(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】サーバプログラム、情報処理方法、コンピュータシステムおよびセンターサーバプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20240822BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2022042888
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 芳憲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達矢
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-141432(JP,A)
【文献】特開2006-313440(JP,A)
【文献】特開2010-211412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御するサーバプログラムであって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに、
前記取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付機能と、
前記決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、を実現させ、
前記センターサーバに、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する更新機能と、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、を実現させ
、
前記更新機能は、前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される複数の取引状況情報に基づき、更新された前記取引条件の内容に応じて、他の取引条件をさらに更新することを含む、
サーバプログラム。
【請求項2】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御するサーバプログラムであって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに、
前記取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付機能と、
前記決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、を実現させ、
前記センターサーバに、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する更新機能と、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、
前記取引者の取引履歴情報を記憶する履歴記憶部を参照して、前記取引履歴情報に基づいて、予め設定された将来の期間における、前記取引者における取引の発生を予測する予測機能と、を実現させ、
前記更新機能は、前記予測された取引の発生を示す取引予測情報に基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する、
サーバプログラム。
【請求項3】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御するサーバプログラムであって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに、
前記取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付機能と、
前記決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、
前記決済要求を受け付けた前記取引の異常を検出する検出機能と、
前記検出された異常を示す異常情報を送信する第1異常送信機能と、を実現させ、
前記センターサーバに、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する更新機能と、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、を実現させ、
前記状況取得機能は、前記エッジサーバから前記異常情報を取得し、
前記更新機能は、前記異常情報に基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新し、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに、
前記エッジサーバに関連付けられた前記複数のエッジサーバのうちの他のエッジサーバに、前記検出された異常を示す異常情報を送信する第2異常送信機能と、
前記他のエッジサーバから、前記他のエッジサーバで検出された異常を示す異常情報を受信する異常受信機能と、をさらに実現させ、
前記判定機能は、前記受信した異常情報にさらに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する、
サーバプログラム。
【請求項4】
前記複数のエッジサーバのそれぞれに、
前記判定機能により前記決済が承認されなかった場合、前記センターサーバに前記決済要求を送信する要求送信機能を実現させ、
前記センターサーバに、
前記エッジサーバから、前記決済要求を取得する要求取得機能と、
前記決済要求に基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する上位判定機能と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う上位決済処理機能と、を実現させる、
請求項1に記載のサーバプログラム。
【請求項5】
前記センターサーバに、
前記第1ネットワークで用いられる識別情報であって前記取引者を識別するための識別情報を発行するセンター発行機能と、
前記取引者が使用可能な決済手段を示す決済手段情報を記憶する決済手段記憶機能を参照して、前記識別情報と前記決済手段情報とを対応付ける対応付け機能と、
前記識別情報を、前記エッジサーバを介して前記取引者端末に通知するセンター通知機能と、を実現させ、
前記決済要求は、前記識別情報を含み、
前記決済処理機能は、前記取引の決済のための処理として、決済システムに決済の実行を指示するための前記識別情報を含む決済指示を生成し、生成した決済指示を前記決済システムに送信するために、エッジ送信機能により前記センターサーバに送信させ、
前記センター通知機能は、前記エッジサーバから送信された決済指示を受信した場合、前記センターサーバと前記決済システムとの間のインタフェースに基づいて、前記決済指示に含まれる前記識別情報をこの識別情報に対応付けられた決済手段情報の少なくとも一部に変換して、前記決済指示を前記決済システムに通知する。
請求項1から4のいずれか一項に記載のサーバプログラム。
【請求項6】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御する情報処理方法であって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれが、
前記取引者端末から、取引の決済要求を受け付け、
前記決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定し、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行い、
前記センターサーバが、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得し、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新し、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信
し、
前記取引条件の更新は、前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される複数の取引状況情報に基づき、更新された前記取引条件の内容に応じて、他の取引条件をさらに更新することを含む、
情報処理方法。
【請求項7】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を含むコンピュータシステムであって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれは、
前記取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付部と、
前記決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する判定部と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う決済処理部と、を備え、
前記センターサーバは、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得部と、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶部を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する更新部と、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信部と、を備え
、
前記更新部は、前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される複数の取引状況情報に基づき、更新された前記取引条件の内容に応じて、他の取引条件をさらに更新することを含む、
コンピュータシステム。
【請求項8】
取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、前記複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を含むシステムのうちのセンターサーバを制御するセンターサーバプログラムであって、
前記複数のエッジサーバのそれぞれは、
前記取引者端末から受け付けた取引の決済要求と、前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、前記取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、
前記決済が承認された場合、前記決済要求に基づいて、前記取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、を有するものであって、
前記センターサーバに、
前記複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、
前記複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、前記取引状況情報と前記取引条件とに基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する更新機能と、
前記更新された取引条件を設定するために、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、
前記取引者の取引履歴情報を記憶する履歴記憶部を参照して、前記取引履歴情報に基づいて、予め設定された将来の期間における、前記取引者における取引の発生を予測する予測機能と、を実現させ
、
前記更新機能は、前記予測された取引の発生を示す取引予測情報に基づいて、前記複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された前記取引条件を更新する、
センターサーバプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバプログラム、情報処理方法、コンピュータシステムおよびセンターサーバプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取引の決済処理の形態には、決済処理をネットワーク中央のサーバに集中させて実行させる集中型の処理形態(例えば、特許文献1)や、決済処理をネットワークに参加する各ノードに分散させて実行させる分散型の処理形態が存在する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-076269号公報
