(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】過剰な遊離LIGHTに関与する方法及び治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240822BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20240822BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240822BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240822BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240822BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P11/00
A61P11/16
A61P29/00
A61P37/04
A61P31/14
A61P43/00 105
C12N15/13
C07K16/24
(21)【出願番号】P 2022559844
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021025068
(87)【国際公開番号】W WO2021202649
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-11-16
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522384547
【氏名又は名称】アヴァロ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ニール, ギャリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ザフィア-ラビ, インバル
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-502183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0315876(US,A1)
【文献】mSphere,2020年08月,Vol.5 No.4,e00699-20(p.1-4)
【文献】NCT04412057,ClinicalTrials.gov archive, [online],[2024年2月1日検索],https://clinicaltrials.gov/study/NCT04412057?term=NCT04412057&rank=1&tab=history&a=7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
COVID-19に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)又は急性肺損傷(ALI)を治療するための組成物であって、前記組成物は、配列番号2の配列を有するCDR-H1、配列番号3の配列を有するCDR-H2、配列番号4の配列を有するCDR-H3、配列番号5の配列を有するCDR-L1、配列番号6の配列を有するCDR-L2、及び配列番号7の配列を有するCDR-L3を含む重鎖及び軽鎖可変領域を含む抗LIGHT抗体を含み、治療を必要とするヒト対象に投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記対象が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記対象が、急性肺損傷(ALI)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記対象が、肺炎を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の投与が、前記対象における血清遊離LIGHTレベルを低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約16mg/kgの単回用量の前記抗LIGHT抗体が投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記対象が、コルチコステロイド、ヒドロキシクロロキン、及び/又はレムデシビルを含む抗COVID-19療法を受けてきているか、又は現在受けていることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の投与が、投与後28日及び/又は60日で、前記対象の死亡リスクを50%以上低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記対象が、60歳以上である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の投与が、前記対象の呼吸不全のリスクを低減する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月1日に出願された米国仮出願第63/003,826号、2020年5月19日に出願された米国仮出願第63/027,127号、及び2021年1月4日に出願された米国仮出願第63/133,636号に対する優先権の利益を主張し、その各々の内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当該ASCIIコピーは、2021年3月26日に作成され、01118-0047-00PCT_US_ST25.txtと名付けられており、サイズが27,637バイトである。
【0003】
本開示は、クローン病(CD)若しくはクローン病に関連する炎症性状態を有する対象、多系統臓器不全をもたらし得る免疫調節不全を有する対象、又はCOVID-19を含む、コロナウイルス感染症に関連するものを含む、急性肺損傷(ALI)若しくは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する対象を含む、上昇した遊離LIGHTレベルに関連する状態を有する対象を診断及び治療する方法に関する。例えば、いくつかの実施形態において、対象は、抗LIGHT抗体で治療され得る。本開示はまた、遊離LIGHTを検出するための新規アッセイに関する。
【背景技術】
【0004】
2019年12月に、2019新型コロナウイルス2019-nCoV(SARS-CoV-2)の蔓延が世界的な緊急事態として出現し、高い罹患率及び死亡率の両方を引き起こした。SARS-CoV-2は、中国の武漢を起源とする(Wu,F.et al.Nature 579,265-269(2020))が、世界中に急速に広がり、世界保健機関によって世界的なパンデミックに指定されている。ウイルスは感染性が高く、世界の人口の最大60%が最終的にSARS-CoV-2に感染するようになり得ると推定されている。これは、米国だけで、1億8000万人を超えることを示す。
【0005】
COVID-19は、SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患である。COVID‐19感染症の初期症状には、咳、息切れ、及び肺炎を含む呼吸器症状を伴うか、又は伴わない、発熱が含まれる。ほとんどの対象では、疾患は軽度であり、自己限定的であるが、15%~20%が重度の呼吸器疾患を経験し、入院及び酸素療法を必要とする。(Huang,C.et al.Lancet 395,497-506(2020))。これらの対象の多くは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の出現のために、集中治療及び人工呼吸を必要とし(同上、Graham,R.L.,Donaldson,E.F.&Baric,R.S.Nature reviews.Microbiology 11,836-848(2013))、他のウイルス性呼吸器症候群(すなわち、SARS、MERS、及びH1N1)の十分に報告された潜在的に致命的な合併症である。COVID-19の他の合併症には、不整脈、ショック、急性腎臓損傷、急性心臓損傷、肝機能障害、及び二次感染症が含まれる。(Huang C,et al.,Lancet(2020)、Wang,D.et al.,JAMA(2020))。
【0006】
累積的な証拠は、死亡率の主原因が、サイトカインストームを生じる制御の解かれた免疫応答、急性肺損傷、及び致命的な呼吸不全をもたらす急性呼吸器疾患症候群(ARDS)であることを示唆する。回復する対象でさえ、長期持続性及び衰弱性の後遺症があり得る。COVID-19関連の過剰炎症及びARDSを制御する、サイトカイン中和治療剤が緊急に必要とされている。
【0007】
COVID-19及び他のヒトコロナ呼吸器ウイルス(hCoV)感染症では、ARDSは、「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰な炎症促進性サイトカイン及びケモカインの放出によって現れる調節不全の過剰炎症反応から生じると思われる。(Channappanavar,R.&Perlman,S.Seminars in immunopathology 39,529-539,(2017)、Mehta,P.The Lancet(2020))。サイトカイン及びケモカインは、ウイルス感染の際に免疫及び免疫病理において重要な役割を果たすと長い間考えられてきた。迅速かつ良好に調整された自然免疫応答は、ウイルス感染に対する最初の防御線であるが、調節不全化した過剰な免疫応答は、免疫病理を引き起こし得る。(Fehr,A.R.,Channappanavar,R.&Perlman,S.Annual review of medicine 68,387-399(2017)、Channappanavar,R.et al.Cell host&microbe 19,181-193(2016))。SARS及びMERSの際に肺病理における炎症促進性サイトカイン及びケモカインの関与に関する直接的な証拠はないが、重度の疾患を有する対象からの相関的な証拠は、hCoV病因における過剰炎症反応の役割を示唆する。(Channappanavar,Seminars in immunopathology 39,529-539(2017)、Mehta(2020)、Sandoval-Montes,C.&Santos-Argumedo,L.Journal of leukocyte biology 77,513-521(2005)、Xu et al.,Microbiol 6(10):130(2019))。
【0008】
COVID-19感染症におけるサイトカインストームは、初期の迅速なウイルス複製から生じると考えられており、それは免疫無防備状態の対象で更に高い可能性があり得る。SARS-CoV及びMERS-CoVなどの病原性ヒトコロナウイルスの顕著な特性は、両ウイルスが、インビトロ及びインビボの両方で感染後、非常に早く高力価まで複製することである(Gralinski,L.E.&Baric,R.S.The Journal of pathology 235,185-195(2015))。この高い複製は、増強された細胞変性効果、並びに感染した上皮細胞による、より高いレベルの炎症促進性サイトカイン及びケモカインの産生につながる可能性がある。(Xiao,F.et al.Gastroenterology(2020))。これらのサイトカイン及びケモカインは次に、肺への炎症性細胞の大規模な浸潤を組織化する。(Gralinski,L.E.&Baric,R.S.The Journal of pathology 235,185-195(2015))。ヒト及び実験動物におけるhCoV感染からの試験は、高いSARS-CoV及びMERS-CoVの力価と疾患の重症度との間の強い相関関係を実証した。感染症はまた、サイトカイン(例えば、IL4及びIL10)の分泌を増加させるように思われ、これは次いで、T細胞活性化を増加させることができる。(Sandoval-Montes(2005);Xu,Z.et al.The Lancet.Respiratory medicine(2020))。そのため、肺における組織損傷及び血管透過性を促進するサイトカインストームは、部分的には、サイトカインの発現の増加に伴うT細胞活性化によって媒介される可能性が高い。
【0009】
加えて、報告は、ARDSの結果であることが知られている肺性(肺)線維症が、既知のCOVID-19感染合併症であることを示す。(Huang,C.et al.Lancet 395,497-506(2020))。
【0010】
ヒト及び動物の両試験は、hCoV感染後の肺における炎症性単球-マクロファージ及び好中球の蓄積を実証する。これらの細胞は、ヒト及び動物の両モデルで観察されるhCoV致死性疾患に関連するサイトカイン及びケモカインの主な供給源である。(Channappanavar,Seminars in immunopathology(2017))。
【0011】
COVID-19の治療の主な焦点は、適切な抗ウイルス及びワクチン接種のアプローチの開発であるが、現在は、COVID-19に関連するARDSの治療のための確立された治療法は存在しない。サイトカインストームを標的とする薬剤には、IL-1β及びIL-6アンタゴニストを含むサイトカイン指向療法が含まれているが、サイトカインストームに関連するALIの治療及び/又は予防のために確立された単一療法はない。COVID-19に関連する急性肺損傷(ALI)及びARDSにおける安全で効果的な療法の開発が、この世界的なパンデミックの死亡率及び感染後の罹患率を大幅に低下させ、医療システムにかかる厳しい負担を軽減することができる。
【0012】
更に、症例検出を可能にしたCOVID-19の最初の臨床徴候は、肺炎だった(Chan,JF,et al.,Lancet(2020))。COVID-19肺炎の合併症には、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、不整脈、ショック、急性腎臓損傷、急性心臓損傷、肝機能障害、及び二次感染が含まれる(Huang C,et al.,Lancet(2020)、Wang,D.et al.,JAMA(2020))。COVID-19における死亡率の主な原因は、サイトカインストーム、急性肺損傷、及びARDSを引き起こす機能不全の過免疫応答であると思われる。COVID-19患者の15~20%が重度の呼吸器疾患を経験し、入院及び酸素療法を必要とする(Huang C,et al.,Lancet(2020))。COVID-19を有する患者におけるCOVID-19肺炎のARDSへの進行を防止する治療法は現在存在しない。
【0013】
クローン病(CD)は、合併症の高いリスク及び外科的介入の必要性を有する、消化管の特発性、慢性、炎症性状態である。クローン病は、早期幼児期から後期成人期までのほぼ全ての時点で臨床的に明らかになり得る一生続く障害である。(Freeman,Natural history and long-term clinical course of Crohn’s disease,World J.Gastroenterol.,2014:20(1);31-36)。疾患の検出又は診断の典型的な年齢は、通常、10代後半及び20代前半であり、最近20~30年の間に、クローン病の患者の80%以上が40歳前に診断される。(Freeman 2014)。
【0014】
クローン病は消化管全体に影響を及ぼし得る。(Shi and Ng,The state of the art on treatment of Crohn’s disease,J.Gastroenterol.,2018:53;989-998)。患者の大部分は、診断後10年間に慢性的な断続的経過を有する。疾患は進行性であるように思えるが、進行の速度は薬の使用又は外科的介入によって変化若しくは遅延し得る。(Freeman 2014)。一般的な症状には、下痢、腹痛、直腸出血、発熱、体重減少、及び疲労が含まれる。(Veauthier and Hornecker,Crohn’s Disease:Diagnosis and Management,Am.Fam.Physician,2018:98(11);661-669)。
【0015】
コルチコステロイド及びチオプリンは主要な治療であり続けているが、抗TNF剤が疾患経過の早期に次第に処方されてきている。(Shi and Ng 2018)。抗TNF療法は、予後不良の高いリスクを有する患者に推奨される。(Shi and Ng 2018)。しかしながら、抗TNF療法に対する一次的な非応答又は二次的な応答の欠如が、患者の高い比率で生じる。(Shi and Ng 2018)。したがって、新規の改善された療法が必要とされる。
【0016】
重要な免疫調節性サイトカインであり、TNFSF14(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14)としても知られる、LIGHT(「リンホトキシンに相同であり、誘導性発現を示し、Tリンパ球上に発現される受容体であるHVEM(ヘルペスウイルス侵入メディエーター)との結合でHSV糖タンパク質Dと競合する(homologous to Lymphotoxin,exhibits Inducible expression and competes with HSV Glycoprotein D for binding to HVEM(herpesvirus entry mediator),a receptor expressed on T lymphocytes)」の頭文字)は、ウイルス感染の間に高レベルで分泌され、ARDS関連の肺線維症及びサイトカインストームを支持する。(Xu,W.et al.Frontiers in Microbiology 10,130(2019))。好中球及びマクロファージは、高レベルのLIGHT及びTNFを発現し、これらの炎症性サイトカインの主要な供給源である。(Kwon,B.S.et al.The Journal of Biological Chemistry 272,14272-14276(1997))。
【0017】
LIGHT(TNFSF14)は、腫瘍壊死因子スーパーファミリーに属し、活性化T細胞、単球-マクロファージ、及び追加のタイプの抗原提示細胞によって発現される。LIGHTは免疫系の「マスターレギュレーター」のうちの1つと考えられ、免疫応答を制御する伝達システムにおいて重要な役割を有する。LIGHTは、二重の作用機序を有し、その効果を、T細胞及びB細胞の両方を活性化すること、並びに他の炎症性サイトカインを上方調節することによって発揮する。
【0018】
LIGHTは、2つの主要な受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)及びリンホトキシンβ受容体(LTβR)を活性化し、ともに肺上皮細胞で発現される。感染初期に、好中球及びマクロファージから放出されたLIGHTは、細胞受容体に結合して、炎症性細胞浸潤を引き起こし、高レベルのTNF及び追加の炎症促進性サイトカインを放出する。LIGHTはまた、炎症促進効果及び組織損傷効果を駆動するT細胞活性化において共刺激の役割を有する。(Ware,C.F.Advances in experimental medicine and biology 647,146-155(2009)、Ware,C.F.Immunological reviews 223,186-201(2008))。したがって、LIGHTは、クローン病、IBD、関節リウマチ、及び線維症などの多くの免疫媒介性病態において役割を有する。LIGHTの追加の受容体は、LIGHTに結合し、受容体結合と競合することによってその活性を妨げるデコイ受容体(DCR3と呼ばれる)である。(Steinberg,M.W.,et al.,M.Seminars in immunopathology 31,207-221(2009)、Wroblewski,V.J.et al.Biochemical pharmacology 65,657-667(2003))。過剰炎症及びサイトカインストーム状態では、DcR3が圧倒され、高いDCR3フリー(活性)LIGHTを生成する可能性が高い。
【0019】
LIGHTは、ウイルス性肺炎において重要な役割を果たすことが示されている。LIGHTタンパク質は、遺伝子のTNFファミリー及びIL-1ファミリーの一部、並びに健常対照と比較してこれらの対象において上昇する同族タンパク質として、ウイルス感染によって引き起こされる重度の肺炎を示す対象のPBMCにおいて上昇することが報告されている。(Xu(2019))。LIGHTレベルは、疾患の重症度と相関し、-疾患が軽度から重度に進行したとき、LIGHTレベルが上昇した。
【0020】
肺における高いLIGHTレベルは、肺線維症の推進力であり得る。肺胞及び間質線維症は、ARDSの特徴であり(Marshall,R.,Bellingan,G.&Laurent,G.Thorax 53,815-817(1998))、更なる肺損傷及び支持的機械的人工呼吸の必要性の原因である。過剰に活性化された線維芽細胞は、肺線維症の主要な原因である。感染後、線維芽細胞は増殖し、筋線維芽細胞に分化し、肺胞空間に移動する。過剰活性化された筋線維芽細胞は、細胞外マトリックスを分泌し、基底膜に付着を形成する。結果として、このプロセスは、不規則な細胞外マトリックスによって肺胞空間の消失をもたらす。(Quesnel,C.et al.The European respiratory journal 35,1312-1321(2010))。LIGHTはいくつかの機序で肺線維症を支持する。最近、da Silvaら(da Silva Antunes,R.,Mehta,A.K.,Madge,L.,Tocker,J.&Croft,M.Front Immunol 9,576(2018))は、肺線維症のプロセスでの線維芽細胞増殖の促進におけるLIGHTのその受容体LTβRを介した役割を報告した。
【0021】
LIGHTにおける遺伝的欠損、及びLIGHTがその受容体の両方に結合するのを遮断することは、重度の喘息のモデル及び特発性肺線維症のモデルにおいて、アレルゲン負荷マウスの肺における組織リモデリング及び線維化を強力に低減した。(Doherty,T.A.et al.Nature medicine 17,596-603,(2011))。LIGHTを中和すると、低下した線維化表現型を示す。(Da Silva(2018);Herro,R.&Croft,M.Pharmacol Res 104,151-155(2016))。線維症の治療としてLIGHTを中和するこの戦略は、ARDSに由来する線維症に関連するはずである。高いLIGHTレベルは、LTβR及びHVEM(TNFRSF14)を介して、気管支細胞及び肺胞上皮細胞による高いサイトカイン分泌をインビトロで誘導し、ステロイド抵抗性肺炎を支持する。(da Silva Antunes,R.,Madge,L.,Soroosh,P.,Tocker,J.&Croft,M.Journal of immunology(Baltimore,Md.:1950)195,2429-2441(2015)、Herro,R.,Da Silva Antunes,R.,Aguilera,A.R.,Tamada,K.&Croft,M.The Journal of allergy and clinical immunology 136,757-768(2015))。
【0022】
LIGHTは、粘膜炎症及び炎症性腸疾患(IBD)病因において重要なメディエーターとしての役割を有する(Cohavy et al.,LIGHT expression by mucosal T cells may regulate IFN-gamma expression in the intestine,J.Immunol.,2004;173(1):251-8、Ware,CF,Network Communications:Lymphotoxins,LIGHT and TNF,Annual Rev.Immunol.,2005:23:787-819、Cohavy et al.,LIGHT is constitutively expressed on T and NK cells in the human gut and can be induced by CD2-mediated signaling,J.Immunol.,2005:174:646-53、Wang et al.,The critical role of LIGHT in promoting intestinal inflammation and Crohn’s disease,J.Immunol.,2005:174;8173-82)。ヒトLIGHT遺伝子は、CDの病因に関与している領域である染色体19p13.3に位置する(Granger et al.,Genomic characterization of light reveals linkage to an immune response locus on chromosome 19p13.3 and distinct isoforms generated by alternate splicing or proteolysis,J.Immunol.,2001:167:5122-28、Rioux et al.,Genome wide search in Canadian families with inflammatory bowel disease reveals two novel susceptibility loci,Am.J.Hum.Genet.,2000:66:1863-70)。LIGHTが細胞免疫応答中に重要な炎症促進性シグナルを提供するという概念は、IBD患者における試験によって補強される。LIGHTメッセンジャーリボ核酸(RNA)は、小腸の炎症した領域からの生検で上方制御されている(Cohavy et al.,LIGHT is constitutively expressed on T and NK cells in the human gut and can be induced by CD2-mediated signaling,J.Immunol.,2005:174:646-53)。
【0023】
デコイ受容体3は、TNFスーパーファミリー(TNFRSF6B)に属する(Yu et al.,A newly identified member of tumor necrosis factor receptor superfamily(TR6)suppresses LIGHT-mediated apoptosis,J.Biol.Chem.,1999:274(20):13733-6)。それはリガンド結合で死受容体と競合するデコイ受容体として機能し、Fasリガンド(FasL)-及びLIGHT-媒介性細胞死及びT細胞活性化を抑制する調節的な役割を果たし、その上、TNF様リガンド1A(TL1A)の中和を介した血管新生を誘導すると仮定される(Yu et al.1999)。デコイ受容体3は、CDを有する患者における回腸標本の上皮層で、活動的な炎症部位及び非活動部位の両方で過剰発現される。デコイ受容体3の血清レベルは、健常対照と比較して、活動性及び非活動性CDを有する患者において有意に上昇する。腸上皮細胞におけるDcR3の発現は、TNFαによって誘導される。増加したDcR3発現は、核因子カッパB(NF-κB)の活性化に関連し、CD95L誘発性アポトーシスからの腸上皮細胞及び固有層T細胞の保護をもたらす(Funke et al.,Functional characterisation of decoy receptor 3 in Crohn’s disease.Gut,2009:Apr;58(4):483-91)。DcR3の欠損変異体が、最近、小児発症IBDを有する患者で観察されており、これは、潜在的にはTNF及びLIGHTの効果を緩和することによる、DcR3における重要な保護的役割を更に示唆する(Cardinale et al.,Targeted resequencing identifies defective variants of decoy receptor 3 in pediatric-onset inflammatory bowel disease,Genes Immun.2013:Oct;14(7):447-52))。
【0024】
上述された、IBDの病因におけるLIGHT及びDcR3の役割は、DcR3に機能喪失型変異を有するか、又は有しないCD患者における抗LIGHTモノクローナル抗体の試験について理論的根拠を提供する。
現在利用可能なアッセイのほとんどは、LIGHTがDcR3を含むその受容体に結合したものを含む総LIGHTのみを測定する。総LIGHTは、遊離した、結合されていないLIGHTであり得る、疾患を引き起こすLIGHTのレベルの正確な描写を提供し得ない。したがって、遊離LIGHTのみを測定する改善されたLIGHTアッセイが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0025】
【文献】Wu,F.et al.Nature 579,265-269(2020)
【文献】Huang,C.et al.Lancet 395,497-506(2020)
【文献】Graham,R.L.,Donaldson,E.F.&Baric,R.S.Nature reviews.Microbiology 11,836-848(2013)
【文献】Channappanavar,R.&Perlman,S.Seminars in immunopathology 39,529-539,(2017)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本開示は、例えば、以下の実施形態のいずれか1つ又は組み合わせを含む。
実施形態1.対象の生体試料における遊離LIGHTの存在を検出する方法であって、
(a)生体試料を少なくとも1つの抗LIGHT抗体と接触させるステップと、
(b)生体試料をインキュベートして、抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させるステップと、
(c)生体試料における抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出するステップと、を含む、方法。
実施形態2.対象における上昇した遊離LIGHTに関連する状態を診断する方法であって、
(a)生体試料を少なくとも1つの抗LIGHT抗体と接触させるステップと、
(b)生体試料をインキュベートして、抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させるステップと、
(c)生体試料における抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出するステップと、
(d)対照と比較して高いレベルの遊離LIGHTが検出される場合に、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有するとして対象を診断するステップと、を含む、方法。
実施形態3.上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に、有効量の抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態4.上昇した遊離LIGHTに関連する状態の治療を必要とする対象におけるそれを治療する方法であって、
(a)対象から単離された生体試料を第1の抗LIGHT抗体と接触させることと、
(b)生体試料をインキュベートして、第1の抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させることと、
(c)生体試料における第1の抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出することと、
(d)対象に、有効量の第2の抗LIGHT抗体を投与することであって、第1の抗体と第2の抗体とが異なり、それによって上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する、投与することと、を含む、方法。
実施形態5.上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、
(a)炎症であって、任意選択的に、炎症が過剰炎症である、炎症、
(b)多系統臓器不全につながる免疫調節不全、
(c)急性肺傷害(ALI)であって、任意選択的に、ALIが、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、ALI、
(d)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であって、任意選択的に、ARDSが、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、ARDS、
(e)組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム、
(f)感染後の肺線維症、並びに
(g)肺炎であって、任意選択的に、肺炎が、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、肺炎、のうちのいずれか1つ以上を含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6.遊離LIGHTの検出が、上昇した遊離LIGHTに関連する状態の抗LIGHT抗体による治療が有効であることを示す、実施形態2、4、及び5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7.対象に投与された抗LIGHT抗体が、T細胞活性化を抑制する、実施形態3~6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8.対象に投与された抗LIGHT抗体が、サイトカインの増加した発現を抑制する、実施形態3~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9.対象に投与された抗LIGHT抗体が、対象の死亡又は罹患のリスクを低減する、実施形態3~8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10.対象に投与された抗LIGHT抗体が、ARDSへの進行を防止する、実施形態3~9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11.対象に投与された抗LIGHT抗体が、対象の人工呼吸/挿管の必要性を防止する、実施形態3~10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12.重度COVID-19肺炎を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態13.COVID-19肺炎に関連する急性炎症性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態14.COVID-19肺炎に関連する呼吸不全を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態15.サイトカインストームを治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態16.調節不全の過免疫応答(「サイトカインストーム」と称される場合がある)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態17.急性呼吸器疾患症候群(ARDS)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
実施形態18.抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、実施形態1及び2のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19.第1の抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27;
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含み、
第2の抗LIGHT抗体が、上記(a)~(h)又は配列番号2、3、4、5、6、及び7のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3、のセットうちのいずれか1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態20.対象に投与される抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21;
