(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】無線ネットワークにおける位相トラッキングに関する装置、方法およびマシン可読媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20240822BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20240822BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240822BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240822BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20240822BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240822BHJP
【FI】
H04W28/16
H04B7/06 984
H04L27/26 114
H04W16/28 130
H04W56/00 130
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021565975
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2019061986
(87)【国際公開番号】W WO2020224790
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100199705
【氏名又は名称】仙波 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】廣川 浩
【審判官】本郷 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/052871(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0132762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24- 7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた時間リソースで複数のデータストリームを無線デバイス(104)へ送信するための複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)を備えた通信ネットワークのネットワークノード(106、102)によって実行される方法であって、
前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)から受信された信号に対して前記無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、前記無線デバイス(104)へ送信(302)させることを含み、前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)のそれぞれから受信された複数のデータストリームのそれぞれに対して前記無線デバイス(104)がそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含み、
前記位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行される、
方法。
【請求項2】
前記指示は、前記複数のデータストリームの少なくとも1つに属するデータパケットに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指示は、前記データパケットのPHYヘッダに含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)が前記複数のデータストリームを前記与えられた時間リソースで前記無線デバイス(104)に送信しているという指示を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記与えられた時間リソースはデータフレームを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記通信ネットワーク(100)は無線ローカルエリアネットワークWLANを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワークノードは前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)の1つである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ネットワークノードは前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのマスタノード(102a)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)からデータを受信するための無線デバイス(104)によって実行される方法であって、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードは、与えられた時間リソースで複数のデータストリームを前記無線デバイスへ送信し、前記方法は、
前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)から受信された信号に対して前記無線デバイス(104)が複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノード(102、106)から受信すること(402)を含み、前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのそれぞれから受信された複数のデータストリームのそれぞれに対して前記無線デバイス(104)がそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含み、
前記位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行される、
方法。
【請求項10】
前記指示は、前記複数のデータストリームの少なくとも1つに属するデータパケットに含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記指示は、前記データパケットのPHYヘッダに含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)が前記複数のデータストリームを前記与えられた時間リソースで前記無線デバイス(104)に送信しているという指示を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記与えられた時間リソースはデータフレームを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記指示の受信に応答して、前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)から受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すること(404)を更に含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数で別々の位相トラッキングプロセス
のそれぞれは、
前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのうちの1つの無線アクセスネットワークノードから受信された信号に含まれる1つまたは複数のパイロットシンボルに基づいてキャリア周波数オフセットを推定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
与えられた時間リソースで複数のデータストリームを無線デバイス(104)へ送信するための複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)を備えた通信ネットワーク(100)のためのネットワークノード(102、106、500)であって、前記ネットワークノードは、処理回路構成(502)と、命令を記憶する非一時的なマシン可読媒体(504)とを備えており、前記命令は、前記処理回路構成によって実行されると、
前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して前記無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示の前記無線デバイスへの送信を、前記ネットワークノードに生じさせ、前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのそれぞれから受信された複数のデータストリームのそれぞれに対して前記無線デバイス(104)がそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含み、