【文献】特開2020-080085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、決済処理を伴う取引には、商品や役務提供の商取引や、インターネットバンキング等のオンライン送金取引等の様々な種類の取引が存在する。これら異なる種類の取引では、その決済処理が実行されるネットワークも異なる場合、それぞれ別個に決済処理が実行される。このため、例えば同じユーザの取引であっても、これらの取引間のバランスを取った上で各取引の決済処理を実行させることは難しい。集中型の処理形態を用いてネットワークを同じにして中央のサーバに集中させれば、これらの取引間のバランスを取って決済処理を実行させることは可能である。しかしながら、中央サーバ1カ所に決済処理の要求が集中するため、ネットワークの遅延を引き起こす懸念がある。また、分散型の処理形態を用いれば、決済処理が分散されてそのようなネットワークの遅延を引き起こす懸念は解消されるが、異なる種類の取引間のバランスを取ることは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、異なる種類の取引間のバランスを取りつつ、これらの取引の決済処理が実行されるネットワークの通信の輻輳を低減するサーバプログラム、情報処理方法、コンピュータシステムおよびセンターサーバプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るサーバプログラムは、取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御するサーバプログラムであって、複数のエッジサーバのそれぞれに、取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付機能と、決済要求と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、を実現させ、センターサーバに、複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、取引状況情報と取引条件とに基づいて、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された取引条件を更新する更新機能と、更新された取引条件を設定するために、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、を実現させる。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を制御する情報処理方法であって、複数のエッジサーバのそれぞれが、取引者端末から、取引の決済要求を受け付け、決済要求と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定し、決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行い、センターサーバが、複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得し、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、取引状況情報と取引条件とに基づいて、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された取引条件を更新し、更新された取引条件を設定するために、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに取引条件を示す条件情報を送信する。
【0008】
本発明の一態様に係るコンピュータシステムは、取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を含むコンピュータシステムであって、複数のエッジサーバのそれぞれは、取引者端末から、取引の決済要求を受け付ける受付部と、決済要求と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する判定部と、決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う決済処理部と、を備え、センターサーバは、複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得部と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶部を参照して、取引状況情報と取引条件とに基づいて、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された取引条件を更新する更新部と、更新された取引条件を設定するために、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに前記取引条件を示す条件情報を送信する条件送信部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るセンターサーバプログラムは、取引者が使用する1以上の取引者端末と第1ネットワークを介して通信可能に接続される複数のエッジサーバと、複数のエッジサーバと第2ネットワークを介して通信可能に接続されるセンターサーバと、を含むシステムのうちのセンターサーバを制御するサーバプログラムであって、複数のエッジサーバのそれぞれは、取引者端末から受け付けた取引の決済要求と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する判定機能と、決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う決済処理機能と、を有するものであって、センターサーバに、複数のエッジサーバのそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する状況取得機能と、複数のエッジサーバのそれぞれに設定された取引条件を記憶する条件記憶機能を参照して、取引状況情報と取引条件とに基づいて、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに設定された取引条件を更新する更新機能と、更新された取引条件を設定するために、複数のエッジサーバのうちの少なくとも1つに取引条件を示す条件情報を送信する条件送信機能と、を実現させる、センターサーバプログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なる種類の取引間のバランスを取りつつ、これらの取引の決済処理が実行されるネットワークの通信の輻輳を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る取引支援システムのシステム構成の一例を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図7】第1実施形態に係るセンターサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るエッジサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る取引支援システムの動作例を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る取引支援システムの動作例を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る取引支援システムの動作例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る取引支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【0012】
本発明において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【0013】
本実施形態のプログラムは、CD-ROMなどの光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記憶媒体を通じて、または通信ネットワーク(後述する第1ネットワークN1や第2ネットワークN2)などを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストールまたはダウンロードすることができる。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。
【0015】
本実施形態では、系ごとに、取引者および/または取引者が利用可能な決済手段を識別するための識別情報(以下、「系専用ID」ともいう)を発行する。取引支援システム1では、例えば、クレジットカードのカード番号や銀行の口座番号などの代わりにこの発行した系専用IDを用いて取引者や決済手段を指定し、センターサーバ100やエッジサーバ200などの複数の装置間で情報の連携(送受信)を行う。このような構成によれば、クレジットカードのカード番号や銀行の口座番号などの機密性の高い情報を複数の装置間でネットワークを介して連携したり複数の装置それぞれで保管したりしなくとも、取引者や決済手段を指定できる。このため、情報セキュリティ性(機密性)を向上させることができる。
【0016】
系専用IDは、取引者およびこの取引者が利用可能な決済手段のいずれも識別する場合、2部構成としてもよい。例えば、系専用IDを001-AAAAおよび001-BBBBとする場合は、ハイフンより前の「001」は、取引者ごとに一意となる番号であってもよい。また、ハイフンより後の「AAAA」と「BBBB」とは、001の取引者が利用可能な決済手段ごとに一意となる番号であってもよい。例えば、「AAAA」は取引者が利用する銀行の口座に対して付与された番号であり、「BBBB」は取引者が利用するクレジットカードに対して付与された番号であってもよい。
【0017】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る取引支援システム1のシステム構成例を説明する。
【0018】
本実施形態に係る取引支援システム1は、複数の系のそれぞれの取引を支援するためのシステムである。ここで「系」とは、特定の種類の取引を行うために構成されたハードウェアのほか、実行するソフトウェア(プログラム)や通信機器も含めたシステム全体をいう。本実施形態では、取引支援システム1が支援する系を、取引システム2とする例を説明するが、これに限定する趣旨ではない。
【0019】
図1に示すように、取引支援システム1は、センターサーバ100と、エッジサーバ200と、を含む。センターサーバ100は、複数のエッジサーバ200を集約する。センターサーバ100は、第1取引システム2aの第1エッジサーバ200aと、第2取引システム2bの第2エッジサーバ200bとに、第2ネットワークN2を介して通信可能に接続されている。また、センターサーバ100は、第2ネットワークN2を介して外部システム500と通信可能に接続されている。
【0020】
本実施形態に係る取引システム2は、取引者が使用する1以上の取引者端末300と、1以上の取引者端末300を集約するエッジサーバ200と、を含む。複数の取引システム2のそれぞれは、取引の決済のための処理(以下、「決済処理」ともいう)を実行する一つの系である。取引システム2には、1以上の取引者端末300とエッジサーバ200とを通信可能に接続するネットワーク(以下、「第1ネットワークN1」ともいう)が存在する。本例では、取引システム2には、第1取引システム2aと第2取引システム2bとが存在するものとする。
【0021】
エッジサーバ200は、例えば、MEC(Multi-access Edge Computing)技術を利用して、センターサーバ100より取引者端末300の近くに分散配置したサーバ(いわゆる、MECサーバ)であってもよい。
【0022】
[センターサーバ]
センターサーバ100は、第2ネットワークN2を介して、複数のエッジサーバ200との通信が可能な情報処理装置である。センターサーバ100は、所定のプログラム(以下、「センターサーバプログラム」ともいう)を実行することにより、自装置を制御する。具体的には、センターサーバ100は、センターサーバプログラムを実行することにより、取引情報や決済情報、ユーザ情報などの取引支援システム1で処理される各種情報を管理する。センターサーバ100は、例えば、センターサーバプログラムを実行することにより、取引支援システム1における複数のエッジサーバ200間で連携するためのI/Fなどの取り決めを、各エッジサーバ200に共有してもよい。また、センターサーバ100は、例えば、取引支援システム1のWebサイト(以下、「取引支援サイト」ともいう)を生成し、生成した取引支援サイトのWebページを、エッジサーバ200や取引者端末300などの装置に配信するようなWebサーバの機能を実現してもよい。
