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特許7542149気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所
(51)【国際特許分類】
   G21D 3/08 20060101AFI20240822BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240822BHJP
   G21D 1/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G21D3/08 G
B01D19/00 F
G21D1/02 U
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023528554
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020082288
(87)【国際公開番号】W WO2022100870
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519462218
【氏名又は名称】フラマトム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ベーネケ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ベーヴァー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーマイヤー,ヨーグ
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-104942(JP,A)
【文献】特開2001-147288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0290676(US,A1)
【文献】特開2016-157834(JP,A)
【文献】特開2017-006823(JP,A)
【文献】特表平11-505175(JP,A)
【文献】特開2005-171261(JP,A)
【文献】特開昭59-226896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/02,3/08
B01D 19/00
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体含有液体(2)の脱気システム(1)を含む原子力発電所において、該システム(1)が、
- 内部体積(8)を境界画定する少なくとも1つの外側壁(6)を有し、気体含有液体(2)から気体(18)を分離するように構成された分離容器(4)と、
- 気体含有液体(2)を内部体積(8)内に導入するように適応された少なくとも1つの入口(10)と、
- 分離容器(4)に取付けられ、内部体積(8)から分離済み気体(18)を放出するように適応されている少なくとも1つの吸気ライン(20)と、
- 内部体積(8)から脱気済み液体(14)を放出するように適応された少なくとも1つの出口(12)と、
- 気体含有液体(2)を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタ(16)と、
を含み、
ソノトロードクラスタ(16)が、分離容器(4)の外側壁(6)から内部体積(8)内に延在する少なくとも1つのソノトロード(24)を含むこと、
を特徴とする原子力発電所。
【請求項2】
気体含有液体(2)が、水および少なくとも1つの気体および関連する核種を含み、気体が、
- 水素、
- 酸素、
- 窒素、
- キセノン、および
- クリプトン、
で構成されたリストの中から選択される、請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項3】
一次原子炉冷却材回路と二次原子炉冷却材回路とをさらに含み、少なくとも入口(10)が、一次原子炉冷却材回路または二次原子炉冷却材回路に流体的に連通されている、請求項1または2に記載の原子力発電所。
【請求項4】
少なくとも1つのソノトロード(24)が、外側壁(6)から内部体積(8)内へと、外側壁(6)に対して直交して延在している、請求項1から3のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項5】
外側壁(6)が、側壁(19)を含み、側壁(19)に連結された上壁(21)と下壁(23)とをさらに含む、請求項1から4のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項6】
少なくとも1つのソノトロード(24)が、側壁(19)から延在している、請求項5に記載の原子力発電所。
【請求項7】
入口(10)および出口(12)が、分離容器(4)内で気体含有液体(2)の遠心流を生成するように分離容器(4)の側壁(19)に対して接線方向に配設されている、請求項5または6に記載の原子力発電所。
【請求項8】
入口(10)が、内部体積(8)内に液滴の形態で気体含有液体(2)を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズル(52)を含む、請求項1から6のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項9】
少なくとも1つソノトロード(24)が、少なくとも部分的にスプレーノズル(52)の内部に配設されている、請求項8に記載の原子力発電所。
【請求項10】
少なくとも1つのスプレーノズル(52)が、少なくとも1つのソノトロード(24)を形成する、請求項8に記載の原子力発電所。
