(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】高速かつ高コントラストな光学状態切替を提供する4粒子電気泳動媒体
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240822BHJP
G09F 9/37 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G02F1/167
G09F9/37
(21)【出願番号】P 2023515595
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021050237
(87)【国際公開番号】W WO2022060715
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-14
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ドブ, ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】シム, テック ピン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, シェリー シン-イー
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-290178(JP,A)
【文献】特表2016-520209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/167
G09F 9/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性流体を備え
る電気泳動媒体であって、
前記電気泳動媒体は、
第1の光学特性
と第1の電荷極性とを有す
る第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性
と第2の電荷極性
とを有す
る第2のタイプの粒子であって、
前記第2のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷極性とは反対であり、かつ、第1の電荷の大きさを
有し、ポリマーの表面コーティング
が、前記第2の
タイプの粒子
に共有結合され
ている
、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有す
る第3のタイプの粒子であって、前記第3のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も小さい第2の電荷の大きさを
有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有する
第4のタイプの粒子であって、前記第4のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も大きい第3の電荷の大きさを
有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
ポリマーの層が、前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子
に複合されている、電気泳動媒体。
【請求項2】
非極性流体を備え
る電気泳動媒体であって、
前記電気泳動媒体は、
第1の光学特性
と第1の電荷極性
とを有す
る第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性
と第2の電荷極性
とを有す
る第2のタイプの粒子であって、
前記第2のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷極性とは反対であり、かつ、第1の電荷の大きさを
有し、前記第2の
タイプの粒子は、ポリマーの表面コーティングを有しない、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有する
第3のタイプの粒子であって、前記第3のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も小さい第2の電荷の大きさを
有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有する
第4のタイプの粒子であって、前記第4のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も大きい第3の電荷の大きさを
有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
ポリマーの層が、前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子
に複合されている、電気泳動媒体。
【請求項3】
非極性流体を備え
る電気泳動媒体であって、
前記電気泳動媒体は、
第1の光学特性
と第1の電荷極性
とを有す
る第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性
と第2の電荷極性
とを有す
る第2のタイプの粒子であって、
前記第2のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷極性とは反対であり、かつ、第1の電荷の大きさを
有し、前記第2の
タイプの粒子は、前記電気泳動媒体内の第2の
タイプの粒子のグラム毎に、前記第2の
タイプの粒子の上
に吸着され
る200mgを上回る電荷制御剤(CCA)を有する、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有する
第3のタイプの粒子であって、前記第3のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も小さい第2の電荷の大きさを
有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性
と前記第2の電荷極性
とを有する
第4のタイプの粒子であって、前記第4のタイプの粒子の前記第2の電荷極性は、前記第1の電荷の大きさより
も大きい第3の電荷の大きさを
有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子
のそれぞれ
は、前記電気泳動媒体内の第3
のタイプの粒子および第4の
タイプの粒子の
それぞれのグラム毎に、前記第3
のタイプの粒子および
前記第4の
タイプの粒子の上
に吸着され
る50mg未満の電荷制御剤(CCA)を有する、電気泳動媒体。
【請求項4】
前記電荷制御剤は、第4級アミン頭部基および脂肪酸テールを含む、請求項3に記載の電気泳動媒体。
【請求項5】
前記電気泳動媒体
が10
μm~50μm分離され
る2つの電極の間に配置されるとき、前記第1のタイプの粒子は、10V
が前記電極の間に印加されるときよりも、20V
が前記2つの電極の間に印加されるとき
に低い電気泳動移動度を有する、請求項1
~4のいずれかに記載の電気泳動媒体。
【請求項6】
前記第1の
タイプの粒子は、光散乱粒子であり、前記第2
のタイプの粒子および前記第3
のタイプの粒子および
前記第4の
タイプの粒子は、光吸収粒子である、請求項1
~5のいずれかに記載の電気泳動媒体。
【請求項7】
前記第1の
タイプの粒子は、白色であり、前記第2
のタイプの粒子および前記第3
のタイプの粒子および
前記第4の
タイプの粒子は、シアン色、マゼンタ色
、黄色から選択される、請求項1
~6のいずれかに記載の電気泳動媒体。
【請求項8】
黄色
の顔料、マゼンタ色
の顔料、シアン色
の顔料は、
それぞれの色の粒子が、溶液を作製するために1.55未満の屈折率を有す
る非極性流体中に、体積比15%(体積粒子対体積溶液)で略等方的に分布されるとき、それぞれ、650
nm、550
nm、450nmにおい
て拡散反射率を呈し、前記溶液は、黒色
の背景を覆って、約1μmの厚さの層内に配置され
ている、請求項7に記載の電気泳動媒体。
【請求項9】
前記第1の電荷極性は、負であり、前記第2の電荷極性は、正である、請求項1
~8のいずれかに記載の電気泳動媒体。
【請求項10】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
視認表面におけ
る光透過性電極と、
ピクセル電極に結合され
ている薄膜トランジスタのアレイを含
むバックプレーンと、
請求項1
~9のいずれかに記載の電気泳動媒体
であって、前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置され
ている電気泳動媒体と
を備え
るカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項11】
請求項10に記載のカラー電気泳動ディスプレイを備える、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、または
、フラッシュドライブ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年9月15日に出願された、米国仮特許出願第63/078,829号、および2021年5月20日に出願された、米国仮特許出願第63/191,075号の優先権を主張する。本明細書に開示される、全ての特許および公開は、参照することによって、全体として組み込まれる。
【0002】
(背景)
電気泳動ディスプレイ(EPD)は、光透過性視認表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することによって、色を変更する。そのような電気泳動ディスプレイは、結果として生じるディスプレイが、紙上のインクとほぼ同様に、高コントラストを有し、太陽光可読であるため、典型的には、「電子ペーパー」または「eペーパー」と称される。電気泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイが、書籍同様の読書体験を提供し、少ない消費電力を使用し、ユーザが、軽量な手持ちデバイス内に数百冊の書籍のライブラリを携行することを可能にするため、AMAZON KINDLE(登録商標)等、電子書籍読取機において幅広い採用を享受している。
【0003】
何年もの間、電気泳動ディスプレイは、2つのタイプの荷電色粒子、すなわち、黒色および白色のみを含んでいた(確実にするために、「色」は、本明細書内で使用されるように、黒色および白色を含む)。白色粒子は、多くの場合、光散乱型であり、例えば、二酸化チタンから成る一方、黒色粒子は、可視スペクトルを横断して吸収性であり、カーボンブラック、または銅クロマイト等の吸収性金属酸化物から成ってもよい。最も単純な意味では、黒色および白色電気泳動ディスプレイは、視認表面における光透過性電極、背後電極、および反対荷電白色および黒色粒子を含む、電気泳動媒体のみを要求する。1つの極性の電圧が、提供されるとき、白色粒子は、視認表面に移動し、反対極性の電圧が、提供されるとき、黒色粒子は、視認表面に移動する。背後電極が、制御可能領域(ピクセル)、すなわち、分割電極、またはトランジスタによって制御されるピクセル電極のアクティブマトリクスのいずれかを含む場合、あるパターンが、視認表面において電子的に現れるように作製されることができる。本パターンは、例えば、書籍にとっての本文であり得る。
【0004】
さらに最近では、3色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、および黒色、白色、黄色)および4色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、黄色)を含む、様々な色の選択肢が、電気泳動ディスプレイのために商業的に利用可能となっている。黒色および白色電気泳動ディスプレイの動作と同様に、3つまたは4つの反射性粒子を伴う、電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が、視認表面に対して駆動されるため、単純な黒色および白色ディスプレイと同様に動作する。本駆動スキームは、黒色および白色のみのものよりはるかに複雑であるが、最終的には、粒子の光学機能は、同一である。
【0005】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)はまた、4つの粒子を含んだが、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子が、反射性ではなく減法的であり、それによって、数千色が、各ピクセルにおいて生産されることを可能にする。本色プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長い間使用されてきた、印刷方法と機能的に同等である。所与の色は、明るい白色ペーパー背景上で、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の正しい比率を使用することによって生産される。ACePの事例では、視認表面に対する、シアン色、黄色、マゼンタ色、および白色粒子の相対的な位置が、各ピクセルにおける色を決定するであろう。本タイプの電気泳動ディスプレイは、各ピクセルにおいて数千色を可能にするが、厚さ約10~20ミクロンの作業空間内で、(50~500ナノメートルサイズの)顔料のそれぞれの位置を慎重に制御することが、極めて重要である。明白なこととして、粒子の位置の変動は、誤った色が、所与のピクセルにおいて表示されることをもたらすであろう。故に、精緻な電圧制御が、そのようなシステムに対して要求される。本システムのさらなる詳細は、以下の米国特許、すなわち、米国特許第9,361,836号(特許文献1)、第9,921,451号(特許文献2)、第10,276,109号(特許文献3)、第10,353,266号(特許文献4)、第10,467,984号(特許文献5)、および第10,593,272号(特許文献6)において入手可能であり、その全てが、参照することによって全体として組み込まれる。
【0006】