【0023】
センターサーバ100は、例えば、取引支援システム1を各装置が利用するためのスキーム(以下、単に「スキーム」ともいう)を設定し、設定したスキームを各装置に共有する機能(以下、「スキーム機能」ともいう)を備えてもよい。この設定したスキームを示す情報を、スキーム情報ともいう。また、このスキームは、例えば、ソフトウェアフレームワークの各種ライブラリや各種フォーマット、または取引処理などの各処理に関するルールなどであってもよい。
【0024】
[第1取引システム]
第1取引システム2aは、クレジットカードの加盟店(クレジットカード会社と契約している小売業者)が運用するシステムである。第1取引システム2aでは、クレジットカードの加盟店(以下、単に「加盟店」ともいう)における複数の第1取引者端末300aと第1エッジサーバ200aとが、第1ネットワークN1aを介して通信可能に接続されている。すなわち、第1取引システム2aにおける取引者は、主に加盟店(オーナーや店員も含む)である。
【0025】
第1エッジサーバ200aは、いわゆる加盟店センターであり、クレジットカードを使用した取引の決済において、配下の第1取引者端末300aの決済処理を集中管理するサーバである。また、第1エッジサーバ200aは、顧客が使用するクレジットカードのカード会社のシステムに対する窓口として、クレジットカードを使用した取引の決済(カード決済)に必要な情報を、このシステムとやり取りする。以下、クレジットカードのカード会社のシステムを、「クレジットカードシステム」ともいう。
【0026】
第1取引者端末300aは、加盟店の各店舗において店員が使用する端末装置であり、いわゆる加盟店端末である。第1取引者端末300aは、例えば、クレジットカードを取り扱う店舗で使用されるPOS端末であってもよい。また、第1取引者端末300aは、POS機能を備えた情報処理装置であればよく、例えば、スマートフォン、タブレット、またはラップトップなどの端末装置であってもよい。第1取引者端末300aは、例えば、店員または顧客からの商取引の決済要求を受け付けて、この決済要求を第1エッジサーバ200aに送信する。
【0027】
[第2取引システム]
第2取引システム2bは、いわゆるスマートシティや職域、またはモール(商店街)などの特定エリア(例えば、特定の都市、特定の施設や建物、特定の敷地など)で使用されるシステムであり、IoT技術を用いて特定エリアの設備や施設などのインフラを管理し、この特定エリアにおける居住者の取引を行うためのシステムである。すなわち、第2取引システム2bにおける取引者は、主に居住者である。「特定エリアにおける居住者の取引」は、例えば、特定エリアに設けられたコインパーキングの駐車・駐輪サービスを利用するための駐車代・駐輪代の支払い取引、または特定エリアに存在する店舗や病院などでの商品やサービスの代金の支払取引などが考えられる。
【0028】
第2取引システム2bでは、スマートシティにおける複数の第2取引者端末300bと第2エッジサーバ200bとは、第1ネットワークN1bを介して通信可能に接続されている。なお、第1ネットワークN1aと第1ネットワークN1bとは、特に区別の必要がない場合、総称して「第1ネットワークN1」ともいう。
【0029】
第2エッジサーバ200bは、居住者の取引の決済において、配下の第2取引者端末300bの決済処理を集中管理するサーバである。また、第2エッジサーバ200bは、取引の決済で用いる決済手段に対応する決済システム510に対する窓口として、取引の決済に必要な情報をこの決済システム510とやり取りする。なお以降、第1エッジサーバ200aと第2エッジサーバ200bとは、特に区別の必要がない場合、総称して「エッジサーバ200」ともいう。
【0030】
エッジサーバ200は、第2ネットワークN2を介して、センターサーバ100との通信が可能な情報処理装置である。エッジサーバ200は、所定のプログラム(以下、「エッジサーバプログラム」ともいう)を実行することにより、自装置を制御する。具体的には、エッジサーバ200は、エッジサーバプログラムを実行することにより、センターサーバ100と取引者端末300と接続してエッジサーバ200で生成・管理する情報を送受信したり、ユーザに対して取引支援サイトなどの画面やスピーカでこれらの情報を出力したり、ユーザからの各種指示や要求を受け付けたりする。なお、センターサーバプログラムとエッジサーバプログラムとは、特に区別の必要がない場合、総称して「サーバプログラム」ともいう。
【0031】
第2取引者端末300bは、居住者が使用する情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやラップトップ、またはタブレットなどのモバイル装置である。第2取引者端末300bは、UI機能や通信機能を含む情報処理機能が備わる装置であればどのような装置でもよく、他の例として、ドローン、車両、車載機器、家電機器、またはウェアラブル・デバイスなどであってもよい。なお、第1取引者端末300aと第2取引者端末300bとは、特に区別の必要がない場合、総称して「取引者端末」ともいう。
【0032】
取引者端末は、所定のプログラム(以下、「端末プログラム」ともいう)を実行することにより、自装置を制御する。具体的には、端末プログラムは、端末プログラムを実行することにより、エッジサーバ200と接続して、エッジサーバ200で生成・管理する情報を送受信したり、ユーザに対してこれらの情報を画面やスピーカで出力したり、ユーザからの各種指示や要求を受け付けたりする。
【0033】
取引者端末は、例えば、クレジットカードやデビットカードなどによるカード決済、銀行の送金決済(銀行振込による支払い決済を含む)、ポイントや暗号資産を含む電子マネー決済、またはQRコード(登録商標)決済などの様々な決済手段に対応してもよい。
【0034】
「ユーザ情報」は、取引者を含むユーザに関する情報である。ユーザ情報は、例えば、各ユーザを識別するためのユーザ識別情報(取引支援システム1で発行されるユーザIDや系専用IDを含む)、ユーザの属性情報、または各ユーザが所有する、SNS(Social Networking Service)などの外部システム500のアカウントを識別するためのアカウント識別情報(各外部システムで発行されるユーザID)・パスワード情報などが含まれる。なお、このユーザには、例えば、取引者以外にも、エッジサーバ200の運用者・管理者、センターサーバ100の運用者・管理者なども含まれてもよい。
【0035】
ユーザの属性情報は、例えば、名前、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、および/またはマイナンバー(個人番号)などである。
【0036】
ユーザ情報は、ユーザである取引者が企業の場合、この企業の財務情報、業績情報および/またはインターネットの情報の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0037】
「取引情報」は、ユーザの取引に関する情報である。取引情報は、例えば、各取引を識別するための取引識別情報、各取引の取引者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報、各取引の契約情報、各取引の決済に関する決済情報、取引日時、取引の状況などを含んでもよい。取引者は、各系における取引に関する権限を有する者であり、各系のユーザである。取引者は、例えば、取引が売買取引であれば、売主または買主のいずれかである。取引の状況は、例えば、決済要求の受け付け中、決済処理中(具体的には、決済指示の生成から決済指示の結果を決済システム510から受信するまで)、上位判断中、決済完了、決済エラー(例えば、取引の決済要求を却下)などを含んでもよい。
【0038】
取引情報は、例えば、ユーザに対して提供する商品やサービスの注文を示す注文情報、および/または商品やサービス提供の費用請求を行うための請求書情報などを含んでもよい。
【0039】
注文情報は、例えば、各注文を識別するための注文識別情報、注文先を識別するための注文先識別情報、注文情報を登録した日時を示す登録日時、商品やサービスを注文するユーザに関するユーザ情報、注文された商品やサービスの代金(取引金額)などを含んでもよい。
【0040】
「決済情報」は、取引の決済に関する情報である。決済情報は、具体的には、取引識別情報、支払人を示す支払人情報、受取人を示す受取人情報、支払対象のサービス名または商品名、取引において支払人から受取人に支払う金額を示す取引金額、および/または取引に利用可能な決済手段、言い換えれば取引者が使用可能な決済手段を示す情報(以下、「決済手段情報」ともいう)などを含んでもよい。
【0041】
決済手段情報は、決済手段がクレジットカード決済の場合、クレジットカード決済に必要な情報として、クレジットカード名、発行会社、カード番号、名義、有効期限、および/またはセキュリティコードなどを含んでもよい。また、決済情報は、決済手段が銀行振込の場合、銀行振込による決済に必要な情報として、支払元または支払先の口座の口座情報を含んでもよい。口座情報は、金融機関の口座に関する情報であり、例えば、金融機関名、支店名、預金の種別、口座番号、および/または口座名義などを含んでもよい。決済手段情報の中で各決済手段を識別するための情報を、決済手段識別情報ともいう。決済手段識別情報は、例えば、対応する決済システム510が発行した識別情報を含んでもよい。決済手段識別情報は、例えば、決済手段が銀行振込の場合、金融機関名、支店名、預金の種別、および口座番号を含んでもよい。
【0042】
取引情報は、例えば、情報セキュリティの観点から、決済手段情報の全部または一部を含まなくてもよい。取引情報は、具体的には、決済手段がクレジットカード決済の場合、決済手段情報に含まれるカード番号やセキュリティコードなどを含まなくてもよい。また、取引情報は、具体的には、決済手段が銀行振込の場合、決済手段情報に含まれる口座の暗証番号などを含まなくてもよい。また、センターサーバ100とエッジサーバ200との間でやり取りされる取引情報は、例えば、決済情報から一定の機密レベルを超える情報を除いたもののみ含んでもよい。この「一定の機密レベルを超える情報」とは、例えば、外部システム500で発行されたアカウント(口座)の暗証番号やセキュリティコードなどである。
【0043】
[ネットワーク]
第1ネットワークN1は、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。第1ネットワークN1は、例えば、通信事業者が提供する5Gネットワーク、いわゆるパブリック5Gを含んでもよい。
【0044】
第2ネットワークN2は、広域通信網のネットワークであり、インターネット、移動体通信網、電話回線を含む。また、第2ネットワークN2は、例えば、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、またはLTE(登録商標)(Long Term Evolution)回線などを用いた無線通信方式を用いてもよい。第2ネットワークN2は、例えば、企業や自治体が、特定エリア内に構築した取引システム2専用の5Gネットワーク、いわゆるローカル5Gのネットワークであってもよい。また、第2ネットワークN2は、通信事業者の周波数帯を使って提供された、企業や自治体の特定エリア(例えば、企業や自治体の敷地など)内に、必要な帯域、必要な容量の5Gネットワーク、いわゆるプライベート5Gのネットワークであってもよい。
【0045】
[外部システム]
外部システム500は、サードパーティシステムであり、例えば、決済システム510などである。
【0046】
決済システム510は、金融機関などの決済事業者が運営するシステムであって、外部に決済機能を提供するためのシステムである。決済システム510は、例えば、決済事業者が銀行であればこの銀行の銀行システム(不図示)であってもよいし、決済事業者がクレジットカード会社(国際ブランド、イシュア、またはアクワイアラを含む)であればこの会社のクレジットカードシステム510aであってもよい。銀行システムは、例えば、銀行口座の口座情報を管理し、この銀行口座に対する振込処理や参照処理を行う。
【0047】
<2.概要>
図2~6を参照して、取引支援システム1の概要の一例を説明する。
【0048】
<2-1.全体像>
図2を参照して、取引支援システム1の全体像の一例を説明する。
