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特許7541979負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20240822BHJP
   C01B 32/21 20170101ALI20240822BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20240822BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
C01B32/21
C01B33/02 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021529867
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2019017098
(87)【国際公開番号】W WO2020130434
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0163532
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519053658
【氏名又は名称】トカイ カーボン コリア カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】カン ソクミン
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】行武 哲太郎
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170246(JP,A)
【文献】特開2004-228059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
C01B32/21
C01B33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料及びシリコン粒子を含み、
バルク粒子内に、前記炭素材料が前記シリコン粒子を取り囲む形態で分布している負極活物質であって、
前記負極活物質の孔隙率は1%~7%であり、
前記シリコン粒子の平均直径は50nm~120nmである、
負極活物質。
【請求項2】
前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び膨張黒鉛からなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項3】
前記シリコン粒子:前記炭素材料の質量比は、2:8~4:6である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項4】
前記炭素材料:前記シリコン粒子の質量比は、45~55:55~45である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項5】
前記負極活物質のうちシリコン粒子は55質量%以下である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項6】
前記負極活物質の半径は12μm以下であり、
前記シリコン粒子は、45質量%~55質量%である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項7】
前記負極活物質の半径は12μm~18μmであり、
前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の70%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%含まれ、
前記負極活物質の中心方向に半径の30%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比10質量%~45質量%含まれる、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項8】
前記負極活物質の半径は18μm~22μmであり、
前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の50%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%であり、
前記負極活物質の中心方向に半径の50%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%未満である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項9】
前記負極活物質のうち孔隙は、前記炭素材料と前記シリコンとの間の空間である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項10】
前記負極活物質の外部に外部コーティング層をさらに含む、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項11】
バルク粒子内に、炭素材料が、平均直径が50nm~120nmであるシリコン粒子を取り囲む形態で分布しており、孔隙率が1%~7%である負極活物質の製造方法であって、
炭素材料及びシリコン粒子を混合して混合粉末を製造するステップと、
前記混合粉末を粉砕して前記炭素材料及び前記シリコン粒子をナノ化するためのミーリング工程において機械的にミキシングして、前記炭素材料及び前記シリコン粒子が内部まで等しく分布した状態として存在するようにするステップと、
を含む、負極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記ミーリング工程のミーリング速度は2000rpm~6000rpmであり、
前記ミーリング工程は30分~480分の間に実行される、請求項11に記載の負極活物質の製造方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の負極活物質を含む、負極。
