(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電池セルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20240822BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/533
H01M50/538
(21)【出願番号】P 2022139943
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】山中 友和
(72)【発明者】
【氏名】松政 義高
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-166182(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043739(WO,A1)
【文献】特開2006-326622(JP,A)
【文献】特開昭50-133946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する本体および前記本体を封止する封口板を含むケースと、
前記ケースに収容され、電極タブを有する電極体と、
前記電極タブに接合される集電体とを備え、
前記電極タブは金属箔の積層構造を有し、
前記金属箔の積層方向に沿いつつ、前記集電体に向かうにしたがって前記積層方向に直交する方向の幅が狭い複数のバーリング加工部が前記電極タブに形成され、
前記複数のバーリング加工部の各々には、
加工形状により規定される頂点と、
前記集電体とは反対側の前記電極タブの表面に位置する外形線と、
前記頂点を通り前記積層方向に平行に延在する中心線と、
前記外形線の周方向において前記中心線と前記外形線との距離が最短距離となる前記外形線上の点と前記頂点とを結ぶ傾斜直線とが規定され、
前記複数のバーリング加工部の各々は、前記頂点と前記外形線上の点とを通りつつ前記積層方向に平行な縦断面において、前記中心線と前記傾斜直線との成す角度が15°以上30°以下であり、かつ、前記電極タブの総厚みの70%以上の深さで構成され、
前記電極タブは、
前記積層方向において前記複数のバーリング加工部の各々と並び、前記集電体に向かって膨らむ第1領域と、
前記積層方向に直交する方向において前記第1領域の周囲に位置し、前記積層方向に直交する方向において略平面を構成する第2領域とを有し、
前記第2領域において前記電極タブと前記集電体とを接合するレーザ溶接部が形成される、電池セル。
【請求項2】
前記複数のバーリング加工部の各々は、前記積層方向において前記電極タブを貫通している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記複数のバーリング加工部の各々は
、円錐形状を有している、請求項1または請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記複数のバーリング加工部の各々は
、正四角錐形状を有している、請求項1または請求項2に記載の電池セル。
【請求項5】
金属箔の積層構造を有する電極タブを含む電極体を作製する工程と、
前記電極タブ上に集電体を配置する工程と、
前記電極タブに前記金属箔の積層方向に沿いつつ前記集電体に向かうにしたがって前記積層方向に直交する方向の幅が狭くなるように、前記積層方向に直交する方向に互いに間隔をあけて複数箇所にバーリング加工を施す工程とを備え、
前記電極タブに前記バーリング加工を施す工程において、前記電極タブに形成される複数のバーリング加工部の各々には、
加工形状により規定される頂点と、
前記集電体とは反対側の前記電極タブの表面に位置する外形線と、
前記頂点を通り前記積層方向に平行に延在する中心線と、
前記外形線の周方向において前記中心線と前記外形線との距離が最短距離となる前記外形線上の点と前記頂点とを結ぶ傾斜直線とが規定され、
前記複数のバーリング加工部の各々は、前記頂点と前記外形線上の点とを通りつつ前記積層方向に平行な縦断面において、前記中心線と前記傾斜直線との成す角度が15°以上30°以下であり、かつ、前記電極タブの総厚みの70%以上の深さで構成され、
前記電極タブには、前記積層方向において前記複数のバーリング加工部の各々と並び、前記集電体に向かって膨らむ第1領域、および前記積層方向に直交する方向において前記第1領域の周囲に位置し、前記積層方向に直交する方向において略平面を構成する第2領域が形成され、
前記第2領域において前記電極タブと前記集電体とをレーザ溶接する工程と、
前記電極体および前記集電体をケース本体に収容する工程と、
前記電極体および前記集電体を収容した前記ケース本体を封口板により封止する工程とをさらに備える、電池セルの製造方法。
【請求項6】
前記バーリング加工は、前記積層方向において前記電極タブを貫通するまで施される、請求項5に記載の電池セルの製造方法。
【請求項7】
前記バーリング加工は
、円錐形状に施される、請求項5または請求項6に記載の電池セルの製造方法。
【請求項8】
前記バーリング加工は
