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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H01S5/183
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021556071
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041560
(87)【国際公開番号】W WO2021095660
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2019207371
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 義昭
(72)【発明者】
【氏名】山内 義則
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-034637(JP,A)
【文献】特開2013-175712(JP,A)
【文献】特開2008-042053(JP,A)
【文献】特開2012-134473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、
前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、
前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備え、
前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、
前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記活性層が設けられた深さにピークを有する
発光素子。
【請求項2】
前記高抵抗領域には、前記活性層に電流を注入する電極、及び前記電極と電気的に接続する配線が設けられる、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記射出面と、前記活性層との間には、前記第1方向と垂直な面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられる、請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記酸化領域は、前記未酸化領域の周囲を連続して囲む、請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記分離溝の前記射出面からの掘り込み深さは、前記活性層が設けられた深さよりも深い、請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記分離溝は、前記光射出部を囲む環形状の溝を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記分離溝は、前記光射出部の周囲に互いに離隔されて対称的に配列された複数の溝を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記高抵抗領域は、前記射出面から前記第1方向に前記活性層が設けられる深さよりも深く広がって設けられる、請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記不純物元素は、H、C、B、O、Ar、Al、Ga、又はAsのいずれか1つ以上を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項10】
前記不純物元素の含有量は、5×1013個/cm以上である、請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記不純物元素は、Hである、請求項9に記載の発光素子。
【請求項12】
前記不純物元素の含有量は、5×1014個/cm以上である、請求項11に記載の発光素子。
【請求項13】
前記射出面と、前記活性層との間には、前記射出面の面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられ、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記電流狭窄層が設けられた深さにピークを有する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1の反射器、及び前記第2の反射器は、それぞれ多層膜反射鏡にて設けられる、請求項1に記載の発光素子。
【請求項15】
前記活性層は、GaAs系半導体を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項16】
電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、
前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、
前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備え、
前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、
前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、
