(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】円形ウェハ横方向位置決め装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2021552735
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 IL2020050284
(87)【国際公開番号】W WO2020183464
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518327073
【氏名又は名称】コア フロー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】シーガル アロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤヒデス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リーガーバウム ヤアコフ
【審査官】▲はま▼中 信行
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-515073(JP,A)
【文献】特開2004-253808(JP,A)
【文献】特開2011-187938(JP,A)
【文献】特開2018-120935(JP,A)
【文献】実開平05-006843(JP,U)
【文献】特開2008-219013(JP,A)
【文献】特開2005-203726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ位置決め装置であって、
チャックの表面上のクランプ位置の周縁部に位置決めされる少なくとも1つの固定された停止部と、
伸展可能なフィンガーと、
前記フィンガーを前記チャック表面の中心に向かって外側に伸展し、前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるためのフィンガー伸展機構と
を含み、
前記フィンガーは、ウェハが前記チャック表面に載置されて前記フィンガー伸展機構が前記フィンガーを外側に伸展するように動作するときに、前記フィンガーの遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部にある状態で前記ウェハの端部が前記少なくとも1つの固定された停止部に接触するまで前記ウェハを前記少なくとも1つの固定された停止部に向かって横方向に押すように構成され、
前記フィンガー伸展機構が、回転可能なアームと、前記アームを回転させるための回転機構とを含み、前記フィンガーが、前記アームを1つの方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心に向かって外側に伸展し、前記アームを反対方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるように、前記アームに取り付けられ、
前記回転機構が空気圧で動作し、
前記回転機構が2つの空気圧入口に接続されており、前記空気圧入口の一方に加圧ガスを印加すると、回転機構が前記アームを前記1つの方向に回転させ、他方の空気圧入口に加圧ガスを印加すると、回転機構が前記アームを前記反対方向に回転させる装置。
【請求項2】
ウェハ位置決め装置であって、
チャックの表面上のクランプ位置の周縁部に位置決めされる少なくとも1つの固定された停止部と、
伸展可能なフィンガーと、
前記フィンガーを前記チャック表面の中心に向かって外側に伸展し、前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるためのフィンガー伸展機構と
を含み、
前記フィンガーは、ウェハが前記チャック表面に載置されて前記フィンガー伸展機構が前記フィンガーを外側に伸展するように動作するときに、前記フィンガーの遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部にある状態で前記ウェハの端部が前記少なくとも1つの固定された停止部に接触するまで前記ウェハを前記少なくとも1つの固定された停止部に向かって横方向に押すように構成され、
前記フィンガー伸展機構が、回転可能なアームと、前記アームを回転させるための回転機構とを含み、前記フィンガーが、前記アームを1つの方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心に向かって外側に伸展し、前記アームを反対方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるように、前記アームに取り付けられ、
前記回転機構及びアームが、前記チャック表面上にウェハが載置されていない状態で前記フィンガーが完全に伸展されるように前記アームが回転されたときに、前記フィンガーの前記遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部内に位置するように構成され、
前記アームが、柔軟性を有しかつ弾力性を有す
る装置。
【請求項3】
前記アームがU字型の屈曲部を含む請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記アームが、2つの実質的に平行なフィンガーアーム又は渦巻き状アームを含む請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
ウェハ位置決め装置であって、
チャックの表面上のクランプ位置の周縁部に位置決めされる少なくとも1つの固定された停止部と、
伸展可能なフィンガーと、
前記フィンガーを前記チャック表面の中心に向かって外側に伸展し、前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるためのフィンガー伸展機構と
を含み、
前記フィンガーは、ウェハが前記チャック表面に載置されて前記フィンガー伸展機構が前記フィンガーを外側に伸展するように動作するときに、前記フィンガーの遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部にある状態で前記ウェハの端部が前記少なくとも1つの固定された停止部に接触するまで前記ウェハを前記少なくとも1つの固定された停止部に向かって横方向に押すように構成され、
前記フィンガー伸展機構が、回転可能なアームと、前記アームを回転させるための回転機構とを含み、前記フィンガーが、前記アームを1つの方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心に向かって外側に伸展し、前記アームを反対方向に回転させるための前記回転機構の動作が前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるように、前記アームに取り付けられ、
