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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】部品移載装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240822BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023522030
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018715
(87)【国際公開番号】W WO2022244086
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知也
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/001627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H05K 13/04
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の部品が配置された部品配置エリアを有する部品供給部と、
前記部品配置エリアの上方空間における所定のヘッド移動エリア内をヘッド移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、ヘッドカメラが搭載され、前記部品配置エリアにおいて前記部品をピッキングするヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットの前記ヘッド移動軸に沿った移動量を検出するヘッド移動量検出部と、
前記部品配置エリアの上方空間における所定のカメラ移動エリア内をカメラ移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、前記部品配置エリアにおいて前記部品を撮像する部品カメラを有するカメラユニットと、
前記カメラユニットの前記カメラ移動軸に沿った移動量を検出するカメラ移動量検出部と、
前記ヘッド移動エリアと前記カメラ移動エリアとが重なり合う共通エリアの下方における所定位置に配置され、前記ヘッドカメラ及び前記部品カメラの各々が認識可能なマークが付されたマーク部と、
前記ヘッドユニットの移動、及び前記カメラユニットの移動を制御する移動制御部と、
前記移動制御部による制御を補正するためのデータを作成する補正データ作成部と、を備え、
前記移動制御部は、前記補正データ作成部がデータを作成する場合に、前記マーク部の上方の位置に前記ヘッドカメラが配置されるように前記ヘッドユニットの移動を制御すると共に、前記マーク部の上方の位置に前記部品カメラが配置されるように前記カメラユニットの移動を制御し、
前記補正データ作成部は、
前記ヘッドユニットの移動によって前記マーク部の上方の位置に配置された前記ヘッドカメラによる前記マークの撮像で得られた第1マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第1マーク位置認識データを生成すると共に、前記カメラユニットの移動によって前記マーク部の上方の位置に配置された前記部品カメラによる前記マークの撮像で得られた第2マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第2マーク位置認識データを生成するマーク位置認識処理と、
前記ヘッドカメラによる前記マークの撮像に対応した前記ヘッドユニットの移動時に前記ヘッド移動量検出部により取得されたヘッド移動量データに基づく前記ヘッドユニットの移動位置を示すヘッド位置データと、前記第1マーク位置認識データとが一致するように、前記ヘッド移動軸の歪みを補正するためのヘッド軸補正データを作成するヘッド軸補正処理と、
前記部品カメラによる前記マークの撮像に対応した前記カメラユニットの移動時に前記カメラ移動量検出部により取得されたカメラ移動量データに基づく前記カメラユニットの移動位置を示すカメラ位置データと、前記第2マーク位置認識データとが一致するように、前記カメラ移動軸の歪みを補正するためのカメラ軸補正データを作成するカメラ軸補正処理と、
前記ヘッド軸補正処理及び前記カメラ軸補正処理の後に、前記第1マーク位置認識データと前記第2マーク位置認識データとが一致するように、前記ヘッド移動軸と前記カメラ移動軸との間の平行ずれを補正するための平行ずれ補正データを作成する平行ずれ補正処理と、を行う、部品移載装置。
【請求項2】
前記補正データ作成部は、前記ヘッド軸補正処理及び前記カメラ軸補正処理と、前記平行ずれ補正処理とのそれぞれに対応して前記マーク位置認識処理を行い、
前記移動制御部は、前記補正データ作成部が前記平行ずれ補正処理に対応して前記マーク位置認識処理を行う場合には、
前記マーク部の上方の位置に前記ヘッドカメラが配置されるように、前記ヘッドユニットの移動量を前記ヘッド軸補正データに基づき補正した状態で前記ヘッドユニットの移動を制御し、
前記マーク部の上方の位置に前記部品カメラが配置されるように、前記カメラユニットの移動量を前記カメラ軸補正データに基づき補正した状態で前記カメラユニットの移動を制御する、請求項に記載の部品移載装置。
【請求項3】
前記部品配置エリアの下方において突き上げ移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、前記ヘッドユニットによるピッキング対象の前記部品を下方から突き上げる突き上げピンを有する突き上げユニットと、
前記突き上げユニットの前記突き上げ移動軸に沿った移動量を検出する突き上げ移動量検出部と、を更に備え、
前記移動制御部は、前記ヘッドユニット及び前記カメラユニットに加えて前記突き上げユニットの移動を制御するように構成され、
前記補正データ作成部は、
前記移動制御部の制御によって前記カメラユニットの移動に連動して前記突き上げユニットが移動している状態において、前記部品カメラによる前記突き上げピンの撮像で得られたピン画像データに基づいて、前記突き上げユニットの移動時における前記突き上げピンの位置の認識結果を示すピン位置認識データを生成するピン位置認識処理を行い、
前記カメラユニットの移動に連動した前記突き上げユニットの移動時に前記突き上げ移動量検出部により取得された突き上げ移動量データに基づく前記突き上げユニットの移動位置を示す突き上げ位置データと、前記ピン位置認識データとが一致するように、前記突き上げ移動軸の歪みを補正するための突き上げ軸補正データを作成する突き上げ軸補正処理を行う、請求項に記載の部品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品配置エリアから部品をピッキングするヘッドユニットと、前記部品配置エリアにおいて部品を撮像するカメラユニットとを備えた部品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシングされたウェハからダイ(部品)をピックアップして基板に実装する部品実装装置が知られている。この部品実装装置では、ウェハ供給機によって機内の所定位置(部品配置エリア)に搬入されたウェハにおける部品を、カメラユニットが撮像して部品認識を行い、次いで部品の吸着保持機能を備えたヘッドユニットで部品をピッキングするという動作が繰り返される。つまり、カメラユニットがカメラ移動軸に沿って水平方向に移動して部品を撮像することによりヘッドユニットによる吸着保持対象の部品の位置が認識され、その認識された位置に向けてヘッドユニットがヘッド移動軸に沿って水平方向に移動して部品のピッキングを行う。従って、ヘッドユニットによる部品の吸着ミス等の不具合の発生を抑制するためには、カメラユニットの撮像による部品認識時におけるカメラユニットの移動位置と、ヘッドユニットの移動位置とが一致している必要がある。
【0003】
特許文献1には、ヘッドユニット及びカメラユニットの移動の制御を補正するためのデータを作成する技術が開示されている。この技術では、ヘッドユニット及びカメラユニットの座標系の相関関係を示す相関データを作成する。そして、カメラユニットにより認識された部品の位置にヘッドユニットを移動させるときの移動量を、相関データに基づいて補正する。これにより、カメラユニットにより認識された部品の位置にヘッドユニットを的確に移動させることができる。
【0004】
しかし、ヘッド移動軸とカメラ移動軸との間に平行ずれが生じる場合がある。この場合、特許文献1の技術では、カメラユニットの部品認識時の移動位置とヘッドユニットの移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-10167号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、部品配置エリアから部品をピッキングするヘッドユニットと、前記部品配置エリアにおいて部品を撮像するカメラユニットとを備えた部品移載装置において、ヘッドユニット及びカメラユニットの移動位置の位置ずれを抑制することである。
