(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電気負荷に電力を供給するためのコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H02M3/00 H
H02M3/00 Q
(21)【出願番号】P 2021571739
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2020054934
(87)【国際公開番号】W WO2020245699
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】102019000007974
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517426362
【氏名又は名称】エッグトロニック エンジニアリング エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】イゴール スピネッラ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ミケーレ ディフランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ザネッティ
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポ ムッチーニ
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/058175(WO,A1)
【文献】特表2017-505596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013313(US,A1)
【文献】特開2003-204679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気負
荷に電力を供給するためのコンバー
タであって、
直流又は類似の電圧を直流電圧に印加可能な第1の入力端
子及び第2の入力端
子と、
前記電気負
荷の両端に接続可能な第1の出力端
子及び第2の出力端
子と、
波動発生器と、
整流段と、
を備え、
前記波動発生器が、
前記第1の入力端
子を第1の中間電気ノー
ドに接続する第1の電気分
岐と、
前記第1の中間電気ノー
ドを前記第2の入力端
子に接続する第2の電気分
岐と、
前記第2の電気分
岐に設置される第1の能動スイッ
チであって、前記第1の中間電気ノー
ドに接続される第1の導電端
子と、前記第2の入力端
子に接続される第2の導電端
子と、電気駆動信号を受信して、前記第1及び前記第2の導電端
子間に電流が流れることを許容する飽和状態と電流が流れないようにする遮断状態の間で前記第1の能動スイッ
チを切り替える制御端
子とを有する第1の能動スイッ
チと、
前記第1の能動スイッ
チが前記遮断状態から前記飽和状態に切り替わる少なくとも瞬間に、前記第1の能動スイッチに印加される電圧及び又は電流を低減させる共振回
路と、
を備え、
前記整流段が、
前記第1の出力端子を第2の中間電気ノードに接続する第3の電気分岐と、
前記第2の中間電気ノードを前記第2の出力端子に接続する第4の電気分岐と、
該第4の電気分岐に位置するダイオード又は第2の能動スイッチと、
を備え、
前記ダイオードが、前記第2の中間電気ノードに接続されるカソードと、前記第2の出力端子に接続されるアノードと、を備え、
前記第2の能動スイッチが、前記第2の中間電気ノードに接続される第1の導電端子と、前記第2の出力端子に接続される第2の導電端子と、電気駆動信号を受信して、前記第1及び前記第2の導電端子間に電流が流れることを許容する飽和状態と電流が流れないようにする遮断状態の間で前記第2の能動スイッチを切り替える制御端子と、を有し、
該共振回
路が、少なくとも、
前記第1の電気分
岐に設置される第1の共振インダク
タであって、前記第1の入力端
子に接続される第1の端
子と前記第1の中間電気ノー
ドに接続される第2の端
子とを有する第1の共振インダク
タと、
前記第3の電気分
岐に設置される第2の共振インダク
タであって、前記第2の中間電気ノードに接続される第1の端
子と前記第1の出力端
子に接続される第2の端
子とを有する第2の共振インダク
タと、
前記第1の中間電気ノー
ドに接続される第1の端
子と、前記第2の中間電気ノー
ドに接続される第2の端
子と、を備える第1の共振キャパシタン
スと、
を備え、
前記第1の共振インダク
タ及び前記第2の共振インダク
タが、1未満の相互結合係数で誘導結合され、
前記波動発生器が、前記第1の能動スイッチ以外のスイッチを備えないコンバー
タ。
【請求項2】
前記第1の共振インダク
タと前記第2の共振インダク
タの間の前記結合係数が、0.1から0.8の間である請求項1に記載のコンバー
タ。
【請求項3】
前記第1の共振インダク
タと前記第2の共振インダク
タの間の前記結合係数が、0.2から0.6の間である請求項2に記載のコンバー
タ。
【請求項4】
前記第2の出力端
子に接続される第1の端
子と、前記第2の入力端
子に接続される第2の端
子と、を有する第2の共振キャパシタン
スを備える請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバー
タ。
【請求項5】
前記第1の能動スイッ
チを周期的にオン/オフするように構成される第1のコントロー
ラを備え、
該第1のコントロー
ラが、前記第1の能動スイッ
チの前記第1の導電端
子に印加される電圧を測定し、該測定された電圧がキャンセルされた場合に、前記第1の能動スイッ
チをオンにするように構成される請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバー
タ。
【請求項6】
前記第2の能動スイッ
チを周期的にオン/オフするように構成される第2のコントロー
ラを備え、
該第2のコントロー
ラが、前記第2の能動スイッ
チの前記第1の導電端
子に印加される電圧を測定し、該測定された電圧がキャンセルされた場合に、前記第2の能動スイッ
チをオンにするように構成される請求項
5に記載のコンバー
タ。
【請求項7】
前記第2のコントロー
ラが、期間の継続時間よりも短いターンオン時間の間、前記第2の能動スイッ
チをオン状態に維持し、前記第1のコントロー
ラが前記第1の能動スイッ
チをオフにした時点で、又は一定の遅延を伴って、前記第2の能動スイッ
チをオフにするように構成される請求項6に記載のコンバー
タ。
【請求項8】
前記第2のコントロー
ラが、前記第1の出力端
子に印加される電圧の値を測定し、前記電圧の測定値と目標値との差を最小化するように、前記第2の能動スイッ
チをオフにする際の遅延を変更するように構成される請求項7に記載のコンバー
タ。
【請求項9】
前記第1のコントローラが、前記第1の能動スイッ
チの前記第1の導電端
子に印加される電圧のピーク値を測定し、該電圧のピークの測定値と目標値との差を最小化するように、前記第1の能動スイッ
チのターンオン時間を変更する請求項6または7に記載のコンバー
タ。
【請求項10】
前記第1の中間電気ノー
ドを、前記第1の共振キャパシタン
スの前記第1の端
子に接続する電気分
岐に沿って配置される第3の共振インダク
タを備える請求項1から9のいずれか一項に記載のコンバー
タ。
【請求項11】
前記ダイオー
ドまたは前記第2の能動スイッ
チに並列に接続されるタンクキャパシタン
スを備える請求項1から10のいずれか一項に記載のコンバー
タ。
【請求項12】
前記第1の能動スイッ
チに並列に接続されるタンクキャパシタン
スを備える請求項1から11のいずれか一項に記載のコンバー
タ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気負荷に電力を供給するためのコンバータに関する。電気負荷は、その動作を可能にするために電気的に電力を供給する必要がある、および/またはデバイス自体の内部バッテリーを充電する必要がある電気機器または電子機器であり得る。この種の電気/電子機器の典型的な例には、スマートフォン、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、テレビ、家電、ホームオートメーションシステム、サーバ、その他多くの関連デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
現在、電力を電気負荷に供給するための非常に広範な解決策は、コンバータ、すなわち、入力電圧を、負荷に供給するように適合された出力電圧に変換するように構成された電気回路を使用することである。
【0003】
たとえば、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータが知られている。直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACコンバータや直流/交流電圧を別の直流/交流電圧に変換するDC/DCまたはAC/ACコンバータも知られているが、これらは異なる特性を有する。
【0004】
使用時の安全性と安定性を高めるために、これらのコンバータは全て絶縁された構成で作られ得る。すなわち、入力電圧を受ける一次電気回路と、電気負荷に接続された二次電気回路とを備えることができ、これらは互いにガルバニック絶縁される。
【0005】
一次回路は、高周波電圧波を発生させるスイッチングタイプの電気回路を備えてもよく、二次回路は、これらの電圧波を連続または略連続した電圧に変換して負荷に印加する整流段を場合により備えてもよい。
【0006】
この解決策の典型的な実装は、フライバック型AC/DCコンバータによって代表される。このコンバータでは、ガルバニック絶縁は、一次回路と二次回路の間の電磁カップリングを可能にする変圧器によって得られる。基本的に、フライバック型回路は、エネルギー貯蔵インダクタを変圧器に置き換えるバックブースト型DC/DCコンバータの一種である。
【0007】
このタイプの回路は特に簡単で安価であるという利点を有するが、ハードスイッチングコンバータであるという事実のために多くの不利な点を有している。
【0008】
ハードスイッチングコンバータは、スイッチに印加される電流や電圧がゼロと大きく異なる場合に、スイッチング損失とも呼ばれる大きな動的損失の発生を伴って、スイッチをオンからオフまたはオフからオンに切り替えるスイッチを備えた回路であり、これにより、システムの最大動作周波数が制限され、寸法が大きくなり、動作効率が低下する。
【0009】
