(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】多重スクリュー押出機用押出スクリューのための支持軸受部材
(51)【国際特許分類】
B29C 48/435 20190101AFI20240822BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240822BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B29C48/435
F16C17/02 Z
F16C35/02 C
(21)【出願番号】P 2023529126
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 DE2021100911
(87)【国際公開番号】W WO2022105964
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】102020130368.8
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021124034.4
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514054214
【氏名又は名称】グノイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gneuss GmbH
【住所又は居所原語表記】Moenichhusen 42, D-32549 Bad Oeynhausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グノイス
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ グノイス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グノイス
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018130102(DE,A1)
【文献】特表2020-520825(JP,A)
【文献】特開2014-168957(JP,A)
【文献】中国実用新案第201086389(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/435
F16C 17/02
F16C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重スクリュー押出機(200)用
の押出スクリュー(100)のための支持軸受部材(10;110;210)であって、少なくとも、
-円錐部(11;111;211)と、
-各1つのサテライトスクリュー(20)と、前記サテライトスクリュー(20)に結合された駆動ピニオン(21)とを支持する、前記支持軸受部材(10;110;210)の外周面に配置されていて、回転軸線に対して軸線平行な複数の溝(15;115;215)と
を有する、支持軸受部材(10;110;210)において、
前記溝(15;115;215)内に、前記サテライトスクリュー(20)をその前記駆動ピニオン(21)の隣で支持する少なくとも1つの滑り軸受(70;170;270)が設けられており、前記滑り軸受(70;170;270)は、前記支持軸受部材(10)に形成された軸受支持部(16)に配置または形成されていることを特徴とする、支持軸受部材(10;110;210)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの滑り軸受(70;170;270)は、前記溝(15;115;215)に取外し可能に挿入された軸受組込み部材(60;160;260)に配置されている、請求項1記載の支持軸受部材(10;110;210)。
【請求項3】
前記溝(15;115;215)は、アンダカットされており、前記軸受組込み部材(60;160;260)は、前記押出スクリュー(100)の中心軸線に対して横方向の平面内で形状結合式に前記溝(15;115;215)内に保持されている、請求項2記載の支持軸受部材(10;110;210)。
【請求項4】