【請求項11】
脱気システム(1)が、分離容器(4)の内部体積(8)内に配設されたグリッド構造(40)を含む、請求項1から10のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項12】
脱気システム(1)が、内部体積(8)内にストリッピングガス(46)を導入するように構成されたストリッピングガス装置(44)を含む、請求項1から11のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項13】
脱気システム(1)が、分離済み気体(18)を受け取り、分離済み気体(18)の少なくとも一部を、例えば別の気体(36)と組合わせて分離容器(4)内に再導入するように構成された再結合器(34)を含む、請求項1から12のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項14】
ソノトロードクラスタ(16)が、内部体積(8)内の気体含有液体(2)を均質に浸透させるような形で配設されている、請求項1から13のいずれか一つに記載の原子力発電所。
【請求項15】
気体含有液体(2)の脱気システム(1)を含む原子力発電所において、該システム(1)が、
- 内部体積(8)を境界画定する少なくとも1つの外側壁(6)を有する分離容器(4)と、
- 気体含有液体(2)を内部体積(8)内に導入するように適応された少なくとも1つの入口(10)と、
- 分離容器(4)に取付けられ、内部体積(8)から分離済み気体(18)を放出するように適応されている少なくとも1つの吸気ライン(20)と、
- 内部体積(8)から脱気済み液体(14)を放出するように適応された少なくとも1つの出口(12)と、
- 気体含有液体(2)を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタ(16)と、
を含み、
少なくとも1つの入口(10)が、内部体積(8)内に液滴の形態で気体含有液体(2)を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズル(52)を含み、ソノトロードクラスタ(16)が、分離容器(4)の外側壁(6)から内部体積(8)内に延在する少なくとも1つのソノトロード(24)を含む、原子力発電所。
【請求項16】
ソノトロードクラスタ(16)が、分離容器(4)の上流側に配設された少なくとも1つのソノトロード(24)を含む、請求項15に記載の原子力発電所
【請求項17】
分離容器(4)の外側壁(6)から延在する少なくとも1つのソノトロード(24)が、少なくとも部分的にスプレーノズル(52)の内部に配設されている、請求項15に記載の原子力発電所。
【請求項18】
少なくとも1つのスプレーノズル(52)が、分離容器(4)の外側壁(6)から延在する少なくとも1つのソノトロード(24)を形成する、請求項15に記載の原子力発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気用システムを含む原子力発電所に関する。
【0002】
本発明は、原子力発電所の分野、詳細には原子力発電所の運転に関する。
【背景技術】
【0003】
原子力発電所においては、さまざまな理由で、気体含有液体から気体を除去することが望まれる可能性がある。例えば、このような気体が中に溶解している原子炉冷却材から気体を分離することが望まれる場合がある。このような方法は、概して「脱気」または「ガス抜き」と呼ばれる。
【0004】
気体含有液体が原子炉冷却材である場合、酸素を除去することによって、例えば、原子炉冷却材が中を循環する配管系内部の腐食を回避することが可能となる。他の例によると、原子力発電所の運転停止の場合に水素を除去することができ、あるいは、原子力発電所に対するメンテナンス作業に先立ち放射性核種を除去することができる。
【0005】
処理すべき液体を格納する原子炉の下に超音波エミッタが設置される、気体含有液体から気体を除去するためのシステムが存在する。こうして、エミッタは、原子炉の壁を通って処理すべき液体の中に超音波を伝送して、気体含有流体のガス抜きを可能にする。
【0006】
しかしながら、このようなシステムは完全に満足のいくものではない。例えば、原子炉内に存在する全ての液体に超音波が浸透し得るわけではなく、したがって、化合物の除去は満足のいくものではない。あるいは、全ての液体に浸透するためには少量の液体しか原子炉中に存在できず、したがって、有機化合物を除去するために所与の時間内に処理できる液体の量はわずかでしかない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本開示の目的は、非常に効率の良い脱気を可能にする、気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によると、本開示は、気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所において、システムが、
- 内部体積を境界画定する少なくとも1つの外側壁を有し、気体含有液体から気体を分離するように構成された分離容器と、
- 気体含有液体を内部体積内に導入するように適応された少なくとも1つの入口と、
- 分離容器に取付けられ、内部体積から分離済み気体を放出するように適応されている少なくとも1つの吸気ラインと、
- 内部体積から脱気済み液体を放出するように適応された少なくとも1つの出口と、
- 気体含有液体を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタと、
を含み、
ソノトロードクラスタが、分離容器の外側壁から内部体積内に延在する少なくとも1つのソノトロードを含む、原子力発電所に関する。
