(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント回路基板の製造方法及びこれにより製造されたフレキシブルプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20240822BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20240822BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H05K3/00 P
H05K3/06 J
H05K3/28 F
(21)【出願番号】P 2023513966
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2021010948
(87)【国際公開番号】W WO2022045666
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0110179
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504408236
【氏名又は名称】ドゥーサン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ウィドック
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンムン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジヌ
(72)【発明者】
【氏名】パク、スビョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ドンホ
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-5805(JP,A)
【文献】特開2006-168365(JP,A)
【文献】特開2003-133687(JP,A)
【文献】特開2004-71749(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/02
H05K 3/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール・ツー・ロール方式によるフレキシブルプリント回路基板の連続製造方法であって、
第1のカバーレイフィルムが巻回されている第1のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第1のカバーレイフィルムに、1つ又は複数の第1のホール及び複数の第1の認識マークを形成するステップ(S100);
上記ステップ(S100)における第1のカバーレイフィルムの第1の面上に、金属箔が巻回されている金属箔供給ローラーから連続的に供給される金属箔をラミネート加工して第1の積層体を形成するステップ(S200);及び、
上記第1の積層体の第1の面及び第2の面上に、それぞれ第1及び第2のドライフィルム供給ローラーから連続して供給される第1のドライフィルム及び第2のドライフィルムを貼り合わせて第2の積層体を形成するステップ(S300);
を含み、
上記第1のカバーレイフィルムの幅は、上記金属箔の幅よりも広く、上記ステップ(S100)における複数の第1の認識マークは、上記金属箔と重畳されていない上記第1のカバーレイフィルムの領域に形成されるものである、フレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
上記ステップ(S200)の後、かつ上記ステップ(S300)の前に、
上記第1の積層体の金属箔上に、露光時の整合のための認識マークを形成するステップを含まない、請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
上記第1のカバーレイフィルムの幅は、上記金属箔の幅よりも5~30mm広いものである、請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
上記ステップ(S200)では、上記第1の積層体の両面にそれぞれ対向する一対の第1の加熱ローラーを用いて上記金属箔に上記第1のカバーレイフィルムを線ラミネート加工する、請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
上記ステップ(S200)は、5秒~3分間行われることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
上記第1のドライフィルム及び第2のドライフィルムの幅は、上記第1のカバーレイフィルムの幅よりも小さくなっている、請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
上記ステップ(S300)の後に、
露光マスクを用いて上記第1のドライフィルムの部分露光を行って硬化領域と未硬化領域とを形成するステップ(S400);
上記ステップ(S400)における第2の積層体を現像して第1のドライフィルムの一定領域を除去するステップ(S500);
上記ステップ(S500)における第2の積層体をエッチングして上記金属箔に回路パータン及び複数の第2の認識マークを形成するが、上記複数の第2の認識マークは、上記金属箔の両端部に形成されるステップ(S600);及び、
上記ステップ(S600)における第2の積層体から上記第1及び第2のドライフィルムを同時に除去して第3の積層体を形成するステップ(S700);
をさらに含む、請求項1に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
上記ステップ(S700)の後に、
上記第3の積層体の第1の面上に第2のカバーレイフィルムをラミネート加工するステップをさらに含む、請求項7に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
上記第2のカバーレイフィルムは、1つ又は複数の第2のホール及び複数の第3の認識マークを含むものである、請求項8に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項10】
上記第2のカバーレイフィルムの幅は、上記第1のカバーレイフィルムの幅よりも小さくなっている、請求項8に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項11】
上記第2のカバーレイフィルムと第3の積層体との間のラミネート加工のステップでは、上記第3の積層体の両面にそれぞれ対向する一対の第2の加熱ローラーを用いて線ラミネート加工を行う、請求項8に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
上記第2のカバーレイフィルムのラミネート加工のステップは、5秒~3分間行われることを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