【請求項14】
請求項13に記載の負極と、
正極活物を含む正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されるセパレーターと、
を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用の小型電子機器の電源として脚光を浴びているリチウム二次電池は、有機電解液を使用することにより、従来のアルカリ水溶液を用いた電池よりも2倍以上高い放電電圧を示し、その結果として高いエネルギー密度を有する電池である。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、又は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(Li[NiCoMn]O、Li[Ni1-x-yCo]O)などのようにリチウムイオンのインターカレーション可能な構造を有するリチウムと遷移金属からなる酸化物が主に使用されている。
【0004】
負極活物質として、リチウムの挿入/脱離可能な人造、天然黒鉛、ハードカーボンを含む様々な形態の炭素界材料が適用されてきた。しかし、黒鉛は、単位質量当たり容量が372mAh/gとして小さく、リチウム二次電池の高い容量化が難しい。
【0005】
黒鉛よりも高容量を示す負極活物質、例えば、シリコン、スズ及びこれらの酸化物などのリチウムと電気化学的に合金をなす材料(リチウムアロイング材料)は約1000mAh/g以上の高い容量及び0.3~0.5Vの低い充電・放電の電位を示し、リチウム二次電池用負極活物質として脚光を浴びている。
【0006】
しかし、これらの材料は、リチウムと電気化学的に合金をなしている際に結晶構造の変化を引き起こし、体積が膨張するという問題がある。この場合、充電・放電時に粉末をコーティングして製造された電極の活物質間又は活物質と集電体との間の物理的な接触損失が生じ、充電・放電のサイクル進行によるリチウム二次電池の容量減少が大きく現れる問題がある。
【0007】
従って、容量特性及びサイクルの寿命特性をより向上させることのできる高性能負極活物質の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためのもので、本発明の目的は、容量特性及びサイクル特性が向上した負極活物質及びその製造方法及びそれを含むリチウム二次電池を提供することにある。
【0009】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどに制限されることなく、言及されない他の課題は、下記の記載に基づいて当該の分野当業者にとって明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、炭素材料及びシリコン粒子を含み、バルク粒子内に、前記炭素材料が前記シリコン粒子を取り囲む負極活物質を提供する。
【0011】
一実施形態に係る前記炭素材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び膨張黒鉛からなる群より選択される少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0012】
一実施形態に係る前記シリコン粒子:前記炭素材料の重量比は、2:8~4:6であってもよい。
【0013】
一実施形態に係る前記炭素物質:前記シリコン粒子の質量比は、45~55:55~45であってもよい。
【0014】
一実施形態に係る前記負極活物質のうちシリコン粒子は55質量%以下であってもよい。
【0015】
一実施形態に係る前記負極活物質の半径は12μm以下であり、前記シリコン粒子は、45質量%~55質量%であってもよい。
【0016】
一実施形態において、前記負極活物質の半径は12μm~18μmであり、前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の70%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%含まれ、前記負極活物質の中心方向に半径の30%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比10質量%~45質量%含まれることができる。
【0017】
一実施形態において、前記負極活物質の半径は18μm~22μmであり、前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の50%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%であり、前記負極活物質の中心方向に半径の50%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%未満であってもよい。
【0018】
一実施形態に係る前記負極活物質の孔隙率は1%~7%であってもよい。
【0019】
一実施形態に係る前記負極活物質のうち孔隙は、前記炭素材料と前記シリコンとの間の空間であってもよい。
【0020】
一実施形態に係る前記シリコン粒子の平均直径は50nm~120nmであってもよい。
【0021】
一実施形態において、前記負極活物質の外部に外部コーティング層をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態によると、炭素材料及びシリコン粒子を混合して混合粉末を製造するステップと、前記混合粉末を機械的にオーバーミキシングするステップとを含む負極活物質の製造方法を提供する。
【0023】
一実施形態に係る前記オーバーミキシングは、ミーリング工程でミキシングすることができる。
【0024】
一実施形態に係る前記ミーリング工程のミーリング速度は2000rpm~6000rpmであり、前記ミーリング工程は30分~480分の間に実行されることができる。
【0025】
