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7542127アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段
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  • -アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段 図1
  • -アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段 図2
  • -アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段 図3
  • -アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240822BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023206566
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2021059942の分割
【原出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2024019347
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】青木 進平
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161964(JP,A)
【文献】特開昭63-007291(JP,A)
【文献】特開2005-026350(JP,A)
【文献】特開2002-064266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0164394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品を基板に実装する際に使用するアタッチメントを搬送するのに用いるアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントの前記チップ部品を保持する面に接触して、前記アタッチメントを保持するアタッチメントスライダ。
【請求項2】
請求項1に記載のアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントに接触した状態で、前記アタッチメントに設けてある減圧流路に連結する減圧流路を有し、
前記チップ部品を吸着保持できるアタッチメントスライダ。
【請求項3】
請求項1に記載のアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントを保持した状態において、前記アタッチメントが保持する前記チップ部品とは接触しない形状を有するアタッチメントスライダ。
【請求項4】
前工程の保持手段で保持されていたチップ部品を受け取り、
後工程の保持手段まで搬送して受け渡すチップ部品搬送手段であって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のアタッチメントスライダが、前記アタッチメントが保持した状態の前記チップ部品を搬送するチップ部品搬送手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は前工程の保持手段で吸着保持されていたチップ部品を受け取り、後工程の保持手段まで搬送して受け渡す際に用いるアタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ部品を基板等に実装する実装装置において、前工程から実装部にチップ部品を搬送する際に、接合面を下に向けた状態で搬送するのが一般的である。
【0003】
例えば図9に示すように、電極Eを有する面を接合面としてチップ部品を搬送する際は、チップスライダ8に電極Eが触れる状態で搬送する。これにより、実装工程においてボンディングヘッドがチップ部品Cの非接合面を保持するうえで都合がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願2021-056340号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の実装においては、はんだのように酸化膜に覆われている電極を用いることが多く、接合面がチップスライダ等と接触していても後工程に大きな影響を及ぼすことはなかった。
【0006】
しかし、高精度実装が進む昨今では、接合条件の低温化、低圧力化が求められ、接合面を活性化(酸化膜や不純物膜の除去)した状態で実装する要求が増している。ところが、図10のようにチップ部品Cの接合面にプラズマ処理P等を施しても、図9のような搬送法式では、接合面が汚染されて表面活性が失われてしまう。
【0007】
そこで、接合面に接触することなくチップ部品を保持して搬送する手法が種々検討されている。例えば、特許文献1では、チップ部品を浮上させる方法が提案されている。この方法では、図11に示すように気流または超音波を利用したチップ部品浮上手段71を有するチップ部品浮上ステージ7を用いる。すなわち、図11(a)のようにチップ部品Cの非接合面を保持した保持手段9をチップ部品浮上ステージ7上に配置してから、チップ部品Cの吸着保持を解除して、図11(b)のようにチップ部品Cが浮上状態でチップ部品浮上ステージ7に保持する。図11(b)の状態において、チップ部品Cはチップ部品浮上ステージと接触していないので、接合面の汚染が防げる。
【0008】
そこで、図11(b)の状態のチップ部品浮上手段7を図9のチップスライダ8と同様に用いることで、図12のようにチップ部品Cの接合面に非接触な状態でチップ部品を搬送することは可能である。しかし、チップ部品Cをバランスよく浮上させながら搬送する必要があるため、チップスライダ8に比べて搬送速度が劣り、実装のタクトタイムにも影響を及ぼす。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、チップ部品の接合面に接触することなく、しかも従来と同等の速さでチップ部品を搬送することを可能とするアタッチメントスライダおよびチップ部品搬送手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
