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特許7542042車載装置、接続先通知方法および接続先通知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車載装置、接続先通知方法および接続先通知プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022161477
(22)【出願日】2022-10-06
(65)【公開番号】P2024054974
(43)【公開日】2024-04-18
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】芦邉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大津 智弘
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】石塚 秀
(72)【発明者】
【氏名】黒谷 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和也
(72)【発明者】
【氏名】板津 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 大悟
(72)【発明者】
【氏名】安藤 博哉
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027388(JP,A)
【文献】特開2018-074243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置であって、
前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、
前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、
前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、
前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う通知部を備える、車載装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記接続先とすべき前記通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードと、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードとが異なる場合、前記接続先とすべき前記通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知する、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に第1の前記スリープモードが適用されている状態において、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に前記第1のスリープモードよりも前記通信回路の消費電力の大きい第2の前記スリープモードが適用される場合、前記接続先とすべき前記通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知する、請求項2または請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載装置は、さらに、
前記新規機能部が前記対象通信ポートに接続された場合、前記新規機能部の機能部情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記新規機能部の前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用する前記スリープモードの種類を複数の種類の前記スリープモードの中から選択するスリープ制御部とを備え、
前記通知部は、前記スリープ制御部によって選択された前記スリープモードの種類と、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類とに基づいて、前記通知処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記新規機能部が前記対象通信ポート以外の前記通信ポートに接続された場合に所定の種類の前記スリープモードが適用される前記通信回路の個数と、前記新規機能部が前記対象通信ポートに接続された場合に前記所定の種類のスリープモードが適用される前記通信回路の個数とに基づいて、前記通知処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項7】
車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置における接続先通知方法であって、
前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、
前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、
前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、
前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行うステップを含む、接続先通知方法。
【請求項8】
車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置において用いられる接続先通知プログラムであって、
前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、
前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、
前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、
コンピュータを、
前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う通知部、
として機能させるための、接続先通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、接続先通知方法および接続先通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載中継装置において、通信ポートに対応して設けられる通信回路をスリープ制御することにより、消費電力の低減を図る技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2018-074243号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、中継装置(11)は、フレームが送受信される複数のポート(P1~P5)と、前記複数のポートの何れかを介して受信したフレームである受信フレームの宛先に基づき、前記複数のポートの何れかを前記受信フレームの中継先として選択し、選択された前記ポートから、前記受信フレームを送信する中継処理を実行する中継実行部を有し、前記中継実行部が前記中継処理を実行可能な状態である第一起動状態と前記中継実行部が前記中継処理を実行不可能な状態である第一休止状態とで切り替え可能なスイッチ部(31)と、前記ポートから入力される通信信号を受信データに変換して前記スイッチ部に出力する受信機能と前記スイッチ部から送信されたデータを通信線上で伝送される通信信号に変換して前記ポートへ出力する送信機能とを実行する通信実行部を有し、前記通信実行部が前記受信機能と前記送信機能とを実行可能な状態である第二起動状態と前記通信実行部が前記受信機能と前記送信機能とを実行不可能な状態である第二休止状態とで切り替え可能なPHY部であって、前記複数のポートのそれぞれに対応して設定される複数のPHY部(Y1~Y5)と、前記スイッチ部が前記第一休止状態にあり且つ前記複数のPHY部のそれぞれが前記第二休止状態にある場合に、前記フレームが検出された前記ポートに対応する前記PHY部を前記第二休止状態から前記第二起動状態へ移行させる第一制御部(37)と、前記スイッチ部が前記第一休止状態にあり且つ前記複数のPHY部のそれぞれが前記第二休止状態にある場合に、前記複数のPHY部の何れかが前記第二休止状態から前記第二起動状態に移行すると、前記スイッチ部を前記第一休止状態から前記第一起動状態に移行させる第二制御部(38)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-074243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載中継装置の通信ポートに、ユーザのニーズに応じてECU(Electronic Control Unit)等の車載機能部を新たに接続する場合がある。ここで、中継装置は、たとえば、新規の車載機能部に搭載されたアプリケーションが起動するまでの許容時間が短い場合、当該新規の車載機能部に対応する通信回路に適用するスリープモードの種類として、電力供給ラインの遮断を伴わず、ウェイクアップモードへの遷移時間が短いスリープモードを適用することが一例として考えられる。このスリープモードで動作する通信回路の消費電力は、電力供給ラインの遮断を伴うスリープモードで通信回路が動作する場合と比べて大きくなる。
【0005】
また、車載中継装置は、たとえばハードウェアの制約により、各通信回路においてスリープモードの種類を統一する必要がある複数の通信回路を備える場合がある。この場合、中継装置は、当該複数の通信回路にそれぞれ対応する複数の通信ポートのうちの一部に上記許容時間の短い新規の車載機能部が接続されると、当該複数の通信回路に消費電力が大きいスリープモードを共通して適用する必要が生じるため、車載中継装置における省電力効果が低下する。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載中継装置における省電力機能を向上させることが可能な車載装置、接続先通知方法および接続先通知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車載装置は、車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置であって、前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う通知部を備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車載装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車載中継装置における省電力機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスリープ処理のシーケンスの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存する通信回路テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各アプリケーションのウェイクアップ許容時間の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置による更新処理後の通信回路テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存する条件テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が作成する予想テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置における通知処理の動作手順を定めたフローチャートである。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置におけるスリープ制御の動作手順を定めたフローチャートである。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスリープ制御のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置であって、前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う通知部を備える。