用語「グレー状態」は、結像技術におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、2つの極限ピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒色-白色遷移を含意するわけではない。例えば、下記に参照されるE Ink特許および公開された出願のうちのいくつかは、中間グレー状態が実際には淡い青色であろうように、極限状態が白色および濃青色である、電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べられたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色および白色」は、以降では、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すために本明細書で使用され得、通常、厳密に黒色および白色ではない、極限光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されたい。
【0007】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備え、その第1または第2の表示状態のいずれかを呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろう、ディスプレイを指すために本明細書で使用される。グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、また、その中間グレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイに当てはまることが、米国特許第7,170,670号に示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、「双安定」ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0008】
用語「インパルス」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、ディスプレイが駆動される周期の間の時間に対する、印加電圧の積分を指すために本明細書で使用される。
【0009】
広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収、散乱、または反射させる、粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射させる、顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料もまた、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用されてもよい。
【0010】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、何年にもわたって、精力的研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、顔料粒子とも称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に伴う問題は、その広範な使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な耐用年数をもたらす。
【0011】
前述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。大部分の先行技術電気泳動媒体では、本流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる。例えば、Kitamura, T., et al., Electrical toner movement for electronic paper-like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectrically, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるとき、粒子沈降に起因して、液体ベースの電気泳動媒体と同一タイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、液体のものと比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度が、電気泳動粒子のより高速な沈降を可能にするため、ガスベースの電気泳動媒体では、液体ベースのものより深刻な問題であると考えられる。
【0012】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義である、多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを備え、それ自体がそれぞれ、電気泳動的可動粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルは、それ自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術として、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502***号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564***号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、および第9,423,666号、ならびに米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2014/0340430号、第2014/0340736号、第2014/0362213号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0198858号、第2015/0234250号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0011484号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、第2016/0116816号、第2016/0116818号、および第2016/0140909号参照)
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)(これらの特許および出願は、以降、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動するための方法)出願と称され得る)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号、ならびに米国特許出願公開第2015/0277160号、ならびに米国特許出願公開第2015/0005720号および2016/0012710号参照)
【0013】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを備える、いわゆる「ポリマー分散型電気泳動ディスプレイ」を生産し得、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴は、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0014】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、伝搬媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に留保される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0015】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透過性であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透過性であり、1つが光透過性である、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依拠し、類似のモードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのために、多層構造で使用されることができる。そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより離れた第2の層を暴露または隠蔽する。
【0016】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多種多様な可撓性および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する(「印刷」という語の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号参照)、および他の類似技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している)。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷されることができるため、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。
【0017】
上記に示されるように、最も単純な先行技術電気泳動媒体は、本質的に、2つの色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体中の第1の色を有する単一タイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、粒子が視認表面から離間されるときに表示される)、または非着色流体中の異なる第1および第2の色を有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、第1のタイプの粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、第2のタイプの粒子が視認表面に隣接して存在するときに表示される)のいずれかを使用する。典型的には、2つの色は、黒色および白色である。フルカラーディスプレイが所望される場合、色フィルタアレイが、モノクロ(黒色および白色)ディスプレイの視認表面にわたって堆積されてもよい。色フィルタアレイを伴うディスプレイは、面積共有および色混成に依拠して、色刺激を作成する。利用可能なディスプレイ面積は、赤色/緑色/青色(RGB)または赤色/緑色/青色/白色(RGBW)等の3または4原色間で共有され、フィルタが、1次元(ストライプ)または2次元(2×2)反復パターンで配列されることができる。他の選択肢の原色または3つを上回る原色もまた、当技術分野において公知である。3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが、意図される視認距離において、それらが視覚的にともに均一色刺激(「色混成」)を伴う単一ピクセルに混成するように十分に小さくあるように選定される。面積共有の固有の不利点は、着色剤が常時存在し、色が、下層モノクロディスプレイの対応するピクセルを白色または黒色に切り替える(対応する原色をオンまたはオフに切り替える)ことによってのみ変調されることができることである。例えば、理想的RGBWディスプレイでは、赤色、緑色、青色、および白色原色はそれぞれ、ディスプレイ面積の4分の1(4つのうちの1つのサブピクセル)を占有し、白色サブピクセルは、下層モノクロディスプレイの白色と同程度に明るいが、着色サブピクセルはそれぞれ、モノクロディスプレイの白色の3分の1より明るくない。全体としてディスプレイによって示される白色の明るさは、白色サブピクセルの明るさの2分の1を上回り得ない(ディスプレイの白色面積は、各4つのうちの1つの白色サブピクセルに加えて、白色サブピクセルの3分の1に匹敵するその着色形態における各着色サブピクセルを表示することによって生産され、したがって、組み合わせられる3つの着色サブピクセルは、1つの白色サブピクセルを上回って寄与しない)。色の明るさおよび飽和は、黒色に切り替えられる色ピクセルとの面積共有によって低下される。面積共有は、黄色を混合するとき、それが、等しい明るさの任意の他の色より明るく、飽和された黄色が、白色とほぼ同程度に明るいため、特に問題となる。青色ピクセル(ディスプレイ面積の4分の1)から黒色への切替は、黄色を著しく暗くさせる。
【0018】
米国特許第8,576,476号および第8,797,634号は、独立してアドレス指定可能なピクセル電極と、共通光透過性フロント電極とを備える、単一バックプレーンを有する、多色電気泳動ディスプレイを説明している。バックプレーンとフロント電極との間には、複数の電気泳動層が配置される。これらの出願に説明されるディスプレイは、原色のいずれか(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、白色、および黒色)を任意のピクセル場所にレンダリングすることが可能である。しかしながら、アドレス指定電極の単一セット間に位置する複数の電気泳動層の使用に対して不利点がある。特定の層内の粒子によって被られる電場は、同一電圧でアドレス指定される単一電気泳動層の場合に該当するであろうものより低い。加えて、視認表面に最も近い電気泳動層内の光学損失(例えば、光散乱または望ましくない吸光によって生じる)は、下層電気泳動層内に形成される画像の外観に影響を及ぼし得る。
【0019】
