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特許7541987多重多相巻線磁場ロックを利用する電磁機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】多重多相巻線磁場ロックを利用する電磁機械
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/22 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H02P25/22
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021546392
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 KR2020001840
(87)【国際公開番号】W WO2020162734
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0015246
(32)【優先日】2019-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521339094
【氏名又は名称】明 南秀
【氏名又は名称原語表記】MYUNG, Nam Soo
【住所又は居所原語表記】101-1202, 121, Jeongjail-ro Bundang-gu, Seongnam-si Gyeonggi-do 13560 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003764
【氏名又は名称】弁理士法人OMNI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】明 南秀
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-124335(JP,A)
【文献】特表2014-530589(JP,A)
【文献】特開2015-133843(JP,A)
【文献】特表2012-514444(JP,A)
【文献】特開平09-205797(JP,A)
【文献】米国特許第04982147(US,A)
【文献】特開昭63-043554(JP,A)
【文献】特開昭61-177143(JP,A)
【文献】特開2016-163466(JP,A)
【文献】特開2018-093695(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 4/00
H02P 21/00-25/03
H02P 25/04
H02P 25/08-31/00
H02P 6/00-6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相巻線を含む固定子と;
多相巻線を含み、前記固定子と所定間隔で離隔する移動子と;
前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場を独立的に制御する制御部と;を含み、
前記制御部は、
前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場が、互いに結束を維持して、相互作用をするように前記第1磁場及び前記第2磁場を個別制御する、電磁機械。
【請求項2】
前記制御部は、
前記固定子の多相巻線に印加される第1電流及び前記移動子の多相巻線に印加される第2電流を制御することによって、前記第1磁場及び前記第2磁場を制御することを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1電流及び前記第2電流の位相及び振幅を個別制御することを特徴とする、請求項2に記載の電磁機械。
【請求項4】
前記制御部は、
直接ワイヤリング方式、スリップリング(slip-ring)方式、及び無線誘導結合方式中少なくとも一つの方式で前記固定子の多相巻線に前記第1電流を印加するか前記移動子の多相巻線に前記第2電流を印加することを特徴とする、請求項に記載の電磁機械。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電磁機械を駆動初期、前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場が、互いに結束を維持して、相互作用するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1磁場及び前記第2磁場の移動方向を同じ方向または反対方向に制御することを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項7】
前記移動子は、
回転軸に連結されて前記回転軸を中心に回転する回転子であることを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項8】
前記制御部は前記回転軸のトルク及び速度を生成することを特徴とする、請求項7に記載の電磁機械。
【請求項9】
前記電磁機械は、線形電磁機械または回転電磁機械であることを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項10】
前記固定子は、第1巻線配列を含み、
前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期、及び少なくとも一つの第2半周期を含み、
前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有し、
前記移動子は、前記固定子と前記移動子が離隔される方向で前記第1巻線配列と離隔して形成される第2巻線配列を含み、
前記第2巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第3半周期、及び少なくとも一つの第4半周期を含み、
前記第3半周期及び前記第4半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有し、
前記第3半周期及び前記第1半周期は、前記固定子と前記移動子が離隔される方向にミラーイメージを有し、
前記第4半周期及び前記第2半周期は、前記固定子と前記移動子が離隔される方向にミラーイメージを有し、
前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含ことを特徴とする、請求項1に記載の電磁機械。
【請求項11】
前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が、互いに反対であることを特徴とする、請求項10に記載の電磁機械。
【請求項12】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層と;
前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第1層巻線構造より外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層と;
前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが、前記第2層巻線構造より内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層上部に位置する第3層と;を含むことを特徴とする、請求項10に記載の電磁機械。
【請求項13】
前記第3層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第3層巻線構造より外側に位置した第4層巻線構造を含み、前記第3層上部に位置する第4層をさらに含む、請求項12に記載の電磁機械。
【請求項14】
前記第1半周期は、
電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層と;
前記下層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層と;を含むことを特徴とする、請求項10に記載の電磁機械。
【請求項15】
前記第1巻線配列は、複数の第1半周期及び複数の第2半周期を含み、
前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向に周期的に形成されることを特徴とする、請求項10に記載の電磁機械。
【請求項16】
前記第1巻線配列または前記第2巻線配列は、
前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分離されたトロイド(Toroid)や分離されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことを特徴とする、請求項10に記載の電磁機械。
【請求項17】
請求項1の電磁機械を含む磁場同期結合(Field Lock)二重励磁電磁機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重多相巻線磁場ロックを利用する電磁機械に関し、特に電磁機械(Electromagnetic machine)に独立的に回転磁場(Rotating magnetic field)を生成する能動制御可能な回転子と固定子を備えてこれを独立的に制御することによってモーターとして起動(Starting-up)時や運行中要求されるトルク(Torque)を増加させることができて、方向、トルクと速度をよりよく調節することができ、発電機としては、動力源(prime mover)の不安定性を排除して、安定した電力を供給できる、広い作動範囲を有し、小さい大きさで高い効率を有するだけでなく、トルクと速度も広範囲な領域で調節できる電磁機械に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業分野では、システム内に回転部材を含む可逆の電磁機械を設置しようとする要求が多い。機械が設置されたシステムの動作条件に応じて、このような回転部材の回転運動による機械的エネルギーに変換して、このような機械的エネルギーで電気エネルギーを生成するのは、発電機(Generator)である。このような発電機から生成された電力は、他のシステム要素に供給したり貯蔵することができる。また、機械に電気エネルギーを供給して機械的エネルギーに変換させて回転部材を回転させて回転動力を得るのは、モーター(Motor)である。
