(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ポリイソシアネート組成物、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
C07C 265/04 20060101AFI20240822BHJP
C08G 18/06 20060101ALI20240822BHJP
C07C 265/10 20060101ALI20240822BHJP
C07C 263/10 20060101ALI20240822BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240822BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240822BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07C265/04
C08G18/06
C07C265/10
C07C263/10
C09D175/04
G02B1/04
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2023524847
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020133079
(87)【国際公開番号】W WO2022115990
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】521147204
【氏名又は名称】万華化学集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 17, Tianshan Rd, YEDA, Yantai 264000 Shandong, China
(73)【特許権者】
【識別番号】521227399
【氏名又は名称】万華化学(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】39 Huandao Road(North), Wanhua Industrial Park Daxie Development Zone Ningbo, Zhejiang 315812 China
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼勇
(72)【発明者】
【氏名】崔学磊
(72)【発明者】
【氏名】郭耀允
(72)【発明者】
【氏名】尚永華
(72)【発明者】
【氏名】韓金平
(72)【発明者】
【氏名】李文濱
(72)【発明者】
【氏名】劉▲徳▼剛
(72)【発明者】
【氏名】黎源
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110511163(CN,A)
【文献】特開2004-027160(JP,A)
【文献】特開2006-232797(JP,A)
【文献】特開昭53-119823(JP,A)
【文献】JIS K 1603-3:2007,プラスチック--ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法--第3部,URL:https://kikakurui.com/k1/K1603-3-2007-01.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08G
C09D
G02B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値は0.1ppm~100ppmであり、
前記アルカリ加水分解塩素の質量含有量は、アルカリ性条件で解離されたハロゲンおよび/または100℃以上の温度条件で解離されたハロゲンを、塩素原子の相対原子質量で計算した質量含有量であ
り、
前記加水分解塩素の質量含有量の測定は、GB/T 37042-2018で提供された方法を採用する、
ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
アルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値は0.2ppm~60ppmであ
る、
請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート、アルカリ加水分解塩素系不純物および加水分解塩素系不純物の組み合わせを含み、
前記ポリイソシアネートはジイソシアネートであり、
前記ポリイソシアネートは、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、または鎖状ジイソシアネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシリレンイソシアネート、p-キシリレンイソシアネート、1,3-ジメチルイソシアネートシクロヘキサン、1,4-ジメチルイソシアネートシクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、またはシクロヘキシレンジイソシアネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1または2に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
調製原料は、ポリアミンとホスゲン系原料の組み合わせを含み、
前記ポリアミンにおける不飽和オレフィン系構造、第二級アミン系構造、または水酸基系構造を有する不純物の総質量含有量は0.1ppm~400ppmである、
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
ポリアミンおよびホスゲン系原料を用いてホスゲン化反応を行い、前記ポリイソシアネート組成物を得ることを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項6】
前記ホスゲン化反応は、気相ホスゲン化反応、液相ホスゲン化反応、または造塩ホスゲン化反応を含み、
前記気相ホスゲン化反応は、ポリアミン気流とホスゲン系原料とを気相ホスゲン化反応させ、反応生成物と液状不活性媒体とを混合して150℃以下に冷却し、または、反応生成物と、液状不活性媒体および目的のイソシアネート生成物の混合物とを混合し、150℃以
下に冷却することを含み、
前記液相ホスゲン化反応は、ポリアミン溶液とホスゲン系原料とをまず0~100℃で冷間反応させてから、60~180℃で熱間反応させ、前記冷間反応および熱間反応の総滞留時間が7h以下であることを含み、
前記造塩ホスゲン化反応は、塩化水素および/または二酸化炭素とポリアミンとを不活性溶剤内で造塩反応させてから、ホスゲン系原料とホスゲン化反応させ、前記造塩反応およびホスゲン化反応の総滞留時間が7h以下であることを含む、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
調製原料は、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリイソシアネート組成物と活性水素基含有化合物の組み合わせを含む、
ポリウレタン樹脂。
【請求項8】
前記活性水素基含有化合物は、ポリオール系化合物および/またはアミン系化合物を含み、
前記ポリオール系化合物の分子量は400~20000であり、
前記ポリオール系化合物の水酸基価は10mgKOH/g~1500mgKOH/gであり、
前記ポリオール系化合物の官能性は2~8である、
請求項7に記載のポリウレタン樹脂。
【請求項9】
調製原料は、触媒および/または鎖延長剤を更に含む、
請求項7または8に記載のポリウレタン樹脂。
【請求項10】
前記ポリウレタン樹脂は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン光学材料、ポリウレタンコーティング材料、またはポリウレタンフォームの調製に用いられ
る、
請求項7~9のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ポリウレタン技術分野に関し、特に、ポリイソシアネート組成物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、総合性能に優れた合成樹脂の1つである。その合成モノマーの品種が多く、反応条件が温和で、特異性があり、制御可能で、且つ配合の調整余地が大きく、その高分子材料のミクロ構造特徴により、塗料、粘着剤、発泡プラスチック、合成繊維およびエラストマーに広く使用でき、人々の衣食住の不可欠な材料の1つとなっている。更に、それ自体は、既に多品種、多シリーズの材料ファミリーを形成し、完全なポリウレタン工業系を形成し、これは、他の樹脂が備えないものである。
【0003】
ポリウレタンの大規模生産過程において、機器自体の欠陥または混合効果が良くないことにより、反応空間内の局所領域の反応濃度が高すぎて反応が激しくなりすぎ、大量の熱量を放出して反応を促進しすぎて反応が局所的に暴走してしまい、ポリウレタン合成エマルションの濁りも招きやすく、最終的にポリウレタン製品の不合格を招く。
【0004】
現在の業界標準において、ポリイソシアネートにおける加水分解塩素系不純物の下流のポリウレタン業界への影響が既に明確となり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの国家規格GB/T 37042-2018において、加水分解塩素を100ppm内に制御することが明確に提案され、更に、例えば、特許CN103319372Aにおいて、原料におけるアルコール系不純物を制御することが提案され、特許CN109761855Aにおいて、原料アミンにおける第二級アミンの含有量を制御することが提案され、その目的は、いずれも製品における加水分解塩素の含有量を低減するためである。
【0005】
CN110511163Aでは、光化学反応でポリイソシアネートを調製する方法および水性ポリウレタン樹脂を調製する方法が開示され、具体的には、ポリイソシアネートにおける塩素の含有量が水性ポリウレタン樹脂の耐黄変性に影響を及ぼし、更に、水性ポリウレタン樹脂の黄変に直接つながる可能性があるとともに、一部の系の反応活性に悪影響を及ぼす可能性があることが開示されている。
【0006】
CN1064074Aでは、トルエンジイソシアネート、特に、その蒸留残渣における加水分解塩化物の含有量を低減する方法が開示され、該出願は、具体的に、ジイソシアネートにおける加水分解塩化物の含有量が高すぎて、その粘性が不安定で活性を持たないため、その加水分解塩化物の含有量を、残渣が活性および粘性安定性を持つレベルに低減するように処理する必要があることが開示されている。
