(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】治療および画像化のためのデンドリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 69/48 20060101AFI20240822BHJP
A61K 51/08 20060101ALI20240822BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240822BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20240822BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20240822BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240822BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240822BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240822BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240822BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 15/14 20060101ALI20240822BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C08G69/48
A61K51/08 100
A61K51/08 200
A61K47/60
A61P35/00
A61K45/00
A61K38/07
A61K38/08
A61K31/537
A61K31/337
A61K31/7068
A61P13/08
A61P1/18
A61P1/04
A61P11/00
A61P15/00
A61P15/14
A61P25/00
A61P43/00 121
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2021529310
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 AU2019051312
(87)【国際公開番号】W WO2020107078
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521014984
【氏名又は名称】スターファーマ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン,デビッド ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ハフトン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】サレット,クリストファー ジェームス
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-511222(JP,A)
【文献】国際公開第2017/075171(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107349439(CN,A)
【文献】国際公開第2008/017122(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0326081(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0244070(US,A1)
【文献】特表2009-523738(JP,A)
【文献】特表2012-533560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合するデンドリマーであって、
前記組立てユニット(BU)は、リシン残基または以下の構造:
【化7】
からなる群から選択され;
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが錯化基と放射性核種とを含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが
ポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基から選択される薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含むデンドリマー、
またはその塩。
【請求項2】
前記錯化基が、DOTA基、ベンジル-DOTA基、NOTA基、DTPA基、サルコファギン基またはDFO基である、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項3】
前記放射性核種が、ルテチウム、ガドリニウム、ガリウム、ジルコニウム、アクチニウム、ビスマス、アスタチン、テクネチウムまたは銅の放射性核種である、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項4】
前記放射性核種が、銅-64、銅-67、ジルコニウム-89、ルテチウム-177、アクチニウム-225またはアスタチン-211の放射性核種である、請求項3に記載のデンドリマー。
【請求項5】
前記薬物動態学改変部分がポリエチレングリコール(PEG)基
である、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項6】
前記薬物動態学改変部分が、平均分子量が500ダルトン~3000ダルトンの範囲にあるPEG基である、請求項5に記載のデンドリマー。
【請求項7】
最外組立てユニットに結合する第3の末端基を含み、該第3の末端基が医薬活性薬剤の残基を含む、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項8】
前記医薬活性薬剤が抗がん剤または放射線増感剤である、請求項7に記載のデンドリマー。
【請求項9】
前記抗がん剤が、アウリスタチン、メイタンシノイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤およびヌクレオシド類似体からなる群から選択される、請求項8に記載のデンドリマー。
【請求項10】
前記抗がん剤が、アウリスタチンA、モノメチルアウリスタチンF、カバジタキセル、ドセタキセル、SN-38およびゲムシタビンからなる群から選択される、請求項9に記載のデンドリマー。
【請求項11】
医薬活性薬剤の前記残基が、切断可能なリンカーを介して最外組立てユニットに共有結合する、請求項7に記載のデンドリマー。
【請求項12】
前記コアユニットがアミド連結を介して少なくとも2つの組立てユニットに共有結合し、この場合、それぞれのアミド連結が、前記コアユニットに存在する窒素原子と、組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成される、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項13】
前記コアユニットが、2つのアミノ基を含むコアユニット前駆体から形成される、請求項
12に記載のデンドリマー。
【請求項14】
前記コアユニットが
【化2】
である、請求項
13に記載のデンドリマー。
【請求項15】
異なる世代の組立てユニットが、1つの組立てユニットに存在する窒素原子と、別の組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成されるアミド連結を介して互いに共有結合する、請求項1に記載のデンドリマー。
【請求項16】
前記組立てユニットがそれぞれ、
【化3】
である、請求項
15に記載のデンドリマー。
【請求項17】
前記第1の末端基が最外組立てユニットの窒素原子に結合し、前記第2の末端基が最外組立てユニットの窒素原子に結合する、請求項
15に記載のデンドリマー。
【請求項18】
前記最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも40%が第2の末端基に結合する、請求項
17に記載のデンドリマー。
【請求項19】
前記デンドリマーが、最外組立てユニットの窒素原子に結合する第3の末端基を含み、該第3の末端基が医薬活性薬剤の残基を含み、
前記医薬活性薬剤がヒドロキシル基を含み、医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介し、切断可能なリンカーを経由して、最外組立てユニットに共有結合し、該切断可能なリンカーが、下記式のジアシルリンカー基である、請求項
15に記載のデンドリマー:
【化4】
式中、Aは、O、S、S-S、NHまたはN(Me)によって場合により中断されるC
2~C
10アルキレン基であり、あるいはAは、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジンおよびN-メチルピロリジンからなる群から選択される複素環である。
【請求項20】
前記ジアシルリンカーが
【化5】
である、請求項
19に記載のデンドリマー。
【請求項21】
-NH
2基を含有する最外組立てユニット、および/またはアセチル基によりキャップ処理される窒素原子を含有する最外組立てユニットを含む、請求項
15に記載のデンドリマー。
【請求項22】
最も外側の世代の組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも80%が置換される、請求項
15に記載のデンドリマー。
【請求項23】
外側組立てユニットと、第2の末端基とを含む下記式の表面ユニットを含む、請求項1に記載のデンドリマー:
【化6】
式中、Rは第1の末端基または第3の末端基を表す。
【請求項24】
請求項1~
23のいずれか一項に記載のデンドリマー及び医薬的に許容され得る賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項25】
対象におけるがんの診断のための、がんを有する対象のための適切な治療法を決定するための、対象に施されるがん治療法の有効性を判定するための、またはがんの進行を対象において判定するための、請求項
24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
がんの処置のための、請求項
24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記がんが、前立腺がん、膵臓がん、胃腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん、乳がん、脳がんまたは卵巣がんである、請求項
26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
がんを診断するための、がんを有する対象のための適切な治療法を決定するための、対象に施されるがん治療法の有効性を判定するための、またはがんの進行を対象において判定するための医薬品の製造における請求項1~
23のいずれかに記載のデンドリマーの使用。
【請求項29】
がんを処置するための医薬品の製造における請求項1~
23のいずれかに記載のデンドリマーの使用。
【請求項30】
前記がんが、前立腺がん、膵臓がん、胃腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん、乳がん、脳がんまたは卵巣がんである、請求項
29に記載の使用。
【請求項31】
前記がんが、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状膠細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫または頭蓋咽頭腫の脳腫瘍である、請求項
29に記載の使用。
【請求項32】
前記デンドリマーがさらなる抗がん薬物との組み合わせで投与される、請求項
29に記載の使用。
【請求項33】
下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する放射性核種含有デンドリマーであって、
前記組立てユニットは、リシン残基または以下の構造:
【化8】
からなる群から選択され;
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが、放射性核種を錯化するための錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが
ポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基から選択される薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体。
【請求項34】
請求項1~25のいずれかに記載のデンドリマーを製造するためのキットであって、
a)放射性核種;および
b)放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体;
を含み、
前記放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体が、
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する放射性核種含有デンドリマーであって、
前記組立てユニットは、リシン残基または以下の構造:
【化9】
からなる群から選択され;
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが、放射性核種を錯化するための錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが
ポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基から選択される薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む、キット。
【請求項35】
請求項1~25のいずれかに記載のデンドリマーの製造するためのプロセスであって、
中間体を放射性核種と接触させ、それにより該デンドリマーを製造することを含み、
前記中間体が、
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する放射性核種含有デンドリマーであって、
前記組立てユニットは、リシン残基または以下の構造:
【化10】
からなる群から選択され;
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが、放射性核種を錯化するための錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが
ポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基から選択される薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射性核種含有部分を含むデンドリマーに関する。本発明のデンドリマーは、例えば、腫瘍の画像化とともに、診断応用、セラノスティック応用および治療応用において使用が見出される。本開示はまた、本発明のデンドリマーを含む医薬組成物、ならびに本発明のデンドリマーを使用する診断方法、画像化方法、治療決定方法および処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子画像化技術には、単一モダリティ、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴分光法(MRS)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波画像化、生物発光画像化、蛍光画像化など、ならびにまた、マルチモダリティ、例えば、PET/CT、SPECT/CTおよびPET/MRIなどの両方が含まれる。放射性核種に基づく画像化方法は、とりわけPETは、それらの高い感度(ピコモル濃度レベル)および制限のない組織浸透のために、診断応用および治療応用の両方のための活発な研究領域であり続けている。
【0003】
放射線療法は、DNA損傷および細胞周期停止を誘導することができるためにがんに対する強力なツールである。およそ50%のがん患者が放射線療法を受け、40%前後が成功している。体内照射では、主にアルファ放射性またはベータ放射性の放射性核種が腫瘍に送達される。放射線療法を、有害な部位外放射線被曝を最小限に抑えながら所望の部位に送達する既存の方法には、模倣物、例えば、Xifigo(Ra223、Bayer)など、放射性ビーズ、例えば、シルスフェア(sirsphere)(Y-90Sirtex)など、および標的化療法、例えば、Lutathera(AAA/Novartis)などが含まれる。しかしながら、放射線治療薬および放射性画像化剤の腫瘍部位への改善された送達を可能にする治療法が求められている。加えて、同じ薬剤または近縁の薬剤を使用して画像化および治療の両方を可能にするラジオセラノスティクス(radiotheranostics)が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デンドリマーを放射能標識することは、様々な疾患タイプ、とりわけがんの早期疾患検出、正確な診断および個別化治療のための増強された感度の大きい可能性を有することが見出されている。デンドリマーは様々な表面官能基を1つの表面に提示させることができ、例えば、画像化安定性を与えるための放射性核種錯体、および溶解性を著しく増大させ、かつステルス性(stealth)を与えることができる薬物動態学改変剤などを提示させることができる。
【0005】
本発明は部分的には、放射性核種含有部分に結合する最外窒素原子を有するリシンまたはリシン類似体の組立てユニットと、薬物動態学改変部分に結合する最外窒素原子を有するリシンまたはリシン類似体の組立てユニットとに基づくデンドリマーが腫瘍画像化応用において予想外に効果的であるという発見に基づいている。実施例の放射性核種含有デンドリマーは驚くべきことに、脳腫瘍を含めて様々な腫瘍において高度に集積することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の局面において、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合するデンドリマーであって、
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが放射性核種含有部分を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含むデンドリマー、またはその塩が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の末端基は錯化基と放射性核種とを含む。いくつかの実施形態において、錯化基は、DOTA基、ベンジル-DOTA基、NOTA基、DTPA基、サルコファギン基またはDFO基である。いくつかの実施形態において、錯化基は、DOTA基、ベンジル-DOTA基、NOTA基、DTPA基またはDFO基である。いくつかの実施形態において、放射性核種含有部分における放射性核種は、ルテチウム、ガドリニウム、ガリウム、ジルコニウム、アクチニウム、ビスマス、アスタチン、テクネチウムまたは銅の放射性核種である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、ガドリニウム、ジルコニウムまたはルテチウムの放射性核種である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、銅、ジルコニウム、ルテチウム、アクチニウムまたはアスタチンの放射性核種である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、銅-64、銅-67、ジルコニウム-89、ルテチウム-177、アクチニウム-225またはアスタチン-211の放射性核種である。いくつかの実施形態において、放射性核種はα放射体である。いくつかの実施形態において、放射性核種はβ放射体である。
【0008】
いくつかの実施形態において、薬物動態学改変部分は、ポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基である。いくつかの実施形態において、薬物動態学改変部分は、平均分子量が少なくとも500ダルトンであるPEG基である。いくつかの実施形態において、薬物動態学改変部分は、平均分子量が500ダルトン~3000ダルトンの範囲にあるPEG基である。いくつかの実施形態において、PEG基はメトキシ末端PEGである。
【0009】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、最外組立てユニットに結合する第3の末端基を含み、該第3の末端基は医薬活性薬剤の残基を含む。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は抗がん剤または放射線増感剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、アウリスタチン、メイタンシノイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤およびヌクレオシド類似体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、モノメチルアウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF、カバジタキセル、ドセタキセル、SN-38およびゲムシタビンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、カバジタキセル、ドセタキセルおよびSN-38からなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤の残基はリンカーを介して最外組立てユニットに共有結合する。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤の残基は、切断可能なリンカーを介して最外組立てユニットに共有結合する。いくつかの実施形態において、リンカーは、下記に示すものである:
【0011】
【0012】
いくつかの実施形態において、コアユニットは、組立てユニットを介する以外には末端基のための結合点を提供しない。
【0013】
いくつかの実施形態において、組立てユニットの世代は完全な世代である。
【0014】
いくつかの実施形態において、コアユニットはアミド連結を介して少なくとも2つの組立てユニットに共有結合し、この場合、それぞれのアミド連結が、コアユニットに存在する窒素原子と、組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成される。いくつかの実施形態において、デンドリマーのコアユニットは、2つのアミノ基を含むコアユニット前駆体から形成される。いくつかの実施形態において、コアユニットは、下記に示すものである:
【0015】
【0016】
いくつかの実施形態において、異なる世代の組立てユニットが、1つの組立てユニットに存在する窒素原子と、別の組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成されるアミド連結を介して互いに共有結合する。いくつかの実施形態において、組立てユニットはリシン残基またはその類似体である。いくつかの実施形態において、組立てユニットはそれぞれが、下記に示すものである:
【0017】
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の末端基は最外組立てユニットの窒素原子に結合し、第2の末端基は最外組立てユニットの窒素原子に結合する。いくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の1個~3個が第1の末端基に結合する。いくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも40%が第2の末端基に結合する。
【0019】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、最外組立てユニットの窒素原子に結合する第3の末端基を含み、該第3の末端基は医薬活性薬剤の残基を含む。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介し、切断可能なリンカーを経由して、最外組立てユニットに共有結合し、該切断可能なリンカーがジアシルリンカー基である。いくつかの実施形態において、ジアシルリンカー基は、下記式で示されるものである:
【0020】
【0021】
式中、Aは、O、S、S-S、NHまたはN(Me)によって場合により中断されるC2~C10アルキレン基であり、あるいはAは、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジンおよびN-メチルピロリジンからなる群から選択される複素環である。
【0022】
いくつかの実施形態において、ジアシルリンカーは、下記に示すものである:
【0023】
【0024】
いくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも1/3が第3の末端基に結合する。
【0025】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、-NH2基を含有する最外組立てユニット、および/またはアセチル基によりキャップ処理される窒素原子を含有する最外組立てユニットを含む。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する窒素原子の少なくとも80%が置換される。
【0026】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、外側組立てユニットと、第2の末端基とを含む下記式の表面ユニットを含む:
【0027】
【0028】
式中、Rは第1の末端基または第3の末端基を表す。
【0029】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、本明細書中に記載されるような実施例デンドリマーのいずれか1つである。
【0030】
別の局面において、複数のデンドリマーまたはその塩を含む組成物であって、
組成物中のデンドリマーの少なくともいくつかが、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載される通りであり、
組成物中のデンドリマーあたりの第1の末端基の平均数が約0.2~8の範囲にあり、かつ
組成物中のデンドリマーあたりの第2の末端基の平均数が約10~32の範囲にある
組成物が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態において、組成物中のデンドリマーあたりの第3の末端基の平均数が約10~31の範囲にある。いくつかの実施形態において、組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物である。
【0032】
別の局面において、対象ががんを有するかどうかを判定する方法であって、
その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つに従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物を対象に投与すること、
画像化を対象の身体またはその一部に対して行うこと、および
対象ががんを有するかどうかを画像化結果に基づいて判定すること
を含む方法が提供される。
【0033】
別の局面において、がんを対象において画像化する方法であって、
その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物を、がんを有する対象に投与すること、
画像化を対象の身体またはその一部に対して行うこと
を含む方法が提供される。
【0034】
別の局面において、がんの進行を対象において判定する方法であって、
その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の第1の量を、がんを有する対象に投与すること、
第1の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うこと、
続いて、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の第2の量を対象に投与すること、