【0003】
このようなモーター/発電機に使われる電磁機械は、我々の生活周辺で最も広く使われる電気機器で、容量が数十Wの小型から数MWに達する大型まで家庭と産業現場で広く使われて、特に、扇風機、洗濯機、冷蔵庫、自動車、エレベーター、ポンプ、クレーンなどに広く使われている。このような電磁機械に対する通常の要求は、費用の削減だけでなく、特に地上の車両や飛行機のような輸送手段には小型化及び軽量化である。
【0004】
また、電磁機械は、固定子と回転子を含んでなる。通常固定子の巻線(Coil)に電流が流れる時発生する回転磁場によって回転子に回転トルクが発生する原理で作動する。回転トルクによって回転子が回転する力を回転動力で利用するようになる。
【0005】
直流モーターは、空隙に固定磁場を使って電気子コイルを駆動してトルクを生成する。電気子を切り替えるには、電流を切り替えるために整流子が必要で、誘導モーターは、空隙で移動または回転磁場を生成する多相コイルを有する固定子を有して、回転子は、永久磁石または電磁石に由来する所定の磁場を生成して、回転子軸の速度と同じ速度で回転する。言い換えると、従来の電磁機械は軸に固定された磁場回転を有する。
【0006】
直流モーターでは、機械的整流器(ブラシ)を利用するため、定期的メンテナンスが必要で、高速駆動時に困難があり、設置場所も制限がある。一方、機械的整流器がない永久磁石動機モーター(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)では、永久磁石を使うため、最大出力時マージンが少なく、高温時磁石性能が低下する問題点がある。
【0007】
通常誘導モーターでは、起動時に負荷及びモーター自らの慣性によって発生するトルクが小さくて、正常運転まで時間が必要である。また、モーター起動時、モーター巻線には一時的に突入電流(In-rush current)と呼ばれる大電流が流れるようになる。従って、誘導モーター使用時、突入電流をよく調節しなければならない問題点がある。
【0008】
誘導モーターは、大きく籠型誘導モーター(Squirrel cage induction motor)と巻線型モーター(Wound motor)に区分することができる。籠型誘導モーターの場合、構造が簡単で強固であり、運転が容易で、保守が簡単である。しかし、構造特性上起動時に大きい電流が必要で、小さいトルクを生成する。従って、頻繁な起動と停止が要求され、速度を制御する必要があって、電源容量が小さい場合には適用し難い。
【0009】
また、巻線型モーターの場合には、籠型モーターに比べて起動電流が小さくて、大きいトルクを生成する。しかし、大きいトルクを生成するためにモーター自らの大きさを増加させなければならず、これは費用が増加する問題点がある。また、巻線型モーターはスリップリングを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような従来の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械を提供するところにある。
【0011】
本発明の他の目的は、独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械を利用することによって、システム規模を減らして効率を上げる二重励磁電磁機械(Doubly Active Electromagnetic Machine)システムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための一実現例として、本発明の一実施例に係る電磁機械は、多相巻線を含む固定子と;多相巻線を含み、前記固定子と所定間隔で離隔する移動子と;前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場を独立的に制御する制御部と;を含む。
【0013】
また、前記制御部は、前記固定子の多相巻線に印加される第1電流及び前記移動子の多相巻線に印加される第2電流を制御することによって、前記第1磁場及び前記第2磁場を制御することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記第1電流及び前記第2電流の位相及び振幅を個別制御することができる。
【0015】
また、前記制御部は、直接ワイヤリング方式、スリップリング(slip-ring)方式、及び無線誘導結合方式中少なくとも一つの方式で前記固定子の多相巻線に前記第1電流を印加したり、前記移動子の多相巻線に前記第2電流を印加することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記電磁機械を駆動初期、前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場が互いに結束するように制御することができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記第1磁場及び前記第2磁場の移動方向を、同じ方向または反対方向に制御することができる。
【0018】
また、前記移動子は、回転軸に連結されて前記回転軸を中心に回転する回転子であり得る。
【0019】
また、前記制御部は、前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場が互いに結束を維持して、前記第1磁場及び前記第2磁場を個別制御することによって、前記回転軸のトルク及び速度を生成することができる。
【0020】
また、前記電磁機械は、線形電磁機械または回転電磁機械であり得る。
【0021】
また、前記固定子は、第1巻線配列を含み、前記移動子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有することができる。
【0022】
また、前記第1半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向と前記第2半周期を形成する二つの巻線の間で形成される磁場の方向が、互いに反対であり得る。
【0023】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する第1層;前記第1層の巻線構造と同じ電流方向を有するが前記第1層巻線構造より外側に位置した第2層巻線構造を含み、前記第1層上部に位置する第2層;及び前記第2層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有するが前記第2層巻線構造より内側に位置した第3層巻線構造を含み、前記第2層の上部に位置する第3層を含むことができる。
【0024】
また、前記第3層の巻線構造と同じ電流方向を有するが、前記第3層巻線構造より外側に位置した第4層巻線構造を含み、前記第3層上部に位置する第4層をさらに含むことができる。
【0025】
また、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第2巻線配列と隣接する下層;前記下層巻線構造と互いに反対方向の電流方向を有する上層巻線構造を含み、前記下層上部に位置する上層を含むことができる。
【0026】
また、前記第1巻線配列は、複数の第1半周期及び複数の第2半周期を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向で周期的に形成されることができる。
【0027】
また、前記第1巻線配列または前記第2巻線配列は、前記電流が流れる方向に沿って長さが延びて、分離されたトロイド(Toroid)や分離されたソレノイド(Solenoid)電流分布を含むことができる。
【0028】
前記目的を達成するための一実現例として、本発明の一実施例に係る磁場同期結合(Field Lock)二重励磁電磁機械システムは、多相巻線を含む固定子;多相巻線を含み、前記固定子と所定間隔で離隔する移動子;及び前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場を独立的に制御する制御部を含む電磁機械を含む。
【発明の効果】
【0029】
これにより、前記課題解決手段を介して次のような効果が期待される。
本発明に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械は、起動時に負荷及びモーター自らの慣性によって正常運転状態より大きい起動トルクを独立的に能動制御可能な巻線型回転子から発生した回転磁場で解決することができる。従って、最小の大きさで最大駆動トルクを案出できて、効率を最大化させることができる効果がある。また、制御に係る速い動作が可能で、広い動的範囲を有して、安全な作動が可能である。
【0030】
本発明に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械を利用した新概念の二重励磁電磁機械(Double-Fed Electromagnetic Machine)を海上風力発電、潮流発電、波力発電などのような新再生エネルギーシステムに適用すると、ギヤボックスがなくとも駆動トルクと速度を効率的に制御することによって、大きさを減らし効率を増加させることができる長所がある。