【0012】
このように、新たな構成の車載ネットワークにおいて、スリープモードの適用に制約のある複数の対象通信回路に新たに適用されるスリープモードの種類の組み合わせを考慮して、新規機能部の接続先とすべき通信ポートを通知する構成により、ユーザにおいて、新規機能部の接続先が、車載中継装置における消費電力の低減のために適切であるか否かを容易に確認することができる。たとえば、通知された接続先が対象通信ポートではない場合、ユーザにおいて、新規機能部の接続先を変更することができる。したがって、車載中継装置における省電力機能を向上させることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記通知部は、前記接続先とすべき通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知してもよい。
【0014】
このような構成により、新規機能部の接続先が車載中継装置における消費電力の低減のために適切でない場合に接続先の変更を促すことができる。
【0015】
(3)上記(2)において、前記通知部は、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードと、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードとが異なる場合、前記接続先とすべき前記通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知してもよい。
【0016】
このような構成により、複数の対象通信回路に新たに適用されるスリープモードの種類が統一されていない場合に、複数の対象通信回路への消費電力の小さいスリープモードの適用を維持したり、新規機能部を対象通信ポート以外の通信ポートに接続し、当該通信ポートに対応する通信回路に消費電力の小さいスリープモードを適用したりすることができる。
【0017】
(4)上記(2)または(3)において、前記通知部は、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に第1の前記スリープモードが適用されている状態において、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に前記第1のスリープモードよりも前記通信回路の消費電力の大きい第2の前記スリープモードが適用される場合、前記接続先とすべき前記通信ポートとして、前記対象通信ポート以外の前記通信ポートを通知してもよい。
【0018】
このような構成により、新規機能部が対象通信ポートに接続された場合、消費電力の大きいスリープモードが複数の対象通信回路に適用されることを回避することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記車載装置は、さらに、前記新規機能部が前記対象通信ポートに接続された場合、前記新規機能部の機能部情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記新規機能部の前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用する前記スリープモードの種類を複数の種類の前記スリープモードの中から選択するスリープ制御部とを備えてもよく、前記通知部は、前記スリープ制御部によって選択された前記スリープモードの種類と、前記既存機能部が接続された前記対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類とに基づいて、前記通知処理を行ってもよい。
【0020】
このような構成により、新規機能部が対象通信ポートに接続された場合に複数の対象通信回路に新たに適用するスリープモードの種類として、新規機能部の機能部情報に応じた適切なスリープモードを選択することができる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記通知部は、前記新規機能部が前記対象通信ポート以外の前記通信ポートに接続された場合に所定の種類の前記スリープモードが適用される前記通信回路の個数と、前記新規機能部が前記対象通信ポートに接続された場合に前記所定の種類のスリープモードが適用される前記通信回路の個数とに基づいて、前記通知処理を行ってもよい。
【0022】
このような構成により、たとえば、新規機能部の接続先として、消費電力の小さいスリープモードが適用される通信回路の個数が多くなる方の接続先をユーザに選択させることができる。
【0023】
(7)本開示の実施の形態に係る接続先通知方法は、車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置における接続先通知方法であって、前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行うステップを含む。
【0024】
このように、新たな構成の車載ネットワークにおいて、スリープモードの適用に制約のある複数の対象通信回路に新たに適用されるスリープモードの種類の組み合わせを考慮して、新規機能部の接続先とすべき通信ポートを通知する構成により、ユーザにおいて、新規機能部の接続先が、車載中継装置における消費電力の低減のために適切であるか否かを容易に確認することができる。たとえば、通知された接続先が対象通信ポートではない場合、ユーザにおいて、新規機能部の接続先を変更することができる。したがって、車載中継装置における省電力機能を向上させることができる。
【0025】
(8)本開示の実施の形態に係る接続先通知プログラムは、車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置において用いられる接続先通知プログラムであって、前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、コンピュータを、前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う通知部、として機能させるためのプログラムである。
【0026】
このように、新たな構成の車載ネットワークにおいて、スリープモードの適用に制約のある複数の対象通信回路に新たに適用されるスリープモードの種類の組み合わせを考慮して、新規機能部の接続先とすべき通信ポートを通知する構成により、ユーザにおいて、新規機能部の接続先が、車載中継装置における消費電力の低減のために適切であるか否かを容易に確認することができる。たとえば、通知された接続先が対象通信ポートではない場合、ユーザにおいて、新規機能部の接続先を変更することができる。したがって、車載中継装置における省電力機能を向上させることができる。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[車載通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。図1を参照して、車載通信システム301は、車載中継装置101と、複数の車載ECU201とを備える。車載通信システム301は、車両501に搭載される。車載ECU201は、車両501に搭載される車載機能部の一例である。車載中継装置101は、本開示の実施の形態に係る車載装置の一例である。
【0029】
車載ECU201は、たとえば、自動運転ECU、エンジンECU、ドアロック用ECU、およびTCU(Telematics Communication Unit)等である。なお、車載機能部は、車載ECU201に限らず、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等であってもよい。
【0030】
図1に示す例では、車載通信システム301は、複数の車載ECU201として、車載ECU201A,201Bを備える。
【0031】
なお、車載通信システム301は、2つの車載ECU201を備える構成に限らず、3つ以上の車載ECU201を備える構成であってもよい。
【0032】
車載中継装置101および複数の車載ECU201は、車載ネットワーク401を構成する。
【0033】
以下、車載ネットワーク401に新たに追加される車載機能部を新規機能部とも称する。また、新規機能部を含む車載ネットワーク401を新規ネットワークとも称し、新規機能部が追加される前の車載ネットワーク401を既存ネットワークとも称する。また、既存ネットワークに含まれる車載機能部を既存機能部とも称する。
【0034】
図1に示す例では、車載ECU201Bは新規機能部の一例であり、車載ECU201Aは既存機能部の一例である。また、図1において、破線の両端矢印は、車載ECU201Bと車載中継装置101とが接続されていない状態であることを示す。
【0035】
車載ECU201A,201Bには、アプリケーション202が搭載されている。より詳細には、アプリケーション202として、車載ECU201Aにはアプリケーション202Aが搭載され、車載ECU201Bにはアプリケーション202A,202Bが搭載されている。
【0036】
車載ネットワーク401において、車載ECU201は、たとえばイーサネット(登録商標)ケーブル11を介して車載中継装置101に接続される。各車載ECU201は、イーサネットケーブル11および車載中継装置101を介して他の車載ECU201に接続される。
【0037】
車載中継装置101は、複数の車載ECU201を含む車載ネットワーク401に用いられる。車載中継装置101は、たとえばスイッチ装置であり、自己に接続される複数の車載ECU201間のデータを中継する中継処理を行う。
【0038】
より詳細には、車載中継装置101は、たとえばイーサネットの通信規格に従って、イーサネットケーブル11を介して接続された車載ECU201間でやり取りされるイーサネットフレーム(以下、単に「フレーム」とも称する。)の中継処理を行う。
【0039】
