107、揮発性RAM3105、並びに不揮発性メモリ3106に結合されたバスまたはインターコネクト3102を含む。マイクロプロセッサ3103は、キャッシュメモリ3104に結合されている。バス3102は、これらの様々な構成要素を相互に接続するとともに、これらの構成要素3103、3107、3105、3106をディスプレイ制御部およびディスプレイデバイス3108、並びにマウス、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、プリンタ、および当該技術分野で周知の他のデバイスである入力/出力(I/O)デバイス3110に相互に接続する。
【0152】
典型的には、入出力デバイス3110は、入出力制御部3109を介してシステムに結合される。揮発性RAM3105は、典型的には、メモリ内のデータをリフレッシュまたは維持するために連続的に電力を必要とするダイナミックRAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ3106は、典型的には、磁気ハードドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、またはDVD-RAMまたは他のタイプのメモリシステムであって、システムから電源が除去された後もデータを維持するものである。通常、不揮発性メモリは、これは必須ではないが、ランダムアクセスメモリにもなる。
【0153】
図31は、不揮発性メモリが、データ処理システムの残りの構成要素に直接結合されたローカルデバイスであることを示しているが、本発明は、システムから遠隔にある不揮発性メモリを利用してもよい;例えば、モデムまたはイーサネットインターフェースのようなネットワークインターフェースを介してデータ処理システムに結合されたネットワーク記憶装置を利用してもよい。バス3102は、当該技術分野で周知のように、様々なブリッジ、制御部、および/またはアダプタを介して互いに接続された1つ以上のバスを含んでもよい。一実施形態では、I/O制御部3109は、USB周辺機器を制御するためのUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)アダプタを含む。これに代えて、I/O制御部3109は、FireWire(登録商標)デバイスを制御するために、FireWire(登録商標)アダプタとしても周知のIEEE-1394アダプタを含んでもよい。
【0154】
前述の詳細な説明の一部は、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットに対する操作のアルゴリズムおよび記号的表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズムの記述および表現は、データ処理技術の当業者が、その仕事の本質を最も効果的に他の当業者に伝えるために使用する方法である。アルゴリズムとは、ここでは、一般的には、望ましい結果につながる自己矛盾のない一連の操作であると考えられている。操作は、物理量の物理的な操作を必要とするものである。
【0155】
しかしながら、これらの用語および類似の用語はすべて適切な物理量と関連づけられるべきであり、これらの量に適用される便利なラベルにすぎないことを念頭に置くべきである。上記の議論から明らかなように特に別段の記載がない限り、本明細書全体を通して、以下の特許請求の範囲に記載されているような用語を利用した議論は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(電子的)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタ、または他のそのような情報記憶装置、送信装置、または表示装置内の物理的量として同様に表される他のデータに操作するとともに変換するコンピュータシステム、または同様の電子計算装置の作用およびプロセスを指すことが理解されるであろう。
【0156】
図示の技術は、1つ以上の電子デバイスに記憶されるとともに実行されるコードおよびデータを使用して実施することができる。このような電子デバイスは、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク;光学ディスク;ランダムアクセスメモリ;読み取り専用メモリ;フラッシュメモリデバイス;相変化メモリ)および一過性のコンピュータ可読伝送媒体(例えば、電気的、光学的、音響的または他の形態の伝搬信号-搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などのコンピュータ可読媒体を使用してコードおよびデータを記憶するとともに(内部的に、かつ/またはネットワークを介して他の電子デバイスと)通信することができる。
【0157】
前述の図に描かれたプロセスまたは方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジックなど)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、非一過性のコンピュータ可読媒体上に具現化されたもの)、またはその両者の組み合わせからなる処理ロジックによって実行されてもよい。プロセスまたは方法は、いくつかの連続した操作に関して上記で説明されているが、説明された操作のいくつかは、異なる順序で実行されてもよいことを理解すべきである。さらに、一部の操作は、順次ではなく並列に実行されてもよい。
【0158】
本明細書に開示されているすべての実施形態は、本明細書に開示されている他の実施形態の特徴を組み込むことができる。