本発明の更なる実施形態によると、前記による負極活物質を含む負極を提供する。
【0026】
本発明の更なる実施形態によると、前記による負極と、正極活物質を含む正極と、前記負極と前記正極との間に介在されるセパレーターとを含むリチウム二次電池を提供する。
【0027】
一実施形態において、充電・放電時に前記負極活物質の体積膨張が最小化されることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態に係る負極活物質は、表面から中心地点までシリコン粒子が炭素材料と均一に分布して体積膨張が抑制され、非可逆的な容量損失を補完してサイクルの寿命特性を向上させることができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る負極活物質の製造方法は、オーバーミキシングを介して負極活物質の表面から中心地点までシリコン粒子が炭素材料と均一に分布することができ、これによる気孔も形成できる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る負極は充電・放電時に、負極活物質の体積膨張を最小化することができ、機械的な物性強化は勿論、リチウム二次電池の性能をより向上させることができる。
【0031】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池は、向上した容量特性及びサイクル特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る負極活物質の構造を示した模式図である。
図2】一実施形態に係るリチウム二次電池の構造を示した概略図である。
図3】本発明の実施形態1に係る負極活物質の粒子形状のSEMイメージである。
図4】本発明の実施形態1に係る負極活物質の粒子断面を拡大したイメージである。
図5】本発明の実施形態1及び2に係る気孔分布及び気孔率を示したSEMイメージである(左側:実施形態1、右側:実施形態2)。
図6】本発明の実施形態1に係る負極活物質の粒子の位置によるEDX結果である。
図7】本発明の実施形態2に係る負極活物質の粒子の位置によるEDX結果である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付する図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。また、本明細書で使用される用語は、本発明の好適な実施形態を適切に表現するために使用される用語であって、これはユーザ、運用者の意図又は本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。従って、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて下されなければならないのであろう。各図面に提示されている同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0034】
明細書の全体において、いずれかの部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これはいずれかの部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材間に更なる部材が存在する場合も含む。
【0035】
明細書全体において、いずれかの部分がいずれかの構成要素を「含む」とすれば、これは他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0036】
以下、本発明の負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池に対して実施形態及び図面を参照して具体的に説明することにする。しかし、本発明がこのような実施形態及び図面に制限されることはない。
【0037】
本発明の一側面は、炭素材料及びシリコン粒子を含み、バルク粒子内に、前記炭素材料が前記シリコン粒子を取り囲んでいる負極活物質を提供する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る負極活物質の構造を示した模式図である。図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る負極活物質100を拡大すれば、バルク粒子内に、炭素材料110がシリコン粒子120を取り囲む形態である。本発明の負極活物質100は、表面から内部まで炭素材料110がシリコン粒子120を取り囲む形態に炭素材料110及びシリコン粒子120が全体的に均一に分布している。
【0039】
一実施形態において、前記炭素材料110は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン(soft carbon)、ハードカーボン(hard carbon)、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び膨張黒鉛からなる群より選択される少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0040】
一実施形態において、前記シリコン粒子120の平均直径は、50nm~120nmであってもよい。前記シリコン粒子が50nm未満である場合に高い容量を発現することができず、120nmを超過する場合、充電・放電の速度増加による特性が低下することがある。
【0041】
一実施形態において、前記シリコン粒子:前記炭素材料の重量比は2:8~4:6であってもよい。前記炭素材料の比率が極めて多ければ、Li充電・放電時に非可逆反応の比率が大きくなり、少な過ぎると添加効果が現れなくなる恐れがある。
【0042】
一実施形態において、前記炭素材料:前記シリコン粒子の質量比は45~55:55~45であってもよい。前記炭素材料と前記シリコン粒子の均一な分散によって、電池容量の発現及びサイクル特性が優秀になる。
【0043】