前記回転機構及びアームが、前記フィンガーが完全に後退するように前記アームが回転されたときに、前記フィンガーの前記遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部の外部にあるように構成され、
前記アームのハウジングが、前記フィンガーが完全に後退しているときに前記チャック表面上での前記ウェハの横方向の移動を制限するための遠位突起を含
む装置。
【請求項6】
ウェハ位置決め装置であって、
チャックの表面上のクランプ位置の周縁部に位置決めされる少なくとも1つの固定された停止部と、
伸展可能なフィンガーと、
前記フィンガーを前記チャック表面の中心に向かって外側に伸展し、前記フィンガーを前記チャック表面の前記中心から後退させるためのフィンガー伸展機構と
を含み、
前記フィンガーは、ウェハが前記チャック表面に載置されて前記フィンガー伸展機構が前記フィンガーを外側に伸展するように動作するときに、前記フィンガーの遠位端が前記クランプ位置の前記周縁部にある状態で前記ウェハの端部が前記少なくとも1つの固定された停止部に接触するまで前記ウェハを前記少なくとも1つの固定された停止部に向かって横方向に押すように構成され、
前記フィンガー伸展機構が、2つの脚部を有するアームを含み、前記脚部の一方の近位端にある足部が固定されており、他方の脚部の近位端にある足部が直線的に並進可能であ
る装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ処理に関する。より詳細には、本発明は、円形ウェハの横方向位置決めのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造における多くのプロセスは、反復可能な位置で順次処理されるウェハの正確な位置決めを必要とする。典型的には、半導体ウェハは、例えば、円筒形ブールの形態で成長する典型的な結晶材料からウェハをスライスした結果として、円形の形状を有する。このような精密な位置決めにより、様々な種類の製品を製造するための処理の再現性(反復性)が可能になる。例えば、信頼性の高い半導体ベースの電子部品の製造のために、正確に位置決めされたときに、様々な処理ステップがウェハの露出した表面に適用されることがある。
【0003】
ウェハをその面の法線方向に高い再現性で位置決めすることができる精密な位置決めを可能にする多くの装置が記載されている。このような装置は、様々なタイプのチャックの他、非接触支持面を含む。例えば、非接触支持面には、例えば、加圧空気(又は別の流体)の流出及び吸引の適用のためのポートが散在しており、この非接触支持面は、ウェハを必要な高さに維持する流体ばね効果を示してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の一実施形態によれば、ウェハ位置決め装置であって、チャックの表面上のクランプ位置の周縁部に位置決めされる少なくとも1つの固定された停止部と、伸展可能なフィンガーと、このフィンガーを上記チャック表面の中心に向かって外側に伸展し、上記フィンガーをチャック表面の中心から後退させるためのフィンガー伸展機構とを含み、上記フィンガーは、ウェハがチャック表面に載置されてフィンガー伸展機構がフィンガーを外側に伸展するように動作するときに、フィンガーの遠位端がクランプ位置の周縁部にある状態でウェハの端部が上記少なくとも1つの固定された停止部に接触するまでウェハをその少なくとも1つの固定された停止部に向かって横方向に押すように構成されているウェハ位置決め装置が提供される。
【0005】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記クランプ位置の周縁部は円形である。
【0006】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記少なくとも1つの固定された停止部は、上記チャックの表面の平面から外側に延びるピンを含む。
【0007】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記ピンは、上記チャックの表面に対して実質的に垂直に延びる。
【0008】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記少なくとも1つの固定された停止部は、上記クランプ位置の周縁部の異なる方位角位置に2つのピンを含む。
【0009】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記少なくとも1つのピンは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。
【0010】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記フィンガー伸展機構は、回転可能なアームと、このアームを回転させるための回転機構とを含み、上記フィンガーは、アームを1つの方向に回転させるための上記回転機構の動作がフィンガーをチャック表面の中心に向かって外側に伸展し、アームを反対方向に回転させるための回転機構の動作がフィンガーをチャック表面の中心から後退させるように、アームに取り付けられている。
【0011】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記アームは、回転可能な柱状部に結合されている。
【0012】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記アームの近位端は、上記回転可能な柱状部に結合されている。
【0013】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記回転機構は、空気圧で動作する。
【0014】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記回転機構は2つの空気圧入口に接続されており、この空気圧入口の一方に加圧ガスを印加すると、回転機構がアームを1つの方向に回転させ、他方の空気圧入口に加圧ガスを印加すると、回転機構がアームを反対方向に回転させる。
【0015】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記回転機構及びアームは、上記チャック表面上にウェハが載置されていない状態でフィンガーが完全に伸展されるようにアームが回転されたときに、フィンガーの遠位端がクランプ位置の周縁部内(周縁部の内側)に位置するように構成されている。
【0016】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記アームは、柔軟性を有しかつ弾力性を有する。
【0017】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記アームはU字型の屈曲部を含む。
【0018】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記アームは、2つの実質的に平行なフィンガーアーム又は渦巻き状アームを含む。