【0007】
本発明の一の局面に係る部品移載装置は、複数個の部品が配置された部品配置エリアを有する部品供給部と、前記部品配置エリアの上方空間における所定のヘッド移動エリア内をヘッド移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、ヘッドカメラが搭載され、前記部品配置エリアにおいて前記部品をピッキングするヘッドユニットと、前記部品配置エリアの上方空間における所定のカメラ移動エリア内をカメラ移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、前記部品配置エリアにおいて前記部品を撮像する部品カメラを有するカメラユニットと、前記ヘッド移動エリアと前記カメラ移動エリアとが重なり合う共通エリアの下方における所定位置に配置され、前記ヘッドカメラ及び前記部品カメラの各々が認識可能なマークが付されたマーク部と、前記ヘッドユニットの移動、及び前記カメラユニットの移動を制御する移動制御部と、前記移動制御部による制御を補正するためのデータを作成する補正データ作成部と、を備える。前記補正データ作成部は、前記ヘッドカメラによる前記マークの撮像で得られた第1マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第1マーク位置認識データを生成すると共に、前記部品カメラによる前記マークの撮像で得られた第2マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第2マーク位置認識データを生成するマーク位置認識処理を行う。また、前記補正データ作成部は、前記第1マーク位置認識データと前記第2マーク位置認識データとに基づいて、前記ヘッド移動軸と前記カメラ移動軸との間の平行ずれを補正するための平行ずれ補正データを作成する平行ずれ補正処理を行う。
【0008】
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る部品実装装置の全体構成を示す、上面視の平面図である。
図2】ヘッドユニット及び突き上げユニットを示す概略斜視図である。
図3】ヘッドユニット及びカメラユニットの移動エリアを示す図である。
図4】部品実装装置の制御構成を示すブロック図である。
図5】制御部が部品吸着搭載制御を実行したときのヘッドユニット、カメラユニット及び突き上げユニットの動作を示す図である。
図6】制御部が第1補正データ生成制御を実行したときのヘッドユニット及びカメラユニットの動作を示す図である。
図7】制御部が第1補正データ生成制御を実行したときの補正データ作成部におけるマーク位置認識処理、位置演算処理を説明するための図である。
図8】制御部が第1補正データ生成制御を実行したときの補正データ作成部における平行ずれ補正処理を説明するための図である。
図9】制御部が第1補正データ生成制御を実行したときの補正データ作成部におけるヘッド軸補正処理、カメラ軸補正処理を説明するための図である。
図10】制御部が第2補正データ生成制御を実行したときのカメラユニット及び突き上げユニットの動作を示す図である。
図11】制御部が第2補正データ生成制御を実行したときの補正データ作成部におけるピン位置認識処理、突き上げ位置演算処理、突き上げ軸補正処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向及びY方向は水平面上において互いに直交し、Z方向がX方向及びY方向の両方向と直交する鉛直方向に延びる方向である。また、X方向の一方側を「+X側」と称し、X方向の一方側とは反対の他方側を「-X側」と称する。同様に、Y方向の一方側を「+Y側」と称し、Y方向の一方側とは反対の他方側を「-Y側」と称する。
【0011】
本発明に係る部品移載装置は、例えばウェハからダイシングされたダイをテープに収容するテーピング装置、前記ダイを基板にワイヤボンディングするダイボンダ、或いは前記ダイを基板に実装する部品実装装置などの各種装置に適用することができる。ここでは、本発明の部品移載装置が、部品実装装置に適用される例について説明する。
【0012】
[部品実装装置の全体構成]
図1に示されるように、本実施形態に係る部品実装装置1は、ウェハ7からダイシングされたダイ7a(部品)を基板P(所定の部品移載部)に搭載(実装)する装置である。図1及び図2に示されるように、部品実装装置1は、基台2、コンベア3、ヘッドユニット4、部品供給部5、ウェハ供給装置6、カメラユニット32U及び突き上げユニット40を含む。
【0013】
基台2は、部品実装装置1が備える各種の機器の搭載ベースである。コンベア3は、基台2上にX方向に延びるように設置された、基板Pの搬送ラインである。コンベア3は、機外から所定の搭載作業位置に基板Pを搬入し、搭載作業後に基板Pを前記搭載作業位置から機外へ搬出する。コンベア3は、基板Pを前記搭載作業位置で保持する図略のクランプ機構を有する。なお、図1中に基板Pが示されている位置が、前記搭載作業位置である。
【0014】
部品供給部5は、複数個のダイ7aを、ウェハ7からダイシングされた配置状態で供給する。部品供給部5は、複数個のダイ7aに分割されたウェハ7をパレット8に保持された状態で、ウェハステージ10(部品配置エリア)に供給するウェハ供給装置6を備える。ウェハ7は、円盤形状の半導体ウェハであって、回路パターン等が既に形成されている。パレット8は、ウェハシート8aを保持している。ウェハシート8aには、ウェハ7を碁盤目状にダイシングされて形成された多数のダイ7a,7a…の集合体が貼着されている。つまり、ウェハ供給装置6は、複数個のダイ7aがウェハシート8aに貼着された状態のウェハ7をパレット8に保持された状態でウェハステージ10に供給する。なお、部品供給部5は、ウェハ供給装置6に加えて、電子部品を収容した部品収容テープの形態で部品供給するテープフィーダを備えていても良い。
【0015】
ウェハ供給装置6は、ウェハ収納エレベータ9、ウェハステージ10及びウェハコンベア11を含む。ウェハ収納エレベータ9は、複数個のダイ7aがウェハシート8aに貼着された状態のウェハ7をパレット8に保持された状態で、上下多段に収納している。ウェハステージ10は、ウェハ収納エレベータ9の-Y側の位置において、基台2上に設置されている。基板Pの停止位置となる前記搭載作業位置に対して、ウェハステージ10は+Y側に並ぶ位置に配置されている。本実施形態では、ダイシングされたウェハ7が基台2上で配置されるエリアとなるウェハステージ10が、部品配置エリアとなる。ウェハコンベア11は、ウェハ収納エレベータ9からウェハステージ10上にパレット8を引き出す。
【0016】
ヘッドユニット4は、ウェハステージ10においてダイ7aをウェハ7から取出してピッキングし、上記搭載作業位置へ移動すると共に、基板Pにダイ7aを搭載する。ヘッドユニット4は、前記ピッキングの際にダイ7aを吸着して保持し、基板Pへの搭載の際に保持しているダイ7aをリリースする複数のヘッド4Hを備える。ヘッド4Hは、ヘッドユニット4に対するZ方向への進退(昇降)移動と、軸回りの回転移動とが可能である。ヘッドユニット4には、基板Pを撮像するヘッドカメラ31が搭載されている。ヘッドカメラ31の撮影画像より、基板Pに付されたフェデューシャルマークが認識される。これにより基板Pの位置ずれが認識され、基板Pに対する部品の搭載時に前記位置ずれの補正が為される。
【0017】
基台2には、部品認識カメラ30が据え付けられている。部品認識カメラ30は、ヘッドユニット4のヘッド4Hに吸着されているダイ7aを、基板Pへの搭載の前に下側から撮像する。この撮像画像に基づいて、ヘッド4Hによるダイ7aの吸着異常や吸着ミス等が判定される。
【0018】
部品実装装置1は、ヘッドユニット4を、少なくともウェハステージ10と前記搭載作業位置で保持された基板Pとの間の上方空間を、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能とする第1駆動機構D1を備える。第1駆動機構D1は、ヘッドユニット4のY方向の移動機構として、それぞれ+X側及び-X側で一対のY軸固定レール13、ヘッドY軸サーボモータ14及びヘッドY移動軸15を備える。一対のY軸固定レール13は、基台2上に固定され、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行にY方向に延びている。ヘッドY移動軸15は、Y軸固定レール13に近接する位置においてY方向に延びるように配設されているボールねじ軸である。ヘッドY軸サーボモータ14は、ヘッドY移動軸15を回転駆動する。一対のY軸固定レール13間には、ヘッドユニット4を支持する支持フレーム16が架設されている。支持フレーム16の+X側端部及び-X側端部には、各ヘッドY移動軸15に螺合されるナット17が組付けられている。