一実施形態において、前記負極活物質のうちシリコン粒子は55質量%以下であってもよい。前記範囲内でLi充電・放電時に非可逆反応の比率を減少させ、結合保持の効果を十分に取得することができる。
【0044】
一実施形態において、前記負極活物質の半径は12μm以下であり、前記シリコン粒子は45質量%~55質量%であってもよい。前記負極活物質の表面から中心方向に行くほど、シリコン粒子が炭素材料と均一に分布されないことがあるが、前記負極活物質の半径が12μm以下である場合、シリコン粒子と炭素材料の分布は均一なものである。
【0045】
一実施形態において、前記負極活物質の半径は12μm~18μmであり、前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の70%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%含まれ、前記負極活物質の中心方向に半径の30%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比10質量%~45質量%含まれてもよい。前記負極活物質の表面から中心方向に行くほど、シリコン粒子が炭素材料と均一に分布されないことがあるが、前記負極活物質の半径が12μm~18μmである場合、前記負極活物質の表面から中心方向に半径の70%の地点までは、シリコン粒子と炭素材料が均一に分布されたものである。
【0046】
一実施形態において、前記負極活物質の半径は18μm~22μmであり、前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の50%の地点まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%~55質量%であり、前記負極活物質の中心方向に半径の50%の地点から前記負極活物質の中心まで前記シリコン粒子は、該当区間の前記負極活物質対比45質量%未満であってもよい。前記負極活物質の表面から中心方向に行くほど、シリコン粒子が炭素材料と均一に分布されないことがあるが、前記負極活物質の半径が18μm~22μmである場合、前記負極活物質の表面から、中心方向に半径の50%の地点まではシリコン粒子と炭素材料の分布が均一なものである。これは本発明の負極活物質は、バルク粒子が大きい時にも、内部までシリコン粒子と炭素材料が均一に分布されたものである。
【0047】
一実施形態において、前記負極活物質の表面から中心地点までシリコン粒子が炭素材料と均一に分布すれば、体積膨張が抑制されて寿命特性は向上する。
【0048】
一実施形態において、前記負極活物質の孔隙率は1%~7%であってもよい。前記負極活物質の孔隙率が1%未満である場合、気孔構造の形成が充分でないことから、体積膨張の抑制が充分ではなく、7%超過である場合、過剰な気孔形成によって副反応の発生可能性が高くなる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記シェル部の内部孔隙率は下記のように定義される。
内部孔隙率=単位質量当たり気孔体積/(非体積+単位質量当たり気孔体積)
【0050】
前記内部孔隙率の測定は特に限定されず、本発明の一実施形態によって、例えば、窒素などの吸着気体を用いてBEL JAPAN社のBELSORP(BET装備)を用いて測定してもよい。
【0051】
本発明の一実施形態に係る負極活物質は前記範囲の気孔を含むことにより、充填時にシリコンの体積膨張を緩和するバッファの役割として電極の体積膨張を防止する。従って、シリコン粒子による容量特性と共に、前記気孔による充電・放電時に負極活物質の体積膨張を最小化することで、リチウム二次電池の寿命特性を同時に向上させることができる。それだけでなく、前記気孔に非水電解液が含浸し、リチウムイオンが負極活物質の内部まで投入されることから、リチウムイオンの拡散を効率よく実施でき、高率の充電・放電を可能にする。
【0052】
一実施形態において、前記負極活物質のうち孔隙は、前記炭素材料と前記シリコンとの間の空間である。本発明の負極活物質は、炭素材料とシリコン粒子が共に全体的に均一に分布され、前記炭素材料と前記シリコンとの間の空間に該当する気孔は平均粒径が極めて微細であり、気孔がシリコン粒子と共に全体的に均一に分布し、シリコン粒子がリチウムと合金化されて体積膨張するとき、気孔の容積を圧縮しながら膨張できるため、外観上ほとんど変化しない。
【0053】
一実施形態において、前記負極活物質の外部に外部コーティング層をさらに含んでもよい。ソフトカーボン系の外部コーティング層を含んでもよい。例えば、軟化点約100度~340度のカーボンを非晶質の形態として含み、熱処理を介して結晶化及び部分結晶化し、外部コーティング層を形成することができる。外部コーティング層は、SEI形成とLiイオンの選別的な透化により炭素界材料が電解液などに接触することを防止することができる。
【0054】
本発明の他の側面によれば、炭素材料及びシリコン粒子を混合して混合粉末を製造するステップと、前記混合粉末を機械的にオーバーミキシングするステップとを含む負極活物質の製造方法を提供する。
【0055】
一実施形態において、前記混合粉末製造ステップは、炭素材料及びシリコン粒子を混合して混合粉末を製造してもよい。
【0056】
一実施形態において、前記オーバーミキシングステップは、前記混合粉末を機械的にオーバーミキシングしてもよい。
【0057】
一実施形態において、前記オーバーミキシングは、ミーリング工程としてミキシングしてもよい。前記ミーリング工程は、ビーズミル(beads mill)、高エネルギーボールミル(high energy ball mill)、遊星ミル(planetary mill)、撹拌ボールミル(stirred ball mill)、振動ミル(vibration mill)、SPEXミル(SPEX mill)、遊星ミル(Planetary mill)、アトリションミル(Attrition mill)、磁気ボールミル(Magento-ball mill)及び振動ミル(vibration mill)からなる群より選択される少なくともいずれか1つを含んでもよい。ビーズミルやボールミルは、シリコン及び有機物と反応しない、化学的に不活性である材質からなるものを使用し、例えば、ジルコニア材質を用いてもよい。ビーズミル又はボールミルのサイズは、例えば、0.1mm~1mmであってもよいが、これに限定されることはない。