【0019】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記回転機構及びアームは、上記フィンガーが完全に後退するようにアームが回転されたときに、フィンガーの遠位端が上記クランプ位置の周縁部の外部(外側)にあるように構成されている。
【0020】
さらには、本発明の一実施形態によれば、アームのハウジング(筐体)は、上記フィンガーが完全に後退しているときに上記チャック表面上でのウェハの横方向の移動を制限するための遠位突起を含む。
【0021】
さらには、本発明の一実施形態によれば、当該装置は上記チャックを含む。
【0022】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記フィンガー伸展機構は、長手方向に並進可能なアームを含み、上記フィンガーは、弾性要素によって上記アームに取り付けられている。
【0023】
さらには、本発明の一実施形態によれば、上記フィンガー伸展機構は、2つの脚部を有するアームを含み、それらの脚部の一方の近位端にある足部は固定されており、他方の脚部の近位端にある足部は直線的に並進可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明をよりよく理解し、その実用的な応用例を理解するために、以下の図が提供され、以下で参照される。図は、例としてのみ与えられ、決して本発明の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。同様の構成要素は、同様の参照数字で示されている。
【0025】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る円形ウェハ横方向位置決め装置を模式的に示す。
【
図2】
図2は、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置の固定された停止部を模式的に示す。
【
図3】
図3は、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置のフィンガーアセンブリを模式的に示す。
【
図4】
図4は、カバーが取り外された状態の
図3に示されたフィンガーアセンブリを模式的に示す。
【
図5A】
図5Aは、
図4に示されたフィンガーアセンブリのためのストレートフィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5B】
図5Bは、2つのストレートアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5C】
図5Cは、チャック表面の平面に対して異なる高さの2つのフラットアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5D】
図5Dは、チャック表面の平面に対して異なる高さの2つのアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5E】
図5Eは、リジッドアーム、及びフィンガーへの弾性接続を有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5F】
図5Fは、渦巻き状フィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図5G】
図5Gは、異なる配向の二重アームの2つのセクションを有する複合フィンガーアームの例を模式的に示す。
【
図6A】
図6Aは、V字型のノッチを有するフィンガーを模式的に示す。
【
図6B】
図6Bは、U字型のノッチを有するフィンガーを模式的に示す。
【
図7A】
図7Aは、フィンガーへの線形ばね接続を有する直線的に並進可能なフィンガーアームを模式的に示す。
【
図7B】
図7Bは、フィンガーへの板ばね接続を有する直線的に並進可能なフィンガーアームを模式的に示す。
【
図8】
図8は、複合フィンガーアームを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくても本発明が実施されてもよいことが理解できるであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット、及び/又は回路は、本発明を不明瞭にしないように詳細には説明されていない。
【0027】
本発明の実施形態はこの点で限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」等の用語を利用した議論は、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティングデバイスの操作(演算)(複数可)及び/又はプロセス(複数可)であって、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的(例えば、電子的)な量として表されるデータを扱い、かつ/若しくはコンピュータのレジスタ及び/若しくはメモリ内、あるいは操作及び/若しくはプロセスを実行する命令を格納してもよい他の非一時的な情報記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理的量として同様に表される他のデータに変換する操作(演算)及び/又はプロセスを指してもよい。本発明の実施形態は、この点において限定されないが、本明細書で使用される用語「複数」は、例えば、「多数」又は「2つ以上」を含んでもよい。「複数」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータ等を説明するために使用されてもよい。明示的に述べられていない限り、本明細書に記載されている方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに拘束されない。加えて、説明した方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、又は同時進行で発生又は実行することができる。特段の記載がない限り、本明細書で使用される接続詞「又は」、「若しくは」は、包括的(記載された選択肢のいずれか又はすべて)であると理解される。
【0028】
本発明の実施形態によれば、ウェハに過剰な圧縮力を加えることなく、高い再現性で円形ウェハを横方向に位置決めする装置が提供される。典型的には、処理されるべきウェハの表面は、チャックによって正確な高さ(例えば、処理されるべきウェハの表面の平面に垂直な次元でのもの)で支持されてもよく、このチャックは、例えば、チャック表面上でウェハの少なくとも限定された横方向のスライドしか可能にしない非接触支持面又は他の表面を含む。例えば、ウェハを位置決めする際には、ウェハとチャック面との間の摩擦を減らすために、ウェハが載っているチャックの面を介して流体圧力(例えば、空気圧)が加えられてもよい。ウェハが横方向に位置決めされた後、ウェハをチャック面に保持するために、チャック面を介して吸引が行われてもよい。他の例では、チャック表面上に散在している圧力ポート及び真空ポートを介して圧力及び吸引を同時に加えることにより、ウェハをチャック面の上方の正確な高さに保持する流体ばねが形成されてもよい。
