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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240823BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20240823BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20240823BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20240823BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240823BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
H01M8/0606
H01M8/2475
H01M8/04014
H01M8/12 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022522503
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042356
(87)【国際公開番号】W WO2021229843
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020084983
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見神 祐一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 丈人
(72)【発明者】
【氏名】寺山 健
(72)【発明者】
【氏名】布尾 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 智宏
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8916300(US,B2)
【文献】国際公開第2018/230248(WO,A1)
【文献】特開2020-053388(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0073890(KR,A)
【文献】特開2017-142935(JP,A)
【文献】特開2016-115479(JP,A)
【文献】特開2020-030892(JP,A)
【文献】特開2016-177880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、を備え、
前記固体酸化物形燃料電池の温度T1と前記電気化学ポンプの温度T2との温度差が、T1が600以上800℃以下で前記固体酸化物形燃料電池が動作する場合には200℃以下、T1が800℃以上1000℃以下で前記電気化学ポンプが動作する場合は400℃以下である、
燃料電池システム。
【請求項2】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、を備え、
前記固体酸化物形燃料電池及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材をさらに備え、前記固体酸化物形燃料電池と前記電気化学ポンプは同じ断熱空間に収容されている、
燃料電池システム。
【請求項3】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、
前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、
前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器と、
前記電気化学ポンプと前記改質器を断熱空間に収容した断熱部材と、を備え、
前記電気化学ポンプと前記改質器は同じ断熱空間に収容されている、燃料電池システム。
【請求項4】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、
前記固体酸化物形燃料電池及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材と、を備え、
前記断熱空間は、前記固体酸化物形燃料電池を収容した第1断熱空間、及び、前記第1断熱空間から断熱され且つ前記電気化学ポンプを収容した第2断熱空間を有している、
燃料電池システム。
【請求項5】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、
前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、
前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材と、を備え、
前記断熱空間は、前記改質器を収容した第1断熱空間、及び、前記第1断熱空間から断熱され且つ前記電気化学ポンプを収容した第2断熱空間を有している、
燃料電池システム。
【請求項6】
第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる電気化学ポンプと、
第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、
前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、
前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器と、
前記第1アノードから排出された第1アノードオフガスと、前記改質器に供給される前記燃料ガスとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、を備える、
燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1電解質膜は、A1Zr1-x1M1x13-δ、A2Ce1-x2M2x23-δ及びA3Zr1-x3-y3Cex3M3y33-δからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