前記位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行される、
ネットワークノード(102、106、500)。
【請求項17】
前記指示は、前記複数のデータストリームの少なくとも1つに属するデータパケットに含まれる、請求項16に記載のネットワークノード。
【請求項18】
前記指示は、前記データパケットのPHYヘッダに含まれる、請求項17に記載のネットワークノード。
【請求項19】
前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードが前記複数のデータストリームを前記与えられた時間リソースで前記無線デバイスに送信しているという指示を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項20】
前記与えられた時間リソースはデータフレームを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項21】
前記通信ネットワーク(100)は無線ローカルエリアネットワークWLANを含む、請求項16から20のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項22】
前記ネットワークノードは前記複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)の1つである、請求項16から21のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項23】
前記ネットワークノードは前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのマスタノード(102a)である、請求項22に記載のネットワークノード。
【請求項24】
複数の協調無線アクセスネットワークノード(102)からデータを受信するための無線デバイス(104、700)であって、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードは、与えられた時間リソースで複数のデータストリームを前記無線デバイスに送信し、前記無線デバイスは、処理回路構成(702)と、命令を記憶する非一時的なマシン可読媒体(704)とを備えており、前記命令は、前記処理回路構成によって実行されると、前記無線デバイスに、
前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して前記無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノード(102、106)から受信させ、前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのそれぞれから受信された複数のデータストリームのそれぞれに対して前記無線デバイスがそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含み、
前記位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行される、
無線デバイス(104、700)。
【請求項25】
前記指示は、前記複数のデータストリームの少なくとも1つに属するデータパケットに含まれる、請求項24に記載の無線デバイス。
【請求項26】
前記指示は、前記データパケットのPHYヘッダに含まれる、請求項25に記載の無線デバイス。
【請求項27】
前記指示は、前記複数の協調無線アクセスネットワークノードが前記複数のデータストリームを前記与えられた時間リソースで前記無線デバイスに送信しているという指示を含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項28】
前記与えられた時間リソースはデータフレームを含む、請求項24から27のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項29】
前記無線デバイスは、更に、前記指示の受信に応答して、前記与えられた時間リソースで前記複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行させられる、請求項24から28のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項30】
前記複数で別々の位相トラッキングプロセス
のそれぞれは、
前記複数の協調無線アクセスネットワークノードのうちの1つの無線アクセスネットワークノードから受信された信号に含まれる1つまたは複数のパイロットシンボルに基づいてキャリア周波数オフセットを推定することを含む、請求項29に記載の無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、無線ネットワークにおける位相トラッキングに関する装置、方法およびマシン可読媒体を提供し、特に、より多くの複数の協調無線アクセスネットワークノードを信号の位相トラッキングが受信するに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11~16の規格(無線LAN媒体(MAC)および物理層(PHY)の仕様)は、しばしばP行列と称される1組の直交行列を特定するが、これらの直交行列は、複数の時空間ストリームを用いるとき、すなわち、多入力多出力(MIMO)システム動作を用いるときに、チャネル推定のための直交カバーコードとして用いられる。これらのP行列は、ロングトレーニングフィールド(LTF)に適用され、LTFは、受信機に知られておりチャネル推定に用いられる値の1つまたは複数のシーケンスを含む。
【0003】
802.11nでは、直交カバーコードが、すべてのサブキャリアに適用される。対照的に、802.11ac/axでは、直交カバーコードは、パイロットサブキャリアには適用されない。パイロットサブキャリアの目的は、位相トラッキングの助けとなることであり、位相トラッキングは、位相ノイズおよびキャリア周波数オフセット(CFO)に起因する性能の劣化を緩和するのに用いられる。CFOは、送信機および受信機におけるTXおよびRXクロックの相対ドリフトに起因する。
【0004】
802.11ac/axでは、パイロットサブキャリアは、MIMOが用いられるときであっても、単入力単出力(SISO)モードで送信され、すなわち、サブキャリアがパイロットサブキャリアであるときには、同じ周波数領域シンボルが、すべての時空間ストリームにおいて送信される。これにより、802.11ac/axをサポートしている受信機が、チャネルが推定される前であっても、LTFで位相トラッキングを実行することが可能になる。残留CFOはチャネル推定の劣化を生じさせる可能性があるため、これは、有益である。
【0005】
最近では、極めて高いスループット(EHT)が、IEEE802.11規格の強化として提案されてきている。特に、分散型ダウンリンクMIMO(D-DL-MIMO)を許容することが提案されてきており、その場合、2つ以上の協調アクセスポイント(AP)が、いくつかの時空間ストリームを、同時に、同じ受信局(STA)に送信する。
【0006】
このタイプの送信は、受信機STAに対して透明であるのが、典型的である。換言すると、STAは、それ自体が受信している送信が複数のAPから生じたものであることを知らないのが典型的である。STAの観点からは、信号は、複数経路の伝播を受けることになる。
【0007】
802.11n/ac/axでは生じなかったがEHTでは生じ得る問題は、D-DL-MIMOが用いられるときには、送信側のAPのクロックが同期されない、すなわち、送信側APのクロックと受信側STAのクロックとが、データフレームの送信の間、独立にすべてドリフトするということである。このドリフトは、クロックが以前に(例えば、トリガフレームの助けを用いて)同期していたかどうかとは独立に発生する。802.11ac/axで用いられる位相トラッキングの方法論は、TX側にただ1つのクロックが存在し、RX側にただ1つのクロックが存在しており、どのCFOも、これら2つのクロックの間における相対的なクロックドリフトに起因するということを、黙示的に想定している。しかし、EHTでは、3つ以上の同期していないクロックが存在するため、このようなことは、もはや生じ得ない。
【0008】
したがって、この問題に対する解決策が、要求される。
【発明の概要】
【0009】
本開示の第1の態様によると、通信ネットワークのネットワークノードによって実行される方法が提供される。通信ネットワークは、与えられた時間リソースで複数のデータストリームを無線デバイスに送信するための、複数の協調無線アクセスネットワークノードを含む。この方法は、与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、無線デバイスへ送信させることを含む。
【0010】
また、上で与えられている方法を実行するための装置およびマシン可読媒体も、提供される。例えば、ある実施形態では、ネットワークノードが、通信ネットワークのために提供される。この通信ネットワークは、与えられた時間リソースで複数のデータストリームを無線デバイスへ送信するための、複数の協調無線アクセスネットワークノードを含む。このネットワークノードは、処理回路構成と、命令を記憶する非一時的なマシン可読媒体とを備えており、この命令は、処理回路構成によって実行されると、ネットワークノードに、与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、無線デバイスへ送信させる。