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、実施形態3及び5~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21.抗体が、WO2015/107331に記載の抗体1C02、13H04、31A10、1C06、98C07、18E04、42A02、29C09、14B09、117C06、114F05、又は62C01のうちのいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22.上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、コロナウイルス感染症である、実施形態2~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23.上昇した遊離にLIGHTに関連する状態が、COVID-19感染症である、実施形態22に記載の方法。
実施形態24.コロナウイルス感染症が、MERS-CoV又はSARS-CoV感染症である、実施形態23に記載の方法。
実施形態25.上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である、実施形態2~24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26.投与される抗LIGHT抗体が、それぞれ、配列番号2、3、4、5、6、及び7のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27.約16mg/kgの単回用量の抗LIGHT抗体が、投与される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28.対象が、抗COVID-19療法を受けてきているか、又は現在受けており、任意選択的に、療法が、コルチコステロイド、ヒドロキシクロロキン、及び/又はレムデシビルである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29.コルチコステロイドの用量が、高用量とみなされる、実施形態28に記載の方法。
実施形態30.対象が、ヒトである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31.対象が、任意選択的にコロナウイルス感染症によって引き起こされる、呼吸器疾患を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32.対象が、肺炎を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33.対象が、急性肺損傷(ALI)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34.対象が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35.対象が、軽度のコロナウイルス感染症を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態36.対象が、中度のコロナウイルス感染症を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37.対象が、重度のコロナウイルス感染症を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38.対象が、コロナウイルス感染症の初期感染(ステージI)にある、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39.対象が、コロナウイルス感染症の肺段階(ステージII)にある、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40.対象が、コロナウイルス感染症の過炎症段階(ステージIII)にある、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41.対象が、小児の対象である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42.対象が、成人である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43.実施形態1~3、5~18、及び20~42のいずれか1つに記載の方法に使用するためのキットであって、抗LIGHT抗体及び方法を実行するための試薬を含む、キット。
実施形態44.実施形態4及び19のいずれか1つに記載の方法に使用するためのキットであって、第1の抗LIGHT抗体及び第2のLIGHT抗体であって、第1及び第2の抗体が異なる、抗LIGHT抗体と、方法を実行するための試薬と、を含む、キット。
実施形態45.抗LIGHT抗体が結合される固相を更に含む、実施形態43に記載のキット。
実施形態46.第1の抗LIGHT抗体が結合される固相を更に含む、実施形態44に記載のキット。
実施形態47.生体試料に由来する遊離LIGHTが結合される固相を更に含む、実施形態43又は44に記載のキット。
実施形態48.対象からの遊離LIGHTを含有することが疑われる試料における遊離/非結合腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14又はLIGHT)の量を決定する方法であって、
(a)試料を、遊離LIGHTに特異的に結合するが、結合しているLIGHTには結合しない、遊離LIGHTに対する捕捉分子と接触させることと、
(b)試料をインキュベートして、捕捉分子を遊離LIGHTに結合させることと、
(c)遊離LIGHTと捕捉分子との結合を検出して、試料における遊離LIGHTの量を決定することと、を含む、方法。
実施形態49.捕捉分子が、抗体であり、任意選択的に、抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27;
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む抗LIGHT抗体を含む、実施形態48に記載の方法。
実施形態50.捕捉分子が、遊離LIGHTに特異的に結合するが、LIGHT/DcR3複合体、LIGHT/HVEM複合体、又はLIGHT/LTβR複合体には結合しない、実施形態48~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51.捕捉分子が、LIGHTがDcR3に結合する部位で、又はLIGHTがDcR3に結合する部位の近傍で、遊離LIGHTに特異的に結合する、実施形態48~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52.捕捉分子が、LIGHTがDcR3に結合する部位で、遊離LIGHTに特異的に結合する、実施形態51に記載の方法。
実施形態53.検出分子が提供され、検出分子が、捕捉分子が結合する部位とは異なる部位でLIGHTに結合する、実施形態48~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54.試料中の遊離LIGHTと総LIGHTとの量を比較することを更に含む、実施形態48~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55.捕捉分子が、抗体である、実施形態48~54のいずれか1つに記載の方法。
実施形態56.捕捉分子が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体又は二重効果的抗体、サル化抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体から選択される抗体である、実施形態48~55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57.捕捉抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態48~56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58.捕捉抗体が、支持体(例えば、Simoaプラットフォームにおけるナノ粒子)に結合される、実施形態48~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59.捕捉抗体が、Enzo ALX-804-841-C100である、実施形態48~58のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60.検出分子が、抗体である、実施形態48~59のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61.検出分子が、モノクローナル抗体である、実施形態48~60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62.捕捉抗体が、Enzo ALX-804-841-C100であり、検出抗体が、ProSci RF16062である、実施形態48~61のいずれか1つに記載の方法。
実施形態63.当該試料が、血清、血漿、唾液、又は糞便である、実施形態48~62のいずれか1つに記載の方法。
実施形態64.当該試料が、血清試料である、実施形態48~63のいずれか1つに記載の方法。
実施形態65.クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含み、抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21;
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、方法。
実施形態66.1.0mg/kgの用量の抗LIGHT抗体が、14日毎に投与される、実施形態25又は65に記載の方法。
実施形態67.3.0mg/kgの用量の抗LIGHT抗体が、14日毎に投与される、実施形態25又は65に記載の方法。
実施形態68.対象が、ヒトである、実施形態65~67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態69.対象が、成人である、実施形態65~68のいずれか1つに記載の方法。
実施形態70.対象が、承認された治療用量の抗TNFαモノクローナル抗体治療による治療に、初期応答がないか、又は誘導に対する初期応答がそれに続く応答を伴わないかのいずれかで失敗している、実施形態65~69のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71.抗LIGHT抗体の投与が、対象のCDAIスコアを低下させる、実施形態65~70のいずれか1つに記載の方法。
実施形態72.抗LIGHT抗体の投与が、対象のSES-CDスコアを減少させる、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態73.抗LIGHT抗体の投与が、対象のIBD-Qスコアを増加させる、実施形態65~72のいずれか1つに記載の方法。
実施形態74.抗LIGHT抗体の投与が、対象における血清遊離LIGHTレベルを85%以上低下させる、実施形態3~24及び26~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態75.血清遊離LIGHTレベルにおける低下が、抗LIGHT抗体の投与後5日未満に生じた、実施形態74に記載の方法。
実施形態76.血清遊離LIGHTレベルの低下が、抗LIGHT抗体の投与の約1日後に生じた、実施形態74に記載の方法。
実施形態77.抗LIGHT抗体の投与が、投与後60日で、対象の死亡リスクを50%以上低下させる、実施形態3~24、26~42、及び74~76のいずれか1つに記載の方法。
実施形態78.抗LIGHT抗体の投与が、投与後28日で、対象の死亡リスクを50%以上低下させる、実施形態3~24、26~42、及び74~76のいずれか1つに記載の方法。
実施形態79.対象が、60歳以上である、実施形態3~24、26~42、及び74~78のいずれか1つに記載の方法。
実施形態80.抗LIGHT抗体の投与が、標準的な医療処置を受けている対象と比較して、対象の入院期間を短縮する、実施形態79に記載の方法。
実施形態81.抗LIGHT抗体の投与が、対象の呼吸不全のリスクを低減する、実施形態3~24、26~42、及び74~80のいずれか1つに記載の方法。
実施形態82.抗LIGHT抗体の投与が、対象における血清遊離LIGHTレベルを低下させる、実施形態3~42、65~73、及び77~81のいずれか1つに記載の方法。
実施形態83.上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療するための医薬品の製造における抗LIGHT抗体の使用。
実施形態84.上昇した遊離LIGHTに関連する状態の治療における医薬品としての、使用のための抗LIGHT抗体を含む組成物。
実施形態85.上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する際に使用するための、抗LIGHT抗体を含む組成物。
実施形態86.上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、
a.炎症であって、任意選択的に、炎症が過剰炎症である、炎症、
b.多系統臓器不全につながる免疫調節不全、
c.急性肺傷害(ALI)であって、任意選択的に、ALIが、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、ALI、
d.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であって、任意選択的に、ARDSが、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、ARDS、
e.組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム、
f.感染後の肺線維症、
g.肺炎であって、任意選択的に、肺炎が、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、肺炎、
h.クローン病若しくはクローン病に関連する炎症状態、又は
i.COVID-19感染症、のうちの1つ以上である、実施形態81~83のいずれか1つに記載の使用、又は使用のための組成物。
実施形態87.抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21;
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、実施形態83~86のいずれか1つに記載の使用、又は使用のための組成物。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】候補抗体対(捕捉抗体:Enzo ALX-804-841-C100、検出抗体:ProSci RF16062;特異的エピトープは、これらの抗体について詳細されていない)による遊離LIGHT(すなわち、DCRフリーのLIGHT、活性LIGHT)の捕捉を示し、直線性は、1:10、1:20、及び1:40希釈で行われる。Simoa(商標)超高感度アッセイ(Myriad RBM)を使用して、遊離LIGHTを高感度で検出及び測定し、Quanterixの全自動イムノアッセイプラットフォーム:Simoa HD-1 Analyzer及び単一分子アレイ(Simoa)技術を使用した。インキュベーションは全て、Simoa HD-1 Analyzer内部で室温で行われる。捕捉抗体コンジュゲート化常磁性ビーズを、標準物質、試料、又は対照、及びビオチン化検出抗体とともにインキュベートした。次に、ビーズを洗浄し、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(SβG)とともにインキュベートした。最終洗浄後、ビーズを、酵素基質であるレゾルフィンβ-ガラクトピラノシド(RGP)とともにSimoa Discに加えた。蛍光シグナルを標準曲線と比較し、LIGHT遊離の量を各試料について決定する。遊離LIGHTのサンドイッチイムノアッセイベースの検出のために対で抗LIGHT抗体をスクリーニングした後、1つの候補対を用いてアッセイを行い、直線性及び特異性について試験した。
【
図2A】1:10、1:20、1:40、1:80希釈で行う直線性を用いて、候補対による遊離LIGHTの捕捉を示し、
図2Aに表で、
図2Bにグラフとして示される。
図1に記載されるのと同一のアッセイを、異なる希釈で行った。
【
図2B】1:10、1:20、1:40、1:80希釈で行う直線性を用いて、候補対による遊離LIGHTの捕捉を示し、
図2Aに表で、
図2Bにグラフとして示される。
図1に記載されるのと同一のアッセイを、異なる希釈で行った。
【
図3】遊離LIGHTの捕捉のDcR3干渉を、遊離LIGHT検出候補対(Enzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062(捕捉-検出))で試験した。血清又は血漿試料中のネイティブ遊離LIGHTではなく、遊離LIGHTを含有する希釈液を使用した。DcR3添加濃度は、10,000ng/ml及び更に低い11系列の濃度だった。シグナル阻害値を、Enzo/ProSci対におけるシグナル低下(MFI)として計算した。
【
図4A】添加及び無添加の試料における遊離LIGHT検出抗体対のDcR3干渉の比較を示す。
図4A:添加及び回収実験を行って、候補対(Enzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062(捕捉-検出))におけるDcR3(10μg/mL)干渉を評価した。血清及び血漿試料を、150pg/mLの遊離LIGHT(LIGHT標準組換え抗原の形態)のあり(添加)及びなし(無添加)でインキュベートした。当該添加及び無添加試料を、DcR3とともにインキュベートした。回収シグナル%を、MFIに基づいて、干渉なしの対照と比較して計算した。干渉による回収シグナル%は、対照のシグナルで除する。シグナル阻害値を、無添加血清1について計算した(最も有意な低下を有した)。シグナル阻害値を、無添加血清1について計算した(最も有意な低下を有した)。78%は関連するシグナルの低下を表す(100%-回収%)。つまり、血清1のDcR3回収は22%であり、シグナルで78%の低下を表し、抗LIGHT抗体回収は15%であり、シグナルで85%低下である。加えて、LIGHT(150pg/ml)添加した試料群(下パネル)では、試料血清1は、92%阻害(8%回収)を示す。
図4B:同じパラメータを用いた別の添加及び回収実験を行い、異なる遊離LIGHT検出候補対(ProSci RF16062-LSBio LS-C133566-100(捕捉-検出))でDcR3干渉を評価した。
図4C:ネイティブ遊離LIGHT及び添加した遊離LIGHT試料における各候補対での回収によってDcR3干渉を特徴付けるグラフ。Enzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062候補対でのネイティブ遊離LIGHT試料における比較的低い回収シグナル%は、対がネイティブ遊離LIGHTに結合することを示した。対照的に、ProSci RF16062-LSBio LS-C133566-100候補対での回収シグナル%による比較的少ないDcR3干渉は、対がネイティブ遊離LIGHTと有効に結合しないことを示し、それにもかかわらず、両方の候補対は非ネイティブLIGHT標準組換え抗原にほぼ同じ程度に結合した。
【
図5】病気の期間に従って選択及び群分けされた89名のクローン病(CD)対象からの血清試料中の遊離LIGHTレベルを示す。89名の対象及び10名の健常対照(性別及び年齢が一致)を、候補抗体対を使用した本明細書に記載の遊離LIGHTアッセイを使用して測定した。はずれ値を除外した後、62例の試料及び7例の対照を分析した。クローン病対象は、健常対照(40.43pg/ml、P<0.0021)よりも有意に高い血清遊離LIGHTレベル(527.93pg/ml、病気から0~1か月の対象における平均)を示した。遊離LIGHT血清レベルはまた、疾患プログラと相関している。これは、遊離LIGHTがCDの治療のための潜在的標的を表し、遊離LIGHTアッセイが抗LIGHT療法のためのコンパニオン診断として機能することができることを示唆する。
【
図6】入院したCOVID-19患者と健常対照とを比較した血清遊離LIGHTレベルを示す。血清中の遊離LIGHT量は、Kruskal-Wallis検定(非パラメトリック一元配置分散分析)を使用して分析した。P値は<0.0001であり、対照と比較してCOVID-19患者で遊離LIGHTレベルが高いことを示した。
【
図7】非人工呼吸及び挿管されたCOVID-19患者と健常対照とを比較した血清遊離LIGHTレベルを示す。血清中の遊離LIGHT量は、ノンパラメトリックKruskal-Wallis検定を使用して分析した。非人工呼吸及び挿管患者と対照との比較のために別々の試験を行った。両方の試験のP値は<0.0001だった。
【
図8】血清遊離LIGHTレベルを、60歳を超える健常対照(N=14)、最終的に回復した60歳を超える対象(N=5)、及び最終的に死亡した60歳を超える対象(N=23)の間で、Kruskal-Wallis検定を使用して比較した。
【
図9】実施例2及び3に記載される試験における対象において比較した血清遊離LIGHTレベルを示す。正方形は、プラセボで処置した対象(n=34)であり、円形は、抗LIGHTモノクローナル抗体で治療した対象(n=36)である。平均遊離LIGHTレベルは、コホートにわたってベースラインで同等だった。平均遊離LIGHTレベルは、抗LIGHT抗体による治療後1日目までに劇的に低下したが、プラセボで処置した群では増加した。平均遊離LIGHTレベルは、≧60歳の患者において約100pg/mL高かった。薬力学的効果は、約90%の患者が全身性コルチコステロイドを投与された標準治療の最上位だった。
【
図10】実施例2及び3に記載される試験の第1のエンドポイントである、抗LIGHTモノクローナル抗体治療群における28日目に生存し、呼吸不全を有しない患者の割合をプラセボ治療群と比較して示す。
【
図11】ARDS患者からの試料で本明細書に記載される遊離LIGHTアッセイを使用したLIGHT試験からのデータから生成し、健常ドナーLIGHTレベルと比較したボックスプロットを示す。79例の健常対照データポイントがある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。それらは本発明をいかなる方法においても制限することを意図したものではない。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
対象の生体試料における遊離LIGHTの存在を検出する方法であって、
(a)前記生体試料を少なくとも1つの抗LIGHT抗体と接触させるステップと、
(b)前記生体試料をインキュベートして、前記抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させるステップと、
(c)前記生体試料における前記抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出するステップと、を含む、方法。
(項目2)
対象における上昇した遊離LIGHTに関連する状態を診断する方法であって、
(a)生体試料を少なくとも1つの抗LIGHT抗体と接触させるステップと、
(b)前記生体試料をインキュベートして、前記抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させるステップと、
(c)前記生体試料における前記抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出するステップと、
(d)対照と比較して高いレベルの遊離LIGHTが検出される場合に、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有するとして前記対象を診断するステップと、を含む、方法。
(項目3)
上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に、有効量の抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目4)
上昇した遊離LIGHTに関連する状態の治療を必要とする対象におけるそれを治療する方法であって、
(a)前記対象から単離された生体試料を第1の抗LIGHT抗体と接触させることと、
(b)前記生体試料をインキュベートして、前記第1の抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させることと、
(c)前記生体試料における前記第1の抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を検出することと、
(d)前記対象に、有効量の第2の抗LIGHT抗体を投与することであって、前記第1の抗体と前記第2の抗体とが異なり、それによって前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する、投与することと、を含む、方法。
(項目5)
前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、
(a)炎症であって、任意選択的に、前記炎症が過剰炎症である、炎症、
(b)多系統臓器不全につながる免疫調節不全、
(c)急性肺損傷(ALI)であって、任意選択的に、前記ALIが、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、ALI、
(d)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であって、任意選択的に、前記ARDSが、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、ARDS、
(e)組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム、
(f)感染後の肺線維症、並びに
(g)肺炎であって、任意選択的に、前記肺炎が、コロナウイルス感染症を含む、細菌又はウイルス感染症に関連する、肺炎、のうちのいずれか1つ以上を含む、項目2~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記遊離LIGHTの検出が、前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態の抗LIGHT抗体による治療が有効であることを示す、項目2、4、及び5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、T細胞活性化を抑制する、項目3~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、サイトカインの増加した発現を抑制する、項目3~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、前記対象の死亡又は罹患のリスクを低減する、項目3~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、ARDSへの進行を防止する、項目3~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、前記対象の人工呼吸/挿管の必要性を防止する、項目3~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
重度COVID-19肺炎を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目13)
COVID-19肺炎に関連する急性炎症性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目14)
COVID-19肺炎に関連する呼吸不全を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目15)
サイトカインストームを治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目16)
調節不全の過免疫応答(「サイトカインストーム」と称される場合がある)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目17)
急性呼吸器疾患症候群(ARDS)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む、方法。
(項目18)
前記抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、項目1又は2に記載の方法。
(項目19)
前記第1の抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含み、
前記第2の抗LIGHT抗体が、上記(a)~(h)又は配列番号2、3、4、5、6、及び7のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3のセットうちのいずれか1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、項目4に記載の方法。
(項目20)
前記対象に投与される前記抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、項目3及び5~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記抗体が、WO2015/107331に記載の抗体1C02、13H04、31A10、1C06、98C07、18E04、42A02、29C09、14B09、117C06、114F05、又は62C01のうちのいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列を含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、コロナウイルス感染症である、項目2~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、COVID-19感染症である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記コロナウイルス感染症が、MERS-CoV又はSARS-CoV感染症である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である、項目2~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
投与される前記抗LIGHT抗体が、それぞれ、配列番号2、3、4、5、6、及び7のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
約16mg/kgの単回用量の前記抗LIGHT抗体が、投与される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記対象が、抗COVID-19療法を受けてきているか、又は現在受けており、任意選択的に、前記療法が、コルチコステロイド、ヒドロキシクロロキン、及び/又はレムデシビルである、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
コルチコステロイドの用量が、高用量とみなされる、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記対象が、ヒトである、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記対象が、任意選択的にコロナウイルス感染症によって引き起こされる、呼吸器疾患を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記対象が、肺炎を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記対象が、急性肺損傷(ALI)を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記対象が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記対象が、軽度のコロナウイルス感染症を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記対象が、中度のコロナウイルス感染症を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記対象が、重度のコロナウイルス感染症を有する、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記対象が、コロナウイルス感染症の初期感染(ステージI)にある、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記対象が、コロナウイルス感染症の肺段階(ステージII)にある、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記対象が、コロナウイルス感染症の過炎症段階(ステージIII)にある、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記対象が、小児の対象である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記対象が、成人である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
項目1~3、5~18、及び20~42のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキットであって、抗LIGHT抗体及び前記方法を実行するための試薬を含む、キット。
(項目44)
項目4及び19のいずれか一項に記載の方法に使用するためのキットであって、第1の抗LIGHT抗体及び第2のLIGHT抗体であって、前記第1及び前記第2の抗体が異なる、抗LIGHT抗体と、前記方法を実行するための試薬と、を含む、キット。
(項目45)
前記抗LIGHT抗体が結合される固相を更に含む、項目43に記載のキット。
(項目46)
前記第1の抗LIGHT抗体が結合される固相を更に含む、項目44に記載のキット。
(項目47)
前記生体試料に由来する遊離LIGHTが結合される固相を更に含む、項目43又は44に記載のキット。
(項目48)
対象からの遊離LIGHTを含有することが疑われる試料における遊離/非結合腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14又はLIGHT)の量を決定する方法であって、
(a)試料を、遊離LIGHTに特異的に結合するが、結合しているLIGHTには結合しない、遊離LIGHTに対する捕捉分子と接触させることと、
(b)前記試料をインキュベートして、前記捕捉分子を遊離LIGHTに結合させることと、
(c)遊離LIGHTと前記捕捉分子との結合を検出して、前記試料における遊離LIGHTの量を決定することと、を含む、方法。
(項目49)
前記捕捉分子が、抗体であり、任意選択的に、前記抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(b)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(c)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(d)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(e)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(f)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(g)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(h)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む抗LIGHT抗体を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記捕捉分子が、遊離LIGHTに特異的に結合するが、LIGHT/DcR3複合体、又はLIGHT/HVEM複合体、又はLIGHT/LTβR複合体には結合しない、項目48又は49に記載の方法。
(項目51)
前記捕捉分子が、LIGHTがDcR3に結合する部位で、又はLIGHTがDcR3に結合する部位の近傍で、遊離LIGHTに特異的に結合する、項目48~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記捕捉分子が、LIGHTがDcR3に結合する部位で、遊離LIGHTに特異的に結合する、項目51に記載の方法。
(項目53)