【0029】
本明細書で使用する場合、ウェハの横方向の移動又は位置決めは、露出しているか又は処理が加えられるウェハの表面の平面に実質的に平行な移動又は位置決めの寸法を指す。本明細書では、横方向位置決め装置がウェハを保持するように構成されているウェハの横方向(側方)位置は、ウェハのクランプ位置と呼ばれる。本明細書で使用する場合、チャックは、本明細書に記載された横方向位置決め装置によって位置決めされるときにウェハを支持してもよい任意の表面を指す。本明細書では、ウェハの横方向の位置決めに言及しているが、本明細書に記載される装置は、チャックによって支持される平坦な面を有する任意の円形物体を横方向に位置決めするために利用されてもよい。従って、本明細書でのウェハへの言及は、任意のそのような物体(必ずしも半導体ウェハではない)を指すものとして理解されるべきである。円形ウェハの横方向の位置決めが記載されているが、本明細書に記載される装置は、場合によってはいくつかの制限(例えば、ウェハ又は物体の特定の配向)を伴って、多角形、楕円形、又は他の非円形の形状を有するウェハ又は物体を横方向に位置決めするために利用されてもよい。
【0030】
当該横方向ウェハ位置決め装置は、ウェハのクランプ位置の円形外周上の2つ以上の異なる方位角位置に配置されているか、又はそこまで延びている固定された停止部の形態の1つ以上の静的構成要素を含む。従って、この固定された停止部は、クランプ位置に保持されているウェハの端部(縁)に接するように配置される。
【0031】
例えば、各固定された停止部は、チャックの表面の平面から外側に、例えば、そのチャックの表面に対して垂直に又は別の角度で延びるピンを含んでもよい。
【0032】
代替的又は追加的に、単一の方位的に伸長された(例えば、弧状の)固定された停止部が、クランプ位置の周囲について少なくとも2つの方位的に離間した位置まで、例えば、クランプ位置に保持されているウェハの端部上の少なくとも2つの異なる点に接するように、クランプ位置の周囲について延在してもよい。
【0033】
可動構成要素は、チャックの表面上で半径方向内側又は外側に移動可能である。典型的には、その可動構成要素は、クランプ位置の周縁部付近に位置決めされ、チャック表面の中心に向かって内側に伸展(拡張)可能であり、チャック表面の中心から外側に後退可能であるフィンガーの形態にある。場合によっては、2つ以上の可動構成要素を設けてもよい。例えば、2つ以上のフィンガーが、チャック表面の周縁部に沿った方位的に離間した位置に位置決めされてもよい。場合によっては、当該装置は、固定された停止部のない3つ以上のフィンガーを含んでもよい。
【0034】
代替的又は追加的に、上記可動構成要素は、クランプ位置の周縁部について方位的に伸長されていて(細長くて)もよい。細長い可動構成要素を内側に移動させると、その可動構成要素は2つ以上の異なる位置でウェハの端部に接触してもよい。この場合、固定された停止部は、可動構成要素と実質的に直径方向に反対側に位置する単一の固定された停止部を含んでいてもよい。場合によっては、当該装置は、2つ以上の細長い可動構成要素を含み、固定された停止部を含まなくてもよい。
【0035】
伸展可能なフィンガーを含む調整可能なフィンガーアセンブリが、クランプ位置の外周上の(固定された停止部とは)別の異なる方位角位置に配置される。このフィンガーは、フィンガーがクランプ位置の遠位に最大に後退している開位置と、フィンガーが最大に伸展している閉位置との間で移動可能である。フィンガーが最大に伸展され、チャック上にウェハが存在しないとき、フィンガーは、クランプ位置の外周内まで近位に伸展される。
【0036】
チャック上にウェハが存在してフィンガーアセンブリが閉じた状態にあるときに、フィンガーがウェハの側縁部に対して押すように、フィンガーは柔軟なアームに装着される。この押し付けにより、ウェハは固定された停止部に対して押し付けられる。ウェハが固定された停止部に対して押されたとき、ウェハはクランプ位置にある。従って、フィンガーアセンブリが閉じた状態にあるとき、ウェハの外周は、固定された停止部と、クランプ位置にあるウェハに接している、クランプ位置の外周にあるフィンガーとに当接する。
【0037】
典型的には、ウェハに接触するように構成されている固定された停止部及びフィンガーのそれぞれの少なくとも一部は、ウェハの処理を妨げない材料から作製されていてもよい。例えば、固定された停止部及びフィンガーに使用する材料は、ウェハが処理される温度で劣化せず、帯電防止特性を有する材料であってもよい。適切な材料の例としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、別の熱可塑性材料、又は別の材料が挙げられる。
【0038】
フィンガー及び固定された停止部によってウェハの円形端部に加えられる横方向の力は、接点で横方向内側に向けられる。この横方向の力は、ウェハの処理中にウェハをクランプ位置に保持するのに十分であるように構成されている。加えて、接線方向に加えられた摩擦力は、ウェハの回転に抵抗してもよい。アームの柔軟性は、フィンガーがウェハの端部に及ぼす力が、所定の最大力を超えないようにしてもよい。例えば、この所定の最大力は、ウェハの屈曲又は反りのリスクがなく、ウェハが所定の位置に保持されることを確実にするように選択されてもよい。
【0039】
例えば、フィンガーアセンブリは、柔軟なアームの近位端が取り付けられている回転可能な柱状部を含んでもよい。フィンガーは、アームの遠位部分に装着され、アームから(チャック表面の中心に向かって)横方向外側に延びる。柱状部は、モータ駆動機構又はその他の機構によって回転されてもよい。1つの例では、柱状部に接続されている回転可能な羽根の一端に(例えば、1つのポートを介して)空気圧を加えることによって、柱状部が1つの方向に回転されてもよい。回転方向は、(例えば、別のポートを介して)羽根の他端に空気圧を加えることによって、逆になってもよい。柱状部を回転させるために、他の機械的な、電磁的な、空気圧的な、油圧的な、又は他の機構が利用されてもよい。
【0040】
柱状部の1つの方向への回転は、フィンガーを有するアームの遠位端がクランプ位置に向かって伸展されるようにアームを回転させてもよい。反対方向への柱状部の回転は、遠位端のフィンガーが外側に回転し、クランプ位置から離れてフィンガーを後退させるように、アームを回転させてもよい。
【0041】
柱状部は、所定の回転角度の範囲を超えるアームの回転を防止する停止部を備えてもよい。例えば、この停止部は、柱状部から外側に延びるタブを含んでいてもよい。タブがフィンガーアセンブリのハウジング内の突起に接触すると、及ぼされた力は、その方向への柱状部のさらなる回転に抵抗してもよい。柱状部を回転させるためのトルクを提供するモータ又は他の機構への柱状部の接続は、さらなる回転が阻止されたときに接続を解除するクラッチ機構を含んでいてもよい。代替的又は追加的に、電気的又は電子的な回路が、許容される回転角度の範囲を超える柱状部のさらなる回転を防止してもよい。例えば、回転範囲の端まで回転すると、機械的なスイッチ、又は光学的、電子的、電磁的若しくは他の機構が動作して、モータの動作が停止されてもよく、トランスミッション機構が切り離されてもよく、又はその他の方法で柱状部の回転が停止されてもよい。