【0011】
本開示の第2の態様では、複数の協調無線アクセスネットワークノードからのデータを受信するための無線デバイスによって実行される方法が提供される。複数の協調無線アクセスネットワークノードは、複数のデータストリームを、与えられた時間リソースで、無線デバイスへ送信する。この方法は、与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノードから受信することを含む。
【0012】
上で与えられている方法を実行するための装置およびマシン可読媒体も、提供される。例えば、ある実施形態では、複数の協調無線アクセスネットワークノードからのデータを受信するための無線デバイスが、提供される。複数の協調無線アクセスネットワークノードは、与えられた時間リソースで、複数のデータストリームを、無線デバイスへ送信する。無線デバイスは、処理回路構成と、命令を記憶する非一時的なマシン可読媒体とを備えており、この命令は、処理回路構成によって実行されると、無線デバイスに、与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して無線デバイスが複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノードから受信させる。
【0013】
本開示の例をよりよく理解するため、そしてそれらの例がどのようにして実現されるかをより明確に示すため、単なる例としてではあるが、以下の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態によるシステムの図である。
【
図2】本開示の実施形態による協調ダウンリンク送信のシグナリング図である。
【
図3】本開示の実施形態によるネットワークノードによって実行される方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態による無線デバイスによって実行される方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態によるネットワークノードの概略図である。
【
図6】本開示の実施形態によるネットワークノードの概略図である。
【
図7】本開示の実施形態による無線デバイスの概略図である。
【
図8】本開示の実施形態による無線デバイスの概略図である。
【
図9】本開示の実施形態による、中間ネットワークを介してホストコンピュータに接続された電気通信ネットワークの図である。
【
図10】本開示の実施形態による、基地局を介し部分無線接続を通じてユーザ機器と通信するホストコンピュータの図である。
【
図11】本開示の実施形態による、ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおける方法を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の実施形態による、ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおける方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本開示の実施形態による無線通信ネットワークまたはシステム100を示す。ネットワーク100は、移動局104と通信する複数の無線アクセスポイント102a、102b、102c(集合的に、102)を含む。ある実施形態では、ネットワーク100は、IEEE802.11規格(「Wi-Fi」として知られている)を実装しており、その修正の1つまたは複数を実装し得、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含む。便宜上、本明細書で用いられている用語は、802.11規格で用いられている用語に対応し得る(例えば、「アクセスポイント」すなわちAP、「局」すなわちSTA)。しかし、本明細書で説明されている概念は、他の無線アクセス技術での使用を発見する場合もあり得る。例えば、ネットワーク100は、例えば、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって開発されたもの、例えば、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA)、ロングタームエボリューション(LTE)、ニューレイディオ(NR)などの、セルラ無線アクセス技術を実装し得る。そのような場合、無線アクセスポイント102は、基地局、NodeB、eNodeB、gNodeB、送信-受信ポイント(TRP)などと、称され得る。移動局104は、ユーザ機器(UE)、無線デバイス、無線端末デバイスなどと、称され得る。「ノード」という用語は、本明細書では、いずれかの無線デバイスと、いずれかの適切なネットワークノードとを意味するものとして、用いられる。
【0016】
各無線アクセスポイント102は、1つのアンテナを、またはいくつかの実施形態では複数のアンテナ(もしくは、アンテナ要素)を備えている。同様に、無線デバイス104が、複数のアンテナを備えていることも、あり得る。このようにして、無線デバイス104は、複数のアクセスポイントからの複数の時空間ストリームを、同時に、受信およびデコードする処理技術を用いることができる。
【0017】
複数の無線アクセスポイント102が、有線または無線であり得るバックホールネットワーク108を介して、相互に接続されている。例えば、バックホールネットワーク108は、インターネットおよび/または有線もしくは無線であり得る専用ネットワークを用いて、実装され得る。
【0018】
図解されている実施形態では、システム100は、更に、バックホールネットワーク108を介して無線アクセスポイント102のそれぞれに結合されている処理ノード106を含む。例えば、処理ノード106は、クラウドサーバなどのリモート処理環境の内部で、提供され得る。この実施形態では、無線アクセスポイント102の特定された機能が、無線アクセスポイント102と処理ノード106との間で、分散されている。そのため、無線アクセスポイント102の機能の1つまたは複数が、例えば処理ノード106によって、リモート処理環境で、実行されることがあり得る。この態様に関する更なる詳細は、後で提供される。
【0019】
既に注意したように、分散型ダウンリンクMIMO(D-DL-MIMO)を提供することが提案されてきており、その場合には、2つまたはそれより多くの協調アクセスポイントAPが、複数の時空間ストリームを同時に同じ受信局STAに、すなわち同じ時間リソースを用いて、送信する。
【0020】
そのような分散型ダウンリンクMIMOへのあるアプローチによると、複数のアクセスポイントのうちの1つのアクセスポイント(例えば、無線アクセスポイント102a)が、マスタアクセスポイントとして指定され、1つまたは複数の他のアクセスポイント(例えば、アクセスポイント102b)が、スレーブアクセスポイントとして指定される。
図2は、そのような実施形態による協調ダウンリンク送信のシグナリング図であって、1つのマスタアクセスポイント(AP1)と1つのスレーブアクセスポイント(AP2)の送信だけが、無線デバイスと共に、示されている。
【0021】
シグナリングは、マスタアクセスポイント102aが、初期トリガメッセージ200を送信することで、開始する。トリガメッセージ200は、スレーブアクセスポイント102bによって受信され、マスタアクセスポイント102aとスレーブアクセスポイント102bとのそれぞれによる、データフレーム202aおよび202bのそれ以後の送信のタイミングを制御するのに、用いられる。特に、データフレーム202a、202bは、トリガメッセージ200の送信の後、あるタイミングオフセットで、同時に送信される。図解されている実施形態では、このタイミングオフセットは、ショートインターフレームスペース(SIFS)として、定義される。しかし、代替的なタイミングオフセットも、用いられ得る。データフレーム202a、202bは、実質的に相互の複製である(例えば、同じデータを含む)場合があり得るし、または異なるデータを含む場合もあり得る。
【0022】
更なるSIFSの後で、無線デバイス104は、ACKメッセージ204の送信を通じて、データフレーム202a、202bの受信を確認する。
【0023】
当業者であれば、
図2に示されているシグナリングが、分散型無線アクセスポイントによる同時送信の協調のための単なる1つの可能な実施形態であることを、理解するであろう。もちろん、本明細書に添付の請求項の範囲から逸脱することなく、代替的な実施形態が可能である。例えば、アクセスポイント102は、長い期間にわたり相互に同期させ、バックホールネットワーク108を介して協調された長期のスケジューリングを通じて、データフレームを無線デバイス104に送信するように、制御され得る。本開示は、そのような点に関して、限定されない。
【0024】