長年にわたり、この回路は、損失の低減に有効な主回路でのアクティブクランプ技術および二次回路での同期整流と、比較的低電圧の状態でスイッチを切り替えるのに有用な準共振技術とによって改良されてきた。
【0010】
しかし、これらの全てを配置すると回路が複雑になり、部品コストが高くなるだけでなく、能動素子をリアルタイムで制御するため、最大周波数が制限されてしまうという欠点がある。
【0011】
コンバータの二次回路から一次回路をガルバニック絶縁する他の方法は、電力を伝送可能な容量性カップリングを実現する一対の絶縁キャパシタンスによって、両者を分離することである。
【0012】
容量絶縁型コンバータには多くの利点がある。主には、変圧器がないために全体の寸法を大幅に縮小できることと、動作周波数を上げることができることである(たとえば、数百kHz、MHz、数十MHz、または数百MHzに達する可能性がある)。
【0013】
これらの容量絶縁型コンバータのさらなる利点は、トランス絶縁コンバータで典型的に発生するような特定の負荷間隔でのみ効率のピークを有する一般的な低効率ではなく、電気負荷が軽い場合と電気負荷が重い場合の両方で安定する高い動作効率に到達できることである。
【0014】
このタイプのコンバータの代表的な例としては、例えば、共振D、E、F、E/F、 E-1、F-1級の回路または同等品のような共振回路図に基づくものがある。
【0015】
このタイプの回路では、能動素子(MOSFETなどのスイッチ)の動的損失および電磁エミッション(EMI)を大幅に低減し、回路の最大動作周波数を大幅に増加させて、全体的な寸法、重量およびコストの利点を得ることができる。
【0016】
特許文献1には、容量性カップリングで絶縁されるコンバータで使用される共振回路の例が示されている。
【0017】
この回路は、E級または同等のアンプから派生したものであり、LC共振回路の共振キャパシタンスとして絶縁キャパシタンスが利用されている。
【0018】
この回路には数多くの利点があるが、特に動作効率の高さと、能動スイッチのゼロ電圧スイッチング及び/又はゼロ電流スイッチングが可能なことによる動的損失の低さが挙げられる。
【0019】
また、動的損失が低いため、動作周波数を大幅に向上させることができ、従来の変圧器ベースのフライバック・コンバータと比較して全体的な寸法も小さくできる。
【0020】
このアーキテクチャの数少ない欠点の一つは、回路の電源電圧と能動スイッチの間に大きな値のチョークインダクタを配置する必要があることである。
このチョークインダクタは、電流発生器として実質的に動作するために理論的に無限大の値を持つ必要があり、この電流発生器は、スイッチがオンになっている時間間隔の間に充電され、スイッチがオフになっている時間間隔の間に、略一定の電流で回路に電力を供給することによって放電される。
【0021】
明らかに、実際の回路では、チョークインダクタの値は無限大ではないが、それにもかかわらず非常に大きいため、大きな寸法を特徴とする。
【0022】
通常は、二次側整流器段の下流に位置する出力フィルタインダクタも同様の寸法で特徴付けられ、この部品も理想的には無限大の値を有する。
【0023】
この種の回路のもう 1 つの重要な部品は、絶縁キャパシタンスと直列の共振インダクタであり、一般的に高い誘導値を有し、低タッチ電流(リーク電流とも呼ばれる)を保証するのに必要な小さな絶縁キャパシタンスを補償するのにも役立つ。
【0024】
高誘導値、高動作周波数、高電流リップル(略正弦波電流)により、前述の共振インダクタは、このタイプの回路の殆どすべての損失の原因となり、特に、磁気ヒステリシスや渦電流などの磁性材料のコアの渦現象や、表皮効果、ジュール効果、近接現象などの内部に巻かれた電線による損失が発生する。
【0025】
この欠点を解決するために、チョークインダクタを、絶縁キャパシタンスと共振可能な共振インダクタに置き換えることが提案された。
【0026】
特許文献2には、この解決策の例が記載されている。
【0027】
この回路は、一次回路に存在する唯一のインダクタを、ターンオン期間中にエネルギーを蓄積するチョークインダクタとして、かつ、ターンオフ期間中に共振インダクタとして利用することで、回路の総インダクタンス値を大幅に減少させ、結果として全体の寸法を減少させ、効率を向上させることができる。
【0028】
上述の特許文献2には、この解決策をさらに進化させたものもまた記載されており、出力フィルタレデューサとして同時に機能し、絶縁キャパシタンスと一次回路に配置された共振インダクタとの共振を実現可能な二次回路上のさらなる共振インダクタを提供することを想定している。
【0029】
このようにして、回路の総共振周波数は、一次側および二次側共振インダクタンスの合計と一連の絶縁キャパシタンスに依存する。
【0030】
この回路は、複雑な誘導部品が排除されているため、小型化の利点に加えて、絶縁キャパシタンスのキャンセルの効果をさらに高めることができ、したがって、絶縁キャパシタンスと同じ周波数およびサイズでより大きな電力を負荷に伝達することができる。
【0031】
しかし、この回路の欠点は、スイッチでサポートされる高ピーク電圧および回路内を循環する高無効電流にあり、特に、従来の回路よりも低いが、コンバータの損失のほとんどすべての損失の原因がインダクタにある。
【0032】
さらなる欠点は、2つの共振インダクタを提供する必要があることであり、これは通常、チョークインダクタよりインダクタンス/体積比が小さいことを特徴とする。
【0033】
実際、共振インダクタで放電する最も高いピーク・ツー・ピーク電流には、ヒステリシス、表皮効果、近接効果などの渦現象の存在が大きく関与しており、これらは通常、磁性材料(エアギャップを使用しても、高周波で強磁性材料のナノ粉末をベースにした材料であり、したがって、分散ギャップインダクタやエアラップインダクタに類似)のコアの相対的な透磁率を低下させ、したがってインダクタのサイズが大きくすることで最小化される。
【0034】
これらの欠点は、同様の回路をプッシュプル構成で実現することで軽減できるが、部品点数を2倍にする必要があるため、低電力回路に比べて寸法やコストが重要ではない高出力の場合にのみ採用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【文献】国際公開第2013/150352号
【文献】イタリア国特許出願公開第102018000008935号明細書
【発明の概要】
【0036】
上記に鑑み、本発明の目的は、先行技術の上記欠点を解決し、または、少なくとも実質的に軽減することのできる解決策を提供することである。
【0037】
もう一つの目的は、簡潔でコンパクト、合理的、かつ可能な限り低コストの解決手段により、このような目的を達成することである。
【0038】
これらおよび他の目的は、独立請求項1に記載された本発明の特徴によって達成される。従属請求項は、好適な、および/または特に有利な態様を説明するものである。
具体的には、本発明の第一の実施形態は、電気負荷に電力を供給するためのコンバータであって、
-直流又は類似の電圧を直流電圧に印加可能な第1の入力端子及び第2の入力端子と、
-前記電気負荷の両端に接続可能な第1の出力端子及び第2の出力端子と、
-前記第1の入力端子を第1の中間電気ノードに接続する第1の電気分岐と、
-前記第1の中間電気ノードを前記第2の入力端子に接続する第2の電気分岐と、
-前記第1の出力端子を第2の中間電気ノードに接続する第3の電気分岐と、
-前記第2の中間電気ノードを前記第2の出力端子に接続する第4の電気分岐と、
-前記第2の電気分岐に設置される第1の能動スイッチ(例えば、MOSFETや他のトランジスタ)であって、前記第1の中間電気ノードに接続される第1の導電端子と、前記第2の入力端子に接続される第2の導電端子と、電気駆動信号を受信して、前記第1及び前記第2の導電端子間に電流が流れることを許容する飽和状態と電流が流れないようにする遮断状態の間で前記第1の能動スイッチを切り替える制御端子とを有する第1の能動スイッチと、
-前記第1の能動スイッチが前記遮断状態から前記飽和状態に切り替わる少なくとも瞬間に、前記第1の能動スイッチに印加される電圧及び又は電流を低減させる共振回路と、
を備え、該共振回路が、少なくとも、
-前前記第1の電気分岐に設置される第1の共振インダクタであって、前記第1の入力端子に接続される第1の端子と前記第1の中間電気ノードに接続される第2の端子とを有する第1の共振インダクタと、
-前記第3の電気分岐に設置される第2の共振インダクタであって、前記第2の中間電気ノードに接続される第1の端子と前記第1の出力端子に接続される第2の端子とを有する第2の共振インダクタと、
-第1の共振キャパシタンスと、
を備え、前記第1の共振インダクタ及び前記第2の共振インダクタが、1未満の相互結合係数(K)で誘導結合されるコンバータを提供する。
【0039】
実用的な観点からは、第1の共振インダクタと第2の共振インダクタの間の誘導結合は、第1の共振インダクタのターンを第2共振インダクタのターンに近づけることで実現でき、または、磁性材料のコアに巻きつけたインダクタの場合は、第1の共振インダクタのターン及び第2の共振インダクタのターンを、同一の磁性材料のコア又はコアの一部を共有する磁気回路上に巻きつけることで実現できる。
【0040】
冒頭で説明した、物理的に異なる2つの共振インダクタが存在する排他的な容量性実装と比較して、本解決策では、2つの共振インダクタは通常、例えば、第1及び第2の共振インダクタのターンが適切に巻き付けられた単一の磁性材料のコア(例えば、環状体、平面又は他の幾何学的形状)であり、一般的に回路の最も大きな容積を占めるこれら2つの部品の全体的なサイズは、実際には半分となる。
【0041】
従来の回路を磁気的にのみ結合したもの(フライバック・コンバータなど)と比較して、代わりにここで提案されるコンバータは、結果として生じる全ての重要な利点とともに、過去に開発された他の容量性回路のように本質的にゼロ電圧スイッチングの基本的な利点を備えており、さらなる準共振回路やアクティブクランプ回路が不要であるため、回路コストを大幅に削減できる。
【0042】
本発明の一態様によれば、前記第1の共振インダクタと前記第2の共振インダクタの間の前記結合係数が、0.1から0.8の間、好ましくは0.2から0.6の間であってもよい。
【0043】
この低い結合係数は、従来の変圧器ベースのコンバータに比べてさらなる利点がある。従来の変圧器ベースのコンバータは、1に近いKを必要とするため低コストでの産業化がより困難であり、また、一次回路と二次回路間の高い結合係数と絶縁とを同時に保証するために、本願発明の対象とする低い結合係数を有する磁気回路においては寧ろ必要のない複数の構造上の工夫を必要とする。
