(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送方法及び食品製造方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/04 20060101AFI20240822BHJP
B65G 15/12 20060101ALI20240822BHJP
A23P 20/20 20160101ALI20240822BHJP
【FI】
B65G47/04
B65G15/12
A23P20/20
(21)【出願番号】P 2021551240
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036598
(87)【国際公開番号】W WO2021065786
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2019183060
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竜一
(72)【発明者】
【氏名】間宮 稔
(72)【発明者】
【氏名】平山 卓
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-022927(JP,U)
【文献】登録実用新案第3032110(JP,U)
【文献】特開平4-39214(JP,A)
【文献】特開昭60-169148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/04
B65G 15/12
A23P 20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、
載置面を有するキャッチャーと、
第1搬送物体を前記載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、
前記キャッチャーは、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、
前記搬送物体供給部は、前記搬送面よりも上方において前記第1搬送物体が前記載置面により受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せ、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーが前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、前記搬送面によって受け止められ、前記搬送体により下流に向けて送られ
、
前記キャッチャーは、水平方向に延在する本体部と、前記本体部から上方に突出するように設けられる複数の突出部と、を有し、
前記複数の突出部の各々は、前記載置面を構成し、
前記キャッチャーが前記上昇位置に配置されている状態で、前記搬送体は突出部間に位置する、搬送装置。
【請求項2】
搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、
載置面を有するキャッチャーと、
第1搬送物体を前記載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、
前記キャッチャーは、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、
前記搬送物体供給部は、前記搬送面よりも上方において前記第1搬送物体が前記載置面により受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せ、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーが前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、前記搬送面によって受け止められ、前記搬送体により下流に向けて送られ、
前記キャッチャーは、前記載置面において、前記搬送方向とは非平行な方向に延在する溝部を有する、搬送装置。
【請求項3】
搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、
載置面を有するキャッチャーと、
第1搬送物体を前記載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、
前記キャッチャーは、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、
前記搬送物体供給部は、前記搬送面よりも上方において前記第1搬送物体が前記載置面により受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せ、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーが前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、前記搬送面によって受け止められ、前記搬送体により下流に向けて送られ、
前記搬送物体供給部は、
成形スペースを有するモールドと、
前記成形スペースに配置された前記第1搬送物体を前記載置面に向けて放出するように当該第1搬送物体に力を加える放出部と、を有する、搬送装置。
【請求項4】
搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、
載置面を有するキャッチャーと、
第1搬送物体を前記載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、
前記キャッチャーは、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、
前記搬送物体供給部は、前記搬送面よりも上方において前記第1搬送物体が前記載置面により受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せ、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーが前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、前記搬送面によって受け止められ、前記搬送体により下流に向けて送られ、
前記搬送体は、前記搬送面に第2搬送物体が載せられた状態で、前記搬送方向に動き、
前記キャッチャーは、前記上昇位置に配置された前記キャッチャーの前記載置面に前記第2搬送物体が載せられるように、前記下降位置から前記上昇位置に移動し、
前記搬送物体供給部は、前記載置面に載せられた前記第2搬送物体上に前記第1搬送物体が着地するように、当該第1搬送物体を前記載置面に載せる、搬送装置。
【請求項5】