、正四角錐形状に施される、請求項5または請求項6に記載の電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池セルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-207767号公報(特許文献1)には、電極体のタブ群と導電部材との溶接部において、タブの積層方向に貫通する孔を複数有する保護部材が用いられ、複数の孔を跨ぐようにレーザ照射装置を移動させることが開示されている。
【0003】
特許第6784232号公報(特許文献2)には、二次電池の電極タブを構成する積層金属箔を一対の金属板に溶接する構造において、一対の金属板に挟持された積層金属箔を、溶接予定箇所において局所的に積層方向に押圧してかしめることが開示されている。
【0004】
特開2013-166182号公報(特許文献3)には、積層した金属箔の溶接部位に、縦断面形状が略V字状のカッターによって、積層方向に沿って貫通する切り目を入れ、金属箔どうしを切り目端部で積層方向に密着させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-207767号公報
【文献】特許第6784232号公報
【文献】特開2013-166182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザ溶接部を形成して電極タブと集電体とを接合する場合、レーザ溶接部においてボイドまたはスパッタの溶接不良が発生する可能性がある。このため、電極タブと集電体とを接合するための良好なレーザ溶接部を形成することができる余地がある。
【0007】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、電極タブと集電体とを接合するための良好なレーザ溶接部を形成することができる、電池セルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に基づく電池セルは、ケースと、電極体と、集電体とを備える。ケースは、開口を有する本体および本体を封止する封口板を含む。電極体は、ケースに収容され、電極タブを有する。集電体は、電極タブに接合される。電極タブは金属箔の積層構造を有している。金属箔の積層方向に沿いつつ、集電体に向かうにしたがって積層方向に直交する方向の幅が狭い複数のバーリング加工部が電極タブに形成されている。複数のバーリング加工部の各々には、頂点と、外形線と、中心線と、傾斜直線とが規定される。頂点は、加工形状により規定される。外形線は、集電体とは反対側の電極タブの表面に位置する。中心線は、頂点を通り積層方向に平行に延在する。傾斜直線は、外形線の周方向において中心線と外形線との距離が最短距離となる外形線上の点と頂点とを結ぶ。複数のバーリング加工部の各々は、頂点と外形線上の点とを通りつつ積層方向に平行な縦断面において、中心線と傾斜直線との成す角度が15°以上30°以下であり、かつ、電極タブの総厚みの70%以上の深さで構成されている。電極タブは、第1領域と、第2領域とを有する。第1領域は、積層方向において複数のバーリング加工部の各々と並び、集電体に向かって膨らんでいる。第2領域は、積層方向に直交する方向において第1領域の周囲に位置し、積層方向に直交する方向において略平面を構成する。第2領域において電極タブと集電体とを接合するレーザ溶接部が形成される。
【0009】
本技術に基づく電池セルの製造方法は、金属箔の積層構造を有する電極タブを含む電極体を作製する工程と、電極タブ上に集電体を配置する工程と、電極タブに金属箔の積層方向に沿いつつ集電体に向かうにしたがって積層方向に直交する方向の幅が狭くなるように、積層方向に直交する方向に互いに間隔をあけて複数箇所にバーリング加工を施す工程とを備える。電極タブにバーリング加工を施す工程において、電極タブに形成される複数のバーリング加工部の各々には、頂点と、外形線と、中心線と、傾斜直線とが規定される。頂点は、加工形状により規定される。外形線は、集電体とは反対側の電極タブの表面に位置する。中心線は、頂点を通り積層方向に平行に延在する。傾斜直線は、外形線の周方向において中心線と外形線との距離が最短距離となる外形線上の点と頂点とを結ぶ。複数のバーリング加工部の各々は、頂点と外形線上の点とを通りつつ積層方向に平行な縦断面において、中心線と傾斜直線との成す角度が15°以上30°以下であり、かつ、電極タブの総厚みの70%以上の深さで構成される。電極タブには、積層方向において複数のバーリング加工部の各々と並び、集電体に向かって膨らむ第1領域、および積層方向に直交する方向において第1領域の周囲に位置し、積層方向に直交する方向において略平面を構成する第2領域が形成される。本技術に基づく電池セルの製造方法は、第2領域において電極タブと集電体とをレーザ溶接する工程と、電極体および集電体をケース本体に収容する工程と、電極体および集電体を収容したケース本体を封口板により封止する工程とをさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