【0019】
第1駆動機構D1は、ヘッドユニット4のX方向の移動機構として、支持フレーム16に搭載された図略のガイド部材、ヘッドX軸サーボモータ18及びヘッドX移動軸19を備える。前記ガイド部材は、ヘッドユニット4のX方向の移動をガイドする部材であり、支持フレーム16の+Y側の面においてX方向に延びるように固定されている。ヘッドX移動軸19は、前記ガイド部材に近接して、X方向に延びるように配設されているボールねじ軸である。ヘッドX軸サーボモータ18は、ヘッドX移動軸19を回転駆動する。ヘッドユニット4には図略のナットが付設され、当該ナットはヘッドX移動軸19に螺合されている。
【0020】
以上の構成を備える第1駆動機構D1によれば、ヘッドY軸サーボモータ14が作動してヘッドY移動軸15が回転駆動されることにより、ヘッドユニット4が支持フレーム16と一体にY方向に移動する。また、ヘッドX軸サーボモータ18が作動してヘッドX移動軸19が回転駆動されることにより、ヘッドユニット4が支持フレーム16に対してX方向に移動する。
【0021】
図3に示されるように、ヘッドユニット4は、部品供給部5のウェハステージ10の上方空間における所定のヘッド移動エリアA1内を、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19に沿って水平方向に移動可能である。なお、ヘッド移動エリアA1は、Y方向に延びるヘッドY移動軸15と、X方向に延びるヘッドX移動軸19との架設範囲に対応したエリアである。ヘッド移動エリアA1は、Y方向において、ウェハステージ10の上方空間から、コンベア3上を通って部品認識カメラ30の上方空間に至るサイズを有している。ヘッド移動エリアA1を区画するヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19は、ヘッドユニット4が移動するときのXY座標系を規定する。つまり、ヘッドユニット4の移動位置は、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19によって規定されるXY座標系のXY座標で表すことができる。
【0022】
なお、ヘッドY軸サーボモータ14には、エンコーダ等から構成されるヘッドY移動量検出部14A(図4)が設けられている。ヘッドY移動量検出部14Aは、ヘッドY軸サーボモータ14の駆動量を検知することにより、ヘッドユニット4のヘッドY移動軸15に沿ったY方向への移動量を検出する。同様に、ヘッドX軸サーボモータ18には、エンコーダ等から構成されるヘッドX移動量検出部18A(図4)が設けられている。ヘッドX移動量検出部18Aは、ヘッドX軸サーボモータ18の駆動量を検知することにより、ヘッドユニット4のヘッドX移動軸19に沿ったX方向への移動量を検出する。ヘッドY移動量検出部14A及びヘッドX移動量検出部18Aによるヘッドユニット4の移動量の検出結果に基づいて、ヘッドユニット4の理論上の移動位置(XY座標系のXY座標)を求めることができる。
【0023】
カメラユニット32Uは、X方向及びY方向に移動可能なユニットであって、ウェハカメラ32(部品カメラ)を備えている。ウェハカメラ32は、ウェハステージ10上に位置決めされたウェハ7の一部分、つまりカメラ視野内のダイ7aを撮像する。この撮像画像に基づいて、ピックアップ対象のダイ7aの位置認識が為される。部品実装装置1は、カメラユニット32Uを、少なくともウェハステージ10と所定の待機位置との間の上方空間を、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能とする第2駆動機構D2を備える。この第2駆動機構D2は、ヘッドユニット4を駆動する第1駆動機構D1とは別個に独立した駆動系である。なお、本実施形態では、前記待機位置は、ウェハステージ10から+Y側に離間した位置である。
【0024】
第2駆動機構D2は、カメラユニット32UのY方向の移動機構として、+X側及び-X側で一対のY軸固定レール33と、+X側に配置されたカメラY軸サーボモータ34及びカメラY移動軸35とを備える。一対のY軸固定レール33は、基台2上に固定され、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行にY方向に延びている。カメラY移動軸35は、+X側のY軸固定レール33に近接する位置においてY方向に延びるように配設されているボールねじ軸である。カメラY軸サーボモータ34は、カメラY移動軸35を回転駆動する。一対のY軸固定レール33間には、カメラユニット32Uを支持する支持フレーム36が架設されている。支持フレーム36の+X側端部には、カメラY移動軸35に螺合されるナット37が組付けられている。
【0025】
第2駆動機構D2は、カメラユニット32UのX方向の移動機構として、支持フレーム36に搭載された図略のガイド部材、カメラX軸サーボモータ38及びカメラX移動軸39を備える。前記ガイド部材は、カメラユニット32UのX方向の移動をガイドする部材であり、支持フレーム36の-Y側面においてX方向に延びるように固定されている。カメラX移動軸39は、前記ガイド部材に近接して、X方向に延びるように配設されているボールねじ軸である。カメラX軸サーボモータ38は、カメラX移動軸39を回転駆動する。カメラユニット32Uには図略のナットが付設され、当該ナットはカメラX移動軸39に螺合されている。
【0026】
以上の構成を備える第2駆動機構D2によれば、カメラY軸サーボモータ34が作動してカメラY移動軸35が回転駆動されることにより、カメラユニット32Uが支持フレーム36と一体にY方向に移動する。また、カメラX軸サーボモータ38が作動してカメラX移動軸39が回転駆動されることにより、カメラユニット32Uが支持フレーム36に対してX方向に移動する。
【0027】
図3に示されるように、カメラユニット32Uは、部品供給部5のウェハステージ10の上方空間における所定のカメラ移動エリアA2内を、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39に沿って水平方向に移動可能である。なお、カメラ移動エリアA2は、Y方向に延びるカメラY移動軸35と、X方向に延びるカメラX移動軸39との架設範囲に対応したエリアである。カメラ移動エリアA2は、Y方向において、ウェハステージ10の上方空間から、+Y側のウェハ収納エレベータ9の手前の上方空間に至るサイズを有している。カメラ移動エリアA2を区画するカメラY移動軸35及びカメラX移動軸39は、カメラユニット32Uが移動するときのXY座標系を規定する。つまり、カメラユニット32Uの移動位置は、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39によって規定されるXY座標系のXY座標で表すことができる。
【0028】
なお、カメラY軸サーボモータ34には、エンコーダ等から構成されるカメラY移動量検出部34A(図4)が設けられている。カメラY移動量検出部34Aは、カメラY軸サーボモータ34の駆動量を検知することにより、カメラユニット32UのカメラY移動軸35に沿ったY方向への移動量を検出する。同様に、カメラX軸サーボモータ38には、エンコーダ等から構成されるカメラX移動量検出部38A(図4)が設けられている。カメラX移動量検出部38Aは、カメラX軸サーボモータ38の駆動量を検知することにより、カメラユニット32UのカメラX移動軸39に沿ったX方向への移動量を検出する。カメラY移動量検出部34A及びカメラX移動量検出部38Aによるカメラユニット32Uの移動量の検出結果に基づいて、カメラユニット32Uの理論上の移動位置(XY座標系のXY座標)を求めることができる。
【0029】
突き上げユニット40は、ウェハステージ10の下方に配置され、ヘッドユニット4によるピッキング対象のダイ7aを、ウェハシート8aの下面側から突き上げる。突き上げユニット40は、ウェハステージ10に対応する程度の範囲にわたってXY方向に移動可能に、基台2上に配置されている。突き上げユニット40は、Y方向に延びる一対のガイドレール41に沿って移動可能な支持フレーム42に、X方向に移動可能に支持されている。
【0030】
支持フレーム42の内部に設けられた図略のナット部分に螺合するボールねじ軸からなる突き上げY移動軸43が、突き上げY軸サーボモータ44により回転駆動される。これにより、突き上げユニット40が支持フレーム42と一体にY方向に移動する。また、支持フレーム42には、突き上げユニット40の内部に設けられた図略のナット部分と螺合するボールねじ軸からなる突き上げX移動軸45が配設されている。突き上げX移動軸45が突き上げX軸サーボモータ46により回転駆動されることで、突き上げユニット40がX軸方向に移動する。突き上げユニット40は、ダイ7aを突き上げる突き上げピン47を有する。ヘッド4Hによるダイ7aの吸着時に、突き上げピン47が上昇し、ウェハシート8aを通してダイ7aを突き上げる。突き上げピン47は、ピン昇降モータ48(図4)によって昇降駆動される。