前記第2搬送物体は、柔軟なシート状部材である請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、
載置面を有するキャッチャーと、
第1搬送物体を前記載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、
前記キャッチャーは、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、
前記搬送物体供給部は、前記搬送面よりも上方において前記第1搬送物体が前記載置面により受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せ、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーが前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、前記搬送面によって受け止められ、前記搬送体により下流に向けて送られ、
前記第1搬送物体は、ペースト状食材である、搬送装置。
【請求項7】
前記コンベアは、水平方向に関して互いに離れて位置する複数の搬送体を有し、
前記キャッチャーが前記上昇位置と前記下降位置との間を移動する際、前記キャッチャーの少なくとも一部は、互いに隣り合って位置する搬送体間のスペースを通る請求項1
~6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
コンベアが有する搬送体であって搬送面を持つ搬送体を搬送方向に移動させる工程と、
載置面を有するキャッチャーを、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置から、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置に移動させる工程と、
搬送物体供給部が、前記搬送面よりも上方において第1搬送物体が前記載置面によって受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せる工程と、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーを前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動させることによって、当該第1搬送物体を、前記搬送面によって受け止めさせて、前記搬送体によって下流に向けて送る工程と、を含
み、
前記キャッチャーは、水平方向に延在する本体部と、前記本体部から上方に突出するように設けられる複数の突出部と、を有し、
前記複数の突出部の各々は、前記載置面を構成し、
前記キャッチャーが前記上昇位置に配置されている状態で、前記搬送体は突出部間に位置する、搬送方法。
【請求項9】
コンベアが有する搬送体であって搬送面を持つ搬送体を搬送方向に移動させる工程と、
載置面を有するキャッチャーを、前記載置面が前記搬送面と同じ高さに位置し又は前記載置面が前記搬送面よりも下方に位置する下降位置から、前記載置面が前記搬送面よりも上方に位置する上昇位置に移動させる工程と、
搬送物体供給部が、前記搬送面よりも上方において第1搬送物体が前記載置面によって受け止められるように、前記第1搬送物体を前記載置面に載せる工程と、
前記第1搬送物体が前記載置面に載せられた状態で前記キャッチャーを前記上昇位置から前記下降位置に向けて移動させることによって、当該第1搬送物体を、前記搬送面によって受け止めさせて、前記搬送体によって下流に向けて送る工程と、を含み、
前記第1搬送物体は食品であ
り、
前記キャッチャーは、水平方向に延在する本体部と、前記本体部から上方に突出するように設けられる複数の突出部と、を有し、
前記複数の突出部の各々は、前記載置面を構成し、
前記キャッチャーが前記上昇位置に配置されている状態で、前記搬送体は突出部間に位置する、食品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置、搬送方法及び食品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食材等の搬送物体をコンベアにより下流に向けて搬送する装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1は、生地(外皮材)によって餡(内包材)が包まれた製品を連続的に送り出す包あん装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、内包材が外皮材に包まれている製品が、カッター体により切断され、上下台とともに上下動するベルト上に載せられ、当該ベルトによって次工程に送られる。
【0006】
このようにベルトによって製品等の搬送物体を搬送する装置において、搬送物体の供給タイミングに合わせてベルトを停止させる場合、ベルトは間欠的な移動及び停止を繰り返す。ベルトを間欠的に停止させる場合、ベルト上に搬送物体が載せられる箇所よりも上流側及び下流側においてもベルトを停止させる必要がある。このようなベルトの間欠停止動作がボトルネックとなって、搬送物体を高速に搬送することができず、システム全体における生産性の向上が阻害されうる。また既に先行する搬送物体がベルトに載せられている状態で新たな搬送物体をベルト上に載せるためにベルトを間欠的に停止させる場合、先行する搬送物体は、慣性の影響を受け、ベルト上で意図せずに転がってしまう懸念がある。
【0007】
一方、ベルトを停止させることなく移動させた状態を維持しつつ、当該ベルト上に製品等の搬送物体を供給する場合、搬送物体をベルト上の所望箇所に精度良く載せることは簡単ではない。特に、水平方向に移動しているベルト上に搬送物体を落下させる場合、搬送物体は、ベルト上の所望箇所に着地しても、慣性の影響でベルト上を転がって所望箇所から移動してしまうことがある。
【0008】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、搬送体によって搬送物体を高速に搬送することを可能にしつつ、搬送物体を搬送体上に精度良く載せることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、搬送面を持つ搬送体であって、搬送方向に動く搬送体を有するコンベアと、載置面を有するキャッチャーと、第1搬送物体を載置面に載せる搬送物体供給部と、を備え、キャッチャーは、載置面が搬送面よりも上方に位置する上昇位置と、載置面が搬送面と同じ高さに位置し又は載置面が搬送面よりも下方に位置する下降位置とに配置されるように移動し、搬送物体供給部は、搬送面よりも上方において第1搬送物体が載置面により受け止められるように、第1搬送物体を載置面に載せ、第1搬送物体が載置面に載せられた状態でキャッチャーが上昇位置から下降位置に向けて移動することによって、当該第1搬送物体は、搬送面によって受け止められ、搬送体により下流に向けて送られる搬送装置に関する。
