(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240823BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F25D21/04 J
F25D23/02 306F
(21)【出願番号】P 2021073346
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2022-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿比留 洋一
(72)【発明者】
【氏名】梅江 将司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真崇
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228346(JP,A)
【文献】特開平07-294108(JP,A)
【文献】特開2017-083046(JP,A)
【文献】特開平10-030878(JP,A)
【文献】実開昭57-156776(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部が設けられ、内部に貯蔵室が設けられた断熱箱体を備え、
前記断熱箱体には、前記貯蔵室を仕切る仕切り部が設けられ、
前記仕切り部の内部には、充填材によって充填される充填空間と、
内部に冷媒が流される管状部材と、
前記管状部材を支持する支持部と
、
が設けられ、
前記仕切り部は、前記断熱箱体の前面側に位置し、前記仕切り部の前面を形成する前面板を備え、
前記支持部は、
前記管状部材を保持する一対の保持部と、
前記保持部の各々を連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、前後方向に沿って、前記前面板から離間して配置され、
前記保持部の各々は、上下方向に沿って、互いに離間して配置され、前記連結部から前記前面板に接近する位置まで延び、前記管状部材を前記前面板に接触させて支持し、
前記充填材は、
前記前面板と前記連結部との間と、
前記保持部の各々との間と、
前記管状部材の側面全体と、
を隙間なく覆う
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記前面板は、所定の長さ寸法を有し、
前記管状部材は、前記前面板の長手方向に沿って延び、
前記支持部は、前記前面板の長手方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて複数が設けられる
ことを特徴とする
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記支持部には、前記管状部材が係合する係合部が設けられ、
前記支持部は、前記管状部材を前記前面板と前記係合部とで挟み込むことで支持する
ことを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記開口部を閉塞する扉が設けられ、
前記仕切り部には、前記扉を回動可能に支持するヒンジ部材が設けられ、
前記ヒンジ部材には、前記仕切り部の内部に延びる延在部が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、補強部材の取付作業の改善をして中扉取付部の強度向上を図る冷蔵庫を開示する。この冷蔵庫は、中扉を内箱に取付けるとき、補強部材を内箱の裏側から仕切り部の空間に挿入する。この補強部材では、補強部材の連結板が仕切り部前面の裏側に当接して、位置決め孔の穿通孔部に挿通されて穿通孔部から突出して止まる。この後、補強部材を仕切り部に沿って左側へ移動させることでガイド部が係止孔部に嵌まり、係合部が仕切り部の前面に当接する。これによって、補強部材の左右上下および前後方向の位置ずれが規制され補強部材が固定位置に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、部品点数の増加を抑制し、組み立て性が向上される冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、前面に開口部が設けられ、内部に貯蔵室が設けられた断熱箱体を備え、前記断熱箱体には、前記貯蔵室を仕切る仕切り部が設けられ、前記仕切り部の内部には、充填材によって充填される充填空間と、内部に冷媒が流される管状部材と、前記管状部材を支持する支持部と、が設けられ、前記仕切り部は、前記断熱箱体の前面側に位置し、前記仕切り部の前面を形成する前面板を備え、前記支持部は、前記管状部材を保持する一対の保持部と、前記保持部の各々を連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前後方向に沿って、前記前面板から離間して配置され、前記保持部の各々は、上下方向に沿って、互いに離間して配置され、前記連結部から前記前面板に接近する位置まで延び、前記管状部材を前記前面板に接触させて支持し、前記充填材は、前記前面板と前記連結部との間と、前記保持部の各々との間と、前記管状部材の側面全体と、を隙間なく覆う。