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特許7542080複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置
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  • 特許-複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置 図1
  • 特許-複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置 図2A
  • 特許-複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置 図2B
  • 特許-複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置 図2C
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  • 特許-複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】複数の誘導コイルのための摺動接点を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240822BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240822BHJP
   A24F 40/65 20200101ALI20240822BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240822BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240822BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
A24F40/65
A24F40/60
A24F40/20
A24F40/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022563040
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021062118
(87)【国際公開番号】W WO2021228702
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】20174668.2
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン トニー モーゼス
(72)【発明者】
【氏名】セレダ アレクサンドラ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110895(JP,A)
【文献】特開2020-036592(JP,A)
【文献】特表2018-536397(JP,A)
【文献】中国特許第104095293(CN,B)
【文献】特開昭58-145211(JP,A)
【文献】特開昭57-176706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
少なくとも二つの加熱装置であって、各加熱装置が、
加熱コイル、第一の接点、第二の接点、および第三の接点であって、前記第一の接点が前記加熱コイルの遠位端に接触して配設されていて、前記第二の接点が前記加熱コイルの近位端に接触して配設されていて、前記第三の接点が前記第一の接点と前記第二の接点の間に前記加熱コイルに接触して配設されている、加熱コイル、第一の接点、第二の接点、および第三の接点を備える、加熱装置と、
摺動装置と、を備え、
前記加熱装置の前記加熱コイルが、前記エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に隣り合って配設されていて、前記摺動装置が、前記加熱コイルに隣接して配設されていて、かつ前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に平行に、および前記加熱コイルに平行に摺動するように構成されていて、前記加熱装置の前記第三の接点が、前記摺動装置上に据え付けられていて、また各第三の接点と各それぞれの加熱コイルとの間の電気接点が、前記摺動装置を摺動することによって適合可能である、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記加熱装置が誘導加熱装置として構成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記加熱装置が共通のサセプタを備える、または各加熱装置がサセプタを備える、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記加熱コイルが誘導コイルとして構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
各第三の接点が摺動接点として構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置がコントローラをさらに備え、前記コントローラが前記加熱装置への電流の供給を制御するように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記加熱装置の各々に対して、前記コントローラが所与の時間にて前記第一の接点、第二の接点、および第三の接点の対にのみ電流を供給するように構成されている、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記摺動装置が少なくとも部分的に導電性であり、かつ前記コントローラが前記摺動装置と電気的に接続されている、請求項6または請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記エアロゾル発生装置が、前記コントローラの動作を制御するための通信インターフェースをさらに備える、請求項6~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記通信インターフェースがボタンとして、または外部装置と通信するための無線通信インターフェースとして構成されている、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記エアロゾル発生装置がモーター、好ましくは電気リニアモーターをさらに備え、かつ前記モーターが、前記摺動装置を摺動することによって摺動移動を容易にするために、前記摺動装置と動作可能に連結されている、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞をさらに備える、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記加熱コイルが、前記空洞の前記長軸方向軸に平行に隣り合って、かつ前記空洞を少なくとも部分的に包囲して配設されている、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