【0031】
一方、本発明に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械を利用したインホイールモーターによると、大きさを最小化して各ホイールに装着して各ホイールの駆動トルクと速度を個別的に、効率的に制御することによって、電気自動車のような未来自動車に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施例に係る電磁機械のブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る電磁機械の内部構造を図示した例示断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る電磁機械の内部構造を図示した他の例示断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る電磁機械を駆動したり制御する概略的例示図である。
図5】本発明の一実施例に係る電磁機械に対する等価回路を図示した回路図である。
図6】本発明の一実施例に係る電磁機械を適用した概略的な風力発電二重励磁電磁機械(Doubly Active Electromagnetic Machine)に対する例示図である。
図7】本発明の一実施例に係る電磁機械を適用した概略的なインホイール(In-wheel)駆動電磁機械に対する例示図である。
図8】本発明の一実施例に係る電磁機械を適用した概略的なインホイール駆動電磁機械に対する他の例示図である。
図9】本発明の実施例に係る固定子と移動子との間の力を示す。
図10】本発明の一実施例に係る固定子と移動子の巻線配列に係る電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
図11】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を2個の位相差巻線セットで図示した概略的例示断面図である。
図12】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列に係る電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
図13】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列構造の概略的な例示斜視図である。
図14】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列構造によって生成した磁場と電流の相互作用を概略的に図示した概念図である。
図15】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を積層型巻線を有して水平方向に適用した概略的図示した例示断面図である。
図16】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を積層型巻線を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
図17】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を立体的構造適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
図18】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を立体的構造適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
図19】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を平面巻線構造を有して適用した概略的図示した例示断面図である。
図20】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を平面巻線構造を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
図21】本発明の実施例に係る固定子と移動子の巻線配列を平面巻線構造を有して立体的に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明はここで説明される実施例に限定されず互いに異なる形態で具体化されることもできる。かえって、ここで紹介される実施例は開示された内容が徹底して完全になるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。一方、明細書全文に亘って同一参照符号は同じ構成要素を指し示す。
【0034】
本明細書で使われた用語は、実施例を説明するためのものであって本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文面で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる‘含む(comprises)’及び/または‘含む(comprising)’は、言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の別の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。また、好ましい実施例に従ったものであるため、説明の順序により提示される参照符号はその順序に必ずしも限定されない。これに加えて、本明細書で、ある成分や部品が言及される場合やそれ以外の成分や部品が排除されるのではなく、必要な場合別の成分や部品も追加で介在することもできることを意味する。
【0035】
本明細書で提供された説明及び例示は、説明的な目的で提示されたものであって、添付された請求項の範疇(scope)を制限するように意図されない。本明細書は、本発明の原理を例示するためのものと考慮されるべきで、記述された実施例の請求項及び/または本発明の思想(spirit)及び範疇を制限するように意図されない。本技術分野に属した通常の技術者は、本発明の特定のアプリケーションに対して本発明を変形することができるはずである。
【0036】
また、本明細書で記述する実施例は、本発明の理想的な例示図である断面図及び/または平面図を参考にして説明される。図面において、膜及び領域の厚さは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。従って、製造技術及び/または許容誤差などにより例示図の形態が変形されることができる。従って、本発明の実施例は図示された特定形態に制限されるのではなく、製造工程により生成される形態の変化も含むものである。例えば、直角で図示されたエッチング領域はラウンドされるか所定曲率を有する形態であり得る。従って、図面で例示された領域を概略的な属性を有して、図面で例示された領域の形は、素子の領域の特定形態を例示するためのものであって発明の範疇を制限するためのものではない。
【0037】
本発明の一実施例に係る電磁機械は、固定子110、移動子120、及び制御部130を含む。
【0038】
固定子110及び移動子120は、各々多相巻線111、121を含み、互いに所定の間隔(d)で離隔して形成される。制御部130は、前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場を独立的に制御する。多相巻線に流れる電流の方向を制御することによって、電流によって磁場が形成されるが、多相巻線に流れる電流を制御することによって磁場の移動や方向を制御することができる。
【0039】
制御部130は、固定子の多相巻線111に印加される第1電流及び移動子の多相巻線121に印加される第2電流を制御することによって、前記第1磁場及び前記第2磁場を制御することができる。また、前記制御部は、第1電流及び第2電流の位相及び振幅を個別制御することができる。
【0040】
制御部130は、電磁機械を駆動初期、前記固定子の第1磁場及び前記移動子の第2磁場が互いに結束するように制御できて、前記第1磁場及び前記第2磁場の移動方向を同じ方向または反対方向に制御することができる。
【0041】
ここで、移動子120は、回転軸に連結されて前記回転軸を中心に回転する回転子であってもよく、制御部130は、固定子の第1磁場及び移動子の第2磁場が互いに結束を維持して第1磁場及び第2磁場を個別制御することによって、前記回転軸のトルク及び速度を生成することができる。
【0042】
固定子110と移動子120は、原形であり共通軸を有するように形成されることができる。線形アレーで配列された多相巻線111、121は、線形モーターに適用されることができる。また、線形及び回転電磁機械のいずれに適用されることができる。
【0043】
固定子と移動子との間に小さいエアーギャップが存在して、ここで移動子は、固定子に対して共通軸を中心に自由に回転することができる。固定子の多相巻線に電流が流れると、空隙で周期的磁場が生成される。類似するように、電流が移動子の多相巻線に流れると、エアーギャップで周期的磁場が生成される。
【0044】
固定子の多相巻線が適切な位相差を有する正弦波入力電流によって励起されると、エアーギャップで動く磁場が生成されて、移動子の多相巻線が適切な位相差を有する正弦波入力電流によって励起されると、エアーギャップで移動磁場が生成される。
【0045】