前記射出面と、前記活性層との間には、前記射出面の面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられ、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記電流狭窄層が設けられた深さにピークを有する
発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で送受信されるデータ量の爆発的な増大に伴って、データセンタ内での近距離通信に光ファイバーを用いた光通信を採用することが増加している。光ファイバーを用いた光通信の光源としては、例えば、垂直共振器型面発光半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)が用いられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-309325号公報
【発明の概要】
【0004】
そこで、光通信の速度及び品質を向上させるために、光源として用いられる発光素子の変調速度の向上が望まれている。
【0005】
したがって、高周波特性が向上した発光素子を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態に係る第1の発光素子は、電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備えたものであり、前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記活性層が設けられた深さにピークを有する。本開示の一実施形態に係る第2の発光素子は、電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備えたものであり、前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、前記射出面と、前記活性層との間には、前記射出面の面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられ、前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記電流狭窄層が設けられた深さにピークを有する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る第1の発光素子および一実施形態に係る第2の発光素子によれば、電流の注入によって発光する活性層と、活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部の周囲に、積層構造を掘り込んだ分離溝が対称性を有して設けられ、分離溝の最外周形状よりも外側の積層構造に光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域が設けられる。これにより、例えば、発光素子は、発光素子の電極又は配線の各々にて生じる寄生容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る発光素子の構成を示す上面図である。
図2】同実施形態に係る発光素子の構成を示す縦断面図である。
図3】高抵抗領域の積層構造の積層方向における元素濃度の分布の一例を示すグラフ図である。
図4】高抵抗領域が設けられる領域の一例を示す発光素子の上面図である。
図5】高抵抗領域が設けられる領域の一例を示す発光素子の上面図である。
図6】同実施形態に係る発光素子の製造方法の流れを説明するフローチャート図である。
図7】同実施形態に係る発光素子の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図8】同実施形態に係る発光素子の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図9】同実施形態に係る発光素子の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図10】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状を示す平面図である。
図11A】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
図11B】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
図11C】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
図11D】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
図11E】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
図11F】分離溝、及び電流狭窄領域の平面形状のバリエーションを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下で説明する実施形態は本開示の一具体例であって、本開示にかかる技術が以下の態様に限定されるわけではない。また、本開示の各構成要素の配置、寸法、及び寸法比等についても、各図に示す様態に限定されるわけではない。
【0010】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.発光素子の構成
