(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】調節可能な光源ホルダ、方向付け可能なスポットライト、及び前記調節可能な光源ホルダの製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240822BHJP
F21V 1/26 20060101ALI20240822BHJP
F21V 1/00 20060101ALI20240822BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240822BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21V1/26
F21V1/00 100
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021556403
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2020057087
(87)【国際公開番号】W WO2020187831
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファット アタ ムスターファ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウタース ハウベート
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボムメル ティース
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-116543(JP,U)
【文献】米国特許第05707144(US,A)
【文献】米国特許第06019477(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 1/26
F21V 1/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を収容するよう構成される、部分的に球形のシェルの形態の、内側部と、
部分的に球形のシェルの形態の、外側部であって、前記内側部を、前記外側部の所定の位置に係止するよう、前記内側部の前記部分的に球形のシェルを収容し、前記内側部の前記部分的に球形のシェルと相互作用するよう構成される
、外側部とを有する調節可能な光源ホルダであって、
前記内側部が、任意のチルト軸を中心に前記外側部に対してチルト可能であり、
前記内側部が、前記外側部に挿入中、一時的に弾性変形し得るように、前記外側部が、硬い材料で作成され、且つ前記内側部が、弾性材料で作成され、
前記内側部の外面及び/又は前記外側部の内面が、前記内側部と前記外側部との間の摩擦係合を供給するための粗い部分を有する調節可能な光源ホルダ。
【請求項2】
前記内側部の前記外面と前記外側部の前記内面との両方が、粗い部分を有する請求項1に記載の調節可能な光源ホルダ。
【請求項3】
前記内側部の前記粗い部分と、前記外側部の前記粗い部分とが、部分的に重なっている請求項2に記載の調節可能な光源ホルダ。
【請求項4】
粗い部分が、それぞれの面の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を占める請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調節可能な光源ホルダ。
【請求項5】
前記粗い部分が、リブ付きの、艶消しの、及び点付きの、構造又はテクスチャのうちの1つ以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の調節可能な光源ホルダ。
【請求項6】
調節可能な光源ホルダを製造する方法であって、
前記調節可能な光源ホルダが、
光源を収容するよう構成される、部分的に球形のシェルの形態の、内側部と、
前記内側部の前記部分的に球形のシェルを収容し、前記内側部の前記部分的に球形のシェルと相互作用するよう構成される、部分的に球形のシェルの形態の、外側部とを有し、
前記内側部が、任意のチルト軸を中心に前記外側部に対してチルト可能であり、
前記内側部の外面及び/又は前記外側部の内面が、前記内側部と前記外側部との間の摩擦係合を供給するための粗い部分を有し、
前記方法が、前記内側部が前記外側部の中に配置された状態での、前記内側部と前記外側部との同時熱溶解積層を有する方法。
【請求項7】
前記同時熱溶解積層が、前記内側部が前記外側部から分解されることができないように設計される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記内側部及び/又は前記外側部の前記粗い部分が、前記熱溶解積層中に形成される請求項6及び7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の調節可能な光源ホルダと、光源とを有する方向付け可能なスポットライト。