A1,A2,A3は、それぞれBa,Sr,Caからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、M1、M2及びM3は、それぞれ、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、In及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
x1が0<x1<1を満たし、
x2が0<x2<1を満たし、
x3が0<x3<1を満たし、
y3が0<y3<1を満たす、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記第1電解質膜において、A1、A2,A3はBaを含む、
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記第1電解質膜は、BaZr1-x1M1x13-δを含む、
請求項7又は請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記第1電解質膜において、M1は少なくともYbを含む、
請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、
前記第2アノードと前記第1アノードとに接続され、前記第2アノードから排出され且つ前記水素を含有する第2アノードオフガスを前記第1アノードに供給する第2アノード排出経路と、
前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、
前記電気化学ポンプに接続され、前記電気化学ポンプに送電する電源と、を備えた、
請求項1、請求項2、及び、請求項4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記第2アノードと前記第1アノードとに接続され、前記第2アノードから排出され且つ前記水素を含有する第2アノードオフガスを前記第1アノードに供給する第2アノード排出経路と、
前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、
前記電気化学ポンプに接続され、前記電気化学ポンプに送電する電源と、を備えた、
請求項3、請求項5、及び、請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記電気化学ポンプの少なくとも一部は400℃以上で動作する、
請求項2から請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記固体酸化物形燃料電池の温度T1は、前記電気化学ポンプの温度T2よりも高い、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、
前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、を備え、
前記断熱部材は、前記リサイクルガス経路を前記断熱空間に収容している、
請求項2又は請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、を備え、
前記断熱部材は、前記リサイクルガス経路を前記断熱空間に収容している、
請求項3又は請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
前記第1アノードに接続され、前記第1アノードから排出された第1アノードオフガスが流れる第1アノード排出経路と、
前記第1アノード排出経路に設けられ、前記第1アノードオフガスを燃焼する燃焼器と、をさらに備えた、
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【請求項18】
前記第2カソードに接続され、前記酸化剤ガスを前記第2カソードへ供給するカソード供給経路と、
前記第2カソードに接続され、前記第2カソードから排出された第2カソードオフガスが流れるカソード排出経路と、
前記第2カソードに供給される前記酸化剤ガスと、前記第2カソードから排出された前記第2カソードオフガスとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、を備えた、
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学ポンプ及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池システムとして、例えば、特許文献1に示す燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムは、燃料電池スタックの燃料排気口が電気化学ポンプ分離ユニットの第一の吸入口に第一の導管により接続され、電気化学ポンプ分離ユニットの排出口が燃料電池スタックの燃料吸入口に第二の導管により接続されている。この燃料電池スタックは固体酸化物形燃料電池スタックであり、電気化学ポンプ分離ユニットはポリベンゾイミダゾール膜の非フッ素化イオン交換イオノマー膜を含んでいる。燃料電池スタックと電気化学ポンプ分離ユニットとの間に複数の熱交換器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5542333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す燃料電池システムに対し、燃料電池システムの熱損失の低減及び小型化を図る観点から未だ改善の余地がある。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図りつつ、熱損失の低減及び小型化を図ることができる電気化学ポンプ及び燃料電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電気化学ポンプの一態様は、第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる。
【0007】
本開示に係る燃料電池システムの一態様は、上述の電気化学ポンプと、第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、前記第2アノードと前記第1アノードとに接続され、前記第2アノードから排出され且つ前記水素を含有する第2アノードオフガスを前記第1アノードに供給する第2アノード排出経路と、前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、前記電気化学ポンプに接続され、前記電気化学ポンプに送電する電源と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電気化学ポンプ及び燃料電池システムによれば、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図りつつ、熱損失の低減及びシステムの小型化を図ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図2】BaZr0.8Yb0.23-δの温度及びプロトン伝導度の関係を示すグラフである。