【0009】
この脱気システムは、気体を放出する分離容器の内部体積内に少なくとも1つのソノトロードがあることから、気体含有液体全体に浸透することを可能にする。例えば、少なくとも1つのソノトロードと気体含有液体の間に位置付けされた容器の外側壁が全く無いことから、気体含有液体を直接浸透させて、気体は、信頼できる形で、詳細には例えば、壁による超音波の減衰無く気体含有液体から放出される。
【0010】
したがって、脱気は、原子力発電所内の気体含有液体の効率の良い脱気を可能にする。
【0011】
同様に、少なくとも1つのソノトロードが、分離済み気体が放出される分離容器の内部体積内に延在していることから、気体含有液体からの気体の分離は、気体の排出の非常に近くで行なわれ得る。これにより、分離容器からの排出に先立ち気体が液体中に再溶解するのを回避すること、または少なくともその量を削減することが可能となる。したがって、この脱気システムは、液体から大量の気体が分離され排出されるため、非常に効率の良い脱気を可能にする。
【0012】
さらなる実施形態は、任意の技術的に実現可能な組合せで組合わせることのできる以下の特徴のうちの1つ以上に関するものであり得る。
- 気体含有液体は、水および少なくとも1つの気体および関連する核種を含み、気体は、水素、酸素、窒素、キセノン、およびクリプトンで構成されたリストの中から選択される、
- 原子力発電所は、一次原子炉冷却材回路と二次原子炉冷却材回路とを含み、少なくとも入口は、一次原子炉冷却材回路または二次原子炉冷却材回路に流体的に連通されている、
- 少なくとも1つのソノトロードは、外側壁から内部体積内へと、外側壁に対して直交して延在している、
- 外側壁は、側壁を含み、側壁により連結された上壁と下壁とをさらに含む、
- 少なくとも1つのソノトロードは、側壁から延在している、
- 入口および出口は、分離容器内で気体含有液体の遠心流を生成するように分離容器の側壁に対して接線方向に配設されている、
- 入口は、内部体積内に液滴の形態で気体含有液体を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズルを含む、
- 少なくとも1つのソノトロードは、少なくとも部分的にスプレーノズルの内部に配設されている、
- 少なくともの1つのスプレーノズルは、少なくとも1つのソノトロードを形成する、
- 脱気システムは、分離容器の内部体積内に配設されたグリッド構造を含む、
- 脱気システムは、内部体積内にストリッピングガスを導入するように構成されたストリッピングガス装置を含む、
- 脱気システムは、分離済み気体を受け取り、分離済み気体の少なくとも一部を、例えば別の気体と組合わせて分離容器内に再導入するように構成された再結合器を含む、
- ソノトロードクラスタは、内部体積内の気体含有液体を均質に浸透させるような形で配設されている。
【0013】
別の態様によると、本開示は、気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所において、システムが、
- 内部体積を境界画定する少なくとも1つの外側壁を有する分離容器と、
- 気体含有液体を内部体積内に導入するように適応された少なくとも1つの入口と、
- 分離容器に取付けられ、内部体積から分離済み気体を放出するように適応されている少なくとも1つの吸気ラインと、
- 内部体積から脱気済み液体を放出するように適応された少なくとも1つの出口と、
- 気体含有液体を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタと、
を含み、
少なくとも1つの入口が、内部体積内に液滴の形態で気体含有液体を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズルを含む、原子力発電所に関する。
【0014】
さらなる実施形態は、任意の技術的に実現可能な組合せで組合わせることのできる以下の特徴のうちの1つ以上に関するものであり得る。
- ソノトロードクラスタは、分離容器の上流側に配設された少なくとも1つのソノトロードを含む、
- ソノトロードクラスタは、分離容器の外側壁から内部体積内に延在する少なくとも1つのソノトロードを含む、
- 分離容器の外側壁から延在する少なくとも1つのソノトロードは、少なくとも部分的にスプレーノズルの内部に配設されている、
- 少なくとも1つのスプレーノズルは、分離容器の外側壁から延在する少なくとも1つのソノトロードを形成する。
【0015】
本発明のこれらの特徴および利点について、単に非限定的な例として提供されている以下の記載において添付図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る気体含有液体の脱気用システムを含む原子力発電所の一部の概略的部分断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る図1に類似した概略的断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態の第1の実施例に係る、図1に類似した概略的断面図である。
図4】第3の実施形態の第2の実施例に係る、図3に類似した概略的断面図である。
図5】第3の実施形態の第3の実施例に係る、図3に類似した概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、第1の実施形態に係る原子力発電所は、気体含有液体2の脱気用システム1を含む。以下で、このシステム1は「脱気システム」と呼ばれる。
【0018】
脱気システム1は、内部体積8を境界画定する外側壁6、気体含有液体2を内部体積8内に導入するように適応された少なくとも1つの入口10および、内部体積8から脱気済み液体14を放出するように適応された少なくとも1つの出口12を含む。