【0031】
突き上げユニット40は、ウェハステージ10の下方において突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45に沿って水平方向に移動可能である。突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45は、突き上げユニット40が移動するときのXY座標系を規定する。つまり、突き上げユニット40の移動位置は、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45によって規定されるXY座標系のXY座標で表すことができる。
【0032】
なお、突き上げY軸サーボモータ44には、エンコーダ等から構成される突き上げY移動量検出部44A(図4)が設けられている。突き上げY移動量検出部44Aは、突き上げY軸サーボモータ44の駆動量を検知することにより、突き上げユニット40の突き上げY移動軸43に沿ったY方向への移動量を検出する。同様に、突き上げX軸サーボモータ46には、エンコーダ等から構成される突き上げX移動量検出部46A(図4)が設けられている。突き上げX移動量検出部46Aは、突き上げX軸サーボモータ46の駆動量を検知することにより、突き上げユニット40の突き上げX移動軸45に沿ったX方向への移動量を検出する。突き上げY移動量検出部44A及び突き上げX移動量検出部46Aによる突き上げユニット40の移動量の検出結果に基づいて、突き上げユニット40の理論上の移動位置(XY座標系のXY座標)を求めることができる。
【0033】
また、図3に示さるように、本実施形態に係る部品実装装置1は、ウェハステージ10の上方空間においてヘッド移動エリアA1とカメラ移動エリアA2とが重なり合う共通エリアCAの下方における所定位置に、複数のマーク部50が配置されている。マーク部50の配置個数は2以上の個数であれば特に限定されない。また、マーク部50の配置箇所は、共通エリアCAの下方であれば特に限定されない。各マーク部50には、ヘッドユニット4に搭載されたヘッドカメラ31と、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32とによって認識可能なマーク50Mが付されている。
【0034】
[部品実装装置の制御構成]
次に、図4のブロック図を参照しながら部品実装装置1の制御構成について説明する。部品実装装置1は、当該部品実装装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部20を備える。制御部20には、ヘッドユニット4、カメラユニット32U及び突き上げユニット40が備える各機器と、ウェハ供給装置6及び部品認識カメラ30とが電気的に接続されている。制御部20は、予め定められたプログラムが実行されることで、機能的にウェハ供給制御部21、移動制御部22、補正データ作成部23及び記憶部24を具備するように動作する。
【0035】
記憶部24は、実装プログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。本実施形態では、記憶部24は、後述する補正データ作成部23により作成される補正データなどを記憶する。
【0036】
ウェハ供給制御部21は、複数個のダイ7aに分割されたウェハ7がパレット8に保持された状態でウェハステージ10に供給されるように、ウェハ供給装置6を制御する。
【0037】
移動制御部22は、ヘッドユニット4に関し、ヘッドY軸サーボモータ14及びヘッドX軸サーボモータ18の駆動を制御することにより、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19に沿ったヘッドユニット4のXY方向の移動を制御する。また、移動制御部22は、Z軸サーボモータ401の駆動を制御してヘッド4HのZ方向の移動(昇降移動)を制御すると共に、R軸サーボモータ402の駆動を制御してヘッド4Hの自軸回りの回転移動を制御する。なお、移動制御部22の制御によってヘッドY軸サーボモータ14及びヘッドX軸サーボモータ18が駆動した場合には、ヘッドY移動量検出部14A及びヘッドX移動量検出部18Aによるヘッドユニット4の移動量の検出が行われる。
【0038】
また、移動制御部22は、カメラユニット32Uに関し、カメラY軸サーボモータ34及びカメラX軸サーボモータ38の駆動を制御することにより、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39に沿ったカメラユニット32UのXY方向の移動を制御する。なお、移動制御部22の制御によってカメラY軸サーボモータ34及びカメラX軸サーボモータ38が駆動した場合には、カメラY移動量検出部34A及びカメラX移動量検出部38Aによるカメラユニット32Uの移動量の検出が行われる。
【0039】
また、移動制御部22は、突き上げユニット40に関し、突き上げY軸サーボモータ44及び突き上げX軸サーボモータ46の駆動を制御することにより、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45に沿った突き上げユニット40のXY方向の移動を制御する。また、移動制御部22は、ピン昇降モータ48の駆動を制御することにより、突き上げピン47の昇降移動を制御する。なお、移動制御部22の制御によって突き上げY軸サーボモータ44及び突き上げX軸サーボモータ46が駆動した場合には、突き上げY移動量検出部44A及び突き上げX移動量検出部46Aによる突き上げユニット40の移動量の検出が行われる。
【0040】
補正データ作成部23は、移動制御部22による制御を補正するためのデータを作成する。補正データ作成部23は、機能構成として、ヘッド位置演算部231、カメラ位置演算部232、突き上げ位置演算部233、マーク位置認識処理部234、ピン位置認識処理部235、平行ずれ補正処理部236、ヘッド軸補正処理部237、カメラ軸補正処理部238、及び突き上げ軸補正処理部239を含む。補正データ作成部23における各機能構成が行う処理の詳細については後述する。
【0041】
[制御部の制御動作]
本実施形態では、制御部20は、部品吸着搭載制御、第1補正データ生成制御及び第2補正データ生成制御を実行する。部品吸着搭載制御は、ヘッドユニット4のヘッド4Hによりダイ7aを吸着して基板Pに搭載する動作を行うための制御である。第1補正データ生成制御及び第2補正データ生成制御は、部品吸着搭載制御よりも前に実行される制御であり、補正データ作成部23により移動制御部22の制御を補正するためのデータが作成される。
【0042】
<部品吸着搭載制御>
制御部20が部品吸着搭載制御を実行したときの部品実装装置1の動作について、図5を参照しながら説明する。
【0043】
移動制御部22は、ウェハ7上におけるヘッド4Hによる吸着対象のダイ7aの位置にカメラユニット32Uが配置されるように、カメラユニット32UのXY方向の移動を制御する。この際、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32がダイ7aを撮像する。移動制御部22は、ウェハカメラ32がダイ7aを撮像することで取得された画像データに基づいて、ヘッド4Hによる吸着対象のダイ7aの位置(吸着位置)を認識する。
【0044】
吸着位置の認識後において移動制御部22は、当該吸着位置の下方に突き上げユニット40が配置されるように、突き上げユニット40のXY方向の移動を制御する。突き上げユニット40が吸着位置の下方に配置された状態で、移動制御部22は、突き上げピン47の昇降移動を制御する。これにより、突き上げピン47は、ヘッド4Hによる吸着対象のダイ7aを突き上げる。
【0045】
突き上げピン47によってダイ7aが突き上げられると、移動制御部22は、認識した吸着位置の上方にヘッドユニット4が配置されるように、ヘッドユニット4のXY方向の移動を制御する。ヘッドユニット4が吸着位置の上方に配置された状態で、移動制御部22は、ヘッド4HのZ方向の移動を制御すると共に、ヘッド4Hの自軸回りの回転移動を制御する。これにより、ヘッド4Hはダイ7aを吸着保持する。
【0046】
ヘッド4Hによってダイ7aが吸着保持されると、移動制御部22は、基板Pの上方にヘッドユニット4が配置されるように、ヘッドユニット4のXY方向の移動を制御する。この際、ヘッドユニット4に搭載されたヘッドカメラ31が基板Pを撮像する。ヘッドカメラ31の撮影画像より、基板Pに付されたフェデューシャルマークが認識される。これにより基板Pの位置ずれが認識され、基板Pに対する部品の搭載時に前記位置ずれの補正が為される。ヘッドユニット4が基板Pの上方に配置された状態で、移動制御部22は、ヘッド4HのZ方向の移動を制御すると共に、ヘッド4Hの自軸回りの回転移動を制御する。これにより、ヘッド4Hは基板Pにダイ7aを搭載する。