図3】本開示の第2実施形態に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図4】本開示の第3実施形態に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図5】本開示の第3実施形態の変形例1に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図6】本開示の第3実施形態の変形例2に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図7】本開示の第3実施形態の変形例3に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図8】本開示の第3実施形態の変形例4に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図9】本開示の第3実施形態の変形例5に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図10】本開示の第4実施形態に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図11】本開示の第5実施形態に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
図12】本開示の第6実施形態及びその他の変形例に係る燃料電池システムを模式的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となる知見)
本開示者等は、燃料利用率の向上を図りつつ、熱損失の低減及び小型化を図る燃料電池システムについて鋭意検討を重ねた。
【0011】
この結果、上記特許文献1の燃料電池システムでは、燃料電池スタックにおいて燃料及び空気により発電が行われる。そして、水素を含有する燃料排気流が、燃料電池スタックから排出されて、電気化学ポンプ分離ユニットに供給される。この電気化学ポンプ分離ユニットにおいて、燃料排気流から水素が分離されて、燃料電池スタックに戻されている。このため、燃料利用率の向上が図られている。
【0012】
しかしながら、燃料電池スタックから排出された燃料排気流は、複数の熱交換器によって、200℃以下に温度が下げられた上、さらに90℃以上110℃以下まで下げられてから、電気化学ポンプ分離ユニットに供給されている。このように、複数の熱交換器を用いることにより、燃料電池システムが大型化してしまう。
【0013】
さらに、電気化学ポンプ分離ユニットから燃料電池スタックに水素を戻す際には、水素をバーナにて昇温させている。このような燃料排気流の降温及び水素の昇温により熱損失が生じ、燃料電池システムの発電効率の低下を招いてしまう。
【0014】
これに対し、本開示者等は、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を電気化学ポンプに用いることにより、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図りつつ、熱損失の低減及び小型化を図ることができることを見出した。本開示はこの知見に基づいてなされたものである。
【0015】
本開示の第1の態様に係る電気化学ポンプは、第1アノード、第1カソード、及び、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜を有し、水素を含有するガスから前記水素を分離させる。当該電気化学ポンプを、燃料電池を有する燃料電池システムに用いた場合、電気化学ポンプからリサイクルガス経路及びアノード供給経路を介して燃料電池にカソードオフガスを燃料ガスとして戻すようにすることで、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図ることができる。また、第1電解質膜がプロトン伝導性を有する酸化物を含むことにより、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池などの燃料電池は作動温度帯が近いこととなる。このため、燃料電池から電気化学ポンプに供給されるアノードオフガスの降温、及び、電気化学ポンプから固体酸化物形燃料電池に戻されるカソードオフガスの昇温による熱損失を低減することができる。また、燃料電池と電気化学ポンプとの間の熱交換器の数を減らせ、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
【0016】
本開示の第2の態様に係る電気学化学ポンプは、前記第1電解質膜は、A1Zr1-x1M1x13-δ、A2Ce1-x2M2x23-δ及びA3Zr1-x3-y3Cex3M3y33-δからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、A1,A2,A3は、それぞれBa,Sr,Caからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、M1、M2及びM3は、それぞれ、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、In及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、x1が0<x1<1を満たし、x2が0<x2<1を満たし、x3が0<x3<1を満たし、y3が0<y3<1を満たす。上記構成によると、電気化学ポンプは水素分離効率が高く、燃料電池システムのエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0017】
本開示の第3の態様に係る電気化学ポンプは、前記第1電解質膜において、A1、A2,A3はBaを含む。上記構成によると、電気化学ポンプは水素分離効率が高く、燃料電池システムのエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0018】