第2の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うこと、および
がんが進行しているかどうかを第1および第2の画像化結果に基づいて判定すること
を含む方法が提供される。
【0035】
別の局面において、がんを有する対象のための適切な治療法を決定する方法であって、
その様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物を対象に投与すること、
画像化を対象の身体またはその一部に対して行うこと、および
画像化結果が所与の治療法による処置に対するがんの感受性を示しているかどうかを判定し、これにより該治療法を対象に施すこと
を含む方法が提供される。
【0036】
別の局面において、がんを有する対象に施されるがん治療法の有効性を判定する方法であって、
その様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の第1の量を対象に投与すること、
第1の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うこと、
がん治療法を対象に施すこと、
続いて、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態また実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の第2の量を対象に投与すること、
第2の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うこと、および
がん治療法の有効性を第1および第2の画像化結果に基づいて判定すること
を含む方法が提供される。
【0037】
治療法が施される上記方法のいずれかのいくつかの実施形態において、該治療法は、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物である。
【0038】
別の局面において、がんを処置する方法であって、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の治療効果的な量を、その必要性のある対象に投与することを含む方法が提供される。
【0039】
別の局面において、対象におけるがんの診断において使用するための、がんを有する対象のための適切な治療法を決定する際に使用するための、がんの進行を判定する際に使用するための、またはがん治療法の有効性を判定する際に使用するためのデンドリマーまたは医薬組成物であって、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物が提供される。
【0040】
別の局面において、がんの処置において使用するためのデンドリマーまたは医薬組成物であって、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマー、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物が提供される。
【0041】
別の局面において、がんを診断するための、またはがんを有する対象のための適切な治療法を決定するための、またはがんの進行を判定するための、またはがん治療法の有効性を判定するための医薬品の製造における、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーの使用、あるいその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の使用が提供される。
【0042】
別の局面において、がんを処置するための医薬品の製造における、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーの使用、あるいはその様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような医薬組成物の使用が提供される。
【0043】
いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がん、膵臓がん、胃腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん、乳がん、脳がんまたは卵巣がんである。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がん、膵臓がん、乳がんまたは脳がんである。いくつかの実施形態において、がんは、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状膠細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫または頭蓋咽頭腫の脳腫瘍である。
【0044】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、さらなる抗がん薬物との組合せで投与される。
【0045】
別の局面において、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する放射性核種含有デンドリマーであって、
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが、放射性核種を錯化するための錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む放射性核種含有デンドリマー、
またはその塩
を製造するための中間体が提供される。
【0046】
別の局面において、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーを製造するためのキットであって、
a)その様々な実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるような放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体、および
b)放射性核種
を含むキットが提供される。
【0047】
別の局面において、その様々な局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーを製造するためのプロセスであって、
【0048】
本明細書中で定義されるような中間体を放射性核種と接触させ、それによって放射性核種含有デンドリマーを製造すること
を含むプロセスが提供される。
【0049】
さらなる局面、実施形態および実施例が本明細書中に記載されており、これらは、上記において記載されるような局面、実施形態または実施例のいずれか1つまたは複数を含み得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bおよびデンドリマー化合物3についての放射能TLC画像を示す。
【
図2】DU-145異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図3】PC3異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図4】DU-145異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物3の注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図5】PC3異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物3の注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図6】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、注射後8時間でのDU145前立腺がん異種移植片およびPC3前立腺がん異種移植片におけるインビボ体内分布を示す図を示す。
【
図7】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、注射後9日でのDU145前立腺がん異種移植片およびPC3前立腺がん異種移植片におけるインビボ体内分布を示す図を示す。
【
図8】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、DU145前立腺がん異種移植片およびPC3前立腺がん異種移植片における時間の関数としての相対的集積のプロットを示す図を示す。
【
図9】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bおよびデンドリマー化合物3についての放射能TLC画像を示す。
【
図10】MDA-MB-468異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図11】MDA-MB-468異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物3の注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図12】PANC-1異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図13】PANC-1異種移植片を有するマウス(n=4)における
89Zr標識されたデンドリマー化合物3の注射後9日(216時間)での体内分布を示す代表的なインビボ画像を示す。腫瘍が画像において白色矢印により示される。
【
図14】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、注射後8時間でのMDA-MB-468乳がん異種移植片およびPANC-1膵臓がん異種移植片におけるインビボ体内分布を示す図を示す。
【
図15】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、注射後9日でのMDA-MB-468乳がん異種移植片およびPANC-1膵臓がん異種移植片におけるインビボ体内分布を示す図を示す。
【
図16】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、MDA-MB-468乳がん異種移植片およびPANC-1膵臓がん異種移植片における時間の関数としての相対的集積のプロットを示す図を示す。
【
図17】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後40時間での神経膠腫保有マウスのPET-MR画像を示す。腫瘍の領域が白色矢印により示される。
【
図18】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bの注射後5日での神経膠腫保有マウスのPET-MR画像を示す。腫瘍の領域が白色矢印により示される。
【
図19】
89Zr標識されたデンドリマー化合物1bまたはデンドリマー化合物3が投与されるマウスのコホートについて、注射後9日での、DU145、PC3、MDA-MB-468およびPANC-1の乳がん異種移植片および膵臓がん異種移植片におけるエクスビボ体内分布を示す図を示す。
【
図20】デンドリマー化合物4b、デンドリマー化合物5および/またはカバジタキセル含有デンドリマーが投与されるマウスのコホートについて、経時的な腫瘍体積における変化率を示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
発明の詳細な説明
(一般的定義)
具体的に別途定義される場合を除き、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当該技術分野(例えば、化学、生化学、医薬品化学および高分子化学など)の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有すると解釈されなければならない。
【0052】
本明細書全体を通して、単語「comprise(含む)」または変化形(例えば、「comprises」または「comprising」など)は、明記された要素、整数または工程、あるいは要素群、整数群または工程群を含むこと、しかし、他の要素、整数または工程、あるいは要素群、整数群または工程群をどのようなものであれ除外しないことを暗示しないことが理解されるであろう。
【0053】
本明細書中で使用される場合、用語「および/または」、例えば、「Xおよび/またはY」は、「XおよびY」または「XまたはY」のどちらかを意味することが理解されなければならず、かつ、両方の意味のための、またはどちらかの意味のための明示的な支持を与えるように解釈されなければならない。
【0054】
本明細書中で使用される場合、約という用語は、反することが述べられる場合を除き、指定された値の+/-20%、より好ましくは+/-10%を示す。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「a」、用語「an」および用語「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示している場合を除き、単数および複数の両方の局面を包含する。
【0056】
別途示されている場合を除き、「第1の」および「第2の」などの用語は、本明細書中では単に表示として使用されており、これらの用語が言及する事項に対して順序要件、位置的要件または序列的要件を課すことを意図しない。そのうえ、「第2の」事項への言及は、より小さい番号の事項(例えば、「第1の」事項)および/またはより大きい番号の事項(例えば、「第3の」事項)の存在を必要としないし、排除もしない。
【0057】
本明細書中で使用される場合、表現「の少なくとも1つ」は、事項の列挙とともに使用されるときには、列挙された事項の1つまたは複数の様々な異なる組み合わせが使用され得ること、および列挙における事項の1つのみが必要とされ得ることを意味する。事項は、特定の目的物、物事またはカテゴリーであり得る。言い換えれば、「の少なくとも1つ」は、任意の組み合わせの事項または任意の数の事項が列挙から使用され得ること、しかし、列挙における事項の必ずしもすべてが要求され得るとは限らないことを意味する。例えば、「事項A、事項Bおよび事項Cの少なくとも1つ」は、事項A;事項Aおよび事項B;事項B;事項A、事項Bおよび事項C;または事項Bおよび事項Cを意味し得る。いくつかの場合において、「事項A、事項Bおよび事項Cの少なくとも1つ」は、例えば、また、限定されないが、事項Aが2つであり、事項Bが1つであり、かつ事項Cが10個であること;事項Bが4つであり、かつ事項Cが7つであること;または何らかの他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語「対象」は、所与の疾患または状態にかかりやすい生物をどのようなものであれ示す。例えば、対象には、動物、哺乳動物、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)または実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター)を挙げることができる。1つの例において、対象は哺乳動物である。1つの実施形態において、対象はヒトである。1つの実施形態において、対象はヒト以外の動物である。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」は、特定の障害または状態に伴う症状を緩和することを含む。例えば、本明細書中で使用される場合、用語「がんを処置する」は、がんに伴う症状を緩和することを含む。1つの実施形態において、用語「がんを処置する」は、がん性腫瘍サイズを減少させることを示す。1つの実施形態において、用語「がんを処置する」は、無増悪生存期間を増大させることを示す。本明細書中で使用される場合、用語「無増悪生存期間」は、患者が疾患と共存して、すなわち、がんと共存して生存しており、しかし疾患の再発を有しない、または疾患の症状における増大を有しないがん処置期間中およびがん処置後の期間の長さを示す。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「防止」は、特定の障害または状態の予防を含む。例えば、本明細書中で使用される場合、用語「がんを防止する」は、がんに伴う症状の発症または持続を防止することを示す。1つの実施形態において、用語「がんを防止する」は、がんの進行を遅らせることまたは停止させることを示す。1つの実施形態において、用語「がんを防止する」は、転移を遅らせることまたは防止することを示す。
【0061】
用語「治療効果的な量」は、本明細書中で使用される場合、処置されている障害または状態の症状の1つまたは複数をある程度、緩和するために、または防止するために十分な量でデンドリマーが投与されることを示す。結果は、疾患または状態の徴候、症状または原因の軽減および/または緩和、あるいは、どのような変化であれ生物学的系の他の所望の変化であることが可能である。1つの実施形態において、用語「治療効果的な量」は、がん性腫瘍サイズにおける減少をもたらすために十分な量でデンドリマーが投与されることを示す。1つの実施形態において、用語「治療効果的な量」は、無増悪生存期間における増大をもたらすために十分な量でデンドリマーが投与されることを示す。用語「効果的な量」は、本明細書中で使用される場合、所望の薬理学的効果もしくは治療的改善を、過度の有害な副作用を伴うことなく達成するために、または所望の薬理学的効果もしくは治療的改善を、低減された副作用プロフィルを伴って達成するために効果的であるデンドリマーの量を示す。治療効果的な量は、例えば、限定されないが、用量漸増臨床試験を含めて通例の実験によって決定され得る。用語「治療効果的な量」は、例えば、予防効果的な量を含む。1つの実施形態において、予防効果的な量は、転移を防止するために十分な量である。「効果的な量」または「治療効果的な量」は、化合物の代謝における変動に起因して、また、対象の年齢、体重、全身状態、処置されている状態、処置されている状態の重篤度、および処方医師の判断のどれにでも起因して、対象ごとに変化し得ることが理解される。どのような事例であれ個々の事例における適切な「効果的な量」は、通例の実験を使用して当業者によって決定され得る。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、一価の直鎖(すなわち、線状)または分岐型の飽和炭化水素基を示す。1つの例において、アルキル基は1個~10個の炭素原子を含有する((すなわち、C1~10アルキル)。1つの例において、アルキル基は1個~6個の炭素原子を含有する(すなわち、C1~6アルキル)。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル(例えば、n-プロピル、iso-プロピル)基、ブチル(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)基、ペンチル基およびヘキシル基が含まれる。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレン」は、二価の直鎖(すなわち、線状)または分岐型の飽和炭化水素基を示す。1つの例において、アルキレン基は2個~10個の炭素原子を含有する((すなわち、C2~10アルキレン)。1つの例において、アルキレン基は2個~6個の炭素原子を含有する(すなわち、C2~6アルキレン)。アルキレン基の例には、例えば、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2CH2-および-CH2CH(CH3)CH2-などが含まれる。
【0064】
デンドリマーの好適な塩には、有機または無機の酸または塩基により形成される塩が含まれる。本明細書中で使用される場合、表現「医薬的に許容され得る塩」は、医薬的に許容され得る有機塩または無機塩を示す。例示的な酸付加塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))の塩が含まれるが、これらに限定されない。例示的な塩基付加塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、カリウムおよびナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウムの塩、ならびに有機塩基との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルコミン(glucomine)、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ低級アルキルアミン、ジ低級アルキルアミンまたはトリ低級アルキルアミン、例えば、エチル-、tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-またはジメチル-プロピルアミン、あるいはモノヒドロキシ低級アルキルアミン、ジヒドロキシ低級アルキルアミンまたはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンとの塩が含まれるが、これらに限定されない。医薬的に許容され得る塩は、別の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなど)の包含を伴う場合がある。対イオンは、どのような有機部分または無機部分であれ親化合物における電荷を安定化する有機部分または無機部分であり得る。さらに、医薬的に許容され得る塩は、2つ以上の荷電原子をその構造において有する場合がある。多数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である場合は、多数の対イオンを有することができる。したがって、医薬的に許容される塩は1つもしくは複数の荷電原子および/または1つもしくは複数の対イオンを有することができる。医薬的に許容され得ない塩もまた、これらは医薬的に許容される塩の調製における中間体として有用である場合があり、または貯蔵時もしくは輸送時において有用である場合があるので、本開示の範囲に含まれることもまた理解されるであろう。
【0065】
有機化学および/または医薬品化学の技術分野の当業者は、多くの有機化合物が、その反応溶媒あるいはその析出溶媒または結晶化溶媒との複合体を形成することができることを理解するであろう。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られている。本明細書中で使用される場合、表現「医薬的に許容される溶媒和物」または表現「溶媒和物」は、1つまたは複数の溶媒分子と本開示の化合物との会合物を示す。医薬的に許容される溶媒和物を形成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸およびエタノールアミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「デンドリマー」は、コアと、該コアに結合するデンドロンとを含有する分子を示す。それぞれのデンドロンが、各世代の組立てユニットを有する分岐の数が増大する分岐した構造をもたらす様々な世代の分岐した組立てユニットから構成される。デンドリマーには、上記で定義されるような医薬的に許容され得る塩または溶媒和物が含まれる場合がある。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「組立てユニット」は、官能基、コアまたは前世代の組立てユニットへの結合のための少なくとも1つの官能基、および次世代の組立てユニットへの結合のための、またはデンドリマー分子の表面を形成するための少なくとも2つの官能基を含む分岐した分子を示す。
【0068】
本明細書中で使用される場合、用語「結合する」(attached)は、共有結合形成(covalent bonding)による化学的構成要素間の接続を示す。用語「共有結合形成」は、用語「共有結合」(covalent attachment)と交換可能に使用される。
【0069】
デンドリマー
【0070】
第1の局面において、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合するデンドリマーであって、
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが放射性核種含有部分を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含むデンドリマー、またはその塩が提供される。
【0071】
本開示のデンドリマーは、薬物動態学改変基および放射性核種含有部分を組み込むデンドリマー足場を含有するものであり、腫瘍に集積し、PET画像化などによる優れた画像化特性をもたらす優れた画像化剤であることが見出された。そのうえ、本開示のデンドリマーは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽細胞腫などに集積することに効果的であり、血液脳関門を横断することが認められており、このことから、本開示のデンドリマーは有用な画像化特性、診断特性および治療特性を有することがさらに裏づけられる。
【0072】
コアユニット
【0073】
デンドリマーのコアユニット(C)は、組立てユニットから形成されるデンドロンのための結合点を提供する。組立てユニット表面に存在する官能基との共有結合連結を形成することができる官能基を含有する好適なコアユニットはどのようなものであれ利用され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、コアユニットはアミド連結を介して少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する。いくつかの実施形態において、それぞれのアミド連結が、コアユニットに存在する窒素原子と、組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成される。他の実施形態において、それぞれのアミド連結が、コアユニットに存在するアシル基の炭素原子と、組立てユニットに存在する窒素原子との間で形成される。
【0075】
いくつかの実施形態において、コアユニットは、2つ、3つまたは4つの組立てユニットに共有結合する。1つの特定の実施形態において、コアユニットは2つの組立てユニットに共有結合する。コアユニットは、例えば、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成される場合がある。別の例として、コアユニットは、カルボン酸基を含むコアユニット前駆体から形成される場合がある。2つの組立てユニットに結合するコアユニットの場合において、デンドリマーのコアユニットは、例えば、2つのアミノ基を含むコアユニット前駆体から形成されることがある。いくつかの実施形態において、コアユニットは
【化7】
であり(すなわち、それによって、コアユニットは、酸部分が、対応するアミドを形成するためにベンジヒドリルアミン(benzyhydrylamine)によりキャップ処理されたリシン残基(BHA-Lys)を含む)、また、例えば、2つの反応性(アミノ)窒素を有する下記のコアユニット前駆体から形成される場合がある:
【化8】
【0076】
本発明のデンドリマーは、多数の末端基について、制御された様式でデンドリマーの表面に提供されることを可能にする。特に、リシン組立てユニットについては、組立てユニットのアルファ窒素原子またはイプシロン窒素原子に配置されることを下記で記載されるように予定することが可能である。いくつかの好ましい実施形態において、錯化基(放射性核種含有部分、および安定同位体(非放射性物)を含有する錯化基)、薬物動態学改変基、および存在する場合には医薬活性薬剤の残基)のすべてが、組立てユニットを経由する結合を介してデンドリマーの表面に提供される。言い換えれば、それらの実施形態において、コアユニットは、組立てユニットを介する以外には末端基のための結合点を提供しない。そのような実施形態においては、組立てユニットへの共有結合のために使用されないコアユニットに存在する官能基はどれも未反応であろうか、またはさらなる反応を防止するために好適なキャップ基によりキャップ処理されているであろうかのどちらかであることが理解されるであろう。そのようなコアユニットの一例が、上記で議論されるBHA-Lys基である。
【0077】
組立てユニット
【0078】
