(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/04 20060101AFI20240823BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H02K1/04 B
H02K1/18 E
(21)【出願番号】P 2021527456
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2020019148
(87)【国際公開番号】W WO2020255592
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】201920935779.4
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】南部 靖生
(72)【発明者】
【氏名】天谷 崇徳
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159537(WO,A1)
【文献】実開昭57-113636(JP,U)
【文献】特開2002-106660(JP,A)
【文献】特開2019-022416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/04
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、前記ステータコアに巻回されたコイルとを有するステータと、
軸心方向に延伸する回転軸を有し、回転自在に前記ステータの内側に位置するロータと、前記ステータを覆うモールド樹脂と、
を備えたモータであって、
前記コイルは、前記ステータコアから前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドを有し、
前記モールド樹脂の外周表面において、前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドのうちの一方のコイルエンドを周方向に亘って囲むように、第1の不燃材カバーが装着されており、
前記モールド樹脂の外周表面において、複数の取付脚が前記周方向に沿って設けられており、
前記複数の取付脚の夫々の、前記モールド樹脂の外周表面に繋がった根元部分には、前記周方向に沿って延伸し前記周方向の両側及び前記軸心方向の一方側に開口した周方向溝が形成されており、
前記第1の不燃材カバーの前記軸心方向の一方側の先端は、前記複数の取付脚の夫々の前記周方向溝に入り込んでおり、
前記モールド樹脂の外周表面には、前記第1の不燃材カバーの前記先端と当接する1つ以上の位置決め部が形成されており、
前記1つ以上の位置決め部は、前記周方向において、前記複数の取付脚の間に位置して形成されており、
前記1つ以上の位置決め部は、前記軸心方向において、前記第1の不燃材カバーが装着される側の端部が前記周方向溝の底部よりも前記第1の不燃材カバーが装着される側で該第1の不燃材カバーの前記先端と当接する位置に形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記モールド樹脂の外周表面には、1つ以上の位置決め部が形成されており、
前記1つ以上の位置決め部は、前記周方向において、前記複数の取付脚の間に位置して形成されており、
前記第1の不燃材カバーの前記先端において、前記周方向において前記1つ以上の位置決め部と対応した位置には、該位置決め部と対応した形状の切欠き部が形成されており、
前記1つ以上の位置決め部は、前記軸心方向において、前記第1の不燃材カバーの切欠き部と係止する位置で前記周方向溝の底部と前記第1の不燃材カバーの前記先端とが当接しない位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記モールド樹脂の外周表面において前記周方向に等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1の不燃材カバーは、金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1の不燃材カバーは、鉄、ステンレス、真鍮、又はアルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記周方向溝の断面形状は、略U字状であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記周方向溝の断面形状は、テーパ状であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1の不燃材カバーの前記先端には、前記周方向溝の断面形状に対応した断面形状の厚肉部が形成されていることを特徴とする請求項
6又は
7に記載のモータ。
【請求項9】
前記第1の不燃材カバーの前記先端は、面取りされたことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記取付脚の前記軸心方向における長さは、9mm~14mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記周方向溝の前記軸心方向における深さは、2mm~4mmの範囲内であることを特徴とする請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記取付脚は、前記軸心方向において前記周方向溝が形成された側と反対側に、補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項13】
