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特許7542003傾斜した加熱チャンバを備えるエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】傾斜した加熱チャンバを備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240822BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021563162
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2020065739
(87)【国際公開番号】W WO2020245435
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】19179098.9
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボウチュイギア, レイス スリマン
(72)【発明者】
【氏名】プレヴニック, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】井上 紀彦
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049389(KR,A)
【文献】国際公開第2016/207407(WO,A1)
【文献】特開平07-147965(JP,A)
【文献】中国実用新案第206687174(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第03111787(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/20
A24F 40/46
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)であって、
本体(102)と、
前記本体(102)に収容され、細長いキャビティ(106)を有する加熱チャンバ(104)と、
前記本体(102)の外面(110)における開口部(108)であって、前記開口部(108)を通って、エアロゾル発生材料を含む基質担体(112)が、前記細長いキャビティ(106)の長手方向に延びるキャビティ軸(A)に沿って、前記加熱チャンバ(104)の前記細長いキャビティ(106)に挿入可能であり、前記開口部(108)の外周(128)は、前記開口部(108)の重心において開口面(E)に直交する開口部軸(J)を有する前記開口面(E)を規定する、開口部(108)と、
前記本体(102)の前記外面(110)の移動領域(B)において移動可能であるように配置されたユーザ操作要素(114)
前記本体(102)の前記外面(110)を形成する第1の端部(120)および前記第1の端部(120)の反対側の第2の端部(122)と、を備え、前記第2の端部(122)には前記開口部(108)及び前記ユーザ操作要素(114)が位置しており、
前記移動領域(B)は、少なくとも主に前記開口部(108)の一方の側に延び、
前記開口部軸(J)及び前記キャビティ軸(A)は両方とも、前記第1の端部(120)側から前記第2の端部(122)側へ向かうにつれて、前記移動領域(B)の重心において前記移動領域(B)に直交する移動領域軸(C)から離れるように傾斜してい
アロゾル発生装置(100)。
【請求項2】
前記キャビティ軸(A)が、0°<α≦45°の範囲の角度αだけ、前記移動領域軸(C)から離れるように傾斜している、請求項1に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項3】
前記キャビティ軸(A)と前記移動領域軸(C)とは、前記本体(102)の内側で交わる、請求項2に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項4】
前記ユーザ操作要素(114)は、前記本体(102)の前記外面(110)から突出している、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項5】
前記ユーザ操作要素(114)は、前記本体(102)に向かって移動可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項6】
前記ユーザ操作要素(114)は、前記ユーザ操作要素(114)が前記開口部(108)を覆う閉鎖位置と、前記開口部(108)が前記ユーザ操作要素(114)によって実質的に遮られていない開放位置との間で、前記開口部(108)に対して移動可能である、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項7】
前記ユーザ操作要素(114)は、前記本体(102)の前記外面(110)をスライド可能である、請求項1から4および6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項8】
前記ユーザ操作要素(114)は、円弧に沿って移動可能である、請求項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項9】
前記本体(102)は、前記第1の端部(120)と前記第2の端部(122)との間の方向に細長求項1から8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項10】
前記本体(102)の前記第2の端部(122)は、略凸状である、請求項1から9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項11】
前記第1の端部(120)と前記第2の端部(122)との間で、前記本体(102)の前記外面(110)は、第1の対向面の対(110a)と、第2の対向面の対(110b)とを有し、前記第1の対向面の対(110a)は、前記第2の対向面の対(110b)よりも大きい、請求項1から10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項12】
電力貯蔵部(126)を備え、前記電力貯蔵部(126)は細長く、電力貯蔵部(126)の長手方向に延びる電力貯蔵部軸(D)及び前記キャビティ軸(A)は、記第1の端部(120)に向かって互いに収束する、請求項1から11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項13】
前記基質担体(112)は細長く、前記細長いキャビティ(106)と同軸で配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)
【請求項14】
前記基質担体(112)は、前記細長いキャビティ(106)に完全に挿入されたときに前記開口部(108)から外側に突出している、請求項13に記載のエアロゾル発生装置(100)
【請求項15】
前記エアロゾル発生装置(100)が、前記ユーザ操作要素(114)の動きを検出する検出器と、前記動きの前記検出に応じて前記エアロゾル発生装置(118)の動作を制御するコントローラ(118)とを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、傾斜した加熱チャンバを有するエアロゾル発生装置に関する。本開示は、特に、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生装置に適用可能であるが、これに限定されるものではない。そのような装置は、タバコ又は他の好適な材料を、燃やすよりはむしろ、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して吸入用のエアロゾルを発生することができる。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気と使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及びローリングタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めようと望む常習的喫煙者を支援するための手助けとして、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、エアロゾル基質を加熱又は撹拌して吸入用のエアロゾル及び/又は蒸気を生成する様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
