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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】着用物品の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61F13/15 351A
A61F13/15 380
A61F13/15 371
A61F13/15 390
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023536665
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2022025921
(87)【国際公開番号】W WO2023002819
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2021121089
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有馬 卓志
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-148040(JP,A)
【文献】国際公開第2005/005296(WO,A1)
【文献】特開2015-084906(JP,A)
【文献】国際公開第2005/085108(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15
B65H5/12
B65H35/04
B65H20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周速度が変速されながら回転する複数のパッドを有するドラムにフィーダから連続体を供給し、前記連続体の先端部を次々にカットして各パッド上において個別のワークを次々に生成し、前記ワークを保持した各パッド間の距離を拡げて隣り同士のワークの間隔を大きくした状態でワークを下流の工程に引き渡す着用物品の製造方法において、
先行のパッドが前記連続体の先端部を受け取って保持しながら搬送する工程と、
後続のパッドが前記先行のパッドに追いつく工程と、
前記先行のパッドおよび後続のパッドの双方に連続体が保持される双方保持工程と、
前記連続体の先端部をカットして前記先行のパッド上に個別のワークを生成するカット工程とを繰り返し実行し、
前記双方保持工程において、前記双方のパッドの相対速度が互いに等しく、かつ、少なくとも一部区間において前記双方のパッドが不等速で回転し
記カットする瞬間において前記双方のパッドの相対速度は等しく、かつ、前記双方のパッドが等速度で回転し、
前記カット後に前記先行のパッドが増速される加速工程と、
前記カット後に次の前記ワークの生成において前記先行のパッドとなる前記後続のパッドが減速される減速工程とを更に備え、
前記減速工程における、前記連続体の前記先端部を保持しながら搬送する前記パッドの減速に合わせ、前記フィーダから前記連続体が減速されて供給される、
着用物品の製造方法。
【請求項2】
周速度が変速されながら回転する複数のパッドを有するドラムに連続体を供給し、前記連続体の先端部を次々にカットして各パッド上において個別のワークを次々に生成し、前記ワークを保持した各パッド間の距離を拡げて隣り同士のワークの間隔を大きくした状態でワークを下流の工程に引き渡す着用物品の製造装置において、
前記連続体の先端部を受け取って保持しながら搬送する先行のパッドと、
前記先行のパッドに追いつき前記先行のパッドと共に連続体を保持する後続のパッドと、
前記連続体の先端部をカットして前記先行のパッド上に個別のワークを生成するカッタと、
前記先行のパッドおよび後続のパッドの双方が前記連続体を保持している状態において、前記双方のパッドの相対速度が互いに等しく、かつ、前記カットする瞬間において前記双方のパッド相対速度が等しく、かつ、前記双方のパッドが等速度で回転し、前記カット後に前記先行のパッドが増速され、前記カット後に次の前記ワークの生成において前記先行のパッドとなる前記後続のパッドが減速されるように各パッドの回転を制御するワーク変速装置と、
前記連続体の前記先端部を保持しながら搬送する前記パッドの前記ワーク変速装置による減速に合わせて前記連続体を前記ドラムに減速して供給するフィーダとを備える、着用物品の製造装置。
【請求項3】
請求項2において、前記フィーダは、