2つの他のタイプの電気泳動ディスプレイシステムは、任意のピクセル場所において、任意の色をレンダリングすることが可能である、単一の電気泳動媒体を提供する。具体的には、米国特許第9,697,778号が、その中で染色溶媒が、低印加電圧を用いてアドレス指定されるときには、第1の方向に、高電圧を用いてアドレス指定されるときには、反対方向に移動する、白色(光散乱)粒子と組み合わせられる、ディスプレイを説明している。白色粒子および染色溶媒は、白色粒子に対して、反対電荷の2つの付加的な粒子と組み合わせられるとき、フルカラーディスプレイをレンダリングすることが可能性として考えられる。しかしながら、第‘778号特許の色状態は、テキスト読取機等の適用に対しては容認不可能である。特に、白色散乱粒子を視認表面から分離する、染色流体のうちのいくつかが、常時存在し、これは、ディスプレイの白色状態の色調につながるであろう。
【0020】
任意のピクセル場所において、任意の色をレンダリングすることが可能である、電気泳動媒体の第2の形態が、米国特許第9,921,451号に説明されている。第‘451号特許では、電気泳動媒体は、4つの粒子、すなわち、白色、シアン色、マゼンタ色、および黄色を含み、それら粒子のうちの、2つが、正荷電であり、2つが、負荷電である。しかしながら、第‘451号特許のディスプレイはまた、白色状態との色混合にも悩まされる。粒子のうちの1つが、白色粒子と同一の電荷を有するため、白色状態が、所望されるとき、ある程度の数量の同一電荷粒子が、視認表面に向かって、白色とともに移動する。複雑な波形を用いて、本不要な色調を克服することは可能性として考えられるが、そのような波形は、ディスプレイの更新時間を大幅に増加させ、いくつかの事例では、画像間の容認不可能な「閃光」を結果としてもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】米国特許第9361836号明細書
【文献】米国特許第9921451号明細書
【文献】米国特許第10276109号明細書
【文献】米国特許第10353266号明細書
【文献】米国特許第10467984号明細書
【文献】米国特許第10593272号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
(要約)
本明細書に開示されるのは、4つの粒子を含む、改良された電気泳動ディスプレイシステムである。先行技術が、それぞれの電荷極性の2つの粒子を伴う、4組の粒子を説明しているが、本発明は、1つの電荷極性(典型的には、負荷電)の単一のタイプの粒子、および反対電荷極性(典型的には、正荷電)の3つのタイプの粒子を利用する。本配列は、第1の電荷極性の単一の粒子の高速かつ混じり気のない光学状態(典型的には、白色)を確実にする。加えて、反対電荷極性の粒子が、好適な補色を伴って選定されるとき、高品質プロセス黒色が、生産されることができ、これは、白色テキスト上の黒色の高速なページめくり更新を可能にする。
【0023】
第1の側面では、本発明は、非極性流体を備える、電気泳動媒体を提供し、第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、第2の粒子は、粒子に共有結合される、ポリマーの表面コーティングを有する、第2のタイプの粒子と、第3の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、第4の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子とを含み、第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は両方とも、粒子に複合されるポリマーの層を含む。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、10~50μm分離される、2つの電極の間に配置され、第1のタイプの粒子は、10Vが、電極の間に印加されるときよりも、20Vが、2つの電極の間に印加されるときに、低い電気泳動移動度を有する。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2、第3、および第4の粒子は、光吸収粒子である。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、白色であり、第2、第3、および第4の粒子は、シアン色、マゼンタ色、および黄色から選択される。いくつかの実施形態では、黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料は、個別の粒子が、溶液を作製するために1.55未満の屈折率を有する、非極性流体中に、体積比15%(体積粒子対体積溶液)で略等方的に分布されるとき、それぞれ、650、550、および450nmにおいて、拡散反射率を呈し、溶液は、黒色背景を覆って、約1μmの厚さの層内に配置される。いくつかの実施形態では、第1の電荷極性は、負であり、第2の電荷極性は、正である。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、カラー電気泳動ディスプレイ内に配置される。カラー電気泳動ディスプレイは、視認表面における、光透過性電極と、ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンと、光透過性電極とバックプレーンとの間に、上記に説明されるようなカラー電気泳動媒体とを含む。そのようなディスプレイは、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブに組み込まれてもよい。
【0024】
第2の側面では、本発明は、非極性流体を備える、電気泳動媒体を提供し、第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、第2の粒子は、ポリマーの表面コーティングを有しない、第2のタイプの粒子と、第3の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、第4の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子とを含み、第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は両方とも、粒子に複合されるポリマーの層を含む。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、10~50μm分離される、2つの電極の間に配置され、第1のタイプの粒子は、10Vが、電極の間に印加されるときよりも、20Vが、2つの電極の間に印加されるときに、低い電気泳動移動度を有する。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2、第3、および第4の粒子は、光吸収粒子である。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、白色であり、第2、第3、および第4の粒子は、シアン色、マゼンタ色、および黄色から選択される。いくつかの実施形態では、黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料は、個別の粒子が、溶液を作製するために1.55未満の屈折率を有する、非極性流体中に、体積比15%(体積粒子対体積溶液)で略等方的に分布されるとき、それぞれ、650、550、および450nmにおいて、拡散反射率を呈し、溶液は、黒色背景を覆って、約1μmの厚さの層内に配置される。いくつかの実施形態では、第1の電荷極性は、負であり、第2の電荷極性は、正である。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、カラー電気泳動ディスプレイ内に配置される。カラー電気泳動ディスプレイは、視認表面における、光透過性電極と、ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンと、光透過性電極とバックプレーンとの間に、上記に説明されるようなカラー電気泳動媒体とを含む。そのようなディスプレイは、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブに組み込まれてもよい。
【0025】
第3の側面では、本発明は、非極性流体を備える、電気泳動媒体を提供し、第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、第2の粒子は、電気泳動媒体内の第2の粒子のグラム毎に、第2の粒子の上へ吸着される、200mgを上回る電荷制御剤(CCA)を有する、第2のタイプの粒子と、第3の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、第4の光学特性を有し、第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子とを含み、第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、電気泳動媒体内の第3および第4の粒子の個別のグラム毎に、第3および第4の粒子の上へ吸着される、50mg未満の電荷制御剤(CCA)を有する。いくつかの実施形態では、電荷制御剤は、第4級アミン頭部基および脂肪酸テールを含む。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、10~50μm分離される、2つの電極の間に配置され、第1のタイプの粒子は、10Vが、電極の間に印加されるときよりも、20Vが、2つの電極の間に印加されるときに、低い電気泳動移動度を有する。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2、第3、および第4の粒子は、光吸収粒子である。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、白色であり、第2、第3、および第4の粒子は、シアン色、マゼンタ色、および黄色から選択される。いくつかの実施形態では、黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料は、個別の粒子が、溶液を作製するために1.55未満の屈折率を有する、非極性流体中に、体積比15%(体積粒子対体積溶液)で略等方的に分布されるとき、それぞれ、650、550、および450nmにおいて、拡散反射率を呈し、溶液は、黒色背景を覆って、約1μmの厚さの層内に配置される。いくつかの実施形態では、第1の電荷極性は、負であり、第2の電荷極性は、正である。いくつかの実施形態では、電気泳動媒体は、カラー電気泳動ディスプレイ内に配置される。カラー電気泳動ディスプレイは、視認表面における、光透過性電極と、ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンと、光透過性電極とバックプレーンとの間に、上記に説明されるようなカラー電気泳動媒体とを含む。そのようなディスプレイは、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブに組み込まれてもよい。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
非極性流体を備える、電気泳動媒体であって、
第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、前記第2の粒子は、前記粒子に共有結合される、ポリマーの表面コーティングを有する、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は両方とも、前記粒子に複合されるポリマーの層を含む、電気泳動媒体。
(項目2)
非極性流体を備える、電気泳動媒体であって、
第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、前記第2の粒子は、ポリマーの表面コーティングを有しない、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は両方とも、前記粒子に複合されるポリマーの層を含む、電気泳動媒体。
(項目3)
非極性流体を備える、電気泳動媒体であって、
第1の光学特性および第1の電荷極性を有する、第1のタイプの粒子と、
第2の光学特性を有し、第1の電荷の大きさを伴う、第2の電荷極性を有する、第2のタイプの粒子であって、前記第2の粒子は、前記電気泳動媒体内の第2の粒子のグラム毎に、前記第2の粒子の上へ吸着される、200mgを上回る電荷制御剤(CCA)を有する、第2のタイプの粒子と、
第3の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより小さい第2の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第3のタイプの粒子と、
第4の光学特性を有し、前記第1の電荷の大きさより大きい第3の電荷の大きさを伴う、前記第2の電荷極性を有する、第4のタイプの粒子と
を含み、
前記第3のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は、それぞれ、前記電気泳動媒体内の第3および第4の粒子の個別のグラム毎に、前記第3および第4の粒子の上へ吸着される、50mg未満の電荷制御剤(CCA)を有する、電気泳動媒体。
(項目4)
前記電荷制御剤は、第4級アミン頭部基および脂肪酸テールを含む、項目3に記載の電気泳動媒体。
(項目5)
前記電気泳動媒体が、10~50μm分離される、2つの電極の間に配置されるとき、前記第1のタイプの粒子は、10Vが、前記電極の間に印加されるときよりも、20Vが、前記2つの電極の間に印加されるときに、低い電気泳動移動度を有する、項目1-4のいずれかに記載の電気泳動媒体。
(項目6)
前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2、第3、および第4の粒子は、光吸収粒子である、項目1-5のいずれかに記載の電気泳動媒体。
(項目7)
前記第1の粒子は、白色であり、前記第2、第3、および第4の粒子は、シアン色、マゼンタ色、および黄色から選択される、項目1-6のいずれかに記載の電気泳動媒体。
(項目8)
黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料は、前記個別の粒子が、溶液を作製するために1.55未満の屈折率を有する、非極性流体中に、体積比15%(体積粒子対体積溶液)で略等方的に分布されるとき、それぞれ、650、550、および450nmにおいて、拡散反射率を呈し、前記溶液は、黒色背景を覆って、約1μmの厚さの層内に配置される、項目7に記載の電気泳動媒体。
