(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】2つの管状の物体を接続するための装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/098 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
F16L37/098
(21)【出願番号】P 2022573556
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021064112
(87)【国際公開番号】W WO2021244925
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】102020115021.0
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】レネ シンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル キンティ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド シュナイダー
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011084988(DE,A1)
【文献】国際公開第2005/047753(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0120362(US,A1)
【文献】国際公開第2020/052897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの管状の物体を接続するための装置(2)であって、
接続片ハウジング(4)と固定要素(12)とを有し、
前記接続片ハウジング(4)が、受け口(8)を有するスリーブ部分(6)を備え、
前記固定要素(12)が、前記受け口(8)に対して相補的な形状であって前記受け口(8)内に回転可能に配置され、接続片(56)を受け入れるための挿入口(14)を有し、
前記固定要素(12)が、周方向に互いに間隔を空けて配置された固定タブ(16)を有し、
各該固定タブ(16)が、挿入された前記接続片(56)の形状特徴(58)に係合するための半径方向内側に向く固定体(18)を備え、第1の半径方向位置から半径方向外側にあって前記固定体(18)と前記形状特徴(58)との係合が解除される第2の半径方向位置へ移動可能であり、
前記接続片ハウジング(4)が、各前記固定タブ(16)に対して、半径方向内側に傾斜し、各前記固定タブ(16)が支持面(22)によって接触する傾斜面(20)を有し、
該傾斜面(20)と前記支持面(22)とは、前記固定要素(12)が接続片ハウジング(4)の中心軸(24)回りに第1の方向に回転することによって、前記固定タブ(16)が前記第2の半径方向位置に押し出され、該第2の半径方向位置において無負荷状態にすると前記固定タブ(16)が前記第1の半径方向位置に弾性復元することによって、前記固定要素(12)が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転して戻されるように形成され
、
前記支持面(22)が、導入部分(40)および移行部分(42)を有し、前記導入部分(40)が半径方向内側に傾斜し、前記移行部分(42)が半径方向外側に傾斜し、前記導入部分(40)および前記移行部分(42)が、前記導入部分(40)および前記移行部分(42)に接線を共通にして隣接する湾曲部分(44)を挟んで配置されている装置(2)。
【請求項2】
前記固定タブ(16)が、半径方向に弾性を有するように構成されている請求項1に記載の装置(2)。
【請求項3】
前記傾斜面(20)が、半径方向外側の第1部分(21)と半径方向内側の第2部分(35)とを有し、前記第1部分(21)が直線的に延び、前記第2部分(35)が前記第1部分(21)よりも大きく半径方向内側に傾斜している請求項1または請求項2に記載の装置(2)。
【請求項4】
前記接続片ハウジング(4)が、各固定タブ(16)に対して半径方向の凹部(36)を有し、前記傾斜面(20)が前記凹部(36)内に配置され、前記凹部(36)の前記周方向の端部(38)において終端する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項5】