検出分子が提供され、前記検出分子が、前記捕捉分子が結合する部位とは異なる部位でLIGHTに結合する、項目48~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記試料中の遊離LIGHTと総LIGHTとの量を比較することを更に含む、項目48~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記捕捉分子が、抗体である、項目48~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記捕捉分子が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体又は二重効果的抗体、サル化抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体から選択される抗体である、項目48~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記捕捉抗体が、モノクローナル抗体である、項目48~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記捕捉抗体が、支持体(例えば、Simoaプラットフォームにおけるナノ粒子)に結合される、項目48~57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記捕捉抗体が、Enzo ALX-804-841-C100である、項目48~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記検出分子が、抗体である、項目48~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記検出分子が、モノクローナル抗体である、項目48~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記捕捉抗体が、Enzo ALX-804-841-C100であり、前記検出抗体が、ProSci RF16062である、項目48~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記試料が、血清、血漿、唾液、又は糞便である、項目48~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記試料が、血清試料である、項目48~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含み、前記抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、方法。
(項目66)
1.0mg/kgの用量の前記抗LIGHT抗体が、14日毎に投与される、項目25又は65に記載の方法。
(項目67)
3.0mg/kgの用量の前記抗LIGHT抗体が、14日毎に投与される、項目25又は65に記載の方法。
(項目68)
前記対象が、ヒトである、項目65~67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記対象が、成人である、項目65~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記対象が、承認された治療用量の抗TNFαモノクローナル抗体治療による治療に、初期応答がないか、又は誘導に対する初期応答がそれに続く応答を伴わないかのいずれかで失敗している、項目65~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象のCDAIスコアを低下させる、項目65~70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象のSES-CDスコアを減少させる、項目65~71のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象のIBD-Qスコアを増加させる、項目65~72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象における血清遊離LIGHTレベルを85%以上低下させる、項目3~24及び26~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記血清遊離LIGHTレベルにおける低下が、前記抗LIGHT抗体の投与後5日未満に生じた、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記血清遊離LIGHTレベルにおける低下が、前記抗LIGHT抗体の投与の約1日後に生じた、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記抗LIGHT抗体の投与が、投与後60日で、前記対象の死亡リスクを50%以上低下させる、項目3~24、26~42、及び74~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記抗LIGHT抗体の投与が、投与後28日で、前記対象の死亡リスクを50%以上低下させる、項目3~24、26~42、及び74~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記対象が、60歳以上である、項目3~24、26~42、及び74~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記抗LIGHT抗体の投与が、標準的な医療処置を受けている対象と比較して、前記対象の入院期間を短縮する、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象の呼吸不全のリスクを低下させる、項目3~24、26~42、及び74~80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記抗LIGHT抗体の投与が、前記対象における血清遊離LIGHTレベルを低下させる、項目3~42、65~73、及び77~81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療するための医薬品の製造における、抗LIGHT抗体の使用。
(項目84)
上昇した遊離LIGHTに関連する状態の治療における医薬品としての使用のための、抗LIGHT抗体を含む組成物。
(項目85)
上昇した遊離LIGHTに関連する状態を治療する際に使用するための、抗LIGHT抗体を含む組成物。
(項目86)
前記上昇した遊離LIGHTに関連する状態が、
a.炎症であって、任意選択的に、前記炎症が過剰炎症である、炎症、
b.多系統臓器不全につながる免疫調節不全、
c.急性肺損傷(ALI)であって、任意選択的に、前記ALIが、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、ALI、
d.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であって、任意選択的に、前記ARDSが、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、ARDS、
e.組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム、
f.感染後の肺線維症、
g.肺炎であって、任意選択的に、前記肺炎が、コロナウイルス感染症を含む、細菌若しくはウイルス感染症に関連する、肺炎、
h.クローン病若しくはクローン病に関連する炎症状態、又は
i.COVID-19感染症、のうちの1つ以上である、項目81~83のいずれか一項に記載の使用、又は使用のための組成物。
(項目87)
前記抗LIGHT抗体が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3アミノ酸配列の以下のセット:
(a)配列番号2、3、4、5、6、及び7、
(b)配列番号10、11、12、13、14、及び15、
(c)配列番号16、17、18、19、20、及び21、
(d)配列番号22、23、24、25、26、及び27、
(e)配列番号28、29、30、31、32、及び33、
(f)配列番号34、35、36、37、38、及び39、
(g)配列番号40、41、42、43、44、及び45、
(h)配列番号46、47、48、49、50、及び51、並びに
(i)配列番号52、53、54、55、56、及び57、のうちの1つを一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む、項目83~86のいずれか一項に記載の使用、又は使用のための組成物。
【0029】
定義
本発明の目的のために、「a」又は「an」実体は、その実体のうちの1つ以上を指し、例えば、「a cDNA」は、1つ以上のcDNA又は少なくとも1つのcDNAを指す。したがって、「a」又は「an」、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、交換可能に使用することができることも留意する。更に、「からなる群から選択される」化合物は、2つ以上の化合物の混合物(すなわち、組み合わせ)を含む、随伴するリストの化合物のうちの1つ以上を指す。本発明により、「単離された」又は「生物学的に純粋な」分子は、その天然環境から取り出されている化合物である。したがって、「単離された」及び「生物学的に純粋な」という用語は、化合物が精製されている程度を必ずしも反映しない。本発明の単離された化合物は、その天然源から得ることができるか、実験室合成技法を使用して生成することができるか、又は任意のかかる化学合成経路によって生成することができる。
【0030】
「コロナウイルス」、「コロナ呼吸器ウイルス」、又は「CoV」は、明細書において互換的に使用され、コロナウイルス科に属するウイルスを指す。コロナウイルスは、エンベロープ型で、およそ31KbのプラスセンスRNAウイルスであり、これらのウイルスを既知の最大のRNAウイルスにしている。コロナウイルスは、ヒト及び他のいくつかの脊椎動物を含む様々な宿主種に感染する。これらのウイルスは、主に呼吸器及び腸管感染症を引き起こし、幅広い臨床症状を誘発する。一般に、コロナウイルスは、低病原性CoV(ヒトCoV(hCoV)を含む)並びに重症急性呼吸器症候群CoV(SARS-CoV)及び中東呼吸器症候群CoV(MERS-CoV)などの高病原性CoVに分類することができる。低病原性hCoVは、上気道に感染し、健康な個体において季節的な軽度から中度の風邪様呼吸器疾患を引き起こす。対照的に、高病原性hCoV(病原性hCoV)は、下気道に感染し、重度の肺炎を引き起こし、それは時に致命的な急性肺損傷(ALI)及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を引き起こし、高い罹患率及び死亡率をもたらす。SARS-CoV2は、コロナウイルスのタイプである。本明細書で使用されるコロナウイルス感染症は、コロナウイルスに関連する場合、上記のうちのいずれかを含む。本明細書で使用される「COVID-19感染症」はまた、SARS-CoV2によって引き起こされる状態又は疾患を指し得る。
【0031】
本明細書における「急性肺損傷」又は「ALI」は、浮腫の存在と一致する胸部X線撮影における両側肺浸潤を有し、左心房高血圧の臨床的証拠がないか、又は(測定された場合)18mmHg以下の肺動脈楔入圧を有する急性肺疾患を指す。加えて、吸入酸素濃度に対する動脈酸素の比(PaO2/FiO2)は、呼気終末陽圧(PEEP)のレベルに関係なく、300mmHg以下でなければならない。
【0032】
本明細書における「急性呼吸窮迫症候群」又は「ARDS」は、200mmHg以下の吸入酸素に対する動脈酸素の比によって定義される、最も重篤なALIの形態を指す。ARDSという用語は、しばしばALIと非公式に同義的に使用されるが、厳密な基準によって、ARDSは、疾患の最も重篤な形態のために留保されるべきである。
【0033】
本明細書における「LIGHT」又は「TNFSF14」は、活性化T細胞、単球-マクロファージ、及び追加のタイプの抗原提示細胞によって発現される腫瘍壊死因子スーパーファミリーの特定のメンバータンパク質を指す。「LIGHT」は、「リンホトキシンに相同であり、誘導性発現を示し、Tリンパ球上に発現される受容体であるHVEM(ヘルペスウイルス侵入メディエーター)との結合でHSV糖タンパク質Dと競合する(homologous to Lymphotoxin,exhibits Inducible expression and competes with HSV Glycoprotein D for binding to HVEM(herpesvirus entry mediator),a receptor expressed on T lymphocytes)」の頭文字である。
【0034】
本明細書における「遊離LIGHT」又は「遊離(活性)LIGHT」は、非結合形態LIGHT(例えば、DcR3に結合されるLIGHT)を指し、LIGHTの活性形態である。ヒトにおいて、遊離LIGHTは、LIGHTに高親和性で結合し、HVEM及びLTβRである2つのTNF受容体とのその相互作用を阻害する、TNFRスーパーファミリーの固有の可溶性メンバーであるDcR3によって中和(不活性化)される。「結合LIGHT」などは、天然リガンドに結合されているLIGHTを指し、任意選択的に、天然リガンドは、HVEM、LTβR、又はDcR3である。「総LIGHT」などは、遊離LIGHTと結合LIGHTとの総量を指す。
【0035】
本明細書で使用される「上昇した遊離LIGHT」は、対象において検出される、正常な対照よりも高い遊離LIGHTのレベルを指す。正常な対照は、特定の状況に適用可能であるように、当業者によって決定され得る。いくつかの事例において、正常な対照は、LIGHT関連状態を有しない個人の典型的なレベル又はレベルの範囲として、当業者によって合意される業界標準である。いくつかの事例において、正常な対照は、ある時点で採取された同じ個体からのLIGHTの参照レベルであり、対象が上昇したLIGHTを有するかは、異なる、典型的には後の時点で採取された同じ個体からの試料に基づいて決定される。
【0036】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及びそれらが望ましい抗原結合活性を示す限り抗体断片を含むが、これらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。本明細書で使用されるとき、本用語は、少なくとも重鎖の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3、並びに少なくとも軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む分子を指し、分子は抗原に結合することができる。抗体という用語には、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、及び(Fab’)2などの、抗原に結合することができる断片が含まれるが、これらに限定されない。抗体という用語はまた、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及びマウス、カニクイザルなどの様々な種の抗体を含むが、これらに限定されない。
【0037】
「重鎖」という用語は、リーダー配列の有無にかかわらず、少なくとも重鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。「全長重鎖」という用語は、リーダー配列の有無にかかわらず、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。
【0038】
「重鎖可変領域」という用語は、重鎖の重鎖相補的決定領域(CDR)1、フレームワーク領域(FR)2、CDR2、FR3、及びCDR3を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部分及び/又はFR4の少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態において、重鎖CDR1は、Kabat残基31~35に対応し、重鎖CDR2は、Kabat残基50~65に対応し、重鎖CDR3は、Kabat残基95~102に対応する。例えば、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,Md.)を参照する。
【0039】
「軽鎖」という用語は、リーダー配列の有無にかかわらず、少なくとも軽鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。「全長軽鎖」という用語は、リーダー配列の有無にかかわらず、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。「軽鎖可変領域」という用語は、軽鎖CDR1、FR2、HVR2、FR3、及びHVR3を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域は、FR1及び/又はFR4も含む。いくつかの実施形態において、軽鎖CDR1は、Kabat残基24~34に対応し、軽鎖CDR2は、Kabat残基50~56に対応し、軽鎖CDR3は、Kabat残基89~97に対応する。例えば、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,Md.)を参照する。
【0040】
「キメラ抗体」は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残部が異なる起源又は種に由来する抗体を指す。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、第1の種(マウス、ラット、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの可変領域及び第2の種(ヒト、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの定常領域を含む抗体を指す。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域及び少なくとも1つのヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、少なくとも1つのカニクイザル可変領域及び少なくとも1つのヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗体の可変領域の全ては、第1の種からであり、キメラ抗体の定常領域の全ては、第2の種からである。
【0041】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト可変領域のフレームワーク領域における少なくとも1つのアミノ酸が、ヒト可変領域からの対応するアミノ酸と置き換えられている抗体を指す。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域又はその断片を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、Fab、scFv、(Fab’)2などである。
【0042】
本明細書で使用される「ヒト抗体」は、ヒトにおいて産生された抗体、XenoMouse(登録商標)などのヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒト動物において産生された抗体、及びファージディスプレイなどのインビトロ法を使用して選択された抗体を指し、抗体レパートリーは、ヒト免疫グロブリン配列に基づく。
【0043】
「リーダー配列」という用語は、哺乳類細胞からのポリペプチドの分泌を促進するポリペプチドのN末端に位置するアミノ酸残基の配列を指す。リーダー配列は、哺乳動物細胞からのポリペプチドの輸出時に切断され、成熟タンパク質を形成し得る。リーダー配列は、天然又は合成であり得、それらは、それらが結合されるタンパク質に異種又は同種であり得る。
【0044】
ペプチド、ポリペプチド、又は抗体配列に関して、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「相同性」は、最大パーセントの配列同一性を達成するために、必要に応じて、配列を整列させ、ギャップを導入した後に、任意の保存的置換を配列同一性の一部として考慮せずに、特定のペプチド又はポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGNTM(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0045】
「阻害」又は「阻害する」という用語は、任意の事象(タンパク質リガンド結合など)の減少若しくは停止、又は任意の表現型特徴の減少若しくは停止、又はその特徴の発生率、程度、若しくは可能性の減少若しくは停止を指す。「低下させる」又は「阻害する」ことは、参照と比較して、活性、機能、及び/又は量を減少させる、低下させる、又は止めることである。阻害又は低下が完了する必要はない。例えば、特定の実施形態において、「低下させる」又は「阻害する」とは、20%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。別の実施形態において、「低下させる」又は「阻害する」とは、50%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。更に別の実施形態において、「低下させる」又は「阻害する」とは、75%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。
【0046】
「試料」又は「対象試料」又は「生体試料」は、概して、特定の分子について試験され得る試料を指す。試料には、血液、血清、血漿、尿、唾液、糞便、涙液、胸水などを含む、細胞、体液が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0047】
「薬剤」及び「試験化合物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的巨大分子、あるいは細菌、植物、真菌、又は動物(特に哺乳動物)の細胞若しくは組織などの生物学的材料から得られる抽出物を示す。生物学的巨大分子には、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド/DNA複合体、及び本明細書に記載の核酸又はそれらのコード化タンパク質を含有するSNPの活性を調節する能力を示す任意の核酸ベースの分子が含まれる。薬剤は、以下に記載されるスクリーニングアッセイに含めることによって、潜在的な生物学的活性について評価される。
【0048】
「対象」は、哺乳動物であることができる。対象を含む実施形態のいずれにおいても、対象は、ヒトであることができる。対象を含む実施形態のいずれにおいても、対象は、ウシ、ブタ、サル、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、又は家禽であることができる。
【0049】
本明細書における「小児の」対象は、18歳未満のヒトであり、一方、「成人」対象は18歳以上である。
【0050】
「治療」又は「治療する」は、治療的処置及び予防的又は防御的手段の両方を指す。治療を必要としているものには、既に障害を有するもの、並びに障害を有する傾向があるもの、又は障害が防止されるべきものが含まれる。本発明の目的のために、有益又は望ましい臨床結果には、検出できるかできないかにかかわらず、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は全体的)含まれるが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することを意味し得る。治療を必要としているものには、既に状態若しくは障害を有するもの、並びに状態若しくは障害を有する傾向があるもの、又は状態若しくは障害が防止されるべきものが含まれる。
【0051】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、対象における疾患又は障害の治療のために、例えば、1つ以上の症状を部分的若しくは完全に緩和するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態において、有効量は、所望の治療又は予防の結果を達成するために必要な投与量及び期間で有効な量を指す。
【0052】
バイオマーカーLIGHTの特定
LIGHT(TNFSF14)は、重要な調節サイトカインであり、コロナウイルス(例えば、COVID-19)を含むウイルス感染症及び細菌感染症を含む、病原体媒介性感染症に関連するサイトカインストーム及び肺不全を組織化する際に重要な因子として機能する。
【0053】
いくつかの実施形態において、ヒト対象における遊離(活性)LIGHTを検出するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、対象の生体試料(例えば、血清)が、遊離LIGHTについて分析される。いくつかの実施形態において、結果は、抗LIGHT療法が提供され得、有効であるかを理解するための根拠を提供する。例えば、上昇したレベルの遊離LIGHT(例えば、正常な対照を使用するなど、要求されるものを超える遊離LIGHTのレベル)では、対象は、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有すると診断され得、かつ/又は抗LIGHT抗体による治療における好適な候補とみなされ得る。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、LIGHTを中和する抗体である。いくつかの実施形態において、対象の生体試料(例えば、血清)における遊離(活性)LIGHTを検出するための方法が提供され、その結果は、抗LIGHT療法が提供され得、有効であるかを理解するための根拠を提供する。いくつかの実施形態において、正常な対照を上回る遊離LIGHTの検出は、抗LIGHT療法が提供されて有効であり得ることを示す。
【0054】
いくつかの実施形態において、対象が診断され得る上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である。いくつかの実施形態において、対象が診断され得る上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、コロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、中度又は重度のコロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、炎症のうちのいずれか1つ以上を含み、任意選択的に、炎症は、過剰炎症、多系統臓器不全を引き起こす免疫調節不全、急性肺損傷(ALI)であり、任意選択的に、ALIは、コロナウイルス感染症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む、細菌感染症又はウイルス感染症に関連し、任意選択的に、ARDSは、コロナウイルス感染症、組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム、感染後の肺線維症、並びに肺炎を含む、細菌感染症又はウイルス感染症に関連し、任意選択的に、肺炎は、コロナ感染症を含む、細菌感染症又はウイルス感染症に関連する。いくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、軽度、中度、又は重度のコロナウイルス感染症であり、任意選択的に、コロナウイルス感染症は、COVID-19感染症である。いくつかの実施形態において、COVID-19感染症は、対象におけるALI又はARDSに関連する。いくつかの実施形態において、COVID-19感染症は、肺における組織損傷及び血管透過性を駆動するサイトカインストーム並びに感染後の肺線維症に関連する。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、MERS-CoV、SARS-CoV、又はSARS-CoV2/COVID-19である。
【0055】
いくつかの実施形態において、対象における上昇した遊離LIGHTに関連する状態を診断するための方法が提供され、生体試料中の遊離(活性)LIGHTのレベルが検出される。レベルが正常な対照を超える場合、対象は、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有すると診断される。いくつかの実施形態において、検出される上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である。いくつかの実施形態において、検出される上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、ウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、コロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、検出される上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、中度又は重度のコロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、検出される上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、軽度、中度、又は重度のCOVID-19感染症である。いくつかの実施形態において、COVID-19感染症は、対象におけるALI又はARDSに関連する。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、MERS-CoV、又はSARS-CoVである。
【0056】
いくつかの実施形態において、対象からの生体試料における遊離LIGHTを検出するための方法は、血液、尿、血清、血漿、糞便、若しくは胃洗浄体液試料、又は白血球若しくは単核細胞などの細胞試料を含む生体試料を用いて行われ得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、対象における遊離(活性)LIGHTを検出する方法は、
(a)生体試料を少なくとも1つの抗LIGHT抗体と接触させることと、
(b)生体試料をインキュベートして、抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させることと、
(c)生体試料における抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成された複合体の存在を決定することと、によって行われる。
【0058】
この方法は、対象を上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有すると診断するステップ、及び/又は抗LIGHT抗体を投与するステップを更に含むことができる。
【0059】
特異的な抗体-抗原結合を検出するために、当該技術分野で既知の様々な方法を使用することができる。行うことができる例示的な免疫アッセイには、蛍光偏光免疫アッセイ(FPIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、比濁阻害免疫アッセイ(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び放射性免疫アッセイ(RIA)、競合アッセイ、並びにサンドイッチ法が含まれる。
【0060】
指標部位、又は標識基は、主体の抗体に結合させることができ、アッセイ装置及び適合するイムノアッセイ手順の可用性によってしばしば規定される方法の様々な使用の必要性を満たすように選択される。適切な標識には、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、3H、又は32P)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、又はβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部分若しくはタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、又はBFP)、又は発光部分(例えば、Qdot(商標)ナノ粒子、Quantum Dot Corporation、Palo Alto,Calif.によって供給される)が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
上述の様々な免疫アッセイを行う際に使用される一般的な技術は、当業者に既知である。
【0062】
ELISAアッセイは、当業者に一般的に知られており、血清LIGHTレベルを決定するように設計することができる。例示的な一実施形態において、血液を収集し、血清を単離する。キットが利用可能ではない場合、測定するLIGHTに特異的な捕捉抗体で事前にコーティングされたプレートを使用して、ELISAを開発することができる。プレートを室温で所定時間インキュベートした後、洗浄する。酵素-抗LIGHT抗体コンジュゲートを添加し、インキュベートする。未結合の抗体コンジュゲートを除去し、プレートを洗浄した後、酵素と反応する発色基質溶液を添加する。プレートを、使用される酵素及び基質に特有な吸光度で、適切なプレートリーダーで読み取る。
【0063】
競合法は、本発明のモノクローナル抗体に対する試料中の抗原と、既知量の標識抗原との競合結合を比較する。競合法に基づいて免疫学的アッセイを実行するために、本発明のモノクローナル抗体が既知の手段によって物理的又は化学的にコーティングされた固体基材に、未知量の標的抗原を含有する試料を添加し、反応を進行させる。同時に、所定量の予め標識された標的抗原を添加し、反応を進行させる。インキュベーション後、固体基材を洗浄し、固体基材に結合した標識剤の活性を測定する。
【0064】
サンドイッチ法では、試料中の標的抗原を固定化モノクローナル抗体と標識モノクローナル抗体との間に挟み込み、酵素などの標識基質を添加し、基質色変化を検出しそれによって抗原の存在を検出する。サンドイッチ法に基づいて免疫学的アッセイを実行するために、例えば、本発明のモノクローナル抗体が既知の手段によって物理的又は化学的にコーティングされた固体基材に、未知量の標的抗原を含有する試料を添加し、反応を進行させる。その後、本発明の標識モノクローナル抗体を添加し、反応を進行させる。インキュベーション後、固体基材を洗浄し、固体基材に結合した標識剤の活性を測定する。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1の抗体は診断のために使用され、第2の抗体は治療薬として使用される。いくつかの実施形態において、第1の抗体と第2の抗体とは、異なる。いくつかの実施形態において、第1の抗体と第2の抗体とは、別個のエピトープに結合することによって、両方とも同時に抗原に結合することができる。
【0066】
抗LIGHT抗体を用いて治療する方法
本発明は、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有する対象を含む、上昇した遊離LIGHTを有する対象を、抗LIGHT抗体を用いて治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、LIGHTを中和する抗体である。いくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、COVID-19を含む、コロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である。治療は、対象の試料における上昇した遊離LIGHTを検出するための診断試験の有無にかかわらず、行うことができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、対象からの生体試料は、対象が治療される前に、閾値ステップにおいて、最初に遊離LIGHTの存在及びレベルについて試験される。かかる実施形態において、治療方法は、対象からの生体試料を、少なくとも1つの第1の抗LIGHT抗体と接触させることと、生体試料をインキュベートして、抗LIGHT抗体を遊離LIGHTに結合させることと、生体試料における抗LIGHT抗体と遊離LIGHTとの間に形成される複合体の存在を決定することと、最後に、検出ステップの陽性結果及び上昇した遊離LIGHTの所見に基づいて、対象に有効量の第2の抗LIGHT抗体を投与することと、を含み、第1の抗体と第2の抗体とは異なる。
【0068】
いくつかの実施形態において、対象は、閾値試験ステップを伴わずに治療される。かかる場合、対象が抗LIGHT療法から利益を得ることができるか、又は抗LIGHT抗体が予防のために投与されることが、予め決定されていることがある。かかる実施形態において、治療方法は、上昇した遊離LIGHTに関連する状態を有する対象に、有効量の抗LIGHT抗体を投与することを含む。