2.作用効果
3.発光素子の製造方法
【0011】
<1.発光素子の構成>
まず、図1及び図2を参照して、本開示の一実施形態に係る発光素子1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る発光素子1の構成を示す上面図であり、図2は、本実施形態に係る発光素子1の構成を示す縦断面図である。図2では、図1のA-AA線で切断した断面図を模式的に示している。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る発光素子1は、面発光型の半導体レーザである。
【0013】
発光素子1は、基板140の第1面側(すなわち、表面側)に積層構造100を備える。積層構造100は、基板140側から順に、第1の反射器110、第1スペーサ層131、活性層130、第2スペーサ層132、電流狭窄層121、及び第2の反射器120を積層することで設けられる。
【0014】
また、積層構造100には、第1の反射器110の一部、第1スペーサ層131、活性層130、第2スペーサ層132、電流狭窄層121、及び第2の反射器120を積層方向に環状に掘り込む分離溝153が設けられる。分離溝153の内部には、第1絶縁層144を介して分離層152が設けられる。分離溝153、及び分離層152の内側の領域の積層構造100は、レーザを射出する光射出部Emとして機能する。
【0015】
基板140は、例えば、n型のGaAs基板である。より詳細には、基板140は、(100)面のGaAs基板であってもよく、(n11)面のGaAs基板(nは整数)であってもよい。
【0016】
第1の反射器110は、低屈折率層及び高屈折率層の組を交互に複数組積層した多層膜反射鏡である。例えば、第1の反射器110は、厚みがλ0/n1(λ0は、活性層130の発振波長、n1は、低屈折率層の屈折率)のn型Alx1Ga1-x1As(0<x1<1)で構成された低屈折率層と、厚みがλ0/n2(λ0は、活性層130の発振波長、n2は、高屈折率層の屈折率)のn型Alx2Ga1-x2As(0<x2<x1)で構成された高屈折率層とを交互に積層した多層膜反射鏡であってよい。
【0017】
第1スペーサ層131は、例えば、n型Alx3Ga1-x3As(0<x3<1)で構成され、第2スペーサ層132は、例えば、p型Alx5Ga1-x5As(0<x5<1)で構成される。第2スペーサ層132に含まれるp型不純物は、例えば、炭素(C)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、又は亜鉛(Zn)などであってもよい。活性層130は、例えば、アンドープのAlx4Ga1-x4As(0<x4<1)で構成され、電流の注入によって発光する。具体的には、活性層130では、電流の注入によって、後述する電流狭窄層121の電流注入領域121Aと対向する領域が発光する。
【0018】
第2の反射器120は、低屈折率層及び高屈折率層の組を交互に複数組積層した多層膜反射鏡である。例えば、第2の反射器120は、厚みがλ0/n3(λ0は、活性層130の発振波長、n3は、低屈折率層の屈折率)のp型Alx6Ga1-x6As(0<x6<1)で構成された低屈折率層と、厚みがλ0/n4(λ0は、活性層130の発振波長、n4は、高屈折率層の屈折率)のp型Alx7Ga1-x7As(0<x7<x1)で構成された高屈折率層とを交互に積層した多層膜反射鏡であってよい。第2の反射器120を構成する低屈折率層及び高屈折率層に含まれるp型不純物は、例えば、炭素(C)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、又は亜鉛(Zn)などであってもよい。
【0019】
電流狭窄層121は、第2の反射器120の活性層130側から数層程度離れた低屈折率層に替えて、第2の反射器120の内部に設けられる。電流狭窄層121は、積層方向と垂直な面内方向において、電流注入領域121Aと、電流狭窄領域121Bとを備える。電流注入領域121Aは、p型Alx8Ga1-x8As(0≦x8<1)で構成された領域である。電流狭窄領域121Bは、酸化アルミニウム(Al23)を含んで構成され、電流注入領域121Aの外縁領域に設けられた領域である。この構成によれば、電流狭窄層121は、電流が流れる領域を電流注入領域121Aに狭窄することができる。
【0020】
なお、電流狭窄領域121Bは、分離溝153を形成した際に、分離溝153の側面から電流狭窄層121に含まれる高濃度のアルミニウム(Al)を酸化することで形成することができる。例えば、電流狭窄領域121Bは、AlAs(ヒ化アルミニウム)で構成された電流狭窄層121を分離溝153の側面から酸化した酸化領域として設けられてもよい。また、電流注入領域121Aは、AlAs(ヒ化アルミニウム)で構成された電流狭窄層121の未酸化領域として設けられてもよい。
【0021】
分離溝153は、環状形状の平面形状を有し、積層構造100を積層方向に少なくとも活性層130よりも深い領域まで掘り込む溝である。分離溝153は、光射出部Emを他の領域から電気的又は光学的に分離するために設けられる。例えば、分離溝153は、第2の反射器120、電流狭窄層121、第2スペーサ層132、活性層130、及び第1スペーサ層131を貫通し、第1の反射器110の一部まで達するまで積層構造100を掘り込むことで設けられてもよい。
【0022】