前記支持軸受部材(10;110;210)の前記外周面に、各前記滑り軸受(70;170;270)毎に少なくとも1つの孔(17;117;217)が設けられており、該孔(17;117;217)は、前記サテライトスクリュー(20)の前記駆動ピニオン(21)用の各前記溝(15;115;215)または前記軸受支持部(16;116;216)にまで延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載の支持軸受部材(10;110;210)。
【請求項5】
当該支持軸受部材(10;110;210)において少なくとも2つの隣り合う前記溝(15;115;215)の間に、周流通路(13;113;213)が形成されており、該周流通路(13;113;213)は、前記円錐部(11;111;211)に設けられた入口開口(12)から、流れ方向において前記駆動ピニオン(21)の位置よりも下流側に配置された出口開口(14)まで延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載の支持軸受部材(10;110;210)。
【請求項6】
多重スクリュー押出機(200)用の押出スクリュー(100)であって、少なくとも、
-流入計量部(30)と、
-前記流入計量部(30)に比べて直径が拡径されたロータ本体(50)と、
-少なくとも1つのスクリューウェブ(22)を有しておりかつ少なくともその長さの一部にわたり露出した状態で前記ロータ本体(50)の外周に配置された複数のサテライトスクリュー(20)と、
-前記多重スクリュー押出機(200)の押出機ハウジング(240)の内壁にまたは前記内壁に沿って設けられた内側歯列に噛み合うように、前記サテライトスクリュー(20)が各1つの駆動ピニオン(21)を有している、前記ロータ本体(50)に設けられた駆動ゾーンと、
-前記流入計量部(30)と、前記ロータ本体(50)に設けられた前記駆動ゾーンとの間に形成された円錐部(11;111;211)と
を有している、押出スクリュー(100)において、
前記ロータ本体(50)は、前記円錐部(11;111;211)が形成された、請求項1から5までのいずれか1項記載の支持軸受部材(10;110;210)に結合されており、前記サテライトスクリュー(20)は、それぞれ前記支持軸受部材(10;110;210)において前記駆動ピニオン(21)に隣接して配置された少なくとも1つの滑り軸受(70;170;270)に支持されていることを特徴とする、押出スクリュー(100)。
【請求項7】
前記サテライトスクリュー(20)は、各1つの端部側の軸受段部(26)を有しており、前記軸受段部(26)は、前記支持軸受部材(10;110;210)または前記ロータ本体(50)に挿入された軸受組込み部材(60;160;260)における軸受支持部(16;116;216)に形成された滑り軸受(70;170;270)に支持されている、請求項6記載の押出スクリュー(100)。
【請求項8】
前記サテライトスクリュー(20)の端部側の前記軸受段部(26)のための前記滑り軸受(70;170;270)は、それぞれ前記支持軸受部材(10;110;210)において前記円錐部(11;111;211)に隣接して配置された軸受支持部(16;116;216)に配置されている、請求項7記載の押出スクリュー(100)。
【請求項9】
前記サテライトスクリュー(20)は、それぞれ少なくとも1つの滑り軸受(70;170;270)に支持されており、前記滑り軸受(70;170;270)は、前記駆動ピニオン(21)と、前記スクリューウェブ(22)の始端部との間の軸線方向位置に配置されている、請求項7または8記載の押出スクリュー(100)。
【請求項10】
多重スクリュー押出機(200)であって、少なくとも、
-押出孔(241)を備えた押出機ハウジング(240)と、
-前記押出孔(241)内で回転可能に支持されており、その駆動ピニオン(21)が、押出スクリュー(100)のロータ本体部分(50)に設けられた外側歯列またはステータリング(244)もしくは前記
押出機ハウジング(240)の内壁に設けられた内側歯列に噛み合う、請求項7から9までのいずれか1項記載の押出スクリュー(100;100’;100’’)と
を有する、多重スクリュー押出機(200)。
【請求項11】
前記駆動ピニオン(21)が溝(15;115;215)内に配置されている駆動ゾーン内で、
-支持軸受部材(10;110;210)において、2つの隣り合う前記溝(15;115;215)の間に少なくとも1つの周流通路(13;113;213)が形成されている、