【0069】
治療方法のいくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態である。
【0070】
治療方法のいくつかの実施形態において、上昇した遊離LIGHTに関連する状態は、コロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、COVID-19感染症である。いくつかの実施形態において、対象は、任意選択的に、ウイルス、細菌、又は真菌によって引き起こされる、呼吸器疾患を有する。いくつかの実施形態において、対象は、コロナウイルス感染症によって引き起こされる呼吸器疾患を有する。いくつかの実施形態において、対象は、COVID-19によって引き起こされる呼吸器疾患を有する。いくつかの実施形態において、対象は、肺炎を有する。いくつかの実施形態において、対象は、急性肺損傷(ALI)を有する。いくつかの実施形態において、対象は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する。いくつかの実施形態において、肺炎は、コロナウイルス感染症と関連する。いくつかの実施形態において、ALI又はARDSは、コロナウイルス感染症に関連する。いくつかの実施形態において、肺炎は、COVID-19に関連する。いくつかの実施形態において、対象は、COVID-19に関連する急性肺損傷(ALI)を有する。いくつかの実施形態において、対象は、COVID-19に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する。いくつかの実施形態において、対象は、軽度のコロナウイルス感染症を有する。いくつかの実施形態において、対象は、中度のコロナウイルス感染症を有する。いくつかの実施形態において、対象は、重度のコロナウイルス感染症を有する。いくつかの実施形態において、重度COVID-19肺炎を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、COVID-19肺炎に関連する急性炎症性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、COVID-19肺炎に関連する呼吸不全を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、サイトカインストームを治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、調節不全の過免疫応答(「サイトカインストーム」と称される場合がある)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、急性呼吸器疾患症候群(ARDS)を治療する方法であって、その治療を必要とする対象に抗LIGHT抗体を投与することを含む方法が提供される。
【0071】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、T細胞活性化を抑制する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、サイトカインの増加した発現(例えば、サイトカインストーム)を抑制する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、ウイルス及び/又は細菌感染症によって、例えば、コロナウイルス感染から引き起こされるサイトカインの増加した発現(例えば、サイトカインストーム)を抑制する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルス感染症などのウイルス及び/又は細菌感染症によって引き起こされるサイトカインストームを予防又は治療する。いくつかの実施形態において、サイトカインストームは、肺における組織傷害及び血管透過性を駆動することができる。サイトカインストームは、コロナウイルス(例えば、COVID-19)感染症に関連するARDS及びALIをもたらし得る。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、任意選択的に、コロナウイルス感染症に関連する、感染後の肺線維症を予防又は治療する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、対象の死亡又は罹患のリスクを低下させる。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルス感染症(例えば、COVID-19感染症)に関連する肺炎を有する対象におけるARDSへの進行を防止する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、(例えば、COVID-19感染)を含む、コロナウイルス感染症に関連するALIのARDSへの進行を防止する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、ARDSを予防又は治療する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、対象の人工呼吸/挿管の必要性を防止する。
【0072】
本発明における治療方法は、経口、口腔、舌下、眼、局所、非経口、直腸、大槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(例えば、粉末、軟膏、又は滴下)、又は経鼻経路を含むが、これらに限定されない、従来の投与経路を介して実行され得る。「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、又は注入を含む。特定の実施形態において、薬剤を連続注入で、又は皮下注射として、毎日、2日毎若しくは数日毎、又は週に1回、又は数週毎に1回、又は1か月に1回、又は数か月毎に1回、又は前述の間隔のうちの任意の2つによって定義される範囲内の期間間隔で投与することが適切であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、既に別の療法を受けている対象に投与される。COVID-19を有する対象の場合、他の療法は、COVID-19の症状を治療若しくは改善するために承認又は試験されている任意の療法であり得る。かかる療法には、レムデシビル、コルチコステロイド、及びヒドロキシクロロキンが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、他の療法は、抗LIGHT抗体による治療中に(その正常な経過で)継続する。いくつかの実施形態において、他の療法は、抗LIGHT抗体による治療中に中止される。いくつかの実施形態において、対象は、COVID-19を有し、高用量のコルチコステロイド及び抗LIGHT抗体を受けている。いくつかの実施形態において、高用量コルチコステロイド及び抗LIGHT抗体である組み合わせを受けている対象は、組み合わせを受けていないものよりも良好な転帰を有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の用量は、最大用量1,200mgで約16mg/kgである。いくつかの実施形態において、用量は、単回投与である。いくつかの実施形態において、用量は、単回投与よりも多い。
【0075】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、対象における血清遊離LIGHTレベルを、例えば、抗LIGHT抗体の投与前の対象における遊離LIGHTレベルと比較して、又は抗LIGHT抗体を投与されていない対象と比較して、85%以上低下させる。いくつかの実施形態において、対象における血清遊離LIGHTレベルの85%以上の低下は、抗LIGHT抗体の投与後5日未満又は1日未満に生じる。いくつかの実施形態において、対象に投与される抗LIGHT抗体は、投与後60日で対象の死亡リスクを50%以上低下させる。いくつかの実施形態において、対象に投与される抗LIGHT抗体は、投与後28日で対象の死亡リスクを50%以上低下させる。いくつかの実施形態において、対象は、60歳以上である。いくつかの実施形態において、対象に投与される抗LIGHT抗体は、標準的な医療処置を受けている対象と比較して、対象の入院期間を短縮させる。いくつかの実施形態において、対象に投与される抗LIGHT抗体は、対象の呼吸不全のリスクを低下させる。
【0076】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、約1.0mg/kg~約3.0mg/kgの用量として投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、又は約3.0mg/kgの用量として投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、14日毎に約1.0mg/kg~約3.0mg/kgの用量として投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、14日毎に1.0mg/kgの用量として投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、14日毎に3.0mg/kgの用量として投与される。
【0077】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、承認された治療用量の抗TNFαモノクローナル抗体治療による治療に、初期応答がないか、又は誘導に対する初期応答がそれに続く応答を伴わないかのいずれかで失敗している、対象に投与される。
【0078】
クローン病の治療
CD治療における主要な臨床的標的は、症状の解消である。(Shi and Ng,The state of the art on treatment of Crohn’s disease,J.Gastroenterol.,2018:53;989-998)。症状を評価するための標準的な指標は、クローン病活動性指数(CDAI)であり、8つの変数:液状糞便の回数、腹痛の程度、全般的な健康状態、腸外症状の発生、抗下痢薬の必要性、腹部腫瘤の存在、ヘマトクリット、及び体重が含まれる。(Shi and Ng 2018)。症状の制御は、疾患の自然な経過を有意に変化させるようには思われない。(Shi and Ng 2018)。
【0079】
粘膜治癒は、臨床診療において別の標的となりつつある。クローン病における単純内視鏡スコア(SES-CD)は、CDに関する最も一般的な内視鏡スコアリングシステムの1つである。SES-CDは、同じ5つのセグメントにおける4つの内視鏡的変数(潰瘍の存在及びサイズ、潰瘍化した表面の程度、影響を受けた表面の程度、並びに狭窄の存在及びタイプ)に基づいてスコア化される。2未満のSES-CDスコアは、内視鏡的寛解とみなされる。SES-CDスコアのベースラインから少なくとも50%の減少が、内視鏡的応答の定義として使用されている。粘膜治癒のための普遍的な定義は現在設定されていないが、回腸結腸鏡検査での潰瘍の不存在がCDにおける内視鏡的エンドポイントとして採用されている。(Shi and Ng 2018)。
【0080】
患者が報告した転帰は、患者の健康状態の任意の態様について患者から直接引き出される測定であり、CDの治療エンドポイントとなる可能性がある。いくつかの尺度が、炎症性腸疾患質問票(Inflammatory Bowel Disease Questionnaire)(IBD-Q)を含む、患者の疾患に対する視点を評価するために使用されている。(Shi and Ng 2018)。
【0081】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、例えば、抗LIGHT抗体の投与前の対象のCDAIスコアと比較して、又は抗LIGHT抗体を投与されていない対象と比較して、対象のCDAIスコアを低下させる。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、例えば、抗LIGHT抗体の投与前の対象のSES-CDスコアと比較して、又は抗LIGHT抗体を投与されていない対象と比較して、対象のSES-CDスコアを低下させる。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、2未満の対象のSES-CDスコアをもたらす。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、例えば、抗LIGHT抗体の投与前の対象のIBD-Qスコアと比較して、又は抗LIGHT抗体を投与されていない対象と比較して、対象のIBD-Qスコアを増加させる。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、170以上の対象のIBD-Qスコアをもたらす。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、対象のIBD-Qスコアに少なくとも16ポイントの増加をもたらす。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、対象のIBD-Qスコアに少なくとも32ポイントの増加をもたらす。
【0082】
COVID-19疾患進行の段階
COVID-19疾患進行の段階は、Siddiqi,H.K.,et al.COVID-19 illness in native and immunosuppressed states:A clinical-therapeutic staging proposal.J Heart Lung Transplant 39(5),405‐407(2020)の
図1に示される。疾患は、大きく以下の3つの段階:初期感染、肺段階、及び過炎症段階、に分けることができる。ステージIは、ウイルス反応段階であり、ステージIIIは、宿主炎症反応段階であり、ステージIIは、2つの組み合わせである。患者が初期(ステージI)から肺症状が現れる肺段階(ステージII)に進むと、宿主の炎症反応が現れる。いくらかの患者では、炎症反応の調節不全が生じるのは、この時点である。炎症反応のこの調節不全は、血清などの生物学的流体における上昇した遊離LIGHTレベルを伴い得る。このステージである肺段階は、抗LIGHT抗体を投与して、この調節不全を是正し、過炎症段階(ステージIII)で発生するサイトカインストーム及びARDSへの進行を回避するために最適な段階である。
【0083】
COVID-19のステージIにおける患者は、軽度の疾患を有すると考えられる。COVID-19のステージIIにおける患者は、軽度から中度の疾患を有すると考えられる。COVID-19のステージIIIにおける患者は、重度の疾患を有すると考えられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、軽度のコロナウイルス(例えば、COVID-19)を有する対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスの初期感染ステージ中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスのステージI中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それを必要とする対象が軽度の全身症状、>99.6°Fの発熱、乾燥咳、下痢、又は頭痛を有する間に投与される。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象は、リンパ球減少症、プロトロンビン時間の増加、D-二量体の増加、及びLDH(軽度)を有する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルスのステージIを治療する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルスのステージIIへの進行を防止する。ステージングは、その全体が本明細書に組み込まれるSiddiqi,H.K.ら(2020)の
図1を参照する。
【0085】
いくつかの実施形態において、本方法の抗LIGHT抗体は、中度のコロナウイルス(例えば、COVID-19)を有する対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスの肺段階中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスのステージII中に投与される。本発明のいくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスのステージIIA中又はステージIIB中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それを必要とする対象が息切れ又は低酸素を示す間に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それを必要とする対象がALIに関する臨床基準を満たす間に投与される。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象は、異常な胸部画像、トランスアミナーゼ炎、又は低~正常なプロカルシトニンを有する。いくつかの実施形態において、患者は、人工呼吸/挿管を受けていない。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルスのステージIIを治療する。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルスのステージIIIへの進行を防止する。
【0086】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、重度のコロナウイルス(例えば、COVID-19)を有する対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスの過炎症段階中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、コロナウイルスのステージIII中に投与される。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それを必要とする対象がARDS、全身性炎症反応症候群(SIRS)/ショック、又は心不全を有する間に投与される。SIRSは、体内の広範な炎症を特徴とする侵襲に対する複雑な免疫応答である。SIRSの感染性及び非感染性の両方の原因が特定されている。いくつかの実施形態において、患者は人工呼吸/挿管を受けている。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体の投与は、コロナウイルスのステージIIIを治療する。
【0087】
抗LIGHT抗体
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、検出/診断及び治療の両方の目的、並びに本明細書に記載されるアッセイにおいて利用される。検出又は診断目的のために使用される抗LIGHT抗体は、(同じ対象においても)治療目的で使用される抗体とは異なる。
【0088】
治療目的に有用な抗LIGHT抗体は、参照により各々が本明細書に組み込まれるWO2008/027338、並びにUS8,058,402(B2)、US8,461,307(B2)、及びUS8,974,787(B2)に提供される、E1、E13、E63、F19、又はF23抗体のCDR配列を含み得る。検出/診断目的に有用な抗LIGHT抗体は、治療目的に使用されるものと同じではない。
【0089】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号2、3、及び4の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号5、6、及び7の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号2、3、及び4の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号5、6、及び7の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号8を含むか、又は配列番号8と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号9を含むか、又は配列番号9と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号8を含むか、又は配列番号8と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号9を含むか、又は配列番号9と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号8を含むか、又は配列番号8と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖と、配列番号9を含むか、又は配列番号9と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖と、の両方を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号10、11、及び12の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号13、14、及び15の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号10、11、及び12の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号13、14、及び15の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号16、17、及び18の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号19、20、及び21の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号16、17、及び18の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号19、20、及び21の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号22、23、及び24の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号25、26、及び27の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号22、23、及び24の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号25、26、及び27の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号28、29、及び30の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号31、32、及び33の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号28、29、及び30の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号31、32、及び33の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号34、35、及び36の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号37、38、及び39の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号34、35、及び36の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号37、38、及び39の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号40、41、及び42の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号43、44、及び45の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号40、41、及び42の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号43、44、及び45の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号46、47、及び48の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号49、50、及び51の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号46、47、及び48の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号49、50、及び51の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、参照により本明細書に組み込まれるUS2013/0323240及びUS8,524,869(B2)に記載される、抗体のCDR配列を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号52、53、及び54の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号55、56、及び57の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号52、53、及び54の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号55、56、及び57の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号58を含むか、又は配列番号58と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号59を含むか、又は配列番号59と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号58を含むか、又は配列番号58と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号59を含むか、又は配列番号59と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、配列番号58を含むか、又は配列番号58と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、重鎖と、配列番号59を含むか、又は配列番号59と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、軽鎖と、の両方を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、US2013/0323240からの配列表に記載されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3配列の以下のセット:US2013/0323240の配列番号18、19、20、及び配列番号38、41、42;US2013/0323240の配列番号18、19、21、及び配列番号39、41、42;US2013/0323240の配列番号18、19、22、及び配列番号40、41、42;US2013/0323240の配列番号23、24、25、及び配列番号43、44、45;US2013/0323240の配列番号26、27、28、及び配列番号46、47、48;US2013/0323240の配列番号29、30、31、及び配列番号49、50、51;US2013/0323240の配列番号32、33、34、及び配列番号52、53、54;US2013/0323240の配列番号35、36、37、及び配列番号55、50、51、うちの1つを一緒に含む、重鎖及び軽鎖を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/107331に記載される、18E04、98C07、1C02、1C06、13H04、31A10、98C07、42A02、29C02、14B09、117C06、114F05、及び62C01の抗体のCDR配列を含む。
【0102】
例えば、いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号60、61、及び62の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号63、64、及び65の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号60、61、及び62の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号63、64、及び65の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号66、67、及び68の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号69、70、及び71の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号66、67、及び68の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号69、70、及び71の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号72、73、及び74の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号75、76、及び77の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号72、73、及び74の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号75、76、及び77の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ、配列番号78、79、及び80の各々を含む3つのCDR配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗LIGHT抗体は、それぞれ配列番号81、82、及び83の各々を含む3つのCDR配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、それぞれ配列番号78、79、及び80の各々を含む3つのCDR配列を含み、軽鎖は、それぞれ配列番号81、82、及び83の各々を含む3つのCDR配列を含む。
【0106】
キット及び製品
前述の方法のうちのいずれかは、遊離LIGHTの検出並びに/あるいはCOVID-19を含むコロナウイルスなどのウイルス及び/若しくは細菌感染症を含む、上昇した遊離LIGHTに関連した状態の診断及び/又は治療、のためのキットを介して実施することができる。キットは、抗体、1つ以上の非天然に存在する検出可能な標識、マーカー、若しくはレポーター、薬学的に許容される担体、生理学的に許容される担体、使用のための説明書、容器、投与のための容器、アッセイ基材、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、キットは、(総LIGHT又は結合LIGHTとは対照的に)生体試料中の遊離LIGHTを検出する方法における使用のためのものである。
【0108】
いくつかの実施形態において、キットは、コロナウイルス感染症、ALI、ARDS、又は肺線維症を有するか、又は有することが疑われる対象からの生体試料中の遊離LIGHTを検出する方法における使用のためのものである。
【0109】
いくつかの実施形態において、キットは、クローン病又はクローン病に関連する炎症性状態を有するか、又は有することが疑われる対象からの生体試料中の遊離LIGHTを検出する方法における使用のためのものである。
【0110】
いくつかの実施形態において、キットは、対象からの生体試料中の上昇した遊離LIGHTを検出する方法における使用であって、任意選択的に、対象がコロナウイルス感染症を有することが疑われる、使用のため、また、診断後に対象を、抗LIGHT抗体を有効量で投与することによって治療するためのものである。
【0111】
いくつかの実施形態において、上記方法のうちの1つにおける使用のためのキットは、軽度、中度、若しくは重度のクローン病、又はクローン病に関連する軽度、中度、若しくは重度の炎症性状態を有する対象における使用のために好適である。
【0112】
いくつかの実施形態において、上記方法のうちの1つにおける使用のためのキットは、軽度、中度、又は重度のコロナウイルス感染症を有する対象のために好適である。いくつかの実施形態において、軽度、中度、又は重度のコロナウイルス感染症は、COVID-19感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス(COVID-19を含む)感染症は、呼吸器疾患に関連する。いくつかの実施形態において、コロナウイルス(COVID-19を含む)感染症は、ALI又はARDSに関連する。
【0113】
いくつかの実施形態において、検出及び/又は治療する方法における使用のためのキットは、抗LIGHT抗体試薬が結合される固相を含む。いくつかの実施形態において、検出及び/又は治療する方法における使用のためのキットは、生体試料に由来する遊離LIGHTが結合されることになる固相を含む。
【0114】
本発明のキットに使用される固相には、マイクロプレート、磁性粒子、イムノクロマトグラフィー用のフィルターペーパー、ポリスチレンなどのポリマー、ガラスビーズ、ガラスフィルター、及び他の不溶性担体が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、多くの区画又は領域を含む固体基材は、本発明の抗体でコーティングされた少なくとも1つの区画を有する。
【0115】
本発明のキットはまた、診断剤である抗LIGHT抗体に更なる成分を含み得る。更なる成分には、標識のための酵素、そのための基質、放射性同位体、光反射物質、蛍光物質、着色物質、緩衝溶液、及びプレート、並びに上記で言及されたものが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0116】
遊離LIGHT検出アッセイ
対象からの遊離LIGHTを含有することが疑われる試料中の遊離LIGHTを検出及び測定するための方法である、アッセイが開示される。かかる方法は、試料からの遊離LIGHTが捕捉抗体コーティング、例えば常磁性ビーズによって捕捉され、検出抗体が捕捉された遊離LIGHTに更に結合する、サンドイッチイムノアッセイのための抗体対を使用し得る。次に、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(SβG)などの標識酵素コンジュゲートを添加し、検出抗体に結合させる。最後に、酵素基質を添加して、試料中の遊離LIGHTの存在及び量と相関することができる蛍光強度を得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、遊離LIGHTを含有することが疑われる試料は、遊離LIGHTに特異的に結合するが、結合LIGHTには結合しない、遊離LIGHTに対する捕捉分子と接触させ、インキュベートして捕捉分子を遊離LIGHTに結合させる。かかる実施形態は、捕捉分子への遊離LIGHTの結合を検出することと、試料中の遊離LIGHTの量の決定することと、を更に伴う。捕捉分子は、抗体であり得るが、抗体である必要はない。いくつかの実施形態において、結合LIGHTは、複合体に結合されたLIGHTを指す。いくつかの実施形態において、結合LIGHTは、DcR3との複合体に結合されたLIGHTである。いくつかの実施形態において、結合LIGHTは、DcR3によって中和又は不活性化されるLIGHTである。いくつかの実施形態において、結合LIGHTは、そのTNF受容体であるHVEM及びLTβRのいずれかに結合されたLIGHTである。いくつかの実施形態において、複合体に結合されたLIGHTは、DcR3又は抗LIGHT抗体に結合されたLIGHTを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、捕捉分子は、遊離LIGHTに特異的に結合するが、LIGHT/DcR3複合体には結合しない。いくつかの実施形態において、捕捉分子は、遊離LIGHTがDcR3に結合する部位で、又は遊離LIGHTがDcR3に結合する部位の近傍で、遊離LIGHTに特異的に結合し、それによって、例えば、LIGHTは捕捉分子とDcR3とに同時に結合することができない。いくつかの実施形態において、捕捉分子は、LIGHTがDcR3に結合する部位で、遊離LIGHTに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、捕捉分子は、遊離LIGHTがそのTNF受容体であるHVEM及びLTβRのいずれかに結合する部位又は部位の近傍で、遊離LIGHTに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、捕捉分子は、遊離LIGHTがそのTNF受容体であるHVEM及びLTβRのいずれかに結合する部位で、遊離LIGHTに特異的に結合する。