【0042】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る円形ウェハ横方向位置決め装置を模式的に示す。
図1Bは、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置の模式的上面図である。
図1Cは、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置の模式的側面図である。
【0043】
円形ウェハ位置決め装置10は、チャックヘッド11のチャック表面28上のクランプ位置に円形ウェハ12を保持するように構成されている。例えば、円形ウェハ位置決め装置10及びチャックヘッド11は、装着突起27、ボルト22等のうちの1つ以上を用いて支持具に装着されてもよい。
【0044】
例えば、チャック表面28は、円形ウェハ12とチャック表面28との間に一定の距離(典型的には一定の高さ)を維持する流体ばね効果を示す非接触プラットフォームを含んでいてもよい。この場合、ウェハ支持面28は、流体圧力及び吸引の1つ以上のソースに接続されている、散在する圧力及び真空ポートの配列を含んでもよい。別の例では、チャック表面28上での円形ウェハ12の横方向位置決め中に摩擦を減らすために、チャック表面28の開口部を介して圧力を加え、続いて円形ウェハ12をチャック表面28に保持するために吸引を加えてもよい。他の例では、チャック表面28は、別の適切なタイプの表面(例えば、非粘着性材料でコーティングされた表面)を含んでもよい。
【0045】
図示の例では、円形ウェハ位置決め装置10は、チャック表面28の周りの異なる方位角位置に2つの固定された停止部14を含む。フィンガーアセンブリ16は、固定された停止部14の方位角位置とは異なる第3の方位角位置に配置されている。図示の例では、2つの固定された停止部14及びフィンガーアセンブリ16は、チャック表面28の外周上で、約120°の間隔で、ほぼ等間隔に配置されている。他の例では、当該装置は2つよりも多い固定された停止部14を含んでもよく、方位角方向の離隔は120°よりも大きくても小さくてもよい(しかし、例えば、180°よりも小さい)。円形ウェハ12が少なくとも2つの固定された停止部14及びフィンガー20の遠位端に接して保持されるクランプ位置で円形ウェハ12を保持するために、フィンガー20は、フィンガーアセンブリ16から伸展されてもよい。フィンガー20の伸展の前に、円形ウェハ12の移動が、フィンガーアセンブリ16上の遠位突起24によって制限されてもよい。
【0046】
図2は、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置の固定された停止部を模式的に示す。
【0047】
図示の例では、固定された停止部14は、停止部ベース26に装着されたピンの形態にあり、次にこの停止部ベース26は、チャックヘッド11の側面に装着されている。各固定された停止部14は、チャック表面28の平面に対して垂直に延びている。
【0048】
各固定された停止部14は、その固定された停止部14に当接している円形ウェハ12の外側への移動を防止するのに十分な剛性を有している。各固定された停止部14は、円形ウェハ12と接触しても円形ウェハ12を損傷したり若しくは傷つけたりする危険性がない(例えば、擦り傷、割れ、若しくは他の種類の損傷を防止することによって)か、若しくは円形ウェハ12の処理を妨害する危険性がない(例えば、静電気の蓄積を防止することによって、熱の不要な伝導若しくは処理に対する他の妨害を防止することによって)材料から構成されるか、又はそのような材料でコーティングされてもよい。例えば、固定された停止部14は、PEEK若しくは他の適切な材料を含んでいてもよく、又はそれでコーティングされていてもよい。同様に、フィンガー20の少なくとも遠位端は、PEEK等の同様の材料から作製されてもよいし、それでコーティングされてもよい。
【0049】
図3は、
図1Aに示された円形ウェハ横方向位置決め装置のフィンガーアセンブリを模式的に示す。
【0050】
図示の例では、フィンガーアセンブリ16のフィンガー20を伸展又は後退させるための機構の構成要素がアセンブリカバー30内に封入されている。フィンガー20の伸展又は後退は、フィンガー20が接続されている回転可能な柱状部40(
図4に見える)を回転させるための柱状部回転機構18の動作によってもたらされる。
【0051】
図示の例では、柱状部回転機構18は、例えば、空気圧入口17のいずれか1つにガス圧を加えることによって、空気圧で操作されてもよい。例えば、細長い羽根が、柱状部回転機構18内の回転可能な柱状部40に接続されていてもよい。空気圧入口17の1つを介して提供される空気圧は、羽根の一端に力を加えてもよく、その結果、柱状部を1つの方向に回転させるためのトルクを提供してもよい。他方の空気圧入口17から供給される空気圧は、羽根の反対側の端部に力を加えて、柱状部を反対方向に回転させるためのトルクを提供してもよい。バルブ19(例えば、ニードルバルブ又は他のタイプのバルブの形態のもの)が、各空気圧入口17を通る空気圧の流入を調整するために操作されてもよい。流入量の調整は、空気圧で動作する柱状部回転機構18の効率的な動作を可能にしてもよい。
【0052】
代替的又は追加的に、柱状部回転機構18は、フィンガー20が接続されている柱状部を回転させるための別の機構を含んでもよい。例えば、柱状部回転機構18は、電気モータ、又は別の回転機構を含んでもよい。このような場合、電気接続又は他の制御コンポーネント若しくは動力供給コンポーネントが、空気圧入口17及びバルブ19に取って代わってもよい。
【0053】
図示の例では、アセンブリカバー30は、遠位突起24を含む。遠位突起24は、フィンガー20が後退しているか、又は完全には伸展していないときに、チャック表面28上の円形ウェハ12の横方向の移動を制限するように構成されてもよい。横方向の移動の制限は、フィンガー20を伸展するときに、円形ウェハ位置決め装置10による円形ウェハ12の横方向の位置決めを容易にしてもよい。
【0054】
図4は、カバーが取り外された状態の
図3に示されたフィンガーアセンブリを模式的に示す。
【0055】
図示の例では、回転可能な柱状部40は、柱状部回転機構18の動作によって回転可能である。例えば、回転可能な柱状部40は、柱状部回転機構18の羽根、モータ、又は他のトルク発生機構によって回転される駆動柱状部の端部を表してもよい。別の例では、回転可能な柱状部40は、トランスミッション機構によって別の駆動柱状部に結合されてもよい。この駆動柱状部は、柱状部回転機構18のトルク発生機構によって回転するように直接駆動されてもよい。トランスミッション機構は、駆動柱状部から回転可能な柱状部40にトルクを伝達するための1つ以上の歯車、ベルト、又は他の機構を含んでもよい。