【0058】
一実施形態において、前記ミーリング工程は、混合粉末に有機溶媒を共に混合して行うことができる。前記有機溶媒として揮発性の低い溶媒が適切であり、引火点(flash point)が15℃以上である有機溶媒を用いてもよい。前記有機溶媒は、例えば、アルコール又はアルカンが挙げられ、C1~C12アルコール又はC6~C8アルカンが好ましい。前記有機溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール及びヘプタンからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含んでもよいが、これらに限定されることはない。
【0059】
一実施形態において、ミーリングの工程時間は、使用される負極活物質のサイズ、取得しようとする最終粒子サイズ、及びミーリング工程時に使用するビーズミル又はボールミルのサイズなどを考慮して、適切な時間内に実行されることができる。
【0060】
一実施形態において、前記ミーリング工程のミーリング速度は2000rpm~6000rpmであり、前記ミーリング工程は30分~480分間実行してもよい。前記混合工程の速度及び時間が前記範囲に含まれれば、シリコン粒子の平均粒子サイズが適切な50nm~120nmにナノ化され、炭素材料ファンデルワールス結合を円満に形成することができる。
【0061】
一実施形態において、ミーリング工程で粉砕させた結果物は、乾燥過程を通じて有機溶媒を蒸発させたものである。乾燥は、有機溶媒が蒸発ないし揮発され得る温度範囲で実行され、例えば、60℃~150℃で実行されてもよい。
【0062】
一実施形態において、このようにミーリング工程において、粉砕して乾燥させた前記混合物は、シリコン粒子と炭素材料がナノ化され、ナノ化された炭素材料及びシリコン粒子が内部まで等しく分布した状態として存在する。
【0063】
本発明に係る負極活物質の製造方法により、負極活物質の表面から中心までシリコンが均一に分散し、気孔が形成されて高容量の優れたサイクル特性を有する負極活物質を製造することができる。
【0064】
本発明の更なる側面によれば、前記に係る負極活物質を含む負極を提供する。
【0065】
以下では、前記負極活物質を含む負極についてリチウム二次電池を説明しながら共に説明する
【0066】
本発明の更なる側面によれば、前記による負極、正極活物質を含む正極、及び前記負極と前記正極との間に介在したセパレーターを含むリチウム二次電池を提供する。
【0067】
本発明の係るリチウム二次電池は、負極活物質の表面から内部までシリコン粒子が均一に分散し、シリコン粒子及び炭素材料が気孔を作って充電・放電時に前記負極活物質の体積膨張を最小化することができる。これは、気孔の充填時にシリコンの体積膨張を緩和するバッファの役割として電極の体積膨張を防止することができる。
【0068】
以下では、リチウム二次電池について図2を参考して説明する。図2は、一実施形態に係るリチウム二次電池の構造を示した概略図である。
【0069】
図2に示すように、リチウム二次電池200は、負極210、セパレーター220及び正極230を含む。前述したリチウム二次電池の負極210、セパレーター220及び正極230がワインディングされたり折り畳まれて電池容器240に収容される。次に、前記電池容器240に有機電解液を注入して封入部材250で密封され、リチウム二次電池200が完成される。前記電池容器240は、円筒状、角形、又は、薄膜型などであってもよい。例えば、前記リチウム二次電池は、大型薄膜型の電池であってもよい。前記リチウム二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池であってもよい。一方、前記正極及び負極の間にセパレーターが配置され、電池構造体が形成されてもよい。前記電池構造体がバイセル構造で積層された後、有機電解液に含浸され、取得された結果がパウチに収容かつ密封されれば、リチウムイオンポリマー二次電池が完成される。前記電池構造体は、複数積層されて電池パックを形成し、このような電池パックが高容量及び高出力が求められる全ての機器に使用され得る。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電動器具、電気車などに使用されることができる。
【0070】
一実施形態において、負極210は、次の通ように製造されることができる。負極は、正極活物質の代わりに負極活物質を使用することを除いては、正極と同じ方法で製造されてもよい。また、負極スラリー組成物において、導電剤、バインダ及び溶媒は正極の場合に言及したものと同じものを使用してもよい。
【0071】
一実施形態において、例えば、負極活物質、バインダ及び溶媒、選択的に導電剤を混合して負極スラリー組成物を製造し、これを負極集電体に直接コーティングして負極極板を製造することができる。又は、前記負極スラリー組成物を別途の支持体上にキャスティングし、この支持体から剥離させた負極活物質膜を負極集電体にラミネーションして負極極板を製造してもよい。
【0072】
一実施形態において、負極活物質として本発明の負極活物質を用いてもよい。また、前記負極活物質は、前記前述した電極活物質の他に、当技術分野でリチウム二次電池の負極活物質として使用され得る全ての負極活物質を含むことができる。例えば、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素界材料からなる群より選択された1つ以上を含んでもよい。
【0073】
