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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ガラスの処理装置および処理方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/20 20240101AFI20240822BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B08B1/20
C03C23/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021576612
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020038343
(87)【国際公開番号】W WO2021003026
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0079326
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジュン ヒョン
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-321971(JP,A)
【文献】特開2016-026968(JP,A)
【文献】特開2004-142294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00-13/00
B08B 1/20
B41F 31/00-35/06
C03B 23/00-35/26
C03B 40/00-40/04
C03C 15/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス処理装置であって、
ガラス物品を把持する把持部を含むキャリアと、前記キャリアを搬送するコンベアとを含むガラス搬送装置、および
前記ガラス物品に接触する前記把持部を洗浄するクリーニングヘッドと、前記クリーニングヘッドを移動させる移動ユニットとを含む洗浄装置
を含み、
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの垂直位置を検知する第1のセンサ及び前記クリーニングヘッドの水平位置を検知する第2のセンサをさらに含む、ガラス処理装置。
【請求項2】
前記移動ユニットは、前記クリーニングヘッドを垂直方向に沿って移動させる第1の移動ユニットと、前記クリーニングヘッドを水平方向に沿って移動させる第2の移動ユニットとを含む、請求項1に記載のガラス処理装置。
【請求項3】
前記クリーニングヘッドは、前記把持部を掃除するように構成されるブラシを含む、請求項1または2に記載のガラス処理装置
【請求項4】
前記クリーニングヘッドは、流体を噴射するように構成されるノズルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス処理装置。
【請求項5】
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの位置を検知するためのセンサをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス処理装置。
【請求項6】
前記コンベアはループを構築し、該コンベヤを用いて前記キャリアを前記ループの少なくとも一部分に沿って循環させる、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラス処理装置。
【請求項7】
ガラス処理装置であって、
積載ゾーン、検査ゾーン、ドロップゾーン、および加工ゾーンに渡り延在するコンベヤと、
前記積載ゾーン内でガラス物品を把持するように構成される把持部を含むキャリアであり、前記コンベヤを用いて該積載ゾーンから前記加工ゾーンへ搬送される前記キャリアと、
前記検査ゾーン内で前記ガラス物品を検査し、前記検査の結果に基づいて、該ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別するガラス検査装置と、
前記ドロップゾーン内で前記キャリアから前記不合格ガラス物品が積み降ろされた後で、該ドロップゾーン内で前記把持部を洗浄する洗浄装置と、
前記キャリアにより前記ドロップゾーンを通過させた前記合格ガラス物品を前記加工ゾーン内で加工するように構成された加工装置と
を含み、
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの垂直位置を検知する第1のセンサ及び前記クリーニングヘッドの水平位置を検知する第2のセンサをさらに含む、ガラス処理装置
【請求項8】
前記洗浄装置は、
クリーニングヘッド、および
前記ドロップゾーンを通過する前記合格ガラス物品と干渉することがない前記クリーニングヘッドの待機位置と該クリーニングヘッドにより前記把持部が洗浄される作業位置との間で該クリーニングヘッドを移動させる移動ユニットを含む、請求項7に記載のガラス処理装置。
【請求項9】
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの位置を検知するように構成されるセンサをさらに含み、
前記コンベアは、前記クリーニングヘッドが前記作業位置に存在しない場合、または該クリーニングヘッドが前記待機位置に存在しない場合、前記キャリアを停止させる、請求項8に記載のガラス処理装置。
【請求項10】
前記コンベアは、前記加工ゾーンの後、積降ろしゾーンを通過した後で、前記積載ゾーンに戻り、
前記キャリアは、前記加工ゾーンで加工された前記合格ガラス物品を前記積降ろしゾーンで積み降ろした後で、前記コンベヤにより前記積載ゾーンに戻る、請求項7から9のいずれか一項に記載のガラス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全てが引用される、2019年7月2日に出願された韓国特許出願番号第10-2019-0079326号の米国法典第35編第119条の下での優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス処理装置に関し、より詳細には、キャリアの把持部を洗浄するための洗浄装置を含むガラス処理装置に関する。本開示は、ガラス処理方法に関し、より詳細には、キャリアの把持部を洗浄する工程を含むガラス処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス物品がキャリアから積み降された後で、ガラス物品からの破片および/または粒子、および/または周囲環境からの埃が、パッド付の挟持部を含む把持部のようなキャリアのグリッパー上に残留することがある。この場合、破片、粒子および/または埃が、例えば、パッド付の挟持部を含む把持部のようなグリッパーから加工装置に落下して、加工装置を汚染する恐れがある。さらに、パッド付の挟持部を含む把持部のようなグリッパー上に破片、粒子および/または埃が残留していると、キャリアに積載される後続のガラス物品を損傷させる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッド付の挟持部を含む把持部のようなグリッパーを人が手動で洗浄することもあるが、これには、多数の人員が必要となる。よって、パッド付の挟持部を含む把持部のようなグリッパーを自動的に洗浄することができる洗浄装置を含むガラス処理装置、およびパッド付の挟持部を含む把持部のようなグリッパーを自動的に洗浄する工程を含むガラス処理方法を開発することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、キャリアの把持部を洗浄するための洗浄装置を含むガラス処理装置を提供する。