【0019】
脱気システム1は、分離容器4の内部体積8内に格納された気体含有液体2を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタ16も含んでいる。
【0020】
脱気システム1はさらに、分離容器4に取付けられ、内部体積8から分離済み気体18を放出するように適応されている少なくとも1つの吸気ライン20を含む。
【0021】
例えば、原子力発電所は、図示されていないものの、一次原子炉冷却材回路、二次原子炉冷却材回路および原子炉炉心を含む。原子力発電所は、例えば軽水炉、詳細には加圧水型原子炉(PWR)または沸騰水型原子炉(BWR)または重水炉、例えばCANDU(カナダ重水素ウラン)原子炉を含む。
【0022】
例えば、一次原子炉冷却材回路は、一次冷却材を循環させるため、原子力発電所の原子炉炉心に流体的に連通されている。二次原子炉冷却材回路は、一次冷却材回路から流体的に分離されている。二次原子炉冷却材回路は詳細には、一次冷却材と熱を交換する目的で二次冷却材を循環させるように構成されている。
【0023】
明細書全体において、「気体含有液体」とは、溶解した気体を液体中に含有する液体である。液体は、例えば、原子力発電所の原子炉炉心を直接的または間接的に冷却するための冷却材である。詳細には、冷却材は水を含む。
【0024】
例えば、脱気すべき気体含有液体2は、一次原子炉冷却材回路の一次冷却材または二次原子炉冷却材回路の二次冷却材である。
【0025】
気体含有液体2が一次冷却材である場合、入口10および/または出口12は、一次原子炉冷却材回路に流体的に連通されている。詳細には、原子力発電所は、原子炉炉心を通って、次に入口10を介して分離容器4内へ、そして再び出口12を介して、次に原子炉炉心に戻るように一次冷却材を循環させるように構成されている。
【0026】
別の実施例によると、入口10および/または出口12は、二次原子炉冷却材回路に流体的に連通されている。この場合、原子力発電所は、二次原子炉冷却材回路を通って、次に入口10を介して分離容器4内へ、そして再び出口12を介して、二次原子炉冷却材回路を通って二次冷却材を循環させるように構成されている。
【0027】
他の実施例によると、気体含有液体2は、原子力発電所内を循環するように意図された、一次または二次冷却材以外の任意の気体含有液体である。
【0028】
一実施例によると、気体含有液体2は、液体の飽和点よりも低い量の気体を含む。この場合、気体含有液体2は、不飽和液体と呼称される。
【0029】
気体含有液体2中に含まれている気体は、例えば以下の気体のうちの1つを含み、好ましくは、以下の気体の1つにより構成されている:水素、酸素、窒素、キセノンおよびクリプトン。一実施例によると、気体含有液体2は、気体に対応する核種も含んでいる。
【0030】
例えば、気体含有液体2内に含まれている気体は、希ガスを含み、好ましくは、例えばヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)または放射性ラドン(Rn)などの希ガスで構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態によると、脱気システム1は、分離容器4から脱気済み液体14を抽出するための少なくとも1つの抽出器ポンプ22を含む。抽出器ポンプ22は、例えば、出口12から原子炉炉心まで、そして次に入口10まで脱気済み液体14を循環させるように配設されている。
【0032】
他の実施形態によると、脱気システム1は、このようなポンプを含まない。この場合、出口12は、例えば、分離容器4からの脱気済み液体14の抽出を可能にするように、分離容器4の下位部分の中に具備される。
【0033】
脱気システム1全体は、好ましくは、気体含有液体2の連続的流入および分離済み気体18および脱気済み液体14の連続的流出を伴って、連続的に動作するように設計される。
【0034】
一実施形態によると、脱気システム1は、可動システムとして設計され、例えば、輸送ローラー(図示せず)を含む。代替として、脱気システム1は、定置式設備である。
【0035】
分離容器4またはタンクは、詳細には、外側壁6によって境界画定されている。外側壁6は、例えば複数のセグメントを含む。例えば外側壁6は、例えば垂直壁である側壁19を含む。外側壁6はさらに、例えば、それぞれの上位および下位端部で側壁19によって連結された上壁21と下壁23を含む。
【0036】
垂直壁は、脱気システム1の動作中、垂直方向に延在している。
【0037】
詳細には、分離容器4の内部体積8は、側方では側壁19で、それぞれその頂部と底部では上壁21および下壁23で境界画定された、円筒形状を有する。例えば、側壁19は、分離容器4の中心を通過する軸との関係において回転対称となるように丸い形状を有する。
【0038】
分離容器4は、内部体積8内でのソノトロードクラスタ16による処理のために、そして気体含有液体2から分離済み気体18の分離のために、気体含有液体を格納するように設計されている。
【0039】
分離容器4は、フロースルー動作中、所与の設計充填レベルまで入口10から入る気体含有液体2で満たされるように設計されている。分離容器4はさらに、液体流出物またはストリームとして出口12を介して脱気済み液体14を放出するように設計されている。詳細には、入口10は、前記内部体積8の気体空間25の下方の内部体積8の領域内に、気体含有液体2を放出するように配設される。
【0040】
ソノトロードクラスタ16は、内部体積8の内部でエネルギーを超音波で加えることにより気体含有液体2内に溶解した気体のキャビテーション気泡を形成するように構成されている。これらのキャビテーション気泡は、典型的に非常に小さく、より大きな気泡に集合し、液体の表面へと上昇して、吸気ライン20を介した分離容器4からの分離済み気体18の抽出を可能にする。