なお、車載通信システム301では、イーサネットの通信規格に従ってフレームの中継処理が行われる構成に限らず、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の通信規格に従ってフレームの中継が行われる構成であってもよい。
【0040】
[車載中継装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置の構成の一例を示す図である。図1および図2を参照して、車載中継装置101は、複数の通信ポート51を含む通信ポート群P1と、複数の通信回路52を含む通信回路群P2と、スイッチIC(Integrated Circuit)53と、処理部54と、記憶部55とを備える。
【0041】
処理部54は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部55は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。処理部54は、判断部71と、スリープ制御部72と、検知部73と、取得部74と、通知部75とを含む。
【0042】
複数の通信ポート51は、複数の車載ECU201をそれぞれ接続可能である。通信ポート51は、たとえば、イーサネットケーブル11を接続可能な端子である。
【0043】
より詳細には、車載中継装置101は、複数の通信ポート51として、3つの通信ポート51A,51B,51Cを備える。既存ネットワークにおいて、通信ポート51Aには、車載ECU201Aがイーサネットケーブル11を介して接続されている。
【0044】
複数の通信回路52は、複数の通信ポート51にそれぞれ対応して設けられる。より詳細には、車載中継装置101は、複数の通信回路52として、3つの通信回路52A,52B,52Cを備える。通信回路52A,52B,52Cは、通信ポート51A,51B,51Cにそれぞれ対応して設けられる。
【0045】
通信回路52は、対応する通信ポート51を介して車載ECU201と通信可能である。より詳細には、通信回路52Aは、通信ポート51Aを介して車載ECU201と通信可能であり、通信回路52Bは、通信ポート51Bを介して車載ECU201と通信可能であり、通信回路52Cは、通信ポート51Cを介して車載ECU201と通信可能である。
【0046】
図2に示す例では、車載中継装置101は、スイッチIC53を備える。スイッチIC53は、通信回路52A,52Bと、スイッチ部61とを含む。
【0047】
このように、通信回路52A,52Bは、スイッチIC53の内部に設けられている。すなわち、通信回路52A,52Bは、スイッチIC53に内蔵されている。一方、通信回路52Cは、スイッチIC53の外部に設けられている。すなわち、通信回路52Cは、スイッチIC53に外付けされている。
【0048】
なお、スイッチIC53に内蔵される通信回路52は、2つの通信回路52A,52Bである構成に限らず、3つ以上の通信回路52がスイッチIC53に内蔵されてもよい。また、スイッチIC53に外付けされる通信回路52は、1つの通信回路52Cである構成に限らず、複数の通信回路52がスイッチIC53に外付けされてもよい。
【0049】
スイッチIC53は、たとえばL2スイッチとして動作する。スイッチIC53におけるスイッチ部61は、車載ECU201間で送受信されるフレームを中継する。
【0050】
より詳細には、通信回路52は、対応する通信ポート51に接続された車載ECU201から他の車載ECU201を宛先とするフレームを受信すると、受信したフレームをスイッチ部61へ出力する。
【0051】
記憶部55には、宛先MAC(Media Access Control)アドレスと通信ポート51との対応関係を示すアドレステーブルが保存されている。
【0052】
スイッチ部61は、通信回路52から車載ECU201を宛先とするフレームを受けると、記憶部55におけるアドレステーブルを参照し、当該フレームに含まれる宛先MACアドレスに対応する通信ポート51を特定する。そして、スイッチ部61は、通信回路52から受けたフレームを、特定した通信ポート51に対応する通信回路52および当該通信ポート51経由で宛先の車載ECU201へ送信する。
【0053】
通信回路52は、対応する通信ポート51を介して接続された車載ECU201から、車載中継装置101を宛先とするフレームを受信すると、受信したフレームをスイッチ部61へ出力する。スイッチ部61は、通信回路52から受けたフレームを処理部54へ出力する。
【0054】
処理部54は、車載ECU201を宛先とするフレームを作成し、作成したフレームをスイッチ部61へ出力する。スイッチ部61は、処理部54からフレームを受けると、記憶部55に保存されているアドレステーブルを参照し、当該フレームに含まれる宛先MACアドレスに対応する通信ポート51を特定する。そして、スイッチ部61は、処理部54から受けたフレームを、特定した通信ポート51に対応する通信回路52および当該通信ポート51経由で宛先の車載ECU201へ送信する。
【0055】
スイッチ部61は、たとえば、複数の通信回路52にそれぞれ接続される図示しない複数の端子を含む。各端子には、固有のポート番号が割り当てられている。
【0056】
(スリープモードおよびウェイクアップモード)
車載中継装置101および車載ECU201は、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し、また、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する。車載中継装置101および車載ECU201は、ウェイクアップモードにおいて、車載通信システム301における他の装置と通信を行い、スリープモードにおいて、車載通信システム301における他の装置との通信を停止する。ここで、スリープモードとは、装置の一部の機能の停止、装置への電力供給の停止、または装置におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップモードよりも消費電力が小さいモードである。
【0057】
たとえば、車載中継装置101および車載ECU201の各々において、スリープモードへ遷移するための条件であるスリープ条件と、ウェイクアップモードへ遷移するための条件であるウェイクアップ条件とが予め設定されている。
【0058】
たとえば、スリープ条件は、車両501がイグニッションオフになること、および車両501が駐停車すること等である。また、たとえば、ウェイクアップ条件は、車両501がイグニッションオンになること、および車両501が走行を開始すること等である。
【0059】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスリープ処理のシーケンスの一例を示す図である。図3に示す「装置A」および「装置B」は、車載中継装置101または車載ECU201である。
【0060】
図3を参照して、まず、装置Aおよび装置Bは、ウェイクアップモードにおいて(ステップS11およびS12)、たとえば、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)(登録商標)に従うNM(Network Management)メッセージが格納されたフレームを車載通信システム301における各装置へ送信する。具体的には、装置Aおよび装置Bは、死活監視のために、NMメッセージが格納されたフレームを各装置へブロードキャストする(ステップS13およびS14)。
【0061】
次に、装置Aは、ウェイクアップモードにおいて自己のスリープ条件が成立した場合(ステップS15)、NMメッセージの送信を停止する(ステップS16)。
【0062】
また、装置Bは、ウェイクアップモードにおいて自己のスリープ条件が成立した場合(ステップS17)、NMメッセージの送信を停止する(ステップS18)。
【0063】
次に、装置Aおよび装置Bは、NMメッセージの送信を停止してから所定時間が経過するまでの間に車載通信システム301における他の装置からNMメッセージを受信しなかった場合、スリープモードへ遷移する(ステップS19)。
【0064】
このように、NMメッセージを用いて装置Aおよび装置Bの状態をウェイクアップモードからスリープモードへ切り替えることにより、装置Aおよび装置Bの消費電力を低減することができる。
【0065】
なお、装置Aおよび装置Bは、スリープモードにおいて(ステップS19)、自己のウェイクアップ条件が成立した場合、ウェイクアップモードへ遷移し、NMメッセージの定期的な送信を開始する。また、装置Aおよび装置Bは、スリープモードにおいて(ステップS19)、車載通信システム301における他の装置からウェイクアップ要求を受信した場合、ウェイクアップモードへ遷移する。
【0066】
(判断部)
再び図2を参照して、車載中継装置101における判断部71は、通信回路52のスリープ条件の成否、および通信回路52のウェイクアップ条件の成否を判断する。
【0067】
より詳細には、判断部71は、車両501の状態を監視し、監視結果に基づいて、通信回路52のスリープ条件の成否、および通信回路52のウェイクアップ条件の成否を判断する判断処理を行う。判断部71は、たとえば定期的に判断処理を行い、判断結果をスリープ制御部72に通知する。
【0068】
(スリープ制御部)
スリープ制御部72は、通信回路52をスリープモードへ遷移させる。また、スリープ制御部72は、通信回路52をウェイクアップモードへ遷移させる。
【0069】
より詳細には、スリープ制御部72は、通信回路52の動作モードがウェイクアップモードであり、かつ判断部71からスリープ条件が成立した旨の通知を受けた場合、通信回路52をスリープモードへ遷移させる。すなわち、通信回路52は、スリープ条件が成立した場合にスリープモードで動作する。
【0070】
スリープ制御部72は、通信回路52の動作モードがスリープモードであり、かつ判断部71からウェイクアップ条件が成立した旨の通知を受けた場合、通信回路52をウェイクアップモードへ遷移させる。
【0071】
また、スリープ制御部72は、車載ECU201からウェイクアップ要求を通信ポート51、通信回路52およびスイッチ部61経由で受信した場合、ウェイクアップ要求を受信した通信ポート51に対応する通信回路52をスリープモードからウェイクアップモードへ遷移させる。以下、車載ECU201が車載中継装置101へ送信するウェイクアップ要求を、「ウェイクアップ要求W1」とも称する。
【0072】
そして、車載中継装置101および車載ECU201は、各種情報を含むフレームをやり取りすることにより、互いの通信接続を確立する。
【0073】
また、スリープ制御部72は、車載ECU201をウェイクアップモードへ遷移させる制御を行う。より詳細には、たとえば、スリープ制御部72は、スリープモードで動作する車載ECU201がウェイクアップ対象の車載ECU201である場合、ウェイクアップ要求をスイッチIC53および通信ポート51経由で当該車載ECU201へ送信する。以下、車載中継装置101が車載ECU201へ送信するウェイクアップ要求を、「ウェイクアップ要求W2」とも称する。
【0074】
車載ECU201は、車載中継装置101からウェイクアップ要求W2を受信すると、ウェイクアップモードへ遷移する。