図2に示すように、取引支援システム1のセンターサーバ100が実現する機能は、「A1)『系』識別」、「B1)Token/系専用ID」、「C1)取引条件設定・配信」、「D1)エッジ取引情報取得」、および「E1)決済事業者連携」の5つのセクションに分類される。また、エッジサーバ200が実現する機能は、「A2)Token/系専用ID発行・連携」、「B2)取引条件受信・設定」、「C2)取引処理」、および「D2)取引連携」の5つのセクションに分類される。取引支援システム1では、それぞれのセクションが互いに連携して、取引支援サービスを提供する。また、それぞれのセクションは、取引者端末300や外部システム500とも連携を行う。
【0049】
<2-2.事前登録>
図3は、取引の決済処理を実行する前に、取引支援システム1や第1取引システム2aで利用する各種情報を事前登録する場面について説明するための図である。なお、
図3~5では第1取引システム2aの取引を例に説明するが、第2取引システム2bの取引においても
図3~5の例と同様の機能・処理が実現されてもよい。
【0050】
<A1)「系」識別>
(1)
図3に示すように、センターサーバ100の登録部113は、取引支援システム1で新たに支援する系を登録する。登録部113は、具体的には、取引の決済処理を行う各系として、各取引システム2に関する情報(以下、「系情報」ともいう)を登録する。系情報は、例えば、各系を識別するための系識別情報、各系における取引の決済処理を実行するための情報などを含む。この決済処理を実行するための情報は、例えば、各系で処理される取引のスキームを規定する取引スキーム情報、各系に属する各取引者端末300を識別するための端末識別情報、各端末識別情報に対応付けられた各取引者端末300の端末情報、および/または各系に属する店舗の店舗情報などを含む。
【0051】
「端末情報」は、取引者端末を含む端末に関する情報である。端末情報は、例えば、各端末を識別するための端末識別情報、MACアドレス、IPアドレス、型番、搭載するアプリケーション・OSの情報、製造番号、および/または端末の位置情報などを含んでもよい。
【0052】
「店舗情報」は、取引システム2を利用する各店舗に関する情報である。店舗情報は、例えば、各店舗を識別するための店舗識別情報、店舗屋号、および/または店舗の所在地などを含む。
【0053】
<B1)系専用ID/トークン発行・識別>
(2)第1取引者端末300aは、各系(本例では、第1取引システム2a)で取引を行うために、系ごとに取引者を識別するための識別情報、言い換えると第1ネットワークN1(本例では、第1ネットワークN1a)で用いられる識別情報として系専用IDの発行を要求する。この系専用IDは、例えば、第1取引システム2aで取引の決済処理を実行する際に、各取引者(もしくは各取引者の各アカウント)を識別するために用いる。この系専用IDの発行要求には、例えば、要求元の取引者の決済情報を含んでもよい。第1エッジサーバ200aの受付部211は、第1取引者端末300aから上記発行要求を受け付ける。なお、各系では、この系専用IDの代わりに、各系において取引を行う一時的な権限を示すトークン(以下、単に「トークン」ともいう)を取引者に発行してもよい。すなわち、本実施形態に係る系専用IDに関する説明について、この系専用IDをトークンと読み替えてもよい。
【0054】
(3)第1エッジサーバ200aの受付部211は、第1取引者端末300aから受け付けた上記の系専用IDの発行要求を、センターサーバ100に送信する。この際、第1エッジサーバ200aの受付部211は、発行要求に含まれる決済情報の少なくとも一部(例えば、機密性の高い個人情報や決済手段情報など)を自装置に保存しないようにしてもよい。受付部211は、決済情報の少なくとも一部を自装置に保存しないようにするために、例えば、一時的に記憶したこの決済情報の少なくとも一部を、センターサーバ100への発行要求の送信後に削除してもよい。
【0055】
(4)センターサーバ100のセンター発行部112は、第1エッジサーバ200aから、上記(3)の系専用IDの発行要求を受け付ける。センター発行部112は、この発行要求に基づいて、系専用IDを発行する。また、センターサーバ100の登録部113は、この発行要求に取引者の決済情報が含まれている場合、決済記憶部141aにこの決済情報を登録する(記憶する)。なお、取引者の決済情報は、系専用IDの発行要求とは別に取引者端末300から取得部111により取得されて、決済記憶部141aに記憶されてもよい。(5)センターサーバ100の対応付け部112aは、決済情報を記憶する決済記憶部141aを参照して、発行した系専用IDとこの決済情報とを対応付ける。
【0056】
(6)センターサーバ100のセンター通知部117は、発行した系専用IDを、第1エッジサーバ200aに通知する。(7)また、センター通知部117は、発行した系専用IDを、第1エッジサーバ200aを介して第1取引者端末300aに通知する。具体的には、センター通知部117は、発行した系専用IDを第1エッジサーバ200aに送信する。第1エッジサーバ200aのエッジ受信部232は、送信された系専用IDを受信して、新規ユーザのユーザ情報の一部としてエッジユーザ記憶部241に記憶する。第1エッジサーバ200aのエッジ通知部216は、この受け付けられた系専用IDを、要求元の取引者の第1取引者端末300aに通知する。なお、系専用IDの要求元の取引者への通知方法は、このように情報を送信する方法の他にも、例えば、系専用IDを記録させた記録媒体を取引者の指定する住所に送付することで通知してもよい。なお、系専用IDを記録させた記録媒体とは、例えば、磁器カードやICカード、キーフォブなどであってもよい。
【0057】
<D2)取引連携>
(8)第1エッジサーバ200aのエッジ送信部231は、サイクリックに、またはイベントドリブンで、取引状況情報をセンターサーバ100に送信する。
【0058】
「取引状況情報」は、複数のエッジサーバ200それぞれで処理される取引の状況を示す情報である。取引状況情報は、例えば、過去の第1期間における取引状況、言い換えると第1期間における取引の履歴を示す取引履歴情報を含んでもよい。取引履歴情報は、例えば、取引情報に含まれる各項目の履歴であってもよい。また、この取引状況は、例えば、第1期間において取引に関するリスク(以下、「取引リスク」ともいう)が発生した状況、言い換えると第1期間において発生した取引リスクの履歴であってもよい。すなわち、取引履歴情報は、第1期間において発生した取引リスクの履歴を示すリスク履歴情報を含んでもよい。他方、取引状況情報は、例えば、将来の取引見込みとして、将来の第2期間における取引状況、すなわち取引の発生予測を含んでもよい。また、この第2期間における取引状況は、例えば、取引リスクの発生予測であってもよい。
【0059】
<C1)取引条件設定・配信>
(9)センターサーバ100の状況取得部111aは、第1エッジサーバ200aから送信された取引状況情報を取得する。(10)センターサーバ100の生成部113aは、ユーザ情報および/または取引状況情報に基づいて、第1取引条件を生成する(11)。センターサーバ100の条件送信部131aは、生成された第1取引条件を設定するために、第1エッジサーバ200aに第1取引条件を示す情報(以下、「第1条件情報」ともいう)を送信する。
【0060】
「取引条件」は、取引の決済を承認するか否かを判定するための条件である。取引条件は、例えば、所定期間内の取引回数に関する制約であってもよいし、取引金額に関する制約であってもよい。ここで「取引回数に関する制約」とは、例えば、取引回数の上限などの閾値である。また、ここで「取引金額に関する制約」とは、例えば、1回の取引金額の下限や上限、または所定期間内における各系の取引金額の累計の条件または複数の系の累計の合計の上限などの閾値である。なお、本実施形態では、第1取引システム2aの取引に適用される取引条件を「第1取引条件」ともいい、第2取引システム2bの取引に適用される取引条件を「第2取引条件」ともいう。
【0061】
取引条件の適用対象は、取引者(系専用ID)ごとであってもよいし、系ごとであってもよいし、取引支援システム1全体であってもよい。また、取引条件は複数存在してもよく、各取引条件の適用対象は、取引者ごとであったり、系ごとであったり、取引支援システム1全体であったりとそれぞれ異なってもよい。例えば、取引者Aに適用される取引条件は、取引者Aのみに適用される取引条件A1と、取引者Aの取引が行われる取引システム2全体に適用される取引条件A2(例えば、フロアリミットなど)との組み合わせであってもよい。
【0062】
取引条件は、例えば、ネガティブ情報および/またはストップ情報による制約を含んでもよい。ネガティブ情報は、例えば、クレジットカード会社や銀行などの金融機関、または個人信用情報機関が保有している個人信用情報のうち、支払遅延、不払い、自己破産、代位弁済または貸し倒れなど、ネガティブの事実があることを示す情報である。言い換えれば、ネガティブ情報は、与信判定上マイナスに作用する情報のことをいう。ストップ情報は、例えば、盗難・紛失の申請、または暗証番号の誤入力などによる決済手段の利用停止を示す情報である。ネガティブ情報および/またはストップ情報は、例えば、決済システム510などの外部システム500から取得されてもよい。
【0063】
<B2)取引条件受信・設定>
(12)第1エッジサーバ200aのエッジ受信部232は、センターサーバ100から、送信された条件情報を受信する。(13)第1エッジサーバ200aの設定部215は、受信した条件情報に示された取引条件を、第1取引システム2aの取引の決済に適用するために設定する。
【0064】
<2-3.取引の決済(エッジ側での取引承認)>
図4を参照して、第1取引システム2aおよび取引支援システム1において、エッジサーバ200側で取引を承認して取引の決済処理を実行する場面について説明する。
【0065】
<C2)取引処理>
(1)
図4に示すように、第1エッジサーバ200aの受付部211は、第1取引者端末300aから、系専用IDと取引情報とを含む取引の決済要求を受け付ける。本例では、決済要求に含まれる取引情報は、一定の機密レベルを超える決済手段情報の一部を含まないものとする。なお、決済に使用する決済手段について、決済要求の際にその都度指定されてもよいし、別途予め指定されていてもよい。
【0066】
(2)第1エッジサーバ200aの判定部212は、この受け付けられた決済要求と、第1エッジサーバ200aに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する。判定部212は、例えば、まず、決済要求に含まれる系専用IDで要求元の取引者を識別する。次に判定部212は、識別した取引者に適用される取引条件をエッジ条件記憶部242から取得する。なお、エッジ条件記憶部242は、取引条件を記憶する条件記憶部の一態様である。そして判定部212は、取引情報に示された取引や取引者等がこの取得された取引条件を満たすかどうかを判定し、取引条件を満たす場合には取引の決済を承認する。本例では、判定部212が取引の決済を承認すると判定したものとする。
【0067】
(3)第1エッジサーバ200aの決済処理部213は、判定部212により取引の決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済処理を行う。決済処理部213は、具体的には、系専用IDを含む決済指示であって指定された決済手段に対応する決済システム510に対する決済指示を生成する。例えば、指定された決済手段がクレジットカード決済の場合、決済指示は、取引者名義のクレジットカードによる支払いをクレジットカードシステム510aに指示するものとなる。
【0068】
決済処理部213は、センターサーバ100を中継して決済システム510に送信するために、生成した決済指示を、エッジ送信部231によりセンターサーバ100に送信させる。センターサーバ100は、ゲートウェイ(Gateway)のように、第1ネットワークN1aと、第2ネットワークN2と、取引支援システム1と決済システム510との間のネットワークなどのプロトコルが異なるネットワーク同士で取引の決済処理に必要な情報を連携する際に、これらのネットワークを連携する役割を担う。
【0069】
決済処理部213が生成する決済指示には、例えば、センターサーバ100が取引者を識別し自装置が保存する決済情報を検索するための系専用IDと、取引都度変更される情報(例えば、注文情報など)とのみを含むようにしてもよい。言い換えれば、決済処理部213が生成する決済指示には、決済手段情報のクレジットカードのカード番号やセキュリティコードなどの機密性の高い情報が含まれないようにしてもよい。