【請求項10】
前記調節可能な光源ホルダの前記外側部が、基板に固定して取り付けられる請求項9に記載の方向付け可能なスポットライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概念は、全般照明用途における方向付け可能な(directable)スポットライト用の調節可能な光源ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
方向付け可能な、全般照明の、スポットライトは、家庭の又は他の使用環境のために現在市販されており、例えば、天井、壁及び家具において見られ得る。一般に、これらのスポットライトは、スポットライトの所望の指向性照明プロファイルを達成するために、ネジ又は同様の固定手段を用いて光源を取り付けることによって構成される。しかしながら、ネジの使用は、スポットライトシステムに対する追加部品を必要とし、スポットライトシステムをより複雑にするだけでなく、スポットライトの方向転換を面倒且つ厄介にもする。これらの問題を考慮に入れると、この技術分野に改善の余地があることは明らかである。
【0003】
US-6019477は、非常用照明ユニットを開示している。前記ユニットは、円形開口部を備えるハウジングと、開口部内に収まる取付リングと、ランプが支持される半球シェルを備える照明ヘッドと、半球状取付部材とを有する。取付部材は、半球シェルのリブの間にあるよう配置される片持ち放射状指状部(cantilevered radial finger)を有する。放射状指状部は、照明ヘッドの半球シェルの表面を弾性的に支えるよう設計され、半球シェル及び放射状指状部のうちの少なくとも1つの係合面は、その間の摩擦係合の量を増加させるために、粗面化され得る、又は他の方法でテクスチャ付け(texture)され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の問題のうちの少なくとも幾つかを解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、調節可能な光源ホルダが提供される。前記光源ホルダは、光源を収容するよう構成される、部分的に球形のシェルの形態の、内側部と、前記内側部の前記部分的に球形のシェルを収容し、前記内側部の前記部分的に球形のシェルと相互作用するよう構成される、部分的に球形のシェルの形態の、外側部とを有する。前記内側部は、任意のチルト軸(tilt axis)を中心に前記外側部に対してチルト可能である。前記内側部は、弾性材料で作成される。前記内側部の外面及び/又は前記外側部の内面は、前記面のうちの他方との摩擦係合を供給するための粗い部分を有する。
【0006】
「部分的に球形のシェル」という表現によって、前記シェルの構造は完全に球形である必要はないことが示唆されている。更に、前記シェルは、完全なものではなく、物理的に前記シェル内に位置し得る構造物を完全には囲まないことが示唆されている。更に、前記外側部に対する前記内側部のチルトは、たった1つのチルト軸に限定されるものではなく、任意のチルト軸を中心に実施され得ることに留意されたい。即ち、前記内側部は任意のチルト軸を中心にチルトされ得ると言える。このことと、部分的に球形の形状とから、前記内側部は自由に方向付けられ得る。従って、従来技術においては多くの場合必要とされるような、前記内側部が、前記内側部のあらゆるチルトの前に回転されることを必要としない。しかしながら、本設計は、前記外側部に対する前記内側部の回転を可能にし得る。粗面部の使用は、前記内側部と前記外側部とを摩擦で係合させ、それらの間の相対的な向きを維持するのに役立つ。これは、前記内側部を力づくで方向付けること、及び力の作用がなくなった後も前記内側部が前記内側部の向きを維持することを可能にする。その故、向きを維持する機能を達成するためには固定ネジは必要とされない。更に、ユーザが手で直接前記内側部をチルトさせ得るので、前記内側部の方向転換は、工具なしで実施され得る。
【0007】
前記内側部の前記外面と前記外側部の前記内面との両方が、粗い部分を有してもよい。前記内側部と前記外側部との両方が互いに摩擦で係合するための粗面を有する場合は、前記内側部と前記外側部との間の摩擦のより優れた制御及びより均等に分布した摩擦を可能にし得る。
【0008】
前記内側部の前記粗い部分と前記外側部の前記粗い部分とが部分的に重なってもよい。これは、前記粗い部分の効果を更に高め、互いに係合するように適合される異なるタイプの粗い部分の使用を容易にするためである。前記粗い部分は、常に部分的に重なるよう適合されてもよい。前記粗い部分はまた、前記内側部、及び任意の最終的に収容される光源が、特定の及び/又は所定の角度又は方向の方へその向きを維持し得るように、前記面の特定の部分において部分的に重なるよう適合されてもよい。
【0009】