好適な組立てユニット(BU)はどれも、別の組立てユニットの表面またはコアユニット表面に存在する官能基との連結を形成することができる第1の官能基を含有し、かつ、(例えば、脱保護後に)別の組立てユニットの表面に存在する官能基との連結を形成することができる少なくとも2つのさらなる官能基を含有する限り、デンドリマーを製造するために使用され得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なる世代の組立てユニットが、1つの組立てユニットに存在する窒素原子と、別の組立てユニットに存在するアシル基の炭素原子との間で形成されるアミド連結を介して互いに共有結合する。例えば、いくつかの実施形態において、組立てユニットはリシン残基またはその類似体であり、好適な組立てユニット前駆体から、例えば、適切な保護基を含有するリシンまたはリシン類似体から形成される場合がある。リシン類似体は、後続世代の組立てユニットに結合するための2つのアミノ窒素原子と、前世代の組立てユニットまたはコアに結合するためのアシル基とを有する。好適な組立てユニットの例には、下記のものが含まれる:
【0079】
【0080】
式中、それぞれの組立てユニットのアシル基が、コアに対する結合または前世代組立てユニットに対する結合のための共有結合点を提供し、それぞれの窒素原子が、後続世代組立てユニットに対する、または末端基に対する共有結合のために使用され得る共有結合点を提供する。
【0081】
いくつかの好ましい実施形態において、組立てユニットはそれぞれが下記のものである:
【化10】
【0082】
式中、それぞれの組立てユニットのアシル基が、コアに対する結合または前世代組立てユニットに対する結合のための共有結合点を提供し、それぞれの窒素原子が、後続世代組立てユニットに対する、または末端基に対する共有結合のために使用され得る共有結合点を提供する。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態において、組立てユニットはそれぞれが下記のものである:
【化11】
【0084】
他の実施形態において、組立てユニットは、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基またはそれらの類似体であり、すなわち、好適な保護基を含有する好適な前駆体から、例えば、好適な保護基を含有するアスパラギン酸、グルタミン酸またはそれらの類似体から形成される。そのような実施形態において、コアユニットは、カルボン酸基を含むコアユニット前駆体(すなわち、アスパラギン酸/グルタミン酸/類似体に存在するアミノ基と反応することができるカルボン酸基を含むコアユニット前駆体)から形成される場合がある。
【0085】
最も外側の世代の組立てユニット(BU外側)が、上記で記載されるような他の世代の組立てユニット(BU)において使用されるような組立てユニットによって、例えば、リシンまたはリシン類似体の組立てユニットによって形成される場合がある。最も外側の世代の組立てユニット(BU外側)は、デンドリマーのコアから最も外側にある世代の組立てユニットであり、すなわち、さらなる世代の組立てユニットが1つも、最も外側の世代の組立てユニット(BU外側)に結合していない。
【0086】
デンドリマーのデンドロンは、例えば、組立てユニット(BU)をそれに応じて結合させることを介して必要な数の世代にまで合成され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、それぞれの世代の組立てユニット(BU)が、同じ組立てユニットから形成される場合があり、例えば、すべての世代の組立てユニットがリシン組立てユニットである場合がある。いくつかの他の実施形態において、1つまたは複数の世代の組立てユニットが、他の世代の組立てユニットとは異なる組立てユニットから形成される場合がある。
【0087】
デンドリマーは、2世代~6世代の組立てユニット、すなわち、2世代、3世代、4世代、5世代または6世代の組立てユニットを有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは3世代の組立てユニットを有する。3世代組立てユニットデンドリマーは、互いに共有結合により連結される3つの組立てユニットを含む構造を有するデンドリマーであり、例えば、組立てユニットがリシンである場合、3世代組立てユニットデンドリマーは下記の部分構造を含む場合がある:
【化12】
【0089】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは5世代の組立てユニットを有する。5世代組立てユニットデンドリマーは、互いに共有結合により連結される5つの組立てユニットを含む構造を有するデンドリマーであり、例えば、組立てユニットがリシンである場合、5世代組立てユニットデンドリマーは下記の部分構造を含む場合がある:
【化13】
【0090】
いくつかの実施形態において、組立てユニットの世代は完全な世代である。例えば、デンドリマーが3世代の組立てユニットを有する場合、いくつかの実施形態において、該デンドリマーは3つの完全な世代の組立てユニットを有する。2つの反応性アミン基を有するコアに関して、そのようなデンドリマーは14個の組立てユニットを含むことになる(すなわち、コアユニット+2個のBU+4個のBU+8個のBU)。
【0091】
同様に、例えば、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、いくつかの実施形態において、該デンドリマーは5つの完全な世代の組立てユニットを有する。2つの反応性アミン基を有するコアに関して、そのようなデンドリマーは62個の組立てユニットを含むことになる(すなわち、コアユニット+2個のBU+4個のBU+8個のBU+16個のBU+32個のBU)。
【0092】
しかしながら、デンドリマーを製造するための合成プロセスの性質に起因して、デンドリマーを製造するために行われる1つまたは複数の反応が完全には完了しない場合があることが理解されるであろう。それに応じて、いくつかの実施形態において、デンドリマーは、不完全な世代の組立てユニットを含む場合がある。例えば、デンドリマーあたりの組立てユニットの数の分布がデンドリマーにおいて存在するデンドリマー集団が得られる場合がある。
【0093】
いくつかの実施形態において、デンドリマーが3世代の組立てユニットを有する場合、デンドリマーあたりの組立てユニットの平均数が少なくとも8である、または少なくとも9である、または少なくとも10である、または少なくとも11である、または少なくとも12である、または少なくとも13であるデンドリマー集団が得られる。いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%が10個以上の組立てユニットを有するデンドリマー集団が得られる。いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%が12個以上の組立てユニットを有するデンドリマー集団が得られる。
【0094】
いくつかの実施形態において、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、デンドリマーあたりの組立てユニットの平均数が少なくとも55である、または少なくとも56である、または少なくとも57である、または少なくとも58である、または少なくとも59である、または少なくとも60であるデンドリマー集団が得られる。いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%が55個以上の組立てユニットを有するデンドリマー集団が得られる。いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%が60個以上の組立てユニットを有するデンドリマー集団が得られる。
【0095】
いくつかの実施形態において、コアユニット前駆体のそれぞれの反応性(アミノ)基は、組立てユニットを含むデンドロンのためのコンジュゲート化部位を表す。
【0096】
いくつかの実施形態において、それぞれのデンドロン(X)におけるそれぞれの世代の組立てユニットは式[BU]2
(b-1)(式中、bは世代数である)によって表される場合がある。3つの完全な世代の組立てユニットを有するデンドロン(X)は、
[BU]1-[BU]2-[BU]4
として表される。
【0097】
5つの完全な世代の組立てユニットを有するデンドロン(X)は、
[BU]1-[BU]2-[BU]4-[BU]8-[BU]16
として表される。
【0098】
第1の末端基
【0099】
第1の末端基(T1)は放射性核種含有部分を含む。典型的には、放射性核種含有部分は、放射性核種と、錯化基とを含む。
【0100】
放射性核種
【0101】
好適な放射性核種はどれも、本発明のデンドリマーにおいて利用され得る。放射性核種は、放射性同位体としてもまた知られているものであり、放射性崩壊を起し、それにより核放射線の放射をもたらす不安定な形態の化学元素である。
【0102】
様々な放射性核種が医学的診断および医学療法の分野において使用されている。様々な技術、例えば、単光子放射、陽電子放射断層撮影法(PET)画像化、および陽電子放射断層撮影法-磁気共鳴画像化(PET-MRI)などを、好適な放射性核種含有物質が投与される対象の体内の放射性核種を検出し、疾患(例えば、腫瘍など)の存在および/または進行に関して情報を与える画像を作成するために使用することができる。放射性核種はまた、疾患の処置において、例えば、がんなどの処置において応用される。そのような場合において、患者への放射性核種含有物質の投与により、放射性核種の腫瘍への送達がもたらされ、放射性崩壊および放射線放射の後で腫瘍細胞の死滅が引き起こされる。
【0103】
好ましくは、放射性核種は金属の放射性核種であり、例えば、金属イオンである。いくつかの実施形態において、放射性核種はアルファ放射体(α放射体)である。いくつかの実施形態において、放射性核種はベータ放射体(β放射体)である。いくつかの実施形態において、放射性核種はベータ/ガンマ放射体である。
【0104】
いくつかの実施形態において、放射性核種は、アクチニウムの放射性核種(例えば、Ac225)、アスタチンの放射性核種(例えば、As211)、ビスマスの放射性核種(例えば、Bi212、Bi213)、鉛の放射性核種(例えば、Pb212)、テクネチウムの放射性核種(例えば、Tc99m)、トリウムの放射性核種(例えば、Th227)、ラジウムの放射性核種(例えば、Ra223)、ルテチウムの放射性核種(例えば、Lu177)、イットリウムの放射性核種(例えば、Y90)、インジウムの放射性核種(例えば、In111、In114)、ガドリニウムの放射性核種(例えば、Gd153)、ガリウムの放射性核種(例えば、Ga68)、ジルコニウムの放射性核種(例えば、Zr89)、または銅の放射性核種である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、ルテチウムの放射性核種(例えば、Lu177)、ガドリニウムの放射性核種、ガリウムの放射性核種(例えば、Ga68)、ジルコニウムの放射性核種(例えば、Zr89)、アクチニウムの放射性核種(例えば、Ac225)、ビスマスの放射性核種(例えば、Bi212、Bi213)、アスタチンの放射性核種(例えば、As211)、テクネチウムの放射性核種(例えば、Tc99m)、または銅の放射性核種(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64、Cu67)である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、ルテチウムの放射性核種(例えば、Lu177)、ガドリニウムの放射性核種、ガリウムの放射性核種(例えば、Ga68)、ジルコニウムの放射性核種(例えば、Zr89)、または銅の放射性核種(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64、Cu67)である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、ガリウムの放射性核種(例えば、Ga68)、ジルコニウムの放射性核種(例えば、Zr89)、またはルテチウムの放射性核種(例えば、Lu177)である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、銅の放射性核種(例えば、Cu64、Cu67)、ジルコニウムの放射性核種(例えば、Zr89)、ルテチウムの放射性核種(例えば、Lu177)、アクチニウムの放射性核種(例えば、Ac225)、またはアスタチンの放射性核種(例えば、As211)である。
いくつかの実施形態において、放射性核種は、状態(例えば、がん)の診断または画像化のためのものである。そのような放射性核種の例には、ガリウム(例えば、Ga68)、テクネチウム(例えば、Tc99m)、ジルコニウム(例えば、Zr89)および銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64)が含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態において、放射性核種は、状態(例えば、がん)の処置のためのものである。そのような放射性核種の例には、アクチニウム(例えば、Ac225)、アスタチン(例えば、As211)、ビスマス(例えば、Bi212、Bi213)、鉛(例えば、Pb212)、トリウム(例えば、Th227)、ラジウム(例えば、Ra223)、ルテチウム(例えば、Lu177)、イットリウム(例えば、Y90)、ガドリニウム(例えば、Gd153)および銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64)が含まれる。
【0106】
理想的には、治療用放射性核種の放射特性は、エネルギーを腫瘍内に集中させるために病変サイズを考慮に入れなければならず、また、デンドリマーの長期送達と一致するための好適な半減期を有しなければならない。いくつかの実施形態において、放射性核種は、半減期が20日未満または12日未満であるアルファ放射体である。いくつかの実施形態において、放射性核種は、半減期が2日~20日である、または5日~10日であるベータ放射体である。177Luは、最大エネルギーが0.5MeVであり、かつ最大組織浸透が2mm未満である中エネルギーβ放射体(490keV)である。177Luはまた、208keVおよび113keVでの低エネルギーγ線を放射し、これにより、エクスビボ画像化、したがって、腫瘍位置確認および線量測定に関する情報の収集が可能になる。
【0107】
当業者であれば理解されるであろうように、放射能はベクレル(Bq)単位で測定される。1ベクレルは、1個の核が1秒あたり崩壊する放射性物質の量の放射能として定義される。
【0108】
いくつかの実施形態において、治療用放射性核種の注射線量が単回注射あたり1GBq~50GBqである。他の実施形態において、注射線量が単回注射/注入あたり2GBq~20GBqである。他の実施形態において、注射線量が単回注射あたり2GBq~10GBqである。個々の患者のための線量計算が、疾患負荷、患者の体重および腎機能の組み合わせから決定される場合がある。それぞれの処置サイクルにおける画像に基づいた線量測定が推奨され、例えば、SPECT-CTによる線量測定が推奨される。
【0109】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、単位投薬形態物としての組成物において、例えば、所望のレベルの放射能を有するそのような組成物において提供される。
【0110】
いくつかの実施形態において、放射性核種は単位投薬組成物において配合され、その結果、それぞれの単位投薬物が、0.1~10MBq、0.1~5MBq、0.1~2MBq、0.1~1MBq、0.5~10MBq、1~10MBq、1~5MBq、5~10MBqの範囲、あるいは約1MBq、約2MBq、約3MBq、約4MBq、約5MBq、約6MBq、約7MBq、約8MBq、約9MBq、または約10MBqの放射能を有する量の放射性核種を含有するようにされる。
【0111】
例えば、単位投薬物が注射/注入物の形態である場合、該注射/注入物は、所望の量の放射線が標的部位(例えば、腫瘍)に送達されるように配合されることになる。いくつかの実施形態において、放射性核種は、注射用の単位投薬組成物において提供され、その結果、それぞれの単位投薬物が、0.5~10MBq、または1~10MBq、または1~5MBq、または5~10MBqの範囲、あるいは約1MBq、約2MBq、約3MBq、約4MBq、約5MBq、約6MBq、約7MBq、約8MBq、約9MBq、または約10MBqの放射能を有する量の放射性核種を含有するようにされる。いくつかの実施形態において、放射能は、デンドリマーが投与される直前の時点で、すなわち、使用直前の時点で測定される。
【0112】
放射性核種錯化基
【0113】
放射性核種含有部分は典型的には放射性核種錯化基を含有する。好適な錯化基はどれも使用され得る。錯化基は、放射性核種を錯化することができる官能性部分を提供する。そのような官能性部分の例には、カルボン酸、アミン、アミド、ヒドロキシル基、チオール基、ウレア、チオウレア、-N-OH基、ホスファート基およびホスフィナート基が含まれる。いくつかの実施形態において、放射性核種とのキレートを形成する錯化基が使用される。好適な錯化基の例が下記の表に示される:
【0114】
【0115】
いくつかの実施形態において、錯化基は、DOTA、NOTA、DTPA、サルコファギンまたはDFOである。いくつかの実施形態において、錯化基は、DOTA、NOTA、DTPAまたはDFOである。
【0116】
いくつかの実施形態において、錯化基は、下記の構造:
【化14】
を有するDOTA含有基であり、この場合、該DOTA含有基がコンジュゲートに結合する。
【0117】
いくつかの実施形態において、錯化基は、下記の構造:
【化15】
を有するNOTA含有基であり、この場合、該NOTA含有基がコンジュゲートに結合する。
【0118】
いくつかの実施形態において、錯化基は、下記の構造:
【化16】
を有するDTPA含有基であり、この場合、該DTPA含有基がコンジュゲートに結合する。
【0119】
いくつかの実施形態において、錯化基は、下記の構造:
【化17】
を有するDFO含有基であり、この場合、該DFO含有基がコンジュゲートに結合する。
【0120】
いくつかの実施形態において、錯化基は、下記の構造:
【化18】
を有するサルコファギン含有基であり、この場合、該サルコファギン含有基がコンジュゲートに結合する。
【0121】
第1の末端基は、最外組立てユニットに、例えば、組立てユニットがリシン残基またはその類似体である場合には最外組立てユニットの窒素原子を介して結合する。いくつかの実施形態において、錯化基が、最外組立てユニットとの直接の反応のために好適である基を含む場合には、該錯化基は該組立てユニットと直接に反応させられる場合がある。他の実施形態において、装着用の基、すなわち、第1の末端において錯化基に共有結合し、かつ、第2の末端において、(例えば、第1の末端基が最外組立てユニットの窒素原子を介して結合する場合には)最外組立てユニット表面に存在する官能基との反応のために好適である官能基を有する基が、錯化基をデンドリマー表面に装着するために利用される場合がある。例えば、装着負荷用の基は、アミノ基との反応のために好適である官能基を有する場合がある。
【0122】
最外組立てユニットと、第1の末端基との間での結合を形成するために、反応が、好適な錯化前駆体基と、反応のために利用可能である官能基(例えば、アミン基)を有するデンドリマー中間体との間で行われる場合がある。いくつかの実施形態において、錯化前駆体は、DOTA含有基、NOTA含有基、DTPA含有基、サルコファギン含有基またはDFO含有基である。好適な錯化前駆体基の例には、下記のものが含まれる:
【0123】
【0124】
上記のそのような基は、最外組立てユニット表面に存在するアミン基と反応して、チオウレア連結された第1の末端基を形成することができる。
【0125】
第2の末端基
【0126】
デンドリマーは、薬物動態学改変部分、すなわち、デンドリマーの薬物動態学プロフィルを改変または調節することができる部分をそれぞれが含む複数の第2の末端基(T2)を含む。薬物動態学改変部分により、デンドリマーの吸収、分布、代謝、排出および/または毒性が改変される場合がある。薬物動態学改変部分(T2)はデンドリマーの溶解性プロフィルを変化させ、これにより、医薬的に許容され得るキャリアにおけるデンドリマーの溶解性の増大または低下のどちらかをもたらする場合がある。薬物動態学改変部分(T2)は、例えば、デンドリマーのクリアランスを低下させる場合がある。
【0127】
デンドリマーが、医薬活性薬剤を含む第3の末端基を含む場合、薬物動態学改変部分(T2)は、活性薬剤が化学的(例えば、加水分解)経路または酵素的分解経路のどちらかによってデンドリマーから放出される速度を遅くするか、または増大させるかのどちらかによって、医薬活性薬剤の放出速度に影響を及ぼす場合がある。薬物動態学改変部分(T2)は、デンドリマーが医薬活性薬剤を特定の組織(例えば、腫瘍)に送達することを助ける場合がある。
【0128】
いくつかの実施形態において、薬物動態学改変部分はポリエチレングリコール(PEG)基またはポリエチルオキサゾリン(PEOX)基である。
【0129】
いくつかの実施形態において、第2の末端基はPEG基を含む。PEG基は、ポリエチレングリコール基、すなわち、式CH2CH2O-の繰り返し単位を含む基である。本開示のデンドリマーを製造するために使用されるPEG物質は典型的には、分子量におけるいくらかの変動(すなわち、±10%)を有するPEGの混合物を含有し、したがって、分子量が指定される場合、分子量は典型的には、PEG組成物の平均分子量の近似値である。例えば、用語「PEG~2100」は、およそ2100ダルトン、すなわち、±約10%である平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG1890~PEG2310)を示す。用語「PEG~2300」は、およそ2300ダルトン、すなわち、±約10%である平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG2070~PEG2530)を示す。3つの方法が、様々なMW平均値を計算するために、例えば、数平均分子量、重量平均分子量およびz平均分子量を計算するために一般に使用されている。本明細書中で使用される場合、表現「分子量」は、NMR、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは他の液体クロマトグラフィー技術、光散乱技術、超遠心分離および粘度測定(これらに限定されない)を含めてこの技術分野では広く知られている技術を使用して測定することができる重量平均分子量を示すことが意図される。
【0130】
いくつかの実施形態において、第2の末端基は、約200ダルトン~5000ダルトンの間の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、少なくとも500ダルトンまたは少なくとも750ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、200~4000ダルトン、または500~3000ダルトン、または500~2500ダルトン、または1500~2500ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、220~2500Da、または570~2500ダルトン、または220~1100ダルトン、または570~1100ダルトン、または1000~5500ダルトン、または1000~2500ダルトン、または1000~2300ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、1900~2300ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、2100~2500ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、2400~2800ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、約1900ダルトン、約2000ダルトン、約2100ダルトン、約2200ダルトン、約2300ダルトン、約2400ダルトン、約2500ダルトン、約2600ダルトン、約2700ダルトンまたは約2800ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、PEG基は多分散性指数(PDI)が約1.00~約1.50の間であり、約1.00~約1.25の間であり、または約1.00~約1.10の間である。いくつかの実施形態において、PEG基は多分散性指数(PDI)が約1.05である。用語「多分散性指数」は、所与のポリマーサンプルにおける分子質量分布の尺度を示す。多分散性指数(PDI)は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)によって割ったものに等しく、一反応分のポリマーにおける個々の分子質量の分布を示している。多分散性指数(PDI)は1以上の値を有しており、しかし、ポリマーが均一な変化長および平均分子量に近づくにつれ、多分散性指数(PDI)は1により接近することになる。
【0132】
第2の末端基がPEG基を含む場合、該PEG基は線状または分岐型であり得る。所望されるならば、末端がキャップ処理されたPEG基が使用される場合がある。いくつかの実施形態において、PEG基はメトキシ末端PEGである。
【0133】
いくつかの実施形態において、第2の末端基はPEOX基を含む。PEOX基は、ポリエチルオキサゾリン基、すなわち、下記式の繰り返し単位を含む基である:
【化20】
【0134】
PEOX基は、エチルオキサゾリンの重合によって生じ得るので、そう呼ばれている。本開示のデンドリマーを製造するために使用されるPEOX物質は典型的には、分子量におけるいくらかの変動(すなわち、±10%)を有するPEOXの混合物を含有し、したがって、分子量が指定される場合、分子量は典型的には、PEOX組成物の平均分子量の近似値である。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、少なくとも750ダルトン、少なくとも1000ダルトン、または少なくとも1500ダルトンの平均分子量を有するPEOX基を含む。いくつかの実施形態において、第2の末端基は、750ダルトン~2500ダルトン、または1000ダルトン~2000ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEOX基を含む。所望されるならば、末端がキャップ処理されたPEOX基が使用される場合がある。いくつかの実施形態において、PEOX基はメトキシ末端PEOXである。
【0135】
第2の末端基は、どのような手段であれ好適な手段により最外組立てユニットに結合させられ得る。いくつかの実施形態において、第2の末端基がPEG基またはPEOX基を含む場合、連結基が、該PEG基またはPEOX基を外側組立てユニットに結合させるために使用される。
【0136】
第2の末端基は典型的には、アミン基との反応性を有する反応性基、例えば、反応性アシル基(これはアミド結合を形成することができる)またはアルデヒド(これは還元的アミノ化条件のもとでアミン基を形成することができる)などを含有する第2の末端基の前駆体の使用を介して結合する。
【0137】
いくつかの実施形態において、第2の末端基はそれぞれが、PEG基に存在する炭素原子と、PEG連結基に存在する酸素原子との間で形成されるエーテル連結を介してPEG連結基(L1)に共有結合するPEG基を含み、それぞれの第2の末端基が、組立てユニットに存在する窒素原子と、PEG連結基に存在するアシル基の炭素原子との間で形成されるアミド連結を介して組立てユニットに共有結合する。いくつかの実施形態において、第2の末端基はそれぞれが下記のものである:
【0138】
【0139】
式中、PEG基は、約500ダルトン~3000ダルトン、または2000ダルトン~2700ダルトンの範囲の平均分子量を有するメトキシ末端PEGである。
【0140】
いくつかの実施形態において、第2の末端基はそれぞれが、PEOX基に存在する窒素原子と、PEOX連結基に存在する炭素原子との間で形成される連結を介してPEOX連結基(L1’)に共有結合するPEOX基を含み、それぞれの第2の末端基が、組立てユニットに存在する窒素原子と、PEOX連結基に存在するアシル基の炭素原子との間で形成されるアミド連結を介して組立てユニットに共有結合する。いくつかの実施形態において、第2の末端基はそれぞれが下記のものである:
【0141】
【0142】
第3の末端基