【0047】
以上説明したように、制御部20が部品吸着搭載制御を実行したときには、移動制御部22の制御によってカメラユニット32UがカメラY移動軸35及びカメラX移動軸39に沿ってXY方向に移動してウェハカメラ32でダイ7aを撮像することにより、ヘッドユニット4のヘッド4Hによる吸着対象のダイ7aの位置を認識することができる。そして、移動制御部22の制御によってヘッドユニット4が認識された位置に向けてヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19に沿ってXY方向に移動してダイ7aのピッキングを行う。この際、カメラユニット32Uとヘッドユニット4とが別個独立に設けられているため、ヘッドユニット4によるダイ7aのピッキング動作と並行して、カメラユニット32Uは次のピッキング対象のダイ7aを認識することができる。これにより、カメラユニット32Uのウェハカメラ32によるダイ7aの撮像から、ヘッドユニット4によるダイ7aのピッキングに至る作業サイクルを高速化することができる。
【0048】
<第1補正データ生成制御>
制御部20が第1補正データ生成制御を実行したときの部品実装装置1の動作について、図6図9を参照しながら説明する。第1補正データ生成制御は、上記の部品吸着搭載制御における移動制御部22の制御を補正するためのデータが補正データ作成部23によって作成される際に実行される制御である。制御部20により第1補正データ生成制御が実行されると、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19と、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39とに関する平行ずれを補正するためのデータ、並びに、歪みを補正するためのデータが、補正データ作成部23によって作成される。
【0049】
図6に示されるように、移動制御部22は、共通エリアCAの下方に設置されたマーク部50の上方の位置にヘッドカメラ31が配置されるように、ヘッドユニット4のXY方向の移動を制御する。この際、ヘッドユニット4に搭載されたヘッドカメラ31が複数のマーク部50の各々のマーク50Mを撮像する。ヘッドカメラ31は、各マーク50Mの撮像によって、当該各マーク50Mの画像データを示す第1マーク画像データMGD1をマーク50Mごとに取得する。
【0050】
ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像に対応してヘッドユニット4が移動すると、ヘッドY移動量検出部14Aは、ヘッドY軸サーボモータ14の駆動量を検知することにより、ヘッドユニット4のヘッドY移動軸15に沿ったY方向への移動量を検出する。ヘッドY移動量検出部14Aは、その検出結果を示すヘッドY移動量データHMDYをマーク50Mごとに取得する。つまり、ヘッドY移動量データHMDYは、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像に対応したヘッドY軸サーボモータ14の駆動量に基づく、ヘッドY移動軸15に沿ったヘッドユニット4の理論上の移動量を示すデータとなる。同様に、ヘッドX移動量検出部18Aは、ヘッドX軸サーボモータ18の駆動量を検知することにより、ヘッドユニット4のヘッドX移動軸19に沿ったX方向への移動量を検出する。ヘッドX移動量検出部18Aは、その検出結果を示すヘッドX移動量データHMDXをマーク50Mごとに取得する。つまり、ヘッドX移動量データHMDXは、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像に対応したヘッドX軸サーボモータ18の駆動量に基づく、ヘッドX移動軸19に沿ったヘッドユニット4の理論上の移動量を示すデータとなる。
【0051】
また、移動制御部22は、共通エリアCAの下方に設置されたマーク部50の上方の位置にウェハカメラ32が配置されるように、カメラユニット32UのXY方向の移動を制御する。この際、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32が複数のマーク部50の各々のマーク50Mを撮像する。ウェハカメラ32は、各マーク50Mの撮像によって、当該各マーク50Mの画像データを示す第2マーク画像データMGD2をマーク50Mごとに取得する。
【0052】
ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像に対応してカメラユニット32Uが移動すると、カメラY移動量検出部34Aは、カメラY軸サーボモータ34の駆動量を検知することにより、カメラユニット32UのカメラY移動軸35に沿ったY方向への移動量を検出する。カメラY移動量検出部34Aは、その検出結果を示すカメラY移動量データCMDYをマーク50Mごとに取得する。つまり、カメラY移動量データCMDYは、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像に対応したカメラY軸サーボモータ34の駆動量に基づく、カメラY移動軸35に沿ったカメラユニット32Uの理論上の移動量を示すデータとなる。同様に、カメラX移動量検出部38Aは、カメラX軸サーボモータ38の駆動量を検知することにより、カメラユニット32UのカメラX移動軸39に沿ったX方向への移動量を検出する。カメラX移動量検出部38Aは、その検出結果を示すカメラX移動量データCMDXをマーク50Mごとに取得する。つまり、カメラX移動量データCMDXは、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像に対応したカメラX軸サーボモータ38の駆動量に基づく、カメラX移動軸39に沿ったカメラユニット32Uの理論上の移動量を示すデータとなる。
【0053】
図7に示されるように、ヘッドカメラ31により取得された第1マーク画像データMGD1と、ウェハカメラ32により取得された第2マーク画像データMGD2とは、補正データ作成部23のマーク位置認識処理部234に入力される。マーク位置認識処理部234は、第1マーク画像データMGD1と第2マーク画像データMGD2とに基づいて、マーク部50に付されたマーク50Mの共通エリアCA内における位置を認識するマーク位置認識処理を行う。
【0054】
具体的には、マーク位置認識処理部234は、第1マーク画像データMGD1に基づいて、ヘッドユニット4に搭載されたヘッドカメラ31の撮像に応じたマーク50Mの位置の認識結果を示す第1マーク位置認識データMRD1を、マーク50Mごとに生成する。第1マーク位置認識データMRD1は、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の実際の移動位置を示すデータとなる。つまり、第1マーク位置認識データMRD1は、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19によって規定されるXY座標系における実際の位置を示すデータとなる。
【0055】
また、マーク位置認識処理部234は、第2マーク画像データMGD2に基づいて、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32の撮像に応じたマーク50Mの位置の認識結果を示す第2マーク位置認識データMRD2を、マーク50Mごとに生成する。第2マーク位置認識データMRD2は、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの実際の移動位置を示すデータとなる。つまり、第2マーク位置認識データMRD2は、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39によって規定されるXY座標系における実際の位置を示すデータとなる。
【0056】
また、図7に示されるように、ヘッドY移動量検出部14Aにより取得されたヘッドY移動量データHMDYと、ヘッドX移動量検出部18Aにより取得されたヘッドX移動量データHMDXとは、補正データ作成部23のヘッド位置演算部231に入力される。ヘッド位置演算部231は、ヘッドY移動量データHMDYとヘッドX移動量データHMDXとに基づいて、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の理論上の位置を演算する位置演算処理を行う。そして、ヘッド位置演算部231は、演算処理の結果を示すヘッド位置データHPDを生成する。ヘッド位置データHPDは、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の理論上の移動位置を示すデータとなる。つまり、ヘッド位置データHPDは、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19によって規定されるXY座標系における理論上の位置を示すデータとなる。