【0119】
対象からの遊離LIGHTを含有することが疑われる試料における遊離LIGHTを検出及び測定するための方法のいくつかの実施形態において、試料は、捕捉分子だけでなく、検出分子とも接触させる。かかる実施形態は、試料をインキュベートして、捕捉分子及び検出分子を遊離LIGHTに結合させることを更に伴う。かかる実施形態は、遊離LIGHTと捕捉分子との結合を検出することと、試料中の遊離LIGHTの量の決定することと、を更に伴う。いくつかの実施形態において、遊離LIGHTと検出分子との結合もまた、検出される。いくつかの実施形態において、検出分子は、捕捉分子とは異なる遊離LIGHT部位に結合する。
【0120】
対象からの遊離LIGHTを含有することが疑われる試料における遊離LIGHTを検出及び測定するための方法のいくつかの実施形態において、方法は、試料中の遊離LIGHTの量と総LIGHTの量とを比較することを更に伴う。
【0121】
いくつかの実施形態において、捕捉分子は、抗体である。いくつかの実施形態において、捕捉分子は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体又は二重効果的抗体、サル化抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体から選択される抗体である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、支持体(例えば、Simoaプラットフォームにおけるナノ粒子)に結合される。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、ProSci RF16062である。
【0122】
いくつかの実施形態において、検出分子は、抗体である。いくつかの実施形態において、検出分子は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、ProSci RF16062である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、Enzo ALX-804-841-C100である。いくつかの実施形態において、検出抗体は、DCABH-13797である。いくつかの実施形態において、検出抗体は、ProSci RF16062である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、ProSci RF16062であり、検出抗体は、DCABH-13797である。いくつかの実施形態において、捕捉抗体は、Enzo ALX-804-841-C100であり、検出抗体は、ProSci RF16062である。
【0123】
いくつかの実施形態において、試料は、血清、血漿、唾液、又は糞便である。いくつかの実施形態において、試料は、血清試料である。
【0124】
実施例1
急性COVID-19感染症を有する対象からの血清を検査して、疾患の急性期中の遊離LIGHT及び他のサイトカイン/炎症性マーカーのレベルを決定する、試験を実施した。健常な対照と、ALI/ARDSによる軽度~重度の疾患を有する対象とを比較して、LIGHTレベル及び他の炎症マーカーに差があるか決定した。重度のCOVID-19感染を有する対象は、健常な対照又はARDSを伴わない軽度若しくは中度のコロナウイルス感染を有する対象と比較して、高いレベルの血清遊離LIGHT及び他の炎症マーカーを有することが予想され、更に、これらのマーカーは、抗LIGHT療法による治療から利益を受け得る対象を特定するのに有用であり得た。免疫応答を媒介するLIGHTの役割、特に炎症細胞浸潤及びT細胞活性化におけるその役割を考慮すると、これらの対象は、抗LIGHT抗体療法から利益を得ることが予想された。したがって、アッセイ結果は、どの治療薬が適切であるかについて臨床医にガイダンスを提供することが予想された。
【0125】
この試験には、30名の健常な対照、挿管され、重度のCOVID-19感染症を有した28名の対象、及び人工呼吸を受けず、軽度~中度のCOVID-19感染症を有した20名の対象が含まれた。単一時点で対象から採血した。本明細書の実施例4に記載される遊離LIGHTアッセイを使用して、血清中の遊離(活性)LIGHTの存在及びレベルを決定し、決定は挿管された患者では挿管時に行った。
【0126】
遊離LIGHTは、健常な対照(N=30)と比較して、COVID-19対象(N=47)で有意に上昇した(p<0.0001)。
図6を参照する。
【0127】
遊離LIGHTはまた、健常な対照(N=30)と比較して、非人工呼吸COVID-19患者(N=20)及び挿管COVID-19患者(N=27)の血清で有意に上昇した(p<0.0001)。
図7を参照する。
【0128】
追加の証拠は、最も高い遊離LIGHTレベルが、人工呼吸器のサポートを必要とする患者、特に60歳を超える患者で認められ、上昇した遊離LIGHTレベルは、これらの患者における致命的な転帰に関連し、より高い血清LIGHTレベルと60歳を超える患者の死亡率との間に統計的に有意な関連性がある(p=0.0209)ことを示唆する。
図8を参照する。観察された死亡率は、<60歳の患者(32%)と比較して60歳を超える患者(82%)で高かった。
【0129】
実施例2
COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人における抗LIGHT抗体の有効性及び安全性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設、第2相臨床試験を、実施例2に記載される方法に従って実施した。抗LIGHT抗体は、配列番号8のVH、及び配列番号9のVLを有する。
【0130】
実施例2.1-試験の目的及びエンドポイント
試験の第一の目的は、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人におけるARDSの予防に対する標準的な医療に加えて、プラセボと比較した抗LIGHTモノクローナル抗体の効果を評価することである。投与されるヒト抗LIGHTモノクローナル抗体は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3アミノ酸配列:配列番号2、3、4、5、6、及び7を一緒に含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0131】
試験の第二の目的は、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人において、標準的な医療に加えて、プラセボと比較した抗LIGHTモノクローナル抗体の安全性及び耐容性を評価することと、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人における死亡率について、標準的な医療に加えて、プラセボと比較した抗LIGHTモノクローナル抗体の効果を評価することである。
【0132】
探索的目的は、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人におけるウイルス量について、標準治療に加えて、プラセボと比較した抗LIGHTモノクローナル抗体の効果を評価することと、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人における抗LIGHTモノクローナル抗体のPK、薬力学(PD)、及び免疫原性を評価することである。
【0133】
試験の第1のエンドポイントは、28日にわたって生存し、呼吸不全を有しない被験者の割合である。呼吸不全は、気管内挿管及び機械的人工呼吸、高流量鼻カニューレによって送達される酸素(送達される酸素の割合が≧0.5で、流速>20L/分で増強された鼻カニューレを介して送達される加熱され、加湿された酸素)、非侵襲的陽圧人工呼吸、又は体外式膜型人工肺(ECMO)のうちの1つを含むリソース利用に基づいて定義される。
【0134】
試験の第2のエンドポイントは、28日目/早期終了(ET)時に生存していた被験者の割合として定義される1か月死亡率、動脈酸素分圧/吸入酸素の割合(PaO2/FiO2)比、侵襲的人工呼吸の時間、人工呼吸サポートの持続期間、試験の集中治療室(ICU)期間、入院期間、安静時パルスオキシメーター>93%で室内空気に戻るまでの期間、PaO2/FiO2のピーク比、酸素の分圧(PO2)、連続臓器不全評価(SOFA)スコアの変化、体温の変化、並びに有害事象(AE)モニタリング及び安全性検査決定として定義される。
【0135】
試験の探索的エンドポイントは、鼻咽頭吸引液中におけるウイルス量、LIGHTレベル及び炎症性バイオマーカーパターン(InflammationMAP)、経時的な抗LIGHTモノクローナル抗体の血漿中濃度、並びに抗薬物抗体(ADA)の測定である。
【0136】
実施例2.2-試験設計
本試験は、抗LIGHTモノクローナル抗体の有効性及び安全性を、標準治療に加えてプラセボと比較して決定するように設計され、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する被験者にSC投与される。試験の主な目的は、COVID-19肺炎及び急性肺損傷を有する成人におけるARDSの予防における抗LIGHTモノクローナル抗体の効果を評価することである。抗LIGHTモノクローナル抗体の有効性は、PaO2/FiO2、生存している呼吸不全日数、生存している人工呼吸なしの日数、ICU及び入院期間、室内空気又はベースライン酸素要求への復帰、SOFAスコア、体温、鼻咽頭吸引液中のウイルス量、侵襲的人工呼吸までの期間、並びに人工呼吸サポートの期間を測定することによって決定される。これらは、呼吸機能を評価するために日常的に使用され、受け入れられている方法である。試験はまた、他のパラメータとは別に、1か月死亡率も評価する。
【0137】
試験は、米国における約10の試験施設で実施される。
【0138】
83名の患者が試験に登録される。試験候補者のスクリーニングログは、各試験実施施設で維持される。
【0139】
組み入れ基準
被験者は、以下の要件を満たして、試験に無作為化される:
1.被験者/法的に認可された代表者(LAR)は、この試験に参加するための書面によるインフォームドコンセント及び同意(該当する場合)を理解し、提供することができる。
2.被験者は、インフォームドコンセント及び同意(該当する場合)の時点で≧18歳である。
3.被験者は、男性又は妊娠していない、授乳していない女性であり、潜在的に出産可能な場合、試験を完了する前に退院した場合に該当する避妊要件を遵守することに同意する。
4.被験者は、承認された検査方法を通じてCOVID-19感染の診断を受ける。
5.被験者は、PaO2/FiO2>100及び<300で、両側X線びまん性浸潤と定義される急性肺損傷を伴う肺炎の臨床診断のために入院する。
6.利用可能である場合、周囲空気における被験者の安静時酸素飽和度は<93%である。
【0140】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかの存在は、被験者を試験から除外する:
1.被験者は、挿管される。
2.被験者は、免疫調節剤又は拒絶反応防止薬を服用している。重症COVID-19患者における標準的な医療措置の一部としてのコルチコステロイドの使用は、臨床的に適応され、医療モニターと協議される場合に許可される。
3.被験者は、ベースラインの60日以内に免疫調節生物製剤を投与されている。
4.被験者は、適切な体積蘇生にもかかわらず、65mmHg以上の平均動脈圧(MAP)及び2mmol/L(18mg/dL)超の血清乳酸塩レベルを維持する血管圧を必要とする持続性低血圧として定義される敗血症性ショックにある。
5.被験者は、ALT/AST>5×ULN又はクレアチニン>2.5mg/dlを有する
6.被験者は、<500個/ml3の好中球を有する
7.被験者は、<50,000個/ml3の血小板を有する
8.被験者は、抗LIGHTモノクローナル抗体の成分のいずれかに対する既知の過敏症を有する。
9.被験者は、ベースライン来院前3か月以内に、水痘帯状疱疹、経口ポリオ、又は風疹などの任意の弱毒生ワクチンを受けている。
【0141】
スクリーニングの失敗
組み入れ及び/又は除外基準を欠いている被験者は、試験について再審査されない。
【0142】
早期の被験者離脱
全ての被験者は、理由にかかわらず、偏見なく、いつでもこの試験の参加を離脱することが自由であると助言される。治験責任医師は、被験者を試験に留めるためにあらゆる合理的な試みを行うように指示されているが、被験者が参加の同意を撤回する場合、被験者は試験から離脱しなければならない。
【0143】
治験依頼者は、プロトコル逸脱又は他の理由により、被験者の離脱を要求する権利を留保する。
【0144】
治験責任医師はまた、いかなる理由でも常に被験者を試験から離脱させる権利を有する。被験者が試験を完了する前に離脱する場合、被験者は評価スケジュール(表1)に指示されたようにフォローアップされるものとする。離脱の理由は治験責任医師によって決定され、被験者の医療記録及び症例報告フォーム(CRF)に記録されなければならない。被験者が2つ以上の理由で離脱する場合、各理由はソースドキュメントに記録され、最も臨床的に関連する理由はCRFに入力されるものとする。
【0145】
中止の考えられる理由には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
●有害事象
●重大なプロトコルの逸脱
●試験評価からの被験者による離脱
●治験薬からの被験者による離脱
●フォローアップに所在不明
●その他。その他が選択される場合、治験責任医師はCRFに理由を特定するように要求される。
【0146】
被験者の交替基準
試験を離脱するか、又は中止する被験者は、交替することができる。
【表1】
略語:ADA=抗薬物抗体、EC=心電図、ET=早期終了、InflammationMAP=炎症性バイオマーカーパターン、LIGHT=リンホトキシン様であり、誘導性発現を示し、Tリンパ球によって発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合でHSV糖タンパク質Dと競合する、PK=薬物動態。
1.28日目は、試験を中止する被験者及び28日目の来院前に退院する被験者について、フォローアップコールとして実施される。加えて、被験者が28日目より前に試験を中止又は退院する場合、28日目/ET来院手順を実施する。28日目及び60日目のフォローアップコールを除き、これ以上の来院は要求されない。
2.安全性フォローアップコールは、治験薬投与の約59日(±7日)後に実施される。
3.併用薬は、試験期間を通して収集される。
4.有害事象は、試験期間を通して収集される。
5.試料は、治験薬投与前に収集される。
6.試料は、1日目投与の24時間(±2時間)後に収集される。
7.ECGは、被験者が心臓モニタリングによって評価されていないときに毎日収集される。
8.ADA試料は、8日目、14日目、28日目/ETで収集される。加えて、免疫学的に関連する有害事象が報告されたとき(例えば、皮膚反応、狼瘡様症候群、原因不明の血小板減少症)、試料が収集される。
9.施設がウイルス量を得る定量試験を行うことができない場合、1日目及び5日目に収集されるウイルス量試料は収集することが要求されない。
10.潜在的に出産の可能性のある女性の場合。閉経後(12か月連続の自然無月経かつ≧51歳)及び/又は外科的に不妊(子宮切除、両側卵管結節術、両側卵管切除術、又は両側卵管切除術の外科的行為のうちの1つを受けている)であり、不妊術後、少なくとも6週間である場合、被験者は、出産可能であるとみなされない。
【表2】
【0147】
実施例2.3-治療
治験薬の特定、用量、及び投与方式
抗LIGHTモノクローナル抗体は、この試験で使用される治験薬である。それはバイアルで供給される。プラセボは、現地で調達され、体積が一致した注射用の生理食塩水として提供される。抗LIGHTモノクローナル抗体又はプラセボは、使用される注射器の数に基づいて注射部位を回転させて、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSC注射によって投与される。抗LIGHTモノクローナル抗体又はプラセボは、ベースライン(1日目)で投与される。抗LIGHTモノクローナル抗体は、16mg/kg用量(最大用量1200mg)で投与される。
【0148】
表示及びパッケージング
全てのパッケージング及び表示作業は、治験依頼者又は被指名者によって、製造管理及び品質管理に関する基準及び医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)の規則に従って行われる。治験薬は治験依頼者又は被指名者によって試験施設に送付される。表示は現地の言語であり、現地の規制に依存する。
【0149】
投与される治療
適格な被験者は、標準医療に加えて、1日目に抗LIGHTモノクローナル抗体又はプラセボを受ける。標準医療は、試験全体を通して維持され、COVID-19を治療するために使用される他の薬物、デバイス、又は介入の承認適応症外使用を含むことができる。
【0150】
分配及び保存
治験依頼者によって供給される抗LIGHTモノクローナル抗体は、プロトコルの指示に従って、この臨床試験において排他的に使用される。プラセボは、現地で調達され、体積の一致した注射用の生理食塩水として提供される。治験責任医師は、投与スキームに従って治験薬を分配すること、及び治験薬の適切な保存を確実にすることに責任がある。
【0151】
非盲検薬剤師は、治験薬の受領を本人の署名によって確認する。この受領書の写しは、非盲検薬剤師によって保管され、別の写しが治験依頼者及び/又は被指名者で保管される。治験薬が被験者に分配されるまで、それは2℃~8℃(35.6°F~46.4°F)で保存され、光から保護される。治験責任医師又は他の権限を与えられた者(例:薬剤師)は、治験依頼者が提供する治験薬を、現地の規制、表示仕様、施設の方針及び手順に従って確実かつ安全な場所に保存する責任がある。
【0152】
治験依頼者によって提供される治験薬の保存条件の管理、特に温度の管理(例えば、冷蔵保存)及び毎日の温度モニタリング、並びに使用中の安定性に関する情報及び治験薬の取り扱いに関する説明書は、治験依頼者によって提供される規則に従って管理されるべきである。
【0153】
盲検及び非盲検治療割り当て
これは二重盲検試験である。データ管理を含む、試験の実施に関与する全ての被験者、治験責任医師、及び試験職員は、以下の個人:無作為化コードにアクセス権を有する開発業務受託機関(CRO)の特定の非盲検統計専門家、及び治験薬を調製するために無作為化コードにアクセス権を有する病院の特定の非盲検薬剤師、を除いて、治療割り当てに盲検化される。
【0154】
非盲検薬剤師及び非盲検統計専門家は、本試験の非盲検化の前に、試験又はデータ分析以外に参加しない。
【0155】
治療の割り当てを知ることで、医療緊急事態の計画された管理が実質的に変更されない場合、治療の非盲検化は推奨されない。非盲検化は、被験者の治療割り当てについて直ちに知る必要がある医療緊急事態に許可される。可能な限り、非盲検化は治験依頼者の医療モニターと協議されるべきである。緊急の非盲検化では、治験責任医師は非盲検薬剤師に連絡する。治験責任医師は、治療の非盲検化について事前に議論することができない場合、被験者の治療割り当てを明らかにすることなく、非盲検化事象についてできるだけ速やかに治験依頼者の医療モニターに通知しなければならない。治験責任医師又は被指名者は、その被験者に関する適切なeCRFに試験中止の日付及び理由を記録する。緊急ではない全ての症例では、治験責任医師は被験者の治療割り当ての非盲検化の前に、治験依頼者の医療モニターと事象について議論する。
【0156】
治療割り当てが個々の被験者について非盲検である場合、治験責任医師は、試験における残りの被験者の治療割り当てを非盲検化することなく、その被験者の治療割り当てが通知される。治験責任医師は、治験依頼者の医療モニターに相談した後、この決定を行う。
【0157】
試験における用量の選択
16mg/kgの用量(1200mgの最大用量)が、患者の安全性を確保しながら、LIGHTの遮断を達成する能力を最大限にする取り組みで選択される。頑強な毒性プログラムにおいて、抗LIGHTモノクローナル抗体は、サルにおいて100mg/kgまでの高い用量で投与されて十分に耐容され、NOAELが60mg/kgであることが決定された。ヒトにおける用量化において、抗LIGHTモノクローナル抗体は、健常なボランティアにおいて最大1200mgの単回増加用量で安全であり、十分耐容された。治療中に生じた臨床的に意味がある有害事象、又はECGパラメータ若しくは臨床検査値における変化はなかった。安全性レビュー委員会は、個々の被験者からのデータ及び日常的に治療された全ての被験者にわたるデータを分析し、投与によるあらゆる安全性シグナルを評価した。
【0158】
用量調整基準
用量調整は許可されない。
【0159】
治験薬管理記録
治験薬の受領、分配、又は他の配置を示す記録は、日付、ロット識別子、投与量、各被験者に投与された体積、及び治験薬を受ける被験者の識別(被験者番号及びイニシャル)を含み、非盲検薬剤師によって維持される。治験責任医師は、US Food and Drug Administration(FDA)のフォームFDA1572に副治験責任医師として記名されている者及び指定された試験職員、並びにこの試験の被験者以外のいかなる者にも治験薬を供給しない。治験責任医師は、FDA1572フォームに記載されている以外のいかなる試験場所からも治験薬を分配しない。治験薬のいずれかが分配されない場合、紛失、盗難、流出、使用不能であるか、又は破損した容器で受け取られた場合、その情報は文書化され、必要に応じて治験依頼者及び適切な規制機関に報告されるべきである。
【0160】
試験の完了時、未使用の治験薬は、治験依頼者による最終処分のため、又は施設の標準的な実施手順に従って、元のパッケージのままにされ得る。全ての部分的に使用された治験薬及び全ての空のパッケージング(例えば、バイアル)は、治験依頼者による最終処分のために保存されるか、破棄のために治験依頼者の被指定者に戻すか、又は施設の標準的な実施手順に従い得る。
【0161】
許可及び禁止された療法
ベースライン前の7日以内及び試験終了までに受けた市販及び非薬理学的治療を含むがこれらに限定されない全ての非試験療法は、適切な電子症例報告書(eCRF)ページに記録される。
【0162】
前療法
前治療には、治験薬の最初の投与日の7日以内に受けた全ての治療が含まれる。前治療情報は、適切なeCRFページに記録される。
【0163】
併用療法
併用療法は、治験薬の最初の投与日からフォローアップ期間の終了までの間に行われた全ての療法を指す。併用治療情報は、適切なCRFページに記録される。
【0164】
許可された療法
被験者の福祉のために必要と考えられる医薬品は、治験責任医師の裁量で投与される。施設が更なる明確化を必要とする状況にある事象では、治験依頼者の医療モニターに接触し得る。
【0165】
許容される避妊法は、インプラント、注射剤、混合経口避妊薬、子宮内避妊具、性的禁欲、又は輸精管切除パートナーである。
【0166】
禁止療法
被験者は、ベースライン来院前の60日以内に免疫調節生物製剤を投与されていることはできず、ベースライン来院前の3か月以内に水痘帯状疱疹、口腔ポリオ、又は風疹などの任意の弱毒生ワクチンを投与されていることはできない。試験中、コルチコステロイドを除き、試験化合物の新規の開始は禁止され得、コルチコステロイドは、臨床的に示されて、医療モニターと協議された場合、重度COVID-19患者における医療措置の標準の一部として投与することが許可される。免疫調節薬又は抗拒絶薬の使用は禁止され得る。
【0167】
試験終了後の治療
被験者は、試験全体を通して標準的な臨床診療に従って治療される。
【0168】
実施例2.4-試験手順
被験者/LARは、試験関連手順が開始される前に、書面によるインフォームドコンセント及び同意(該当する場合)を提供する。
【0169】
試験全体を通した評価及び手順のタイミングについて、事象のスケジュール(表1及び表2)を参照する。表2に列挙される手順は、別途定義されていない限り、標準的な医療とみなされ、施設の実施手順に従って行われる。試験を通じて、試験職員はあらゆる合理的な努力をして、各被験者に関する事象のスケジュールにおける評価及び手順のタイミングに従う。
【0170】
試験期間
抗LIGHTモノクローナル抗体及びプラセボ治療は、1日目に投与され、試験の継続期間は60日だった。
【0171】
有効性評価
有効性応答は、評価スケジュール(表1及び表2)に記載されている時点で、以下の手順:PaO2/FiO2を測定するための動脈血ガス(ABG)試験、パルスオキシメトリー、SOFAスコア測定(SOFAスコアは、6つの臓器系:呼吸器、凝固性、肝臓、心臓血管、腎臓、及び神経の系における臓器機能障害の数及び重症度の両方を計算する単純で客観的なツールであり[表3]、スコアは、個々又は集団の臓器機能障害を測定することができる(Vincent JL,Moreno R,Takala J,et al.The SOFA(Sepsis-related Organ Failure Assessment)score to describe organ dysfunction/failure.On behalf of the Working Group on Sepsis-Related Problems of the European Society of Intensive Care Medicine.Intensive Care Med.1996;22(7):707-710])、体温、鼻咽頭吸引液中のウイルス量、によって評価される。これらの検査とは別に、侵襲的人工呼吸までの期間及び人工呼吸サポートの継続期間も記録される。
【表3】
【0172】
安全性評価
安全性及び耐容性評価には、AEの頻度及び重症度、並びに臨床検査値、バイタルサイン、ECG記録、及び身体検査所見における変化の評価が含まれる。
【0173】
実施される臨床検査
C反応性タンパク質のための試料を、評価スケジュールに指定された時点で収集する(表1)。PK、LIGHT、及びInflammationMAP試料を除く他の全ての検査試料は、標準的な医療とみなされ、施設の診療に従って行われ得る。
【0174】
検査標本は、それらの収集及び処理要件に従って病院の検査室で分析される。
【0175】
採血体積
この試験のための採血体積を表4に示す。
【表4】
【0176】
抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、薬物動態、及び抗薬物抗体評価
薬物動態及びADA評価は、抗LIGHTモノクローナル抗体の血漿濃度から算出される。
【0177】
検体取り扱い要件
感染性病原体の伝播は、汚染された針及び血液又は血液生成物との接触を通じて生じ得る。したがって、適切な血液及び体液の予防措置が、診療所及び検査室状況の両方で、血液の収集及び検体の取り扱いに関与する全ての試験職員によって用いられ得る。適切な当局の最新の勧告を参照する。
【0178】
被験者試料の適切な取り扱いに加えて、生物学的/病原性試料の出荷に関する特定の規制が存在する。感染性試料の梱包及び出荷に関する手順及び規制は、施設及び/又は試験検査室マニュアルに概説されている。治験責任医師は、別の場所に輸送される全ての試験試料が、適用される規制に従って適切に梱包され、出荷されることを確実にする責任がある。
【0179】
検査値の評価
この試験における検査評価に関する値の正常範囲は、各病院の現地検査室によって提供される。それらは、特定の施設において決定される参考範囲とみなされる。
【0180】
検査値が参考範囲外である場合、それは必ずしも臨床的に関連するものではない。治験責任医師は、範囲外の値を評価し、被験者のソースドキュメントに臨床的関連性の自分の評価を記録し得る。
【0181】
治験責任医師の見解で、治療中又は治療の終了後に臨床的に関連するか又は病理学的変化を示す全ての検査値は、医療モニターと協議され、必要に応じて、AEとして報告されて、追跡されるべきである。
【0182】
このセクションに記載される全ての測定は、承認された標準的な方法である。
【0183】
臨床検査:血圧、脈拍数、呼吸数、体温、身長、及び体重
血圧、脈拍数、呼吸数、体温、身長、及び体重は、標準的な医療とみなされ、施設の実施手順に従って行われる。追加の血圧及び脈拍数の測定が、治験責任医師によって決定されるように行われて、被験者の安全性の適切なモニタリング及びバイタルサインの正確な記録を確実にすることができる。治験責任医師によって臨床的に重要であると判断されるベースラインからのいずれの変化も、AEとして記録される。
【0184】
臨床検査:心電図
標準的な12誘導ECGは標準的な医療とみなされ、心臓モニターによって評価されていないものについて毎日行われる。それらは、表2で別途定義されていない限り、施設の実施手順に従って行われる。全てのECG記録は、被験者番号、被験者イニシャル、日付、及び記録した時刻で識別され、コピーは被験者のソースドキュメントに含まれる。全てのECGは、治験施設によって供給される装置を使用して行われ得る。
【0185】
電子的なECGトレーシングは、施設の実施手順に従って分析される。加えて、ECGトレーシングの正常又は異常としての治験責任医師の評価が文書化され、異常な場合、異常性が臨床的に重要であるか否かのその判断がトレーシングに記録され得る。
【0186】
治験責任医師の見解で、治療中又は治療の終了後に臨床的に関連するか又は病理学的変化を示す全てのECG値は、治験依頼者の医療モニターと協議し、AEとして報告されて、追跡され得る。
【0187】
臨床検査:身体検査
完全な身体検査は標準的な医療とみなされ、表2で別途定義されていない限り、施設の実施手順に従って実施される。臨床的に重要な身体検査所見は、AEとして報告され、追跡される。
【0188】
臨床検査:有害事象
治験責任医師は、前述のAE又はSAEの基準及び定義を満たす事象の検出及び文書化に関して責任がある。入院期間中に行われた臨床的に関連するいずれの観察も、AEとみなされる。
【0189】
薬物動態及び免疫原性分析
PK分析のための血液試料は、投与後24時間(±2時間)の2日目、並びに8、14、及び28日目に任意の時点で収集する。ADA分析のための血液試料は、8日目、14日目、及び28日目に任意の時点で収集する。加えて、免疫学的に関連する有害事象が報告されるとき、試料が収集される。試料は、血漿に処理する。PK試料の時間は、eCRFに記録される。PK及びADA試料当たり合計1.0mLの血漿を各被験者から収集し、抗LIGHTモノクローナル抗体及びADAの血漿濃度を測定する。薬物動態試料及びADA試料は、検査室マニュアル及びガイダンスに記載される方法及び指示に従って処理されるべきである。薬物動態及びADA血漿試料分析は、検証された酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、それらの標準操作手順(SOP)に従って、実験室マニュアル及びガイダンスに定義された検査室によって行われる。アッセイ及び分析の詳細は、方法の検証及び生物分析情報に記載されている。
【0190】
薬力学
探索的解析のために血液試料を収集する。探索的分析には、LIGHTレベル及び表1に特定されるInflammationMAPが含まれるが、これらに限定されない。探索的バイオマーカー分析は、実験室マニュアル及びガイダンスで特定される検査室で行われる。
【0191】
実施例2.5-有害事象
有害事象収集
AEは、医薬品を投与された患者又は臨床試験の被験者における任意の不都合な医療的発生として定義され、必ずしも製品と因果関係を有しない。したがって、AEは、製品に関連するかにかかわらず、製品に時間的に関連する、好ましくない、意図しない徴候(新しい、臨床的に重要な異常な検査所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。治験薬の最初の用量後で、かつ被験者の治験薬の最後の用量の30日以内に発生した場合、AEは治療で出現したとみなされる。
【0192】
インフォームドコンセントに署名した時点から試験終了(60日目)までの全てのAEが収集される。これには、治験薬が投与されるかにかかわらず、発生する事象が含まれる。可能であれば、症状の一覧ではなく診断を記録する。診断がまだなされていない場合、各症状を個別に列挙する。全てのAEは、eCRF及びソースドキュメントの適切なAEページに取り込む。不都合なAEに加えて、治験薬適応外の予期しない利点を、ソースドキュメント及びAE eCRFに取り込む。
【0193】
被験者がまだ試験に参加していたかに関係なく、全てのAEを閉鎖まで追跡する(被験者の健康状態が自分のベースライン状態に戻っているか、又は全ての変数が正常に戻っている)。閉鎖は、転帰が達成されているか、安定化が達成されたか(治験責任医師は、事象のいかなる更なる改善又は悪化も予期しない)、又は事象が他の方法で説明されたか、を示す。適切な場合、事象の解消を文書化できるように、医学的検査及び調査が行われる。
【0194】
有害事象の重症度
AEの重症度は、重症度における各変化の開始日及び停止日を含む事象の経過中に記録される。重症度が変化する事象は、新たな事象として捉えられる。治験薬開始後に、前治療事象が悪化することは、新たなAEとして記録される。例えば、被験者が治験薬を投与する前に軽度の間欠性頭痛を経験しているが、しかしながら、頭痛の強度が治験薬の最初の投与後に中度に増加する場合、中程の間欠性頭痛の新たなAEがソースドキュメント及びeCRFに記録される。
【0195】
AEの臨床的重症度の医学的評価は、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)、Version 5.0(the US Department of Health and Human Services,National Institutes of Health,National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公表された)に概説されている定義を使用して決定される。グレード1は、軽度、無症候性若しくは軽度の症状、又は臨床若しくは診断的観察のみ、又は介入が適応されない、として定義される。グレード2は、中度、若しくは最小限の、局所的若しくは非侵襲的介入が適応されるか、又は年齢に適した手段的日常生活動作(ADL)を制限する、として定義される。グレード3は、重度若しくは医学的に重要であるが、直ちに生命を脅かさないか、又は入院若しくは入院期間の延長が適応されるか、又は身体障害になるか、又は自己管理ADLを制限する、として定義される。グレード4は、生命を脅かす結果、又は緊急介入が適応される、として定義される。グレード5は、AEに関連した死亡として定義される。
【0196】
上記参照のCTCAE文書は、CTCAE用語及び手段及び自己管理ADLの完全な説明のために参照され得る。重症度は強度の分類であり、SAEは重篤な基準に見合うAEである。
【0197】
関連のカテゴリー分類
治験責任医師は、各AEについて、治験薬との関連の評価をする。治験責任医師は、自分の医学的判断において、事象が治験薬によって引き起こされ得る合理的可能性があるかを判断する。関連を示唆する正当な理由がない場合、AEは「非関連」に分類され得る。
【0198】
それ以外の場合、AEは以下のガイドラインに従って分類される。因果関係評価は、ソースドキュメント及びeCRFに文書化され得る(表5)。
【表5】
【0199】
最後の観察時の転帰
最後の観察時の転帰は、回復した/解消した、後遺症を伴い回復した/解消した、回復しつつある/解消しつつある、回復していない/解消していない、致命的、又は不明、として分類される。
【0200】
重篤有害事象の報告
初回及びフォローアップのSAEレポートは、治験責任医師又は被指名者によって記入され、SAEの最初の認識から24時間以内にCROに送られる。治験責任医師又は被指名者は、適切なSAEフォームを記入し、署名し、日付を記入し、対応するソースドキュメントに対して情報の正確性を検証する。この情報はCRO Pharmacovigilance Departmentに送られる。
【0201】
重篤有害事象の定義
SAEは、任意の用量で、死亡をもたらすか、生命を脅かすか、入院若しくは既存の入院の延長を必要とするか、持続的若しくは重大な障害/能力障害をもたらすか、先天的異常であるか、又は重要な医学的事象である、任意の不都合な医療的発生として定義され、治験薬に関連すると考えられるか否かにかかわらない。