【0143】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第3の末端基(T3)を含み、該第3の末端基は医薬活性薬剤の残基を含む。組立てユニットがリシン残基またはその類似体である場合、第3の末端基は、例えば、最外組立てユニットの窒素原子に結合する場合がある。デンドリマーへの医薬活性薬剤の組み込みは、改善された治療特性を与えることができ、また、同じデンドリマー薬剤が、疾患の診断/セラノスティクス画像化と、疾患の治療との両方のために利用され得ることをもたらすことができる。例えば、がんを有することが疑われる対象、またはがんを有すると診断されている対象の場合において、患者の状態を画像化によって診断するために、および/またはがんが存在する場合には、デンドリマーによる1回の治療単位の治療に対するがんの見込まれる感受性を判定するために、本開示のデンドリマーが最初に投与され、対象の身体の関連した部分の画像化が行われることがある。腫瘍がデンドリマーによる処置に対して感受性を有しそうな場合には、例えば、その後で、さらなる1回の治療単位の同じデンドリマー、または本開示の別のデンドリマー、例えば、異なる放射性核種を含有するデンドリマーが、対象に投与されることがある。
【0144】
医薬活性薬剤
【0145】
好適な医薬活性薬剤はどれも、例えば、連結基を介して、第3の末端基としてデンドリマーにコンジュゲート化され得る。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は抗がん剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、生物学的活性を発揮するためにデンドリマーから放出される抗新生物薬物である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は超毒性(ultratoxic)剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤はアウリスタチンである。いくつかの実施形態において、抗がん剤はメイタンシノイドである。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド、抗生物質、タキサンまたはトポイソメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、デンドリマーが医薬活性薬剤を含む場合、抗がん剤は、白金含有部分、アウリスタチン、メイタンシノイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤およびヌクレオシド類似体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、デンドリマーが医薬活性薬剤を含む場合、該医薬活性薬剤は抗がん剤であり、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ドセタキセル、カバジタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、SN-38、カンプトテシン、トポテカン、ゲムシタビン、バラセルチブ(barasertib)、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、シスプラチン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ビンクリスチン、ダカルバジン、ミトキサントロン、テニポシド、エトポシド、アクラルビシン、パルボシクリブ、酢酸アビラテロン、レナリドミド、エベロリムスおよびニロチニブからなる群から選択される抗がん剤である。いくつかの実施形態において、デンドリマーが、抗がん剤である医薬活性薬剤を含む場合、該抗がん剤は、カバジタキセル、ドセタキセル、SN-38およびゲムシタビンからなる群から選択される。
【0146】
いくつかの実施形態において、デンドリマーが、抗がん剤である医薬活性薬剤を含む場合、該抗がん剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤には、カンプトテシン活性体が含まれるが、これらに限定されない。
【0147】
カンプトテシンは、下記の構造を有するトポイソメラーゼ阻害剤である:
【化23】
【0148】
トポイソメラーゼ阻害活性を同様に有する一群の構造的に関連した化合物もまた特定されている。1つの実施形態において、カンプトテシン活性体は、下記の部分構造を有する化合物である:
【化24】
【0149】
カンプトテシン活性体(その残基が第3の末端基の一部を形成する場合がある)の例には、SN-38、イリノテカン(CPT-11)、トポテカン、シラテカン(silatecan)、コシテカン、エキサテカン、ルルトテカン、ギマテカン(gimatecan)、ベロテカンおよびルビテカンが含まれる。いくつかの実施形態において、カンプトテシン活性体の残基が、C-10位またはC-20位を介してジアシルリンカーに結合する。いくつかの実施形態において、カンプトテシン活性体の残基は下記の部分構造を有する:
【0150】
【0151】
いくつかの実施形態において、カンプトテシン活性体の残基は下記の部分構造を有する:
【化26】
【0152】
式中、R1は、水素、C1~6アルキル、-OR3および-C1~6アルキル-N(R3)2からなる群から選択され、R2は、水素、C1~6アルキル、-OR3および-C1~6アルキル-N(R3)2からなる群から選択され、それぞれのR3は独立して、水素およびC1~6アルキルから選択される。いくつかの実施形態において、第3の末端基は、SN-38の残基であるカンプトテシン活性体の残基を含む。SN-38は下記の構造を有する:
【0153】
【0154】
いくつかの実施形態において、カンプトテシン活性体の残基は、C-10位またはC-20位を介してジアシルリンカーに結合するSN-38の残基である。いくつかの好ましい実施形態において、SN-38の残基は、下記に示すものである:
【化28】
【0155】
他の実施形態において、SN-38の残基は、下記に示すものである:
【化29】
【0156】
インビボ投与されたとき、典型的には、デンドリマーはカンプトテシン活性体(例えば、SN-38)を放出する。
【0157】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はイリノテカンである。
【0158】
いくつかの実施形態において、デンドリマーが、抗がん剤である医薬活性薬剤を含む場合、該抗がん剤はタキサンである。タキサン活性体には、パクリタキセル、カバジタキセルおよびドセタキセルが含まれる。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はパクリタキセルである。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はカバジタキセルである。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はドセタキセルである。いくつかの実施形態において、タキサン活性体の残基は下記の部分構造を有する:
【0159】
【0160】
いくつかの実施形態において、タキサン活性体の残基はカバジタキセルの残基であり、下記に示すものである:
【化31】
【0161】
いくつかの実施形態において、タキサン活性体の残基はドセタキセルの残基であり、下記に示すものである:
【化32】
【0162】
いくつかの実施形態において、抗がん剤は、カンプトテシン活性体およびタキサン活性体からなる群から選択される。
【0163】
いくつかの実施形態において、抗がん剤は、カバジタキセル、ドセタキセルおよびSN-38からなる群から選択される。
【0164】
本明細書中で使用される場合、用語「超毒性剤」は、非常に強力な化学療法特性を示し、それにもかかわらず、自身は毒性が大きすぎて、抗がん剤として単独で投与することができない薬剤を示す。すなわち、超毒性剤は、化学療法特性を明らかにするにもかかわらず、有害な毒性副作用が化学療法の利益を上回るので、一般には対象に安全に投与することができない。いくつかの実施形態において、超毒性剤は、100nM未満、または10nM未満、または5nM未満、または3nM未満、または2nM未満、または1nM未満、または0.5nM未満であるがん細胞株(例えば、SKBR3および/またはHEK293細胞および/またはMCF7細胞)に対するインビトロIC50を有する。超毒性剤には、例えば、ドラスタチン(例えば、ドラスタチン-10、ドラスタチン-15)、アウリスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチン-E、モノメチルアウリスタチン-F)、メイタンシノイド(例えば、メイタンシン、メルタンシン/エムタンシン(DM1、ラブタンシン(DM4))、カリケアマイシン(例えば、カリケアマイシンγ1)、エスペラミシン(例えば、エスペラミシンA1)およびピロロベンゾジアゼピン(PDB)がとりわけ含まれる。
【0165】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はアウリスタチンである。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はモノメチルアウリスタチンである。1つの実施形態において、医薬活性薬剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。1つの実施形態において、医薬活性薬剤はモノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。MMAEおよびMMAFの両方が、チューブリンの重合を阻止することによって細胞分裂を阻害すると理解されている。
【0166】
いくつかの実施形態において、超毒性剤はメイタンシノイドである。1つの実施形態において、超毒性剤はメイタンシンである。1つの実施形態において、超毒性剤はアンサミトシン(ansamitocin)である。1つの実施形態において、超毒性剤はエムタンシン/メルタンシン(DM1)である。1つの実施形態において、超毒性剤はラブタンシン(DM4)である。これらのメイタンシノイドは、チューブリンに結合することによって微小管の集合を阻害すると理解されている。
【0167】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は超毒性剤ではない。
【0168】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は放射線増感剤である。
【0169】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はDNA修復を低下させる。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は、DNA依存性プロテインキナーゼを標的とする薬剤、チェックポイントキナーゼ1を標的とする薬剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼを標的とする薬剤(例えば、オラパリブなど)、毛細血管拡張性運動失調症を標的とする薬剤、および/またはRad3関連タンパク質を標的とする薬剤(例えば、AZD6738など)からなる群から選択される。
【0170】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は免疫療法剤である。いくつかの実施形態において、共抑制分子、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)を阻止する薬剤、および/またはチェックポイント阻害剤である薬剤からなる群から選択される免疫療法剤。
【0171】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は生存シグナル伝達阻害剤(アポトーシス促進剤)である。いくつかの実施形態において、薬剤は、mTOR(ラパマイシンの機構的標的)を標的とする薬剤、PI3K(ホスホイノシチド3-キナーゼ)を標的とする薬剤、およびNF-κB(核因子-カッパ-B)を標的とする薬剤からなる群から選択される。
【0172】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は抗低酸素剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は、CA9(炭酸脱水酵素9)を標的とする薬剤、HIF-1-α(低酸素誘導因子1-アルファ)を標的とする薬剤、およびUPR(小胞体ストレス応答)を標的とする薬剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、薬剤はチラパザミンである。
【0173】
リンカー
【0174】
いくつかの実施形態において、デンドリマーが、医薬活性薬剤の残基を含む第3の末端基(T3)を含む場合、医薬活性薬剤の残基は、リンカーを介して、例えば、切断可能なリンカーを介して最外組立てユニットに結合する。様々なリンカー基を、例えば、医薬活性薬剤をデンドリマーに結合させるための好適な基を提供するために、例えば、医薬活性薬剤における利用可能な官能基が組立てユニットへの直接の結合に適していない場合には使用することができる。リンカー基はまた、または代わりに、デンドリマー足場からの医薬活性薬剤の制御された放出を容易にし、これにより、該医薬活性薬剤の治療効果的な濃度および治療的に望ましい薬物動態学プロフィルを好適な(例えば、長期の)期間にわたって提供するために使用することができる。
【0175】
当業者は、様々な好適なリンカーのいずれか1つが使用され得ることを理解するであろう。リンカーは体循環期間中における十分な安定性を提供しなければならず、だが、その作用部位における活性な形態での医薬活性薬剤(例えば、細胞毒性薬物)の迅速かつ効率的な放出に備えなければならない。
【0176】
いくつかの実施形態において、リンカーは、自身が含むか、または医薬活性薬剤へのその連結と併せて含むかのどちらであれ、下記の切断可能な部分の1つまたは複数を含む切断可能なリンカーである:エステル基、ヒドラゾン基、オキシム基、イミン基またはジスルフィド基。いくつかの実施形態において、リンカーは腫瘍環境で切断可能であり、酸に不安定であり、還元性環境で不安定であり、加水分解に不安定であり、またはプロテアーゼ感受性である。
【0177】
化学的に不安定なリンカーには、酸に不安定なリンカー(すなわち、ヒドラゾン)、およびジスルフィドリンカーが含まれるが、これらに限定されない。酵素切断可能なリンカーには、ペプチドリンカー(例えば、Val-Cit基またはPhe-Lys基を含有するペプチドリンカー)、およびβ-グルクロニドリンカーが含まれるが、これらに限定されない。リソソームのタンパク質分解酵素は血液中では非常に低い活性を有するので、ペプチドリンカーおよびそのペプチド結合は好都合には、良好な血清安定性を有することが予想される。Val-CitリンカーおよびPhe-Lysリンカーの両方がカテプシンBによって迅速に加水分解される。
【0178】
いくつかの実施形態において、リンカーは酵素切断可能なリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、リンカーは、酵素による認識および切断が可能であるアミノ酸残基を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、リンカーはペプチド基を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、例えば、下記の構造を有するバリン-シトルリン-パラアミノベンジルアルコール含有基(Val-Cit-PAB)を含む:
【化33】
【0180】
例えば、PAB基は、治療剤部分の表面に存在するアミン基にカルボニル基を介して共有結合し、これによりカルバマート連結を形成し得るし、また、外側組立てユニット表面に存在するアミノ基に、バリンのアミノ基とのアミド結合、および該外側組立てユニット表面に存在するアミノ基とのアミド結合を形成するジアシルリンカーを介して結合し得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、リンカーは、例えば、下記の構造を有するグルタル酸-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルアルコール基を含み、または該グルタル酸-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルアルコール基からなる:
【化34】
【0182】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、該医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介してリンカーに結合する。このアプローチでは、エステル基を介したリンカーへの結合が可能になり、そのようなエステル基は、医薬活性薬剤を所望の速度で放出するために生体内で切断可能であることが見出されている。
【0183】
いくつかの実施形態において、コアユニットは、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、組立てユニットはリシン残基またはその類似体であり、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、該医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介して結合し、かつ、切断可能なリンカーはジアシルリンカーであり、その結果、該医薬活性薬剤の残基と、該リンカーとの間でのエステル連結、および該リンカーと、最外組立てユニット表面に存在する窒素原子との間でのアミド連結が存在するようにされる。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、該医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介して結合し、切断可能なリンカーは下記式のジアシルリンカー基である:
【0184】
【0185】
式中、Aは、O、S、S-S、NHまたはN(Me)によって場合により中断されるC2~C10アルキレン基であり、あるいはAは、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジンおよびN-メチルピロリジンからなる群から選択される複素環である。
【0186】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、該医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介して結合し、切断可能なリンカーは下記式のジアシルリンカー基である:
【化36】
【0187】
式中、Aは、O、S、NHまたはN(Me)によって中断されるC2~C10アルキレン基である。
【0188】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はヒドロキシル基を含み、該医薬活性薬剤の残基が該ヒドロキシル基の酸素原子を介して結合し、ジアシルリンカーは、下記に示すものである:
【化37】
【0189】
1つの具体的なタイプの切断可能なリンカーが、ジスルフィド部分を含有するリンカーである。そのようなリンカーはグルタチオンによる切断を受けやすい。例えば、このタイプのリンカーは、ジスルフィド部分によって中断されるアルキル鎖を介して連結される2つのアシル基を含む場合がある。
【0190】
いくつかの実施形態において、リンカーは、ジスルフィド部分によって中断されるアルキル鎖であって、ジスルフィド基に隣接する炭素原子の一方または両方が、1つまたは複数のメチル基によって置換されるアルキル鎖を含む。例えば、ジスルフィド部分に隣接する炭素原子の一方がgem-ジメチル基によって置換される場合があり、例えば、リンカーは下記の基を含む場合がある:
【化38】
【0191】
いくつかの実施形態において、リンカーは、下記に示すものである:
【化39】
【0192】
いくつかの実施形態において、それぞれの第3の末端基(T3)は、下記に示すものである:
【化40】
【0193】
いくつかの実施形態において、それぞれの第3の末端基(T3)は、下記に示すものである:
【化41】
【0194】
いくつかの実施形態において、それぞれの第3の末端基(T3)は、下記に示すものである:
【化42】
【0195】
いくつかの実施形態において、それぞれの第3の末端基(T3)は、下記に示すものである:
【化43】
【0196】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、外側組立てユニットと、第2の末端基とを含む下記式の表面ユニットを含む:
【化44】
【0197】
式中、Rは第1の末端基または第3の末端基を表す。
【0198】
いくつかの実施形態において、本開示のデンドリマーは、最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが放射性核種含有部分または安定同位体(非放射性物)含有の錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基と、最外組立てユニットの窒素原子に結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基とを有する。
【0199】
いくつかの実施形態において、第1の末端基は最外組立てユニットの窒素原子に結合し、第2の末端基は最外組立てユニットの窒素原子に結合する。いくつかの実施形態において、デンドリマーが、医薬活性薬剤の残基を含む第3の末端基を含む場合、該第3の末端基は最外組立てユニットの窒素原子に結合する。
【0200】
したがって、デンドリマーは、制御された化学量論および/またはトポロジーを有すると見なすことができる。例えば、デンドリマーは典型的には、デンドリマー表面に存在する第1および第2(および第3)の末端基の数および配置に対する高度な制御を可能にする合成プロセスを使用して製造される。デンドリマーは、末端基が所定の様式または制御された様式で外側組立てユニットにコンジュゲート化されることを可能にするためにオルソゴナル(orthogonal)保護基を使用して合成される場合がある。
【0201】
好都合には、本開示のデンドリマーは、相対的に少ない装着量の放射性核種部分を含有するにもかかわらず、効果的な画像化特性および診断特性をもたらすことができる。このことは、合成の観点から、また、デンドリマー組立てユニット表面のさらなる部位が構築物における他の有用な部分(例えば、医薬活性薬剤など)へのコンジュゲート化のために利用可能であることがもたらされるので、これらの両方で望ましい。
【0202】
したがって、コアユニットが、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、かつ、組立てユニットがリシン残基またはその類似体であるいくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または1%未満が第1の末端基(すなわち、放射性核種含有部分を含む基)に結合する。いくつかの実施形態において、例えば、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、最外組立てユニットに存在する窒素原子の1個~5個(すなわち、1個、2個、3個、4個または5個)が第1の末端基に結合する。デンドリマーの組成物の1つの実施形態において、平均での第1の末端基は1未満である場合がある。いくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の1個~3個が第1の末端基に結合する。
【0203】
コアユニットが、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、かつ、組立てユニットがリシン残基またはその類似体であるいくつかの実施形態において、最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも40%が、それぞれが共有結合により第2の末端基に結合する。いくつかの実施形態において、外側組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも45%が、それぞれが共有結合により第2の末端基に結合する。いくつかの実施形態において、外側組立てユニットに存在する窒素原子の約50%が、それぞれが共有結合により第2の末端基に結合する。いくつかの実施形態において、例えば、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも25個、26個、27個、27個、29個、30個、31個または32個が、それぞれが共有結合により第2の末端基に結合する。
【0204】
上記で議論されるように、放射性核種の装着が比較的少ないにもかかわらず、良好な治療特性を達成することができることは、デンドリマー外側組立てユニット表面のさらなる部位が構築物における他の有用な部分(例えば、医薬活性薬剤など)へのコンジュゲート化のために利用可能であることをもたらす。したがって、コアユニットが、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、かつ、組立てユニットがリシン残基またはその類似体であるいくつかの実施形態において、外側組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも1/3、少なくとも35%、または少なくとも45%が、それぞれが共有結合により第3の末端基に結合する。いくつかの実施形態において、例えば、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、最外組立てユニットに存在する窒素原子の少なくとも15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個または31個が、それぞれが共有結合により第3の末端基に結合する。
【0205】
コアユニットが、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、かつ、組立てユニットがリシン残基またはその類似体であるいくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する窒素原子の最大でも1/4が非置換である。いくつかの実施形態において、置換される組立てユニットの最も外側の世代に存在する窒素原子で、置換される窒素原子の数は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%であり得る。1つの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する窒素原子の少なくとも80%が置換される。
【0206】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、-NH2基を含有する最外組立てユニットを含み、例えば、この場合、最外組立てユニット表面に存在する必ずしもすべての窒素原子が第1または第2(または第3)の末端基に結合するとは限らない。
【0207】
コアユニットが、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、かつ、組立てユニットがリシン残基またはその類似体であるいくつかの実施形態において、例えば、デンドリマーが5世代の組立てユニットを有する場合、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも20個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも10個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも5個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも3個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも2個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する最大でも1個の窒素原子が非置換である。いくつかの実施形態において、組立てユニットの最も外側の世代に存在する窒素原子の実質的にすべてが置換される。
【0208】
デンドリマーの一部を形成する第1の末端基、第2の末端基および(存在する場合には)第3の末端基の数は、デンドリマーの特性を所望の通りに調整するように変化させることができる。例えば、放射性核種錯化部分を含む第1の末端基の、医薬活性薬剤を含む第3の末端基に対するモル比を変化させることができる。いくつかの実施形態において、デンドリマーは錯化基対医薬活性薬剤のモル比が1:1~1:100の範囲にあり、または1:1~1:50の範囲にあり、または1:1~1:40の範囲にあり、または1:1~1:30の範囲にあり、または1:1~1:20の範囲にあり、または1:1~1:10の範囲にあり、または1:2~1:100の範囲にあり、または1:2~1:50の範囲にあり、または1:2~1:40の範囲にあり、または1:2~1:30の範囲にあり、または1:2~1:20の範囲にあり、または1:2~1:10の範囲にあり、または1:5~1:100の範囲にあり、または1:5~1:50の範囲にあり、または1:5~1:40の範囲にあり、または1:5~1:40の範囲にあり、または1:5~1:30の範囲にあり、または1:5~1:20の範囲にあり、または1:5~1:10の範囲にあり、または1:10~1:100の範囲にあり、または1:10~1:50の範囲にあり、または1:10~1:40の範囲にあり、または1:10~1:30の範囲にあり、または1:10~1:20の範囲にある。