【0044】
第1の共振インダクタと第2の共振インダクタ間の低い結合係数により、両者の結合を決定する相互インダクタンスが低減され、回路全体の共振に関与しないため、コンバータは正常に機能することができる。実際、理論的な観点から見ても、誘導によって一次回路から二次回路にエネルギーを伝達するのに有用な相互インダクタンス成分は回路の共振に介入しないが、第1の共振インダクタの自己インダクタンス及び第2の共振インダクタの自己インダクタンスは、共振キャパシタンスとともに回路の共振を決定するインダクタンス成分である。
【0045】
本発明の可能な実施形態によれば、前記第1の共振キャパシタンスが、前記第1の中間電気ノードに接続される第1の端子と、前記第2の中間電気ノードに接続される第2の端子と、を備えていてもよい。
【0046】
この解決手段により、第1の共振容量を介するキャパシタンスと、第1の共振インダクタと第2の共振インダクタ間の相互誘導結合を介する誘導との両方によって、電力を伝達可能なハイブリッドコンバータが得られる。
【0047】
このハイブリッド容量性/誘導カップリングによる解決手段により、特に、小型化、ピーク電圧の低減、効率の向上という点において数多くの利点を得ることができる。
【0048】
全体的な寸法に関しては、このハイブリッド結合手段により、キャパシタンスによってのみ結合された等価回路と比べて磁束が減少することにより、共振インダクタの全体的な寸法をさらに小さくすることができる。
【0049】
実際、キャパシタンスによってのみ結合されたコンバータでは、能動スイッチがオンの間に、一次回路に設置された共振インダクタが充電され、磁束の形でエネルギーが蓄積され、能動スイッチの次のターンオフ期間中にキャパシタンスによってのみ負荷に伝達される。
【0050】
これに対し、ここで提案されるハイブリッドコンバータでは、一次回路に配置された第1の共振インダクタと二次回路に配置された第2の共振インダクタの間の誘導結合によって、エネルギーの一部が、第1のインダクタの充電期間中に既に負荷に伝達されるため、負荷に伝達される電力が同じであれば、共振インダクタの最大磁束を減少させることができる。
【0051】
これは、磁性材料のコアのサイズが小さくなる可能性、またはいずれにしても透磁率が低いコアを選択する可能性を伴うものであり、これは一般的に、容量性カップリングでのみ生じる寸法や効率を損なうことなく、より高い周波数での損失を低減することに相当する。
【0052】
ピーク電圧に関しては、能動スイッチのターンオン期間中にもエネルギーが誘導的に伝達されるので、結果として、第1の共振インダクタは、負荷に伝達される電力が同じであっても、より少ない磁気エネルギーを蓄積してピーク電流を低減させることとなる。
【0053】
同じ理由により、第1のスイッチのその後のターンオフフェーズでは、第1の共振インダクタは共振キャパシタンスに伝送されるエネルギーが少ないので、前述の共振キャパシタンスと能動スイッチの両方が、従来の解決手段よりもはるかに低いピーク電圧に耐えることができなければならない。
【0054】
これには、低電圧に耐えることができる部品を使用することが可能となり、結果として、一般的に、より安価で、より高速で、かつ、よりコンパクトになる。
【0055】
最後に、効率に関しては、能動スイッチのターンオンフェーズ中にエネルギーを負荷に誘導的(磁気)に伝達し、ターンオフフェーズ中にキャパシタンス(電気)によって、無効電流を低減して負荷に伝送される電力を均等にすることができるので、排他的にキャパシタンスを介して結合された既に高効率な回路に対して、回路の効率を向上させることができる。
【0056】
排他的な容量性カップリング回路と比較して、ピーク電圧を低減することで、能動スイッチ(例えば、MOSFET)の使用を理想に近づけることができるので、損失が小さいことが特徴である(例えば、立ち上がり/立ち下がり時間が短くなると動的損失を減少させることができる一方、チャネル抵抗が低いと、静的損失を減少させることができる)。
【0057】
本実施形態の一態様によれば、前記共振回路が、前記第2の出力端子に接続される第1の端子と、前記第2の入力端子(または前記第2の入力端子も接続される基準電圧)に接続される第2の端子と、を有する第2の共振キャパシタンスを備えていてもよい。
【0058】
この解決手段により、上述した利点を有するハイブリッドの容量性・誘導結合によって電気的に結合されるが、共振キャパシタンスが、有利にコンバータを一次回路とガルバニック絶縁された二次回路とに分割する絶縁キャパシタンスとしても機能する。
【0059】
しかし、他の実施形態において、前記第1の共振キャパシタンスが、前記第1の能動スイッチが設置される前記第2の電気分岐と並列になるように、前記第1の中間電気ノードに接続される第1の端子と、前記第2の入力端子(または該第2の入力端子も接続される所定の基準電圧)に接続される第2の端子とを備えてもよいことが除外されるものではない。
【0060】
あるいは、前記第1の共振キャパシタンスが、前記第4の電気分岐と並列になるように、前記第2の中間電気ノードに接続される第1の端子と、前記第2の出力端子(または該第2の出力端子も接続される所定の基準電圧)に接続される第2の端子と、を備えてもよい。
【0061】
これらの解決手段により、純粋な誘導結合システムが実現され、これにより、負荷に電気エネルギーを効率的に供給可能な比較的小さい寸法の共振回路を実現することができる。
【0062】
本願発明の別の態様は、コンバータが、前記第1の能動スイッチを周期的にオン/オフするように構成される第1のコントローラをさらに備え、該第1のコントローラが、具体的には、前記第1の能動スイッチの前記第1の導電端子に印加される電圧を測定し、該測定された電圧がキャンセルされた場合、すなわち、値がゼロになった場合に、前記第1の能動スイッチ(180)をオンにするように構成されてもよいことを提供する。
【0063】
この解決手段は、システムの動作条件(負荷や入力電圧の変動など)が広範囲に変化する場合において高効率を保証する場合に特に有用となる。
【0064】
ここで、本明細書において、コントローラは、対応する能動スイッチに対する適した制御/駆動信号を決定して生成可能な任意の電気/電子デバイスであることを指摘しておく必要がある。各コントローラは、コントローラによって生成される制御/駆動信号を増幅し、対応する能動スイッチに印加するドライバに関連付けることもできる。
【0065】
本発明の別の態様は、前記第4の電気分岐が、カソードが前記第2の中間電気ノードに接続され、アノードが前記第2の出力端子に接続されるダイオードを備えてもよいことを提供する。
【0066】
このようにして、電気負荷を供給するのに有用な、第1の能動スイッチで生成された電圧波を直流電圧または直流電圧に類似する電圧に変換可能な整流段を実現することが有利に可能となる。
【0067】
他の実施形態では、前記ダイオードの代わりに、前記第4の電気分岐が、第2の能動スイッチ(MOSFETや他のトランジスタなど)を備え、該第2の能動スイッチが、前記第1の共振キャパシタンスの前記第2の端子に接続される第1の導電端子と、前記第2の出力端子に接続される第2の導電端子と、電気駆動信号を受信して、前記第1及び前記第2の導電端子間に電流が流れることを許容する飽和状態と電流が流れないようにする遮断状態の間で前記第2の能動スイッチを切り替える制御端子と、を有していてもよい。
【0068】
この第2の解決手段によれば、二次回路の接地端子などの一定の電位を基準とする単一の能動スイッチに基づいているので、整流段が全体的により効率的になり、例えば効率的で低コストの同期整流が実現される。
【0069】
この第2の解決手段に関連して、本発明の好適な態様は、コンバータが、前記第2の能動スイッチを周期的にオン/オフするように構成される第2のコントローラを備え、該第2のコントローラが、前記第2の能動スイッチの前記第1の導電端子に印加される電圧を測定し、該測定された電圧がキャンセルされた場合、すなわち、値がゼロになった場合に、前記第2の能動スイッチをオンにするように構成されてもよいことを提供する。
【0070】
このようにして、ZVSモードにおいても第2のアクティブスイッチをオンにすることを確実にすることが有利に可能となるため、損失が減少し、回路の効率が向上する。
【0071】
さらに、電圧測定に基づいて制御されたスイッチングを行うことにより、システムの動作条件が広範囲に変化する場合において高効率を保証することができる。
【0072】
この解決手段の好適な態様によれば、前記第2のコントローラが、前記期間の継続時間よりも短いターンオン時間の間、前記第2の能動スイッチをオン状態に維持し、前記第1のコントローラが前記第1の能動スイッチをオフにした時点で、又は一定の遅延を伴って、つまり、後続の時点で、前記第2の能動スイッチをオフにするようにさらに構成されてもよい。
【0073】
この解決手段によれば、第1の能動スイッチのオフに対して第2の能動スイッチのオフ遅延を適切に調整することにより、電気負荷に伝達される電力を、第2の能動スイッチが第1の能動スイッチのオフと同じ瞬間にオフにされた場合に得られる最大値から、第2の能動スイッチが全期間オンのままであるか、または第2のスイッチがオフにされない場合に得られるゼロに等しい値まで、連続的に調整することが効果的に可能となる。
【0074】
例えば、第2のコントローラは、電気負荷、例えば前記第1の出力端子に印加される電圧の値を測定し、前記電圧の測定値と目標値との差を最小化、例えばキャンセルするように、前記第2の能動スイッチをオフにする際の遅延を変更するように構成されてもよい。
【0075】
このようにして、所望の電圧値と略等しい実際の電圧値を電気負荷に印加するために、負荷自体が必要とする電力として電気負荷に印加する所望の電圧値から開始し、第2の能動スイッチのターンオフ遅延を自動的に調整可能な引き込み時の制御ループが得られる。
【0076】
この調整に関連する電気的効果は、第2の能動スイッチのターンオフ遅延を増加させることで、例えば、第1の能動スイッチの第1の導電端子において、第1の能動スイッチに印加される電圧のピーク値を徐々に増加させることができるという事実である。一次回路でのこのピーク電圧の上昇は、第2のスイッチのターンオフ遅延が増加すると、負荷に供給される有効エネルギーが減少し、回路に蓄積される無効エネルギーが増加することから生じる。
【0077】
この効果を利用して、本発明の更なる態様は、前記第1のコントローラが、前記第1の能動スイッチ、例えば、該第1の能動スイッチの前記第1の導電端子に印加される電圧のピーク値を測定し、該電圧のピークの測定値と目標値との差を最小化、例えばキャンセルするように、前記第1の能動スイッチのターンオン時間を変更するように構成されてもよいことを提供する。