前記周方向の前記端部(38)における前記傾斜面(20)が、中心軸(24)に垂直な平面上に位置し、前記凹部(36)を通って中心方向に延びる第1の半径線(r1)に対して第1の角度(α)を形成し、該第1の角度(α)が72°から74°の範囲にある請求項4に記載の装置(2)。
【請求項6】
丸みを帯びた移行部分(34)が、前記第1部分(21)と前記第2部分(35)との間に配置され、
前記丸みを帯びた移行部分(34)が、前記第1部分(21)および前記第2部分(35)に、接線を共通にして隣接している請求項3に記載の装置(2)。
【請求項7】
前記固定タブ(16)が、前記挿入口(14)から離れ、かつ、それぞれの支持面(22)が配置された自由端(28)を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置(2)。
【請求項8】
前記導入部分(40)が、対応する固定タブ(16)の前記周方向の端縁に配置され、中心軸(24)に垂直な平面上に位置し、前記固定タブ(16)を通って中心方向に延びる第2の半径線(r2)に対して第2の角度(β)を形成し、該第2の角度(β)が55°から65°の範囲にある請求項
1から請求項7のいずれかに記載の装置(2)。
【請求項9】
前記第2の半径方向位置における前記固定タブ(16)が、前記凹部(36)を越えて半径方向外側に突出し、開いた装置を表示するための表示要素として機能する請求項4に記載の装置(2)。
【請求項10】
前記固定要素(12)が、回転を開始させるための少なくとも1つのグリップ要素(46)を有する請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部(プリアンブル)に記載の2つの管状の物体を接続するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、主に剛性のある形状を有し、固体材料から構成される管状の物体を互いに接続することが可能である。この目的のために、接続片ハウジングの上部に配置され、管状の物体の1つに差し込むことができる接続片を有する接続片ハウジングを使用することが知られている。他方の管状の物体は、接続片の形態で構成されてもよいし、あるいはそれを備えてもよい。その後、該接続片は、そのような装置の挿入端に挿入され、そこに固定される。
【0003】
既知の装置では、手動で固定し、固定された状態を目視で確認する必要がある。しかし、これは、複雑な技術システムにおいて接近することが困難な位置では、複雑または困難である可能性がある。さらに、3つ以上の部品を使用することにより、既知の装置は複雑であり、したがってその製造に費用がかかる。
【0004】
国際公開第2005/047753号は、2つの硬い管状の物体を接続するための連結装置を開示しており、この装置は、ソケット部分、プラグ部分、およびその間に取り付けることができるスリーブ状の要素を備えている。弾性の舌部が、構成要素を互いにはめ合わせるために提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2つの管状の物体を接続するための装置を提案することであり、この装置においては、固定が確実な方法でかつ過度の労力を必要とせず、可能な限りコスト効率のよい製造が可能であることである。
【0006】
本発明の主な特徴は、請求項1の特徴の部分に明記されている。実施形態は、請求項2~13の主題を形成している。
【0007】
2つの管状の物体を接続するための装置が提案されており、この装置は、接続片ハウジングと固定要素とを有し、接続片ハウジングが、受け口を有するスリーブ部分を備え、固定要素が、受け口に対して相補的な形状であって、受け口内に回転可能に配置され、接続片を受け入れるための挿入口を有し、固定要素が、周方向に互いに間隔をあけて配置された固定タブを有し、各固定タブが、挿入された接続片の形状特徴に係合するための半径方向内側に向く固定体を備え、第1の半径方向位置から半径方向外側にあって固定体と形状特徴との係合が解除される第2の半径方向位置へ移動可能である。本発明によると、接続片ハウジングが、各固定タブに対して、半径方向内側に傾斜し、各固定タブが支持面によって接触する傾斜面を有し、傾斜面と支持面とは、固定要素が接続片ハウジングの中心軸回りに第1の方向に回転することによって、固定タブが第2の半径方向位置に押し出され、第2の半径方向位置において無負荷状態にすると固定タブが第1の半径方向位置に弾性復元することによって、固定要素が第1の方向とは反対の第2の方向に回転して戻されるように形成されている。
