特許 7542071 アップリンクデータ送信方法、ユーザ装置、および可読記録媒体

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-21

(45)【発行日】2024-08-29

(54)【発明の名称】アップリンクデータ送信方法、ユーザ装置、および可読記録媒体

(51)【国際特許分類】

   H04W 72/1268 20230101AFI20240822BHJP

   H04W 16/28 20090101ALI20240822BHJP

   H04W 72/232 20230101ALI20240822BHJP

   H04B 7/0456 20170101ALI20240822BHJP

   H04B 7/06 20060101ALI20240822BHJP

【ＦＩ】

H04W72/1268

H04W16/28

H04W72/232

H04B7/0456 100

H04B7/06 956

【請求項の数】 24

(21)【出願番号】P 2022549223

(86)(22)【出願日】2021-02-02

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2023-04-03

(86)【国際出願番号】 CN2021074744

(87)【国際公開番号】W WO2021159988

(87)【国際公開日】2021-08-19

【審査請求日】2022-09-21

(31)【優先権主張番号】202010090665.1

(32)【優先日】2020-02-13

(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN

(73)【特許権者】

【識別番号】522320291

【氏名又は名称】北京紫光展鋭通信技術有限公司

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】馬大爲

【審査官】本橋 史帆

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０１９／０８５９９８（ＷＯ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１８／１８２３８１（ＷＯ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１９／０１９８３９（ＷＯ，Ａ１）

【文献】Lenovo, Motorola Mobility，Discussion on UL multi-panel transmission[online]，3GPP TSG RAN1 WG #96b R1- 1904574，Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96b/Docs/R1-1904574.zip>，2019年03月29日

【文献】CATT，Further discussion on codebook based transmission for UL[online]，3GPP TSG RAN WG1 #90b R1-1717807，Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1717807.zip>，2017年10月03日

【文献】ZTE, Sanechips，Remaining details on DL DMRS and UL DMRS[online]，3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1719542，Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1719542.zip>，2017年11月18日

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０４Ｂ ７／２４－ ７／２６

Ｈ０４Ｗ ４／００－９９／００

Ｈ０４Ｂ ７／０４５６

Ｈ０４Ｂ ７／０６

３ＧＰＰ ＴＳＧ ＲＡＮ ＷＧ１－４

ＳＡ ＷＧ１－４

ＣＴ ＷＧ１、４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

送信するアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を備えたサウンディング参照信号リソース指示フィールドと、２つ以上の前記送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を備えたプリコーディング情報フィールドとを備えたダウンリンク制御情報（ＤＣＩ）を受信し、
前記送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定し、
各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいてアップリンクデータを送信する、ことを含み、
前記送信するアップリンクデータに対応する２つ以上の前記送信ビームは、第１の送信ビームと、前記第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含み、２つ以上の前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、前記第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報と、前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報とを含み、
前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することが、
送信プリコーディング行列インデックス値集合を、前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、
前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を、前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定する、ことを含む、
アップリンクデータ送信方法。

【請求項2】

前記プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上の送信プリコーディング行列指示情報を含む、請求項１に記載の方法。

【請求項3】

前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報が、プリコーディング行列テーブル内の、前記第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、
前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列の位置情報であり、
前記送信プリコーディング行列インデックス値集合は、前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列インデックス値を含み、前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記送信プリコーディング行列は、同一の前記プリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する、請求項２に記載の方法。

【請求項4】

前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することが、
前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の、前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列を決定する、ことをさらに含む請求項３に記載の方法。

【請求項5】

前記プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む、請求項１に記載の方法。

【請求項6】

前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、前記第１の符号点指示情報によって示される符号点は、前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列に対応し、前記第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応する前記送信プリコーディング行列の数は、前記送信ビームの数と一致する、請求項５に記載の方法。

【請求項7】

前記第１の符号点指示情報が示す符号点は、１つの送信プリコーディング行列、又は２つ以上の送信プリコーディング行列に対応する、請求項６に記載の方法。

【請求項8】

前記第１の符号点指示情報が示す符号点は、前記送信ビームに対応する位相追従参照信号（ＰＴＲＳ）ポート構成情報にさらに対応し、前記第１の符号点指示情報が示す符号点に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報の数が、前記送信ビームの数と一致し、
前記方法は、前記第１の符号点指示情報に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報と前記第１の符号点指示情報に対応する前記送信プリコーディング行列とに基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定し、各送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列と前記ＰＴＲＳポートとに基づいて、前記アップリンクデータを送信することをさらに含む、請求項７に記載の方法。