リスク低減装置又はリスク修正装置の1つのタイプは、加熱式基質エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式(heat-not-burn)装置である。このタイプの装置は、固体エアロゾル基質、典型的には湿った葉タバコを、典型的には100℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル及び/又は蒸気を発生させる。エアロゾル基質を燃焼させる又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる有毒で発癌性の副生成物は少ない、又は全く含まないエアロゾル及び/又は蒸気が放出される。
【0004】
既存のエアゾール発生装置はかなり小型でコンパクトになる傾向があり、このことによってエアゾール発生装置は使いづらくなり得る。例えば、使用時にエアロゾル基質が挿入される領域の近くに、装置を操作するためのボタンを設けると便利である。このような場合、ユーザが同時に装置から蒸気又はエアロゾルを引き出そうとするとき、ボタンにあるユーザの親指又は指が邪魔になる(例えば、ユーザの鼻にぶつかる)ことがある。他の例では、使用時にエアロゾル基質が挿入される開口部を選択的に覆ったり、覆わなかったりするスライド可能なカバーを設けてもよい。このようなカバーは、使用中にエアロゾル基質を装置に挿入するためにユーザによって動かすことができ、ユーザが装置から蒸気又はエアロゾルを引き出そうとするときに、カバーを操作するユーザの手又はカバー自体が邪魔になる(例えば、ユーザの鼻にぶつかる)ことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置であって、
本体と、
本体に収納され、細長いキャビティを有する加熱チャンバと、
本体の外面における開口部であって、この開口部を通ってて、エアロゾル発生材料を含む基質担体が、細長いキャビティの長さに沿って中心に延びるキャビティ軸に沿って、加熱チャンバの細長いキャビティに挿入可能である、開口部と
本体の外面の移動領域において移動可能であるように配置され、移動領域は、少なくとも主に開口部の一方の側に延びている、ユーザ操作要素と
を備え、
キャビティ軸は、移動領域から離れるように傾斜した開口部から延びる方向に沿っている、エアロゾル発生装置が提供される。
【0007】
移動領域から離れるように配向されるようにキャビティ軸を配置することによって、基質担体を加熱チャンバに挿入できる方向は、開口部の外側に他の配向よりも移動領域から大きな距離を置いて離間された経路をたどることができる。したがって、加熱チャンバはよりアクセスしやすくなる。さらに、加熱チャンバから突出し、使用時にユーザによって直接引き出される基質担体、又はさらには、ユーザが吸入するマウスピースの位置がキャビティ軸によって規定される他の配置のために、ユーザは、他の配置よりも、ユーザの顔を移動領域からさらに離して配置できてもよい。例えば、ユーザの口は開口部に近くてもよいが、ユーザの鼻は移動領域からさらに離れている。そのため、ある特定の実施例では、使用時に開口部から突出する基板担体の一部が、移動領域から離れるように傾斜し得るキャビティ軸の方向に沿って延びていてもよい。
【0008】
任意選択で、本体の外面の移動領域は、移動領域の重心に直交する移動領域軸を有し、キャビティ軸は、0°<α≦45°の範囲、好ましくは10°<α≦45°の範囲、より好ましくは15°<α≦35°の範囲、最も好ましくは約20°又は約30°に等しい角度αだけ、移動領域軸から離れるように傾斜している。
【0009】
任意選択で、キャビティ軸と移動領域軸とが本体の内側で交差しているか、又は交わっている。
【0010】
任意選択で、ユーザ操作要素は、本体の外面から突出する。
【0011】
任意選択で、ユーザ操作要素は、本体に向かって移動可能である。
【0012】
任意選択で、ユーザ操作要素は、ユーザ操作要素が開口部を覆う閉鎖位置と、開口部がユーザ操作要素によって実質的に遮られていない開放位置との間で、開口部に対して移動可能である。
【0013】
任意選択で、ユーザ操作要素は、本体の外面をスライド可能である。ユーザ操作要素は、円弧又は直線に沿って移動可能であり得る。
【0014】
任意選択で、エアロゾル発生装置は、ユーザ操作要素の動きを検出する検出器と、動きの検出に応じてエアロゾル発生装置の動作を制御するコントローラとを備える。
【0015】
任意選択で、本体は第1の端部と第2の端部との間で細長く、開口部及びユーザ操作要素は本体の第2の端部に配置されている。
【0016】
任意選択で、本体の第1の端部は、エアロゾル発生装置がその上に立つ平坦な部分を有する。
【0017】
任意選択で、本体の第2の端部は、平坦であるか、又は略凸状である。
【0018】
任意選択で、第1の端部と第2の端部との間で、本体の外面は、第1の対向面の対と、第2の対向面の対とを有し、第1の対向面の対は、第2の対向面の対よりも大きい。
【0019】
任意選択で、エアロゾル発生装置は、電力貯蔵部を備え、電力貯蔵部は細長く、その長さに沿って中心に延びる電力貯蔵部軸を有し、電力貯蔵部軸及びキャビティ軸は、本体の第1の端部に向かって互いに収束する。
【0020】
任意選択で、開口部の外周は開口面を規定し、細長いキャビティの中心軸は開口面に垂直な平面に対して傾斜している。
【0021】
任意選択で、基質担体は細長く、使用時に細長いキャビティと同軸に配置される。
【0022】
任意選択で、基質担体は、細長いキャビティに完全に挿入されたときに、開口部から外側に突出する。
【0023】
任意選択で、基質は、加熱時に基質から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含む。基質は、グリセリン及びプロピレングリコールなどの非タバコエアロゾル形成剤を含み得る。
【0024】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル発生装置であって、
本体と、
本体に収納され、細長いキャビティを備える加熱チャンバと、
本体の外面における開口部であって、開口部を通って、エアロゾル発生材料を含む基質担体が、細長いキャビティの長さに沿って中心に延びるキャビティ軸に沿って、加熱チャンバの細長いキャビティに挿入可能である、開口部と、
ユーザ操作要素が開口部を覆う閉鎖位置と、開口部がユーザ操作要素によって実質的に遮られていない開放位置との間で開口部に対して移動可能であるユーザ操作要素であって、ユーザ操作要素が開放位置にあるときは、ユーザ操作要素が外面の開放領域上に位置し、外面の開放領域は、開放領域の重心に直交する開放領域軸を有する、ユーザ操作要素と
を備え、
中心軸及び開放領域軸が、本体から離れる方向に、本体の外側で互いから発散する、エアロゾル発生装置が提供される。
【0025】
任意選択で、キャビティ軸と開放領域軸とが本体の内側で交わる。
【0026】
任意選択で、キャビティ軸は、0°<β≦45°の範囲、好ましくは10°<β≦45°の範囲、より好ましくは15°<β≦35°の範囲、最も好ましくは約25°又は約30°に等しい角度βで、領域軸から発散している。
【0027】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル発生装置であって、
本体と、
本体に収納され、細長いキャビティを備える加熱チャンバと、
本体の外面における開口部であって、開口部を通って、エアロゾル発生材料を含む基質担体が、細長いキャビティの長さに沿って中心に延びるキャビティ軸に沿って、加熱チャンバの細長いキャビティに挿入可能である、開口部と、
ユーザ操作可能要素が開口部を覆う閉鎖位置と、開口部がユーザ操作可能要素によって実質的に遮られていない開放位置との間で開口部に対して移動可能であるユーザ操作要素であって、ユーザ操作可能要素の開放位置は、ユーザ操作可能要素の閉鎖位置からベクトルの分だけ変位している、ユーザ操作要素と、
を備え、
ベクトルとキャビティ軸が位置する開口部から延びる方向との間の角度γは鈍角である、エアロゾル発生装置が提供される。
【0028】
任意選択で、角度γは、90°<γ≦135°の範囲、好ましくは91°<γ≦100°の範囲、より好ましくは約95°又は約100°に等しい。
【0029】
任意選択で、ユーザ操作可能要素は、円弧に沿って閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、ベクトルは円弧の弦である。
【0030】
上記態様はそれぞれ、上記の他の態様に関して述べられる任意の1つ以上の特徴を備えていてもよい。
【0031】
本開示は、本明細書に記載及び/又は図示される任意の新規の態様又は特徴にまで及ぶ。本開示のさらなる特徴は、他の独立請求項及び従属請求項によって特徴付けられる。
【0032】