前記モールド樹脂の外周表面において、前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドのうちの他方のコイルエンドを前記周方向に亘って囲むように、第2の不燃材カバーが装着されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項14】
前記第1の不燃材カバーは、前記コイルの渡り線も覆っていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータの分野に関し、特にステータがモールド樹脂で覆われているモータに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のモータ500の構成例を示す断面図である。
図7に示すように、ステータ510とロータ540とを備えたモータ500において、ステータ510がモールド樹脂530で覆われている構成のものは、モールドモータとも称せられ、既に広く知られている。
【0003】
図7に示すように、ステータ510は、複数枚の金属板からなるステータコア511と、このステータコア511に巻線を巻回したコイル512とを有している。そして、ステータ510に設けられているコイル512がモールド樹脂530で覆われている。なお、
図7に示すように、コイル512におけるステータコア511からはみ出た部分は、コイルエンド512aともいう。コイル512とステータコア511との間には、コイル512とステータコア511との電気的絶縁を目的として、インシュレータ513が取付けられる。
【0004】
ところで、コイル512に過大な電流が流れると、コイル512が発熱して極めて高温となり、レアショートを発生する恐れがある。すなわち、コイル512を成す巻線は、導体の外周が絶縁体で覆われている。ところが、コイル512が発熱すると、外周を絶縁体で絶縁されている巻線において、絶縁体が熱で溶けるなどの原因により、導体どうしが短絡する恐れがある。一切の安全保護装置を働かせないという特殊な環境下においてコイル512にレアショートが発生した場合、火花が生じることがある。火花は、インシュレータ513等が熱せられることにより生じたガスに引火して、発火するおそれがある。
【0005】
一方、コイル512とモールド樹脂530とが接触している箇所などでは、加えられた熱などが原因となり、モールド樹脂530の物理的特性が劣化することがある。モールド樹脂530の物理的特性が劣化すると、モールド樹脂530にはひび割れ等が生じる。
【0006】
よって、モールド樹脂530にひび割れ等が生じた状態でレアショートが発生すると、インシュレータ513等から生じたガスに火が引火することがあり、引火した火が、モールド樹脂530に発生したひび割れ箇所等からモータ500の外部に洩れ出る恐れがある。
【0007】
ここで、コイル512におけるコイルエンド512a以外の部分はステータコア511で囲まれているため、火や煙が外部に洩れる可能性は極めて少ない。しかし、コイルエンド512aは、ステータコア511からはみ出ているため、モールド樹脂530と接触している。よって、モールド樹脂530におけるコイルエンド512aに接触した箇所から発火して、火や煙が外部に洩れる可能性がある。
【0008】
上記のようなモータ500や、モータ500が設けられている機器(モータ機器とも称す)においては、通常、上記のようにコイル512に過大な電流が流れて火や煙が出ることがないように、ステータ510のコイル512に過大な電流が流れることを防止する安全保護回路がモータ500内部(例えば、モータ500内部に設けられる回路基板534内)やモータ機器内部に設けられている。
【0009】
また、モータ500内部からの発火延焼を防止するため、モータ500は、ステータコア511の端部から、軸心方向両端に突出するコイルエンド512aを金属カバー517、518で覆っていた。一方の金属カバー517はモールド樹脂530の内部に位置し、他方の金属カバー518はモールド樹脂530の外殻を介して覆うように取り付けられていた。
【0010】
モータ500の能力を向上するなど、ステータコア511の外径を大きくしたい場合、モールド樹脂530内部に位置する金属カバー517を取り付けることが困難となった。また、該金属カバー517を金属カバー518のようにモールド樹脂530の外殻を覆うように位置変更しようとすると、モールド樹脂530の外殻に存在する取付脚531と干渉してしまう。
【0011】
上述したように、モータ500は、モータの内部から外部に向けて火や煙が洩れることを防止しているため安全性が高い。既に市場に出回っているモータを安全性が高いモータ500へ置き換えるために、モータ500は、従来のモータと同じ位置に配置することが求められる。つまり、モータ500の取付脚の位置が、従来のモータの取付脚の位置から変更することは望ましくない。
【発明の概要】
【0012】
上記のことに鑑みて、本開示が解決しようとする課題は、取付脚の位置を変更することなく、モータから外部に火や煙が出ることを防止できるモータを提供することである。