チップ部品を基板に実装する際に使用するアタッチメントを搬送するのに用いるアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントの前記チップ部品を保持する面に接触して、前記アタッチメントを保持するアタッチメントスライダである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントに接触した状態で、前記アタッチメントに設けてある減圧流路に連結する減圧流路を有し、前記チップ部品を吸着保持できるアタッチメントスライダである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のアタッチメントスライダであって、
前記アタッチメントを保持した状態において、前記アタッチメントが保持する前記チップ部品とは接触しない形状を有するアタッチメントスライダである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、
前工程の保持手段で保持されていたチップ部品を受け取り、後工程の保持手段まで搬送して受け渡すチップ部品搬送手段であって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のアタッチメントスライダが前記アタッチメントが、保持した状態の前記チップ部品を搬送するチップ部品搬送手段である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、チップ部品の接合面に接触することなく、しかも従来と同等の速さでチップ部品を搬送することが可能となり、接合面の活性化を維持した状態の実装をタクトタイムに大きな影響を及ぼすことなく実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送手段の構成を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送手段がチップ部品を保持している状態を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送において前工程でチップ部品を保持する様子を説明するもので、(a)浮上状態のチップ部品にアタッチメントを備えた前工程の保持手段が接近している状態を示し、(b)アタッチメントがチップ部品に密着した状態を示し、(c)前工程の保持手段がアタッチメントを介してチップ部品を保持した状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送において前工程の保持手段が保持するチップ部品を搬送状態にする様子を説明するもので、(a)アタッチメントとアタッチメントスライダの位置合わせを行なっている状態を示し、(b)アタッチメントとアタッチメントスライダが密着した状態を示し、(c)チップ部品を保持したアタッチメントが前工程の保持手段からアタッチメントスライダに受け渡されてチップ搬送手段の形状となった状態を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送手段がチップ部品を搬送する状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るチップ部品搬送においてチップ部品を後工程の保持手段に受け渡す様子を説明するもので、(a)後工程の保持手段の直下にチップ搬送手段が配置された状態を示し、(b)後工程の保持手段にチップ搬送手段のアタッチメントが密着した状態を示し、(c)チップ部品を保持したアタッチメントがアタッチメントスライダから後工程の保持手段に受け渡された状態を示す図である。
図7】後工程の保持手段がボンディングヘッドであって同ボンディングヘッドによりチップ部品の実装を行う様子を説明するもので、(a)アタッチメントを介してボンディングヘッドがチップ部品を保持している状態を示し、(b)実装対象の基板に対してチップ部品の位置合わせを行なっている状態を示す図である。
図8】後工程の保持手段がボンディングヘッドであって同ボンディングヘッドによりチップ部品の実装を行う様子を説明するもので、(a)ボンディングヘッドを下降させてチップ部品を基板に密着させている状態であり、(b)チップ部品が基板に実装された後に、ボンディングヘッドがチップ部品の保持を解除して上昇した状態を示す図である。
図9】チップスライダがチップ部品を搬送する状態を説明する図である。
図10】チップ部品の接合面を活性化させる処理を行っている状態を示す図である。
図11】接合面を汚染せずにチップ部品を受け渡す例を説明するもので、(a)非接合面を保持するチップ部品の下にチップ部品浮上ステージを配置した状態を示し、(b)チップ部品浮上ステージがチップ部品を接合面に接触することなく保持した状態を示す図である。
図12】チップ部品浮上ステージがチップ部品を浮上させた状態で搬送する状態を示す図である。
図13】チップ部品浮上ステージが搬送したチップ部品を後工程で用いる例を説明する図であり、(a)浮上状態のチップ部品を後工程の保持手段が保持した状態を示し、(b)後工程の保持手段がボンディングヘッドであって基板にチップ部品を実装している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明の実施形態に係るチップ部品搬送手段1の構成を示す断面図であり、図2はチップ部品搬送手段1がチップ部品Cを保持している状態の断面図である。
【0017】
チップ部品搬送手段1は、前工程の保持手段で吸着保持されていたチップ部品Cを受け取り、後工程の保持手段まで搬送して受け渡すものであり、アタッチメント2とアタッチメントスライダ3を構成要素としており、アタッチメントスライダ3は図示していない搬送レールにより前工程の保持手段と後工程の保持手段の間を移動する。
【0018】
アタッチメント2は、図2に示すようにチップ部品Cを吸着保持する減圧流路を有しているが、第1減圧流路21Vと第2減圧流路22Vという2系統の独立した流路が存在する。ここで、第1減圧流路21Vと第2減圧流路22Vはいずれも一端がチップ部品Cを保持する面で開口している。なお、図2においてチップ部品Cの電極Eがある面が接合面であり、アタッチメント2はチップ部品Cの非接合面を保持する。
【0019】
アタッチメントスライダ3はアタッチメント2を保持するもので、アタッチメントスライダ2を保持した状態においてアタッチメント2の第2減圧流路22V(のチップ部品吸着面と反対の端)と連結する減圧流路32Vを有しており、減圧流路32Vは第2減圧流路用真空系VC2に連通している。また、アタッチメントスライダ3はアタッチメント2を保持した状態おいてもチップ部品Cには接触しない形状を有している。
【0020】