本文書で用いられる「~を備える(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」を意味することに留意すべきである。そのため、「~を備える(comprising)」という用語を含む本文書の記述を解釈する際には、この用語が前置きされる1つ又は複数のそれ以外の特徴が存在していてもよい。「~を備える(comprise)」及び「~を備える(comprises)」などの関連用語も同様に解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、名詞の後に続く「(複数可)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0033】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧、又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること、及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化する、の意味は上記で定義した揮発する、噴霧する、及び気化させる、の各々と整合することに留意されたい。誤解を回避するために、エアロゾルは、噴霧された、揮発された、又は気化された粒子を含むミスト又は液滴を一貫して説明するために使用される。エアロゾルはまた、噴霧された、揮発された、又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は液滴も含む。
【0034】
好ましい実施形態を、あくまで一例として、添付の図面を参照してここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】閉鎖位置にユーザ操作要素を有する、第1の実施形態によるエアロゾル発生装置の概略斜視図である。
図2】ユーザ操作要素が開放位置にある、図1のエアロゾル発生装置の概略斜視図である。
図3】ユーザ操作要素が開放位置にあり、基質担体が挿入されている、図1のエアロゾル発生装置の概略斜視図である。
図4】第1の幾何学的配置を示す、図1のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図5A】、
図5B】第1の幾何学的配置を示す、それぞれユーザ操作要素が閉鎖位置及び開放位置にある、図1のエアロゾル発生装置の概略平面図である。
図6】第2の幾何学的配置を示す、図1のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図7A】、
図7B】第2の幾何学的配置を示す、それぞれユーザ操作要素が閉鎖位置及び開放位置にある、図1のエアロゾル発生装置の概略平面図である。
図8】第3の幾何学的配置を示す、図1のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図9】さらなる幾何学的関係を示す、図1のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図10】第1の幾何学的配置を示す、第2の実施形態によるエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図11】第2の幾何学的配置を示す、図10のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図12】第3の幾何学的配置を示す、図10のエアロゾル発生装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
第1の実施形態
本開示の第1の実施形態による図1を参照すると、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の様々な構成要素を収容する本体102を備える。本体102は、本体102の形状を規定する外面110を含む。外面110は、エアロゾル発生装置100の記載されている構成要素に嵌まるようにサイズ決めされている限り、任意の形状であり得る。外面110は、任意の好適な材料、又は実際には材料の層で形成することができる。外面110のサイズ及び形状は、ユーザがエアロゾル発生装置100を便利且つ快適に保持するために選択される。
【0037】
エアロゾル発生装置100は、図1の下方に示され、便宜上、エアロゾル発生装置100の底部、基部、又は下側端部として記載されている第1の端部120を有する。第1の端部120とは反対側にあるエアロゾル発生装置100の第2の端部122は、図1の上の方に示され、便宜上、エアロゾル発生装置100の上端部又は上側端部として記載されている。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生装置100を、第1の端部120を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置に、並びに第2の端部122を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置に配向する。
【0038】
本体102は、(第1の端部120及び第2の端部122に加えて)第1の対向面の対110a及び第2の対向面の対110bを有し、これらは、集合的に外面110の側面を形成し、エアロゾル発生装置100の第1の端部120及び第2の端部122と協働して外面110を形成する。第1の対向面の対110aは、第2の対向面の対110bよりも大きく、その結果、本体102は、概ね幅広の又はタブレット形状を有する。第2の端部120は、エアロゾル発生装置100を表面に直立して(すなわち、第2の端部122が最上部分となるように)置くことができるように、例えば扁平な部分を有する。図1に示す本体102は、本体102の第1の端部120と第2の端部122との間の方向に細長い。
【0039】
第2の端部122は、ユーザ操作要素114を含む。本実施形態では、ユーザ操作要素114は蓋であり、図1では閉鎖位置で、図2では開放位置で示されている。ユーザ操作要素114は、本体102に対してスライドすることにより、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であるように配置されている。典型的には、ユーザ操作要素114は、閉鎖位置から開放位置に移行するとき、及び開放位置から閉鎖位置に移行するときに、エアロゾル発生装置100の第2の端部122に沿ってスライドする。他の実施形態では、ユーザ操作要素114の開放位置と閉鎖位置との間の動きは、回転式又はヒンジ式であり得る。図1及び図2に示すように、本体102の第2の端部122は、湾曲したプロファイルを有しており、そのため、ユーザ操作要素114は、開放位置と閉鎖位置との間で、湾曲した経路に沿って移動する。
【0040】
ユーザ操作要素114は、ユーザ操作要素114が2つの位置間の任意の点で安定して静止できるように、開放位置と閉鎖位置との間で自由に移動可能であってもよい。他の実施例では、ユーザ操作要素114は、ユーザ操作要素114が開放位置及び閉鎖位置では安定しているが、開放位置と閉鎖位置との間の(中間)位置からは離れて、開放位置又は閉鎖位置のいずれかに向かって付勢されるように、双安定であってもよい。通常、双安定である場合、ユーザ操作要素114は、開放位置に最も近い中間位置の範囲から開放位置に向かって付勢される、閉鎖位置に最も近い中間位置の範囲から閉鎖位置に向かって付勢される。
【0041】
図2から見てとれるように、ユーザ操作要素114の開放位置がそのように呼ばれるのは、この位置ではユーザ操作要素114が開口部108を覆っておらず、開口部108がユーザ操作要素114によって実質的に遮られていないためである。開口部108は、エアロゾル発生装置100の外面110に設けられる。開口部は、外周128を有し、外周128は外面110に接する。開口部108によって、(図示されているように開口部108が覆われていないときに)ユーザがエアロゾル発生装置100の内部にアクセスすることが可能になる。特に、開口部108は、エアロゾル発生装置100の外部を加熱チャンバ104の内部につなげている(図2には示されていないが、例えば、図4を参照のこと)。開口部108は、典型的には円形であるが、開口部108が別の形状、例えば、正方形又は三角形を有していてもよいことが理解されるであろう。
【0042】