【0041】
ソノトロードクラスタ16は、詳細には、ソノトロードクラスタ16のソノトロード24により発出された超音波が、内部体積8内の気体含有液体2に均質に浸透するような形で、分離容器4内に配設されている。
【0042】
「均質に」なる表現は、詳細には、分離容器4内に格納された液体全体を通して、超音波の強度が、既定の下位閾値より高く既定の上位閾値よりも低い値にあるものと理解される。
【0043】
ソノトロードクラスタ16は、分離容器4の外側壁6から内部体積8内に延在する少なくとも1つのソノトロード24を含む。これに関連して、ソノトロード24は、ソノトロードクラスタ16の超音波発振器である。
【0044】
概して、ソノトロード24は、超音波振動を創出し、振動エネルギーを気体、液体、固体または組織に加える装置である。ソノトロードは通常、テーパの付いた金属棒に取付けられた圧電トランスデューサのスタックで構成されている。棒の端部は、加工材料に適用される。超音波周波数で振動する交流電流が、別個の電源ユニットによって圧電トランスデューサに印加される。電流は、それらを拡張および収縮させる。有利には、電流の周波数は、ツールの共振周波数となるように選択され、こうして、ソノトロード全体は、半波長共振器として作用し、その共振周波数の定常波で長さ方向に振動する。超音波ソノトロードと共に使用される標準周波数は、20kHz~70kHzの範囲内にある。通常、振動の振幅は小さく、約13~130マイクロメートルである。
【0045】
ソノトロードまたは各ソノトロード24は、内部体積8を通って流れるかまたはその中に存在する気体含有液体2に対し振動エネルギーを加える。これにより、液体中の急速な圧力変化が局所的蒸発ひいては蒸気で満たされた小さなキャビティの形成を導く現象である、キャビテーションが引き起こされる。換言すると、溶解した気体は、内部体積8の内部で気体含有液体2から容易に分離され得る微小気泡中に封入された状態となる。
【0046】
動作条件および動作目的に応じて、2つ以上のソノトロード24が、分離容器4に配設される場合、ソノトロード24のいくつかを非活動状態へとオフ切換えすることができる。
【0047】
例えば、図1に詳細に見られるように、ソノトロードクラスタ16は、6個のソノトロード24を含む。他の実施例では、ソノトロードクラスタ16は、1つ、2つまたは3つ以上のソノトロード24を含む。
【0048】
いくつかの実施形態によると、1つ以上のソノトロード24は、外側壁6から、詳細には側壁19から、内部体積8内へ直交して延在する。これは、詳細には、図1の実施例において見られる。
【0049】
ソノトロードクラスタ16が、2つ以上のソノトロード24を含む場合、ソノトロード24は、例えば互いに平行に延在する。
【0050】
1つ以上のソノトロード24は、好ましくは、内部体積8の周辺部内で延在する。内部体積8の周辺部とは、例えば、各位置が、側壁19まで、分離容器4の最大水平直径の40%未満、好ましくは20%未満の距離を有している内部体積8の一部である。
【0051】
この配設により、内部体積8の周辺部内で気体含有液体2からの気体の分離を得ることが可能になる。
【0052】
ソノトロードクラスタ16による気体含有液体2の処理は、低コストでの脱気を可能にし、この脱気はさらにエネルギー効率がよく、省スペースで、低メンテナンス、容易な設置および動作、モジュール設計を呈し、かつ要求に応じて拡張可能つまりスケーラブルである。
【0053】
例えば、入口10および/または出口12は、図1で矢印27により示されている、内部体積8の内部における気体含有液体2の遠心流を生成するように、分離容器4の側壁19に対し接線方向に配設されている。
【0054】
「側壁19に対して接線方向に配設」なる表現から、入口10および/または出口12は、入口10または出口12を横断する流体の流れ方向が、入口10または出口12が配設されている位置において側壁19に対し実質的に平行となるような形で配設されているものと理解される。
【0055】
代替案によると、または1つの選択肢として、脱気システム1は、図示されていないものの、内部体積8の内部に配設されて、気体含有液体2の遠心流を生成するように構成された回転装置を含む。
【0056】
気体含有液体2の遠心流は、より低い密度を有する媒質が内部体積8の中心に導かれることから、気体含有液体2からの気体の抽出を改善することができる。したがって、ソノトロードクラスタ16によって気体含有液体2の内部に形成された小さい気泡(以下で説明)が、内部体積8の中心に導かれ、そこで、より大きな気泡へと結集し、これらの気泡は吸気ライン20を介して容易に抽出される。
【0057】
この効果は、遠心流を得るために接線方向に配設されている入口10および出口12と共にソノトロードクラスタ16を組合せる配設において、極めて大きいものである。
【0058】
吸気ライン20は、分離容器4の内部体積8、詳細には気体空間25に連結された出口管30を含む。
【0059】
吸気ライン20は、さらに、例えば気体廃棄システムに分離済み気体18をポンプで吸い出すように構成された真空ポンプ32を含むことができる。
【0060】
任意には、または代替として、吸気ライン20はさらに、分離済み気体18を受取り、かつ分離容器4内に分離済み気体18の少なくとも一部を再導入するように構成された再結合器34を含む。一例において、再結合器34は、分離済み気体18の一部を再結合気体と組合せるように構成されている。図1に示されている実施例において、再結合気体は、供給ライン36を介して再結合器34に供給される。再結合気体は、例えば酸素である。
【0061】