移動子が固定子に対して一定の速度で移動する場合、移動子の多相巻線を介して一定の電流によって生成された磁場は、移動子が移動するにつれ移動することになる。移動子の多相巻線を介した正弦波電流は、移動子の回転軸に対して回転磁場を生成する。移動子が回転すると、エアーギャップ内のフィールドの回転はフィールド回転速度と軸回転速度の組み合わせによって決定された速度で回転する。
【0046】
停止座標系と関連して移動子によって生成されるエアーギャップにおける磁場の速度は、移動子巻線の電流によって生成された磁気要素の速度と移動子の速度の組み合わせである。
【0047】
固定子及び移動子に提供された多相巻線は、電流が流れる時各巻線が角度の関数としてエアーギャップで周期的磁場を生成する二個以上の個別巻線を意味する。360度角度で整数の空間周期または周期を含むことができる。位相コイルが二個以上である場合、第2巻線は、第1巻線に対して固定された角度だけオフセットされて位置される。例えば、2相巻線の場合、1/4周期(または電気角度(Electrical angle)90度)だけシフトされて3相コイルの場合、1/3周期だけ角度でシフトできる(または電気角度120度)。
【0048】
巻線に電流を供給することによって、すべての巻線によって生成された総磁場は、各巻線を介したて電流によって生成された磁場の和になる。巻線の電流量を変化させることによって磁場の位相と振幅を変更することができる。
【0049】
多相巻線に対する多相電流は、スリップリングまたは無線誘導結合を含む別の結合手段によって固定子及び固定子に対して自由に回転する移動子に供給されることができる。多相電流は、電力及び制御信号が電磁機械に伝達できるようにする固定ワイヤーまたは別の結合手段を介して電磁機械に供給されることができる。
【0050】
本発明の一実施例に係る電磁機械は、固定子及び/または移動子巻線で異なる位相で供給される時変電流によって生成された回転磁場を利用する。電流が多重巻線に供給される時、整数多重サイクル磁場変動を生成する。
【0051】
固定子と移動子によって生成された磁場の各周期の数は、同じであってもよい。移動子と固定子が、各々の電流によって磁化される時、互いに磁場ロック状態にあるようになる。換言すると、移動子は固定子によって生成された磁場に固定された角度位置に位置されて、移動子によって生成された磁場と互いに引かれるようになる。固定子の多相巻線で電流の位相が変わるにつれ、移動子の位相電流は固定される一方、電流の位相が変わるにつれ固定子によって生成されたエアーギャップにおける磁場パターンが移動する。固定子磁場が移動するにつれ移動子磁場が共に移動して、フィールドロックを維持する。固定子位相が変わらないで移動子電流の位相が変わるにつれ似たようなイベントが発生する可能性がある。
【0052】
固定子及び移動子の巻線の電流が変わると、多数の位相巻線によって生成された磁場が移動することができる。電流が固定子及び回転子のいずれにおいて正確に同じ方式で時間変化して、同じ方式で同じ磁場の回転を生成する場合、同じ方式で、磁場ロックは移動子が反対方向に磁場回転速度の二倍回転して、その反面、固定子と移動子の磁場回転が、反対方向である場合、磁場ロックによって移動子が停止状態を維持するようになる。
【0053】
固定子の移動磁場の回転速度が移動子の速度及び周波数によって決定される移動子によって生成される移動磁場の速度の和と同じである時、磁場ロックが形成される。
【0054】
移動子と反対方向に移動子を引っ張る外力があると、機械的動力が移動子に伝達される。この場合、電磁波及び電流で小さい位相変移が生じることになる。外力は、磁場と電流によって動く要素から発生する力によって均衡を保つようになる。例えば、固定子電流振幅が固定されて、固定振幅高調波移動磁場を生成すると、移動素子電流振幅を増加させるようになる。
【0055】
位相の独立的かつ同時的な制御により、固定子と移動子で電流の周波数と振幅は、ペイロード及び電磁機械の保護だけでなく広範囲な動的制御を提供することができる。
【0056】
図2は、本発明の一実施例に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械の内部構造を図示した概略的例示断面図である。図2は、移動子が回転子で回転軸に連結されて固定子と間隔を維持して回転する回転電磁機械で、以下、図2の電磁機械を例で説明する。図2は、一つの実現例示で本発明の実施例に係る電磁機械はこれに限定されないのは当然である。
【0057】
図2に図示したように、本発明の実施例に係る電磁機械1100は、ケース1110の内側に固定される固定子(Stator)120と、ケース1110を貫く回転軸(Shaft)130、回転軸1130を囲む回転子(Rotor)140、固定子1120及び回転子1140の一端に置かれた制御部1150を含んで構成されることができる。ここでは、例示的に説明するためにケース1110の内部の固定子1120と、回転軸1130、回転子1140、制御部1150の位置を特定しているが、これに限定されず本発明の思想に違背されない範囲で適切な位置を再配置してもよい。
【0058】
ここで、回転軸1130は、ケース1110の中心部を長さ方向に貫いて配置される。また、回転軸1130が支持されるケース1110の両端には、ベアリング1160が備えられる。一方、回転可能なケース1111は、制御部1150の外側に配置されて、外部電力線(図示せず)が回転時に絡まらないようにする。ここでは、ケース1110は、回転可能なケース1111を置いて外部電力線が絡まらないように例示的に図示したが、これに限定されず電力線を無線で供給したり別の方式で伝達する場合、これを固定することもできる。一方、制御部1150と固定子1120及び回転子1140の間の間隔(s)は、無線電力及び信号供給時一側が高速で回転するので必要である。
【0059】
また、ケース1110の内周面には、固定子1120が付着固定されて、固定子1120は、多相巻線(図示せず)を含む。固定子1120の内側では、回転軸1130と、固定子1120と中心を共有して、回転子1130方向に固定子1120と所定間隔、すなわち空隙(Air gap,d)で離隔して、回転軸1130を含む回転子1140が備えられる。一方、本発明に係る一実施例での回転子1140は、多相巻線(図示せず)を含む。
【0060】
また、ケース1110の内部の固定子1120と、回転軸1130、回転子1140の一端には、電力をやりとりするための制御部1150を含む。この時、制御部1150は、固定子1120に第1電力を供給して第1回転磁場(図示せず)を発生させることができ、供給される前記第1電力を調節して、前記第1回転磁場の大きさ、周波数などを制御することができる。ここで、前記第1電力は、直接ワイヤリング方式(図示せず)、スリップリング(slip-ring)方式(図示せず)、無線誘導結合方式(図示せず)及びこれらの組み合わせから選択されたいずれか一つの方式で制御部1150から固定子スイッチング部1125を介して固定子1120の前記多相巻線に電力をやりとりする。また、固定子スイッチング部1125は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)が起きる部分で、インバータとコンバータを含んで構成される。ここでは、固定子スイッチング部1125を固定子1120の一端に結合して例示的に図示したが、これに限定されず固定子スイッチング部1125を制御部1150に含ませることもできる。
【0061】
また、制御部1150は、回転子1140に第2電力を供給して、前記第1回転磁場と独立的に第2回転磁場(図示せず)を発生させることができて、供給される前記第2電力を調節して前記第2回転磁場の大きさ、周波数などを制御することができる。ここで、前記第2電力は、スリップリング方式(図示せず)、無線誘導結合方式(図示せず)及びこれらの組み合わせから選択されたいずれか一つの方式で、制御部1150から回転子スイッチング部1145を介して回転子1140の前記多相巻線に電力をやりとりすることになる。
【0062】
一方、制御部1150は、直接ワイヤリング方式(図示せず)、スリップリング方式(図示せず)、無線誘導結合方式(図示せず)及びこれらの組み合わせから選択されたいずれか一つの方式で固定子1120に制御命令を伝達することができる。また、制御部1150は、スリップリング方式(図示せず)、無線誘導結合方式(図示せず)及びこれらの組み合わせから選択されたいずれか一つの方式で回転子1140に制御命令を伝達することができる。この時、制御部1150が、固定子1120と回転子1140に各々第1電力と第2電力を無線誘導結合方式で供給する時、無線誘導結合方式で伝達される制御命令とは、互いに異なる周波数を利用して干渉を回避することができる。
【0063】
図3は、本発明の一実施例に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械の内部構造を図示した概略的例示断面図である。
【0064】
図3に示したように、本発明の一実施例に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械1200は、ケース1210の内側に固定される固定子1220と、ケース1210を貫く回転軸1230、回転軸1230を囲む回転子1240、固定子1220及び回転子1240の一端に置かれた制御部1250を含んで構成されることができる。図3を参照すると、本発明の一実施例に係る電磁機械1200は、制御部1250で固定子1220と回転子1240を固定子スリップリング1221と回転子スリップリング1241を介して実現する例示である。ここでは、制御部1250は、ケース1210の内部に配置するものと例示的に図示したが、これに制限されず制御部1250をケース1210の外部に配置してもよい。
【0065】
図4は、本発明の一実施例に係る電磁機械を駆動したり制御する概略的例示図である。
【0066】