【0008】
その結果、この装置は、2つの管状の物体を互いに接続するように構成され、その一方は接続片ハウジングに結合可能であり、他方は、固定要素の挿入口へ挿入するための接続要素、例えば、接続片を有する。しかし、接続片ハウジングに構成することができる他の装置もまた考えられる。この構成は、本発明にとって、装置の機能にとって本質的なものではなく、以下、限定的に解釈されることを意図していない。
【0009】
固定要素は、振動、慣性力、またはその中を流れる流体などによって、接続要素が固定要素から自然に抜け出ないように、接続要素を挿入状態で固定するために設けられている。この目的のために、接続要素は、外側側面上に1つ以上の周方向溝を有し、その中に固定タブの固定体が径方向に貫通することができるようにし得る。これにより、接続要素は、軸方向に固定される。
【0010】
固定要素およびスリーブ部分は、互いに相補的な方法で構成されており、固定要素は、好ましくは、受け口において異なる方法でラッチされるかまたは固定されるようになっている。この目的のために、半径方向の凹部が接続片ハウジングに設けられ、固定タブまたはそれに接続された要素の一部がそこに突出することが可能であり得る。このことは、以下でさらに詳細に説明される。
【0011】
固定要素は、挿入開口部を有するほぼ環状またはスリーブ状の基部を有してもよい。固定タブは、挿入口から離れた固定要素の側面において軸方向に延在していてもよい。固定要素の基部は、固定要素を回転させることによって固定タブを接続片ハウジングの周方向に移動可能となるように、接続片ハウジングに回転可能に結合されてもよい。円周上に2つ、3つ、4つまたはそれ以上の固定タブを配することが有利であり得る。
【0012】
固定タブと重なる領域の1つにおいて、それぞれの場合の接続片ハウジングは、傾斜面を有し、固定タブの対応する支持面はその上に載っている。この場合、傾斜面は、固定要素を回転させることによって、支持面が傾斜面上をスライドするように、それぞれ半径方向内側に傾斜している。傾斜面の半径方向内側に向けられた傾斜により、固定タブの半径方向外側に向けられた移動が、第1の方向への回転とそれに伴うスライドによって行われる。固定要素を解放することによって、支持面は、対応する傾斜面に押し付けられ、それによって、固定要素が反対の方向の第2の方向に回転して戻される。同時に、固定タブは再び第1の位置に達する。支持面および傾斜面は、妨げられることなく回転して戻ることができるように構成される。
【0013】
したがって、本発明による装置の特に優れた点は、挿入口における接続片の簡単な組立および簡単な取り外しが可能であることである。ユーザは、固定タブを半径方向外側に押し出し、それによって接続片または別の接続要素が解放されるか、または挿入され得るように、固定要素を第1の方向に回転させるだけでよい。固定要素はその後回転して戻され、固定タブは第1の半径方向位置に戻されるので、ユーザは接続片の挿入後にさらなる作業ステップを行う必要はない。その結果、本発明による装置は、最終組立品においてさらなる管状の物体に続けて取り付けられるように、サブアセンブリの接続要素上に配置されてもよい。装置の設計により、装置が接続片から解放されないようにすることも可能である。したがって、これらのサブアセンブリは、簡略化された方法で組み立てることができる。自動ロックにより、装置は常に閉じた状態、すなわち接続または非接続の状態にある。従って、装置が開放状態のままであることはあり得ない。
【0014】
有利な実施形態では、固定タブが、半径方向に弾性を有するように構成される。半径方向の弾性は、例えば、それに適したプラスチック材料を選択することによって確保することができる。固定タブは、固定要素が無負荷状態において用いる基本的な形状を有する。固定タブが傾斜面上をスライドするときに外側に作用する半径方向の力を受けると、半径方向に偏向する動作を行うことによってこの力に追従することができる。この場合、特にそのための領域を構成することが都合がよい。以下にさらに説明するように、この領域は、それぞれの場合において、固定タブの自由端に配置されてもよい。