【0013】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態では、ステータコアと、前記ステータコアに巻回されたコイルとを有するステータと、軸心方向に延伸する回転軸を有し、回転自在に前記ステータの内側に位置するロータと、前記ステータを覆うモールド樹脂と、を備えたモータであって、前記コイルは、前記ステータコアから前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドを有し、前記モールド樹脂の外周表面において、前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドのうちの一方のコイルエンドを周方向に亘って囲むように、第1の不燃材カバーが装着されており、前記モールド樹脂の外周表面において、複数の取付脚が前記周方向に沿って設けられており、前記複数の取付脚の夫々の、前記モールド樹脂の外周表面に繋がった根元部分には、前記周方向に沿って延伸し前記周方向の両側及び前記軸心方向の一方側に開口した周方向溝が形成されており、前記第1の不燃材カバーの前記軸心方向の一方側の先端は、前記複数の取付脚の夫々の前記周方向溝に入り込んでいることを特徴とするモータが提供されている。
【0014】
第1の不燃材カバーをモールド樹脂の外周表面に設けることにより、モータの外径を変更することなく、ステータコアをより大きく形成し、モータの能力を向上できる。また、取付脚に周方向溝を形成し、第1の不燃材カバーの先端を周方向溝に入り込ませることにより、取付脚の取付面の軸心方向の位置を変更することなく、取付脚と第1の不燃材カバーとの干渉を避けることができるため、モータを従来のモータと同じ位置に配置できるとともに、モータから外部に火や煙が出ることを防止できる。
【0015】
上記モータの一実施可能な形態では、前記モールド樹脂の外周表面には、前記第1の不燃材カバーの前記先端と当接する1つ以上の位置決め部が形成されており、前記1つ以上の位置決め部は、前記周方向において、前記複数の取付脚の間に位置して形成されており、前記1つ以上の位置決め部は、前記軸心方向において、前記第1の不燃材カバーが装着される側の端部が前記周方向溝の底部よりも前記第1の不燃材カバーが装着される側で該第1の不燃材カバーの前記先端と当接する位置に形成されている。
【0016】
第1の不燃材カバーの先端が周方向溝の底部に到達する前に位置決め部と当接する構成とすることにより、第1の不燃材カバーを装着する際に、第1の不燃材カバーの先端が取付脚に応力を加えて取付脚に亀裂や座屈などが生じることを防止できる。
【0017】
上記モータの一実施可能な形態では、前記モールド樹脂の外周表面には、1つ以上の位置決め部が形成されており、前記1つ以上の位置決め部は、前記周方向において、前記複数の取付脚の間に位置して形成されており、前記第1の不燃材カバーの前記先端において、前記周方向において前記1つ以上の位置決め部と対応した位置には、該位置決め部と対応した形状の切欠き部が形成されており、前記1つ以上の位置決め部は、前記軸心方向において、前記第1の不燃材カバーの切欠き部と係止する位置で前記周方向溝の底部と前記第1の不燃材カバーの前記先端とが当接しない位置に形成されている。
【0018】
モールド樹脂の外周表面に位置決め部を形成し、第1の不燃材カバーの先端に位置決め部と対応した切欠き部を形成することにより、第1の不燃材カバーを軸心方向に位置決めするだけでなく、周方向に位置決めすることもできるため、モータの振動等により第1の不燃材カバーが周方向に揺れ動くことが防止される。
【0019】
上記モータの一実施可能な形態では、前記位置決め部は、前記モールド樹脂の外周表面において前記周方向に等間隔に複数形成されている。
【0020】
複数の位置決め部を等間隔に形成することにより、上記のような少なくとも軸心方向及び周方向の一方の位置決めをより確実に実現できる。
【0021】
上記モータの一実施可能な形態では、前記第1の不燃材カバーは、金属で形成されている。
【0022】
金属で第1の不燃材カバーを形成することにより、第1の不燃材カバーの加工性、装着性を効果的に確保できる。
【0023】
上記モータの一実施可能な形態では、前記第1の不燃材カバーは、鉄、ステンレス、真鍮、又はアルミニウムで形成されている。
【0024】
鉄、ステンレス、真鍮、又はアルミニウムで第1の不燃材カバーを形成することにより、コストを抑制しつつ、第1の不燃材カバーの加工性、装着性を効果的に確保できる。
【0025】
上記モータの一実施可能な形態では、前記周方向溝の断面形状は、略U字状である。
【0026】
周方向溝の断面形状を略U字状とすることにより、周方向溝の加工性を確保できる。
【0027】
上記モータの一実施可能な形態では、前記周方向溝の断面形状は、テーパ状である。
【0028】
周方向溝の断面形状をテーパ状とすることにより、周方向溝の加工性を確保できる。
【0029】
上記モータの一実施可能な形態では、前記第1の不燃材カバーの前記先端には、前記周方向溝の断面形状に対応した断面形状の厚肉部が形成されている。
【0030】
第1の不燃材カバーの先端に、周方向溝の断面形状に対応した断面形状の厚肉部を形成することにより、第1の不燃材カバーの先端が座屈したり、ほこりが第1の不燃材カバーの先端と周方向溝との間の隙間に入ったりすることを防止できる。
【0031】
上記モータの一実施可能な形態では、前記第1の不燃材カバーの前記先端は、面取りされた。