粗い部分は、それぞれの面の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を占めてもよい。これは、前記内側部及び前記外側部の表面積のより多くの部分が粗くされる場合に、前記粗い部分の、前記内側部と前記外側部とを摩擦で係合させる効果を高め得る。
【0010】
前記粗い部分は、リブ付きの(ribbed)、艶消しの(brushed)、及び点付きの(dotted)、構造又はテクスチャのうちの1つ以上であってもよい。様々な理由で、異なるタイプの粗い部分が望ましい場合がある。例えば、材料の選択及び製造方法は、どのようなタイプが最も最適であるか、又はその他の点で好ましいかに影響を及ぼし得る。
【0011】
第1態様による調節可能な光源ホルダにおいては、前記内側部は、弾性材料で作成される。他の例においては、前記外側部は拡張可能であってもよく、前記内側部は硬くてもよい。これは、これらの2つの部品が、別々に製造され、次いで、リッジ付きの(ridged)前記内側部を拡張可能な前記外側部に押し込むことによって組み立てられることを可能にする。前記外側部は、挿入中、加えられる力によって弾性的に拡張し、前記内側部が、存在し、前記外側部によって閉じ込められると、前記外側部の元の形に戻る。これは、前記内側部が依然として上記に従って方向付け可能であることを可能にしながら、前記内側部を所定の位置に固定し得る。前記拡張可能な外側部は、より多くの摩擦を供給し、前記内側部と前記外側部との間の相対的な向きを維持するために、前記内側部に比べてわずかに小さい寸法を特徴とするよう設計されてもよい。硬い前記内側部は、例えば、硬質ポリマで作成されてもよいが、硬質ポリマに限定されない。
【0012】
前述の代替構成においては、前記外側部は、弾性材料で作成されてもよい。これは、前記外側部が、弾性的に拡張し、前記内側部を受け入れることを容易にし得る。弾性材料は、十分に弾性であることを特徴とする任意の材料を含み得る。これは、天然ゴム及び合成ゴムのような材料を含むが、これらに限定されない。
【0013】
前述の代替構成においては、前記外側部は、前記外側部の壁が複数の壁セグメントにセグメント化されていることによって、前記外側部が拡張可能にされてもよい。前記外側部の壁がより小さなセグメントにセグメント化されていることは、これらが、別々に拡張し、前記内側部が挿入されたら、収縮して戻ることを可能にする。これは、幾つかの弾性材料に比べて、製造が複雑ではない、及び幾つかの環境における耐久性が優れているなどの利点を有し得る硬い材料も含むよう、前記外側部のために使用可能な材料のリストを拡大し得る。
【0014】
第1態様による調節可能な光源ホルダにおいては、前記内側部は、弾性材料で作成される。従って、前記内側部は、挿入中、一時的に弾性変形し得る。更に、前記弾性材料は、前記内側部と前記外側部との間の前記摩擦係合を増強し得る。
【0015】
前記内側部、前記外側部、及びそれぞれの部分の前記粗い部分は、全て同じ材料を有してもよいが、それらの材料組成が異なっていてもよい。使用され得る材料の幾つかの例は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ乳酸、高密度ポリエチレン、ポリフェニルスルホン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマ、天然ゴム、及び合成ゴムを含む。本質的に、前記内側部及び前記外側部は、任意の適切なポリマから成っていてもよい又は任意の適切なポリマを有してもよいだけでなく、様々な異なる材料から成っていてもよい又は様々な異なる材料を有してもよい。
【0016】
第2態様によれば、前記調節可能な光源ホルダを製造する方法が提供される。前記方法は、前記内側部が前記外側部の中に配置された状態での、前記内側部と前記外側部との同時熱溶解積層(concurrent fused deposition modelling)を有する。この方法は、前記調節可能な光源ホルダを本質的に1回で製造するために使用され得る。前記内側部及び前記外側部の組み立ては、もはや、加えられる力及び弾性変形に依存しないだろう。
【0017】
熱溶解積層法(FDM)は、広く使用されている積層造形技術である。FDMは、モデリング、プロトタイピング、及び生産の用途のために一般に使用されている。FDMは、材料を層状に配置することによる付加原理に基づいて機能し、プラスチックフィラメント又は金属ワイヤが、コイルから巻き出され、部品を製造するための材料を供給する。場合により(例えば熱可塑性物質の場合は)、フィラメントは、配置される前に、融解され、押し出される。FDMは、ラピッドプロトタイピング技術である。FDMについての他の用語は、溶融フィラメント製造(FFF)又はフィラメント3D印刷(FDP)であり、これらはFDMと同等のものであるとみなされる。一般に、FDMプリンタは、熱可塑性フィラメントを使用し、前記熱可塑性フィラメントは、その融点まで加熱され、次いで、層ごとに(又は、実際には、フィラメントを次々に)押し出されて、3次元物体を作成する。FDMプリンタは、相対的に高速で、低コストであり、複雑な3D物体を印刷するために使用されることができる。このようなプリンタは、幅広い用途のために様々なポリマを使用して様々な部品及び形状を印刷する際に使用される。