【0007】
従い、本分野では、ポリウレタン製品の品質を更に向上させる形態の研究が差し迫って必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下は、本文に詳細に説明する主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0009】
本願の第1の目的は、ポリウレタン樹脂の合成過程で発生しやすい予備重合段階および鎖延長段階の反応活性が不安定であるという問題を解決し、合成エマルションの濁りの状況を効果的に改善して、ポリウレタン製品の光透過率および耐黄変性を向上させることができるポリイソシアネート組成物を提供することである。
【0010】
この目的を達成するために、本願は、以下の技術案を採用する。
【0011】
本願は、
ポリイソシアネート組成物におけるアルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値は0.1ppm~100ppmであり、例えば、0.2ppm、0.3ppm、0.4ppm、0.5ppm、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、10ppm、15ppm、20ppm、25ppm、30ppm、35ppm、40ppm、45ppm、50ppm、55ppm、60ppm、65ppm、70ppm、75ppm、80ppm、85ppm、90ppm、95ppm、98ppm等であり、
前記アルカリ加水分解塩素の質量含有量は、アルカリ性条件で解離されたハロゲンおよび/または100℃以上の温度条件で解離されたハロゲンを、塩素原子の相対原子質量で計算した質量含有量である、
ポリイソシアネート組成物を提供する。
【0012】
本願に係るポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートに加え、不純物を更に含むため、組成物と呼ばれ、ここで、ポリイソシアネートとは、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ等)のイソシアネート基(O=C=N-)を含むイソシアネートを指す。本願において、加水分解塩素の概念は、本分野の公知常識に属する。
【0013】
本願に係る塩素原子の相対原子質量で計算することは、解離されたハロゲンの物質量またはモル含有量を測定し、具体的にどのハロゲンであっても、何れも塩素原子の相対原子質量(35.45g/mol)換算で質量または質量含有量を得ることを意味する。例示的には、解離されたハロゲンが臭素で、物質量が1molである場合、アルカリ加水分解塩素の質量は1mol×35.45g/mol=35.45gであり、ポリイソシアネート組成物の総質量で割ると、アルカリ加水分解塩素の質量含有量である。
【0014】
下流のポリウレタン調製過程における配合形態が異なるため、ポリウレタン合成過程の酸アルカリ性環境および反応温度条件も同じではなく、ポリイソシアネート組成物におけるアルカリ加水分解塩素系不純物は、ポリウレタン合成過程で塩素を解離されることができることが多い。
【0015】
本発明者の研究によると、反応が局所的に暴走して局所的に激しく発熱する場合、アルカリ加水分解塩素内の塩素は解離され、触媒に対して被毒を与えて、局所的な過剰反応領域の反応活性を低減して、ポリウレタン合成エマルションの濁りを回避し、更に、ポリウレタン製品の光透過率および耐黄変性を向上させる、上記特定量のアルカリ加水分解塩素を含むポリイソシアネート組成物を提供することが見出した。
【0016】
しかし、アルカリ加水分解塩素量が一定量よりも高くなる場合、アルカリ性条件で解離されたこれらの塩素は、局所的な過剰反応を抑制した後、更に外へ拡散し、正常反応領域の触媒に対して被毒を与え、反応活性の不安定を招き、更に、合成過程の熱制御に問題が生じ、ポリウレタンで合成されたエマルションが濁り、ポリウレタン製品に悪影響を及ぼし、光透過率の低下を招き、更に、耐黄変性が悪くなることを招く。
【0017】
好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物におけるアルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値は0.2ppm~60ppmであり、0.4ppm~40ppmであることが好ましい。
【0018】
本願の好ましい技術案において、アルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値を更に好ましい範囲とすることにより、ポリウレタン合成エマルションの濁り問題を更に改善し、製品の光透過率および耐黄変性を向上させることができる。アルカリ加水分解塩素量が低すぎると、ポリウレタン合成エマルションの濁り問題は悪化し、ポリウレタン製品の光透過率は低下し、アルカリ加水分解塩素量が高すぎると、合成エマルションの濁り問題は悪化し、ポリウレタン製品の光透過率は低下するだけでなく、耐黄変性も悪くなる。
【0019】
好ましくは、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0020】
好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート、アルカリ加水分解塩素系不純物および加水分解塩素系不純物の組み合わせを含む。前記アルカリ加水分解塩素系不純物は、解離してアルカリ加水分解塩素を得る物質であり、加水分解塩素系不純物は、解離して加水分解塩素を得る物質である。
【0021】
本願の発明者の研究によると、アルカリ加水分解塩素系不純物の由来の1つは、ホスゲン化反応過程において、主な製品であるポリイソシアネートにおける1つのイソシアナト基が脱離してオレフィン構造を形成した後、ホスゲン化環境で、更に塩化水素と結合することで得られることが分かった。
【0022】
アルカリ加水分解塩素系については、異なる由来によって、異なる制御措置を取る必要があり、本願において、ポリイソシアネートにおけるアルカリ加水分解塩素系は、通常の分離手段で除去しにくい、または除去するために大きなエネルギー消費や物質消費をかける必要がある塩素系であり、元から制御する必要がある。
【0023】
好ましくは、前記ポリイソシアネートはジイソシアネートである。
【0024】
好ましくは、前記ポリイソシアネートは、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、または鎖状ジイソシアネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0025】
好ましくは、前記ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシリレンイソシアネート、p-キシリレンイソシアネート、1,3-ジメチルイソシアネートシクロヘキサン、1,4-ジメチルイソシアネートシクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、またはシクロヘキシレンジイソシアネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0026】
好ましくは、ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含み、前記アルカリ加水分解塩素系不純物は、以下のような化合物のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【化1】
(前記Xは、F、Cl、Br、またはIである。)
【0027】
好ましくは、前記ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートを含み、前記アルカリ加水分解塩素系不純物は、以下のような化合物のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【化2】
(前記Xは、F、Cl、Br、またはIである。)
【0028】
好ましくは、前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートを含み、前記アルカリ加水分解塩素系不純物は、以下のような化合物のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【化3】
(前記Xは、F、Cl、Br、またはIである。)
【0029】
好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物は、老化防止助剤を更に含む。老化防止助剤を加えることにより、ポリイソシアネート組成物の保存安定性を強化し、そのシェルフライフを延長するとともに、本願に係るポリイソシアネート組成物を用いてポリウレタン樹脂を調製する過程でポリイソシアネート組成物の色を安定させ、黄変しにくいことの実現に寄与する。
【0030】
好ましくは、前記老化防止助剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、スルホンアミド基含有化合物、または有機亜リン酸エステルのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、酸化防止剤264(例えば、米国Eastman化学社、Tenox BHT)、酸化防止剤245(例えば、ドイツBASF社、Irganox 245)、または酸化防止剤1076(例えば、ドイツBASF社、Irganox 1076)のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせが更に好ましい。
【0031】
好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物における老化防止助剤の質量含有量は50~5000ppmであり、例えば、100ppm、500ppm、1000ppm、1500ppm、2000ppm、2500ppm、3000ppm、3500ppm、4000ppm、4500ppm等で、100~1000ppmであることが好ましい。
【0032】
好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物の調製原料は、ポリアミンとホスゲン系原料の組み合わせを含む。本願において、前記ポリアミンとは、2つ(例えば、2つ、3つ、4つ等)のアミノ基を少なくとも含む化合物を指す。
【0033】