【0032】
第1の不燃材カバーの先端を面取りすることにより、第1の不燃材カバーの先端の角部が周方向溝の底部に応力を加えることを防止できる。
【0033】
上記モータの一実施可能な形態では、前記取付脚の前記軸心方向における長さは、9mm~14mmの範囲内である。
【0034】
取付脚の軸心方向における長さを上記範囲に設定することにより、取付脚の強度を効果的に確保できる。
【0035】
上記モータの一実施可能な形態では、前記周方向溝の前記軸心方向における深さは、2mm~4mmの範囲内である。
【0036】
周方向溝の軸心方向における深さを上記範囲に設定することにより、取付脚の強度を確保しつつ、取付脚と第1の不燃材カバーとの干渉を効果的に防止できる。
【0037】
上記モータの一実施可能な形態では、前記取付脚は、前記軸心方向において前記周方向溝が形成された側と反対側に、補強リブが形成されている。
【0038】
取付脚に補強リブを形成することにより、取付脚の強度をより効果的に確保できる。
【0039】
上記モータの一実施可能な形態では、前記モールド樹脂の外周表面において、前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドのうちの他方のコイルエンドを前記周方向に亘って囲むように、第2の不燃材カバーが装着されている。
【0040】
第2の不燃材カバーを設けることにより、他方のコイルエンドからモータの外部に火や煙が出ることを防止できる。
【0041】
上記モータの一実施可能な形態では、前記第1の不燃材カバーは、前記コイルの渡り線も覆っている。
【0042】
第1の不燃材カバーでコイルの渡り線も覆っていることにより、一方のコイルエンドからモータの外部に火や煙が出ることをより効果的に防止できる。
【0043】
上記課題を解決するために、本開示の別の形態では、ステータコアと、前記ステータコアに巻回されたコイルとを有するステータと、軸心方向に延伸する回転軸を有し、回転自在に前記ステータの内側に位置するロータと、前記ステータを覆うモールド樹脂と、を備えたモータであって、前記コイルは、前記ステータコアから前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドを有し、前記モールド樹脂の外周表面において、前記軸心方向の両側に突出したコイルエンドのうちの一方のコイルエンドを周方向に亘って囲むように、第1の不燃材カバーが装着されており、前記モールド樹脂の外周表面において、複数の取付脚が前記周方向に沿って設けられており、前記第1の不燃材カバーの先端において、前記周方向において前記複数の取付脚の夫々と対応した位置には、複数の切欠き部が形成されており、前記第1の不燃材カバーは、前記複数の取付脚の夫々が前記複数の切欠き部に入り込むように装着されていることを特徴とするモータが提供されている。
【0044】
第1の不燃材カバーをモールド樹脂の外周表面に設けることにより、モータの外径を変更することなく、ステータコアをより大きく形成し、モータの能力を向上できる。また、第1の不燃材カバーの先端に切欠き部を形成し、取付脚を切欠き部に入り込ませることにより、取付脚の取付面の軸心方向の位置を変更することなく、取付脚と第1の不燃材カバーとの干渉を避けることができるため、モータを従来のモータと同じ位置に配置できるとともに、モータから外部に火や煙が出ることを防止できる。
【0045】
本開示のモータによれば、取付脚の位置を変更することなく、モータから外部に火や煙が出ることを防止できるモータを提供できる。
【0046】
以下の図面を参照しながら例示的な実施の形態を詳しく説明することにより、本開示の他の特徴及び側面はより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、本開示に係るモータ100の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、軸心方向Xに沿う同モータ100の断面図である。
【
図3】
図3は、軸心方向Xに沿う同モータ100の別の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるA-A線に沿う同モータ100の断面図である。
【
図7】
図7は、従来のモータの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明において、同一の構成要素には同じ符号を付すことで、その説明を援用する。
【0049】
また、本開示をより良く説明するために、以下の具体的な実施の形態において具体的な細部を多く記載した。本開示は、何らかの具体的な細部が無くとも同様に実施できることは、当業者が理解すべきことである。本開示の主旨を強調するために、以下の実施の形態では、当業者に良く知られている方法、手段、素子、および回路について詳細に説明していない。
【0050】
図1は、本開示に係るモータ100の外観を示す斜視図である。
図2は、軸心方向Xに沿う同モータ100の断面図であり、取付脚31が存在する位置で軸心方向Xに沿ってモータ100を切断した図である。
図3は、軸心方向Xに沿う同モータ100の別の断面図であり、位置決め部32が存在する位置で軸心方向Xに沿ってモータ100を切断した図である。
図4は、
図2におけるA-A線に沿う同モータ100の断面図である。
図5は、
図2の一部を拡大して示す図である。
図6は、