【0209】
第1、第2および第3の末端基に加えて、さらなる部分がデンドリマーに結合し得ることが理解されるであろう。例えば、所望されるならば、組立てユニットの最も外側の世代に存在するいくつかの窒素原子が、好適なキャップ基により、例えば、利用される典型的な条件のもとでのさらなる反応に対して実質的に不活性である好適なキャップ基によりキャップ処理される場合がある。好適なキャップ基の一例がアセチル基である。
【0210】
いくつかの実施形態において、最外組立てユニットのアルファ-窒素原子が、第1の末端基(すなわち、放射性核種含有部分を含む第1の末端基)に結合する。
【0211】
いくつかの実施形態において、最外組立てユニットのイプシロン-窒素原子が、第2の末端基(すなわち、薬物動態学改変部分を含む第2の末端基)に結合する。
【0212】
いくつかの実施形態において、最外組立てユニットのアルファ-窒素原子が、第3の末端基(すなわち、医薬活性薬剤の残基を含む第3の末端基)に結合する。
【0213】
いくつかの実施形態において、最外組立てユニットのアルファ-窒素原子が第1の末端基に結合し、最外組立てユニットのアルファ-窒素原子が第3の末端基に結合し、最外組立てユニットのイプシロン-窒素原子が第2の末端基に結合する。
【0214】
第1の末端基が錯化基および放射性核種含有部分を含むとき、他のが理解されるであろう。
【0215】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは、本明細書中に記載されるような実施例デンドリマーのいずれかである。
【0216】
デンドリマー組成物
【0217】
いくつかの実施形態において、デンドリマーは組成物として、好ましくは医薬組成物として提供される。したがって、本明細書中に記載されるような複数のコンジュゲートを含む組成物もまた提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、デンドリマーと、医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物(すなわち、治療目的または診断目的のために対象に投与するために好適である組成物)である。
【0218】
所与の組成物に存在するデンドリマーの間での分子組成におけるいくらかの変動が、デンドリマーを製造するための合成プロセスの性質の結果として存在し得ることが理解されるであろう。例えば、上記で議論されるように、デンドリマーを製造するために使用される1つまたは複数の合成工程が、完了するまで完全に進行しない場合があり、このことは、必ずしもすべてが同じ数の第1の末端基または第2の末端基を含むとは限らない様々なデンドリマー、あるいは不完全な世代の組立てユニットを含有する様々なデンドリマーの存在をもたらす場合がある。
【0219】
したがって、1つの実施形態において、複数のデンドリマーまたはその塩を含む組成物であって、該デンドリマーの少なくともいくつかが本明細書中で定義される通りであり、組成物中のデンドリマーあたりの第1の末端基の平均数が0.2~8の範囲にあり、かつ、組成物中のデンドリマーあたりの第2の末端基の平均数が10~32の範囲にある、組成物が提供される。
【0220】
例えば、良好な画像化効力または治療効力を達成するために必要とされる標識化の程度が比較的低い場合があり、このことは、いくつかの場合にはデンドリマーあたり1つ未満の放射能標識された基をおそらくは必要とすることさえある。しかしながら、いくつかの実施形態において、組成物中のデンドリマーあたりの第1の末端基の平均数が1~5の範囲にあり、かつ、組成物中のデンドリマーあたりの第2の末端基の平均数が10~32の範囲にある。
【0221】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬活性薬剤の残基を含む第3の末端基を有するデンドリマーを含み、組成物中のデンドリマーあたりの第3の末端基の平均数が10~31の範囲にある。
【0222】
いくつかの実施形態において、組成物は医薬組成物であり、組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤を含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、第1の末端基を含有する。
【0224】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、第2の末端基を含有する。
【0225】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、第3の末端基を含有する。
【0226】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも50%が、少なくとも1個の第1の末端基を含有する。
【0227】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも75%が、少なくとも26個、少なくとも28個、または少なくとも30個の第2の末端基を含有する。
【0228】
いくつかの実施形態において、デンドリマーの少なくとも75%が、医薬活性薬剤の残基を含む少なくとも20個、少なくとも22個、少なくとも24個、少なくとも26個、または少なくとも28個の第3の末端基を含有する。
【0229】
上記で議論されるように、本開示は、本開示のデンドリマーまたはその医薬的に許容される塩を1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアおよび必要な場合にはどのようなものであれ他の治療成分または安定剤などとともに含む、獣医学的使用およびヒト医療使用の両方のための医薬配合物または医薬組成物を提供する。キャリアは、配合物の他の成分との適合性があり、かつ、そのレシピエントに対して過度に有害でないという意味で医薬的に許容され得るものでなければならない。
【0230】
本開示の組成物はまた、ポリマー系の賦形剤/添加剤またはキャリア、例えば、ポリビニルピロリドン、誘導体化セルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、フィコール(ポリマー糖)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、デキストラート(例えば、シクロデキストリン、例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンなど)、ポリエチレングリコールおよびペクチンを含む場合がある。組成物はさらに、希釈剤、緩衝剤、クエン酸塩、トレハロース、結合剤、崩壊剤、増粘剤、滑剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、甘味剤、帯電防止剤、ソルビタンエステル、脂質(例えば、リン脂質(例えば、レシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンなど)、脂肪酸および脂肪酸エステル、ステロイド(例えば、コレステロール))、およびキレート化剤(例えば、EDTA、亜鉛および他のそのような好適なカチオン)を含む場合がある。本開示による組成物における使用のために好適である他の医薬用の賦形剤および/または添加剤が、“Remington:The Science&Practice of Pharmacy”(第19版、Williams&Williams、1995年)において、また“Physician’s Desk Reference”(第52版、Medical Economics、Montvale、N.J.、1998年)において、また“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(第3版、編者:A.H.Kibbe、Pharmaceutical Press、2000年)において列挙される。
【0231】
本開示のコンジュゲートは、例えば、非経口投与(腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射または筋肉内注射を含む)を含めてどのような経路であれ好適な経路による投与のために好適である組成物を含めて様々な組成物において配合される場合がある。
【0232】
投与。本開示のデンドリマーは、診断目的および/またはセラノスティック目的のための投与のために好適である組成物において配合される場合がある。
【0233】
組成物は単位投薬形態で都合よく提供される場合があり、薬学の技術分野では広く知られている方法のいずれかによって調製される場合がある。すべての方法が、デンドリマーを、1つまたは複数の補助成分を構成するキャリアと連携させる工程を含む。一般には、組成物は、デンドリマーを液体キャリアと連携させて、溶液または懸濁液を形成することによって、あるいは代替では、デンドリマーを、必要に応じて粒子状製造物である固体物を形成するために好適な配合成分と連携させ、その後、必要ならば、該製造物を所望の送達形態に形状化することによって調製される。本開示の固体配合物は、粒子状であるときには、サイズが約1ナノメートルから約500ミクロンにまで及ぶ粒子を典型的には含むであろう。一般に、静脈内投与のために意図される固体配合物については、粒子は典型的には直径が約1nmから約10ミクロンにまで及ぶであろう。組成物は、粒子直径が1000nm未満である、例えば、5nm~1000nmの間である、とりわけ5nm~500nmの間である、一層とりわけ5nm~400nmである、例えば、5nm~50nmなどである、とりわけ5nm~20nmの間であるナノ粒子状である本開示のデンドリマーを含有する場合がある。一例において、組成物は、平均サイズが5nm~20nmの間であるデンドリマーを含有する。いくつかの実施形態において、デンドリマーは組成物において多分散であり、PDIが1.01~1.8の間であり、とりわけ1.01~1.5の間であり、一層とりわけ1.01~1.2の間である。一例において、デンドリマーは組成物において単分散である。
【0234】
いくつかの好ましい実施形態において、組成物は非経口送達のために配合される。例えば、1つの実施形態において、配合物は、注射に先立つ水性ビヒクルでの再構成のために好適である無菌の凍結乾燥された組成物である場合がある。
【0235】
1つの実施形態において、非経口投与のために好適である配合物は好都合には、デンドリマーの無菌水性調製物、例えば、レシピエントの血液と等張性であるように配合され得るデンドリマーの無菌水性調製物を含む。
【0236】
いくつかの実施形態において、組成物は腫瘍間(intertumoural)送達のために配合される。他の好適な送達手段もまた使用される場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、送達は洗浄またはエアロゾルによる場合がある。1つの実施形態において、組成物は腹腔内送達のために配合され、悪性上皮性腫瘍(例えば、卵巣がん)および腹膜がん腫症(例えば、胃腸がん、とりわけ結腸直腸がん、胃部がん、婦人科がん、および原発性腹膜新生物)を含む腹膜腔における様々ながんを処置するためのものである。
【0237】
吸入によってエアロゾルとして投与するために好適である医薬配合物もまた提供される。このような配合物は、所望のデンドリマーまたはその塩の溶液または懸濁物を含む。所望の配合物が小さいチャンバーに置かれ、霧状にされる場合がある。噴霧化が、デンドリマーまたはその塩を含む複数の液体液滴または固体粒子を形成するために圧縮空気によって、または超音波エネルギーによって達成される場合がある。
【0238】
下記において議論されるように、本開示のデンドリマーは、例えば、1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤との組み合わせで投与される場合がある。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、さらなる活性薬剤との組み合わせで提供される。いくつかの実施形態において、本明細書中で定義されるようなデンドリマーまたはその医薬的に許容される塩と、1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアと、1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤(例えば、さらなる抗がん剤/腫瘍学薬剤、例えば、小分子細胞毒性剤、チェックポイント阻害剤または抗体療法剤など)とを含む組成物が提供される。本開示のデンドリマーは他の化学療法薬物とともに投与することができるだけでなく、他の薬剤薬物との組み合わせでもまた、例えば、コルチコステロイド剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、および回復を助ける、または血液毒性から保護する薬物(例えば、サイトカイン)などとの組み合わせでもまた投与される場合がある。
【0239】
いくつかの実施形態において、組成物は、化学療法計画の一部としての非経口注入のために配合される。
【0240】
デンドリマーの診断応用および治療応用
【0241】
そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーは、様々な診断応用および治療応用において使用することができる。本明細書中に記載されるようなデンドリマーは、画像化剤などの単独での診断剤として、または二重での診断剤兼治療剤として使用することができる。診断応用および/または治療応用の例には、画像化、セラノスティクス、コンパニオン診断・治療、疾患進行のモニタリング、治療効力の評価、患者群の結果の判定、および特定の患者または患者群のための処置計画の開発が含まれる。
【0242】
1つの実施形態において、対象ががんを有するかどうかを判定する方法が提供される。本方法の第1の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物を対象に投与することを含む場合がある。本方法の第2の工程は、画像化を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。本方法の第3の工程は、対象ががんを有するかどうかを画像化結果に基づいて判定することを含む場合がある。
【0243】
別の実施形態において、がんを対象において画像化する方法が提供される。本方法の第1の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物を、がんを有する対象に投与することを含む場合がある。本方法の第2の工程は、画像化を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。
【0244】
別の実施形態において、がんの進行を対象において判定する方法が提供される。第1の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物の第1の量を、がんを有する対象に投与することを含む場合がある。本方法の第2の工程は、画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。本方法の第3の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物の第2の量を対象に投与することを続いて行うことを含む場合がある。本方法の第4の工程は、第2の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。本方法の第5の工程は、がんが進行しているかどうかを第1および第2の画像化結果に基づいて判定することを含む場合がある。
【0245】
別の実施形態において、がんを有する対象のための適切な治療法を決定する方法が提供される。本方法の第1の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物を対象に投与することを含む場合がある。本方法の第2の工程は、画像化を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。本方法の第3の工程は、画像化結果が所与の治療法による処置に対するがんの感受性を示しているかどうかを判定し、続いてさらなる工程として、該治療法を対象に施すことを含む場合がある。
【0246】
別の実施形態において、がんを有する対象に施されるがん治療法の有効性を判定する方法が提供される。本方法の第1の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物の第1の量を対象に投与することを含む場合がある。本方法の第2の工程は、第1の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。第3の工程は、所与のがん治療法を対象に施すことを含む場合がある。第4の工程は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物の第2の量を対象に投与することを続いて行うことを含む場合がある。第5の工程は、第2の画像化工程を対象の身体またはその一部に対して行うことを含む場合がある。第6の工程は、がん治療法の有効性を第1および第2の画像化結果に基づいて判定することを含む場合がある。
【0247】
上記実施形態のいずれかのための画像化を含めて、本明細書中に記載されるような画像化はPET画像化である場合がある。別の実施形態において、画像化は、PET-MRI画像化、SPECT画像化、SPECT-CT画像化、CT画像化、シンチグラフィー画像化およびPET-CT画像化の少なくとも1つである。
【0248】
治療法は、そのいずれかの局面、実施形態または実施例に従う本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは組成物を伴う場合がある。
【0249】
本開示のデンドリマーは、診断用およびセラノスティック用の画像化剤としての用途を有するのと同様に、がんなどの様々な状態の処置において有用である場合がある。したがって、治療における使用のための、より具体的にはがんの治療における使用のための本明細書中に記載されるようなデンドリマーまたは医薬組成物もまた提供される。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、がんを処置するまたは防止する方法において使用され、例えば、腫瘍の成長を抑制するために使用される。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、がんの処置において使用するためのものである。がんを処置する方法であって、治療効果的な量のデンドリマーをその必要性のある対象に投与することを含む方法もまた提供される。がんを処置するための医薬品の製造における本明細書中で定義されるようなデンドリマーの使用または本明細書中で定義されるような組成物の使用もまた提供される。
【0250】
いくつかの実施形態において、がんは固形腫瘍である。がんは原発性腫瘍または転移性腫瘍である場合がある。いくつかの実施形態において、がんは原発性腫瘍である。いくつかの実施形態において、がんは転移性腫瘍である。
【0251】
いくつかの実施形態において、がんは、結腸直腸がん、膵臓、がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、肺がんおよび子宮頸がんからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がん、膵臓がん、胃腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん、乳がん、脳がんまたは卵巣がんである。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がん、膵臓がん、乳がんまたは脳がんである。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がん、脳腫瘍、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん、肺の腺がん、胃部がん、膵臓がん、唾液腺導管がん、食道がんおよび子宮がん(例えば、子宮の重篤な子宮内膜がん)からなる群から選択される。
【0252】
いくつかの実施形態において、がんは、結腸直腸がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がんおよび乳がんからなる群から選択される。
【0253】
いくつかの実施形態において、がんは脳腫瘍である。脳腫瘍には、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状膠細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫または頭蓋咽頭腫が含まれるが、これらに限定されない。脳腫瘍は、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状膠細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫または頭蓋咽頭腫である場合がある。1つの特定の実施形態において、脳腫瘍は神経膠芽細胞腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は髄膜腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は下垂体である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は神経鞘である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は星状膠細胞腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は乏突起神経膠腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は上衣細胞腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は髄芽細胞腫である。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は頭蓋咽頭腫である。いくつかの実施形態において、がんは前立腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは乳がんである。いくつかの実施形態において、がんは精巣がんである。いくつかの実施形態において、がんは卵巣がんである。いくつかの実施形態において、がんは胃がんである。いくつかの実施形態において、がんは肺の腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは胃部がんである。いくつかの実施形態において、がんは膵臓がんである。いくつかの実施形態において、がんは唾液腺導管がんである。いくつかの実施形態において、がんは食道がんである。いくつかの実施形態において、がんは子宮がんである。
【0254】
デンドリマーは、例えば、静脈内を含めて、どのような経路であれ好適な経路によって投与され得る。いくつかの実施形態において、デンドリマーはIVボーラスとして送達される。いくつかの実施形態において、デンドリマーは0.5分~60分の範囲の期間にわたって、または0.5分~30分の範囲の期間にわたって、または0.5分~15分の範囲の期間にわたって、または0.5分~5分の範囲の期間にわたってIV投与される。別の一例において、デンドリマーは腹腔内投与される場合がある。投与経路は、例えば、対象が有する疾患または障害に対して向けられる場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、疾患または障害は、腹腔内悪性腫瘍、例えば、婦人科がんまたは胃腸がんなどである場合があり、コンジュゲートが腹腔内投与される場合がある。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、腹膜腔のがん、例えば、悪性上皮性腫瘍(例えば、卵巣がん)または腹膜がん腫症(例えば、胃腸がん、とりわけ結腸直腸がん、胃部がん、婦人科がん、および原発性腹膜新生物)などを処置するためのものである場合があり、デンドリマーが腹腔内投与される。
【0255】
デンドリマーが、さらなる医薬活性薬剤である第3の末端基を含む場合、いくつかの実施形態においては、投与されるデンドリマーの量は、2mg/m2~100mg/m2の間の活性薬剤、2mg/m2~50mg/m2の間の活性薬剤、2mg/m2~40mg/m2の間の活性薬剤、2mg/m2~30mg/m2の間の活性薬剤、2mg/m2~25mg/m2の間の活性薬剤、2mg/m2~20mg/m2の間の活性薬剤、5mg/m2~50mg/m2の間の活性薬剤、10mg/m2~40mg/m2の間の活性薬剤、15mg/m2~35mg/m2の間の活性薬剤、10mg/m2~20mg/m2の間の活性薬剤、20mg/m2~30mg/m2の間の活性薬剤、または25mg/m2~35mg/m2の間の活性薬剤を送達するために十分である。マウスにおける10mg/kgの活性薬剤の用量は30mg/m2のヒト用量とほぼ同等であるにちがいないであろう(FDAガイダンス、2005)。(ヒトでのmg/kg用量をmg/m2に変換するために、数字に37が乗じられる場合がある;FDAガイダンス、2005)。
【0256】
いくつかの実施形態において、治療効果的な量のデンドリマーが、その必要性のある対象に所定の頻度で投与される。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、デンドリマーが1週間~4週間につき1回投与される投薬計画に従って、その必要性のある対象に投与される。いくつかの実施形態において、デンドリマーは、デンドリマーが3週間~4週間につき1回投与される投薬計画に従って、その必要性のある対象に投与される。
【0257】
上記で議論されるように、治療効果的な量のデンドリマーが投与される。例えば、いくつかの実施形態において、投与されるときには、50GBqまでの範囲、1~20GBqの範囲、または1~10GBqの範囲での量の放射能をもたらす用量のデンドリマーが投与される場合がある。いくつかの実施形態において、投与されるときには、0.1~10MBqの範囲、0.1~5MBqの範囲、0.1~2MBqの範囲、0.1~1MBqの範囲、0.5~10MBqの範囲、1~10MBqの範囲、1~5MBqの範囲、5~10MBqの範囲での量、あるいは約1MBq、約2MBq、約3MBq、約4MBq、約5MBq、約6MBq、約7MBq、約8MBq、約9MBq、または約10MBqの量の放射能をもたらす用量のデンドリマーが投与される。いくつかの実施形態において、放射能は、デンドリマーが使用される直前の時点で測定される。
【0258】
組み合わせ
【0259】
様々な薬物が、とりわけ化学療法の期間中に、他の薬物との組み合わせで投与されることが多い。したがって、いくつかの実施形態において、デンドリマーは1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤との組み合わせで投与され、例えば、1つまたは複数のさらなる抗がん剤/薬物との組み合わせで投与される。デンドリマーと、1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤とは、同時に、続いて、または別々に投与される場合がある。例えば、デンドリマーと、1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤とは、同じ組成物の一部として投与される場合があり、または別個の組成物の投与によって投与される場合がある。
【0260】
1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤は、例えば、前立腺がん、脳腫瘍、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん、肺の腺がん、胃部がん、膵臓がん、唾液腺導管がん、食道がんまたは子宮がん(例えば、子宮の重篤な子宮内膜がん)を治療するための抗がん剤である場合がある。
【0261】
1つまたは複数のさらなる医薬活性薬剤は、例えば、結腸直腸がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がんまたは乳がんを治療するための抗がん剤である場合がある。
