(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】配管部材
(51)【国際特許分類】
F16L 37/30 20060101AFI20240822BHJP
F16L 37/23 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F16L37/30
F16L37/23
(21)【出願番号】P 2023510703
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2022008720
(87)【国際公開番号】W WO2022209537
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2021056709
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】和田 章裕
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-017835(JP,Y1)
【文献】特開2021-021469(JP,A)
【文献】実開昭58-122025(JP,U)
【文献】実開昭54-158957(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/30
F16L 37/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を有する配管本体と、
該流体通路内に配置された弁部材と、
該弁部材を開閉操作するためのハンドル機構と、
を備える配管部材であって、
該ハンドル機構が、
該流体通路を横断する回転軸線の周りで回動可能なように該配管本体に取り付けられ、該流体通路内で該弁部材に接続された軸状の内側部材であって、該配管本体の外側に突出した第1連結端部を有する内側部材と、
該配管本体の外側で該回転軸線の周りで回動可能に配置された外側部材であって、該第1連結端部を受け入れる凹部が形成された第2連結端部、及びハンドルを有する外側部材と、
該第1連結端部と該第2連結端部とを連結する連結部であって、該回転軸線に直交
し且つ当該連結部を通る枢動軸線の周りで
該外側部材が該内側部材に対して枢動可能であるようにして、該第1連結端部と該第2連結端部とを該内側部材の回動方向で連結する連結部と、
を備え、
該配管本体が該第2連結端部
及び該連結部の周囲に位置する支持面を有し、
該外側部材を該枢動軸線の周りで枢動させる向きでの力が該外側部材に作用したときに、該第2連結端部が該支持面に係合して該外側部材が枢動方向で該配管本体に支持されるようにされた、配管部材。
【請求項2】
該連結部が、該外側部材が該枢動軸線の方向で該内側部材に対して変位可能であるようにして該第1連結端部と該第2連結端部とを連結しており、該外側部材が該内側部材に対して該枢動軸線の方向に変位したときに、該外側部材の該第2連結端部が該支持面に係合して支持されるようにされた、請求項1に記載の配管部材。
【請求項3】
該連結部が、該第1連結端部と該第2連結端部を通って該枢動軸線に沿って延びる連結ピンである、請求項1又は2に記載の配管部材。
【請求項4】
該第1連結端部が該連結ピンを通す第1挿通孔を有し、該第2連結端部が該連結ピンを通す第2挿通孔を有し、該第1挿通孔と該第2挿通孔とのうちの一方が該回転軸線の方向で該連結ピンの外径よりも大きい第1内径を有していて、該外側部材が該回転軸線と該連結ピンの長手軸線とに直交する軸線の周りでも該内側部材に対して変位可能とされた、請求項3に記載の配管部材。
【請求項5】
該第1挿通孔と該第2挿通孔とのうちの該一方が、該回転軸線と該長手軸線に直交する方向で該連結ピンの外径と略同じ第2内径を有する断面長円形の孔である、請求項4に記載の配管部材。
【請求項6】
該第1連結端部が第1直径を有する断面円形の外周面を有し、該第2連結端部が第2直径を有する断面円形の内周面と第3直径を有する断面円形の外周面とを有し、該支持面が第4直径を有する断面円形の内周面であり、該第1直径と該第2直径との差が該第3直径と該第4直径との差よりも大きくされ、該外側部材が該内側部材に対して変位したときに該第1連結端部の外周面と該第2連結端部の内周面は相互に接触しないようにされた、請求項1乃至5の何れか一項に記載の配管部材。
【請求項7】
該外側部材が第1軸方向支持部を有し、該配管本体が第2軸方向支持部を有し、該第1軸方向支持部と該第2軸方向支持部が該回転軸線の方向で係合することにより該外側部材が該回転軸線の方向で該配管部材に支持されるようにされた、請求項1乃至6の何れか一項に記載の配管部材。
【請求項8】