第1絶縁層144は、絶縁性材料によって、分離溝153の内側を覆うように設けられる。具体的には、第1絶縁層144は、窒化シリコン(SiN)等によって分離層152の内側の底面及び側面を覆うように設けられてもよい。
【0023】
分離層152は、有機樹脂によって、第1絶縁層144を介して分離溝153の内部を埋め込むように設けられる。例えば、分離層152は、低誘電率樹脂の一種であるベンゾシクロブテン(BCB)によって分離溝153の内部を埋め込むことで設けられてもよい。
【0024】
光射出部Emの積層構造100の第2の反射器120側の表面には、環状形状の第2電極160が設けられる。第2電極160は、光射出部Emの外側の積層構造100の上に第1絶縁層144、パッド台部151、及び第2絶縁層161を介して設けられた第2電極パッド164と電気的に接続される。
【0025】
第2電極160は、電流注入領域121Aに対向する領域を開口した環状形状にて、積層構造100の第2の反射器120側の表面に設けられる。ただし、第2電極160は、電流注入領域121Aに対向する領域を覆わない形状であれば、環状形状以外の形状であってもよい。第2電極160は、例えば、第2の反射器120側から順に、金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金と、金(Au)及びニッケル(Ni)の合金とを積層することで設けられてもよい。
【0026】
基板140の積層構造100が設けられた第1面と反対側の第2面(すなわち、裏面)には、第1電極141が設けられる。第1電極141は、積層構造100を貫通する開口145の内部に設けられた第1電極コンタクト142、143によって、光射出部Emの外側の積層構造100の上に第1絶縁層144、パッド台部151、及び第2絶縁層161を介して設けられた第1電極パッド163と電気的に接続される。
【0027】
第1電極141は、基板140の第2面の全面に広がって設けられる。第1電極141は、例えば、基板140側から順に、金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金と、金(Au)及びニッケル(Ni)の合金とを積層することで設けられてもよい。
【0028】
第1電極コンタクト142、143は、積層構造100を貫通して基板140に達するまで掘り込まれた開口145の内側に設けられ、第1電極141と第1電極パッド163とを電気的に接続する。具体的には、第1電極コンタクト142は、開口145の底面に設けられる。第1電極コンタクト143は、開口145の底面及び側面に第1電極コンタクト142及び第1絶縁層144を介して設けられる。第1電極コンタクト142、143は、第1電極141側から順に、金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金と、金(Au)及びニッケル(Ni)の合金とを積層することで設けられてもよい。
【0029】
パッド台部151は、分離層152と連続した絶縁層として、光射出部Emの外側の領域に設けられる。具体的には、パッド台部151は、光射出部Emの外側の領域の積層構造100の表面に、第1絶縁層144を介して、分離層152を形成する有機樹脂を積層することで設けられる。分離層152と同様に、パッド台部151がベンゾシクロブテンなどの低誘電率樹脂で設けられる場合、発光素子1は、第2電極パッド164及び第1電極パッド163と、積層構造100との間の容量を低減することができる。
【0030】
第2絶縁層161は、パッド台部151、分離層152、及び積層構造100の表面に絶縁性材料にて設けられる。具体的には、第2絶縁層161は、第2電極160と第2電極パッド164との電気的な接点、及び第1電極コンタクト143と第1電極パッド163との電気的な接点を除いて、発光素子1の表面形状に沿って一様の厚みで設けられてもよい。第2絶縁層161は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性のシリコン化合物にて設けられてもよい。
【0031】
第2電極パッド164は、光射出部Emに隣接するパッド台部151の上に第2絶縁層161を介して設けられる。第2電極パッド164は、第2電極160と電気的に接続しており、第2電極160と外部との接続端子として機能する。第2電極パッド164は、例えば、パッド台部151側から順に、チタン(Ti)、白金(Pt)、及び金(Au)を積層することで設けることができる。
【0032】
第1電極パッド163は、第2電極パッド164が設けられたパッド台部151とは異なる領域のパッド台部151の上に第2絶縁層161を介して設けられる。第1電極パッド163は、第1電極コンタクト143と電気的に接続しており、第1電極141と外部との接続端子として機能する。第1電極パッド163は、例えば、パッド台部151側から順に、チタン(Ti)、白金(Pt)、及び金(Au)を積層することで設けることができる。
【0033】
第3絶縁層162は、第2電極パッド164、第1電極パッド163、及び第2絶縁層161の表面に絶縁性材料にて設けられる。具体的には、第3絶縁層162は、第2電極パッド164の上の一部領域、及び第1電極パッド163の上の一部領域を除いた発光素子1の表面形状に沿って一様の厚みで設けられてもよい。第3絶縁層162は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性のシリコン化合物にて設けられてもよい。