【0057】
また、図7に示されるように、カメラY移動量検出部34Aにより取得されたカメラY移動量データCMDYと、カメラX移動量検出部38Aにより取得されたカメラX移動量データCMDXとは、補正データ作成部23のカメラ位置演算部232に入力される。カメラ位置演算部232は、カメラY移動量データCMDYとカメラX移動量データCMDXとに基づいて、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの理論上の位置を演算する位置演算処理を行う。そして、カメラ位置演算部232は、演算処理の結果を示すカメラ位置データCPDを生成する。カメラ位置データCPDは、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの理論上の移動位置を示すデータとなる。つまり、カメラ位置データCPDは、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39によって規定されるXY座標系における理論上の位置を示すデータとなる。
【0058】
上述の制御部20による部品吸着搭載制御の実行時において、ヘッドユニット4によるダイ7aのピッキングミス等の不具合の発生を抑制するためには、ウェハカメラ32の撮像によるダイ7aの位置認識時におけるカメラユニット32Uの移動位置と、ヘッドユニット4の移動位置とが一致している必要がある。この際、ヘッドY移動軸15とカメラY移動軸35との間に平行ずれが生じ、ヘッドX移動軸19とカメラX移動軸39との間に平行ずれが生じている場合には、カメラユニット32Uの移動位置とヘッドユニット4の移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。例えば、図8に示されるように、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時におけるヘッドユニット4の実際の移動位置を示す第1マーク位置認識データMRD1と、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時におけるカメラユニット32Uの実際の移動位置を示す第2マーク位置認識データMRD2とが、一致しない状況が生じ得る。
【0059】
そこで、図8に示されるように、補正データ作成部23の平行ずれ補正処理部236は、平行ずれ補正処理を行う。平行ずれ補正処理部236には、マーク位置認識処理部234により生成されたマーク50Mごとの第1マーク位置認識データMRD1と第2マーク位置認識データMRD2とが入力される。平行ずれ補正処理部236は、第1マーク位置認識データMRD1と第2マーク位置認識データMRD2とに基づいて、ヘッドY移動軸15とカメラY移動軸35との間の平行ずれを補正すると共に、ヘッドX移動軸19とカメラX移動軸39との間の平行ずれを補正するための平行ずれ補正データPDCDを作成する。平行ずれ補正処理部236は、第1マーク位置認識データMRD1と第2マーク位置認識データMRD2とが一致するように、ヘッドY移動軸15及びカメラY移動軸35を、Z方向に延びる軸回りに仮想的に回転させることにより、平行ずれ補正データPDCDを作成する。平行ずれ補正データPDCDは、記憶部24に記憶される。
【0060】
制御部20による部品吸着搭載制御の実行時においては、記憶部24から平行ずれ補正データPDCDが読み出される。これにより、制御部20による部品吸着搭載制御の実行時において、移動制御部22によるヘッドユニット4及びカメラユニット32Uの移動の制御の際に、ヘッドユニット4及びカメラユニット32Uの移動量を平行ずれ補正データPDCDに基づいて補正することができる。これにより、ヘッドY移動軸15とカメラY移動軸35との間に平行ずれが生じ、ヘッドX移動軸19とカメラX移動軸39との間に平行ずれが生じている場合であっても、カメラユニット32Uの移動位置とヘッドユニット4の移動位置との間の位置ずれを抑制することができる。このため、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19とカメラY移動軸35及びカメラX移動軸39との間の平行ずれに起因して、ヘッドユニット4によるダイ7aのピッキングミス等の不具合が発生することを抑制できる。
【0061】
また、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19に歪みが生じることで、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19によって規定されるXY座標系に歪みが生じている場合には、ヘッドユニット4の実際の移動位置と理論上の移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。例えば、図9に示されるように、ヘッドカメラ31によるマーク50Mの撮像時において、ヘッドユニット4の実際の移動位置を示す第1マーク位置認識データMRD1と、ヘッドユニット4の理論上の移動位置を示すヘッド位置データHPDとが、一致しない状況が生じ得る。
【0062】
そこで、図9に示されるように、補正データ作成部23のヘッド軸補正処理部237は、ヘッド軸補正処理を行う。ヘッド軸補正処理部237には、マーク位置認識処理部234により生成されたマーク50Mごとの第1マーク位置認識データMRD1と、ヘッド位置演算部231により生成されたマーク50Mごとのヘッド位置データHPDとが入力される。ヘッド軸補正処理部237は、第1マーク位置認識データMRD1とヘッド位置データHPDとに基づいて、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19の歪みを補正するためのヘッド軸補正データHACDを作成する。ヘッド軸補正処理部237は、第1マーク位置認識データMRD1とヘッド位置データHPDとが一致するように、ヘッドY移動軸15に対するヘッドX移動軸19の直交度を仮想的に調整することにより、ヘッド軸補正データHACDを作成する。ヘッド軸補正データHACDは、記憶部24に記憶される。
【0063】
制御部20による部品吸着搭載制御の実行時においては、記憶部24からヘッド軸補正データHACDが読み出される。これにより、制御部20による部品吸着搭載制御の実行時において、移動制御部22によるヘッドユニット4の移動の制御の際に、ヘッドユニット4の移動量をヘッド軸補正データHACDに基づいて補正することができる。このため、ヘッドY移動軸15及びヘッドX移動軸19に歪みが生じている場合であっても、ヘッドユニット4を的確な位置に移動させることができる。
【0064】
また、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39に歪みが生じることで、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39によって規定されるXY座標系に歪みが生じている場合には、カメラユニット32Uの実際の移動位置と理論上の移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。例えば、図9に示されるように、ウェハカメラ32によるマーク50Mの撮像時において、カメラユニット32Uの実際の移動位置を示す第2マーク位置認識データMRD2と、カメラユニット32Uの理論上の移動位置を示すカメラ位置データCPDとが、一致しない状況が生じ得る。
【0065】
そこで、図9に示されるように、補正データ作成部23のカメラ軸補正処理部238は、カメラ軸補正処理を行う。カメラ軸補正処理部238には、マーク位置認識処理部234により生成されたマーク50Mごとの第2マーク位置認識データMRD2と、カメラ位置演算部232により生成されたマーク50Mごとのカメラ位置データCPDとが入力される。カメラ軸補正処理部238は、第2マーク位置認識データMRD2とカメラ位置データCPDとに基づいて、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39の歪みを補正するためのカメラ軸補正データCACDを作成する。カメラ軸補正処理部238は、第2マーク位置認識データMRD2とカメラ位置データCPDとが一致するように、カメラY移動軸35に対するカメラX移動軸39の直交度を仮想的に調整することにより、カメラ軸補正データCACDを作成する。カメラ軸補正データCACDは、記憶部24に記憶される。
【0066】
制御部20による部品吸着搭載制御の実行時においては、記憶部24からカメラ軸補正データCACDが読み出される。これにより、制御部20による部品吸着搭載制御の実行時において、移動制御部22によるカメラユニット32Uの移動の制御の際に、カメラユニット32Uの移動量をカメラ軸補正データCACDに基づいて補正することができる。このため、カメラY移動軸35及びカメラX移動軸39に歪みが生じている場合であっても、カメラユニット32Uを的確な位置に移動させることができる。