(項目9)
前記第1の電荷極性は、負であり、前記第2の電荷極性は、正である、項目1-8のいずれかに記載の電気泳動媒体。
(項目10)
カラー電気泳動ディスプレイであって、
視認表面における、光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンと、
前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置される、項目1-9のいずれかに記載の電気泳動媒体と
を備える、カラー電気泳動ディスプレイ。
(項目11)
項目10に記載のカラー電気泳動ディスプレイを備える、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、黒色、白色、減法三原色、および加法三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体内の種々の着色粒子の位置を示す、概略断面図である。
【0027】
【
図2A】
図2Aは、非極性流体中に4つのタイプの粒子を有する、電気泳動ディスプレイの一般的な例証であり、全範囲の色が、各ピクセル電極において使用可能である。いくつかの実施形態では、負荷電粒子のあるタイプは、白色であり、正荷電粒子の一タイプは、黄色であり、正荷電粒子の一タイプは、マゼンタ色であり、正荷電粒子の一タイプは、シアン色であるが、しかしながら、本発明は、本例示的色セットに限定されないことを理解されたい。
【0028】
【
図2B】
図2Bは、視認表面において、第1の電荷極性の粒子の全てを有する、第1の光学状態と、視認表面において、第2の(反対)極性を伴う粒子を有する、第2の光学状態との間の遷移を図示する。
【0029】
【
図2C】
図2Cは、視認表面において、第1の電荷極性の粒子の全てを有する、第1の光学状態と、視認表面に位置する、第1の極性の中間荷電粒子の背後に、第2の(反対)極性を伴う粒子を有する、第3の光学状態との間の遷移を図示する。
【0030】
【
図2D】
図2Dは、視認表面において、第1の電荷極性の粒子の全てを有する、第1の光学状態と、視認表面に位置する、第1の極性の低荷電粒子の背後に、第2の(反対)極性を伴う粒子を有する、第4の光学状態との間の遷移を図示する。
【0031】
【
図2E】
図2Eは、視認表面において、第1の電荷極性の粒子の全てを有する、第1の光学状態と、視認表面に位置する、第1の極性の低荷電粒子と中程度荷電粒子との組み合わせの背後に、第2の(反対)極性を伴う粒子を有する、第5の光学状態との間の遷移を図示する。
【0032】
【
図3】
図3は、電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0033】
【
図4】
図4は、例示的電気泳動カラーディスプレイの層を示す。
【0034】
【
図5】
図5は、3つの減法的粒子および散乱(白色)粒子を含む、電気泳動媒体をアドレス指定するための例示的プッシュプル駆動スキームを示す。
【0035】
【
図6A】
図6Aは、電気泳動媒体内の光学密度の最大変化率を示し、それぞれ、-35mV、-22mV、+54mV、および+70mVのゼータ電位を伴う、白色、黄色、マゼンタ色、およびシアン色粒子を含む。500ms持続時間のパルスが、x軸上に示される電圧で印加されるとき、測定された変化率が、非白色粒子毎にプロットされている。
【0036】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの電気泳動媒体に関し、電圧および時間の関数として測定された色を示す。-22mVのゼータ電位を有する黄色粒子を伴う、電気泳動媒体のみが、狭い範囲の電圧および時間にわたって、混じり気のない白色状態を生産する。
【0037】
【
図7A】
図7Aは、電気泳動媒体内の光学密度の最大変化率を示し、それぞれ、-35mV、-22mV、+54mV、および+70mVのゼータ電位を伴う、白色、黄色、マゼンタ色、およびシアン色粒子を含む。500ms持続時間のパルスが、x軸上に示される電圧で印加されるとき、測定された変化率が、非白色粒子毎にプロットされている。
【0038】
【
図7B】
図7Bは、
図7Aの電気泳動媒体に関し、電圧および時間の関数として測定された色を示す。-22mVのゼータ電位を有する黄色粒子を伴う、電気泳動媒体が、はるかに広い範囲の電圧および時間にわたって、混じり気のない白色状態を生産する。
【0039】
【
図8】
図8は、電気泳動流体中で取得可能な色を示し、それぞれ、-35mV、-22mV、+54mV、および+70mVのゼータ電位を伴う、白色、黄色、マゼンタ色、およびシアン色粒子を含む。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(詳細な説明)
本発明は、改良された4粒子電気泳動媒体を含み、第1の極性の第1の粒子と、反対極性を有する、3つの他の粒子とを含むが、異なる電荷の大きさを有する。典型的には、そのようなシステムは、負の白色粒子と、減法原色を有する、黄色、マゼンタ色、およびシアン色の正荷電粒子とを含む。加えて、いくつかの粒子は、その電気泳動移動度が、印加される電場の強度に対して、非線形であるように工学され得る。故に、1つ以上の粒子は、正しい極性の(例えば、20Vまたはそれよりも大きい)高電場の印加に伴って、電気泳動移動度の減少を被るであろう。そのような4粒子システムが、
図1に図式的に示されており、これは、あらゆるピクセルにおいて、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色、および黒色を提供することができる。
【0041】
図1に示されるように、8つの主要色(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、黒色、および白色)はそれぞれ、4つの粒子の異なる配列に対応し、それによって、視認者には、白色粒子の視認側にある、それらの着色粒子のみ(すなわち、光を散乱する粒子のみ)が見える。広範囲な色を達成するためには、付加的な電圧レベルが、粒子のより微妙な制御のために使用されなければならない。説明される配合では、第1の(典型的には、負の)粒子は、反射性(典型的には、白色)である一方、他の3つの粒子、すなわち、反対荷電(典型的には、正の)粒子は、3つの実質的非光散乱(「SNLS」)粒子を含む。SNLS粒子の使用は、色の混合を可能にし、同一数の散乱粒子を用いて達成され得るものより多くの色結果を提供する。これらの閾値は、クロストークを回避するために、十分に分離されなければならず、本分離は、いくつかの色に対して高アドレス指定電圧の使用を余儀なくする。開示される4粒子電気泳動媒体は、より高速に更新され、「より少ない閃光」遷移を要求し、視認者にとってより満足のいく(したがって、商業的により有益な)色スペクトルを生産することができる。加えて、開示される配合は、黒色および白色ピクセルの間のより高速な(例えば、500ms未満、例えば、300ms未満、例えば、200ms未満、例えば、100ms未満)更新を提供し、それによって、白色テキスト上の黒色に対して、高速なページめくりを有効にする。
【0042】
図1では、ディスプレイの視認表面は、(図示されるように)上部にあると仮定される、すなわち、ユーザは、ディスプレイを本方向から視認し、光は、本方向から入射する。すでに述べられたように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、
図1では、本粒子は、白色顔料であると仮定される。本光散乱白色粒子は、白色反射体を形成し、(
図1に図示されるように)それに対して白色粒子の上方の任意の粒子が、視認される。これらの粒子を通して通過する、ディスプレイの視認表面に進入する光は、白色粒子から反射され、これらの粒子を通して戻って通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白色粒子の上方の粒子は、種々の色を吸収し得、ユーザに対して現れる色は、白色粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白色粒子の下方(ユーザの視点から背後)に配置される任意の粒子は、白色粒子によってマスクされ、表示される色に影響を及ぼさない。第2、第3、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるため、相互に対して相対的なその順序または配列は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白色(光散乱)粒子に対するその順序または配列は、重要である。
【0043】
より具体的には、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子が、白色粒子の下方に存在するとき(
図1における状況[A])、白色粒子の上方に粒子は、存在せず、ピクセルは、単に、白色を表示する。単一粒子が、白色粒子の上方にあるとき、その単一粒子の色が、それぞれ、
図1における状況[B]、[D]、および[F]において黄色、マゼンタ色、およびシアン色で表示される。2つの粒子が白色粒子の上方に存在するとき、表示される色は、これらの2つの粒子のものの組み合わせである。すなわち、
図1において、状況[C]では、マゼンタ色および黄色粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアン色およびマゼンタ色粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄色およびシアン色粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が、白色粒子の上方に存在するとき(
図1における状況[H])、全ての入射光は、減法三原色着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0044】
1つの減法原色が、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得ることが可能性として考えられ、それによって、ディスプレイは、2つのタイプの光散乱粒子を備え、そのうちの一方が白色であり、他方が着色であるであろう。しかしながら、本場合では、白色粒子を覆う他の着色粒子に対する、光散乱着色粒子の位置が、重要となるであろう。例えば、黒色をレンダリングする際(全3つの着色粒子が白色粒子を覆って存在するとき)、散乱着色粒子は、非散乱着色粒子を覆って存在することができない(そうでなければ、それらは、散乱粒子の背後に、部分的または完全に隠蔽され、レンダリングされる色は、散乱着色粒子のものであり、黒色ではないであろう)。
【0045】
図1は、色が汚染されない(すなわち、光散乱白色粒子が、白色粒子の背後に存在する、任意の粒子を完全にマスクする)、理想的状況を示す。実際は、白色粒子によるマスクは、非完璧であり得、それによって、理想的には完全にマスクされるであろう粒子による、光のわずかな吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減させる。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成される色が、色レンダリングのための産業規格に匹敵する点まで、最小限にされるべきである。特に好ましい規格は、SNAP(新聞広告生産のための規格)であり、これは、上記に参照される8原色毎にL*、a*、およびb*値を規定する(以降、「原色」は、
図1に示されるように、8つの色、すなわち、黒色、白色、減法三原色、および加法三原色を指すために使用されるであろう)。
【0046】
図2A-2Eは、本発明において使用される、4つの粒子タイプの概略断面表現を示す。改良された電気泳動媒体を利用する、ディスプレイ層は、視認側の第1の(視認)表面13と、第1の表面13の対向側の第2の表面14とを含む。電気泳動媒体は、2つの表面の間に配置される。2本の垂直な点線の間の各空間は、ピクセルを指す。各ピクセル内で、電気泳動媒体は、アドレス指定され得、各ピクセルの視認表面13は、付加的層を必要とせず、色フィルタアレイも伴わずに、
図1に示される色状態を達成することができる。
【0047】
電気泳動ディスプレイの規格として、第1の表面13は、光透過性であり、例えば、その上に配置される、インジウムスズ酸化物(ITO)を伴うPETのシートから構築される、共通電極11を含む。第2の表面(14)上には、複数のピクセル電極15を含む、電極層12が存在する。そのようなピクセル電極は、参照することによって、その内容が全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第7,046,228号に説明されている。ピクセル電極層に関し、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンとともに駆動するアクティブマトリクスが、述べられているが、本発明の範囲は、電極が所望の機能を果たす限り、他のタイプの電極のアドレス指定も含有することに留意されたい。例えば、上部および底部電極は、連続的であり得る。加えて、第‘228号特許に説明されるものとは異なる、ピクセル電極バックプレーンもまた、好適であり、非晶質シリコン薄膜トランジスタバックプレーンを用いて典型的に見出されるものより高い駆動電圧を提供することが可能である、アクティブマトリクスバックプレーンを含んでもよい。
【0048】