再結合器34は、特に原子力発電所の運転状態に応じて動作するように構成されている。例えば、第1の運転状態の間、再結合器34は、分離済み気体18を水素の形態で受取り、この水素の少なくとも一部を、供給ライン36を介して受取った再結合気体としての酸素とできれば組合わせた状態で、分離容器4内に再導入するように構成されている。これにより、例えば、気体含有液体2内の予め定義された水素レベルを維持することが可能になる。
【0062】
原子力発電所の第2の運転状態の間、再結合器34は、分離容器4から水素を導入しない。
【0063】
異なる運転状態に応じて再結合器を動作させる能力により、例えば、脱気システム1内の水素の蓄積を回避することが可能になり、したがって運転上の安全性が改善される。
【0064】
例えば、第2の運転状態にある原子力発電所、詳細には再結合器34は、爆発を防止しかつ例えば化学量論反応を可能にする比率で、気体含有液体2内に空気および/または酸素および窒素を注入するように構成されている。例えば、再結合器34は、水素、酸素および窒素を含有する流入物を受取り、水および窒素を含有する流出物を提供するように構成されている。
【0065】
図2を参照すると、脱気システム1を含む原子力発電所の第2の実施形態が示されている。図1に示された実施形態の対応する部品の参照番号は、同じである。以下では、差異のみについて説明する。
【0066】
ソノトロードクラスタ16は、下壁23から延在する少なくとも1つのソノトロード24を含む。代替案(図示せず)によると、少なくとも1つのソノトロード24は、上壁21から延在する。
【0067】
たとえ図2に示されていなくても、第2の実施形態に係る原子力発電所1の吸気ライン20は、上述のものと同一であってよい。詳細には、図1を参照して説明した任意の再結合器34および/または抽出器ポンプ22も含まれ得る。
【0068】
この実施形態において、脱気システム1はさらに、分離容器4の内部体積8内に配設されたグリッド構造40を含み得る。グリッド構造40は例えば、互いに平行におよび直交して延在する複数のバー42を含む。
【0069】
例えば、グリッド構造40は、ソノトロードクラスタ16により生成された微小気泡を付着させ、分離容器4から脱気すべきより大きな気泡を形成するように構成されている。
【0070】
グリッド構造40はさらに、例えば分離容器4の内部の気体含有液体2の乱流を削減するように構成されている。
【0071】
例えば、グリッド構造は、広い表面積を有しかつ/または原子力発電所内で使用される流体についての流体パラメータに関連する衝撃に耐えるように最適化される。
【0072】
一実施例によると、第2の実施形態中の少なくとも1つのソノトロード24は、グリッド構造40の一部にわたって延在する。
【0073】
脱気システム1はさらに、例えば、内部体積8内にストリッピングガス46を導入するように構成されたストリッピングガス装置44を含む。ストリッピングガスは例えば、空気、窒素および水素の中から選択される。
【0074】
ストリッピングガス46は、概して「ストリッピング」と呼ばれるプロセスによって、気体含有液体2から気体を分離できるようにする。
【0075】
例えば、ストリッピングガス装置44は、内部体積8内に気体形態で、詳細には液体部分または水蒸気無しで、ストリッピングガス46を導入するように構成されている。
【0076】
別の実施例によると、ストリッピングガス装置44は、例えば液体と共にまたは水蒸気と共に、溶解した形でストリッピングガス46を導入するように構成されている。
【0077】
図2に示されている実施例において、ストリッピングガス装置44は、内部体積8内にストリッピングガス46を導入するために、分離容器4の外側壁6を通って、例えば下壁23を通って延在する導入パイプ48を含む。ストリッピングガス装置44はさらに、内部体積8内にストリッピングガス46を分散させるように構成された1組の開口部50またはノズルを含むことができる。開口部50は例えば、導入パイプ48の端部に位置付けされている。
【0078】
一実施例によると、ストリッピングガス装置44は、図示していない専用連結管により、再結合器34からストリッピングガス46の少なくとも一部を受取るように構成されている。この場合、ストリッピングガス46は、例えば水素または窒素である。
【0079】
上述の実施形態の異なる特徴を、任意の技術的に実現可能な形で組合わせることができる。
【0080】
詳細には、原子炉の脱気システム1は、以下のものと組合わせて、第1の実施形態に関連して上述したソノトロードクラスタ16を含むことができる。
- 第2の実施形態に関連して説明したグリッド構造40、および/または、
- 内部体積8内にストリッピングガス46を導入するための、第2の実施形態に関連して説明したストリッピングガス装置44、および/または、
- 接線方向に配設された入口10および/または出口12。
【0081】
上述の第1および第2の実施形態に係る原子力発電所には、複数の利点がある。
【0082】
分離容器4の外側壁6から内部体積8内へ延在する少なくとも1つのソノトロード24を含むソノトロードクラスタ16によって、脱気システム1は、非常に効率の良い脱気を可能にする。
【0083】
また、脱気システム1は、非常にコンパクトである。したがって、脱気システム1は、既存の原子力発電所内に容易に統合可能である。
【0084】
その上、上述の2つ以上の脱気技術を組合せることによって、相乗効果を得ることができる。詳細には、このような技術のうちの複数のものを分離容器4の内部で共に組合せると、例えば連続して配設された分離設備中で同じ技術を次々に動作させた場合と比べて、気体含有液体から単位時間あたりに分離された気体18の量として測定された分離効率がさらに向上するという結果が得られる。
【0085】