【0034】
ここで、本実施形態に係る発光素子1では、光射出部Em、及び分離層152の外側の領域が高抵抗領域Hrとして設けられる。高抵抗領域Hrは、積層構造100の電気抵抗が光射出部Emの積層構造100の電気抵抗よりも高い領域である。高抵抗領域Hrは、第2の反射器120側から活性層130が設けられる深さよりも深い領域にかけて積層構造100に不純物元素を導入することで設けられる。
【0035】
積層構造100に導入されることで積層構造100の電気抵抗を増大させる不純物は、例えば、水素(H)、炭素(C)、ホウ素(B)、酸素(O)、アルゴン(Ar)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、又はヒ素(As)のいずれか1つ以上であってもよい。例えば、高抵抗領域Hrは、イオン注入法を用いて、C、B、O、Ar、Al、Ga、又はAsのいずれか1つ以上を積層構造100に5×1013個/cm2以上の濃度で導入することで形成されてもよい。または、高抵抗領域Hrは、イオン注入法を用いて、Hを積層構造100に5×1014個/cm2以上の濃度で導入することで形成されてもよい。積層構造100に導入する不純物元素がHである場合、イオン注入法にて不純物元素を積層構造100に導入する際のエネルギーが小さくなるため、高抵抗領域Hrを形成する工程のコストを低減することができる。
【0036】
また、高抵抗領域Hrの積層構造100は、積層方向に不純物元素の濃度分布を有する。例えば、高抵抗領域Hrの積層構造100では、活性層130又は電流狭窄層121が設けられた深さに不純物元素の濃度ピークを有していてもよい。活性層130又は電流狭窄層121が設けられた深さに不純物元素の濃度ピークが存在するように積層構造100に不純物元素が導入された場合、積層構造100には、所望の深さまでより確実に不純物元素が導入される。したがって、発光素子1では、より確実に積層構造100が高抵抗化され、高抵抗領域Hrが形成される。
【0037】
高抵抗領域Hrの積層構造100における不純物元素の濃度分布の一例を図3に示す。図3は、高抵抗領域Hrの積層構造100の積層方向における元素濃度の分布の一例を示すグラフ図である。
【0038】
図3に示すグラフ図は、不純物元素としてH(水素)を積層構造100に導入した場合の積層方向におけるH(水素)、Ga(ガリウム)、及びAl(アルミニウム)の元素濃度の分布の一例を示す。図3に示すグラフ図は、積層構造100の元素濃度を二次イオン資料分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)によって分析した結果の一例を示す。
【0039】
図3に示すグラフ図では、Gaの濃度が顕著に低下している領域が電流狭窄層121(より具体的には、電流狭窄領域121B)に相当し、Alの濃度が幅広く低下している領域が活性層130に相当する。したがって、活性層130を境にしてより浅い領域が第2の反射器120に相当し、活性層130を境にしてより深い領域が第1の反射器110に相当する。
【0040】
図3に示すように、積層構造100におけるHの元素濃度は、第2の反射器120を構成する多層膜反射鏡の各層のAl濃度差に起因するSIMSのマトリックス効果によって信号が振動しているものの、第2の反射器120側から深さ方向に向かって徐々に高くなり、電流狭窄層121又は活性層130が設けられた深さ付近でピークを取る。このような濃度分布で積層構造100にHが導入された場合、第2の反射器120側の積層構造100に十分なHが導入されるため積層構造100がより確実に高抵抗化される。
【0041】
このような高抵抗領域Hrを設けることによって、発光素子1では、第2電極パッド164及び第1電極パッド163に生じる寄生容量をより低減することができる。
【0042】
さらに、図4及び図5を参照して、高抵抗領域Hrが設けられる領域の一例について説明する。図4及び図5は、高抵抗領域Hrが設けられる領域の一例を示す発光素子1の上面図である。
【0043】
例えば、図4に示すように、高抵抗領域Hr1は、光射出部Em、及び分離層152を除いた領域に設けられてもよい。このような領域に高抵抗領域Hr1を設けることによって、発光素子1は、配線又は電極の各々に生じる寄生容量をより低減することができる。
【0044】
また、図5に示すように、高抵抗領域Hr2は、第2電極パッド164、第1電極パッド163、第1電極コンタクト142、143、及びこれらを電気的に接続する配線が設けられた領域に設けられてもよい。このような電流の経路となる領域に限って高抵抗領域Hr2を設けることによって、発光素子1は、より少ない量の不純物元素の導入にて効率的に配線又は電極の各々に生じる寄生容量を低減することができる。
【0045】
<2.作用効果>
続いて、本実施形態に係る発光素子1の作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る発光素子1では、第2電極パッド164、及び第1電極パッド163を介して、第2電極160と、第1電極141との間に所定の電圧が印加される。これにより、電流狭窄層121の電流注入領域121Aを通って活性層130に電流が注入され、活性層130にて電子と正孔との再結合による発光が生じる。活性層130から発せられた光は、第1の反射器110及び第2の反射器120で反射されることで、所定の波長にてレーザ発振を生じさせ、レーザビームとして光射出部Emから射出される。すなわち、本実施形態に係る発光素子1は、面発光型の半導体レーザとして機能する。