一実施形態において、前記リチウムと合金可能な金属は、例えば、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y’合金(前記Y’はアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、又はこれらの組み合せ元素であり、Siではない)、Sn-Y’合金(前記Y’はアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、又はこれらの組み合せ元素であり、Snではない)などであってもよい。前記元素Y’として、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te及びPoからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0074】
一実施形態において、前記遷移金属酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などであってもよい。
【0075】
一実施形態において、前記非遷移金属酸化物は、例えば、SnO、SiO(0<x<2)などであってもよい。
【0076】
一実施形態において、前記炭素系材料として、結晶質炭素、非晶質炭素、又はこれらの混合物であってもよい。前記結晶質炭素は、無定形、板状、フレーク状(flake)、球状、又は繊維型の天然黒鉛又は人造黒鉛のような黒鉛であり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェースピッチ(mesophase pitch)炭化物及び焼成されたコークスからなる群より選択される少なくともいずれかを含んでもよい。
【0077】
一実施形態において、前記負極活物質、導電剤、バインダ、及び溶媒の含量は、リチウム二次電池で通常に用いられるレベルである。
【0078】
一実施形態において、負極集電体は、一般に、3μm~500μmの厚さで作られる。負極集電体として、当該の電池に化学的変化を誘発しないながら、導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウムカドミウム合金などが使用されてもよい。また、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、膜、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態に使用されてもよい。
【0079】
一実施形態において、正極230は、正極活物質、導電剤、バインダ、及び溶媒を混合して正極スラリー組成物を備える。前記正極スラリー組成物を正極集電体上に直接コーティング及び乾燥し、正極活物質層の形成された正極極板を製造することができる。又は、前記正極スラリー組成物を別の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して取得した膜を正極集電体上にラミネーションし、正極活物質層が形成された正極極板を製造することができる。
【0080】
一実施形態において、正極活物質の使用可能な材料としては、リチウム含有金属酸化物として、当該分野で通常に使用されるものであれば制限されることなく全て使用される。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びこれらの組み合せで選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使用してもよく、その具体的な例として、LiaA1-bB’D’(前記式で、0.90≦a≦1、及び0≦b≦0.5である)、Li1-bB’2-cD’(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である)、LiE2-bB’4-cD’(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である)、LiNi1-b-cCoB’D’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である)、LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、LiNi1-b-cCoB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、LiNi1-b-cMnB’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である)、LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、LiNi1-b-cMnB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、LiNi(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である)、LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.50.001≦e≦0.1である)、LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である)、LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である)、LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である)、LiMn(前記式で、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である)、QO、QS、LiQS、V、LiV、LiNiVO、Li(3-f)(PO(0≦f≦2)、Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2)、LiFePOの化式のいずれか1つに表現される化合物を用いてもよい。
【0081】