【0006】
本開示の一つの態様によれば、ガラス物品を把持するように構成される把持部を含むキャリアと、キャリアを搬送するように構成されるコンベアとを含むガラス搬送装置、およびガラス物品に接触する把持部を洗浄するように構成されるクリーニングヘッドと、クリーニングヘッドを移動させるように構成される移動ユニットとを含む洗浄装置を含むガラス処理装置が提供される。
【0007】
移動ユニットは、クリーニングヘッドを垂直方向に沿って移動させる第1の移動ユニットと、クリーニングヘッドを水平方向に沿って移動させる第2の移動ユニットと、を含むことができる。
【0008】
クリーニングヘッドは、把持部を掃除するように構成されるブラシを含むことができる。
【0009】
把持部は、複数の挟持部を含むことができる。
【0010】
移動ユニットは、ブラシを複数の挟持部の間を通過させることができる。
【0011】
クリーニングヘッドは、流体を噴射するように構成されるノズルを含むことができる。
【0012】
洗浄装置は、クリーニングヘッドの位置を検知するためのセンサをさらに含むことができる。
【0013】
コンベヤはループを構築することができ、コンベヤを用いてキャリアをループの少なくとも一部分に沿って循環させることができる。
【0014】
本開示の別の態様によれば、積載ゾーン、検査ゾーン、ドロップゾーン、および加工ゾーンに渡り延在するコンベアと、積載ゾーン内でガラス物品を把持する把持部を含むキャリアであり、コンベヤを用いて積載ゾーンから加工ゾーンへ搬送されるキャリアと、検査ゾーン内でガラス物品を検査し、検査の結果に基づいて、ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別するように構成されるガラス検査装置と、不合格ガラス物品がドロップゾーン内でキャリアから積み降された後で、ドロップゾーン内で把持部を洗浄するように構成される洗浄装置と、キャリアを用いてドロップゾーンを通過させた合格ガラス物品を加工ゾーン内で加工するように構成される加工装置とを含むガラス処理装置が提供される。
【0015】
洗浄装置は、クリーニングヘッド、およびドロップゾーンを通過する合格ガラス物品と干渉することがないクリーニングヘッドの待機位置と把持部がクリーニングヘッドによって洗浄される作業位置との間で、クリーニングヘッドを移動させるように構成される移動ユニットを含むことができる。
【0016】
洗浄装置は、クリーニングヘッドの位置を検知するように構成されるセンサをさらに含むことができ、クリーニングヘッドが作業位置に存在しない場合、またはクリーニングヘッドが待機位置に存在しない場合、コンベヤはキャリアを停止させることができる。
【0017】
コンベヤは、加工ゾーンの後、積降ろしゾーンを通過した後で積載ゾーンに戻ることができ、キャリアは、加工ゾーンで加工された合格ガラス物品を積降ろしゾーンで積み降ろした後で、コンベヤとともに積載ゾーンに戻ることができる。
【0018】
本開示の別の態様によれば、把持部をガラス物品に接触させて把持部でガラス物品をピックアップすることにより把持部を含むキャリアにガラス物品を積載する工程と、コンベアを用いてキャリアを搬送することによりガラス物品を搬送する工程と、把持部をガラス物品から離すことによりガラス物品をキャリアから積み降ろす工程と、把持部を洗浄する工程とを含むガラス処理方法が提供される。
【0019】
把持部を洗浄する工程は、クリーニングヘッドを待機位置から作業位置へ移動させる工程と、クリーニングヘッドを用いて把持部を洗浄する工程と、クリーニングヘッドを作業位置から待機位置へ移動させる工程とを含むことができる。
【0020】
クリーニングヘッドを待機位置から作業位置へ移動させる工程は、クリーニングヘッドを水平方向に沿って移動させる工程と、クリーニングヘッドを垂直方向に沿って上昇させる工程とを含み、クリーニングヘッドを作業位置から待機位置へ移動させる工程は、クリーニングヘッドを垂直方向に沿って逆の方向へ下降させる工程と、クリーニングヘッドを水平方向に沿って逆の方向へ移動させる工程とを含む。
【0021】
把持部は、複数の挟持部を含むことができる。把持部を洗浄する工程は、クリーニングヘッドを複数の挟持部に同時に接触させる工程を含むことができる。
【0022】
把持部を洗浄する工程は、ブラシを含むクリーニングヘッドを用いて把持部を掃除する工程を含むことができる。
【0023】
把持部を洗浄する工程は、ノズルを含むクリーニングヘッドを用いて流体を噴射する工程を含むことができる。
【0024】
ガラス処理方法は、さらに、クリーニングヘッドの位置を検知する工程を含むことができる。
【0025】
ガラス処理方法は、さらに、ガラス物品を検査する工程と、検査の結果に基づいて、ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別する工程とを含み、ガラス物品が不合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品の積み降ろしと把持部の洗浄がドロップゾーン内で行われ、ガラス物品が合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品を、キャリアとともにドロップゾーンを通過させ、積降ろしゾーン内でキャリアから積み降ろすようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示における実施形態は、以下の詳細な説明および付随の添付図面からより明確に理解されるであろう。
図1】本開示におけるガラス処理装置の平面図
図2】本開示におけるガラス処理装置の平面図
図3A】本開示におけるガラス処理装置に含まれるガラス搬送装置の正面図
図3B】本開示におけるガラス処理装置に含まれるガラス搬送装置の側面図
図3C】本開示におけるガラス処理装置に含まれるガラス搬送装置のキャリアの斜視図
図4A】本開示におけるガラス処理装置に含まれる洗浄装置の正面図
図4B】本開示におけるガラス処理装置に含まれる洗浄装置の側面図
図5】本開示におけるガラス処理方法のフローチャート