例えば、第2の実施形態において、ストリッピングガス装置44によるストリッピングガス46の適用と、分離容器4の内部に直接配設されたソノトロードクラスタ16を組合わせることで、大量の気体18を気体含有液体2から分離することができる。システム1がさらに、グリッド構造40を含んでいる場合には、分離済み気体の気泡がグリッド構造40上に付着し、こうして分離容器4から排出される前に気体含有液体2中に再溶解する分離済み気体18がより少ないかまたは皆無となることから、さらなる相乗効果が達成される。
【0086】
第1の実施形態において、ソノトロードクラスタ16と入口10および/または出口12の接線方向配設とを組合せると、分離容器4から排出されるべく、入口10および/または出口12の接線方向配設によって内部体積8の中心に分離済み気体18が集合することから、気体含有液体2から極めて大量の気体を分離し排出することが可能になる。
【0087】
上述の4つの特徴を互いに組合せた場合に、さらに一層優れた結果が得られる、すなわち、
- 第1または第2の実施形態に関連して説明したソノトロードクラスタ16、
- 第2の実施形態に関連して説明したグリッド構造40、
- 内部体積8内にストリッピングガス46を導入するための、第2の実施形態に関連して説明したストリッピングガス装置44、および、
- 接線方向に配設された入口10および/または出口12。
【0088】
図3を参照すると、脱気システム1を含む原子力発電所の第3の実施形態が示されている。図1の対応する要素の参照番号は、同じである。以下では、差異のみについて説明する。
【0089】
例えば、入口10は、内部体積8内、そしてより詳細には気体空間内に液滴の形態で気体含有液体2を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズル52を含む。入口10はさらに、分離容器4の外側壁6、例えば上壁21を通って延在する入口管54を含む。入口管54は、気体含有液体2を少なくとも1つのスプレーノズル52まで輸送するように構成されている。
【0090】
このような入口10を含む脱気システム1は、スプレー型脱気システムとも呼ばれる。少なくとも1つのスプレーノズル52を有する入口10を含む脱気システム1は、気体含有液体2から分離すべき気体を放出するため、液滴の形態をした気体含有液体2と気体空間25の間の広い接触表面を使用するように構成されている。例えば気体空間は、窒素を含むように設計されている。
【0091】
吸気ライン20は、分離容器4、詳細には気体空間25から分離済み気体18を排出するように構成されている。
【0092】
一実施例によると、脱気システム1は、図示していないものの、分離済み気体18から水などの湿気を分離するように構成された気体乾燥装置を含む。例えば、気体乾燥装置は、吸気ライン20内に配設される。
【0093】
詳細には図3中に見られる第3の実施形態の第1の実施例によると、ソノトロードクラスタ16は、分離容器4の上流側、例えば入口管54内に配設された少なくとも1つのソノトロード24を含む。ソノトロードクラスタ16は、詳細には、例えば上述の通り、気体含有液体2から微小気泡で気体を分離するように構成されている。この場合、少なくとも1つのスプレーノズル52を有する入口10は、詳細には、微小気泡中の気体が気体含有液体2から分離されるように、微小気泡を有する気体含有液体2を内部体積8内に導入するように構成されている。
【0094】
例えば、分離容器4は、詳細には分離容器4の気体空間25内で行われるように意図された気体含有液体2の脱気の結果として、脱気済み液体14または少なくとも部分的に脱気された液体を内部体積8の下位部分内で受取るように設計されている。
【0095】
少なくとも1つのスプレーノズル52を含む入口10と、詳細には分離容器4の上流側に配設されているソノトロードクラスタ16の組合せは、脱気効率を改善する。例えば、スプレーノズル52により分散させられた気体含有液体2はすでに微小気泡を含んでおり、これらの気泡中の気体はこうして容易にかつ迅速に気体含有液体2から分離され分離容器4から排出されることから、この組合せによって、気体含有液体2から単位時間あたり大量の気体を分離することが可能となる。
【0096】
詳細には図4に見られる第3の実施形態の第2の実施例によると、ソノトロードクラスタ16は、分離容器4の外側壁6から内部体積8内へと延在する少なくとも1つのソノトロード24を含む。詳細には、ソノトロードクラスタ16は、少なくとも部分的にスプレーノズル52の内部に配設された少なくとも1つのソノトロード24を含む。例えば、ノズル52は、上壁21から延在し、ソノトロード24も同じく上壁21から延在する。例えば、ソノトロード24の一端部は、スプレーノズル52の、詳細には、気体含有液体2を液滴の形態で内部体積8内に分散させるように意図されているスプレーノズル52の本体55の内部空間53内に配設されている。
【0097】
ソノトロード24は、少なくとも部分的にスプレーノズル52の内部に配設されていることから、気体含有液体2中に含まれた気体は、気体含有液体2が分離済み気体と共に液滴の形態で分散させられる直前に分離される。したがって、分離容器4から排出される前に気体含有液体2中に再溶解する分離済み気体18は、より少ないかまたは皆無である。
【0098】
当業者であれば、ソノトロードクラスタ16が、分離容器4の上流側に配設された少なくとも1つのソノトロード24、および少なくとも部分的にスプレーノズル52の内部に配設された少なくとも1つのソノトロード24を含むように、第3の実施形態の第1および第2の実施例を組合せることができる、ということを理解する。
【0099】