該配管本体が、該配管本体の外周面から該回転軸線の方向で外側に突出する筒状保持部を有し、該支持面が該筒状保持部の内周面に形成され、該第2軸方向支持部が該筒状保持部の端面に形成されている、請求項7に記載の配管部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の流体通路内に配置された弁部材を開閉操作するためのハンドル機構を備える配管部材に関する。
【背景技術】
【0002】
流体通路内に配置された弁部材を開閉操作するためのハンドル機構を備えた配管部材がある。例えば特許文献1に示す配管部材においては、配管本体の流体通路内において流体通路の長手軸線の方向に変位可能に配置された弁部材を配管本体の外側に配置されたハンドルを回動することで開閉操作するようになっている。具体的には、ハンドルは、流体通路を横断する回転軸線に沿って延びる軸部に固定され、弁部材はこの軸部にリンク部材を介して接続されている。ハンドルを回転軸線の周りで回動すると、ハンドルとともに軸部も回動して、リンク部材の先に接続されている弁部材が流体通路の長手軸線の方向で変位する。弁部材が長手軸線の方向で変位することにより流体通路が開閉される。
【0003】
特許文献1に示す配管部材においては、ハンドル機構の軸部は、流体通路を横断するように延びて配管本体に回動可能に取り付けられた内側軸部と、配管本体の外側で内側軸部の端部に連結ピンで固定された外側軸部とからなっている。外側軸部の端部は内側軸部の端部を同軸状に受け入れる凹部を有している。この凹部に内側軸部の端部を受け入れた状態で連結ピンが外側軸部と内側軸部の各端部を貫通するようにして取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなハンドル機構のハンドルは、弁部材の開閉操作を容易に行えるように比較的に大きなサイズとされることが多い。また、このようなハンドル機構は比較的に大きな配管において使用されることが多く、配管部材全体の重量も重くなる傾向がある。そのため、運搬時や配管への取り付け時などに配管部材を誤って落下させた場合に、配管本体から大きく出っ張っているハンドルから地面に落下するなどしてハンドルに大きな衝撃が加わることがある。そうすると、ハンドルに固定された軸部にその衝撃が伝わり、軸部材が曲がったり破損したりする虞がある。特に上述のように軸部材が連結ピンで接続された内側軸部と外側軸部とからなっている場合には、比較的に細くて強度が弱い内側部材が破損する可能性が高くなる。
【0006】
そこで本発明は、上述の従来技術の課題に鑑み、ハンドルに大きな衝撃が加わってもハンドル機構の軸部が破損しにくいようにした配管部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
流体通路を有する配管本体と、
該流体通路内に配置された弁部材と、
該弁部材を開閉操作するためのハンドル機構と、
を備える配管部材であって、
該ハンドル機構が、
該流体通路を横断する回転軸線の周りで回動可能なように該配管本体に取り付けられ、該流体通路内で該弁部材に接続された軸状の内側部材であって、該配管本体の外側に突出した第1連結端部を有する内側部材と、
該配管本体の外側で該回転軸線の周りで回動可能に配置された外側部材であって、該第1連結端部を受け入れる凹部が形成された第2連結端部、及びハンドルを有する外側部材と、
該外側部材が該回転軸線に直交する枢動軸線の周りで該内側部材に対して枢動可能であるようにして、該第1連結端部と該第2連結端部とを該内側部材の回動方向で連結する連結部と、
を備え、
該配管本体が該第2連結端部の周囲に位置する支持面を有し、
該外側部材を該枢動軸線の周りで枢動させる向きでの力が該外側部材に作用したときに、該第2連結端部が該支持面に係合して該外側部材が枢動方向で該配管本体に支持されるようにされた、配管部材を提供する。
【0008】
当該配管部材においては、ハンドル機構の外側部材を枢動軸線の周りで枢動させる向きでの力が作用したときに、外側部材の第2連結端部が配管本体の支持面に係合して外側部材が枢動方向で配管本体に支持されるようになっている。そのため、上述の力は配管部材によって受け止められ、内側部材には実質的に作用しないようにすることができる。これにより、ハンドル機構の特に内側部材に大きな力が作用して内側部材が曲がったり破損したりすることを防止することが可能となる。
【0009】
また、該連結部が、該外側部材が該枢動軸線の方向で該内側部材に対して変位可能であるようにして該第1連結端部と該第2連結端部とを連結しており、該外側部材が該内側部材に対して該枢動軸線の方向に変位したときに、該外側部材の該第2連結端部が該支持面に係合して支持されるようにすることができる。
【0010】