図6A】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図6B】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図7A】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図7B】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図8】本開示におけるガラス処理方法のフローチャート
図9】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図10】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図11A】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図11B】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図12】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
図13】本開示におけるガラス処理方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。可能な限り、図面全体を通して同一または類似の部分を参照するために、同様の参照番号が使用され得る。さらに、図面中の様々な要素は概略的に描かれており、本開示は図面に描かれた相対的な長さまたは距離によって制限されるものではない。本明細書で提示される様々な実施形態は、本開示をより十分に説明することを意図しており、本開示を制限するものではない。また、本開示の精神から逸脱することなく、実施形態に対して様々な改変および変更がなされ得ることも当業者には明らかである。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって定義されるものであり、以下に記載される実施形態に限定されるものではない。また、実施形態は、単独で、または別の実施形態(または他の実施形態)と組み合わせて実施され得るものである。
【0028】
本明細書で使用される方向を示す用語(例えば、垂直および水平)は、図を参照する目的のみに使用されるものであり、絶対的な方向を意味するものではないこと留意されたい。例えば、垂直方向は、必ずしも重力の方向と平行であることを意味するものではない。
【0029】
図1は、本開示におけるガラス処理装置1000Aの平面図を示す。
【0030】
図1に示されるように、ガラス処理装置1000Aは、ガラス搬送装置100と、洗浄装置300とを含む。ガラス搬送装置100は、ガラス物品を搬送する。ガラス物品は、任意の形状のガラスからなる物品であり、例えば、ガラスシートが挙げられる。ガラス物品は、ケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリホウケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、ソーダ石灰ガラス、またはこれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されるものではなく、様々なガラス組成を取り得る。ガラス搬送装置100は、ガラス物品を保持するように構成されるキャリア110と、キャリア110を搬送するように構成されるコンベア120とを含む。
【0031】
コンベア120は、積載ゾーンA1と積降ろしゾーンA5を通過する。コンベア120は、キャリア110を積載ゾーンA1から積降ろしゾーンA5に搬送する。積載ゾーンA1内で、ガラス物品がガラス搬送装置100に供給される。いくつかの実施形態では、積載ゾーンA1は、ガラス物品の製造装置に接続されていてもよく、ガラス物品の製造装置で製造されたガラス物品が積載ゾーンA1に搬送されてもよい。他の実施形態では、積載ゾーンA1は、ガラス物品の製造装置に接続されていなくてもよい。ガラス物品の製造業者から得たガラス物品、または別のガラス物品の製造装置で製造されたガラス物品が積載ゾーンA1に供給されてもよい。キャリア110は、積載ゾーンA1内でガラス物品をピックアップする。すなわち、ガラス物品がキャリア110に積載される。その後、キャリア110は、コンベア120を用いて、積載ゾーンA1から積降ろしゾーンA5に移動され、ガラス物品は積降ろしゾーンA5内でキャリア110から積み降ろされる。
【0032】
いくつかの実施形態では、コンベヤ120は平面内でループを構築して、キャリア110を循環させることができる。例えば、コンベヤ120は、さらに復帰ゾーンA6を通過する。例えば、積降ろしゾーンA5内でガラス物品がキャリア110から積み降された後で、キャリア110は、コンベア120を用いて、復帰ゾーンA6を介して、積降ろしゾーンA5から再び積載ゾーンA1に搬送されてもよい。その後、キャリア110は、積載ゾーンA1内で次のガラス物品をピックアップしてもよい。以下、図3A図3Cを用いてガラス搬送装置100について詳細に説明する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ガラス処理装置1000Aは、加工装置400をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、加工装置400は、ガラス物品を加工するように構成される任意の装置であってよい。例えば、加工装置400は、ガラス物品をコーティング、切断、縁取り、研削および/または研磨するように構成されていてもよい。加工装置400は加工ゾーンA4内に配置され、コンベア120は、加工ゾーンA4をさらに通過する。コンベア120は、キャリア110を、積載ゾーンA1から加工ゾーンA4へ、加工ゾーンA4から積降ろしゾーンA5へ搬送することができる。ガラス搬送装置100がガラス物品を加工ゾーンA4に搬送すると、加工装置400は、ガラス物品に、例えばコーティング、切断、縁取り、研削および/または研磨する加工を行い、加工が完了すると、キャリア110とともにガラス物品は、コンベア120を用いて加工ゾーンA4から出て来る。
【0034】
洗浄装置300は、キャリア110の把持部111(図3A図3C参照)の挟持部F1およびF2(図3A図3C参照)のパッドP1およびP2(図3A図3C参照)を洗浄する。いくつかの実施形態では、図1とは異なり、洗浄装置300は、積降ろしゾーンA5内に配置されてもよい。積降ろしゾーンA5内でガラス物品がキャリア110から積み降された後で、洗浄装置300は、積降ろしゾーンA5内でキャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄してもよい。他の実施形態では、図1に示されるように、洗浄装置300は、復帰ゾーンA6内に配置されてもよい。積降ろしゾーンA5内でガラス物品がキャリア110から積み降された後で、空の状態になったキャリア110が復帰ゾーンA6を通過する際に、洗浄装置300は、空の状態になったキャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄してもよい。以下、洗浄装置300について図4Aおよび図4Bを参照して詳細に説明する。