加熱ゾーンが、前記空洞を少なくとも部分的に包囲する前記加熱コイルによって、および前記加熱装置に電流を供給する前記コントローラによって作り出され、前記加熱ゾーンの区域が、前記摺動装置を摺動することによって適合可能である、請求項6~10のいずれかを引用する請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素が揮発する温度にエアロゾル形成基体を加熱してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞(加熱チャンバーなど)の中へのエアロゾル発生物品の挿入のためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されてもよい。加熱装置は誘導加熱装置であってもよく、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の可変加熱を有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいであろう。可変加熱ゾーンを有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいであろう。切り替え可能な加熱ゾーンを有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいであろう。加熱ゾーンの選択肢、またはエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の均一な加熱の選択肢を有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、少なくとも二つの加熱装置を備えてもよい。各加熱装置は加熱コイル、第一の接点、第二の接点および第三の接点を備えてもよい。第一の接点は加熱コイルの遠位端に接触して配設されてもよい。第二の接点は加熱コイルの近位端に接触して配設されてもよい。第三の接点は第一の接点と第二の接点の間に加熱コイルに接触して配設されてもよい。エアロゾル発生装置は摺動装置をさらに備えてもよい。加熱装置の加熱コイルは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に隣り合って配設されてもよい。摺動装置は、加熱コイルに隣接して配設されてもよく、またエアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に、かつ加熱コイルに平行に摺動するように構成されてもよい。加熱装置の第三の接点は、摺動装置上に据え付けられてもよい。各第三の接点と各それぞれの加熱コイルとの間の電気接点は、摺動装置を摺動することによって適合可能であってもよい。
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は少なくとも二つの加熱装置を備える。各加熱装置は加熱コイルと、第一の接点と、第二の接点と、第三の接点とを備える。第一の接点は加熱コイルの遠位端に接触して配設されている。第二の接点は加熱コイルの近位端に接触して配設されている。第三の接点は第一の接点と第二の接点の間に加熱コイルに接触して配設されている。エアロゾル発生装置は摺動装置をさらに備える。加熱装置の加熱コイルは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に隣り合って配設されている。摺動装置は加熱コイルに隣接して配設されていて、またエアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に、かつ加熱コイルに平行に摺動するように構成されている。加熱装置の第三の接点は、摺動装置上に据え付けられている。各第三の接点と各それぞれの加熱コイルとの間の電気接点は、摺動装置を摺動することによって適合可能である。
【0006】
エアロゾル発生装置が少なくとも二つの加熱装置を有することに起因して、エアロゾル発生装置の空洞の中に挿入されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための複数の加熱ゾーンが作り出されている。各個別の加熱装置は、少なくとも二つの別個の加熱ゾーンを備える。それ故に、少なくとも二つの加熱装置は各々、少なくとも二つの別個の加熱ゾーンを有して、合計で少なくとも四つの別個の加熱ゾーンを作り出す。追加的に、加熱ゾーンのサイズは、摺動装置によって修正されることができる。摺動装置によって加熱装置の第三の接点を摺動することによって、加熱装置の第三の接点が加熱装置のそれぞれの加熱コイルに接触する電気接点は、適合可能である。加熱装置の加熱ゾーンのサイズは、この加熱装置の加熱コイルとの第三の接点の電気接点に依存する。
【0007】
本明細書で使用される「近位」および「遠位」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0008】
第一の接点、第二の接点、および第三の接点はすべて電気接点である。第一の接点および第二の接点は固定接点であってもよい。言い換えれば、第一の接点および第二の接点は移動可能でないことが好ましい。第一の接点および第二の接点は、加熱装置の加熱コイルのそれぞれの遠位端および近位端に電気的に接触してもよい。第一の接点および第二の接点は、任意の周知の手段によって、模範的にはんだ付けによって、加熱コイルの端に固定されてもよい。
【0009】
第三の接点は移動可能な接点として構成されてもよい。模範的に、第一の接点は摺動接点として構成されてもよい。