図3は、使用時のエアロゾル発生装置100を示す。見てとれるように、基質担体112は、開口部108に挿入され得る。基質担体112は、典型的には(図示されているように)細長く、開口部108を通って加熱チャンバ104内へと挿入される第1の端部を有する。基質担体112の第1の端部は、エアロゾル基質の1つ以上の成分が揮発するように加熱されるように構成されたエアロゾル基質を含む。エアロゾル基質は、典型的には、揮発性化合物を含有するタバコ含有材料を含み得る。エアロゾル基質は、固体又は半固体材料であり得る。固体の例としては、粉末、顆粒、ペレット、破片、より糸、発泡体、ムース、シートが挙げられる。エアロゾル基質は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセロール、プロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ若しくは非タバコ揮発物などの他の香味化合物を含み得る。エアロゾル基質は、一般に、加熱時に、ユーザが吸入可能な蒸気を含むエアロゾルを形成する。基質担体112は、その第1の端部とは反対側に、ユーザが蒸気又はエアロゾルを引きこむことができる第2の端部を有する。(エアロゾル基質を含む)第1の端部と第2の端部との間には、蒸気を凝縮する領域、蒸気を冷却する領域、蒸気を濾過する領域などがあってもよい。いくつかの実施例において、単純に中空チューブがあってもよい。いずれにしても、ユーザは、基質担体112を通して、基質担体112の第2の端部から蒸気又はエアロゾルを引き込む。これは、典型的には、ユーザが基質担体112の第2の端部の周りに唇を置き、基質担体112を通して吸うことによって達成される。エアロゾル発生装置100が、基質担体112の第1の端部でエアロゾル基質を加熱して蒸気又はエアロゾルを形成しているとき、ユーザはこのようにしてエアロゾル又は蒸気を吸入することができる。
【0043】
ユーザ操作要素114が丸みを帯びた突出部を含み、この突出部は、エアロゾル発生装置100の第2の端部122から上向きに(又は概して本体102から離れるように)突出していることが図3から見てとれる。基質担体112の第2の端部(エアロゾル発生装置100から突出している端部)の周りに唇を置こうとするユーザには、突出部が鼻に干渉するおそれがある。これはユーザに苛立ち又は不快感を引き起こし得る。しかし、図3に示すように、開口部108を通ってエアロゾル発生装置100に挿入されたときの基質担体112は、開放位置にあるときに、ユーザ操作要素114の位置から離れるように傾斜している。これにより、基質担体112の第2の端部が突出部から離れる方向に配向され、ユーザが基質担体112の第2の端部に唇を置いたときに、ユーザの鼻のための空間ができる。
【0044】
エアロゾル発生装置100の構成要素の配置は、エアロゾル発生装置100の断面図が示されている図4により詳細に示されている。加熱チャンバ104は、細長いキャビティ106を有し、細長いキャビティ106は、細長いキャビティ106の長さに沿って中心に延びる、図中でA-Aと表された線によって示されるキャビティ軸Aを有する。キャビティ軸Aは、図3を参照して上述した傾斜配置を規定するために使用することができる。図4には基質担体112が示されていないが、それにもかかわらず、エアロゾル発生装置100は、加熱チャンバ104(及びキャビティ軸A)が傾斜していることによって、基質担体112が加熱チャンバ104に挿入されたときに、基質担体112がユーザ操作要素114の開放位置から離れるように傾斜することが確実になるように配置されることが見てとれる。この点に関して、細長いキャビティ106は、開口部108を通って加熱チャンバ104に挿入される基質担体112の傾斜角度を規定するためのガイドのように機能する。基質担体112が細長い、直線状及び/又は棒状であることも、この配置に役立つ。
【0045】
ユーザ操作要素114は、図中でB-Bで表された線によって断面図で示される移動領域B内でスライドする。ユーザ操作要素114は、開放位置と閉鎖位置との間を移動するために、図示した実施形態では円弧である経路に沿って移動する。エアロゾル発生装置100の第2の端部122は、略凸状であり、凸状の形状は、ユーザ操作要素114が沿ってスライドする円弧を決定する。
【0046】
キャビティ軸Aは移動領域Bから離れるように傾斜していることが図4で見てとれる。図5A及び図5Bは、エアロゾル発生装置100の第2の端部122の平面図を示しており、これにより、移動領域B(図5A及び図5Bでは網掛け領域として示されている)は、ユーザ操作要素114がその移動範囲内で重なるすべての領域を包含することが見てとれる。移動領域Bは、他の特徴が移動領域Bと重ならないところでは破線で縁取られて示されている。例えば、図5Aでは、移動領域Bの下部はユーザ操作要素114(実線として示され、その閉鎖位置にある)と重なっているが、移動領域Bの上部は破線として示され、ユーザ操作要素114がその開放位置(図5Bでは開放位置が示されている)に移動した場合に占めるであろう位置の外側の範囲を示している。
【0047】
実質的に、移動領域Bは、ユーザ操作要素114が閉鎖位置(図5Aに示す)と開放位置(図5Bに示す)との間を移動するときに、ユーザ操作要素114の下にあるエアロゾル発生装置100の外側の領域であり、ユーザ操作要素114が閉鎖位置及び開放位置のそれぞれにあるときにユーザ操作要素114によって覆われる領域を含む。ユーザ操作要素114の動きは、移動領域Bが(図5A及び図5Bの上部に向かう)開口部108の一方の側に主に位置するようなものである。キャビティ軸Aは、図4に示すように、移動領域Bが主に位置する開口部108の側から離れるように傾斜している。
【0048】
移動領域Bの重心は、移動領域Bの幾何学的中心である。移動領域Bは、移動領域Bの重心における移動領域Bの法線として規定される、図中でC-Cで表された線によって示される移動領域軸Cを有する。移動領域軸Cは、重心を通って、その時点でのエアロゾル発生装置100の外面110に垂直に、又は移動領域Bに直交して延びる。図4に戻ると、キャビティ軸Aが移動領域軸Cから離れるように傾斜していることが見てとれる。キャビティ軸A及び移動領域軸Cは、角度αだけ互いに離れて傾斜している。角度αは、図示した実施形態では約20°であることが示されている。より一般的には、角度αは、15°<α≦35°の範囲にある。他の実施形態では、角度αは、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、10°<α≦45°の範囲、又はさらには0°<α≦45°の範囲にあってもよい。角度αの大きさは、ユーザが(所定の長さの)基質担体112の第2の端部の周りに自分の唇を置き、自分の鼻(又は顔の他の部分)がユーザ操作要素114と接触することなく、基質担体112を通して蒸気又はエアロゾルを引き出せるように、キャビティ軸Aが移動領域Bから離れるように十分に傾斜させるように選択され得る。
【0049】
角度αは、加熱チャンバ104がエアロゾル発生装置100の本体102を、例えば、外面110の第2の面の対110bの間に延びる方向、又はエアロゾル発生装置100の長さ(第1の端部120と第2の端部122との間)に垂直な方向に大きく突出し過ぎないように、選択することもできる。これにより、エアロゾル発生装置100が、審美的に好ましく、ユーザがしっかりと握りやすい、例えば幅が広過ぎないサイズ及び形状を有するのに役立ち得る。角度αの正確な値は、エアロゾル発生装置100を、ユーザ操作要素114のサイズ及び形状、並びに外面110の所望の形状及びサイズに適応させるように選択することができる。
【0050】
図4には、電力貯蔵部126も示されている。電力貯蔵部126は、本実施形態では、上記のように、加熱を引き起こし、それによってエアロゾル基質の一部を揮発させるために、加熱チャンバ104のヒータ(図示せず)に電力を供給するための電池である。電力貯蔵部126が電池である実施形態では、加熱チャンバ104は、電気ヒータ(図示せず)を備え得る。電力貯蔵部126は、コントローラ118を介して加熱チャンバ104に電気接続される。コントローラ118は、例えば、急速な初期加熱を確実にして、起動から、ユーザが基質担体112で引き込むことができる十分な蒸気又はエアロゾルが発生するまでの時間(最初に吸うまでの時間として知られている)を短縮するために、ヒータの加熱プロファイルを調節するように機能することができる。さらに又は代わりに、コントローラ118は、例えば、加熱チャンバ104から温度情報を受信し、所定の閾値温度以下に温度を維持するように動作することによって、エアロゾル基質の過熱を防止するように機能してもよい。
【0051】