【0075】
車載ECU201に搭載されているすべてのアプリケーション202は、当該車載ECU201の動作モードがスリープモードである場合、動作を停止している。車載ECU201は、車載通信システム301における他の装置からアプリケーション202の起動要求を受信した場合、自己に搭載されているアプリケーション202のうち、起動要求において指定されているアプリケーション202を起動させる。
【0076】
(ディープスリープモードおよびライトスリープモード)
スリープ制御部72は、通信回路52をディープスリープモードまたはライトスリープモードに遷移させる。
【0077】
より詳細には、車載中継装置101は、通信回路52に電力を供給可能な図示しない複数の電力供給ラインを含む。たとえば、車載中継装置101は、電圧が12Vである電力供給ラインと、電圧が3Vである電力供給ラインとを含む。
【0078】
たとえば、通信回路52の動作モードがライトスリープモードである場合、複数の電力供給ラインのすべてが通信回路52に接続されており、通信回路52の動作モードがディープスリープモードである場合、複数の電力供給ラインのうちのいずれか1つの電力供給ラインは通信回路52と遮断されている。すなわち、ディープスリープモードにおける通信回路52の消費電力は、ライトスリープモードにおける通信回路52の消費電力よりも小さい。
【0079】
また、たとえば、通信回路52は、自己の動作モードがライトスリープモードである場合、対応する通信ポート51を介して接続された車載ECU201とのデータの送受信を停止する。あるいは、処理部54は、通信回路52の動作モードがライトスリープモードである場合、通信回路52の図示しないレジスタの値をリードする等の一部の処理を行うことは可能である一方で、通信回路52との間で他の処理を行うことはできない。
【0080】
ここで、記憶部55は、複数の通信回路52にそれぞれ適用するスリープモードを示すスリープモード対応情報を記憶する。より詳細には、記憶部55は、スリープモード対応情報を含む通信回路テーブルTb11を記憶する。
【0081】
スリープ制御部72は、通信回路52の動作モードがウェイクアップモードであり、かつ判断部71からスリープ条件が成立した旨の通知を受けた場合、記憶部55における通信回路テーブルTb11を参照し、通信回路52に適用するスリープモードを決定する。そして、スリープ制御部72は、決定したスリープモードへ通信回路52を遷移させる。
【0082】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存する通信回路テーブルの一例を示す図である。図4は、既存ネットワークにおける車載中継装置101の記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11の一例を示している。
【0083】
図4に示す例では、通信回路テーブルTb11において、スイッチIC53に内蔵される通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類として、「ディープスリープモード」が登録されている。また、車載ECU201が接続されていない通信ポート51Cに対応する通信回路52Cに適用するスリープモードの種類として、「ディープスリープモード」が初期値として登録されている。
【0084】
スリープ制御部72は、たとえば、車載中継装置101のハードウェア等の仕様の制約によって、スイッチIC53に内蔵される通信回路52A,52Bを個別にスリープ制御することができない。すなわち、通信回路52A,52Bにおいてスリープモードの種類を統一する必要がある。そのため、スリープ制御部72は、車載ECU201Aが接続された通信ポート51Aに対応する通信回路52Aに適用するスリープモードの種類を選択した場合、選択したスリープモードと同じ種類のスリープモードを通信回路52Bに適用する。
【0085】
以下、スリープモードの種類を統一する必要がある通信回路52A,52Bを「対象通信回路」とも称する。また、通信回路52A,52Bにそれぞれ対応する通信ポート51A,51Bを「対象通信ポート」とも称する。なお、図4に示す「車載ECUのID」および「機能部情報」については、後述する。
【0086】
(検知部)
検知部73は、車載ネットワーク401への新規機能部の追加を検知する。ここでは、検知部73は、ユーザにより通信ポート51Bに接続された車載ECU201Bを検知する。
【0087】
より詳細には、たとえば、車載ECU201Bは、通信ポート51Bに接続されると、車載ネットワーク401における通信接続を要求するための接続要求情報を車載中継装置101へ送信する。
【0088】
検知部73は、車載ECU201Bから接続要求情報をスイッチIC53経由で受信すると、当該接続要求情報に含まれるIDおよび認証用パスワードを用いて、当該車載ECU201Bの認証処理を行う。
【0089】
検知部73は、車載ECU201Bの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報を含むフレームをスイッチIC53経由で車載ECU201Bへ送信する。
【0090】
検知部73は、上記のように新規機能部の認証に成功すると、たとえば新規機能部のIDおよび新規機能部に対応するポート番号等を含む検知情報を取得部74へ出力する。
【0091】
車載中継装置101および新規機能部は、検知部73による車載ECU201Bの認証処理が成功すると、たとえば定期的にNMメッセージの送受信を行う。
【0092】
なお、検知部73は、たとえば定期的に、新規機能部を検知するための探索メッセージをスイッチIC53経由でブロードキャストする構成であってもよい。この場合、新規機能部は、当該探索メッセージを受信し、受信した探索メッセージに対する応答として接続要求情報を送信する。
【0093】
[課題の説明]
ディープスリープモードは、電力供給ラインの遮断を伴うことから、ライトスリープモードと比べてウェイクアップモードへ遷移するまでに要する時間が長い。
【0094】
車載通信システム301では、各アプリケーション202が起動するまでの許容時間(以下、「ウェイクアップ許容時間」とも称する。)が設定されている。
【0095】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各アプリケーションのウェイクアップ許容時間の一例を示す図である。
【0096】
図5に示す例では、アプリケーション202Aのウェイクアップ許容時間は「100ms」であり、アプリケーション202Bのウェイクアップ許容時間は「10ms」である。すなわち、図5に示す例では、アプリケーション202Aのウェイクアップ許容時間は、アプリケーション202Bのウェイクアップ許容時間よりも長い。
【0097】
ウェイクアップ許容時間の長いアプリケーション202Aが搭載された車載ECU201Aは、通信回路52Aと通信する。そのため、図4に示す例では、スリープ制御部72は、「通信回路52A」に適用するスリープの種類モードとして、「ディープスリープモード」を選択している。
【0098】
上述したように、スイッチIC53に内蔵される通信回路52A,52Bにおいてスリープモードの種類を統一する必要がある。そのため、図4に示す例では、車載ECU201が接続されていない通信ポート51Bに対応する通信回路52Bに適用するスリープモードの種類として、通信回路52Aに適用するスリープモードの種類と同じ「ディープスリープモード」が登録されている。
【0099】
車載ECU201Bには、アプリケーション202Aに加えて、アプリケーション202Aよりもウェイクアップ許容時間の短いアプリケーション202Bが搭載されている。そのため、ディープスリープモードで動作する通信回路52Bがウェイクアップモードへ遷移するまでに要する時間が、アプリケーション202Aのウェイクアップ許容時間を超えない場合でも、アプリケーション202Bのウェイクアップ許容時間を超える場合、新規ネットワークにおける動作が不安定になる。
【0100】
そのため、上述のような場合、車載中継装置101において、通信回路52Bに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードからライトスリープモードに変更する必要がある。そして、車載中継装置101において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類を統一するために、通信回路52Aに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードからライトスリープモードに変更する必要がある。この場合、車載中継装置101における省電力効果が低下する。
【0101】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101は、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
【0102】
[取得部]
再び図1および図2を参照して、取得部74は、既存機能部の識別情報を取得する。以下では、既存機能部の識別情報として、車載ECU201AのIDが「ID1-A」であるものとする。
【0103】
より詳細には、取得部74は、たとえば、定期的または不定期に、既存機能部の識別情報を要求するための情報要求通知をスイッチIC53経由で既存機能部へ送信する。既存機能部は、車載中継装置101から受信した情報要求通知に対する応答として、自己のIDを車載中継装置101へ送信する。
【0104】
取得部74は、既存機能部の識別情報をスイッチIC53経由で受信すると、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、識別情報を受信した通信ポート51に対応する通信回路52に既存機能部の識別情報を対応付けて登録する。
【0105】
再び図4を参照して、通信回路52Aと通信する車載ECU201のIDは、「ID1-A」である。
【0106】
取得部74は、既存機能部の機能部情報を取得する。より詳細には、たとえば、取得部74は、定期的または不定期に、既存機能部の機能部情報を要求するための情報要求通知をスイッチIC53経由で既存機能部へ送信する。既存機能部は、車載中継装置101から受信した情報要求通知に対する応答として、自己の機能部情報を車載中継装置101へ送信する。
【0107】
取得部74は、既存機能部の機能部情報をスイッチIC53経由で受信すると、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、既存機能部が接続された通信ポート51に対応する通信回路52に既存機能部の機能部情報を対応付けて登録する。このように、記憶部55は、既存機能部が接続された通信ポート51に対応する通信回路52と既存機能部の機能部情報との対応関係を示す機能対応情報を記憶する。
【0108】
既存機能部の機能部情報は、既存機能部に搭載されたアプリケーションに関するアプリケーション情報を含む。具体的には、アプリケーション情報は、アプリケーション202の種類に関する情報と、ウェイクアップ許容時間に関する情報とを含む。アプリケーション202の種類に関する情報は、たとえばアプリケーション202のID(以下、「アプリケーションID」とも称する。)を含む。