【0010】
加熱装置は誘導加熱装置として構成されてもよい。この場合、加熱装置の加熱コイルは誘導コイルとして構成されている。加熱装置の加熱コイルが誘導コイルとして構成されている実施形態において、装置は、DC電池電力を、誘導コイルに提供される交流電流(AC)に変換するDC/ACコンバータをさらに備える。
【0011】
加熱装置は共通のサセプタを備えてもよく、または各加熱装置はサセプタを備えてもよい。概して、サセプタは、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料である。交番磁場内に位置する時、かつサセプタが導電性である場合、交番磁場によって渦電流が誘起される。サセプタが磁性である場合、典型的に加熱に寄与する別の効果は一般的に、ヒステリシス損失と呼ばれる。サセプタが磁性と導電性の両方である場合(これはしばしば当てはまる)、ヒステリシス損失と渦電流の両方は発熱に寄与することになる。ヒステリシス損失は、サセプタが交番磁場によって貫通されている時に、磁区ブロックの動きに主に起因して生じる。
【0012】
サセプタはピン形状であってもよい。サセプタはブレード形状であってもよい。サセプタは、ピン形状またはブレード形状である場合、エアロゾル発生装置の空洞内に中央に配設されていることが好ましい。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中に挿入されている場合、サセプタは次に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中に貫通してもよい。
【0013】
別の方法として、または追加的に、サセプタは、エアロゾル発生装置の空洞を少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。サセプタは、エアロゾル発生装置の空洞を完全に包囲してもよい。この場合、サセプタは複数の長軸方向のサセプタ素子を備えてもよく、これは空洞の長軸方向軸の周りに配設されてもよい。こうしたサセプタ装置の内径は、空洞内に受容されるエアロゾル発生物品の外径に対応してもよく、またはそれよりもわずかに小さくてもよい。エアロゾル発生物品が空洞の中に挿入されている場合、エアロゾル発生物品の外周はサセプタに接触してもよい。その結果として、サセプタはエアロゾル発生物品を空洞内に保持してもよい。サセプタは空洞の内壁を形成してもよい。
【0014】
エアロゾル発生物品の中に貫通するために、またはエアロゾル発生物品を包囲するために構成されているサセプタと無関係に、サセプタは共通のサセプタとして構成されてもよい。この場合、サセプタは加熱装置のうちの少なくとも二つを通って延びてもよい。一つの加熱装置の誘導コイルが起動される場合、この誘導コイルによって包囲されているサセプタの部分は加熱されるだけであるか、または主に加熱される。この誘導コイルによって包囲されているサセプタの部分に隣接するサセプタの部分は、誘導コイルによって作り出された交番磁場によって加熱されない、または無視できる程度にしか加熱されない。サセプタのこの隣接部分は、間接的にしか加熱されない場合がある。こうした間接的な加熱は、加熱勾配を作り出すために許容可能である場合があり、または望ましい場合さえある。その他の加熱装置の誘導コイルが起動される場合、他のこの加熱装置の誘導コイルによって包囲されているサセプタの部分は加熱されるだけであるか、または主に加熱される。
【0015】
別の方法として、各加熱装置は個別のサセプタを備えてもよい。各個別のサセプタは依然として、エアロゾル発生物品の中に、または本明細書に記載の通り、エアロゾル発生装置の空洞を包囲するサセプタの中に貫通するためのピン形状またはブレード形状のサセプタとして構成されてもよい。こうしたサセプタの一つの実施形態は、絶縁層または絶縁部分によって互いに分離されている個別の部分を備えるサセプタである。模範的に、二つの加熱装置のために、単一の絶縁層または絶縁部分によって互いに分離された二つの別個のサセプタ部分を備えるサセプタが提供されてもよい。こうしたサセプタの全体的な形状は、共通のサセプタのサセプタ形状と類似していてもよく、または同一であってもよい。しかしながら、サセプタは、絶縁層によって分離された個別のサセプタ部分を備えてもよい。好ましくは、サセプタは、個別のサセプタ部分が加熱装置の誘導コイルによって包囲されているように配設されている。結果として、加熱装置のこの誘導コイルが動作される場合、この誘導コイルによって包囲されたサセプタ部分のみが加熱される。隣接するサセプタ部分は絶縁層によって、加熱されたサセプタ部分から分離されていて、それ故に加熱されない、または無視できる程度にしか加熱されない。その他の加熱装置が動作される場合、プロセスはその逆の可能である。
【0016】
エアロゾル発生装置はコントローラをさらに備えてもよく、コントローラは、加熱装置への電流の供給を制御するように構成されてもよい。コントローラは、加熱装置の誘導コイルへの交流電流の供給を制御するように構成されてもよい。コントローラは、一度に一つの加熱装置の単一の誘導コイルへの交流電流の供給を制御するように構成されてもよい。コントローラは、所定の時間にわたる単一の誘導コイルへの交流電流の供給を制御するように構成されてもよい。その後、コントローラは、異なる加熱装置の異なる誘導コイルへの交流電流の供給を制御するように構成されてもよい。
【0017】
加熱装置の各々について、コントローラは所与の時間にて、第一の接点、第二の接点、および第三の接点の対にのみ、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を供給するように構成されてもよい。接点の異なる対の間に電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を供給する効果は、異なる加熱ゾーンを作り出すことができることである。
【0018】
本明細書に記載の通り、第一の接点は加熱コイルの遠位端に接触して配設されている。第二の接点は加熱コイルの近位端に接触して配設されている。第三の接点は第一の接点と第二の接点の間に加熱コイルに接触して配設されている。これは各加熱装置に当てはまる。各加熱装置は一つの加熱コイルを備えることが好ましい。一つの加熱装置の一つの加熱コイルの遠位端は、次の加熱装置の一つの加熱コイルの近位端に隣接して配設されていることが好ましい。加熱コイルは、空洞の長軸方向軸に平行に隣り合って、かつ空洞を少なくとも部分的に包囲して配設されてもよい。