【0078】
この解決手段によれば、供給される電気負荷の必要性に応じて第1の能動スイッチの動作を調整し、ピーク電圧が過度に高い値に達しないようにすることを有利に可能にし、第1の能動スイッチのターンオン時間の短縮により、第2の能動スイッチが、最小限のターンオフ遅延で常に動作するようになるので、システムに蓄積される最小の無効エネルギーによって本質的に与えられる効率の最高の条件で動作するようになる。
【0079】
本発明の他の態様によれば、前記共振回路が、前記第1の中間電気ノードを、前記第1の共振キャパシタンスの前記第1の端子に接続する電気分岐に沿って配置される、好適には小さいインダクタンス値を有する第3の共振インダクタを備えていてもよい。
【0080】
この第3の共振インダクタは、回路の全体的な共振周波数の計算に入るが、回路の総インダクタンスは変化しない。つまり、回路の任意の共振周波数について、第3の共振インダクタのインダクタンス値を大きくすると、第1及び/又は第2の共振インダクタのインダクタンス値がそれに応じて小さくなり、寸法は略一定に保たれる。
【0081】
第3の共振インダクタの導入による利点は、基本周波数よりも高い周波数を有する回路のさらなる共振高調波を導入することにあり、これには、スイッチの第1の端子(例えば、ドレイン)におけるターンオフ時間中の電圧振動と、スイッチのチャネルにおけるターンオン時間中の電流変動が含まれる。
【0082】
第1の端子の電圧振動は、基本周波数よりも高い周波数であり、ハイパスフィルタとしてより簡単に機能する容量性バリアを通過するので、少なくとも負荷に伝達される電力をわずかに増加させるのにわずかに有用である。
【0083】
代わりに、スイッチのターンオン時間中の電流変動は非常に有用である。電流振動の期間がスイッチのターンオン期間の約数になるように適切に計算されれば、瞬時のターンオフ電流を最小限に抑えることができ、ターンオフフェーズで回路をゼロ電流スイッチングに近い状態にすることができるからである。
【0084】
この効果は、一次回路に設置された第1のスイッチの動的ターンオフ損失を最小限に抑えるのに特に有用である。
【0085】
実際、一次回路に設置されたスイッチは既にターンオンフェーズではゼロ電圧スイッチング(およびゼロ電流スイッチング)であるが、ターンオフになるのは最大電流の状態であるため、電流のピークとターンオフ時間に比例してゼロではない動的損失が発生する可能性がある。
【0086】
これに対して、電流振動を発生させる高次高調波を追加し、周波数を適切に選択することで、ゼロ電流スイッチング条件または電流が大幅に減少した場合にスイッチをオフにすることが有利に可能になり、動的ターンオフ損失が大幅に低減される。
【0087】
本発明の他の態様では、前記コンバータが、前記ダイオードまたは前記第2の能動スイッチに並列に接続されたタンクキャパシタンスを備えていてもよい。
【0088】
追加的又は代替的に、前記コンバータが、前記第1の能動スイッチに並列に接続されたタンクキャパシタンスを備えていてもよい。
【0089】
一次回路スイッチまたは二次回路ダイオード(または同期整流の場合のスイッチ)と並列のタンクキャパシタンスは、回路のチューニングを促進させ、一次回路スイッチをオンにしたときの電圧デリバティブを最小限に抑えるのに役立つ。これにより、急激な電流変化による動的ターンオン損失を低減する。
【0090】
さらに、これらのキャパシタンスは、スイッチや部品の構造上の公差、特にスイッチやインダクタンスの渦容量に対して回路をより鈍感にすることができるため、プラスの効果がある。
【0091】
さらに、タンクキャパシタンスによって回路の共振周波数が低下するため、場合によっては有利になり得る。
【0092】
最後に、タンクキャパシタンスは、特定の電圧または電力条件(例えば、入力電圧が高く、負荷に供給される電力が低い条件)でのみ、追加のスイッチを介して直列に接続し、負荷に伝達される電力を簡単に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本発明のさらなる特徴と利点は、非限定的な例として提供される以下の説明を添付の図面を用いて読んだ後でより明らかになるであろう。
【0094】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの概要図である。
【
図2】
図1のシステムで使用可能なコンバータの電気的構成図である。
【
図4】
図2によるコンバータの中間電気ノードで得られる電圧および電流波の可能な形状を、駆動信号の関数として示すグラフである。
【
図5】本発明の別の変形例による、
図1のシステムで使用可能なコンバータの電気回路図である。
【
図6】両方の能動スイッチを同時にオフにした状態における、
図5の第1の能動スイッチと第2の能動スイッチの駆動信号と、それらに印加される電圧の波形の傾向を示すグラフである。
【
図7】第1の能動スイッチに対して第2の能動スイッチを特定の遅延でオフにした状態における、
図5の第1の能動スイッチおよび第2の能動スイッチの駆動信号と、それらに印加される電気電圧の波形の傾向を示すグラフである。
【
図8】本発明の第3の変形例による、
図1のシステムで使用可能なコンバータの電気回路図である。
【
図9】駆動信号に応じて、
図8によるコンバータの第1の中間電気ノードで得られる電圧および電流波の可能な形状を示すグラフである。
【
図10】本発明の第4の変形例による、
図1のシステムで使用可能なコンバータの電気回路図である。
【
図11】本発明の第5の変形例による、
図1のシステムで使用可能なコンバータの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明の一実施形態は、直流電圧源105または少なくとも直流電圧に類似したものから、電気負荷110に電力を供給するためのシステム100を提供する。
【0096】
電気負荷110は、一般的には電気抵抗のシンボルで表されるが、その動作を可能にするため、および/またはデバイス自体の内部バッテリーを充電するために電気的に電力を供給されることを要する任意の電気デバイスまたは電子デバイスであってもよい。
【0097】
このタイプの電気/電子機器の典型的な例としては、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、テレビ、家電製品、ホームオートメーションシステム、サーバなどがある。
【0098】
いくつかの実施形態では、直流電圧源105は、直流電圧発生器またはバッテリーであってもよい。
【0099】
他の実施形態では、直流電圧源105は、代わりに、交流電圧源120からの交流電圧を入力で受け取り、この交流電圧を、多かれ少なかれ直流電圧に類似する整流された電圧に変換し、この直流電圧を出力で供給する整流器115を備えていてもよい。
【0100】
交流電圧源120は、例えば、一般的な配電網であってもよく、国や用途(産業用や家庭用など)に応じて値の異なる交流電圧を提供してもよい。単なる例として、交流電圧源120は、50~60Hz、90~240VのACグリッドであってもよい。
【0101】
一般的には、整流器115は、第1の入力端子125および第2の入力端子130を備えることができ、これらの端子は、交流電圧源120に接続することができ、後者は、これらの2つの端子の間に、時間の経過とともに択一的に変化する電圧差(交流電圧)を印加する。
【0102】
例えば、整流器115の第2の入力端子130は、基準電圧に接続することができ、一般にニュートラル端子と呼ばれ、交流電圧源120は、一般に相端子と呼ばれる第1の入力端子125に、基準電圧によって定義される平均値の周りで時間とともに正弦波状に変化する電圧を印加することができる。なお、発電機120は、端子125および130に接続されて、整流器115の出力に影響を与えることなく、端子を交換することができる。
【0103】
整流器115は、入力で受けた交流電圧を変換して得られた直流電圧差が印加される第1の出力端子135と第2の出力端子140をさらに備えることができ、第1の出力端子135に印加される電圧の値は、一般的に第2の出力端子140に印加される電気電圧の値よりも低くはない。
【0104】
例えば、第2出力端子140を基準電圧に接続する一方、交流入力電圧を整流して得られる第1出力端子135には、基準電圧の値よりも低くない値の定電圧(リップルを除く)を印加することができる。
【0105】
整流器115は、ダイオードブリッジ(例えばGraezブリッジ)の形態にすることができるが、他の実施形態では、シングルダイオード整流器、複合ダブルダイオード、同期整流器などのスチル(still)であってもよいことを排除しない。
【0106】
任意で、整流器115は、フィルタリング回路、例えば、容量性フィルタを備えることができ、その機能は、第1および第2の出力端子135および140の間の電圧差を安定させ、リップルを低減し、したがって、時間の経過とともに略一定の値で電圧を平準化することである。
【0107】
システム100は、包括的に145で示されるコンバータ、すなわち、ソース105によって供給される電圧を入力で受け取り、それを変換して電気負荷110に送信する電気回路をさらに備えている。
【0108】
一般的には、コンバータ145は、第1の入力端子150と第2の入力端子155とを備えることができ、これらの間には、直流電圧源105によって供給される電圧から始まり得られる略一定の電圧差が印加され、第1の入力端子150に印加される電圧の値は、第2の入力端子155に印加される電気電圧の値よりも一般的に高い。
【0109】
例えば、第2の入力端子155は、整流器115の第2の出力端子140または基準電圧に接続することができ、一方、第1の入力端子150は、整流器115の第1の出力端子135に接続することができる。
【0110】
任意で、整流器115とコンバータ145との間に、整流器115によって供給された電圧を入力として受け取り、コンバータ145に供給するのに適した、および/または、力率を改善するため、および/または、システム100の制御を容易にするためなどの他の目的に有用な、別の電圧、たとえば、値を減少させた電圧に変換する補助回路(図示せず)を介在させることができる。
コンバータ145は、電気負荷110の両端に電気的に接続可能な第1の出力端子165および第2の出力端子170をさらに備えることができる。
【0111】