【0109】
以下では、アプリケーション202A,202BのIDがそれぞれ「ID2-A」,「ID2-B」であるものとする。
【0110】
図4に示す例では、車載ECU201Aの機能部情報が通信回路52Aに対応付けられている。具体的には、通信回路52Aと通信する車載ECU201のアプリケーションIDが「ID2-A」であり、ウェイクアップ許容時間が「100ms」である。
【0111】
取得部74は、既存ネットワークへの車載ECU201の追加が検知された場合、追加を検知された新規機能部の機能部情報を取得する。
【0112】
たとえば、取得部74は、検知部73から検知情報を受けると、検知情報に含まれるポート番号を参照し、新規機能部が接続された通信ポート51を特定する。そして、取得部74は、新規機能部の機能部情報を要求するための情報要求通知を、スイッチIC53および特定した通信ポート51経由で新規機能部へ送信する。新規機能部は、車載中継装置101から受信した当該情報要求通知に対する応答として、自己の機能部情報を車載中継装置101へ送信する。
【0113】
新規機能部の機能部情報は、新規機能部に搭載されたアプリケーションに関するアプリケーション情報を含む。新規機能部は、自己に1つのアプリケーション202が搭載されている場合、アプリケーション情報として、当該アプリケーション202のIDを含む情報とウェイクアップ許容時間に関する情報とを車載中継装置101へ送信する。
【0114】
一方、新規機能部は、自己に複数のアプリケーション202が搭載されている場合、アプリケーション情報として、各アプリケーション202のIDを含む情報を車載中継装置101へ送信する。また、新規機能部は、自己に複数のアプリケーション202が搭載されている場合、アプリケーション情報として、値が最も小さいウェイクアップ許容時間に関する情報を車載中継装置101へ送信する。
【0115】
取得部74は、新規機能部の機能部情報を取得した場合、記憶部55における機能対応情報に、新規機能部が接続された通信ポート51に対応する通信回路52と新規機能部の機能部情報との対応関係を登録する更新処理を行う。
【0116】
より詳細には、取得部74は、車載ECU201Bの機能部情報を取得した場合、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、通信回路52Bに車載ECU201Bの機能部情報を対応付けて登録する。取得部74は、更新処理を完了した場合、更新処理を完了した旨の更新完了通知をスリープ制御部72へ出力する。
【0117】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置による更新処理後の通信回路テーブルの一例を示す図である。
【0118】
図6を参照して、通信回路52Bと通信する車載ECU201のアプリケーションIDが「ID2-A,ID2-B」であり、ウェイクアップ許容時間が「10ms」である。
【0119】
また、取得部74は、検知部73から検知情報を受けると、当該検知情報に含まれる新規機能部のIDを通信回路テーブルTb11に登録する。
【0120】
より詳細には、取得部74は、検知部73から検知情報を受けると、検知情報に含まれるポート番号を参照し、新規機能部と通信する通信回路52を特定する。そして、取得部74は、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、特定した通信回路52に新規機能部のIDを対応付けて登録する。図6に示す例では、通信回路52Bと通信する車載ECU201のIDは、「ID1-B」である。
【0121】
(スリープモードの選択)
再び図1および図2を参照して、スリープ制御部72は、取得部74によって取得された新規機能部の機能部情報に基づいて、新規機能部が接続された通信ポート51に対応する通信回路52に適用するスリープモードの種類を複数の種類のスリープモードの中から選択する選択処理を行う。
【0122】
図1に示す例では、車載ECU201Bが新規機能部の一例である。また、図1に示す例では、車載ECU201Bは、通信ポート51Aに車載ECU201Aが接続されている状態において、通信ポート51Bに接続される。
【0123】
以下、スリープ制御部72が、取得部74によって取得された車載ECU201Bの機能部情報に基づいて、車載ECU201Bが接続された通信ポート51Bに対応する通信回路52Bに適用するスリープモードの種類を複数の種類のスリープモードの中から選択する例について説明する。
【0124】
より詳細には、記憶部55には、条件テーブルTb1が保存されている。条件テーブルTb1は、スリープ制御部72が、各通信回路52に適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択するか否かを判定するためのテーブルである。
【0125】
スリープ制御部72は、取得部74から更新完了通知を受けると、記憶部55における更新処理後の通信回路テーブルTb11に基づいて、選択処理を行う。
【0126】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が保存する条件テーブルの一例を示す図である。
【0127】
図7を参照して、条件テーブルTb1には、たとえば、アプリケーション202の種類および数に関する条件である「条件1」と、ウェイクアップ許容時間に関する条件である「条件2」とが登録されている。
【0128】
条件1は、スイッチIC53に内蔵される通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択するか否かを判定するための判定条件である。条件2は、通信回路52A,52B,52Cに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択するか否かを判定するための判定条件である。
【0129】
スリープ制御部72は、条件1または条件2を用いて、選択処理を行う。以下、スリープ制御部72が選択処理において用いる判定条件を、「ディープスリープ適用条件」とも称する。
【0130】
たとえば、スリープ制御部72は、条件1を用いた選択処理において、既存機能部に搭載されるアプリケーション202の種類と新規機能部に搭載されるアプリケーション202の種類とが一致し、かつ既存機能部に搭載されるアプリケーション202の数と新規機能部に搭載されるアプリケーション202の数とが一致する場合、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択する。
【0131】
図7に示す例では、条件1として、「対応するアプリケーションIDが同じであれば、ディープスリープモードを選択」が登録されている。スリープ制御部72は、通信回路52Aと通信する車載ECU201AのアプリケーションIDと、通信回路52Bと通信する車載ECU201BのアプリケーションIDとが一致する場合、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択する。
【0132】
一方、スリープ制御部72は、通信回路52Aと通信する車載ECU201AのアプリケーションIDと、通信回路52Bと通信する車載ECU201BのアプリケーションIDとが一致しない場合、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択する。
【0133】
図6に示す例では、通信回路52Aと通信する車載ECU201AのアプリケーションIDは「ID-A」である一方で、通信回路52Bと通信する車載ECU201BのアプリケーションIDは「ID-A,ID-B」である。すなわち、車載ECU201Aに搭載されるアプリケーション202の数と車載ECU201Bに搭載されるアプリケーション202の数とが一致しない。そのため、スリープ制御部72は、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択する。
【0134】
より詳細には、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において、「通信回路52A」および「通信回路52B」に適用するスリープモードを「ディープスリープモード」から「ライトスリープモード」に変更する。
【0135】
スリープ制御部72は、条件2を用いた選択処理において、通信回路52と通信する車載ECU201のウェイクアップ許容時間が所定の閾値以上である場合、当該通信回路に適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択する。
【0136】
図7に示す例では、条件2として、「対応するウェイクアップ許容時間が100ms以上であれば、ディープスリープモードを選択」が登録されている。具体的には、スリープ制御部72は、通信回路52と通信する車載ECU201のウェイクアップ許容時間が100ms以上である場合、通信回路52に適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択する。
【0137】
図6に示す例では、通信回路52Bと通信する車載ECU201Bのウェイクアップ許容時間「10ms」は、100msよりも短い。そのため、スリープ制御部72は、通信回路52Bに適用するスリープモードの種類として、ライトスリープモードを選択する。また、上述したように、車載中継装置101において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類を統一する必要がある。そのため、スリープ制御部72は、通信回路52Aに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードからライトスリープモードに変更する。
【0138】
スリープ制御部72は、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択した場合、既存機能部が対象通信ポート以外の通信ポート51に接続されているか否かを確認する。
【0139】
より詳細には、スリープ制御部72は、通信回路52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択した場合、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されているか否かを確認する。
【0140】
スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されている場合、登録されている旨を通知部75へ通知する。
【0141】
一方、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されていない場合、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合に複数の通信回路52の各々に適用するスリープモードの種類を示す予想テーブルTb21を作成する。
【0142】