【0035】
特定の例示的な実施形態では、ガラス処理装置1000Aは、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄することができる洗浄装置300を含む。よって、キャリア110からガラス物品が積み降ろされると、ガラス物品からの破片および/または粒子、および/または周囲環境からの埃は、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2から除去することができる。その結果、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2上に残留していた破片、粒子、および/または埃が、キャリア110に積載される後続のガラス物品を損傷させる事態を防ぐことができる。さらに、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄するために人員を追加する必要がないので、人員数を節約することができる。
【0036】
図2は、本開示におけるガラス処理装置1000Bの平面図を示す。
【0037】
図2に示されるように、ガラス処理装置1000Bは、検査装置200をさらに含むことができる。検査装置200は、ガラス物品を検査し、検査の結果に基づいて、ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別する。例えば、検査装置200は、ガラス物品での亀裂および/または欠けなどの欠陥の数、位置および/またはサイズなどの特性を決定し、ガラス物品内の応力を決定し、および/またはガラス物品の反りを検査することができる。検査装置200は、ガラス物品の欠陥特性、応力特性、および/または反り特性などの様々な特性に基づいて、ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別することができる。
【0038】
コンベヤ120は、検査ゾーンA2およびドロップゾーンA3をさらに通過してもよい。コンベヤ120は、キャリア110を、積載ゾーンA1から検査ゾーンA2へ、さらに検査ゾーンA2からドロップゾーンA3へ搬送してもよい。さらに、加工ゾーンA4が存在する場合、コンベヤ120は、キャリア110を、加工ゾーンA4を介して、ドロップゾーンA3から積降ろしゾーンA5へ搬送してもよい。いくつかの実施形態では、コンベヤ120は、キャリア110を、積降ろしゾーンA5から復帰ゾーンA6へ、さらに復帰ゾーンA6から積載ゾーンA1へ搬送してもよい。
【0039】
検査装置200は、検査ゾーンA2内に配置されている。搬送装置100に積載されたガラス物品がコンベア120を用いて検査ゾーンA2内に搬入されると、検査装置200は、ガラス物品を検査し、検査の結果に基づいて、合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別する。検査が完了すると、コンベア120を用いて、キャリア110が検査ゾーンA2からドロップゾーンA3に搬送される。
【0040】
ガラス物品が合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品は、コンベア120を用いて、キャリア110とともにドロップゾーンA3を通過する。加工装置400が存在する場合、ガラス物品は、コンベア120を用いて、キャリア110とともに、ドロップゾーンA3から加工ゾーンA4へ搬送され、加工ゾーンA4内で加工装置400を用いて加工される。次に、ガラス物品は、コンベア120を用いて、キャリア110とともに加工ゾーンA4から積降ろしゾーンA5に搬送される。積降ろしゾーンA5内で、ガラス物品は、キャリア110から積み降ろされる。ガラス物品が不合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品はドロップゾーンA3内でキャリア110から積み降ろされる。
【0041】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、洗浄装置300は、ドロップゾーンA3内に配置されてもよい。ドロップゾーンA3内で不合格ガラス物品として選別されたガラス物品がキャリア110から積み降された後で、洗浄装置300は、キャリア110の把持部111(図3A図3C参照)の挟持部F1およびF2(図3A図3C参照)のパッドP1およびP2(図3A図3C参照)を洗浄してもよい。合格ガラス物品として選別されたガラス物品がキャリア110とともにドロップゾーンA3を通過する場合、洗浄装置300は、把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄しなくてもよい。すなわち、洗浄装置300は、ドロップゾーンA3を通過するキャリアのうち、ガラス物品を搭載していない空の状態になったキャリアのみを洗浄してもよく、ドロップゾーンA3を通過するキャリアのうち、ガラス物品を搭載しているキャリアは洗浄しなくてもよい。
【0042】
他の実施形態では、洗浄装置300は、図1に示されるように、復帰ゾーンA6内に配置されてもよい。復帰ゾーンA6を通過するキャリア110はすべて空の状態となっているので、洗浄装置300は、復帰ゾーンA6を通過するすべてのキャリア110を洗浄してもよい。他の実施形態では、洗浄装置300は、加工ゾーンA4内に配置されてもよい。洗浄装置300は、加工ゾーンA4を通過するキャリアのうち、ガラス物品を搭載していない空の状態になったキャリアのみを洗浄してもよく、加工ゾーンA4を通過するキャリアのうちガラス物品を搭載しているキャリアを洗浄しなくてもよい。
【0043】
特定の例示的な実施形態では、ガラス処理装置1000Bは、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄することができる洗浄装置300を含む。よって、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2から加工装置400に破片、粒子および/または埃が落下して、加工装置400が汚染される事態を防ぐことができる。さらに、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2上に残留していた破片、粒子および/または埃が、キャリア110に積載される後続のガラス物品を損傷させる事態を防ぐことができる。さらに、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄するために人員を追加する必要がないので、人員数を節約することができる。
【0044】
図3Aは、本開示におけるガラス処理装置1000Aまたは1000Bに含まれるガラス搬送装置100の正面図を示す。図3Bは、本開示におけるガラス処理装置1000Aまたは1000Bに含まれるガラス搬送装置100の側面図を示す。図3Cは、本開示におけるガラス処理装置1000Aまたは1000Bに含まれるガラス搬送装置100のキャリア110の斜視図を示す。