このような構成により、外側部材に枢動軸線の方向での力が作用したときにも内側部材にその力が作用しないようにすることが可能となる。
【0011】
具体的には、該連結部が、該第1連結端部と該第2連結端部を通って該枢動軸線に沿って延びる連結ピンであるようにすることができる。
【0012】
また、該第1連結端部が該連結ピンを通す第1挿通孔を有し、該第2連結端部が該連結ピンを通す第2挿通孔を有し、該第1挿通孔と該第2挿通孔とのうちの一方が該回転軸線の方向で該連結ピンの外径よりも大きい第1内径を有していて、該外側部材が該回転軸線と該連結ピンの長手軸線とに直交する軸線の周りでも該内側部材に対して変位可能とすることができる。
【0013】
このような構成により、外側部材を連結部の付近を中心として枢動させるどの方向への力が作用した場合でも、その力が内側部材には実質的に作用しないようにすることが可能となる。
【0014】
また、該第1挿通孔と該第2挿通孔とのうちの該一方が、該回転軸線と該長手軸線に直交する方向で該連結ピンの外径と略同じ第2内径を有する断面長円形の孔であるようにすることができる。
【0015】
さらに、該第1連結端部が第1直径を有する断面円形の外周面を有し、該第2連結端部が第2直径を有する断面円形の内周面と第3直径を有する断面円形の外周面とを有し、該支持面が第4直径を有する断面円形の内周面であり、該第1直径と該第2直径との差が該第3直径と該第4直径との差よりも大きくされ、該外側部材が該内側部材に対して変位したときに該第1連結端部の外周面と該第2連結端部の内周面は相互に接触しないようにすることができる。
【0016】
また、該外側部材が第1軸方向支持部を有し、該配管本体が第2軸方向支持部を有し、該第1軸方向支持部と該第2軸方向支持部が該回転軸線の方向で係合することにより該外側部材が該回転軸線の方向で該配管部材に支持されるようにすることができる。
【0017】
具体的には、該配管本体が、該配管本体の外周面から該回転軸線の方向で外側に突出する筒状保持部を有し、該支持面が該筒状保持部の内周面に形成され、該第2軸方向支持部が該筒状保持部の端面に形成されているようにすることができる。
【0018】
以下、本発明に係る配管部材の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配管部材とそれに連結される継手部材とを示す斜視図である。
【
図3】
図2のA-A線における配管部材の断面図である。
【
図4】配管部材に継手部材を連結して、弁部材を開位置とした状態の断面図である。
【
図5A】
図2のハンドル機構の内側部材と外側部材の連結部分の拡大断面図である。
【
図5B】ハンドル機構の外側部材が内側部材に対して枢動軸線N1の周りで枢動した状態を示す拡大断面図である。
【
図6B】ハンドル機構の外側部材が内側部材に対して枢動軸線N2の周りで枢動した状態を示す拡大断面図である。
【
図6C】ハンドル機構の外側部材が内側部材に対して連結ピンの長手軸線Mの方向に変位した状態を示す拡大断面図である。
【
図7】別の実施形態に係る配管部材の、ハンドル機構の内側部材と外側部材の連結部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る配管部材10は、配管本体12と、配管本体12に取り付けられたハンドル機構14とを備える。配管本体12には、対応する継手部材1が着脱可能に連結されるようになっている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、配管本体12は、前方本体部材16、後方本体部材18、及び内側本体部材20を有し、これらにより流体通路22を画定している。流体通路22内には弁部材24が配置されており、この弁部材24は配管本体12の長手軸線Lの方向で変位して流体通路22を開閉するようになっている。配管本体12はさらに、図で見て下側の軸受部材26及び上側の軸受部材28を有する。
【0022】
ハンドル機構14は、流体通路22を横断するようにして配管本体12に取り付けられた内側部材30と、配管本体12の外側に配置された外側部材32とを有する。内側部材30は、流体通路22を横断する回転軸線Rに沿って延びる軸状の部材であり、配管本体12の下側の軸受部材26と上側の軸受部材28とによって回転軸線Rの周りで回動可能に保持されている。また内側部材30は、リンク部材34を介して弁部材24に接続されている。外側部材32は、リング状のハンドル36と、ハンドル36から回転軸線Rの方向で内側部材30に向かって延びる外側軸部38と、ハンドル36と外側軸部38との間に挟まれて固定された円板状部材40とを有する。内側部材30は、配管本体12の外側に突出した円柱状の第1連結端部42を有し、外側部材32は第1連結端部42を同軸状に受け入れる凹部44が形成された筒状の第2連結端部46を有している。第1連結端部42と第2連結端部46とは、円柱状の連結ピン(連結部)48によって回動方向で連結されている。