新たに開発されたアクティブマトリクスバックプレーンは、酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、またはインジウムガリウムジルコニウム酸化物等のより複雑な金属酸化物等の金属酸化物材料を組み込む、薄膜トランジスタを含み得る。これらの適用では、チャネル形成領域は、そのような金属酸化物材料を使用して、トランジスタ毎に形成され、より高い電圧のより高速な切替を可能にする。そのような金属酸化物トランジスタはまた、例えば、非晶質シリコンTFTによって達成され得る、薄膜トランジスタ(TFT)の「オフ」状態において、より少ない漏出を可能にする。n行を備える、典型的なスキャニングTFTバックプレーンでは、トランジスタは、ディスプレイの全ての行をリフレッシュするために要求される時間のおおよその比率(n-1)/nにわたって、「オフ」状態にあるであろう。各ピクセルと関連付けられる、貯蔵コンデンサからの電荷のいかなる漏出も、ディスプレイの電気光学的性能の悪化をもたらすであろう。TFTは、典型的には、ゲート電極と、ゲート絶縁フィルム(典型的には、SiO2)と、金属ソース電極と、金属ドレイン電極と、少なくとも部分的に、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極と重合する、ゲート絶縁フィルムを覆う金属酸化物半導体フィルムとを含む。そのようなバックプレーンは、Sharp/Foxconn、LG、およびBOE等の製造業者から入手可能である。そのようなバックプレーンは、±30Vの(またはそれを上回る)駆動電圧を提供することができる。いくつかの実施形態では、中間電圧ドライバが、含まれ、それによって、結果として生じる駆動波形は、5つのレベル、または7つのレベル、または9つのレベル、またはそれを上回るレベルを含み得る。
【0049】
そのような適用のための1つの好ましい金属酸化物材料は、インジウムガリウム亜鉛酸素(IGZO)である。IGZO-TFTは、非晶質シリコンの20~50倍の電子移動度を有する。アクティブマトリクスバックプレーン内でIGZO TFTを使用することによって、好適なディスプレイドライバを介して、30Vよりも大きい電圧を提供することが可能性として考えられる。さらに、少なくとも5つ、好ましくは、7つのレベルを供給することが可能である、ソースドライバは、4粒子電気泳動ディスプレイシステムのための異なる駆動パラダイムを提供する。ある実施形態では、2つの正電圧、2つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。別の実施形態では、3つの正電圧、3つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。ある実施形態では、4つの正電圧、4つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。これらのレベルは、上記に説明されるようなトッププレーンの切替によって課される限定を伴わず、約-27V~+27Vの範囲内で選定され得る。
【0050】
本発明の電気泳動媒体は、
図2A-2Eに示されるように、非極性流体17中に4つのタイプの電気泳動粒子を含む。第1の粒子(W-*;白抜き丸印)は、負荷電であり、第1の粒子の電気泳動移動度が、(下記により詳細に議論される)駆動電場の強度に依存するように表面処理され得る。そのような事例では、粒子の電気泳動移動度は、より強い電場の存在下で、実際に減少し、これは、幾分直観に反する。第2の粒子(M++*;暗い丸印)は、正荷電であり、第2の粒子の電気泳動移動度が、駆動電場の強度に依存するか、または電場方向の逆転に応じて、粒子を含有する空洞の片側に駆動された後の第2の粒子の集合の展開率が、第3および第4の粒子の集合の展開率よりも遅いかのいずれかとなるように、これも表面処理され得る(または、故意に処理され得ない)。第3の粒子(Y+;格子縞の丸印)は、正であるが、第2の粒子より小さい電荷の大きさを有する。加えて、第3の粒子は、表面処理され得るが、第3の粒子の電気泳動移動度を駆動電場の強度に依存させる方法ではない。すなわち、第3の粒子は、表面処理を有するが、しかしながら、そのような表面処理は、前述の電場の増加に伴う電気泳動移動度の減少をもたらさない。第4の粒子(C+++;灰色の丸印)は、最も高い大きさの正電荷と、第3の粒子と同一のタイプの表面処理とを有する。
図2Aに示されるように、粒子は、
図1に示されるような色を生産するために、公称上、白色、マゼンタ色、黄色、およびシアン色である。しかしながら、本発明は、本具体的な色セットに限定せず、1つの反射性粒子および3つの吸収性粒子にも限定しない。例えば、本システムは、全3つの反射性粒子が、混合され、表面において視認可能であるとき、1つの黒色吸収性粒子と、プロセス白色状態を生産するために合致される反射率スペクトルを伴う、赤色、黄色、および青色の3つの反射性粒子とを含み得る。
【0051】
好ましい実施形態では、第1の粒子(負)は、白色および散乱性である。第2の粒子(正、中程度の電荷の大きさ)は、マゼンタ色および吸収性である。第3の粒子(正、低い電荷の大きさ)は、黄色および吸収性である。第4の粒子(正、高い電荷の大きさ)は、シアン色および吸収性である。下記の表1は、本発明の電気泳動媒体内で有用である、例示的黄色、マゼンタ色、シアン色、および白色粒子の拡散反射率を示し、ポリ(イソブチレン)マトリクス内に分散されるようなこれらの材料のクベルカムンク分析による、その吸収および散乱係数の比率を伴う。
【表1-1】
【表1-2】
【0052】
本発明の電気泳動媒体は、上記に議論される形態のいずれかであり得る。したがって、電気泳動媒体は、カプセル化されていない、カプセル壁によって囲繞される別々のカプセル内にカプセル化されている、密封されたマイクロセル内にカプセル化されている、または高分子分散媒体の形態であってもよい。顔料は、米国特許第9,697,778号および第9,921,451号に等、他の場所で詳細に説明されている。簡潔には、白色粒子W1は、米国特許第7,002,728号に説明されるように、ラウリルメタクリレート(LMA)モノマーを含む、高分子材料が取着されている、シラノール官能化光散乱顔料(二酸化チタン)である。白色粒子W2は、米国特許第5,852,196号の実施例1に説明されるように、実質的に生産される、ポリマーコーティングされたチタニアであり、約99:1の比率のラウリルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとを含む、ポリマーコーティングを伴う。黄色粒子Y1は、C.I.顔料黄色180であり、米国特許第9,697,778号に概して説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、Solsperse 19000の存在下で摩損によって分散される。黄色粒子Y2は、C.I.顔料黄色155であり、米国特許第9,697,778号に概して説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、Solsperse 19000の存在下で摩損によって分散される。黄色粒子Y3は、C.I.顔料黄色139であり、米国特許第9,697,778号に概して説明されるように、コーティングを伴わずに使用され、Solsperse 19000の存在下で摩損によって分散される。黄色粒子Y4は、C.I.顔料黄色139であり、これは、分散重合によってコーティングされ、特許第9,921,451号の実施例4に説明されるように、トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、およびジメチルシロキサン含有モノマーを組み込む。マゼンタ色粒子M1は、正荷電のマゼンタ色材料(ジメチルキナクリドン、C.I.顔料赤色122)であり、米国特許第9,697,778号および米国特許第9,921,451号の実施例5に説明されるように、ビニルベンジル塩化物およびLMAを使用してコーティングされる。
【0053】
マゼンタ色粒子M2は、C.I.顔料赤色122であり、これは、分散重合によってコーティングされ、特許第9,921,451号の実施例6に説明されるように、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサン含有モノマーを組み込む。シアン色粒子C1は、銅フタロシアニン材料(C.I.顔料青色15:3)であり、これは、分散重合によってコーティングされ、米国特許第9,921,451号の実施例7に説明されるように、メチルメタクリレートおよびジメチルシロキサン含有モノマーを組み込む。いくつかの実施形態では、メチルメタクリレート表面ポリマーの組込を伴って、コア黄色顔料として、インクジェット黄色4GC(Clariant)を使用することによって、色域が、改良されることが見出されている。本黄色顔料のゼータ電位は、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEM)モノマーおよびモノメタクリレート末端ポリ(ジメチルシロキサン)の添加を伴って調整され得る。
【0054】
差動電気泳動移動度を促進するための電気泳動媒体の添加物および表面処理、ならびに表面処理と包囲している電荷制御剤および/または遊離ポリマーとの間の相互作用のために提案される機構が、参照することによって、全体として組み込まれる、米国特許第9,697,778号に詳細に議論されている。そのような電気泳動媒体では、種々のタイプの粒子間の相互作用を制御する一方法は、粒子上のポリマーコーティングの種類、量、厚さを制御することによるものである。例えば、粒子-粒子相互作用が、例えば、第3種の第3のタイプの粒子と第4のタイプの粒子との間よりも、第2のタイプの粒子と第3および第4のタイプの粒子との間で少なくなるように、粒子特性を制御するためには、第2のタイプの粒子は、ポリマー表面処理を担持し得る一方、第3および第4のタイプの粒子は、ポリマー表面処理を担持し得ないか、または粒子表面の単位面積あたり、第2のタイプの粒子よりも低い質量被覆率を有するポリマー表面処理を担持し得るかのいずれかである。より一般的には、ハマーカ定数(これは、2つの粒子間のファンデルワールス相互作用の強度の測定値であり、対電位は、ハマーカ定数に比例し、2つの粒子間の距離の6乗に反比例する)および/または粒子間の間隔は、第3種の粒子上のポリマーコーティングの賢明な選定によって調節される必要がある。
【0055】
米国特許第9,921,451号に議論されるように、異なるタイプのポリマーは、異なるタイプのポリマー表面処理を含み得る。例えば、クーロン力の相互作用は、反対荷電粒子の接近の最も近い距離が、立体障壁(典型的には、1つまたは両方の粒子の表面にグラフト化または吸着されるポリマー)によって最大限にされるとき、弱化し得る。ポリマー外殻は、当技術分野において周知であるように、グラフト化処理または化学吸着によって作製される、共有結合されたポリマーであり得る、または粒子表面の上へ物理吸着され得る。例えば、ポリマーは、不溶性および可溶性区画を備える、ブロック共重合体であってもよい。代替として、ポリマー外殻は、これが、電場と、十分な量および種類の電荷制御剤(CCA-後に議論される)との存在下で、顔料粒子と複合される、電気泳動媒体からの遊離ポリマーの緩いネットワークであるという点において、動的であってもよい。したがって、電場の強度および極性に依存して、粒子は、より多くの関連付けられるポリマーを有し、これは、粒子を容器(例えば、マイクロカプセルまたはマイクロセル)および他の粒子と異なるように相互作用させ得る。〔ポリマー外殻の範囲は、熱重量分析(TGA)、すなわち、粒子の乾燥したサンプルの温度が上昇され、熱分解に起因する質量損失が、温度の関数として測定される技法によって、便宜的に評価される。TGAを使用して、ポリマーである、粒子の質量の比率が、測定されることができ、これは、コア顔料およびそれらに取着されるポリマーの既知の密度を使用して、体積分率に変換されることができる。〕その中でポリマーコーティングは、喪失されるが、コア顔料は、留まったままである条件が、見出され得る(これらの条件は、使用される精密なコア顔料粒子に依存する)。様々なポリマーの組み合わせは、
図2A-2Eに関して下記に説明されるように作用するように作製され得る。例えば、いくつかの実施形態では、粒子(典型的には、第1および/または第2の粒子)は、容器(例えば、マイクロセルまたはマイクロカプセル)と著しく相互作用する、共有結合的に取着されたポリマー外殻を有することができる。それと同時に、同一の電荷の他の粒子は、ポリマーコーティングを有しない、または粒子が、容器とより少ない相互作用を有するように、溶液中の遊離ポリマーと複合する。他の実施形態では、粒子(典型的には、第1および/または第2の粒子)は、表面コーティングを有せず、それによって、その粒子が、電荷二重層を形成し、強い場の存在下で、電気泳動移動度の低減を被ることが、より容易となるであろう。
【0056】
その中に4つのタイプ粒子が分散される、流体17は、透明であり、無色である。本流体は、荷電電気泳動粒子を含有し、これは、電場の影響下で、流体を通して移動する。好ましい懸濁流体は、低誘電定数(約2)と、高体積抵抗率(約1015オームcm)と、低粘度(5mPas未満)と、低有毒性および環境的影響と、低水溶性(カプセル化の従来的含水方法が、使用されることになる場合、10ppm(百分率)未満であるが、しかしながら、本要件は、非カプセル化された、または確実なマイクロセルディスプレイに対して緩和されない場合もあることに留意されたい)と、高沸点(約90℃よりも高い)と、低屈折率(1.5未満)とを有する。最後の要件は、高屈折率の散乱(典型的には、白色)顔料の使用から生じ、その散乱効率は、粒子と流体との間の屈折率の不一致に依存する。
【0057】
飽和線形または分岐炭化水素、シリコーン油、ハロゲン化有機溶剤、および低分子量ハロゲン含有ポリマー等の有機溶剤は、いくつかの有用な流体である。流体は、単一の成分から成ってもよい、またはその化学的および物理的性質を調整するために、1つを上回る成分の混成体であってもよい。油溶性モノマー等のマイクロカプセル化処理のための反応物質または溶剤が、(使用される場合)流体中に含有され得る。
【0058】