【0047】
ここで、本実施形態に係る発光素子1は、例えば、光ファイバーによる光通信の光源として用いられる。そのため、光通信の通信速度又は通信品質を向上させるためには、発光素子1では、変調速度などの高周波特性を向上させることが求められている。
【0048】
発光素子1の変調速度を向上させるためには、例えば、発光素子1の抵抗R及び容量Cによって定まるCR時定数を低減することで、発光素子1の電気的制限を低減することが考えられる。
【0049】
本実施形態に係る発光素子1では、少なくとも分離溝153の外側の第2電極パッド164、第1電極パッド163、及び第1電極コンタクト142、143が設けられる領域の積層構造100を高抵抗化することで、第2電極パッド164、及び第1電極パッド163等に生じる寄生容量を低減することができる。これによれば、発光素子1は、CR時定数を低減することができるため、変調速度などの高周波特性を向上させることができる。
【0050】
なお、分離溝153の内側の光射出部Emの外縁部の積層構造100を同様に高抵抗化することで、光射出部Emに生じる寄生容量を低減し、発光素子1の容量Cをさらに低減することも可能である。しかしながら、光射出部Emを含む分離溝153の内側の積層構造100を高抵抗化した場合、光射出部Emにて電流が流れる経路を狭めてしまうため、発光素子1の抵抗Rを上昇させてしまう。そのため、このような場合、発光素子1では、容量Cの低減が抵抗Rの上昇によって相殺されてしまうため、かえってCR時定数が増加してしまう。
【0051】
本実施形態に係る発光素子1では、光射出部Emを囲む分離溝153の外側の領域の積層構造100が高抵抗化される。これによれば、本実施形態に係る発光素子1は、発光素子1の抵抗Rの上昇を抑制しつつ、容量Cを低減することができる。
【0052】
<3.発光素子の製造方法>
次に、図6図10を参照して、本実施形態に係る発光素子1の製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る発光素子1の製造方法の流れを説明するフローチャート図である。図7図9は、本実施形態に係る発光素子1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。図10は、分離溝153、及び電流狭窄領域121Bの平面形状を示す平面図である。
【0053】
図6に示すように、まず、第1の反射器110、第1スペーサ層131、活性層130、第2スペーサ層132、電流狭窄層121、及び第2の反射器120を積層した積層構造100を有する基板140が用意され、積層構造100に分離溝153を形成するためのアライメントが行われる(S101)。基板140は、例えば、GaAs基板である。
【0054】
なお、積層構造100は、MOVCD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、III-V族化合物半導体を順次堆積することで形成することができる。III-V族化合物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMIn)、又はアルシン(AsH3)などが用いられる。n型不純物の原料としては、例えば、セレン化水素(H2Se)、又はジシラン(Si26)が用いられ、p型不純物の原料としては、例えば、ジメチル亜鉛(DMZ)、又は四臭化炭素(CBr4)が用いられる。
【0055】
次に、アライメントに従ってRIE(Reactive Ion Etching)が行われることで、図7に示すように、分離溝153が形成される(S103)。具体的には、パターニングされたレジストをマスクとするRIEによって、第2の反射器120、電流狭窄層121、第2スペーサ層132、活性層130、及び第1スペーサ層131と、第1の反射器110の上部とが選択的に除去されることで、分離溝153が形成される。分離溝153の平面形状は、例えば、図10に示すように、環状形状であってもよい。
【0056】
続いて、図8に示すように、分離溝153の側面から電流狭窄層121が酸化されることで、電流狭窄領域121Bと、電流注入領域121Aとが形成される(S105)。具体的には、水蒸気雰囲気中で高温での酸化処理が行われることで、分離溝153の側面から電流狭窄層121に含まれるAlが選択的に酸化される。これにより、図10に示すように、分離溝153の内側及び外側のそれぞれの周囲に酸化アルミニウム(Al23)を含む電流狭窄領域121Bが形成され、電流狭窄領域121Bで囲まれた内側の未酸化領域に電流注入領域121Aが形成される。
【0057】
次に、図9に示すように、分離溝153、及び分離溝153の内側の光射出部Emを覆うようにパターニングされたレジスト150をマスクとして、水素(H)などの不純物元素が積層構造100にイオン注入される(S107)。これにより、分離溝153の外側の領域の積層構造100が高抵抗化されることで、高抵抗領域Hrが形成される。
【0058】
続いて、レジスト150が除去された後、分離溝153の内部の光射出部Emに、電流注入領域121Aと対向する領域を開口した環状形状の第2電極160が形成される(109)。次に、RIEを用いることで、積層構造100の表面の一部領域に積層構造100を貫通する開口145が形成される(S111)。その後、積層構造100の表面、分離溝153の内側、及び開口145の内側の形状に沿ってSiNなどが成膜されることで、第1絶縁層144が形成される(S113)。