【0045】
図3A図3Cに示されるように、ガラス搬送装置100は、コンベア120と、キャリア110とを含む。コンベア120は、キャリア110を搬送する。コンベア120は、キャリア110を搬送するために、ベルト、ローラおよび/またはチェーンを含むことができる。キャリア110は、本体113と、本体113に取り付けられた把持部111とを含むことができる。本体113は、コンベア120上に配置する、コンベア120の下に懸架する、コンベア120に取り付ける、コンベア120に固定する、および/またはコンベア120と接触させる、ことができる。
【0046】
把持部111は、ガラス物品を把持するように構成することができる。図3Aには、キャリア110が一対の把持部111を含むことが示されているが、キャリア110は、より多くの把持部111(例えば、二対の把持部111)、またはより少ない把持部111(例えば、1つの把持部111のみ)を含むことができる。把持部111は、ガラス物品を把持するように構成される一対の挟持部F1およびF2を含む。一対の挟持部F1およびF2は、対向させることができ、例示的な実施形態では、ほぼ垂直方向に延在する。図3A図3Cに示されるように、一対の挟持部F1およびF2は、本体113の一方の側に配置される。しかしながら、他の実施形態では、一対の挟持部F1およびF2は、本体113の下方に配置されてもよい。一対の挟持部F1およびF2は、一対のパッドP1およびP2を含んでいてもよい。一対のパッドP1およびP2は、ガラス物品がキャリア110に積載される際に、ガラス物品に直接接触する。
【0047】
把持部111は、一対の挟持部F1およびF2の間の距離、つまり一対のパッドP1およびP2の間の距離を調整するように構成される移動ユニット112をさらに含む。移動ユニット112は、例えば、シリンダまたはベルトを含むことができる。例えば、移動ユニット112は、第2の挟持部F2を第1の挟持部F1に対して水平方向に移動させることにより、一対のパッドP1およびP2の間の距離を調整してもよい。キャリア110にガラス物品を積載する際には、移動ユニット112は、第2の挟持部F2を第1の挟持部F1に近づけるように移動させて、一対のパッドP1およびP2がガラス物品に接触するように、パッドP1とP2の間の距離を短くすることができる。一方、キャリア110からガラス物品が積み降ろされる際には、移動ユニット112は、第2の挟持部F2を第1の挟持部F1から遠ざかるように移動させて、一対のパッドP1およびP2がガラス物品から離されるように、パッドP1とP2の間の距離を長くすることができる。図3A図3Cに示されるように、移動ユニット112は本体113の上に配置されるが、他の実施形態では、移動ユニット112は、本体113の下方に配置されてもよい。
【0048】
図4Aは、本開示の一実施形態におけるガラス処理装置1000Aまたは1000Bに含まれる洗浄装置300の正面図を示す。図4Bは、本開示の一実施形態におけるガラス処理装置1000Aまたは1000Bに含まれる洗浄装置300の側面図を示す。
【0049】
図4Aおよび図4Bに示されるように、洗浄装置300は、クリーニングヘッド330と、移動ユニット310および/または320とを含む。移動ユニット310および/または320は、クリーニングヘッド330を移動させることができる。移動ユニット310および/または320は、例えば、シリンダまたはベルトを含むことができる。いくつかの実施形態において、移動ユニット310および/または320は、クリーニングヘッド330を第1の方向、例えば垂直方向、に沿って移動させるように構成される第1の移動ユニット310、および/またはクリーニングヘッド330を第2の方向、例えば水平方向、に沿って移動させるように構成される第2の移動ユニット320を含むことができる。クリーニングヘッド330は、キャリア110の把持部111(図3A図3C参照)の挟持部F1およびF2(図3A図3C参照)のパッドP1およびP2(図3A図3C参照)を洗浄するように構成されていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、クリーニングヘッド330は、ブラシ331および/またはノズル332を含むことができる。ブラシ331は、一対のパッドP1およびP2(図3A図3C参照)を掃除するように構成されてもよい。移動ユニット310および/または320を作動させることにより、ブラシ331をパッドP1およびP2の間で通過させて、一対のパッドP1およびP2に接触させるようにしてもよい。ノズル332は、一対のパッドP1およびP2に向かって流体を噴射するように構成されてもよい。流体は、空気、不活性ガス、および/または洗浄剤を含むガスであってもよい。ノズル332は、一対のパッドP1およびP2が互いに離間する方向に対して直交している水平方向に配向されてもよい。他の実施形態では、クリーニングヘッド330は、ローラ、ワイパ、および/またはスクレーパなどの他の洗浄部材を含んでもよい。
【0051】
図7Bに示されるように、いくつかの実施形態では、クリーニングヘッド330は、二対のパッドP1およびP2を同時に洗浄するのに十分な長さを横方向に有してもよい。しかしながら、他の実施形態では、クリーニングヘッド330は、一対のパッドP1およびP2のみを同時に洗浄するくらいの短さになってもよく、三対以上のパッドP1およびP2を同時に洗浄するくらいの長さになってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、洗浄装置300は、クリーニングヘッド330の位置を検知するように構成されるセンサ340および/または350をさらに含むことができる。例えば、洗浄装置300は、クリーニングヘッド330の垂直位置を検知する第1のセンサ340および/またはクリーニングヘッド330の水平位置を検知する第2のセンサ350を含むことができる。図4Aおよび図4Bに示されるように、第1のセンサ340は第1の移動ユニット310に取り付けられ、第2のセンサ350は第2の移動ユニット320に取り付けられる。しかしながら、他の実施形態では、第1のセンサ340および第2のセンサ350をクリーニングヘッド330に取り付けてもよい。
【0053】
図5は、本開示におけるガラス処理方法1Aのフローチャートを示す。図6A図7Bは、本開示におけるガラス処理方法1Aを説明する図面を示す。
【0054】
図1図5図6A、および図6Bに示されるように、ガラス物品10が積載ゾーンA1内でキャリア110に積載される(ステップS1)。すなわち、キャリア110の把持部111の一対の挟持部F1およびF2の一対のパッドP1およびP2をガラス物品10に接触させて、把持部111を用いてガラス物品10を把持してもよい。図6Aおよび図6Bに示されるように、1つのガラス物品10を把持するために一対の把持部111が使用されることがあるが、1つのガラス物品10を把持するために、より少ない把持部(例えば、1つの把持部111のみ)、またはより多くの把持部(例えば、二対の把持部111)を使用してもよい。
【0055】