前記連続体を吸着搬送するベルトを有し、前記ベルトの運転速度を変化させることで前記連続体の供給速度を変化させるベルトコンベアで構成されている、着用物品の製造装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ベルトコンベアの上流には、前記運転速度の変化に合わせて、前記連続体の供給速度の変化を吸収する吸収機構を備える、着用物品の製造装置。
【請求項5】
請求項4において、前記吸収機構は、
前記供給速度を減速させる際に前記連続体を貯留し、前記供給速度を増速させる際に前記貯留した連続体を繰り出すダンサロールを備える、着用物品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着用物品の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
着用物品においては、隣り合うワーク間の距離を拡げて連続シート上に配置する製造方法や装置は公知である(特許文献1)。
【0003】
下記の特許文献1の発明では、ワークの連続体を複数のパッドを有する回転ドラムで受け取り、隣り合うパッド間でワークの連続体を個別のワークに切断し、個別のワークを保持したパッドが回転している間に、パッドの回転速度を変化させて、隣り合うパッド間(ワーク)の距離を変更した後、所定の速度で搬送される連続シート上にワークを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO 2005/075163
【発明の概要】
【0005】
ワークの連続体をパッドに供給する際、パッドの回転速度にワークの連続体の供給速度を合わせるのが望ましい。
【0006】
従来は前記供給する際において、ワークの連続体の供給速度が一定速であるため、受け取り時のパッドも一定速で回転する必要がある。しかし、パッドの回転速度が一定速である区間が長いと、パッドの加速区間が短くなり、そのため、隣り合うパッド間、つまり、ワーク間の距離を十分に大きくすることができなかったり、回転ドラムの径が大きくなるという問題が生じている。
【0007】
したがって、本発明の目的は回転ドラムの径を大きくすることなく、隣り合うワークのピッチを大きく変更し得る着用物品の製造方法および製造装置を提供することである。
なお、本発明において着用物品とは、使い捨て着用物品やその一部である吸収物品などの物品が含まれる。
【0008】
本発明の製造方法は、周速度が変速されながら回転する複数のパッドを有するドラムにフィーダから連続体を供給し、前記連続体の先端部を次々にカットして各パッド上において個別のワークを次々に生成し、前記ワークを保持した各パッド間の距離を拡げて隣り同士のワークの間隔を大きくした状態でワークを下流の工程に引き渡す着用物品の製造方法において、
先行のパッドが前記連続体の先端部を受け取って保持しながら搬送する工程と、
後続のパッドが前記先行のパッドに追いつく工程と、
前記先行のパッドおよび後続のパッドの双方に連続体が保持される双方保持工程と、
前記連続体の先端部をカットして前記先行のパッド上に個別のワークを生成するカット工程とを繰り返し実行し、
前記双方保持工程において、前記両パッドの相対速度が互いに等しく、かつ、少なくとも一部区間において両パッドが不等速で回転し、
前記不等速で回転するパッドの速度の変化に合わせて前記連続体が前記フィーダから不等速で供給される。
【0009】
一方、本発明の製造装置は、、周速度が変速されながら回転する複数のパッドを有するドラムに連続体を供給し、前記連続体の先端部を次々にカットして各パッド上において個別のワークを次々に生成し、前記ワークを保持した各パッド間の距離を拡げて隣り同士のワークの間隔を大きくした状態でワークを下流の工程に引き渡す着用物品の製造装置において、
前記連続体の先端部を受け取って保持しながら搬送する先行のパッドと、
前記先行のパッドに追いつき前記先行のパッドと共に連続体を保持する後続のパッドと、
前記連続体の先端部をカットして前記先行のパッド上に個別のワークを生成するカッタと、
前記先行のパッドおよび後続のパッドの双方が前記連続体を保持している状態において、前記両パッドの相対速度が互いに等しく、かつ、少なくとも一部区間において両パッドが不等速で回転するように各パッドの回転を制御するワーク変速装置と、
前記不等速で回転するパッドの速度の変化に合わせて前記連続体を前記ドラムに不等速で供給するフィーダとを備える。
【0010】