好ましくは、前記ポリアミンにおける不飽和オレフィン系構造、第二級アミン系構造、または水酸基系構造を有する不純物の総質量含有量は0.1ppm~400ppmであり、例えば、0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、150ppm、200ppm、250ppm、300ppm、350ppm等である。
【0034】
本願の発明者の研究によると、アルカリ加水分解塩素の別の由来は、原料ポリアミンの調製過程において、そのうちのいくつかの成分が後のホスゲン化によりイソシアネートを調製する過程でアルカリ加水分解塩素系を生成し、具体的な構造が、a)不飽和オレフィン構造、b)第二級アミン系構造、c)水酸基系構造を含むが、これらに限定されず、上記構造を含む物質が、一般的に原料ポリアミンと分離しにくく、ホスゲン化過程において、特に、気相ホスゲン化過程において、ホスゲンまたは塩化水素と反応し、これにより、アルカリ加水分解塩素系を形成することである。従い、原料ポリアミンについては、これらの種類の物質の総量を制御する必要があり、本願において、総量を0.1ppm~400ppmに制御することを推奨する。
【0035】
本願において、加水分解塩素の質量含有量の測定は従来技術であり、GB/T 37042-2018で提供された方法を含むが、これに限定されない。アルカリ加水分解塩素の質量含有量について、当業者は通常の手段で試験を行ってもよく、本願は、以下のような試験方法を例示的に提供するものに過ぎず、以下の方法に限定されるものではない。
【0036】
該方法の試験原理は以下のとおりである。ポリイソシアネートにおけるアルカリ加水分解塩素は、主にアルカリ性条件で解離されることができる塩素であり、まず、エタノールとポリイソシアネートとを反応させることにより、ポリイソシアネートにおけるイソシアネートを除去し、その後、アルカリ性条件でアルカリ加水分解可能なハロゲンを解離し、解離されたハロゲンイオンが対応する塩を形成してから、硝酸銀標準溶液で電位差滴定法によりその含有量を測定する。
【0037】
試験過程に用いられる機器は次のとおりである。
(a)電位差滴定装置
(b)複合銀電極
(c)電磁スターラー
(d)恒温水浴:80℃
(e)一般的な実験器具
【0038】
試験過程に用いられる試薬は次のとおりである。
(a)水:イオン交換樹脂で処理された
(b)アセトン(AR)
(c)硝酸溶液:硝酸(GB626)と水とを体積1:3で混合された
(d)塩化ナトリウム標準溶液:1mLが1mgに相当し、GB601で規定された方法で調製された
(e)硝酸銀標準溶液:C(AgNO3)=0.05mol/Lで、GB601で規定された方法で調製および標定された
(f)エタノール(AR)
(g)水酸化ナトリウム標準溶液(2mol/L):80gの水酸化ナトリウム(GB629)を秤量して水を加えて溶解して1000mLに希釈された
【0039】
例示的には、具体的な試験のステップは、以下のとおりである。
(a)10g~15g(0.1mgまで精秤する)の試料を300mLのビーカーに入れ、ロータを入れ、30mLのアセトンを加え、サンプルが完全に溶解した後、50mLのエタノール溶液を加え、60℃の恒温水浴に置いて十分に反応させる。
(b)30min反応させた後、100mLのNaOH溶液を加え、60℃の恒温水浴で50min反応させ続ける。
(c)ビーカーを取り出し、氷水浴に置いて10℃以下に冷却する。
(d)2mLの塩化ナトリウム標準溶液をビーカーに正確に入れ、また、1:3の硝酸溶液を20mL加え、電位差滴定を行い、得る曲線の変曲点を終点とし、消費した硝酸銀標準溶液の体積を記録する。
(e)それと同時に、ブランク試験を行う。
【0040】
アルカリ加水分解塩素は、以下の式で計算される。
【数1】
【0041】
式中、
Clは加水分解塩素の含有率(塩素として)で、単位がppmであり、
Vは試料滴定時に消費する硝酸銀標準溶液の体積で、単位がmLであり、
V0はブランク滴定時に消費する硝酸銀標準溶液の体積で、単位がmLであり、
Cは硝酸銀標準溶液の実際の濃度で、単位がmol/Lであり、
mは試料の質量で、単位がgであり、
0.03546は、1.00mLの硝酸銀標準溶液[C(AgNO3)=1.000mol/L]に相当するグラムで表される塩素原子の質量であり、単位がg/molである。
【0042】
本願の第2の目的は、ポリアミンおよびホスゲン系原料を用いてホスゲン化反応を行い、前記ポリイソシアネート組成物を得ることを含む、第1の目的に記載のポリイソシアネート組成物の調製方法を提供することである。
【0043】
好ましくは、前記ポリアミンは、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3-シクロヘキサンジメチルアミン、1,4-シクロヘキサンジメチルアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(例えば、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2-ジアミノジシクロヘキシルメタン等を含む混合物である工業製品H12MDA)、トルエンジアミン、メチレンジフェニルアミン(例えば、2,2’-メチレンジフェニルアミン、4,4’-メチレンジフェニルアミン)、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ジアミノドデカン、1,5-ペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、またはトリジンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3-シクロヘキサンジメチルアミン、1,4-シクロヘキサンジメチルアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(例えば、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2-ジアミノジシクロヘキシルメタン等を含む混合物である工業製品H12MDA)、イソホロンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ジアミノドデカン、1,5-ペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、トリジン、1,6-ヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、トルエンジアミン、フェニレンジアミン、またはナフタレンジアミンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい。
【0044】
好ましくは、前記ホスゲン系原料は過剰である。
【0045】
好ましくは、前記ホスゲン系原料は、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、フルオロホスゲン、またはブロモホスゲンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、またはフルオロホスゲンの1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましく、ホスゲンおよび/またはフルオロホスゲンであることがより好ましい。
【0046】
好ましくは、前記調製方法は、前記ホスゲン反応で得られた粗生成物を後処理することを更に含む。
【0047】
好ましくは、前記ホスゲン化反応は、気相ホスゲン化反応、液相ホスゲン化反応、または造塩ホスゲン化反応を含む。
【0048】
本願のホスゲン化反応は、本分野で知られているプロセス種類で行うことができる。本願に係る方法によれば、いくつかの例示において、前記ホスゲン化反応は、気相ホスゲン化反応、液相ホスゲン化反応、または造塩ホスゲン化反応から選ばれる。異なるホスゲン化反応プロセスにおおいて、異なる手段を採用してアルカリ加水分解塩素含有量の制御を行う必要がある。
【0049】
好ましくは、前記気相ホスゲン化反応は、ポリアミン気流とホスゲン系原料とを気相ホスゲン化反応させ、反応生成物と液状不活性媒体とを混合して150℃以下に冷却し、または、反応生成物と、液状不活性媒体および目的のイソシアネート生成物の混合物とを混合し、150℃以下に冷却し、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃等、好ましくは100~140℃であり、イソシアネート粗体を得ることを含む。
【0050】
本願の好ましい技術案において、反応混合ガスの温度が高いため、それと同時にアルカリ加水分解塩素の生成を制御するために、反応混合ガスの液状不活性媒体および/または不活性媒体とイソシアネートとの混合物によって吸収されて冷却された後の温度が150℃以下となることを要求し、アルカリ加水分解塩素の生成量を減少する。
【0051】
例示的には、前記気相ホスゲン化反応は、具体的に、特願CN102260194A、CN105214568Aを参照することができる。いくつかの実施形態において、気相ホスゲン化反応は、以下のステップを含む。1)ポリアミンを気化し、ポリアミン液滴を含むポリアミン気流を形成する。2)前記ポリアミン気流に含まれるポリアミン液滴を除去し、ポリアミン液滴をほとんど含まないポリアミン気流を得る。3)前記ポリアミン液滴をほとんど含まないポリアミン気流とホスゲン系原料とを気相ホスゲン化反応させ、反応生成物と液状不活性媒体(例えば、芳香族溶剤)とを混合し、ガス噴射吸収装置で急速に100~140℃に冷却し、または、反応生成物と、液状不活性媒体および目的のイソシアネート生成物の混合物とを混合し、ガス噴射吸収装置で急速に100~140℃に冷却し、イソシアネート粗体を得る。それと同時に、ヒータでポリアミン気流に含まれるポリアミン液滴を除去し、例えば、使用されるヒータの具体的な構造は、特願CN105214568Aで開示された対応する内容を参照することができる。気相ホスゲン化反応の温度は、例えば、200~550℃(例えば、250℃、300℃、320℃、380℃、420℃、500℃)であり、250~400℃であることが好ましい。反応の圧力は0.01~1MPa(例えば、0.05MPa、0.08MPa、0.2MPa、0.5MPa、0.8MPa)であり、0.03~0.3MPaであることが好ましい。いくつかの具体的な形態において、ホスゲン系原料とポリアミンとを反応させた後の混合ガス(反応生成物)は、液状不活性媒体(例えば、芳香族溶剤)および/または不活性媒体とイソシアネートとの混合物で吸収して冷却することができる。
【0052】
好ましくは、前記液相ホスゲン反応は、ポリアミン溶液とホスゲン系原料とをまず0~100℃で冷間反応させてから、60~180℃で熱間反応させ、前記冷間反応および熱間反応の総滞留時間が7h以下であり、例えば、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h等であることを含む。