【請求項9】

前記ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含み、
前記方法は、前記送信プリコーディング行列と、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートとに基づいて前記アップリンクデータを送信するように、前記ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて前記送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定することをさらに含む、請求項１に記載の方法。

【請求項10】

前記ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、前記送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む、請求項９に記載の方法。

【請求項11】

前記ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、前記第２の符号点指示情報が示す符号点に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報の数が、前記送信ビームの数と一致する、請求項９に記載の方法。

【請求項12】

送信するアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を備えたサウンディング参照信号リソース指示フィールドと、２つ以上の前記送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を備えたプリコーディング情報フィールドとを備えたダウンリンク制御情報（ＤＣＩ）を受信するように構成された受信回路と、
前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成されたプリコーディング行列決定回路と、
各送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列に基づいてアップリンクデータを送信するように構成された送信回路と、を含み、
前記送信するアップリンクデータに対応する２つ以上の前記送信ビームは、第１の送信ビームと、前記第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含み、２つ以上の前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、前記第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報と、前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報とを含み、
前記プリコーディング行列決定回路は、
前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、送信プリコーディング行列インデックス値集合を決定するように構成された第１の決定サブ回路と、
前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を、前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定するように構成された第２の決定サブ回路と、を含む、
ユーザ装置（ＵＥ）。

【請求項13】

前記プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上の送信プリコーディング行列指示情報を含む、請求項１２に記載のＵＥ。

【請求項14】

前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報が、プリコーディング行列テーブル内の、前記第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、
前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記少なくとも１つの他の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列の位置情報であり、
前記送信プリコーディング行列インデックス値集合は、前記第１の送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列インデックス値を含み、前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の前記送信プリコーディング行列は、同一の前記プリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する、請求項１３に記載のＵＥ。

【請求項15】

前記プリコーディング行列決定回路は、前記送信プリコーディング行列インデックス値集合内の、前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列を決定するように構成された第３の決定サブ回路、をさらに含む請求項１４に記載のＵＥ。

【請求項16】

前記プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む、請求項１５に記載のＵＥ。

【請求項17】

前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、前記第１の符号点指示情報によって示される符号点は、前記送信ビームに対応する前記送信プリコーディング行列に対応し、前記第１の符号点指示情報によって示される前記符号点に対応する前記送信プリコーディング行列の数は、前記送信ビームの数と一致する、請求項１６に記載のＵＥ。

【請求項18】

前記第１の符号点指示情報が示す符号点は、１つの送信プリコーディング行列、又は２つ以上の送信プリコーディング行列に対応する、請求項１７に記載のＵＥ。

【請求項19】

前記第１の符号点指示情報が示す符号点は、前記送信ビームに対応する位相追従参照信号（ＰＴＲＳ）ポート構成情報にさらに対応し、前記第１の符号点指示情報が示す符号点に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報の数が、前記送信ビームの数と一致し、
前記ＵＥは、前記第１の符号点指示情報に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報と、前記第１の符号点指示情報に対応する前記送信プリコーディング行列とに基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第１のＰＴＲＳポート決定回路をさらに備え、
前記送信回路は、前記送信プリコーディング行列と、各送信ビームに対応する前記ＰＴＲＳポートとに基づいて、前記アップリンクデータを送信するように構成されている請求項１８に記載のＵＥ。

【請求項20】

前記ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含み、
前記ＵＥは、前記ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第２のＰＴＲＳポート決定回路をさらに備え、
前記送信回路は、前記送信プリコーディング行列と、各送信ビームに対応する前記ＰＴＲＳポートとに基づいて、前記アップリンクデータを送信するように構成されている、請求項１２に記載のＵＥ。

【請求項21】

前記ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、前記送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む、請求項２０に記載のＵＥ。

【請求項22】

前記ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、前記第２の符号点指示情報が示す符号点に対応する前記ＰＴＲＳポート構成情報の数が、前記送信ビームの数と一致する、請求項２０に記載のＵＥ。

【請求項23】

コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令が実行されると、請求項１～請求項１１のいずれか１項に記載の方法が実行される、コンピュータ可読記憶媒体。

【請求項24】

メモリとプロセッサとを備え、前記メモリは、コンピュータ命令を記憶し、前記プロセッサが前記コンピュータ命令を実行すると、請求項１～請求項１１の何れか１項に記載の方法が実行される、端末。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