図1に示されているシステム100に戻ると、最初に、単純であるが適切な例によって、本開示の実施形態を図解している。STAへのランク1のチャネルをそれぞれが有する2つのアクセスポイント(例えば、無線アクセスポイント102aおよび102b)が存在する場合を考える。これは、無線アクセスポイント102aと無線デバイス104との間のチャネルが、ただ1つの時空間ストリームをサポートし、同様に、無線アクセスポイント102bと無線デバイス104との間のチャネルも、ただ1つの時空間ストリームをサポートすることを意味する。そのような状況は、チャネルが本質的に視線であるときに、生じ得る。しかし、合成されたチャネルは、2つの時空間ストリームをサポートし得る。すなわち、STAは、無線アクセスポイント102aから送信された第1の時空間ストリームと、無線アクセスポイント102bから送信された第2の時空間ストリームとのデコードに成功し得る。また、実際には、より多くを有することもあり得るのであるが、無線デバイス104は、k=1、2として、2つのRXアンテナを有すると仮定する。
【0025】
各無線アクセスポイント102a、102bは、パイロットシンボルsおよびtを、パイロットサブキャリアを用いて、無線デバイス104にそれぞれ送信する。k番目のアンテナで受信された、パイロットサブキャリアにおける信号rkは、
rk=hk1ejθs+hk2ejφt+w
としてモデル化することが可能である。ただし、k=1、2である。ここで、hk1およびhk2は、k番目のアンテナと無線アクセスポイント102a、102bそれぞれとの間のチャネルであり、θおよびφは、無線デバイス104と無線アクセスポイント102a、102bそれぞれとの間のクロックの不一致に起因するCFOをモデル化しており、wはノイズを表す。
【0026】
無線デバイス104は、アクセスポイントm=1、2から受信アンテナk=1、2までのチャネル{hkm}を、いずれかの広く知られた技術を用いて、推定することができる。例えば、802.11ax PHYに類似の物理層(PHY)が用いられる場合であれば、これらの推定は、無線デバイス104と無線アクセスポイント102との間での先の送信を介して得られたいずれかのチャネル推定をロングトレーニングフィールドの助けを借りて周波数領域において補間することによって、得ることが可能である。パイロットシンボルsおよびtもまた知られているか、または、802.11(もしくは同等の)仕様で与えられているアルゴリズムを用いて無線デバイス104によって決定されることが可能である。
【0027】
このように、項rk、hkm、sおよびtは、無線デバイス104において知られている(または、前もって推定されている)。2つの方程式が存在する(各受信アンテナk=1、2に対して、1つずつ)のだから、所望のCFOの項であるθ、φを推定するために、広く知られている統計学的手法を用いることが可能である。
【0028】
このように、無線デバイス104が、複数の同時受信されたデータストリームのために位相トラッキングを実行する(例えば、キャリア周波数オフセットを決定する)ことが可能である。
【0029】
本開示の実施形態によると、ネットワークが、無線デバイス104に、複数の協調無線アクセスポイントから受信された信号に対して複数の位相トラッキングプロセスを使用実行すべきであると知らせる。例えば、ある実施形態では、ネットワークノードが、無線デバイスが与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、無線デバイスへ送信させる。このようにして、無線デバイスは、複数の無線アクセスポイントのそれぞれに対して、および/または複数の無線アクセスポイントによって送信された複数の時空間ストリームのそれぞれに対して、別々の位相トラッキングプロセスを実行することが可能になる。そして、各無線アクセスポイントおよび/または各時空間ストリームに対するチャネル推定は、LTFと、その特定の無線アクセスポイントまたは時空間ストリームに対するCFOのそれぞれの推定とを用いて、決定することが可能である。
【0030】
図3は、ネットワークノードによって実行される、本開示の実施形態による方法のフローチャートである。ネットワークノードは、マスタアクセスポイント102aなどの、無線アクセスポイントであり得る。あるいは、ネットワークノードは、処理ノード106などの、リモートネットワークノードであり得る。
【0031】
ネットワークノードは、
図1との関係で既に説明したネットワーク100のシナリオで、動作する。よって、複数の無線アクセスノードまたは無線アクセスポイントを、同じ時間リソース(例えば、同じデータフレーム)を用いて同時に無線デバイスへ送信するように、協調させる。
図2との関係で既に注意したように、複数の無線アクセスノードが、同じデータを無線デバイスへ送信することがあり得るし(無線デバイスにおける受信信号強度を効果的に上昇させる)、または異なるデータを無線デバイスへ送信することもあり得る(無線デバイスへの潜在的データレートを上昇させる)。
【0032】
方法は、ステップ300で開始するが、このステップでは、ネットワークノードが、複数のアクセスポイントまたは無線アクセスノードが無線デバイスへの送信を同時に行うべきかどうかを判断する。例えば、ステップ300は、分散型ダウンリンクMIMOが無線デバイスへの送信のために用いられるかどうかを判断することを含み得る。そのような判断は、無線デバイスへの各潜在的送信機会に対してなされる場合があり得るし、または複数の潜在的送信機会に対して持続的もしくは半持続的になされる場合もあり得る。
【0033】
無線デバイスへの送信には、無線デバイスによって要求されるサービスの品質に基づいて、複数のアクセスポイントまたは分散型ダウンリンクMIMOが用いられ得る。例えば、無線デバイスは、特に高いデータレートもしくは特に高い通信信頼性を要求する1つまたは複数のサービスを用いることがあり得る。そのような場合には、ネットワークプロバイダは、それらのサービスのための無線デバイスへの送信には、分散型ダウンリンクMIMOを用いることが可能であると判断し得る。分散型ダウンリンクMIMOを用いることが可能かどうかを判断するために、無線デバイスの能力が用いられることもあり得る。特定の無線デバイスが、複数の位相トラッキングプロセスを実行するための機能性を有していないことがあり得る(例えば、複数のアンテナもしくは処理能力などのハードウェアが欠けているため、または適切なソフトウェアが欠けているため)。
【0034】
複数のアクセスポイントが無線デバイスへの送信を同時に行う場合には、方法はステップ302に進むのであるが、このステップでは、ネットワークノードが、無線デバイスに、無線デバイスは複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を送信させる。例えば、ネットワークノードが複数のアクセスポイントのうちの(マスタアクセスポイント102aなどの)1つである場合には、ステップ302は、指示を無線デバイスへ送信するネットワークノード自体を含み得る。ネットワークノードが(処理ノード106などの)リモートネットワークノードである場合には、ステップ302は、無線アクセスポイントの1つまたは複数(もしくは全部)に対して指示を無線デバイスへ送信するように命令するネットワークノードを含み得る。
【0035】
このように、無線デバイスは、複数のデータストリームを、同時に、複数の協調アクセスポイントから受信する。指示は、それらのデータストリームの1つまたは複数において無線デバイスへ送信されるデータパケットの中に含まれ得る。例えば、ある実施形態では、指示は、データパケットの(PHYヘッダなどの)ヘッダに含まれ得る。
【0036】
ある実施形態では、指示は、無線デバイスは複数の協調無線アクセスポイントの各アクセスポイントから受信された1つまたは複数のデータストリームに対してそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む。ここで、各アクセスポイントは無線デバイスに1つまたは複数のデータストリームを送信し得るということに、注意すべきである。この実施形態における位相トラッキングプロセスは、アクセスポイントごとに実行され得るのであって、そのアクセスポイントから受信される各データストリームに対して、同じキャリア周波数オフセットが、用いられる。特定のアクセスポイントによって送信される各データストリームは同じ発振器またはクロックを用いることになるので、キャリア周波数オフセットは、各データストリームに対して類似のものとなる。
【0037】
しかし、代替実施形態では、指示は、無線デバイスは複数の協調アクセスポイントから受信された各データストリームに対しそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む。この実施形態は、各アクセスポイントが複数のデータストリームのそれぞれを無線に送信する場合、すなわち、各アクセスポイントが同じ複数のデータストリームを無線デバイスへ送信する場合に、特に適切であり得る。どの与えられた時点でも、アクセスポイントの1つが、特定のデータストリームにほとんどの能力を与えることになり、したがって、そのデータストリームのためのCFOは、無線デバイスのクロックとその特定のアクセスポイントのクロックとの間の不一致に最も左右されることになる。異なるデータストリームでは、異なるアクセスポイントが、ほとんどの能力を与え得るのであり、したがって、そのデータストリームのためのCFOは、無線デバイスのクロックとその異なるアクセスポイントのクロックとの間の不一致に最も左右されることになる。この実施形態における位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行され得る。