-または、前記押出機ハウジング(240)のハウジング壁に、少なくとも1つの周流通路が形成されており、前記周流通路は、長手方向に見て、前記駆動ピニオン(21)の位置の上流側に配置された入口開口から、前記駆動ピニオン(21)の下流側に配置された出口開口まで延びている、請求項10記載の多重スクリュー押出機(200)。
【請求項12】
前記周流通路は、周方向において閉じられておりかつ管状に形成されている、請求項11記載の多重スクリュー押出機(200)。
【請求項13】
前記周流通路は、周方向において開かれて形成されている、請求項11記載の多重スクリュー押出機(200)。
【請求項14】
前記周流通路は、前記駆動ゾーンにおいて前記押出孔(241)に挿入されたステータリング(244)および/または止め輪(245)に形成されている、請求項11から13までのいずれか1項記載の多重スクリュー押出機(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を備えた、多重スクリュー押出機用押出スクリューのための支持軸受部材に関する。
【0002】
プラスチック溶融物、特にポリエステルのコンディショニングには、国際公開第2003033240号に基本的に記載されたマルチローテーションシステム(MRS)が有利であるということが判った。マルチローテーションシステムは、押出スクリューを含み、押出スクリューは、プラスチックを引き込んで溶融させる導入ゾーンと送出ゾーンとの間に、ロータ本体軸を備えた、いわゆる多重回転ユニットを有している。ロータ本体軸は、その他のゾーンに比べて大幅に拡径された直径を有するロータ本体と、さらに、ロータ本体軸に支持された複数の回転するサテライトスクリューとを有している。マルチローテーションシステムにより、シングルスクリューシステムやダブルスクリューシステムに比べ、脱気性能の大幅な向上が達成される。それゆえ、多重回転ユニット内での溶融物の滞留時間を極めて短くすることができる。
【0003】
周知の駆動構想は、脱気用に設けられた処理空間内に位置するサテライトスクリュー用の駆動ゾーンを想定している。駆動ゾーンを、マルチローテーションユニットの上流側に位置する端部に直接配置することは、大抵の用途において必要であり、駆動トルクにより負荷される押出スクリューの区間の長さを短くするために、下流側に位置する端部に移動させることはできない。
【0004】
計量ゾーンから円錐部を経て移動した溶融物は、サテライトスクリューの駆動ゾーンを通って案内される。いくつかの用途では、そこに生じる剪断を介して行われるエネルギ導入が有利であり得る。なぜならば、このエネルギ導入は、プラスチック溶融物の均質化を促進するからである。他方において駆動ゾーン内でのポリマーの剪断は、製品特性にとって不都合な場合がある。剪断は、場合により冷却手段により相殺される温度上昇と、駆動ゾーンにおいていずれにせよ高負荷される材料とを生ぜしめる。
【0005】
サテライトスクリューの駆動ゾーンは、様々な観点において高負荷にされている。それぞれサテライトスクリューに取り付けられた駆動ピニオンと、内側歯列を備えたハウジング側の歯付きリングとから成る歯列は、高温のポリマーによってのみ潤滑にされ得る。したがって、ポリマーが駆動ゾーンを通流することが必要である。しかし、またこれにより、計量ゾーンにおいて完全には溶融されなかった固いプラスチック粒子が駆動ゾーンに流入する。プラスチックをリサイクルする場合にはさらに、金属粒子または砂粒等の不純物がプラスチック溶融物中に含まれている恐れがある。さらに、押出スクリューの外周面に接して流れる溶融物の溶融物圧により、浮動式に支持されたサテライトスクリューの駆動ピニオンが、支持軸受部材に設けられた支持溝内に押し込まれ、そこに歯面が激しい摩耗を引き起こすと共に、歯面自体も激しい摩耗を被る。
【0006】
よって、本発明の課題は、MRSシステム用もしくはMRSシステムが装備された多重スクリュー押出機用の押出スクリューを改良して、サテライトスクリューの駆動ゾーンにおける摩耗を減らすことにある。
【0007】
本発明による解決手段は、請求項10記載の特徴を備えた多重スクリュー押出機の一部であってよい、請求項6記載の特徴を備えた押出スクリューのやはり一部であってよい、押出スクリュー用の支持軸受部材にある。
【0008】