【0010】
コンベアは、水平方向に関して互いに離れて位置する複数の搬送体を有し、キャッチャーが上昇位置と下降位置との間を移動する際、キャッチャーの少なくとも一部は、互いに隣り合って位置する搬送体間のスペースを通ってもよい。
【0011】
キャッチャーは、水平方向に延在する本体部と、本体部から上方に突出するように設けられる複数の突出部と、を有し、複数の突出部の各々は、載置面を構成し、キャッチャーが上昇位置に配置されている状態で、搬送体は突出部間に位置してもよい。
【0012】
キャッチャーは、載置面において、搬送方向とは非平行な方向に延在する溝部を有してもよい。
【0013】
搬送物体供給部は、成形スペースを有するモールドと、成形スペースに配置された第1搬送物体を載置面に向けて放出するように当該第1搬送物体に力を加える放出部と、を有してもよい。
【0014】
搬送体は、搬送面に第2搬送物体が載せられた状態で、搬送方向に動き、キャッチャーは、上昇位置に配置されたキャッチャーの載置面に第2搬送物体が載せられるように、下降位置から上昇位置に移動し、搬送物体供給部は、載置面に載せられた第2搬送物体上に第1搬送物体が着地するように、当該第1搬送物体を載置面に載せてもよい。
【0015】
第2搬送物体は、柔軟なシート状部材であってもよい。
【0016】
第1搬送物体は、ペースト状食材であってもよい。
【0017】
本開示の他の態様は、コンベアが有する搬送体であって搬送面を持つ搬送体を搬送方向に移動させる工程と、載置面を有するキャッチャーを、載置面が搬送面と同じ高さに位置し又は載置面が搬送面よりも下方に位置する下降位置から、載置面が搬送面よりも上方に位置する上昇位置に移動させる工程と、搬送物体供給部が、搬送面よりも上方において第1搬送物体が載置面によって受け止められるように、第1搬送物体を載置面に載せる工程と、第1搬送物体が載置面に載せられた状態でキャッチャーを上昇位置から下降位置に向けて移動させることによって、当該第1搬送物体を、搬送面によって受け止めさせて、搬送体によって下流に向けて送る工程と、を含む搬送方法に関する。
【0018】
本開示の他の態様は、コンベアが有する搬送体であって搬送面を持つ搬送体を搬送方向に移動させる工程と、載置面を有するキャッチャーを、載置面が搬送面と同じ高さに位置し又は載置面が搬送面よりも下方に位置する下降位置から、載置面が搬送面よりも上方に位置する上昇位置に移動させる工程と、搬送物体供給部が、搬送面よりも上方において第1搬送物体が載置面によって受け止められるように、第1搬送物体を載置面に載せる工程と、第1搬送物体が載置面に載せられた状態でキャッチャーを上昇位置から下降位置に向けて移動させることによって、当該第1搬送物体を、搬送面によって受け止めさせて、搬送体によって下流に向けて送る工程と、を含み、第1搬送物体は食品である食品製造方法に関する。
【0019】
本開示によれば、搬送体によって搬送物体を高速に搬送することを可能にしつつ、搬送物体を搬送体上に精度良く載せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る搬送装置の一例の概略を示す側方図である。
【
図2】
図2は、上昇位置に配置されているキャッチャーと第1搬送物体との関係を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、下降位置に配置されているキャッチャーと第1搬送物体との関係を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、キャッチャー(特に載置面)の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る搬送装置の一例の概略構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5の搬送装置の作動状態の一例を概略的に示す側方図である。
【
図7】
図7は、
図5の搬送装置の作動状態の一例を概略的に示す側方図である。
【
図8】
図8は、
図5の搬送装置の作動状態の一例を概略的に示す側方図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る搬送装置の制御部の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して典型的な実施形態を例示する。各図面に示される要素のサイズ及び縮尺は、図示及び理解の便宜上、必ずしも実物と一致せず、また図面間でも必ずしも一致していない。ただし当業者であれば、本明細書及び特許請求の範囲の記載を考慮し、各図に示されている要素の構成及び作用効果を明確に把握することが可能である。
【0022】
本明細書において「上方向」及び「下方向」は、特にことわりがない限り、重力の作用方向である鉛直方向を基準としており、鉛直方向は下方向であり、鉛直方向とは逆の方向は上方向である。高さ方向は鉛直方向と平行な方向であり、水平方向は鉛直方向と直角を成す方向である。また「上流」及び「下流」の用語は、特にことわりがない限り、搬送物体の搬送方向を基準としている。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る搬送装置10の一例の概略を示す側方図である。
図2は、上昇位置Puに配置されているキャッチャー21と第1搬送物体91との関係を示す概略断面図である。
図3は、下降位置Pdに配置されているキャッチャー21と第1搬送物体91との関係を示す概略断面図である。
図2及び
図3において、便宜的に、搬送体16は5つのみが示され、突出部24は6つのみが示されているが、搬送体16及び突出部24の数は限定されず、より多くの或いはより少ない搬送体16及び/又は突出部24が設けられていてもよい。
【0024】
図1に示す搬送装置10は、第1搬送物体91を搬送方向A1に搬送する装置である。第1搬送物体91は限定されず、固体、液体、及び固体及び液体の混合物であってもよく、流動性を有していてもよいし、流動性を有していなくてもよい。第1搬送物体91の用途も限定されず、第1搬送物体91は、食品、日用品、工業品及びその他の技術分野で用いられる各種の物であってもよい。
【0025】
搬送装置10は、コンベア15、キャッチャー21及び搬送物体供給部30を備える。
【0026】
コンベア15は、水平方向と平行な搬送方向A1に動く搬送体16を有する。搬送体16の上面は搬送面17を構成する。搬送面17には、搬送物体供給部30からキャッチャー21を介して供給される第1搬送物体91が載せられる。搬送面17が走行する範囲のうち第1搬送物体91が移動させられる範囲の少なくとも一部(本実施形態では全体)にわたって、搬送面17は水平方向と平行に延びる平坦面を形成する。