上記フレキシブルプリント回路基板は、下記[数1]及び[数2]に基づくMDの寸法変化率及びTDの寸法変化率が、それぞれ-0.3~0.3%の範囲である、請求項11に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【数1】
【数2】
(上記[数1]及び[数2]において、
(A-B)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(A-B)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(C-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(C-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(A-C)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(A-C)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(B-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離であり、
(B-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離である。)
【請求項14】
請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の方法により製造されるフレキシブルプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント回路基板の製造方法及びこれにより製造されたフレキシブルプリント回路基板に関し、具体的には、全工程におけるロール・ツー・ロール(roll-to-roll、R2R)工程による大量生産性及びコスト削減の効果に優れた両面露出型のフレキシブルプリント回路基板の製造方法及びこれにより製造された両面露出型のフレキシブルプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
両面露出(Double Access)型のフレキシブルプリント回路基板(FPCB)は、銅箔自体に回路パターンが形成されたものであって、1つの銅箔の一面に複数の開口部を有するカバーレイを貼り付けた後、回路パターンを形成した後、上記銅箔の他面に複数の開口部を有するカバーレイを取り付けることで、両面からカバーレイの開口部を介して回路パターンにアクセスできるように構成されている。
【0003】
このような両面露出型のフレキシブルプリント回路基板は、通常、後述の方法により製造することができる。
【0004】
例えば、打ち抜かれて複数の打ち抜き部を有する第1のカバーレイフィルムがホットプレス機により銅箔の下部にラミネート加工された後、露光時に層間整合のためのガイドホールが銅箔に形成される。その後、銅箔の外側表面にドライフィルムを配置する一方、第1のカバーレイフィルムの外側表面にキャリアフィルムを配置した後、露光、現像、エッチングを行い、ドライフィルムを剥離して除去した後、キャリアフィルムを除去する。次に、銅箔の外側表面に打ち抜かれた第2のカバーレイフィルムをホットプレス機によりラミネート加工してフレキシブルプリント回路基板を製造することができる。
【0005】
従来のフレキシブルプリント回路基板は、パネルの形態に製造される。パネル型のフレキシブルプリント回路基板を製造する際において、ラミネート加工時に面圧を用いるプレス工程が行われる。なお、面と面との貼り合あわせによって、金属パネルとカバーレイフィルムとの貼り合わせの界面には、微細なボイド(void)が発生する。しかし、長時間の面圧プレスによるボイドの除去には限界がある。例え、長時間の面圧プレスを行ってボイドが除去されても、フィルムと金属回路との間の寸法変化率が相違しているため、伸縮不良が発生することがある。
【0006】
また、従来のフレキシブルプリント回路基板の製造では、工程中の金属箔とカバーレイフィルムとの貼り合わせ時に整合の問題が発生することもある。それで、整合性を高めるため、従来は、手作業で工程が行われていた。しかし、手作業で工程が行われる場合は、製品の運搬・取り扱い時に、製品にシワ、汚れなどのような不可避な不良問題が発生しました。近年、製品の生産性を高めるための大面積化(500mm×500mm→500mm×1000mm以上)する傾向によって、製品のシワ、汚れなどによる不良率の上昇が発生し、生産性及び収率の低下、必要な人手の増加などのような、大きなハードルとなっている。
【0007】
さらに、従来のフレキシブルプリント回路基板の製造工程では、露光工程において、第1のカバーレイフィルムの打ち抜き部と金属回路との整合を取るため、金属箔に別のガイドホールを形成するためのガイドホール形成工程を行う必要があった。例えば、ガイドホール形成工程は、複数の打ち抜き部(このとき、打ち抜き部は、ガイドホールを含む。)を有する第1のカバーレイフィルムを金属箔に貼り合わせた後、上記第1のカバーレイフィルムのガイドホールである打ち抜き部の位置に対応する金属箔の位置にガイドホールを穴あけする。上述したように、第1のカバーレイフィルムのガイドホールに合わせて金属箔にガイドホールを穴開けする工程がさらに行われる場合、工程数の増加によるコストアップ、製造時間の増加、金属箔にガイドホールを穴開けする過程でのバリ(burr)発生、異物不良を引き起こすこともある。
【0008】
また、従来は、金属箔に回路を具現する際、金属箔上にドライフィルム(dry film)を貼り付ける一方、第1のカバーレイフィルム上にキャリアフィルムを貼り付けている。キャリアフィルムは、第1のカバーレイフィルムの打ち抜き部にエッチング液が浸透するのを防ぐためのものである。しかし、第1のカバーレイフィルムの打ち抜き部とキャリアフィルムとの間にエッチング液が浸透して回路不良が発生しました。また、製品の製作後、キャリアフィルムの除去時に接着剤(ADH)の残渣が残り、この残渣を除去するための追加工程を行う必要があることもあった。さらに、従来は、エッチング液の浸透を防ぐため、キャリアフィルムの貼り付け前に、第1のカバーレイフィルムの打ち抜き部に、エッチング液の浸透を防ぐための別の薬品処理を施すこともあり、これによって、コストアップ、製造時間の増加が発生し、生産量が低下している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、全工程のロール・ツー・ロール(roll-to-roll、R2R)化によって、品質、大量生産性、コスト削減の効果に優れ、かつ大面積のフレキシブルプリント回路基板を製造する方法及びこれにより製造されたフレキシブルプリント回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するため、本発明は、ロール・ツー・ロール方式によるフレキシブルプリント回路基板の連続製造方法であって、一例によれば、(S100)第1のカバーレイフィルムが巻回されている第1のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第1のカバーレイフィルムに、1つ又は複数の第1のホール及び複数の第1の認識マークを形成するステップ;(S200)上記ステップ(S100)における第1のカバーレイフィルムの第1の面上に、金属箔(metal foil)が巻回されている金属箔供給ローラーから連続的に供給される金属箔をラミネート加工して第1の積層体を形成するステップ;及び、(S300)上記第1の積層体の第1の面及び第2の面上に、それぞれ第1及び第2のドライフィルム供給ローラーから連続して供給される第1のドライフィルム及び第2のドライフィルムを貼り合わせて第2の積層体を形成するステップ;を含み、上記第1のカバーレイフィルムの幅は、上記金属箔の幅よりも広く、上記ステップ(S100)における複数の第1の認識マークは、上記金属箔と重畳されていない上記第1のカバーレイフィルムの領域に形成される。