図4に示すように、電力貯蔵部126は、略円筒形状を有している。図中でD-Dで表された線によって示される電力貯蔵部軸Dは、電力貯蔵部126の中心に沿って長さ方向に延びており、したがって、本実施形態では、円筒形状の中心軸である。図面で見てとれるように、キャビティ軸Aは電力貯蔵部軸Dに対して傾いている。より具体的には、図示されているように、キャビティ軸A及び電力貯蔵部軸Dは、本体102の第1の端部120に向かって互いに収束している。図示した実施形態では、キャビティ軸Aは、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとの間の角度αよりも大きな角度で電力貯蔵部軸Dに対して傾斜している。換言すると、電力貯蔵部軸Dは、これらの2つの軸C、Dがエアロゾル発生装置100から、第2の端部122の外側に向かって延びるときに発散するように、移動領域軸Cと角度を成す。しかしながら、いくつかの実施形態では、電力貯蔵部軸Dは、代わりに、移動領域軸Cと平行である。このような実施形態は、本体102が第2の端部122に向かって外側に広がらず、且つ/又はその長さに沿って均一な断面形状を有することができ、例えば、それによって、本体102が卵形の円筒などであり、したがってエアロゾル発生装置100を保持するユーザの快適性を向上させるように、例えば、本体102の幅を第2の端部122に向かって小さくするために有益であり得る。
【0052】
エアロゾル発生装置100の第1の端部120に向かうキャビティ軸A及び移動領域軸Cの延長線は、本体102の内側で交わることに留意されたい。しかしながら、これは必ずしもそうではなく、いくつかの実施形態では、例えば、角度αが図4に示されるよりも小さい場合には、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとは本体102の外側(例えば、第1の端部120の下)で交わる。同様に、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとが交わらないが、単にそれぞれが本体102内又は本体102外の長さに沿って、互いに最も接近した、例えば「交差」する点を有するだけで、実際には出会わないこともあり得る。これは、エアロゾル発生装置100の形状の対称性が小さい場合、特に、キャビティ軸Aと移動領域軸Cが平行な平面にあるような場合であり得る。同様に、図示した実施形態において、第1の端部120に向かって延びたときに、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとが交わる。図示した実施形態では、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとが交わるためには、第1の端部120よりも下方に延ばされなければならない。換言すれば、その交点は本体102の外側にある。他の実施形態では、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとの交点は、本体102の内側にある。これは、加熱チャンバ104及び/又は電源126の傾斜角度を変えることによって変更することができる。繰り返しになるが、対称性が小さい場合、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとは交わるのではなく、代わりに、上記の意味で単に「交差」してもよい。
【0053】
図6図7A及び図7Bを参照すると、エアロゾル発生装置100の幾何学的形状は、開放位置におけるユーザ操作要素114の位置を参照しながら異なるように説明することができる。ユーザ操作要素114の開放位置は、断面図では図6のF-Fと表された線によって、また平面図では図7A及び図7BのFと表された網掛け領域によって示される開放領域Fを規定する。図6のG-Gと表される線によって示される開放領域軸Gは、開放領域Fの重心を通り、その点で外面110に垂直な線、又は開放領域Fに直交する線として規定される。開放領域Fの重心は、開放領域Fの幾何学的中心である。開放領域Fは、開放領域Fの重心において開放領域Fの法線として規定される、図面でG-Gと表される線によって示される開放領域軸Gを有する。図7A及び図7Bで最も明確に見てとれるように、開放領域Fは、開放位置におけるユーザ操作要素114の「占有面積」である。
【0054】
開放領域Fは、破線で縁取られて示されており、そこでは開放領域Fに他の特徴が重なっていない。例えば図7Aでは、ユーザ操作要素114は、図7Aの下部寄りの閉鎖位置にて実線として示されている。対照的に、開放領域Fは、ユーザ操作要素114と同じ形状及びサイズを有するが、図7Aの上部寄りに位置する網掛け領域を縁取る破線として示されている。開放領域は、ユーザ操作要素114が開放位置にあるときに、ユーザ操作要素114が重なる領域を包含する。すなわち、開放領域Fは、ユーザ操作要素114がその開放位置に移動されたときに占めるであろう位置を示す。図7Bでは、ユーザ操作要素114が開放位置で示されており、ユーザ操作要素114は(定義上)開放領域Fに重なっている。事実上、開放領域Fは、ユーザ操作要素114が開放位置にあるときのユーザ操作要素114の下にあるエアロゾル発生装置100の外側の領域である(そのため、図7Bでは、開放領域Fとユーザ操作要素114は、互いに正確に一致している)。
【0055】
開放領域Fは、開口部108の一方の側寄りに(図7A及び図7Bの上部寄りに)位置していることは明らかである。これに対応して、開放領域Fを規定する際には、開放位置におけるユーザ操作要素114の位置のみが考慮されるため、開放領域軸Gは、開口部108のこの側(図7A及び図7Bの上部寄り)に位置する。図6図7A及び図7Bで見てとれるように、加熱チャンバ104(及び対応するキャビティ軸A)は、開放領域Fから離れて傾斜している。換言すれば、開放領域軸G及びキャビティ軸Aは、エアロゾル発生装置100の第2の端部122から外側に向かう方向へと、本体102の外側で互いから発散している。図示した実施形態では、開放領域軸Gとキャビティ軸Aとの間の角度βは、約25°である。より一般的には、角度βは、15°<β≦35°の範囲にある。他の実施形態では、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、角度βは、10°<β≦45°の範囲、又はさらには0°<β≦45°の範囲にあり得る。上述したように、様々な理由(人間工学的理由、実用的理由、審美的理由など)で異なる配置を実施するために、異なる傾斜角度が選択され得る。
【0056】
場合によっては、エアロゾル発生装置100の第1の端部120に向かうキャビティ軸A及び開放領域軸Gの延長線は、本体102の内側で交わる。しかし、これは必ずしもそうではなく、いくつかの実施形態では、キャビティ軸Aと開放領域軸Gとの間の角度βが図6に示されるよりも小さい場合などに、キャビティ軸Aと開放領域軸Gとは本体102の外側(例えば第1の端部120の下)で交わる。同様に、キャビティ軸Aと開放領域軸Gとが交わらないが、代わりに、単にそれぞれが本体102内又は本体102外の長さに沿って、互いに最も接近する、例えば「交差」する点を有するが、実際には出会わないこともあり得る。これは、エアロゾル発生装置100の形状の対称性が小さい場合、特に、キャビティ軸A及び開放領域軸Gが平行な平面上にあるような場合であり得る。
【0057】
同様に、図示した実施形態において、第1の端部120に向かって延びたときに、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとが交わる(図6には示されていないが、図4参照)。もう一度繰り返すが、この交点は本体102の外側にある。他の実施形態では、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dとの交点は、本体102の内側にある。これは、加熱チャンバ104及び/又は電源126の傾斜角度を変えることによって変更することができる。繰り返しになるが、対称性が小さい場合、キャビティ軸Aと電力貯蔵部軸Dは、交わるのではなく、代わりに、上記の意味で単に「交差」してもよい。
【0058】
図8を参照すると、エアロゾル発生装置100の幾何学的形状は、ユーザ操作要素114の変位を参照しながら説明することもできる。図8では、ユーザ操作要素114の閉鎖位置と、ユーザ操作要素114の開放位置との間にベクトルHが描かれている。ユーザ操作要素114は、閉鎖位置と開放位置との間を曲線経路で移動するため、図8では、ベクトルHの端点を一義的に規定するために、ユーザ操作要素114の側面図の重心が用いられる。開放位置と閉鎖位置との間のユーザ操作要素114の移動は円弧であるため、ベクトルHは、この円弧の弦である。他の場合には、ベクトルHの始点及び終点を一義的に規定するために、ユーザ操作要素114の体積の重心が用いられ得る。別のさらなる場合には、ユーザ操作要素114が閉鎖位置にあるときにキャビティ軸Aと交わるユーザ操作要素114の外面上の点が、ベクトルHの始点及び終点を一義的に定義するために用いられ得る位置である。