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、管状部材を支持する支持部が仕切り部に一体に形成される。そのため、冷蔵庫では、部品点数の増加を抑制し、組み立て性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、補強部材の取付作業の改善をして中扉取付部の強度向上を図る冷蔵庫を開示する。この冷蔵庫は、中扉を内箱に取付けるとき、補強部材を内箱の裏側から仕切り部の空間に挿入する。この補強部材では、補強部材の連結板が仕切り部前面の裏側に当接して、位置決め孔の穿通孔部に挿通されて穿通孔部から突出して止まる。この後、補強部材を仕切り部に沿って左側へ移動させることでガイド部が係止孔部に嵌まり、係合部が仕切り部の前面に当接する。これによって、補強部材の左右上下および前後方向の位置ずれが規制され補強部材が固定位置に係止される。
この冷蔵庫では、内部に流される冷媒によって仕切り部の前面を加温する部材である管状部材が当該仕切り部の前面と、補強部材とによって支持される。
【0009】
しかしながら、従来の構成では、管状部材を保持するために補強部材という部品を用いるため、部品点数が増加する、という課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、部品点数の増加を抑制し、組み立て性が向上されることが抑制される冷蔵庫を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態)
以下、
図1~
図9を用いて、実施の形態を説明する。なお、各図に示す符号FRは、設置状態における冷蔵庫1、及び断熱箱体10の前方を示し、符号UPは、冷蔵庫1の上方を示し、符号LHは、冷蔵庫1、及び断熱箱体10の左方を示す。以下の説明において、各方向は、これらの冷蔵庫1の方向に沿った方向である。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.冷蔵庫の構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る設置状態における冷蔵庫1の斜視図である。
冷蔵庫1は、
図1に示すように、前面に開口部14が設けられた断熱箱体10と、断熱箱体10に取り付けられる複数の扉16、17、18と、冷凍サイクルを形成する冷凍機とを備える。
【0013】
断熱箱体10は、断熱性を有し、冷蔵庫1の本体を形成する箱状部材である。この断熱箱体10は、前面に開口する外箱12と、当該外箱12の内部に収められ、前面に開口する内箱13と、外箱12と内箱13との間の空間S1に設けられる断熱材11とを備える。
【0014】
外箱12は、例えば鉄等の金属板や、ABS等の硬質樹脂等で形成される。
本実施の形態の冷蔵庫1では、外箱12は、側面や天面、底面、背面のそれぞれが別体の鋼板によって形成され、これらが連結されることによって形成される。
外箱12の天面には、各扉16の上端側において、当該扉16を回動可能に軸支するヒンジ部材19が設けられる。
また、外箱12の背面には、断熱材11が注入される注入孔が設けられる。
【0015】
図2は、冷蔵庫1の分解斜視図である。
図2では、扉16、17、18を省略して示す。また、
図2では、説明の便宜上、棚板29を仮想線である一点鎖線で示す。
内箱13は、例えばABS等の硬質樹脂で形成される。
断熱箱体10では、内箱13に設けられた開口が当該断熱箱体10の開口部14として機能する。また、内箱13の内部の空間は、冷凍サイクルによって冷却され、所定の物品を所定の温度で貯蔵可能な貯蔵室15として機能する。
【0016】
この貯蔵室15は、仕切り部20、21によって、上下方向に沿って複数の空間に仕切られる。冷蔵庫1において、仕切り部20、21に仕切られた各空間は、上方から下方に向かって、順に冷蔵室22、野菜室23、冷凍室24として機能する。
冷蔵室22は、冷蔵保存のために、保存物が凍らない冷蔵温度帯に設定される。野菜室23は、野菜の保存に適した温度として、冷蔵室22よりやや高い温度帯に設定される。冷凍室24は、冷凍保存のために、冷凍温度帯に設定されている。
【0017】
上述の通り、断熱箱体10の開口部14は、複数の扉16、17、18によって閉塞される。これらの扉16、17、18は、いずれも内部に断熱部材を備える断熱扉である。
冷蔵庫1において、冷蔵室22に位置する内箱13の開口は、一対の扉16によって閉塞される。これらの扉16は、冷蔵庫1の左右方向に沿って回動することで開閉可能な観音開き式扉である。