次に、ガラス物品10を積載した状態のキャリア110が積載ゾーンA1から加工ゾーンA4に搬送されることにより、ガラス物品10が積載ゾーンA1から加工ゾーンA4に搬送される(ステップS2-1)。次に、加工装置400は、加工ゾーンA4内でガラス物品10を加工する。例えば、加工装置400は、ガラス物品10を切断、コーティング、縁取り、研削、および/または研磨することができる。次に、一対のパッドP1およびP2をガラス物品10から離すことで積降ろしゾーンA5内でキャリア110からガラス物品10を積み降ろす。いくつかの実施形態では、ガラス物品10が積み降ろされた後で、空の状態になったキャリア110が、コンベア120を用いて、復帰ゾーンA6を介して、積降ろしゾーンA5から積載ゾーンA1に搬送される。積載ゾーンA1内では、コンベア120は次のガラス物品をピックアップすることができる。
【0056】
図1図5図7A、および図7Bに示されるように、積降ろしゾーンA5または復帰ゾーンA6内で、洗浄装置300は、キャリア110の把持部111の一対の挟持部111の一対のパッドP1およびP2を洗浄する。洗浄装置300が空の状態になったキャリア110を待っている際には、クリーニングヘッド330は、空の状態になったキャリア110にクリーニングヘッド330が衝突しない待機位置にあってもよい。空の状態になったキャリア110が洗浄装置300の近傍に到達すると、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより作業位置へ移動し、一対のパッドP1およびP2を洗浄する。例えば、作業位置は、一対のパッドP1およびP2の間であってもよく、待機位置は、一対のパッドP1およびP2が通過する経路の下方であってもよい。いくつかの実施形態では、洗浄中に、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより、作業位置から垂直方向および/または水平方向で精細に動かすことができる。いくつかの実施形態において、一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、ブラシ331を含むクリーニングヘッド330を用いて一対のパッドP1およびP2を掃除するようにしてもよい。追加的または代替的に、クリーニングヘッド330は、一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、ノズル332を含むクリーニングヘッド330を用いて、一対のパッドP1およびP2に流体を噴射してもよい。一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、クリーニングヘッド330を、一対のパッドP1およびP2に同時に接触させてもよい。例えば、クリーニングヘッド330のブラシ331を、一対のパッドP1およびP2に同時に接触させてもよい。しかしながら、例えば、クリーニングヘッド330のノズル332は、一対のパッドP1およびP2に接触させなくてもよい。洗浄が完了すると、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより待機位置に戻されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、ガラス処理方法1Aは、クリーニングヘッド330の位置を検知する工程をさらに含むことができる。例えば、空の状態になったキャリア110が洗浄装置300の近傍に到達しているにもかかわらず、センサ340および/または350により検知されたクリーニングヘッド330の位置が作業位置ではない場合、またはキャリア110が洗浄装置300から離れた後であるにもかかわらず、センサ340および/または350により検知されたクリーニングヘッド330の位置が待機位置ではない場合、オペレータに警告を伝達すること、および/またはコンベア120を停止させることができる。よって、クリーニングヘッド330がキャリア110に衝突する事態を防いだり、および/またはクリーニングヘッド330が空の状態になったキャリアの洗浄を省く事態を防いだりすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ガラス物品を加工するステップS5を省略してもよい。この場合、ガラス物品10がキャリア110に積載され(ステップS1)、積載ゾーンA1から積降ろしゾーンA5に搬送される(ステップS2-1、ステップS2-2)。次に、ガラス物品10はキャリア110から積み降ろされ(ステップS6)、一対のパッドP1およびP2が洗浄される(ステップS7)。
【0059】
本開示におけるガラス処理方法1Aは、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄する工程を含む。よって、ガラス物品10がキャリア110から積み降された後で、ガラス物品からの破片および/または粒子(およびそれらの処理)、および/または周囲環境からの埃をキャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2から除去することができる。その結果、把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2上に残留していた破片、粒子および/または埃が、キャリア110に積載される後続のガラス物品を損傷させる事態を防ぐことができる。
【0060】
図8は、本開示の実施形態におけるガラス処理方法1Bのフローチャートを示す。図9図13は、本開示の実施形態におけるガラス処理方法1Bを説明する図面を示す。
【0061】
図2図6A図6B図8に示されるように、最初に、ガラス物品10が積載ゾーンA1内でキャリア110に積載される(ステップS1)。次に、ガラス物品10を積載した状態のキャリア110が積載ゾーンA1から検査ゾーンA2に搬送されることにより、ガラス物品10が積載ゾーンA1から検査ゾーンA2に搬送される。
【0062】
次に、検査ゾーンA2内で、検査装置200は、ガラス物品10を検査する(ステップS3)。検査装置200は、ガラス物品10の欠陥特性(例えば、ガラス物品10内の亀裂および/または欠けなどの欠陥の数、位置、および/またはサイズ)、応力特性、および反り特性などの特性を決定してもよい。さらに、検査装置200は、ガラス物品10の欠陥特性、応力特性、および反り特性などの特性に基づいて、ガラス物品10を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別してもよい。検査が完了すると、ガラス物品10は、キャリア110とともに、コンベア120を用いて、検査ゾーンA2からドロップゾーンA3に搬送される。
【0063】