【0027】
搬送体16の具体的な構成は限定されない。搬送体16は、第1搬送物体91を適切に保持しつつ搬送することが可能な構成を有し、
図1には示されていない上流側の装置及び/又は下流側の装置での処理に適した構成を有する。典型的には、1又は複数の無端形状のベルトによって搬送体16を構成することが可能である。搬送体16を構成するベルトの断面サイズ及び断面形状も限定されない。例えば、横方向(例えば搬送方向A1と直角を成す水平方向)のサイズが縦方向(例えば高さ方向)のサイズよりも大きい断面を持つ無端状ベルトが、搬送体16として使われてもよい。
【0028】
図示のコンベア15は、複数の紐状の搬送体16を有する(
図2及び
図3参照)。各搬送体16は、搬送方向A1に延在し、概ね円形状の断面を有する。これらの搬送体16は、搬送方向A1と直角を成す水平方向に関して互いに等間隔に離れて位置する。搬送面17は、紐状の複数の搬送体16の外周面(特に上方に向けられた上側面)の集合により構成されている。
【0029】
紐状の各搬送体16の断面(すなわち走行方向(搬送方向A1)と直角を成す断面)において、横方向(例えば水平方向)のサイズは、縦方向(例えば高さ方向)のサイズ以下となっており、好ましくは縦方向のサイズよりも小さい。各搬送体16の断面(特に走行方向と直角を成す断面)の形状は限定されず、各搬送体16は、多角形状、円形状(例えば真円形状又は楕円形状)或いは他の形状の断面を有することができる。
【0030】
キャッチャー21は、搬送物体供給部30から供給される第1搬送物体91が載せられる載置面22を有し、上昇位置Pu(
図2参照)と下降位置Pd(
図3参照)との間で昇降可能に設けられている。
【0031】
キャッチャー21の具体的な構成は限定されない。図示のキャッチャー21は、水平方向に延在する本体部23と、本体部23から上方に突出するように設けられる複数の突出部24と、を有する。これらの突出部24は、搬送方向A1と直角を成す水平方向に関して互いに等間隔に離れて位置する。各突出部24は、搬送方向A1に延在し、キャッチャー21の搬送方向A1の全体にわたって設けられている。隣り合う突出部24間には搬送方向A1に延びる収容溝部25が形成されている。各収容溝部25は、キャッチャー21の搬送方向A1の全体にわたって設けられている。収容溝部25の断面形状及び断面サイズは限定されない。キャッチャー21が上昇位置Puに配置されている状態で、搬送方向A1への各搬送体16の走行を阻害しないように且つ各搬送体16が載置面22よりも上方に突出しないように、各搬送体16は突出部24間の対応の収容溝部25に位置する。
【0032】
各突出部24の上端面は載置面22を構成する。キャッチャー21が上昇位置Puに配置されている場合(
図2参照)、載置面22は搬送面17よりも上方に位置する。キャッチャー21が下降位置Pdに配置されている場合(
図3参照)、載置面22は、搬送面17よりも下方に位置する。なおキャッチャー21が下降位置Pdに配置されている場合、載置面22は搬送面17と同じ高さに位置していてもよい。
【0033】
キャッチャー21が上昇位置Puと下降位置Pdとの間を移動する際、キャッチャー21の少なくとも一部(図示の例では突出部24)は、互いに隣り合って位置する搬送体16間のスペースを通って昇降する。
【0034】
搬送物体供給部30(
図1参照)は、搬送面17よりも上方において第1搬送物体91が載置面22により受け止められるように、第1搬送物体91を載置面22に載せる。搬送物体供給部30が第1搬送物体91を放出するタイミングと、キャッチャー21が上昇位置Puに向けて移動するタイミングとの関係は限定されない。例えば、キャッチャー21が既に上昇位置Puに配置されている状態で、搬送物体供給部30は載置面22に向けて第1搬送物体91を放出してもよい。この場合、第1搬送物体91は停止状態のキャッチャー21上に着地するため、第1搬送物体91がキャッチャー21から受ける力は比較的小さい。またキャッチャー21が上昇位置Puに向かって移動している途中で、搬送物体供給部30は載置面22に向けて第1搬送物体91を放出してもよい。この場合、キャッチャー21の移動と同時的に搬送物体供給部30から第1搬送物体91が放出されるので、一連の処理に要する時間を短縮することができる。
【0035】
第1搬送物体91が載置面22に載せられた状態(
図2参照)でキャッチャー21が上昇位置Puから下降位置Pdに向けて移動することによって、当該第1搬送物体91は、搬送面17によって受け止められ(
図3参照)、搬送体16により下流に向けて送られる(
図1において点線で示された第1搬送物体91及び矢印(移動方向A2)参照)。
【0036】
図4は、キャッチャー21(特に載置面22)の一例を示す平面図である。理解を容易にするため、
図4において、突出部24の上端面(すなわち載置面22)は黒ベタによって示されており、溝部は空白部によって示されている。
【0037】
図4に示すキャッチャー21は、搬送方向A1(
図4に示すY方向)に延びる複数の収容溝部25に加え、搬送方向A1とは非平行な方向(特に搬送方向A1と直角を成す水平方向(
図4に示すX方向))に延びる複数の係止溝部26を有する。搬送方向A1(Y方向)に関し、載置面22及び係止溝部26が交互に繰り返し直線上に並べられている。載置面22上に載せられる第1搬送物体91は、複数の係止溝部26を覆うように配置され、これらの係止溝部26によって保持力(すなわち摩擦力及び/又は引っ掛け力)が増大されている。
【0038】
搬送物体供給部30からキャッチャー21に向けて第1搬送物体91が鉛直方向と平行に落下し、且つ、載置面22が水平方向と平行に延びている場合、基本的に、載置面22上の第1搬送物体91には水平方向の力が働かない。しかしながら、第1搬送物体91がキャッチャー21に向かって鉛直方向と非平行に移動する場合や載置面22が水平方向から傾いている場合には、載置面22上の第1搬送物体91には水平方向の力が作用する。そのような場合でもあっても、収容溝部25及び係止溝部26により保持力が増大された載置面22において第1搬送物体91は的確に保持されるため、載置面22上における第1搬送物体91の滑りや転がりを有効に防ぐことができる。なお搬送物体供給部30は、
図1に示す例ではキャッチャー21に向けて第1搬送物体91を放出するが、他の方法によって載置面22に第1搬送物体91を載せてもよい。例えば、図示しない搬送コンベアによって第1搬送物体91を鉛直方向と非平行に搬送し、当該搬送コンベアからキャッチャー21の載置面22上に第1搬送物体91を移動させてもよい。このような場合においても、載置面22が収容溝部25及び係止溝部26を有することによって、載置面22上における第1搬送物体91の滑りや転がりを効果的に防ぐことができる。
【0039】