冷蔵庫1において、野菜室23、及び冷凍室24に位置する内箱13の開口は、それぞれ扉17、18によって閉塞される。これらの扉17、18は、冷蔵庫1の前後方向に沿ってスライド移動することで開閉可能な引き出し式扉である。
【0018】
外箱12と内箱13との間には、充填材である断熱材11が設けられる。本実施の形態アでは、断熱材11として、硬質ウレタンフォームが用いられる。硬質ウレタンフォームは、容易に発泡させることが可能で、各種の材料と自己接着し、且つ高い気密性を有する。
冷蔵庫1では、外箱12と内箱13との間の空間S1に、断熱材11として硬質ウレタンフォームが発泡充填され、外箱12と内箱13とに自己接着する。
なお、これに限らず、冷蔵庫1では、断熱充填可能な断熱材であれば、いずれの材料が用いられてもよい。
【0019】
断熱箱体10の天面と背面とで形成される角部には、貯蔵室15側に突出して窪ませることで形成される機械室25が設けられる。機械室25は、冷凍サイクルを形成する冷凍機を収める空間である。
冷凍機は、例えば圧縮機や、蒸発器、凝縮器、キャピラリチューブ、放熱、及び結露防止用の防露パイプ50等で構成される。これらの機器が冷媒配管によって環状に接続されることで冷凍サイクルが形成される。そして、冷蔵庫1では、圧縮機によって圧縮された冷媒が冷凍サイクルを循環することで、貯蔵室15が冷却される。
本実施の形態では、機械室25には、圧縮機と、当該圧縮機に連結される冷媒配管等が収められる。
【0020】
このように、冷蔵庫1の上端部、且つ背面側に機械室25が設けられることで、貯蔵室15の内部において、ユーザが利用しづらい上部の後方に機械室25が設けられる。このため、冷蔵庫1では、貯蔵室15におけるユーザがより利用し易い箇所の容積を広く形成することが可能である。
【0021】
防露パイプ50は、上述の通り、冷凍サイクルの一部を形成する管状部材である。この防露パイプ50は、外箱12と内箱13との間の空間S1において、外箱12の内側面や、開口部14を形成する内箱13の各面等に熱的に結合されるように引き回されて配置される。
防露パイプ50には、主に凝縮器で熱交換した冷媒が流される。防露パイプ50は、この冷媒によって、外箱12の外表面や、開口部14の周囲を加温し、貯蔵室15と外気温との温度差による結露の発生を抑制する。なお、防露パイプ50を流れた冷媒は、蒸発器に導入される。
【0022】
[1-1-2.仕切り部の構成]
仕切り部20は、断熱箱体10上下方向に所定の厚さ寸法を有した平板状に形成される。この仕切り部20は、内箱13の開口の左右方向、すなわち開口部14の左右方向に沿って延び、当該開口部14の両側に配置された一対の側壁26に両端が連結される。なお、この一対の側壁26は、内箱13の側面を形成する。
仕切り部20は、断熱箱体10の前後方向に沿って所定の幅寸法を有する。本実施の形態では、仕切り部20は、断熱箱体10が所定の強度を有することが可能な幅寸法で形成される。
【0023】
貯蔵室15において、仕切り部20の後方には、棚板29が架け渡される。この棚板29は、断熱箱体10上下方向に所定の厚さ寸法を有した前面板42材であり、当該棚板29は、発泡スチロール等の断熱部材を内部に収めるABS等の硬質樹脂で形成された箱状部材で形成される。
この棚板29の各縁部は、内箱13の背面を形成する後壁27と、一対の側壁26と、仕切り部20の背面とに当接した状態で取り付けられる。
【0024】
すなわち、貯蔵室15は、仕切り部20と、棚板29とによって、冷蔵室22と、野菜室23とに仕切られる。
本実施の形態における棚板29の厚さ寸法は、当該棚板29に断熱部材として発泡スチロールが用いられるため、仕切り部20の厚さ寸法よりも小さく形成することが可能である。
これによって、棚板29を用いて貯蔵室15を仕切ることで、冷蔵室22と、野菜室23との容積が所定量以上となるように形成することが可能である。
【0025】
仕切り部20は、内部に空間S2を有した箱状に形成される。この仕切り部20は、当該仕切り部20の上面を形成する上面板40と、仕切り部20の下面を形成する下面板41と、仕切り部20の前面を形成する前面板42と、仕切り部20の背面を形成する背面板43とを備える。
前面板42の両端には、
図2に示すように、いずれも複数のねじ孔49が設けられる。
【0026】
図3は、仕切り部20を示す正面図である。
図3では、前面板42を省略して示す。
図3に示すように、断熱箱体10の左右方向における仕切り部20の両端は、解放される。
上述の通り、仕切り部20は、内箱13の一対の側壁26に両端が連結される。各側壁26において、仕切り部20の両端が連結される箇所には、いずれも側壁開口28が設けられる。各側壁開口28は、内箱13の貫通孔であり、空間S1に連通する。すなわち、各側壁開口28は、空間S1と空間S2とを連通させる。
【0027】
図4は、仕切り部20を示す斜視図である。
図4では、前面板42を省略して示す。