本発明によれば、先行および後続のパッドの双方が連続体を保持している双方保持工程において、前記両パッドの相対速度が互いに等しいので、前記両パッドの間の連続体の部位に不用意な張力の生じるおそれがない。
一方、前記保持工程の少なくとも一部区間において両パッドが不等速で回転し、このパッドの速度の変化に合せて連続体がフィーダから不等速で供給されるから、連続体を供給し始めた時点からパッドの変速が可能となる。そのため、一定速度の区間を短くでき、ドラムの径を大きくすることなく、隣り合うワークのピッチを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の着用物品の製造装置の一実施形態を示す概略レイアウト図である。
図2図2はドラムを含むワーク搬送装置およびフィーダを示す概略正面図である。
図3図3Aは切断ウェブを保持するパッドの姿勢の変化を示す展開図、図3Bはドラム等を示す概略正面図である。
図4図4はカット工程におけるドラムの一部を示す概略正面図である。
図5図5Aは双方保持工程の最終段階からカット工程におけるドラムの一部を示す概略正面図、図5Bは双方保持工程に入る前の状態におけるドラムの一部を示す概略正面図である。
図6図6Aはカット工程の直前における双方保持工程におけるドラムの一部を示す概略正面図、図6Bはカット工程におけるドラムの一部を示す概略正面図である。
図7図7Aは個別の着用物品(吸収物品)の一例を示す平面図、図7Bは同正面図、図7Cは同側面図である。
図8図8は着用物品の製造工程の一例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみに基づいて定められる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0013】
以下、本発明の実施形態が図面にしたがって説明される。図1図8は1つの実施形態を示す。
図3Bは、本発明の一実施形態にかかるドラム等の概略正面図である。
図3Bに示すように、製造装置は、連続した連続ウェブWの先端部W1を受取位置RPにおいて受け取り、受取位置RPの下流の切断位置CPにおいて、連続ウェブWを切断する。更に、ワーク搬送装置1は、連続ウェブWが切断されて形成された切断ウェブ(ワークの一例)W2の姿勢を図3Aに示すパッドPi の姿勢変更により変更させながら、図3Bの切断ウェブW2を下流の配置ステーションSPまで搬送する。その後、ワーク搬送装置1は、配置ステーションSPにおいて図3Bの連続吸収体S上に切断ウェブW2を次々に渡す。
なお、以下の説明において図3BのパッドP1~Pn のうちの1つを指す場合、パッドPi と表記する。
【0014】
図3Bに示すように、製造装置は、複数のパッドPi 、複数のアンビル(刃物台)Ai およびカッタ30を備えている。なお、各図において、図を見易くするために、アンビルAi はグレーで着色して図示されている。
カッタ30は、たとえば、カッタロール32に固定された、少なくとも1つの刃31を有している。複数個の刃31がカッタ30に設けられていてもよい。
各アンビルAi は、前記刃31を受けるものであり、ドラム20の周囲に取り付けられていてもよい。複数個のアンビルAi が、ドラム20の周囲に等角度ピッチで配置されていてもよい。
【0015】
ドラム20は、ウェブW,W2の搬送方向である第1の方向D1に回転する。一方、カッタ30はドラム20と同期して、前記第1の方向D1とは反対の第2の方向D2に回転する。すなわち、各アンビルAi が切断位置CPに到達するときに、刃31がアンビルAi に当接するように、ドラム20およびカッタロール32が回転する。カッタロール32が所定角度(たとえば180°、すなわち半回転)回転する毎に、切断位置CPにおいて刃31がアンビルAiに当接し、連続ウェブWの先端部W1を次々に切断して切断ウェブW2を生成する。
【0016】
図3BのパッドPi およびアンビルAi は、ドラム20の周りに交互に配置され、ドラム20と共に該ドラム20の周方向に沿って回転する。図4のパッドPi は、たとえば、後述する第1軸線X1を概ね中心として第1の方向D1に回転する。一方、アンビルAi は、前記第1軸線X1に平行で、かつ、前記第1軸線X1から位置ズレした第2軸線X2を概ね中心として第1の方向D1に回転する。第2軸線X2は、たとえば、ドラム20の回転中心であってもよい。
【0017】