図3の一部を拡大して示す図である。
【0051】
本実施の形態では、ロータに永久磁石を備えたブラシレスモータの一例としてのモータ100を挙げて説明する。また、以下、
図1で示すように、回転軸41が延伸する方向を軸心方向Xとする。そして、この軸心方向Xに直交する面において、回転軸41の中心から広がる方向を径方向Y、回転軸41の中心を周回する方向を周方向Zとして説明する。
【0052】
まず、
図2、3に示すように、本実施の形態でのモータ100は、ステータ10と、ロータ40と、第1のブラケット15と、回路基板19と、2つの軸受20A、20Bと、第1の不燃材カバー17と、第2の不燃材カバー18とを備えている。
【0053】
図2、3に示すように、ステータ10は、ステータコア11、コイル12およびインシュレータ13を含むコイル組立14を備えている。コイル組立14は、絶縁材料からなるインシュレータ13を介しながら、コイル12をステータコア11に巻回して組み立てられている。
【0054】
また、
図4に示すように、ステータコア11は、リング状のヨーク11aと、ヨーク11aの内周面から径方向内側に向かって延出する複数のトゥース11bとを有する。これら複数のトゥース11bは、開口部であるスロット11cを互いの間に形成しながら、それぞれが周方向Zに等間隔に配置される。また、各トゥース11bの延出した先端箇所には、トゥース中間部11baよりも幅広となるように、周方向Zに広がるトゥース先端部11bbが形成されている。このトゥース先端部11bbの内周面が、ロータ40の外周表面に対向する磁極面となる。このような構成のステータコア11に対し、スロット11cの開口スペースに巻線を通しながら、それぞれのトゥース11bにその巻線を巻回することでコイル12が形成される。
【0055】
図2、3に示すように、コイル12は、ステータコア11から軸心方向Xの両側に突出したコイルエンド12aを有する。コイル12におけるコイルエンド12a以外の部分は、ステータコア11のスロット11c内に収められている。そして、各コイル12間は、渡り線(図示せず)によって接続されている。渡り線は通常、インシュレータ13の径方向外側の外周面に配設されている。各トゥース11bに巻回されたコイル12が、例えば、互いに電気的に120度位相が異なるU相、V相およびW相とする3相の交流で通電駆動される。
【0056】
さらに、本実施の形態では、
図2、3に示すように、モータ100は、第1のブラケット15が位置する方向とは反対側に突出するように配置した第2のブラケット16を備えている。ステータ10は、コイル組立14および第2のブラケット16が所定の位置に配置されて、これら部材を樹脂材料により覆うようにモールド樹脂30で一体成型される。このように構成されたステータ10は、略円筒状の形状を成し、さらに、円筒の外周表面には、モータ100を外部装置などに取り付けるための取付脚31及び第1の不燃材カバー17を位置決めするための位置決め部32が周方向に沿って複数設けられている(詳細は後述を参照)。また、ステータ10の軸心方向Xにおける両端面のうち、一方の端面(
図2、3における右側の端面)は開口しており、その開口に蓋をするように第1のブラケット15が装着され、他方の端面(
図2、3における左側の端面)は閉じており、上述のように第2のブラケット16が突出するように配置されている。
【0057】
次に、
図2、3に示すように、ステータ10の内側には、径方向Yに所定の間隔をあけて、ロータ40が挿入されている。すなわち、モータ100は、ステータ10の内側にロータ40を配置したインナロータ型のモータであり、本実施の形態では、このようなインナロータ型のモータ100の例を挙げて説明する。
【0058】
ロータ40は、軸受20Aと軸受20Bとによって回転自在に保持された回転軸41を中心として、複数の磁石44を保持する回転体42を備えている。また、回転体42は、ロータコア43と、複数の磁石44とを備えている。ロータコア43は、例えば複数枚の薄い鉄板を軸心方向Xに積層して構成され、中央部において回転軸41に固定されている。また、複数の磁石44は、永久磁石であり、本実施の形態では、複数の磁石44は、隣り合う磁石44の極性が交互に変わるように、ロータコア43の外周表面に組み立てられている。
【0059】
また、このような回転体42が締結された回転軸41は、軸受20Aと軸受20Bとの2つの軸受によって回転自在に支持されている。軸受20A、20Bは、ボールベアリングである。本実施の形態では、このような軸受20A、20Bが、ステータ10の軸心方向両側にそれぞれ配置される金属製の第1のブラケット15、第2のブラケット16を介して、固定されている。
【0060】
図2、3に示すように、第1のブラケット15は、略円盤形状を成しており、ステータ10の開口側に装着可能なように構成されている。さらに、第1のブラケット15の中央部には、円筒状に窪む保持部15aが形成されており、その保持部15aに軸受20Aが保持される。すなわち、ステータ10に対して、軸受20Aを保持部15aに挿入した第1のブラケット15を装着することで、回転軸41の一方側が回転自在に支持される。
【0061】