【0262】
さらなる医薬活性薬剤の例には、化学療法剤および細胞毒性剤、小分子細胞毒性剤、チロシンキナーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、EGFR阻害剤、抗体療法剤、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、nab-パクリタキセル)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、SN-38、イリノテカン(CPT-11)、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルルトテカン、ギマテカン、ベロテカンまたはルビテカン)、ヌクレオシド類似体、ならびにアロマターゼ阻害剤が含まれる。
【0263】
デンドリマーとの組み合わせで使用され得る医薬活性薬剤のさらにさらなる例には、放射線増感剤、DNA修復を低下させる医薬活性薬剤、免疫療法剤、生存シグナル伝達阻害剤および抗低酸素剤が含まれる。
【0264】
いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は放射線増感剤である。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤はDNA修復を低下させる。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は、DNA依存性プロテインキナーゼを標的とする薬剤、チェックポイントキナーゼ1を標的とする薬剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼを標的とする薬剤(例えば、オラパリブなど)、毛細血管拡張性運動失調症を標的とする薬剤、および/またはRad3関連タンパク質を標的とする薬剤(例えば、AZD6738など)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は免疫療法剤である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、共抑制分子、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)、チェックポイント阻害剤を阻止する薬剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は生存シグナル伝達阻害剤(アポトーシス促進剤)である。いくつかの実施形態において、薬剤は、mTOR(ラパマイシンの機構的標的)を標的とする薬剤、PI3K(ホスホイノシチド3-キナーゼ)を標的とする薬剤、およびNF-κB(核因子-カッパ-B)を標的とする薬剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬活性薬剤は抗低酸素剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は、CA9(炭酸脱水酵素9)を標的とする薬剤、HIF-1-α(低酸素誘導因子1-アルファ)を標的とする薬剤、およびUPR(小胞体ストレス応答)を標的とする薬剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、薬剤はチラパザミンである。
【0265】
デンドリマーの調製
【0266】
放射性材料は危険な物質であり、そのような材料を使用する取り扱いことは理想的には最小限にされる。放射性核種成分をデンドリマーに後期段階でのみ導入すること、理想的にはコンジュゲートを使用する直前の時点で導入することが望ましい。
【0267】
本明細書中に記載されるような放射性核種を含むデンドリマーは、中間体および放射性核種から調製される場合がある。中間体デンドリマーは、放射性核種を錯化するための錯化基を含む少なくともいくつかの末端基を含有する場合がある。
【0268】
したがって、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する放射性核種含有デンドリマーであって、
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、それぞれが、放射性核種を錯化するための錯化基を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む放射性核種含有デンドリマーを製造するための中間体が提供される。
【0269】
コアユニット(C)、組立てユニット(BU)、末端基またはデンドリマーについて本明細書中に記載されるようないずれか1つまたは複数の様々な実施形態または実施例はまた、中間体デンドリマーのためにも提供され得ることが理解されるであろう。
【0270】
別の実施形態において、本明細書中に記載されるようなそのいずれかの局面、実施形態または実施例に従うデンドリマーを製造するためのキットであって、中間体デンドリマーと、放射性核種とを含み、それぞれが独立して、本明細書中に記載されるようなそのいずれかの局面、実施形態または実施例に従って提供される、キットが提供される。
【0271】
本明細書中に記載されるような少なくともいくつかの実施形態または実施例に従うデンドリマーを製造するためのプロセスは、中間体デンドリマーを、デンドリマーを製造するために放射性核種と接触させることを含む場合がある。デンドリマーを製造する好適な手段はどれも使用され得る。例えば、中間体と、放射性核種の塩とが、放射性核種の錯化が生じるように、適切な緩衝剤を含有する水性溶媒において混合される場合がある。
【0272】
上記のキットおよびプロセスは、デンドリマーを投与前に診療所において放射能標識することによる医薬組成物の効果的な診療所内調製を提供するために使用することができる。
【0273】
中間体デンドリマー自体は、例えば、錯化基との反応および錯化基の導入のための官能基が最外組立てユニットの一部として、または最外組立てユニットに結合する第1の末端基の一部としてそのどちらであれ提供される前駆体デンドリマーから製造される場合がある。代替において、前駆体デンドリマーは、錯化基を導入し、したがって中間体デンドリマーを調製するために脱保護され、その後で反応させることができる保護基を有する保護された形態である場合がある。
【0274】
例えば、錯化基が、放射性核種を錯化するための錯化基を含む少なくともいくつかの末端基を含む中間体デンドリマーを形成させるために前駆体デンドリマーと反応させられる場合がある。
【0275】
前駆体デンドリマーは、例えば、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する、ものである場合があり、
該デンドリマーは、異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
該デンドリマーはさらに
iii)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第1の末端基であって、錯化基を導入するために反応のために利用可能である官能基を含む、またはそのような官能基の保護された形態を含む1つまたは複数の第1の末端基、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む。
【0276】
代替において、前駆体デンドリマーは、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する、ものである場合があり、
該デンドリマーは、異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
該デンドリマーはさらに
iii)錯化基を導入するために反応のために利用可能である官能基を含む、またはそのような官能基の保護された形態を含む最外組立てユニット、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む。
【0277】
錯化基を導入するために反応のために利用可能である好適な官能基の例には、最外リシン組立てユニット表面に存在するアミン官能基が含まれる。好適な保護基には、例えば、Boc保護基またはCbz保護基が含まれる場合がある。
【0278】
本明細書中に記載されるような少なくともいくつかの実施形態または実施例に従うデンドリマーを製造するためのプロセスは、必要な場合にはどのような保護基であれ、該保護基が前駆体デンドリマー表面に存在するならば脱保護すること、前駆体デンドリマーを錯化基と接触させて、中間体デンドリマーを製造すること、および中間体デンドリマーを放射性核種と接触させて、デンドリマーを製造することを含む場合がある。
【0279】
第3の末端基が、医薬活性薬剤の残基とのさらなる反応によって中間体デンドリマー表面にもたらされる場合がある。錯化基、放射性核種、第3の末端基、医薬活性薬剤の残基、および医薬活性薬剤はそれぞれが独立して、本明細書中に記載されるようなそれらのいずれかの実施形態または実施例に従ってもたらされ得ることが理解されるであろう。
【0280】
医薬活性薬剤をプロセスの後期段階で導入することもまた、例えば、その構成要素がしばしばデンドリマーの貴重な構成要素であることを考えると、望ましい場合がある。
【0281】
したがって、いくつかの実施形態において、下記ユニット:
i)コアユニット(C)、および
ii)組立てユニット(BU)
を含み、
該コアユニットが少なくとも2つの組立てユニットに共有結合する前駆体デンドリマーであって、
異なる世代の組立てユニットが互いに共有結合する2世代~6世代の組立てユニットを有し、かつ
さらに
iii)反応のために利用可能である官能基(例えば、アミノ基)を含む最外組立てユニット、および
iv)最外組立てユニットに結合する1つまたは複数の第2の末端基であって、それぞれが薬物動態学改変部分を含む1つまたは複数の第2の末端基
を含む前駆体デンドリマーが、錯化基を含む部分と反応させられ、その結果、最外組立てユニット表面の利用可能な部位のいくつかが錯化基を含有するようにされる場合がある。
【0282】
続いて、最外組立てユニット表面の他の利用可能な官能基が、例えば、リンカー-医薬活性薬剤基と反応させられ、その結果、他の利用可能な部位が医薬活性薬剤を含有し、それにより中間体デンドリマーを生成するようにされる場合がある。その後、中間体デンドリマーは放射性核種(例えば、放射性核種の塩)と反応させられ、その結果、放射性核種が錯化され、これにより、最終的デンドリマーを生成するようにされる場合がある。
【0283】
例として、官能基と、錯化基を含有する部分との反応、およびリンカー-医薬活性薬剤基との反応では、例えば、最外組立てユニット表面に存在するアミノ基と、それ以外のパートナーの表面に存在するカルボン酸基または活性化カルボキシル基(例えば、活性エステル)との間でのアミド形成反応が伴う場合がある。
【0284】
そのようなプロセスにおいて、最終的デンドリマーの表面における部位で、第1の末端基を含有する部位の、第3の末端基を含有する部位に対する割合が、例えば、反応において使用される試薬の化学量論を制御することによって制御される場合がある。
【0285】
上述で議論されるように、デンドリマーの一部を形成する第1の末端基、第2の末端基、および存在する場合には第3の末端基の数を、デンドリマーの特性を所望の通りに調整するように変化させることができる。いくつかの実施形態において、中間体デンドリマー(すなわち、放射性核種を錯化する前のデンドリマー材料)は錯化基対医薬活性薬剤のモル比が1:1~1:100の範囲にあり、または1:1~1:50の範囲にあり、または1:1~1:40の範囲にあり、または1:1~1:30の範囲にあり、または1:1~1:20の範囲にあり、または1:1~1:10の範囲にあり、または1:2~1:100の範囲にあり、または1:2~1:50の範囲にあり、または1:2~1:40の範囲にあり、または1:2~1:30の範囲にあり、または1:2~1:20の範囲にあり、または1:2~1:10の範囲にあり、または1:5~1:100の範囲にあり、または1:5~1:50の範囲にあり、または1:5~1:40の範囲にあり、または1:5~1:40の範囲にあり、または1:5~1:30の範囲にあり、または1:5~1:20の範囲にあり、または1:5~1:10の範囲にあり、または1:10~1:100の範囲にあり、または1:10~1:50の範囲にあり、または1:10~1:40の範囲にあり、または1:10~1:30の範囲にあり、または1:10~1:20の範囲にある。
【0286】
コアと、組立てユニット(例えば、リシン組立てユニット)と、薬物動態学改変基(例えば、PEG基など)を含む第2の末端基とを含む前駆体デンドリマーが、例えば、国際公開WO2007/082331および同WO2012/167309に記載される。
【0287】
上記プロセスは、本明細書中に記載されるように、前駆体デンドリマー、中間体デンドリマーおよびデンドリマーの様々な実施形態または実施例を含む場合がある。
【0288】
本明細書中に記載されるようなそのいずれかの局面、実施形態または実施例に従うデンドリマーを製造するためのキットであって、前駆体デンドリマーと、錯化基と、放射性核種とを含み、それぞれが独立して、本明細書中に記載されるようなそのいずれかの局面、実施形態または実施例に従って提供される、キットもまた提供される。
【0289】
キットは、好適な線量の放射能を対象に投与するための十分な量の放射性核種を提供する場合があり、かつ典型的には、その量の放射性核種を錯化するための好適な量の前駆体デンドリマーもまた含有するであろう。いくつかの実施形態において、キットは、50GBqまでの範囲、1~20GBqの範囲、または1~10GBqの範囲での量の放射能をもたらす放射性核種を含む。いくつかの実施形態において、キットは、0.1~10MBqの範囲、0.1~5MBqの範囲、0.1~2MBqの範囲、0.1~1MBqの範囲、0.5~10MBqの範囲、1~10MBqの範囲、1~5MBqの範囲、5~10MBqの範囲での量、あるいは約1MBq、約2MBq、約3MBq、約4MBq、約5MBq、約6MBq、約7MBq、約8MBq、約9MBq、または約10MBqの量の放射能をもたらす放射性核種を含む。いくつかの実施形態において、放射能は、放射性核種がデンドリマーによって錯化される直前の時点で、すなわち、使用直前の時点で測定される。
【実施例】
【0290】
コアユニットおよび組立てユニットの合成
【0291】
BHALys[Lys]32[α-NH2TFA]32[ε-PEGX]32(式中、XはPEG基のおおよその分子量を示す)を、国際公開WO2007/082331に記載される合成方法と類似した合成方法によって製造した。
【0292】
術語BHALys[Lys]32は、BHALysコアユニットと、32個のリシン組立てユニットを最外層に含有するような5世代のリシン組立てユニットとを有するデンドリマー、すなわち、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32を示す。
【0293】
実施例1
(a)BHALys[Lys]32[(α-NH2)30(α-DFO)2(ε-PEG2000)32]
(b)BHALys[Lys]32[(α-TDA-DTX)30(α-DFO)2(ε-PEG2000)32]
【0294】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](151mg、1.98μmol)(実施例1に記載される様式と類似した方法で調製した)がDMF(4.0mL)に溶解される撹拌溶液に、p-SCN-デフェロキサミン(p-SCN-DFO)(4.83mg、6.41μmol、3.24当量)を加え、続いてNMM(56μL、514μmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で3.5時間撹拌し、反応混合物の半分(2.0 mL)を取り出し、別個のバイアルにおいて撹拌した(反応A)。残りの溶液(反応B)に、TDA-DTX(チオ二酢酸-ドセタキセル)(60mg、58.9μmol)およびPyBOP(35mg、67.8μmol)がDMF(1.5mL)に溶解される溶液を加え、続いてNMM(56μL、514μmol)をさらに加えた。その後、両方の反応混合物を周囲温度で一晩撹拌したままにした。
【0295】
反応A(対照):
【0296】
19時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物1aを白色の綿状固体として得た(65.8mg)。
【0297】
HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.98分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.29~2.06(m、468H)、2.43~2.53(m、13H)、2.71~2.82(m、13H)、3.06~3.28(m、121H)、3.36(s、96H)、3.39~3.42(m、39H)、3.51~4.06(m、5781H)、4.25~4.45(m、36H)、6.17(幅広いs、1H)、7.24~7.58(m、19H)、8.09(s、1H)。1H NMR分析は、およそ2.3のDFO/デンドリマー、DFOの%(w/w)=2.3%を示唆する。
【0298】
反応B(TDA-DTX):
【0299】
24時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物1bを白色の綿状固体として得た(96.8mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.51分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.80~2.66(m、1183H)、3.36(s、96H)、3.38~3.41(m、47H)、3.50~3.77(m、5100H)、3.85~3.90(m、62H)、3.98(幅広いs、67H)、4.12~4.48(m、129H)、4.96~5.07(m、41H)、5.19~5.49(m、80H)、5.54~5.75(m、31H)、6.00~6.26(m、26H)、7.16~7.97(m、255H)、8.05~8.22(m、62H)。1H NMR分析は、およそ30のDTX/デンドリマーおよび2.3のDFO/デンドリマー、DFOの%(w/w)=1.7%を示唆する。
【0300】
実施例2
BHALys[Lys]32[(α-TDA)31(α-DFO)1(ε-PEG2000)32]
【0301】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](100mg、1.32μmol)およびp-SCN-デフェロキサミン(1.0mg、1.32μmol、1.0当量)がDMF(2.5mL)に溶解される撹拌溶液に、NMM(10μL、91μmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で5時間撹拌し、その後、TDA(11mg、84.4μmol)を加え、内容物を一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を綿毛状の白色固体として得た(89.4mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.43分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.29~1.99(m、371H)、3.19~3.26(m、77H)、3.36(s、96H)、3.38~3.49(m、149H)、3.50~3.77(m、5131)、3.84~3.90(m、35H)、4.01(幅広いs、59H)、4.27~4.43(m、74H)、6.19(幅広いs、1H)、7.26~7.36(m、10H)、8.09(s、1H)。1H NMR分析は、およそ1.0のDFO/デンドリマー、DFOの%(w/w)=1.0%を示唆する。
【0302】
実施例3
BHALys[Lys]32[(α-DGA-CTX)31(α-DFO)1(ε-PEG2000)32]
【0303】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](71.2mg、0.93μmol)がDMF(1.0mL)に溶解される撹拌溶液に、p-SCN-デフェロキサミン(1.0mg、1.33μmol、1.42当量)を加え、続いてNMM(20μL、182μmol)を加えた。得られた濁った反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、その後、DGA-CTX(ジグリコール酸-カバジタキセル)(56.1mg、58.9μmol)およびPyBOP(29.8mg、57.3μmol)がDMF(2.0mL)に溶解される溶液を加え、続いてNMM(20μL、182μmol)をさらに加えた。19時間後、反応混合物を真空濃縮し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を白色の綿状固体として得た(84.6mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=9.19分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.88~2.51(m、1283H)、2.65~2.80(m、55H)、3.36(s、96H)、3.37~3.41(m、103H)、3.50~4.57(m、5045H)、4.97~5.07(m、33H)、5.30~5.46(m、52H)、5.54~5.69(m、29H)、6.08~6.24(m、30H)、7.23~7.73(m、248H)、8.05~8.17(m、59H)。1H NMR分析は、およそ31のCTX/デンドリマーおよび1.0のDFO/デンドリマー、DFOの%(w/w)=0.74%を示唆する。
【0304】
実施例4
(a)BHALys[Lys]32[(α-NH2)30(α-DOTA)2(ε-PEG2000)32]
(b)BHALys[Lys]32[(α-DGA-CTX)27(α-DOTA)2(ε-PEG2000)32]
【0305】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](301mg、3.97μmol)がDMF(6.0mL)に溶解される撹拌溶液に、p-SCN-Bn-DOTA(8.13mg、11.8μmol、2.98当量)を加え、続いてNMM(114μL、1.03mmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で4.5時間撹拌し、その後、反応液の一部(2.0mL)を別個のバイアルに取り出した(反応A)。残りの溶液(反応B)に、TDA-CTX(105mg、110.4μmol)およびPyBOP(57.0mg、109.5μmol)がDMF(2mL)に溶解される溶液を加えた。45分後、NMM(56μL、514μmol)を加え、その後、両方の反応混合物を周囲温度で一晩撹拌したままにした。
【0306】
反応A(対照):
【0307】
24時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物4aを白色固体として得た(82.5mg)。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.17~2.29(m、401H)、3.36(s、96H)、3.39~3.43(m、43H)、3.50~4.08(m、5564H)、4.21~4.67(m、84H)、6.17(幅広いs、1H)、7.18~7.64(m、18H)、8.09(s、1H)。1H NMR分析は、およそ2.1のDOTA/デンドリマー、DOTAの%(w/w)=2.0%を示唆する。
【0308】
反応B(TDA-CTX):
【0309】
19時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物4bを白色固体として得た(238mg)。LCMS(親水性、TFA)Rt=8.83分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.95~2.76(m、1020H)、3.36(s、96H)、3.38~3.41(m、83H)、3.52~4.56(m、5081H)、4.99~5.11(m、34H)、5.38~5.61(m、74H)、6.16(幅広いs、26H)、7.29~8.17(m、300H)。1H NMR分析は、およそ26.5のCTX/デンドリマーおよび2.1のDOTA/デンドリマー、DOTAの%(w/w)=1.5%を示唆する。
【0310】
実施例5
BHALys[Lys]32[(α-NHAc)30(α-DOTA)2(ε-PEG2000)32]
【0311】
BHALys[Lys]32[(α-DOTA)2(α-NH2.TFA)30(ε-PEG2000)32](63mg、860μmol)がDMF(0.6mL)に溶解される撹拌溶液に、TEA(25μL、228μmol)を加え、続いて無水酢酸(41μL、430μmol)を加えた。続く反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物4cを白色固体として得た(52.2mg)。この固体をMQ水(50mL)に溶解し、水での限外ろ過(ミニメイト(minimate))によって精製した。11DVの透過液を集めた後、保持液を濃縮し、ろ過し(0.22μmのアクロディスクフィルター)、その後、凍結乾燥して、表題化合物を得た(52.2mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.56分。1H NMR(300MHz、D2O)δ(ppm):1.16~1.90(m、359H)、2.02(幅広いs、101H)、3.01~3.31(m、133H)、3.38(s、96H)、3.45~3.48(m、43H)、3.52~4.40(m、5267H)、6.09(幅広いs、1H)、7.13~7.54(m、17H)。1H NMR分析は、およそ1.8のDOTA/デンドリマー、DOTAの%(w/w)=1.7%を示唆する。
【0312】
実施例6
BHALys[Lys]32[α-DGA-C20-SN38]28[α-DFO]2[ε-PEG2000]32
【0313】
BHALys[Lys]32[α-NH2.TFA]32[ε-PEG2000]32(455mg、6.00μmol)およびNMM(169μL、1.54mmol)がDMF(3mL)に溶解される撹拌溶液に、p-SCN-Bn-デフェロキサミン(13.7mg、18.2μmol)を加えた。懸濁物を窒素雰囲気下で4時間40分、周囲温度で撹拌したままにした。この後、濁った反応混合物の一部(1.75mL)を、DGA-C20-SN-38(82.4mg、162μmol)およびPyBOP(85.2mg、164μmol)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に加えた。得られた混合物をDMF(1.0mL)により希釈し、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。16時間後、揮発物を真空中で除き、残渣をMeOH(1.0mL)に溶解し、ろ過し(0.7μmのアクロディスクフィルター、続いて0.45μmおよび0.2μmのアクロディスクフィルター)、その後、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を黄色固体として得た(243mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.61分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.32~2.53(m、622H)、2.53~3.26(m、182H)、3.36(s、97H)、3.37~4.04(m、5,530H)、4.04~4.73(m、145H)、4.92~6.42(m、68H)、6.81~8.19(m、123H)。1H NMR分析は、およそ27.5のSN-38/デンドリマーおよび1.7のDFO/デンドリマー、DFOの%(w/w)=1.5%を示唆する。
【0314】
実施例7
(a)BHALys[Lys]32[α-NH2]30[α-DOTA]2[ε-PEG2000]32
(b)BHALys[Lys]32[α-DGA-C20-SN38]30[α-DOTA]2[ε-PEG2000]32
【0315】