流体は、好ましくは、高い粒子移動度のために、低粘度と、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電定数とを有する。好適な誘電性流体の実施例は、Isopar(登録商標)等の炭化水素と、デカヒドロナフタレン(DECALIN)と、5-エチリデン-2-ノルボルネンと、脂肪油と、パラフィン油と、シリコン溶液と、トルエン等の芳香族炭化水素と、キシレンと、フェニルキシリルエタンと、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレンと、ペルフルオロデカリン等のハロゲン化溶剤と、ペルフルオロトルエンと、ペルフルオロキシレンと、ジクロロベンゾトリフルオライドと、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオライドと、クロロペンタフルオロ-ベンゼンと、ジクロロノナンまたはペンタクロロベンゼンと、3M Company,St.Paul MNからのFC-43、FC-70、またはFC-5060等のペルフルオロ化溶剤、TCI America,Portland,Oregonからのポリ(ペルフルオロプロピレン酸化物)等の低分子量ハロゲン含有ポリマーと、Halocarbon Product Corp.,River Edge,NJからのHalocarbon Oils等のポリ(クロロトリフルオロ-エチレン)と、AusimontからのGalden等のペルフルオロポリアルキルエーテルまたはDupont,DelawareからのKrytox OilsおよびGreases K-Fluid Series、Dow-corning(DC-200)からのポリジメチルシロキサンベースのシリコーン油とを含む。
【0059】
電気泳動媒体は、典型的には、1つ以上の電荷制御剤(CCA)を含み、電荷導波剤も含み得る。CCAおよび電荷導波剤は、典型的には、低分子量界面活性剤、高分子剤、または1つ以上の成分の混成体を含み、電気泳動粒子上の電荷の符号および/または大きさを安定させる、または別様に修正するための役割を果たす。CCAは、典型的には、イオン基または他の極性基を含む分子であり、以降、頭部基と称される。正または負のイオン頭部基のうちの少なくとも1つは、好ましくは、以降、テール基と称される、非極性鎖(典型的には、炭化水素鎖)に取着される。CCAは、内相内に逆ミセルを形成し、これが、電気泳動流体として典型的に使用される、超非極性流体中の導電率につながる、荷電逆ミセルの小さな集団であると考えられる。
【0060】
CCAの添加は、CCA分子の非極性テール基によって囲繞される、1nm~数十ナノメートルのサイズで変動し得る(かつ球形、円筒形、または他の幾何学形状を有し得る)高度極性コアを含む、逆ミセルの生産を提供する。電気泳動媒体では、3つの位相、すなわち、表面を有する固体粒子と、極めて小さな液滴の形態で分布される、高度極性位相(逆ミセル)と、流体を含む連続相とが、典型的には、区別され得る。荷電粒子および荷電逆ミセルは両方とも、電場の印加に応じて、流体を通して移動し得、したがって、流体(これ自体が、典型的には、0に近いほどにわずかな導電率を有する)を通した電気伝導のための2つの平行経路が存在する。
【0061】
CCAの極性コアは、表面の上への吸着によって、表面上の電荷に影響を及ぼすと考えられる。電気泳動ディスプレイでは、そのような吸収は、逆ミセルに類似する構造を形成するために、電気泳動粒子の表面またはマイクロカプセルの内壁(または、マイクロセルの壁等の他の固相)の上で存在し、これらの構造は、以降、ヘミミセルと称される。イオン対の一方のイオンが、(例えば、共有結合によって)他方より表面により強固に取着されるとき、ヘミミセルと非結合逆ミセルとの間のイオン交換は、より強固に結合されたイオンが、粒子と関連付けられたままであり、あまり強固に結合されていないイオンが、遊離逆ミセルのコアに組み込まれることになる電荷分離につながり得る。
【0062】
CCAの頭部基を形成する、イオン性材料は、粒子(または他の)表面においてイオン対形成を誘発し得ることも可能性として考えられる。したがって、CCAは、2つの基本機能、すなわち、表面における電荷生成および表面からの電荷分離を実施し得る。電荷生成は、CCA分子中に存在する、または別様に逆ミセルコアまたは流体に組み込まれる、いくつかの部分と、粒子表面との間の酸塩基またはイオン交換反応からもたらされ得る。したがって、有用なCCA材料は、そのような反応または当該技術において公知であるような任意の他の電荷反応に加担することが可能であるものである。
【0063】
本発明の媒体内で有用である、電荷制御剤の非限定的分類は、有機硫酸またはスルホン酸塩と、金属石鹸と、ブロックまたは櫛形共重合体と、有機アミドと、有機双性イオンと、有機リン酸およびホスホン酸塩とを含む。有用な有機硫酸およびスルホン酸塩は、限定ではないが、ナトリウムビス(2-エチルへキシル)スルホコハク酸塩と、カルシウムドデシルベンゼンスルホン酸塩と、カルシウム石油スルホン酸塩と、中性または基本バリウムジノニルナフタレンスルホン酸塩と、中性または基本カルシウムジノニルナフタレンスルホン酸塩と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩と、アンモニウムラウリル硫酸とを含む。有用な金属石鹸は、限定ではないが、基本または中性バリウムペトロネートと、カルシウムペトロネートと、コバルトと、カルシウムと、銅と、マンガンと、マグネシウムと、ニッケルと、亜鉛と、アルミニウムと、ナフテン酸、オクタン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、および同等物等のカルボン酸の鉄塩とを含む。有用なブロックまたは櫛形共重合体は、限定ではないが、(A)メチルp-トルエンスルホナートを用いて第4級化される、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのポリマー、および(B)ポリ(2-エチルへキシルメタクリレート)とのABジブロック共重合体と、約1,800の分子量を有し、ポリ(メチルメタクリレート-メタクリル酸)の油溶性アンカー基上にペンダントする、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)の油溶性テールを伴う、櫛形グラフト共重合体とを含む。有用な有機アミド/アミンは、限定ではないが、OLOA 371または1200等のポリイソブチレンスクシンイミド(Chevron Oronite Company LLC,Houston,Tex.から入手可能)、またはSOLSPERSE 17000または19000(Lubrizol,Wickliffe,OHから入手可能:Solsperseは、登録商標である)、およびN-ビニルピロリドンポリマーを含む。有用な有機双性イオンは、限定ではないが、レシチンを含む。有用な有機リン酸およびホスホン酸塩は、限定ではないが、飽和および非飽和酸置換基を伴う、リン酸化モノおよびジ-グリセリドのナトリウム塩を含む。CCAのための有用なテール基は、200~10,000の範囲内の分子量のポリ(イソブチレン)等のオレフィンのポリマーを含む。頭部基は、スルホン酸、リン酸、もしくはカルボン酸、またはアミドであってもよく、または代替として、第1級、第2級、第3級、または第4級アンモニウム基等のアミノ基であってもよい。開示される4粒子電気泳動媒体において有用である、CCAの一分類が、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2017/0097556号に開示されている。そのようなCCAは、典型的には、第4級アミン頭部基と、非飽和ポリマーテールとを含み、すなわち、少なくとも1つのC-C二重結合を含む。ポリマーテールは、典型的には、脂肪酸テールである。様々なCCA分子量が、使用されることができる。いくつかの実施形態では、CCAの分子量は、12,000グラム/モルまたはそれを上回り、例えば、14,000グラム/モル~22,000グラム/モルである。
【0064】
本発明の媒体内で使用される電荷アジュバントは、下記にさらに詳細に説明されるように、電気泳動粒子表面上の電荷にバイアスをかけ得る。そのような電荷アジュバントは、ブレンステッドまたはルイス酸、または塩基であってもよい。例示的電荷アジュバントが、米国特許第9,765,015号、第10,233,339号、および第10,782,586号に開示されており、それらの全てが、参照することによって全体として組み込まれる。例示的アジュバントは、限定ではないが、エチレングリコールと、2,4,7,9-テトラメチルデシン-4,7-ジオールと、ポリ(プロピレングリコール)と、ペンタエチレングリコールと、トリプロピレングリコールと、トリエチレングリコールと、グリセロールと、ペンタエリスリトールと、グリセロールトリス(12-ヒドロキシステアレート)と、プロピレングリセロールモノヒドロキシステアレートと、エチレングリコールモノヒドロキシステアレートとを含む、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する、ポリヒドロキシ化合物を含み得る。同一の分子内で、少なくとも1つのアルコール機能および1つのアミン機能を含有する、アミノアルコール化合物の実施例は、限定ではないが、トリイソプロパノールアミンと、トリエタノールアミンと、エタノールアミンと、3-アミノ-1-プロパノールと、o-アミノフェノールと、5-アミノ-1-ペンタノールと、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンとを含む。いくつかの実施形態では、電荷アジュバントは、粒子質量のグラムあたり約1~約500ミリグラム(「mg/g」)、より好ましくは、約50~約200mg/gの量で、電気泳動ディスプレイ媒体内に存在する。
【0065】
粒子分散安定剤が、粒子凝集またはカプセルもしくは他の壁もしくは表面への取着を防止するために添加されてもよい。電気泳動ディスプレイ内の流体として使用される、典型的な高抵抗液体に関し、非含水界面活性剤が、使用されてもよい。これらは、限定ではないが、グリコールエーテルと、アセチレングリコールと、アルカノールアミドと、ソルビトール誘導体と、アルキルアミンと、第4級アミンと、イミダゾリンと、ジアルキル酸化物と、スルホコハク酸塩とを含む。
【0066】
米国特許第7,170,670号に説明されるように、電気泳動媒体の双安定性は、約20,000を超過する、平均分子量の数値を有する、ポリマーを流体中に含むことによって、改良されることができ、本ポリマーは、本質的に、電気泳動粒子上で非吸収性であり、ポリ(イソブチレン)が、本目的に対する好ましいポリマーである。また、例えば、米国特許第6,693,620号に説明されるように、その表面上に不動化された電荷を伴う粒子は、囲繞する流体中の反対電荷の電気的二重層を構築する。CCAのイオン頭部基は、電気泳動粒子表面上に荷電基を伴う、イオン対であってもよく、不動化された、または部分的に不動化された、荷電種の層を形成し得る。本層の外側には、流体中にCCA分子を備える、荷電(逆)ミセルを備える拡散層が存在する。従来のDC電気泳動では、印加される電場は、固定された表面電荷上に力を、かつ可動対電荷上に相反する力を及ぼし、それによって、滑動が、拡散層内で生じ、粒子が、流体に対して相対的に移動する。滑動平面における電位は、ゼータ電位として公知である。
【0067】
結果として、電気泳動媒体内の粒子タイプのいくつかは、電気泳動媒体を横断して、電場の強度に応じて、異なる電気泳動移動度を有する。例えば、第1の(低強度、すなわち、約±10Vまたはそれを下回る)電場が、電気泳動媒体に印加されるとき、第1のタイプの粒子が、電場に対して相対的に、1つの方向に移動するが、しかしながら、第1の電場と同一の極性を有する、第2の(高強度、すなわち、約±20Vまたはそれを上回る)電場が、印加されるとき、第1のタイプの粒子は、電場に対して相対的に、反対方向に移動し始める。本挙動は、荷電逆ミセルまたは対荷電電気泳動粒子によって媒介されている、高度非極性流体中の伝導からもたらされることが理論化されている。故に、任意の電気化学的に生成された陽子(または他のイオン)は、恐らく、ミセルコア内の非極性流体を通して運搬される、または電気泳動粒子上に吸着される。例えば、米国特許第9,697,778号の
図5Bに図示されるように、正荷電逆ミセルは、反対方向に進行している、負の電気泳動粒子に接近し、逆ミセルが、負荷電粒子の周囲の電気的二重層に組み込まれ得る(電気的二重層は、強化された対イオン濃度を伴う電荷の拡散層、および粒子上にヘミミセル表面吸着コーティングの両方を含み、後者の場合では、逆ミセル電荷は、上記に言及されるように、粒子のゼータ電位を定義する、滑動エンベロープ内の粒子と関連付けられることになるであろう)。本機構を通して、正荷電イオンの電気化学的電流は、電気泳動流体を通して流動し、負荷電粒子は、より正電荷に向かってバイアスをかけられることになり得る。結果として、例えば、粒子の第1の負タイプの電気泳動移動度は、電気化学的電流の大きさと、粒子表面の近くの正電荷の常駐時間との関数であり、これは、電場の強度の関数である。
【0068】
さらに、米国特許第9,697,778号にも説明されるように、正荷電粒子は、印加された電場に応じて、異なる電気泳動移動度も呈するように調製されることができる。いくつかの実施形態では、第2級(または共)CCAは、種々の粒子のゼータ電位を調節するために、電気泳動媒体に添加されることができる。共CCAの精選は、他の粒子のゼータ電位を本質的に不変な状態にしながら、1つの粒子のゼータ電位の改変を可能にし、切替の間の種々の粒子の電気泳動速度、および粒子間の相互作用の両方の綿密な制御を可能にする。
【0069】
いくつかの実施形態では、最終的な配合のために意図される電荷制御剤の一部は、所望のゼータ電位を工学し、強固な電場に起因する、電気泳動移動度の低減に影響を与えるために、電気泳動粒子の合成の間に添加される。例えば、ポリマーグラフト化の間に第4級アミン電荷制御剤を追加することが、ある程度の量のCCAが、粒子に複合されるという結果をもたらすことが観察されている(これは、全ての吸着される種を除去するために、電気泳動流体から粒子を除去し、続いて、THFを伴う顔料から表面種を細片化することによって確認され得る。THF摘出が、1H NMRと評価されるとき、良好な量のCCAが、顔料粒子に吸着された、または表面ポリマーと複合されたことが明確である)。実験は、粒子の表面ポリマー間に充填される、高CCAが、強固な電場の存在下で、粒子の周囲の電荷二重層の形成を促進することを示唆する。例えば、仕上げられたマゼンタ色粒子のグラムあたり200mgを上回る電荷制御剤(CCA)を有する、マゼンタ色粒子は、高い正電場の存在下で、優れた滞留性質を有する(例えば、