図4を参照すると、固定子1320を駆動するためには、制御部1350の制御命令1352が制御回路1351を経て固定子スイッチング部1325に伝達される時、電力供給装置/グリッド1370から固定子スイッチング部1325を経て固定子1320の多相巻線(図示せず)に第1電力を供給して、第1回転磁場(図示せず)を生成する。一方、固定子1320を制御するためには、制御部1350の制御命令1352が制御回路1351を経て固定子スイッチング部1325に伝達される時、固定子1320から発生する電力(図示せず)が固定子スイッチング部1325を経て電力供給装置/グリッド1370に供給される。
【0067】
また、回転子1340を駆動するためには、制御部1350の制御命令1352が制御回路1351を経て回転子スイッチング部1345に伝達される時、電力供給装置/グリッド1370から回転子スイッチング部1345を経て回転子1340の多相巻線(図示せず)に第2電力を供給して、第2回転磁場(図示せず)を生成する。一方、回転子1340を制御するためには、制御部1350の制御命令1352が制御回路1351を経て回転子スイッチング部1345に伝達される時、回転子1340から発生する電力(図示せず)が回転子スイッチング部1345を経て電力供給装置/グリッド1370に供給される。
【0068】
一方、前記第2回転磁場は、固定子1320に含まれたセンサー1380を介して前記第1回転磁場の大きさ、周波数などを測定して、測定値1353を制御回路1351に伝達して、前記第2回転磁場の大きさ、周波数などと比較することによって、電磁機械のトルク及び効率を最適化するために、固定子1320と回転子1340を能動的に制御する。また、前記第1回転磁場も回転子1340に含まれたセンサー1380を介して前記第2回転磁場の大きさ、周波数などを測定して、測定値1354を制御回路1351に伝達して、前記第1回転磁場の大きさ、周波数などと比較することによって、電磁機械のトルク及び効率を最適化するために、固定子1320と回転子1340を能動的に制御する。一方、センサー1380は、固定子1320と回転子1340中少なくとも一つ以上の動的運営状態(トルク、電流、電圧、位置、速度など)を測定して、電磁機械の使用を最適化するために使う。また、センサー1380を介して確保した動的運営状態測定値だけでなく電力供給装置/グリッド1370の状態情報を介して電磁機械を効率的運行及び安全に運用することができる。
【0069】
図5は、本発明の一実施例に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械に対する等価回路を図示した回路図である。
【0070】
図5に図示した通り、本発明の一実施例に係る独立的に能動制御可能な巻線型回転子と固定子を含んだ電磁機械の等価回路1400は、固定子の等価回路1420と回転子の等価回路1440を含む。この時、本発明の一実施例に係る電磁機械は、90゜位相差を有する2相巻線と例示的説明のために記述したが、これに限定されず多相巻線の場合にも当業者なら容易に適用することができる。ローレンツ法則に係る力は、次の数式で表現されることができる。
【0071】
【数1】
ここで、Fは電線に生じる力で、lは棒型電線の長さで、Bは固定子コイルに流れる電流によって生成された磁場の大きさで、iは移動子電線に流れる電流値である。
【0072】
本発明の一実施例に係る電磁機械等価回路1400では、固定子の等価回路1420で発生する回転磁場は、Z軸方向に発生して、回転子の等価回路1440で供給される電流は、Y軸方向に供給されるとして、次式で表現されることができる。特に、固定子の巻線Aに流れる電流によって生成された磁束は、正弦波に近似されることができて、次の数式で表すことができる。
【0073】
【数2】
【0074】
固定子巻線は、電磁機械の様々なサイクルを有することができる。数2で上付き文字Aは、巻線(位相)Aを意味する。また、固定子の位相A巻線には磁束(Magnetic Flux)が発生する。そして、位相B巻線は、位相A巻線に対して電気的に90゜位相差が生じて、位相B巻線に流れる電流によって生成された磁束は次の数式で表すことができる。
【0075】
【数3】
【0076】
従って、固定子巻線に流れる時差を置いて変化する電流によって、位相A巻線と位相B巻線が重なって、下記のように移動磁場が形成される。これは次の数式で表すことができる。
【0077】
【数4】
【0078】
固定子巻線に流れる電流によって生成された回転磁場と類似するように回転子巻線に流れる電流は、正弦波に近似されることができる。回転子の位相A巻線に流れる電流は、次の数式で表すことができる。
【0079】
【数5】
【0080】
そして位相B巻線は、位相A巻線に対して90゜位相差が生じて、回転子の位相B巻線に流れる電流は次の数式で表すことができる。
【0081】
【数6】
【0082】
従って、回転子巻線に流れる電流は、位相A巻線と位相B巻線の重なりで下記のように表すことができる。これは次の数式で表現することができる。
【0083】
【数7】
【0084】
電磁機械の発生するローレンツ力F(x,t)は、数4と数7から次の数式で表現されることができる。ここでは、ローレンツ力は固定子から生成された磁場と回転子から生成された電流の相互作用で分析したが、これは例示に過ぎずその反対の場合とも解釈が可能である。
【0085】
【数8】
【0086】
ここで、φは回転子と固定子との間の位相差である。また、xがxに比べて速度v(固定子巻線に対して)で動いていると仮定すると、次の数式で表現されることができる。
【0087】
【数9】
【0088】
電磁機械の等価回路1400で解釈されるトルクは、固定子の等価回路1420と回転子の等価回路1440から解釈されることができる磁場に比例して、次式で表現されることができる。ここでは、トルクは、固定子と回転子で発生する磁場と解釈したが、これは例示に過ぎず固定子と回転子で発生する電流と解釈することもできる。
【0089】
【数10】
【0090】
この時、Biot-Savart法則により回転子の等価回路1440で解釈される磁場は、回転子巻線に流れる電流に比例する。従って、数9からトルクは、独立的に能動制御可能な固定子と回転子に流れる電流に各々比例する。一方、通常のモーターの場合、回転子に流れる電流は、固定子から誘起や派生してこれを制御するためには、固定子を制御しなければならない。従って、本発明に係る電磁機械は、固定子と回転子の独立電流の組み合わせで駆動できて、電磁機械運用時に可能なトルク範囲が広く、反応時間も減らすことができて、効率も最適化することができる。また、本発明の一実施例に係る電磁機械運用時、安全性を確保しやすい。
【0091】
図6は、本発明の一実施例に係る電磁機械を含んだ概略的な新概念の風力発電二重励磁電磁機械(Dual Active Electromagnetic Machine)に対する例示図である。図6では、風力発電に対する例示だけを説明するが、適用例はこれに限定されず本発明の一実施例に係る電磁機械を包含できる潮流発電や波力発電などのような新再生エネルギーシステムに適用することができる。
【0092】
図6を参照すると、本発明の一実施例に係る電磁機械を含んだ風力発電用二重励磁電磁機械1505は、ギヤボックスなしに、連続可変ギヤ比(Continuously Variable Gear Ratio)を電子的に実現することができて、大きい駆動トルクを発生させることができる発電または回生制御装置である。回転翼1501は、動力軸1502を介して電磁機械1500に連結される。電磁機械1500の出力は、電力転換装置1503とグリッド1504を経て負荷1506に伝達される。
【0093】
従って、本発明の一実施例に係る電磁機械を含む二重励磁電磁機械システムでは、ギヤボックスがなくとも駆動トルクと速度を効率的に制御することによって、大きさを減らし効率を増加させることができる長所がある。また、物理的ギヤも存在せず故障時迅速な対処が可能である。
【0094】
図7図8は、本発明の一実施例に係る電磁機械を適用した概略的なインホイール(In-wheel)駆動モーターを含んだ車両に関する例示図である。図7図8では、インホイール駆動モーターに対する例示だけを説明するが、適用例はこれに限定されない。一方、図7は、本発明の電磁機械を含んだ車両の駆動に関する例示的構成図で、図8は、本発明の電磁機械を含んだ車両の制動に関する例示的構成図である。
【0095】
図7を参照すると、エネルギー源、例えばバッテリー1601の直流電源は、インバータ1604を経て交流電源に変換される。このように変換された電力が、本発明の一実施例に係る電磁機械1600に印可されると駆動力ができて、動力軸(図示せず)を介して各輪に伝達されて車両を駆動するようになる。
【0096】
図8を参照すると、走行中の車両が有する慣性力は、制動時に前記動力軸を介して本発明の一実施例に係る電磁機械1700に伝達されて、回生制動(Regenerative braking)状態となる。この時発電した電力は、インバータ1704を経てエネルギー源、例えばバッテリー1701やキャパシタ1702に充電されたり制動抵抗1703で熱として消費される。
【0097】
従って、本発明の一実施例に係る電磁機械を含んだインホイールモーターによると、モーターの大きさを最小化して各ホイールに装着して、各ホイールの駆動トルクと速度を独立個別的に、効率的に制御することによって、車両の安定性を確保して、運転性能を向上させることができる。特に、物理的ギヤが存在しないで回転子を独立的に制御することによって、反応時間が短く運転状況に応じた迅速な対処が可能である。
【0098】
図9は、本発明の実施例に係る固定子と移動子(回転子)との間の力を示す。移動子は、x方向に自由に動くことができる。(回転電磁機械で、xは軸回転方向)移動子は、yまたはz方向に動かなく、z方向の力は移動子と固定子との間の引いたり押したりする力の方向を意味する。