【0019】
電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)が、加熱装置の第一の接点と第二の接点の間に供給される場合、この加熱装置の加熱コイル全体は加熱されることになる。電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)が、加熱装置の第一の接点と第三の接点の間に供給される場合、第一の接点と第三の接点の間の加熱コイルの部分は加熱されることになる。この場合、いかなる電流も加熱コイルのこの部分を通して流れないことになるため、第三の接点と第二の接点の間の加熱コイルの部分は加熱されないことになる。電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)が、加熱装置の第三の接点と第二の接点の間に供給される場合、第三の接点と第二の接点の間の加熱コイルの部分が加熱されることになる。この場合、いかなる電流も加熱コイルのこの部分を通して流れないことになるため、第一の接点と第三の接点の間の加熱コイルの部分は加熱されないことになる。
【0020】
結果として、三つの異なる接点、すなわち第一の接点、第二の接点、および第三の接点によって、三つの異なる加熱ゾーンが各加熱装置内に作り出される。各加熱ゾーンは、電流が通って流れる加熱コイルの部分によって画定されている。加熱コイルのこの部分は、エアロゾル発生装置の空洞の一部分を包囲する。電流が通って流れる加熱コイルの部分によって包囲された空洞のこの部分は、加熱ゾーンとして画定されている。その結果として、各加熱装置は、第一の接点と第二の接点の間に大きい加熱ゾーンを備える。この加熱ゾーンは、加熱コイル全体の全長に対応する。各加熱装置は、大きい第一の加熱ゾーンよりも小さい第二の加熱ゾーンを備える。第二の加熱ゾーンは、第一の接点と第三の接点の間の加熱コイルの部分である。各加熱装置は、大きい第一の加熱ゾーンよりも小さい第三の加熱ゾーンを備える。第三の加熱ゾーンは、第三の接点と第二の接点の間の加熱コイルの部分である。第二の加熱ゾーンのサイズは第三の加熱ゾーンのサイズとともに、第一の加熱ゾーンのサイズに対応する。
【0021】
三つの個別の加熱ゾーンを備える各加熱装置に加えて、少なくとも第二の加熱ゾーンおよび第三の加熱ゾーンのサイズは、移動可能な第三の接点によって変更されることができる。第三の接点が摺動装置によって移動される場合、第三の接点と第一の接点の間の空間的距離、および第三の接点と第二の接点の間の空間的距離は変化する。結果として、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)が第一の接点と第三の接点の間の加熱コイルを通って流れる場合、この第二の加熱ゾーンの形状は、第三の接点の移動に伴い変化する。同様に、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)が第三の接点と第二の接点の間で加熱コイルを通って流れる場合、この第三の加熱ゾーンの形状は、第三の接点の移動に伴い変化する。模範的に、第三の接点が第一の接点の方向に移動される場合、第二の加熱ゾーンは小さくなり、また第一の加熱ゾーンはより大きくなる。これもまた、各個別の加熱装置に当てはまる。各個別の加熱装置は三つの別個の加熱ゾーンを備え、その形状は、各個別の加熱装置の移動可能な第三の接点によって修正可能である。
【0022】
摺動装置は、少なくとも部分的に導電性であってもよい。これは、摺動装置を介した第三の接点への電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)の供給を可能にする場合がある。コントローラは摺動装置と電気的に接続されてもよい。コントローラは第一の接点と電気的に接続されてもよい。コントローラは第二の接点と電気的に接続されてもよい。コントローラは、摺動装置を介して第三の接点と電気的に接続されてもよい。
【0023】
摺動装置は長軸方向であってもよい。摺動装置は空洞の長軸方向軸に平行に配設されてもよい。摺動装置は加熱装置に平行に配設されてもよい。摺動装置はロッド形状であってもよい。摺動装置はモーターを備えてもよい。コントローラはモーターの動作を制御するように構成されてもよい。モーターは電気モーターであってもよい。モーターはリニアモーターであってもよい。加熱装置の加熱ゾーンの形状の変化は、摺動装置の運動をモーターの動作によって操作するコントローラよって容易にされてもよい。各第三の接点は、摺動装置上にしっかりと据え付けられてもよい。言い換えれば、各接点は、第三の接点が摺動装置上に固定されるように、摺動装置上に据え付けられてもよい。摺動装置は、摺動装置の軸方向に摺動するように構成されてもよい。摺動装置の軸方向は、空洞の長軸方向軸に平行であってもよい。空洞の長軸方向軸は、加熱装置の長軸方向軸と同一またはそれに平行であってもよい。加熱装置は各々、同じ長軸方向軸を備えてもよい。
【0024】
個別の加熱装置の第三の接点は、摺動装置上に据え付けられてもよい。各加熱装置の各第三の接点は、摺動装置上に据え付けられてもよい。摺動装置を移動することによって第三の接点が一緒に移動されるように、加熱装置の第三の接点はすべて、摺動装置上に据え付けられていることが好ましい。第三の接点は、摺動装置上に等距離で配設されてもよい。その結果として、加熱装置の個別の加熱ゾーンの形状の変化は、この実施形態において、摺動装置による加熱装置の第三の接点の移動によって、各加熱装置で同一である。しかしながら、コントローラは依然として、各加熱装置の第一の接点、第二の接点、および第三の接点の対の間の電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)の別々の供給を個別に制御してもよいことに留意されたい。その結果として、加熱ゾーンの形状の変化が、この実施形態において、加熱装置のすべてで同じである場合でさえも、コントローラは依然として、所望の通り、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を、加熱装置の加熱ゾーンの単一のゾーンに、または異なる加熱装置の複数の異なる加熱ゾーンに個別に供給してもよい。
【0025】