一実施形態にける電気化式において、AはNi、Co、Mn、又はこれらの組み合せであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素又はこれらの組み合せであり、D’は、O、F、S、P、又はこれらの組み合せであり、Eは、Co、Mn、又はこれらの組み合せであり、F’は、F、S、P、又はこれらの組み合せであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、又はこれらの組み合せであり、Qは、Ti、Mo、Mn、又はこれらの組み合せであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、又はこれらの組み合せであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、又はこれらの組み合せである。
【0082】
一実施形態において、前記化合物の表面にコーティング層を有するものを使用してもよく、又は、前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用してもよい。このコーティング層は、コーティング元素のオキサイド、水酸化物、コーティング元素のオキシ水酸化物、コーティング元素のオキシカーボネート、又は、コーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含んでもよい。これらのコーティング層をなしている化合物は、非晶質又は結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素として、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr又はそれらの混合物を用いてもよい。コーティング層の形成工程は、前記化合物にこのような元素を用いて正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングできれば、いかなるコーティング方法を用いても構わない。
【0083】
一実施形態において、導電剤は、例えば、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック;炭素繊維;カーボンナノチューブ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属繊維又は金属チューブ;ポリフェニレン誘導体のような伝導性高分子などが使用されるが、これらに限定されずに当技の術分野で導電剤として使用され得るものであれば全て可能である。
【0084】
一実施形態において、バインダは、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポルリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、前述した高分子の混合物、又は、スチレン・ブタジエンゴム系のポリマーなどが使用されてもよく、溶媒として、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、又は、水などが使用されてもよいが、必ずこれらに限定されることなく、当技の術分野で使用され得るものであれば全て使用可能である。
【0085】
一実施形態において、場合に応じて正極スラリー組成物に可塑剤をさらに加えて電極板内部に気孔を形成することもできる。
【0086】
一実施形態において、前記正極活物質、導電剤、バインダ、及び溶媒の含量は、
リチウム二次電池で通常に使用されるレベルである。リチウム二次電池の用途及び構成により、前記導電剤、バインダ、及び溶媒の1つ以上が省略されてもよい。
【0087】
一実施形態において、正極集電体は、一般に3μm~500μmの厚さで作られる。前記正極集電体として、当該の電池に化学的な変化を誘発しないながらも導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、又は、アルミニウム-カドミウム合金などが使用されてもよい。また、表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の結合力を強化させてもよく、膜、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、又は、不織布体などの様々な形態に使用されてもよい。前記正極の合材の密度は少なくとも2.0g/ccであってもよい。
【0088】
一実施形態において、前記負極210と正極230は、セパレーター220により分離し、前記セパレーター220としてリチウム二次電池で通常に使用されるものであれば全て使用可能である。特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液の含浸能が優れるものが適切である。例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、その調合物のうち選択された材質であって、不織布又は織布形態であってもよい構わない。前記セパレーターは、気孔の直径が0.01μm~10μmであり、厚さは一般的に5μm~300μmであるものを使用してもよい。
一実施形態において、リチウム塩含有の非水電解質は、非水電解液とリチウムから形成されている。非水電解質として、非水電解液、有機固体電解質、又は、無機固体電解質などが使用されてもよい。
【0089】
一実施形態において、前記非水電解液として、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1、2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1、3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、又は、プロピオン酸エチルなどのプロトン性の有機溶媒が使用されてもよい。
一実施形態において、前記有機固体電解質として、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレン酸化物誘導体、ポリプロピレン酸化物誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテイションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、又は、イオン性解離基を含む重合体などが使用されてもよい。