【0059】
続いて、開口145の内側の第1絶縁層144に開口部が設けられ、該開口部に第1電極コンタクト142が形成される。さらに、開口145の内側に第1電極コンタクト143が形成される(S115)。次に、分離溝153がベンゾシクロブテン(BCB)等の低誘電率樹脂で埋め込まれることで、分離層152が形成される(S117)。このとき、ベンゾシクロブテン等の低誘電率樹脂が分離溝153の外側の領域にも堆積されることで、パッド台部151が形成される。
【0060】
次に、積層構造100、分離層152、及びパッド台部151の表面形状に沿ってSiNなどが成膜されることで、第2絶縁層161が形成される(S119)。続いて、パッド台部151の上に、第2絶縁層161に設けられた開口部を介して、第2電極160と電気的に接続する第2電極パッド164と、第1電極コンタクト143と電気的に接続する第1電極パッド163とが形成される(S121)。
【0061】
さらに、第1電極パッド163、第2電極パッド164、及び第2絶縁層161を覆うようにSiNなどが成膜されることで、第3絶縁層162が形成される。なお、第3絶縁層162には、第1電極パッド163、及び第2電極パッド164の各々に対応した領域に開口が設けられる。
【0062】
さらに、基板140の積層構造100が設けられた第1面と反対側の第2面が適宜研磨されることで基板140が薄肉化される(S125)。その後、基板140の第2面に第1電極141が形成され(S127)、第1電極141は、合金化される(S129)。以上の工程により、本実施形態に係る発光素子1が製造される。
【0063】
なお、上記では、分離溝153の平面形状として環状形状を例示したが、本実施形態に係る発光素子1における分離溝153の平面形状は、上記例示に限定されない。以下では、分離溝153の平面形状のバリエーションについて、図11A図11Fを参照して説明する。図11A図11Fは、分離溝153、及び電流狭窄領域121Bの平面形状のバリエーションを示す平面図である。
【0064】
図11Aに示すように、分離溝153Aは、環状形状の中心を通る1つの直線で環状形状を2つに分割した形状で構成されてもよい。電流狭窄領域121Bは、分離溝153Aが設けられた領域の周囲に広がって形成されるため、分離溝153Aが連続して設けられていなくとも電流注入領域121Aを連続的に囲むように形成されることが可能である。これによれば、分離溝153Aは、内側に設けられる光射出部Emを外側の領域から電気的又は光学的に分離することが可能である。このような場合、高抵抗領域Hrは、例えば、分割された環状形状の外側の領域に設けられることになる。
【0065】
また、同様に、図11B及び図11Cに示すように、分離溝153B、153Cは、環状形状の中心を通る複数の直線で環状形状を4つ又は6つに分割した形状で構成されてもよい。電流狭窄領域121Bは、分離溝153B、153Cの分断部を越えて広がって形成されるため、分離溝153B、153Cについても電流注入領域121Aを連続的に囲むように形成されることが可能である。これによれば、分離溝153B、153Cは、内側に設けられる光射出部Emを外側の領域から電気的又は光学的に分離することが可能である。このような場合、高抵抗領域Hrは、例えば、分割された環状形状の外側の領域に設けられることになる。
【0066】
さらに、図11D図11Fに示すように、分離溝153D、153E、153Fは、対称的に設けられた複数の溝にて構成されてもよい。具体的には、分離溝153D、153E、153Fは、円周に沿って対称的に複数配置された円形状又は楕円形状の溝にて構成されてもよい。電流狭窄領域121Bは、分離溝153D、153E、153Fの各溝から等方的に広がって形成されるため、所定の間隔で設けられた各溝を互いに接続して、電流注入領域121Aを連続的に囲むように形成されることが可能である。このような場合、高抵抗領域Hrは、分離溝153D、153E、153Fの各々と外接する円の外側の領域に設けられることになる。
【0067】
すなわち、図11A図11Fに示すように、分離溝153は、電流狭窄領域121Bを電流注入領域121Aの周囲に連続的に設けることができれば、様々なバリエーションの平面形状で形成されることが可能である。このとき、高抵抗領域Hrは、分離溝153の平面形状の外接円の外側に設けられることで、上述した効果を奏することが可能である。
【0068】
以上、本開示にかかる技術を説明した。ただし、本開示にかかる技術は、上記実施の形態等に限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【0069】
さらに、各実施形態で説明した構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。たとえば、各実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素は、任意の構成要素として理解されるべきである。
【0070】
本明細書および添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるとして記載された様態に限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するとして記載された様態に限定されない」と解釈されるべきである。
【0071】