【0053】
本願の好ましい技術案において、冷間反応および熱間反応の総滞留時間を7h内に制御することにより、アルカリ加水分解塩素の生成を制御することができる。
【0054】
例示的には、前記液相ホスゲン化反応は、具体的に、特願CN103319372Aを参照することができる。いくつかの実施形態において、液相ホスゲン化反応は、以下の2ステップに分けて行われる。1)温度が0~100℃であり、40~70℃であることが好ましく、圧力が絶対圧0.1~1MPaであり、ポリアミンと芳香族溶剤(クロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、およびクロロトルエンから選ばれる1種または複数種であってもよい)とを混合して溶液に調製した後、化学量論量を超えるホスゲン系原料と反応させ、反応滞留時間が2~120minであってもよく、5~45minであることが好ましい冷間反応。2)温度が60~180℃であり、110~165℃であることが好ましく、120~150℃であることがより好ましく、圧力が絶対圧0.1~1MPaであり、クロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、およびクロロトルエンの1種または複数種を溶剤とし、化学量論量を超えるホスゲン系原料と反応させ、反応滞留時間が0.5~5hであってもよい熱間反応。液相ホスゲン化過程において、アルカリ加水分解塩素の生成を制御するために、冷間反応および熱間反応の総滞留時間は7h以下である。
【0055】
好ましくは、前記造塩ホスゲン化反応は、塩化水素および/または二酸化炭素とポリアミンとを不活性溶剤内で造塩反応させてから、ホスゲン系原料とホスゲン化反応させ、前記造塩反応およびホスゲン化反応の総滞留時間が7h以下であり、例えば、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h等であることを含む。
【0056】
本願の好ましい技術案において、造塩反応およびホスゲン化反応の総滞留時間を7h内に制御することにより、アルカリ加水分解塩素の生成を制御することができる。
【0057】
例示的には、前記のホスゲン化反応は、塩化水素および/または二酸化炭素内で行うこともでき、即ち、造塩ホスゲン化反応であり、具体的には、特願CN105218422A、CN107337615Aを参照することができる。いくつかの実施形態において、造塩ホスゲン化反応のステップは以下のとおりである。1)塩化水素および/または二酸化炭素とポリアミンとを不活性溶剤内で造塩反応させ、前記塩化水素とポリアミンにおけるアミノ基とのモル当量比が1~2.5:1であり、1.2~2:1であることが好ましく、前記二酸化炭素とポリアミンにおけるアミノ基とのモル当量比が0.5~5:1であり、0.6~3:1であることが好ましく、不活性溶剤とポリアミンとの質量比が25~5:1であり、20~5:1であることが好ましく、造塩反応の温度が0~50℃であり、5~30℃であることが好ましく、圧力が絶対圧0.1~1MPaであり、絶対圧0.2~0.5MPaであることが好ましく、反応滞留時間が1~15minであり、5~10minであることが好ましい。ステップ1)の造塩反応を経た後、得られた塩酸塩または炭酸塩の反応液をステップ2)に進めてホスゲン系原料とホスゲン化反応させ、反応温度が100~170℃であり、110~165℃であることが好ましく、120~150℃であることがより好ましく、反応圧力が絶対圧0.1~1MPaであり、絶対圧0.2~0.5MPaであることが好ましく、化学量論量を超えるホスゲン系原料と反応させ、その反応滞留時間が1~8hであってもよい。そのうちの不活性溶剤は、クロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、およびクロロトルエンから選ばれる1種または複数種である。造塩ホスゲン化過程において、アルカリ加水分解塩素の生成を制御するために、ステップ1)およびステップ2)の総滞留時間は7h以下である。
【0058】
液相、造塩、または気相ホスゲン化法プロセスのどちらを採用するかにかかわらず、反応終了後、必要に応じ、反応液に対して濾過および後続の分離を行うことができる。本分野の公知技術によれば、通常、精留塔または放散塔を用いて反応液における副生された塩化水素、過剰なホスゲン系原料を除去し、ホスゲン系原料は、精製後に、反応系に返送してリサイクルすることができ、精留塔を用いて反応液における溶剤を除去し、溶剤は、精製後に反応系に返送してリサイクルすることができ、分離により溶剤をほとんど含まない粗ポリイソシアネート組成物の物質フローを得る。スクレーパー蒸発器または精留塔を用いて粗ポリイソシアネート組成物の物質フローを分離して精製し、不揮発分(タール)および沸点の低い軽成分の不純物を除去し、対応するポリイソシアネート組成物を得る。
【0059】
本願の第3の目的は、調製原料は、第1の目的に記載のポリイソシアネート組成物と活性水素基含有化合物の組み合わせを含む、ポリウレタン樹脂を提供することである。
【0060】
本願におけるポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート組成物におけるポリイソシアネート成分と活性水素基含有化合物との反応生成物である。本願に係るポリウレタン樹脂は、合成過程で得られたエマルションの濁度が低く、ポリウレタン製品の光透過率が比較的高く、且つ耐黄変性および耐熱性が比較的良好である。
【0061】
好ましくは、前記活性水素基含有化合物は、ポリオール系化合物および/またはアミン系化合物を含む。前記ポリオール系化合物は、少なくとも2つの水酸基を含む化合物である。
【0062】
好ましくは、前記ポリオール系化合物の分子量は400~20000であり、例えば、800、1000、2000、5000、8000、10000、15000、18000等である。
【0063】
好ましくは、前記ポリオール系化合物の水酸基価は10mgKOH/g~1500mgKOH/gであり、例えば、20mgKOH/g、30mgKOH/g、40mgKOH/g、50mgKOH/g、100mgKOH/g、200mgKOH/g、500mgKOH/g、800mgKOH/g、1000mgKOH/g、1200mgKOH/g、1400mgKOH/g等である。ポリオール成分の水酸基価は、GB/T 12008.3-2019規格における方法Aであるフタル酸無水物法に従って分析することで確定できる。
【0064】
好ましくは、前記ポリオール系化合物の官能性は2~8であり、例えば、3、4、5、6、7等である。
【0065】
好ましくは、前記ポリオール系化合物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エポキシ樹脂、またはバイオベースポリオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0066】
好ましくは、前記ポリエーテルポリオールは、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリマーポリオール、ポリウレアポリオール、ポリテトラヒドロフランおよびそのコポリエーテルジオール、ポリトリメチレンジオール、または芳香族ポリエーテルポリオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0067】
好ましくは、前記ポリエステルポリオールは、アジピン酸系ポリエステルジオール、芳香族ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、またはポリカーボネートジオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0068】
好ましくは、前記アジピン酸系ポリエステルジオールは、ポリエチレンアジペートジオール、ポリプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、またはポリエチレンアジペートジグリコールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0069】
好ましくは、前記芳香族ポリエステルポリオールは、ポリジエチレンフタレートジオール、1,6-ヘキシレンフタレートジオール、またはネオペンチルグリコールフタレートジオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0070】
好ましくは、前記ポリカプロラクトンポリオールは、ポリカプロラクトンジオールおよび/またはポリカプロラクトントリオールを含む。
【0071】
好ましくは、前記ポリカーボネートジオールは、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリ-1,6-ヘキサンジオールカーボネートジオール、またはポリブチレンカーボネートジオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0072】
好ましくは、前記ポリオレフィンポリオールは、末端ヒドロキシポリブタジエン、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン、末端ヒドロキシエポキシ化ポリブタジエン樹脂、末端ヒドロキシポリブタジエン-アクリロニトリル、またはポリスチレンポリオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0073】
好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、または脂肪族エポキシ樹脂のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0074】
好ましくは、バイオベースポリオールは、ヒマシ油およびその誘導体のポリオール、大豆油ポリオール、パーム油ポリオール、ロジンエステルポリオール、脂肪酸ダイマージオール、魚油ポリオール、またはリグニンポリオールのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0075】
好ましくは、前記ポリウレタン樹脂の調製原料は、触媒および/または鎖延長剤を更に含む。
【0076】