【0099】
固定子の多相コイルがDC電流で駆動されると、エアーギャップで交流磁場が生成されて、移動子の多相コイルがDC電流で駆動されると、エアーギャップで交流磁場が生成される。x方向に0.01mの磁場空間周期を有して、多相コイルの電流はy方向に磁場ロックができて、エアーギャップの磁場は、x方向に周期的に変わる。
【0100】
図面は、復元力、安定した平衡位置に復帰するためのx方向の力、(-0.5*period<x<0.5*period)、そして反発力、移動子を安定した位置に押すための力で示すことができる。(0.5*period<x<1.0*period)x=0.5*periodの地点は、鞍点(saddle point)である。力と変位は、移動子オフセット角度の周期的機能の役割をする。移動子と固定子が互いに反対極性で対面する位置に復元力が存在して、この条件が満たされると、移動子と固定子は“磁場ロック(Field locking)”にあると定義される。磁場ロックは、固定子と共に維持でき、移動子が回転する間移動子は別途の回転磁場を生成する。
【0101】
磁場ロック(Field locking)は、移動磁場の生成が可能な多相巻線を有する固定子と別に独立的に移動磁場の生成が可能な多相巻線を有する移動子との間に一定の間隔を有する空隙(air gap)があり、移動子は、電流の流れと法線方向に一定の間隔を維持して動くことができる電磁機械で形成することができる。前記移動磁場は、空隙に集束生成されて、磁場のベクトル方向、電流の流れの方向、移動体の移動方向は互いに垂直関係を有する。
【0102】
固定子と移動子の各多相巻線に流れる電流によって生成された磁場は、互いに磁場極性が反対に向かい合う安定状態を維持することが磁場ロック現象である。移動子が、このような安定状態から抜けて外部力によって移動することになると、本来の状態に戻ろうとする復元力が生じ、移動距離が小さい場合、復元力は、移動距離に比例し、力の方向は移動方向の反対方向である。
【0103】
電磁機械が駆動を始める前にまず磁場ロックを形成して、駆動時、駆動開始時In-rush currentを適正水準以下となるように維持して駆動を始める。駆動中には、常に磁場ロックを維持することによって広い動的作動領域に要求されるトルク(torque)に迅速に応答できて、Bi-directional power transfer機能で安全性を確保することができる。
【0104】
移動子と固定子が互いに反対極性で対面する時、回転子位置は安定的であり得る。移動子と固定子が同じ極で互いに向かい合うように変位されると、反発力が移動子を安定された領域に押し出す。復元力は、反対極が直面する時、存在する一方、類似する極が直面する時には斥力が発生する。
【0105】
モーター作動でシャフトの外部荷重、例えば摩擦はf_ext(f_ext<0)で引っ張って、移動子位置は安定した平衡(x<0、fx>0)からかけ離れる。モーターが電気エネルギーを機械エネルギーに変換する作業を行うことを意味する。
【0106】
発電機作動で、外部荷重は、f_ext>0を有する移動子をx方向に押していて、外部力は復元力fx<0によって均衡を保つことができる。この時、発電機が、機械作業を電気エネルギーに変換することを意味する。
【0107】
本発明の実施例に係る電磁機械の固定子及び移動子は、巻線配列で形成されることができる。例えば、図10のような巻線配列で形成されることができる。以下、固定子及び移動子を構成する巻線配列について具体的に説明する。
【0108】
固定子は、第1巻線配列を含み、移動子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有することができる。
【0109】
図10は、本発明の一実施例に係る固定子と移動子の巻線配列に係る電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。図10に図示した通り、本発明の一実施例に係る巻線配列2100は、第1巻線配列2110と第2巻線配列2120を含む。以下、巻線配列は、固定子と移動子の巻線配列を意味する。
【0110】
第1巻線配列2110及び第2巻線配列2120は、所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージ(Mirror image)を有する。即ち、X軸を対称軸に第1巻線配列2110及び第2巻線配列2120は、ミラーイメージを有する。ここで、ミラーイメージとは、対称軸を中心に互いに対応する構造を有するもので、鏡に映るような構造を有するものを意味する。
【0111】
この時、第1巻線配列2110は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含む。第1半周期2150及び第2半周期2160を一周期で形成されて、空間的周期(λ)毎に同じ構造を繰り返す周期的な形態で形成されることができる。第1半周期2150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有する。即ち、第1半周期2150は、z軸を対称軸に第2半周期2160とミラーイメージを有する。
【0112】
図10を参照すると、第1巻線配列2110と第2巻線配列2120は、z軸方向に所定間隔、即ち空隙(air gap,d)で離隔している。第1巻線配列2110と第2巻線配列2120との間の間隔は、巻線配列を利用して実現しようと磁束乃至他の部品によって設定されることができて、使用者によって設定されることができる。
【0113】
第1半周期2150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含む。図10は、第1半周期2150が、複数の層で形成される実施例を図示しているが、これは一つの例示に該当して、第1半周期2150は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含むことができる。二つの巻線は、電流が流れる方向が互いに反対であり得る。一つの巻線は、図10の平面内に流れる方向(+y方向)に電流が流れて、他の一つの巻線は、図10の平面の外に流れる方向(-y方向)に電流が流れることができる。巻線に電流が一方向に流れる場合、巻線には磁場が形成される。図10の平面内に電流が流れる場合、巻線を覆う時計回りに磁場が形成されて、図10の平面の外に電流が流れる場合、巻線を覆う反時計回りに磁場が形成される。ここで、第1半周期2150に含まれる二つの巻線は、図10の第1半周期2150上第1層(1st upper layer)に含まれた巻線であり得る。右側に位置して、平面の外に電流が流れる巻線によって生成される反時計回り磁場と、左側に位置して、平面内に電流が流れる巻線によって生成される時計回り磁場によって、二つの巻線の間の磁場は、第2巻線配列2120方向に形成されて磁束が強化される。
【0114】
第1半周期2150とミラーイメージを有する第2半周期2160は、第1半周期と異なって、右の側に平面内に電流が流れる巻線が形成されて、左側に平面の外に電流が流れる巻線が形成される。第2半周期2160の巻線は、第1半周期2150の巻線と電流が流れる方向が反対に形成されるため、二つの巻線の間の磁場は、第2巻線配列2120の反対方向に形成されて磁束が強化される。
【0115】
第1巻線配列2110及び第2巻線配列2120は、複数の層で形成されることができる。2層以上の複数の層で形成されることができる。図10で例示的に四つの層で図示されているが、これに限定されず必要に応じて層数が少なかったり追加層をさらに含んでもよい。
【0116】
第1巻線配列2110及び第2巻線配列2120は、三つの層で形成されることができる。
【0117】
第1半周期2150の第1層は、互に異なる方向に電流が流れる少なくとも11個の巻線を含むことができる。例えば、前記第1層の左側巻線が平面内に流れる電流を表示する巻線で、右側巻線が平面の外に流れる電流を表示する巻線である。第1半周期2150の第2層は、前記第1層の巻線電流方向と同じか、前記第1層の巻線より相対的に外側に配置される。
【0118】
また、第1半周期2150の第3層は、前記第2層の巻線電流方向と反対である。即ち、前記第3層の左側巻線が平面の外に流れる電流を表示する巻線で、右側巻線が平面内に流れる電流を表示する巻線である。一方、前記第3層の巻線は、前記第2層の巻線より相対的に内側に配置される。第1半周期2150の第4層は、前記第3層の巻線電流方向と同じか、前記第3層の巻線より相対的に外側に配置される。
【0119】
または、第1巻線配列2110及び第2巻線配列2120は、下層及び上層で形成されることができる。ここで、下層は、図10の第1層に対応して、上層は、図10の第3層に対応することができる。第1層及び第3層だけで構成されて、第2層及び第4層を含まなくてもよい。
【0120】
一方、図10に図示された第1半周期2150と第2半周期2160の電流方向は、説明のために例示的に表示したものであり、これに限定されず時間に応じて変化する電流方向で上述した関係を有して、巻線内の電流方向は、時間に応じて変化することができる。また、図10に図示された前記各層内の巻線の相対的位置や巻線の個数は、説明のために例示的に示したものであり、これに限定されず本発明の思想に違背されない範囲で巻線の位置や巻線個数を変更することができる。
【0121】
第1巻線配列2110は、上述した電流分布を有する巻線構造で形成することができる。ここでは、第1巻線配列2110と第2巻線配列2120は、積層された巻線構造2130や、水平積層された巻線構造2140と垂直積層された巻線構造2145で例示的に図示されているが、これに限定されず必要に応じて3次元積層構造の代わりに図10に図示された電流分布を有する平面構造に変えてもよい。