より詳細に説明すると、コンバータ145は、少なくとも1つの波動発生器175、すなわち、電圧波、すなわち、所定の時間周波数で互いに追従する電圧パルスの連続を発生させるために、直流電圧源105によって、例えば整流器115によって供給される電気回路を備えることができる。
【0112】
好ましくは、波動発生器175は、典型的には数百KHz、MHz、数十MHzまたは数百MHz程度の高周波電圧波を生成する。
電圧波を生成するために、波動発生器175は、少なくとも1つの能動スイッチ180、例えば、適切な電気駆動信号の指令を受けてオン/オフ(すなわち、遮断状態から飽和状態へ、またはその逆)することができるトランジスタ(例えば、バイポーラジャンクショントランジスタBJT、電界効果トランジスタFET、MOSFET、GaN、SiC、MESFET、JFET、IGBTなど)を備えている。
【0113】
より詳細には、能動スイッチ180は、第1の導電端子185(例えば、N型MOSFETのドレイン)、第2の導電端子190(例えば、N型MOSFETのソース)、および制御端子195(例えば、N型MOSFETのゲート)を備えることができる。
【0114】
能動スイッチ180がオフ、すなわち遮断状態にあるときは、第1の導電端子185と第2の導電端子190の間には電流が流れない。
【0115】
逆に、能動スイッチ180がオンのとき、すなわち飽和状態にあるときは、第1の導電端子185と第2の導電端子190の間には電流が自由に流れる。
【0116】
この2つの状態の間での能動スイッチ180の切り替えは、制御端子195に印加される電気駆動信号によって制御される。
【0117】
実際には、電気駆動信号の電圧がある閾値以上になると、能動スイッチ180は飽和状態(オンになって電流を流すことができる状態)となる。
【0118】
一方、電気駆動信号の電圧が閾値よりも低い場合には、能動スイッチ180は遮断状態(オフ)となる。
【0119】
電圧波を生成するために、電気駆動信号は、能動スイッチ180の閾値よりも低い最小電圧値(ゼロの場合もある)と、前記閾値よりも大きい最大値との間で変化する周期的な信号とすることができる。
【0120】
例えば、電気駆動信号は、矩形波信号とすることができる。
【0121】
電気駆動信号の周波数は、実際には能動スイッチ180のスイッチング周波数に対応し、したがって生成される電圧波の周波数に対応するが、好ましくはかなり高い値で選択され、例えば数百KHz、MHz、数十MHzまたは数百MHz程度である。
【0122】
駆動信号の各期間において、電気駆動信号が能動スイッチ180のターンオン閾値よりも大きい期間をターンオン時間と呼び、電気駆動信号が能動スイッチ180のターンオン閾値よりも小さい時間帯をターンオフ時間と呼ぶことができる。
【0123】
最小電圧値から最大電圧値までを通過した電気駆動信号が閾値を超えるとき、能動スイッチ180がオンになる、またはオンにされる、という。
【0124】
一方、最大電圧値から最小電圧値までを通過した電気駆動信号が閾値を下回るとき、能動スイッチ180がオフになる、またはオフにされる、という。
【0125】
能動スイッチ180の電気駆動信号は、
図2に500で示された特別なコントローラによって生成されることができ、このコントローラは、電気信号を転送可能な任意のシステム(無線でも可)を介して能動スイッチ180の制御端子195に好適に接続することができる。
【0126】
コントローラ500は、電気駆動信号を生成し、場合によってはその1または複数の特性、例えばターンオン時間およびターンオフ時間を、期間を一定に保つか、または変化させることができる任意の電気/電子デバイスであってもよい。
【0127】
それぞれのドライバ(図示せず)は、コントローラ500に関連付けることができ、すなわち、コントローラ500によって生成された駆動信号を受信し、それを適切に増幅し、最終的に能動スイッチ180に印加する電気/電子デバイスであってもよい。
【0128】
本解決手段の好ましい態様によれば、コントローラ500は、例えば、第1の能動スイッチ180の第1の導電端子185(例えば、MOSFETのドレイン)に印加される電圧を測定し、測定された電圧がキャンセルされたとき、すなわち、ゼロに等しい値に低下したときに、能動スイッチ180をオンにするように構成することができる。
【0129】
このターンオンステップの後、コントローラ500は、システムのエネルギーを変化させるために、変更可能なあるターンオン時間の間、第1の能動スイッチをオンに維持することができる。
【0130】
例えば、第1の導電端子185のピーク電圧に応じてターンオン時間を調整することで、システムの無効エネルギーを最小にすることができる。
【0131】
ターンオン時間の終わりに、コントローラ500は、第1の能動スイッチ180をオフにし、電圧が再びキャンセルされるまでオフのままにするように構成することができる。
【0132】
このようにして、ターンオフ時間は略一定であるか、または、例えば電力レベルが異なることにより第1の導電端子185における電気電圧の波形にわずかな変化がある場合にのみ、わずかに変更することができる。
【0133】
また、波動発生器175は、能動スイッチ180に加えて、例えば完全共振型または略共振型のリアクタンス回路200を備えている。
【0134】
共振回路200は、一般に、1または複数のリアクタンス、例えば1または複数のキャパシタンスおよび/またはインダクタンスを備える電気回路であり、これらのリアクタンスは、適切に接続され、所定の周波数で共振するように調整されている。
【0135】
共振回路200の調整は、前述のリアクタンスを電気キャパシタンスとインダクタンスの観点からそれぞれサイズ調整することである。
この場合、共振回路200は、能動スイッチ180に接続されており、オフからオンへの各スイッチングフェーズの間、好ましくはオンからオフへの各スイッチングフェーズの間にも、能動スイッチ180に印加される電圧および/または電力を低減するように調整されている。
【0136】
好ましくは、共振回路200は、能動スイッチ180の各スイッチングステージの間に、能動スイッチ180に印加される電圧および/または電流がゼロに等しい値または略ゼロに等しい値に減少するように調整され、これにより、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)および/またはゼロ電流スイッチング(ZCS)モードで動作する波動発生器175が得られる。
【0137】
例えば、共振回路200は、能動スイッチ180の駆動周波数と同等またはその近傍の周波数で共振するように調整することができる。
【0138】
このようにして、能動スイッチ180のスイッチングサイクル中の電気損失が大幅に低減され、サイクルの周波数を高め、それによって発生する電圧波の周波数を高めることが可能となり、その結果、同じ印加電圧で伝送される電力を増加させることができる、あるいは、同じ電力を伝送して印加電圧を低下させることができる。
【0139】
これらの一般的な考察から出発して、コンバータ145の1つの可能な実施形態が
図2に示されている。
【0140】
本実施形態では、コンバータ145は、一次回路と二次回路とを備えている。
一次回路は、第1の入力端子150から第1の中間電気ノード202まで延びる第1の電気分岐201と、当該中間電気ノード202から第2の入力端子155まで、または第2の入力端子155にも接続可能な所定の一次回路基準電圧204まで延びる第2の電気分岐203と、を備えている。
【0141】
二次回路は、第1の出力端子165から第2の中間電気ノード206まで延びる第3の電気分岐205と、当該中間電気ノード206から第2の出力端子170まで、または第2の出力端子170も接続可能な所定の二次回路基準電圧208で延びる第4の電気分岐207と、を備えている。
【0142】
能動スイッチ180は、例えば、能動スイッチ180の第1の導電端子185(例えばN型MOSFETのドレイン)が中間電気ノード202に接続されるように、また、能動スイッチ180の第2の導電端子190(例えばN型MOSFETのソース)が第2の入力端子155もしくは単に基準電圧204に接続されるように、第2電気分岐203に配置される。
【0143】
共振回路200は、第1の電気分岐201上に配置されるとともに、第1の入力端子150に電気的に接続される第1の端子216と、中間電気ノード202に電気的に接続される第2の対向端子217とを備える第1の共振インダクタ215を備えている。
【0144】
共振回路200は、第1の共振キャパシタンス220をさらに備え、この第1の共振キャパシタンス220は、第1の電気端子221と第2の電気端子222とを有し、それぞれが第1の共振キャパシタンス220の各アーマチュアに接続されている。
【0145】
電気分岐225によって、第1の端子221は、第1の中間電気ノード202に接続することができる。
【0146】
電気分岐230によって、第2の端子222は、第2の中間電気ノード206に接続することができる。
【0147】
第2の共振インダクタ235は、第3の電気分岐205上に配置することができ、インダクタは、第2の中間電気ノード206に電気的に接続される第1の端子236と、コンバータ145の第1の出力端子165に電気的に接続される第2の反対側の端子237とを備えている。
【0148】
共振回路200は、第2の共振キャパシタンス240をさらに備えることができ、この第2の共振キャパシタンス240は、第1の電気端子241および第2の電気端子242を有し、それぞれが第2の共振キャパシタンス240のそれぞれのアーマチュアに接続されている。
【0149】
電気分岐245により、第2の共振キャパシタンス240の第1の電気端子241は、コンバータ145の第2の出力端子170に電気的に接続することができる。
【0150】
第2の電気端子242は、さらなる電気分岐によって、第2の入力端子155に接続することもできるし、一次回路基準電圧204に接続することもできる。
【0151】
このように、2つの共振キャパシタンス220、240は、少なくとも能動スイッチ180と第1の共振インダクタ215で構成される一次回路と、少なくとも第2の共振インダクタ235と電気負荷110で構成される二次回路とをガルバニックに分離する絶縁キャパシタンスとしても機能する。
【0152】
しかし、
図3に示すように、第2の共振キャパシタンス240を備えていない点と、第2の出力端子170と第2の入力端子155もしくは一次回路基準電圧204とを直接接続する電気分岐245を備えている点が異なるだけで、上述したものと完全に類似した、ガルバニック絶縁されていないコンバータ145を実現する可能性もある。
電力は、第1の共振キャパシタンス220と、場合によっては第2の共振キャパシタンス240(存在する場合)によって実現される容量性結合によって、一次回路から二次回路へと送ることができる。