本技術によれば、電池セルの電極タブと集電体との接合部において、バーリング加工部の加工形状における中心線と傾斜直線との成す角度が15°以上30°以下としてバーリング加工部が形成されることによって、バーリング加工の加工性を維持しつつ、電極タブの金属箔が密着した第2領域を形成することができる。金属箔が密着した第2領域においてレーザ溶接を行なうことによって、電極タブのボイドまたはスパッタの溶接不良を抑制することができる。その結果、電極タブと集電体とを接合するための良好なレーザ溶接部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
【
図2】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本技術の実施の形態1に係る電極体の構成を示す斜視図である。
【
図4】本技術の実施の形態1に係る電池セルの接合部を示す模式図である。
【
図5】
図4の接合部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】電極タブにおけるバーリング加工部の構成を示す断面図である。
【
図7】本技術の実施の形態1に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す断面図である。
【
図8】電極タブにおけるバーリング加工部の外形線周辺を示す模式図である。
【
図9】本技術の実施の形態1に係る電池セルの製造方法を示すフロー図である。
【
図10】電極体に集電体を配置する状態を示す斜視図である。
【
図11】電極タブにバーリング加工部が形成される状態を示す断面図である。
【
図12】電極タブにバーリング加工部が形成された後の状態を示す断面図である。
【
図13】電極タブにレーザが照射されている状態を示す斜視図である。
【
図14】ケース本体に電極体が挿入される状態を示す斜視図である。
【
図15】第1比較例に係る電池セルにおける電極タブと集電体との接合部を示す模式図である。
【
図16】第2比較例に係る電池セルにおける電極タブと集電体との接合部を示す模式図である。
【
図17】本技術の実施の形態2に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す断面図である。
【
図18】本技術の実施の形態3に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す上面図である。
【
図19】
図18のバーリング加工部をXIX-XIX線矢印方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0013】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0014】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0015】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0016】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0017】
本明細書において、「電池セル」は必ずしも角形のものに限定されず、円筒型など、他の形状のセルも含み得る。
【0018】
また、「電池セル」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池セル」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0019】
なお、図面においては、電池セルの正極端子および負極端子が並ぶ方向をX方向、複数の電池セルが積層される方向をY方向、電池セルの高さ方向をZ方向とする。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、電池セル100は、角形形状を有する。電池セル100は、電極端子110と、ケース120(外装缶)とを有する。すなわち、電池セル100は角形二次電池セルである。
【0021】
電極端子110は、ケース120上に形成されている。電極端子110は、X方向に沿って並ぶ正極端子111および負極端子112を有する。正極端子111および負極端子112は、X方向において、互いに離れて設けられている。
【0022】
ケース120は、直方体形状を有し、電池セル100の外観をなす。ケース120は、開口を有するケース本体120Aと、ケース本体120Aの開口を封止する封口板120Bとを含む。封口板120Bは、溶接によりケース本体120Aに接合される。
【0023】
ケース120は、上面121と、下面122と、第1側面123と、第2側面124と、2つの第3側面125とを有する。
【0024】
上面121は、Z方向に直交する平面である。上面121には、電極端子110が配置されている。下面122は、Z方向に沿って上面121に対向している。
【0025】
第1側面123および第2側面124の各々は、Y方向に直交する平面からなる。第1側面123および第2側面124の各々は、ケース120が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。第1側面123および第2側面124の各々は、Y方向から見て、X方向が長手方向となり、Z方向が短手方向となる矩形形状を有する。2つの第3側面125は、X方向に並んで互いに対向している。2つの第3側面125は、第1側面123および第2側面124をX方向の端部において接続している。