図4において、各パッドPi は、連続ウェブWの先端部W1や切断ウェブW2を該パッドPi の表面に吸着して保持してもよいし、パッドPi の表面に設けた針などによってウェブWを引っかけて保持してもよい。たとえば、バキュームにより、ウェブW,W1,W2が吸引される構造である場合、各パッドPi の表面には、図示しない複数の吸引孔がそれぞれ開口していてもよい。
【0018】
図3Bにおいて、各パッドPi は、受取位置RPにおいて連続ウェブWの先端部W1を受け取った後、当該受取位置RPから第1の方向D1に回転する。この受け取り後、切断位置CPにおいて、アンビルAi とカッタ30とが協働して連続ウェブWの先端部W1が切断され、切断ウェブW2が生成される。該切断後、パッドPi 上の切断ウェブW2は、配置ステーションSPまで搬送される。配置ステーションSPにおいては、パッドPi の吸引孔からエアを吹き出させて、切断ウェブW2がパッドPi から離れ易くしてもよい。
【0019】
図3Bにおいて、ドラム20には、複数の第1アーム11が放射状に固定されている。各第1アーム11の先端部分には、第2アーム12が該第1アーム11に対して回転可能に設けられている。第2アーム12の先端には、パッドフレーム13が取り付けられている。ドラム20が回転すると、該ドラム20の回転に第1および第2アーム11,12が追従し、パッドフレーム13がドラム20と共に第1の方向D1に回転する。
【0020】
図3Bのドラム20の周囲には、一点鎖線で示す位置に、パッドPi の円軌道を規制する案内手段21が設けられている。案内手段21は前記第1軸線X1を中心とする円に沿ってパッドフレーム13を案内する。そのため、ドラム20の回転に伴いアーム11,12を介してパッドフレーム13が回転されると、パッドフレーム13は、案内手段21に案内されて第1軸線X1を中心に回転される。したがって、第1軸線X1を中心に回転されるパッドPi と、第2軸線X2を中心に回転されるアンビルAi とは、互いに異なる軌跡に沿った円運動を行う。
【0021】
図3BのパッドPi の回転半径は各アンビルAi の回転半径よりも大きい。また、パッドPi の回転中心である第1軸線X1はアンビルAi の回転中心である第2軸線X2よりも配置ステーションSPに向かって偏心して配置されている。そのため、パッドPi のアンビルAi に対する相対レベルは、切断位置CPから配置ステーションSPに至るまでの間にドラム20の外方に向って変位される。一方、パッドPi が配置ステーションSPから切断位置CP付近に至るまでの間に、パッドPi のアンビルAi に対する相対レベルはドラム20の内方に向って変位される。
なお、前記アンビルAi に対するパッドPi の径方向の相対変位は、前記案内手段21の他に、たとえば、エアシリンダやモータにより、パッドPi をドラム20の径方向に移動させることで実現されてもよい。
【0022】
各パッドPi は、旋回部14を介して各パッドフレーム13に回転可能にはめ込まれている。各パッドPi は各パッドPi の表面に概ね直交する法線r(概ね第1軸線X1の放射方向(各パッドの回転する円軌道の径方向)に沿った法線r)、すなわち、概ねドラム20の径方向に沿った線の周りに旋回可能である。これにより、切断ウェブW2の姿勢を変更させることが可能である。なお、図3Aの各パッドPi の平面形状はパッドPi の旋回している状態を分かり易くするために長方形で描いているが、正方形に近い形状であってもよい。
【0023】
図3Aは受取位置RPから配置ステーションSPまでのパッドPi の旋回動作を示す概略展開図である。
図3Aに示すように、パッドPi は切断位置CPを通過した後、アンビルAi が内方へ向って相対変位した後に、旋回を開始して姿勢変更を開始し、配置ステーションSPに至るまでに所定角度(たとえば、90°)旋回される。したがって、パッドPi 上の切断ウェブW2は、所定の角度だけ旋回された状態(姿勢)で下流の連続吸収体Sに渡される。なお、パッドPi は、図3Bの配置ステーションSPから受取位置RPに至るまで(戻るまで)の間に、所定角度(たとえば、90°)回転され、連続ウェブWを受け取り可能な姿勢となる。
各パッドPi は、受取位置RP、切断位置CPおよび配置ステーションSPにおいては旋回せずに、すなわち、同じ姿勢を保ったまま、第1軸線X1を中心に回転を続ける。
【0024】
前述のワーク搬送装置1はワーク変速装置10を備える。このワーク変速装置10は配置ステーションSPに向って搬送される各切断ウェブW2の搬送速度を転写速度まで増速する。このワーク変速装置10の変速のメカニズムは周知で前述の第1および第2アーム11,12の運動により実行される。