【0153】
具体的には、能動スイッチ180の各ターンオン時に、一次回路に配置された第1の共振インダクタ215が充電され、磁束の形でエネルギーが蓄積され、このエネルギーは、能動スイッチ180の後続のターンオフ時に、静電容量によって、または第1の共振キャパシタンス220、場合によっては第2の共振キャパシタンス240(存在する場合)によって実現される容量性電気結合を介して、電気負荷110に伝達される。
【0154】
上述したように、第1の共振インダクタ215、第2の共振インダクタ235、第1の共振キャパシタンス220および可能な第2の共振キャパシタンス240(存在する場合)は、遮断状態(ターンオフ)から飽和状態(ターンオン)まで、好ましくは飽和状態(ターンオン)から遮断状態(ターンオフ)までの各単一のスイッチングフェーズにおいて、能動スイッチ180に印加される電圧および/または電流を低減し、好ましくは相殺する共振器(共振回路200)を実現するようにサイズ決め(調整)されている。
【0155】
このようにして、中間電気ノード202では、有利なことに、能動スイッチ180の電気駆動信号に応じて、能動スイッチ180自体のZVSおよび/またはZCSの遷移を保証することができる波形に応じて時間的に可変である電圧を得ることが可能である。
【0156】
能動スイッチ180の電気駆動信号V
Gに応じて、中間電気ノード202の電圧V
Dおよび能動スイッチ180を通過する電流I
Dの経時的な傾向の可能性が
図4に示されている。
【0157】
実際には、これらの波形は、E級またはF級アンプに類似した回路構造を持つ波動発生器や、その他のZVSおよび/またはZCS共振型アンプを使用して得られる波形と同じまたは類似したものになる。
【0158】
同じ波形を得ることで、あるいは同じ電圧波を発生させることで、上述した波動発生器175は、具体的には、能動スイッチのスイッチングフェーズにおける電気損失の低減、したがって動作周波数の増加という点で、上述した共振波動発生器と同じ利点を得ることができる。
【0159】
しかし、これらの波動発生器と比較して、波動発生器175は、大型のチョークリアクタを必要とせず、寸法とコストの大幅な削減が可能であるという大きな利点がある。
【0160】
本発明の重要な態様によれば、第1の共振インダクタ215と第2の共振インダクタ235は、単位よりも低い、すなわち1未満の相互結合係数Kで互いに誘導的に結合されている。
【0161】
実用上の観点から、この誘導結合は、第1の共振インダクタ215のターンを第2の共振インダクタ235のターンに近づけることによって、または、磁性材料のコアに巻かれたインダクタの場合には、第1の共振インダクタ215のコイルも巻かれた磁性材料のコアに直接、あるいはコアの一部を共有する磁気回路に第2の共振用インダクタ235のターンを巻くことによって実現できる。
【0162】
この解決策により、2つの共振インダクタ215、235を単一の部品の形で作ることができる。例えば、第1および第2の共振インダクタ215、235のターンが適切に巻かれた磁性材料の単一のコア(例えば、環状体、平面、または他の形状)であり、一般的に包括回路の最も大きな部分を占めるこれら2つの部品の全体的なサイズを略半分にすることができる。
【0163】
さらに、第1の共振インダクタ215と第2の共振インダクタ235との間の誘導結合により、電気エネルギーは、能動スイッチ180のターンオフフェーズ(時間)の間だけでなく、ターンオンフェーズ(時間)の間にも電気負荷110に伝達される。
【0164】
実際には、能動スイッチ180がオンの間(飽和状態)、第1の共振インダクタ215は、磁束の形でエネルギーを充電・蓄積することに加えて、第2の共振インダクタ235との誘導結合により、当該エネルギーの少なくとも一部を二次回路、すなわち電気負荷110に直接かつ同時に伝達する。
【0165】
このようにして、キャパシタンスのみで結合された同様の回路と比較して、磁束は全体的に低くなり、磁性材料のコアのサイズを小さくしたり、いずれにしても、スペースや効率を犠牲にせずに高周波数の場合よりも一般的には損失の小さい透磁率の低いコアを選択したりすることができる。
【0166】
さらに、能動スイッチ180のターンオン期間中にも一次回路から二次回路にエネルギーが誘導的に伝達され、電気負荷110に伝達される電力は同じであるため、第1の共振インダクタ215が蓄積する磁気エネルギーは少なく、したがってピーク電流も少なくて済む。
【0167】
同じ理由で、その後の能動スイッチ180のターンオフ時間の間、第1の共振インダクタ215は、共振/絶縁キャパシタンス220、240に伝達するエネルギーが少なくなるため、共振/絶縁キャパシタンス220、240と能動スイッチ180の両方が、キャパシタンスのみで結合された解決策よりもはるかに低いピーク電圧に耐えなければならない。
【0168】
これにより、より低い電圧に耐えられる部品を使用することが可能となり、その結果、典型的には、より安価で、より速く、よりコンパクトになる。
【0169】
さらに、ピーク電圧を下げることで、より理想に近い能動スイッチ180(MOSFETなど)を採用することが可能となり、低損失化を実現することができる(例えば、チャネル抵抗を下げることで静的損失を低減し、立ち上がり・立ち下がり時間を短縮することで動的損失を低減することができる)。
【0170】
能動スイッチ180のターンオン期間中は誘導的(磁気)に、ターンオフ期間中はキャパシタンス(電気)によって電気負荷110にエネルギーを伝達するという事実は、最後に、電気負荷110に伝達される電力と等しくなるように無効電流を低減させることを可能にし、したがって、キャパシタンスのみを介して結合された既に高効率のコンバータに関して、コンバータ145の全体的な効率を高めることができる。
【0171】
これらの全ての利点は、本質的にゼロ電圧スイッチング回路のままで達成される。これにより、上述のコンバータ145は、従来のフライバック・コンバータのような磁気的にのみ結合された従来の回路と比較して、はるかに低い損失と全体的な寸法で特徴付けられる。
【0172】
コンバータ145が正しく機能するためには、いずれにしても、一次側回路から二次側回路にエネルギーを誘導的に伝達するのに有用なインダクタンス成分である、第1の共振用インダクタ215と第2の共振用インダクタ235との間の相互インダクタンスが、回路の共振に介在しないことが好ましい。
【0173】
したがって、古典的な変圧器ベースの絶縁型コンバータ(フライバックなど)で起こることとは異なり、第1の共振インダクタ215と第2の共振インダクタ235との間の結合係数kは、1未満でなければならず、例えば、0.1から0.8の間で構成され、さらに好ましくは、0.2から0.6の間で構成される。
【0174】
図2および
図3の図を参照すると、コンバータ145は、第4の電気分岐207上に配置され、一般に、電流が当該第4の電気分岐207に沿って一方向にのみ流れるように構成されたダイオード255をさらに備えることができる。
【0175】
ダイオード255は、第2の中間電気ノード206と接続された自身のカソードと、第2の出力端子170と接続された自身のカソードとを有することができる。
【0176】
ダイオード255は、アノードとカソードの間の電圧がダイオードの閾値電圧を超えるとオンになり、導通状態になってアノード端子とカソード端子の間に電流が流れるようになる。
【0177】
電流がゼロになると、ダイオードはオフになる。
【0178】
このようにして、ダイオード255は汎用的な整流段を実現しており、一次回路から来る電圧波を、電気負荷110に印加される直流電圧と同様の電圧に効果的に変換することができる。
【0179】
可能性としては(必ずしもそうではないが)、コンバータ145の整流段は、電気負荷110と並列になるように、第2の共振インダクタ235と第1の出力端子165との間に構成される第3の電気分岐205の中間ノード270から電気分岐245の中間ノード275まで延びる電気分岐265上に配置されたコンデンサ260を備えることもできる。
【0180】
図5に示すように、より複雑ではあるが、よりエネルギー効率の高い他の実施形態では、少なくとも低電流値の場合、ダイオード255を、例えば同期整流を実現するように駆動される第2の能動スイッチ300(例えば、MOSFETまたは他のトランジスタ)に置き換えることができる。
【0181】
具体的には、能動スイッチ300は、第2の中間電気ノード206と接続される第1の導電端子256(例えば、N型MOSFETのドレイン)と、第2の出力端子170と接続された第2導電端子257(例えば、N型MOSFETのソース)と、制御端子305(例えば、N型MOSFETのゲート)とを備えることができる。
【0182】
図5では、例として、
図2のようにコンバータ145がガルバニック絶縁されている場合を示しているが、
図3の非絶縁の場合にも同様の解決策を適用することができる。
【0183】
能動スイッチ300がオフ、つまり遮断状態にあるときは、第1の導電端子256と第2導電端子257の間に電流が流れない。
逆に、能動スイッチ300がオンのとき、すなわち飽和状態のときには、第1の導電端子256と第2の導電端子257の間に電流が自由に流れる。
【0184】
この2つの状態の間での能動スイッチ300の切り替えは、制御端子305に印加される電気駆動信号によって制御される。
【0185】
実際には、電気駆動信号の電圧がある閾値以上になると、能動スイッチ300は飽和状態(オンになり、電流を流すことができる状態)になる。
【0186】
一方、電気駆動信号の電圧が閾値よりも低い場合、能動スイッチ300は遮断状態(オフ)となる。
【0187】
電気駆動信号は、能動スイッチ300の閾値よりも低い最小電圧値(ゼロの場合もある)と、当該閾値よりも大きい最大値との間で変化する周期的な信号とすることができる。
【0188】
例えば、電気駆動信号は、矩形波信号とすることができる。
【0189】
駆動信号の各期間において、電気駆動信号が能動スイッチ300のターンオン閾値よりも大きい期間をターンオン時間と呼び、電気駆動信号が能動スイッチ300のターンオン閾値よりも小さい時間帯をターンオフ時間と呼ぶことができる。
【0190】
最小電圧値から最大電圧値までを通過した電気駆動信号が閾値を超えると、能動スイッチ300がオンになる、またはオンにされる、という。
【0191】
一方、最大電圧値から最小電圧値までを通過した電気駆動信号が閾値を下回ると、能動スイッチ300がオフになる、またはオフにされる、という。
【0192】
能動スイッチ300の電気駆動信号は、