【0026】
複数の電池セル100を直列接続する場合、複数の電池セル100は、Y方向に隣り合う電池セル100,100の間において、第1側面123どうし、第2側面124どうしが向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル100が積層されるY方向において、正極端子111と負極端子112とが、交互に並ぶ。
【0027】
図2は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す分解斜視図である。
図2に示すように、電池セル100において、ケース120の内部には、電極体130と、集電体140と、電極体ホルダ150と、電解液(不図示)とが収容される。
【0028】
電極端子110は、樹脂製の絶縁部材(不図示)を介して封口板120Bに固定されている。電極体130には、封口板120B側に電極タブ131である正極タブ132および負極タブ133が形成されている。集電体140は、正極タブ132および負極タブ133に接合される。
【0029】
集電体140は、正極集電体141と、負極集電体142とを含む。正極集電体141は、正極端子111に接続されている。負極集電体142は、負極端子112に接続されている。
【0030】
電極端子110および電極体130は、集電体140を介して電気的に接続される。具体的には、正極タブ132は、接合部1Aにおいて正極集電体141と接合される。これにより、正極端子111および正極タブ132が正極集電体141を介して電気的に接続される。負極タブ133は、接合部1Bにおいて負極集電体142と接合される。これにより、負極端子112および負極タブ133が負極集電体142を介して電気的に接続される。
【0031】
電極体ホルダ150は、絶縁性を有するシートである。電極体ホルダ150は、電極体130の周囲を覆う。電極体ホルダ150は、ケース本体120Aと電極体130との間に位置してケース120および電極体130を絶縁しつつ、電極体130を保持する。
【0032】
図3は、本技術の実施の形態1に係る電極体の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、本実施の形態における電極体130は巻回型である。なお、本実施の形態においては、1つの電極体130がケース120に収容されているが、複数の電極体がケース120に収容される構成であってもよい。また、電極体130は、巻回型に限定されるものではなく、積層型(スタック型)であってもよい。
【0033】
電極体130は、正極、負極およびセパレータを含む。正極を構成する基材は、たとえばアルミニウム合金箔である。負極を構成する基材は、たとえば銅合金箔である。
【0034】
正極、負極およびセパレータは、いずれも帯状のシートである。正極と負極との間にセパレータが挟まれる。正極、負極およびセパレータの積層体が巻き回されることにより電極体130が形成される。電極体130は、巻回後に扁平状に成形されていてもよい。
【0035】
電極タブ131である正極タブ132は、正極、負極およびセパレータの積層体が巻き回され、正極の帯状シートのうちのZ方向の上方に延在した部分が積層するように配置されることにより形成される。これにより、正極タブ132は、金属箔の積層構造を有する。正極タブ132は、たとえば50層の金属箔が積層されることにより構成される。負極タブ133においても、正極タブ132と同様に負極の帯状シートの一部により形成される。
【0036】
なお、正極タブ132および負極タブ133は、Z方向において電極体130の封口板120B側に配置されているが、正極タブ132および負極タブ133の配置はこれに限定されない。正極タブおよび負極タブは、電極体のX方向の両側に分かれて形成されていてもよい。この場合、電極体の巻き回される軸はX方向に沿う。
【0037】
次に、電極タブ131と集電体140との接合部の構造について説明する。なお、以下の説明では正極タブ132と正極集電体141との接合部1Aについて述べるが、負極タブ133と負極集電体142との接合部1Bについても、接合部1Aと同様の構造を適用し得る。
【0038】
図4は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの接合部を示す模式図である。
図5は、
図4の接合部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【0039】
図4および
図5に示すように、接合部1Aには、複数のバーリング加工部10と、複数のバーリング加工部10の間に挟まれた領域に形成されたレーザ溶接部20とを含む。
【0040】
複数のバーリング加工部10は、正極タブ132と正極集電体141とを重ねた状態で正極タブ132に形成される。複数のバーリング加工部10は、正極タブ132を構成する金属箔の積層方向に沿って形成される。
【0041】