好ましくは、前記鎖延長剤は、多官能性アルコール系化合物(例えば、その官能性が2、3、4、5である)および/または多官能性アミン系化合物(例えば、その官能性が2、3、4、5である)を含み、エチレングリコール、ジエチレングリコール(ジグリコール)、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol、BDO)、1,6-ヘキサンジオール(HD)、トリメチロールプロパン(TMP)、ヒマシ油、エチレンジアミン(EDA)、ヒドラジン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メチルペンタンジアミン、ジエチレントリアミン、またはトリエチレンテトラミンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい。
【0077】
水性ポリウレタン分野で使用される鎖延長剤は親水性鎖延長剤であり、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、1,4-ブタンジオール-2-スルホン酸ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、N-エチルジエタノールアミン(EDEA)、N-プロピルジエタノールアミン(PDEA)、N-ブチルジエタノールアミン(BDEA)、ジメチルエタノールアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリン(BHBA)、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン(BHPA)、およびN-メチルジエタノールアミン(MDEA)のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい。
【0078】
本願において、前記ポリウレタン樹脂は、本分野でよく知られているワンショット法およびプレポリマー法等のようなプロセスルートで製造でき、本願は、プレポリマー法で重合製造を行うことが好ましい。
【0079】
例示的には、ワンショット法は、ポリイソシアネート(例えば、脂環族ジイソシアネート組成物)、ポリオール、触媒、鎖延長剤等の必要な原料を一度に均一に混合してキャスト成形する調製方法である。
【0080】
例示的には、プレポリマー法は、ポリオールと僅かに過剰なポリイソシアネート(例えば、脂環族ジイソシアネート組成物)とを反応させ、両端がイソシアネート基でブロックされたポリウレタンプレポリマーを合成した後、プレポリマーと触媒や鎖延長剤とを更に反応させて硬化させてキャスト成形し、ポリウレタンエラストマー材料を得ることである。
【0081】
本願の1つの具体的な実施形態において、プレポリマー法を用いて前記ポリウレタン樹脂を調製し、以下のようなステップを含む。
【0082】
1)前記ポリオールと過剰な前記脂環族ジイソシアネート組成物とを予備重合反応させて両端がイソシアネート基でブロックされたポリウレタンプレポリマーを調製し、好ましくは、前記予備重合反応の温度は60~120℃であり、80~100℃であることが好ましく、反応時間は1~6hであり、2~4hであることが好ましい。
【0083】
2)前記ポリウレタンプレポリマーと触媒と鎖延長剤とを混合し、キャスト硬化させ、前記ポリウレタン樹脂を得、好ましくは、前記キャスト硬化は温度50~100℃で行われ、60~80℃であることが好ましく、硬化時間は1~10hであり、3~6hであることが好ましい。
【0084】
いくつかの実施形態において、本願に係るプレポリマー法に使用される原料配合には、ポリイソシアネート組成物50~500部(好ましくは100~400部)、ポリオール100部、鎖延長剤50~500部(好ましくは50~400部)、触媒0.005~1部(好ましくは0.01~0.5部)という質量部の各原料が含まれる。
【0085】
鎖延長剤は、本分野の通常の鎖延長剤を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、本願に係る鎖延長剤は、2官能化合物または3官能およびそれ以上の化合物であってもよく、2官能化合物としては、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)、3,5-ジエチルトルエンジアミン(DETDA)等のようなジアミン、エタノールアミン等が挙げられ、3官能およびそれ以上の化合物としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられ、本願では、1,4-ブタンジオールおよび/または3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミンであることが好ましい。
【0086】
本願におけるポリウレタン樹脂の調製過程において、調製された末端イソシアネートプレポリマーにおけるイソシアネート基の含有量は、GB/T 12009.4-1989規格で規定された方法で滴定分析することができる。
【0087】
鎖延長剤の使用量は、特願CN110982038Aに係る方法を参照して計算することができ、本願では、鎖延長剤の鎖延長係数が0.8~1.1であることが好ましく、0.9~1.0であることがより好ましい。
【0088】
プレポリマー法の触媒としては、一般的に有機スズ化合物であり、スタナスオクトエート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジ(ドデシルチオ)ジブチルスズの1種または複数種が挙げられ、本願のプロセスルートでは、ジブチルスズジラウレートであることが好ましい。
【0089】
なお、本願のポリウレタン樹脂を製造する場合、具体的な用途の必要に応じ、可塑剤、消泡剤、難燃剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候性安定剤等のような業界内でよく知られている添加剤を適当な割合で更に追加することができる。
【0090】
本願の第4の目的は、前記ポリウレタン樹脂は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン光学材料、ポリウレタンコーティング材料(例えば、塗料、接着剤)、またはポリウレタンフォームの調製に用いられ、好ましくはポリウレタンエラストマーの調製に用いられる第3の目的に記載のポリウレタン樹脂の使用を提供することである。
【発明の効果】
【0091】
従来技術と比べ、本願は、以下の有益な効果を備える。
本願は、特定量のアルカリ加水分解塩素を含むポリイソシアネート組成物を提供し、反応が局所的に暴走して局所的に激しく発熱する場合、アルカリ加水分解塩素内の塩素は解離され、触媒に対して被毒を与え、局所的な過剰反応領域の反応活性を低減して、ポリウレタン合成エマルションの濁りを回避し、更に、ポリウレタン製品の光透過率および耐黄変性を向上させる。
【0092】
詳細な説明を閲読し理解することで、他の態様も理解できる。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、具体的な実施形態により本願の技術案について更に説明する。当業者であれば、述べる実施例は、本願を理解するためのものに過ぎず、本願の具体的な制限と見なされるべきではない。
【0094】
〔実施例1〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0095】
a)特願CN105214568Aの実施例1で開示されたヒータを用い、ヘキサメチレンジアミン(HDA)を気化して355℃に加熱し、窒素ガス雰囲気下で、355℃に加熱されたホスゲンガスとともにそれぞれの供給管を介して連続的に反応器に入れてホスゲン化反応を行い、反応の圧力が絶対圧0.05MPaで、反応の温度が360℃であり、ここで、HDAの供給量が800Kg/hで、ホスゲンガスの供給量が3000Kg/hであり、o-ジクロロベンゼン溶液を用い、ガス噴射吸収装置により、反応後に得られた混合ガスを急速に(接触時間が10s程度)100℃に冷却し、生成物HDI、ホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液を含む粗生成物を得た。
【0096】
反応排ガスを排ガス吸収塔に入れた後、-35℃のo-ジクロロベンゼン溶液で吸収し、ホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0097】
b)ステップa)で得られた粗生成物に対してホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液を除去する処理を行い、粗生成物におけるo-ジクロロベンゼン溶液および過剰なホスゲンを168℃、絶対圧0.1MPaで除去し、分離してホスゲンを含まないHDI粗製品およびホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0098】
c)ステップa)における反応排ガスを吸収した後に得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液と、ステップb)における除去過程後に得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液とを精留塔に入れてホスゲンとo-ジクロロベンゼン溶液との分離を行い、分離過程は、圧力が絶対圧0.125MPaで、塔底温度が155℃で、塔頂温度が15℃である条件で行われ、純度98%のホスゲンおよびホスゲン含有量<0.001%のo-ジクロロベンゼン溶液を得、分離されたホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液をいずれもステップa)に戻して循環使用された。
【0099】
d)ステップb)で得られたホスゲンを含まないHDI粗製品を精留で精製し、絶対圧0.5KPa、135~140℃の沸点範囲でHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)製品を得た。
【0100】
使用されたヘキサメチレンジアミンにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計は200ppmであった。
【0101】
得られたHDI製品の収率は97%であり、製品の純度は99.75%であった。得られた製品における加水分解塩素は25ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は30ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は5ppmであった。
【0102】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0103】
(1)ポリウレタンプレポリマーの調製