【0202】
「重篤」の定義における「生命を脅かす」という用語は、被験者が事象の時点で死亡のリスクにある事象を指し、より重度であった場合に仮に死亡を引き起こした可能性がある事象を指すものではないことに留意する。
【0203】
「患者入院」という用語は、病院に24時間又は一晩の滞在として定義されることに留意する。検査薬への曝露前に存在する状態を治療するための随意入院、又はAEの診断評価のための入院は、状態又は事象がSAEとして適格ではない。更に、交通機関、組織、又は宿泊施設の問題のみに起因し、医療的背景のない病院での一晩の滞在はSAEとみなす必要はない。
【0204】
「先天的異常」という用語は、妊娠中に治験薬に曝露された母親に生まれてSAEである乳児を指すことに留意する。ただし、治験薬を受ける被験者において新たに診断された妊娠は、治験薬が避妊法と相互作用して妊娠に至ったと疑われる場合を除き、SAEとはみなされない。
【0205】
直ちに生命を脅かさないか、又は死亡若しくは入院をもたらさないが被験者を危険にさらし得るか、あるいは上記の定義に列挙される他の転帰のうちの1つを予防するために必要とされる介入を有し得る、重要な医学的事象などの重篤な他の状況を考慮することが適切であるかを判断する際に医学的及び科学的判断が行われ得ることに留意する。かかる事象の例は、アレルギー性気管支けいれん、血液疾患若しくは入院をもたらさないけいれん、又は薬物依存症若しくは薬物乱用の発症における救急処置室又は自宅での集中治療である。
【0206】
重篤有害事象収集の時間枠
全てのSAEは、試験との関連に関係なく、被験者/LARがインフォームドコンセント及び同意書[該当する場合]に署名した時点から被験者の最後の接触まで収集される。治験責任医師又は被指名者は、全てのSAEを、その事象を最初に認識してから24時間以内にCROに速やかに報告しなければならない。
【0207】
試験を完了した後に、任意の間隔で治験責任医師によって発見されたいずれのSAEも、試験との関連に関係なく、事象の最初の認識から24時間以内にCROに報告される。
【0208】
重篤有害事象の発症日及び解消日
SAEの発症日は、事象が重篤な基準を満たした日として定義される。 解消日は、事象がもはや重篤な基準を満たさない日、症状が解消する日、又は事象が慢性的であるとみなされる日である。入院の場合、入院日及び退院日はそれぞれSAEの発症日及び解消日とみなされる。
【0209】
インフォームドコンセントフォーム及び同意書(該当する場合)に署名した後、又はSAEの発症日まで、又はSAEの解消日以降に被験者によって経験された徴候若しくは症状は、AEとして記録される。
【0210】
致命的転帰
致命的は、AEが死をもたらすときにのみ転帰として選択される。2件以上のAEが被験者の死亡に関連している可能性がある場合、死亡の転帰はかかる各AEについて示されなければならない。
【0211】
被験者の死亡をもたらすいずれのAEも、致死的が転帰としてチェックされ、死亡日が解消日として記録される。死亡をもたらすAEは、そのようにまだ報告されていない場合、SAEとして24時間以内に報告する必要がある。被験者死亡の事象では、死亡が医療の中止後に発生したか、もしそのような場合、医療の中止の理由について、データが収集されなければならない。
【0212】
他のAEについては、死亡の時点で進行中であり、被験者の死亡に寄与しておらず、転帰は、解消されていないとみなされるべきであり、解消日は記録されなかった。
【0213】
特別な関心対象の有害事象
特別な関心対象のAEとしてみなされる事象は、これまでの研究からはない。
【0214】
抗LIGHTモノクローナル抗体前臨床観察において認められる薬物有害反応には、注射部位反応が含まれる。
【0215】
他の生物製剤との反応における観察には、感染の増加(結核などの日和見感染を含む)の可能性、過敏症反応(アナフィラキシーを含む)、免疫原性、悪性腫瘍、及び免疫障害が含まれる。
【0216】
試験中に発生した任意の新規感染は、感染性病原体(すなわち、ウイルス又は非ウイルス)にかかわらず、取得しなければならない。加えて、感染部位及び培養源(気管支肺胞洗浄、気管吸引液、痰、血液、尿など)は、取得しなければならな。
【0217】
妊娠
本試験に参加している潜在的に出産可能な全ての女性は、適切な避妊法を実施する必要性、及び試験参加中に妊娠を避けることの重要性について助言される。女性は、妊娠が生じるか、又は疑われる場合は、直ちに治験責任医師又は試験スタッフに連絡するように指示される。
【0218】
妊娠検査は、ベースライン時に、潜在的に出産可能な女性について実施される。ベースライン時に妊娠していることが認められる女性は試験から除外され、スクリーニングの失敗とみなされる。投与後に妊娠していることが認められるいずれの女性も、試験を中止することが要求され、妊娠を知った後、できるだけ速やかに試験来院終了の評価が実施される。
【0219】
治験責任医師は、治験薬治療中又は無作為化又は治験薬を受けてから60日以内に妊娠したいずれの女性(試験参加者又は男性試験参加者の女性パートナー)の妊娠も報告する。妊娠は、妊娠を知ってから24時間以内に、妊娠データ収集フォームを使用して、SAE報告と同様にファックス及び電子メールアドレスを介してCROに報告される。治験責任医師は、SAE通知を受けた指定された個人に連絡し、妊娠に関連する情報を子宮内曝露フォーム/治験依頼者又は被指名者によって提供される他の指定フォームに記録する。
【0220】
治験責任医師はまた、出産又は終了まで妊娠を追跡する責任がある。これらの所見は、妊娠データ収集フォームで報告され、指定された個人に転送される。事象は、自然流産又は先天的異常をもたらす場合のみSAEの基準を満たす。
【0221】
アナフィラキシー
アナフィラキシー反応を表すいずれのAEも、Sampson HA,Munoz-Furlong A,Campbell RL,et al.Second symposium on the definition and management of anaphylaxis:Summary Report-Second National Institute of Allergy and Infectious Disease/Food Allergy and Anaphylaxis Network Symposium.J Allergy Clin Immunol 2006;117(2):391-97に提供される定義を使用して分類され、表6に示される。
【表6】
【0222】
実施例2.6-統計
試料サイズ決定
合計83名の被験者が、1:1の比率で2つの治療群(標準的な医療に加えて抗LIGHTモノクローナル抗体又はプラセボ)のうちの1つに無作為化される。1名の被験者が離脱し、82名の被験者が残った。82名の被験者のこの試料サイズは、カイ二乗正確検定を0.05の片側有意水準で使用して、生存し、呼吸不全を有しない被験者の割合における0.25(25%)の差を検出する80%を超える検出力を提供する。この計算は、生存して呼吸不全を有しない割合が、プラセボ群で0.60、及び抗LIGHTモノクローナル抗体群で0.85であると推測する。
【0223】
分析集団
この試験は、いくつかの関心対象の母集団を有する。ランダム化分析セットには、試験で無作為化された全ての被験者が含まれる。被験者は、その無作為化された処置群に従って分類される。無作為化分析セットは、全ての傾向、プロトコル逸脱、並びに人口統計学的及び他のベースライン特性分析に使用される。安全性分析セットには、試験で無作為化され、少なくとも1回の用量の治験薬を受ける全ての被験者が含まれる。被験者は、その実際の治療群に従って分類される。安全性分析セットは、全ての曝露及び安全性分析に使用される。全分析セットには、少なくとも1回の用量の治験薬を受け、ベースライン及び少なくとも1回のベースライン後の有効性評価を有する全ての被験者が含まれる。被験者は、その無作為化された処置群に従って分類される。全分析セットは、全ての有効性及び薬力学的分析に使用される。PK分析セットには、少なくとも1回の用量の治験薬を受け、少なくとも1回の用量後に測定可能な血漿試料を有する全ての被験者が含まれる。被験者は、その実際の治療群に従って分類される。PK分析セットは、全てのPK分析に使用される。
【0224】
統計分析
全ての有効性及び安全性変数は、記述統計量を使用して要約される。連続データにおける記述統計量には、被験者の数(n)、平均値、標準偏差(SD)、中央値、最小値、及び最大値が含まれる。ベースライン変数からの変化の要約には、ベースライン値及び関心対象の時点での対応する値の両方を有する被験者のみが含まれる。分類データにおける記述統計量には、頻度及びパーセンテージが含まれる。
【0225】
収集された全ての試験データについてリスト化が提供される。
【0226】
この試験で無作為化された全ての被験者の傾向は、治療群及び完了/中止状態毎に要約される。試験を早くに中止する被験者は、治療群及び中止の理由毎に要約される。各分析セットにおける被験者の数は、治療群毎に要約された。
【0227】
全ての被験者データがプロトコル逸脱の発生についてレビューされる。データベースロックの前に、全てのプロトコル逸脱は、実験結果に影響を与える可能性に関してレビュー及び分類される。プロトコル逸脱は、治療群毎に要約される。
【0228】
人口統計学的及び他のベースライン特性は、記述統計を使用して治療群毎に要約される。
【0229】
全ての前薬及び併用薬は、WHO Drug Dictionaryを使用してコード化される。前薬及び併用薬は、記述統計を使用して治療群毎に要約される。
【0230】
治験薬への曝露は、記述統計を使用して治療群毎に要約される。
【0231】
安全性分析は、安全性分析セットのデータを使用して実施される。安全性変数には、TEAE、臨床検査値、バイタルサイン、及びECG結果が含まれた。特に記載のない限り、いずれの安全性の変数についても、正式な推論分析は実施されない。
【0232】
有害事象の逐語的用語は、医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)を使用してコード化される。少なくとも1つのAEを有する被験者の全体的な発生率は、治療群毎に要約される。TEAEの発生率は、治療群、器官別大分類(SOC)、及び好ましい基本語(PT)毎に要約される。各被験者は、SOC及び好ましい基本語毎に1回のみカウントされる。AEは、治験薬の最初の用量後、及び被験者の治験薬の最後の用量後30日以内に発生した場合、治療で発生とみなされた。
【0233】
全ての連続的な検査変数について、全ての報告された値及びベースライン値からの変化の記述統計は、治療群及び時点毎に要約される。
【0234】
全ての連続的なバイタルサイン及びECG変数について、全ての報告された値及びベースライン値からの変化の記述統計は、治療群及び時点毎に要約される。加えて、異常なECG所見を有する被験者の頻度及び割合が要約される。
【0235】
90%信頼区間を有する、生存して呼吸不全を有しない被験者の割合が次に提示される。加えて、抗LIGHTモノクローナル抗体群において、生存し、呼吸不全を有しない被験者の割合を、カイ二乗検定又は同様の方法を使用して、プラセボ群と比較されている。他の二分法の有効性変数も同様に分析される。全ての有効性変数は、記述統計を使用して要約されている。
【0236】
全てのPK変数について、記述統計は、PK分析セットを使用して、収集時点(該当する場合)毎に提示される。血漿濃度における記述統計には、定量化レベル未満(BLQ)の濃度を有する被験者の数であるn、平均値、SD、変動係数、中央値、最小値、及び最大値が含まれる。記述要約について、BLQとして報告された血漿中濃度はゼロに設定される。
【0237】
全てのPD変数について、記述統計は、治療群及び時点毎に提示される。
【0238】
全ての免疫原性変数について、記述統計は、治療群及び時点毎に提示される。
【0239】
実施例3
本明細書において、実施例2に記載される方法に従って行われる試験の特定の結果が、実施例3に提示される。
【0240】
スクリーニングは、COVID-19関連肺炎及び軽度から中度のARDを有する患者を特定することを含んだ。次いで、これらの基準を満たす患者(n=83)を、標準の医療処置+抗LIGHTモノクローナル抗体又は標準の医療処置+プラセボを受けるために1:1に無作為化した。83名の患者のうち1名がインフォームドコンセントを撤回した。合計82名の患者に、標準の医療処置+抗LIGHTモノクローナル抗体又は標準の医療処置+プラセボのいずれかを投与した。第2のエンドポイント及び安全性に関する全分析を、これらの患者について完了した。第1のエンドポイントにおけるITT分析は、28日フォローアップで高流量O2又は陽圧O2がなかった62名の患者の群で完了した。
【0241】
本試験における90%を超える患者がコルチコステロイドを投与され、60%超がレムデシビルを投与された。患者の人口統計は、表7で以下のとおりだった。
【表7-1】
【表7-2】
【0242】
試験は、
図10に示すように、16mg/kg(最大1,200mg)の単回用量の抗LIGHTモノクローナル抗体(n=62)で治療されたARDSを有するCOVID-19患者において、プラセボと比較して、第1のエンドポイント(28日試験期間にわたって生存し、呼吸不全のない患者の割合)における頑強な改善を示した。60歳以上の患者の事前指定された亜集団は、第1のエンドポイントにおいて同様の改善を示し(n=34)、有効性は、COVID-19感染症で重度の合併症及び死亡に最も脆弱な集団である、この亜集団において最も高かった。この亜集団において抗LIGHTモノクローナル抗体で治療された患者はまた、プラセボで治療された患者と比較して、短い入院期間を有した。
【0243】
更に、無作為化前に患者が高流量酸素を受けることができるプロトコルのため、62名の患者が第1のエンドポイントの治療の意図(ITT)分析に含まれた。データの取得日で、有効薬物で4名の患者の死亡、プラセボで9名の死亡による、抗LIGHTモノクローナル抗体に有利な数値による死亡率の利益があった。
【0244】
抗LIGHTモノクローナル抗体の単回用量により、試験で死亡率が約50%低下し、28日及び60日の両方の時点で観察された。28日死亡率は、プラセボ(患者6名)に対し抗LIGHTモノクローナル抗体(患者3名)で治療した患者で実質的に低下した。28日死亡率は、抗LIGHTモノクローナル抗体で治療した患者で7.7%、プラセボで治療した患者で14.3%だった。60日死亡率は、抗LIGHTモノクローナル抗体で治療した患者で10.8%、プラセボで治療した患者で22.5%だった。
【0245】
試験における患者の>90%がコルチコステロイドを投与され、>65%がレムデシビルを投与された。したがって、抗LIGHTモノクローナル抗体は、COVID-19 ARDSにおけるコルチコステロイド及び標準医療の最上位であり、統計的に有意な有効性を示した。
【0246】
抗LIGHTモノクローナル抗体は、これらの患者における血清遊離LIGHTレベルを劇的かつ急速に低下させた(1日で遊離LIGHTの約85%低下)。
図9を参照し、正方形は、プラセボで治療された被験者であり、円形は、抗LIGHTモノクローナル抗体で治療された被験者である。表8は、プラセボを投与された試験における患者の経時的なLIGHTレベル(n、平均値、SD、最小、及び最大)を示し、表9は、抗LIGHTモノクローナル抗体を投与された試験における患者の経時的なLIGHTレベル(n、平均値、SD、最小、及び最大)を示す。
【表8】
【表9】
【0247】
表10は、プラセボを投与された試験における患者の経時的なIL-6レベル(n、平均値、SD、最小、及び最大)を示し、表11は、抗LIGHTモノクローナル抗体を投与された試験における患者の経時的なIL-6レベル(n、平均値、SD、最小、及び最大)を示す。
【表10】
【表11】
【0248】
抗LIGHTモノクローナル抗体は、抗LIGHTモノクローナル抗体とプラセボとの間で免疫抑制又は他のSAEに明らかな差がなく、安全で十分耐容性だった。具体的には、抗LIGHTモノクローナル抗体は、16mg/kgの単回投与で十分耐容性であり、抗LIGHTモノクローナル抗体に起因する重篤な有害事象はなく、AEの大部分は軽度又は中度であると判断され、感染症の増加又は免疫抑制に関連する有害事象の証拠はなかった(以下の表12を参照)。
【表12】
【0249】
実施例4
遊離LIGHT検出アッセイ
候補対を用いた遊離LIGHTの捕捉
Simoa(商標)超高感度アッセイ(Myriad RBM)を使用して、遊離LIGHTを高感度で検出及び測定し、Quanterixの全自動イムノアッセイプラットフォーム:Simoa HD-1 Analyzer及び単一分子アレイ(Simoa)技術を使用した。インキュベーションは全て、Simoa HD-1 Analyzer内部の室温で行われる。捕捉抗体コンジュゲート化常磁性ビーズを、標準物質、試料、又は対照、及びビオチン化検出抗体とともにインキュベートした。次に、ビーズを洗浄し、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(SβG)とともにインキュベートした。最終洗浄後、ビーズを、酵素基質であるレゾルフィンβ-ガラクトピラノシド(RGP)とともにSimoa Discに加えた。蛍光シグナルを標準曲線と比較し、LIGHT遊離の量を各試料について決定する。サンドイッチイムノアッセイのために抗LIGHT抗体を対でスクリーニングした後、1つの候補対(捕捉抗体:Enzo ALX-804-841-C100、検出抗体:ProSci RF16062、特定のエピトープは、これらの抗体について詳細されない)を用いてアッセイを行い、直線性及び特異性について試験した。
【0250】
直線性は、許容される試料希釈の分析物の尺度であり、連続希釈時に試料中の分析物濃度に比例した結果を得る能力によって測定される。2倍、4倍、5倍、10倍、20倍、40倍、80倍に希釈した試料が直線性を維持したことが示された。1:10、1:20、1:40で行った直線性が
図1に示される。1:10、1:20、1:40、1:80で行った直線性が
図2に示される。
【0251】
遊離LIGHT検出抗体対、DCR3干渉
DcR3干渉を、候補対であるEnzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062(捕捉-検出)で試験した。血清又は血漿試料中のネイティブ遊離LIGHTではなく、遊離LIGHTを含有する希釈剤を使用した。DcR3添加濃度は、10,000ng/ml及び更に低い11系列の濃度だった。
図3に示すように、シグナル阻害値は、Enzo/ProSci対のシグナル減少(平均蛍光強度(MFI))として計算した。DcR3は、候補対について96.3%のシグナル阻害(=(9938-361)/9938)を示す。これによって、試験した対に対する遊離LIGHTのエピトープが、DcR3に対する遊離LIGHTのエピトープと重複することが実証された。したがって、このことは候補対が遊離LIGHTに結合することを示す。
【0252】
遊離LIGHT検出抗体対、DcR3干渉比較
添加及び回収実験を行って、候補対のEnzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062(捕捉-検出)におけるDcR3(10μg/mL)干渉を評価した。ネイティブ遊離LIGHTを含有する血清及び血漿試料を、150pg/mLの遊離LIGHT(LIGHT標準組換え抗原)のあり(添加)及びなし(無添加)でインキュベートした。次に、当該添加及び無添加試料をDcR3とともにインキュベートした。
【0253】
図4Aに示されるように、MFIデータに基づいて、無干渉の対照と比較して、回収シグナル%を計算した。干渉を伴う回収シグナル%は、対照のシグナルで除する。シグナル阻害値を、無添加血清1について計算した(最も有意な低下を有した)。
図4Aに示されるセットにおいて、78%はシグナルの低下を表し、関連した(100%-回収%)。つまり、血清1のDcR3回収率は22%であり、シグナルの78%の低下を表す。加えて、LIGHT(150pg/ml)添加した試料群(下部パネル)では、試料血清1は、92%阻害(8%回収)を示す。
【0254】
同じ実験だが、ProSci RF16062-LSBio LS-C133566-100(捕捉-検出)を使用する、別のデータセットが
図4Bに示される。
【0255】
ネイティブ遊離LIGHT及び添加した遊離LIGHT試料における各候補対の回収を用いてDcR3干渉を特徴付けるグラフが
図4Cに示される。候補対のEnzo ALX-804-841-C100-ProSci RF16062(捕捉-検出)はネイティブ遊離LIGHT結合物質として特定され、それはDcR3及び抗LIGHT抗体と60%を超える競合の程度で競合するためである。この対について、血清は、血漿と比較して遊離LIGHTを検出するのに好ましい試料だった。感度は、まだ完全には特徴付けられていないが、試料の希釈を10倍にでき、バックグラウンドを低下させることが示唆される。対照的に、候補対ProSci RF16062-LSBio LS-C133566-100(捕捉-検出)での回収シグナル%による比較的少ないDcR3干渉は、対がネイティブ遊離LIGHTと有効に結合しないことを示し、それにもかかわらず、両方の候補対は非ネイティブLIGHT標準組換え抗原にほぼ同じ程度に結合した。
【0256】
アッセイ検証
遊離LIGHT結合物質対を用いた遊離LIGHTアッセイは、最小検出可能用量、定量化の下限、定量化の上限、ダイナミックレンジ、精度、添加回収、直線性、マトリックス干渉、凍結融解安定性、及び短期分析物安定性のアッセイ検証パラメータについて検査し、上に列挙されたパラメータの受け入れ基準を満たし、血清/血漿試料中の遊離LIGHTレベルを再現可能に定量化する。
【0257】
抗体競合を行って、何らかの非特異的結合が生じたかを評価した。血清及び血漿試料を、50μg/mLの捕捉抗体の添加及び無添加で、室温で35分間インキュベートした後、Quanterix HD-1装置で分析した。回収率を、捕捉抗体処理(競合)試料対非処置(対照)試料濃度として計算した。回収率%は全て0%であり、十分に≦20%の受け入れ基準内だった。
【0258】
実施例5
クローン病試料における遊離LIGHTレベル
図5は、病気の期間に従って選択及び群分けされた89名のクローン病(CD)対象からの血清試料中の遊離LIGHTレベルを示す。89名の対象及び10名の健常対照(性別及び年齢が一致)を、候補抗体対を使用した本明細書に記載の遊離LIGHTアッセイを使用して測定した。はずれ値を除外した後、62例の試料及び7例の対照を分析した。クローン病対象は、健常対照(40.43pg/ml、P<0.0021)よりも有意に高い血清遊離LIGHTレベル(527.93pg/ml、病気から0~1か月の対象における平均)を示した。遊離LIGHT血清レベルはまた、疾患プログラと相関している。これは、遊離LIGHTがCDの治療のための潜在的標的を表し、遊離LIGHTアッセイが抗LIGHT療法のためのコンパニオン診断として機能することができることを示唆する。
【0259】
実施例6
この試験は、デコイ受容体3(DcR3)における機能喪失型変異の有無にかかわらず、抗TNFα剤による前治療に失敗している中度から重度の活動性クローン病を有する成人における抗LIGHTモノクローナル抗体の安全性、耐容性、及び短期有効性を評価するための漸増用量、非盲検、シグナル検出試験である。抗LIGHT抗体は、配列番号8のVH、及び配列番号9のVLを有する。
【0260】
実施例6.1-試験の目的及びエンドポイント
この試験の第一の目的は、抗腫瘍壊死因子アルファ(抗TNFα)剤による前治療に失敗している中度から重度の活動性CDを有する成人に、SQ注射によって投与される抗LIGHTモノクローナル抗体の安全性及び耐容性を評価することである。
【0261】
この試験の第二の目的は、中度から重度の活動性CDを有する成人に、SQ注射によって投与される抗LIGHTモノクローナル抗体の血漿濃度を推定することと、中度から重度の活動性CDを有する成人にSQ注射によって投与される抗LIGHTモノクローナル抗体による治療に対する応答を評価することである。
【0262】
実施例6.2-試験設計
これは、以前に抗TNFα治療に失敗している中度から重度の活動性CDを有する成人における抗LIGHTモノクローナル抗体の安全性、耐容性、PK、及び短期有効性を評価する、第1b相、多施設、非盲検、用量漸増、シグナル検出試験である。
【0263】
全ての適格性基準を満たすクローン病を有する4名の被験者は、2つの用量コホートの各々に登録される。第1のコホートは、14日毎(q14)に、抗LIGHTモノクローナル抗体1.0mg/kgSQを受ける。
【0264】
用量漸増は、データ監視委員会による累積安全性、耐容性、薬物動態、及び有効性データのレビューに基づいて、第1のコホートが完了した後、及び第2のコホートに進む決定が下された後に進められる。第2のコホートのために推定される用量漸増は、安全性データのレビューによって許可される場合、3.0mg/kgSQ q14日である。
【0265】
各被験者の参加には、スクリーニング期間が含まれ、必要に応じて、生物製剤治療を受けているか、又はスクリーニング来院の12週以内に生物製剤治療を受けていた被験者における12週の休薬期間が含まれる。休薬を必要とする被験者では、必要に応じて、スクリーニング来院と休薬期間の開始までの間に、任意選択的に1~14日ある。生物製剤セルトリズマブペゴル(Cimzia)の休薬を必要とする被験者を除き、8週間の休薬後に検出可能な生物製剤レベルを有しない被験者のみが、検出できないレベルの確認後に試験に入ることができ、他の全ての被験者(セルトリズマブペゴル[Cimzia]を投与された被験者を含む)は、12週の全休薬期間を完了することが必要とされる。休薬期間には、スクリーニング来院前に受けた最後の用量からの期間が含まれる。生物製剤休薬期間を必要としない被験者は、スクリーニング時の適格性のレビュー及び確認の後、試験に入ることができる。スクリーニングには、8週の非盲検治療期間、及び最後の投与の約4週後の安全性フォローアップ来院が続く。最大試験期間は26週である。
【0266】
試験来院は、スクリーニング時及び0、7、14、21、28、35、42、49、及び56日目に生じる。安全性フォローアップ来院は、84日目に生じる。評価スケジュールが表13に示される。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【0267】
試験期間
試験には、スクリーニング期間、非盲検治療期間、及び安全性フォローアップ来院が含まれる。1.0mg/kg用量コホートは、以下に記載される試験期間を完了する。安全性データのレビュー後、決定される。
【0268】
スクリーニング期間
スクリーニング期間中(-14週~0日目)中、全ての被験者が、試験に参加する適格性について評価される。来院1では、被験者は、いずれかの試験関連の手順又は評価が行われる前にインフォームドコンセントフォームに署名する。
【0269】
人口統計情報は、CD診断情報、CD関連処置/手術、及び医薬品使用歴を含む治療歴とともに得られる。スクリーニング来院時に報告された既存の状態は、いずれも電子的症例報告フォーム(eCRF)に記録され、現在の医薬品もeCRFに記録される。前CD療法(生涯について呼び起こす)は、使用前を反映する日付でeCRFに記録される。身体検査(体重測定を含む)、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、体温)、12誘導ECG、臨床検査、糞便試料、及び尿分析を含む全ての安全性評価が実施される。尿薬物スクリーニング検査(必要に応じて)、並びに精製タンパク質誘導体(PPD)皮膚反応検査又はQuantiFERON-TB Gold(QFT)血液検査のいずれかとして定義される結核(TB)検査、及びプロトコルに従って要求される場合、胸部X線が、全ての被験者に行われる。血清β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)検査が、潜在的に出産の可能性のある女性に行われる。CDAI及び炎症性腸疾患質問票(IBD-Q)が行われる。被験者は、スクリーニング期間中に生検及び組織学を伴う内視鏡検査を受ける。被験者には、健康状態、腹痛、及び緩い水っぽい糞便を含む便頻度の毎日の評価を記録するための試験日誌(電子的又はハードコピー)へのアクセスが提供される。日誌は、表13に記載されるように、非盲検治療の開始直前に最小限7日間記入される。被験者は、緩い又は水っぽい糞便の頻度を記録し、毎日全体的な腹痛を評価する。最後に、有害事象(AE)をモニタリングする。
【0270】
生物製剤治療を受けているか、又はスクリーニング来院の12週以内に生物製剤治療を受けているが、全てのスクリーニング評価及び結果のレビューに基づいて試験参加に適格である被験者は、これらの医薬品について休薬期間を開始する。生物製剤セルトリズマブペゴル(Cimzia)の休薬を必要とする被験者を除いて、血液検査は、生物製剤治療の最後の投与後に休薬を8週受ける被験者に行われ、いずれの前生物製剤治療も血清レベルが検出レベル未満であることを確実にする。前生物製剤治療のレベルが検出できないことが確証される場合、被験者は来院2に進む。試験結果が、前生物製剤治療が検出可能であることを示す場合、被験者は、来院2に進む前に、12週の全休薬期間を完了することが要求される。生物学的セルトリズマブペゴル(Cimzia)を受けている被験者では、12週の休薬が要求される。
【0271】
非盲検治療期間
適格な被験者は、8週間の非盲検治療期間の0日目である来院2のスクリーニング期間(及び該当する場合、休薬期間)の後に診療所に戻る。体重及びバイタルサイン評価を含む身体検査、臨床検査、尿分析、並びにCDAIが実施される。尿β-hCG試験が出産可能性のある女性に行われる。いずれのAE及び併用薬も記録される。血液が、PK、ADA、及び探索的分析(LIGHT、サイトカイン、RNA配列決定、及びフローサイトメトリーを含む)のために採取される。被験者は、自分の健康状態、腹痛、及び緩い水っぽい糞便を含む便頻度の毎日の評価を自分の試験日誌に記録する。日誌データは、各来院中に記入について確認される。被験者を再評価して、それらが全ての組み入れ基準を満たし、除外基準のいずれも満たさないか決定する。
【0272】
適格な被験者は次いで試験に登録され、それらの第1の用量の抗LIGHTモノクローナル抗体を診療所で受ける。被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で、抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。抗LIGHTモノクローナル抗体の用量は、14日(±3日)毎に8週間投与される。各用量の投与中及び投与後60分間、被験者はAEをモニタリングされる。
【0273】
任意の遅延した有害事象を評価するために、コホート内の被験者の登録を少なくとも1日ずつずらす。
【0274】
被験者は、表13に示されるように、最初の抗LIGHTモノクローナル抗体用量の後、14日間(±3日間)毎(来院4、6、8、及び10)に、安全性、PK、及び有効性の評価のため、並びに次の用量の治験薬を受けるために診療所に戻る。投与来院(来院3、5、7、及び9)の間の追加の週次来院が生じ、そのときPK分析のために血液が採取され、被験者は日誌データ収集のための試験日誌(電子的又はハードコピー)へのアクセスが提供され、AE及び併用薬の使用が記録される。
【0275】
被験者を第2の用量コホートに登録する前に、第1のコホートの全ての被験者は、試験への参加を完了し、それらの被験者からの安全性データは、データ監視委員会によってレビューされる。勧告事項がDMCによって提供され、被験者を次の用量コホートに登録することができるかについて、治験依頼者によって決定がなされる。
【0276】
安全性フォローアップ来院
最終用量の約28日後に、被験者は安全性フォローアップ来院を有する。安全性フォローアップ来院は、被験者とともに診療所で行われる。被験者の最後の抗LIGHTモノクローナル抗体用量後に発生したいずれのAEも、任意の併用薬の使用とともに記録される。
【0277】
安全性データレビュー
治験責任医師は、試験参加施設で収集された全ての利用可能な安全性データを週1回ベースでレビューし、全ての安全性に関する懸念を治験依頼者の医療モニターに伝達する。治験依頼者の医療モニターは、関連する全ての安全性所見を、必要に応じてコーディネートする治験責任医師及びDMCとともにレビューする。
【0278】
抗LIGHTモノクローナル抗体前臨床試験で観察される薬物有害反応、並びに前臨床観察中の抗LIGHTモノクローナル抗体における注射部位反応を含む他の生物製剤治療で示される他の一般的な有害反応に特に注意を払う。他の生物製剤治療で観察される有害反応には特に注意が払われ、これには、日和見感染症(結核など)を含む感染症の増加の可能性、過敏症反応(アナフィラキシーを含む)、免疫原性、悪性腫瘍、免疫障害、及びCD増悪が含まれる。
【0279】
データモニタリング委員会
医師、科学者、及び生物統計学者からなる外部の独立したデータモニタリング委員会(DMC)は、試験期間中の試験データを定期的にレビューし、これには、各コホートの完了後のミーティング及び有害事象のための一般用語基準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)グレード3以上を満たすクローン病の個々の悪化を評価するための臨時ミーティングが含まれる。DMCの役割は、累積する的安全性、耐容性、薬物動態、及び有効性データをレビューすることによって、試験中の被験者及び試験に更に参加する者の利益を保護することである。DMCの会議スケジュールは、DMCによってなされる勧告、増加する安全データの量、及び他の実際的な考慮に基づいて調整され得る。DMCに提供されたデータはモニタリングされ得ず、試験終了時にデータベースがロックされるまで「完全」とみなされない。
【0280】
DMCレビューの考えられる結果には、以下の勧告:試験は継続することができる、試験は変更して継続することができる、及び試験は終了されるべきである、のうちの1つを含むことができる。
【0281】
データモニタリング委員会の勧告は、少なくとも以下:少なくとも、会議参加者のリスト、会議中に検討されたデータの要約、及び提起された任意の懸念を含む更なる用量コホートに関するDMC勧告の要約、を含む会議議事録に文書化される。
【0282】
治験依頼者は、試験を継続、修正、又は終了する決定に関して責任がある。次の被験者用量の投与前、又は次のコホートの開始前に、DMC会議の勧告事項及び治験依頼者の決定の写しが試験施設に送られる。
【0283】
個々の被験者の停止基準
以下の個々の被験者の停止基準は、試験中に使用され、来院2での投与後に開始して評価される。被験者が、注射部位反応;日和見感染症(すなわち、結核);過敏症反応(例えば、アレルギー反応、アナフィラキシー、又はサイトカイン放出症候群);悪性腫瘍;白血球数の減少;好中球数の減少;血小板の減少;結腸又は回腸出血;結腸、回腸、又は小腸閉塞;結腸、回腸、又は小腸穿孔;及び結腸、回腸、又は小腸狭窄、のうちのCTCAEグレード3以上を発症する場合、個々の被験者は、試験から停止される。
【0284】
被験者はまた、肝臓酵素が、ALT若しくはAST>8×ULN;2週間以上連続してALT若しくはAST>5×ULN;あるいは、疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部の疼痛若しくは圧痛、発熱、発疹、及び/又は好酸球増加(>5%)の出現を伴う被験者がALT又はAST>3×ULN、である場合、被験者は停止されるべきである。上記の症状のいずれも出現せずにALT又はAST>3×ULNを示す被験者は、48~72時間以内に検査を繰り返すことが要求され、異常を確認し、最初の値からの方向(増加又は減少)を決定することに留意する。Hy‘s Lawが検出された場合(すなわち、ALT又はAST>3×ULN及び総ビリルビン>2×ULNであり、ウイルス性肝炎A、B、若しくはC、既存若しくは急性肝疾患、又は観察された傷害を引き起こすことができる別の薬物などの、増加したAT及びTBLの組み合わせを説明する他の理由は見出すことができない)、被験者は停止される。
【0285】
試験停止基準
以下の試験停止基準が試験中に使用される。2名以上の被験者が同じCTCAEグレード3を発症する場合、又は1名の被験者が、以下のCTCAEグレード4:注射部位反応、日和見感染症(すなわち、結核)、過敏症反応(例えば、アレルギー反応、アナフィラキシー、又はサイトカイン放出症候群)、悪性腫瘍、白血球数の減少、好中球数の減少、若しくは血小板の減少を発症する場合、試験は停止される。2名の個々の被験者が以下の肝毒性:ALT若しくはAST>8×ULN;連続2週以上ALT若しくはAST>5×ULN;あるいは疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部の疼痛若しくは圧痛、発熱、発疹、及び/又は好酸球増加(>5%)の出現を伴うALT若しくはAST>3×ULN、のうちのいずれかを発症する場合、試験は停止される。
【0286】