【0070】
(4)センターサーバ100の取得部111は、第1エッジサーバ200aから、決済指示を取得する。
【0071】
(5)センターサーバ100のセンター通知部117は、取得した決済指示を、対応する決済システム510に通知する。センター通知部117は、この通知の際、決済指示に含まれる情報の少なくとも一部を、対応する決済システム510用の形式に変換する(コンバージョンを行う)。センター通知部117は、具体的には、クレジットカードシステム510aとの間で定められたI/Fの仕様(例えば、電文フォーマットなど)に基づいて、決済指示に含まれる情報を変換する。センター通知部117は、例えば、決済手段がクレジットカード決済の場合、決済指示に含まれる系専用IDを、この系専用IDに対応付けられた決済手段情報に含まれるカード番号、有効期限およびセキュリティコードに変換し、電文フォーマットに従って変換後の情報を決済指示の電文にセット(設定)する。センター通知部117は、変換後の情報をセットした決済指示の電文をクレジットカードシステム510aに通知(送信)する。なお、他の例として、センター通知部117は、決済システム510が提供する更新系APIを呼び出して、この更新系APIに対して変換後の情報を引数として渡して決済指示を行ってもよい。
【0072】
(6)センターサーバ100のセンター通知部117は、決済指示の結果(例えば、決済完了またはエラー等)を、決済システム510から受信する。センター通知部117は、決済指示の結果を第1エッジサーバ200aに通知する。第1エッジサーバ200aの決済処理部213は、センターサーバ100から決済指示の結果を通知されると、この結果を、要求元の第1取引者端末300aに通知する。
【0073】
<2-4.取引の決済(センターでの取引承認)>
図5を参照して、第1取引システム2aおよび取引支援システム1において、エッジサーバより上位のセンターサーバ100で取引を承認して取引の決済処理を実行する場面について説明する。
【0074】
<C2)取引処理>
(1)
図5に示すように、第1エッジサーバ200aの受付部211は、第1取引者端末300aから、系専用IDと取引情報とを含む取引の決済要求を受け付ける。
【0075】
(2)第1エッジサーバ200aの判定部212は、この受け付けられた決済要求と、第1エッジサーバ200aに設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する。本例では、判定部212が取引の決済を承認しないと判定したものとする。
【0076】
<D2)取引連携>
(3)第1エッジサーバ200aの要求送信部231aは、判定部212により取引の決済が承認されなかった場合、センターサーバ100にこの取引の決済要求を送信(転送)する。すなわち、要求送信部231aは、エッジサーバ200で取引の決済が承認されなかった場合、より上位のセンターサーバ100にエスカレーションしてもよい。言い換えれば、要求送信部231aは、エッジサーバ200で取引の決済が承認されなかった場合、取引の決済を承認するか否かの判断をセンターサーバ100にゆだねてもよい。
【0077】
<D1)エッジ取引情報取得>
(4)センターサーバ100の要求取得部111bは、第1エッジサーバ200aから、送信された決済要求を取得する。
【0078】
<E1)決済事業者連携>
(5)センターサーバ100の上位判定部114は、取得された決済要求に基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する。上位判定部114は、例えば、判定部212と同様に、系専用IDで識別した取引者に適用される上位取引条件を、センター条件記憶部142から取得する。
【0079】
「上位取引条件」は、上位の立場から取引の決済を承認するか否かを判定するための条件である。上位取引条件は、例えば、エッジサーバ200で使用される取引条件の制約の少なくとも一部を解除するものであってもよい。例えば、上位取引条件は、取引条件が所定期間内の取引回数の上限の場合、この上限を緩和したものであってもよい。この上限の緩和とは、例えば、取引条件における取引回数の上限が100回である場合、上位取引条件における取引回数の上限は150回とすることであってもよい。上位取引条件は、例えば、いわゆるフロアリミット以上の取引金額に適用される条件であってもよい。また、取引条件の制約の少なくとも一部を解除する分、新たな制約が追加されていてもよい。この新たな制約とは、例えば、コールセンターからの電話により取引の決済要求の真正性について取引者の確認を得ること、他の系での取引回数、および/または取引金額の合計が所定の閾値以下であることなどであってもよい。
【0080】
(6)上位決済処理部115は、上位判定部114により取引の決済が承認された場合、決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う。上位決済処理部115は、具体的には、決済処理部213と同様に、系専用IDを含む決済指示であって指定された決済手段に対応する決済システム510に対する決済指示を生成する。上位決済処理部115は、例えば、決済システム510との間で定められたI/Fの仕様に基づいて、決済指示を生成してもよい。
【0081】
上位決済処理部115が生成する決済指示には、例えば、系専用IDは含めずに、系専用IDに対応付けられた決済手段情報と、取引ごとに変更される情報と、を含むようにしてもよい。(7)上位決済処理部115は、生成した決済指示を、センター通知部117と同様に、対応する決済システム510に通知する。
【0082】
(8)センターサーバ100の上位決済処理部115は、決済指示の結果を、決済システム510から受信する。上位決済処理部115は、決済指示の結果を第1エッジサーバ200aに通知する。
【0083】
<D2)取引連携>
(9)第1エッジサーバ200aのエッジ受信部232は、センターサーバ100から通知された決済指示の結果を受信する。エッジ通知部216は、エッジ受信部232が決済指示の結果を受信すると、要求元の取引者の第1取引者端末300aにこの決済指示の結果を通知する。
【0084】
<2-5.取引条件の更新・配信>
図6を参照して、取引システム2および取引支援システム1において、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれに設定される取引条件を、センターサーバ100で更新して、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれに配信する場面について説明する。
【0085】
<D2)取引連携>
(1)
図6に示すように、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bそれぞれのエッジ送信部231は、サイクリックに、またはイベントドリブンで、取引状況情報をセンターサーバ100に送信する。例えばイベントドリブンで送信する場合、エッジ送信部231は、センターサーバ100からの取引状況情報の要求を受付部211が受け付けて、この要求に対する応答として、取引状況情報を送信してもよい。
【0086】
<D1)エッジ取引情報取得>
(2)センターサーバ100の状況取得部111aは、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれから送信された取引状況情報を取得する。
【0087】
上記(1)・(2)で送信・取得される取引状況情報は、例えば、上記
図3の<D2)取引連携>の(8)・(9)で送信・取得される取引状況情報と比較して、送信・取得する時点がそれぞれ異なることで取引の状況が異なれば、異なるものとなってもよい。他方、送信・取得する時点がそれぞれ異なっても取引の状況が同じものであれば、同じものとなってもよい。また、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bそれぞれのエッジ送信部231は、取引の状況が前回送信した際の状況から変化がない、例えば前回の取引状況情報との差分がなければ、センターサーバ100への取引状況情報の送信を省略してもよい。このような構成によれば、エッジ送信部231は、冗長な取引状況情報の送信を削減し、ネットワークの通信の負荷を軽減することができる。また、この際、エッジ送信部231は、取引状況情報に代えて、取引状況情報の送信を省略する旨のみセンターサーバ100に送信してもよい。
【0088】
<C1)取引条件設定・配信>
(3)センターサーバ100の更新部113bは、サイクリックに、またはイベントドリブンで、第1エッジサーバ200aに設定されている第1取引条件および第2エッジサーバ200bに設定されている第2取引条件を記憶するセンター条件記憶部142を参照して、取引状況情報とこれらの取引条件とに基づいて、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのうちの少なくとも1つに設定された取引条件を更新する。センター条件記憶部142は、条件記憶部の一態様である。なお、更新部113bにおける取引条件の更新処理は、上記(2)の取引状況の取得処理と同期させてもよいし非同期であってもよい。例えば、更新部113bにおける取引条件の更新処理は、取引状況情報の取得をトリガーに処理を実行してもよいし、他方、取得された取引状況情報を所定期間蓄積させて、蓄積された取引情報に基づいて、設定された周期(例えば、1日ごと、1か月ごと、半年ごとなど)でサイクリックに実行してもよい。
【0089】
更新部113bは、例えば、第1取引システム2aでの取引の状況と第2取引システム2bでの取引の状況とを比較してもよい。更新部113bは、この比較の結果に基づいて、第1取引システム2aの方が第2取引システム2bより取引頻度が多い場合には、第1取引条件の取引金額の上限を緩和し、他方、第2取引条件の取引金額の上限を制限してもよい。例えば、更新部113bは、第1取引条件の1回あたりの取引金額の上限を100万円から120万円に上げるよう更新し、他方、第2取引条件の1回あたりの取引金額の上限を100万円から80万円に下げるよう更新してもよい。このように、更新部113bは、各系(各取引システム2)における取引の状況をふまえつつも取引金額の上限が合計して200万円にさせるなど第1取引条件と第2取引条件との間のバランスを取るように、第1取引条件および第2取引条件の少なくともいずれかを更新してもよい。
【0090】
(4)センターサーバ100の条件送信部131aは、更新された第1取引条件および第2取引条件をそれぞれ設定するために、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bに、第1取引条件を示す第1条件情報および第2取引条件を示す情報(以下、「第2条件情報」ともいう)を送信する。第1条件情報および第2条件情報は、特に区別の必要がない場合、総称して「条件情報」ともいう。
【0091】
<B2)取引条件受信・設定>
(5)第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれのエッジ受信部232は、センターサーバ100から送信された条件情報を受信する。(6)第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれの設定部215は、センターサーバ100から送信された条件情報に基づいて、更新された第1取引条件および第2取引条件それぞれを設定する。
【0092】
上記構成によれば、取引支援システム1は、異なる種類の取引を処理する複数の系(第1取引システム2aおよび第2取引システム2b)のそれぞれの取引の状況をふまえてそれぞれの取引条件を更新することができる。さらに、取引支援システム1は、複数の系のそれぞれのエッジサーバ200で取引の承認が行われるため、取引の承認を得るためのオーソリゼーションなどによるセンターサーバ100への通信が集中することがない。したがって、取引支援システム1は、異なる種類の取引間のバランスを取りつつ、これらの取引の決済処理が実行されるネットワークの通信の輻輳を低減することができる。ひいては、取引支援システム1は、取引の決済処理が実行されるネットワークの遅延を削減することができる。
【0093】
<3.機能構成>
<3-1.センターサーバの機能構成>
図7を参照して、本実施形態に係るセンターサーバ100の機能構成を説明する。
図7に示すように、センターサーバ100は、センター制御部110と、センター通信部130と、センター記憶部140と、を備える。
【0094】
[センター制御部]