図5に600で示された特別なコントローラによって生成することができ、このコントローラは、電気信号を伝送することができる任意のシステム(無線も可)を介して、能動スイッチ300の制御端子305に適切に接続することができる。
【0193】
コントローラ600は、電気駆動信号を生成し、場合によってはその1または複数の特性、例えばターンオン時間およびターンオフ時間を、期間を一定に保つか、または変化させることができる任意の電気/電子デバイスとすることができる。
【0194】
それぞれのドライバ(図示せず)は、コントローラ600に関連付けることができ、すなわち、コントローラ600によって生成された駆動信号を受信し、それを適切に増幅し、最終的に能動スイッチ300に印加するように適合された電気/電子デバイスであってもよい。
【0195】
能動スイッチ300は、理想的なダイオードをシミュレートするように、コントローラ600によって駆動することができる。
実際には、コントローラ600は、二次回路電圧、すなわち第1の端子256(例えばMOSFETドレイン上)の電気電圧が0Vを下回ったときに能動スイッチ300をオンにし、能動スイッチ180のオフに実質的に同期してオフにするように、あるいはどのような場合でも電流が略ゼロになったときにオフにするように、較正された駆動信号を生成して、負荷110に伝達される電力を最大化するように構成することができる。
【0196】
図6は、能動スイッチ180の第1の導電端子185(例えばMOSFETのドレイン上)の電圧V
Dと、制御端子195に印加される相対駆動信号V
Gの波形を、能動スイッチ300の第1の導電端子256(例えばMOSFETのドレイン上)の電圧V
Dと、制御端子305に印加される相対駆動信号V
Gの波形とで比較したものである。
【0197】
この回路では、電圧VDの波形が、古典的なE、Fなどの回路の波形とは異なることがわかる。なぜなら、電圧波形VDの第1の部分は、二次回路の電圧VDもゼロではなく、一次回路の電圧VDが直接派生する部分であるが、二次回路の電圧VDがキャンセルされる瞬間には、電圧VDの微分係数に不連続性があるからである。
【0198】
一般的に、ダイオードの代わりに能動整流スイッチ300を使用することで、より高い周波数、例えばMHz、数十MHz、数百MHzでの動作が可能になり、一般的には静的損失を低減することができる。
【0199】
N型やGaN型のMOSFETトランジスタを使う例では、実際にチャネル抵抗を低くすることができるので、ダイオードに比べて損失を抑えることができる。
【0200】
能動スイッチ300を使用することのもう一つの重要な利点は、最大の電力伝達を保証する瞬間に一定の遅れをもって能動スイッチ300をオフにすることができること、すなわち、一次回路に配置された能動スイッチ180のオフの瞬間に一定の遅れをもって能動スイッチ300をオフにすることができることにより、制御の自由度がさらに高まることである。
【0201】
図7に示すように、能動スイッチ300をオフにする瞬間を能動スイッチ180に対して遅らせることで、従来よりも低い電圧V
Dのピークが得られ、これにより負荷に伝達される電力が少なくなる。
【0202】
能動スイッチ300が常にオンの状態、すなわち駆動信号の周期と等しいターンオン時間(例えば100%のデューティサイクル)を持つ極端なケースでは、エネルギーは負荷に伝達されず、回路には無効電流が流れるだけとなる。
【0203】
その結果、負荷110に最大のエネルギーを伝達する状態(能動スイッチ180と300の両方を同時にオフにする)と、負荷に電力を伝達しない状態(能動スイッチ300を常にオンにする)の間には、能動スイッチ300をオンにするポイントが無限に存在し、これを選択することで、負荷に伝達される電力を連続的に調整することができる。
【0204】
実際には、能動スイッチ300のターンオフ遅延がゼロであれば、2つの能動スイッチ180と300は同時にオフになり、電気負荷110に伝達されるエネルギーは最大となる。
【0205】
能動スイッチ300のターンオフ遅延を増加させることにより、電気負荷に伝達されるエネルギーは徐々に減少する。
【0206】
伝達エネルギーの最小値はゼロに等しく、遅延時間が非常に長く、能動スイッチ300のターンオン時間が駆動信号の周期(100%のデューティサイクル)に等しい場合、または能動スイッチが常にオンのままである場合に到達する。
【0207】
このようにして、能動スイッチ300のターンオフの瞬間は、負荷110の電圧、電流または電力を制御するために効果的に利用できる自由度となる。
【0208】
例えば、出力電圧を調整するために、能動スイッチ180に対する能動スイッチ300のターンオフ遅延をフィードバックすることが、単純かつ高速で信頼性の高い方法で、一次回路と二次回路の間に直接フィードバックすることなく、したがって低コストで行うことが有利に可能である。
【0209】
実際には、コントローラ600は、電気負荷、例えば第1の出力端子165に印加される電圧の値を測定し、測定された値と前記電気電圧の所望の値との間の差を最小化、例えばキャンセルするように、能動スイッチ300をオフにする際の遅延を変化させるように構成することができる。
【0210】
第1出力端子165に印加される電圧の実測値は、単純な電気的接続を介してコントローラ600が測定することができ、一方、負荷に印加されるべき所望の値は、電気負荷100自身からコントローラ600に直接供給される情報とすることができる。
【0211】
このようにして、電気負荷110で必要とされる電力が少ないときに、第2のコントローラ600が能動スイッチ300をオフにするのを遅らせ、電気負荷110にかかる電圧とそれに伝達される電力を低減するように構成された2次回路のフィードバック制御ループを実現することが可能である。
【0212】
図7から推測できる2つ目の電気的効果は、能動スイッチ180のターンオン時間(したがって、回路内の平均エネルギー)が同じでも、能動スイッチ300のターンオンが遅れると、ピーク電圧V
Dが上昇するという事実である。
【0213】
この2つ目の効果は、電気負荷110の電流を減らすことで、回路内の平均無効エネルギーが増加し、一次回路のピーク電圧が高くなるという事実によって明確に説明できる。
【0214】
この第2の電気的効果は、一次回路と二次回路の間に追加の通信回路(例えば、一次回路と二次回路の間で情報を伝達する光アイソレータやデジタルまたはアナログの容量性アイソレータ)を使用することなく、電気負荷110に必要なより低い電力需要の情報を一次回路に伝達するために効果的に利用することができる。
【0215】
実際、コントローラ600が、電気負荷110による電力需要の低下に対処するために能動スイッチ600をオフにする際の遅延時間を長くすると、一次回路は、それに対応してピーク電圧VDが上昇することになる.
【0216】
この電圧ピークVDは、能動スイッチ180のターンオン時間を調整するためのフィードバック信号として使用することができる。
【0217】
実際には、第1のコントローラ500は、能動スイッチ180に印加される電圧のピーク値、例えば第1能動スイッチ180自体の第1の導電端子185に印加される電圧のピーク値を測定し、当該電圧のピークの測定値と所望の値との差を最小化、例えばキャンセルするように、第1能動スイッチ180のターンオン時間を変化させるように構成することができる。
【0218】
電圧VDのピーク値は、例えばピーク検出器(ダイオードやキャパシタンスなど)を用いて、コントローラ500によって容易に測定可能であり、一方、当該電圧ピークの所望の値は、設計パラメータとすることができる。
【0219】
このようにして、能動スイッチ180のターンオン時間を変化させることでピーク電圧VDを一定に保つ、一次側回路の追加フィードバック制御ループを実現することができる。
【0220】
電圧VDは、電気負荷110に伝達される有効電力に対して無効電力が大きい場合に増加する傾向があるので、このさらなるフィードバックループは、負荷110が吸収する有効電力が少ない場合に、能動スイッチ180のターンオン時間を短縮する傾向がある。
【0221】
この制御システムでは、一次側と二次側の回路間に光アイソレータやその他の情報伝達システムが不要となる。これらの情報伝達システムは、一般的に(認証目的に必要な最小絶縁距離のために)かさばり、コストがかかり、信頼性に欠けるが、(二次側回路のフィードバックループによる)高いダイナミクスと(一次回路のフィードバックループによる)コントローラの高い効率性を確保する。
【0222】
実際、一次回路のフィードバックループは、電気負荷110に供給するために必要な最小限のエネルギーを常に維持しており、二次コントローラ600が可能な限り最小の遅延(したがって、負荷の有効エネルギーと無効エネルギーの間の可能な限り最大の比率)で動作するようになっている。
【0223】
この調整システムのさらなる利点は、従来の技術(例えばパルス列に基づくもの)よりもはるかに効率的に軽負荷状態を管理でき、放射および伝導エミッションの問題が少ないことである(従来の技術では一般的に低周波高調波が発生するため、小型フィルタでのフィルタリングが困難になる)。
【0224】
このタイプの制御システムは、一次側スイッチのターンオフ時間は略一定(回路エネルギーに応じて動作ドレイン電圧の形状が変化することによるわずかな変動を除く)であるのに対し、一次側スイッチのターンオン時間は負荷が必要とするエネルギーに応じて大きく変化するため、実質的に周波数が可変であることに留意する必要がある。
【0225】
上述したように、上述したコンバータ145の共振回路200は、ターンオンフェーズ、すなわち能動スイッチ180が遮断状態(オフ)から飽和状態(オン)に切り替わる間に実質的にZVSおよびZCSの遷移を有し、ターンオフフェーズ、すなわち能動スイッチ180が飽和状態(オン)から再び遮断状態(オフ)に切り替わる間にも実質的にZVSの遷移を有するため、有用な共振を保証することができる。
【0226】
具体的には、ZVSおよびZCSの状態は、回路の単純な調整によって保証することができ、さらに好適には、スイッチ180および300のターンオンおよびターンオフの瞬間を動的に変化させるのに有用な、第1の導電端子(例えば、MOSFETのドレイン)における電圧および/または電流の測定により実施することができる。
【0227】
具体的には、ドレイン電圧がキャンセルされる瞬間の検出に基づいて、スイッチ180および300のターンオンの瞬間をアクティブに制御するシステムは、システムの動作条件の幅広い変動(例えば、負荷や入力電圧の変動)において高い効率を確保するために特に有用である。
【0228】