関連出願の相互参照
本出願は、２０２０年２月１３日に出願された「ＵＰＬＩＮＫ ＤＡＴＡ ＴＲＡＮＳＭＩＳＳＩＯＮ ＭＥＴＨＯＤ， ＵＳＥＲ ＥＱＵＩＰＭＥＮＴ， ＡＮＤ ＲＥＡＤＡＢＬＥ ＳＴＯＲＡＧＥ ＭＥＤＩＵＭ」という名称の中国特許出願第２０２０１００９０６６５．１号の優先権を主張し、その開示全体が本明細書に組み込まれる。

【0002】

本発明は、一般に通信技術分野に関し、より詳細には、アップリンクデータ送信方法、ユーザ装置（ＵＥ）、および可読記憶媒体に関する。

【背景技術】

【0003】

基地局は、物理ダウンリンク制御チャネル（ＰＤＣＣＨ：Ｐｈｙｓｉｃａｌ Ｄｏｗｎｌｉｎｋ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｃｈａｎｎｅｌ）を通じてアップリンクスケジューリング情報をＵＥに送信し、物理アップリンク共有チャネル（ＰＵＳＣＨ：Ｐｈｙｓｉｃａｌ Ｕｐｌｉｎｋ Ｓｈａｒｅｄ Ｃｈａｎｎｅｌ）を送信するようＵＥをスケジュールする。

【0004】

Ｒｅｌ－１５およびＲｅｌ－１６仕様では、ＰＤＣＣＨは、１つまたは複数のＰＵＳＣＨを送信するようにＵＥをスケジュールすることができる。ＰＤＣＣＨによって搬送されるダウンリンク制御情報（ＤＣＩ）は、サウンディング参照信号リソース指示（ＳＲＩ：Ｓｏｕｎｄｉｎｇ Ｒｅｆｅｒｅｎｃｅ Ｓｉｇｎａｌ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｉｎｄｉｃａｔｏｒ）フィールドと、プリコーディング情報と、レイヤ数フィールドと、を含む。ＳＲＩフィールドはＰＵＳＣＨの送信ビームを示し、プリコーディング情報及びレイヤ数フィールドはＰＵＳＣＨの送信プリコーディング行列情報及びレイヤ数情報を示す。Ｒｅｌ－１５とＲｅｌ－１６の仕様では、ＵＥは、各ＰＵＳＣＨを送信する際に、同一の送信ビームと同一の送信プリコーディング行列を使用する必要がある。

【0005】

Ｒｅｌ－１７仕様の目標によれば、ＰＵＳＣＨの送信信頼性を向上させるために、ＰＤＣＣＨが複数のＰＵＳＣＨを送信するようにＵＥをスケジュールする場合、各ＰＵＳＣＨが異なる送信ビームを使用することをサポートする必要がある。したがって、異なる送信ビームに対応して、送信プリコーディング行列も異なり得る。

【0006】

しかし、ＤＣＩにおける複数の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列をどのように示すかについての解決策は存在しない。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

本発明の実施形態は、ＤＣＩにおける複数の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を示すソリューションを提供し、それによってＰＵＳＣＨ送信の信頼性を改善する。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の一実施形態では、ＤＣＩを受信し、ここで、ＤＣＩは、サウンディング参照信号リソース指示フィールドとプリコーディング情報フィールドとを含み、サウンディング参照信号リソース指示フィールドは、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を含み、プリコーディング情報フィールドは、２つ以上の送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含み、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定し、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいて、アップリンクデータを送信する、アップリンクデータ送信方法が提供される。

【0009】

任意選択で、プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２以上の送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0010】

任意選択で、送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値である。

【0011】

任意選択で、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することは、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することを含む。

【0012】

任意選択で、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームは、第１の送信ビームと、第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含み、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列の位置情報であり、送信プリコーディング行列インデックス値集合は、 第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値を含み、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の送信プリコーディング行列は、同一のプリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する。

【0013】

任意選択で、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することは、 送信プリコーディング行列インデックス値集合を、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定する、ことを含む。
任意選択で、プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0014】

任意選択で、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応する送信プリコーディング行列の数は、送信ビームの数と一致する。

【0015】

任意選択で、各第１の符号点指示情報によって示される符号点は、１つの送信プリコーディング行列、または２つ以上の送信プリコーディング行列に対応する。

【0016】

任意選択で、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応する位相追従参照信号（ＰＴＲＳ：Ｐｈａｓｅ Ｔｒａｃｋｉｎｇ Ｒｅｆｅｒｅｎｃｅ Ｓｉｇｎａｌ）ポート構成情報にさらに対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、送信ビームの数と一致し、方法は、第１の符号点指示情報に対応するＰＴＲＳポート構成情報と、第１の符号点指示情報に対応する送信プリコーディング行列と、に基づいて各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定し、送信プリコーディング行列と各送信ビームに対応するＰＴＲＳと、に基づいてアップリンクデータを送信することをさらに含む。