別の方法として、個別の摺動装置は、各加熱装置の各第三の接点に対して提供されてもよい。この実施形態において、加熱ゾーンは、所望の通り、各加熱装置に対して個別に調整されることができる。追加的に、コントローラは、所望の通り、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を加熱装置の個別の加熱ゾーンに個別に供給するように構成されていることが好ましい。
【0026】
複数の加熱ゾーンを提供することによって、および加熱ゾーンの形状の変更を可能にすることによって、エアロゾル発生装置の空洞の中に挿入されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の複数の加熱方式が有効化される。加えて、コントローラが、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を加熱装置の第一の接点、第二の接点、および第三の接点の対に供給することによって、加熱装置の加熱ゾーンに電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を個別に供給するように構成されている場合、可能な加熱方式の数が増加し、これによって一度に、最適化された加熱方式を選ぶことができる。
【0027】
模範的に、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合、エアロゾル形成基体の近位部を最初に加熱することが望ましい場合がある。従って、最も近位の加熱装置は、加熱のために最初に使用される場合がある。最も近位の加熱装置内で、最も近位の加熱ゾーンである第二の加熱ゾーンを最初に操作することが意図されてもよい。この目的のために、コントローラは、この最も近位の加熱装置の第一の接点と第三の接点の間に電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を供給してもよい。その後、第二の加熱ゾーンのサイズは、第三の接点を第二の接点の方向に移動することによって増大させてもよい。最後に、この加熱装置の最も遠位の加熱ゾーンである、この加熱装置の第三の加熱ゾーンが動作されてもよい。この第三の加熱ゾーンを動作するために、コントローラは、この最も近位の加熱装置の第三の接点と第二の接点の間に電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)を供給してもよい。
【0028】
最も近位の加熱装置を動作した後、最も近位の加熱装置に隣接する加熱装置を動作するように選んでもよい。言い換えれば、最も近位の加熱装置の遠位端に隣接する加熱装置を動作するように選んでもよい。最も近位の加熱装置の動作と同様に、この加熱装置の加熱ゾーンの所望の順序が動作されてもよい。加熱ゾーンの動作のこの具体的な記述は、模範的であるにすぎない。任意の種類の加熱装置は、個別にまたは一緒に動作されてもよい。各加熱装置内の任意の数および形状の加熱ゾーンが、個別にまたは一緒に動作されてもよい。
【0029】
エアロゾル発生装置は、コントローラの動作を制御するための通信インターフェースをさらに備えてもよい。通信インターフェースはディスプレーとして構成されてもよい。通信インターフェースはタッチディスプレーとして構成されてもよい。通信インターフェースは、スマートフォン、スマートウォッチ、またはタブレットなどの外部装置との通信インターフェースの通信を可能にするための無線技術を備えてもよい。通信インターフェースは、ボタンとして構成されてもよく、またはボタンを備えてもよい。通信インターフェースによって、ユーザーはコントローラの動作を制御してもよい。模範的に、ユーザーは摺動装置の移動の動作を制御してもよい。結果として、ユーザーは加熱装置内の加熱ゾーンのサイズを変更してもよい。
【0030】
別の方法として、コントローラの動作は、所定のプログラムに依存してもよい。この所定のプログラムは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の所望の加熱プロファイルに対応してもよい。ユーザーは、通信インターフェースによって所望の加熱プロファイルを選んでもよい。別の方法として、所望の加熱プロファイルは、予め決定されてもよい。さらなる代替として、または追加的に、所望の加熱プロファイルは、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品のタイプに依存してもよい。ユーザーは、エアロゾル発生物品のタイプを入力してもよく、またはエアロゾル発生物品のタイプは、エアロゾル発生装置によって検出されてもよく、また適切な加熱プロファイルは、検出されたタイプのエアロゾル発生物品に応じて選ばれてもよい。
【0031】
エアロゾル発生装置は電気回路を備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、加熱装置への電力供給を調節するよう構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて加熱装置に連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で加熱装置に供給されてもよい。電気回路は、加熱装置の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは加熱装置の電気抵抗に依存して加熱装置への電力供給を制御するように構成されてもよい。
【0032】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。一実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または加熱装置の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有してもよい。
【0033】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。この装置は電気加熱式の喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ハウジングと、電気回路と、電源と、加熱チャンバーと、加熱装置とを備えてもよい。
【0034】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0035】