本開示の第4の態様に係る電気化学ポンプは、前記第1電解質膜は、BaZr1-x1M1x13-δを含む。上記構成によると、電気化学ポンプは水素分離効率が高く、燃料電池システムのエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0019】
本開示の第5の態様に係る電気化学ポンプは、前記第1電解質膜において、M1は少なくともYbを含む。上記構成によると、電気化学ポンプは水素分離効率が高く、燃料電池システムのエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0020】
本開示の第6の態様に係る電気化学ポンプは、少なくとも一部が400℃以上で動作する。第1電解質膜のプロトン伝導度が良好な状態で電気化学ポンプを作動させることができる。
【0021】
本開示の第7の態様に係る電気化学ポンプは、燃焼器、燃料電池又は改質器とともに、断熱部材が形成する断熱空間に収容されている。上記構成によると、電気化学ポンプを、燃焼器、燃料電池又は改質器とともに断熱することにより、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。
【0022】
本開示の第8の態様に係る燃料電池システムは、上述の電気化学ポンプと、第2アノード、第2カソード、及び、固体酸化物系電解質を含む第2電解質膜を有し、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電させる固体酸化物形燃料電池と、前記第2アノードに接続され、前記第2アノードに前記燃料ガスを供給するアノード供給経路と、前記第2アノードと前記第1アノードとに接続され、前記第2アノードから排出され且つ前記水素を含有する第2アノードオフガスを前記第1アノードに供給する第2アノード排出経路と、前記第1カソードと前記アノード供給経路とに接続され、前記電気化学ポンプにより分離された前記水素を含有し且つ前記第1カソードから排出された第1カソードオフガスを前記アノード供給経路へ戻すリサイクルガス経路と、前記電気化学ポンプに接続され、前記電気化学ポンプに送電する電源と、を備える。
【0023】
上記構成によると、電気化学ポンプからリサイクルガス経路及びアノード供給経路を介して固体酸化物形燃料電池に第1カソードオフガスを燃料ガスとして戻すことにより、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図ることができる。また、第1電解質膜がプロトン伝導性を有する酸化物を含むことにより、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池は作動温度帯が互いに近い。このため、固体酸化物形燃料電池から電気化学ポンプに供給される第2アノードオフガスの降温、及び、電気化学ポンプから固体酸化物形燃料電池に戻される第2カソードオフガスの昇温による熱損失を低減することができる。また、固体酸化物形燃料電池と電気化学ポンプとの間の熱交換器の数を減らせ、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
【0024】
本開示の第9の態様に係る燃料電池システムは、前記電気化学ポンプの少なくとも一部は400℃以上で動作する。上記構成によると、第1電解質膜のプロトン伝導度が良好な状態で電気化学ポンプを作動させることができ、燃料電池システムの燃料利用率の向上を図ることができる。
【0025】
本開示の第10の態様に係る燃料電池システムは、前記固体酸化物形燃料電池の温度T1と前記電気化学ポンプの温度T2との温度差が、T1が600以上800℃以下で前記固体酸化物形燃料電池が動作する場合には200℃以下、T1が800℃以上1000℃以下で前記電気化学ポンプが動作する場合は400℃以下である。上記構成によると、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池は、互いに好適な温度で作動することができる。
【0026】
本開示の第11の態様に係る燃料電池システムは、前記固体酸化物形燃料電池の温度T1は、前記電気化学ポンプの温度T2よりも高い。上記構成によると、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池は、互いに好適な温度で作動することができる。
【0027】
本開示の第12の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様において、前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器をさらに備える。上記構成によると、燃料を改質した燃料ガスを固体酸化物形燃料電池に供給することにより、カーボン析出などによる固体酸化物形燃料電池の劣化を低減することができる。
【0028】
本開示の第13の態様に係る燃料電池システムは、前記固体酸化物形燃料電池及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材をさらに備え、前記固体酸化物形燃料電池と前記電気化学ポンプは同じ断熱空間に収容されている。上記構成によると、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池を断熱することにより、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。また、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池を一体的に断熱するため、断熱部材が共通化でき、断熱部材によるコスト上昇を抑制することができると共に、燃料電池システムの大型化を抑制することができる。
【0029】
本開示の第14の態様に係る燃料電池システムは、前記電気化学ポンプと前記改質器を断熱空間に収容した断熱部材をさらに備え、前記電気化学ポンプと前記改質器は同じ断熱空間に収容されている。上記構成によると、電気化学ポンプ及び改質器を断熱することにより、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。また、電気化学ポンプ及び改質器を一体的に断熱するため、断熱部材が共通化でき、断熱部材によるコスト上昇を抑制することができると共に、燃料電池システムの大型化を抑制することができる。
【0030】