【0017】

任意選択で、ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含み、方法は、送信プリコーディング行列と各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートとに基づいてアップリンクデータを送信するように、ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定することをさらに含む。

【0018】

任意選択で、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む。

【0019】

任意選択で、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、第２の符号点指示情報が示す符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数が送信ビームの数と一致する。

【0020】

本発明の一実施形態では、ＤＣＩを受信するように構成された受信回路であって、ＤＣＩが、サウンディング参照信号リソース指示フィールドとプリコーディング情報フィールドとを含み、サウンディング参照信号リソース指示フィールドが、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を含み、プリコーディング情報フィールドが、２つ以上の送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む、受信回路と、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成されたプリコーディング行列決定回路と、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいてアップリンクデータを送信するように構成された送信回路と、を含むＵＥが提供される。

【0021】

任意選択で、プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２以上の送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0022】

任意選択で、送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値である。

【0023】

任意選択で、プリコーディング行列決定回路は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成される。

【0024】

任意選択で、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームは、第１の送信ビームと、第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含み、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームの位置情報であり、送信プリコーディング行列インデックス値集合は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値を含み、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の送信プリコーディング行列は、同一のプリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する。

【0025】

任意選択で、プリコーディング行列決定回路は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、送信プリコーディング行列インデックス値集合を決定するように構成された第１の決定サブ回路と、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定するように構成された第２の決定サブ回路と、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成された第３の決定サブ回路とを含む。

【0026】

任意選択で、プリコーディング情報フィールドは、全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0027】

任意選択で、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応する送信プリコーディング行列の数は、送信ビームの数と一致する。

【0028】

任意選択で、各第１の符号点指示情報によって示される符号点は、１つの送信プリコーディング行列、または２つ以上の送信プリコーディング行列に対応する。

【0029】

任意選択で、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報にさらに対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、送信ビームの数と一致し、ＵＥは、第１の符号点指示情報に対応するＰＴＲＳポート構成情報と、第１の符号点指示情報に対応する送信プリコーディング行列とに基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第１のＰＴＲＳポート決定回路と、送信プリコーディング行列と各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートとに基づいてアップリンクデータを送信するように構成された送信回路網とを含む。

【0030】

任意選択で、ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含み、ＵＥは、ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第２のＰＴＲＳポート決定回路をさらに含み、送信回路は、送信プリコーディング行列と各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートとに基づいてアップリンクデータを送信するように構成されている。

【0031】

任意選択で、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む。

【0032】

任意選択で、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、第２の符号点指示情報が示す符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数が送信ビームの数と一致する。

【0033】

本発明の一実施形態では、コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が提供され、コンピュータ命令が実行されると、上記の方法のいずれか１つが実行される。

【0034】

本発明の一実施形態では、メモリとプロセッサとを含むＵＥが提供され、メモリは、その中に記憶されたコンピュータ命令を有し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、上記の方法のうちの任意の１つが実行される。

【0035】

本発明の実施形態は、以下の利点を提供することができる。

【0036】

本発明の実施形態によれば、プリコーディング情報フィールドは、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含むので、ＤＣＩにおける複数の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を示すことができる。したがって、ＵＥは、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいて対応するＰＵＳＣＨを送信することになり、信頼性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【0037】

【図1】アップリンクデータ送信方法のフローチャートである。

【図2】実施形態に係るＵＥの構成図である。

【発明を実施するための形態】

【0038】

Ｒｅｌ－１５、Ｒｅｌ－１６の仕様では、ＵＥは、各ＰＵＳＣＨを送信する際に、同一の送信ビームと同一の送信プリコーディング行列を使用する必要がある。Ｒｅｌ－１７仕様では、ＰＵＳＣＨの送信信頼性を向上させるために、各ＰＵＳＣＨが異なる送信ビームを使用できるようにすることが提案されている。しかし、ＤＣＩにおける複数の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列をどのように示すかについての解決策は存在しない。

【0039】

本発明の実施形態は、アップリンクデータ送信方法を提供する。この方法では、ＤＣＩのプリコーディング情報フィールドは、複数の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を示す。したがって、ＵＥは、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいて対応するＰＵＳＣＨを送信することになり、信頼性が向上する。