【0038】
指示は、シグナリングフィールドを含み得るが、このシグナリングフィールドは、複数の位相トラッキングプロセスが無線デバイスによって実行されるべきであると指示する第1の値に設定されるか、または単一の位相トラッキングプロセスが無線デバイスによって実行されるべきであると指示する第2の値に設定される。
【0039】
この指示は、黙示的または明示的であり得る。前者の場合、この指示は異なる特性または設定に関する指示を含み得るのであり、無線デバイスによって、複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという命令として解釈される。例えば、この指示は、分散型ダウンリンクMIMOが無線デバイスへの送信に用いられるべきであるという指示を含み得る。無線デバイスは、上述したように複数の位相トラッキングプロセスを実行するものとしてその指示を解釈するように、設定され得る。
【0040】
複数のアクセスポイントが無線デバイスへの送信を同時に行わない場合には、方法は、ステップ304に進むのであるが、このステップでは、ネットワークノードが、無線デバイスが与えられた時間リソースで受信された信号に対して単一の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示の無線デバイスへの送信を生じさせる。例えば、単一のアクセスポイントが(MIMO送信を用いて、または用いないで)無線デバイスへの送信を行う場合には、ネットワークノードは、無線デバイスが単一の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示の無線デバイスへの送信を生じさせ得る。指示に関してステップ302で述べた詳細は、ステップ304にも等しく適用される。
【0041】
上述した実施形態は、ネットワークノードを、無線デバイスが単一のまたは複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきであると指示するものとして説明していることに、注意すべきである。よって、ある実施形態では、この指示は助言的なものであり、無線デバイスは、指示を無視することを選ぶ場合もあり得る。あるいは、指示が強制的な場合もあり得る。例えば、電気通信規格が、無線デバイスが単一または複数の位相トラッキングプロセスに関するネットワークノードの勧告に従うことを強制する場合があり得る(802.11の仕様など)。
【0042】
図4は、本開示の実施形態による、無線デバイスによって実行される方法のフローチャートである。無線デバイスは、例えば、
図1との関係で既に説明した無線デバイス104に対応し得る。
【0043】
無線デバイスは、
図1との関係で既に説明したネットワーク100のシナリオで動作する。よって、複数の無線アクセスノードまたは無線アクセスポイントが、同じ時間リソース(例えば、同じデータフレーム)を用いて、同時に無線デバイスに送信するように、協調される。
図2との関係で既に注意したように、複数の無線アクセスノードが、同じデータを無線デバイスへ送信することがあり得るし(無線デバイスにおける受信信号強度を効果的に上昇させる)、または異なるデータを無線デバイスへ送信することもあり得る(無線デバイスへの潜在的データレートを上昇させる)。
【0044】
方法は、ステップ400で開始するが、ステップ400では、無線デバイスが、例えば(同じデータフレームなどの)同じ時間リソースを用いて、複数のデータストリームを同時に受信する。この段階では、無線デバイスは、どの1つのアクセスポイントまたはどの複数のアクセスポイントが複数のデータストリームを送信したのかを知らないことがあり得る。
【0045】
ステップ402では、無線デバイスは、ステップ400でそれ自体が受信したデータストリームに対して1つまたは複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきかどうかに関する指示を、アクセスポイントから受信する。
【0046】
指示は、ステップ400で受信された1つまたは複数のデータストリームにおいて、無線デバイスへ送信されたデータパケットに含まれ得る。例えば、ある実施形態では、指示は、データパケットの(PHYヘッダなどの)ヘッダに含まれ得る。指示は、ステップ400で受信されたすべてのデータストリームから、送信されたデータパケットにおいて受信され得る。
【0047】
ある実施形態では、指示は、無線デバイスが複数の協調無線アクセスポイントの各アクセスポイントから受信された1つまたは複数のデータストリームに対してそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む。ここで、各アクセスポイントは無線デバイスへ1つまたは複数のデータストリームを送信し得るということに、注意すべきである。この実施形態における位相トラッキングプロセスは、アクセスポイントごとに実行され得るのであって、そのアクセスポイントから受信される各データストリームに対して、同じキャリア周波数オフセットが、用いられる。特定のアクセスポイントによって送信される各データストリームは同じ発振器またはクロックを用いることになるので、キャリア周波数オフセットは、各データストリームに対して類似のものとなる。
【0048】
しかし、代替実施形態では、指示は、無線デバイスが複数の協調アクセスポイントから受信された各データストリームに対しそれぞれの位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む。この実施形態は、各アクセスポイントが複数のデータストリームのそれぞれを無線へ送信する場合、すなわち、各アクセスポイントが同じ複数のデータストリームを無線デバイスへ送信する場合に、特に適切であり得る。どの与えられた時点でも、アクセスポイントのうちの1つが、特定のデータストリームにほとんどの能力を与えることになり、したがって、そのデータストリームのためのCFOは、無線デバイスのクロックとその特定のアクセスポイントのクロックとの間の不一致に最も左右されることになる。異なるデータストリームでは、異なるアクセスポイントが、ほとんどの能力を与え得るのであり、したがって、そのデータストリームのためのCFOは、無線デバイスのクロックとその異なるアクセスポイントのクロックとの間の不一致に最も左右されることになる。この実施形態における位相トラッキングプロセスは、データストリームごとに実行され得る。
【0049】
指示は、シグナリングフィールドを含み得るが、このシグナリングフィールドは、複数の位相トラッキングプロセスが無線デバイスによって実行されるべきであると指示する第1の値に設定されるか、または単一の位相トラッキングプロセスが無線デバイスによって実行されるべきであると指示する第2の値に設定される。
【0050】
この指示は、黙示的または明示的であり得る。前者の場合、この指示は異なる特性または設定に関する指示を含み得るのであり、無線デバイスによって、複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという命令として解釈される。例えば、この指示は、分散型ダウンリンクMIMOが無線デバイスへの送信に用いられるべきであるという指示を含み得る。無線デバイスは、上述したように複数の位相トラッキングプロセスを実行するものとしてその指示を解釈するように、設定され得る。
【0051】
指示が無線デバイスはデータストリームに対して複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む場合には、方法は、ステップ404に進み、ステップ404では、無線デバイスが、データストリームに対して複数の位相トラッキングプロセスを実行する。
【0052】
無線デバイスのk番目のアンテナで受信された、パイロットサブキャリアにおける信号rkは、
rk=hk1ejθs+hk2ejφt+w
としてモデル化することが可能であるということが思い出されるであろう。ただし、k=1、2である。ここで、hk1およびhk2は、k番目のアンテナと無線アクセスポイント102a、102bそれぞれとの間のチャネルであり、θおよびφは、無線デバイス104と無線アクセスポイント102a、102bそれぞれとの間のクロックの不一致に起因するCFOをモデル化しており、wはノイズを表す。
【0053】
無線デバイスは、アクセスポイントm=1、2から受信アンテナk=1、2までのチャネル{hkm}を、いずれかの広く知られた技術を用いて、推定できる。例えば、802.11ax PHYに類似の物理層(PHY)が用いられる場合には、これらの推定は、無線デバイスと無線アクセスポイントとの間での先の送信を介して得られたいずれかのチャネル推定をロングトレーニングフィールドの助けを借りて周波数領域において補間することによって、得ることが可能である。パイロットシンボルsおよびtもまた知られているか、または、802.11(もしくは同等の)仕様で与えられているアルゴリズムを用いて無線デバイスによって決定することが可能である。