本発明では、溶融物圧に抗して作用するために、かつ駆動ピニオンがその歯列の外側側面でもって溝の底部を擦ることを防止するために、支持軸受部材の溝内のサテライトスクリューを、駆動ピニオンに隣接する少なくとも一方の側において滑り軸受を介して規定通りに支持することが想定されている。これにより本発明は、ポリマー内のサテライトスクリューの純粋に浮動式の駆動区間の従来周知の構想から離れる。
【0009】
本発明の意味において、サテライトスクリューの端部を、支持軸受部材に設けられた軸受切抜き部に支持されている軸受段部として形成することが想定されていてよい。軸受切抜き部は、この実施形態では、計量ゾーンと脱気ゾーンとの間の移行部を成す円錐部の直ぐ後ろに位置している。この場合、サテライトスクリューに設けられた軸受段部と、対応する軸受切抜き部とにより、直接、滑り軸受が形成される。
【0010】
運転中、押出スクリューの加熱もしくは冷却によっても生じ得る誤差を補償することができるようにするために、軸受段部を、各軸受切抜き部に直接挿入するのではなく、そこに追加的に挿入された軸受組込み部材において支持し、これにより、軸受組込み部材と、サテライトスクリューに設けられた軸受段部との間、または軸受組込み部材と軸受切抜き部との間に、滑り軸受が形成される、ということが想定されていてよい。
【0011】
1つの好適な実施形態では、サテライトスクリューは、駆動ピニオンに隣接する両側で滑り軸受に支持されている。端部側の軸受の他に別の軸受段部が、スクリューウェブを有するスクリュー領域と、駆動ピニオンを支持する領域との間に形成されている。
【0012】
特に好適には、端部側の軸受の軸受孔ならびに場合により存在する、駆動ピニオンの他方の軸線方向側の第2の軸受の軸受孔は、支持軸受部材に設けられた溝に挿入された、それぞれ別個の軸受組込み部材に形成されている。軸受組込み部材において、外側輪郭は大部分が、支持溝の内側輪郭に対応している。支持溝は好適には深く切り込まれているため、軸受組込み部材は追加的な位置固定部材無しで、中心軸線に対して横方向に向いた横断面内で形状結合式に溝に保持されており、サテライトスクリューと共に支持軸受部材に挿入され得る。深く切り込まれた溝は、溝の横断面が180°超の円弧を含む場合に存在する。
【0013】
さらに好適には、サテライトスクリューの端部側の軸受も、溝に挿入される軸受組込み部材により形成されている。これにより、摩耗に際して両方の軸受組込み部材を容易に交換することができるようになっている。耐摩耗性を高めるために、軸受組込み部材用には、熱間等方圧加圧(HIP)により再圧縮された金属材料が選択され得る。したがって支持軸受部材は、軸受箇所の強度に対する要求に左右されずに、別の適した材料から形成され得る。
【0014】
1つの有利な実施形態では、溶融物流の主な部分が駆動ゾーンにおいて駆動ピニオンを介して案内されるのではなく、支持軸受部材の内部の通路内で駆動ピニオンの傍らを通って案内される。このことから、溶融物が剪断により加熱されることはない、という利点が生じる。例えばPETの処理では、溶融物が完全には可塑化されておらず、ひいては比較的低温であると有利であり、これにより、既に導入領域での溶融物の過度の減少を回避することができる。押出スクリュー自体に関しては、溶融物の汚染時における押出スクリューの損傷の危険が低下させられる、ということが別の利点として生じる。
【0015】
周流通路の有効性に関して重要なのは、押出スクリューにより搬送されて処理されるポリマーの体積流の主要部分が駆動ゾーンを通って案内されないようにするために、周流通路を十分大きく選択するという点である。導入スクリューにおける完全には可塑化されていない材料が通路を詰まらせ、大幅な圧力低下を招くことを防ぐためには、十分な横断面も重要である。両方とも、導入部の終端に高い圧力ヘッドひいては大幅に高くなるエネルギ導入を生ぜしめ、これにより、溶融物が損なわれることを回避する。
【0016】
具体的には、通路は任意の寸法において少なくとも5mm、好適には8mm~10mmの開放横断面を提供することが望ましい。
【0017】
好適には、支持軸受部材は、請求項6記載の特徴を備えた多重スクリュー押出機用の押出スクリューの一部である。
【0018】