加熱装置は、誘導加熱装置として構成されていることが好ましい。誘導加熱装置は、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。概して、サセプタは、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料である。交番磁場内に位置する時、サセプタが導電性である場合、典型的に渦電流は交番磁場によって誘発される。サセプタが磁性である場合、典型的に加熱に寄与する別の効果は一般的に、ヒステリシス損失と呼ばれる。ヒステリシス損失は主に、サセプタ内の磁区ブロックの移動によって生じ、この理由は、これらの磁気的な向きが磁気誘導磁場と整列し、これが交互に起こるためである。ヒステリシス損失に寄与する別の効果は、磁区がサセプタ内で拡大または縮小する時である。一般的に、サセプタ内でナノスケール以下で起こるこれらのすべての変化は、サセプタ内で熱を生成するため、「ヒステリシス損失」と呼ばれる。よって、サセプタが磁性と導電性の両方である場合、ヒステリシス損失と渦電流の発生の両方はサセプタの加熱に寄与することになる。サセプタが磁性であるが導電性ではない場合、ヒステリシス損失は、交番磁場によって貫通された時にサセプタを加熱する唯一の手段であるであろう。本発明によると、サセプタは導電性、または磁性、または導電性と磁性の両方であってもよい。一つまたは幾つかの誘導コイルによって発生された交番磁場は、サセプタを加熱し、これは次に、エアロゾルが形成されるように、熱をエアロゾル形成基体に伝達する。熱伝達は主に、熱の伝導によってもよい。こうした熱伝達は、サセプタがエアロゾル形成基体と密接な熱的接触状態にある場合に、最も良好である。
【0036】
本発明は、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置と、本明細書に記載の通りのエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるシステムにさらに関する。
【0037】
一実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0038】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0039】
実施例A:エアロゾル発生装置であって、
少なくとも二つの加熱装置であって、各加熱装置が、
加熱コイル、第一の接点、第二の接点、および第三の接点であって、第一の接点が加熱コイルの遠位端に接触して配設されていて、第二の接点が加熱コイルの近位端に接触して配設されていて、第三の接点が第一の接点と第二の接点の間に加熱コイルに接触して配設されている、加熱コイル、第一の接点、第二の接点、および第三の接点を備える、加熱装置と、
摺動装置と、を備え、
加熱装置の加熱コイルが、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に隣り合って配設されていて、摺動装置が、加熱コイルに隣接して配設されていて、かつエアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に、および加熱コイルに平行に摺動するように構成されていて、加熱装置の第三の接点が、摺動装置上に据え付けられていて、また各第三の接点と各それぞれの加熱コイルとの間の電気接点が、摺動装置を摺動することによって適合可能である、エアロゾル発生装置。
実施例B:加熱装置が誘導加熱装置として構成されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例C:加熱装置が共通のサセプタを備える、または各加熱装置がサセプタを備える、実施例Bに記載のエアロゾル発生装置。
実施例D:加熱コイルが誘導コイルとして構成されている、実施例A~Cのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例E:各第三の接点が摺動接点として構成されている、実施例A~Dのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例F:エアロゾル発生装置がコントローラをさらに備え、コントローラが加熱装置への電流の供給を制御するように構成されている、実施例A~Eのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例G:加熱装置の各々に対して、コントローラが所与の時間にて第一の接点、第二の接点、および第三の接点の対にのみ電流を供給するように構成されている、実施例Fに記載のエアロゾル発生装置。
実施例H:摺動装置が少なくとも部分的に導電性であり、かつコントローラが摺動装置と電気的に接続されている、実施例Fまたは実施例Gに記載のエアロゾル発生装置。
実施例I:エアロゾル発生装置が、コントローラの動作を制御するための通信インターフェースをさらに備える、実施例F~Hのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例J:通信インターフェースがボタンとして、または外部装置と通信するための無線通信インターフェースとして構成されている、実施例Iに記載のエアロゾル発生装置。
実施例K:エアロゾル発生装置がモーター、好ましくは電気リニアモーターをさらに備え、かつモーターが、摺動装置の摺動移動を容易にするために、摺動装置と動作可能に連結されている、実施例A~Jのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例L:エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞をさらに備える、実施例A~Kのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例M:加熱コイルが、空洞の長軸方向軸に平行に隣り合って、かつ少なくとも部分的に空洞を包囲して配設されている、実施例Lに記載のエアロゾル発生装置。
実施例N:加熱ゾーンが、空洞を少なくとも部分的に包囲する加熱コイルによって、および加熱装置に電流を供給するコントローラによって作り出され、加熱ゾーンの区域が、摺動装置を摺動することによって適合可能である、実施例Mおよび実施例F~Iのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例O:実施例A~Nのいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるシステム。