Hy‘s Lawを満たす1名の被験者が検出される場合(すなわち、ALT又はAST>3×ULN及び総ビリルビン>2×ULNであり、ウイルス性肝炎A、B、若しくはC、既存若しくは急性肝疾患、又は観察された傷害を引き起こすことができる別の薬物などの、増加したAT及びTBLの組み合わせを説明する他の理由は見出すことができない)、試験は停止される。
【0287】
大腸若しくは回腸出血;大腸、回腸若しくは小腸閉塞;大腸、回腸、若しくは小腸穿孔;又は大腸、回腸、若しくは小腸狭窄などのクローン病CTCAEグレード3以上の悪化の個々の報告は、報告後の最初の利用可能な日にDMCによってレビューされ、試験を変更するか、又は試験を停止するかが決定される。
【0288】
試験設計根拠
これは、抗LIGHTモノクローナル抗体がヒト対象に投与される第2の試験であり、治療抵抗性CDを有する対象における第1の試験である。試験は、標的集団における2つの異なる用量の抗LIGHTモノクローナル抗体(1.0mg/kg及び3.0mg/kg)の安全性及び耐容性を特徴付ける用量漸増設計を使用した、パイロット試験である。用量漸増設計によって、次の用量レベルに進む前に、少数の被験者で安全性及び耐容性の評価が可能である。全ての登録された被験者への抗LIGHTモノクローナル抗体の非盲検投与は、試験手順を受ける被験者の数を最小限に抑える。PK採血及び有効性評価の包含によって、それぞれ血漿レベル及び有効性の予備評価が可能だった。
【0289】
このパイロット試験では、特定の仮説は試験されない。全てのデータは、適切に記述統計を使用して要約される。
【0290】
被験者数
最大8名の被験者について、4名の被験者が2つの計画用量コホートの各々に登録される。試験を早期に離脱する被験者は、第3の用量前に交替することが許可される。
【0291】
治療割り当て
第1のコホートの被験者は、1.0mg/kg用量の抗LIGHTモノクローナル抗体に割り当てられる。被験者は、第1のコホートからの安全性データのDMCレビューの後、第2の用量コホートに割り当てられるが、試験停止基準が満たされないことが条件である。
【0292】
被験者組み入れ基準
以下の組み入れ位基準の全てを満たす被験体は、試験に登録するのに適格である。
1.被験者は、英語を流暢に話すことができ、この試験に関する書面によるインフォームドコンセントが提供される。
2.被験者は、≧18歳~≦75歳の男性又は女性である。
3.被験者は、内視鏡/大腸内視鏡及び組織学的確認によるCDの文書化された診断を有する。
4.被験者は、≧7のクローン病における単純内視鏡検査(SES-CD)スコア、及び組織学的確認によって証明される、中度~重度の活動性CDを有する。
5.被験者は、以下に定義されるように、承認された治療用量の抗TNFαモノクローナル抗体治療による治療に、初期応答がないか(一次非応答者)、又は誘導に対する初期応答がそれに続く応答を伴わないか(二次非応答者)のいずれかで失敗している。
6.被験者は、経口コルチコステロイド、及び/又はアザチオプリン若しくは6-メルカプトプリン(6-MP)若しくはメトトレキサート(MTX)との同時治療を受けることが許可される。
7.被験者は、DcR3遺伝子座で遺伝子型決定されることに同意する。
【0293】
一次非応答者は、インフリキシマブ、アダリムマブ、又はセルトリズマブペゴルによる治療が不十分な初期応答を生じた被験者として定義される。不十分な初期応答症状の詳細は、最後の用量の導入療法後≧2週に生じる。不十分な初期応答を定義するためのアルゴリズムを以下に示す。一次非応答者として分類される被験者は、アルゴリズムの両方の部分を満たす。必要な文書には、失敗した導入療法の日付及び用量、並びに治療する臨床医によって記録された疾患活動性に関する応答欠如の詳細が含まれる。
【0294】
以下のアルゴリズムは、インフリキシマブ、アダリムマブ、若しくはセルトリズマブペゴルを用いた現在又は前療法に対する不十分な初期応答のために使用される。被験者は、インフリキシマブ(≧5mg/kgの2又は3回用量)、アダリムマブ(160mgの用量、続いて≧80mgの用量、又は80mgの用量、続いて≧40mgの用量)、又はセルトリズマブペゴル(≧400mgの2又は3回用量)のいずれかの導入用量を受けてきており、被験者は、クローン病活動に関連する以下の徴候若しくは症状:便頻度の改善の欠如若しくは悪化;毎日の腹痛の改善の欠如若しくは悪化;クローン病に関連する発熱の発症、改善の欠如、若しくは悪化;以前の非排出性瘻孔からの再発性排出、若しくは新たな排出性瘻孔の発症;直腸出血の改善の欠如若しくは悪化;又は抗下痢剤の開始若しくは増加、のうちの少なくとも1つの存在によって文書化されるように、これらの導入用量に初期応答しなかった。
【0295】
二次非応答者は、初期応答を生じたインフリキシマブ、アダリムマブ、又はセルトリズマブペゴルによる治療が、その後に応答を伴わない被験者として定義される。応答欠如の詳細は、維持療法の最後の用量の>2週後に生じる。応答の欠如を定義するためのアルゴリズムを、以下に記載する。二次非応答者として分類される被験者は、アルゴリズムの両方の部分を満たす。必要とされる文書化には、導入及び維持の日付及び用量、治療する臨床医によって記録される疾患活動に関する詳細を含む初期応答及びその後の応答の欠如が含まれる。以下は、インフリキシマブ、アダリムマブ、又はセルトリズマブペゴルによる前療法に対する応答の欠如に関するアルゴリズムである。被験者は、上記の用量で導入療法に応答し、インフリキシマブ(>5mg/kg)、アダリムマブ(>40mgの用量、又は>20mgの小児用量として失敗した場合)、又はセルトリズマブペゴル(>400mg)の少なくとも2回の維持用量を受け、クローン病活動に関連する以下の徴候又は症状:便頻度の悪化;毎日の腹痛の悪化:クローン病に関連する発熱の発生、若しくは悪化;前非排出性瘻孔からの再発排出若しくは新しい排出性瘻孔の発症、直腸出血の悪化;又は抗下痢剤の開始若しくは増加、のうちの少なくとも1つの存在によって文書化されるように、これらの維持用量に応答しなかった。
【0296】
被験者除外基準
以下の排除基準のうちのいずれかを満たす被験者は、試験に登録するのに適格ではない。
1.被験者は、潰瘍性大腸炎(UC)又は不確定大腸炎の診断を有する。
2.被験者は、試験中に内視鏡検査及び生検を含む試験処置を受けることに耐えることができないか、又は受ける意思がない。
3.被験者は、閉塞を裏付ける小腸画像を伴う腸閉塞の徴候又は症状を有する。
4.被験者は、治験責任医師によって決定される短腸症候群を有する。
5.被験者は、現在機能的な大腸瘻造設又は回腸瘻造設を有する。
6.被験者は、スクリーニング前の過去6か月以内に外科的腸切除を受けたか、又は試験期間中に何らかの切除を計画している。
7.治験責任医師の見解で、腹腔内膿瘍の臨床的な疑いが存在する。
8.被験者は、スクリーニング前の5年間に、腸異形成を同時に有するか、又は腸異形成の病歴を有する。
9.被験者は、既知の、活動性C.difficile感染症を有するか、及び/又はC.difficile感染症検査陽性を有する。
10.被験者は、外科的切除によって治癒されたがん(例えば、非黒色腫皮膚がん)以外の任意のがんの病歴又は現在の診断を有する。
11.被験者は、リンパ腫を含むリンパ増殖性障害の病歴、又はリンパ増殖性疾患を示唆する徴候及び症状をいずれかの時点で有する。
12.被験者は、活動性TB感染症の病歴を有するか、活動性TB感染症を有するか、又はスクリーニング時にTB検査陽性を有する。
13.被験者は、既知の同時的なウイルス性肝炎、又は後天性免疫不全症候群(AIDS)若しくは既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有する。
14.被験者は、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))で治療されてきている。
15.被験者は、一次予防接種シリーズ(特にB型肝炎、水痘、麻疹/流行性耳下腺炎/風疹)を完了しておらず、免疫が血液力価によって文書化されていない。
16.被験者は、ベースライン来院前の3か月以内に、水痘帯状疱疹、経口ポリオ、又は風疹などの任意の弱毒生ワクチンを受けた。
17.被験者は、以下の異常なスクリーニング検査結果:臨床的に重要なECG異常;アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、若しくは総ビリルビン>ULN;ヘモグロビン<10g/dL;好中球絶対数<1500細胞/mm3;又は糸球体推定濾過速度<60mL/分/1.73m2、のうちのいずれかを有する。
18.被験者は、スクリーニング中(来院1)又はベースライン来院時の登録前(来院2)に異常なバイタルサインを有する。
19.被験者は、妊娠中又は授乳中の母親である。
20.被験者は、性的に活発であり、効果的な避妊状態にない。
21.被験者は、臨床試験への参加を阻害し得る薬物乱用歴を有する。
22.被験者は、重要かつ重度の腎臓、肝臓、血液、胃腸(上記で概説したCD又は状態を除く)、内分泌、肺、心臓、又は神経の疾患を現在有するか又はその最近の病歴(スクリーニング前の6か月以内)を有する。
23.被験者は、治験責任医師の見解において、試験結果を混乱させ得るか、参加によって被験者に更なるリスクをもたらし得るか、又は被験者が試験を完了することを妨げるか若しくは遅らせ得る、任意の他の臨床的に重要な精神的若しくは身体的な疾患又は感染症を有する。
24.試験における被験者の参加に関して、本人の安全性、コンプライアンス、又は適合性について、治験責任医師の側で何らかの懸念がある。
【0297】
スクリーニングの失敗
組み入れ及び/又は除外基準に適合しない被験者は、試験依頼者の医療モニターの事前の承認によって、試験のために再スクリーニングすることができる。再スクリーニングの事象では、最初のスクリーニング来院は、スクリーニング来院(来院1)としてeCRFに入力され、繰り返す評価は、予定外の来院としてeCRFに入力される。
【0298】
被験者の離脱基準
全ての被験者は、理由にかかわらず、偏見なく、いつでもこの試験の参加を自由に離脱できることが助言される。治験責任医師は、被験者を試験に参加させ続けるためにあらゆる合理的な試みを行うが、被験者が参加の同意を撤回した場合、被験者は試験から離脱される。予定された来院に参加しなかった被験者については、治験責任医師は、AEが離脱の原因である可能性を除外するために、電話又は他の手段で被験者に接触することを試みる。それが原因である場合、AEは文書化され、報告され、追跡される。
【0299】
治験依頼者は、プロトコル違反又は他の理由により被験者の離脱を要求する権利を留保する。
【0300】
治験責任医師はまた、被験者に耐えられないか又は他の許容できない治療効果の欠如のため、耐えられないか又は許容できないAEである併発疾患のため、個々の被験者の停止基準を満たしているため、試験手順の非遵守、管理的な理由、又は治験責任医師の見解で、被験者の最善の利益を保護するために、いつでも被験者を試験から離脱させる権利を有する。
【0301】
被験者が試験を完了する前に離脱する場合、離脱の理由及び中止日は、適切なeCRFに記録される。可能であり合理的であれば、非盲検治療期間(すなわち、来院10)の完了時に実施される評価は、早期終了時に実施される。
【0302】
第3の用量の治験薬を投与される前に離脱する被験者は、可能であれば、交替することができる。
【0303】
全ての試料は、適用される規則及び規制に従って保持される。血液及び生検試料は保存され、この研究に関連する更なる解析に使用される。唾液試料は、この研究に関連する目的で使用することが許可されている。試料には、被験者の名前を示す情報を含まない固有のコードが与えられる。残りのDNA試料は、将来のバイオマーカー試験のために保存される。
【0304】
実施例6.3-被験者の治療
治験薬の説明
各用量コホートにおける被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部に単回SQ注射として、その後の各投与で回転させる注射部位で、治験薬を受ける。抗LIGHTモノクローナル抗体の用量は、0、14、28、及び42日目に投与される。0日目以降、注射は、予定された14日間隔から±3日以内に生じる。
【0305】
第1の用量コホートの被験者は、抗LIGHTモノクローナル抗体1.0mg/kgを、全8週の非盲検治療期間に受ける。このコホートからのデータは、全ての被験者が治療期間及びその関連評価を完了した後、第2のコホートが登録される前にレビューされる。被験者の最後の来院と、累積安全性、耐容性、薬物動態、及び有効性データのレビューとの間には、少なくとも2週間あると予期される。
【0306】
第2の用量コホートにおける適格な被験者は、抗LIGHTモノクローナル抗体3.0mg/kgを、全8週の非盲検治療期間に受ける。第2のコホートからのデータは、全ての被験者が治療期間及びその関連評価を完了した後にレビューされる。
【0307】
治験依頼者によって提供される治験薬の受領又は使用に関連して気付かれたいかなる品質の問題(状態、包装、外観、付属文書、表示、有効期限などの欠陥)も、治験依頼者に速やかに伝達され、治験依頼者は調査を行う。
【0308】
治験依頼者によって提供される治験薬の品質における潜在的な欠陥は、治験依頼者によるリコール手順の開始に供され得る。この場合、治験責任医師は、治験薬を回収し、潜在的な危険性を排除するために、治験依頼者によるいずれの要求にも迅速に対処する責任がある。
【0309】
許可及び禁止される療法
生涯にわたる全ての前CD療法並びに使用された併用薬剤(市販薬及び漢方薬サプリメントを含む)は、ソースドキュメント及び適切なeCRFに記録される。
【0310】
許可される療法
被験者は、経口コルチコステロイド、及び/又はアザチオプリン、6-MP、若しくはMTXとの同時治療を受けることが許可される。被験者は、試験中にこれらの薬剤の用量を増加させることはできない。許可された併用療法の用量増加が必要な場合、被験者は、早期終了来院手順を利用して試験が中止される。経口コルチコステロイド、及び/又はアザチオプリン、6-MP、若しくはMTXによる同時治療は、以下のように定義される。経口コルチコステロイド-ベースライン前の少なくとも2週間、安定した用量で、40mg/日を超えないプレドニゾン用量;アザチオプリン又は6-MP-ベースライン前の少なくとも4週間の安定した用量を伴う、ベースライン前の少なくとも8週間、利用可能な錠剤処方に最も近くなるように四捨五入された少なくとも2mg/kg/日のアザチオプリン用量若しくは1~1.5mg/kg/日の6-MP用量、又は治験責任医師の見解で、被験者にとって最も高い耐容される用量;あるいはベースライン前の少なくとも4週間の安定した用量を伴う、ベースライン前の少なくとも8週間、SQ、筋肉内、又は経口のいずれかで、試験中に25mg/週のMTX用量。
【0311】
これらの療法の用量は、試験中に減少させることが許可されるが、全ての用量は、上記に特定される組み合わせ及び用量範囲内である。これらの変更は、併用薬eCRFに記録される。
【0312】
試験登録時にコルチコステロイドを服用している被験者では、試験中の引き離しは、以下の規則:>20mgのコルチコステロイド用量及び1週当たり最大10mgの漸減率;10~<20mg及び1週当たり最大5mgの漸減率;又は<10mg及び1週当たり最大2.5mgの最大漸減率、に従って行われる。許可される併用療法の組み合わせ、用量範囲、又は引き離しスケジュールからの逸脱が必要な場合、被験者は試験参加から離脱される。
【0313】
禁止される療法
試験中の生物製剤治療の併用は禁止され、アナキンラ(KINERET(登録商標)、Amgen)、アバタセプト(ORENCIA(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、又はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)、Genentech)の使用が含まれる。最大12週間の休薬期間が、スクリーニング来院の12週以内に受けた全ての生物製剤治療について、試験登録(来院2)前、及び来院1で行われるスクリーニング処置からの適格性の確認後に要求される。ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、Biogen)による前治療は、被験者を参加から除外する。
【0314】
スクリーニングの3か月前及び試験中のいずれかの時点における、生きた又は弱毒化したウイルスによるワクチン接種は禁止される。
【0315】
避妊方法
性的に活発な試験参加者は、試験中及び試験来院終了後の定められた期間、有効な避妊法を使用することに同意する。承認された方法は、以下のアルゴリズム:コンドーム+子宮内デバイス又はコンドーム+ホルモン避妊薬、に従って二重バリアを必要とする。被験者が不妊化されるとき、不妊処置は、試験スクリーニング来院の3か月以上前に完了していることが要求される。
【0316】
性的に活発な男性参加者は、試験中及び試験来院終了3か月間、上記の二重障壁避妊法のうちの1つを使用することが要求される。性的に活発な女性参加者は、試験中及び試験来院終了1か月間、上記の二重障壁避妊法のうちの1つを使用することが要求される。
【0317】
男性被験者はまた、試験期間中及び試験終了来院後の最大3か月間、精子を提供しないことに同意する。
【0318】
試験参加時に禁欲的である試験参加者は、試験中に性的に活発になった場合、このセクションで説明されている承認された方法を使用することに同意する。
【0319】
治療コンプライアンス
抗LIGHTモノクローナル抗体による治療は、直接的な医学的監督の下で試験センター職員によって投与され、適切な記録が治験責任医師又はその被指名者によってソースデータに作成される。治験責任医師又は被指名者は、適切なeCRFページに投与情報を記録する。治験薬の投与の正確な記録が維持されることを確実にすることは、治験責任医師の責任である。
【0320】
無作為化及び盲検化
全ての被験者は、非盲検方式で抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。
【0321】
試験終了後の治療
成功した登録、及びその後の試験の完了又は早期終了後、各被験者は標準的な臨床診療に従って治療される。被験者の臨床試験からの移行を支援するために、共同負担及び自己負担医療/治療関連費用などのアフターケア医療費は、合計5,000.00ドルでまかなわれ、試験終了後の全6か月まで使用され得る。アフターケアの支払いは、治験依頼者によって契約された第三者ベンダーによって管理される。
【0322】
実施例6.4-治験薬の材料及び管理
治験薬
抗LIGHTモノクローナル抗体は、この試験で使用される治験薬である。投与形態は150mg/mLの溶液で投与される。単位用量は、1.0mg/kg又は3.0mg/kgである。投与経路は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部へのSQ注入であり、注入部位は、その後の投与毎に回転させる。それは無色からやや黄色みを帯びた茶色の溶液中にある。sanofi-aventisグループによって製造されている。
【0323】
パッケージング
全てのパッケージング及び表示作業は、治験依頼者又は被指名者によって、製造管理及び品質管理に関する基準及び医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)の規則に従って実施される。治験薬は治験依頼者又は被指名者によって試験施設に送付される。表示は現地の言語であり、現地の規制に依存する。
【0324】
表示
バイアル及びカートンは、適用される規制要件を満たすラベルが貼付される。
【0325】
治験責任医師は、未使用又は一部使用された全ての薬剤バイアル及び全ての空のパッケージを、現地(コロンビア及びイスラエルの施設)又は治験依頼者(米国の施設)による最終処分のために保存する。投与に使用した注射器は、生物学的廃棄物として処理され、適切に処分される。
【0326】
保存
全ての治験薬は、2℃~8℃で保存され、光から保護される。治験責任医師又は他の権限を与えられた者(例:薬剤師)は、治験依頼者が提供する治験薬を、現地の規制、表示仕様、施設の方針及び手順に従って確実かつ安全な場所に保存する責任がある。
【0327】
治験依頼者によって提供される治験薬の保存条件の管理、特に温度の管理(例えば、冷蔵保存)及び毎日の温度モニタリング、並びに使用中の安定性に関する情報及び治験薬の取り扱いに関する説明書は、治験依頼者によって提供される規則に従って管理される。
【0328】
投与
抗LIGHTモノクローナル抗体は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で投与される。
【0329】
説明責任
治験責任医師は、治験薬の受領、投与、又は日付、ロット識別子、投与量、各被験体に投与された体積、及び治験薬を受ける被験体の識別(被験者番号及びイニシャル)を含む他の配置を示す適切な記録を維持する。治験責任医師は、FDA1572フォームの副治験責任医師、指定された試験職員、及びこの試験における被験者以外の他の場所又は人物に治験薬を供給することは許可されない。治験責任医師は、FDA1572フォームに列挙される以外のいずれの試験施設からも治験薬を分配することは許可されない。治験薬のいずれかが分配されない場合、紛失、盗難、流出、使用不能であるか、又は破損した容器で受け取られた場合、この情報は文書化され、必要に応じて治験依頼者及び適切な規制当局に報告される。
【0330】
試験の完了時、未使用の治験薬は、現地(コロンビア及びイスラエルの施設)又は治験依頼者(米国の施設)で最終処分のために元のパッケージのままにされる。全ての一部使用された治験薬及び全ての空のパッケージング(バイアルなど)は、現地(コロンビア及びイスラエルの施設)又は治験依頼者(米国の施設)で最終処分のために保存され、破棄のために治験依頼者の指定者に返却される。
【0331】
取り扱い及び廃棄
治験薬の照合は、治験責任医師及びモニタリングチームによって治療ログフォームを使用して施設で実施され、治験責任医師及びモニタリングチームによって連署された施設の全品リストに文書化される。
【0332】
治験依頼者による照合承認後、全て使用済み、一部使用済み、及び未使用のバイアル、並びに全ての元のパッケージングは、現地(コロンビア及びイスラエルの施設)又は治験依頼者(米国の施設)によって廃棄される。このプロセスは、治験依頼者の被指名者によって施設に提供される。
【0333】
実施例6.5-試験手順及び評価
被験者は、いずれかの試験関連手順が開始される前に、禁止されている併用療法の中止を含む、書面によるインフォームドコンセントを提供する。
【0334】
試験全体を通した評価及び手順のタイミングについて、評価のスケジュール(表13を参照)を参照する。試験全体を通して、試験担当者はあらゆる合理的な努力をして、各被験者に関する事象のスケジュールにおける評価及び手順のタイミングに従う。来院2のベースライン来院後に実施される来院は、14日±3日毎に56日間の非盲検治療及び投与を維持するために、来院2に対してスケジュール化される。被験者が何らかの理由で試験来院を逃した場合、来院は可能な限り速やかにスケジュール変更される。来院2後の各試験来院幅は±3日である。来院手順は示された順序で行われるが、施設特有の要件に適応する順序にすることができる。
【0335】
試験期間及び来院:スクリーニング(来院1、-14週~0日目)
被験者は、試験に登録する前の14週以内にスクリーニングされる。以下の手順がスクリーニング時に行われる:
1.書面によるインフォームドコンセントを得る
2.組み入れ/除外基準をレビューする
3.DcR3遺伝子の遺伝子型決定を行う
4.人口統計情報を収集する
5.治療歴及び薬歴を記録する
6.体重測定を含む完全な身体検査を実施する
7.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
8.12誘導ECGを行う
9.臨床検査のために血液試料を収集する
10.QuantiFERON-TB Gold(QFT)血液検査、又はPPD結核皮膚検査を行う。被験者のPPD尖叉皮膚検査が≧5mmである場合は、確認の胸部X線検査が必要である。
11.β-hCG検査のために血液試料を収集する(出産の可能性のある女性のみ)
12.C.difficile及び糞便カルプロテクチン分析のために糞便試料を収集する
13.尿分析のために尿試料を収集する
14.必要に応じて、薬物検査のために尿試料を収集する
15.CDAIを行う
16.IBD-Q質問票を行う
17.生検を伴う内視鏡検査を行う
18.AE及び併用薬を評価及び記録をする
19.患者日誌(電子的又はハードコピー)へのクセスを提供して、腹痛、全般的な健康状態、及び緩い又は水っぽい糞便を含む便の回数(ブリストルの糞便形状スケールで6又は7)、並びに毎日の腹痛の重症度(0から10のスケール)を記録する。
【0336】
糞便試料は、来院中はいつでも得ることができることに留意する。臨床検査室登録要件を満たしていない被験者は、スクリーニング期間の一部として1回再検査することができる。臨床検査の再検査時間枠(生検を伴う内視鏡検査を除く)に対応するためのスクリーニング幅の延長は許可されているが、内視鏡検査及び休薬を含む全スクリーニング期間は16週間を超えてはならない。
【0337】
試験期間及び来院:適格性チェック/休薬期間(-12週~0日目)
各被験者は、-12週(すなわち、治療開始の予定日の12週前)までに電話を受ける。この電話は、被験者の継続的な適格性を確認する。この電話の際の適性のレビュー及び確認後に休薬期間を必要としない被験者では、被験者は、来院2の直前に少なくとも7日間、自分の毎日の腹痛評価、全般的な健康評価、及び緩い水っぽい糞便の頻度を含む便頻度を自分の日誌に記録を開始するように指示される。記入すると、被験者は来院2のために最初の電話から>7日後に戻る。最後の評価が記録されて以降における併用薬の使用及び新たに発生したAEにおけるいずれの変化も記録する。
【0338】
休薬を必要とする被験者では、適格であれば、被験者は、必要に応じて、現在の生物製剤治療の休薬を開始するように求められる。生物製剤セルトリズマブペゴル(Cimzia)の休薬を必要とする被験者を除いて、血液検査は、生物製剤治療の最後の投与後に休薬を8週受ける被験者に行われ、いずれの前生物製剤治療も血清レベルが検出レベル未満であることを確実にする。前生物製剤治療のレベルが検出できないことが確認される場合、被験者は、投与の直前に少なくとも7日間、自分の毎日の腹痛評価、全般的な健康評価、及び緩い水っぽい糞便の頻度を含む便頻度を自分の日誌に記録を開始するように指示される。記入すると、被験者は来院2のために休薬電話から>7日後に再来院する。試験結果が、前生物製剤治療が検出可能であることを示す場合、被験者は12週の全休薬期間を完了することが要求される。生物学的セルトリズマブペゴル(Cimzia)を受けている被験者では、12週間の休薬が必要である。休薬期間が終了すると、被験者は日誌の記入を開始し、休薬の終了から>7日後に計画される来院2を有する。日誌は来院時まで記入される。最後の評価が記録されて以降における併用薬の使用及び新たに発生したAEにおけるいずれの変化も記録する。
【0339】
被験者が適格ではない場合、被験者は、最後に記録された評価以降に併用薬の何らかの変更及びいずれかの新たに発生したAEを有し得、スクリーニングから除外され得る。
【0340】
試験期間及び来院:非盲検治療期間、ベースライン来院(来院2、0日目)
0日目の第1の用量の治験薬投与前に、以下の手順が行われる:
1.組み入れ/除外基準をレビューして、継続的な適格性又はスクリーニング失敗状況を確認する。
被験者が依然として試験に適格である場合、その後の手順が行われる。被験者が適格ではない場合、最後の評価以降に併用薬使用の何らかの変更及びいずれかの新たに発生したAEが記録され、被験者はスクリーニングから除外される。
2.身長及び体重の測定を含む、完全な身体検査を実施する
3.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
4.臨床検査のために血液試料を収集する
5.血漿中抗LIGHTモノクローナル抗体濃度及びPK分析のために血液試料を収集する
6.血漿ADA分析のために血液試料を収集する
7.表13に定義される探索的分析のために血液試料を収集する
8.尿分析のために尿試料を収集する
9.尿β-hCG検査のために尿試料を収集する(出産の可能性のある女性のみ)
10.CDAI及びIBD-Qを行う
11.日誌の記入を確認する
12.最後の評価以降、併用薬及び新たに発生したAEを評価及び記録する
【0341】
加えて、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0342】
評価を完了した後、被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で、抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。バイタルサイン評価は、投与後60分以内に行われる。
【0343】
被験者は、治験薬を投与された後、60分間診療所に留まる。この間、以下の詳細が記録される:
1.投与後に発生したAE
2.投与後に投与された全ての併用薬
3.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0344】
投与後評価の完了後、被験者は診療所を離れることが許可される。
【0345】
試験期間及び来院:非盲検治療期間、来院3(7日目[±3日])
被験者は、7日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で、以下の手順が行われる:
1.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度及びPK分析のために血液試料を収集する
2.AE及び併用薬を評価及び記録をする
3.日誌の記入をレビューする
4.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。加えて、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録された。
【0346】
試験期間及び来院:来院4(14日目[±3日])
被験者は、14日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で投与前に以下の手順が行われる:
1.体重測定を含む、簡単な身体検査を行う
2.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
3.臨床検査のために血液試料を収集する
4.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、PK、及びADA分析のために血液試料を収集する
5.CDAIを行う
6.日誌の記入をレビューする
7.最後の評価以降、併用薬使用及び新たに発生したいかなるAEも評価及び記録する
【0347】
加えて、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0348】
これらの評価を完了した後、被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で、抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。バイタルサイン評価は、投与後60分以内に行われる。
【0349】
被験者は、治験薬を投与された後、60分間診療所に留まる。この間、以下の詳細が記録される:
1.投与後に発生したAE
2.投与後に投与された全ての併用薬。
投与後評価の完了後、被験者は診療所を離れることが許可される。
【0350】
試験期間及び来院:来院5(21日目[±3日])
被験者は、21日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で、以下の手順が行われる:
1.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度及びPK分析のために血液試料を収集する
2.AE及び併用薬を評価及び記録をする
3.日誌の記入をレビューする
4.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0351】
更に、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0352】
試験期間及び来院:来院6(28日目[±3日])
被験者は、28日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で投与前に以下が行われる:
1.バイタルサインの評価及び体重測定を含む、完全な身体検査を行う
2.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
3.12誘導ECGを行う
4.臨床検査のために血液試料を収集する
5.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、PK、及びADA分析のために血液試料を収集する
6.表13に定義される探索的分析のために血液試料を収集する
7.糞便カルプロテクチン分析のために糞便を収集する
8.尿分析のために尿試料を収集する
9.尿β-hCG検査のために尿試料を収集する(出産の可能性のある女性のみ)
10.CDAIを行う
11.日誌の記入をレビューする
12.最後の評価以降、併用薬使用及び新たに発生したいかなるAEも評価及び記録する
【0353】
加えて、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0354】
これらの評価を完了した後、被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で、抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。バイタルサイン評価は、投与後60分以内に行われる。
【0355】
被験者は、治験薬を投与された後、60分間診療所に留まる。この間、以下の詳細が記録される:
1.投与後に発生したAE
2.投与後に投与された全ての併用薬。注記:糞便試料は、来院中はいつでも得ることができる
3.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0356】
投与後評価の完了後、被験者は診療所を離れることが許可される。
【0357】
試験期間及び来院:来院7(35日目[±3日])
被験者は、35日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で、以下の手順が行われる:
1.薬物動態分析のために血液試料を収集する
2.AE及び併用薬を評価及び記録をする
3.日誌の記入をレビューする
4.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0358】
更に、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0359】
試験期間及び来院:来院8(42日目[±3日])
被験者は、42日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で投与前に以下の手順が行われる:
1.体重測定を含む、簡単な身体検査を行う
2.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
3.臨床検査のために血液試料を収集する
4.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度及びPK分析のために血液試料を収集する
5.CDAIを行う
6.日誌の記入をレビューする
7.AE及び併用薬を評価及び記録をする
【0360】
更に、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0361】
これらの評価を完了した後、被験者は、臍から4~10cmのゾーン内の腹部にSQ注射によって、その後の各投与で回転させる注射部位で、抗LIGHTモノクローナル抗体を受ける。バイタルサイン評価は、投与後60分以内に行われる。
【0362】
被験者は、治験薬の投与後60分間診療所に留まる。この間、以下の詳細が記録される:
1.投与後に発生したAE
2.投与後に投与された全ての併用薬。
3.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0363】
投与後評価の完了後、被験者は診療所を離れることが許可される。
【0364】
試験期間及び来院:来院9(42日目[±3日])
被験者は、49日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で、以下の手順が行われる:
1.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度及びPK分析のために血液試料を収集する
2.AE及び併用薬を評価及び記録をする
3.日誌の記入を確認する
【0365】
更に、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0366】
試験期間及び来院:来院10(56日目[±3日])