【0011】
上述した方法は、上記ステップ(S200)の後、かつ上記ステップ(S300)の前に、上記第1の積層体の金属箔に、露光時の整合のための認識マークを形成するステップを含んでいない。
【0012】
また、上記ステップ(S200)では、上記第1の積層体の両面にそれぞれ対向する一対の第1の加熱ローラー(heating roller)を用いて、上記金属箔に上記第1のカバーレイフィルムを線ラミネート加工することができる。
【0013】
また、上述した方法は、上記ステップ(S300)の後、(S400)露光マスクを用いて、上記第1のドライフィルムの部分露光を行って硬化領域と未硬化領域とを形成するステップ;(S500)上記ステップ(S400)における第2の積層体を現像して上記第1のドライフィルムの一定領域を除去するステップ;(S600)上記ステップ(S500)における第2の積層体をエッチングして上記金属箔に回路パータン及び複数の第2の認識マークを形成するが、上記複数の第2の認識マークは、上記金属箔の両端部に形成されるステップ;及び、(S700)上記ステップ(S600)における第2の積層体から上記第1及び第2のドライフィルムを同時に除去して第3の積層体を形成するステップ;をさらに含むことができる。
【0014】
また、上記ステップ(S700)の後に、第2のカバーレイフィルムが巻回されている第2のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第2のカバーレイフィルムに、1つ又は複数の第2のホール及び複数の第3の認識マークを形成するステップ;及び、上記第3の積層体の第1の面上に、上記第2のカバーレイフィルムをラミネート加工するステップ;をさらに含むことができる。
【0015】
また、上記ステップ(S900)では、上記第3の積層体の両面にそれぞれ対向する一対の第2の加熱ローラーを用いて線ラミネート加工を行うことができる。
【0016】
さらに、本発明は、上述した方法により製造されたフレキシブルプリント回路基板を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、全工程におけるロール・ツー・ロール化によって自動かつ連続的にフレキシブルプリント回路基板を製造することにより、取り扱い不良の減少、必要な人手の低減、製造時間の短縮、品質管理及び収率向上の効果が得られ、大量生産性の向上及びコスト削減の効果が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板を製造する各工程を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施例によってフレキシブルプリント回路基板の製造する各工程を示す断面図である。
【
図9】本発明によってフレキシブルプリント回路基板の製造に使用される装置を概略的に示す断面図である。
【
図10】MD及びTDの寸法変化率を測定するための第2のカバーレイフィルムを概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0019】
10:第1のカバーレイフィルム
11:第1の基材
12:第1の接着層
13a:第1のホール
13b:第1の認識マーク
20:金属箔
20a:金属箔の第1の面
20b:金属箔の第2の面
21:回路パターン
22:第2の認識マーク
30:第1のドライフィルム
30A:硬化領域
30B1、30B2:未硬化領域
31、32:除去領域
40:第2のドライフィルム
50:第2のカバーレイフィルム
51:第2の基材
52:第2の接着層
53a:第2のホール
53b:第3の認識マーク
100:第1の積層体
200A、200B、200C、200D:第2の積層体
300:第3の積層体
400:フレキシブルプリント回路基板
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について説明する。
【0021】
本発明は、回路パターンが形成された金属箔の両面にカバーレイフィルムが貼り合わせられた両面露出(double access)型のフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を製造するにあたって、金属箔の一面に配置されるカバーレイフィルムとして、金属箔(metal foil)の幅よりも広い幅を有し、金属箔の両側に突き出るカバーレイフィルムを使用する。上記カバーレイフィルムは、上記金属箔と重畳されていない領域、つまり、ダミー領域(dummy area)を有する。このようなカバーレイフィルムのダミー領域には、認識マーク(例えば、アライメントホール)が形成されており、上記認識マークは、カバーレイフィルムに金属箔を積層しても露出される。このように露出された認識マークは、金属箔に別の認識マークを形成しなくても、露光工程においてカバーレイ打ち抜き部と金属回路とを整合(alignment)するための基準としてそのまま使用可能である。従って、本発明では、従来とは異なり、回路パターンの形成前に、パンチングマシン(例えば、レーザードリル)を用いて、カバーレイフィルムと金属箔との積層体中の金属箔に、露光時に整合を取るための認識マーク(例えば、認識ホール)を形成する工程を省略することができる。このため、本発明は、製造工程が単純化され、生産効率が向上することができる。
【0022】
また、本発明では、カバーレイフィルムに回路パターンを形成するためのホール(以下、「第1のホール」という。)の形成時に、上記認識マークも打ち抜き加工を行う。このように、本発明では、認識マークを打ち抜くための工程を別途行う必要がないため、生産効率を向上することができる。
【0023】
また、本発明では、金属箔とカバーレイフィルムとを、一対の加熱ローラーで線圧プレスしてラミネート加工する。このように、本発明では、ホットプレスを用いる従来とは異なり、面圧ラミネーションの代わりに、線圧ラミネーションが行われる。このため、本発明では、金属箔とカバーレイフィルムとの界面でのボイド発生を顕著に低減することができ、よって、製品の不良率が低減するとともに、ラミネート時間を短縮することができ、製品の寸法変化率を低下することができる。
【0024】