センター制御部110は、取得部111と、センター発行部112と、登録部113と、を備える。また、センター制御部110は、例えば、上位判定部114、上位決済処理部115、予測部116、またはセンター通知部117を備えてもよい。
【0095】
[取得部]
取得部111は、外部システム500や複数のエッジサーバ200のそれぞれから、ユーザ情報、ネガティブ情報またはストップ情報などの各種情報を取得する。取得部111が各種情報を取得する態様は、どのような態様でもよい。取得部111は、例えばユーザ情報の場合、取引支援システム1のWebサイトで表示する画面にユーザ情報が入力された際、この入力されたユーザ情報を示すメッセージを随時受信してもよい。また他の例として、取得部111は、エッジサーバ200などの他の装置から、ユーザ情報を示すデータファイルを、サイクリックまたはイベントドリブンで受信してもよい。また他の例としてネガティブ情報とストップ情報の場合、取得部111は、決済システム510の装置が実装するAPIにネガティブ情報および/またはストップ情報の参照を指示して、この参照の指示の結果としてこれらの情報を取得してもよい。
【0096】
取得部111は、例えば、取引者端末300および/または外部システム500から、ユーザ情報、および/または取引情報を取得してもよい。取得部111は、取得したユーザ情報をセンターユーザ記憶部141に記憶する。また、取得部111は、取得した取引情報に含まれる情報を、(1)取引ごとに変わるもの(例えば、注文情報など)と、(2)取引ごとには変わらないもの(例えば、決済手段情報など。言い換えると、複数の取引で利用可能なもの)と、で弁別し、後者について決済記憶部141aに記憶する。取得部111は、例えば、決済システム510などの外部システム500から、取引者のネガティブ情報および/またはストップ情報を取得してもよい。
【0097】
取得部111は、例えば、状況取得部111aを備える。状況取得部111aは、複数のエッジサーバ200のそれぞれで処理される取引の状況を示す取引状況情報を取得する。
【0098】
状況取得部111aは、例えば、エッジサーバ200から、異常情報を取得する。異常情報は、例えば、取引者のネガティブ情報および/またはストップ情報であってもよい。
【0099】
取得部111は、例えば、要求取得部111bを備える。要求取得部111bは、エッジサーバ200から、送信された取引の決済要求を取得する。この決済要求は、例えば、後述するセンター通知部117により取引者端末300に通知された識別情報を含んでもよい。
【0100】
[センター発行部]
センター発行部112は、各系で用いられる識別情報、言い換えれば第1ネットワークN1で用いられる識別情報であって取引者を識別するための識別情報(例えば、系専用IDなど)を発行する。センター発行部112は、例えば、エッジサーバ200から、系専用IDの発行要求を受け付けてもよい。センター発行部112は、この発行要求に基づいて、系専用IDを発行してもよい。また、センター発行部112は、例えば、この識別情報に対応付けられた決済手段に対応する決済システム510に、この識別情報の発行の可否を事前に問い合わせてもよい。センター発行部112は、問い合わせ先の決済システム510から「発行可」との応答を受け付けた場合に、識別情報を発行してもよい。
【0101】
センター発行部112は、例えば、対応付け部112aを備える。対応付け部112aは、取引者が使用可能な決済手段を示す決済手段情報を記憶する決済記憶部141aを参照して、センター発行部112が発行する識別情報と決済情報(決済手段情報を含む)とを対応付ける。
【0102】
[登録部]
登録部113は、取引支援システム1および/または取引システム2で使用される各種情報をセンター記憶部140などに登録する。
【0103】
登録部113は、例えば、生成部113aを備える。生成部113aは、ユーザ情報および/または取引状況情報に基づいて、取引条件を生成する。
【0104】
登録部113は、例えば、更新部113bを備える。更新部113bは、複数のエッジサーバ200のそれぞれに設定される取引条件を記憶する条件記憶部を参照して、エッジサーバ200等から取得された取引状況情報と取引条件とに基づいて、複数のエッジサーバ200のうちの少なくとも1つに設定される取引条件を更新する。
【0105】
更新部113bは、例えば、予測部116により予測された取引の発生を示す取引予測情報に基づいて、複数のエッジサーバ200のうちの少なくとも1つに設定される取引条件を更新してもよい。
【0106】
上記構成によれば、更新部113bは、将来の取引発生予測をふまえて取引条件を更新することができる。このため、取引の状況が将来変化しても、それに対して一定程度備えた取引条件、すなわち将来の取引状況の変化に一定程度対応できる取引条件にすることができる。このため、各系を集約するセンターサーバ100でなくとも、将来の取引状況の変化に応じた取引の決済の承認を、各系のエッジサーバ200の判定部212にさせることができる。
【0107】
更新部113bは、例えば、異常情報にさらに基づいて、複数のエッジサーバ200のうちの少なくとも1つに設定される取引条件を更新する。
【0108】
上記構成によれば、更新部113bは、検出された取引の異常に合わせて取引条件を更新することができる。このため、各系を集約するセンターサーバ100でなくとも、将来の取引の異常発生の見込みに応じた取引の決済の承認を、各系のエッジサーバ200の判定部212にさせることができる。
【0109】
[上位判定部]
上位判定部114は、要求取得部111bにより取得された決済要求に基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する。このような構成によれば、上位判定部114は、下位の各系のエッジサーバ200で承認されなかった取引の決済について、上位の立場から取引の決済を承認するか否かを判定することができる。例えば、各系において、自分の系では承認するか否かの判定が難しい取引については一旦承認を保留し、すなわち各系では承認せずに、複数の系を集約するセンターサーバ100の判定を仰ぐことができる。このため、取引支援システム1は、より柔軟に取引の決済の承認をするか否かを判定することができる。
【0110】
[上位決済処理部]
上位決済処理部115は、上位判定部114により取引の決済が承認された場合、要求取得部111bにより取得された決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う。
【0111】
上記構成によれば、上位決済処理部115は、下位の各系のエッジサーバ200で承認されなかった取引の決済について、上位の立場から取引の決済を承認すると判定された場合には、取引の決済のための処理を行うことができる。
【0112】
上位決済処理部115は、例えば、決済要求に含まれた系専用IDなどの識別情報に対応する決済情報にさらに基づいて、取引の決済のための処理を行ってもよい。このような構成によれば、上位決済処理部115は、系専用IDなどの識別情報により取引者に対応付けられた決済情報を特定できるため、決済要求には機密性の高い決済情報を含めずにこの識別情報を含めばよい。このように機密性の高い決済情報を決済要求に含めないことができるため、例えば、第1ネットワークN1を介してエッジサーバ200からセンターサーバ100に送信された決済要求が不正に傍受されても機密性の高い情報が漏洩するリスクを低減できる。
【0113】
[予測部]
予測部116は、取引者の取引履歴情報を記憶する履歴記憶部を参照して、この取引履歴情報に基づいて、予め設定された将来の期間(第2期間)における、各系または各取引者における取引の発生を予測する。なお、後述するセンター履歴記憶部143は、履歴記憶部の一態様である。
【0114】
予測部116は、ユーザ情報にさらに基づいて、予め設定された将来の第2期間における、各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。また、予測部116は、環境情報を記憶するセンター記憶部140を参照して、この環境情報にさらに基づいて、将来の期間における各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。予測部116は、例えば、機械学習の技術を用いて、各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。
【0115】
「環境情報」とは、各取引者または各系の周辺環境に関する情報である。環境情報は、例えば、各取引者または各系の周辺の気象情報、各取引者または各系の周辺でのイベントの開催情報、または株価情報などを含んでもよい。
【0116】
取引者の取引の発生を予測する場合、予測部116は、例えば、設定された過去の期間(第1期間)における取引履歴情報を学習データとして入力することで、取引発生のパターンモデルを構築してもよい。このパターンモデルは、例えば、系ごとまたは取引者ごと、および/または取引の規模ごとに、時系列にそって発生する取引数のパターンをモデル化したものであってもよい。予測部116は、この構築した取引発生のパターンモデルを用いて、将来の第2期間における、取引者の取引の発生を予測してもよい。予測部116は、例えば、この取引発生のパターンモデルを用いて、直近1年間の取引者の取引数を入力データとし、今後1年間(第2期間)におけるこの取引者の取引数を出力データとして、この出力データを今後1年間における取引の発生数として予測してもよい。予測部116は、この構築した取引発生のパターンモデルをセンター記憶部140に記憶させる。
【0117】
予測部116は、他の例として、月別等の期間別に取引の発生頻度を算出して、この算出した発生頻度に基づいて、取引の発生を期間別に予測してもよい。予測部116は、は、例えば、直近の過去1年間のうち5月の取引発生数が5件であった場合、今後1年間における5月の取引発生数は5件と予測してもよい。また、予測部116は、過去10年間の期間別の取引発生の統計値を算出して、算出した統計値により取引の発生を期間別に予測してもよい。
【0118】
予測部116は、ユーザ情報にさらに基づいて、予め設定された将来の第2期間における、各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。また、予測部116は、環境情報を記憶するセンター記憶部140を参照して、この環境情報にさらに基づいて、将来の期間における各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。予測部116は、例えば、機械学習の技術を用いて、各系または各取引者における取引の発生を予測してもよい。
【0119】
予測部116は、取引者の取引履歴情報を記憶する履歴記憶部を参照して、この取引履歴情報に基づいて、予め設定された将来の期間(第2期間)における、各系または各取引者における取引リスクの発生を予測してもよい。また、予測部116は、ユーザ情報にさらに基づいて、予め設定された将来の第2期間における、各系または各取引者における取引リスクの発生を予測してもよい。また、予測部116は、環境情報を記憶するセンター記憶部140を参照して、この環境情報にさらに基づいて、将来の期間における各系または各取引者における取引リスクの発生を予測してもよい。予測部116は、例えば、機械学習の技術を用いて、各系または各取引者における取引リスクの発生を予測してもよい。
【0120】
取引者の取引リスクの発生を予測する場合、予測部116は、例えば、設定された過去の期間(第1期間)におけるリスク履歴情報を学習データとして入力することで、取引リスク発生のパターンモデルを構築してもよい。このパターンモデルは、例えば、系ごとまたは取引者ごと、および/または取引の規模ごとに、時系列にそって発生する取引リスク数のパターンをモデル化したものであってもよい。予測部116は、この構築した取引発生のパターンモデルを用いて、将来の第2期間における、取引者の取引リスクの発生を予測してもよい。予測部116は、例えば、この取引リスク発生のパターンモデルを用いて、直近1年間の取引者の取引リスク発生数を入力データとし、今後1年間(第2期間)におけるこの取引者の取引リスク発生数を出力データとして、この出力データを今後1年間における取引の発生数として予測してもよい。予測部116は、例えば、この構築した取引発生のパターンモデルをセンター記憶部140に記憶させてもよい。
【0121】
[センター通知部]
センター通知部117は、対応付け部112aにより決済情報と対応付けられた識別情報(系専用ID)を、エッジサーバ200を介して取引者端末300に通知する。また、センター通知部117は、例えば、センター発行部112により発行された識別情報を、この識別情報に対応付けられた決済手段に対応する決済システム510に通知してもよい。