被験者は、56日目(±3日)に診療所に戻り、その時点で、以下の手順が行われる:
1.体重の測定を含む、完全な身体検査を行う
2.収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、呼吸数、及び体温を含む、バイタルサインを収集する
3.12誘導ECGを行う
4.臨床検査のために血液試料を収集する
5.血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、PK、及びADA分析のために血液試料を収集する
6.表13に定義される探索的分析のために血液試料を収集する
7.糞便カルプロテクチン分析のために糞便を収集する
8.尿分析のために尿試料を収集する
9.尿β-hCG検査のために尿試料を収集する(出産の可能性のある女性のみ)
10.CDAIを行う
11.日誌の記入をレビューする
12.IBD-Q質問票を行う
13.内視鏡検査及び生検を行う
14.AE及び併用薬を評価及び記録をする
15.個々の停止ルール基準に対して、被験者の反応及び利用可能な結果を評価する。
【0367】
更に、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0368】
糞便試料は、来院中はいつでも得ることができることに留意する。
【0369】
早期終了
被験者が何らかの理由で試験からから離脱される場合、56日目(来院10)の全ての手順及び評価を行うようにするためにあらゆる努力を払う。
【0370】
試験期間及び来院:安全性フォローアップ、来院11(84日目[±3日])
被験者は、必要に応じて、安全性フォローアップ来院のために、来院10又は早期終了来院の28日後(±3日)に診療所に戻る。被験者は、血漿抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、PK、及びADA分析のために血液が収集される。最後の来院以降におけるいずれの併用薬及び新たに発生したAEを記録する。加えて、前回の来院から進行中のいずれのAEも評価し、それらの状況におけるいかなる変化も記録する。
【0371】
試験期間
全試験期間は、約26週間(スクリーニングの最大14週間[必要に応じて最大12週間の休薬を含む]、非盲検治療の56日、及び治験薬の最終用量の約28日後のフォローアップ来院を含む)である。
【0372】
試験期間の計画された順序及び最大継続期間は次のとおりである。
1.スクリーニング期間:約14週
2.休薬期間、該当する場合:被験者の生物製剤治療の最後の用量から最大12週
3.非盲検治療期間:56日(0日目から開始して用量はq14日で投与される)
4.フォローアップ:治験薬の最後の用量後28日。各被験者の最大試験期間は、約26週である。
【0373】
各被験者の最大治療期間は約56日であり、SQ注射を0日目に開始し、42日目まで14(±3)日毎に継続する。
【0374】
注意:臨床検査の再試験時間枠(生検による内視鏡検査を除く)に対応するためのスクリーニング幅の延長は許可されているが、16週間の全スクリーニング期間を超えることはできない。
【0375】
安全性評価
安全性評価には、AEのモニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、身体検査(体重測定を含む)、及び12誘導ECGパラメータが含まれる。人口統計情報並びに病歴及び治療歴が、スクリーニング来院時に得られる。
【0376】
全ての安全性評価は、適切なeCRFに記録される。
【0377】
人口統計/治療歴
人口統計学的情報、完全な治療歴(手術歴を含む)、及び薬歴は、PIによって指名された適切な施設スタッフによってスクリーニング来院時に収集され、資格免許のある医師、医師の助手、又は看護師によってレビュー及び検証される。治療歴がレビュー及び記録され、以下を含む:
●生年月日
●性別
●人種及び民族
●医薬品の最近の使用(クローン病以外の関連する適応について登録の30日前、及びクローン病の関連する全ての医薬品を生涯について呼び起こす)
●CDの過去及び進行中の治療(昨年を呼び起こす)
●CD関連の外科的処置及び入院
●呼吸器、循環器、腎臓、消化器、肝臓、内分泌、血液、神経、精神、及び他の疾患の病歴、外科的処置歴
【0378】
バイタルサイン
収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、及び呼吸数を含むバイタルサインは、評価スケジュールに示すように収集される(表13を参照)。バイタルサインは、スクリーニング(来院1)中及び来院2での登録前に以下に列挙される範囲内である:
●血圧:80/50~140/90mm/Hg
●呼吸数:1分当たり8~20回の呼吸
●脈拍:1分当たり50~120拍
●体温:97.8°F~99.1°F(36.5℃~37.3℃)/平均98.6°F(37℃)
【0379】
バイタルサインは、来院2、4、6、及び8で投与前及び投与後に検査される。投与前のバイタルサインは、投与前の60分以内に検査される。投与後のバイタルサインは、投与後少なくとも60分後、退院前に行われる。追加の血圧及び脈拍数の測定が、任意選択的に、治験責任医師によって決定されるように行われて、被験者の安全性の適切なモニタリングとバイタルサインの正確な記録を確実にする。治験責任医師によって臨床的に重要であると判断されるベースラインからのいずれの変化も、AEとして記録される。
【0380】
同じ血圧測定方法(聴診又はオシロメトリック)を使用し、全ての被験者について、試験全体を通して文書化する。加えて、バイタルサイン測定の条件は、読み取りの変動を最小限に抑えるために制御され、可能な限り一貫したものにする。測定値は、同じ腕の同じ位置に配置された同じ(適切なサイズ)カフを使用して、バックグラウンドノイズがほとんど又は全くない快適な室温で収集され得る。カフは、80%であるブラダー長を有し、幅は腕の周囲の少なくとも40%である(長さと幅の比は2:1)。
【0381】
被験者は、カフの配置部位を覆う全ての衣類を取り外すように求められる。被験者は、収集の30分以内に運動しているか、又はカフェイン、アルコール、若しくはニコチンを摂取していることができない。被験者は、上腕のカフの中心が、右心房の高さ(胸骨の中間点)になるように、脚を交差させずに、足を床に平らにし、背中と腕を支えて、気楽に座らされ得る。被験者は、収集前に少なくとも5分間、できるだけリラックスするように指示される。被験者は、この間、及び測定を通じて静止し続け得る。
【0382】
ブラダーは、少なくとも5分間休息した後、2~3mmHg/秒(収縮期及び拡張期の圧力として記録された最初及び最後の可聴音)の速度で収縮する(オシロメトリー法又は聴診法によるマニュアルについて校正される)。
【0383】
脈拍を測定するための自動デバイスの使用は許容されるとみなされるが、マニュアルで行う場合は、脈拍は少なくとも30秒間、上腕動脈/橈骨動脈で測定され得る。これらの測定のタイミングが採血と一致するとき、採血前のわずかな時間に血圧及び脈拍を得ることができる。
【0384】
身体検査
体重の測定を含む完全な身体検査は、スクリーニング来院時及び来院2(0日目)、6(28日目)、並びに10(56日目)で、資格免許のある医師、医師の助手、又は看護師によって行われる。体重の測定を含む簡単な身体検査は、来院4(14日目)及び来院8(42日目)で行われる(表13を参照)。
【0385】
完全な身体検査には、以下の身体系のレビューが含まれる:
●全身外観
●皮膚
●頭部、眼、耳、鼻、及び喉
●脊椎/頸部/甲状腺
●筋骨格
●呼吸器
●心臓血管
●神経
●腹部(肝臓及び腎臓を含む)
【0386】
身体系のレビュー中に指摘されたベースラインからの強度におけるいかなる異常又は変化も、医療記録に文書化され、適切なeCRFに報告され得る。ベースライン検査後に新たな臨床的に重要な異常所見が報告される場合は、それをAEとして捉え、適切なAE eCRFに記録する必要がある。加えて、試験中の任意の異常所見の解消は、臨床的に重要な場合、医療記録及びeCRFに記録される。
【0387】
簡単な身体検査には、外観、皮膚、頭部、眼、耳、鼻、及び喉、腹部、関節、並びに肛門周囲領域のレビューが最低限含まれ、他の系は医学的に必要とされるときにレビューされる。体重の測定も収集される。
【0388】
被験者は、体重(kg)の測定を行う前に靴を脱ぐ。
【0389】
心電図
標準的な12誘導ECGが、評価スケジュールに示されているように(表13を参照)、PIによって指定された適切な施設スタッフによって実施され、結果はPI又はPIによって指名された資格免許のある医師によってレビュー及び検証される。
【0390】
12誘導ECGは、被験者が約5分間仰臥した後に行われる。全てのECG記録は、被験者番号、被験者イニシャル、日付、及び記録した時間で識別され、被験者の試験ファイルに含まれる。
【0391】
被験者は、リードの配置部位を覆う全ての衣類を取り外すように求められる。被験者は、収集前の30分以内に運動しているか、又はカフェイン、アルコール、若しくはニコチンを摂取していることができない。
【0392】
いくつかの事例において、異常なECGを繰り返して、ECGの異常の一因として不適切なリードの配置を排除することが適切であり得る。正確なECG記録を達成するために、リードは各時期で同じ位置に配置される。10秒リズムストリップを含む1つの完全な記録が、各時点で測定され得る。これは直ちに有効な記録として評価され、有効でない場合、それは繰り返され得る。収集された全てのECGは、eCRFに入力される。
【0393】
全てのECGは、施設によって供給される装置を使用して行われる。ECG記録が収集され、コピーが治験依頼者に提供される。
【0394】
以下のパラメータ:心拍数、PR、呼吸数(RR)、QRS、及びQT間隔が適切なeCRFに記録され、Bazett(QTcB)及びFridericia(QTcF)の式の両方を使用して補正されたQT間隔も記録される。ECGトレーシングの正常又は異常としての治験責任医師の評価が文書化されることが要求され、異常な場合、異常性が臨床的に重要であるかのその決定がトレーシングについて文書化され、eCRFに記録される。
【0395】
治験責任医師の見解で、治験薬の終了中又は終了後に臨床的に関連性のある又は病理学的な変化を示す全てのECG値は、医療モニターと協議され、AEとして報告されて追跡される。
【0396】
臨床検査
以下の臨床検査のための試料は、評価スケジュール(表13を参照)で特定された時点で収集される。
【表14-1】
【表14-2】
【0397】
採血体積
各被験者から採取される試料血液体積が表15に示される。
【表15】
【0398】
結核(TB)検査
全ての被験者は、スクリーニング時に、QuantiFERON-TB Gold(QFT)血液試験、又はツベルクリン皮膚反応試験(PPD皮膚試験)を使用して結核についてスクリーニングされる。被験者のPPD尖叉皮膚検査が≧5mmである場合、胸部X線検査を行い、活動性又は潜伏性のTB感染症を除外する。被験者は、以下のいずれかによって実証される活動性又は潜伏性のTBを有する場合、試験から除外される。
●QFT検査結果陽性又はPPD皮膚検査反応≧10mmで陽性。
●活動性又は潜伏性の肺TBを排除することができない胸部X線撮影。
【0399】
デコイ受容体3の遺伝子型決定
遺伝子型決定のために2ミリリットルの唾液を、製造業者の説明書に従って指定された収集ビヒクルに収集する。
【0400】
デオキシリボ核酸(DNA)を、各試験被験体からの唾液試料から単離し、次いで、タンパク質DcR3をコードするTNFRSF6Bにおける遺伝子変異、又は少なくとも1つのDcR3ネットワーク遺伝子における変異について評価する。全ての遺伝子型決定は、検査室マニュアル及びガイダンスに指定されたCLIA認定検査室で実施される。残りのDNA試料は、将来のバイオマーカー試験のために保存される。
【0401】
LIGHT、サイトカイン、RNA配列決定、及びフローサイトメトリー探索的分析
探索的分析のために血液試料を収集する。探索的分析には、LIGHTバイオマーカー、サイトカイン(例えば、IL-1ベータ、IL-6、IL-8、TNF-アルファ、及び他の探索的サイトカイン)、リボ核酸(RNA)配列決定、表13に特定される来院時の末梢血白血球のフローサイトメトリーが含まれるが、これらに限定されない。
【0402】
前生物製剤に関する試験
抗LIGHTモノクローナル抗体による投与に関連する効果が、他の生物製剤の前使用によって混同される可能性を回避するために、適切な休薬期間が必要である。より短い洗浄期間を可能にするために、生物製剤の血清濃度を特定するために利用可能な市販の試験が利用される。Cimziaを除いて、血液検査は、生物製剤治療の最後の投与後に休薬を8週受ける被験者に行われ、任意の前生物製剤治療の血清レベルが検出レベル未満であることを確実にする。生物製剤治療の血清濃度が、それぞれのCLIA検証された市販検査に従って検出できない(すなわち、定量化レベル未満)場合、被験者は、休薬期間を完了しているとみなされ、来院2に進むことが許可される。生物製剤治療が検出される場合、被験者は来院2に進む前に12週の全休薬期間を完了する。生物製剤セルトリズマブペゴル(Cimzia)を受けている被験者では、12週の休薬が必要である。
【0403】
検体取り扱い要件
感染性病原体の伝播は、汚染された針、血液若しくは血液生成物、及び/又は検査室標本との接触を通じて生じ得る。したがって、適切な血液、体液、及び標本の予防措置は、診療所及び検査室の両方での標本の収集及び取り扱いに関与する全ての試験職員によって用いられ得る。適切な当局の最新の勧告を参照する。
【0404】
被験者試料の適切な取り扱いに加えて、生体試料の出荷に関する特定の規制が存在する。感染性試料の梱包及び出荷に関する手順及び規制は、試験検査室マニュアルに概説されている。治験責任医師は、別の場所に輸送されるべき全ての試験試料が、適用される規制に従って適切に梱包及び出荷されることを確実にする責任がある。
【0405】
検査値の評価
臨床安全性検査室評価における値の正常な範囲は、責任のある臨床検査室によって提供され、試験の開始前に治験依頼者に提出される。これらは、臨床的決定がなされる参考範囲としてみなされる。
【0406】
検査値が参考範囲外である場合、いくつかの例外があり、それは必ずしも臨床的に関連するものではない。治験責任医師は、範囲外の値を評価し、それらの臨床的関連性の自分の評価を適切なeCRFに記録することが要求される。
【0407】
治験責任医師の見解で、治療中又は治療の終了後に臨床的に関連するか又は病理学的変化を示す全ての検査値は、医療モニターと協議し、AEとして報告されて、追跡される。
【0408】
実施例6.6-有害事象
有害事象収集
治験責任医師は、以下に記載されるAE又はSAEの基準及び定義を満たす事象の検出及び文書化に関して責任がある。各来院で、被験者は、最後の来院又は評価以降の任意の問題を自発的に報告する期間が与えられる。各来院で、治験責任医師は、
●「気分はどうですか?」
●「最後の来院以降、何か問題がありましたか?」
●「最後の来院以降、何らかの新しい薬を服用しましたか?」、などのような誘導しない質問を使用して、任意のAEを監視し、質問し、かつ/又は評価する。
【0409】
各来院中になされる臨床的に関連するいずれの観察も、AEとみなされる。
【0410】
有害事象の定義、観察期間、及び有害事象の記録
AEは、医薬品を投与された臨床試験の被験者における任意の不都合な医療的発生として定義され、必ずしも製品と因果関係を有しない。したがって、AEは、製品に関連するか否かにかかわらず、製品と時間的に関連する、好ましくない、意図しない徴候(新しい、臨床的に重要な異常な検査所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。
【0411】
インフォームドコンセントに署名した時点から最終安全性フォローアップ来院までの全てのAEが収集される。これには、治験薬が投与されているかにかかわらず、試験のスクリーニング段階で発生する事象が含まれる。可能であれば、症状の一覧ではなく診断を記録する。診断がなされていない場合、各症状を個別に列挙する。全てのAEは、適切なAE eCRF及びソースドキュメントに取り込む。AEに加えて、治験薬適応外の予期しない利点もまた、ソースドキュメント及びAE eCRFに取り込む。
【0412】
被験者がまだ試験に参加しているかにかかわらず、全てのAEを閉鎖まで(すなわち、被験者の健康状態が自分のベースライン状態に戻っているか、又は全ての変数が正常に戻っている)追跡する。閉鎖は、転帰が達成されるか、安定化が達成されるか(治験責任医師は、事象のいかなる更なる改善又は悪化も予期しない)、又は事象が他の方法で説明されるか、を示す。適切な場合、事象の解消を文書化できるように、医学的検査及び調査が行われる。
【0413】
有害事象の重症度
AEの重症度は、重症度における各変化の開始日及び停止日を含む事象の経過中に記録される。重症度が変化する事象は、新たな事象として捉えられる。治験薬の開始後に、前治療事象を悪化させることは、新規のAEとして記録される。例えば、被験者が治験薬を投与する前に軽度の間欠性頭痛を経験し、頭痛の強度が治験薬の最初の投与後に中度に増加する場合、中度の間欠性頭痛の新たなAEがソースドキュメント及びeCRFに記録される。
【0414】
AEの臨床的重症度の医学的評価は、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)、Version 4.0(the US Department of Health and Human Services,National Institutes of Health,National Cancer Instituteによって2009年5月28日に公表され、2010年6月14日に4.0.3版)に概説されている定義を使用して決定される。グレード1は、軽度、無症候性若しくは軽度の症状、又は臨床若しくは診断的観察のみ、又は介入が適応されない、として定義される。グレード2は、中度、若しくは最小限の、局所的若しくは非侵襲的介入が適応されるか、又は年齢に適した手段的日常生活動作(ADL)を制限する、として定義される。グレード3は、重度若しくは医学的に重要であるが、直ちに生命を脅かさないか、又は入院若しくは入院期間の延長が適応されるか、又は身体障害になるか、又は自己管理ADLを制限する、として定義される。グレード4は、生命を脅かす結果、又は緊急介入が適応される、として定義される。グレード5は、AEに関連する死である。
【0415】
重症度は強度の分類であり、一方、SAEは重篤な基準に見合うAEである。上記参照のCTCAE文書は、CTCAE用語及び手段及び自己管理ADLの完全な説明のために参照され得る。
【0416】
関連カテゴリー分類
治験責任医師は、各AEについて、治験薬との関連の評価をする。治験責任医師は、自分の医学的判断において、事象が治験薬によって引き起こされ得る合理的可能性があるかを判断する。関連を示唆する正当な理由がない場合、AEは「非関連」に分類される。それ以外の場合、AEは以下のガイドラインに従って分類される。因果関係評価は、ソースドキュメント及びeCRFに文書化される(表16)。
【表16】
【0417】
最後の観察時の転帰
最後の観察時のAEの転帰は、回復した/解消した、後遺症を伴い回復した/解消した、回復しつつある/解消しつつある、回復していない/解消していない、致命的、又は不明、として分類される。
【0418】
重篤な有害事象の報告
初回及びフォローアップのSAE報告は、治験責任医師によって記入され、SAEの最初の認識から24時間以内に治験依頼者及びCROに送られ得る。治験責任医師は、適切なSAEフォームを記入し、署名し、日付を記入し、対応するソースドキュメントに対して情報の正確性を検証する。ソースドキュメントはSAEフォームと一緒に送られない。このSAE情報(フォーム)は、CRO医薬品安全性監視部門に送られ、治験依頼者の医療モニターに電子メール又はファックスでコピーされる。
【0419】
重篤な有害事象の定義
SAEは、治験薬に関連するとみなされるか否かにかかわらず、任意の用量で:死をもたらすか、生命を脅かすか、入院若しくは既存の入院の延長を必要とするか、持続的若しくは重大な障害/無能力をもたらすか、先天的異常であるか、又は重要な医療事象である、任意の不都合な医療的発生である。
【0420】
「重篤」の定義における「生命を脅かす」という用語は、被験者が事象の時点で死亡のリスクがあった事象を指し、より重度であった場合に仮に死亡を引き起こした可能性がある事象を指すものではないことに留意する。
【0421】
患者入院は、病院に24時間又は一晩の滞在として定義されることに留意する。試験薬への曝露前に存在する状態を治療するための随意入院、又はAEの診断評価のための入院は、状態又は事象をSAEとみなさない。更に、交通機関、組織、又は宿泊施設の問題のみに起因し、医療的背景のない病院での一晩の滞在はSAEとみなす必要はない。
【0422】
妊娠中に治験薬に曝露された母親に生まれた乳児における先天的異常がSAEであることに留意する。ただし、治験薬を受けてきた被験者において新たに診断された妊娠は、治験薬が避妊法と相互作用して妊娠に至ったと疑われる場合を除き、SAEとはみなされない。
【0423】
直ちに生命を脅かし得ないか、又は死亡若しくは入院をもたらし得ないが、被験者を危険にさらし得るか、あるいは上記の定義に列挙される他の転帰のうちの1つを予防するために介入を必要とし得る、重要な医学的事象などの重篤な他の状況を考慮することが適切であるかを判断する際に医学的及び科学的判断が行われ得ることに留意する。かかる事象の例は、アレルギー性気管支けいれん、血液疾患若しくは入院をもたらさないけいれん、又は薬物依存症若しくは薬物乱用の発症における救急処置室又は自宅での集中治療である。
【0424】
重篤有害事象収集の時間枠
全てのSAEは、試験との関連に関係なく、被験者がインフォームドコンセントに署名した時点から、被験者の最後の来院(診療所又は電話接触)まで収集される。治験責任医師又は被指名者は、全てのSAEをCRO及び治験依頼者の医療モニターに、最初に事象を認識してから24時間以内に速やかに報告する。
【0425】
試験が完了した後に、任意の間隔で治験責任医師によって発見されたいずれのSAEも、IPとの関連に関係なく、事象の最初の認識から24時間以内にCRO及び治験依頼者の医療モニターに報告される。
【0426】
重篤有害事象の発症日及び解消日
SAEの発症日は、事象が重篤な基準を満たした日として定義される。解消日は、事象がもはや重篤な基準を満たさない日、症状が解消する日、又は事象が慢性的であるとみなされる日である。入院の場合、入院日及び退院日はそれぞれSAEの発症日及び解消日とみなされる。
【0427】
インフォームドコンセントフォームに署名した後、又はSAEの発症日まで、又はSAEの解消日以降に被験者が経験した徴候若しくは症状は、AEとして記録される。
【0428】
致命的転帰
「致命的」な転帰は、AEが死亡をもたらすときにのみ選択され得る。2件以上のAEが被験者の死亡に関連している可能性がある場合、「致命的」な転帰は、かかる各AEについて示される。
【0429】
被験者の死亡をもたらしたいずれのAEも、「致命的」が転帰としてチェックされることが要求され、死亡日が解消日として記録された。死亡をもたらす有害事象は、そのようにまだ報告されていない場合、SAEとして24時間以内に報告され得る。
【0430】
死亡の時点で進行中である他のAEでは、被験者の死亡に寄与しておらず、転帰は、「解消されていない」とみなされ、解消日は記録されない。
【0431】
特別な関心対象の有害事象及び薬物有害反応
特別な関心対象の有害事象としてみなされる事象は、これまでの研究からはない。抗LIGHTモノクローナル抗体前臨床試験において観察される薬物有害反応には、注射部位反応が含まれる。
【0432】
他の生物製剤との有害薬物反応には、感染の増加(結核などの日和見感染を含む)の可能性、過敏症反応(アナフィラキシーを含む)、免疫原性、悪性腫瘍、免疫障害、又はCD悪化が含まれる。
【0433】
妊娠
本試験に参加している潜在的に出産可能な全ての女性は、適切な避妊法を実施する必要性、及び試験参加中に妊娠を避けることの重要性について助言される。試験参加者は、妊娠が生じるか、又は疑われる場合は、直ちに治験責任医師又は試験スタッフに連絡するように指示される。
【0434】
妊娠検査はまた、出産可能性のある全ての女性に対して、治験薬の投与前に行われる。スクリーニング来院時に妊娠していることが認められる女性は試験から除外され、スクリーニングの失敗とみなされる。
【0435】
治験責任医師は、治験薬治療中又は治験薬を中止する7日以内に妊娠するいずれの女性(試験参加者又は男性試験参加者の女性パートナー)の妊娠も報告する。妊娠は、認識後24時間以内にCROに報告される。治験責任医師は、SAE通知を受ける指名された個人に連絡し、妊娠に関連する情報を、治験依頼者又は被指名者によって提供される指定フォームに記録する。
【0436】
妊娠を知った後、可能な限り速やかに早期終了来院評価を行う。治験責任医師はまた、出産又は終了まで妊娠を追跡する責任がある。これらの所見は、子宮内曝露フォーム/他の指定されたフォームで報告され、指定された個人に転送される。事象は、自然流産又は先天的異常をもたらす場合のみSAEの基準を満たす。
【0437】
実施例6.7-乱用、誤用、過量投与、及び投薬過誤
治験薬にかかわる乱用、誤用、過量投与、又は投薬過誤は、以下に定義されるように、AE又はSAEをもたらすか否かにかかわらず、SAE報告手順を使用して治験依頼者に報告される。乱用、誤用、過量投与、又は投薬過誤事象がSAEを生じない場合は、最初に認識された時点から24時間の報告期間は、乱用、誤用、過量投与、又は投薬過誤事象には適用されない。
【表17-1】
【表17-2】
【0438】
実施例6.8-抗LIGHTモノクローナル抗体濃度、薬物動態、及び抗薬物抗体評価
薬物動態は、抗LIGHTモノクローナル抗体の血漿中濃度から算出される。
【0439】
血液試料の収集及び分析
血液試料を、0、14、28、及び42日目(それぞれ来院2、4、6、及び8)に抗LIGHTモノクローナル抗体の投与前の60分以内に、並びに7、21、35、49、56、及び84日目(来院3、5、7、9、10、及び11)の任意の時点で収集し、血漿に処理する。PK試料の時間は、電子CRFに記録される。合計1.0mLの血漿(PK及びADA試料について0.5mL)を各被験者から収集し、抗LIGHTモノクローナル抗体又はADA試料の血漿濃度を測定する。薬物動態試料及びADA試料は、検査室マニュアル及びガイダンスに記載される方法及び指示に従って処理される。
【0440】
薬物動態及びADA血漿試料分析は、検証された酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、指定された検査室によってそのSOPに従って行われる。
【0441】
実施例6.9-有効性の評価
クローン病活動指数
CDAIは、資格免許のある医師、医師の助手、又は看護師によって、評価スケジュールに示される時点で完了される(表13を参照)。CDAIを実施する施設職員は、標準体重を、男性の標準体重=(mでの高さ)2×22.1、女性の標準体重=(mでの高さ)2×20.8に従って計算し、個人のスコア及び合計スコアを導き出す。
【0442】
腹痛及び緩い水っぽい糞便の頻度に関する情報は、被験者の日誌情報から得られる。可能な限り、同じ個人が試験全体を通して所与の被験者に関するCDAIを編集する。
【0443】
CDAIは、National Cooperative Crohn’s Disease Studyグループによって開発され、Bestら(1976)によって1976年に公表され(Best et al.,Development of a Crohn’s disease activity index,National Cooperative Crohn’s Disease Study,Gastroenterol.,1976:70;439-44)、疾患活動を最もよく予測した変数を決定した。合計8項目(腹痛、液状糞便の回数、全体的な健康状態、腸外合併症、抗下痢薬の使用、腹部腫瘤、ヘマトクリット、及び体重)が特定された。各項目は、個々のパラメータ基準に基づいてスコア化される。総CDAIスコアは、0~およそ600の範囲であり得、より高いスコアは、より活動的な疾患を示す。CDAIは、CDにおける介入試験において最も頻繁に使用される有効性スケールである(Sostegni et al.,Review:Crohn’s disease:monitoring disease activity,Aliment Pharmacolo Ther.,2003:17(Suppl.2)11-17)。
【0444】
生物学及び組織学を用いた内視鏡検査
試験に登録する全ての被験者は、スクリーニング時に生検を伴う内視鏡検査を受け、56日目(来院10)又は早期終了時に再度受ける。スクリーニング内視鏡検査は、任意選択的に、本プロトコルの目的のための単独内視鏡検査として、又は臨床的に必要な内視鏡検査としてのいずれかで行われるが、ただし、本臨床試験に関する同意手順が内視鏡検査の前に完了することを条件とする。
【0445】
内視鏡検査評価は、SES-CDを使用する。SES-CDは、CDのために特に開発された単純で使いやすい内視鏡スコアリングシステムである。それは、4つの変数:潰瘍のサイズ、潰瘍化表面の割合、罹患した表面の割合、及び狭窄の存在を、変数当たり4つのカテゴリーにわたって0~3の尺度で評価する(Daperno M,D’Haens G,Van Assche G et al.Development and validation of a new,simplified endoscopic activity score for Crohn’s disease:the SES-CD.Gastroinest Endosc.2004 Oct;60(4):505-12)。スクリーニング時に採取された生検は、疾患の組織学的確証のために評価される。各被験者は、スクリーニング及び来院10/ET生検試料を有し、任意選択的に試験完了後に生じ得る、探索パラメータ(DcR3、LIGHT、HVEM、及びLTβRを含み得るが、これらに限定されない)の評価のために保持される。
【0446】
健康状態、腹痛、及び便頻度の患者が報告した評価
試験に登録する全ての被験者は、日誌(電子的又はハードコピー)を通じて、健康状態、腹痛、並びに緩んだ及び/又は水っぽい糞便を含む便頻度の自分の毎日の評価を報告する。腹痛は、0~3の尺度で評価され、より高い値は、より高い痛みの重度を示す。ブリストル糞便スケールで6又は7のスコアに相当する、1日当たりの緩んだ及び/又は水っぽい糞便の回数を含む便頻度が記録される。
【0447】
緩い糞便は、ふわふわで縁がぼろぼろになったもの、ぬるぬるした糞便として説明される。水っぽい糞便は、水っぽく、固形物がないとして説明される(O’Donnell et al.,Detection of pseudodiarrhoea by simple clinical assessment of intestinal transit rate,Br.Med.J.1990;300:439-40)。
【0448】
生活の質の評価-炎症性腸疾患質問票
IBD-Qは、クローン病における生活の質を測定するために検証された32項目の質問票である。IBD-Qは、腸機能、感情的状態、全身症状、及び社会的機能の範囲を評価する(Guyatt et al.,A new measure of health status for clinical trials in inflammatory bowel disease,Gastroenterol.,1989:96;804-10)。IBD-Qは、スクリーニング時(来院1)、投与前(来院2)、及び非盲検治療期間の終了時又は早期終了時(来院10/ET)に、全ての被験者によって記入される(表13を参照)。
【0449】
実施例6.10-統計
薬物動態、有効性、及び生活の質のデータは、従来の記述統計を用いて要約される。連続変数は、N、平均値、標準偏差、及び範囲を用いて要約される。カテゴリー変数は、頻度及びパーセンテージを用いて要約される。
【0450】
正式な推論分析は計画されていない。
【0451】
安全性集団には、試験に登録し、任意の量の治験薬を受ける全ての被験者が含まれる。薬物動態集団には、自分に割り当てられた用量の抗LIGHTモノクローナル抗体を受け、抗LIGHTモノクローナル抗体血漿濃度データが利用可能な全ての被験者が含まれる。有効性集団には、ベースライン及び少なくとも1回のベースライン後の有効性スコアを有する全ての被験者が含まれる。
【0452】
有効性の分析は、有効性集団に焦点を当てる。エンドポイント(例えば、CDAI、SES-CD、腹痛及び緩い/水っぽい糞便の頻度、及びIBD-Q)の結果は、生スコア及びベースライン値からの変化の両方として、各コホートについて来院によって要約される。CDAIの個別スコア及び合計スコアは、患者の日誌、CDAIの質問への回答、臨床検査、及び身体検査結果から記録されたデータを使用して、プログラムによって引き出される。
【0453】
定量的な内視鏡検査及び生検結果もまた、ベースライン及び試験終了時の両方の来院について要約される。
【0454】
安全性データの分析は、安全性集団に焦点を当てる。
【0455】
安全性変数には、治療中に発生したAE(TEAE)、臨床検査結果、バイタルサイン測定、ECG結果、及び身体検査所見が含まれる。
【0456】
有害事象は、医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Affairs)(MedDRA)バージョン20を使用してコード化される。TEAEは、IPの最初の投与後に最初の発症又は重症度の悪化を有する任意のAEとして定義される。TEAEは、器官別大分類(SOC)及び好ましい用語によって分類され、各コホート及び全体における各事象を報告する被験者の数によって要約される。同様の要約が、SAE、中止につながるAE、及び治験薬と少なくとも関連する可能性を有するAEについて作成される。AEの強度及び治験薬との関係はまた、各SOC及び好ましい用語でも要約される。
【0457】
臨床検査では、実際の(絶対的な)値及びベースライン値からの変化の記述的な要約が、各試験来院におけるコホート毎に提供される。各試験来院時の臨床検査値が正常範囲未満、範囲内、又は正常範囲を超える被験者の数を、コホート毎に各臨床検査について表(シフトテーブル)にする。
【0458】
バイタルサイン(収縮期及び拡張期の血圧、脈拍、及び呼吸数)及びECG結果は、適切な記述統計を使用して来院及びコホート毎に要約される。異常なECG所見を有する被験者の数及び割合は、各試験来院におけるコホート毎に要約される。
【0459】
この非盲検試験のデータは、継続的にモニタリングされる。
【0460】
これは、抗TNFαモノクローナル抗体に対して抵抗性のCDを有する患者の意図した集団における抗LIGHTモノクローナル抗体の最初の使用である。試験の試料サイズは、実現可能性に基づいた。
【0461】
実施例7
本明細書において実施例6に記載される方法に従って行われる試験の特定の結果が、実施例7に提示される。
【0462】
実施例6に記載される試験における抗LIGHT抗体治療を完了した2名の患者から、3時点の血清試料が得られた。健常な成人ドナー(n=30対照)は、202pg/mLの治療前平均遊離LIGHTレベルを有した。第1の患者は、455pg/mLの上昇した治療前血漿中遊離LIGHTレベルを有した。抗LIGHT抗体(配列番号8のVH、及び配列番号9のVLを有する)による皮下(SQ)で2週毎(q)の治療後、被験者の血漿中遊離LIGHTレベルは、正常範囲内であることが認められ、遊離LIGHTレベルは、28日目及び56日目にそれぞれ15及び24pg/mLだった。第2の患者は、193pg/mLの上昇した治療前血漿中遊離LIGHTレベルを有した。抗LIGHT抗体による皮下(SQ)で2週毎(q)の治療後、被験者の血漿中遊離LIGHTレベルは、正常範囲内であることが認められ、遊離LIGHTレベルは、28日目及び56日目にそれぞれ42及び29pg/mLだった。これらのデータは、外来患者の状況において、比較的低用量の抗LIGHT抗体であっても、血漿中遊離LIGHTレベルを減少させることができ、遊離LIGHTレベルが低下したままであることを示す。
【0463】
更に、第1の患者の臨床的改善は、この減少と相関して示された。クローン病における単純内視鏡スコア(SES-CD)について、第1の患者のスコアは、治療によって低下した。SES-CDスコア:0~2は寛解を意味し、3~6は軽度を意味し、7~15は中度を意味し、>15は重度を意味する。第1の患者のSES-CDスコアは、スクリーニング時に11であり、56日目には4であった。
【0464】
実施例8
本明細書に記載の遊離LIGHTアッセイを使用して、ARDS患者からの試料でLIGHT検査を行い、健常なドナーLIGHTレベルと比較した。予備データは、健常なドナーレベルと比較して、ARDS集団における上昇したLIGHTレベルを示す。このデータで生成されたボックスプロットを
図11に示す。
【0465】
以下の表18は、本出願で言及される配列を提供する。
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【表18-4】
【表18-5】
【配列表】