【0015】
傾斜面が、半径方向外側の第1部分と半径方向内側の第2部分とを有し、第1部分が直線的に延び、第2部分が第1部分よりも大きく半径方向内側に傾斜していると、さらに有利である。このように、第1部分は、連続的に直線的である平面的な面を有する。その結果、第1部分は、接続片ハウジングの中心軸に直交する平面において直線的な断面を形成する。このため、第2部分は、斜めになり、より大きく内側に傾斜している。これは、第2部分が第1部分よりも傾斜面の延びる方向における半径方向内側に大きく移動することを意味する。固定要素を回転させるとき、支持面は、最初に第2部分と接触し、その後、第1部分上にスライドする。第2部分は、固定タブのより大きな初期曲げをもたらし、その後の曲げの増加、すなわち第1部分に到達したときの曲げの増加は、わずかに弱くなる。
【0016】
第1部分は、中心軸に対して垂直に位置する平面において、中心軸を越えて延びる方向軸を規定することができる。その結果、第1部分は、180°よりかなり小さい中心角を有する円形部分を接続片ハウジング上に画定することができる。傾斜面の半径方向外側の端部に形成され、接続片ハウジングの円周面上に位置する接線に対する第1部分の角度は、例えば、45°よりかなり小さくなり得る。
【0017】
接続片ハウジングが、各固定タブに対して半径方向の凹部を有し、傾斜面が凹部内に配置され、凹部の周方向の端部において終端していることが好ましい。そのような凹部は、固定タブを受け入れるのに適している。固定タブは、その後、少なくとも部分的に半径方向外側に強制的に移動させることができるかもしれず、その場合、凹部によって十分な動きの自由を得られる。凹部は、さらに、固定要素と接続片ハウジングとを一緒に押し込むことによって装置が組み立てられ、固定タブがそれに適した形状の特徴によって接続片ハウジングに保持されるように構成されてもよい。
【0018】
周方向の端部における傾斜面が、中心軸に垂直な平面上に位置し、凹部を通って中心方向に延びる第1の半径線に対して第1の角度を形成し、第1の角度が72°から74°の範囲であると、特に好ましい。第1の半径線は、対称線または中心線を形成し、中心軸に垂直に位置する平面において凹部を通って中心方向に延びることができる。傾斜面は、周方向側で凹部の端部に配置され、支持面を有する固定タブは、周方向側でこの端部に向かって移動しなければならないので、支持面は、傾斜面によって半径方向外側に押し出される。特に、第1の角度の大きさは、支持面が半径方向外側に移動するように選択される。傾きや詰まりが防止されるように、角度は前述の範囲から選択される。
【0019】
好ましくは、丸みを帯びた移行部分が、第1部分と第2部分との間に配置され、当該丸みを帯びた移行部分が、第1部分および第2部分に、接線を共通に隣接しているのがよい。丸みを帯びた移行部分が、支持面を第2部分から第1部分へ移行させることを行ってもよい。丸みを帯びたデザインによって、傾斜面上での支持面のスライドが改善される。
【0020】
上述したように、固定タブは、挿入口から離れ、それぞれの支持面が配置された自由端を有してもよい。このようにして、固定要素の弾力性が得られ、支持面の半径方向の移動が促進されるか、または提供される
【0021】
支持面はまた、導入部分および移行部分を有してもよく、導入部分が半径方向内側に傾斜し、移行部分が半径方向外側に傾斜している。支持面はまた、導入部分および移行部分を有してもよく、導入部分が半径方向内側に傾斜し、移行部分が半径方向外側に傾斜している。移行部分が、導入部分への滑らかな移行を提供してもよい。導入部分は、傾斜面と平らに接触し、半径方向の偏向を確実にする。
【0022】
好ましくは、導入部分および移行部分が、導入部分および移行部分に接線を共通にして隣接する湾曲部分を囲んでいる。接線を共通にした一定の態様で湾曲した部分を配置することにより、固定タブの詰まりが防止され、より単純なスライド運動を阻害することがない。
【0023】
有利な実施形態では、導入部分が、対応する固定タブの周方向の端縁に配置され、中心軸に垂直な平面上に位置し、固定タブを通って中心方向に延びる第2の半径線に対して第2の角度を形成し、第2の角度が55°から65°の範囲にある。第2の角度は、第1の半径方向位置への回転を戻すことを促進する。
【0024】
移行部分はさらに、73°から80°の範囲にある第2の半径線との第3の角度を囲むことができる