以下、チップ部品搬送手段1が前工程の保持手段で保持されていたチップ部品Cを受け取り、後工程の保持手段まで搬送して受け渡す工程について説明する。
【0021】
本実施形態の説明においては、まず図11のような状態で浮上しているチップ部品Cを前工程の保持手段が保持する段階から説明する。ただし、チップ部品浮上ステージ7は固定状態とする。
【0022】
図3(a)は、前工程の保持手段4が、浮上状態のチップ部品Cの上側に配置された状態であるが、前工程の保持手段4は減圧流路40Vを減圧することでアタッチメント2を保持している。また、保持手段4は、アタッチメント2を保持した状態においてアタッチメント2の第1減圧流路21V(のチップ部品吸着面と反対の端)と連結する減圧流路41Vを有しており、減圧流路41Vは第1減圧流路用真空系VC1に連通している。
【0023】
図3(a)の状態から前工程の保持手段4を降下させるとアタッチメント2がチップ部品の非接合面に接触し、この状態で第1減圧流路用真空系VC1を作動させることにより(図3(b))、チップ部品Cはアタッチメント2に吸着し、チップ部品浮上ステージ7から受け渡される(図3(c))。
【0024】
この後、図4(a)に示すように、アタッチメント2の下にアタッチメントスライダ3が移動し、前工程の保持手段4を降下させ、図4(b)のようにアタッチメントスライダ3にアタッチメント2を密着させる。この状態において、アタッチメント2の第2減圧流路22Vとアタッチメントスライダ3の減圧流路32Vは連結され、この状態で第2減圧流路用真空系VC2を作動させることにより、第1減圧流路用真空系VC1を停止してもチップ部品Cはアタッチメント2に保持された状態を維持できる。このため、前工程の保持手段4は、アタッチメント2を保持するためのアタッチメント吸着用真空系V0を停止してから上昇することで、アタッチメント2の保持を解除できる(図4(C))。すなわち、チップ部品Cを保持したチップ部品保持手段1として分離する
この後、アタッチメントスライダ3は第2減圧流路用真空系VC2を作動させた状態で、チップ部品搬送手段1は、図5に示すように(図示しない搬送レールに沿って)後工程に向かって移動する。
【0025】
ところで、図5のアタッチメント2とアタッチメントスライダ3によってチップ部品Cが密閉空間に封入されるような構造をチップ部品搬送手段1が有しているのであれば、密閉空間内に不活性ガスを封入するような構成にすることにより、搬送途上における接合面の酸化や窒化が抑制できる。
【0026】
チップ部品Cを吸着保持したチップ部品保持手段1は、図6(a)のように後工程の保持手段5の直下に移動した後に、図6(b)のように後工程の保持手段5がアタッチメント5に接触する。この状態において、アタッチメント吸着用真空系V0を作動させることで、後工程の保持手段にアタッチメント2が密着保持されるとともに、アタッチメント2の第1減圧流路21Vと後工程の保持手段5の減圧流路51Vは連結される。また、この状態で第1減圧流路用真空系VC1を作動させることにより、第2減圧流路用真空系VC2を停止してもチップ部品Cはアタッチメント2に保持された状態を維持できる。このため、後工程の保持手段5は、第2減圧流路用真空系VC2を停止してから上昇することで、図6(c)のように、後工程の保持手段5に保持されたアタッチメント2をアタッチメントスライダ3から分離することができる。
【0027】
以上の図4から図6において示したように、本発明において、前工程から後工程の移動において、チップ部品Cは真空吸着によってアタッチメント2にしっかりと固定されているため、アタッチメントスライダ3を従来のチップスライダと同様な速さで移動させても問題はなく、チップ移動の時間に起因したタクトタイムの増加はない。また、前工程の保持手段で吸着保持されていたチップ部品Cを受け取り、後工程の保持手段まで搬送して受け渡す過程においてチップ部品Cの接合面が他の物体に接触することは一切ないため、接合面の汚染が防げる。
【0028】
チップ部品C接合面の汚染が防げることから、本発明のチップ部品搬送手段1を実装装置への適用が好適である。すなわち、後工程の保持手段5をボンディングヘッドとして用いることが望ましい。
【0029】
図7、8は、本発明の後工程の保持手段5をボンディングヘッドとしてチップ部品Cを実装する例を示している。図7(a)はアタッチメントスライダ3が退避した状態であり、図7(b)はアタッチメント2が保持するチップ部品Cの下に基板Sを保持する基板ステージ6を配置してチップ部品Cと基板Sの位置合わせを行なっている状態である。また、図8(a)はボンディングヘッド(後工程の保持手段)5を降下して、チップ部品Cを基板に密着して実装している乗田であり、図8(b)は第1減圧流路用真空系VC1を停止してボンディングヘッド5を上昇させた状態を示している。
【0030】
なお、図8(b)における後工程の保持手段5をボンディングヘッドとして用いる場合に限らず、後工程完了後に、後工程の保持手段5がアタッチメント2を保持している状態だと、次にチップ部品Cを保持したアタッチメント2を保持することが困難であるため、後工程完了後は、アタッチメント吸着用真空系V0を停止してアタッチメント2を脱着して回収するのが望ましい。
【0031】
以上、本発明においてアタッチメントスライダ3がアタッチメント2を保持してチップ部品を搬送する例について説明したが、図1に示すようにアタッチメント2が減圧流路21Vと第2減圧流路22Vを有する構成においては、真空系に連通したチューブ等を第2減圧流路22Vに連結するだけで、第1減圧流路21Vを用いた吸着を解除してもチップ部品Cをアタッチメント2で保持することが出来る。このため、アタッチメント2を図9に示したチップスライダとして用いることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 チップ部品搬送手段
2 アタッチメント
3 アタッチメントスライダ
4 前工程の保持手段
5 後工程の保持手段(ボンディングヘッド)
6 基板ステージ
7 チップ部品浮上ステージ
21V 第1減圧流路
22V 第2減圧流路
32V 減圧流路
40V 減圧流路(アタッチメント吸着用)
41V 減圧流路(チップ部品吸着用)
50V 減圧流路(アタッチメント吸着用)
51V 減圧流路(チップ部品吸着用)
71 チップ部品浮上手段
C チップ部品
E 電極(チップ部品の電極)
ES 電極(基板の電極)
S 基板
V0 アタッチメント吸着用真空系
VC1 第1減圧流路用真空系
VC2 第2減圧流路用真空系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13