【0122】
センター通知部117は、例えば、エッジサーバ200から送信された決済指示を受信した場合、自装置(センターサーバ100)と決済システム510との間のインタフェースに基づいて、決済指示に含まれる識別情報をこの識別情報に対応付けられた決済情報の少なくとも一部に変換してもよい。そして、センター通知部117は、識別情報を決済情報の一部に変換した決済指示を、決済システム510に通知する。
【0123】
上記構成によれば、センター通知部117は、各系のエッジサーバ200とセンターサーバ100との決済指示の連携で用いられる系専用IDを、センターサーバ100と決済システム510との間の連携で用いることができる決済手段情報に変換した決済指示を決済システム510に通知することができる。このため、各系のエッジサーバ200とセンターサーバ100との第1ネットワークN1を介した決済指示の連携においては、機密性の高い決済手段情報の代わりに系専用IDを用いることができる。したがって、各系のエッジサーバ200とセンターサーバ100との決済指示の連携において、情報セキュリティを向上させることができる。
【0124】
センター通知部117は、例えば、外部システム500から取得したネガティブ情報および/またはストップ情報を、エッジサーバ200に通知してもよい。
【0125】
[センター通信部]
センター通信部130は、第2ネットワークN2を介して、複数のエッジサーバ200のそれぞれと各種情報を送受信する。また、センター通信部130は、第2ネットワークN2を介して外部システム500と各種情報を送受信する。
【0126】
センター通信部130は、センター送信部131を備える。センター送信部131は、複数のエッジサーバ200のそれぞれや外部システム500に、各種情報を送信する。センター送信部131は、条件送信部131aを備える。条件送信部131aは、更新部113bにより更新された取引条件を設定するために、複数のエッジサーバ200のうちの少なくとも1つに取引条件を示す条件情報を送信する。
【0127】
上記構成によれば、条件送信部131aは、異なる種類の取引を処理する複数の系(第1取引システム2aおよび第2取引システム2b)のそれぞれの取引の状況をふまえて更新された取引条件をエッジサーバ200に提供(送信)することができる。このため、更新された取引条件を用いて複数の系のそれぞれのエッジサーバ200で取引の承認が行われるため、取引の承認を得るためのオーソリゼーションなどによるセンターサーバ100への通信が集中することがない。したがって、異なる種類の取引間のバランスを取りつつ、これらの取引の決済処理が実行されるネットワークの通信の輻輳を低減することができる。
【0128】
センター通信部130は、センター受信部132を備える。センター受信部132は、複数のエッジサーバ200のそれぞれや外部システム500から、各種情報を受信する。
【0129】
[センター記憶部]
センター記憶部140は、取引情報や環境情報などの各種情報を記憶する。センター記憶部140は、DBMSを利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0130】
センター記憶部140は、例えば、センターユーザ記憶部141、センター条件記憶部142、および/またはセンター履歴記憶部143を備えてもよい。センターユーザ記憶部141は、ユーザ情報を記憶する。センターユーザ記憶部141は、決済記憶部141aを備えてもよい。決済記憶部141aは、決済情報(決済手段情報を含む)を記憶する。センター条件記憶部142は、取引条件を記憶する。センター履歴記憶部143は、取引履歴情報を記憶する。
【0131】
<3-2.エッジサーバの機能構成>
図8を参照して、本実施形態に係るエッジサーバ200の機能構成を説明する。
図8に示すように、エッジサーバ200は、エッジ制御部210と、エッジ通信部230と、エッジ記憶部240と、を備える。
【0132】
[エッジ制御部]
エッジ制御部210は、受付部211と、判定部212と、決済処理部213と、を備える。また、エッジ制御部210は、例えば、検出部214、設定部215、および/またはエッジ通知部216を備えてもよい。
【0133】
[受付部]
受付部211は、取引者端末300やセンターサーバ100のそれぞれから、各種情報等を受け付ける。受付部211が各種情報等を受け付ける態様は、どのような態様でもよい。受付部211は、例えば、各種情報を示すデータファイルやメッセージをセンターサーバ100や取引者端末300から受信してもよい。また他の例として、受付部211は、取引支援システム1のWebサイトの画面から各種情報を入力させて受け付けてもよい。また、受付部211は、例えば、APIや取引支援システム1に対応するSDKのライブラリなどを利用することで、各種情報を受け付けてもよい。
【0134】
受付部211は、取引者端末300から、取引の決済要求を受け付ける。また、受付部211は、取引者端末300から、取引者または取引者が利用可能な決済手段を識別するための識別情報(系専用ID)の発行の要求を受け付ける。
【0135】
[判定部]
判定部212は、取引の決済要求と、複数のエッジサーバ200のそれぞれに設定される取引条件とに基づいて、要求された取引の決済を承認するか否か判定する。また、判定部212は、センターサーバ100から受信したネガティブ情報および/またはストップ情報にさらに基づいて、要求された取引の決済を承認するか否か判定してもよい。
【0136】
取引条件は、例えば、取引時間帯に関する制約であってもよい。取引条件は、具体的には、取引時間帯の間に取引の決済要求を受け付けることであってもよい。言い換えれば取引条件は、取引時間帯外に取引の決済要求を受け付けた場合、取引の決済を承認しないことであってもよい。
【0137】
取引条件は、例えば、取引者にネガティブ情報がある場合、取引の決済を承認しないことであってもよい。このような条件下において、判定部212は、取引者にネガティブ情報がある場合、上位のセンターサーバ100に、この取引者の取引の決済要求をセンターサーバ100に転送することで、この取引の決済を承認するか否かの判断をゆだねてもよい。また、取引条件は、例えば、取引者にストップ情報がある場合、取引の決済を承認しないことであってもよい。このような条件下において、判定部212は、取引者にストップ情報がある場合、上位のセンターサーバ100に、この取引者の取引の決済要求をセンターサーバ100に転送して取引の決済を承認するか否かの判断をゆだねてもよいし、または、取引の決済要求を却下してもよい。
【0138】
[決済処理部]
決済処理部213は、判定部212により取引の決済が承認された場合、受付部211により受け付けられた決済要求に基づいて、取引の決済のための処理を行う。
【0139】
決済処理部213は、例えば、取引の決済のための処理として、決済システム510に決済の実行を指示するための識別情報を含む決済指示を生成し、生成した決済指示を、決済システム510に送信するために、エッジ送信部231によりセンターサーバ100に送信させてもよい。
【0140】
[検出部]
検出部214は、受付部211が決済要求を受け付けた取引の異常を検出する。この取引の異常とは、例えば、不正取引、系専用IDの偽造の疑いがある取引、またはネガティブ情報・ストップ情報のある取引者による取引などを取引の異常として検出する。
【0141】
検出部214は、例えば、所定期間内(例えば、1時間以内または3時間以内など)に設定した閾値(例えば、10回または100回など)を超える決済要求を同一の取引者から受け付けた場合、不正取引の疑いがあるとして、取引の異常を検出する。
【0142】
[エッジ通信部]
エッジ通信部230は、第1ネットワークN1を介して、取引者端末300やセンターサーバ100等の外部装置と各種情報を送受信する。
【0143】
エッジ通信部230は、エッジ送信部231を備える。エッジ送信部231は、取引者端末300やセンターサーバ100等の外部装置に各種情報を送信する。
【0144】
エッジ送信部231は、要求送信部231aを備える。要求送信部231aは、判定部212により取引の決済が承認されなかった場合、センターサーバ100に、受付部211により受け付けられたこの取引の決済要求を送信する。
【0145】
エッジ送信部231は、異常送信部231bを備える。異常送信部231bは、第1異常送信部231b1と、第2異常送信部231b2と、を備える。第1異常送信部231b1は、センターサーバ100に、検出部214により検出された異常を示す異常情報を送信する。第2異常送信部231b2は、エッジサーバ200に関連付けられた複数のエッジサーバ200のうちの他のエッジサーバに、検出部214により検出された異常を示す異常情報を送信する。
【0146】
エッジ通信部230は、エッジ受信部232を備える。エッジ受信部232は、取引者端末300やセンターサーバ100等の外部装置から各種情報を受信する。
【0147】
[エッジ記憶部]
エッジ記憶部240は、取引情報などの各種情報を記憶する。エッジ記憶部240は、DBMSを利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0148】
エッジ記憶部240は、例えば、エッジユーザ記憶部241、エッジ条件記憶部242、および/またはエッジ履歴記憶部243を備えてもよい。エッジユーザ記憶部241は、ユーザ情報を記憶する。エッジ条件記憶部242は、取引条件を記憶する。エッジ履歴記憶部243は、取引履歴情報を記憶する。
【0149】
<4.動作例>
図9~10を参照して、取引支援システム1におけるセンターサーバ100とエッジサーバ200と取引者端末300と決済システム510の処理の流れの例について説明する。なお、
図9~10において示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
図9は、取引者から決済要求を受けた際のこれらの装置の相互作用を示すシーケンス図である。
【0150】
図9に示すように、取引者端末300は、取引者から、取引の決済要求の入力を受け付ける(S10)。取引者端末300は、この入力を受け付けた決済要求を同じ系のエッジサーバ200に送信する(S11)。エッジサーバ200の受付部211は、取引者端末300から、送信された決済要求を受け付ける(S12)。エッジサーバ200の判定部212は、この決済要求と、自装置に設定された取引条件とに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する(S13)。
【0151】
取引支援システム1の各装置は、ステップS13においてエッジサーバ200で取引の決済が承認された場合、複合フラグメントalt1(Alternative1)が示すエリアにおいて破線より上部の処理を実行する。具体的には、エッジサーバ200は、取引の決済処理として、決済要求に基づいて、決済指示を生成する(S14)。エッジサーバ200は、生成した決済指示をセンターサーバ100に送信する(S15)。
【0152】
センターサーバ100のセンター通知部117は、エッジサーバ200から送信された決済指示に含まれる系専用IDを、指定された決済手段に対応する、決済システム510が発行した決済手段識別情報に変換する(S16)。センター通知部117は、変換後の決済手段識別情報をセットした決済指示を決済システム510に送信する(S17)。決済システム510は、センターサーバ100から送信された決済指示に基づいて、決済を実行、言い換えれば資金移動処理を実行する(S18)。
【0153】
決済システム510は、決済の結果(例えば、決済が完了した旨または決済エラー)をセンターサーバ100に送信する(S19)。センターサーバ100のセンター送信部131は、決済システム510から送信された決済の結果を、エッジサーバ200に送信する(S20)。エッジサーバ200のエッジ送信部231は、センターサーバ100から送信された決済の結果を取引者端末300に送信する(S21)。取引者端末300は、エッジサーバ200から送信された決済の結果を、要求元の取引者に対して出力する(S22)。
【0154】
取引支援システム1の各装置は、ステップS13においてエッジサーバ200で取引の決済が承認されなかった場合、複合フラグメントalt1が示すエリアにおいて破線より下部の処理を実行する。具体的には、
図10に示す処理を実行する。
図10に示すように、エッジサーバ200のエッジ送信部231は、取引の決済要求をエッジサーバ200に送信する(S30)。センターサーバ100の上位判定部114は、送信された決済要求に基づいて、取引の決済を承認するか否か判定する(S31)。
【0155】