【0056】
柱状部回転機構18は、典型的には、回転可能な柱状部40の、又は回転可能な柱状部40が結合されている駆動柱状部の回転を制限するための機構を含む。例えば、回転可能な柱状部40が回転可能とされる典型的な回転範囲は、90°未満であってもよい。回転制限機構は、許容される回転範囲の端点を過ぎた回転可能な柱状部40の回転を制限するために、柱状部回転機構18内の対応する構造体と係合するように構成されている、回転可能な柱状部40上の(又は駆動柱状部、又はトランスミッションの構成要素上の)タブ、停止部、又は他の突起を含んでもよい。上記対応する構造体は、制限回転角度を過ぎた突起のさらなる回転を物理的に防止する機械的な突起を含んでもよい。他の例では、突起は、突起が制限角度まで回転したときに、モータをオフにするか、又はトランスミッションを脱係合するスイッチを操作してもよい。他の例では、制限機構は、回転可能な柱状部40の制限回転角度への回転又は制限回転角度を過ぎた回転を検出するための光学的、電磁的、電子的、又は他の機構を含んでもよい。場合によっては、例えば、柱状部回転機構18が電気モータを含む場合、トランスミッションは、回転可能な柱状部40のさらなる回転が機械的に阻止されたときに、駆動柱状部が回転可能な柱状部40から脱係合することを可能にするためのクラッチ機構を含んでもよい。
【0057】
図示の例では、フィンガーアーム42の近位端は、アームクランプ44によって回転可能な柱状部40にクランプされている。代替的又は追加的に、フィンガーアーム42は、回転可能な柱状部40に他の方法で接続されてもよい。例えば、フィンガーアーム42は、1つ以上のねじ又はクリップによって、回転可能な柱状部40の溝若しくは開口部への挿入によって、溶接若しくは接着剤等によって、又は別の方法によって回転可能な柱状部40に接続されてもよい。他の例では、フィンガーアーム42は、回転機構によって直接回転されてもよい。
【0058】
フィンガー20は、フィンガーアーム42の遠位端に装着されている。フィンガーアーム42は、フィンガーアーム42が回転可能な柱状部40から延びる方向に対して実質的に垂直な方向に、フィンガーアセンブリ16から横方向に外側に延びる。従って、フィンガーアーム42の1つの方向(図示の例では反時計回り)の回転は、フィンガー20をチャック表面28の中心に向かって外側に伸展させる。反対方向へのフィンガーアーム42の回転は、フィンガー20をチャック表面28の中心から後退させる。
【0059】
他の例では、フィンガー20は、他の方法でフィンガーアーム42に接続されてもよい。例えば、フィンガー20は、フィンガーアーム42の端部から長手方向に延びていてもよいし、フィンガーアーム42に対して斜め方向に延びていてもよい。フィンガーアーム42は、回転可能な柱状部40、又は別のタイプのフィンガー伸展機構(例えば、長手方向の並進機構、又はフィンガー20を伸展又は後退させるために動作可能な別の機構)に他の方法で接続されてもよい。フィンガー20は、アームクランプ44に対して遠位であるが、フィンガーアーム42の遠位端に対して近位であるフィンガーアーム42の点から延びてもよい。
【0060】
柱状部回転機構18は、フィンガー20が最大に伸展しているとき(例えば、回転可能な柱状部40が図示の例では反時計回りの最大回転角度まで回転したとき)、及び円形ウェハ12がチャック表面28上に載置されていないときに、フィンガー20の遠位端がチャック表面28上の円形ウェハ12のクランプ位置の外周内まで伸展するように構成されてもよい。同様に、フィンガー20が最大に後退しているとき(例えば、図示の例では回転可能な柱状部40が時計回りの最大回転角度まで回転したとき)、フィンガー20の遠位端は、チャック表面28上の円形ウェハ12の外周の外側にある位置まで引き込まれる。例えば、フィンガー20の遠位端は、フィンガーアセンブリ16のアセンブリカバー30上の遠位突起24までの半径方向の距離よりも大きい、チャック表面28の中心からの半径方向の距離まで引き込まれてもよい。
【0061】
フィンガーアーム42は、柔軟性及び弾性を有するように構成されてもよい。例えば、フィンガーアーム42は、破損することなく複数回の屈曲を受けることが可能な材料で構成されてもよい。例えば、フィンガーアーム42は、曲げられたときに屈曲するのに十分な柔軟性を有するが、曲げる力が取り除かれたときに元の形状に戻るのに十分な剛性及び弾力性を有する金属、プラスチック又は他の適切な材料の、平坦で、場合によっては曲げられたストリップから構成されてもよい。図示の例では、フィンガーアーム42は、フィンガーアーム42を機械的に疲労させることなく、弾性的な屈曲を容易にする特徴を備えている。図示の例では、フィンガーアーム42は、フィンガーアーム42の近位セグメントがフィンガーアーム42の遠位セグメントと実質的に平行になるように、U字型屈曲部41を含む。フィンガーアーム42の遠位セクションは、フィンガーアーム42の遠位セクションの細長い寸法に実質的に平行な長手方向のスロット43を含む。
【0062】
従って、フィンガーアーム42がフィンガー20を最大に伸展するように回転されると、円形ウェハ12の外縁がフィンガー20の遠位端に接触して、フィンガー20の完全な伸展を妨げてもよい。その結果、フィンガー20に近いフィンガーアーム42の遠位端は、チャック表面28の中心から外側に向かって屈曲してもよい。このように、フィンガーアーム42の弾性により、フィンガー20に力を加えて、円形ウェハ12に対するフィンガー20の押圧力を維持してもよい。従って、その力によって、円形ウェハ12の外縁が2つ以上の固定された停止部14に押し付けられた状態が維持されてもよい。フィンガー20及び固定された停止部14によって円形ウェハ12に及ぼされる力は、円形ウェハ12をチャック表面28上のクランプ位置に保持するのに十分であってもよい。
【0063】
場合によっては、フィンガー20が装着されているフィンガーアーム42又は他の構造体は、剛性であってもよい。この場合、フィンガー20自体は、円形ウェハ12をチャック表面28上のクランプ位置に保持するためにフィンガー20が伸展しているときに、円形ウェハ12の外縁に押圧力を及ぼすことができるように、柔軟で弾力性のある材料から作製されてもよい。
【0064】
場合によっては、フィンガーアセンブリ16及び固定された停止部14の動作によって円形ウェハ12がチャック表面28上のクランプ位置に位置決めされると、チャック表面28の開口部を介して吸引が行われてもよい。この吸引は、円形ウェハ12をチャック表面28に保持してもよい。チャック表面28と、円形ウェハ12のチャック表面28に面する面との間に生じる摩擦は、円形ウェハ12を所定の位置に保持するのに十分であってもよい。この場合、吸引の適用後、フィンガーアセンブリ16を操作してフィンガー20を後退させてもよい。
【0065】