【0040】

本発明の目的、特徴、及び利点を分かり易くするために、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。

【0041】

図１は、アップリンクデータ送信方法のフローチャートである。この方法は、ステップ１１、１２、及び１３を含むことができる。

【0042】

１１で、ＵＥはＤＣＩを受信する。

【0043】

ＤＣＩは、サウンディング参照信号リソース指示フィールドとプリコーディング情報フィールドとを含み、サウンディング参照信号リソース指示フィールドは、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を含み、プリコーディング情報フィールドは、２つ以上の送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0044】

いくつかの実施形態では、送信されるアップリンクデータはＰＵＳＣＨである。ここで、送信ビームは、送信ビーム１と送信ビーム２とを含むものとし、送信すべきＰＵＳＣＨに対応する送信ビーム数を２とする。この場合、ＤＣＩは、送信ビーム１に対応する送信プリコーディング行列指示情報と、送信ビーム２に対応する送信プリコーディング行列指示情報を含んでいなければならない。

【0045】

いくつかの実施形態では、２つ以上のプリコーディング情報フィールドをＤＣＩに設定することができる。２つ以上のプリコーディング情報フィールドは、送信すべきアップリンクデータに対応する送信ビームと１対１に対応し、各プリコーディング情報フィールドは、対応する送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む。すなわち、送信プリコーディング行列をそれぞれ示すために用いられるＤＣＩには、異なる送信プリコーディング行列指示情報が設定されているため、異なる送信ビームに対応する送信プリコーディング行列をＤＣＩで示すことができる。

【0046】

いくつかの実施形態では、１つの送信プリコーディング行列指示情報のみをＤＣＩに設定することができ、１つの送信プリコーディング行列指示情報はすべての送信ビームに対応する。全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列は、プリコーディング情報フィールドによって示される。

【0047】

１２で、ＵＥは、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定する。

【0048】

いくつかの実施形態では、ＤＣＩが複数の送信プリコーディング行列指示情報を含む場合、各プリコーディング情報行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値を含むことができる。そして、対応するプリコーディング行列テーブルを検索することで、送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、対応するプリコーディング行列を得ることができる。

【0049】

表１は、３ＧＰＰ（登録商標） ＴＳ３８．２１２仕様のプリコーディング行列テーブルの１つであり、同一のプリコーディング行列テーブルが同一のレイヤ数に対応する。２つのアンテナポートを用いたコヒーレントコードブック送信をサポートするＵＥの場合、対応するプリコーディング行列は、表１から得ることができる。例えば、表１に示されるように、プリコーディング行列インデックス値が２である場合、対応するプリコーディング行列は、

【数1】

である。

【表1】

【0050】

なお、ＤＣＩに送信プリコーディング行列指示情報を１つのみ設定する場合は、ＤＣＩのプリコーディング情報を通じてプリコーディング行列指示情報を送信し、全ての送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を示す方法として様々な方法を用いることができるが、ここでは限定しない。

【0051】

いくつかの実施形態では、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームは、第１の送信ビームと、第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含む。第１の送信ビームは、スケジューリング情報における送信されるＰＵＳＣＨに対応する第１の送信ビームとすることができる。送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報と、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報と、を含むことができる。

【0052】

いくつかの実施形態では、送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値であってもよい。すなわち、送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報であっても、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報であっても、送信プリコーディング行列インデックス値としてよい。この送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、対応するプリコーディング行列テーブルを検索することで、対応するプリコーディング行列を得ることができる。

【0053】

いくつかの実施形態では、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列の位置情報である。

【0054】

送信プリコーディング行列インデックス値集合は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値を含み、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の送信プリコーディング行列は、同一のプリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する。

【0055】

すなわち、基地局は、第１の送信ビームの送信プリコーディング行列インデックス値を具体的に示すだけでなく、送信プリコーディング行列インデックス値集合における他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値のＤＣＩ位置情報を示すだけでもよい。集合内の送信プリコーディング行列インデックス値の順序は、プリコーディング行列テーブル内の順序と同じである。送信プリコーディング行列インデックス値集合が決定された後、他の送信ビームのいずれか１つに対応する送信プリコーディング行列インデックス値は、ＤＣＩで搬送される情報に従って決定される。

【0056】

例えば、基地局は、ＤＣＩにおいて、第２の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値が、送信プリコーディング行列インデックス値集合における第３の送信プリコーディング行列インデックス値であり、第３の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値が、送信プリコーディング行列インデックス値集合における第２の送信プリコーディング行列インデックス値であることを示してもよい。

【0057】

既存の仕様では、第１の送信ビームの対応する送信プリコーディング行列が位置するプリコーディング行列テーブルは、一意かつ決定的である。そして、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいてプリコーディング行列テーブルを決定し、プリコーディング行列テーブルから第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列と同数のレイヤを有するプリコーディング行列を決定して、送信プリコーディング行列インデックス値集合を形成する。