各係止溝部26は、収容溝部25より浅くてもよいし、深くてもよい。各係止溝部26の搬送方向A1(Y方向)の幅も限定されず、各係止溝部26は1mm以下の微細な幅を有していてもよい。
【0040】
各係止溝部26の構成は
図4に示す構成には限定されない。例えば、係止溝部26同士はお互いに同じ方向に延びていてもよいし、お互いに異なる方向に延びる2以上の係止溝部26をキャッチャー21は有していてもよい。また係止溝部26の延びる方向は限定されず、搬送方向A1(Y方向)及び搬送方向A1と直角を成す水平方向(
図4に示すX方向)の各々と非平行であって、これらの方向(X方向及びY方向)の各々に対して斜めの方向(
図4において「Q」で示される矢印参照)に各係止溝部26は延びていてもよい。また載置面22(突出部24の上端面)は千鳥状に配置されていてもよく、搬送方向A1と直角を成す水平方向(X方向)に関して「直線上に並べられている係止溝部26、収容溝部25及び載置面22」のセットが繰り返し設けられていてもよい。
【0041】
またキャッチャー21は、係止溝部26を有していなくてもよい。第1搬送物体91が載置面22上で滑りにくかったり転がりにくかったりする特性を本来的に有する場合、係止溝部26がキャッチャー21に設けられていなくても、搬送物体供給部30は第1搬送物体91をキャッチャー21上に安定的に載せることが可能である。
【0042】
次に、本実施形態の搬送装置10によって行われる搬送方法の一例について説明する。なお第1搬送物体91が食品の場合、搬送装置10によって行われる搬送方法は、搬送装置10を含む食品製造システムによって行われる食品製造方法の一部としての役割を有していてもよい。
【0043】
搬送体16は、基本的に下記の処理が行われている間中、間欠的に停止することなく、継続的に一定速度で搬送方向A1へ移動し続ける。搬送面17は、継続的に、搬送物体供給部30よりも上流側から搬送物体供給部30の下方を通って搬送物体供給部30よりも下流側に移動する。
【0044】
そして、キャッチャー21が下降位置Pdから上昇位置Puに移動させられる。その一方で、搬送面17よりも上方において第1搬送物体91が載置面22によって受け止められるように、搬送物体供給部30が第1搬送物体91を載置面22に載せる。
【0045】
そして第1搬送物体91が載置面22に載せられた状態で、キャッチャー21は上昇位置Puから下降位置Pdに向けて移動させられる。これにより第1搬送物体91は、搬送面17によって受け止められ、載置面22から搬送面17に受け渡される。そして第1搬送物体91は、搬送面17に載せられた状態で搬送体16により下流に向けて送られる。
【0046】
上述のキャッチャー21の昇降動作及び搬送物体供給部30からの第1搬送物体91の放出動作は、典型的には制御部(図示省略)の制御下で行われる。ただし、キャッチャー21の昇降動作と搬送物体供給部30からの第1搬送物体91の放出動作とを上述のように相互に連関させることができるのであれば、キャッチャー21及び/又は搬送物体供給部30を制御部によって制御しなくてもよい。
【0047】
上述のキャッチャー21の昇降動作及び搬送物体供給部30からの第1搬送物体91の放出動作を繰り返し行うことによって、複数の第1搬送物体91が連続的にキャッチャー21を介して搬送体16に優しく載せられ、下流に送り出される。特に、搬送物体供給部30から放出された第1搬送物体91は、搬送方向A1には動いていないキャッチャー21によって受け止められるため、搬送方向A1への慣性の影響を受けることなく、キャッチャー21に載せられる。したがってキャッチャー21の所望箇所に、第1搬送物体91を安定的に精度良く載せることができる。
【0048】
またキャッチャー21を下方に移動させて載置面22の高さ位置を搬送面17と同じ高さ位置にすることによって又は搬送面17の高さ位置よりも低くすることによって、第1搬送物体91は搬送面17に受け渡される。このように第1搬送物体91は、少なくとも搬送面17に受け渡される直前まで、載置面22によって支持されているので、第1搬送物体91を搬送体16上に安定的に精度良く載せることができる。
【0049】
以上説明したように本実施形態の搬送装置10によれば、搬送体16によって第1搬送物体91を高速に搬送しつつ、第1搬送物体91を搬送体16上に安定的に精度良く載せることができる。キャッチャー21を用いることなく搬送体16上に第1搬送物体91を直接的に載せる場合、第1搬送物体91は搬送体16上で転倒したり、配置位置がずれたり、破損したりする懸念がある。本実施形態の搬送装置10によれば、そのような不具合を効果的に回避することができる。
【0050】
また、搬送物体供給部30からの第1搬送物体91の放出の有無及びキャッチャー21の昇降状態にかかわらず、搬送体16を停止させる必要がなく、搬送体16を継続的に走行させることができる。そのため、搬送物体供給部30よりも上流側及び下流側における処理の停滞或いは処理速度の低下を防ぐことができ、システム全体としての処理能力及び生産性の向上が、第1搬送物体91の載置工程によっては阻害されない。
【0051】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には共通の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図5は、第2実施形態に係る搬送装置10の一例の概略構成を示す平面図である。
図6~
図8は、
図5の搬送装置10の作動状態の一例を概略的に示す側方図である。
図9は、第2実施形態に係る搬送装置10の制御部の一例を示すブロック図である。
図5において、導入部51及び放出部55(
図6~
図8参照)の図示は省略されている。また
図5において、モールド41の構成の理解を容易にするため、保持ケース45(保持孔47を含む)及び天板保持部46(導入孔44及び天板孔48を含む)は、点線によって透視状態で示されている。
【0053】
本実施形態の搬送装置10は、コンベア15によって上流から送られてくる第2搬送物体92(すなわち「受けワーク」)の上に第1搬送物体91(すなわち「設置ワーク」)を載せて、第1搬送物体91及び第2搬送物体92のセットを下流に送り出す。
【0054】
第1搬送物体91及び第2搬送物体92は限定されない。典型的には、第2搬送物体92はシート形状を有し、第1搬送物体91は第2搬送物体92によって包まれることができる程度の大きさを有することができる。一例として、第1搬送物体91及び第2搬送物体92のうちの少なくともいずれか一方はプラスチックであってもよく、加熱されて流動性を有するプラスチックが第1搬送物体91として用いられてもよい。他の例として、第1搬送物体91及び第2搬送物体92のうちの少なくともいずれか一方は食材であってもよい。例えば、第1搬送物体91として具材を用いるとともに、第2搬送物体92として具材を包むための食用皮を用いることが可能である。以下の説明において、第1搬送物体91はペースト状食材であり、第2搬送物体92は折り曲げ可能な柔軟なシート状食材であり、搬送装置10は食品製造システムの一部として構成されている。