また、本発明は、上述したように、一対の加熱ローラーを用いて金属箔とカバーレイフィルムとをラミネート加工することで、連続して供給される金属箔とカバーレイフィルムとを接合しながら、接合された金属箔とカバーレイとの積層体を、後続の工程に自動かつ連続的に移送させることができる。このように、本発明では、従来とは異なり、全工程のロール・ツー・ロール化によって、自動かつ連続的にフレキシブル回路基板を製造することができるため、手作業及び中間工程を省略することができる。従って、本発明は、手作業による製品のシワ、汚れなどの不良や不整合の発生を防止し、品質管理が容易であるだけでなく、フレキシブルプリント回路基板の大面積化が可能である。
【0025】
さらに、本発明では、カバーレイフィルム-金属箔積層体の金属箔側の表面にドライフィルムを貼り付けるとともに、カバーレイフィルム側の表面にもドライフィルムを貼り付ける。即ち、本発明では、従来とは異なり、上記積層体のカバーレイフィルム側にも、キャリアフィルムの代わりにドライフィルムを貼り付けているため、キャリアフィルムの貼り付け及び剥離の工程を別途行う必要がない。また、ドライフィルムは、回路具現の目的で使用されるものであるため、キャリアフィルムの接着層とは異なり、ドライフィルムの接着層自体が優れた耐化学性を有する。このため、カバーレイフィルム側のドライフィルム(即ち、積層体の下部ドライフィルム)は、エッチング時にカバーレイフィルムのホール内にエッチング液が浸透するのを防ぐことができる。従って、本発明では、エッチング液の浸透による回路の不良率が低いため、フレキシブルプリント回路基板の品質及び生産性を向上させることができる。また、本発明では、従来とは異なり、上部ドライフィルムを除去する上部ストリップ(strip)工程中に下部ドライフィルムも残渣を生じることなく一緒に除去できるため、製造工程が単純化され、かつ生産効率がさらに向上することができる。
【0026】
また、本発明では、全工程のロール・ツー・ロール化によって、自動かつ連続的にフレキシブルプリント回路基板を製造することで、取り扱い不良の低減、必要な人手の低減、製造時間の短縮、品質管理及び収率向上の効果が得られ、さらには、大量生産性及びコスト削減の効果が向上することができる。
【0027】
一例によれば、フレキシブルプリント回路基板の製造方法は、ロール・ツー・ロール方式によるフレキシブルプリント回路基板の連続製造方法であって、(S100)第1のカバーレイフィルムが巻回されている第1のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第1のカバーレイフィルムに、1つ又は複数の第1のホール及び複数の第1の認識マークを形成するステップ;(S200)上記ステップ(S100)における第1のカバーレイフィルムの第1の面上に、金属箔が巻回されている金属箔供給ローラーから連続的に供給される金属箔をラミネート加工して第1の積層体を形成するステップ;及び、(S300)上記第1の積層体における第1の面及び第2の面上に、それぞれ第1及び第2のドライフィルム供給ローラーから連続して供給される第1のドライフィルム及び第2のドライフィルムを貼り合わせて第2の積層体を形成するステップ;を含み、上記第1のカバーレイフィルムの幅は、上記金属箔の幅よりも広く、上記ステップ(S100)における複数の第1の認識マークは、上記金属箔と重畳されていない上記第1のカバーレイフィルムの領域に形成される。
【0028】
以下、添付の
図1~
図8を参照して、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法における各ステップについて説明する。但し、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板の製造方法において、後述の各ステップは、順次実行ではないといけないんじゃなくて、設計仕様によって各工程のステップを変形又は選択的に実施されても良い。
【0029】
(a)ステップ(S100):第1のカバーレイフィルムの打ち抜き
第1のカバーレイフィルム(first coverlay film)10が巻回されている第1のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第1のカバーレイフィルム10に、一つ又は複数の第1のホール及び複数の第1の認識マークを形成する(
図1を参照)。このとき、第1のホール及び第1の認識マークが連続的に形成される第1のカバーレイフィルム10は、移送ローラーによって、後続の工程に自動かつ連続的に移送される。
【0030】
ステップ(S100)では、上記第1のカバーレイ供給ローラーから連続して供給されるカバーレイフィルム10に、以後、ビアホール(例、BVH)などのような回路パターン用ホール(以下、「第1のホール」という。)13aを、設計の通りに連続して打ち抜きながら、露光工程において、カバーレイ打ち抜き部と金属回路とを整合(アライメント)するための基準である第1の認識マーク13bを、金属箔と重畳されていない領域に一緒に打ち抜く。
【0031】
一例によれば、上記第1の認識マーク13bは、貫通孔であって、上記金属箔と重畳されていない上記第1のカバーレイフィルムの領域に形成され得る。なお、貫通孔の形状は、特に限定されず、例えば、円形、四角形、三角形などの多角形、十字形などであり得る。
【0032】
本発明で使用される第1のカバーレイフィルム10は、第1の基材11、及び上記基材の一面に配置された第1の接着層12を含む。
【0033】
上記基材11としては、例えば、当業界で周知のものであれば、特に限定されず、例えば、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)などが挙げられる。
【0034】
このような第1のカバーレイフィルム10は、流れ方向(Machine Direction、MD)に長い帯状(例えば、テープ形状)を有するとともに、流れ方向と交差する方向(Transverse Direction、TD)に所定の幅を有する。
【0035】
但し、本発明に係る第1のカバーレイフィルム10の幅W1は、金属箔の幅W2よりも広い。一例では、上記第1のカバーレイフィルムの幅W1は、上記金属箔W2の幅よりも約5~30mm広くなっている。即ち、上記第1のカバーレイフィルムの幅W1は、上記金属箔W2の幅よりも、金属箔の両側にそれぞれ約2.5~15mm広くなっている。従って、本発明の第1のカバーレイフィルム10は、金属箔20に比べて、金属箔の両側にそれぞれダミー領域をさらに有することができ、このとき、各ダミー領域の幅[△W=(W1-W2)/2]は、約2.5~15mmの範囲であり得る。このようなダミー領域(△W)は、金属箔と重畳されていない領域であって、複数の第1の認識マーク13bが形成されている。なお、上記複数の第1の認識マーク13bは、互いに対称に形成され得る。このような第1の認識マーク13bは、上述したように第1のカバーレイフィルム上に金属箔を配置しても露出される。このため、上記第1の認識マーク13bは、金属箔に別の認識マークを形成しなくても、露光時にドライフィルムを用いた回路パターン形成領域と、第1のカバーレイフィルムの回路パターン形成用ホールである第1のホール13aとを整合するための基準(即ち、アライメントホール)として使用される。従って、本発明では、従来とは異なり、金属箔に別の認識マーク(例えば、ガイドホール)を形成する工程を省略することができ、これによって、製造工程が単純化され、生産効率を向上することができる。