【0025】
なお、ワーク搬送装置1のその他の構造はWO 2005/075163に記述されており、ここに、その全ての記述が組み込まれる。
【0026】
つぎに、図7A図8を用いて着用物品Nの一例について説明する。
図7A図7Cにおいて、本着用物品Nは吸収性本体S3の長手方向の両端部に一対のポケット部材Wpが接合された吸収物品であってもよい。この吸収物品は以下のように製造されてもよい。
【0027】
図8に示す連続ウェブWは、長手方向に沿った両側縁が折り込まれると共に、この折り込まれる両側縁に糸ゴムWfのような弾性部材が配置される。この連続ウェブWには、ドット模様で示す接合領域Wαに接着剤が塗布されてもよい。仮想の第1切断ラインC1に沿って、連続ウェブWから先端部W1が切り取られて、切断ウェブW2が生成され、この切断ウェブW2は1つの着用物品Nの単位に相当するピッチで連続吸収体S上に間欠的に配置される。
【0028】
この連続吸収体Sは着用物品Nの長手方向の両端となる位置において、本例の場合、切断ウェブW2を2等分する仮想の第2切断ラインC2において切断されて、個々の着用物品Nが生成される。つまり、1つの切断ウェブW2は互いに隣り合う着用物品Nの一対のポケット部材Wpとなる。そのため、各切断ウェブW2同士は連続吸収体S上の互いに大きく離間した位置に配置される必要があり、後述するように本製造装置において連続吸収体Sの長手方向のピッチが大きくなるように切断ウェブW2が配置される必要がある。
【0029】
つぎに、図1および図2を用いて本製造装置の全体について説明する。
図2の配置ステーションSPには受け取りロール43が設けられている。配置ステーションSPにおいては連続吸収体Sに対し切断ウェブW2が各着用物品の単位ごとに配置される。
【0030】
図1において、前述のドラム20にはフィーダ4から切断ウェブW2に切断される前の連続ウェブ(連続体の一例)Wが供給される。フィーダ4の上流には吸収機構5が配置され、更に上流には折り機6が設けられている。
【0031】
折り機6は連続ウェブWの原料である原反ウェブを折り畳んで前述の連続ウェブWを生成する。生成された連続ウェブWは下流の吸収機構5を介してフィーダ4に供給される。
【0032】
連続ウェブWは吸収機構5に一定速で供給される。吸収機構5はベース51に対し例えば水平方向に移動するダンサロール52を備える。
フィーダ4は連続ウェブWを搬送するベルト41を備える。
【0033】
つぎに、本製造装置の更に詳細について説明する。
【0034】
図4に示すように、ドラム20は連続ウェブWの先端部W1を受け取って保持しながら搬送する先行のパッドP1と、先行のパッドに追いつき先行のパッドと共に連続ウェブWの先端部W1を保持する後続のパッドP2とを備える。両パッドP1,P2は切断位置CPにおいて互いに最も接近する。この際、両パッドP1,P2の間にはアンビルAiが配置された状態となる。なお、 両パッドP1,P2はアンビルAiに接触しなくてもよい。
【0035】
カッタ30は連続ウェブWの先端部W1をカットして先行のパッドP1上に個別の切断ウェブW2を生成する。なお、カッタ30の刃31の刃先はアンビルAiと同じ一定の周速度Vで回転してもよい。
【0036】
図4のワーク変速装置10は、先行のパッドP1および後続のパッドP2の双方が連続ウェブWを保持している状態において両パッドP1,P2の相対速度が互いに等しく、かつ、少なくとも一部区間において両パッドP1,P2が不等速で回転するように各パッドの回転を制御する。例えば、図6Aのカット直前の状態から図6Bのカットする瞬間までの間において、両パッドは等速度Vで回転する。一方、図5Bのカット直後には先行のパッドPnは加速されて速度が(V+α)となり、一方、後続のパッドP1は減速されて速度が(V-Δ)となってもよい。
【0037】
図5Bおよび図6Aにおいて、連続ウェブWの先端部W1はパッドP1に吸着保持されている。一方、図5Bのカット直後の状態から図6Aの次回のカット直前の状態までは、パッドP1は不等速で回転し、パッドP1に吸着された連続ウェブWも不等速で搬送される。これに応じて、フィーダ4(図3B)は不等速で回転するパッドP1の速度の変化に合せて連続ウェブWをドラム20に不等速で供給する。
【0038】
図2のフィーダ4は、連続ウェブWを吸着搬送するベルト41を有し、ベルト41の運転速度を変化させることで連続ウェブWの供給速度を変化させるベルトコンベアで構成されている。なお、ベルト41の回転速度はサーボモータで制御されてもよい。