取引支援システム1の各装置は、ステップS31においてセンターサーバ100で取引の決済が承認された場合、複合フラグメントalt2(Alternative2)が示すエリアにおいて破線より上部の処理を実行する。具体的には、センターサーバ100の上位決済処理部115は、取引の決済処理として、決済要求に基づいて、決済指示を生成する(S32)。センターサーバ100のセンター通知部117は、生成した決済指示を決済システム510に送信する(S33)。決済システム510は、センターサーバ100から送信された決済指示に基づいて、決済を実行する、言い換えれば資金移動処理を実行する(S34)。
【0156】
決済システム510は、決済の結果をセンターサーバ100に送信する(S35)。センターサーバ100のセンター送信部131は、決済システム510から送信された決済の結果を、エッジサーバ200に送信する(S36)。エッジサーバ200のエッジ送信部231は、センターサーバ100から送信された決済の結果を取引者端末300に送信する(S37)。取引者端末300は、エッジサーバ200から送信された決済の結果を、要求元の取引者に対して出力する(S38)。
【0157】
取引支援システム1の各装置は、ステップS31においてセンターサーバ100で取引の決済が承認されなかった場合、複合フラグメントalt2が示すエリアにおいて破線より下部の処理を実行する。具体的には、センターサーバ100のセンター通知部117は、取引の決済要求を却下する旨のエラーメッセージを生成する(S39)。エッジサーバ200のエッジ送信部231は、生成されたエラーメッセージをエッジサーバ200に送信する(S40)。エッジサーバ200のエッジ送信部231は、センターサーバ100から送信されたエラーメッセージを取引者端末300に送信する(S41)。取引者端末300は、エッジサーバ200から送信されたエラーメッセージを、要求元の取引者に対して出力する(S42)。
【0158】
<5.ハードウェア構成>
図11を参照して、上述してきたセンターサーバ100およびエッジサーバ200をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0159】
図11に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0160】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラム(例えば、デバイスプログラムやサーバプログラムなど)を実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、センターサーバ100のセンター制御部110エッジサーバ200のエッジ制御部210が備える各機能部などは、メモリ803に一時記憶された上で、主にプロセッサ801上で動作するプログラムとして実現可能である。
【0161】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0162】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラム(例えば、サーバプログラムや端末プログラムなど)を記憶する。この他、記憶装置805は、取引情報やユーザ情報、または条件情報などを登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0163】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0164】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0165】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0166】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0167】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。本実施形態に係る取引支援システム1aでは、取引者や取引者が利用可能な決済手段を識別するための識別情報(系専用ID)を系ごとに発行せずに、決済システム510で発行された決済手段識別情報で、取引者や取引者が利用可能な決済手段を識別する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0168】
取引支援システム1aでは、系ごとの系専用IDを使用せずに、複数の系共通で使用できる決済手段識別情報によって取引者や取引者が利用可能な決済手段を識別する。このため、センターサーバ100を介さずに、取引の決済に関する各種情報を複数の系の間で連携することができる。
【0169】
<2.概要>
図12を参照して、本実施形態に係る取引支援システム1aの概要を説明する。本例では、第1エッジサーバ200aと第2エッジサーバ200bとは、互いに関連付けられているものとする。センターサーバ100の登録部113は、例えば、取引支援システム1で新たに系を登録する際に、複数の系のサーバ(エッジサーバ200)のそれぞれが所定の範囲内(例えば、互いの半径1km以内など)に存在するか否かを判定し、所定の範囲内に存在する場合はこれらの系を関連付けてもよい。
【0170】
<C2)取引処理>
(1)
図12に示すように、第1エッジサーバ200aの検出部214は、取引者から決済要求を受け付けた取引の異常を検出する。(2)第1エッジサーバ200aのエッジ送信部231は、この検出された異常を示す異常情報をセンターサーバ100に送信する。また、エッジ送信部231は、センターサーバ100への送信と並行して、もしくは非同期で、第1エッジサーバ200aに関連付けられた第2エッジサーバ200bに、この検出された異常を示す異常情報を送信する。この送信される異常情報は、例えば、取引者のユーザ情報および/または決済手段情報(決済手段識別情報を含む)を含んでもよい。
【0171】
(3)センターサーバ100の状況取得部111aは、第1エッジサーバ200aから、異常情報を取得する。(4)センターサーバ100の更新部113bは、異常情報に基づいて、取引条件を更新する。更新部113bは、例えば、異常情報が不正取引の疑いがあることを示している場合、第1取引条件および第2取引条件において、取引者への電話による取引の真正性の確認を、「不要」から「必要」に更新してもよい。更新部113bは、例えば、さらに第2取引条件においては、一時的に、第2取引条件の1回あたりの取引金額の上限を100万円から20万円に下げてもよい。
【0172】
(5)センターサーバ100の条件送信部131aは、更新された第1取引条件および第2取引条件をそれぞれ設定するために、第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bに、第1取引条件を示す第1条件情報および第2取引条件を示す第2条件情報を送信する。
【0173】
<B2)取引条件受信・設定>
(6)第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれのエッジ受信部232は、センターサーバ100から送信された条件情報を受信する。(7)第1エッジサーバ200aおよび第2エッジサーバ200bのそれぞれの設定部215は、センターサーバ100から送信された条件情報に基づいて、更新された第1取引条件および第2取引条件のそれぞれを設定する。
【0174】
上記構成によれば、取引支援システム1aは、決済手段の識別情報により取引者や決済手段を識別して異常情報を複数の系の間で直接連携することができる。このため、取引支援システム1aは、例えばセンターサーバ100で取引条件が更新されて送信されるのを待たずに他の系で発生した取引の異常をふまえた取引の決済を承認するか否かの判断を行うことができる。
【0175】
<3.機能構成>
エッジサーバ200の判定部212は、例えば、他のエッジサーバ200から受信した異常情報にさらに基づいて、取引の決済を承認するか否か判定してもよい。
【0176】
上記構成によれば、判定部212は、例えばセンターサーバ100で異常情報により取引条件が更新されて送信されるのを待たずに、他の系で発生した取引の異常をふまえた取引の決済を承認するか否かの判断を行うことができる。
【0177】
エッジサーバ200の異常送信部231bは、例えば、第2異常送信部(不図示)を備えてもよい。第2異常送信部は、エッジサーバ200に関連付けられた複数のエッジサーバ200のうちの他のエッジサーバ200に、検出部214により検出された異常を示す異常情報を送信する。
【0178】
エッジサーバ200のエッジ受信部232は、例えば、異常受信部(不図示)を備えてもよい。異常受信部は、他のエッジサーバ200から、他のエッジサーバ200の検出部214で検出された異常を示す異常情報を受信する。
【0179】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均などなものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0180】
また、上記実施の形態で記載されたセンターサーバ100およびエッジサーバ200が備える構成要素は、記憶装置805に格納されたプログラムがプロセッサ801によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0181】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0182】
[変形例1]
上記実施形態に係るセンターサーバ100のセンター制御部110に含まれる機能部の一部または全部は、エッジサーバ200が備えていてもよい。また、その逆に、エッジサーバ200のエッジ制御部210に含まれる機能部の一部または全部は、センターサーバ100のセンター制御部110が備えていてもよい。
【0183】
センター制御部110が備えるセンター発行部112の機能は、例えば、エッジサーバ200のエッジ制御部210が備えてもよい。このセンター発行部112の機能をエッジサーバ側で備える機能部を「エッジ発行部」(不図示)ともいう。エッジ発行部は、各系で用いられる識別情報、言い換えれば第1ネットワークN1で用いられる識別情報であって取引者を識別するための識別情報(例えば、系専用IDなど)を発行する。エッジ通知部216は、エッジ発行部により発行された識別情報を、センターサーバ100に通知する。センターサーバ100の対応付け部112aは、エッジサーバ200から通知された識別情報を、決済手段情報と対応付けて決済記憶部141aに記憶させる。
【0184】
[変形例2]
上記実施形態では、本発明に係わる系を加盟店のシステムやスマートシティの取引システムとする例を説明したが、これに限定されない。本発明に係わる系は、他の例として、EC(Electronic Commerce:電子商取引)を利用するECサイトのシステム、PSP(Payment Service Provider)のシステム、アクワイアラのSTIP(Stand In Processing:オーソリ代行処理)のシステムであってもよい。
【0185】
[変形例3]
上記実施形態では、エッジサーバ200で取引の決済が承認されなかった場合、上位のセンターサーバ100にエスカレーション、すなわち、取引の決済を承認するか否かの判断をゆだねる例を説明したが、そのような場合の処理はこれに限定されない。例えば、エッジサーバ200の判定部212は、取引の決済が承認されなかった場合、取引の決済要求を却下してもよい。エッジサーバ200のエッジ通知部216は、この決済要求が却下された旨を取引者端末300に通知してもよい。
【0186】
[変形例4]
上記実施形態では示していないが、ユーザ情報や取引情報は、例えば、分散型台帳技術(ブロックチェーン技術)を用いてセンターサーバ100および複数のエッジサーバ200で分散管理をしてもよい。例えば、分散型台帳技術を用いて取引情報を分散管理する場合、複数の取引情報を関連付けて、ハッシュポインタの技術を利用して改ざんを防止してもよい。
【符号の説明】
【0187】
1、1a…取引支援システム、100…センターサーバ、110…センター制御部、111a…状況取得部、113b…更新部、130…センター通信部、131…センター送信部、131a…条件送信部、140…センター記憶部、142…センター条件記憶部、200…エッジサーバ、210…エッジ制御部、211…受付部、212…判定部、213…決済処理部、300…取引者端末、500…外部システム、510…決済システム、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。