複数のバーリング加工部10は、正極集電体141に向かうにしたがって積層方向に直交する方向の幅が狭い。すなわち、複数のバーリング加工部10は、テーパ形状を有している。本実施の形態における複数のバーリング加工部10の各々は、積層方向から見て、円錐形状を有している。
【0042】
レーザ溶接部20は、正極タブ132と正極集電体141とを接合する。レーザ溶接部20は、
図4中横方向に沿って形成される。
図4におけるレーザ溶接部20の延在方向(図中横方向)は、X方向に平行であってもよいし、Y方向に平行であってもよいし、X方向およびY方向に対して斜めに交差する方向であってもよい。
【0043】
図6は、電極タブにおけるバーリング加工部の構成を示す断面図である。
図7は、本技術の実施の形態1に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す断面図である。
図8は、電極タブにおけるバーリング加工部の外形線周辺を示す模式図である。
【0044】
図6~
図8に示すように、複数のバーリング加工部10の各々には、頂点11と、外形線12と、中心線13と、外形線上の点14と、傾斜直線15とが規定される。なお、頂点11、外形線12および外形線上の点14は、実在する場合もあり得るし、仮想的に規定される場合もあり得る。また、中心線13および傾斜直線15は、仮想的に規定される。
【0045】
頂点11は、加工形状により規定される。本実施の形態においては、頂点11は、円錐形状に形成されたバーリング加工部10の先端部分である。バーリング加工部10が正極タブ132を貫通していないため、頂点11は正極タブ132のバーリング加工部10の先端部分に形成される。
【0046】
外形線12は、正極集電体141とは反対側の正極タブ132の表面134に位置する。
図4および
図6に示すように、バーリング加工部10を模式的に示した場合、外形線12は、正極タブ132の表面134におけるバーリング加工部10の加工痕の縁に相当する。
図7および
図8に示すように、本実施の形態のバーリング加工部10は、バーリング加工時に正極タブ132の金属箔がバーリング加工部10の先端部分に向かって変形するため、バーリング加工部10の円錐形状と表面134との境界が湾曲する。この場合、
図8に示すように、外形線12は、表面134に沿う平面直線16とバーリング加工部10の円錐形状の延長線17との交点を周方向に連続的に結ぶことによって仮想的に規定される。なお、本実施の形態においては、傾斜直線15および円錐形状の延長線17は、同一線上に位置する。
【0047】
図6および
図7に示すように、中心線13は、頂点11を通り金属箔の積層方向に平行に延在する。外形線上の点14は、外形線12の周方向において中心線13と外形線12との距離が最短距離となる点である。傾斜直線15は、外形線上の点14と頂点11とを結ぶことにより規定される。
【0048】
図6に示すように、複数のバーリング加工部10の各々は、積層方向における正極タブ132の総厚みの70%以上の深さDで構成されている。深さDは、積層方向における表面134から頂点11までの距離である。
【0049】
本実施の形態における複数のバーリング加工部10の各々は、正極タブ132が50層の金属箔で構成される総厚みの90%以上の深さDで構成されていることが望ましい。これにより、正極タブ132の金属箔同士を十分に密着させることができる。なお、バーリング加工は、正極タブ132を貫通するように形成されてもよい。
【0050】
バーリング加工時に発生するカエリ(バリ)により、金属箔どうしが密着状態になりやすく、金属箔の積層構造を1つに束ねることができる。この点、金属箔の積層構造を圧縮して金属箔を潰す圧縮加工では、正極集電体141および負極集電体142に近い金属箔を束ねることが難しく、金属箔どうしの間に隙間ができる可能性がある。金属箔どうしの隙間を確実に避けるためには、相当大きな圧縮荷重が必要とされる。これに対し、本実施の形態に係る電池セル100においては、圧縮加工に代えてバーリング加工(穴あけ加工)を採用しているため、圧縮加工と比較して相対的に小さな荷重で金属箔どうしの密着構造を得ることができる。
【0051】
さらに、バーリング加工により、金属箔の酸化皮膜を除去した上で1つに束ねることが可能である。金属箔を1つに束ねることにより、レーザ溶接時の熱歪(金属箔の伸び、たわみ)の影響を抑えることができる。仮溶接により金属箔を束ねる場合、金属箔に熱歪が生じるのに対し、バーリング加工において熱歪は生じない。
【0052】
複数のバーリング加工部10の各々は、頂点11と外形線上の点14とを通りつつ積層方向に平行な縦断面において、中心線13と傾斜直線15との成す角度A1が15°以上30°以下である。本実施の形態においては、角度A1は、たとえば20°である。
【0053】
角度A1は、正極タブ132の金属箔の密着状態、並びにバーリング加工の加工性および安定性により定まる。具体的には、角度A1が小さい程、後述するバーリングピンの先端が鋭利になって金属箔を貫通しやすくなるため、加工性は向上する。しかし、バーリングピンの先端が鋭利になる程、バーリングピンの先端は摩耗の影響を受けやすくなり、バーリング加工の加工性が不安定になる。このため、バーリング加工の加工性および安定性を両立するように、角度A1は15°を下限とする。