相対分子質量1000のポリオキシプロピレンジオール(水酸基価110mgKOH/g、官能性2(上海高橋石油化学工業公司、ポリエーテルポリオールGE-210))を100部秤量し、撹拌しながら110℃に加熱し、絶対圧200Paに減圧して2.5時間除水し、60℃に降温し、上記イソシアネート合成過程で生産されたHDIを168部加えた。80℃に昇温し、120min反応させ、青色で透明なポリウレタンプレポリマーエマルションを得た。
【0104】
プレポリマーエマルションに対して濁度試験を行い、その結果は0.42NTUであった。
【0105】
(2)ステップ(1)で得られたポリウレタンプレポリマー、82部の1,4-ブタンジオール(BASF社、102℃、絶対圧200Paで2.5時間除水してから使用する)、および0.1部のジブチルスズジラウレート(米国Air Products and Chemicals, Inc、Dabco T-12)をキャスティングマシンに置き、それぞれ45℃に加熱し、絶対圧1KPaに減圧し0.5時間脱泡し、均一に混合し、75℃に予熱された型にキャスティングし、4h加熱硬化し、ポリウレタン樹脂を得た。
【0106】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は97.5%であった。
【0107】
製造されたポリウレタン樹脂を80℃のオーブンに入れ、12hベークし、乾燥したポリウレタン製品を得た。色差計(エックスライトX-Rite528型)で得られたポリウレタン製品の色値bを測定してから、ポリウレタンフィルムを150℃のオーブンに入れて0.5hベークし、色差計でベーク後の樹脂フィルムの色値bを測定し、且つ、色差△Eを0.45(数値が低いほど、性能が優れていることを表す)と測定し、データより、本実施例に係るポリウレタン樹脂が良好な耐黄変性を持つことを示した。
【0108】
〔実施例2〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0109】
ステップa)のホスゲン化反応は、液相ホスゲン化反応を採用し、特願CN103319372Aで開示された反応釜を参照し、以下のステップで行われた。
【0110】
1)冷間反応:4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(H12MDA)を、o-ジクロロベンゼンを溶剤として質量含有量15%の溶液に調製し、40℃に予熱し、-5℃の液状ホスゲンと同時にo-ジクロロベンゼン溶液を含む反応釜に通入して液相ホスゲン化反応させ、ここで、H12MDAの供給量が400Kg/hで、冷間反応ホスゲンの供給量が1500Kg/hであり、冷間反応温度を60℃に制御し、滞留時間が5minであった。
【0111】
2)熱間反応:温度を155℃に制御し、滞留時間が6hであり、o-ジクロロベンゼン溶液および過剰なホスゲンの存在下で反応させ、生成物H12MDI、ホスゲン、およびo-ジクロロベンゼン溶液を含む反応液(粗生成物)を得た。
【0112】
冷、熱ホスゲン化反応段階の反応総滞留時間は6時間5分であった。
【0113】
反応排ガスを排ガス吸収塔に入れた後、-30℃のo-ジクロロベンゼン溶液で吸収し、ホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0114】
b)ステップa)で得られた反応液に対してホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液を除去する処理を行い、反応液におけるo-ジクロロベンゼン溶液および過剰なホスゲンを155℃、絶対圧0.05MPaで除去し、ホスゲンを含まないH12MDI粗製品およびホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0115】
除去過程において、ホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液の155℃での滞留時間を1hに制御した。
【0116】
c)ステップa)における反応排ガスを吸収した後に得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液と、ステップb)における除去過程で得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液とを精留塔に入れてホスゲンとo-ジクロロベンゼンとの分離を行い、分離過程は、圧力が絶対圧0.125MPaで、塔底温度が145℃で、塔頂温度が15℃である条件で行われ、純度98%のホスゲンおよびホスゲン含有量<0.001%のo-ジクロロベンゼン溶液を得、分離されたホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液をいずれもステップa)に戻して循環使用した。
【0117】
d)ステップb)で得られたホスゲンを含まないH12MDI粗製品を精留で精製し、絶対圧0.5KPa、150~160℃の沸点範囲でH12MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)製品を得た。
【0118】
使用されたH12MDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計は270ppmであった。
【0119】
得られたH12MDI製品の収率は96%であり、製品の純度は99.8%であった。得られた製品における加水分解塩素は5ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は7ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は2ppmであった。
【0120】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0121】
(1)ポリウレタンプレポリマーの調製
相対分子質量1000のポリオキシプロピレンジオール(水酸基価110mgKOH/g、官能性2(上海高橋石油化学工業公司、ポリエーテルポリオールGE-210))を100部秤量し、撹拌しながら110℃に加熱し、絶対圧200Paに減圧して2.5時間除水し、60℃に降温し、上記イソシアネート合成過程で生産されたH12MDIを262部加えた。85℃に昇温し、100min反応させ、青色で透明なポリウレタンプレポリマーエマルションを得た。
【0122】
プレポリマーエマルションに対して濁度試験を行い、その結果は0.25NTUであった。
【0123】
(2)ステップ(1)で得られたポリウレタンプレポリマーを用いて実施例1の方法に従ってポリウレタン樹脂を調製し、色差△E試験を行い、その結果は0.31であり、データより、本実施例に係るポリウレタン樹脂が良好な耐黄変性を持つことを示した。
【0124】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は95.5%であった。
【0125】
〔実施例3〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0126】
ステップa)のホスゲン化反応は、造塩ホスゲン化反応を採用し、特願CN105218422Aの実施例1で開示された釜型反応器を参照し、以下のステップで行われた。
【0127】
1)造塩反応釜に1000Kgのo-ジクロロベンゼンを反応溶剤として予め加え、循環ポンプおよび撹拌機をオンにして、塩化水素圧縮ガスを、プレミキサーを介して50mol/minの速度で反応器に入れ、15min撹拌した後、イソホロンジアミン(IPDA)とo-ジクロロベンゼンとの混合液を原料予熱器により30℃に昇温し、335Kg/hの流速で塩化水素ガスと十分に接触してから造塩反応させ、外部循環冷却水で冷却し、一部の反応熱を取り除き、循環液流量を5m3/h程度とし、反応液温度を30~45℃に維持し、1h供給した後、IPDAとo-ジクロロベンゼンとの混合液の供給を停止し、HClガスを30min通入し続けた。
【0128】
2)ステップ1)で得られたIPDA塩酸塩スラリーを光化学反応釜に移し、この光化学反応釜は、ホスゲン吸気管、気相凝縮還流および撹拌機を有し、光化学反応釜を昇温しながら、撹拌機をしはじめ、温度が60℃になってからホスゲンを通入し、ホスゲンの供給速度を50mol/minとし、反応温度を145℃とし、反応液が澄んだ後、ホスゲンの供給を停止し、生成物IPDI、ホスゲンおよびo-ジクロロベンゼンを含む造塩光化学反応液(粗生成物)を得た。
【0129】
造塩反応が0.5hで、光化学反応が6hで、造塩反応と光化学反応段階の反応総滞留時間が6.5時間であった。
【0130】
反応排ガスを排ガス吸収塔に入れた後、-30℃のo-ジクロロベンゼン溶液で吸収し、ホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0131】
b)ステップa)で得られた反応液に対してホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液を除去する処理を行い、反応液におけるo-ジクロロベンゼン溶液および過剰なホスゲンを145℃、絶対圧0.04MPaで除去し、ホスゲンを含まないIPDI粗製品およびホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液を得た。
【0132】
c)ステップa)における反応排ガスを吸収した後に得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液と、ステップb)におけるガス除去過程で得られたホスゲンを含むo-ジクロロベンゼン溶液とを精留塔に入れてホスゲンとo-ジクロロベンゼンとの分離を行い、分離過程は、圧力が絶対圧0.125MPaで、塔底温度が165℃で、塔頂温度が15℃である条件で行われ、純度98%のホスゲンおよびホスゲン含有量<0.001%のo-ジクロロベンゼン溶液を得、分離されたホスゲンおよびo-ジクロロベンゼン溶液をいずれもステップa)に戻して循環使用した。
【0133】
d)ステップb)で得られたホスゲンを含まないIPDI粗製品を精留で精製し、絶対圧0.5KPa、140~150℃の沸点範囲でIPDI(イソホロンジイソシアネート)製品を得た。
【0134】
使用されたIPDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計は170ppmであった。
【0135】
得られたIPDI製品の収率は97.6%であり、製品の純度は99.85%であった。得られた製品における加水分解塩素は35ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は41ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は6ppmであった。