【0018】
前記同時FDMは、前記内側部が前記外側部から分解されることができないように実施され得る。これは、よりうまく前記内側部が前記外側部に収まることをもたらし得る。更に、分解が冗長な機能とみなされる場合には、弾性的に拡張又は変形する細部は不要になり得る。
【0019】
前記内側部及び/又は前記外側部の前記面の前記粗い部分を作成する様々な方法があり得る。例えば、粗い部分は、前記FDM中に形成されてもよい。FDMは、多くの場合、面が別の面と摩擦で係合するよう意図されている場合に有用であり得る固有の荒仕上げを伴うので、これは、実用的であり、相対的に労せず達成され得る。従って、前記方法は、本質的に、前記FDMを使用して前記内側部及び前記外側部の前記面の前記粗い部分を形成することを含んでもよい。例えば、互いに特異的に係合するよう適合及び最適化され得る面を作成する場合、設計された粗面特徴を有するオプションが更に使用され得る。
【0020】
第3態様によれば、第2態様の方法に従って製造される調節可能な光源ホルダが提供される。
【0021】
第4態様によれば、第1又は第3態様による調節可能な光源ホルダと、光源とを有する方向付け可能なスポットライトが提供される。光源は、例えば、LED又は他の固体照明、OLED(有機LED)を含み得るが、これらに限定されるべきではない。スポットライトシステムを組み立てるために、前記調節可能な光源ホルダに光源が取り付けられ得る。これは、ユーザのニーズに合うよう迅速に再構成されることができる指向性照明プロファイルを確立することを可能にし得る。
【0022】
前記方向付け可能なスポットライトの前記外側部は、基板に固定して取り付けられてもよい。この基板は、例えば、壁、天井、家具、及び車両の一部を含み得るが、これらに限定されない。前記システムは、前記基板に適合し得るのであればどこでも取り付けられ得る。前記基板は、平坦であってもよく、又は平坦でなくてもよく、前記システムは、前記基板に組み込まれ、照明されるべき部屋/領域に最小限に突出してもよい、又は全く突出しなくてもよい。
【0023】
本発明の更なる適用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになるだろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、本発明の範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになることから、説明として示されているに過ぎないことは理解されたい。
【0024】
従って、本発明は、記載されているデバイスの特定の構成部分には限定されないことは理解されるべきである。なぜなら、このようなデバイスは変更し得るからである。本明細書において使用されている用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、限定することを目的とするものではないことも理解されるべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されているような、単数形表記は、文脈が明らかに別段の規定をしていない限りは、要素の1つ以上が存在することを意味するよう意図されていることに留意されたい。従って、「ランプ」又は「前記ランプ」への言及は、幾つかのデバイスなどを含み得る。更に、「有する」、「含む」及び「含有する」という単語並びに同様の表現は、他の要素又はステップを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明の上記の及び他の態様についてより詳細に記載する。図は、本発明を特定の実施形態に限定するものとみなされるべきではなく、それよりむしろ、本発明を説明及び理解するために使用されるものである。
【
図1a】外側部と内側部とを有する調節可能な光源ホルダを図示する。
【
図1b】任意のチルト軸を中心にチルトされているときの、調節可能な光源ホルダの内側部の断面図を図示する。
【
図4】内側部の外面の粗い部分が、外側部の内面の粗い部分とどのように相互作用し得るかについての断面図を図示する。
【
図5】壁セグメントにセグメント化されている外側部の壁を図示する。
【
図6】基板に取り付けられる方向付け可能なスポットライトシステムであって、調節可能な光源ホルダに光源が取り付けられる方向付け可能なスポットライトを図示する。
【
図7】同時熱溶解積層によって調節可能な光源ホルダを製造する方法のフローチャートを図示する。
【
図8】内側部及び外側部の粗い部分がどのように実現され得るかについての様々な例を図示する。
【0026】