【0054】
このように、項rk、hkm、sおよびtは、無線デバイスにおいて知られていて(または、前もって推定されており)、キャリア周波数オフセットを、広く知られた統計学的手法を用いて、計算することができる。
【0055】
指示が、無線デバイスはデータストリームに対して単一の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を含む場合には(例えば、単一のアクセスポイントが、ステップ400で受信された複数のデータストリームを送信したために)、方法は、ステップ406に進み、ステップ406では、無線デバイスが、データストリームに対して単一の位相トラッキングプロセスを実行する。ここで、無線デバイスは、データストリームのそれぞれがキャリア周波数オフセットの同じ値を有すると仮定している。
【0056】
図5は、本開示の実施形態によるネットワークノード500の概略図である。ネットワークノード500は、例えば、
図3との関係で既に説明された方法を実行するように設定され得る。ネットワークノード500は、(無線アクセスポイントなどの)無線アクセスノードか、またはそのような無線アクセスノードに接続されたネットワークノードを含み得る。
【0057】
ネットワークノード500は、通信ネットワークの一部を形成するように設定可能であり得るのであって、この通信ネットワークは、複数のデータストリームを与えられた時間リソースで無線デバイスに送信するための、複数の協調無線アクセスネットワークノードを含む。ネットワークノード500は、処理回路構成502と、(メモリなどの)デバイス可読媒体504とを含む。デバイス可読媒体504は、処理回路構成502によって実行されると、ネットワークノード500に、無線デバイスが与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、無線デバイスへ送信させる命令を記憶している。
【0058】
また、図解されている実施形態では、ネットワークノード500は、無線デバイスもしくはネットワークノードから信号を受信するおよび/もしくは無線デバイスもしくはネットワークノードに信号を送信するための1つまたは複数のインターフェース506も、含んでいる。インターフェース506は、電子シグナリング、光シグナリングまたはワイヤレス(無線)シグナリングなど、いずれかの適切な通信技術を用い得る。
【0059】
図5は、処理回路構成502とメモリ504とインターフェース506とが直列に結合されている様子を示しているが、当業者であれば、ネットワークノード500のコンポーネントは、いずれかの適切な様態で(例えば、バスまたはそれ以外の内部接続を介して)結合され得るということを理解するだろう。
【0060】
図6は、本開示の更なる実施形態によるネットワークノード600の概略的な図解である。ネットワークノード600は、例えば、
図3の方法を実行するように設定され得る。
【0061】
ネットワークノード600は、通信ネットワークの一部を形成するように設定可能であり得るが、この通信ネットワークは、複数のデータストリームを与えられた時間リソースで無線デバイスへ送信するための、複数の協調無線アクセスネットワークノードを含む。ネットワークノード600は、使役ユニット602を備えており、この使役ユニット602は、無線デバイスが与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、無線デバイスへ送信させるように設定される。
【0062】
また、ネットワークノード600は、無線デバイスもしくはネットワークのネットワークノードから信号を受信するおよび/もしくは無線デバイスもしくはネットワークのネットワークノードに信号を送信するための1つまたは複数のインターフェースモジュール(図示せず)も、含むことがあり得る。これらのインターフェースは、電子シグナリング、光シグナリングまたはワイヤレス(無線)シグナリングなど、いずれかの適切な通信技術を用い得る。
【0063】
図7は、本開示の実施形態による無線デバイス700の概略図である。無線デバイス700は、例えば、
図4との関係で既に説明された方法を実行するように設定され得る。
【0064】
無線デバイス700は、複数のデータストリームを与えられた時間リソースで無線デバイスへ送信する複数の協調無線アクセスネットワークノードから、データを受信するように設定され得る。無線デバイス700は、処理回路構成702と、(メモリなどの)デバイス可読媒体704とを含む。デバイス可読媒体704は、処理回路構成702によって実行されると、無線デバイス700に、無線デバイスが与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノードから受信させる命令を記憶している。
【0065】
また、図解されている実施形態では、無線デバイス700は、ネットワークノードから信号を受信するおよび/もしくはネットワークノードへ信号を送信するための、1つまたは複数のインターフェース706も、含んでいる。インターフェース706は、電子シグナリング、光シグナリングまたはワイヤレス(無線)シグナリングなど、いずれかの適切な通信技術を用い得る。
【0066】
図7は、処理回路構成702とメモリ704とインターフェース706とが直列に結合されている様子を示しているが、当業者であれば、無線デバイス700のコンポーネントは、いずれかの適切な様態で(例えば、バスまたはそれ以外の内部接続を介して)結合され得るということを理解するだろう。
【0067】
図8は、本開示の更なる実施形態による無線デバイス800の概略的な図解である。無線デバイス800は、例えば、
図4の方法を実行するように設定され得る。
【0068】
無線デバイス800は、複数のデータストリームを与えられた時間リソースで無線デバイスへ送信する複数の協調無線アクセスネットワークノードから、データを受信するように設定され得る。無線デバイス800は、受信ユニット802を備えている。受信ユニット802は、無線デバイスが与えられた時間リソースで複数の協調無線アクセスネットワークノードから受信された信号に対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを実行すべきであるという指示を、ネットワークノードから受信するように設定されている。
【0069】
また、無線デバイス800は、ネットワークのネットワークノードから信号を受信するおよび/もしくはネットワークのネットワークノードへ信号を送信するための、1つまたは複数のインターフェースモジュール(図示せず)も、含むことがあり得る。これらのインターフェースは、電子シグナリング、光シグナリングまたはワイヤレス(無線)シグナリングなど、いずれかの適切な通信技術を用い得る。
【0070】
図6および
図8との関係で既に説明されたモジュールは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかの組合せを含み得る。例えば、ある実施形態では、それらのモジュールは、全体がハードウェアで実装される。既に注意したように、ハードウェアによる実装は、限定を意味しないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)および/もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むがこれらに限定されることはないハードウェア(例えば、デジタルもしくはアナログ)回路構成、ならびに(適切な場合には)そのような機能を実行可能なステートマシンを含むまたは包含し得る。別の実施形態では、これらのモジュールは、全体として、ソフトウェアで実装され得る。更に別の実施形態では、それらのモジュールは、ハードウェアとソフトウェアとの組合せで、実装され得る。
【0071】
したがって、本開示は、無線デバイスにおける位相トラッキングプロセスを制御するための方法、装置およびデバイス可読媒体を提供する。特に、無線デバイスが同時に受信した複数のデータストリームに対して単一の位相トラッキングプロセスを実行すべきか複数の位相トラッキングプロセスを実行すべきかを示すための指示が、無線デバイスへ送信される。データストリームが異なるアクセスポイントから送信される(例えば、分散型ダウンリンクMIMOが用いられる)場合には、無線デバイスは、データストリームに対して複数で別々の位相トラッキングプロセスを用いるように勧告され得る。データストリームが単一のアクセスポイントから送信される(例えば、ポイントツーポイントMIMOが用いられる)場合には、無線デバイスは、データストリームに対して単一の位相トラッキングプロセスを用いるように勧告され得る。
【0072】