BHALys[Lys]32[α-NH2.TFA]32[ε-PEG2000]32(456mg、6.00μmol)およびNMM(169μL、1.54mmol)がDMF(9mL)に溶解される撹拌溶液に、p-SCN-Bn-DOTA(12.6mg、18.3μmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で3.5時間、周囲温度で撹拌したままにし、その後、反応混合物の一部(3.75mL)を別個のバイアルに取り出した(反応A)。残りの溶液を、DGA-C20-SN-38(82.7mg、163μmol)およびPyBOP(85.3mg、164μmol)がDMF(1.75mL)に溶解される撹拌溶液に加えた(反応B)。両方の反応混合物を一晩撹拌した。
【0316】
反応A:
【0317】
16時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物7aを灰白色固体として得た(175mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.58分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.78~2.41(m、388H)、2.64~3.29(m、122H)、3.36(s、95H)、3.38~4.19(m、5,546H)、4.19~4.59(m、37H)、6.98~7.82(m、18H)。1H NMR分析は、およそ2.4のDOTA/デンドリマー、DOTAの%(w/w)=2.2%を示唆する。
【0318】
反応B:
【0319】
16時間後、反応混合物を真空濃縮して乾固し、その後、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、化合物7bを黄色固体として得た(269mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.59分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.28~2.51(m、580H)、2.53~3.25(m、178H)、3.36(s、98H)、3.37~4.06(m、5,546H)、4.07~4.69(m、128H)、4.91~6.10(m、66H)、6.71~8.26(m、167H)。1H NMR分析は、およそ35.3のSN-38/デンドリマーおよび2.4のDOTA/デンドリマー、DOTAの%(w/w)=1.8%を示唆する。
【0320】
実施例8
(a)BHALys[Lys]32[(α-NOTA)2(α-NH2)30(ε-PEG1100)32]
(b)BHALys[Lys]32[(α-NOTA)2(α-NHAc)30(ε-PEG1100)32]
【0321】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](60mg、807nmol)およびp-SCN-Bn-NOTA(1.0mg、1.61μmol、2.0当量)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で5時間撹拌し、その後、反応混合物の半分(0.25mL)を取り出し、真空濃縮した(反応A)。残りの溶液(反応B)を無水酢酸(24μL、258μmol)により処理し、一晩撹拌したままにした。
【0322】
反応A:
【0323】
粗物質をMQ水(5.0mL)に溶解し、その後、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、化合物8aを綿毛状の白色粉末として得た(28.1mg)。HPLC(親水性、TFA)Rt=8.18分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.17~2.04(m、392H)、3.12~3.28(m、97H)、3.36(s、96H)、3.39~3.42(m、39H)、3.51~3.80(m、5584H)、3.86~3.89(m、35H)、3.97~4.06(m、60H)、4.22~4.47(m、34H)、6.18(幅広いs、1H)、7.20~7.60(m、20H)、8.08(s、1H)。1H NMR分析は、およそ2.5のNOTA/デンドリマー、NOTAの%(w/w)=1.9%を示唆する。
【0324】
反応B:
【0325】
17時間後、反応混合物を真空濃縮し、その後、MQ水(5.0mL)に溶解し、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、化合物8bを綿毛状の白色粉末として得た(32.5mg)。HPLC(親水性、TFA)Rt=8.32分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.17~1.89(m、372H)、2.00(幅広いs、97H)、3.18~3.29(m、86H)、3.36(s、96H)、3.38~3.42(m、38H)、3.51~3.77(m、5535H)、3.84~3.90(m、37H)、3.97~4.07(m、62H)、4.20~4.49(m、62H)、6.17(幅広いs、1H)、7.16~7.61(m、18H)、8.07(幅広いs、1H)。1H NMR分析は、およそ2.0のNOTA/デンドリマー、NOTAの%(w/w)=1.5%を示唆する。
【0326】
実施例9
BHALys[Lys]32[(α-NOTA)3(α-TDA-CTX)28(ε-PEG2000)32]
【0327】
BHALys[Lys]32[(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)32](51mg、686nmol)およびp-SCN-Bn-NOTA(1.3mg、2.32μmol、3.4当量)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、NMM(14μL、132μmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で4時間撹拌し、その後、TDA-CTX(43mg、43.9μmol)およびPyBOP(23mg、43.9μmol)がDMF(1.0mL)に溶解される溶液を加えた。続く反応混合物を一晩撹拌したままにし、その後、真空濃縮した。その後、内容物をMeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を綿毛状の白色固体として得た(61.0mg)。HPLC(親水性、TFA)Rt=8.87分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.90~2.43(m、877H)、2.64~3.19(m、151H)、3.36(s、96H)、3.38~3.41(m、84H)、3.50~4.59(m、4808H)、4.96~5.13(m、29H)、5.31~5.61(m、64H)、6.16(幅広いs、24H)、7.29~8.13(m、296H)。1H NMR分析は、およそ28のCTX/デンドリマーおよび3.0のNOTA/デンドリマー、NOTAの%(w/w)=1.7%を示唆する。
【0328】
実施例10
(a)BHALys[Lys]32[(α-NOTA)2(α-NH2)30(ε-PEG570)32]
(b)BHALys[Lys]32[(α-NOTA)2(α-NHAc)30(ε-PEG570)32]
【0329】
BHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG570)]32(60mg、1.99μmol)およびp-SCN-Bn-NOTA(2.2mg、3.98μmol、2.0当量)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。この後、反応混合物の半分(0.25mL)を取り出し、真空濃縮した(反応A)。残りの溶液(反応B)を無水酢酸(60μL、636μmol)により処理し、一晩撹拌したままにした。
【0330】
反応A:
【0331】
粗物質をMQ水(5.0mL)に溶解し、その後、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、化合物10aを淡黄色の粘着性固体として得た(22.4mg)。HPLC(親水性、TFA)Rt=7.51分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.29~2.04(m、431H)、2.41~2.52(m、89H)、3.13~3.26(m、119H)、3.36(s、96H)、3.39~3.44(m、24H)、3.52~4.50(m、1651H)、6.18(幅広いs、1H)、7.18~7.63(m、19H)。1H NMR分析は、およそ2.3のNOTA/デンドリマー、NOTAの%(w/w)=4.6%を示唆する。
【0332】
反応B:
【0333】
反応混合物を真空濃縮し、その後、MQ水(5.0mL)に溶解し、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、化合物10bを淡黄色の粘着性固体として得た(26.9mg)。HPLC(親水性、TFA)Rt=8.10分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.29~2.05(m、546H)、2.40~2.52(m、85H)、3.12~3.26(m、137H)、3.36(s、96H)、3.39~3.44(m、22H)、3.53~4.00(m、1621H)、4.16~4.47(m、103H)、6.18(幅広いs、1H)、7.22~7.56(m、21H)、7.82~8.14(m、27H)。1H NMR分析は、およそ2.3のNOTA/デンドリマー、NOTAの%(w/w)=4.4%を示唆する。
【0334】
実施例11
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)10(ε-PEG2000)32]
【0335】
ギ酸アンモニウム緩衝液(100mM、pH9、1.0mL)におけるBHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)]32(25mg、332nmol)およびCHX-A-DTPA(9.7mg、13.8μmol、41.5当量)の混合物を周囲温度で一晩撹拌した。その後、反応混合物をMQ水(1.5mL)により希釈し、PD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(32.5mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.53分。1H NMR(300MHz、D2O)δ(ppm):0.92~2.50(m、420H)、3.01~3.34(m、136H)、3.40(s、96H)、3.54~4.45(m、4906H)、6.10(幅広いs、1H)、7.15~7.82(m、51H)。1H NMR分析は、およそ10のDTPA/デンドリマー、DTPAの%(w/w)=7.7%を示唆する。
【0336】
実施例12
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)3(α-TDA-DTX)26(ε-PEG2000)32]
【0337】
BHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)]32(109mg、1.45μmol)がDMF(2.0mL)に溶解される撹拌溶液に、DIPEA(33μL、189μmol)を加えた。5分後~10分後、CHX-A-DTPA(3mg、4.26μmol、2.9当量)を加え、続く反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。この後、反応混合物をその後、TDA-DTX(67mg、70.8μmol)、PyBOP(31mg、60.2μmol)がDMF(1.0mL)に溶解される撹拌溶液に加え、内容物を一晩撹拌した。続く反応混合物を一晩撹拌したままにし、その後、真空濃縮した。粗物質をMeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(123mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=6.51分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.87~2.55(m、1380H)、3.06~3.25(m、89H)、3.36(s、96H)、3.39~3.42(m、49H)、3.51~4.05(m、4965H)、5.31~5.64(m、120H)、6.03~6.23(m、34H)、7.26~7.67(m、224H)、8.06~8.18(m、57H)。1H NMR分析は、およそ26のDTX/デンドリマーおよび3.0のCHX-A-DTPA/デンドリマー、CHX-A-DTPAの%(w/w)=1.8%を示唆する。
【0338】
実施例13
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)2(α-NH2)30(ε-PEG2600)32]
【0339】
反応A:
【0340】
ギ酸アンモニウム緩衝液(100mM、pH9、1.0mL)におけるBHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2600)]32(50mg、532nmol)およびCHX-A-DTPA(1.0mg、1.45μmol、2.7当量)の混合物を周囲温度で1時間撹拌した。その後、反応混合物をMQ水により希釈して5mLにし、その後、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(47.2mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=6.0分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.04~2.11(m、381H)、3.12~3.28(m、79H)、3.36(s、96H)、3.38~3.42(m、57H)、3.47~4.46(m、6823H)、6.17(幅広いs、1H)、7.24~7.64(m、21H)。1H NMR分析は、およそ2.7のCHX-A-DTPA/デンドリマー、CHX-A-DTPAの%(w/w)=1.7%を示唆する。
【0341】
反応B:
【0342】
BHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2600)]32(50mg、532nmol)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、DIPEA(13μL、74.6μmol)を加えた。5分後~10分後、CHX-A-DTPA(1.0mg、1.45μmol、2.7当量)を加え、続く反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MQ水(5mL)により希釈し、その後、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(41.9mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=6.0分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.02~2.25(m、369H)、3.12~3.28(m、63H)、3.36(s、96H)、3.38~3.42(m、53H)、3.51~4.50(m、6736H)、6.17(幅広いs、1H)、7.22~7.57(m、18H)。1H NMR分析は、およそ2.0のCHX-A-DTPA/デンドリマー、CHX-A-DTPAの%(w/w)=1.3%を示唆する。
【0343】
実施例14
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)2(α-TDA-DTX)21(ε-PEG2600)32]
【0344】
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)2(α-NH2)30(ε-PEG2600)]32(69mg、723nmol)がDMF(2.0mL)に溶解される撹拌溶液に、DIPEA(15μL、86.1μmol)を加えた。5分後、反応混合物を、TDA-DTX(31mg、33.0μmol)、PyBOP(16mg、30.7μmol)がDMF(1.0mL)に溶解される撹拌溶液に加え、内容物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(60.4mg)。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.89~2.65(m、1074H)、3.05~3.25(m、88H)、3.36(s、96H)、3.39~3.42(m、55H)、3.52~3.81(m、6451H)、3.86~3.90(m、60H)、3.94~4.06(m、56H)、5.29~5.78(m、90H)、5.99~6.30(m、20H)、7.26~7.70(m、188H)、8.11~8.13(m、45H)。1H NMR分析は、およそ21のDTX/デンドリマーおよび2.0のCHX-A-DTPA/デンドリマー、CHX-A-DTPAの%(w/w)=1.1%を示唆する。
【0345】
実施例15
BHALys[Lys]32[(α-CHX-A-DTPA)2(α-NH2)30(ε-PEG2000)32]
【0346】
ギ酸アンモニウム緩衝液(100mM、pH9、2.0mL)におけるBHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2000)]32(109mg、1.45μmol)およびCHX-A-DTPA(2.0mg、2.90μmol、2.0当量)の混合物を周囲温度で1時間撹拌した。その後、反応混合物をMQ水により希釈して10mLにし、その後、等分割して、4つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(112mg)。HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)Rt=8.55分。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.15~2.12(m、419H)、3.17~3.28(m、84H)、3.36(s、96H)、3.38~3.42(m、43H)、3.47~3.80(m、5460H)、3.84~3.89(m、46H)、4.00~4.07(m、67H)、4.24~4.48(m、35H)、6.18(幅広いs、1H)、7.21~7.51(m、20H)、8.07(幅広いs、2H)。1H NMR分析は、およそ2.5のCHX-A-DTPA/デンドリマー、CHX-A-DTPAの%(w/w)=2.0%を示唆する。
【0347】
実施例16
BHALys[Lys]32[(α-DTPA)2(α-NH2)30(ε-PEG2600)32]
【0348】
BHALys[Lys(α-NH2.TFA)(ε-PEG2600)]32(50mg、532nmol)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、DIPEA(13μL、74.6μmol)を加えた。5分後~10分後、p-SCN-Bn-DTPA(1.0mg、1.54μmol、2.9当量)を加え、続く反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MQ水(5mL)により希釈し、その後、等分割して、2つのPD-10脱塩カラムに通した。回収されたろ液を一緒にし、凍結乾燥して、表題化合物を白色固体として得た(27.0mg)。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):1.08~2.23(m、351H)、3.17~3.28(m、72H)、3.36(s、96H)、3.38~3.42(m、55H)、3.50~3.80(m、7032H)、3.85~3.89(m、58H)、3.96~4.05(m、68H)、4.23~4.52(m、35H)、6.19(幅広いs、1 H)、7.20~7.57(m、16H)。1H NMR分析は、およそ1.5のDTPA/デンドリマー、DTPAの%(w/w)=1.1%を示唆する。
【0349】
実施例17
BHALys[Lys]32[(α-DTPA)2(α-TDA-DTX)26(ε-PEG2600)32]
【0350】
BHALys[Lys]32[(α-DTPA)2(α-NH2)30(ε-PEG2600)]32(15.3mg、161nmol)がDMF(0.5mL)に溶解される撹拌溶液に、DIPEA(4μL、20.6μmol)を加えた。5分後、反応混合物を、TDA-DTX(1.3mg、1.38μmol)、PyBOP(3.5mg、6.69μmol)がDMF(1.0mL)に溶解される撹拌溶液に加え、内容物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECによって精製した。生成物含有分画物を一緒にし、真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題化合物を綿毛状の白色固体として得た(8.3mg)。1H NMR(300MHz、CD3OD-d4)δ(ppm):0.99~2.53(m、770H)、3.13~3.26(m、50H)、3.36(s、96H)、3.38~3.41(m、56H)、3.47~3.77(m、6440H)、3.84~3.88(m、72H)、3.95~4.07(m、65H)、4.13~4.49(m、102H)、5.22~5.47(m、50H)、5.57~5.70(m、22H)、6.06~6.21(m、19H)、7.27~8.15(m、280H)。1H NMR分析は、およそ26のDTX/デンドリマーおよび1.5のDTPA/デンドリマー、DTPAの%(w/w)=0.85%を示唆する。
【0351】
実施例18
BHA-[Lys]8[(α-(MeTzPh-PEG4-PEG24)1(α-NH2)7(ε-NHPEG1100)8]、G3、化合物18
【0352】
BHA[Lys(NH2.TFA)(NHPEG1100)]8(100mg、0.00786mmol、1.0当量)がDMF(300μL)に溶解される撹拌溶液をRTで調製した。これに、MeTzPh-PEG4-PEG24-CO2H(16mg、0.01mmol、1.3当量)、PyBOP(8mg、0.013mmol、1.6当量)およびDMF(200μL)を加えた。反応混合物を3分間撹拌し、その後、NMM(40mg、50μL、0.38mmol、48当量)を加えた。内容物を光から保護し、RTで一晩撹拌した。反応混合物をMQ水により希釈し、一晩にわたって凍結乾燥した。凍結乾燥物をMeOH(1mL)に溶解し、SECによって精製した(400滴/チューブ、MeOH セファデックスLH20、35滴/分)。生成物含有分画物をHPLCによって調べ、2つの異なる画分で回収した。それぞれの画分を減圧下で濃縮し、その後、得られた残渣をMQ水に溶解し、ろ過し(0.45μmのアクロディスクフィルター)、凍結乾燥して、表題生成物をピンク色固体として得た(69mg、66%)。
【0353】
HPLC(C8 XBridge、3×100mm)グラジエント:5%ACN/H2O(0~1分)、5→80%ACN(1~7分)、80%ACN(7~12分)、80→5%ACN(12~13分)、5%ACN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rf(分)=8.4(幅広いピーク)。1HNMR(300MHz、D2O)δ(ppm):1.00~2.00(m、90H)、2.51(t、3H)、2.60(br s、3H)、3.00~3.12(m、6H)、3.12~3.35(br s、27H)、3.35~3.45(m、26H)、3.45~4.15(m、937H)、4.15~4.45(m、12H)、6.12(s、1H)、7.15~7.50(m、12H)、8.40~8.50(m、2H)。
【0354】
実施例19
BHA-[Lys]8[(α-MeTzPh-PEG4PEG24)1(α-DFO)2(Glu-VC-PAB-MMAE)5(ε-NHPEG1100)8]、化合物19
【0355】
p-SCN-デフェロキサミン(2.0mg、2.66μmol)がDMSO(100μL)に溶解される撹拌溶液をRTで調製した。これに、DMF(200μL)におけるBHA-[Lys]8[(α-(MeTzPh-PEG4-PEG24)1(α-NH2)7(ε-NHPEG1100)8](化合物18)(17.0mg、1.27μmol)を加えた。続く反応混合物を3分間撹拌し、その後、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた溶液を光から保護し、RTで4時間撹拌した。PyBOP(7.0mg、13.5μmol)を加え、5分後、反応混合物を純HO-Glu-VC-PAB-MMAE(9.17mg、7.41μmol)に加えた。続く反応混合物を一晩放置した。反応混合物をPBS緩衝液(4.5mL)により希釈し、分割して、4つのAmiconウルトラ遠心分離フィルター(10K MWCO)に通し、フィルターを遠心分離した(14K rcf、15分)。保持液をPBSに対して透析ろ過した(400μL、14K rcf、15分、10回)。保持液を一緒にして、ピンク色の溶液を得た(2mLにおける16mgの概算濃度)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)グラジエント:5%ACN/H2O(0~1分)、5→80%ACN(1~7分)、80%ACN(7~12分)、80→5%ACN(12~13分)、5%ACN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt(分)=9.3~9.7分(幅広いピーク)。
【0356】
実施例20
MeTzPh-PEG4PEG24-CO[N(PN)2][Lys]8[(α-DFO)2(α-Glu-VC-PAB-MMAE)6(ε-NHPEG1100)8]、化合物20
【0357】
p-SCN-デフェロキサミン(2.1mg、2.79μmol)がDMSO(100μL)に溶解される撹拌溶液をRTで調製した。これに、DMF(200μL)における(国際公開WO2008/017125に記載されるような)MeTzPh-PEG4PEG24-CO[N(PN)2][Lys(α-NH2.HCl)(ε-NHPEG1100)]8(17.0mg、1.35μmol)を加えた。続く反応混合物を3分間撹拌し、その後、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた溶液を光から保護し、RTで4時間撹拌した。PyBOP(7.0mg、13.5μmol)を加え、5分後、反応混合物を純HO-Glu-VC-PAB-MMAE(9.76mg、7.89μmol)に加えた。続く反応混合物を一晩放置した。反応混合物をPBS緩衝液(4.5mL)により希釈し、分割して、4つのAmiconウルトラ遠心分離フィルター(10K MWCO)に通し、フィルターを遠心分離した(14K rcf、15分)。保持液をPBSに対して透析ろ過した(400μL、14K rcf、15分、10回)。保持液を一緒にして、ピンク色の溶液を得た(2mLにおける16mgの概算濃度)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)グラジエント:5%ACN/H2O(0~1分)、5→80%ACN(1~7分)、80%ACN(7~12分)、80→5%ACN(12~13分)、5%ACN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt(分)=8.7~9.8分(幅広いピーク)。
【0358】
放射性核種を組み込む前のデンドリマーのための精製技術
【0359】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Sephadex LH-20(カラムの高さ=370mm、直径=25mm)、溶離液=MeOH重力溶出、滴下速度:約1滴/秒、400滴/分画物を使用して行った。生成物含有分画物はBaCl2/I2染色により陽性に染色された。
【0360】
HPLC(親水性、ギ酸アンモニウム)方法:XBridge C8(3.5μm、3×100mm)カラム。サンプルを下記のように0.4mL/分の流速で溶出した(緩衝液、100mMギ酸アンモニウム):5→80%ACN/水(1~7分);80%ACN/水(7~12分);80→5%ACN/水(12~13分);5%ACN/水(13~15分)。
【0361】
LCMS(親水性、TFA)方法:XBridge C18(3.5μm、3×100mm)カラム。サンプルを下記のように0.4mL/分の流速で溶出した(緩衝液、0.1%TFA):20→90%ACN/水(1~10分);90%ACN/水(10~11分);90→20%ACN/水(11~12分);20%ACN/水(12~15分)。
【0362】