【0055】
搬送体16は、搬送面17に第2搬送物体92が載せられた状態で、搬送方向A1に動く。キャッチャー21は、上昇位置Puに配置されたキャッチャー21の載置面22に第2搬送物体92が載せられるように、下降位置Pdから上昇位置Puに移動する。搬送物体供給部30は、載置面22に載せられた第2搬送物体92上に第1搬送物体91が着地するように、当該第1搬送物体91を載置面22に載せる。
【0056】
本実施形態のキャッチャー21は、第1実施形態のキャッチャー21と同様に、搬送方向A1に延びる複数の収容溝部25に加え、搬送方向A1とは非平行な方向に延びる複数の係止溝部26を有する(
図4参照)。これらの収容溝部25及び係止溝部26(特に係止溝部26)は、載置面22上における第2搬送物体92の滑り止めの効果を増大させ、キャッチャー21は第2搬送物体92を的確に保持することができる。
【0057】
搬送物体供給部30は、モールド41及び放出部55を有する。モールド41は、第1搬送物体91が充填されて当該第1搬送物体91を成形するための成形スペース42を有する。放出部55は、成形スペース42に配置された第1搬送物体91をキャッチャー21の載置面22に向けて放出するように、当該第1搬送物体91に力を加える。
【0058】
図示のモールド41は、保持ケース45と天板保持部46との間において水平方向に延在し、保持ケース45及び天板保持部46に沿って水平方向(
図7及び
図8に示す「スライド方向A4」参照)にスライド自在に保持されている。モールド41にはモールド移動体43が取り付けられており、モールド移動体43は、モータ等のモールド駆動部49(
図9参照)に連結されている。モールド41は、モールド駆動部49(
図9参照)からモールド移動体43に伝えられる動力に応じて、保持ケース45及び天板保持部46によってガイドされつつスライド方向A4に往復移動する。このようにしてモールド移動体43とともに移動するモールド41は、成形スペース42に第1搬送物体91を充填するための充填位置(
図6及び
図8参照)と、成形スペース42から第1搬送物体91を放出するための放出位置(
図7参照)とに配置可能である。
【0059】
保持ケース45の上方には天板保持部46が設けられており、保持ケース45及び天板保持部46は図示しない支持フレームにより固定的に支持されている。天板保持部46上には、導入部51が固定されている。導入部51は、第1搬送物体91が通過可能な内部スペース(図示省略)を有する。導入部51には図示しない供給装置が連結されており、導入部51の内部スペースには、当該供給装置からペースト状の第1搬送物体91が供給される。
【0060】
天板保持部46は、導入部51の内部スペースにつながっている導入孔44を有する。モールド41が充填位置に配置されている場合、成形スペース42は、導入孔44を介して、導入部51の内部スペースに連通される。
【0061】
天板保持部46は更に天板孔48を有する。天板孔48は、高さ方向に関して搬送物体供給部30の打ち抜き部59と重なるように位置し、打ち抜き部59が高さ方向に通過自在な形状及びサイズを有する。モールド41が放出位置に配置されている場合、成形スペース42は、天板孔48の下方において、高さ方向に関して打ち抜き部59及び天板孔48と重なるように位置し、打ち抜き部59が高さ方向に通過自在な形状及びサイズを有する。
【0062】
図示の放出部55は、放出駆動部56と、放出駆動部56に固定され下方に延在する打ち抜き部59と、を有する。打ち抜き部59は、放出駆動部56により駆動されて放出駆動部56から下方への突出量が調整され、打ち抜き部59の下方先端の位置は高さ方向に変わる。具体的には、打ち抜き部59の下方先端は、モールド41よりも上方の位置(図示の例では天板保持部46よりも上方の位置)である退避位置(
図6及び
図8参照)と、モールド41よりも下方の位置(図示の例では保持ケース45よりも下方の位置)である打ち抜き位置(
図7参照)と、に配置可能である。なお図示の放出部55は簡略化して示されており、放出駆動部56及び打ち抜き部59は任意の構成を有する。例えばエアシリンダーやボールねじ機構を利用して、放出部55を構成可能である。
【0063】
キャッチャー21は、打ち抜き部59、天板孔48及び保持孔47の真下であって、放出位置に配置されたモールド41の成形スペース42の真下に位置している。キャッチャー21は、複数の駆動カム36(図示の例では搬送方向A1に並んで設けられる2つの駆動カム36)に載せられている。各駆動カム36は、モータ等のキャッチャー駆動部35(
図9参照)によって駆動され、対応のカム軸37を中心に回転させられる。各駆動カム36の断面は卵状(例えば楕円状)の外形を有し、各駆動カム36のうちの最外部分の高さ方向位置(すなわちキャッチャー21と接触する箇所の高さ方向位置)は、各駆動カム36の回転状態に応じて変わる。これらの駆動カム36は、お互いに同じ姿勢を持つように同期して駆動され、キャッチャー21を下降位置Pdに配置するための回転状態(
図6及び
図8参照)と、キャッチャー21を上昇位置Puに配置するための回転状態(
図7参照)と、に置かれることができる。複数の駆動カム36を同期駆動するための機構は既に知られており、その詳細な説明は省略する。
【0064】
搬送物体供給部30よりも上流側であって、搬送体16よりも上方には、トリガーセンサ33が設けられている。トリガーセンサ33は、トリガーセンサ33の真下における第2搬送物体92の通過を検知するセンサであり、典型的には光学センサによって構成可能である。
図9に示すように、トリガーセンサ33は制御部65に接続されており、トリガーセンサ33の検知結果は制御部65に送られる。
【0065】
制御部65は、トリガーセンサ33の検知結果に基づいて放出駆動部56、キャッチャー駆動部35及びモールド駆動部49を制御する。すなわち放出駆動部56、キャッチャー駆動部35及びモールド駆動部49は、第2搬送物体92の搬送位置に応じて制御され、打ち抜き部59、キャッチャー21及びモールド41の移動が相互に関連づけられて行われる。
【0066】
次に、本実施形態の搬送装置10によって行われる搬送方法の一例について説明する。
【0067】
搬送体16は、基本的に下記の処理が行われている間中、間欠的に停止することなく、継続的に一定速度で搬送方向A1へ移動し続ける。その一方で、複数の第2搬送物体92が搬送方向A1に関してお互いに間隔を空けられた状態でコンベア15の搬送体16に載せられる(
図6参照)。複数の第2搬送物体92を搬送体16に載せる作業は、機械により行われてもよいし、人手により行われてもよい。