【0040】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、エアロゾル発生装置の一実施形態を示す。
図2図2は、エアロゾル発生装置の加熱装置の動作を示す。
図3図3は、エアロゾル発生装置の加熱装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、発明によるエアロゾル発生装置を示す。エアロゾル発生装置はハウジング10を備える。ハウジング10内に、加熱装置12が配設されている。模範的に、第一の加熱装置12.1と、第二の加熱装置12.2と、第三の加熱装置12.3とが図1の実施形態に示されている。しかしながら、加熱装置12の数は一定ではなく、適宜に適合させることができる。個別の加熱装置12は、図2および図3を参照しながら、より詳細に記述される。
【0043】
加熱装置12は装置の空洞14を包囲して配設されている。空洞14は加熱チャンバーとして構成されている。空洞14は装置の近位端の近くに配設されている。空洞14は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品16を受容するために構成されている。図1に示す実施形態において、エアロゾル発生物品16は空洞14内に受容されている。加熱装置12は、エアロゾル発生物品16のエアロゾル形成基体を加熱するために構成されている。
【0044】
エアロゾル発生装置は、電池18の形態である電源をさらに備える。電池18は、加熱装置12に電流を供給するために構成されている。電池18から加熱装置12への電流の供給を制御するために、コントローラ20が提供されている。電流は、電流(コイルが抵抗ヒーターとして、または誘導コイルとして機能するかに応じて、DCまたはAC)の形態で供給される。コイルが誘導コイルとして機能する場合、装置はまた、DC/ACコンバータ(図示せず)を備えて、電池からのDC電流を交流電流に変換する。
【0045】
加熱装置12は、空洞14の長軸方向の長さにわたって延びる。第一の加熱装置12.1は、空洞22の近位端に隣接して配設されていて、また空洞22の近位端を包囲する。空洞22の近位端は、エアロゾル発生物品16の挿入のために開放している。第三の加熱装置12.3は、空洞24の遠位端の周りに配設されていて、また空洞24の遠位端を包囲する。空洞24の遠位端の端面には、空洞14の基部が配設されている。第二の加熱装置12.2は、第一の加熱装置12.1と第三の加熱装置12.3の間に配設されている。
【0046】
加熱装置12は各々、中空円筒状空洞14を包囲する中空円筒状形状を有する。
【0047】
加熱装置12は、据付要素26によって据え付けられていることが好ましい。据付要素26は細長い。据付要素26は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に延びる。加熱装置12も、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に延びる。加熱装置12の長軸方向軸とエアロゾル発生装置の長軸方向軸は同一であることが好ましい。
【0048】
エアロゾル発生装置は摺動装置28をさらに備える。摺動装置28は細長い。摺動装置28は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に延びる。摺動装置28は、据付要素26の反対側に配設されている。摺動装置28は、半径方向で空洞14から距離を置いている空洞14の一方の側面上に配設されている。据付要素26は、摺動装置28の半径方向に対して反対側の半径方向において、空洞14のもう一方の側面の上に、空洞14から距離を置いて配設されている。
【0049】
図2は、加熱装置12、据付要素26および摺動装置28をより詳細に示す。図2Aから図2Dに、加熱装置12の動作が示されている。
【0050】
図2に示す通り、模範的に図2Aにおいて、加熱装置12は据付要素26上に据え付けられている。模範的に、据付要素26は、各加熱装置のための据付支柱30を備える。据付支柱30は、任意の所望の位置に加熱装置を保持してもよい。据付支柱30および据付要素26は、一つ以上の導電部であってもよく、または導電性部分を備えてもよく、または導電性ワイヤを備えてもよく、または導電性接点を備えてもよい。各据付支柱30および据付要素26は、各加熱装置に対して二つの別個の導電性経路を備えることが好ましい。これらの導電性経路のうちの一方は、電池18またはコントローラ20に、およびそれぞれの加熱装置の遠位端に接続されている。これらの導電性経路のうちのもう一方も、電池18またはコントローラ20に、およびそれぞれの加熱装置の近位端に接続されている。導電性経路のうちの一方は、それぞれの加熱装置の第一の接点34を備えるか、またはそれらに接触し、また導電性経路のうちのもう一方は、それぞれの加熱装置の第二の接点36を備えるか、またはそれらに接触する。
【0051】
模範的に、第一の導電性経路が提供されていて、また第一の加熱装置12.1の第一の接点34を、第一の加熱装置12.1に隣接する据付支柱30を介して、かつ据付要素26を介して、電池18またはコントローラ20と電気的に接続する。第二の導電性経路が提供されていて、また第一の加熱装置12.1の第二の接点36を、第一の加熱装置12.1に隣接する据付支柱30を介して、かつ据付要素26を介して、電池18またはコントローラ20と電気的に接続する。第二の加熱装置12.2については、対応する第三の導電性経路と第四の導電性経路が提供されてもよく、また第三の加熱装置12.3については、対応する第五の導電性経路と第六の導電性経路が提供されてもよい。
【0052】
加熱装置12のそれぞれの第三の接点38は、摺動装置28上に据え付けられている。摺動装置28は、空洞14の長軸方向軸に平行に配設されていて、これは同時に加熱装置12の長軸方向軸である。第三の接点38は各加熱装置の場合で、摺動装置28上に据え付けられている。第三の接点38は、摺動装置28を介して、加熱装置の誘導コイル32と電池18またはコントローラ20との間に電気接点を確立する。図2に示す実施例において、三つの加熱装置12について、三つの第三の接点38が提供されている。
【0053】