図2図8、および図9に示されるように、ガラス物品10が合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品10は、キャリア110とともにドロップゾーンA3を通過し(ステップS4)、加工ゾーンA4に移動する。ガラス物品10がキャリア110とともにドロップゾーンA3を通過する際に、クリーニングヘッド330は、ガラス物品10の移動に干渉することがない待機位置に配置されてもよい。そして、加工装置400が存在する場合、加工ゾーンA4内で、加工装置400を用いてガラス物品10を加工することができる(ステップS5)。加工が完了すると、ガラス物品10は、コンベア120を用いてキャリア110とともに加工ゾーンA4から積降ろしゾーンA5に移動される。積降ろしゾーンA5内では、ガラス物品10がキャリア110から積み降ろされる(ステップS6-1)。いくつかの実施形態では、ガラス物品10が積み降ろされた後で、空の状態になったキャリア110は、コンベア120を用いて、復帰ゾーンA6を介して、積降ろしゾーンA5から積載ゾーンA1に搬送される。積載ゾーンA1内で、キャリア110に新しいガラス物品10が積載され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、ガラス物品10を加工するステップS5を省略してもよい。この場合、検査の工程(ステップS3)において合格ガラス物品として選別されたガラス物品10は、ドロップゾーンA3を介して、検査ゾーンA2から積降ろしゾーンA5に搬送されてもよい。積降ろしゾーンA5内で、ガラス物品10がキャリア110から積み降ろされてもよい(ステップS6-1)。
【0065】
図2図8、および図10図13に示されるように、ガラス物品10が不合格ガラス物品として選別された場合、ガラス物品10をドロップゾーンA3内でキャリア110から積み降ろしてもよい(ステップS6-2)。そして、ドロップゾーンA3内で、洗浄装置300は、キャリア110の把持部111の一対の挟持部F1およびF2の一対のパッドP1およびP2を洗浄してもよい。空の状態になったキャリア110が洗浄装置300の近傍に到達すると、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより待機位置から一対のパッドP1およびP2が洗浄される作業位置まで移動されてもよい。例えば、図10に示されるように、クリーニングヘッド330は、第2の移動ユニット320を作動させることにより水平方向に沿って移動された後で、図11に示されるように、第1の移動ユニット310によって垂直方向に沿って上昇されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、洗浄の工程中(ステップS7)に、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより、作業位置から垂直および/または水平方向で精細に動かすことができる。いくつかの実施形態では、一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、ブラシ331を含むクリーニングヘッド330を用いて一対のパッドP1およびP2を掃除するようにしてもよい。追加的または代替的に、クリーニングヘッド330は、一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、ノズル332を含むクリーニングヘッド330を用いて、一対のパッドP1およびP2に流体を噴射してもよい。一対のパッドP1およびP2を洗浄するために、クリーニングヘッド330を、一対のパッドP1およびP2に同時に接触させてもよい。例えば、クリーニングヘッド330のブラシ331を一対のパッドP1およびP2に同時に接触させてもよい。しかしながら、例えば、クリーニングヘッド330のノズル332は、一対のパッドP1およびP2に接触させなくてもよい。
【0067】
洗浄が完了すると、クリーニングヘッド330は、移動ユニット310および/または320を作動させることにより待機位置に戻されてもよい。例えば、図12に示されるように、第1の移動ユニット310を作動させることによりクリーニングヘッド330を垂直方向に沿って逆の方向へ下降させた後で、図13に示されるように、第2の移動ユニット320を作動させることによりクリーニングヘッド330を水平方向に沿って逆の方向へ移動させてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、ガラス処理方法1Bは、クリーニングヘッド330の位置を検知する工程をさらに含むことができる。例えば、ガラス物品10とともにキャリア110がドロップゾーンA3を通過しているにもかかわらず、センサ340および/または350により検知されたクリーニングヘッド330の位置が待機位置ではない場合、または空の状態になったキャリア110がドロップゾーンA3を通過しているにもかかわらず、センサ340および/または350により検知されたクリーニングヘッド330の位置が作業位置ではない場合、オペレータに警告を伝達すること、および/またはコンベア120を停止させることができる。よって、クリーニングヘッド330がキャリア110に衝突する事態を防いだり、および/またはクリーニングヘッド330が空の状態になったキャリアの洗浄を省く事態を防いだりすることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、洗浄の工程(ステップS7)が完了すると、空の状態になったキャリア110は、コンベア120を用いて、加工ゾーンA4、積降ろしゾーンA5、復帰ゾーンA6を介して、ドロップゾーンA3から積載ゾーンA1に搬送され、積載ゾーンA1内で、空の状態になったキャリア110に新しいガラス物品10が積載される。
【0070】
いくつかの実施形態では、図2に示したものとは異なり、洗浄装置300は、積降ろしゾーンA5または復帰ゾーンA6内に配置されてもよい。この場合、積降ろしゾーンA5またはドロップゾーンA3内でガラス物品10をキャリア110から積み降ろした後(ステップS6-1またはS6-2)で、洗浄装置300が空の状態になったキャリア110を洗浄するようにしてもよい。すなわち、洗浄装置300が、積降ろしゾーンA5または復帰ゾーンA6を通過するすべてのキャリア110を洗浄するようにしてもよい。
【0071】
本開示におけるガラス処理方法1Bは、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2を洗浄する工程を含む(ステップS7)。よって、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2から加工装置400に破片、粒子および/または埃が落下して、加工装置400を汚染する事態を防ぐことができる。さらに、キャリア110の把持部111の挟持部F1およびF2のパッドP1およびP2上に残留していた破片、粒子および/または埃が、キャリア110に積載される後続のガラス物品を損傷させる事態を防ぐことができる。
【0072】
本開示は、その実施形態を参照して具体的に示され、説明されるものであるが、以下の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な改変がなされ得ることが理解されるであろう。