【0039】
図1のベルトコンベアの上流の吸収機構5は、運転速度の変化に合わせて、連続ウェブWの供給速度の変化を吸収する。吸収機構5のダンサロール52は左右にスイングして供給速度を減速させる際に連続ウェブWを滞留させ、供給速度を増速させる際に滞留させた連続ウェブWを繰り出す。
【0040】
つぎに、各パッドPi の加速と減速について説明する。
図3Bに示すように、各パッドPi は加速区間Tαで加速され、減速区間Tβで減速される。また、各パッドPi は低速区間TLにおいて一定の最低速度VMINで移動し、高速区間THにおいて一定の最高速度VMAXで移動する。
【0041】
すなわち、図3Bの切断位置CPを通過した低速区間TLにおいて、各パッドPi は最低速度VMINで切断ウェブW2を搬送する。この低速区間TLを通過した各パッドPi は、は加速区間Tαにおいて、配置ステーションSPに近づくに従い最高速度VMAXまで加速される。この加速区間Tαでは先行のパッドの速度が後続のパッドの速度よりも大きく、各パッドPi 間の距離は拡がる。
【0042】
一方、各パッドPi は最高速度VMAXで高速区間THに入り、最高速度VMAXを保ったまま、切断ウェブW2を連続吸収体S上に配置する。切断ウェブW2の配置後、高速区間THを通過すると、各パッドPi は減速区間Tβにおいて減速しながら切断位置CPに向う。この減速区間Tβでは後続のパッドの速度が先行のパッドの速度よりも大きく、各パッドPi 間の距離は縮む。
【0043】
つぎに、製造方法の概略について簡単に説明する。
図2において、フィーダ4から連続ウェブWが供給され、ドラム20のパッドPiに連続ウェブWの先端部が保持される。連続ウェブWはドラム20のアンビルAiにおいて次々に切断され、切断ウェブW2が生成される。
【0044】
生成された各切断ウェブW2はパッドPiに保持された状態で、ワーク変速工程において、パッドPiが加速されることで、各切断ウェブW2間の距離が拡がると共に、配置ステーションSPに至るまでに、図3Aのように姿勢が90°旋回される。こうして搬送方向に不連続の切断ウェブW2が配置ステーションSPまで搬送される。搬送された各切断ウェブW2は配置ステーションSPにおいて連続吸収体S上に次々に配置される。
【0045】
なお、図8の連続吸収体S上に切断ウェブW2が間欠配置された積層体は、図示されていない製造設備において、切断ウェブW2上の仮想の第2切断ラインC2に沿って連続吸収体Sが切断されて、個々の着用物品Nが生成される。
【0046】
つぎに、図1の連続ウェブWの供給とカットの詳細について説明する。
【0047】
前記ワーク搬送装置1、フィーダ4およびダンサロール52は、以下の動作を繰り返し行う。
図5Aのカット時の直前から図5Bの前回のカット後において、ハッチングを施した先行のパッドP1は連続ウェブWの先端部W1を受け取っている。この先行のパッドP1が前回のカット後に減速を続ける一方で、後続のパッドP2も減速しながら次第に先行のパッドP1に追い付く。つまり、両パッドP1,P2は共に減速中であるが、減速区間Tβ(図3B)においては後続のパッドP2の方が先行のパッドP1よりも周速度が大きい。
【0048】
やがて、図6Aに示すように、連続ウェブWがカットされる直前において、先行のパッドP1と後続のパッドP2の双方が連続ウェブWを保持する双方保持工程に入る。この双方保持工程においては、両パッドP1,P2の相対速度は等しく、図3Bの低速区間TLにおいて双方保持工程が実行される。この状態で図6Bに示すように、アンビルAiが切断位置CPに到達すると、連続ウェブWの先端部W1がカットされて、先行のパッドP1上に個別の切断ウェブW2が生成される。
【0049】
その後、先行のパッドP1が切断位置CPを通り過ぎたカット工程後に、先行のパッドP1は加速区間Tα(図3B)に入り、増速されながら切断ウェブW2を搬送する加速工程が実行される。
【0050】
前述のように、図5Aの各パッドPiは連続ウェブWを受け取った後、図5Bのカット直後および図6Aのカット直前に至るまでに、図3Bの減速区間Tβにおいて減速される減速工程が実行される。そのため、図2のフィーダ4からワーク搬送装置1に供給される連続ウェブWも減速される。連続ウェブWの減速は図2のベルト41を回転駆動するサーボモータが減速されることにより実行される。
【0051】