本発明により形成された支持軸受部材は、一体のロータ本体の一部であってよい。ただし、摩耗が生じた場合に、支持軸受部材を残りのロータ本体とは関係無く交換または後加工することができるようにするためには、ロータ本体と支持軸受部材とが別個に製造された、しかし固く結合されてそれらの横断面が同一平面上で互いに移行し合う個別部品である場合が有利である。よって、両部品ではサテライトスクリューを支持する溝も同様に互いに移行し合っており、これにより、駆動ピニオンと、スクリューウェブの始端部との間に配置される滑り軸受を、支持軸受部材に設けられた溝にも、ロータ本体に続く溝にも配置することができる。
【0019】
押出スクリューは、請求項10記載の特徴を備えた多重スクリュー押出機の一部であってよい。
【0020】
この場合、特に、周流通路が、歯列の外側を取り囲んで案内される、つまり、押出機ハウジングの壁および/またはステータリングに形成されると、有利である。
【0021】
支持軸受部材の外面とハウジング内の押出孔の内面との間の環状ギャップは、好適には1mm~3mmかつ最大5mmの半径方向幅を有していることが望ましい。例えば130mmの直径の場合には、1.6mm~2.0mmの環状ギャップが設定される。
【0022】
これにより、少量の体積流のみが外周を介して流れ、これにより、ポリマーが駆動ゾーンにおいて潤滑剤として働くことができるのに対し、体積流の大部分は各周流通路に分散され、ひいては駆動ゾーンにおいて剪断を被ることがない、ということが予め設定される。さらに、環状ギャップの大きさが小さく選択されると有利である。それというのも、歯列の重大な機械的損傷につながる恐れがある大きさを有する溶融物流内の異物が引きとめられるからである。
【0023】
以下に、1つの実施例に基づき図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】支持軸受部材を押出スクリューの別の構成部材と共に示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態による支持軸受部材を示す斜視図である。
【
図3A】押出スクリューの構成部材を、
図2に示した支持軸受部材と共に示す斜視図である。
【
図3B】押出スクリューの構成部材を、
図2に示した支持軸受部材と共に示す斜視図である。
【
図4】多重スクリュー押出機の構成部材を押出スクリューと共に示す側方断面図である。
【
図5】第2の実施形態による支持軸受部材を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示した支持軸受部材の裏側を示す斜視図である。
【
図7】押出スクリューの複数のサテライトスクリューの配置を示す斜視図である。
【
図8】第3の実施形態による支持軸受部材を示す斜視図である。
【0025】
図1には、支持軸受部材10が、多重スクリュー押出機用の押出スクリュー100の別の構成部材と共に斜視図で示されており、しかもそこには、スクリューウェブ31を備えた流入計量部30と、複数のサテライトスクリュー20を備えた多重スクリュー区間との間の移行領域が示されている。流入計量部30と多重スクリュー区間との間には、円錐部11が形成されており、これにより、押出スクリュー100の直径が流れ方向に拡径している。円錐部11は、支持軸受部材10の一部である。支持軸受部材10に形成された溝には、サテライトスクリュー20が、それぞれその駆動ピニオン21を備えた端部区間でもって支持されている。
【0026】
隣り合う駆動ピニオン21の間にはそれぞれ、支持軸受部材10の細長い軸線方向部分が設けられており、軸線方向部分内には、管状の周流通路13が形成されている。周流通路13は、円錐部11に設けられた入口開口12から、押出スクリュー100の軸線方向の延在部において、流れ方向に見て駆動ピニオン21の下流側に開口する出口開口14まで延びている。
【0027】
図2は、支持軸受部材10の斜視図である。支持軸受部材10は、駆動ピニオンが支持される溝15を、各サテライトスクリューにつき1つ有しており、かつサテライトスクリューまたは駆動ピニオンの軸受段部を挿入可能な凹部としての軸受支持部16をヘッドの手前に有しており、この場合、滑り軸受を形成している。駆動ピニオン等のサテライトスクリューの滑り軸受の潤滑は、押出スクリューにより搬送されるポリマーを介して行われる。軸受支持部16は、円錐部11を介した流れにより潤滑されているため、滑り軸受の潤滑用には、それぞれ外周面から軸受支持部16にまで延びる複数の半径方向の孔17が設けられている。
【0028】