また、第2のブラケット16は、第1のブラケット15よりも径が小さく、円盤および円筒を組み合わせた形状を成している。また、上述したモールド成型により、第2のブラケット16は、ステータ10とともにモールド樹脂30に固定されている。さらに、第2のブラケット16の中央部にも、円筒状に窪む保持部16aが形成されており、その保持部16aに軸受20Bが保持される。すなわち、軸受20Bを保持部16aに挿入することで、回転軸41の他方側が、回転自在に支持される。また、本実施の形態では、保持部16aの中央に開口16bが形成されており、回転軸41がこの開口16bを貫いて外側方向に突出する。そして、この回転軸41の突出した箇所が、負荷などを接続するための出力軸41pとなる。以下、説明の便宜上、軸心方向Xにおいて、出力軸41pの延出した側を「出力軸側」といい、その反対側を「反出力軸側」という。また、下記のように、第1の不燃材カバー17は、ステータ10の反出力軸側に装着されるため、「反出力軸側」を「第1の不燃材カバーが装着される側」ともいう。
【0062】
さらに、本実施の形態では、モータ100は、回路基板19を、ステータ10の開口側に内蔵する。回路基板19は、略円盤状の形状をなしており、中央部に回転軸41を通すための開口19bが形成されている。回路基板19には、駆動回路、安全保護回路などの電子部品が実装されており、電源電圧や制御信号を印加する接続線なども接続されている。そして、外部と接続するための接続線が、モールド樹脂30に設けられる配線孔(図示せず)を介して外部に引き出されている。
【0063】
上記背景技術で説明したように、コイル組立14を備えたモータ100において、万一、コイル12に流れる過大電流を防止するような安全保護機能が正常に動作しないと、コイル12に過大な電流が流れることになる。すると、コイル12や渡り線が発熱して極めて高温となる。その結果、レアショートが発生したり、レアショートによる火花が生じたりし、さらには、生じた火花がインシュレータ13等から生じたガスに引火して発火するおそれもある。そして、特に、上述のようなコイルエンド12aや渡り線は、ステータコア11からはみ出ているため、このような不具合が生じる可能性が高くなる。
【0064】
そこで、本実施の形態では、安全保護回路が正常に機能せずにコイル12に過大な電流が流れるなどの不具合に起因して、モータ100の本体から外部に火や煙が出ることを防止するために、第1の不燃材カバー17及び第2の不燃材カバー18を設けている。
【0065】
以下、第1の不燃材カバー17、第2の不燃材カバー18及びそれらに関連する構造を詳しく説明する。
【0066】
まず、第1の不燃材カバー17及びそれに関連する構造を説明する。
【0067】
図1~3に示すように、金属製の第1の不燃材カバー17が、ステータ10の反出力軸側に装着される。第1の不燃材カバー17は、軸心方向Xの両側に突出したコイルエンド12aのうちの反出力軸側のコイルエンド12aを周方向Zに亘って囲むように、モールド樹脂30の外周表面に装着されている。第1の不燃材カバー17は、両端が開口して直径が均一な円筒状を成しており、円筒の内径は、ステータ10の外径とほぼ等しい。第1の不燃材カバー17を例えば圧入によりモールド樹脂30の外周表面に装着した状態において、第1の不燃材カバー17は軸心方向Xにおいて、反出力軸側のコイルエンド12aをその長さ範囲内に含める。つまり、第1の不燃材カバー17は軸心方向Xにおいて、反出力軸側のコイルエンド12a全体を覆っている。また、第1の不燃材カバー17は、インシュレータ13の径方向外側の外周面に位置する渡り線も覆っている。
【0068】
このように、第1の不燃材カバー17は、反出力軸側のコイルエンド12a及び渡り線を覆っている。このため、上述のようなレアショートなどによる不具合により出火して、インシュレータ13や渡り線より径方向外側に火が延焼しようとしても、第1の不燃材カバー17により、その火や煙が遮断され、モータ100の外部に火や煙が出ることを防止できる。
【0069】
また、
図1、2に示すように、モールド樹脂30の外周表面において、モータ100を外部装置などに取り付けるための複数の(例えば等間隔に4つの)取付脚31が周方向Zに沿って一体的に設けられている。
図2、5に示すように、各取付脚31には、軸心方向Xに延伸し、取付用ボルトが挿通されるボルト孔31aが設けられている。また、各取付脚31の反出力軸側の端面では、モールド樹脂30の外周表面に繋がった取付脚31の根元部分には、周方向Zに沿って延伸し周方向Zの両側及び軸心方向Xの一方側に開口した断面形状が略U字状の周方向溝31bが形成されている。第1の不燃材カバー17をモールド樹脂30の外周表面に装着した状態において、第1の不燃材カバー17の出力軸側の先端17aは、複数の取付脚31の夫々の周方向溝31bに入り込んでいる。また、各取付脚31の出力軸側の端面では、ボルト孔31aの両側には、補強リブ31cが適宜形成されている。
【0070】
取付脚31に周方向溝31bを形成し、第1の不燃材カバー17の先端17aを周方向溝31bに入り込ませることにより、取付脚31の取付面31dの軸心方向Xの位置を変更することなく、すなわち、取付面31dと出力軸21の先端との間の軸心方向Xの距離Lを変更することなく、第1の不燃材カバー17をモールド樹脂30の外周表面に装着することができる。
【0071】
また、周方向溝31bの軸心方向Xにおける深さDは、取付脚31と第1の不燃材カバー17との干渉量に応じて適宜設定することができる(例えば、2mm~4mmに設定する)。通常、取付脚31の強度を確保するために、取付脚31の軸心方向Xにおける長さ(すなわち、補強リブ31cを除く取付脚31の本体部の軸心方向Xにおける長さ)Hを7mm~10mmに設定すべきである。本実施の形態では、2mm~4mm程度の周方向溝31bが設けられているので、例えば、取付脚31の軸心方向Xにおける長さHを9mm~14mmに設定することができる。