本明細書で使用した用語には、単に説明の便宜のために用いており、構成及び動作を限定する目的で使用したわけではない用語が含まれる。たとえば、「右」、「左」、「上」、「下」などの用語は、参照している図面上での方向を示しているにすぎない。また、「内側」、「外側」という用語は、それぞれ、注目要素の中心に向かう方向、注目要素の中心から離れる方向を示しているにすぎない。これらに類似する用語や同様の趣旨の用語についても同様である。
【0072】
なお、本開示にかかる技術は、以下のような構成を取ることも可能である。以下の構成を備える本開示にかかる技術によれば、発光素子は、電極又は配線に生じる寄生容量を低減することができる。よって、発光素子は、CR時定数を低減することができるため変調速度などの高周波特性を向上させることができる。本開示にかかる技術が奏する効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるわけではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
(1)
電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、
前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、
前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備え、
前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、
前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記活性層が設けられた深さにピークを有する
発光素子。
(2)
前記高抵抗領域には、前記活性層に電流を注入する電極、及び前記電極と電気的に接続する配線が設けられる、上記(1)に記載の発光素子。
(3)
前記射出面と、前記活性層との間には、前記第1方向と垂直な面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられる、上記(1)又は(2)に記載の発光素子。
(4)
前記酸化領域は、前記未酸化領域の周囲を連続して囲む、上記(3)に記載の発光素子。
(5)
前記分離溝の前記射出面からの掘り込み深さは、前記活性層が設けられた深さよりも深い、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の発光素子。
(6)
前記分離溝は、前記光射出部を囲む環形状の溝を含む、上記(1)~(5)のいずれか一項に記載の発光素子。
(7)
前記分離溝は、前記光射出部の周囲に互いに離隔されて対称的に配列された複数の溝を含む、上記(1)~(5)のいずれか一項に記載の発光素子。
(8)
前記高抵抗領域は、前記射出面から前記第1方向に前記活性層が設けられる深さよりも深く広がって設けられる、上記(1)~(7)のいずれか一項に記載の発光素子。
(9)
前記不純物元素は、H、C、B、O、Ar、Al、Ga、又はAsのいずれか1つ以上を含む、上記(1)~(8)のいずれか一項に記載の発光素子。
(10)
前記不純物元素の含有量は、5×1013個/cm以上である、上記(9)に記載の発光素子。
(11)
前記不純物元素は、Hである、上記(9)又は(10)に記載の発光素子。
(12)
前記不純物元素の含有量は、5×1014個/cm以上である、上記(11)に記載の発光素子。
(13)
前記射出面と、前記活性層との間には、前記射出面の面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられ、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記電流狭窄層が設けられた深さにピークを有する、上記(1)~(12)のいずれか一項に記載の発光素子。
(14)
前記第1の反射器、及び前記第2の反射器は、それぞれ多層膜反射鏡にて設けられる、上記(1)~(13)のいずれか一項に記載の発光素子。
(15)
前記活性層は、GaAs系半導体を含む、上記(1)~(14)のいずれか一項に記載の発光素子。
(16)
電流の注入によって発光する活性層と、前記活性層を挟んで第1方向に積層された第1の反射器、及び第2の反射器とを含む積層構造を有する光射出部と、
前記第1方向における前記積層構造からの光の射出面にて前記光射出部の周囲に対称性を有して設けられ、前記第1方向に前記積層構造を掘り込んだ分離溝と、
前記分離溝の前記射出面における最外周形状よりも外側の前記積層構造に設けられ、前記光射出部よりも電気抵抗が高い高抵抗領域とを備え、
前記高抵抗領域の前記積層構造は、不純物元素を含み、
前記不純物元素の含有量は、前記第1方向に分布を有し、
前記射出面と、前記活性層との間には、前記射出面の面内方向にて未酸化領域を環状の酸化領域で囲む電流狭窄層がさらに設けられ、
前記不純物元素の含有量の分布は、前記第1方向において、前記電流狭窄層が設けられた深さにピークを有する
発光素子。
【0073】
本出願は、日本国特許庁において2019年11月15日に出願された日本特許出願番号第2019-207371号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0074】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F