【0136】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0137】
(1)ポリウレタンプレポリマーの調製
相対分子質量1000のポリオキシプロピレンジオール(水酸基価110mgKOH/g、官能性2(上海高橋石油化学工業公司、ポリエーテルポリオールGE-210))を100部秤量し、撹拌しながら110℃に加熱し、絶対圧200Paに減圧して2.5時間除水し、60℃に降温し、上記イソシアネート合成過程で生産されたH12MDIを222部加えた。85℃に昇温し、150min反応させ、青色で透明なポリウレタンプレポリマーエマルションを得た。
【0138】
プレポリマーエマルションに対して濁度試験を行い、その結果は0.32NTUであった。
【0139】
(2)ステップ(1)で得られたポリウレタンプレポリマーを用いて実施例1の方法に従ってポリウレタン樹脂を調製し、色差△E試験を行い、その結果は0.22であり、データより、本実施例に係るポリウレタン樹脂が良好な耐黄変性を持つことを示した。
【0140】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は96.7%であった。
【0141】
〔実施例4〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0142】
a)特願CN105214568Aの実施例1で開示されたヒータを用い、ジアミンIPDAを気化して355℃に加熱し、窒素ガス雰囲気下で、355℃に加熱されたホスゲンガスとともにそれぞれの供給管を介して連続的に反応器に入れてホスゲン化反応を行い、反応の圧力が絶対圧0.05MPaで、反応の温度が360℃であり、ここで、IPDAの供給量が800Kg/hで、ホスゲンガスの供給量が3000Kg/hであり、クロロベンゼン溶液を用い、ガス噴射吸収装置により、反応後に得られた混合ガスを急速に(接触時間が10s程度)105℃に冷却し、生成物IPDI、ホスゲンおよびクロロベンゼン溶液を含む粗生成物を得た。
【0143】
反応排ガスを排ガス吸収塔に入れた後、-25℃のクロロベンゼン溶液で吸収し、ホスゲンを含むクロロベンゼン溶液を得た。
【0144】
b)ステップa)で得られた粗生成物に対してホスゲンおよびクロロベンゼン溶剤を除去する処理を行い、粗生成物におけるクロロベンゼンおよび過剰なホスゲンを168℃、絶対圧0.1MPaで除去し、ホスゲンを含まないIPDI粗製品およびホスゲンを含むクロロベンゼン溶液を得た。
【0145】
c)ステップa)における反応排ガスを吸収した後に得られたホスゲンを含むクロロベンゼン溶液と、ステップb)の除去過程で得られたホスゲンを含むクロロベンゼン溶液と精留塔に入れてホスゲンとクロロベンゼン溶液との分離を行い、分離過程は、圧力が絶対圧0.125MPaで、塔底温度が155℃で、塔頂温度が15℃である条件で行われ、純度98%のホスゲンおよびホスゲン含有量<0.001%のクロロベンゼン溶液を得、分離されたホスゲンおよびクロロベンゼン溶液をいずれもステップa)に戻して循環使用した。
【0146】
d)ステップb)で得られたホスゲンを含まないIPDI粗製品を精留で精製し、絶対圧0.5KPa、140~150℃の沸点範囲でIPDI(イソホロンジイソシアネート)製品を得た。
【0147】
使用されたIPDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計は170ppmであった。
【0148】
得られたIPDI製品の収率は97.5%であり、製品の純度は99.85%であった。得られた製品における加水分解塩素は17ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は22ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は5ppmであった。
【0149】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は以下のとおりである。
【0150】
(1)ポリウレタンプレポリマーの調製
相対分子質量1000のポリオキシプロピレンジオール(水酸基価110mgKOH/g、官能性2(上海高橋石油化学工業公司、ポリエーテルポリオールGE-210))を100部秤量し、撹拌しながら110℃に加熱し、絶対圧200Paに減圧して2.5時間除水し、60℃に降温し、上記イソシアネート合成過程で生産されたIPDIを222部加えた。85℃に昇温し、150min反応させ、青色で透明なポリウレタンプレポリマーエマルションを得た。
【0151】
プレポリマーエマルションに対して濁度試験を行い、その結果は0.19NTUであった。
【0152】
(2)ステップ(1)で得られたポリウレタンプレポリマーを用いて実施例1の方法に従ってポリウレタン樹脂を調製し、色差△E試験を行い、その結果は0.21であり、データより、本実施例に係るポリウレタン樹脂が良好な耐黄変性を持つことを示した。
【0153】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は94.9%であった。
【0154】
〔実施例5〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例1との区別は、使用されたヘキサメチレンジアミンにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計が50ppmであることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例1と同じである。
【0155】
得られたHDI製品の収率は97%であり、製品の純度は99.75%であった。得られた製品における加水分解塩素は25ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は25.4ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は0.4ppmであった。
【0156】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例1と同じである。
【0157】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.10NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.09であった。
【0158】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は98.5%であった。
【0159】
〔実施例6〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例1との区別は、ステップ(a)において、o-ジクロロベンゼン溶液を用い、ガス噴射吸収装置により、反応後に得られた混合ガスを急速に(接触時間が10s程度)120℃に冷却することだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例1と同じである。
【0160】
得られたHDI製品の収率は97%であり、製品の純度は99.8%であった。得られた製品における加水分解塩素は23ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は63ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は40ppmであった。
【0161】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例1と同じである。
【0162】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.11NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.10であった。
【0163】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は98.4%であった。
【0164】
〔実施例7〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例2との区別は、使用されたH12MDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計が120ppmであることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例2と同じである。
【0165】
得られたHDI製品の収率は96.2%であり、製品の純度は99.8%であった。得られた製品における加水分解塩素は4.1ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は4.3ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は0.2ppmであった。
【0166】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例2と同じである。
【0167】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.14NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.15であった。
【0168】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は96.2%であった。
【0169】
〔実施例8〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例2との区別は、冷、熱ホスゲン化反応段階の反応総滞留時間が6時間であり、そのうち、冷間反応が5minで、熱間反応が5時間55分であることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例2と同じである。
【0170】
得られたであるH12MDI製品の収率は96%であり、製品の純度は99.8%であった。得られた製品における加水分解塩素は5ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は65ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は60ppmであった。