【0059】
ベクトルHは、キャビティ軸Aと交わるように後方(図8の閉鎖位置の左側)に延び得ることが図面で見てとれる。角度γは、ベクトルHとキャビティ軸Aとの間で形成される。この角度γは、ベクトルHとキャビティ軸Aがある開口部108から延びる方向との間の角度である。角度γは鈍角である。図示した実施形態では、角度γは、約95°である。より一般的には、角度γは、91゜<γ≦100゜の範囲にある。他の実施形態では、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、角度γは、90°<γ≦135°の範囲にあり得る。上述したように、様々な理由(人間工学的理由、実用的理由、審美的理由など)で異なる配置を実施するために、異なる傾斜角度が選択され得る。
【0060】
本定義では、角度γの大きさは、加熱チャンバ104及びキャビティ軸Aの傾斜だけでなく、エアロゾル発生装置100の第2の端部122の曲率、及びユーザ操作要素114が横断する第2の端部122の曲線の周りの角距離にも依存し、曲線がきついほど、またユーザ操作要素114が曲線に沿って移動する距離が大きいほど、他が同じであれば、角度γは大きくなる。上述したように、ベクトルの始点及び終点に同じ点が使用される限り、ベクトルHを規定するために、重心の代わりにユーザ操作要素114の別の点を用いることが可能である。ユーザ操作要素114が開放位置と閉鎖位置との間を移動するときにとる曲線経路のため、重心以外の点を選択した場合、ベクトルHの方向及び長さは変化する。しかしながら、これは、角度γ(鈍角でなくてもよい)の値に適切な修正を加えれば、傾斜の幾何学的記述の妥当性に影響しない。
【0061】
図9では、エアロゾル発生装置100の構成要素のさらなる幾何学的関係が強調されている。ここでは、開口部108の外周128は、図中でE-Eで表された線によって断面図で示される開口面Eを規定するものとして示されている。つまり、開口部の外周128を規定する開口部108のエッジ(複数可)は、開口面Eにある。換言すれば、開口部108の方を見たときに見てとれるように、開口部108の周辺128から2次元形状、典型的には円が形成され得る。この2次元形状は、開口部104によって規定される平面である開口面Eにある。当然ながら、本実施形態の変形例では、開口部108の外周128が非平面形状、例えば、1つ又は複数の方向に湾曲した曲面を規定することも可能である。
【0062】
開口面Eは、開口部108の中心(例えば重心)を通って、開口面Eに垂直な又は直交して延びる、図8においてJ-Jで表される線によって示される開口部軸Jを規定する。図示した実施形態では、開口部軸Jがキャビティ軸Aと一致していないことは明らかである。代わりに、開口部軸J及びキャビティ軸Aは、開口部108の重心における交点から、エアロゾル発生装置100から離れる方向へと、互いから本体102の外側へと発散している。換言すれば、キャビティ軸Aは、開口部軸Jに対して傾斜している。この配置は、加熱チャンバ104の傾斜(キャビティ軸Aの方向で具現化される)を、開口部108が外面110に形成される時点(Jの方向によって具現化されるが、これは、開口部が周囲の外面110と同一平面になるように覆われた場合に、開口部108の重心における外面110に対して直交する軸と考えることができる)での外面110の形状及び配向から切り離すことに留意されたい。換言すれば、加熱チャンバ104は、外面110が任意の特定の形状であることも、又は任意の特定の配向を有することも要求しない。具体的には、キャビティ軸Aは、外面110に直交している必要はない。移動領域B、移動領域軸C、開放領域F、開放領域軸G及び/又はベクトルHに対するキャビティ軸Aの傾斜を参照することによって上記で定義した幾何学的形状は、角度の大きさが異なるが、移動領域B、移動領域軸C、開放領域F、開放領域軸G及び/又はベクトルHに対する開口面E又は開口部軸Jの傾斜を参照して、すべて同様に定義することができる。
【0063】
当然ながら、本実施形態の変形例では、開口部108の外周128によって規定される開口面Eが、2次元又は平坦ではなく、非平面形状、例えば、1つ又は複数の方向に湾曲した曲面であることが可能である。そのような変形例では、開口部軸Jを規定することが依然として可能であるが、これは単に開口部108の中心又は重心を通って、開口面Eに対して(中心又は重心において)垂直に又は直交して延びているためである。
【0064】
ユーザ操作要素114は、開口部108を覆うか又は覆わないように選択的に移動可能な蓋として上述されている。しかし、他の実施形態では、ユーザ操作要素114は、異なる機能を有する。いくつかの実施形態では、ユーザ操作要素114は、エアロゾル発生装置100の動作を制御するために、本体102に向かう方向に移動するように構成されたボタンである。そのような実施形態では、移動領域Bは、ボタンの外周までしか延びておらず、その移動は、エアロゾル発生装置100の本体102に向かって、又は本体102から離れる方向にのみ向かう。このような移動領域Bは、図7A及び図7Bに示す開放領域Fのように見えるかもしれないが、これは、移動の「占有面積」が、ユーザ操作要素114の真下にあるエアロゾル発生装置100の第2の端部122の領域に限定されているためであり、この場合、「下」とは、本体102に向かうことを意味する。この移動領域Bは、完全に開口部108の一方の側(図4に示すようにエアロゾル発生装置100が配向されている開口部108の右側)にある傾向がある。しかし、移動領域Bの定義をこのように変更すると、重心の位置がわずかにずれる(例えば、図7の軸Gになる)が、角度αが異なる(大きな)値を有するにもかかわらず、移動領域Bの重心における移動領域Bに垂直な軸に対する加熱チャンバ104の傾斜に関する上記定義は依然として変わらないままであることに留意されたい。ボタンの形態のユーザ操作要素114はエアロゾル発生装置100から依然として突出している、例えば突出部であるため、傾斜した加熱チャンバ104を備える理由が依然として有効であることにさらに留意されたい。場合によっては、ユーザ操作要素114が突出しない(又は図4に示されるよりもはるかに少なく突出している)場合でも、加熱チャンバ104を傾斜させることは依然として有利であり得るが、これは、このことによりユーザが親指又は指を使用してボタンを操作する際に鼻にぶつけることなく操作することができるためである。
【0065】
別のさらなる実施形態では、ユーザ操作要素114は、図4に示す移動領域Bの全範囲を移動し、且つ、さらに、例えばエアロゾル発生装置100を制御するために、図4に示す開放位置から本体102の近くへと移動するように配置され得る。この場合、移動領域B及び移動領域軸Cは、図4に示すもののままであり、この配置に関する上述の説明が適用される。
【0066】
ユーザ操作要素114がボタンとして動作する実施形態は、ユーザ操作要素114を本体102から離れるように押すための付勢手段を備え得る。このことにより、ユーザ操作要素114は、ユーザ操作要素114が押されていない状態をデフォルトにされ得、したがって、誤操作を回避することができる。また、ユーザ操作要素114は、ユーザ操作要素114が押された(又は所定の時間保持された)ときにエアロゾル発生装置100を作動させて、加熱サイクルを実行させることができ、又は場合によっては、ユーザ操作要素114が押し続けられたときにのみエアロゾル発生装置100が動作でき、ユーザ操作要素114が離されたときに加熱を停止できる。いずれの場合も、コントローラ118は、ユーザ操作要素114の位置を決定し、ユーザ操作要素114の決定された位置に基づいて、ヒータを選択的に作動させるように構成され得る。別のさらなる実施形態では、コントローラ118は、ユーザ操作要素114が閉鎖位置にあると検出された場合、加熱を防止するように構成され得る。
【0067】
本明細書で使用する場合、加熱サイクルとは、電力がヒータに供給される所定の期間を意味する。例えば、加熱サイクルが完了するまでの合計時間は、エアロゾル基質の揮発可能な部分(例えば、ユーザが吸入したい部分)のすべて又は大部分が加熱され、蒸気又はエアロゾルを形成するまでにかかる時間であり得る。加熱サイクルは、事前に決められた時間に事前に決められた電力を供給すること、対応する事前に決められた時間に一連の事前に決められた電力を供給することを含むことができ、又は、(例えば、加熱チャンバ104の一部の)温度を測定し、温度を所望の温度に近づけるために供給される電力を調整するフィードバックループとして機能し得る。
【0068】