図2Cおよび上記説明参照)。いくつかの実施形態では、CCAは、第4級アミン頭部基および脂肪酸テールを含む。いくつかの実施形態では脂肪酸テールは、非飽和である。電気泳動媒体内の粒子のいくつかが、高CCA充填を含むとき、一貫した電気泳動移動度が所望される粒子は、多くのCCA充填を有せず、例えば、仕上げられた粒子のグラムあたり50mg未満の電荷制御剤(CCA)、例えば、仕上げられた粒子のグラムあたり10mg未満の電荷制御剤(CCA)であることが重要である。
【0070】
他の実施形態では、4つのタイプの粒子を含む電気泳動媒体は、Isopar EのSolsperse 17000の存在下で、例えば、ジ-t-ブチルサリチル酸のアルミニウム塩(Bontron E-88、Orient Corporation,Kenilworth,NJから入手可能)等の少量の酸性実体の添加から利益を享受する。酸性材料の添加は、(全てではないが)多くの粒子のゼータ電位をより正の値に移動させる。一実施形態では、(2つの材料の総重量に基づいて)酸性材料の約1%およびSolsperse 17000の99%が、第3のタイプの粒子(Y+)のゼータ電位を-5mVから約+20mVまで移動させる。特定の粒子のゼータ電位が、アルミニウム塩のようなルイス酸性材料によって変化するかどうかは、粒子の表面化学物質の詳細に依存するであろう。
【0071】
表2は、好ましい実施形態における、3つのタイプの着色粒子および唯一の白色粒子の例示的相対ゼータ電位を示す。
【表2】
【0072】
ある実施形態では、負(白色)粒子は、-30mVのゼータ電位を有し、残りの3つの粒子は全て、白色粒子に対して正である。故に、正のシアン色、マゼンタ色、および黄色粒子を備える、ディスプレイは、白色粒子が、視認者に対して最も近くにあり、視認者が、残りの3つの粒子を知覚することを遮断した状態で、黒色状態(全ての着色粒子が、視認表面に対して、白色粒子の前面にある状態)と白色状態を切り替えることができる。対照的に、白色粒子が、0Vのゼータ電位を有するとき、負荷電黄色粒子が、全ての粒子の中で最も負であり、したがって、本粒子を備える、ディスプレイは、黄色状態と青色状態を切り替えるであろう。これは、白色粒子が正荷電である場合でも生じる。しかしながら、正荷電黄色粒子は、そのゼータ電位が、+20mVを超過しない限り、白色粒子よりも正であるであろう。
【0073】
本発明の電気泳動媒体の本挙動は、印加された電場に依存する、(ゼータ電位として表2に表される)白色粒子の移動度と一致する。したがって、表2に例証される実施例では、低電圧を用いてアドレス指定されるとき、白色粒子は、そのゼータ電位が、-30mVである場合と同様に挙動し得るが、より高い電圧を用いてアドレス指定されるとき、そのゼータ電位が、より正であり、恐らく(黄色粒子のゼータ電位に一致する)+20mVと同程度に高い場合と同様に挙動し得る。したがって、低電圧を用いてアドレス指定されるとき、ディスプレイは、黒色状態と白色状態を切り替えるであろうが、より高い電圧でアドレス指定されるとき、青色状態と黄色状態を切り替える。
【0074】
高い(例えば、「±H」、例えば、±20V、例えば、±25V)電場および低い(例えば、「±L」、例えば、±5V、例えば、±10V)電場の存在下における、種々の粒子の動きが、
図2B-2Eに示される。図示の目的のために、破線によって境界を示される各ボックスは、上部光透過性電極21および底部電極22によって結合される、ピクセルを表し、これは、アクティブマトリクスのピクセル電極であり得るが、しかしながら、これはまた、光透過性電極または分割電極等でもあり得る。正の粒子の全てが、視認表面に存在する(公称上、黒色)、第1の状態から始まり、電気泳動媒体は、
図2B-2Eに示されるように、4つの異なる光学状態に駆動されることができる。好ましい実施形態では、これは、白色光学状態(
図2B)、マゼンタ色光学状態(
図2C)、黄色光学状態(
図2D)、および赤色光学状態(
図2E)をもたらす。
図1の残りの4つの光学状態は、
図5の省略表現において示されるように、初期状態の順序および駆動電場を逆転させることによって達成され得ることは明白である。
【0075】
図2Bの場合のように、低い電圧を用いてアドレス指定されるとき、粒子は、負の電圧がバックプレーンに印加される場合のために、矢印によって図示される、相対速度を伴って、その相対ゼータ電位に従って挙動する。したがって、本実施例では、シアン色粒子は、黄色粒子より高速に移動する、マゼンタ色粒子より高速に移動する。第1の(正の)パルスは、粒子がすでに、エンクロージャの壁によって動きを制限されているため、粒子の位置を変更しない。第2の(負)パルスは、着色粒子および白色粒子の位置を交換し、したがって、ディスプレイは、遷移色が着色粒子の相対移動度を反映する状態を伴うが、黒色状態と白色状態を切り替える。開始位置およびパルスの極性を逆転させると、白色から黒色への遷移を可能にする。故に、本実施形態は、プロセス黒色またはプロセス白色のいずれかを介して、複数の色を伴って達成される、他の黒色および白色配合と比較して、より低い電圧を要求する(かつより少ない電力を消費する)、黒色-白色更新を提供する。
【0076】
図2Cでは、第1の(正の)パルスは、マゼンタ色粒子(すなわち、3つの正電荷着色粒子のうち中間の移動度の粒子)の移動度を低減させるために十分である、高い正電圧である。低減された移動度により、マゼンタ色粒子は、本質的に、定位置に凍結したままであり、低電圧の反対方向の後続パルスが、マゼンタ色粒子よりも多く、シアン色、白色、および黄色粒子を移動させ、それによって、マゼンタ色粒子の背後に負の白色粒子を伴った状態で、視認表面において、マゼンタ色を生産する。重要なこととして、開始位置およびパルスの極性が逆転される(視認表面の反対側から、すなわち、電極22を通して、ディスプレイを視認することと同等である)場合、本パルスシーケンスは、緑色(すなわち、黄色およびシアン色粒子の混合物)を生産するであろう。
【0077】
図2Dでは、第1のパルスは、マゼンタ色粒子または白色粒子の移動度を有意に低減させない、低電圧である。しかしながら、第2のパルスは、白色粒子の移動度を低減させる、高い負電圧である。これは、3つの正の粒子間のより効果的な競争を可能にし、それによって、最遅タイプの粒子(本実施例では、黄色)は、その移動が先の負パルスを用いて減少させられた白色粒子の前面に留まったままである。特に、黄色粒子は、粒子を含有する空洞の上部表面まで到達しない。重要なこととして、開始位置およびパルスの極性が、逆転される(視認表面の反対側から、すなわち、電極22を通して、ディスプレイを視認することと同等である)場合、本パルスシーケンスは、青色(すなわち、マゼンタ色およびシアン色粒子の混合物)を生産するであろう。
【0078】
最後に、
図2Eは、両方のパルスが、高い電圧であるとき、マゼンタ色粒子の移動度が、第1の高い正パルスによって低減され、シアン色および黄色間の競争が、第2の高い負パルスによって引き起こされる、白色の移動度の低減によって強化されるであろう。これは、赤色を生産する。重要なこととして、開始位置およびパルスの極性が、逆転される(視認表面の反対側から、すなわち、電極22を通して、ディスプレイを視認することと同等である)場合、本パルスシーケンスは、シアン色を生産するであろう。
【0079】
高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルは、隣接ピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス指定可能でなければならない。本目的を達成するための1つの方法は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産するために、各ピクセルと関連付けられた少なくとも1つの非線形要素を伴う、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することである。1つのピクセルをアドレス指定する、アドレス指定またはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、本配列は、以下の説明において仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的ピクセルが、1つの規定された行および1つの規定された列の交差点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配列される。各列内の全トランジスタのソースは、単一列電極に接続される一方、各行内の全トランジスタのゲートは、単一行電極に接続される。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割当は、従来のものであるが、本質的に、恣意的であり、所望に応じて、逆転され得る。行電極は、行ドライバに接続され、これは、本質的に、任意の所与の瞬間において、1つのみの行が選択される、すなわち、選択された行内の全トランジスタが伝導性であることを確実にするような選択電圧が選択された行電極に印加される一方、これらの非選択された行内の全トランジスタが非伝導性のままであることを確実にするように、非選択電圧が全ての他の行に印加されることを確実にする。列電極は、列ドライバに接続され、これは、種々の列電極上に、選択された行内のピクセルをその所望の光学状態に駆動するように選択された電圧をかける(前述の電圧は、従来、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、全体的ディスプレイを横断して延在する、共通フロント電極に対して相対的なものである)。「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。本プロセスは、ディスプレイ全体が行毎様式で書き込まれるように繰り返される。
【0080】
従来、各ピクセル電極は、ピクセル電極およびコンデンサ電極がコンデンサを形成するように、それと関連付けられたコンデンサ電極を有する。例えば、国際特許出願第WO01/07961号を参照されたい。いくつかの実施形態では、N型半導体(例えば、非晶質シリコン)が、トランジスタを形成するために使用されてもよく、ゲート電極に印加される「選択」および「非選択」電圧は、それぞれ、正および負であることができる。
【0081】
付随の図面の
図3は、電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を描写する。図示されるように、回路は、ピクセル電極とコンデンサ電極との間に形成される、コンデンサ10を含む。電気泳動媒体20は、並列のコンデンサおよび抵抗器として表される。いくつかの事例では、ピクセルと関連付けられたトランジスタのゲート電極とピクセル電極との間の直接または間接結合静電容量30(通常、「寄生静電容量」と称される)は、望ましくない雑音をディスプレイにもたらし得る。通常、寄生静電容量30は、貯蔵コンデンサ10のものよりはるかに小さく、ディスプレイのピクセル行が、選択または選択解除されるとき、寄生静電容量30は、「キックバック電圧」としても知られる、わずかな負のオフセット電圧をピクセル電極にもたらし得、これは、通常、2ボルト未満である。いくつかの実施形態では、望ましくない「キックバック電圧」を補償するために、V
comがキックバック電圧(V
KB)と等しい値に設定されるとき、ディスプレイに供給される全ての電圧が、同一量だけオフセットされ、正味DC非平衡が被られ得ないように、共通電位V
comが、各ピクセルと関連付けられたトッププレーン電極およびコンデンサ電極に供給されてもよい。
【0082】
しかしながら、Vcomがキックバック電圧に対して補償されない電圧に設定されるとき、問題が生じ得る。これは、バックプレーン単独から利用可能なものより高い電圧をディスプレイに印加することが所望されるときに生じ得る。例えば、ディスプレイに印加される最大電圧は、バックプレーンが、例えば、公称+V、0、または-Vの選択肢を供給される一方、Vcomが-Vを供給される場合、2倍にされてもよいことが、当技術分野において周知である。本場合に被られる最大電圧は、+2V(すなわち、トッププレーンに対して相対的にバックプレーンにおいて)である一方、最小電圧は、ゼロである。負電圧が必要とされる場合、Vcom電位は、少なくともゼロまで上昇されなければならない。トッププレーン切替を使用して、正および負電圧でディスプレイをアドレス指定するために使用される波形は、したがって、1つを上回るVcom電圧設定のそれぞれに配分される特定のフレームを有していなければならない。
【0083】
4つの粒子を有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形のセットが、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第9,921,451号に説明されている。米国特許第9,921,451号では、7つの異なる電圧が、ピクセル電極に印加される、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロである。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの波形において使用される最大電圧は、非晶質シリコン薄膜トランジスタによって扱われ得るものより高い。そのような事例では、好適な高電圧は、トッププレーン切替の使用によって取得されることができる。(上記に説明されるように)Vcomが、VKBに計画的に設定されるとき、別個の電力供給源が、使用されてもよい。しかしながら、トッププレーン切替が使用されるとき、Vcom設定と同数の別個の電力供給源を使用することは、コストがかかり、かつ不便である。さらに、トッププレーン切替は、キックバックを増加させ、それによって、色状態の安定性を劣化させることが知られている。
【0084】