【0072】
図1、3に示すように、モールド樹脂30の外周表面には、第1の不燃材カバー17の先端17aと当接する1つ以上の位置決め部32が一体的に形成されている。
図3、6に示すように、位置決め部32は、モールド樹脂30の外周表面において、径方向Yの外側に突出するように形成されており、周方向Zに長い略矩形状を呈している。本実施の形態では、隣り合う取付脚31間には、複数(例えば4つ)の位置決め部32が周方向Zに等間隔に設けられている。各位置決め部32は、軸心方向Xにおいて、該位置決め部32の反出力軸側の端部が周方向溝31bの底部よりも反出力軸側で第1の不燃材カバー17の先端17aと当接する位置に形成されている。これにより、モールド樹脂30の外周表面に第1の不燃材カバー17を圧入する際に、第1の不燃材カバー17の先端17aが周方向溝31bの底部に到達する前に位置決め部32と当接したため、第1の不燃材カバー17を軸心方向Xに位置決めする。
【0073】
第1の不燃材カバー17の先端17aが周方向溝31bの底部に到達する前に位置決め部32と当接する構成とすることにより、第1の不燃材カバーを圧入する際に、第1の不燃材カバー17の先端17aが取付脚31に応力を加えて取付脚31に亀裂や座屈などが生じることを防止できる。
【0074】
次に、第2の不燃材カバー18及びそれに関連する構造を説明する。
【0075】
図1~3に示すように、金属製の第2の不燃材カバー18が、モールド樹脂30の出力軸側に装着される。第2の不燃材カバー18は、軸心方向Xの両側に突出したコイルエンド12aのうちの出力軸側のコイルエンド12aを周方向Zに亘って囲むように、モールド樹脂30の外周表面に装着されている。第2の不燃材カバー18は、中心に開口部18aを有した中空のカップ形状を成している。ステータ10に含まれる第2のブラケット16が、この開口部18aを貫くように、第2の不燃材カバー18がモールド樹脂30を介してステータ10に装着される。第2の不燃材カバー18をモールド樹脂30の外周表面に装着した状態において、第2の不燃材カバー18は軸心方向Xにおいて、出力軸側のコイルエンド12aをその長さ範囲内に含める。つまり、第2の不燃材カバー18は軸心方向Xにおいて、出力軸側のコイルエンド12a全体を覆っている。また、第2の不燃材カバー18は、インシュレータ13の径方向外側の外周面に位置する渡り線も覆っている。
【0076】
このように、第2の不燃材カバー18は、出力軸側のコイルエンド12a及び渡り線を覆っている。このため、上述のようなレアショートなどによる不具合により出火して、インシュレータ13や渡り線より径方向外側に火が延焼しようとしても、第2の不燃材カバー18により、その火や煙が遮断され、モータ100の外部に火や煙が出ることを防止できる。
【0077】
また、上記に説明した金属製の第1の不燃材カバー17、第2の不燃材カバー18は、鉄、ステンレス、真鍮やアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。
【0078】
特に、鉄、真鍮を用いる場合、その表面にメッキを施すことによって防錆性能を向上させることができる。具体的には、鉄を用いる場合には、溶融亜鉛めっき鋼板(JIS規格:SGCD)、電気亜鉛めっき鋼板(JIS規格:SECD)を使用することができる。
【0079】
以上のモータ100は、次のような手順にて構成される。
【0080】
まず、ステータ10は、コイル組立14および第2のブラケット16を、所定の位置に配置してモールド一体成型することで、構成される。また、軸受20A、20Bは、ロータ40の回転軸41の両側に装着される。そして、第2のブラケット16の開口16bから出力軸41pが突出するように、ステータ10には、軸受20A、20Bを装着した状態のロータ40が挿入される。次に、第2のブラケット16の保持部16aには、軸受20Bが圧入される。次に、第1の不燃材カバー17は、位置決め部32と当接するまで、反出力軸側からモールド樹脂30の外周表面に圧入される。次に、回路基板19が、ステータ10の反出力軸側の開口内に装着される。回路基板19と接続された接続線は、モールド樹脂30に設けられる配線孔を介して外部に引き出される。そして、第1のブラケット15の保持部15aには、軸受20Aが圧入されるとともに、第1のブラケット15は、ステータ10の反出力軸側に装着される。最後に、第2の不燃材カバー18が、ステータ10の出力軸側に装着される。このようにして、
図1~3に示すようなモータ100が完成する。
【0081】
以上のように構成されたモータ100に対して、接続線を介して電源電圧や制御信号などを回路基板19に供給することにより、回路基板19に実装された駆動回路によりコイル12が通電駆動される。コイル12に通電されると、コイル12に駆動電流が流れ、ステータコア11から磁界が発生する。そして、ステータコア11からの交番磁界とロータ40が有する磁石44からの磁界とにより、それら磁界の極性に応じて吸引力および反発力が生じ、これらの力によって回転軸41を中心にロータ40が周方向Zに回転する。
【0082】
以下、本開示に係るモータの変形例を説明する。
【0083】