【0073】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0074】
実施形態1
ガラス処理装置であって、
ガラス物品を把持する把持部を含むキャリアと、前記キャリアを搬送するコンベアとを含むガラス搬送装置、および
前記ガラス物品に接触する前記把持部を洗浄するクリーニングヘッドと、前記クリーニングヘッドを移動させる移動ユニットとを含む洗浄装置
を含む、ガラス処理装置。
【0075】
実施形態2
前記移動ユニットは、前記クリーニングヘッドを垂直方向に沿って移動させる第1の移動ユニットと、前記クリーニングヘッドを水平方向に沿って移動させる第2の移動ユニットとを含む、実施形態1に記載のガラス処理装置。
【0076】
実施形態3
前記クリーニングヘッドは、前記把持部を掃除するように構成されるブラシを含む、実施形態1に記載のガラス処理装置
実施形態4
前記把持部は、複数の挟持部を含む、実施形態3に記載のガラス処理装置。
【0077】
実施形態5
前記移動ユニットは、前記ブラシを前記複数の挟持部の間を通過させる、実施形態4に記載のガラス処理装置。
【0078】
実施形態6
前記クリーニングヘッドは、流体を噴射するように構成されるノズルを含む、実施形態1に記載のガラス処理装置。
【0079】
実施形態7
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの位置を検知するためのセンサをさらに含む、実施形態1に記載のガラス処理装置。
【0080】
実施形態8
前記コンベアはループを構築し、該コンベヤを用いて前記キャリアを前記ループの少なくとも一部分に沿って循環させる、実施形態1に記載のガラス処理装置。
【0081】
実施形態9
ガラス処理装置であって、
積載ゾーン、検査ゾーン、ドロップゾーン、および加工ゾーンに渡り延在するコンベヤと、
前記積載ゾーン内でガラス物品を把持するように構成される把持部を含むキャリアであり、前記コンベヤを用いて該積載ゾーンから前記加工ゾーンへ搬送される前記キャリアと、
前記検査ゾーン内で前記ガラス物品を検査し、前記検査の結果に基づいて、該ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別するガラス検査装置と、
前記ドロップゾーン内で前記キャリアから前記不合格ガラス物品が積み降ろされた後で、該ドロップゾーン内で前記把持部を洗浄する洗浄装置と、
前記キャリアを用いて前記ドロップゾーンを通過させた前記合格ガラス物品を前記加工ゾーン内で加工するように構成される加工装置と
を含む、ガラス処理装置。
【0082】
実施形態10
前記洗浄装置は、
クリーニングヘッド、および
前記ドロップゾーンを通過する前記合格ガラス物品と干渉することがない前記クリーニングヘッドの待機位置と該クリーニングヘッドにより前記把持部が洗浄される作業位置との間で該クリーニングヘッドを移動させる移動ユニットを含む、実施形態9に記載のガラス処理装置。
【0083】
実施形態11
前記洗浄装置は、前記クリーニングヘッドの位置を検知するように構成されるセンサをさらに含み、
前記コンベアは、前記クリーニングヘッドが前記作業位置に存在しない場合、または該クリーニングヘッドが前記待機位置に存在しない場合、前記キャリアを停止させる、実施形態10に記載のガラス処理装置。
【0084】
実施形態12
前記コンベアは、前記加工ゾーンの後、積降ろしゾーンを通過した後で、前記積載ゾーンに戻り、
前記キャリアは、前記加工ゾーンで加工された前記合格ガラス物品を前記積降ろしゾーンで積み降ろした後で、前記コンベヤとともに前記積載ゾーンに戻る、実施形態9に記載のガラス処理装置。
【0085】
実施形態13
ガラス処理方法であって、
把持部をガラス物品に接触させて前記把持部で前記ガラス物品をピックアップすることにより該把持部を含むキャリアに該ガラス物品を積載する工程と、
コンベアを用いて前記キャリアを搬送することにより前記ガラス物品を搬送する工程と、
前記把持部を前記ガラス物品から離すことにより該ガラス物品を前記キャリアから積み降ろす工程と、
前記把持部を洗浄する工程と
を含む、ガラス処理方法。
【0086】
実施形態14
前記把持部を洗浄する前記工程は、
クリーニングヘッドを待機位置から作業位置へ移動させる工程と、
前記クリーニングヘッドを用いて前記把持部を洗浄する工程と、
前記クリーニングヘッドを前記作業位置から前記待機位置へ移動させる工程と
を含む、実施形態13に記載のガラス処理装置。
【0087】
実施形態15
前記クリーニングヘッドを前記待機位置から前記作業位置へ移動させる前記工程は、該クリーニングヘッドを水平方向に沿って移動させる工程と、該クリーニングヘッドを垂直方向に沿って上昇させる工程とを含み、
前記クリーニングヘッドを前記作業位置から前記待機位置へ移動させる前記工程は、該クリーニングヘッドを前記垂直方向に沿って逆の方向へ下降させる工程と、該クリーニングヘッドを前記水平方向に沿って逆の方向へ移動させる工程とを含む、実施形態14に記載のガラス処理装置。
【0088】
実施形態16
前記把持部は、複数の挟持部を含み、
前記把持部を洗浄する前記工程は、前記クリーニングヘッドを前記複数の挟持部に同時に接触させる工程を含む、実施形態13に記載のガラス処理方法。
【0089】
実施形態17
前記把持部を洗浄する前記工程は、ブラシを含むクリーニングヘッドを用いて該把持部を掃除する工程を含む、実施形態13に記載のガラス処理方法。
【0090】
実施形態18
前記把持部を洗浄する前記工程は、ノズルを含むクリーニングヘッドを用いて流体を噴射する工程を含む、実施形態13に記載のガラス処理方法。
【0091】
実施形態19
前記クリーニングヘッドの位置を検知する工程をさらに含む、実施形態13に記載のガラス処理方法。
【0092】
実施形態20
前記ガラス物品を検査する工程と、
前記検査の結果に基づいて、前記ガラス物品を合格ガラス物品または不合格ガラス物品として選別する工程とをさらに含み、
前記ガラス物品が前記不合格ガラス物品として選別された場合、該ガラス物品の積み降ろしと前記把持部の洗浄がドロップゾーン内で行われ、該ガラス物品が前記合格ガラス物品として選別された場合、該ガラス物品を、前記キャリアとともに前記ドロップゾーンを通過させ、積降ろしゾーン内で該キャリアから積み降ろす、実施形態13に記載のガラス処理方法。
【符号の説明】
【0093】
10 ガラス物品
100 ガラス搬送装置
110 キャリア
111 把持部
112 移動ユニット
113 本体
120 コンベア
200 検査装置
300 洗浄装置
310 第1の移動ユニット
320 第2の移動ユニット
330 クリーニングヘッド
331 ブラシ
332 ノズル
340 第1のセンサ
350 第2のセンサ
400 加工装置
A1 積載ゾーン
A2 検査ゾーン
A3 ドロップゾーン
A4 加工ゾーン
A5 積降ろしゾーン
A6 復帰ゾーン
F1 挟持部
F2 挟持部
P1 パッド
P2 パッド
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13