【0054】
一方、角度A1が大きい程、バーリングピンが金属箔に対して平坦に接触するため、バーリング加工による金属箔のカエリ(バリ)の発生が不安定になりやすい。このため、金属箔の密着状態が不安定になる。したがって、金属箔の密着状態が安定化するように、角度A1は30°を上限とする。
【0055】
角度A1の測定方法としては、たとえば接合部1Aを金属箔の積層方向の断面が見えるように切断し、金属顕微鏡などにより断面観察を行なうことによって測定することができる。
【0056】
図6および
図7に示すように、正極タブ132は、第1領域30と、第2領域31とを有する。第1領域30は、複数のバーリング加工部10の各々の加工によって形成される。第1領域30は、バーリング加工による撓みが金属箔に発生することによって、積層された金属箔同士の間に隙間を有する領域である。
【0057】
図7に示すように、本実施の形態においては、第1領域30は、積層方向において複数のバーリング加工部10の各々と並び、正極集電体141に向かって膨らんでいる。第1領域30は、高さH1を有して膨らんでいる。本実施の形態における第1領域30の高さH1は、たとえば0.03mmである。
【0058】
第2領域31は、積層方向に直交する方向において第1領域30の周囲に位置し、積層方向に直交する方向において略平面を構成している。第2領域31は、積層された金属箔同士の間に隙間がない、または隙間が極小化されることによって、金属箔同士が密着した領域である。第2領域31において正極タブ132と正極集電体141とを接合するレーザ溶接部20が形成される。
【0059】
レーザ溶接部20は、バーリング加工部10と重ならないことが好ましい。すなわち、バーリング加工部10にはレーザビームを照射しないことが好ましい。ただし、レーザの出力を調整(比較的小さく)することにより、バーリング加工部10にレーザ溶接部20が一部重なる場合でも、レーザ溶接部20を形成し得る。
【0060】
以下、本技術の実施の形態1に係る電池セルの製造方法について説明する。
図9は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの製造方法を示すフロー図である。
図10は、電極体に集電体を配置する状態を示す斜視図である。
図11は、電極タブにバーリング加工部が形成される状態を示す断面図である。
図12は、電極タブにバーリング加工部が形成された後の状態を示す断面図である。
図13は、電極タブにレーザが照射されている状態を示す斜視図である。
図14は、ケース本体に電極体が挿入される状態を示す斜視図である。なお、
図14においては、発明の理解を容易にするため、ケース120を透視して示す。なお、
図11および
図12においては、正極タブ132にバーリング加工を施す場合を示すが、負極タブ133についても同様の加工を適用し得る。
【0061】
本実施の形態に係る電池セル100の製造方法としては、まず、
図9および
図10に示すように、金属箔の積層構造を有する電極タブ131を含む電極体130を作製する(S10工程)。次に、電極タブ131上に集電体140を配置する(S21工程)。
【0062】
次に、
図9、
図11および
図12に示すように、電極タブ131に金属箔の積層方向に沿いつつ集電体140に向かうにしたがって積層方向に直交する方向の幅が狭くなるように、積層方向に直交する方向に互いに間隔をあけて複数箇所にバーリング加工を施す(S22工程)。バーリング加工は、バーリングピン2により、積層方向から見て、円錐形状に施される。バーリングピン2の先端が尖っているため、バーリングピン2は加工後に正極タブ132から引き抜きやすい。
【0063】
次に、
図6、
図9および
図13に示すように、第2領域31において電極タブ131と集電体140とをレーザ溶接する(S23工程)。なお、レーザ溶接部20を形成するレーザ21のレーザビーム径およびその照射回数は、適宜変更することができる。
【0064】
次に、
図9および
図14に示すように、電極体130および集電体140をケース本体120Aに収容する(S31工程)。最後に、電極体130および集電体140を収容したケース本体120Aを封口板120Bにより封止する(S32工程)。上述の製造工程によって、
図1に示す電池セル100が製造される。
【0065】
ここで、比較例に係る電池セルの電極タブと集電体との接合について説明する。
図15は、第1比較例に係る電池セルにおける電極タブと集電体との接合部を示す模式図である。
【0066】
図15に示すように、第1比較例に係る電池セルにおいては、電極タブ931は複数の押さえ治具40によって集電体940に向かって積層方向に押圧される。電極タブ931が複数の押さえ治具40によって押圧された状態でレーザ溶接部90が形成される。
【0067】