【0023】
当該配管部材10の配管本体12の流体通路22内に対応する継手部材1を挿入すると、
図4に示すように継手部材1は配管部材10に連結される。この連結状態では、配管部材10の施錠子50が継手部材1の環状係止溝52に係合し、施錠子50はスリーブ54によって環状係止溝52に係合した位置に保持される。これにより継手部材1は配管部材10に連結して保持された状態となっている。連結状態でハンドル36を回動すると、連結ピン48で連結された内側部材30も一緒に回動する。そして内側部材30が回動すると、リンク部材34を介して内側部材30に接続されている弁部材24は、長手軸線Lに沿って前方(図で見て右方)に変位する。このとき継手部材1の弁部材56も押されて変位する。これにより、図示のように、配管部材10の流体通路22と継手部材1の流体通路58が開放されて相互に連通した状態となる。
【0024】
図5A及び
図6Aに示すように、配管本体12の上側の軸受部材28は、配管本体12の外周面12aから回転軸線Rの方向で外側に突出した筒状保持部60を構成している。第2連結端部46はこの筒状保持部60の内側に位置している。また、円板状部材40の下面である第1軸方向支持部62が筒状保持部60の端面である第2軸方向支持部64に回転軸線Rの方向で係合することにより、外側部材32は回転軸線Rの方向で配管部材10に支持されている。内側部材30の第1連結端部42は連結ピン48を通す第1挿通孔66を有し、外側部材32の第2連結端部46は連結ピン48を通す第2挿通孔68を有する。第1挿通孔66は連結ピン48が嵌合する大きさに形成されており、連結ピン48は第1挿通孔66に圧入されて固定されている。一方で第2挿通孔68は連結ピン48の外径よりも大きい内径を有している。外側部材32が回動されると第2挿通孔68が連結ピン48に係合し、連結ピン48を介して外側部材32が内側部材30に回動方向で連結される。
【0025】
第1連結端部42は、第1直径D1を有する断面円形の外周面42aを有する。第2連結端部46は、第2直径D2を有する断面円形の内周面46aと第3直径D3を有する断面円形の外周面46bを有する。筒状保持部60は、断面円形の第4直径D4を有する断面円形の内周面60aを有する。第1連結端部42と第2連結端部46は、第1直径D1と第2直径D2との差Δ1が第3直径D3と第4直径D4との差Δ2よりも大きくなるように形状及びサイズが設計されている。すなわち、第1連結端部42と第2連結端部46との間の隙間が、第2連結端部46と筒状保持部60との間の隙間よりも大きくなるようになっている。これにより、後述するように、第1連結端部42の外周面42aと第2連結端部46の内周面46aとが相互に接触しないようになっている。
【0026】
外側部材32は、上述のように連結ピン48によって内側部材30に回動方向で連結されており、回転軸線Rに直交する連結ピン48の長手軸線Mと略一致する枢動軸線N1の周りで内側部材30に対して枢動可能である。また第2連結端部46の第2挿通孔68は連結ピン48よりも大きくなっているため、外側部材32は内側部材30及び連結ピン48に対して回転軸線Rと長手軸線Mに直交する枢動軸線N2の周りでも枢動可能である。さらに外側部材32は長手軸線Mの方向でも内側部材30に対して変位可能である。
【0027】
外側部材32のハンドル36に力が作用するなどして外側部材32が連結ピン48の長手軸線M(枢動軸線N1)の周りで枢動すると、
図5Bに示すように、第2連結端部46の外周面46bがその周囲に位置する筒状保持部60の内周面(支持面)60aに係合して外側部材32が枢動方向で配管本体12に支持された状態となる。より詳細には、回転軸線Rと枢動軸線N1とを通る仮想平面に対して相互に反対側の位置P1と位置P2において第2連結端部46が内周面60aに係合することにより外側部材32がそれ以上枢動することが阻止される。このとき外側部材32は、第1軸方向支持部62の
図5Bで見て左方の位置でも第2軸方向支持部64に係合している。そのため外側部材は、連結ピン48の周りで枢動しながら図で見て上方に僅かに変位している。
【0028】
外側部材32のハンドル36に力が作用するなどして外側部材32が回転軸線Rと長手軸線Mに直交する枢動軸線N2の周りで枢動すると、
図6Bに示すように、第2連結端部46の外周面46bが筒状保持部60の内周面60aに係合して外側部材32が枢動方向で配管本体12に支持された状態となる。連結ピン48の長手軸線M(枢動軸線N1)の周りで枢動したときと同様に、回転軸線Rと枢動軸線N2とを通る仮想平面に対して相互に反対側の位置P3と位置P4において第2連結端部46が内周面(支持面)60aに係合することにより外側部材32がそれ以上枢動することが阻止される。