Gd3+を錯化するための一般的手順
【0363】
デンドリマー(30mg)がpH5.5の酢酸アンモニウム緩衝液(500μL)に溶解される撹拌溶液に、0.1MのGdCl3の溶液(pH7、50当量のGd3+)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、Amiconウルトラスピンカラム(MWCO=10kDa)を使用する室温での遠心分離(14k rcfで6.5分)によって約100μLの体積に濃縮した。濃縮物を水(400μL)により希釈し、再び遠心分離によって100μLの体積に濃縮した。この手順を、水(2回)、50mMのDTPA(2回)および水(3回)を用いて繰り返した。その後、保持液をバイアルに移し、凍結乾燥して、所望の生成物を得た。
【0364】
【0365】
Cu-64による放射能標識化およびデンドリマーの放射能TLC分析のための一般的手順
【0366】
NOTA含有デンドリマーサンプルが0.1M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)に溶解される溶液に、64Cu(OAc)2の溶液(50μL、70MBq)の溶液を加え、サンプルを室温で1時間撹拌した。その後、サンプルを、Zebaスピン脱塩カラム(7kDaのMWCO、Thermo Fisher Scientific)を使用してリン酸緩衝生理食塩水に緩衝液交換した。反応混合物の一部を取り出し、大過剰のEDTA(1000:1のモル過剰)に加え、15分間にわたって定温放置した。各溶液の1μLのサンプルを採取し、薄層クロマトグラフィーペーパー(シリカゲルが含浸されるAgilent社のiTLC-SGガラスマイクロファイバー・クロマトグラフィーペーパー)にスポットし、50mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を溶離液として用いて展開した。対照実験を行って、未結合64Cuの溶出挙動を品質管理のためにモニターした。その後、プレートを、放射性同位体蛍光体スクリーンを使用するBruker社のIn Vivo MS FX Pro画像化システムで画像化した。放射化学的純度(RCP)が95%を超えるサンプルを画像化実験のために使用した。
【0367】
実施例19
放射性核種含有デンドリマーを用いた腫瘍画像化研究-前立腺がん
【0368】
前立腺がんの2つの異なるマウス異種移植片モデル(DU145細胞株およびPC3細胞株)における2つの異なるデンドリマー構築物の集積を調べた。2つの異なる構築物は、DFOと事前にコンジュゲート化されている化合物1bおよび化合物3であり、これらは続いての画像化研究のために89Zrにより標識された。内分布を2つの異なる腫瘍異種移植片において9日までPET-CTによって測定し、その後、9日目における切除器官のエクスビボ・ガンマシンチレーションによって検証した。
【0369】
デンドリマーを動物への注射に先立って標識し、精製し、放射能TLCによって検証した。画像化を、それぞれの細胞株およびそれぞれのデンドリマーについて、n=4のマウスのコホートにおいて行った。マウスの標準的な健康状態を試験の完全な時間枠にわたってスコアシートおよびマウス体重によってモニターした。
【0370】
デンドリマーのZr-89による放射能標識化および放射能TLC分析
【0371】
91μLのZr-89シュウ酸塩/1Mシュウ酸(Perkin Elmer)を78μLの1M Na2CO3により希釈して、pHを中和した。デンドリマー1bおよびデンドリマー3を0.5M HEPES(pH7.5)において調製した。33μLの中和された89Zrストック液(およそ15MBq)をそれぞれのデンドリマーのアリコート(146μg)に加えて、100倍過剰のデンドリマーをZr-89に与え、標識化を周囲温度で1時間進行させた。その後、サンプルを、Zebaスピン脱塩カラム(7kDaのMWCO、Thermo Fisher Scientific)を使用してリン酸緩衝生理食塩水に緩衝液交換した。各溶液の1μLのサンプルを採取し、薄層クロマトグラフィーペーパー(シリカゲルが含浸されるAgilent社のiTLC-SGガラスマイクロファイバー・クロマトグラフィーペーパー)にスポットし、50mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を溶離液として用いて展開した。対照実験を行って、未結合Zr-89の溶出挙動を品質管理のためにモニターした。その後、プレートを、放射性同位体蛍光体スクリーンを使用するBruker社のIn Vivo MA FX Pro画像化システムで画像化した。
【0372】
500倍過剰のデンドリマーでの定温放置の後、デンドリマー1bを1時間にわたって標識することができ、その後、1000倍過剰のDTPAにより洗浄した。スピン精製後、およそ90%の最大純度が達成された(
図1に示されるTLC)。
【0373】
動物
【0374】
8週齢からの健康なオスBalb/Cヌードマウス(約20g)をARCから得て、この試験のために使用した。マウスを、細胞注入に先立って環境に順応させるために動物収容施設に移し、研究前の1週間モニターした。すべての動物には、動物倫理委員会によって承認された画像化実験の前および期間中、食物および水を自由に摂らせた。
【0375】
腫瘍の開始および成長
【0376】
すべてのマウスを8週齢で取得し、しかし、マウスには、注射を、比較可能な腫瘍を画像化時に得るために、わずかに異なる時間で行った。これは、これらのモデルおよび成長速度に関する以前の経験に基づいていた。
【0377】
5×106個のDU-145細胞(50μLの生理食塩水において)を9週齢のオスbalb/cヌードマウスの左側側腹部に注射した(27Gニードル)。腫瘍を4週間にわたって成長させ、その後、画像化用の化合物を注射した。
【0378】
1×106個のPC3細胞(50μLの生理食塩水において)を11齢のオスbalb/cヌードマウスの左側側腹部に注射した(27Gニードル)。腫瘍を2週間にわたって成長させ、その後、画像化用の化合物を注射した。すべての腫瘍が画像化時に触知可能であり、サイズが画像化実験時に約3~5mmであった。
【0379】
研究の詳細
【0380】
下記の表には、研究において使用されるすべてのマウスについての注射の詳細が記載される。
【表3】
【0381】
結果
【0382】
最適化条件のもと、2つのデンドリマー(化合物1bおよび化合物3)はZr-89により標識され、これらを体内分布分析のために使用した。腫瘍病変部の明白な成長とは別に、有害な健康影響がこの試験の期間中において動物のいずれについても何ら記録されなかった。
【0383】
PET-CT画像化
【0384】
DU-145異種移植片またはPC3異種移植片を有するマウス(n=4/群)に、Zr-89標識されたデンドリマー(化合物1bおよび化合物3)を、尾静脈を介して注射した。画像を、注射後の8時間、24時間、48時間、72時間、144時間および216時間で取得した。注射後216時間において、器官を取り出し、シグナル強度をエクスビボ・ガンマ分析によって定量化した。糞便ペレットもまた、この時点で放射能について測定した。
図2および
図3は、デンドリマー注射後6日におけるDU-145異種移植片およびPC3異種移植片についての化合物1bの代表的な画像をそれぞれ示す。
図4および
図5は、デンドリマー注射後6日におけるDU-145異種移植片およびPC3異種移植片についての化合物3の代表的な画像をそれぞれ示す。
【0385】
異なるコホートの体内分布プロフィルをよりよく理解するために、インビボおよびエクスビボで求められるような器官についての集積プロットが提供される(
図6~
図7および
図19を参照のこと)。データにおける傾向をさらに評価するために、異なる時点での腫瘍取り込みの比較を、集積の時間的影響を腫瘍タイプの関数として示すためにプロットした。このデータは、腫瘍塊の周りの関心領域を異なる時点で取り出すことによってインビボ画像から抜き出された(
図8)。
【0386】
結論
【0387】
すべてのマウスが良好な腫瘍成長を示し、腫瘍集積が、DU-145腫瘍についてはおよそ4%ID/gに達し、PC3腫瘍についてはおよそ2%ID/gに達することが示された。2つの異なるデンドリマーの間には差を何ら認めることができなかった。集積差は、血管系のレベルおよび腫瘍タイプ間の不均一性に起因する可能性が高く、しかしながら、これには、組織分析を含むさらなる調査が必要とされるであろう。
【0388】
集積速度に関して、
図8は、すべてのデンドリマーが、最大取り込みが認められる6日に至るまで遅い集積を示すことを示す。このことは、デンドリマーの長い循環の結果としての集積の一因となっているEPR機構を示している。
【0389】
クリアランス器官における異常な集積は何ら認められず、肝臓および脾臓のシグナルは、同様の系について典型的に認められるような予想された濃度範囲を示した。有意なシグナルが9日でのすべての動物コホートの糞便に存在することから、デンドリマーが依然としてこの経路を介して除去されていることが示唆される。同様に、インビボ画像は、統計学的に有意なシグナル強度がすべての動物について9日での膀胱に存在することを示し、このことから、腎臓機構を介した代謝産物のクリアランスは確からしいことが示唆される。注射後9日での骨サンプルにおいて測定されるシグナル強度はバックグラウンド付近またはバックグラウンドよりもわずかに大きいほどであり、このことから、この組織における集積は最小限であることが示唆された。
【0390】
実施例20
放射性核種含有デンドリマーを用いた腫瘍画像化研究-膵臓がんおよび乳がん
【0391】
膵臓がんおよび乳がんの2つの異なるマウス異種移植片モデル(それぞれ、PANC-1細胞株およびMB-468細胞株)における2つの異なるデンドリマー構築物の集積を調べた。2つの異なる構築物は、既にDFOと事前にコンジュゲート化されている化合物1bおよび化合物3であり、続いての画像化研究のために89Zrによる標識化のためにすぐに使用できた。体内分布を2つの異なる腫瘍異種移植片において9日までPET-CTによって測定し、その後、9日目における切除器官のエクスビボ・ガンマシンチレーションによって検証した。
【0392】
デンドリマーを動物への注射に先立って標識し、精製し、放射能TLCによって検証した。両方のデンドリマーが十分に標識され、ただ1つだけの精製工程により、画像化のために好適である高い純度に精製された。マウスの標準的な健康状態を試験の完全な時間枠にわたってスコアシートおよびマウス体重によってモニターした。
【0393】
デンドリマーのZr-89による放射能標識化および放射能TLC分析
【0394】
91μLの89Zrシュウ酸塩/1Mシュウ酸(Perkin Elmer)を78μLの1M Na2CO3により希釈して、pHを中和した。デンドリマー1bおよびデンドリマー3を0.5M HEPES(pH7.5)において調製した。33μLの中和された89Zrストック液(およそ15MBq)をそれぞれのデンドリマーのアリコート(146μg)に加えて、100倍過剰のデンドリマーを89Zrに与え、標識化を室温で1時間進行させた。その後、サンプルを、Zebaスピン脱塩カラム(7kDaのMWCO、Thermo Fisher Scientific)を使用してリン酸緩衝生理食塩水に緩衝液交換した。各溶液の1μLのサンプルを採取し、薄層クロマトグラフィーペーパー(シリカゲルが含浸されるAgilent社のiTLC-SGガラスマイクロファイバー・クロマトグラフィーペーパー)にスポットし、50mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を溶離液として用いて展開した。対照実験を行って、未結合89Zrの溶出挙動を品質管理のためにモニターした。その後、プレートを、放射性同位体蛍光体スクリーンを使用するBruker社のIn Vivo MS FX Pro画像化システムで画像化した(
図9に示されるTLC)。
【0395】
動物
【0396】
8週齢からの健康なメスBalb/Cヌードマウス(約20g)をARCから得て、この試験のために使用した。マウスを、細胞注入に先立って環境に順応させるために動物収容施設に移し、研究前の1週間モニターした。すべての動物には、動物倫理委員会によって承認された画像化実験の前および期間中、食物および水を自由に摂らせた。
【0397】
腫瘍の開始および成長
【0398】
すべてのマウスを8週齢で取得し、しかし、マウスには、注射が、比較可能な腫瘍を画像化時に得るために、わずかに異なる時間で行われた。これは、これらのモデルおよび成長速度に関する以前の経験に基づいていた。
【0399】
5×106個のPANC-1細胞(50uLの生理食塩水において)を9週齢のオスbalb/cヌードマウスの左側側腹部に注射した(27Gニードル)。腫瘍を4週間にわたって成長させ、その後、画像化用の化合物を注射した。
【0400】
5×106個のMDA-MB-468細胞(50uLの生理食塩水において)を11週齢のオスbalb/cヌードマウスの左側側腹部に注射した(27Gニードル)。腫瘍を2週間にわたって成長させ、その後、画像化用の化合物を注射した。
【0401】
すべての腫瘍が画像化時に触知可能であり、サイズが画像化実験時に約3~5mmであった。これらの腫瘍は成長速度が非常に異なる(MDA-MB-468は成長がPANC-1よりも積極的である)ことには留意しなければならず、このことは、より長い時点での画像における認められ得る差をもたらす可能性がある(%ID/gを参照のこと)。PANC-1腫瘍は成長が非常に遅く、取り込み率がMDA-MB-468よりもはるかに低かった。
【0402】
研究の詳細
【0403】
下記の表には、研究において使用されるすべてのマウスについての注射の詳細が記載される。
【表4】
【0404】
結果
【0405】
最適化条件のもと、2つのデンドリマーは89Zrにより標識され、これらを体内分布分析のために使用した。腫瘍病変部の明白な成長とは別に、有害な健康影響がこの試験の期間中において動物のいずれについても何ら記録されなかった。
【0406】
PET-CT画像化
【0407】
乳房異種移植片または膵臓異種移植片を有するマウス(MDA-MB-468についてはn=4/群、PANC-1についてはn=3または2)に、89Zr標識されたデンドリマーを、尾静脈を介して注射した。画像を、注射後の8時間、24時間、48時間、72時間、144時間および216時間で取得した。注射後216時間において、器官を取り出し、シグナル強度をエクスビボ・ガンマ分析によって定量化した。糞便ペレットもまた、この時点で放射能について測定した。
図10~
図13は、それぞれのデンドリマーおよびデンドリマー注射後9日でのそれぞれの異種移植片についての代表的な画像を示す。
【0408】
インビボおよびエクスビボで求められるような器官についての集積プロットが、体内分布およびクリアランスにおける傾向を強調するために、
図14、
図15および
図19に示される。
【0409】
データにおける傾向をさらに評価するために、異なる時点での腫瘍取り込みの比較を、集積の時間的影響を腫瘍タイプの関数として示すためにプロットした。このデータは、腫瘍塊の周りの関心領域を異なる時点で取り出すことによってインビボ画像から、同様にまた、比較のためのエクスビボ分析から抜き出された。詳細が
図16に示される。
【0410】
結論
【0411】
放射能TLCは、化合物1bおよび化合物3の両方が、標準的プロトコルを使用して高効率に標識され、ただ1つだけの精製工程が、99%超の純度を達成するために必要であったことを示した。
【0412】
すべてのマウスが良好な腫瘍成長を示し、腫瘍集積がMDA-MB-468腫瘍およびPANC-1腫瘍の両方についておよそ4%ID/gに達することが、インビボ画像化データを使用して示された。腫瘍集積における有意差が2つの異なるデンドリマーについて何ら認められなかった。変動性が(4つすべての腫瘍モデルにわたって)腫瘍タイプ間で生じた。このことは、血管系のレベルおよび腫瘍タイプ間の不均一性に起因する可能性が高く、しかしながら、これには、組織分析を含むさらなる調査が必要とされるであろう。
【0413】
集積速度に関して、すべてのデンドリマーが、最大取り込みが認められる3日~6日に至るまで遅い集積を示す。このことは、デンドリマーの長い循環の結果としての集積の一因となっているEPR機構を示している。より長い時間において、シグナルが低下し始め、これは、腫瘍組織における細胞(腫瘍細胞または免疫細胞のどちらか)によるデンドリマーのプロセシング、および/または画像化プローブの(脱錯化または分解のどちらかによる)ゆるやかな喪失の両方を示しているかもしれない。
【0414】
クリアランス器官における異常な集積は何ら認められず、肝臓および脾臓のシグナルは、同様の系について典型的に認められるような予想された濃度範囲を示した。有意なシグナルが6日でのすべての動物コホートの糞便に存在することから、両方のデンドリマーが依然としてこの経路を介して除去されていることが示唆される。同様に、インビボ画像は、統計学的に有意なシグナル強度がすべての動物について9日での血液に存在することを示し、このことは、これらのデンドリマーはまた、この時点で依然として循環している割合を有することを示している。すべての腫瘍モデルにわたって注射後9日での骨サンプルにおいて測定されるシグナル強度は、バックグラウンド付近またはバックグラウンドよりもわずかに大きいシグナルを示し、このことから、この組織における集積は最小限であることが示唆された。
【0415】
実施例21
放射性核種含有デンドリマーを用いた腫瘍画像化研究-神経膠芽細胞腫
【0416】
本研究の目的は、自発性神経膠腫を有するマウスにおける実施例による放射性核種含有デンドリマーの集積レベルを評価することであった。このモデルは、血液脳関門(BBB)を横断する能力、および腫瘍組織に集積する能力の両方を効果的に評価するための手段を提供する。
【0417】
マウスモデル
【0418】
すべての繁殖および実験が、科学的目的のための動物の管理および使用のためのオーストラリア実施規則(Australian Code of Practice for the Care and Use of Animals for Scientific Purposes)に従って、かつ動物倫理委員会の承認により行われた。
Gt(ROSA)26Sortm14(CAG-tdTomato)Hze20023653をPtentm2MAK;Rb1tm2Brn;Trp53tm1Brn;Tg(GFAP-cre/Esr1*,-lacZ)BSbk31,44-47(対立遺伝子)と交雑し、後者マウスに6世代戻し交配して、Gt(ROSA)26Sortm14(CAG-tdTomato)Hze;Ptentm2MAK;Rb1tm2Brn;Trp53tm1Brn;Tg(GFAP-cre/Esr1*,-lacZ)BSbk(高悪性度神経膠腫マウスモデル;HGG)を作製した。マウスを、129/SVおよびC57Bl6からの寄与を有する主にFVB/NJバックグラウンドで維持した。Creリコンビナーゼおよびそれにより腫瘍形成を誘導するために、トウモロコシ油(Sigma-Aldrich)に溶解される20mg/mlのタモキシフェン(Sigma-Aldrich)を腹腔内注射した。最大で200mg/kg体重を、生後日数(P)30日の後の連続する3週間(P30~44の範囲)にわたって毎週投与した。動物の健康および福祉を1日に最大で2回モニターし、動物を病的状態要件に基づいて安楽死させた。
【0419】
デンドリマーの放射能標識化およびTLC分析。
【0420】
91μLのZr-89シュウ酸塩/1Mシュウ酸(Perkin Elmer)を78μLの1M Na2CO3により希釈して、pHを中和した。デンドリマー1bを0.5MのHEPES(pH7.5)に溶解した。33μLの中和されたZr-89ストック液(およそ15MBq)をデンドリマー(146μg)に加えて、100倍過剰のデンドリマーをZr-89に与え、標識化を室温で1時間進行させた。その後、サンプルを、Zebaスピン脱塩カラム(7kDaのMWCO、Thermo Fisher Scientific)を使用してリン酸緩衝生理食塩水に緩衝液交換した。溶液の1μLのサンプルを採取し、薄層クロマトグラフィーペーパー(シリカゲルが含浸されるAgilent社のiTLC-SGガラスマイクロファイバー・クロマトグラフィーペーパー)にスポットし、50mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を溶離液として用いて展開した。対照実験を行って、未結合Zr-89の溶出挙動を品質管理のためにモニターした。その後、プレートを、放射性同位体蛍光体スクリーンを使用するBruker社のIn Vivo MS FX Pro画像化システムで画像化した。Zr-89の約100%のキレート化が認められ、その結果、このデンドリマーを画像化実験のためにそのまま使用した。
【0421】
PET-MRI画像化
【0422】
カニューレが尾静脈に挿入されている麻酔したマウスを、Siemens VB17を動かす300mmの内腔の7T ClinScanと、Siemens Inveon Acquisition Workplace(IAW)のもとで稼働する磁石内腔の中心にブロックあたり15×15個のLSO結晶(1.6×1.6×10mm)を有する16個の検出器ブロックの3つのリングを含有する取り外し可能なPETインサートとを含む複合MRI/PETシステム(Bruker、ドイツ)に入れた。PETリングの内側にある内径が23mmのマウス頭部MRI RFコイルを使用して、PET取得と同時にマウス頭部画像を取得した。
【0423】
マウスにおよそ5MBqのZr-89標識デンドリマー1bを注射し、画像化を注射後の40時間および5日において行った。それぞれの画像化時点で、所定用量のGadovist(登録商標)造影剤を、造影前および造影後のT1、T2、および動的画像データを得るために注入した。ぞれぞれの時点における注射用量が、200μlの総体積を得るためにPBSにより(1×)希釈される50μlのGadovist(登録商標)から構成された。この体積を、尾静脈に挿入されたカテーテルを介して緩速ボーラス注射で注射した。収集される場合、動的PETデータ取得を60分間行った。注入前に、高速ローカライザ画像および3D T1強調体積測定補間呼吸保持検査(T1 weighted volumetric interpolated breath-hold examination)VIBEシーケンスを取得した。動的MRI画像を、GradientエコーFLASHシーケンスを用いて取得し、3つのスライスをそれぞれが2秒の間隔で取得した。PET取得および動的MRI画像化を同時に開始し、2分~3分のベースライン期間を取得し、その後、溶液を注射した。15分の動的MRI走査の後、T1強調VIBEを繰り返し、構造的T2強調スピンエコー画像を取得し、3T T1強調VIBE_DIXONシーケンスを取得して、3D T1マップを作製した。
【0424】
PETデータを、PETインサートのためにチュービンゲン大学によって開発された専用のPET再構築ソフトウェアを使用して再構築した。128×128×89のマトリックスを有するPET画像を、順序サブセット期待値最大化(ordered-subset expectation maximization)(OSEM2D)アルゴリズムを使用して再構成した。MRIおよびPETのデータセットを、既知の特徴を有する幻影を使用して作成される変換行列を使用するIRWソフトウェア(Siemens)を使用して整列させた。
【0425】
画像処理
【0426】
すべてのMRI画像を、上記で述べられるClinScanソフトウェアを使用して取得し、差分画像を、組み込まれた機能を使用して計算した。すべての画像をClinScanソフトウェアからDICOMSとしてエクスポートし、さらに処理し、MRI単独としての動的取り込み画像、T1強調画像およびT2強調画像のためのOsirix MD(v9.0.1)により分析した。PETデータおよび得られた生成PET-MRI融合最大強度投影画像を、Siemens Inveon Research Workplaceソフトウェアを使用して作成した。
【0427】
データ分析
【0428】
データを、Microsoft Excel(Mac 2016、v16,9)で集約し、基本的な数学的計算をワークシート内で行った。すべてのプロットを、GraphPad Prism 7を用いて作成し、すべての統計学的分析および曲線下面積測定を、組み込まれた機能を使用して行った。放射性トレーサ取り込みについての計算値がグラムあたりのパーセント注射線量(%ID/g)として示され、Siemens Inveon Research Workplaceを使用してインビボ画像から計算された。
【0429】
PET-MR画像を、SPL9149が注射された40時間後および5日後に取得した。画像が
図17および
図18に示される。腫瘍の領域が白色矢印により示される。他のシグナル強度は、高度に血管化された領域におけるマウスの頭蓋骨の周りの血流に由来する。
【0430】
異なる時点での脳および血管系と比較される、Zr-89により放射能標識された化合物1bの相対的な取り込みおよび集積(脳集積は、腫瘍から離れた脳の領域におけるシグナル強度を測定することによって求められる)が下記の表に示される:
【0431】
【0432】
結論
【0433】
脳腫瘍におけるこのデンドリマーの集積は高いことが見出された。画像は、このデンドリマーがBBBを横断し、他の領域よりもはるかに高い程度に腫瘍組織に集積することを示しており、このことは脳腫瘍ための治療可能性を示している。
【0434】
実施例22
放射性核種含有デンドリマーを用いた治療研究
【0435】
動物モデル
【0436】
8週齢からの健康なオスBalb/Cヌードマウス(約20g)をARCから得て、この試験のために使用した。マウスを、細胞注入に先立って環境に順応させるために動物収容施設に移し、研究前の1週間モニターした。すべての動物には、動物倫理委員会によって承認された画像化実験の前および期間中、食物および水を自由に摂らせた。
【0437】
デンドリマー
【0438】
下記の化合物を研究において使用した:
-実施例4b
-実施例5
-Jevtana(登録商標)(カバジタキセル)
-比較例A:BHALys[Lys]32[α-DGA-カバジタキセル]32†[ε-PEG~2100]32‡である放射性核種非含有のデンドリマー。
【0439】
備考:32‡は、PEG~2100による置換のために利用可能であるデンドリマー表面のε表面アミノ基の理論的数に関する。BHALys[Lys]32に結合するPEG~2100基の実際の平均数は、1H NMRによって実験的に求めた。
【0440】
デンドリマーの放射能標識化およびTLC分析
【0441】
すべてのデンドリマーを37℃で60分間、0.1MのpH5.5の酢酸アンモニウム緩衝液においてポリマーの100倍過剰量でのLu-177とともに定温放置した。それぞれの溶液のサンプルを採取し、50mMのDTPAと2:1で混合した。各溶液の5uLをTLCペーパー(シリカゲルが含浸されるAgilent社のiTLC-SGガラスマイクロファイバー・クロマトグラフィーペーパー)にスポットし、50:50の水:エタノール(v/v)を用いて展開した。その後、プレートを、放射性同位体蛍光体スクリーンを使用するCarestream社のMSFX画像化システムで画像化した。必要な場合には、非結合の銅を、7KのMWCOのZebaスピンカラム(Thermo Scientific)を製造者のプロトコルに従って使用する精製によって除いた。デンドリマーは95%超の標識化を示し、その後の退行研究のために使用した。議論される分析のそれぞれについて、放射性同位体TLCを、サンプルを過剰量のDTPA(50mM)と混合して、未結合のLu-177をどのようなものであれ捕捉することによって得た。このTLCシステムにおいて、デンドリマーはベースラインに留まることになり(Rf=0)、一方、DTPA錯化Lu-177は溶媒先端と一緒に移動してペーパーの上端にまで達することになる(Rf=1)。
【0442】
腫瘍の開始および成長
【0443】
78匹のマウスに、Matrigelにおける4×106個のDU-145細胞を、皮下腫瘍を誘導するために右側側腹部に注射した。腫瘍体積および体重を週に2回モニターし、その後、明白な腫瘍成長(体積でのおよそ100mm2、腫瘍体積=1/2(長さ×幅2))を有するマウスを様々な群に無作為に割り当て、化合物を下記の表に概説されるスケジュールに従って、0日目、7日目および14日目に注射した。注射後、マウスを腫瘍体積および体重について週に3回モニターした。マウスは、腫瘍が有意なサイズ(1cm3超)に達したならば、または倫理的要件に従って殺処分した。どのマウスも、処置計画に起因してに起因して殺処分されなかった。
【0444】
【0445】
図20に示されるように、放射性核種デンドリマー(群8)、およびカバジタキセルと放射性核種との両方を有するデンドリマー(群4および群7)はすべてが、腫瘍成長を抑制することにおいて効果的であり、より高用量の化合物4b(群4)が最も効果的であった。