図において図示されているような層及び領域のサイズは、説明の目的のために誇張されており、従って、本発明の実施形態の大まかな構造を説明するために示されている。全体を通して、同様の参照符号は、同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明について以下により詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多様な形態で実施されることができ、本明細書において記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、もっと正確に言えば、これらの実施形態は、完全及び完璧を期すために示されており、本発明の範囲を当業者に十分に伝える。
【0028】
図1aにおいては、内側部110と外側部120とを有する調節可能な光源ホルダ100が図示されている。内側部110は、例えば全般照明用途のためのLED光源のような光源を収容するよう構成される。更に、内側部100自体は、外側部120のキャビティ内に収容され、このことは、
図1bにおいて示されているように、内側部110が、任意のチルト軸130を中心に外側部120に対してチルト可能であることを可能にする。内側部110は、2つ以上の任意のチルト軸130を中心に、様々な異なる向きに方向付けられ得る。従って、内側部110は、外側部120に対して自由に調節され得る。この結果として、調節可能な光源ホルダ100に取り付けられる光源の照明プロファイルを方向付け得る。
【0029】
図2に関連して、内側部100は、更に、部分的に球形のシェル214の形態のものであると説明される。内側部110は、完全な球形でもなく、完全に囲まれたシェルでもないものの、本質的に、部分的に球形のシェル214を形成する。内側部110は、外面212を更に有する。外面212は、外側部120の内面と相互作用するよう構成される。内側部100は、幾つかの実施形態においては、少なくとも部分的に球状の、マッシュルーム状の形態を有すると説明され得るが、決してこの外観に限定されるものではない。内側部110は、光源の取り付けのための少なくとも1つの開口部を備えるキャビティも含み得る。
【0030】
図3においては、外側部120も、部分的に球形のシェル324の形態のものであることが図示されている。外側部120は、内側部110の部分的に球形のシェル214を収容し、内側部110の部分的に球形のシェル214と相互作用するよう構成される。外側部は、内面322を更に有する。内面322は、内側部110の外面212と相互作用するよう構成される。上述のように、内側部110の外面212、及び外側部120の内面322は、互いに相互作用するよう構成される。特に、内側部110の外面212、及び外側部120の内面322は、それらの相対的な向きを維持するよう互いに摩擦で係合するよう構成される。
【0031】
図4に関連して図示されているように、内側部110の外面212と外側部120の内面120とが摩擦で係合するために、面212、322の一方又は両方が、それぞれの粗い部分416、426を有する。
図4において図示されている例においては、内側部110の外面212と外側部120の内面322との両方が、それぞれの粗い部分416、426を有する。しかしながら、内側部110の外面212のみが粗い部分426を有してもよい、又は外側部120の内面322のみが粗い部分416を有してもよいことは理解される。粗い部分(416、426)は、内側部(110)の外面(212)及び/又は外側部(120)の内面(322)の少なくとも70%を占め得る。好ましくは、適用範囲は、少なくとも90%がより好ましく、少なくとも95%が最も好ましい、少なくとも80%である。
【0032】
図4の例においては、粗い部分は互いに重なり合うよう示されている。これは、それらの摩擦係合を改善し得るしかしながら、他の例によれば、内側部110の外面212と外側部120の内面322との間の摩擦係合が達成される限り、粗い部分は、完全にも部分的にも重なり合う必要はない。粗い部分416、426は、部分的に球形のシェル214、324の球形部と関連して配置され得る。更に、粗い部分416、426は、それらが一部である面の材料とは異なる少なくとも1つの材料を有してもよい。好ましくは、粗い部分は、ゴム又はフルオロポリマを有してもよい。
【0033】
粗い部分416、426は、内側部110と外側部120との間の相対的な向きを維持するために、摩擦を供給する役割を果たす。幾つかの実施形態によれば、粗い部分416、426は、リブ付きの、艶消しの、又は点付きの構造又はテクスチャを含み得る。前記構造又はテクスチャは、面にわたって周期的に繰り返されるパターン又はランダムなパターンのいずれかに基づいていてもよい。本質的に、面を滑らかでなくする、非連続的な面の特徴又は特徴の組み合わせが、粗い部分416、426を形成し得る。
図4は、粗い部分416、426の誇張された粗さを示していることを言及しておく。