【0058】

したがって、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定することは、 送信プリコーディング行列インデックス値集合を、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定する、ことを含む。

【0059】

いくつかの実施形態では、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応する送信プリコーディング行列の数は、送信ビームの数と一致する。
いくつかの実施形態では、符号点は、数ビットからなるステータスを表す。例えば、２ビットは、００、０１、１０、１１の４つのステータス、すなわち、４種類の符号点を含む。

【0060】

また、ビットを節約するために、各符号点に対応するプリコーディング行列を予め設定しておいてもよい。また、各符号点は、１つのプリコーディング行列に対応していてもよいし、２つ以上のプリコーディング行列に対応していてもよいが、特に限定されない。ＤＣＩのプリコーディング情報フィールドにおいて、送信プリコーディング行列は、 単に１つの符号点を示すか、２つ以上の符号点を示してもよい第１の符号点指示情報により示される。また、各符号点に対応するプリコーディング行列の数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第１の符号点指示情報が示す符号点の数に関わらず、指示された符号点に対応する送信プリコーディング行列の数は、送信ビームの数と一致する。例えば、送信ビームの数が３つである場合、示された符号点に対応する送信プリコーディング行列の数も３つであるべきである。

【0061】

第１の符号点指示情報を取得した後、ＵＥは、現在のスケジューリングにおいて異なる送信ビームによって送信されたアップリンクデータに対応するプリコーディング行列を決定し得る。例えば、指示された符号点に対応する送信プリコーディング行列を、スケジュールされた送信ビームの送信プリコーディング行列として順次用いてもよい。

【0062】

１３において、ＵＥは、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいてアップリンクデータを送信する。

【0063】

各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値を決定した後、プリコーディング行列テーブルを検索することによって、対応する送信プリコーディング行列を得ることができる。送信プリコーディング行列の列数は、送信ビームに対応するレイヤの数である。送信プリコーディング行列及びレイヤ数情報は、対応する送信ビームを通じて対応するアップリンクデータを送信するために使用される。

【0064】

既存の仕様では、ＰＵＳＣＨにＰＴＲＳが含まれる場合、ＤＣＩは、ＰＴＲＳポート構成情報を示すＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含む。ＰＤＣＣＨがＵＥに複数のＰＵＳＣＨを送信するようにスケジュールする場合、ＵＥは、ｑ個の異なる送信ビームを使用するために各ＰＵＳＣＨをサポートする必要があり、ＰＴＲＳポート構成もまた、異なる送信ビームに対して異なり得る。しかし、ＤＣＩにおける複数の送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成をどのように示すかについての解決策は存在しない。

【0065】

この課題を解決するために、本発明の一態様では、ビットを節約するために、第１の符号点指示情報が示す符号点が、送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報にさらに対応し、第１の符号点指示情報が示す符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数が、送信ビームの数と一致する。この場合、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報は、ＤＣＩのプリコーディング情報フィールドによって示され、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、ゼロで満たされてもよく、有用な情報を搬送しない。

【0066】

また、各符号点は、１つのＰＴＲＳポート構成情報に対応していてもよいし、２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報に対応していてもよい。また、各符号点の対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第１の符号点指示情報が示す符号点の数に関わらず、指示された符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、送信ビームの数と一致する。例えば、送信ビーム数が２の場合、指示された符号点に対応するＰＴＲＳポートの数も２とする。

【0067】

ＰＴＲＳポート構成情報は、送信プリコーディング行列と対応付けられている。例えば、フルコヒーレントコードブック送信をサポートするＵＥの場合、１つの送信プリコーディング行列が１つのＰＴＲＳポートに対応し、部分コヒーレントコードブック送信をサポートするＵＥの場合、１つの送信プリコーディング行列が２つのポートに対応しうる。したがって、本方法は、第１の符号点指示情報に対応するＰＴＲＳポート構成情報と第１の符号点指示情報に対応する送信プリコーディング行列とに基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定することと、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列とＰＴＲＳポートとに基づいて、アップリンクデータを送信するステップと、をさらに含む。

【0068】

具体的には、第１の符号点指示情報を取得した後、第１の符号点指示情報に基づいて対応する送信ビームの送信プリコーディング行列を取得し、送信プリコーディング行列に基づいて対応するＰＴＲＳポート構成情報によって構成されるＰＴＲＳポートの数を決定し、ＰＴＲＳポートの数に基づいてＰＴＲＳポート構成情報から各ＰＴＲＳポートの構成を取得することができる。