【0090】
一実施形態において、前記無機固体電解質として、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、又は、硫酸塩などが使用されてもよい。
【0091】
一実施形態において、前記リチウム塩は、リチウム二次電池で通常に使用されるものであれば全て使用可能であり、前記非水電解質に溶解しやすい物質は、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、リチウムクロロホウ酸、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム及びイミドからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0092】
一実施形態において、リチウム二次電池は、使用するセパレーターと電解質の種類に応じてリチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、及びリチウムポリマー二次電池に分類されてもよく、形態に応じて円筒状、角形、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルクタイプと薄膜タイプに分類されることができる。
【0093】
一実施形態において、これら電池の製造方法は、この分野で幅広く知られているため、その詳説は省略する。
【0094】
一実施形態において、前記リチウム電池は、高温で貯蔵安定性、寿命特性、及び高率特性に優れているため、電気車(electricvehicle、EV)に使用されることができる。例えば、プラグインハイブリッド車(plug-in hybrid electric vehicle,PHEV)などのハイブリッド車に使用されてもよい。
【0095】
一実施形態において、前記例示的なリチウム二次電池において、前述した電極活物質は負極活物質として使用されるが、リチウム硫黄二次電池で前述した電極活物質は正極活物質として使用可能である。
【0096】
以下、実施形態及び比較例によって本発明をより詳細に説明する。
【0097】
但し、下記の実施形態は、本発明を例示するためのものであり、本発明の内容が下記の実施形態に限定されることはない。
【0098】
[実施形態1]
グラファイト(東海カーボン、BTRなど)は機械的な粉砕過程を経た後、Siナノ粒子と7:3の比率で混合した。ホソカワミクロン(NOB、Mechano Fusion)のミキサを用いて2000rpm~6000rpmで30分~480分間混合してD50基準約10μmの負極活物質を製造し、ソフトカーボン(Soft carbon)を用いて外部コーティング層を形成した。
【0099】
[実施形態2]
実施形態1において、粒子サイズを20μmにしたことを除外し、実施形態1と同一に負極活物質を製造した。
【0100】
SEM分析-電極活物質粒子形状
実施形態1及び2に係る負極活物質に対してSEM分析を実施した。SEM分析は、JEOL社のJSM-7600Fを利用した。前記負極活物質の粒子形状及びこの断面を分析した。
【0101】
図3は、本発明の実施形態1による負極活物質の粒子形状のSEMイメージであり、図4は、本発明の実施形態1による負極活物質の粒子断面を拡大したイメージである。図3及び図4を参照すると、実施形態1による負極活物質の内部までグラファイト及びシリコン粒子が均一に分布しており、隣接するグラファイト及びシリコン粒子の間に微細な気孔が分布していることが確認される。白色の部分はシリコン粒子であり、黒色の部分はグラファイトである。
【0102】
図5は、本発明の実施形態1及び2による気孔分布及び気孔率を示したSEMイメージである(左側:実施形態1、右側:実施形態2)。図5を参照すると、実施形態1及び2の気孔率はそれぞれ1.5%、6.5%であることが確認される。実施形態2の場合、実施形態1より気孔分布率が均一であることが確認される。
【0103】
EDX分析-電極活物質グラファイト及びシリコン粒子分布分析
図6は、本発明の実施形態1による負極活物質の粒子位置に応じるEDX結果である。図6を参照すると、実施形態1による負極活物質をEDXで測定した結果、point1でSi質量%は51.52、C質量%は48.48に示し、point2でSi質量%は51.27、C質量%は48.73に示し、point3でSi質量%は51.84、C質量%は48.16に示していることが確認できる。これは、負極活物質の外部から内部までグラファイト及びシリコン粒子が均一に分布していることが確認される。
【0104】
図7は、本発明の実施形態2による負極活物質の粒子位置によるEDX結果である。図7を参照すると、実施形態2による負極活物質をEDXで測定した結果、point1でSi質量%は53.29、C質量%は46.71に示し、point2でSi質量%は70.26、C質量%は29.74に示し、point3でSi質量%は51.38、C質量%は48.62に示していることが確認できる。これは負極活物質の粒子サイズが大きくなれば、粒子内部に行くほどシリコン粒子が深く浸透できないものの、外部は、グラファイト及びシリコン粒子が均一に分布していることが確認される。
【0105】
上述したように実施形態がたとえ限定された実施形態と図面に基づいて説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。従って、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0106】
100:負極活物質
110:炭素材料
120:シリコン粒子
200:リチウム二次電池
210:負極
220:セパレーター
230:正極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7