図9を参照すると、ある実施形態により、通信システムは、無線アクセスネットワークなどのアクセスネットワーク911を含んでおりコアネットワーク914も含み得る、802.11ネットワークまたは3GPPタイプのセルラネットワークなどの電気通信ネットワーク910を含む。アクセスネットワーク911は、対応するカバレッジエリア913a、913b、913cをそれぞれが画定する、NB、eNB、gNB、または他のタイプの無線アクセスポイントなど、複数の基地局またはアクセスポイント912a、912b、912cを備える。各基地局912a、912b、912cは、有線または無線接続915により、コアネットワーク914に接続可能であり得る。カバレッジエリア913cに位置する第1のUEまたは無線デバイス(またはSTAなど)991は、対応する基地局912cに無線接続するように、またはそれによってページングするように設定される。カバレッジエリア913aにおける第2のUE992は、対応する基地局912aに無線接続可能である。この例では複数のUE991、992が図解されているが、開示されている実施形態は、単一のUEがカバレッジエリアにあるか、または単一のUEが対応する基地局912に接続している状況に等しく適用可能である。
【0073】
電気通信ネットワーク910は、それ自体が、ホストコンピュータ930に接続されているのであるが、このホストコンピュータ930は、スタンドアロンサーバ、クラウド実装サーバ、分散サーバのハードウェアおよび/またはソフトウェアとして、あるいはサーバファームにおける処理リソースとして具体化され得る、ホストコンピュータ930は、サービスプロバイダの所有もしくは制御の下にある場合があり得るし、またはサービスプロバイダによって、もしくはサービスプロバイダに代わって、動作されることがあり得る。電気通信ネットワーク910とホストコンピュータ930との間の接続921および922は、コアネットワーク914からホストコンピュータ930まで直接的に延長することがあり得るし、または任意の中間ネットワーク920を介することもあり得る。中間ネットワーク920は、公的な、私設の、もしくはホストされたネットワークのうちの1つ、または複数個の組合せであり得るが、中間ネットワーク920が存在する場合、バックボーンネットワークまたはインターネットであり得るのであって、特に、中間ネットワーク920は、2つ以上のサブネットワーク(図示せず)を含むことがあり得る。
【0074】
図9の通信システムは、全体として、接続されているUE991、992とホストコンピュータ930との間の接続性を可能にする。接続性については、オーバーザトップ(OTT)接続950として、説明され得る。ホストコンピュータ930および接続されているUE991、992は、アクセスネットワーク911、コアネットワーク914、いずれかの中間ネットワーク920、および場合によっては仲介物としての更なるインフラストラクチャ(図示せず)を用いて、OTT接続950を介してデータおよび/またはシグナリングを通信するように設定される。OTT接続950は、OTT接続950が通過することで参加している通信デバイスがアップリンクおよびダウンリンク通信のルーティングを意識しないという意味で、透明であり得る。例えば、基地局912は、ホストコンピュータ930から生じるデータが接続されているUE991に転送される(例えば、ハンドオーバされる)、入ってくるダウンリンク通信の過去のルーティングに関して通知されないことがあり得るし、または通知される必要がない。同様に、基地局912は、UE991から生じてホストコンピュータ830に向かう、出て行くアップリンク通信の将来のルーティングを意識する必要がない。
【0075】
次は、ある実施形態による、先行するいくつかの段落で論じられたUE、基地局およびホストコンピュータの例示的な実装形態が、
図10を参照しながら、説明される。通信システム1000では、ホストコンピュータ1010は、通信システム1000の異なる通信デバイスのインターフェースとの有線または無線接続をセットアップし維持するように設定された、通信インターフェース1016を含むハードウェア1015を備える。ホストコンピュータ1010は、処理回路構成1018を更に備えており、処理回路構成1018は、記憶および/または処理能力を有し得る。特に、処理回路構成1018は、1つもしくは複数のプラグラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または命令を実行するように適合されたこれらの組合せ(図示せず)を含むことがあり得る。ホストコンピュータ1010は、ソフトウェア1011を更に備えており、このソフトウェア1011は、ホストコンピュータ1010に記憶されるかまたはホストコンピュータ1010によってアクセス可能であり、処理回路構成1018によって実行可能である。ソフトウェア1011は、ホストアプリケーション1012を含む。ホストアプリケーション1012は、UE1030およびホストコンピュータ1010で終端するOTT接続1050を介して接続するUE1030などのリモートユーザにサービスを提供するように、動作可能であり得る。サービスをリモートユーザに提供する際に、ホストアプリケーション1012は、OTT接続1050を用いて送信されるユーザデータを提供することがあり得る。
【0076】
通信システム1000は、電気通信システムにおいて提供されておりホストコンピュータ1010およびUE1030との通信を可能にするハードウェア1025を備えた基地局1020を、更に含む。ハードウェア1025は、通信システム1000の異なる通信デバイスのインターフェースとの有線または無線接続をセットアップし維持するための通信インターフェース1026を含み得るし、同様に、基地局1020によってサーブされるカバレッジエリア(
図10に図示せず)に位置するUE1030との少なくとも無線接続1070をセットアップし維持するための無線インターフェース1027も、含み得る。通信インターフェース1026は、ホストコンピュータ1010への接続1060を容易にするように設定され得る。接続1060は、直接的な場合があり得るし、または電気通信システムのコアネットワーク(
図10には、図示せず)を通過するおよび/もしくは電気通信システムの外部にある1つもしくは複数の中間ネットワークを通過する場合も、あり得る。示されている実施形態では、基地局1020のハードウェア1025は、更に、処理回路構成1028を含むのであるが、この処理回路構成1028は、1つもしくは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または命令を実行するように適合されたこれらの組合せ(図示せず)を含み得る。基地局1020は、更に、内部に記憶されているかまたは外部接続を介してアクセス可能なソフトウェア1021を、有する。
【0077】
通信システム1000は、既に言及されたUE1030を、更に含む。そのハードウェア1035は、UE1030が現時点で位置しているカバレッジエリアにサーブする基地局との無線接続1070をセットアップし維持するように設定された無線インターフェース1037を、含み得る。UE1030のハードウェア1035は、処理回路構成1038を更に含んでおり、この処理回路構成1038は、1つもしくは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または命令を実行するように適合されたこれらの組合せ(図示せず)を含み得る。UE1030は、ソフトウェア1031を更に備えており、このソフトウェア1031は、UE1030に記憶されているかまたはUE1030によってアクセス可能であり、処理回路構成1038によって実行可能である。ソフトウェア1031は、クライアントアプリケーション1032を含む。クライアントアプリケーション1032は、ホストコンピュータ1010のサポートを用いてUE1030を介して人間または人間以外のユーザにサービスを提供するように、動作可能であり得る。ホストコンピュータ1010においては、実行中のホストアプリケーション1012が、UE1030およびホストコンピュータ1010で終端するOTT接続1050を介して、実行中のクライアントアプリケーション1032と通信し得る。サービスをユーザに提供する際には、クライアントアプリケーション1032は、要求データをホストアプリケーション1012から受け取り、その要求データに応答して、ユーザデータを提供し得る。OTT接続1050は、要求データとユーザデータとの両方を、転送し得る。クライアントアプリケーション1032は、提供するユーザデータを生成するために、ユーザと相互作用することがあり得る。
【0078】
図10に図解されているホストコンピュータ1010、基地局1020およびUE1030は、それぞれが、
図9のホストコンピュータ930、基地局912a、912b、912cのうちの1つおよびUE991、992のうちの1つと、同様または同一であり得るということに注意すべきである。つまり、これらのエンティティの内部的な作用は、
図10に示されているようなものであり得るのであって、そして独立的に、周囲のネットワークトポロジーは、
図9のものであり得る。
【0079】
図10では、OTT接続1050は、どの中継デバイスにもそれらのデバイスを介してのメッセージの正確なルーティングにも明示的に言及することなく、ホストコンピュータ1010とUE1030との間での、基地局1020を介した通信を図解するために、抽象的に描かれている。ネットワークインフラストラクチャは、UE1030から、ホストコンピュータ1010を動作させるサービスプロバイダからまたはそれら両方から隠れるように設定され得るルーティングを、決定することがあり得る。OTT接続1050がアクティブである間に、ネットワークインフラストラクチャは、更に、(例えば、ネットワークの負荷均衡化に関する考慮または再設定に基づいて)ルーティングを動的に変更する決定を行う場合がある。