上記実施の形態では、第1の不燃材カバー17の先端17aが軸心方向Xにおいて面一となる構成について説明したが、第1の不燃材カバー17の先端17aにおいて、周方向Zにおいて1つ以上の位置決め部32と対応した位置には、該位置決め部32と対応した形状の切欠き部が形成されてもよい。第1の不燃材カバー17をモールド樹脂30の外周表面に装着した状態において、モールド樹脂30の外周表面における位置決め部32が対応する切欠き部と係止することにより、第1の不燃材カバー17を周方向Zに位置決めする。また、第1の不燃材カバー17の先端17aが取付脚31の周方向溝31bの底部と当接して取付脚31に応力を加えることを防止するために、本変形例における位置決め部32は、上記実施の形態における位置決め部32に対して切欠き部の深さの分だけ反出力軸側に移動した。つまり、本変形例における位置決め部32は、軸心方向Xにおいて、第1の不燃材カバー17の切欠き部と係止する位置で周方向溝31bの底部と第1の不燃材カバー17の先端17aとが当接しない位置に形成されている。
【0084】
また、上記実施の形態では、モールド樹脂30の外周表面には、第1の不燃材カバー17の先端17aと当接する1つ以上の位置決め部32が形成されている構成について説明したが、位置決め部32を設けることなく、第1の不燃材カバー17の先端17aを取付脚31の周方向溝31bの底部と当接させることもできる。この場合、好ましくは、第1の不燃材カバー17の先端17aには、周方向溝31bの断面形状に対応した断面形状の厚肉部が形成されており、これにより第1の不燃材カバーの先端が座屈したり、ほこりが第1の不燃材カバー17の先端17aと周方向溝31bとの間の隙間に入ったりすることが防止される。また、第1の不燃材カバー17の先端17aを面取りすることにより、第1の不燃材カバー17の先端17aの角部が周方向溝31bの底部に応力を加えることを防止できる。
【0085】
また、上記実施の形態では、周方向溝の断面形状が略U字状であることについて説明したが、これに限定されない。例えば、周方向溝31bの断面形状は、テーパ状などの任意の形状であってもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、第1の不燃材カバー17と第2の不燃材カバー18とは、金属のような不燃材で形成されることについて説明したが、これに限定されない。第1の不燃材カバー17と第2の不燃材カバー18とは、セラミックや水酸化アルミニウム成形品などの無機物を用いることもできる。
【0087】
また、上記実施の形態では、取付脚31に周方向溝31bが形成される構成について説明したが、周方向溝31bを設けることなく、第1の不燃材カバー17の先端17aにおいて、周方向Zにおいて複数の取付脚31の夫々と対応した位置には、複数の切欠き部が形成されてもよい。第1の不燃材カバー17をモールド樹脂30の外周表面に装着した状態において、複数の取付脚31の夫々が第1の不燃材カバー17の複数の切欠き部に入り込むことによっても、第1の不燃材カバー17を軸心方向X及び周方向Zに位置決めすることができる。また、取付脚31の位置でコイルエンド12aが第1の不燃材カバー17に覆われていない部分が存在するが、モールド樹脂30は取付脚31の位置において厚くなるため、火や煙がこの部位から出る可能性は低い。
【0088】
また、上記実施の形態では、磁石44がロータ40の外周表面に保持されている表面磁石型のモータ(Surface Permanent Magnet Motor:SPMモータ)を例に説明したが、ロータコア43の内部に磁石44を配置したIPM(Interior Permanent Magnet:内部磁石埋込)型のモータであってもよい。
【0089】
以上は、本開示を実施するための形態に過ぎない。本開示の技術的範囲は、これに限定されず、当業者が本開示に開示の技術的範囲内で容易に想到し得る変更や代替はすべて、本開示の技術的範囲に属する。よって、本開示の技術的範囲は、前記請求項の技術的範囲を基準とすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示の構成は、ステータがモールド樹脂で覆われているいわゆるモールドモータに対して、広範囲で適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
100 モータ
10 ステータ
11 ステータコア
11a ヨーク
11b トゥース
11ba トゥース中間部
11bb トゥース先端部
11c スロット
12 コイル
12a コイルエンド
13 インシュレータ
14 コイル組立
15 第1のブラケット
15a 保持部
16 第2のブラケット
16a 保持部
16b 開口
17 第1の不燃材カバー
17a 先端
18 第2の不燃材カバー
18a 開口部
19 回路基板
19b 開口
20A、20B 軸受
30 モールド樹脂
31 取付脚
31a ボルト孔
31b 周方向溝
31c 補強リブ
31d 取付面
32 位置決め部
40 ロータ
41 回転軸
41p 出力軸
42 回転体
43 ロータコア
44 磁石
500 モータ
510 ステータ
511 ステータコア
512 コイル
512a コイルエンド
513 インシュレータ
517、518 金属カバー
530 モールド樹脂
531 取付脚
534 回路基板
540 ロータ
X 軸心方向
Y 径方向
Z 周方向