上面板40と、下面板41とは、断熱箱体10の上下方向に沿って互いに所定の間隔を空けて配置され、いずれも両端が一対の側壁26に連結される。
図4に示すように、仕切り部20の内部には、複数の支持部44が当該仕切り部20と一体に設けられる。支持部44は、仕切り部20に引き回される防露パイプ50を支持するものである。これらの支持部44は、仕切り部20の長手方向、すなわち断熱箱体10の左右方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて、配置される。
【0028】
図5は、仕切り部20の縦断面図である。
図5では、断熱箱体10の上下方向、及び前後方向に平行、且つ支持部44を通る断面を示す。
図5に示すように、各支持部44は、断面が略U字状に形成される。これらの支持部44は、上端が上面板40に連結され、下端が下面板41に連結される。すなわち、各支持部44は、上面板40と下面板41とを連結する。また、各支持部44は、仕切り部20の内部において、当該仕切り部20に一体に設けられる。
このため、
図3、
図4に示すように、各支持部44は、仕切り部20の内部において、所謂梯子状に配置される。
【0029】
各支持部44は、連結部45と、一対の保持部46とを備える。
連結部45は、仕切り部20、及び断熱箱体10の上下方向に沿って延びる長板状に形成される。この連結部45は、仕切り部20の空間S2において、前面板42から、背面板43側に所定の幅寸法で離間して配置される。
【0030】
一対の保持部46は、連結部45の長手方向の両端に設けられ、上面板40、及び下面板41のそれぞれに隣接して設けられる。すなわち、一対の保持部46は、空間S2において、上下方向に離間して配置される。
これらの保持部46は、上面板40、及び下面板41のそれぞれの平面に沿って、前面板42に向かって延びる長板状に形成される。各保持部46の先端は、前面板42から所定の幅寸法で離間した位置に配置される。各保持部46の先端には、所定の形状に切り欠かれて形成される係合部47が設けられる。
本実施の形態において、この係合部47は、防露パイプ50の側面(外周面)に係合可能な曲線状に切り欠かれる。
【0031】
ここで、
図3に示すように、防露パイプ50は、仕切り部20の内部に引き回されて配置される。詳述すると、空間S1に引き回された防露パイプ50は、一方の側壁開口28を介して、仕切り部20の内部、すなわち空間S2の内部に引き回される。空間S2の内部において、防露パイプ50は、上面板40に沿って、他方の側壁開口28側に向かって延びた後に、仕切り部20の他方の端部付近において、仕切り部20の上下方向に沿ってループし、下面板41に沿って、一方の側壁開口28に向かってターンするように延びる。
ターンした防露パイプ50は、一方の側壁開口28にまで延びた後に、当該側壁開口28から再度空間S1に引き回される。
【0032】
図5に示すように、仕切り部20の内部に配置される防露パイプ50は、各支持部44によって支持される。具体的には、防露パイプ50は、
図5に示すように、当該防露パイプ50の側面に各係合部47が当接し、前面板42の裏面に押し付けられることで各支持部44に支持される。換言すれば、防露パイプ50は、仕切り部20の空間S2において、前面板42と各係合部47によって挟み込まれることで保持される。
【0033】
また、上面板40に沿って延びる防露パイプ50は、上面板40に隣接して設けられる各保持部46に保持され、下面板41に沿って延びる防露パイプ50は、下面板41に隣接して設けられる各保持部46に保持される。
このように、防露パイプ50は、各支持部44によって、仕切り部20の上下方向に沿って2本が並ぶように保持される。
【0034】
図6は、ヒンジ部材60を示す斜視図である。
図6では、前面板42を省略して示す。
図6に示すように、仕切り部20には、一対のヒンジ部材60が設けられる。ヒンジ部材60は、各扉16の上端側において、当該扉16を回動可能に軸支する部材である。
ヒンジ部材60は、仕切り部20の両端において、各側壁76に隣り合う位置に配置される。
【0035】
図7は、ヒンジ部材60を示す横断面図である。
図7では、断熱箱体10の左右方向、及び上下方向に平行、且つヒンジ部材60を通る断面を示す。
図6、
図7に示すように、ヒンジ部材60は、前面側部材61と、内部側部材62とを備える。
前面側部材61は、前面板42の前面(表面)側に接する平板状の部材である。すなわち、前面側部材61は、仕切り部20の前面において、当該仕切り部20の外部に露出する部材である。この前面側部材61には、複数のねじ孔67が設けられる。
前面側部材61には、ヒンジ軸63が設けられる。このヒンジ軸63は、扉16の下端に設けられた挿通孔に挿通される。これによって、扉16は、ヒンジ軸63を回動軸として回動可能となる。
【0036】