より詳細には、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されていない場合、記憶部55に保存されている既存機能部の機能部情報と新規機能部の機能部情報とを読み出す。スリープ制御部72は、読み出した既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、予想テーブルTb21を作成する。
【0143】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置が作成する予想テーブルの一例を示す図である。以下、スリープ制御部72が、記憶部55における条件テーブルTb1の条件2を用いて、複数の通信回路52の各々に適用するスリープモードを予想テーブルTb21に登録する例について説明する。
【0144】
図8を参照して、予想テーブルTb21において、通信回路52Aに車載ECU201Aの機能部情報が対応付けて登録され、通信回路52Cに車載ECU201Bの機能部情報が対応付けて登録されている。
【0145】
図8に示す例では、通信回路52Aと通信する車載ECU201のアプリケーションIDが「ID2-A」であり、ウェイクアップ許容時間が「100ms」である。通信回路52Cと通信する車載ECU201のアプリケーションIDが「ID2-A,ID2-B」であり、ウェイクアップ許容時間が「10ms」である。
【0146】
そして、スリープ制御部72は、記憶部55における条件テーブルTb1の条件2を参照して、予想テーブルTb21において、各通信回路52に適用するスリープモードの種類を登録する。
【0147】
具体的には、通信回路52Aと通信する車載ECU201Aのウェイクアップ許容時間「100ms」は、条件テーブルTb1の条件2を満たす。そのため、スリープ制御部72は、予想テーブルTb21において、「通信回路52A」に適用するスリープモードの種類として「ディープスリープモード」を登録する。
【0148】
また、通信回路52Cと通信する車載ECU201Bのウェイクアップ許容時間「10ms」は、条件2を満たさない。そのため、スリープ制御部72は、予想テーブルTb21において、「通信回路52C」に適用するスリープモードの種類として「ライトスリープモード」を登録する。
【0149】
スリープ制御部72は、予想テーブルTb21を作成した場合、予想テーブルTb21の作成を完了した旨の作成完了通知を通知部75に通知する。
【0150】
[通知部]
通知部75は、複数の対象通信ポートのうちの一部に既存機能部が接続された状態において、既存機能部が接続されていない対象通信ポートに新規機能部が接続された場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51を通知する通知処理を行う。通知部75は、複数の対象通信回路に新たに適用されるスリープモードの種類の組み合わせに基づいて、通知処理を行う。
【0151】
より詳細には、通知部75は、スリープ制御部72によって選択された、新機機能部に対応する対象通信回路に適用するスリープモードの種類と、既存機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路に適用されるスリープモードの種類とに基づいて、通知処理を行う。
【0152】
通知部75は、スリープ制御部72から作成完了通知を受けると、記憶部55における選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11、および予想テーブルTb21を参照する。
【0153】
通知部75は、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11、および予想テーブルTb21を参照し、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、対象通信ポート以外の通信ポート51を通知するか否かを決定する。
【0154】
たとえば、通知部75は、新規機能部が対象通信ポート以外の通信ポート51に接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数と、新規機能部が対象通信ポートに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数とに基づいて、通知処理を行う。
【0155】
図2図6および図8に示す例では、通知部75は、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2と、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1とに基づいて、通知処理を行う。
【0156】
通知部75は、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1よりも多い場合、車載ECU201Bの接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知することを決定する。
【0157】
図6および図8に示す例では、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52は、通信回路52Cである一方で、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52は、通信回路52A,52Bである。すなわち、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1よりも多い。そのため、通知部75は、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知することを決定する。
【0158】
すなわち、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1は、選択処理が行われる前の通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数よりも少なくなる。この場合、通知部75は、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51B以外を通知する必要がある。
【0159】
一方、通知部75は、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1以下である場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する。また、通知部75は、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されている場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する。すなわち、これらの場合、新規ネットワークにおいて、新規機能部の接続先は、対象通信ポートである通信ポート51Bに維持される。
【0160】
通知部75は、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51を示す内容を他の車載装置に表示してユーザに通知する。通知部75は、たとえば、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51を示す内容を、IVI(In-Vechile Infotainment)システムにおけるナビゲーション装置およびディスプレイ等に表示する。
【0161】
なお、通知部75は、新規機能部の接続先を対象通信ポートに維持する場合、通知処理を行わなくてもよい。また、通知部75は、通信回路テーブルTb11において通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが登録されている場合、通知処理を行わなくてもよい。
【0162】
(通知処理の他の例)
通知部75は、既存機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路に適用されるスリープモードの種類と、新規機能部が接続された対象通信ポートに対応する前記対象通信回路に適用されるスリープモードの種類とが異なる場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、対象通信ポート以外の通信ポート51を通知する。この場合、スリープ制御部72は、予想テーブルTb21を作成しなくてもよい。
【0163】
具体的には、たとえば、通知部75は、既存機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路にディープスリープモードが適用されている状態において、新規機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路にライトスリープモードが適用される場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知する。
【0164】
また、たとえば、通知部75は、既存機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路にライトスリープモードが適用されている状態において、新規機能部が接続された対象通信ポートに対応する対象通信回路にディープスリープモードが適用される場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知する。
【0165】
より詳細には、スリープ制御部72は、上述した更新処理後の通信回路テーブルTb11および条件テーブルTb1を用いて、新規ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類を選択する。この場合、スリープ制御部72は、新規ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択する。すなわち、スリープ制御部72は、条件テーブルTb1の条件1を満たさないため、既存機能部が対象通信ポート以外の通信ポート51に接続されているか否かを確認する。
【0166】
たとえば、スリープ制御部72は、新規ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択すると、通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが通信回路テーブルTb11において登録されているか否かを確認する。スリープ制御部72は、確認結果を通知部75へ通知する。
【0167】
通知部75は、通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが通信回路テーブルTb11において登録されていない旨の通知をスリープ制御部72から受けると、車載ECU201Bの接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知する。
【0168】
一方、通知部75は、通信回路52Cと通信する車載ECU201のIDが通信回路テーブルTb11において登録されている旨の通知をスリープ制御部72から受けると、車載ECU201Bの接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する。
【0169】