このように、円形ウェハ12は、フィンガー20が完全に後退しているときに、固定された停止部14とフィンガーアセンブリ16との間でチャック表面28上に載置されてもよい。固定された停止部14及びフィンガー20(又は他の種類の固定構成要素及び可動構成要素)は、隣接する固定された停止部14の間、又はフィンガー20と隣接する固定された停止部14との間に、円形ウェハ12の直径よりも大きい空間がないように、チャック表面28の周縁部の周りに配置されてもよい。従って、円形ウェハ12のサイズがチャック表面28のサイズとほぼ同じである場合、隣接する位置決め構成要素(例えば、固定された停止部14及びフィンガー20)の間の方位角方向の離隔は、約180°(又は、円形ウェハ12とチャック表面28の相対的なサイズに応じて、より小さい角度)よりも大きくすることはできない。
【0066】
円形ウェハ12が最初にチャック表面28上に載置されたとき、円形ウェハ12はチャック表面28上を自由にスライドすることができるようにしてもよい。例えば、円形ウェハ12とチャック表面28との間の摩擦を低減するために、チャック表面28にある開口部を介して空気、又は別の気体若しくは流体を排出してもよい。あるいは、チャック表面28は、流体ばね効果を示す流体クッションを形成するために、圧力及び吸引を同時に適用するための、散在する開口部を含んでもよい。代替的又は追加的に、チャック表面28は、非粘着性の表面材料から作製されていてもよいし、又はそれでコーティングされていてもよい。
【0067】
柱状部回転機構18は、フィンガーアセンブリ16のフィンガー20を伸展するために操作されてもよい。例えば、圧力源からの空気圧を空気圧入口17の1つに供給して、回転可能な柱状部40及び取り付けられたフィンガーアーム42を回転させて、フィンガー20を外側に伸展するようにしてもよい。フィンガー20の遠位端が円形ウェハ12の端部に接触すると、フィンガー20の継続的な伸展により、円形ウェハ12が固定された停止部14に向かって押されてもよい。円形ウェハ12が固定された停止部14まで押されると、円形ウェハ12の横方向の移動が停止し、そしてフィンガー20のさらなる伸展によって、フィンガーアーム42が曲げられて、クランプ位置で、固定された停止部14及びフィンガー20に接して円形ウェハ12を保持するための横方向の力が加えられてもよい。
【0068】
円形ウェハ12が、チャック表面28が横方向に位置決めするように構成されているクランプ位置に横方向に位置決めされると、円形ウェハ12とチャック表面28との間の摩擦が増加してもよい。例えば、円形ウェハ12をチャック表面28に対して保持するために、チャック表面28の開口部を介して円形ウェハ12に吸引が行われてもよい。
【0069】
その後、円形ウェハ12の処理(例えば、修飾又は検査)が行われてもよい。処理が完了すると、円形ウェハ12は、チャック表面28から解放されてもよい。例えば、フィンガー20は、円形ウェハ12から離れて完全に後退されてもよい。チャック表面28を介した吸引の適用は停止してもよい。その後、円形ウェハ12は、チャック表面28から取り外されてもよい。
【0070】
典型的には、円形ウェハ位置決め装置10の動作は、コントローラによって制御されてもよい。このコントローラは、プログラムされた命令に従って動作するように構成された1つ以上のユニットを含んでもよい。例えば、コントローラは、フィンガー20を伸展及び後退させるために柱状部回転機構18を操作してもよい。場合によっては、コントローラは、他の機能を動作させる1つ以上のコントローラを動作させてもよく、また、それらと通信してもよい。従って、柱状部回転機構18及び円形ウェハ位置決め装置10の動作は、他の機能と協調してもよい。これらの他の機能は、流体圧力、吸引、又はその両方をチャック表面28の開口部に加えること、円形ウェハ12を処理すること、円形ウェハ12をチャック表面28との間で搬送すること、又は1つ以上の円形ウェハ12の処理に関連する他の機能のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0071】
代替的又は追加的に、ウェハ位置決め装置は、フィンガー及びフィンガー伸展機構の他の構成を含んでもよい。いくつかの構成では、フィンガーは、例えば吸引によって円形ウェハ12がチャック表面28に固定されるまで、例えば、円形ウェハ12をクランプ位置に横方向に位置決めするために、チャック表面28に対して実質的に垂直な方向に移動できるようになっていてもよい。
【0072】
いくつかの構成では、フィンガーは、チャック表面に実質的に平行な方向に移動できるようになっていてもよい。
【0073】
図5Aは、
図4に示されたフィンガーアセンブリのためのストレート(直線状の)フィンガーアームの例を模式的に示す。
【0074】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられているストレートフィンガーアーム50の遠位端から横方向に延びている。ストレートフィンガーアーム50は、例えば、少なくとも横方向の曲げを可能にするために、柔軟で弾力性のあるものであってもよい、平らな又は他の断面を有する、単一の細長いアームを含んでもよい。
【0075】
図5Bは、2つのストレートアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【0076】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられている2つの直線状の平行で横方向にずれたフィンガーアーム52の遠位端から横方向に延びている。各フィンガーアーム52は、平坦な(例えば、チャック表面28の平面に対して実質的に垂直な)又は他の断面を有してもよく、例えば、少なくとも横方向の曲げを可能にするように、柔軟で弾力性のあるものであってもよい。
【0077】
図5Cは、チャック表面の平面に対して異なる高さの2つのフラットアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【0078】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられている2つのストレートの平行なフィンガーアーム54の遠位端から横方向に延びている。図示の例では、各フィンガーアーム54は、チャック表面28の平面に実質的に平行な平坦な断面を有している。フィンガーアーム54は、チャック表面28の平面に垂直な軸に沿って互いにずれている。各フィンガーアーム54は、例えば、少なくともチャック表面28の平面に垂直な方向の曲げを可能にするために、柔軟で弾力性のあるものであってもよい。
【0079】
図5Dは、チャック表面の平面に対して異なる高さの2つのアームを有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【0080】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられている2つのストレートの平行なフィンガーアーム56の遠位端から横方向に延びている。図示の例では、各フィンガーアーム56は、円形又は他の非平面的な断面を有する。フィンガーアーム56は、チャック表面28の平面に垂直な軸に沿って互いにずれている。各フィンガーアーム56は、例えば、横方向の曲げ及びチャック表面28の平面に垂直な方向の曲げの両方を可能にするために、柔軟で弾力性のあるものであってもよい。