内部側部材62は、前面板42の背面(裏面)側に接する平板状の部材である。すなわち、内部側部材62は、仕切り部20の内部の空間S2に配置される部材である。
図7に示すように、内部側部材62は、平板状の部材をU字状に折り曲げて形成される。この内部側部材62は、当接部64と、係止部65と、延在部66とを備える。
【0037】
当接部64は、前面板42の裏面に面接触する平面部である。この当接部64には、
図3に示すように、複数のねじ孔68が設けられる。
係止部65は、内部側部材62の左右方向において、側壁26側に配置される。この係止部65は、開口部14の縁部に設けられた係合孔70に挿通され、断熱箱体10の前後方向に沿って、当該断熱箱体10の後方に向かって延びる。これによって、係止部65は、係合孔70に係止され、ヒンジ部材60は、断熱箱体10に支持される。
【0038】
延在部66は、内部側部材62の左右方向において、側壁26とは反対側に配置される。すなわち、延在部66は、空間S2に配置される。
延在部66は、係止部65と同様に、断熱箱体10の前後方向に沿って、当該断熱箱体10の後方に向かって、所定の長さ寸法で延びる。この延在部66は、係止部65よりも長い長さ寸法を有する。
また、
図7に示すように、延在部66は、支持部44を避けた位置に配置される。
【0039】
ヒンジ部材60は、ねじ部材69によって、仕切り部20に取り付けられる。具体的には、一対のねじ部材69が各ねじ孔67、49、68に順に挿通されて螺合することで、ヒンジ部材60が仕切り部20に固定される。すなわち、ヒンジ部材60は、前面側部材61と、内部側部材62とが前後方向から前面板42を挟み込むことで、当該前面板42に固定される。
【0040】
仕切り部21は、仕切り部20と略同一の内部構造を備える。すなわち、仕切り部21は、内部に防露パイプ50が引き回され、当該防露パイプ50を前面板71に当接させる複数の支持部が設けられる。これらの支持部は、支持部44と略同一形状である。
また、仕切り部21は、断熱箱体10の前後方向に沿って、内箱13の背面を形成する後壁27にまで延びる。このため、仕切り部21は、両端が一対の側壁26に連結され、後端が後壁27に連結される。
【0041】
[1-2.作用]
以上のように構成された冷蔵庫1について、その作用を以下説明する。
上述の通り、冷蔵庫1において、冷蔵室22、野菜室23、及び冷凍室24は、冷凍サイクルによって、それぞれが所定の温度帯となるように冷却される。
この場合、冷蔵庫1の外気温と貯蔵室15との温度差によって、冷蔵庫1の外表面に結露が生じる虞がある。
このため、冷蔵庫1では、外箱12と内箱13との間の空間S1において、外箱12の内側面や、開口部14を形成する内箱13の各面等に熱的に結合される防露パイプ50が設けられる。冷蔵庫1の各部は、防露パイプ50に流される冷媒によって加温されることで結露の発生が抑制される。
【0042】
ここで、冷蔵庫1の組み立て時において、当該冷蔵庫1には、外箱12の背面から、注入孔を介して断熱材11が注入される。注入された断熱材11は、外箱12と内箱13との間の空間S1に発泡充填され、外箱12と内箱13とに自己接着する。また、空間S1は、空間S2と側壁開口28を介して連通する。このため、注入された断熱材11は、空間S1から、各側壁開口28を介して空間S2に充填される。すなわち、空間S2は、断熱材11が充填される充填空間として機能する。
【0043】
なお、仕切り部21の内部には、仕切り部20と同様に、各側壁26、及び後壁27との連結箇所から空間S1に注入された断熱材11が充填される。
これによって、野菜室23と冷凍室24とは、内部に断熱材11が充填された仕切り部21によって区画される。上述の通り、断熱材11は、硬質ウレタンフォームであるため、やや高い冷蔵温度帯に設定された野菜室23と、冷凍温度帯に設定された冷凍室24とをより確実に熱的に仕切ることが可能である。
【0044】
図8は、断熱材11が充填された仕切り部20を示す縦断面図である。
図8では、
図5と同様に、断熱箱体10の上下方向、及び前後方向に平行、且つ支持部44を通る断面を示す。
図8に示すように、空間S2に充填された断熱材11は、各支持部44の間から前面板42の裏面側まで流れ込み、防露パイプ50の側面全体を隙間なく覆う。
これによって、防露パイプ50が仕切り部20の内部における周囲の空気を加温することが抑制される。このため、防露パイプ50から発せられる熱がより効率よく前面板42に流れる。そして、冷蔵庫1では、より効率よく前面板42が加温され、結露が生じることが抑制される。
【0045】
図9は、断熱材11が充填された仕切り部20を示す横断面図である。
図9では、
図7と同様に、断熱箱体10の左右方向、及び上下方向に平行、且つヒンジ部材60を通る断面を示す。
図9に示すように、空間S2に充填された断熱材11は、内部側部材62全体を覆う。これによって、延在部66は、断熱材11に全体が覆われる。換言すれば、延在部66は、断熱材11に挿通されたような状態で保持される。すなわち、ヒンジ部材60は、断熱材11によって、支持固定される。