【0029】
外側部材32のハンドル36に力が作用するなどして外側部材32が連結ピン48の長手軸線Mの方向に平行に変位すると、
図6Cに示すように、第2連結端部46の外周面46bが一方の側で筒状保持部60の内周面60aに係合して外側部材32が長手軸線Mの方向で配管本体12に支持された状態となる。なお、何れの方向に枢動又は変位した場合でも、第1連結端部42の外周面42aと第2連結端部46の内周面46aは直接接触しない。
【0030】
このように当該配管部材10においては、ハンドル機構14のハンドル36に対して回転軸線Rに交わる方向での力が作用したときに、ハンドル36を含む外側部材32は、配管本体12の筒状保持部60において支持される。そのため、ハンドル36が受けた回転軸線Rに交わる方向での力は配管本体12によって受け止められることになり、内側部材30には実質的に作用しない。よって、当該配管部材10を落下させるなどしてハンドル36に大きな衝撃が加わった場合でも、比較的に径が細くて強度が小さい内側部材30に大きな力が作用することがないようにして、内側部材30が曲がったり破損したりすることを防止することが可能となる。
【0031】
図7に示す別の実施形態に係る配管部材においては、外側部材132の第2連結端部146に形成された第2挿通孔168が、回転軸線Rの方向に長い長円形の断面を有する孔となっている。この第2挿通孔168の回転軸線Rの方向での第1内径d1は連結ピン148の外径よりも大きくされ、回転軸線Rと長手軸線Mに直交する方向での第2内径d2は連結ピン148の外径と略同じ大きさとされている。第1内径d1が連結ピン148よりも大きくなっていることにより、回転軸線Rと長手軸線Mとに直交する枢動軸線N2の周りで外側部材32が枢動可能となる。一方で、第2内径d2が連結ピン148と略同じ大きさであることにより、外側部材132と内側部材130との間の回動方向での遊びが無くなるか又は極めて小さくなり、それによりハンドルの操作が内側部材130及びその先の弁部材によりダイレクトに伝わるようになって、ハンドルの操作性が良くなる。
【0032】
以上に本発明の実施形態について説明をしたが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。例えば、内側部材の第1連結端部と外側部材の第2連結端部とを回動方向で連結するための連結部は、連結ピンに代えて、第1連結端部から外方に延びる突起部や、第2連結端部から内方に延びる突起部とするなど、他の構成とすることもできる。また、連結ピンを第2連結端部に固定して、連結ピンが外側部材とともに内側部材に対して枢動又は変位可能となるようにしてもよい。さらには、上記実施形態においては、第2連結端部の外周面と筒状保持部の内周面(支持面)との間に隙間が形成されているが、必ずしもそのような隙間が形成されている必要はない。隙間がないように構成した場合には、外側部材は内側部材及び継手本体に対して実質的に枢動及び変位しないことになるが、外側部材と内側部材が上述のように相対的に枢動及び変位可能に連結されていることにより、そのような枢動及び変位を生じさせるような向きでの力が外側部材に作用したときに、外側部材は配管本体の支持面によって支持されてその力は配管本体が受け止められて、内側部材には実質的に作用しないようにすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 継手部材
10 配管部材
12 配管本体
12a 外周面
14 ハンドル機構
16 前方本体部材
18 後方本体部材
20 内側本体部材
22 流体通路
24 弁部材
26 下側の軸受部材
28 上側の軸受部材
30 内側部材
32 外側部材
34 リンク部材
36 ハンドル
38 外側軸部
40 円板状部材
42 第1連結端部
42a 外周面
44 凹部
46 第2連結端部
46a 内周面
46b 外周面
48 連結ピン(連結部)
50 施錠子
52 環状係止溝
54 スリーブ
56 弁部材
58 流体通路
60 筒状保持部
60a 内周面(支持面)
62 第1軸方向支持部
64 第2軸方向支持部
66 第1挿通孔
68 第2挿通孔
130 内側部材
132 外側部材
146 第2連結端部
148 連結ピン
168 第2挿通孔
d1 第1内径
d2 第2内径
D1 第1直径
D2 第2直径
D3 第3直径
D4 第4直径
L (配管本体の)長手軸線
M (連結ピンの)長手軸線
N1 枢動軸線
N2 枢動軸線
P1 位置
P2 位置
P3 位置
P4 位置
R 回転軸線