なお、通知部75は、既存ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用されるスリープモードの種類と、新規ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに新たに適用されるスリープモードの種類とが同じである場合、車載ECU201Bの接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する構成であってもよい。
【0170】
より詳細には、スリープ制御部72は、新規ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類として、既存ネットワークにおいて通信回路52A,52Bに適用するスリープモードと同じ種類のスリープモードを選択した場合、選択処理を完了した旨の選択完了通知を通知部75へ出力する。この場合、スリープ制御部72は、既存機能部が対象通信ポート以外の通信ポート51に接続されているか否かを確認しない。
【0171】
通知部75は、スリープ制御部72から選択完了通知を受けると、車載ECU201Bの接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する。
【0172】
(新規機能部の接続先の変更後の選択処理)
取得部74は、たとえば、ユーザによって車載ECU201Bの接続先が通信ポート51Cに変更された場合、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11に、通信ポート51Cに対応する通信回路52Cと車載ECU201Bの機能部情報との対応関係を登録する更新処理を行う。
【0173】
たとえば、取得部74は、通信回路テーブルTb11において、通信回路52Cに車載ECU201BのアプリケーションID「ID1-A,ID1-B」を対応付け、かつ通信回路52Cに車載ECU201Bにおけるウェイクアップ許容時間「10ms」を対応付けて登録する。
【0174】
スリープ制御部72は、取得部74から更新完了通知を受けると、記憶部55における更新処理後の通信回路テーブルTb11、および条件テーブルTb1に基づいて、通信回路52Cに適用するスリープモードの選択処理を行う。
【0175】
上述したように、通信回路52Cと通信する車載ECU201Bのウェイクアップ許容時間「10ms」は、条件テーブルTb1の条件2を満たさない。そのため、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において、通信回路52Cに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを登録する。
【0176】
より詳細には、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において、通信回路52Cに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードからライトスリープモードに変更する。この場合、スリープ制御部72は、通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードに維持する。
【0177】
[動作の流れ]
図9は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置による通知処理の動作手順を定めたフローチャートである。
【0178】
図9を参照して、まず、車載中継装置101は、既存機能部が複数の対象通信ポートのうちの一部に接続されている状態において、スリープモード対応情報を通信回路テーブルTb11に登録する。ここでは、既存機能部は、通信ポート51Aに接続されているものとする。また、通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類として、ディープスリープモードが登録されているものとする(ステップS101)。
【0179】
次に、車載中継装置101は、自己への新規機能部の接続を待ち受け(ステップS102においてNO)、新規機能部の接続を検知すると(ステップS102においてYES)、検知した新規機能部の機能部情報を取得する。ここでは、新規機能部は、通信ポート51Bに接続されたものとする(ステップS103)。
【0180】
次に、車載中継装置101は、機能対応情報を更新する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、新規機能部の機能部情報を取得すると、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、新規機能部が接続された通信ポート51Bに対応する通信回路52Bに新規機能部の機能部情報を対応付けて登録する(ステップS104)。
【0181】
次に、車載中継装置101は、記憶部55における通信回路テーブルTb11および条件テーブルTb1を参照し、ディープスリープ適用条件を満たす場合(ステップS105においてYES)、複数の対象通信回路に適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを選択する。具体的には、車載中継装置101は、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードに維持する(ステップS106)。
【0182】
一方、車載中継装置101は、ディープスリープ適用条件を満たない場合(ステップS105においてNO)、複数の対象通信回路に適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類をディープスリープモードからライトスリープモードに変更する(ステップS107)。
【0183】
次に、車載中継装置101は、既存機能部が通信ポート51Cに接続されていない場合(ステップS108においてYES)、予想テーブルTb21を作成する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合に複数の通信回路52の各々に適用するスリープモードの種類を示す予想テーブルTb21を作成する。ここでは、予想テーブルTb21において、通信回路52A,52Bに適用されるスリープモードの種類としてディープスリープモードが登録され、通信回路52Cに適用されるスリープモードの種類としてライトスリープモードが登録されているものとする(ステップS109)。
【0184】
次に、車載中継装置101は、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、新規機能部が通信ポート51Bに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1よりも多い場合(ステップS110においてYES)、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知する通知処理を行う(ステップS111)。
【0185】
一方、車載中継装置101は、既存機能部が通信ポート51Cに接続されている場合(ステップS108においてNO)、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する通知処理を行う(ステップS112)。
【0186】
また、車載中継装置101は、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、新規機能部が通信ポート51Bに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1以下である場合(ステップS110においてNO)、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する通知処理を行う(ステップS112)。
【0187】
ここで、たとえば、図6および図8に示す例と異なり、既存ネットワークにおいて、通信回路52A,52Bにライトスリープモードが適用され、かつ通信回路52Cに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードが登録されている状態において、ウェイクアップ許容時間が「10ms」である新規機能部が通信ポート51Bに接続された例について説明する。この例では、車載中継装置101は、当該新規機能部のウェイクアップ許容時間がディープスリープ適用条件を満たさないため(ステップS105においてNO)、通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードをライトスリープモードに維持する(ステップS107)。
【0188】
次に、車載中継装置101は、既存機能部が通信ポート51Cに接続されていない場合(ステップS108においてYES)、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合に複数の通信回路52の各々に適用するスリープモードの種類を示す予想テーブルTb21を作成する。この例では、車載中継装置101は、予想テーブルTb21において、通信回路52A,52B,52Cに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを登録する。すなわち、車載中継装置101は、予想テーブルTb21では、選択処理後の通信回路テーブルTb11と異なり、通信回路52Cに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを登録する(ステップS109)。
【0189】
次に、車載中継装置101は、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、新規機能部が通信ポート51Bに接続された場合にディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1よりも少ないため(ステップS110においてNO)、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Bを通知する(ステップS112)。
【0190】
図10は、本開示の実施の形態に係る車載中継装置におけるスリープ制御の動作手順を定めたフローチャートである。
【0191】
図10を参照して、まず、車載中継装置101は、自己のスリープ条件が成立するまで(ステップS202においてNO)、ウェイクアップモードで動作する(ステップS201)。
【0192】
次に、車載中継装置101は、自己のスリープ条件が成立すると(ステップS202においてYES)、記憶部55における通信回路テーブルTb11を参照し、各通信回路52に適用するスリープモードを決定する(ステップS203)。
【0193】
次に、車載中継装置101は、決定したスリープモードへ各通信回路52を遷移させ、自己のウェイクアップ条件が成立するまで(ステップS205においてNO)、スリープモードを維持する(ステップS204)。
【0194】
次に、車載中継装置101は、自己のウェイクアップ条件が成立すると(ステップS205においてYES)、各通信回路52をウェイクアップモードへ遷移させる(ステップS206)。
【0195】