【0067】
なお、ヘッド軸補正処理部237がマーク部50のマーク50Mに対応した第1マーク位置認識データMRD1を用いてヘッド軸補正処理を行い、カメラ軸補正処理部238がマーク部50のマーク50Mに対応した第2マーク位置認識データMRD2を用いてカメラ軸補正処理を行うことについて説明したが、これに限定されない。ヘッド軸補正処理部237及びカメラ軸補正処理部238が軸補正処理の際に用いるマーク位置認識データは、ウェハステージ10に着脱可能にセットされる治具に付されたマークに対応したものであってもよい。前記治具は、方形平板状のガラス板に、XY方向に所定間隔おきに多数のマークを付したものである。この場合、ヘッド軸補正処理部237がヘッド軸補正処理の際に用いる第1マーク位置認識データMRD1は、ヘッドユニット4に搭載されたヘッドカメラ31の撮像に応じた、前記治具に付されたマークの位置の認識結果を示すデータとなる。同様に、カメラ軸補正処理部238がカメラ軸補正処理の際に用いる第2マーク位置認識データMRD2は、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32の撮像に応じた、前記治具に付されたマークの位置の認識結果を示すデータとなる。
【0068】
また、ヘッド軸補正処理部237によるヘッド軸補正処理と、カメラ軸補正処理部238によるカメラ軸補正処理とは、平行ずれ補正処理部236による平行ずれ補正処理の前に行われる。
【0069】
つまり、平行ずれ補正処理部236は、ヘッド軸補正処理部237によるヘッド軸補正処理と、カメラ軸補正処理部238によるカメラ軸補正処理とが行われた後に、平行ずれ補正処理を行う。この場合、平行ずれ補正処理部236が平行ずれ補正処理を行う際には、移動制御部22は、ヘッド軸補正データHACDを用いてヘッドユニット4の移動を制御するとともに、カメラ軸補正データCACDを用いてカメラユニット32Uの移動を制御する。具体的には、移動制御部22は、ヘッドユニット4の移動量をヘッド軸補正データHACDに基づいて補正した状態で、共通エリアCAの下方に設置されたマーク部50の上方の位置にヘッドカメラ31が配置されるように、ヘッドユニット4のXY方向の移動を制御する。同様に、移動制御部22は、カメラユニット32Uの移動量をカメラ軸補正データCACDに基づいて補正した状態で、マーク部50の上方の位置にウェハカメラ32が配置されるように、カメラユニット32UのXY方向の移動を制御する。
【0070】
<第2補正データ生成制御>
制御部20が第2補正データ生成制御を実行したときの部品実装装置1の動作について、図10及び図11を参照しながら説明する。第2補正データ生成制御は、上記の部品吸着搭載制御における移動制御部22の制御を補正するためのデータが補正データ作成部23によって作成される際に実行される制御である。制御部20は、上記の第1補正データ生成制御の後に、第2補正データ生成制御を実行する。制御部20により第2補正データ生成制御が実行されると、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45の歪みを補正するためのデータが、補正データ作成部23によって作成される。
【0071】
図10に示されるように、移動制御部22は、カメラユニット32Uの移動に連動して突き上げユニット40が移動するように、カメラユニット32U及び突き上げユニット40のXY方向の移動を制御する。つまり、移動制御部22は、カメラユニット32UがXY方向に移動すると共に、突き上げユニット40がカメラユニット32Uの下方に配置された状態を維持しつつ移動するように、カメラユニット32U及び突き上げユニット40のXY方向の移動を制御する。なお、移動制御部22は、カメラユニット32Uの移動を制御するに際しては、記憶部24に記憶されているカメラ軸補正データCACDを用いる。つまり、移動制御部22は、カメラユニット32Uの移動量をカメラ軸補正データCACDに基づいて補正した状態で、カメラユニット32Uの移動を制御する。この際、カメラユニット32Uに搭載されたウェハカメラ32は、カメラユニット32Uに連動して移動する突き上げユニット40の突き上げピン47を、複数の移動地点において撮像する。ウェハカメラ32は、突き上げピン47の撮像によって、当該突き上げピン47の画像データを示すピン画像データPGDを、前記複数の移動地点ごとに取得する。
【0072】
カメラユニット32Uの移動に連動して突き上げユニット40が移動すると、突き上げY移動量検出部44Aは、突き上げY軸サーボモータ44の駆動量を検知することにより、突き上げユニット40の突き上げY移動軸43に沿ったY方向への移動量を検出する。突き上げY移動量検出部44Aは、その検出結果を示す突き上げY移動量データPMDYを前記複数の移動地点ごとに取得する。つまり、突き上げY移動量データPMDYは、ウェハカメラ32による突き上げピン47の撮像に対応した突き上げY軸サーボモータ44の駆動量に基づく、突き上げY移動軸43に沿った突き上げユニット40の理論上の移動量を示すデータとなる。同様に、突き上げX移動量検出部46Aは、突き上げX軸サーボモータ46の駆動量を検知することにより、突き上げユニット40の突き上げX移動軸45に沿ったX方向への移動量を検出する。突き上げX移動量検出部46Aは、その検出結果を示す突き上げX移動量データPMDXを前記複数の移動地点ごとに取得する。つまり、突き上げX移動量データPMDXは、ウェハカメラ32による突き上げピン47の撮像に対応した突き上げX軸サーボモータ46の駆動量に基づく、突き上げX移動軸45に沿った突き上げユニット40の理論上の移動量を示すデータとなる。
【0073】
図11に示されるように、ウェハカメラ32により取得されたピン画像データPGDは、補正データ作成部23のピン位置認識処理部235に入力される。ピン位置認識処理部235は、ピン画像データPGDに基づいて、カメラユニット32Uに連動して移動している突き上げユニット40における突き上げピン47の位置を認識するピン位置認識処理を行う。
【0074】
具体的には、ピン位置認識処理部235は、ピン画像データPGDに基づいて、カメラユニット32Uに連動した突き上げユニット40の移動時における突き上げピン47の位置の認識結果を示すピン位置認識データPRDを、前記複数の移動地点ごとに生成する。ピン位置認識データPRDは、ウェハカメラ32による突き上げピン47の撮像時における突き上げユニット40の実際の移動位置を示すデータとなる。つまり、ピン位置認識データPRDは、ウェハカメラ32による突き上げピン47の撮像時における突き上げユニット40の、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45によって規定されるXY座標系における実際の位置を示すデータとなる。
【0075】
また、図11に示されるように、突き上げY移動量検出部44Aにより取得された突き上げY移動量データPMDYと、突き上げX移動量検出部46Aにより取得された突き上げX移動量データPMDXとは、補正データ作成部23の突き上げ位置演算部233に入力される。突き上げ位置演算部233は、突き上げY移動量データPMDYと突き上げX移動量データPMDXとに基づいて、カメラユニット32Uに連動した移動時における突き上げユニット40の理論上の位置を演算する突き上げ位置演算処理を行う。そして、突き上げ位置演算部233は、演算処理の結果を示す突き上げ位置データPPDを生成する。突き上げ位置データPPDは、カメラユニット32Uに連動した移動時における突き上げユニット40の理論上の移動位置を示すデータとなる。つまり、突き上げ位置データPPDは、カメラユニット32Uに連動した移動時における突き上げユニット40の、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45によって規定されるXY座標系における理論上の位置を示すデータとなる。
【0076】
突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45に歪みが生じることで、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45によって規定されるXY座標系に歪みが生じている場合には、突き上げユニット40の実際の移動位置と理論上の移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。例えば、図11に示されるように、ウェハカメラ32による突き上げピン47の撮像時において、突き上げユニット40の実際の移動位置を示すピン位置認識データPRDと、突き上げユニット40の理論上の移動位置を示す突き上げ位置データPPDとが、一致しない状況が生じ得る。
【0077】