【0081】
図5Eは、リジッドアーム、及びフィンガーへの弾性接続を有するフィンガーアームの例を模式的に示す。
【0082】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられているリジッドアーム58の遠位端から横方向に延びるように、ばね60の形態の弾性(例えば、柔軟で弾力性のある)要素によって接続されている。リジッドアーム58への弾性接続は、横方向及びチャック表面28の平面に垂直な方向の両方で、フィンガー20がリジッドアーム58に対して相対的に移動することを可能にしてもよい。
【0083】
図5Fは、渦巻き状フィンガーアームの例を模式的に示す。
【0084】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられている渦巻き状アーム62の遠位端から長手方向に延びている。渦巻き状アーム62は、例えば、横方向の曲げ及びチャック表面28の平面に垂直な方向の曲げの両方を可能にするために、柔軟で弾力性のあるものであってもよい。
【0085】
図5Gは、異なる配向の二重アームの2つのセクションを有する複合フィンガーアームの例を模式的に示す。
【0086】
図示の例では、フィンガー20は、近位端が回転可能な柱状部40に取り付けられている複合フィンガーアーム66の遠位端から横方向に延びている。図示の例では、複合フィンガーアーム66の近位セクションは、チャック表面28の平面に垂直な軸に沿って互いにずれている2つのフィンガーアーム54を含む。複合フィンガーアーム66の遠位セクションは、2つのストレートの平行で横方向にずれたフィンガーアーム52を含む。上記近位セクション及び遠位セクションは、コネクタ64で接続される。各フィンガーアーム54及び52は、例えば、横方向の曲げ及びチャック表面28の平面に垂直な方向の曲げの両方を可能にするために、柔軟で弾力性のあるものであってもよい。
【0087】
フィンガー20は、円形ディスク12をチャック表面28から所定の距離で保持するように構成されてもよい。例えば、フィンガー20は、円形ディスク12の端部をフィンガー20の遠位端に沿った特定の部分に案内するように構成された溝又はノッチを含んでもよい。
【0088】
図6Aは、V字型のノッチを有するフィンガーを模式的に示す。
【0089】
チャック表面28上で支持されている円形ディスク12の端部は、フィンガー20の遠位端のV字型のノッチ70に案内されてもよい。従って、円形ディスク12をチャック表面28上のクランプ位置に移動させるためにフィンガー20が伸展されるとき、上記端部はV字型のノッチ70内に保持されてもよい。
【0090】
図6Bは、U字型のノッチを有するフィンガーを模式的に示す。
【0091】
チャック表面28上で支持されている円形ディスク12の縁部は、フィンガー20の遠位端のU字型のノッチ72に案内されてもよい。従って、円形ディスク12をチャック表面28上のクランプ位置に移動させるためにフィンガー20が伸展されるとき、上記端部はU字型のノッチ72内に保持されてもよい。
【0092】
図7Aは、フィンガーへの線形ばね接続を有する直線的に並進可能なフィンガーアームを模式的に示す。
【0093】
伸展機構80は、フィンガーアーム82を長手方向の動き88で伸展及び後退させるように構成されている。例えば、伸展機構80は、電気モータ(例えば、回転運動を直線運動に変換するためのトランスミッションを有する)、電気リニアアクチュエータ若しくは電磁リニアアクチュエータ、又は別の油圧により、空気圧により、電磁気により、若しくは他の方法で動力を発生する機構を含んでもよい。長手方向の動き88は、中実のフィンガーアーム82の直線的な移動を表してもよいし、長さが可変のフィンガーアーム82の伸長及び短縮を表してもよい(例えば、伸縮、アコーディオンの展開及び折り畳み、膨張及び収縮等による)。
【0094】
フィンガー20は、弾性要素によってフィンガーアーム82に接続されてもよい。この弾性要素は、円形ディスク12に損傷を与える危険を冒すことなく、フィンガー20と円形ディスク12との間の接触を維持することを容易にしてもよい。
【0095】
図示の例では、フィンガー20をフィンガーアーム82の遠位端に接続する弾性要素は、線形ばね84を含む。
【0096】
図7Bは、フィンガーへの板ばね接続を有する直線的に並進可能なフィンガーアームを模式的に示す。
【0097】
図示の例では、フィンガー20をフィンガーアーム82の遠位端に接続する弾性要素は、板ばね86を含む。図示の例では、板ばね86は閉じている。他の例では、板ばね86は開いていてもよい(例えば、U字型プロファイルを有する)。
【0098】
【0099】
複合フィンガーアーム90の脚部90aの近位端にある固定足部92は、フィンガー伸展機構上又はその近傍の固定点に取り付けられてもよい。脚部90bの近位端にある可動足部94は、矢印96で示すように、フィンガー伸展機構によって外側及び内側に移動されるように直線的に並進可能である。例えば、可動足部94は、リニアアクチュエータ、又は可動足部94の直線的な双方向の動きを生成するための他の機構によって動かされてもよい。可動足部94の外向き及び内向きの動きは、固定足部92を中心とした複合フィンガーアーム90の揺動運動を引き起こしてもよく、これらの動きが、矢印98によって示される方向にほぼ沿って、それぞれフィンガー20を伸展又は後退させてもよい。
【0100】
本明細書では、異なる実施形態が開示されている。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよく、従って、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態に関する上述の説明は、図示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的に説明することや、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない。上記の教示に照らして、多くの改変、変形、置換、変更、及び等価物が可能であることは、当業者には理解されるはずである。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるようなすべての改変及び変更をカバーすることが意図されていることが理解されるべきである。
【0101】
本発明の特定の特徴を本明細書で図示及び説明してきたが、これにより当業者に多くの改変、置換、変更、及び等価物が思い浮かぶようになる。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるすべてのそのような改変及び変更をカバーすることが意図されていることを理解されたい。