図11は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスリープ制御のシーケンスの一例を示す図である。以下、車載中継装置101において、既存機能部が通信ポート51Aに接続されており、かつ通信ポート51Cに接続されていない場合におけるスリープ制御の例について説明する。
【0196】
図11を参照して、まず、車載中継装置101は、既存機能部が複数の対象通信ポートのうちの一部に接続されている状態において、スリープモード対応情報を通信回路テーブルTb11に登録する。ここでは、通信回路テーブルTb11において、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類として、ディープスリープモードが登録されているものとする(ステップS301)。
【0197】
次に、車載中継装置101は、新規機能部の認証処理を行う。より詳細には、車載中継装置101は、車載ネットワーク401に追加された新規機能部から接続要求情報を受信すると、新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う。車載中継装置101および新規機能部は、車載中継装置101による新規機能部の認証が成功すると、互いの通信接続を確立する。ここでは、新規機能部は、通信ポート51Bに接続されたものとする(ステップS302)。
【0198】
次に、車載中継装置101は、機能対応情報を更新する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、新規機能部が接続された通信ポート51Bに対応する通信回路52Bに新規機能部の機能部情報を対応付けて登録する(ステップS303)。
【0199】
次に、車載中継装置101は、新規機能部の機能部情報に基づいて、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類を複数の種類のスリープモードの中から選択する選択処理を行う。ここでは、車載中継装置101は、通信回路52A,52Bに新たに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択したものとする(ステップS304)。
【0200】
次に、車載中継装置101は、予想テーブルTb21を作成する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、新規機能部が通信ポート51Cに接続された場合に複数の通信回路52の各々に適用するスリープモードの種類を示す予想テーブルTb21を作成する(ステップS305)。
【0201】
次に、車載中継装置101は、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11、および予想テーブルTb21を参照し、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、対象通信ポート以外の通信ポート51を通知するか否かを決定する。車載中継装置101は、予想テーブルTb21が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N2が、選択処理によって更新された通信回路テーブルTb11が示す、ディープスリープモードが適用される通信回路52の個数N1よりも多い場合、新規機能部の接続先とすべき通信ポート51として、通信ポート51Cを通知する(ステップS306)。
【0202】
次に、ユーザが新規機能部の接続先を通信ポート51Bから通信ポート51Cへ変更したとする。車載中継装置101は、通信ポート51Cに接続された新規機能部の認証処理を行う(ステップS307)。
【0203】
次に、車載中継装置101は、機能対応情報を更新する。たとえば、上述したように、車載中継装置101は、記憶部55に保存されている通信回路テーブルTb11において、新規機能部が接続された通信ポート51Cに対応する通信回路52Cに新規機能部の機能部情報を対応付けて登録する(ステップS308)。
【0204】
次に、車載中継装置101は、新規機能部の機能部情報に基づいて、通信回路52Cに適用するスリープモードの種類を複数の種類のスリープモードの中から選択する選択処理を行う。ここでは、車載中継装置101は、通信回路52Cに適用するスリープモードの種類としてライトスリープモードを選択する。また、車載中継装置101は、通信回路52A,52Bに適用するスリープモードの種類としてディープスリープモードを維持する(ステップS309)。
【0205】
次に、既存機能部、車載中継装置101および新規機能部のスリープ条件が成立すると(ステップS310)、既存機能部は、スリープモードへ遷移する(ステップS311)。
【0206】
また、車載中継装置101は、直近の選択処理において選択したスリープモードへ各通信回路52を遷移させる。より詳細には、車載中継装置101は、通信回路52A,52Bにディープスリープモードへ遷移させ、通信回路52Cをライトスリープモードへ遷移させる(ステップS312)。また、新規機能部は、スリープモードへ遷移する(ステップS313)。
【0207】
次に、新規機能部は、自己のウェイクアップ条件が成立して、ウェイクアップモードへ遷移すると(ステップS314)、ウェイクアップ要求W1を車載中継装置101へ送信する(ステップS315)。
【0208】
次に、車載中継装置101は、新規機能部からウェイクアップ要求W1を受信すると、新規機能部に対応する通信回路52Cをウェイクアップモードへ遷移させる。より詳細には、車載中継装置101におけるスリープ制御部72は、ウェイクアップ要求W1を受信した通信ポート51Cに対応する通信回路52Cをウェイクアップモードへ遷移させる(ステップS316)。
【0209】
次に、車載中継装置101は、ウェイクアップ要求W2を既存機能部へ送信する(ステップS317)。
【0210】
次に、既存機能部は、車載中継装置101からウェイクアップ要求W2を受信すると、ウェイクアップモードへ遷移する(ステップS318)。
【0211】
次に、新規機能部および既存機能部は、互いに通信を行う。たとえば、車載中継装置101における通信回路52は、対応する通信ポート51を介して新規機能部から既存機能部を宛先とするフレームを受信すると、受信したフレームをスイッチ部61へ出力する。スイッチ部61は、通信回路52から受けたフレームを宛先の既存機能部へ送信する(ステップS319)。
【0212】
なお、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、車載中継装置101が通知部75を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載中継装置101以外の他の車載装置が通知部75を備え、上述のような通知処理を行う構成であってもよい。
【0213】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、スリープ制御部72は、新規機能部の機能部情報に基づいて、新規機能部に対応する対象通信回路に適用するスリープモードの種類を複数の種類のスリープモードの中から選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。スリープ制御部72は、新規機能部に対応する対象通信回路に適用するスリープモードの種類として、1つのスリープモードを固定的に選択する構成であってもよい。
【0214】
また、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101において、スリープ制御部72は、選択処理において、新規機能部および既存機能部に対応する通信回路52にそれぞれ適用するスリープモードを2つのスリープモードの中から選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。スリープ制御部72は、選択処理において、新規機能部および既存機能部に対応する通信回路52にそれぞれ適用するスリープモードを3つ以上のスリープモードの中から選択する構成であってもよい。
【0215】
また、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101において、取得部74は、新規機能部の機能部情報として、新規機能部のアプリケーション情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、取得部74は、新規機能部の機能部情報として、新規機能部のハードウェア情報を取得してもよい。
【0216】
また、本開示の実施の形態に係る車載中継装置101において、取得部74は、情報要求通知を既存機能部へ送信することにより、既存機能部の識別情報および機能部情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。取得部74は、既存機能部の識別情報および機能部情報が記憶部55に予め保存されている場合、記憶部55から既存機能部の識別情報および機能部情報を取得する構成であってもよい。
【0217】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0218】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0219】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車載機能部間で送受信されるフレームを中継する車載中継装置を含む車載ネットワークに用いられる車載装置であって、
前記車載中継装置は、前記車載機能部が接続可能な複数の通信ポートを含む通信ポート群と、前記複数の通信ポートにそれぞれ対応して設けられ、所定の条件が成立した場合にスリープモードで動作する複数の通信回路を含む通信回路群とを含み、
前記通信回路群は、前記スリープモードの種類を統一する必要がある前記通信回路である複数の対象通信回路を含み、
前記通信ポート群は、前記複数の対象通信回路にそれぞれ対応する前記通信ポートである複数の対象通信ポートを含み、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記複数の対象通信ポートのうちの一部に前記車載機能部である既存機能部が接続された状態において、前記既存機能部が接続されていない前記対象通信ポートに前記車載機能部である新規機能部が接続された場合、前記複数の対象通信回路に適用される前記スリープモードの種類の組み合わせに基づいて、前記新規機能部の接続先とすべき前記通信ポートを通知する通知処理を行う、車載装置。
【符号の説明】
【0220】
11 イーサネットケーブル
51,51A,51B,51C 通信ポート
52,52A,52B,52C 通信回路
53 スイッチIC
54 処理部
55 記憶部
61 スイッチ部
71 判断部
72 スリープ制御部
73 検知部
74 取得部
75 通知部
101 車載中継装置
201,201A,201B 車載ECU
202,202A,202B アプリケーション
301 車載通信システム
401 車載ネットワーク
501 車両
P1 通信ポート群
P2 通信回路群
図1
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