図2ではさらに、周流通路13の台形もしくはほぼ三角形の横断面が明確に認められる。三角形の横断面の頂点が中心軸線の方に向いておりかつ幅広の基部が外周面に位置していることにより、駆動ピニオン間のスペースが最適に利用される。周流通路13の出口開口14は、それぞれ支持軸受部材10の端部には位置しておらず、むしろ周流通路13は、駆動ピニオンの長さとほぼ同じ距離だけ、軸線方向に延びている。
【0029】
この配置の利点は、
図3Aから明らかである。そこには流入計量部30と、支持軸受部材10と、サテライトスクリュー20とを備えた押出スクリュー100が斜視図で示されている。追加的に、支持軸受部材10に続くロータ本体50の一部が示されている。
【0030】
支持軸受部材10の溝15は、それぞれロータ本体50に設けられた溝52に続いている。溝15,52内にはサテライトスクリュー20が案内されており、この場合、サテライトスクリュー20は、外面が露出した状態で位置している。ロータ本体50は、各溝52の間にそれぞれ、固有の主スクリューウェブ51の部分を有している。周流通路13の出口開口14が、支持軸受部材10の端部にまでは到達していないことにより、出口開口14から流出する溶融物は、すぐに横方向において、主スクリューウェブ51およびサテライトスクリュー20に設けられたウェブ22の流入領域内へ流入する。
【0031】
スクリューウェブ22の領域の手前まで延びる、後方の軸受段部のところに、滑り軸受部材70が被せ嵌められており、滑り軸受部材70は、溶融物を処理空間の方向に、ひいては駆動ピニオン21から離反する方向に搬送するために、外周面にらせん状の逆流防止手段を有している。
【0032】
図3Bは、
図3Aに類似するものである。ただし
図3Aの図面に比べ、ロータ本体が図示されていない。さらに、サテライトスクリュー20の端部領域の構成を見ることができるようにするために、1つのサテライトスクリュー20において駆動ピニオン21が除去されている。
【0033】
サテライトスクリュー20におけるスクリューウェブ22を備えたポリマー処理用に設けられた長い部分は、その横に位置する軸受段部を十分に覆い隠す程度の大きさの直径を有するカラー23で終わっている。これにより、運転中は押出機の脱気空間から駆動ピニオン21の領域内への激しい逆流が防がれる。
【0034】
サテライトスクリュー20の滑り軸受部材は、それぞれ軸受組込み部材60内に収容されており、軸受組込み部材60は、支持軸受部材10の溝15に挿入されている。全てのサテライトスクリュー20において滑り軸受部材用の段部24の後方には、駆動ピニオン21を支持する各1つの軸受部分25が形成されている。
【0035】
サテライトスクリュー20の最も端には、別の軸受段部26が形成されており、別の軸受段部26は、支持部材10の軸受凹部16に直接係合しているか、または軸受凹部と共に1つの滑り軸受を形成しているか、そこに位置する別個の滑り軸受部材に係合している。
【0036】
図4には、多重スクリュー押出機200の各構成部材が側方断面図で示されている。図示されているのは、
図3Aに示したのと同じ押出スクリュー軸100の区間である。押出スクリュー軸100は、押出孔241を備えた押出機ハウジング240内に回転可能に支持されている。
【0037】
押出機ハウジング240は、円錐部11を収容する移行ハウジング部分242と、押出スクリュー100の流入計量部30を収容するために減径された直径を備えたハウジング部分243とを有している。駆動ゾーンでは、ステータリング244が押出孔241内に挿入されており、ステータリング244は、サテライトスクリュー20の駆動ピニオン21が噛み合う内側歯列を有している。さらに、止め輪245が挿入されており、これにより、この位置で押出機ハウジング240の内壁と押出スクリュー100の外周面との間の環状ギャップを調整することができるようになっている。
【0038】
図5には、駆動ピニオンを備えたサテライトスクリューを支持する溝115を備えた支持軸受部材110の1つの別の実施形態が示されている。円錐部111として形成された後方部分には、複数の軸受凹部116が形成されており、軸受凹部116には、サテライトスクリュー毎に各1つの滑り軸受部材170が、滑り軸受部材170を支持軸受部材110内に保持するために用いられる緊締リング171と共に挿入されている。熱膨張の差に基づき、支持軸受部材110と滑り軸受部材170との間の嵌め合いが変化する場合がある。緊締リング171は、滑り軸受部材170が支持軸受部材110内で回動することを防ぐ。