【0171】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例2と同じである。
【0172】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.15NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.15であった。
【0173】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は96.0%であった。
【0174】
〔実施例9〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例3との区別は、使用されたIPDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計が180ppmであることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例3と同じである。
【0175】
得られたIPDI製品の収率は97.5%であり、製品の純度は99.85%であった。得られた製品における加水分解塩素は17ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は22ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は5ppmであった。
【0176】
得られたIPDA製品の収率は97.6%であり、製品の純度は99.87%であった。得られた製品における加水分解塩素は17.4ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は17.5ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は0.1ppmであった。
【0177】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は実施例3と同じである。
【0178】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.19NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.18であった。
【0179】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は94.0%であった。
【0180】
〔実施例10〕
本実施例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例3との区別は、造塩反応、光化学反応段階の反応総滞留時間が6時間であり、そのうち、造塩反応が0.5hで、光化学反応が5.5hであることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例3と同じである。
【0181】
得られたHDI製品の収率は97.5%であり、製品の純度は99.88%であった。得られた製品における加水分解塩素は17ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は117ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は100ppmであった。
【0182】
本実施例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は実施例3と同じである。
【0183】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.19 NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は0.20であった。
【0184】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は94.8%であった。
【0185】
〔比較例1〕
本比較例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例1との区別は、ステップa)において、o-ジクロロベンゼン溶液を用い、ガス噴射吸収装置により、反応後に得られた混合ガスを急速に(接触時間が10s程度)175℃に冷却することだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例1と同じである。
【0186】
得られたHDI製品の収率は97%であり、製品の純度は99.74%であった。得られた製品における加水分解塩素は23ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は170ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は147ppmであった。
【0187】
本比較例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例1と同じである。
【0188】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は1.7NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は1.5であった。
【0189】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は81.5%であった。
【0190】
〔比較例2〕
本比較例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例2との区別は、ステップa)において、冷間反応の滞留時間が30minで、熱間反応の滞留時間が8hであり、冷、熱ホスゲン化反応段階の反応総滞留時間が8.5時間であることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例2と同じである。
【0191】
得られたH12MDI製品の収率は96.2%で、製品の純度は99.81%であった。得られた製品における加水分解塩素は3ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は170ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は167ppmであった。
【0192】
本比較例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法が実施例2と同じである。
【0193】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は1.9NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は1.7であった。
【0194】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は79.1%であった。
【0195】
〔比較例3〕
本比較例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例3との区別は、ステップa)において、造塩反応、光化学反応段階の反応総滞留時間が9.5時間であることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例3と同じである。
【0196】
得られたIPDI製品の収率は97.4%であり、製品の純度は99.86%であった。得られた製品における加水分解塩素は25ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は131ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は106ppmであった。
【0197】
本比較例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は実施例3と同じである。
【0198】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.67NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は1.9であった。
【0199】
得られたポリウレタン製品按照GB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は85.5%であった。
【0200】
〔比較例4〕
本比較例は、ポリイソシアネート組成物を提供し、その調製方法が実施例4との区別は、使用されたIPDAにおける不飽和オレフィン構造、第二級アミン系構造、水酸基系構造の含有量の合計が0.2ppmであることだけであり、他の操作ステップおよび条件は、いずれも実施例4と同じである。
【0201】
得られたIPDI製品の収率は97.4%であり、製品の純度は99.85%であった。得られた製品における加水分解塩素は21ppmで、アルカリ加水分解塩素含有量は21ppmであり、アルカリ加水分解塩素と加水分解塩素との差は0ppmであった。
【0202】
本比較例は、ポリウレタン樹脂を更に提供し、その調製方法は実施例4と同じである。
【0203】
ポリウレタンプレポリマーの合成で得られたエマルションの濁度は0.75NTUであり、製造されたポリウレタン樹脂に対して色差△E試験を行い、その結果は2.7であった。
【0204】
得られたポリウレタン製品に対してGB/T 2410-2008に係る方法に従って光透過率試験を行い、その結果は73.2%であった。
【0205】
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4を比較することにより、本願に係る特定量(加水分解塩素との差が0.1ppm~100ppmである)のアルカリ加水分解塩素を含むポリイソシアネート組成物は、ポリウレタン合成エマルションの濁りを効果的に回避して、ポリウレタン製品の光透過率および耐黄変性を向上させることができることが分かった。
【0206】
実施例1、5~10を比較することにより、ポリイソシアネート組成物におけるアルカリ加水分解塩素の質量含有量から加水分解塩素の質量含有量を引いた数値が0.2ppm~60ppmである場合(実施例1、5~8)、ポリウレタン合成エマルションの濁り問題を更に改善し、製品の光透過率および耐黄変性を向上させることができ、差が4ppm~40ppm範囲内(実施例1、5~6)にある場合、効果がより優れていることが分かった。