【0069】

いくつかの実施形態では、ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含む。本方法は、送信プリコーディング行列と各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートとに基づいてアップリンクデータを送信するために、ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するステップをさらに含む。

【0070】

いくつかの実施形態では、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む。各ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、対応する送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含む。ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを構成するフィールドである。

【0071】

いくつかの実施形態では、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、第２の符号点指示情報によって示される符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数が送信ビームの数と一致する。

【0072】

また、実施形態によっては、各符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報を予め設定しておいてもよい。各符号点は、１つのＰＴＲＳポート構成情報に対応していてもよいし、２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報に対応していてもよいが、特に限定されない。ＤＣＩのＰＴＲＳポート指示情報フィールドでは、ＰＴＲＳポートは、単に１つの符号点又は複数の符号点を示すことができる第２の符号点指示情報を通じて構成される。また、符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第２の符号点指示情報が示す符号点の数に関わらず、指示された符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、送信ビームの数と一致する。

【0073】

第２の符号点指示情報を取得した後、ＵＥは、現在のスケジューリングの下で異なる送信ビームによって送信されたＰＵＳＣＨに対応するＰＴＲＳポート構成情報を決定し得る。例えば、指示された符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報を、スケジュールされた送信ビームのＰＴＲＳポート構成情報として順次用いてもよい。

【0074】

以上のことから、ＤＣＩにおいて、複数の送信ビームに対応したプリコーディング行列とＰＴＲＳポートを示すことができるため、信頼性の高いデータ伝送を実現することができる。
当業者が本発明をより良く理解し、実施することを可能にするために、上記の方法に対応する装置およびコンピュータ可読記憶媒体を以下で詳細に説明する。

【0075】

図２は、実施形態に係るＵＥ ２０の構成図である。ＵＥ ２０は、受信回路２１、プリコーディング行列決定回路２２、及び送信回路２３を含む。

【0076】

受信回路２１は、ＤＣＩを受信するように構成され、ＤＣＩは、サウンディング参照信号リソース指示フィールドとプリコーディング情報フィールドとを含み、サウンディング参照信号リソース指示フィールドは、送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームの指示情報を含み、プリコーディング情報フィールドは、２つ以上の送信ビームのそれぞれに対応する送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0077】

プリコーディング行列決定回路２２は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成される。

【0078】

送信回路２３は、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に基づいてアップリンクデータを送信するように構成されている。

【0079】

いくつかの実施形態では、プリコーディング情報フィールドは、すべての送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上の送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0080】

いくつかの実施形態では、送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値である。

【0081】

いくつかの実施形態では、プリコーディング行列決定回路２２は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成される。

【0082】

送信されるアップリンクデータに対応する２つ以上の送信ビームは、第１の送信ビームと、第１の送信ビームではない少なくとも１つの他の送信ビームとを含み、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値であり、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームの位置情報であり、送信プリコーディング行列インデックス値集合は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値を含み、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の送信プリコーディング行列は、同一のプリコーディング行列テーブルに配置され、同一のレイヤ数を有する。

【0083】

いくつかの実施形態では、プリコーディング行列決定回路２２は、第１の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、送信プリコーディング行列インデックス値集合を決定するように構成された第１の決定サブ回路２２１と、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて、送信プリコーディング行列インデックス値集合内の少なくとも１つの他の送信ビームに対応する少なくとも１つの送信プリコーディング行列インデックス値を決定するように構成された第２の決定サブ回路２２２と、少なくとも１つの他の送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報に基づいて決定し、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列インデックス値に基づいて各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列を決定するように構成された第３の決定サブ回路２２３と、を含む。

【0084】

いくつかの実施形態では、プリコーディング情報フィールドは、すべての送信ビームに対応する１つの送信プリコーディング行列指示情報を含む。

【0085】

いくつかの実施形態では、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列指示情報は、第１の符号点指示情報であり、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応する送信プリコーディング行列に対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応する送信プリコーディング行列の数は、送信ビームの数と一致する。

【0086】

いくつかの実施形態では、各第１の符号点指示情報によって示される符号点は、１つの送信プリコーディング行列、または２つ以上の送信プリコーディング行列に対応する。

【0087】

いくつかの実施形態では、第１の符号点指示情報によって示される符号点は、送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報にさらに対応し、第１の符号点指示情報によって示される符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数は、送信ビームの数と一致する。