【0036】
上記カバーレイフィルムの打ち抜きに使用される装置としては、当業界で周知のものであれば、特に限定されず、例えば、レーザー装置、パンチングマシン(例えば、金型パンチ、ロータリーパンチ)などが挙げられる。
【0037】
(b)ステップ(S200):第1の積層体の形成
次に、ステップ(S100)において、第1のホール13a及び第1の認識マーク13bが形成される第1のカバーレイフィルム10の一面上に、金属箔供給ローラーから連続して供給される金属箔20をラミネート加工して第1の積層体100を連続的に形成する(
図2を参照)。このようなステップ(S200)で連続的に形成された第1の積層体100は、移送ローラーによって、後続の工程に自動かつ連続的に移送される。
【0038】
ステップ(S200)は、第1のカバーレイフィルム10の第1の面(例えば、上面)10a上に金属箔20をラミネート装置で貼り合わせることで、第1のカバーレイフィルム10に金属箔20が積層された第1の積層体100を形成する工程である。
【0039】
本発明で使用可能な金属箔20としては、当業界で通常使用される導電性物質からなる金属箔であれば、特に限定されない。上記導電性物質としては、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉛(Pb)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、スチール(Steel)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)などが挙げられるが、これらに制限されず、これらは、単独で使用、又は2種類以上を混合又は合金の形態で使用され得る。一例では、金属箔20は、銅箔(copper foil)であり得る。
【0040】
このような金属箔20は、流れ方向(MD)に長い帯状(例えば、テープ状)を呈し、最終のフレキシブルプリント回路基板の大きさによってサイズを調節することができる。
【0041】
但し、本発明に係る金属箔20の幅W2は、上記第1のカバーレイフィルム10の幅W1よりも小さい。従って、第1の積層体100には、金属箔20と重畳されていない第1のカバーレイフィルム10の一部の領域(即ち、ダミー領域)が露出されており、よって、上記ダミー領域に形成された複数の第1の認識マーク13bも露出されている。
【0042】
なお、金属箔20の厚さは、特に限定されず、例えば、約5~50μm、具体的には、約5~35μmであり得る。
【0043】
本発明で使用可能なラミネート装置としては、例えば、当業界で周知のものであれば、特に限定されず、例えば、加熱ローラー、ホットプレス機などが挙げられる。
【0044】
但し、加熱ローラーを用いる場合、ホットプレス機を用いる場合とは異なり、金属箔20と第1のカバーレイフィルム10との貼り合わせ前に、別途に第1のカバーレイフィルム10を一定単位の領域に切断する必要がない。従って、加熱ローラーを用いてラミネート加工する場合、上記ステップ(S100)において、第1のホール13a及び第1の認識マーク13bが形成されて連続的に供給される第1のカバーレイフィルム10を、一定単位の領域に切断することなく、金属箔20の第1の面20a上に積層させ、後続の工程に自動かつ連続的に移送させることができる。また、加熱ローラーを用いる場合は、第1のカバーレイフィルム-金属箔の積層体が、線圧(line contact pressure)でプレスされてラミネート加工されるため、加熱圧着時間が約1~5秒程度と短い。従って、本発明では、平面プレス方式であるホットプレスを用いる従来の方式とは異なり、加熱圧着時間の短縮によって、製品の寸法変化を防止することができる。また、一対の加熱ローラーが第1のカバーレイフィルムと金属箔との界面の間を継続して圧着しているため、界面のボイドを除去することができ、よって、ボイドの発生が抑制され、本発明によって製造されたフレキシブルプリント回路基板の不良率が低減される。
【0045】
一例によれば、上記ステップ(S200)において、上記第1の積層体100の両面にそれぞれ対向する一対の第1の加熱ローラーを用いて、上記第1のカバーレイフィルム10の第1の面10a上に上記金属箔20を積層させる。上記第1の加熱ローラーは、内部に誘導コイルが設けられており、誘導コイルに交流電流を流すと、磁力線が発生し、このような磁力線によって誘導された渦電流がローラーの表面を流れながらローラー自体が発熱するようになる。このような第1の加熱ローラーは、熱効率に優れ、かつ寿命が半永久的であるとともに、温度分布が均一であるため、金属箔20と第1のカバーレイフィルム10とを均一に接合させることができる。
【0046】
上記ステップ(S200)は、約1秒~3分間、具体的には、5秒~3分間行われる。
【0047】
上述したように、本発明では、第1のカバーレイフィルム10と金属箔20とを一対の第1の加熱ローラーを用いて線ラミネート加工することで、製品の不良率の低減は勿論、製品の寸法変化を低下させることができる。
【0048】
(c)ステップ(S300):第2の積層体の形成
図3に示されるように、第1及び第2のドライフィルム供給ローラーからそれぞれ連続して供給される第1のドライフィルム30及び第2のドライフィルム40を、上記第1の積層体100の第1の面(例えば、上面)及び第2の面(例えば、下面)上にそれぞれラミネート加工することで第2の積層体200Aを形成する。ここで、第1の積層体100の第1の面は、第1のドライフィルム30と接触する金属箔20の表面20aであり、第1の積層体100の第2の面は、第2のドライフィルム40と接触する第1のカバーレイフィルム10の表面10bである。
【0049】
本発明では、回路パターンが具現される第1の積層体100の第1の面(例えば、上面)に第1のドライフィルム30が配置されるとともに、第1の積層体100の第2の面(例えば、下面)にも第2のドライフィルム40が配置される。このとき、上記第1及び第2のドライフィルム30、40は、互いに同一であるか、又は異なることができる。但し、これらを同時に除去するためには、互いに同一であることが好ましい。このようなドライフィルム30、40のうち、第1のドライフィルム30は、感光性レジスト層を含み、金属箔20に回路パターンを具現させることができる。また、第2のドライフィルム40は、キャリアフィルムと同様に、エッチング工程において、第1のカバーレイフィルム10の第1のホール13a及び第1の認識マーク13b内にエッチング溶液が浸透するのを防ぐことができる。さらに、本発明では、第2の積層体200Aの両面にいずれもドライフィルム30、40を配置することにより、キャリアフィルムを用いる従来とは異なり、キャリアフィルムの除去工程を別途行う必要がなく、第1のドライフィルム30の除去工程時に第2のドライフィルム40を一緒に剥離して除去することができ、製造工程が単純化され、よって、生産効率が向上することができる。なお、キャリアフィルムの剥離時には接着層の残渣が生じるが、本発明では、第1及び第2のドライフィルム30、40の剥離時に接着層の残渣を生じることなく除去できる。