【0025】
さらに、第2の位置における固定タブが、凹部を越えて半径方向外側に突出し、開いた装置を表示するための表示要素として機能することもできる。この場合、ユーザは、固定タブの一部が凹部を通って突出する場合、装置が完全に閉じられていないことを直ちに識別することができる。これは、例えば、接続片が完全に挿入されておらず、固定体が半径方向においてそこに完全に係合しないことを示すことができる。
【0026】
最後に、有利な実施形態においては、固定要素が、回転を開始させるための少なくとも1つのグリップ要素を有していてもよい。これにより、ユーザにとっての回転の開始が、接続片ハウジングを一方の手で握り、グリップ要素を他方の手で握ることによって著しく単純化され、その結果、回転が可能になる。
【0027】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、特許請求の範囲の文言および図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図5】中心軸に対して横方向の切断面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、2つの管状の物体を接続するための装置2を、部分断面立体図で示している。装置2は、接続片ハウジング4と、接続片ハウジング4内に挿入される固定要素12とを有する。接続片ハウジング4は、受け口8を有するスリーブ部分6を備え、固定要素12はそこに挿入される。第1の管状の物体に接続するために、接続片ハウジング4は、一例として、溝形状のプロファイルを備える接続片10を有し、該接続片は、第1の管状の物体にくさび止めすることができる。
【0030】
固定要素12は、受け口8内に回転可能に配置され、接続片を受け入れるための挿入口14を有する。これは、例えば、
図4に示されている。さらに、固定要素12は、周方向に互いに間隔を空けて配置され、それぞれの場合に半径方向内側に向く固定体18を備える固定タブ16を有する。これらの固定体は、挿入口14内に配置された接続片の相補的な形状の溝に係合する役割を果たす。固定タブ16はまた、弾性的に変形可能であり、第1の半径方向位置(図示)から半径方向外側の第2の半径方向位置へ移動させることができる。挿入口14に挿入される接続片は、それに応じて、固定体18にラッチすることができる。固定タブ16はまた、それぞれの場合において、固定端30と自由端28とを有する。固定タブは、自由端28が半径方向に移動することができるように、全体として弾性を有している。
【0031】
接続片ハウジング4は、各固定タブ16に対して半径方向内側に傾斜した傾斜面20を有する。それぞれの固定タブ16は、該当する傾斜面20上に半径方向内側の支持面22を有して配置されている。この場合、傾斜面20および支持面22とは、固定要素12が接続片ハウジング4の中心軸24回りに第1の方向に回転することによって、固定タブ16が第2の半径方向位置に押し出されるように形成されている。この場合、示された例示的な実施形態では、第1の方向は、時計回り方向の回転に相当する。無負荷状態における固定要素12は、すなわち、固定タブ16が解放されて第1の位置に弾性復元すると、その間に、第1の方向とは反対の第2の方向に回転して戻される。その結果、第2の方向は、時計回り方向と反対の回転に相当する。固定要素12の一方向への回転によって、装置2は、挿入口14内に位置する接続片を解放し、さらなる動作なしで自動的に、固定タブ16を半径方向内側に枢動させて戻したロック状態に再び戻るように構成されている。その結果、装置2は自動的にロックされる。
【0032】
また、装置2は、接続片ハウジング4内に配置され、挿入口14に挿入された接続片の前面と同一平面上に接触するように構成されたシールリング26の形態のシール要素を備えている。その結果、接続片と接続片10との間の流体接続が密閉される。
【0033】
図2では、装置2が別の方向から示されている。ここでは、固定要素12は、まだ受け口8内に完全に挿入されていない。固定タブ16の突起部分48が見えており、当該突起部分は、それぞれの場合、受け口8上の半径方向外側に傾斜したガイド面52と相補的に形成された、半径方向内側に傾斜した導入面50を有している。固定要素12を差し込むことによって、固定タブ16は、固定要素12が完全に差し込まれたときに、突起部分48が周方向側で接続片ハウジング4の凹部36に進入するように、半径方向内側に押し込まれる。このようにして、固定要素12は組み立てられ、上述した機能を果たすことができる。固定要素12は、突起部分48の半径方向内側に一種のストップリング54を有していてもよく、当該ストップリングは、突起部分48の半径方向内側への向きの動きを規定する。