【0068】
第2搬送物体92は、搬送体16によって搬送方向A1に搬送され、搬送物体供給部30より上流側においてトリガーセンサ33により検知され、キャッチャー21の上方(具体的には打ち抜き部59の真下)の所望位置に到達するタイミングでキャッチャー21によって搬送面17から持ち上げられる(
図7参照)。制御部65は、トリガーセンサ33の検知結果及び搬送体16の走行速度に基づき、第2搬送物体92がキャッチャー21の上方(すなわち打ち抜き部59の真下)の所望位置に到達する時間を算出する。制御部65は、当該算出結果に基づいてキャッチャー駆動部35を制御し、ひいては各駆動カム36の回転状態を制御する。第2搬送物体92がキャッチャー21の上方(すなわち打ち抜き部59の真下)の所望位置に到達するまでは、キャッチャー21は下降位置Pdに配置され、載置面22は搬送面17よりも下方に位置する。一方、第2搬送物体92がキャッチャー21の上方(すなわち打ち抜き部59の真下)の所望位置に到達したタイミングで、キャッチャー21は駆動カム36によって上方に移動させられる。これにより、キャッチャー21は上昇位置Puに配置され、載置面22は搬送面17よりも上方に配置され、第2搬送物体92は、載置面22に載せられて、搬送方向A1に継続して移動する搬送面17から離される。このように、搬送体16を停止させることなく、第2搬送物体92は、キャッチャー21により搬送方向A1に関して固定的に位置決めされる。
【0069】
一方、モールド41は、第2搬送物体92がキャッチャー21の上方(すなわち打ち抜き部59の真下)に到達する前に、充填位置に配置され、成形スペース42には、導入部51及び導入孔44を介して第1搬送物体91が充填される。成形スペース42に第1搬送物体91が充填された後、モールド41は充填位置から放出位置に移動させられる。これにより第1搬送物体91は、成形スペース42の形状に応じた所望形状に成形される。そして第2搬送物体92がキャッチャー21により持ち上げられるタイミングに応じて、打ち抜き部59は天板孔48、成形スペース42及び保持孔47を通過するように降下させられる。その結果、放出位置に配置されているモールド41の成形スペース42内の第1搬送物体91が打ち抜き部59によって下方に押され、当該第1搬送物体91が、キャッチャー21の載置面22上の第2搬送物体92に載せられる。
【0070】
第2搬送物体92に第1搬送物体91が載せられた後、制御部65の制御下で駆動カム36が回転させられてキャッチャー21は下降位置Pdに配置される(
図8参照)。これにより、載置面22上の第1搬送物体91及び第2搬送物体92は、搬送体16の搬送面17に載せられ、載置面22から離れる。搬送面17に載せられた第1搬送物体91及び第2搬送物体92は、搬送体16によって下流に向けて搬送される。
【0071】
打ち抜き部59は、成形スペース42から第1搬送物体91を打ち抜いた後、打ち抜き位置から退避位置に移動する。その後、モールド41は放出位置から充填位置に移動する。そして、充填位置に配置されているモールド41の成形スペース42には、導入部51の内部スペース及び導入孔44を介して送られてくる新たな第1搬送物体91が充填される。
【0072】
上述の一連の処理が制御部65の制御下で繰り返し行われることによって、第1搬送物体91及び第2搬送物体92のセットを、搬送物体供給部30よりも下流側に連続的に送り出すことができる。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、第2搬送物体92に載せられている状態で第1搬送物体91を下流に向けて搬送することができる。特に、第1搬送物体91を第2搬送物体92に載せる処理は第2搬送物体92が搬送方向A1に関して停止している状態で行われるため、搬送方向A1に関する慣性の影響を受けることなく、第2搬送物体92上の所望位置に第1搬送物体91を精度良く配置することができる。
【0074】
第1搬送物体91が第2搬送物体92の所望位置から外れた位置に配置される場合、後段の処理において詰まりが発生したり、最終的に作られる製品の形状不良等の質の悪化を招いたりする。本実施形態の搬送装置10によれば、そのような後段の処理における不具合や最終製品の質の悪化を効果的に回避することができる。
【0075】
また図示のように第1搬送物体91が成形スペース42から打ち抜かれる場合、第1搬送物体91には着地の際に衝撃が加えられることが避けられない。しかしながら本実施形態によれば、第2搬送物体92がキャッチャー21によって持ち上げられた状態で第1搬送物体91が第2搬送物体92上に着地させられるので、第1搬送物体91に加えられる衝撃力を軽減することができる。このように第1搬送物体91が成形スペース42から打ち抜かれる場合、本実施形態のようにキャッチャー21の載置面22が上昇して、第1搬送物体91の落下距離を短縮する構成は、第1搬送物体91に作用する衝撃力を軽減する観点から好適である。
【0076】
また、成形スペース42から第1搬送物体91を打ち抜く際に打ち抜き部59によって第1搬送物体91が第2搬送物体92に押し付けられる場合であっても、キャッチャー21は水平方向に動いていないので、第1搬送物体91に対して水平方向への力が全く或いは殆ど作用しない。したがって、第1搬送物体91と第2搬送物体92との間における水平方向への相対的な位置ずれも全く或いは殆ど発生しない。また第1搬送物体91の粘着性が強いため打ち抜き部59から第1搬送物体91を剥がしにくい場合であっても、打ち抜き部59によって第1搬送物体91を第2搬送物体92に押し付けることにより、第1搬送物体91を打ち抜き部59から効果的に剥離して第2搬送物体92に載せることができる。
【0077】
また、第1搬送物体91の高さ方向のサイズが変更される場合、打ち抜き位置に配置される打ち抜き部59の下方先端の高さ方向位置を変えることが求められることがある。このような場合であっても、放出駆動部56による打ち抜き部59の駆動量(すなわち放出駆動部56から下方への突出量)を変えることによって、簡単に、打ち抜き部59の下方先端の高さ方向位置を変えることができる。
【0078】
[変形例]
キャッチャー21の形状は限定されない。例えば、互いに分離して設けられた複数の突起体の集合によってキャッチャー21が構成されていてもよい。そのような複数の突起体のうちの2以上の突起体は、搬送方向A1に関して互いに離れて配置されていてもよいし、搬送方向A1と直角を成す水平方向に関して互いに離れて配置されていてもよい。ただし、キャッチャー21を構成する部材の数が少ない方がキャッチャー21の取り扱いが容易であり、キャッチャー21の全体を一体的な部材によって構成することによって、キャッチャー21の取り扱い性及び製造コストの面で有利なことが多い。
【0079】