スライド式の蓋の形態の、ユーザ操作要素114を操作する機構の一例を図4に示す。湾曲したガイドが、ユーザ操作要素114の動きを規定し、その動きを制限するために設けられる。これは、ユーザ操作要素114がいずれかの方向にスライドし過ぎるのを防止し、塵又は埃が加熱チャンバ104に入るのを防止するために、閉鎖位置が実際に開口部108を覆うことを確実にするのに役立ち得る。湾曲したガイドは、ユーザ操作要素114の位置を検出するために、いずれかの端部にセンサを有していてもよい。さらに、ガイドによって、ユーザ操作要素114が開放位置にあるときにのみ、ユーザ操作要素114が本体102に向かって押され得ることが確実になり得る。このことは、ユーザ操作要素114が開口部108を覆っているときにエアロゾル発生装置100は起動できず、基質担体112が加熱チャンバ104に挿入できないことを確実にするのに役立ち得る。
【0069】
第2の実施形態
図10図12を参照すると、第2の実施形態によるエアロゾル発生装置100は、第1の実施形態によるエアロゾル発生装置100と同一であるが、ただし、エアロゾル発生装置100の第2の端部122は略平面状又は平坦である。図面では、同一の参照数字を使用して、同一又は類似の特徴を表し、簡潔さのために第2の実施形態と第1の実施形態との間の相違点のみを以下で説明する。
【0070】
第2の実施形態では、ユーザ操作要素114は、エアロゾル発生装置100の第2の端部122から外側に突出している突出部を備える。図10に示すように、加熱チャンバ104及びキャビティ軸Aは両方とも、ユーザ操作要素114が開放位置にあるときにユーザ操作要素114の位置から離れるように傾斜している。これにより、加熱チャンバ104に挿入された基質担体112の第2の端部は、ユーザ操作要素114から離れるように配向され、ユーザが基質担体112の第2の端部に唇を置いているときのユーザの鼻のための空間を作り出す。
【0071】
図10は、第1の実施形態について図4図5A及び図5Bを参照して説明したものと類似する幾何学的表現を用いて、傾斜配置を強調している。図10には基質担体112が示されていないが、それにもかかわらず、エアロゾル発生装置100は、加熱チャンバ104(及びキャビティ軸A)が傾斜していることによって、基質担体112が加熱チャンバ104に挿入されたときに、基質担体112がユーザ操作要素114の開放位置から離れるように傾斜していることが確実になるように配置されていることが見てとれる。この点に関して、加熱チャンバ104の細長いキャビティ106は、開口部108を通って加熱チャンバ104に挿入される基質担体112の傾斜角度を規定するためのガイドのように機能する。
【0072】
ユーザ操作要素114は、ここでは線B-Bによって断面図で示される移動領域Bをスライドする。ユーザ操作要素114の閉鎖位置は破線で示され、開放位置は実線で示される。移動領域Bは、これらの位置の外側の範囲まで延びている。また、ユーザ操作要素114は、平面状の又は平坦な第2の端部122に沿って開放位置と閉鎖位置との間を移動するために、一直線に移動する。図10では、キャビティ軸Aが移動領域Bから離れるように傾斜していることがはっきりと見てとれる。
【0073】
移動領域Bは、図10の線C-Cによって断面で示された移動領域軸Cを有する。キャビティ軸Aは、移動領域軸Cに対して傾斜している。より具体的には、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとは、角度αだけ互いから離れて傾斜している。本実施形態では、角度αは約30°である。より一般的には、角度αは、15°<α≦35°の範囲にある。第2の実施形態の変形例では、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、角度αは、10°<α≦45°の範囲、又はさらには0°<α≦45°の範囲にあり得る。角度αの大きさは、ユーザの鼻(又はユーザの顔の他の部分)がユーザ操作要素114に当たることなく、ユーザが基質担体112の突出端部の周りに自分の唇を置き、基質担体112を通して蒸気又はエアロゾルを引き出せるように、キャビティ軸Aを移動領域Bから離れるように十分に傾斜させるように選択され得る。他方の端部では、加熱チャンバ104がエアロゾル発生装置100の長さに垂直な方向に突出し過ぎないように、角度αが選択され得る。これにより、エアロゾル発生装置100は審美的に好ましく見せることができ、また、ユーザがしっかりと握りやすくするのに役立ち得る。αの正確な値は、エアロゾル発生装置100を、ユーザ操作要素114のサイズ及び形状、並びに外面110の所望の形状及びサイズに適応させるように選択され得る。
【0074】
図10では示されていないが、エアロゾル発生装置100は、第1の実施形態に関連して上述したように、電力貯蔵部126及びコントローラ118を備えてもよい。電力貯蔵部126は、第1の実施形態に関して、例えば図4を参照して説明したように、キャビティ軸Aに対して傾斜している対応する電力貯蔵部軸Dを有し得る。
【0075】
エアロゾル発生装置100の第1の端部120に向かうキャビティ軸A及び移動領域軸Cの延長線は、本体102の内側で交わることに留意されたい。しかし、これは必ずしもそうではなく、いくつかの実施例では、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとの交点は、角度αが図10に示されるよりも小さい場合などに、本体102の外側(例えば第1の端部120の下)にある。同様に、キャビティ軸Aと移動領域軸Cとが交わらないが、代わりに、第1の実施形態を参照して説明したように、単にそれぞれが本体102内又は本体102外の長さに沿って、互いに最も接近する、例えば「交差」する点を有するが、実際には出会わないこともあり得る。
【0076】
図11は、第1の実施形態について図6図7A及び図7Bを参照して説明したものと類似する幾何学的表現を用いて、傾斜配置を強調している。ユーザ操作要素114は、図11では開放位置で示され、開口部108は覆われていないままである。開放位置は、図11の線F-Fによって断面図で示される開放領域Fを規定する。図中でG-Gと表された線によって示される開放領域軸Gは、ここでも、開放領域Fの重心を通り、その点で外面110に垂直な線として規定される。見てとれるように、加熱チャンバ104(及び対応するキャビティ軸A)は、開放領域Fから離れるように傾斜している。換言すれば、開放領域軸G及びキャビティ軸Aは、本体102の外側で、本体102から離れる方向に互いから発散している。第2の実施形態では、開放領域軸Gとキャビティ軸Aとの間の角度βは、約30°である。より一般的には、角度βは、15°<β≦35°の範囲にある。第2の実施形態の変形例では、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、角度βは、10°<β≦45°の範囲、又はさらには0°<β≦45°の範囲にあり得る。これは、図10に関して提供されるものとは異なる幾何学的構成を用いて、加熱チャンバ104及びキャビティ軸Aの傾斜を説明する別の方法であることが見てとれる。
【0077】
場合によっては、エアロゾル発生装置100の第1の端部120に向かうキャビティ軸A及び開放領域軸Gの延長線は、本体102の内側で交わる。しかし、これは必ずしもそうではなく、いくつかの実施例では、キャビティ軸Aと開放領域軸Gとの交点は、キャビティ軸Aと開放領域軸Gとの角度βが図11に示されるよりも小さい場合などに、本体102の外側(例えば第1の端部120の下)にある。上述したように、キャビティ軸Aと開放領域軸Gは、交わるのではなく、代わりに、上記の意味で単に「交差」してもよい。
【0078】
図12は、第1の実施形態について図8を参照して説明したものと類似する幾何学的表現を用いて、傾斜配置を強調している。ユーザ操作要素114の閉鎖位置とユーザ操作要素114の開放位置との間にベクトルHが描かれている。ユーザ操作要素114はこれらの位置の間を直線経路で移動するため、ベクトルの始点と終点に同じ点が用いられる限り、ユーザ操作要素114上の任意の点を用いることができ、同じベクトルHが得られる(一般的には、図8に示す凸状の変形例では当てはまらない)。ベクトルHは、キャビティ軸Aと交わるように後方(図12の左側)に延び得ることが見てとれる。角度γは、ベクトルHとキャビティ軸Aとの間で形成される。より詳細には、この角度γは、ベクトルHとキャビティ軸Aがある開口部108から延びる方向との間の角度である。角度γは鈍角であり、これは、加熱チャンバ104及びキャビティ軸Aの傾斜を定義する別の方法を表す。
【0079】