【0088】

ＵＥ ２０は、第１の符号点指示情報に対応するＰＴＲＳポート構成情報と、第１の符号点指示情報に対応する送信プリコーディング行列とに基づいて、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第１のＰＴＲＳポート決定回路２４をさらに含み、送信回路２３は、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列とＰＴＲＳポートとに基づいて、アップリンクデータを送信するように構成されている。

【0089】

いくつかの実施形態では、ＤＣＩは、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポート構成情報を含むＰＴＲＳポート指示情報フィールドをさらに含む。

【0090】

ＵＥ ２０は、ＰＴＲＳポート構成情報に基づいて各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定するように構成された第２のＰＴＲＳポート決定回路２５をさらに含み、送信回路２３は、各送信ビームに対応する送信プリコーディング行列とＰＴＲＳポートに基づいてアップリンクデータを送信するように構成されている。

【0091】

いくつかの実施形態では、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、送信ビームにそれぞれ１対１に対応付けられた２つ以上のＰＴＲＳポート構成情報を含む。

【0092】

いくつかの実施形態では、ＰＴＲＳポート指示情報フィールドは、第２の符号点指示情報である１つのＰＴＲＳポート構成情報を含み、第２の符号点指示情報によって示される符号点に対応するＰＴＲＳポート構成情報の数が送信ビームの数と一致する。

【0093】

いくつかの実施形態では、ＤＣＩは、プリコーディング情報フィールドを通じて、またはＰＴＲＳポート指示情報フィールドを通じて、異なる送信ビームのためにＰＴＲＳポートを構成することを理解されたい。したがって、ＵＥ ２０は、第１のＰＴＲＳポート決定回路２４によって、または第２のＰＴＲＳポート決定回路２５によって、各送信ビームに対応するＰＴＲＳポートを決定する。

【0094】

以上のことから、本発明の実施形態に係るＵＥ ２０では、ＤＣＩが異なる送信ビームに対応するプリコーディング行列及びＰＴＲＳポートを示すことから、アップリンクデータの信頼性の高い送信を実現することができる。

【0095】

受信回路２１、プリコーディング行列決定回路２２、及び送信回路２３を含む装置（仮想装置）は、例えば、チップ又はチップモジュールとすることができる。

【0096】

本発明の実施形態は、さらに、コンピュータ命令がプロセッサによって実行されると、上記のアップリンクデータ送信方法のうちの任意の１つが実行される、コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を提供する。

【0097】

いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、ＲＯＭ、ＲＡＭ、磁気ディスク、またはコンパクトディスクなどを含むことができる。

【0098】

本発明の一実施形態は、さらに、メモリとプロセッサとを含むＵＥを提供し、メモリは、コンピュータ命令を格納し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、アップリンクデータ送信方法のうちのいずれか１つが実行される。

【0099】

上記実施形態で説明した各装置及び製品に含まれるモジュール／ユニットは、ソフトウェアモジュール／ユニット、ハードウェアモジュール／ユニット、又はソフトウェアモジュール／ユニットとハードウェアモジュール／ユニットの組み合わせとすることができる。例えば、チップに適用され、又はチップに統合された装置又は製品ごとに、その中に含まれる各モジュール／ユニットは、回路などのハードウェアによって実装されてもよく、又は少なくともいくつかのモジュール／ユニットは、チップの内部に統合されたプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムによって実装されてもよく、モジュール／ユニットの残りの（もしあれば）部分は、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。また、チップモジュールに適用又は集積される装置又は製品ごとに、その中に含まれる各モジュール／ユニットを、回路などのハードウェアによって実現する構成としてもよい。異なるモジュール／ユニットを、同一の構成要素（チップまたは回路モジュールなど）に配置してもよいし、チップモジュールの異なる構成要素に配置してもよい。または、少なくとも一部のモジュール／ユニットは、チップモジュール内に統合されたプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムによって実装されてもよく、モジュール／ユニットの残りの（もしあれば）部分は、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。また、端末に適用又は統合される装置又は製品ごとに、その中に含まれる各モジュール・ユニットを、回路などのハードウェアによって実現する構成としてもよい。異なるモジュール／ユニットを、同一の構成要素（チップや回路モジュールなど）に配置してもよいし、端末の異なる構成要素に配置してもよい。または、少なくとも一部のモジュール／ユニットは、端末内に統合されたプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムによって実装されてもよく、モジュール／ユニットの残りの（もしあれば）部分は、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。

【0100】

本発明は、その好ましい実施形態を参照して上記で開示されたが、本発明は、例としてのみ提示され、限定として提示されないことを理解されたい。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態を修正し、変更することができる。

【図1】

【図2】