上述の通り、本実施の形態の断熱材11は、硬質ウレタンフォームであり、当該硬質ウレタンフォームは、例えば発泡スチロールよりも高い強度を有する。このため、冷蔵庫1では、より確実にヒンジ部材60を固定し、各扉16を支持することが可能である。
【0046】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷蔵庫1は、前面に開口部14が設けられ、内部に貯蔵室15が設けられた断熱箱体10を備える。断熱箱体10には、貯蔵室15を仕切る仕切り部20が設けられ、仕切り部20の内部には、断熱材11によって充填される空間S2と、内部に冷媒が流される防露パイプ50と、防露パイプ50を支持する支持部44とが設けられる。
これにより、仕切り部20に一体に設けられた支持部44で、防露パイプ50を支持することができる。そのため、冷蔵庫1では、部品点数の増加を抑制し、当該冷蔵庫1の組み立てを容易化できる。
【0047】
本実施の形態のように、仕切り部20は、断熱箱体10の前面側に位置し、仕切り部20の前面を形成する前面板42を備え、支持部44は、防露パイプ50を前面板42に接触させて支持させてもよい。
これにより、冷蔵庫1では、前面板42を防露パイプ50で加温できる。そのため、冷蔵庫1では、前面板42において、結露が生じることが抑制できる。
【0048】
本実施の形態のように、前面板42は、所定の長さ寸法を有し、防露パイプ50は、前面板42の長手方向に沿って延び、支持部44は、前面板42の長手方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて複数が設けられてもよい。
これにより、仕切り部20では、当該仕切り部20の上下方向に沿って複数本の防露パイプ50を保持できる。そのため、冷蔵庫1では、より高温で前面板42を加温できる。
【0049】
本実施の形態のように、支持部44には、防露パイプ50が係合する係合部47が設けられ、支持部44は、防露パイプ50を前面板42と係合部47とで挟み込むことで支持されてもよい。
これにより、仕切り部20では、防露パイプ50が前面板42に接触した状態で保持される。そのため、より確実に防露パイプ50が前面板42を加温できる。
【0050】
本実施の形態のように、係合部47は、前面板42の長手方向に直交する方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて複数が設けられ、支持部44には、複数の係合部47を互いに連結する連結部45が設けられ、連結部45は、前面板42から離間して配置されてもよい。
これにより、仕切り部20では、防露パイプ50の側面にまで断熱材11を充填させることができる。そのため、防露パイプ50から発せられる熱がより効率よく前面板42に流れる。
【0051】
本実施の形態のように、冷蔵庫1には、開口部14を閉塞する扉16が設けられ、仕切り部20には、扉16を回動可能に支持するヒンジ部材60が設けられ、ヒンジ部材60には、仕切り部20の内部に延びる延在部66が設けられてもよい。
これにより、ヒンジ部材60は、断熱材11によって、支持固定される。そのため、冷蔵庫1では、より確実にヒンジ部材60を固定し、各扉16を支持することができる。
【0052】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、組み合わせ、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【0053】
上述した実施形態では、一つの防露パイプ50が仕切り部20の上下方向に沿って、当該仕切り部20の内部で2本が並ぶように配置されるとした。しかしながらこれに限らず、仕切り部20の内部において、防露パイプ50が1本だけ配置されてもよい。また例えば、仕切り部20の内部において、当該仕切り部20の上下方向に沿って、3本以上の防露パイプ50が並ぶように配置されてもよい。
この場合、支持部44には、並べられる防露パイプ50の本数に応じて、2つ以上の保持部46が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明に係る冷蔵庫は、部品点数の増加を抑制し、組み立て性が向上される冷蔵庫として、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 冷蔵庫
10 断熱箱体
11 断熱材
12 外箱
13 外箱
13 内箱
14 開口部
15 貯蔵室
16、17、18 扉
19、60 ヒンジ部材
20、21 仕切り部
26 側壁
27 後壁
28 側壁開口
42 前面板
44 支持部
45 連結部
46 保持部
47 係合部
50 防露パイプ(管状部材)
66 延在部
S1、S2 空間