【0080】
UE1030と基地局1020との間の無線接続1070は、本開示の全体で説明されている実施形態の教示に従う。様々な実施形態のうちの1つまたは複数が、無線接続1070が最後のセグメントを形成するOTT接続1050を用いて、UE1030に提供されるOTTサービスの性能を改善する。より正確には、これらの実施形態の教示によりセキュリティが改善され得ることで、完全性の保護を要求しないサービスのためにレイテンシを不必要に増大させることなく、ユーザデータと制御データとに関するより大きなセキュリティなどの利益が提供される。
【0081】
データレート、レイテンシおよび1つまたは複数の実施形態が改善される際の他の因子を監視するという目的のために、測定手順が、提供されることがあり得る。更に、測定結果の変動に応答して、ホストコンピュータ1010とUE1030との間のOTT接続1050を再設定するためのネットワーク機能性が、オプションとして、存在することがあり得る。測定手順および/またはOTT接続1050を再設定するためのネットワーク機能性は、ホストコンピュータ1010のソフトウェア1011およびハードウェア1015もしくはUE1030のソフトウェア1031およびハードウェア1035において、またはそれらの両方において、実装され得る。いくつかの実施形態では、センサ(図示せず)が、OTT接続1050が通過する通信デバイスにおいて、またはそのような通信デバイスに伴って、配置される場合があり、これらのセンサは、上で例示した監視量の値を供給することによって、またはソフトウェア1011、1031が監視量を計算もしくは推定し得る他の物理量の値を供給することによって、測定手順に参加し得る。OTT接続1050の再設定は、メッセージ形式、再送信セッティング、好適なルーティングなどを含むことがあるが、この再設定は、必ずしも基地局1020に影響を及ぼすことはなく、基地局1020にとって未知または知覚不能であり得る。このような手順および機能性は、当該分野で知られ、実践されている場合があり得る。特定の実施形態では、測定には、スループット、伝播時間、レイテンシなどのホストコンピュータ1010による測定を容易にする、プロプライエタリなUEのシグナリングが関与する場合があり得る。これらの測定は、ソフトウェア1011および1031が、メッセージ特に空のまたは「ダミー」メッセージを、伝播時間やエラーなどを監視している間に、OTT接続1050を用いて送信させるように、実装され得る。
【0082】
図11は、ある実施形態による、通信システムにおいて実装された方法を図解するフローチャートである。通信システムは、
図9および10を参照して説明されたものであり得るホストコンピュータ、基地局およびUEを含む。本開示を簡潔にするため、
図11への図面参照のみが、このセクションに含まれるものとする。ステップ1110では、ホストコンピュータが、ユーザデータを提供する。ステップ1110のサブステップ1111(オプションであり得る)では、ホストコンピュータが、ホストアプリケーションを実行することによって、ユーザデータを提供する。ステップ1120では、ホストコンピュータが、ユーザデータをUEに搬送する送信を開始する。ステップ1130(オプションであり得る)では、基地局が、本開示の全体で説明されている実施形態の教示に従い、ホストコンピュータが開始した送信で搬送されたユーザデータを、UEに送信する。ステップ1140(やはりオプションであり得る)では、UEが、ホストコンピュータによって実行されたホストアプリケーションと関連するクライアントアプリケーションを実行する。
【0083】
図12は、ある実施形態による、通信システムにおいて実装された方法を図解するフローチャートである。通信システムは、
図9および10を参照して説明されたものであり得るホストコンピュータ、基地局およびUEを含む。本開示を簡潔にするため、
図12への図面参照のみが、このセクションに含まれるものとする。方法のステップ1210では、ホストコンピュータが、ユーザデータを提供する。オプションであるサブステップ(図示せず)では、ホストコンピュータが、ホストアプリケーションを実行することによって、ユーザデータを提供する。ステップ1220では、ホストコンピュータが、ユーザデータをUEに搬送する送信を開始する。本開示の全体で説明されている実施形態の教示に従い、この送信は、基地局を介して通過する場合があり得る。ステップ1230(オプションであり得る)では、UEは、送信において搬送されるユーザデータを受信する。
【0084】
上述の実施形態は、本明細書に開示されている概念を限定しておらず、当業者であれば、下記に添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、多くの代替的な実施形態を設計できるであろうことが、注意されるべきである。「備える、含む(comprising)」という語は、ある言明に列挙されているもの以外の要素やステップの存在を排除せず、「ひとつの(a)」または「ひとつの(an)」は、複数を排除せず、単一のプロセッサまたは他のユニットが、その言明に記載されている複数のユニットの機能を充足することがあり得る。特許請求の範囲におけるどの参照符号も、それらの範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0085】
番号が付された以下の段落は、本開示の実施形態を与える。
【0086】
実施形態1:ホストコンピュータを含む通信システムであって、
ユーザデータを提供するように設定された処理回路構成と、
無線デバイスへの送信のために、ユーザデータを無線ネットワークに転送するように設定された通信インターフェースとを備えており、
無線ネットワークは、無線インターフェースと処理回路構成とを有するネットワークノードを備えており、基地局の処理回路構成は、本明細書に添付された請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するように設定されている、通信システム。
【0087】
実施形態2:ネットワークノードを更に含む、実施形態1の通信システム。
【0088】
実施形態3:無線デバイスを更に含んでおり、UEがネットワークノードと通信するように設定されている、実施形態2の通信システム。
【0089】
実施形態4:ホストコンピュータの処理回路構成は、ホストアプリケーションを実行することによりユーザデータを提供するように設定されており、
無線デバイスは、ホストアプリケーションと関連するクライアントアプリケーションを実行するように設定された処理回路構成を備えている、実施形態3の通信システム。
【0090】
実施形態5:ホストコンピュータとネットワークノードと無線デバイスとを含む通信システムにおいて実装される方法であって、
ホストコンピュータにおいて、ユーザデータを提供することと、
ホストコンピュータにおいて、本明細書に添付された請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するネットワークノードを含む無線ネットワークを介して、ユーザデータを無線デバイスに搬送する送信を開始させることとを含む、方法。
【0091】
実施形態6:ネットワークノードにおいて、ユーザデータを送信することを更に含む、実施形態5の方法。
【0092】
実施形態7:ホストアプリケーションを実行することによって、ユーザデータが、ホストコンピュータにおいて提供され、この方法が、更に、
無線デバイスにおいて、ホストアプリケーションと関連するクライアントアプリケーションを実行することを含む、実施形態6の方法。
【0093】
実施形態8:ホストコンピュータを含む通信システムであって、
ユーザデータを提供するように設定された処理回路構成と、
無線デバイスへの送信のために、ユーザデータを無線ネットワークに転送するように設定された通信インターフェースとを備えており、
無線デバイスは、無線インターフェースと、本明細書に添付された請求項11から19のいずれか一項に記載の方法を実行するように設定された処理回路構成とを備える、通信システム。
【0094】
実施形態9:無線デバイスを更に含む、実施形態8の通信システム。
【0095】
実施形態10:無線ネットワークが、無線デバイスと通信するように設定されたネットワークノードを更に含む、実施形態9の通信システム。
【0096】
実施形態11:ホストコンピュータの処理回路構成が、ホストアプリケーションを実行することによりユーザデータを提供するように設定され、
無線デバイスの処理回路構成が、ホストアプリケーションと関連するクライアントアプリケーションを実行するように設定されている、実施形態9または10の通信システム。
【0097】
実施形態12:ホストコンピュータとネットワークノードと無線デバイスとを含む通信システムにおいて実装される方法であって、
ホストコンピュータにおいて、ユーザデータを提供することと、
ホストコンピュータにおいて、ネットワークノードを含む無線ネットワークを介して、ユーザデータを本明細書に添付された請求項11から19のいずれか一項に記載の方法を実行する無線デバイスに搬送する送信を開始させることとを含む、方法。
【0098】
実施形態13:無線デバイスにおいて、ネットワークノードからユーザデータを受信することを更に含む、実施形態12の方法。