要するに、ターンオフ時間はシステムの動作条件に応じて弱く可変であり、ターンオンの瞬間は、スイッチ180と300のドレイン電圧がキャンセルされる瞬間を検出する適切な回路によって積極的に制御されることが好ましい。
【0229】
ターンオンの瞬間を起点として算出される第1のスイッチ180のターンオン時間は、システムにおける最小の無効エネルギーを確保するために、第1のスイッチ180自体のドレインピーク電圧に応じて一次回路で制御されることが好ましい。
【0230】
その代わり、第2のスイッチ300のターンオン時間は、電気負荷110の出力電圧を効果的に調整するために、第1のスイッチ180がオフになる瞬間に対して遅延を保証するように計算されることが好ましい。
【0231】
この回路の動作は、能動スイッチ180に流れる電流IDが、同じ能動スイッチ180がオフになる瞬間に正確に最大値に達することで特徴づけることができる。
【0232】
オンとオフの間の遷移では、能動スイッチ180の抵抗値の変化が有限の時間で起こる。
【0233】
例えば、N型MOSFETのような高速の能動スイッチの場合、適切に駆動されたスイッチは、ns、数十ns、数百nsの時間でオンからオフになる。
【0234】
この有限の過渡時間の間に、能動スイッチ180の抵抗が徐々に増加し、同時に電流も比例して減少するため、ZVS移行条件では緩和されない損失ピークが発生する。
【0235】
この散逸ピークを低減するために、
図9に示すようにコンバータ145を変更すること、すなわち、中間電気ノード202を第1の共振キャパシタンス220の第1の端子221に接続する電気分岐225に沿って配置される、好ましくは小さなインダクタンス値を有する第3の共振インダクタ280を導入することが可能である。
【0236】
このようにして、第3の共振インダクタ280は、第1の共振キャパシタンス220と直列に一次回路に配置される。
【0237】
この第3の共振インダクタ280は、回路の全体的な共振周波数の計算に入り、回路の合計インダクタンスは変化しないままである。つまり、回路の所定の共振周波数に対して、第3の共振インダクタ280のインダクタンス値を大きくすると、第1の共振インダクタ215および/または第2の共振インダクタ235のインダクタンス値が対応して小さくなり、寸法をほぼ一定に保つことができる。
【0238】
第3の共振インダクタ280によって与えられる利点は、基本周波数よりも高い周波数を有する回路のさらなる共振高調波を導入することにあり、この共振高調波は、ターンオフ時間中に、中間電気ノード202、ひいては能動スイッチ180の第1の端子185(例えば、MOSFETのドレイン)において電圧振動VDを伴う。
【0239】
この追加の高調波は、ターンオン時に能動スイッチ180を流れる電流IDにも振動を与える。
【0240】
駆動信号V
Gに応じて、電圧V
Dと電流I
Dがどのように推移するかを
図9に示す。
【0241】
電圧VDの振動は、基本周波数よりも高い周波数であるため、ハイパスフィルタとして機能する容量性バリアをより容易に通過させることができ、電気負荷110に伝達される電力を少なくともわずかに増加させるのに有効である。
【0242】
能動スイッチ180のターンオン時間中の電流IDの振動は、ターンオンフェーズでの動的損失を低減するために極めて有用である。
実際、電流IDの発振期間がスイッチ180のターンオン期間の約数となるように第3の共振インダクタ280を選択すると、瞬間的なターンオフ電流を最小化することができ、その結果、回路をゼロ電流スイッチングに近い状態にするか、あるいはいずれにしても電流を強く減少させることができる。
【0243】
図8は、コンバータ145がガルバニック絶縁され、第2の能動スイッチ300によって整流段が得られる場合の第3の共振インダクタ280を示しているが、第3の共振インダクタ280は、
図3の非絶縁の場合および/または単純なダイオードによる整流の場合にも使用できることを除外していないことに留意すべきである。
【0244】
上述した回路のさらなる発展形が、
図10に示されており、コンバータ145が、例えば、第1の中間電気ノード202と接続される第1の端子286と、第2の入力端子155と接続された第2の端子187とを有するか、または一次回路基準電圧204と接続される、能動スイッチ180と並列の第1のタンクキャパシタンス285をさらに含むことができることを提供する。
【0245】
追加的にまたは代替的に、コンバータ145は、例えば、第2の中間電気ノード206に接続された第1の端子291と、第2の出力端子170に接続された第2端子292とを有する、第3の電気分岐207と並列に、またはダイオード255と並列に、または第2の能動スイッチ300と並列に、第2のタンクキャパシタンス290を構成することができる。
【0246】
タンクキャパシタンス285および/または290は、回路の調整を実現し、能動スイッチ180をオンにする瞬間の電圧微分を最小化するのに役立ち、電流の急激な変動に関連する動的なターンオン損失を低減することが保証される。
【0247】
さらに、これらのタンクキャパシタンス285および/または290は、スイッチや部品の公差、特にスイッチやインダクタンスの渦電流に対して回路をより鈍感にすることができるというプラスの効果がある。
【0248】
さらに、タンクキャパシタンス285および/または290は、回路の共振周波数を下げる。
【0249】
最後に、タンクキャパシタンス285および/または290は、特定の電圧または電力条件(例えば、入力電圧が高く、負荷に伝達される電力が低い条件)でのみ、追加のスイッチを介して直列に接続し、負荷に伝達される電力を単純に低減することができる。
【0250】
また、この場合、
図10には、コンバータ145がガルバニック絶縁され、第2の能動スイッチ300によって整流段が得られる場合のタンクキャパシタンス285および290が示されているが、
図3の非絶縁の場合および/または単純なダイオードによって整流される場合にも、同じタンクキャパシタンス285および/または290を使用できることは排除されない。
【0251】
電気負荷110に伝達される電力を増加させるために、上述したコンバータ145のすべての変形例は、大きな概念的な変化なしに多相構成にすることができる。
【0252】
実際には、波動発生器175に実質的に類似した更なる波動発生器回路を、第2の共振キャパシタンス240の第2の端子242に接続することが可能である。
【0253】
2つの波動発生器175の能動スイッチ180は、それぞれの駆動信号によって制御することができ、同じ周波数でオン/オフするが、互いに同位相ではないように、すなわち、能動スイッチ180が常に同時にオン/オフされるのではなく、各動作期間内に、能動スイッチ180がオンしている間に他の能動スイッチ180がオフしている時間、およびその逆の時間が少なくともわずかに存在するようにすることができる。
【0254】
このように、このタイムスパン、すなわち2つの能動スイッチ180の駆動信号間の位相シフトを適切に調整することで、同じ電源電圧で電気負荷110に伝達される電力を増加させることが有利に可能となる。
【0255】
また、電気負荷110に伝達すべき電力レベルが特に高い場合には、2つの能動スイッチ180の間を逆位相の駆動信号で制御し、一方の能動スイッチ180がオンのときには他方が常にオフになり、その逆も同様で、プッシュプル型の動作を得ることができる。
【0256】
最後に、すべての図示された実施形態において、2つの共振キャパシタンス220および240は、離散的なキャパシタンス、すなわち、一次回路に接続される第1の端子と二次回路に接続される第2の端子からなる分離不可能な構成要素であってもよいことを指摘しておくべきである。
【0257】
このようにして、システム100は、隔離された電力供給装置のように、ユニークで分離できない装置の形で作ることができる。
【0258】
他の実施形態では、各共振キャパシタンス220および240は、しかしながら、一次回路に接続された送信アーマチュアと二次回路に接続された受信アーマチュアのうち、相互に分離可能な一対のアーマチュアによって作られてもよい。
【0259】
同時に、誘導結合された共振インダクタ215と235は、それぞれ、無線送信用のコイル(例えばアンテナ)と、電力の無線受信用のコイル(例えばアンテナ)によって構成されてもよい。
【0260】
このようにして、コンバータ145の一次回路を第1のデバイスに設置し、二次回路を第1のデバイスに対して物理的に分離して移動可能(着脱可能)な第2のデバイスに設置することで、ワイヤレスハイブリッド静電容量・誘導型電力伝送システムを実現することができる。
【0261】
例えば、第1のデバイスは充電ベースとして構成され、第2のデバイスはスマートフォン、ラップトップ、テレビなどの充電または給電されるデバイスとすることができる。
【0262】
このように、第2のデバイスを第1のデバイスに適切に近づけることで、各送電アーマチュアを対応する受電アーマチュアに接近・対向させて共振キャパシタンス220、240を再構成するとともに、共振インダクタ215、235を接近させて誘導結合を再構成することが可能となる。
【0263】
【0264】
本実施形態では、共振キャパシタンス220および240が取り除かれ、これに対応して第1の中間電気ノード202と第2の中間電気ノード206との間の接続分岐全体が取り除かれている点、および、第1のタンクキャパシタンス285および/またはタンクキャパシタンス290も共振キャパシタンスとして使用されている点のみが、
図10に示すものと異なる。
【0265】
このようにして、一次回路と二次回路の間の電気エネルギーの伝達は、第1の共振インダクタンス215と第2の共振インダクタンス235の間の相互の誘導的な結合を通じて、誘導的にのみ行われる。
【0266】
このレイアウトは、古典的な変圧器ベースのコンバータに似ているが、実際には、第1の共振インダクタ215と第2の共振インダクタ235の間の結合係数Kの値が低いことや、共振/タンクキャパシタンス285および/または290の存在が既知の技術とは異なる。
【0267】
この最後の実施形態によるコンバータ145は、転送するエネルギーは少ないものの、従来の回路で得られるものと同様の波形で同等に動作し、高レベルの効率とコンパクトなサイズを実現できることがわかった。
【0268】
当然ながら本実施形態では、共振・タンクキャパシタンス285と290の両方が存在することは必ずしも必要ではなく、どちらか一方だけでも存在すれば十分である。
【0269】
もちろん、この分野の専門家であれば、本明細書に記載されている本発明の範囲を逸脱することなく、技術的に適用可能ないくつかの変更を加えることができる。