詳細には図5中に見られる第3の実施形態の第3の実施例によると、ソノトロードクラスタ16は、分離容器4の外側壁6から内部体積8内へと延在する少なくとも1つのソノトロード24を含む。詳細には、ソノトロードクラスタ16は、ソノトロードクラスタ16のソノトロード24を形成する少なくとも1つのスプレーノズル52を含む。
【0100】
第3の実施例によると、スプレーノズル52は、超音波振動を創出し、スプレーノズル52が、内部体積8内に分散すべき気体含有液体2に対して振動エネルギーを加えるように構成されている。スプレーノズル52は、詳細には、気体含有液体2中に含まれている気体を気泡の形態で分離するように構成されている。スプレーノズル52はこのとき、少なくとも部分的に脱気されている液体を含みさらに気泡を含む液滴を、内部体積8内に分散させるように構成されている。
【0101】
例えば、ソノトロード24を形成するスプレーノズル52は、少なくとも1つの圧電トランスデューサ56およびこの圧電トランスデューサ56に取付けられたスプレーノズル52の本体58を含む。圧電トランスデューサ56は、本体58に対して、ひいてはさらに内部体積8内に分散させるべき気体含有液体2に対して伝送される超音波振動を創出するように構成されている。
【0102】
例えば、スプレーノズル52は、吸気ライン20が配設されている上壁21から延在している。これにより、詳細には、そこから液滴を分離容器4内に分散させるよう意図されている点すなわちスプレーノズル52と、分離容器4からの気体の排出点すなわち吸気ライン20との間の距離を、非常に短いものにできる。詳細には、ソノトロード24を形成するスプレーノズル52によって、気体含有液体2から分離された気体は、非常に迅速に分離容器4から排出される。
【0103】
さらに、ソノトロード24を形成するスプレーノズル52によって、分離された気体の気泡は、液滴の形態をした液体と共に分散させられ、こうして、気体空間25内に含まれた気体と液滴の間の接触表面が増大する。結果として、分離容器4から排出される前に気体含有液体2中に再溶解する分離済み気体18は、より少ないかまたは皆無である。
【0104】
当業者であれば、ソノトロードクラスタ16が、分離容器4の上流側に配設された少なくとも1つのソノトロード24、およびソノトロードクラスタ16のソノトロード24を形成する少なくとも1つのスプレーノズル52を含むように、第3の実施形態の第1および第3の実施例を組合せることができる、ということを理解する。
【0105】
当業者であれば、第3の実施形態に係る原子力発電所が、第1および/または第2の実施形態に係る原子力発電所の1つ以上の特徴を含むことができるということを理解する。
【0106】
例えば、分離容器4が、内部体積8の下位部分内で部分的にのみ脱気されている液体を受取るように設計されている場合、第3の実施形態に係る原子力発電所は、例えば以下の特徴のうちの1つ以上を含む。
- ソノトロードクラスタ16は、分離容器4の外側壁6から内部体積8内に延在する少なくとも1つのソノトロード24を含む、
- 脱気システム1は、詳細には分離容器4の下位部分内に配設された、第2の実施形態に関連して説明されたグリッド構造40を含む、
- 脱気システム1は、ストリッピングガス46を内部体積8内に導入するために、第2の実施形態に関連して説明されたストリッピングガス装置44を含む、および/または、
- 入口10および/または出口12は、接線方向に配設されている。
【0107】
第3の実施形態に係る原子力発電所は、非常に効率の良い脱気を可能にする。さらに、脱気システム1は、非常にコンパクトである。したがって、脱気システム1は、既存の原子力発電所内に容易に統合可能である。
【0108】
脱気システムがさらに以下のものを含む場合には、第1および第2の実施形態に関して上述したものと同じ利点が得られるということが指摘される。
- 第1および第2の実施形態に係るソノトロードクラスタ16、
- 第2の実施形態に関連して説明されたグリッド構造40、および/または、
- ストリッピングガス46を内部体積8内に導入するために、第2の実施形態に関連して説明されたストリッピングガス装置44、および/または、
- 接線方向に配設された入口10および/または出口12。
【0109】
内部体積8内に液滴の形態で気体含有液体2を分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズル52を含む少なくとも1つの入口10と組合わされた、気体含有液体2を超音波に曝露するように構成されたソノトロードクラスタ16によって、脱気システム1は、同様に、非常に効率の良い脱気を可能にする。
【0110】
さらに、当業者であれば、第1および/または第2の実施形態に係る原子力発電所が、第3の実施形態に係る原子力発電所の1つ以上の特徴を含むことができるということを理解する。
【0111】
例えば、第1および/または第2の実施形態に係る原子力発電所において、入口10は、液滴の形態で気体含有液体2を内部体積8内に分散させるように構成された少なくとも1つのスプレーノズル52を含む。
【0112】
例えば、第1および/または第2の実施形態内のスプレーノズル52は、上述の特徴のいずれかを含み得る。一例として、少なくとも1つのソノトロード24は、少なくとも部分的にスプレーノズル52の内部に配設されている。代替案によると、スプレーノズル52は、少なくとも1つのソノトロード24を形成する。
【符号の説明】
【0113】
1 脱気システム
2 気体含有液体
4 分離容器
6 外側壁
8 内部体積
10 入口
12 出口
14 脱気済み液体
16 ソノトロードクラスタ
18 分離済み気体
19 側壁
20 吸気ライン
21 上壁
23 下壁
24 ソノトロード
40 グリッド構造
44 ストリッピングガス装置
46 ストリッピングガス
52 スプレーノズル
図1
図2
図3
図4
図5