第2の実施形態では、角度γは約100°である。より一般的には、角度γは、91゜<γ≦100゜の範囲にある。第2の実施形態の変形例では、エアロゾル発生装置100の正確な幾何学的形状に応じて、角度γは、90°<γ≦135°の範囲にあり得る。上述したように、様々な理由(人間工学的理由、実用的理由、審美的理由など)で異なる配置を実施するために、異なる傾斜角度が選択され得る。図12で見てとれるように、開放位置と閉鎖位置との間のユーザ操作要素114の動きは、本実施形態では直線であり、ベクトルHはこの直線と一致する。
【0080】
ユーザ操作要素114は、図10では、開口部108を選択的に覆う又は覆わないようにスライド可能な蓋として示されているが、他の実施例では、ユーザ操作要素114は、異なる機能を有していてもよい。例えば、ユーザ操作要素114は、例えば、エアロゾル発生装置100の動作を制御するために、本体102に向かう方向に移動するように構成されたボタンであり得る。この場合、移動の「占有面積」は、ユーザ操作要素114の真下で、大部分又は完全に開口部108の一方の側(図10では開口部の右側)にあるエアロゾル発生装置100の第2の端部122の領域に限定されるため、移動領域Bは、ボタンを形成する突出部までしか延びないであろう(移動領域は、図7A及び図7Bの領域Fにより似ている)。しかし、移動領域Bの定義のこのような変化により、重心の位置がわずかにずれる(例えば、図7A及び7Bの軸Gになる)が、移動領域の重心に対する加熱チャンバ104の傾斜に関する上記定義は依然として変わらないままであることに留意されたい。ボタンは依然としてエアロゾル発生装置100から突出しているため、傾斜した加熱チャンバ104を備える理由が依然として有効であることに留意されたい。場合によっては、ボタンが突出しない(又は図10に示されるよりもはるかに小さく突出している)場合でも、加熱チャンバ104を傾斜させることは依然として有利であり得るが、これは、このことによりユーザが親指又は指を使用してボタンを操作する際に鼻にぶつけることなく操作することができるためである。
【0081】
別のさらなる実施例では、ユーザ操作要素114は、図10に示す移動領域Bの全範囲内でスライドし、且つ、さらに例えばエアロゾル発生装置100を制御するために、図10に示す開放位置から本体102の近くへと移動するように配置され得る。この場合、移動領域軸Cは、図10に示すもののままであり、この配置に関する上述の説明が適用される。
【0082】
第2の実施形態では、第2の端部122が平面状又は平坦であるため、キャビティ軸Aの所定の傾斜によって、角度α及び角度βが同じ値を有する。これは、角度α及び角度βが、いずれの場合でも、傾斜したキャビティ軸Aと、平面状の第2の端部122の法線との間で測定されることから見てとれる。第2の端部122が平面状である場合、γとα又はβのいずれかとの間のさらなる関係が導かれ得る。γとα又はβのいずれかとの間の関係は、キャビティ軸Aに対する所定の傾斜角度に対して、第2の端部122が平面状又は平坦である場合、γ=α+90°=β+90°である。
【0083】
定義及び代替実施形態
上記の説明から、様々な実施形態の多くの特徴が互いに交換可能であることが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態からの特徴を、具体的に言及されていない形態で一緒に組み合わせた特徴を含む、さらなる実施形態に及ぶ。
【0084】
ユーザ操作要素114が、選択的に開口部108を覆うか、又は覆わないドアであり、ユーザ操作要素114が開口部108を覆うように移動可能ではないが、代わりにエアロゾル発生装置100を作動させるボタンとして機能し、さらにユーザ操作要素がドア及びボタンを兼ねる実施形態について説明した。加熱チャンバ104の傾斜及びエアロゾル発生装置100の他の幾何学的形状は、これらの実施形態のそれぞれでほぼ同じであるが、提供される異なる定義を用いて最も正確に定義され、ユーザ操作要素114の機能に応じて、重なっていても異なる利点を有し得る。
【0085】
上記の説明では、移動領域B、開放領域F及びベクトルHが開口部108の一方の側に延びるか又は位置することを示し、その側は、第2の対向面の対110b間でエアロゾル発生装置100の第2の端部122の重心に向かい、第2の端部122のエッジから離れる(例えば、図1図4図6及び図8図12において右に向かう)方向へとオフセットされているが、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、移動領域B、開放領域F及びベクトルHは、図1図4図6及び図8図12で配向されているようにエアロゾル発生装置100の左、前又は後ろに、例えば、第2の端部122の重心よりも第2の端部122のエッジの近くに延びるか又は位置していてもよい。キャビティ軸Aは、上述のように、移動領域B、開放領域F又はベクトルHから離れるように傾斜したままであるが、傾斜の方向は、移動領域B、開放領域F又はベクトルHの位置に応じて異なる。
【0086】
上記の第1の実施形態は、凸状に湾曲した第2の端部122に関する。この文脈における凸状とは、特定のものではなく一般的なものであり、例えば、略凸状の形状を形成するように互いに角度をつけられた一連の平面状セクションで形成された形状を包含する。同様に、湾曲した第2の端部122は、円の円弧として示されているが、これは、任意の湾曲した形状を有する凸状の第2の端部122に一般化することができる。第2の実施形態は、第2の端部122が凸状ではなく、平坦な平面である場合をカバーしているが、これも特定のものではなく一般的なものである。例えば、第2の端部122のエッジは、湾曲しており、例えば半径を有していてもよく、また、第2の端部122には、1つ以上の突出部、起伏、又はくぼみなど、その概して平面的な性質を乱す特徴があってもよい。
【0087】
本明細書に記載された原理は、広範囲の基質担体112を受け入れるエアロゾル発生装置100に適用できることが明らかであろう。実際、任意の交換可能な基質担体を使用することができ、その傾斜は概してアクセスを改善する。基質担体112が細長く、使用時にエアロゾル発生装置100から突出している場合、例えば、ユーザが基質担体112の突出した端部と相互作用することが意図されている場合、上述したように、ユーザの口及び顔をエアロゾル発生装置100からより適切に離すさらなる利点がある。実際、本明細書に記載されている傾斜配置は、外面110及びユーザ操作要素114の形状に設計上の自由度を提供する一方で、様々な異なるエアロゾル発生装置100がすべて基質担体112のための共通の設計を使用することを可能にし、したがって、基質担体112の製造において規模の経済の恩恵を受ける(エアロゾル発生装置100毎に異なる基質担体112を設計する必要がないため)ため有用である。
【0088】
上述した様々な幾何学的配置の説明は、様々な平面及び軸に言及している。それらの定義は、エアロゾル発生装置100の特定の部分(例えば、開口部外周128、細長いキャビティ106、開放領域Bなど)に依存しているが、軸及び平面は、仮想又は想像上のものである。そのため、それらは概して、関連付けられている構成要素の構造的制約を越えて、例えば、エアロゾル発生装置100の本体102を越えて、又はエアロゾル発生装置100の外面の外側に延びる。
【0089】
本明細書で使用する場合、「蒸気(vapour)」(又は「蒸気(vapor)」)という用語は、以下を意味する:(i)液体が、十分な程度の熱の作用によって自然に変換される形態、又は(ii)大気中に浮遊し、湯気/煙の雲として見える液体/湿気の粒子、又は(iii)気体のように空間を満たすが、臨界温度を下回っている時は圧力だけで液化できる流体。この定義と整合して、「気化させる(vaporise)」(又は「気化させる(vaporize)」)という用語は、以下を意味する:(i)蒸気へと変化させる、又は蒸気への変化を生じさせる、及び(ii)粒子が物理状態を変化させる場合(すなわち、液体又は固体から気体状態へと)。
【0090】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧、又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること、及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化する、の意味は上記で定義した揮発する、噴霧する、及び気化させる、の各々と整合することに留意されたい。誤解を回避するために、エアロゾルは、噴霧された、揮発された、又は気化された粒子を含むミスト又は液滴を一貫して説明するために使用される。エアロゾルはまた、噴霧された、揮発された、又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は液滴も含む。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12