【0050】
本発明で使用可能な第1及び第2のドライフィルム30、40としては、当業界で周知のものであれば、特に限定されない。例えば、第1及び第2のドライフィルム30、40は、基材(例えば、ポリエステルフィルム)上にフォトレジスト層及び保護層(例えば、ポリエステルフィルム)が順次積層された構造を有することができる。
【0051】
上記第1及び第2のドライフィルム30、40の幅は、上記第1のカバーレイフィルム10の幅よりも小さいことが好ましく、具体的には、上記金属箔20の幅と同一であり得る。従って、第2の積層体200Aには、第1の積層体100と同様に、第1及び第2のドライフィルム30、40と重畳されていない第1のカバーレイフィルム10のダミー領域が露出されるため、上記ダミー領域に形成された複数の第1の認識マーク13bも露出される。
【0052】
このような第1及び第2のドライフィルム30、40は、それぞれ巻回されている第1及び第2のドライフィルム供給ローラーから連続的に供給され、上記第1の積層体100の第1面及び第2の面上にそれぞれラミネート加工される。このとき、第1の積層体100の両面にそれぞれ対向して配置された一対の圧着ローラー部が使用される。即ち、上記第1の積層体の上部、下部側にそれぞれ供給される第1及び第2のドライフィルム30、40を、第1の積層体100と共に上記一対の圧着ローラー部の間に同時に通過させることで、上記第1及び第2のドライフィルム30、40を、それぞれ第1の積層体100の両表面に一括して圧着させることができる。
【0053】
(d)ステップ(S400):露光(exposure)
次に、上記第1のドライフィルム30を露光することで、硬化領域と未硬化領域とを形成する(
図4を参照)。
【0054】
上記ステップ(S400)は、(S410)上記第2の積層体200Aの第1のドライフィルム30上に露光マスクを積層するステップ、及び(S420)第1のドライフィルムを露光するステップを含む。
【0055】
上記ステップ(S410)では、整合を認識するためのカメラなどを用いて、上記第2の積層体200Aから両側に突出した部位、即ち、第1のカバーレイフィルム10の両側のダミー領域(△W)にそれぞれ存在する第1の認識マーク13bを基準にして、露光マスク(図示せず)と第2の積層体200Aとの整合を行う。
【0056】
上記ステップ(S420)での露光によって、第1のドライフィルム30には、硬化領域30Aと未硬化領域30Bとが形成される。但し、本発明では、未硬化領域30B1、30B2のうちの一部30B2が、第1のドライフィルムの両端部に形成される。このような未硬化領域30B2が現像により除去されることで、露出される金属箔20の領域は、エッチングにより除去され、第2のカバーレイフィルム50との整合(アライメント)のための第2の認識マーク22が形成される。一例によれば、上記第2の認識マーク22は、貫通孔であり得る。なお、貫通孔の形状は、特に限定されず、例えば、円形、四角形、三角形などの多角形、十字形などであり得る。
【0057】
上記露光マスク(フォトマスク)(図示せず)は、金属箔に設計された回路パターンに相応するパターンを含むものであり、入射される光が上記パターンによって遮光され、第1のドライフィルム30に、単位領域ごとに硬化領域30A及び未硬化領域30B1、30B2が形成される。このとき、露光マスクがポジティブ(positive)型であるか、ネガティブ(negative)型であるかによって、以後、現像液により非露光部位又は露光部位が除去される。
【0058】
上記露光方法としては、接触式、近接式、投影式などのように当業界で周知の常法であれば、特に限定されない。このような露光は、エキシマレーザー、遠紫外線、紫外線、可視光線、電子線、X線又はg線(波長:約436nm)、i線(波長:約365nm)、h線(波長:約405nm)、又はこれらの組み合わせからなる光線を用いて照射することができる。
【0059】
(e)ステップ(S500):現像(development)
図5に示されるように、上記第1のドライフィルム30の部分露光が行われた第2の積層体200Bをアルカリ現像液で現像することで、未硬化領域30B1、30B2(例えば、非露光部位)を除去する。これにより、第1のドライフィルムから除去された領域31、32を介して金属箔20の一部が露出された第2の積層体200Cが得られる。上記金属箔20の露出領域は、後続のエッチング工程で除去されることで、金属箔20に回路パターン21及び複数の第2の認識マーク22が形成される。
【0060】
本発明で使用可能なアルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化4級アンモニウムの水溶液;アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン系水溶液;などが挙げられるが、これらに制限されない。
【0061】
(f)ステップ(S600):エッチング(etching)
図6に示されるように、上記第1のドライフィルム30の一定領域31、32が除去された第2の積層体200Cをエッチングすることで、金属箔20の一部領域が選択的に除去された第2の積層体200Dが得られる。
【0062】
ステップ(S600)では、上記第2の積層体200Cから、第1のドライフィルムの除去領域31、32を介して露出された金属箔の領域を、エッチング液を用いて選択的に除去する。即ち、第2の積層体200D中の金属箔20は、上記第1のドライフィルム30の除去領域31、32に対応する部分が除去され、また、残部は、上記第1のドライフィルム30により保護されることで、回路パターン領域21及び複数の第2の認識マーク22が金属箔20に形成される。このとき、複数の第2の認識マーク22は、金属箔の両端部に形成され、第2のカバーレイフィルム50との整合を取るための基準として使用される。一例によれば、上記第2の認識マーク22は、貫通孔であり、上記金属箔20の両端部に互いに対称に形成することができる。
【0063】
本発明で使用可能なエッチング液としては、当業界で周知のものであれば、特に限定されず、例えば、過酸化水素/塩酸(H2O2/HCl)エッチング液、塩化第2銅(CuCl2)、塩化第2鉄(FeCl3)のような銅エッチング液、又は、CN-/O2、NBSA(3-ニトロベンゼンスルホン酸)/PEI(ポリエチレンイミン)などのエッチング液を、単独で使用、又は適宜配合して使用することができる。
【0064】
(g)ステップ(S700):第1及び第2のドライフィルムの剥離(exfoliation)
上記エッチングされた第2の積層体200Dから、上記第1及び第2のドライフィルム30、40を同時に除去することで第3の積層体300を形成する(
図7を参照)。
【0065】