【0034】
図3は、支持面22が接続片ハウジング4の傾斜面20上に載っている、固定タブ16の突起部分48の詳細図である。ここでは、支持面22と傾斜面20とが互いに対応するように形成されていることが視認される。固定要素12を時計回り方向に回転させると、固定タブ16は半径方向外側に移動する。
【0035】
図4は、固定要素12が接続片ハウジング4に挿入された状態を示している。挿入口14には、形状的特徴として周方向の溝58を有する挿入された接続片56が配置されている。この周方向の溝は、固定タブ16の固定体18が溝58に係合するように構成されている。この図では、固定タブ16は、第1の位置、すなわち半径方向内側に示されている。固定要素12が回転することによって、突起部分48は、固定体18が溝58から離れるように半径方向外側に移動する。このロック解除状態は、ユーザが固定要素12を第1の方向に回転させるか、または当該固定要素を回転位置に保持する限りにおいてのみ維持される。固定要素12が解放されるとすぐに、固定タブ16は、
図4に示される状態に弾性復元する。
【0036】
図5では、接続片ハウジング4の断面図が、中心軸24に垂直な切断面において示されており、この切断面は、傾斜面20に隣接して延びている。ここに示されているのは、傾斜面20と、中心軸24に垂直な平面上に位置し、同時に凹部36を通って中心方向に延びる第1の半径線r1との間に囲まれる第1の角度αである。第1の角度αは、好ましくは72゜から74゜の範囲である。第1の半径線r1は、対称線または中心線である。支持面22は、
図3に見られるものと同様の方法で設計されている。
【0037】
この場合の傾斜面20は、凹部36の周方向の端部38に配置されており、支持面22が傾斜面20に対向するとき、この支持面は周方向の端部38の方向に移動せざるを得ない。そして、突起部分48は、傾斜面20および支持面22が互いにスライドすることによって、半径方向外側に押し出される。固定体18はこの動きに追従して、挿入された接続片56の溝58から外れる。
【0038】
図6は、接続片ハウジング4に面する固定要素12の前面を示す平面図である。ここでは、固定タブ16またはその上に配置された突起部分48が見える。図示の例示的な実施形態では、2つの固定タブ16が、周方向に180゜オフセットして配置されている。2つの対向するグリップ要素46は、それぞれの場合、そこから周方向に90゜だけ離間して配置され、ユーザはそれによって固定要素12を回転させることができる。
【0039】
最後に
図7は、支持面22を有する突起部分48の拡大図である。それによって、導入部分40が形成され、湾曲部分44と移行部分42とが続いている。第2の角度βが第1の角度αに類似するように選択される一方で、移行部分42は比較的ランダムに選択されることがある。この移行部分は、この場合、第2の半径線r2を73°から80°の範囲の角度で取り囲む第3の角度γを有している。
【0040】
本発明は、上述した実施形態の一つに限定されるものではなく、むしろ様々な態様で変更可能である。
【0041】
特許請求の範囲、明細書および図面から生じる構造的詳細、空間的配置、およびプロセスステップを含むすべての特徴および利点は、個々に、および多種多様な組み合わせで、本発明の本質となり得るものである。
【符号の説明】
【0042】
2 装置
4 接続片ハウジング
6 スリーブ部分
8 受け口
10 接続片
12 固定要素
14 挿入口
16 固定タブ
18 固定体
20 傾斜面
21 第1部分
22 支持面
24 中心軸
26 シールリング
28 自由端
30 固定端
32 基部
34 移行部分
35 第2部分
36 凹部
38 周方向の端部
40 導入部分
42 移行部分
44 湾曲部分
46 グリップ要素
48 突起部分
50 導入面
52 ガイド面
54 ストップリング
56 接続片
58 溝
α 第1の角度
β 第2の角度
γ 第3の角度
r1 第1の半径線
r2 第2の半径線
r2´ 第2の半径線に平行な線