【0034】
示されている正確な周期性及び密な編み込みは、内側部110と外側部120とがどのように摩擦で係合され得るかの例を説明する役割を果たしているに過ぎない。
【0035】
図8は、粗い部分416、426を構成し得る様々な異なる構造を図示している。これらは、(i)表面粗さを有する一方の面、(ii)表面粗さを有する両方の面、(iii)表面粗さを有するが、異なる間隔で有する両方の面、(iv)表面粗さを形成する構造物の高さ/長さが様々な、表面粗さを有する一方の面、(v)高さ/長さが異なる表面粗さを有する両方の面、(vi)幅/半径が異なる表面粗さを有する両方の面、(vii)幅/半径が様々な、表面粗さを有する一方の面、及び(viii)間隔/ピッチが様々な、表面粗さを有する一方の面を含む。これらは、内側部110と外側部120との間に好ましい摩擦係合を供給し得る粗い部分416、426のための構造のほんの数例である。これらの構造及び更なる構造の任意の組み合わせが考慮され得る。
図8において図示されている表面粗さの相対的な寸法は誇張されていることにも留意されたい。
図8において図示されている例示的な面は縮尺通りではなく、粗さを形成する面上の構造物は、様々な長さ、幅及び間隔/ピッチを有してもよいことを説明するために見られるものに過ぎない。
【0036】
一般に、粗い部分の特徴の幅、半径、及び間隔は、0.4乃至6mmの範囲内であってもよい。粗い部分の特徴の高さは、一般に、0.2乃至0.4の範囲内であってもよい。実際の寸法は、これらの非限定的な範囲外であることが判明する場合があることを言及しておく。
【0037】
部分的に球形のシェルの形態の内側部110及び外側部120は、内側部110を外側部120に挿入することによって調節可能な光源ホルダ100が組み立てられるときに、同心円状に位置合わせするよう適合されてもよい。内側部110及び外側部120は、様々な異なる材料で作成され得る。例えば、内側部110及び外側部120は、硬質ポリマのような硬い材料で作成されてもよい。本発明は、弾性材料のような拡張可能な材料で作成される部品も提供する。例えば、外側部は拡張可能な材料で作成される一方で、内側部は硬い材料で作成されてもよい。これは、製造業者が、2つの部品を別々に形成し、内側部を外側部に力づくで挿入することによって、前記構造を組み立てることを可能にする。本発明によれば、内側部110が拡張可能な材料で作成され、外側部120が硬い材料で作成されてもよい。光源は熱を発生させる傾向があるので、内側部110及び外側部120のために耐熱性材料(thermally resistive material)が使用されてもよい。一般的な実施形態として、内側部110は、第1材料で作成され、外側部120は、第1材料とは異なる第2材料で作成されることが提供される。
【0038】
内側部110は、外側部120のそれぞれの部分的に球形のシェルの形態324の半径と比較してより大きな半径の部分的に球形のシェルの形態214を特徴とし得る。このようなわずかなオフセットであっても、拡張可能な又はそうでなければ変形可能な内側部110が絶え間なく摩擦で係合されることをもたらし得る。なぜなら、内側部110の弾性特性が、絶え間なく、内側部110を内側部110の元の大きさに戻すよう作用するからである。
【0039】
拡張材料を使用せずに拡張可能な外側部120を達成する異なるやり方は、
図5によって図示されており、外側部120の壁528が、複数の壁セグメント529にセグメント化されている。壁528をセグメント化することにより、個々の壁セグメント529は、連続した円を形成する場合と比較して、より弾性移動(elastic travel)を供給される。これは、弾性的に拡張/変形する外側部120のために硬い材料も使用することを可能にする。それでも、本質的に弾性的に拡張可能な/変形可能な材料は、セグメント化される壁を特徴とすることからも決して除外されないことに留意されたい。
図5においては、壁528は12個の壁セグメント529にセグメント化されているが、他の個数のセグメントは可能であり、範囲から除外されない。例えば、12個が最も好ましい個数であり得るが、12個より多く24個より少ない個数が2番目に好ましい選択肢であり、12個より少なく5個より多い個数が3番目に好ましい選択肢である。
図5は、壁セグメント529の間の壁528の突出部を提示している。突出部は、必須ではないが、そうでなければ拡張サイクルの繰り返し後に損傷を受け得る壁セグメント部分に安定性又はロバスト性を与え得る。
【0040】
調節可能な光源ホルダ100は、熱溶解積層法(FDM)を使用して製造されてもよい。或る実施形態によれば、