ステップ(S700)は、露光工程において、エネルギー線(例えば、UVビーム)の照射により光重合された第1のドライフィルム30だけでなく、第1のカバーレイフィルム10に貼り付けられた第2のドライフィルム40を、剥離液を用いて同時に除去する工程である。このとき、第1のカバーレイフィルム10の表面に第2のドライフィルム40の残渣が生じることがないため、フレキシブルプリント回路基板の不良率を低減することができる。
【0066】
本発明で使用可能な剥離液としては、当業界でドライフィルムの除去時に通常使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、NaOH、KOHなどのような強塩基が挙げられる。
【0067】
(h)ステップ(S800):第2のカバーレイフィルムのラミネート加工
図8に示されるように、上記第3の積層体300の第1の面(上面)上に第2のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第2のカバーレイフィルム50をラミネート加工する。ここで、上記第3の積層体300の第1の面は、金属箔20の表面であって、第1のカバーレイフィルム10がラミネート加工された表面の反対側の表面である。
【0068】
上記ステップ(S800)は、(S810)第2のカバーレイフィルムが巻回されている第2のカバーレイ供給ローラーから連続的に供給される第2のカバーレイフィルム50に、1つ又は複数の第2のホール53a及び複数の第3の認識マーク53bを形成するステップ、及び(S820)第2のホール53a及び第3の認識マーク53bが形成された第2のカバーレイフィルム50を、上記第3の積層体300の第1の面(例えば、上面)上にラミネート加工するステップを含む。
【0069】
上記ステップ(S810)で使用される第2のカバーレイフィルム及び打ち抜き装置に関する説明は、第1のカバーレイフィルムの打ち抜き工程であるステップ(S100)に関する説明と同様であるため、省略する。
【0070】
上記第2のカバーレイフィルム50において、第2のホール53aは、第1のカバーレイフィルム10の第1のホール13aと同様に、ビアホール(例、BVH)などのような回路パターン用ホールである。
【0071】
また、上記第3の認識マーク53bは、第2のカバーレイフィルム50の両端部に形成されるものであって、第2のカバーレイフィルム50を第3の積層体300上にラミネート加工する際、第3の積層体300中の金属箔20の第2の認識マーク22と整合するための基準として使用される。即ち、第2のカバーレイフィルム50と第3の積層体300との整合は、第2のカバーレイフィルムの第3の認識マーク53bの位置と、金属箔20の両端部に形成された複数の第2の認識マーク22の位置とを整列させて行われる。一例によれば、上記第3の認識マーク53bは、貫通孔であり、第2のカバーレイフィルム50の両端部に第2の認識マーク22の位置に対応する位置に形成されている。なお、第2の認識マーク22が金属箔20の両端部に互いに対称に形成されている場合、第3の認識マーク53bも互いに対称に形成される。
【0072】
このような第2のカバーレイフィルム50の幅は、第1のカバーレイフィルム10の幅よりも小さく、具体的には、上記金属箔20の幅と同一であり得る。
【0073】
上記ステップ(S820)では、上記第3の積層体300の両面にそれぞれ対向する一対の第2の加熱ローラーが使用される。具体的には、第3の積層体300の第2の面に配置された第2のカバーレイフィルム50と第3の積層体300とを一対の第2の加熱ローラーの間を通過させることで、金属箔20の両側に第1及び第2のカバーレイフィルム10、50がそれぞれ接合されたフレキシブル回路基板が得られる。
【0074】
上記第2の加熱ローラーは、第1の加熱ローラーと同様に、第3の積層体300と第2のカバーレイフィルム50とを線ラミネート加工することで、製品の不良率の低減は勿論、製品の寸法変化を低下させることができる。このような第2の加熱ローラーに関する説明は、第1の積層体の形成工程であるステップ(S200)に関する説明と同様であるため、省略する。
【0075】
上記ステップ(S820)は、一対の第2の加熱ローラーを用いて、1秒~3分間(具体的には、5秒~3分間)行われる。このようなステップ(S820)で製造されたフレキシブル回路基板400は、下記[数1]及び[数2]の式によるMDの寸法変化率及びTDの寸法変化率が、それぞれ-0.3~0.3%であり得る。
【数1】
【数2】
上記[数1]及び[数2]において、
(A-B)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(A-B)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(C-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(C-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(A-C)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(A-C)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(B-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離であり、
(B-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離である。
【0076】
このように、本発明では、第2のカバーレイフィルム50とフレキシブルプリント回路基板300とを一対の第2の加熱ローラーを用いて線ラミネート加工することで、製品の不良率の低減は勿論、製品の寸法変化を低下させることができる。
【0077】
(i)選択的に、上記ステップ(S800)で製造されたフレキシブルプリント回路基板の両側の突出部、即ち、第1のカバーレイフィルム10の両ダミー領域を、切断などの方式で除去することができる。
【0078】
上述したように、本発明では、全工程のロール・ツー・ロール化によって自動かつ連続的にフレキシブルプリント回路基板を製造することができ、また、取り扱い不良の低減、必要な人手の低減、製造時間の短縮、品質管理及び収率向上の効果が得られ、大量生産性及びコスト削減が向上することができる。また、本発明では、最終のフレキシブルプリント回路基板の寸法変化を低下させることができる。
【0079】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳述する。しかし、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
【0080】
<実施例1>フレキシブルプリント回路基板の作成
図9に示されるロール・ツー・ロール(Roll-to-Roll)装置で下記のようにフレキシブルプリント回路基板を連続的に作成した。
【0081】