レーザ溶接部90が形成される際、電極タブ931は、複数の押さえ治具40の押圧によって、複数の押さえ治具40の直下において金属箔同士の隙間が小さくなる。一方、複数の押さえ治具40同士の間においては、複数の押さえ治具40の直下における電極タブ931の金属箔同士の隙間が小さくなった分の皺が伸びて、電極タブ931の間に隙間が生ずる。隙間があいた状態の電極タブ931にレーザ21が照射されると、空気などを巻き込みながら溶接されやすくなるため、スパッタ91またはボイド92が生ずる。このため、第1比較例における電極タブ931と集電体940との接合においては、接合不良が発生しやすい状態になっている。
【0068】
一方、本技術の実施の形態1に係る電池セル100における正極タブ132および正極集電体141の接合においては、バーリング加工により金属箔が密着した第2領域31においてレーザ溶接することができるため、接合不良が抑制される。
【0069】
図16は、第2比較例に係る電池セルにおける電極タブと集電体との接合部を示す模式図である。
【0070】
図16に示すように、第2比較例に係る電池セルにおいては、集電体940が押さえ治具40によって電極タブ931に向かって積層方向に押圧された状態でレーザ溶接部90が形成される。レーザ21は、集電体940側から照射される。この場合、集電体940および電極タブ931を貫通させてレーザ溶接するため、電極タブ931の全ての金属箔を貫通させるレーザ21の出力の設定を精密に行なう必要があり、レーザ溶接が不安定になりやすい。このため、溶接条件によって、電極タブ931が貫通して溶接されない、またはスパッタ91が発生する。
【0071】
一方、本実施の形態においては、レーザ溶接を電極タブ131側から施していることによって、電極タブ131と集電体140とを接合するために、集電体140を貫通してレーザ溶接する必要がない。これにより、レーザ21の出力の制御範囲を集電体140の積層方向の厚みの範囲内で設定することができるため、安定した溶接条件を設定することができる。また、集電体140を貫通させてレーザ溶接する必要がないためスパッタが抑制される。
【0072】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法においては、バーリング加工部10の加工形状における中心線13と傾斜直線15との成す角度A1が15°以上30°以下としてバーリング加工部10が形成されることによって、バーリング加工の加工性を維持しつつ、電極タブ131の金属箔が密着した第2領域31を形成することができる。金属箔が密着した第2領域31においてレーザ溶接を行なうことによって、電極タブ131のボイドまたはスパッタの溶接不良を抑制することができる。その結果、電極タブ131と集電体140とを接合するための良好なレーザ溶接部20を形成することができる。
【0073】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法においては、バーリング加工部10を円錐形状にすることによって、外形線12に外接する正方形状の外形線を有する正四角錐形状のバーリング加工部の場合と比較して、バーリング加工部10の加工範囲を小さくすることができるため、電極タブ131の金属箔の変形を少なくして電極タブ131に対するバーリング加工の影響を少なくすることができる。
【0074】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法においては、バーリング加工部10を形成することによって、レーザ溶接時に金属箔の積層方向から電極タブ131を押圧することなく、簡素な構成でレーザ溶接部20を形成することができる。
【0075】
(実施の形態2)
以下、本技術の実施の形態2に係る電池セルおよびその製造方法について説明する。本技術の実施の形態2に係る電池セルおよびその製造方法は、バーリング加工部の構成が本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0076】
図17は、本技術の実施の形態2に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す断面図である。
図17に示すように、本技術の実施の形態2に係る電極タブ131Cと集電体とは、接合部1Cにおいて接合される。接合部1Cにおけるバーリング加工部10Cは、電極タブ131Cの金属箔の積層方向から見て、円錐形状を有している。
【0077】
複数のバーリング加工部10Cの各々は、頂点11Cと外形線上の点14Cとを通りつつ積層方向に平行な縦断面において、中心線13Cと傾斜直線15Cとの成す角度A2が、たとえば30°である。
【0078】
第1領域30Cは、積層方向において複数のバーリング加工部10Cの各々と並び、集電体に向かって膨らんでいる。第1領域30Cは、高さH2を有して膨らんでいる。第1領域30Cの高さH2は、たとえば0.09mmである。第2領域31Cにおいて電極タブ131Cと集電体とを接合するレーザ溶接部が形成される。
【0079】
本技術の実施の形態2に係る電池セルおよびその製造方法においても、実施の形態1と同様に、バーリング加工部10Cの加工形状における中心線13Cと傾斜直線15Cとの成す角度A2が15°以上30°以下としてバーリング加工部10Cが形成されることによって、バーリング加工の加工性を維持しつつ、電極タブ131Cの金属箔が密着した第2領域31Cを形成することができる。金属箔が密着した第2領域31Cにおいてレーザ溶接を行なうことによって、電極タブ131Cのボイドまたはスパッタの溶接不良を抑制することができる。その結果、電極タブ131Cと集電体とを接合するための良好なレーザ溶接部を形成することができる。