ディスプレイデバイスは、先行技術において公知である、いくつかの方法において、本発明の電気泳動流体を使用して構築されてもよい。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層でシールされてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを担持するプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたはエンボス加工されてもよい。本アセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を担持するバックプレーンにラミネートされてもよい。代替として、電気泳動流体は、ピクセル電極のアクティブマトリクスを含む、バックプレーン上に配列されている、薄い連続セルグリッド上に直接分注されてもよい。充填されたグリッドは、次いで、統合される保護用シート/光透過性電極とともに上部シールされ得る。
【0085】
図4は、本発明と併用するために好適なディスプレイ構造200の概略断面図面(縮尺通りではない)を示す。ディスプレイ200では、電気泳動流体が、マイクロセルに閉じ込められるように図示されているが、マイクロカプセルを組み込む、同等構造も使用され得る。ガラスまたはプラスチックであり得る、基板202は、個々にアドレス指定される区画であるか、またはアクティブマトリクス配列内の薄膜トランジスタと関連付けられるかのいずれかである、ピクセル電極204を担持する(基板202と電極204との組み合わせは、従来の方法では、ディスプレイのバックプレーンと称される)。層206は、バックプレーンに適用される、本発明による、随意の誘電体層である(好適な誘電体層を堆積する方法が、参照することによって組み込まれる、米国特許出願第16/862,750号に説明される)。ディスプレイのフロントプレーンは、透明な導電性コーティング220を担持する、透明な基板222を備える。覆っている電極層220は、随意の誘電体層218である。層(または複数の層)216は、透明な電極層220へのマイクロセルの接着のためのプライマ層を備え得る、ポリマー層であり、いくつかの残留ポリマーは、マイクロセルの底部を構成する。マイクロセル212の壁は、電気泳動流体214を含有するために使用される。マイクロセルは、層210とともにシールされ、フロントプレーン構造全体が、導電性接着剤層208を使用して、バックプレーンに接着される。マイクロセルを形成するためのプロセスが、先行技術において、例えば、米国特許第6,930,818号に説明されている。いくつかの事例では、マイクロセルは、深さ20μm未満、例えば、深さ15μm未満、例えば、深さ12μm未満、例えば、深さ約10μm、例えば、深さ約8μmである。
【0086】
大部分の商業用電気泳動ディスプレイは、加工設備のより幅広い可用性および種々の出発材料の費用のために、アクティブマトリクスバックプレーン(202/024)の構築において、非晶質シリコンベースの薄膜トランジスタ(TFT)を使用する。残念ながら、非晶質シリコン薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切替を可能にするであろうゲート電圧を供給されるとき、不安定になる。それにもかかわらず、下記に説明されるように、ACePの性能は、高い正電圧および負電圧の大きさが、+/-15Vを超過することを可能にされるときに改良される。故に、先の開示に説明されるように、トッププレーン切替としても公知である、バックプレーンピクセル電極上のバイアスに対する、上部光透過性電極のバイアスを付加的に変更することによって、改良された性能が、達成される。したがって、(バックプレーン対して相対的に)+30Vの電圧が、必要とされる場合、トッププレーンは、-15Vに切り替えられ得る一方、適切なバックプレーンピクセルが、+15Vに切り替えられる。トッププレーン切替を用いて、4粒子電気泳動システムを駆動するための方法が、例えば、米国特許第9,921,451号により詳細に説明されている。
【0087】
これらの波形は、ディスプレイの各ピクセルが、+Vhigh、+Vlow、0、-Vlow、および-Vhighとして指定され、30V、15V、0、-15V、および-30Vとして図示される、5つの異なるアドレス指定電圧において駆動され得ることを要求する。実際は、より多数のアドレス指定電圧を使用することが好ましくあり得る。3つの電圧(すなわち、+Vhigh、0、および-Vhigh)のみが、利用可能である場合、電圧Vhighのパルスを伴うが、1/nのデューティサイクルを伴う、アドレス指定によって、より低い電圧(例えば、Vhigh/nであり、nは、正の整数>1である)におけるアドレス指定と同一結果を達成することが可能であり得る。
【0088】
図5は、上記に説明される、4粒子カラー電気泳動ディスプレイシステムを駆動するために使用される、(簡略化された形態での)典型的な波形を示す。そのような波形は、「プッシュプル」構造を有し、すなわち、それらは、反対極性の2つのパルスを備える、双極子から成る。これらのパルスの大きさおよび長さは、取得される色を決定する。最低限、5つのそのような電圧レベルが存在するべきである。
図5は、高いおよび低い正電圧および負電圧ならびにゼロボルトを示す。典型的には、「低い」(L)は、約5~15Vの範囲を指す一方、「高い」(H)は、約15~30Vの範囲を指す。一般に、「高い」電圧の大きさが高くなればなるほど、ディスプレイによって達成される色域は、より良好になる。いくつかの実施形態では、付加的な「中程度」(M)レベルが使用され、これは、典型的には、約15Vであるが、しかしながら、Mに対する値は、幾分、粒子の組成、ならびに電気泳動媒体の環境に依存するであろう。
【0089】
図5は、色を形成するために要求される、最も単純な双極子を示すが、実践的な波形は、これらのパターンの複数回の繰り返し、または非周期的である他のパターンであり、5つを上回る電圧レベルを使用し得ることが理解されるであろう。
【0090】
当然ながら、
図5の駆動パルスを用いて、所望の色を達成することは、既知の状態からプロセスを開始する、粒子次第であり、これは、ピクセル上に表示される、最後の色である可能性は低い。故に、一連のリセットパルスが、駆動パルスに先行し、これは、第1の色から第2の色にピクセルを更新するために要求される時間量を増加させる。リセットパルスは、参照することによって組み込まれる、米国特許第10,593,272号により詳細に説明されている。これらのパルス(リフレッシュおよびアドレス指定)および残りの長さ(すなわち、それらの間のゼロ電圧の周期)は、波形全体(全体波形にわたる時間に対する電圧の積分)がDC平衡される(すなわち、経時的電圧の積分は、実質的にゼロである)ように選定されてもよい。DC平衡は、リセット相内で供給される正味インパルスが、アドレス相(その相の間、ディスプレイが、特定の所望の色に切り替えられる)内で供給される正味インパルスと大きさが等しく、符号が反対であるように、リセット相内のパルスおよびレストの長さを調節することによって達成されることができる。しかしながら、
図2B-2Eに示されるように、8つの原色のための開始状態は、持続される低電圧駆動パルスを用いて達成され得る、黒色または白色状態のいずれかである。本開始状態を達成することの単純性はさらに、状態間の更新時間を低減し、これは、ユーザにとってより満足のいくものであり、消費される電力量も低減する(したがって、バッテリ寿命を増加させる)。
【0091】
加えて、波形の前述の議論、具体的には、DC平衡の議論は、キックバック電圧の問題点を無視している。実際は、前述のように、全てのバックプレーン電圧は、キックバック電圧VKBと等しい量だけ、電力供給源によって供給される電圧からオフセットされる。したがって、使用される電力供給源が、3つの電圧+V、0、および-Vを提供する場合、バックプレーンは、実際には、電圧V+VKB、VKB、および-V+VKBを受信するであろう(VKBは、非晶質シリコンTFTの場合、通常、負の数であることに留意されたい)。しかしながら、同一電力供給源は、任意のキックバック電圧オフセットを伴わずに、+V、0、および-Vをフロント電極に供給するであろう。したがって、例えば、フロント電極が、-Vを供給されるとき、ディスプレイは、最大電圧2V+VKBおよび最小電圧VKBを被るであろう。コストがかかり、不便であり得る、別個の電力供給源を使用して、VKBをフロント電極に供給する代わりに、波形は、フロント電極が、正電圧、負電圧、およびVKBを供給される、区分に分割されてもよい。キックバックに加えて、
【0092】
(実施例)
(実施例1-印加電圧の関数として、色密度の変化率を測定する)
本発明の利益が、実験的に確認されている。特に、
図4の構造に類似する、2つのディスプレイが調製され、一方のディスプレイのマイクロセルは、白色、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子を含む、配合で充填され、(低印加電圧で測定されるような)ゼータ電位は、それぞれ、-35mV、+70mV、+54mV、および-22mVであった。第2のディスプレイは、白色、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子を含む、配合で充填された、マイクロセルを有し、(低印加電圧で測定されるような)ゼータ電位は、それぞれ、-35mV、+70mV、-54mV、および+24mVであった。(負および正の両方の黄色の配合に対して働く)
図5のパルスシーケンスを使用しながら、分光光度計を含む、電気光学測定ベンチを使用して、密度の変化率が、評価された。D. Hertel,「Optical measurement standards for reflective e-paper to predict colors displayed in ambient illumination environments,」 Color Research & Application, 43, 6, (907-921) (2018年)を参照されたい。
【0093】
図6Aは、500ms持続時間のパルスが、x軸上に示される電圧で印加されたとき、第1のディスプレイ内の正の粒子のそれぞれに対応する、光学密度の最大変化率を示す。
図7Aは、500ms持続時間のパルスが、x軸上に示される電圧で印加されたとき、第2のディスプレイ内の正の粒子のそれぞれに対応する、光学密度の最大変化率を示す。電圧の大きさが、増加されるにつれて、全ての粒子に対する密度の最大変化率は、約+/-20Vの印加電圧において、変化率が減少するまで、増加することが分り得る。興味深いことに、本変化率の変化は、黄色粒子が、正荷電または負荷電であるかどうかにかかわらず、生じ、表2に提示される、例示的数値と一致する。波形が、シアン色およびマゼンタ色粒子に対して、正常に、印加された電圧の関数として、ほぼ同一の最大変化率を送達する一方、黄色粒子に対する曲線が、
図7Aに比べて、
図6Aにおいてはるかに平坦であることは注目に値し、これは、正の黄色粒子と比較して、所望の光学状態を達成するために、他の粒子の間の適切な順序に、負の黄色粒子を「設置」することがより困難であることを意味する。
【0094】
正の黄色と対比した、負の黄色の制御の差異は、正の黄色粒子を有するディスプレイと比較して、負の黄色粒子を含むディスプレイに対する、より黄色な白色状態において顕現する。
図6Bおよび7Bでは、電圧が、x軸上に示され、時間が、y軸上に示され、取得される色が、プロットされている。黄色粒子が、負電荷を有するとき(
図6A)、組成は、約+/-7~+/-10ボルトの狭い電圧範囲内でアドレス指定されたときのみ(破線枠参照)、黒色と白色を切り替える。しかしながら、黄色粒子が、正荷電であるとき(
図7A)、ディスプレイは、約+/-7から約+/-24Vまで、黒色および白色をレンダリングし得る(破線枠参照)。故に、正荷電の黄色粒子を含む電気泳動媒体は、電子書籍読取機または予定表等の黒色および白色ピクセルの間で定期的な更新を要求する、用途に対して優れている。すなわち、その中でディスプレイが、黒色と白色状態を切り替える、アドレス指定されている電圧のはるかにより広い窓が存在する。さらに、表2に関して述べられるように、黄色粒子が、ある閾値電圧を上回って、負荷電である場合、ディスプレイは、黒色と白色を単純に切り替えず、むしろ黄色と青色状態を切り替えるであろう。
【0095】
(実施例2-正の黄色粒子を含む電気泳動媒体の色域)
8つの原色状態を超える、複数の光学状態が、より長い、かつより複雑な波形を用いて、ディスプレイを駆動し、分光光度電気光学検査ベンチを使用して、L*a*b*値を測定することによって、実施例1の第2のディスプレイに対して測定された。測定値は、
図8に示されるように、数万の色域が、優秀な黒色白色コントラスト比を伴うことを示唆する。
【0096】
したがって、本発明は、高品質な白色および黒色状態間の高速切替のためのフルカラー電気泳動媒体を提供する。これまで、本願の技術のいくつかの側面および実施形態が説明されたが、種々の改変例、修正例、および改良例が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変例、修正例、および改良例は、本願に説明される技術の精神および範囲内であるように意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、ならびに/もしくは結果および/または利点のうちの1つ以上を取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例はそれぞれ、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、単なる日常的実験を使用して、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、またはそれを確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、一例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されるものと別様に実践されてもよいことを理解されたい。加えて、本明細書に説明される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。