【0122】
本発明の一実施例に係る巻線配列2100は、一方向に磁束(Magnetic flux)が強化されて、他方向に磁束が相殺される構造を有するようになる。即ち図10を参照すると、第1巻線配列2110と第2巻線配列2120は、z軸方向に互いに向かい合う一側にヘ磁束が強化されて、それ以外の方向では磁束が、相対的に相殺されたり略無視できる程度で現れる。従って、本発明に係る巻線配列2100は、関心領域外部に漏洩磁場が最小化できる効果がある。
【0123】
図11は、本発明の実施例に係る巻線配列を二つの位相差巻線配列セットで図示した概略的例示断面図である。
【0124】
図11を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列2200は、互いに90度位相差が出る位相Aのための巻線配列セット2201と位相Bのための巻線配列セット2202を含む。二巻線配列セットは、互に異なる位相を有するか互いに同じ位相を有してもよい。巻線配列2200は、セットを交互に配置するように位相Bのための巻線配列セット2202を位相Aのための巻線配列セット2201の間に配置する。
【0125】
従って、位相Aのための巻線配列セット2201と位相Bのための巻線配列セット2202に時間に応じて変化する電流を順次的位相差で供給することによって、移動磁界(図示せず)を形成することができる。このような移動電磁界を利用すると、電磁機械の固定子のような効果を出すことができる。一方、図11では、巻線配列2200の位相が2相と図示されているが、これに限定されず必要に応じてセットを追加して順次交互に重複することによって3相以上の巻線配列も可能である。
【0126】
図12は、本発明の実施例に係る巻線配列に係る電流の流れと磁束の大きさを概略的に図示した例示断面図である。
【0127】
図12に図示した通り、本発明の実施例に係る巻線配列2300では、第1巻線配列2310と第2巻線配列2320を含む。この時、第2巻線配列2320は、図10に図示されて上述した巻線配列と同じか、第1巻線配列2310は、図12に図示されて上述した巻線配列の特殊な構造のハルバッハ配列(Halbach Array)で配置することができる。また、このような巻線配列2300は、第1巻線配列2310と第2巻線配列2320との間で磁束が強化されて、それ以外で磁束が相対的に無視するほど小さかったり相殺されることもできる。一方、図12では、第1巻線配列2310をハルバッハ配列で図示されているが、これに限定されず必要に応じて第2巻線配列2320をハルバッハ配列で使用したり、第1巻線配列2310及び第2巻線配列2320共にハルバッハ配列で使用することもできる。
【0128】
図13は、本発明の実施例に係る巻線配列構造の概略的な例示斜視図である。
【0129】
図13に示したように、本発明の実施例に係る巻線配列2400では、第1巻線配列2410と第2巻線配列2420が、x軸方向に沿って空間的周期毎に同じ構造を繰り返す。また、第1巻線配列2410と第2巻線配列2420は、周期的構造で電流が流れる方向(即ちy軸方向)に長さが延びて、分離されたトロイド(Toroid)や、分離されたソレノイド(Solenoid)電流分布を有する。
【0130】
また、本発明の一実施例に係る巻線配列2400を含んだ移動電磁機械(図示せず)は、無鉄心構造や最小限の鉄心で実現することができる。従って、電磁機械に最小鉄心を使うことによって効率を最大化させることができて、重さと大きさを最小化することができて、鉄心使用によるコア損失を減らすことができると期待される。
【0131】
また、本発明の実施例に係る巻線配列によって生成された磁場は、一方向に周期的に変わる。このようなすべての属性は、鉄心コアを使わなくても本発明の実施例に係る巻線配列だけでも可能である。特に本発明の実施例に係る巻線配列によって生成された磁場B(A) (x)は、次のような正弦波に近似されることができる。
【0132】
【数11】
ここでλは、磁場の空間的周期である。移動電磁機械の場合、λは、固定コイルの空間的周期(単位:m)であり、移動子コイルの空間的周期はλで表現することができる。これは、電磁機械の固定子の巻線設計要素中一つである。固定子巻線は、電磁機械の様々なサイクルを含むことができる。即ち、上付き文字(A)は、巻線(位相)Aを表示する。磁束密度は、大部分z軸方向に強化されている。
【0133】
一方、磁束密度の他の方向成分は、無視できる程度と仮定して、本発明の一実施例の巻線配列のように相補的巻線配列の間の空間では、特に他の方向成分は無視してもよい。固定子の磁場は、固定子電流に比例する次の数式で表現することができる。
【0134】
【数12】
【0135】
また、巻線(位相)Bに対して、本発明の実施例に係る巻線配列は他の磁束を生成することができる。巻線(位相)Bは、巻線(位相)Aよりλ/4だけ物理的に移動したものであり、巻線(位相)Bの磁場B(B) (x)は次の式で表現することができる。
【0136】
【数13】
ここでkは、第1巻線配列(固定子)伝播(propagation)ベクトルで、k=2π/λである。第2巻線配列(移動子)の電波ベクトルは、k=2π/λで表すことができる。
【0137】
本発明の実施例に係る巻線配列の分析は、例示的に2相巻線構造を使って行う。このような2相巻線構造と仮定するとしても概念は同じで、一般性は損なわない。このような分析は、3相巻線構造のように多相巻線構造に拡張させることができて、分析結果及び結論は、多相システムにも同様に適用されることができる。必要なら、2相システムと3相システムの差が言及されることができる。一方、3相システムの場合、一般的にU、V及びW巻線と呼ばれる3セットの巻線が必要である。VとW巻線は、U巻線に比べて空間位相がλS/3、2λ/3移動する。
【0138】
本発明の実施例に係る巻線配列では、相互補完的な第1巻線配列と第2巻線配列によって生成された磁場は次のような特性を有する:
第1巻線配列と第2巻線配列との間の磁場は、z軸方向中一側(即ち、巻線配列の間)に強化される。磁場が強化される一側除いて他側(即ち、巻線配列外部)には略相殺される。
【0139】
一方、本発明の実施例に係る巻線配列の巻線(位相)Aと巻線(位相)Bで生成される磁場は、独立的に発生して、重なる。また、巻線Aと巻線Bは、電気的に90度位相差を有して駆動されて移動磁界を生成する。このような巻線Aと巻線Bによって重複変調した磁場B(x)は、次の式で表現することができる。
【0140】
【数14】
【0141】
一方、数1と数3を参照すると前記数4は次の式で表現することができる。
【0142】
【数15】
ここでωは、第1巻線配列電流の周期であり、第1巻線配列電流の周波数fとの関係はω=2πfである。
【0143】
前記のような磁束密度は、波形パターンが次の速度Vsと共にx軸の正の方向に移動する移動磁界の形態である。
【0144】
【数16】
【0145】
巻線対に電流の符号の変化や時間変調によってx軸の負の方向に動く波動パターンの方向を変更することができる。
【0146】
本発明の実施例に係る巻線配列を含んだ固定子巻線を介して電流を供給することによって生成した磁場に垂直に電流が流れることができる巻線により移動子を提供することによって電磁機械を製作することができる。
【0147】
前記のような巻線配列を利用して移動電磁機械を構成することができる。本発明の一実施例に係る移動電磁機械は、固定子及び移動子を含み、前記固定子は、第1巻線配列を含み、前記第1巻線配列は、互いに隣り合って形成される少なくとも一つの第1半周期及び少なくとも一つの第2半周期を含み、前記第1半周期は、電流が流れる方向が互いに異なる少なくとも二つの巻線を含み、前記第1半周期及び前記第2半周期は、隣り合う方向にミラーイメージを有することができる。本発明の一実施例に係る移動電磁機械に含まれた巻線配列に対する詳細な説明は、先に説明した本発明の実施例に係る巻線配列に対する詳細な説明に対応しており、以下重複する説明は省略する。
【0148】
または、前記固定子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列をさらに包含できて、前記移動子は、前記第1巻線配列及び前記第2巻線配列の間に形成されることができる。
【0149】
または、前記移動子は、前記第1巻線配列と所定の間隔で離隔して形成されて、離隔した方向にミラーイメージを有する第2巻線配列を含むことができる。即ち、前記本発明の実施例に係る巻線配列の第1巻線配列及び第2巻線配列は、各々固定子または移動子であり得る。
【0150】
また、前記移動子は回転子であり得る。
【0151】
電流がy軸正の方向に流れることができる電線を仮定して、移動子がx軸方向に移動することが許容されると仮定する。電線を介して流れる電流の量がiだとすると、ローレンツ力δF(x)は、電線の長さl(lは磁束が一定の領域の長さである)に対して次の式で表現することができる。
【0152】
【数17】
ここで、I(x)は、位置xからy方向に流れる電流である。xの関数として電流が流れる電線配列を形成することができる。特に、移動子上に分布した電流は固定子と同じ(空間的)周期を有する。
【0153】
【数18】
ここで、Xは、第2巻線配列(移動子)のx方向座標で、第1巻線配列(固定子)のx方向座標はxで表すことができる。
【0154】
従って移動子上の電流が発生して、このような電流が移動子(または回転子であってもよい)に相対的に動くようにすることができることを意味する。原則的に、電流の正弦波分布は非常に小さい電線ループを共に積層することによって実現できて、単位長さ当り電線の数は、次の式で表すことができる。
【0155】
【数19】
【0156】
仮に電線を介して小さい電流iが流れる場合、次の式で表現することができる。