一方、図1の連続ウェブWの減速に応じて、フィーダ4に導入される連続ウェブWも減速される。この減速はダンサロール52に連続ウェブWを貯留することにより実行される。本例の場合、図1のダンサロール52が右側の貯留方向D3に移動することにより吸収機構5に連続ウェブWが貯留される。
【0052】
吸収機構5に貯留された連続ウェブWは、ダンサロール52が前記貯留方向D3とは逆の巻出方向D4に移動することにより、連続ウェブWの供給速度の増大に応じて巻き出され増速される。この際、フィーダ4のベルト41の速度が増速され、図5Bの加速され始めたパッドP1に供給される。
【0053】
このように、図6Aの双方保持工程の一部の区間において、両パッドが不等速で回転し、この両パッドの変速に合わせて連続ウェブWがフィーダ4から不等速でドラム20に供給される。そのため、連続ウェブWが供給され始めた時点からパッドPiの変速が可能となり、図3Bの一定速度である低速区間TLの区間を短くすることができる。その結果、ドラム20の径を大きくすることなく、隣り合う切断ウェブW2のピッチを大きくすることができる。
【0054】
以上の実施形態には、以下の好ましい発明が含まれる。
【0055】
好ましい製造方法においては、前記カットする瞬間において前記両パッドの相対速度は等しく、かつ、前記両パッドが等速度で回転し、
前記カット後に前記先行のパッドが増速される加速工程を更に備える。
【0056】
別の好ましい製造方法においては、前記カットする瞬間において前記両パッドの相対速度は等しく、かつ、前記両パッドが等速度で回転し、
前記カット後に前記後続のパッドが減速される減速工程を更に備える。
【0057】
これらの場合、カット時に連続体に不用意な張力が作用しにくい。そのため、ワークの品質にバラツキが生じにくい。
【0058】
好ましい製造装置においては、前記フィーダは、
前記連続体を吸着搬送するベルトを有し、前記ベルトの運転速度を変化させることで前記連続体の供給速度を変化させるベルトコンベアで構成されている。
【0059】
この場合、ドラムに供給される連続体に不用意な緩みや張りが生じにくい。
【0060】
更に好ましい製造装置においては、前記ベルトコンベアの上流には、前記運転速度の変化に合わせて、前記連続体の供給速度の変化を吸収する吸収機構を備える。
【0061】
この場合、フィーダによる連続体の変速供給が容易になる。
【0062】
更に好ましい製造装置においては、前記吸収機構は、
前記供給速度を減速させる際に前記連続体を貯留し、前記供給速度を増速させる際に前記貯留した連続体を繰り出すダンサロールを備える。
【0063】
この場合、連続体の供給速度の変化を容易に吸収できる。
【0064】
1つの実施態様または好ましい各実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様において同一または類似な形で、および/または他の実施態様と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0065】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、パッドは法線を中心に旋回しなくてもよい。
また、パッドとアンビルは別体である必要はなく、パッドの下流端または上流端にアンビルを一体に設けてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は使い捨て着用物品およびその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1:ワーク搬送装置 10:ワーク変速装置
11:第1アーム 12:第2アーム 13:パッドフレーム
20:ドラム 21:案内手段
30:カッタ 32:カッタロール 31:刃
4:フィーダ 41:ベルト 43:受け取りロール
5:吸収機構 51:ベース 52:ダンサロール
6:折り機
Ai:アンビル
C1:第1切断ライン C2:第2切断ライン
D1:第1の方向 D2:第2の方向 D3:貯留方向 D4:巻出方向
Pi:パッド r:法線
N:着用物品(吸収物品)
S:連続吸収体 S3:吸収性本体
Tα:加速区間 Tβ:減速区間 TH:高速区間 TL:低速区間
X1:第1軸線 X2:第2軸線
CP:切断位置 RP:受取位置 SP:配置ステーション
W:連続ウェブ(連続体の一例) W1:先端部 W2:切断ウェブ(ワークの一例)
Wα:接合領域 Wf:糸ゴム Wp:ポケット部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8