図7によって図示されているように、製造方法は、内側部110が外側部120の中に配置されている状態で、内側部110と外側部120とがFDMを使用して同時に形成されることを有してもよい。前記実施形態の或る変形例は、同時FDMが、内側部110が外側部から分解されることができないように設計され得ることを更に規定する。これは、FDMは複数の物体を底部から上へ形成し得ることから、なされ得る。前記内側部及び前記外側部は、例えば、一種の構造上のへその緒のように、互いに一時的に接続して形成されてもよい。しかしながら、この接続を構成する材料及び構造は、接続が断たれることができ、内側部110が依然として外側部120の中に配置されている状態で、前記内側部及び前記外側部が互いに対して再配向されることを可能にするように適合され得る。調節可能な光源ホルダ100は、部品110、120が同時に形成されるか否かにかかわらず、FDMを使用して製造されてもよいことに留意されたい。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、内側部110及び外側部120の粗い部分416、426は、FDM中に形成されてもよい。FDMは、材料を層状に堆積させる傾向があり、完成した物体の面に、FDM機器の分解能(resolution)に基づく固有の粗さをもたらす。調整可能な光源ホルダ100を形成するために、FDMに加えて、任意の他の3D印刷方法が使用されてもよいことも言及しておく。
【0042】
図6は、方向付け可能なスポットライトシステムの一部として使用中の調節可能な光源ホルダ100を図示している。光源640は、内側部110と外側部120との間の相対的な向きの変更により光源640及び光源640の照明プロファイルを方向付け可能にする調節可能な光源ホルダ100の内側部110に取り付けられる。光源640は、LEDベースの光源、白熱光源、蛍光光源及び様々な他のタイプの光源を含み得る。光源640は、バッテリによって給電されてもよく、システムが完全に自己充足型のもの(self-contained)になり得るように例えば光電池のような再充電のためのシステムを含んでもよい。しかしながら、光源640は光源640の背面を介して導電的に給電されるものが、より一般的な実施形態であり得る。
【0043】
方向付け可能なスポットライトシステムはまた、
図6において示されているように、調節可能な光源ホルダ100の外側部120によって基板650に固定して取り付けられてもよい。基板650は、建物の天井若しくは壁、又は家具を含み得るが、決してこれらの例だけに限定されるものではない。
【0044】
当業者には、本発明が、決して、上記の好ましい実施例に限定されないことは分かる。逆に、添付の特許請求の範囲内で多くの修正及び変更が可能である。
【0045】
例えば、調節可能な光源ホルダは、レンズ、全内部反射コリメータ、又は反射器などの光学要素を有してもよい。光学要素は、例えば、出力光をコリメートすることによって、光源からの光分布を狭め得る。コリメート光は、好ましくは40度未満の、好ましくは40度未満の、より好ましくは25度未満の、最も好ましくは15度未満の角度強度分布半値全幅(FWHM)を有し得る。このやり方においては、光源は、調節可能な光源ホルダと組み合わせて、出力光の、様々な方向への方向付けを可能にすることができ、出力光の焦点を様々な面及び/又は物体に合わせることができる。それによって、所望の照明プロファイルが得られ得る。
【0046】
更に、小さい角度又は空間強度分布を備える出力光は、内側部が外側部に対して中心に向けられている場合、光源ホルダに対して0度のところで最大強度を有し得る。内側部をチルトさせることにより、又は光学要素の影響により、最大出力光強度が発生する角度は、好ましくは少なくとも30度、より好ましくは少なくとも45度、最も好ましくは少なくとも60度であってもよい。
【0047】
更に、光学要素は、熱溶解積層法などの3D印刷技術を使用して製造されてもよい。光学要素は、調節可能な光源ホルダと一体化されてもよい、又は調整可能な光源ホルダに組み込まれてもよい。
【0048】
更に、調節可能な光源ホルダは、ドライバ及び/又はコントローラ及び/又はアンテナを有してもよい。光源に関連する電子機器及び/又は光学系は内側部に配設されてもよい。外側部は、球体以外の形状、例えば多角形の形状又は円柱形の形状を備える外部ハウジングによって遮蔽されてもよい。外部ハウジングは、外側部の一部であってもよい、又は完全に別の部品であってもよい。
【0049】
更に、調節可能な光源ホルダと一緒の使用が考慮される光源は、好ましくは、白色光を供給する。白色光は、好ましくは、黒体軌跡から10標準偏差カラーマッチング(SDCM)単位以内である。白色光は、好ましくは2200Kから6000Kまでの、より好ましくは2700Kから5000Kまでの、最も好ましくは2900Kから4100Kまでの範囲内の色温度を有する。演色評価数は、好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも85、最も好ましくは少なくとも90である。
【0050】
更に、当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する変形を、理解し、達成することができる。