そこで、図11に示されるように、補正データ作成部23の突き上げ軸補正処理部239は、突き上げ軸補正処理を行う。突き上げ軸補正処理部239には、ピン位置認識処理部235により生成された前記複数の移動地点ごとのピン位置認識データPRDと、突き上げ位置演算部233により生成された前記複数の移動地点ごとの突き上げ位置データPPDとが入力される。突き上げ軸補正処理部239は、ピン位置認識データPRDと突き上げ位置データPPDとに基づいて、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45の歪みを補正するための突き上げ軸補正データPACDを作成する。突き上げ軸補正処理部239は、ピン位置認識データPRDと突き上げ位置データPPDとが一致するように、突き上げY移動軸43に対する突き上げX移動軸45の直交度を仮想的に調整することにより、突き上げ軸補正データPACDを作成する。突き上げ軸補正データPACDは、記憶部24に記憶される。
【0078】
制御部20による部品吸着搭載制御の実行時においては、記憶部24から突き上げ軸補正データPACDが読み出される。これにより、制御部20による部品吸着搭載制御の実行時において、移動制御部22による突き上げユニット40の移動の制御の際に、突き上げユニット40の移動量を突き上げ軸補正データPACDに基づいて補正することができる。このため、突き上げY移動軸43及び突き上げX移動軸45に歪みが生じている場合であっても、突き上げユニット40を的確な位置に移動させることができる。
【0079】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0080】
本発明の一の局面に係る部品移載装置は、複数個の部品が配置された部品配置エリアを有する部品供給部と、前記部品配置エリアの上方空間における所定のヘッド移動エリア内をヘッド移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、ヘッドカメラが搭載され、前記部品配置エリアにおいて前記部品をピッキングするヘッドユニットと、前記部品配置エリアの上方空間における所定のカメラ移動エリア内をカメラ移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、前記部品配置エリアにおいて前記部品を撮像する部品カメラを有するカメラユニットと、前記ヘッド移動エリアと前記カメラ移動エリアとが重なり合う共通エリアの下方における所定位置に配置され、前記ヘッドカメラ及び前記部品カメラの各々が認識可能なマークが付されたマーク部と、前記ヘッドユニットの移動、及び前記カメラユニットの移動を制御する移動制御部と、前記移動制御部による制御を補正するためのデータを作成する補正データ作成部と、を備える。前記補正データ作成部は、前記ヘッドカメラによる前記マークの撮像で得られた第1マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第1マーク位置認識データを生成すると共に、前記部品カメラによる前記マークの撮像で得られた第2マーク画像データに基づき前記マークの位置の認識結果を示す第2マーク位置認識データを生成するマーク位置認識処理を行う。また、前記補正データ作成部は、前記第1マーク位置認識データと前記第2マーク位置認識データとに基づいて、前記ヘッド移動軸と前記カメラ移動軸との間の平行ずれを補正するための平行ずれ補正データを作成する平行ずれ補正処理を行う。
【0081】
この部品移載装置によれば、移動制御部の制御によってカメラユニットがカメラ移動軸に沿って水平方向に移動して部品カメラで部品を撮像することにより、ヘッドユニットによるピッキング対象の部品の位置を認識することができる。そして、移動制御部の制御によってヘッドユニットが認識された位置に向けてヘッド移動軸に沿って水平方向に移動して部品のピッキングを行う。この際、カメラユニットとヘッドユニットとが別個独立に設けられているため、ヘッドユニットによる部品のピッキング動作と並行して、カメラユニットは次のピッキング対象の部品の位置を認識することができる。これにより、カメラユニットの部品カメラによる部品撮像から、ヘッドユニットによる部品ピッキングに至る作業サイクルを高速化することができる。
【0082】
ヘッドユニットによる部品のピッキングミス等の不具合の発生を抑制するためには、部品カメラの撮像による部品の位置認識時におけるカメラユニットの移動位置と、ヘッドユニットの移動位置とが一致している必要がある。この際、ヘッド移動軸とカメラ移動軸との間に平行ずれが生じている場合には、カメラユニットの移動位置とヘッドユニットの移動位置との間に位置ずれが生じる虞がある。
【0083】
そこで、部品実装装置は、移動制御部によるヘッドユニット及びカメラユニットの移動の制御を補正するためのデータを作成する補正データ作成部を備える。この補正データ作成部は、ヘッドユニットに搭載されたヘッドカメラによるマークの撮像で得られた第1マーク画像データに基づき第1マーク位置認識データを生成すると共に、カメラユニットに搭載された部品カメラによるマークの撮像で得られた第2マーク画像データに基づき第2マーク位置認識データを生成する。更に補正データ作成部は、第1マーク位置認識データと第2マーク位置認識データとに基づいて、ヘッド移動軸とカメラ移動軸との間の平行ずれを補正するための平行ずれ補正データを作成する。
【0084】
移動制御部によるヘッドユニット及びカメラユニットの移動の制御の際に、ヘッドユニット及びカメラユニットの移動量を平行ずれ補正データに基づいて補正することができる。これにより、ヘッド移動軸とカメラ移動軸との間に平行ずれが生じている場合であっても、カメラユニットの移動位置とヘッドユニットの移動位置との間の位置ずれを抑制することができる。このため、ヘッド移動軸とカメラ移動軸との間の平行ずれに起因してヘッドユニットによる部品のピッキングミス等の不具合が発生することを抑制できる。
【0085】
上記の部品移載装置は、前記部品配置エリアの下方において突き上げ移動軸に沿って水平方向に移動可能であり、前記ヘッドユニットによるピッキング対象の前記部品を下方から突き上げる突き上げピンを有する突き上げユニットと、前記突き上げユニットの前記突き上げ移動軸に沿った移動量を検出する突き上げ移動量検出部と、を更に備える構成であってもよい。この場合、前記移動制御部は、前記ヘッドユニット及び前記カメラユニットに加えて前記突き上げユニットの移動を制御するように構成される。そして、前記補正データ作成部は、前記カメラユニットの移動に連動して前記突き上げユニットが移動している状態において、前記部品カメラによる前記突き上げピンの撮像で得られたピン画像データに基づいて、前記突き上げユニットの移動時における前記突き上げピンの位置の認識結果を示すピン位置認識データを生成するピン位置認識処理を行う。また、前記補正データ作成部は、前記カメラユニットの移動に連動した前記突き上げユニットの移動時に前記突き上げ移動量検出部により取得された突き上げ移動量データと、前記ピン位置認識データとに基づいて、前記突き上げ移動軸の歪みを補正するための突き上げ軸補正データを作成する突き上げ軸補正処理を行う。
【0086】
この態様では、突き上げユニットは、移動制御部の制御によって突き上げ移動軸に沿って水平方向に移動することにより、ヘッドユニットによるピッキング対象の部品を下方から突き上げる。また、突き上げ移動量検出部による突き上げユニットの移動量の検出結果を示す突き上げ移動量データに基づいて、突き上げユニットの理論上の移動位置を求めることができる。
【0087】
ここで、突き上げ移動軸に歪みが生じている場合には、突き上げユニットを的確な位置に移動させることができない虞がある。そこで、補正データ作成部は、カメラユニットの移動に連動して突き上げユニットが移動している状態において、部品カメラによる突き上げピンの撮像で得られたピン画像データに基づいて、突き上げユニットの移動時における突き上げピンの位置の認識結果を示すピン位置認識データを生成する。更に補正データ作成部は、カメラユニットの移動に連動した突き上げユニットの移動時に突き上げ移動量検出部により取得された突き上げ移動量データと、前記ピン位置認識データとに基づいて、突き上げ移動軸の歪みを補正するための突き上げ軸補正データを作成する。これにより、移動制御部による突き上げユニットの移動の制御の際に、突き上げユニットの移動量を突き上げ軸補正データに基づいて補正することができる。このため、突き上げ移動軸に歪みが生じている場合であっても、突き上げユニットを的確な位置に移動させることができる。
【0088】
以上説明した通り、本発明によれば、部品配置エリアから部品をピッキングするヘッドユニットと、前記部品配置エリアにおいて部品を撮像するカメラユニットとを備えた部品移載装置において、ヘッドユニット及びカメラユニットの移動位置の位置ずれを抑制することができる。
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図11