具体的には、第1のカバーレイ供給ローラー1から連続的に供給されるカバーレイフィルム10((株)斗山製のDC-200、幅:520mm)をエキシマレーザーAで打ち抜き、上記カバーレイフィルム10に複数のコンタクトホール13a(直径:1.7mm)及び複数の第1の認識マーク13b(直径:2mm)を形成した。このとき、第1の認識マーク13bは、第1のカバーレイフィルム10の両端部に互いに対称に形成される。次に、連続的に第1のホール及び第1の認識マークが形成される第1のカバーレイフィルム10上に、銅箔供給ローラー2から連続的に供給される銅箔20(幅:500mm)を一対の加熱ローラーR1、R2(ローラー温度:約110℃、線圧:5kg/m2、速度:1m/min)で線ラミネート加工(line laminating)して第1の積層体100を作製した。次に、連続的に作製されて供給される第1の積層体100の上面及び下面の上に第1及び第2のドライフィルム供給ローラー3、4からそれぞれ連続して供給される第1及び第2のドライフィルム30、40(アサヒ化学社製のAQ-3088、幅:500mm)を一対の圧着ローラーR3、R4(ローラー温度:110℃、線圧:1.5kg/m2、速度:1m/min)で線ラミネート加工して第2の積層体200を作製した。次に、回路パターン形成領域Bにおいて、露光マスクを第2の積層体200に上記第1のカバーレイフィルム10の第1の認識マーク13bを基準に整合して位置させた後、第1のドライフィルム30の部分露光を行った後、アルカリ現像液で現像し、エッチングした後、剥離液(NaOH)で第1及び第2のドライフィルム30、40を同時に除去し、金属箔20に回路パターンが形成された第3の積層体300を得た。上記回路パターンの形成時に、第3の積層体300中の金属箔20の両端部には、複数の第2の認識マーク22が共に形成された。次に、第2のカバーレイ供給ローラー5から連続して供給される第2のカバーレイフィルム50((株)斗山製のDC-200、幅:500mm)を自動的に供給される第3の積層体300上に上記第2の認識マーク22を基準に整合して位置させた後、一対の加熱ローラーR5、R6(ローラー温度:110℃、線圧:5kg/m2、速度:1m/min)で線ラミネート加工した後、両側のダミー領域を切断して除去することで、フレキシブルプリント回路基板400を作製した。
【0082】
<比較例1>
実施例1で使用された幅が520mmである第1のカバーレイフィルムの代わりに、金属箔と幅が同一である第1のカバーレイフィルム(幅:500mm)を使用すること、及び上記第1のカバーレイフィルムの貫通孔に対応する第1の積層体の金属箔部位にエキシマレーザーでガイドホールを形成すること以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を作製した。
【0083】
<比較例2>
実施例1で使用された第2のドライフィルムの代わりに、キャリアフィルム(INJ、KC-128A50)を用いて第2の積層体を形成すること以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を作製した。このとき、上記ドライフィルムは第1の積層体の銅箔上に、キャリアフィルムは第1のカバーレイフィルム上に、それぞれ貼り合わせた。
【0084】
<比較例3>
実施例1で使用された幅が520mmである第1のカバーレイフィルムの代わりに、金属箔と幅が同一である第1のカバーレイフィルム(幅:500mm)を使用すること、第1のカバーレイフィルムの認識マークに対応する第1の積層体の金属箔部位をロータリーパンチで打ち抜いて金属箔に第3の認識マークを形成すること、第2のドライフィルムの代わりにキャリアフィルム(INJ、KC-128A50)を用いて第2の積層体を形成すること、上記露光前に第2の積層体を一定単位のシートに切断すること、及び上記第3の積層体上に第2のカバーレイフィルムを、ロールラミネーションの代わりにホットプレス機を用いて貼り合わせること以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を作製した。
【0085】
<実験例1>
実施例1及び比較例1~3でそれぞれ作製されたフレキシブルプリント回路基板について、MD及びTDの寸法変化率、生産性、不良率を、以下のようにそれぞれ測定し、その結果を下記表1に示す。
【0086】
1-1.寸法変化率
実施例1及び比較例1~3に従ってフレキシブルプリント回路基板を作製するにあたって、それぞれ使用される第2のカバーレイフィルムに、
図10に示されるように、4つの角部に認識マークを穴開けで設けた後、上記認識マーク間の距離(A-B、C-D、A-C、B-D)をそれぞれ測定した。次に、第2のカバーレイフィルムを第3の積層体と貼り合わせてフレキシブルプリント回路基板を作製した後、得られたフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムの認識マーク同士間の距離をそれぞれ測定し、各工程前後の認識マーク同士間の距離を比較した。このとき、下記[数1]及び[数2]に基づいてMDの寸法変化率及びTDの寸法変化率をそれぞれ算出した。
【数1】
【数2】
(上記[数1]及び[数2]において、
(A-B)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(A-B)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-B間の距離であり、
(C-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(C-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのC-D間の距離であり、
(A-C)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(A-C)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのA-C間の距離であり、
(B-D)
Fは、最終のフレキシブルプリント回路基板における第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離であり、
(B-D)
Iは、第3の積層体とのラミネート加工を行う前、第2のカバーレイフィルムのB-D間の距離である。)
【0087】
1-2.生産性
実施例1及び比較例1~3に従ってフレキシブルプリント回路基板を作成するにあたって、金属箔中の認識マークの穴あけ有無、第2のドライフィルムの貼り付け有無、キャリアフィルムの脱着有無、及び全製造時間を考慮して、フレキシブルプリント回路基板の生産性を評価した。このとき、生産性が高い場合は「◎」と、生産性が良好である場合は「〇」と、生産性が低い場合は「△」と、生産性が非常に低い場合は「×」と表示した。
【0088】
1-3.回路パターンの不良有無
最終のフレキシブルプリント回路基板の回路パターン部位を光学検査装置で撮影した後、撮影した画像を肉眼で観察した。このとき、回路パターンに不良がなければ「×」と、回路パターンに不良があれば「〇」と表示した。
【表1】