【0039】
各第2の軸受箇所のためには、軸受凹部161を備えた軸受組込み部材160が、溝115に挿入されている。
図3A、
図3Bおよび
図4に示した支持軸受部材10の第1の実施形態に比べ、支持軸受部材110の場合には、外周面が開放された周流通路113が形成されている、という点が相違している。周流通路113から各1つの通路118が分岐しており、通路118は、軸受組込み部材160の軸受凹部161に、そこで潤滑を保証するために開口している。
【0040】
図6は、支持軸受部材110の裏側を示す斜視図である。強調すべきは、そこには周流通路113の2つの入口開口112の間にそれぞれ配置されかつ横方向において軸受凹部116(
図5参照)に開口する複数の孔117が存在しており、これにより、そこに配置された滑り軸受が、製品流から分岐させられるポリマーにより潤滑される点である。
【0041】
図7には、
図5および
図6に示した支持軸受部材110に支持されるように規定されたサテライトスクリュー120のうちの3つが示されている。
【0042】
左側には、スクリューウェブ122を備えたサテライトスクリュー120が追加構成部材無しで示されている。スクリューウェブ122は、カラー123のところで終わっている。その後ろには、軸受部分125が形成されている。
【0043】
真ん中のサテライトスクリュー120では、駆動ピニオン121が軸受部分125に被せ嵌められている。駆動ピニオン121は、歯列領域だけでなく、歯列領域の各側に、戻しらせんを形成する外周らせん溝を備えた各1つの滑り軸受部材124,126も有している。
【0044】
図7の最も右側に示すサテライトスクリュー120では、
-駆動ピニオン121、
-押出スクリューの搬送方向において駆動ピニオン121の前方に配置されておりかつ滑り軸受部材170が挿入されている軸受組込み部材160、
-サテライトスクリュー120の端部側の軸受段部126が挿入された滑り軸受部材170、および
-滑り軸受部材170を取り囲む緊締リング171
が被せ嵌められている。
【0045】
図8には支持軸受部材210の第3の実施形態が示されており、支持軸受部材210もやはり、その一方の端部に円錐部211を有しておりかつ周面に複数のアンダカットされた溝215を有しており、支持軸受部材が押出スクリュー軸に部品として取り付けられた場合、溝215内には、駆動ピニオンを備えたサテライトスクリューの駆動ゾーンが形成される。この支持軸受部材210では、各駆動ピニオンの両側で、サテライトスクリューの両方の軸受箇所のための各軸受支持部261が、別個の軸受組込み部材260内に設けられている。
【0046】
円錐部211に設けられた入口開口212から出口開口214まで、周流通路213が延びている。周流通路213から通路218が分岐して、軸受組込み部材260の軸受支持部261にまで達している。軸受組込み部材260は、この実施形態でも、その外側輪郭でもって溝215の内側輪郭に適合させられており、これにより、軸受組込み部材260は、中心軸線に対して横方向の平面内で形状結合式に拘束されている、つまり、半径方向外側に向かって移動することができないようになっている。軸受組込み部材260の軸線方向での拘束は、サテライトスクリューに設けられた段部により行われる。
【符号の説明】
【0047】
200 多重スクリュー押出機
100 押出スクリュー
10;110;210 支持軸受部材
11;111;211 円錐部
12;112;212 入口開口
13;113;213 周流通路
14;114;214 出口開口
15;115;215 溝
16;116;216 軸受凹部
17;117;217 孔
118;218 通路
20;120 サテライトスクリュー
21;121 ピニオン
22;122 スクリューウェブ
23;123 カラー
24 軸受段部
25;125 駆動ピニオンを支持する軸受段部
26;126 端部側の軸受段部
30 流入計量部
31 スクリューウェブ
240 押出機ハウジング
241 押出孔
242 移行ハウジング部分
243 ハウジング部分
244 内側歯列を備えたステータリング
245 止め輪
50 ロータ本体
51 主スクリューウェブ
52 溝
70;170 滑り軸受部材
60;160;260 軸受組込み部材
161;261 軸受支持部