係止溝部26とともに又は係止溝部26の代わりに、他の手段によって、キャッチャー21が第1搬送物体91及び/又は第2搬送物体92を保持する能力を向上させてもよい。例えば、載置面22を粗面によって構成し、載置面22の摩擦力を向上させてもよい。また載置面22に対して、摩擦力を向上させるための任意の処理(例えば物理的処理及び/又は化学的処理)を施すことによって、キャッチャー21の保持能力を向上させてもよい。
【0080】
成形スペース42から第1搬送物体91を放出させる際、打ち抜き部59は成形スペース42を貫通しなくてもよく、成形スペース42に進入する打ち抜き部59の下方先端を成形スペース42内で止めてもよい。また成形スペース42から第1搬送物体91を放出させる方法及び手段は限定されない。例えば、搬送物体供給部30は圧縮空気を成形スペース42に吹き付けることによって、第1搬送物体91を成形スペース42からキャッチャー21に向けて放出してもよい。
【0081】
搬送体16の組成、形状、サイズ、及びその他の特性は限定されない。例えば、第1搬送物体91又は第2搬送物体92を安定的に保持する観点からは、搬送体16は、第1搬送物体91又は第2搬送物体92との接触面積が大きい部材(例えば幅広のベルト)によって構成されることが好ましく、第1搬送物体91の下方面の全体が搬送体16によって支持されることが好ましい。一方、第1搬送物体91又は第2搬送物体92に対する良好な離型性を確保する観点からは、搬送体16は、第1搬送物体91又は第2搬送物体92との接触面積が小さい部材(例えば紐状部材)によって構成されることが好ましい。したがって第1搬送物体91又は第2搬送物体92の粘着性が強い場合(例えば第1搬送物体91又は第2搬送物体92の水分保有量が多い場合)、紐状部材を搬送体16として好適に用いることができる。
【0082】
搬送物体供給部30及び/又はコンベア15は、高さ方向に移動可能に設けられていてもよい。この場合、高さ方向に関する搬送物体供給部30とコンベア15(特に搬送体16(具体的には搬送面17))との間の間隔を変えることができる。一般的には、コンベア15は簡単には移動できないことが多い。そのような場合、作業負荷を軽減する観点からは、搬送物体供給部30の高さ方向の位置を変えることによって、搬送物体供給部30とコンベア15との間の間隔を変えることが好ましい。
【0083】
上述のように搬送体16とキャッチャー21とは高さ方向に関してお互いに重なる位置に設けられてもよいが、搬送体16とキャッチャー21とは高さ方向に関してお互いに重ならない位置に設けられてもよい。例えば、第1搬送物体91又は第2搬送物体92が比較的高い剛性を有し、第1搬送物体91又は第2搬送物体92の両端部(すなわち搬送方向A1と直角を成す水平方向に関する両端部)のみが搬送体16に載せられて搬送されてもよい。この場合、第1搬送物体91又は第2搬送物体92の両端部のそれぞれに対応する位置に互いに別個の搬送体16を設置し、これらの搬送体16間にキャッチャー21が設置されてもよい。この場合、キャッチャー21は、搬送体16とは高さ方向には重ならず、第1搬送物体91又は第2搬送物体92の中央部に接触可能に設けられることができる。
【0084】
上述のように第1搬送物体91及び第2搬送物体92の組成、形状、サイズ、及びその他の特性は限定されない。例えば以下の要素によって第1搬送物体91及び第2搬送物体92が構成されてもよい。
【0085】
第1搬送物体91は、流動性を有する不定形のペースト状食材(例えば粘性食材)を含んでいてもよく、単一種類の食材で構成されていてもよいし、複数種類の食材を含んでいてもよい。例えば肉、魚介、野菜、キノコ、穀物、果物、海藻、豆、チョコレート、クッキー、クラッカー、パフ(puff)、キャンデー、グミ(gummies)及びその他の固形食材だけではなく、卵、乳汁、水分、油、調味料、香辛料、糖類、穀物粉、澱粉類、ゲル化剤、増粘剤及びその他の液体食材、粘性食材(例えばたれ、ソース、クリーム等)、起泡性食材(例えばホイップクリーム等)も、第1搬送物体91に含まれうる。また第1搬送物体91は、状態の異なる複数の原材料(例えば固体状の原材料及び液体状の原材料)を含んでいてもよい。また春巻き、ブリトー、タコス、クレープ、ハンバーグ、コロッケ、から揚げ、すり身加工食品(例えばさつま揚げ)、豆腐加工食品(例えばがんもどき)、和菓子(例えば今川焼き等)、ワッフル(例えば原宿ドッグ(登録商標)等)、各種のバッター(batter)、シュウマイ及び餃子等の食品で使用する具材を、第1搬送物体91として用いてもよい。
【0086】
第2搬送物体92は、例えば容易に折り曲げることができる柔軟なシート状部材によって構成されてもよい。したがって上述の食用具材(第1搬送物体91)を包み込むための食用の皮(例えば米粉、小麦粉又は卵によって作られた皮)や包装部材(例えば包み紙)を、第2搬送物体92として用いてもよい。また第1搬送物体91を包む以外の用途に用いられる食用及び非食用の部材が第2搬送物体92として用いられてもよい。
【0087】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、上述の構成要素及び/又は方法以外の構成要素及び/又は方法を含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、上述の構成要素及び/又は方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本開示の実施形態に含まれる。また、本開示のある実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法と、本開示の他の実施形態に含まれる一部の構成要素及び/又は方法とを含む形態も、本開示の実施形態に含まれる。したがって、上述の実施形態及び変形例、及び上述以外の本開示の実施形態の各々に含まれる構成要素及び/又は方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本開示の実施形態に含まれる。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 搬送装置
15 コンベア
16 搬送体
17 搬送面
21 キャッチャー
22 載置面
23 本体部
24 突出部
25 収容溝部
26 係止溝部
30 搬送物体供給部
33 トリガーセンサ
35 キャッチャー駆動部
36 駆動カム
37 カム軸
41 モールド
42 成形スペース
43 モールド移動体
44 導入孔
45 保持ケース
46 天板保持部
47 保持孔
48 天板孔
49 モールド駆動部
51 導入部
55 放出部
56 放出駆動部
59 打ち抜き部
65 制御部
91 第1搬送物体
92 第2搬送物体
A1 搬送方向
A2 移動方向
A3 昇降方向
A4 スライド方向
Pu 上昇位置
Pd 下降位置