【0080】
(実施の形態3)
以下、本技術の実施の形態3に係る電池セルおよびその製造方法について説明する。本技術の実施の形態3に係る電池セルおよびその製造方法は、バーリング加工部の構成が本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池セル100およびその製造方法と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0081】
図18は、本技術の実施の形態3に係る電極タブにおけるバーリング加工部周辺を示す上面図である。
図19は、
図18のバーリング加工部をXIX-XIX線矢印方向から見た断面図である。
【0082】
図18および
図19に示すように、本技術の実施の形態3に係る電極タブ131Dと集電体とは、接合部1Dにおいて接合される。接合部1Dにおける複数のバーリング加工部10Dの各々は、積層方向から見て、正四角錐形状を有している。また、複数のバーリング加工部10Dの各々は、積層方向において電極タブ131Dを貫通している。
【0083】
バーリング加工部10Dの頂点11Dは、加工形状により仮想的に規定される。具体的には、バーリング加工部10Dの錐台部分から集電体側に仮想線を引き、仮想線の交点を頂点11Dと規定する。外形線12Dは、集電体とは反対側の電極タブ131Dの表面134Dに位置する。この場合に、頂点11Dおよび外形線上の点14Dを通る傾斜直線15Dと中心線13Dとの成す角度A3が規定される。
【0084】
複数のバーリング加工部10Dの各々は、頂点11Dと外形線上の点14Dとを通りつつ積層方向に平行な縦断面において、中心線13Dと傾斜直線15Dとの成す角度A3が、15°以上30°以下である。本実施の形態に係る角度A3は、たとえば30°である。外形線12Dの内接円で構成される円錐形状のバーリング加工部と比較した場合、バーリング加工部10Dは電極タブの加工体積が大きく、金属箔が密着した状態をより小さい角度で得やすいため、角度A3は、25°以下であることがより望ましい。
【0085】
第1領域30Dは、積層方向において複数のバーリング加工部10Dの各々と並び、集電体に向かって膨らんでいる。第1領域30Dは、高さH3を有して膨らんでいる。第1領域30Dの高さH3は、たとえば0.10mmである。第2領域31Dにおいて電極タブ131Dと集電体とを接合するレーザ溶接部が形成される。
【0086】
本技術の実施の形態3に係る電池セルおよびその製造方法においても、実施の形態1と同様に、バーリング加工部10Dの加工形状における中心線13Dと傾斜直線15Dとの成す角度A3が15°以上30°以下としてバーリング加工部10Dが形成されることによって、バーリング加工の加工性を維持しつつ、電極タブ131Dの金属箔が密着した第2領域31Dを形成することができる。金属箔が密着した第2領域31Dにおいてレーザ溶接を行なうことによって、電極タブ131Dのボイドまたはスパッタの溶接不良を抑制することができる。その結果、電極タブ131Dと集電体とを接合するための良好なレーザ溶接部を形成することができる。
【0087】
本技術の実施の形態3に係る電池セルおよびその製造方法においては、電極タブ131Dを貫通するようにバーリング加工部10Dを設けることによって、電極タブ131Dの金属箔同士を密着させやすくすることができる。これにより、溶接不良を減らして良好なレーザ溶接部を形成することができる。
【0088】
本技術の実施の形態3に係る電池セルおよびその製造方法においては、バーリング加工部10Dを正四角錐形状にすることによって、バーリング加工部10Dにおける外形線12Dの内接円で構成される円錐形状のバーリング加工部の場合と比較して、バーリング加工部10Dの加工範囲を広くすることができるため、電極タブ131Dにおける金属箔の密着した範囲を広くすることができる。
【0089】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B,1C,1D 接合部、2 バーリングピン、10,10C,10D バーリング加工部、11,11C,11D 頂点、12,12D 外形線、13,13C,13D 中心線、14,14C,14D 外形線上の点、15,15C,15D 傾斜直線、16 平面直線、17 延長線、20,90 レーザ溶接部、21 レーザ、30,30C,30D 第1領域、31,31C,31D 第2領域、40 押さえ治具、91 スパッタ、92 ボイド、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 ケース、120A ケース本体(本体)、120B 封口板、121 上面、122 下面、123 第1側面、124 第2側面、125 第3側面、130 電極体、131,131C,131D,931 電極タブ、132 正極タブ、133 負極タブ、134,134D 表面、140,940 集電体、141 正極集電体、142 負極集電体、150 電極体ホルダ。