加熱装置12のそれぞれの第一の接点および第二の接点は固定されている。これらの接点は据付要素26上に固定されている。言い換えれば、据付要素26と、据付支柱30と、それぞれの加熱装置12の第一の接点および第二の接点とは固定されている。対照的に、加熱装置12の第三の接点38は、摺動装置28の摺動移動によって、加熱装置12の長軸方向の長さに沿って摺動可能である。摺動装置28の摺動移動は、モーター、好ましくは電気リニアモーターによって容易にされることができる。モーターはコントローラ20によって制御されることができる。摺動装置28の制御は、例えばエアロゾル発生装置の起動に応じて、所定の方式に従って、モーターによって容易にされることができる。別の方法として、摺動装置28の摺動移動は、ユーザーによって手動で操作されるアクチュエータによって容易にされることができる。
【0054】
各加熱装置は、図3に示す通り、誘導コイル32を備える。摺動可能な第三の接点38は、それぞれの加熱装置の誘導コイル32に接触するように構成されている。第三の接点38は摺動接点である。摺動装置28は導電性である。各加熱装置の第三の接点38は、第三の接点38および摺動装置28を介して、電池18またはコントローラ20と電気的に接続されている。電流(コイルが抵抗ヒーターとして、またはインダクタとして機能するかに応じて、DCまたはAC)はコントローラ20によって、各加熱装置の第一の接点、第二の接点、および第三の接点38の対に供給される。
【0055】
図3で模範的に示す通り、各加熱装置は、加熱装置の近位端にて第一の接点34を備え、加熱装置の遠位端にて第二の接点36を備え、第一の接点34と第二の接点36の間に摺動可能な第三の接点38を備える。図3に示す通り、交流電流は、第一の接点34と第三の接点38の間で誘導コイル32に供給される場合がある。結果として、誘導コイル32のこの部分のみが交番磁場を生成することになり、また誘導コイル32のこの部分によって包囲されたサセプタが加熱されることになる。この場合において、第三の接点38と第二の接点36の間の誘導コイル32の部分には、電流が供給されない。結果として、第三の接点38と第二の接点36の間の誘導コイル32のこの部分は交番磁場を生成しないことになり、また誘導コイル32のこの部分によって包囲されたサセプタは加熱されないことになる。
【0056】
第一の接点34と第三の接点38の間に交流電流を供給することは当然のことながら、単なる模範である。別の方法として、交流電流は第三の接点38と第二の接点36の間に供給される場合がある。さらなる代替として、交流電流は第一の接点34と第二の接点36の間に供給されてもよい。これらの異なる選択肢のすべては、コントローラ20によって制御される。図3に示す通り、これらの加熱装置12のすべての第一の接点と第三の接点38の間に同時に交流電流が供給されるように、三つの加熱装置12のすべては、コントローラ20によって制御される。これもまた一実施例である。接点の異なる対には、異なる加熱装置12に対して交流電流が別々に供給されてもよい。また、個別の加熱装置12のみに、交流電流が供給されてもよい。
【0057】
動作中、加熱装置12と接点との構成および動作によって、ならびにそれぞれの接点への交流電流の供給によって、異なる加熱方式を実現することができる。
【0058】
電流が通って流れる個別の誘導コイル32によって包囲された空洞14の内側空間は、加熱ゾーンである。模範的に、第一の接点34と第三の接点38の間の誘導コイル32に対応する空洞14の内側空間は、第一の加熱ゾーン40である。個別の加熱装置では、図3に示す実施形態において、第一の加熱ゾーン40が加熱される。この第一の加熱ゾーン40内に、この第一の加熱ゾーン40のための個別のサセプタが配設されてもよい。サセプタは、ピン形状またはブレード形状とすることができ、また空洞14内に中央に配設されることができ、またはサセプタは空洞14を包囲することができる。別の方法として、すべての加熱装置12のための共通のサセプタが、空洞14内に中央に配設されているピン形状またはブレード形状のサセプタとして、または空洞14を包囲するサセプタとして提供されている。
【0059】
第三の接点38と第二の接点36の間の誘導コイル32に対応する空洞14の内側空間は、第二の加熱ゾーン42である。第一の接点34と第二の接点36の間の誘導コイル32に対応する空洞14の内側空間は、第三の加熱ゾーン44である。第三の加熱ゾーン44は、第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42である。
【0060】
コントローラ20は、所望の加熱ゾーンが加熱されるように、各加熱装置の第一の接点、第二の接点、および第三の接点38への交流電流の供給を制御するように構成されている。コントローラ20によって適切な加熱ゾーンを選ぶことに加えて、コントローラ20は、加熱ゾーンのサイズが修正されるように、摺動装置28の摺動移動を操作するようにさらに構成されている。加熱ゾーンのサイズは、第三の接点38が誘導コイル32の長軸方向の長さに沿って摺動可能であるという事実に起因して修正される。誘導コイル32の長軸方向の長さに沿って第三の接点38を摺動することによって、電流が通って流れる誘導コイル32の長さは、第一の接点34と第三の接点38の間、および第三の接点38と第二の接点36の間で変化する。言い換えれば、摺動装置28を摺動することによって第三の接点38の位置を変化させることは、第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42の長軸方向の長さを修正する。
【0061】
一実施例として、エアロゾル発生装置の初期動作中に、一つ以上の加熱装置12の第一の加熱ゾーン40は、第一の接点34と第三の接点38の間の交流電流の供給を制御するコントローラ20によって加熱されてもよい。その後、第一の加熱ゾーン40の形状は、第一の接点34と第三の接点38の間の距離が増大するように、摺動装置28を遠位方向に摺動するコントローラ20によって徐々に増大させてもよい。最終的に、交流電流の供給はコントローラ20によって、第一の接点34と第三の接点38の間の流れから、次に第三の接点38と第二の接点36の間の流れに変更されてもよい。結果として、一つ以上の加熱装置12の第二の加熱ゾーン42はその後、加熱されてもよい。この動作は、均質なエアロゾルが発生されるように、空洞14内に受容されたエアロゾル発生物品16のエアロゾル形成基体の加熱を最適化する場合がある。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3