【0157】
【数20】
【0158】
正弦波電流密度分布を実現するのは、容易ではない場合もある。
【0159】
【数21】
【0160】
ここで、h(x)は周期λを有する周期関数である。例えば、φは移動子の任意の初期位相値である。
【0161】
図14は、本発明の一実施例に係る巻線配列構造によって生成した磁場と電流の相互作用を概略的に図示した概念図である。
【0162】
図14を参照すると、本発明の一実施例に係る巻線配列によって生成した磁場と電流の相互作用によって電流が流れる電線で発生するローレンツ力はx軸方向に次の式で表すことができる。一方、固定子に発生する力は、x軸方向により半周期毎に同じ大きさであるが反対方向に発生する。
【0163】
【数22】
【0164】
がXに対する速度Vで動いていると仮定する。その関係は次のとおりである。
【0165】
【数23】
【0166】
周期当たり力は、次のように計算することができる。
【0167】
【数24】
【0168】
14は次の式のようにまとめることができる。
【0169】
【数25】
【0170】
数25の初項は、空間と時間において急速に変わる。時間と関係なく多くの空間周期にわたって力が累積すると平均値は消える。空間的周期λ当り力(Mが十分に大きく、Mサイクルにわたって統合)は、次の式で表すことができる。
【0171】
【数26】
【0172】
意の周期的電流分布に対する周期平均力は計算されることができる。これは同じフーリエ級数展開の高調波成分が現在平均値0で生成されることによって同じ結果が現れる。
【0173】
移動子に駆動する電流の周期の関係は次の式のとおりである。
【0174】
【数27】
【0175】
ち、移動子に発生した移動磁界は、合成された磁界が固定子によって生成された移動磁界と同期されるのを意味する。移動子と固定子の空間周期が同じ値を有するので、移動子と固定子の磁極(magnetic poles)は、反対側に引き寄せることで磁束経路は互いに同期化、結束(Field lock)される。
【0176】
移動子と固定子が互いに磁束結束すると、移動子(回転子)の位置は、平衡位置にあるようになって、移動子と固定子との間の平均磁気力は、平衡状態で0となる。φは、電界位相の差を示し、移動子と固定子との間の平衡からの位置オフセットに比例する。
【0177】
【数28】
【0178】
φ=0の場合、外力またはトルクは変わらず、磁束結束は移動子を平衡位置に位置させる。移動子が平衡で移動すると磁気力が発生して、移動子は平衡の位置に移動するようになる。反対に、移動子に外力またはトルクが加えられると、反対側気局の引く動作による磁気力が外力に対応するようになる。この時、移動子の位置は外力により変わるようになる。反作用の大きさは、固定子電流と移動子電流の積に比例して、総磁気力またはトルクは、空間周期の数に比例する。
【0179】
ここでcosφが正で一定であると、固定子と移動子(または回転子)の相互作用から移動子に正常状態力が発生して、力は摩擦に対抗して移動子を押している。この場合、固定子と移動子の電源供給機械は摩擦に対して遅い加速や正常状態のために移動子を動かすために動力を供給する。φ=0の場合、最大力が発生する。
【0180】
本発明の一実施例に係る移動電磁機械が、モーターで使われる時、電流が供給される間の次の式のような条件が維持される。
【0181】
【数29】
【0182】
cosφ<0の条件は、移動子(回転子)が外力によって押している時の正常状態条件である。負の力は外力によって仕事が実行されることを意味する。即ち、本発明の一実施例に係る移動電磁機械が、発電機として作動中である時である。電流は、移動子巻線を介して流れるので電力が生成される。
【0183】
正常状態力の場合では、移動子が速度vで移動して、電流が固定子によって生成された磁場と同じ速度(v)で動く。移動子と固定子の周波数が同じで外力がない場合、移動子は固定された位置を維持する。しかし、移動子と固定子が異なる周波数で駆動されて、磁場が同じ方向に動くと、移動子(回転子)軸は、v-vに動く。磁気回転(Field Rotation)が反対方向である場合、移動子(回転子)軸回転速度は、固定子磁気回転速度と移動子(回転子)磁気回転速度の和となる。これにより、速い回転を可能にすることができる。
【0184】
固定子における磁場は、速度vで移動する時、次の式で表すことができる。
【0185】
【数30】
【0186】
正常状態力は、移動子で生成される時、移動子(回転子)は非常に遅い加速度で動くかその力が外力と均衡を取る場合であり、この時、等速度で動く。
【0187】
図15は、本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して水平方向に適用した概略的図示した例示断面図である。
【0188】
図15を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列2600は、積層型巻線を有してx軸方向に周期的構造で実現する。この時、巻線配列2600は、z軸方向に所定間隔離隔した第1巻線配列2610と第2巻線配列2620で実現する。また、第1巻線配列2610と第2巻線配列2620との間である一側方向に磁束密度が強化されて、第1巻線配列2610と第2巻線配列2620の内部の互いに向かい合う方向以外は、磁束密度が相殺されて、外部では漏洩磁界を最小化することができる。
【0189】
図16は、本発明の実施例に係る巻線配列を積層型巻線を有して立体的構造で適用した概略的図示した例示断面図である。
【0190】
図16を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列2700は、積層型巻線を有して円形で実現する。この時、本発明の一実施例に係る巻線配列2700は、放射(radial)方向に所定間隔離隔して、第1巻線配列2710と第2巻線配列2720は、接線方向に沿って空間的周期毎に同じ構造を繰り返す。また、第1巻線配列2710と第2巻線配列2720は、互いに相補的に具現される。即ち、第1巻線配列2710は、接線方向を基準に第2巻線配列2720と電流分布はミラーイメージを有すると見ることができる。また、円形で配置した第1巻線配列2710と第2巻線配列2720は、放射方向にこれらの間の一側に磁束密度が強化されて、これらの外部の他側に磁束密度が相殺される。
【0191】
一方、ここでは、第1巻線配列2710と第2巻線配列2720は、円周上に配置されて、大きさが短くて略同じ大きさで例示的に図示されているが、これに限定されず本発明の思想を害しない範囲で必要に応じて、内側円周上の巻線配列の大きさを減らしたり外側円周上の巻線配列の大きさを増加させることもできる。
【0192】
図17は、本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【0193】
本シミュレーション結果図は、pythonプログラムを利用して、Biot-Savart法則を基本に計算した。図17を参照すると、図16に図示された巻線配列2700の第1巻線配列2710と第2巻線配列2720に対するエアギャップ中間付近で得る結果を示す。従って、第1巻線配列2710と第2巻線配列2720との間にあるエアギャップ中心で放射(radial)方向に磁束が強化されて、軸(axial)方向や接線(tangential)方向には磁束が相対的に殆どない。
【0194】
図18は、本発明の実施例に係る巻線配列を立体的構造適用した構造に対するシミュレーション結果図である。
【0195】
図18を参照すると、図16に図示された巻線配列2700の第1巻線配列2710と第2巻線配列2720からエアギャップ半分の大きさの関心領域の外側付近で得る結果を示す。従って、すべての方向に漏洩磁束が殆どないと確認される。一方、関心領域とは、第1巻線配列2710と第2巻線配列2720を含んだその内部を意味する。
【0196】
図19は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して適用した概略的図示した例示断面図である。
【0197】
図19を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列2800は、平面巻線構造をx軸とz軸方向に周期的に実現する。この時、巻線配列2800は、z軸の+方向に磁場は強化されて、-方向に磁場は相対的に弱くなる。
【0198】
図20は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的構造に適用した概略的図示した例示断面図である。
【0199】
図20を参照すると、本発明の実施例に係る巻線配列2900は、平面巻線構造を有して円形で実現する。この時、本発明の実施例に係る巻線配列2900は、放射方向に所定間隔離隔して、互いに相補的な第1巻線配列2910と第2巻線配列2920で具現される。
【0200】
図21は、本発明の実施例に係る巻線配列を平面巻線構造を有して立体的に適用した構造に対するシミュレーション結果図である。図19を参照すると、関心領域中エアギャップ中心付近での放射方向に強い磁場を示して、軸方向や接線方向には磁場は無視できるほど相殺される。図示されなかったが、図16との結果のように関心領域外では、漏洩磁場が殆どないことを確認した。
【0201】
本発明の実施例に係る巻線配列を利用した移動電磁機械は、関心領域内の一側磁場を強化させて、関心領域の外の漏洩磁場を殆どないようにする。また、本発明の一実施例に係る移動電磁機械は、鉄心を使わない限り最小で使うことによって、その大きさと重さを最小化して、コア損失を減らし、性能限界などを克服することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21