本開示の第15の態様に係る燃料電池システムは、前記固体酸化物形燃料電池及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材をさらに備え、前記断熱空間は、前記固体酸化物形燃料電池を収容した第1断熱空間、及び、前記第1断熱空間から断熱され且つ前記電気化学ポンプを収容した第2断熱空間を有している。上記構成によると、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池は、燃料電池システムの熱損失を低減しながら、互いに好適な温度で作動することができる。
【0031】
本開示の第16の態様に係る燃料電池システムは、前記改質器及び前記電気化学ポンプを断熱空間に収容した断熱部材をさらに備え、前記断熱空間は、前記改質器を収容した第1断熱空間、及び、前記第1断熱空間から断熱され且つ前記電気化学ポンプを収容した第2断熱空間を有している。上記構成によると、電気化学ポンプ及び改質器は、燃料電池システムの熱損失を低減しながら、互いに好適な温度で作動することができる。
【0032】
本開示の第17の態様に係る燃料電池システムは、上記した第3又は第4の態様において、前記断熱部材は、前記リサイクルガス経路を前記断熱空間に収容している。上記構成によると、電気化学ポンプからリサイクルガス経路を通り固体酸化物形燃料電池に戻るガスの循環経路においてガスの温度低下を抑制し、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。
【0033】
本開示の第18の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1~第6のいずれか一つの態様において、前記第1アノードに接続され、前記第1アノードから排出された第1アノードオフガスが流れる第1アノード排出経路と、前記第1アノード排出経路に設けられ、前記第1アノードオフガスを燃焼する燃焼器と、をさらに備えている。上記構成によると、例えば、第1アノードオフガスに一酸化炭素が含まれている場合、一酸化炭素を燃焼して排出することができる。また、燃焼熱により構成物(例えば、改質器、リサイクルガス経路)を加熱することにより、燃料電池システムの熱損失の低減を図ることができる。
【0034】
本開示の第19の態様に係る燃料電池システムは、上記した第7の態様において、前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器と、前記第1アノードから排出された前記第1アノードオフガスと、前記改質器に供給される前記燃料ガスとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、をさらに備えている。上記構成によると、第1アノードオフガスにより燃料ガスを加熱することにより、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。
【0035】
本開示の第20の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1~第8のいずれか一つの態様において、前記第2カソードに接続され、前記酸化剤ガスを前記第2カソードへ供給するカソード供給経路と、前記第2カソードに接続され、前記第2カソードから排出された第2カソードオフガスが流れるカソード排出経路と、前記第2カソードに供給される前記酸化剤ガスと、前記第2カソードから排出された前記第2カソードオフガスとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、を備えている。上記構成によると、第2カソードオフガスにより酸化剤ガスを加熱することにより、燃料電池システムの熱損失を低減することができる。
【0036】
本開示の第21の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1~第9のいずれか一つの態様において、前記アノード供給経路上に設けられ、燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器をさらに備え、前記リサイクルガス経路は、前記改質器と前記第2アノードとの間の前記アノード供給経路に接続されている。上記構成によると、第1カソードオフガスはリサイクルガス経路からアノード供給経路に流入し燃料ガスとして第2アノードに供給され、燃料利用率の向上を図ることができる。
【0037】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付してその説明については省略する場合がある。
【0038】
[第1実施形態]
<燃料電池システムの構成>
本開示の第1実施形態に係る燃料電池システム10は、図1に示すように、固体酸化物形燃料電池(SOFC30)、電気化学ポンプ40、温度測定器30a、40aを備える。電気化学ポンプ40は、複数のセルが積層されたスタックを有している。電気化学ポンプ40のセルは、第1アノード41、第1カソード42及び第1電解質膜43を有している。SOFC30は燃料電池スタックを有している。燃料電池スタックは複数のセルを有し、これらのセルが電気的に直列に接続されるように積層されている。燃料電池スタックのセルは、第2アノード31、第2カソード32及び第2電解質膜33を有している。なお、図1では、1つのセルを示している。以下、各構成について詳述する。
【0039】
SOFC30は、第2アノード31における下記化学式(1)及び第2カソード32における下記化学式(2)に基づいて、燃料ガスと酸化剤ガスとを化学反応させて発電させる。また、下記全体式(3)の通り、発電の化学反応によって水が生成する。
【0040】
第2アノード:2H+2O2-→2HO+4e (1)
第2カソード:O+4e→2O2- (2)
全体式:2H+O→2HO (3)
【0041】
第2アノード31は、第2アノード触媒層31a及び第2アノード流路31bを有している。第2アノード31は、第2アノード触媒層31aと第2アノード流路31bとの間に第2アノード拡散層を有していてもよい。この場合、第2アノード触媒層31aと第2アノード拡散層とは一体的に形成されていてもよい。第2アノード流路31bは、供給口及び排出口を有している。
【0042】
第2アノード触媒層31aは、第2電解質膜33の一方面上に配置されており、水素の電気化学的な酸化反応を促進するための触媒を含んでいる。この触媒として、Niなどの金属を用いることができる。第2アノード触媒層31aは、サーメットで構成されていてもよい。サーメットとは、金属とセラミックス材料との混合物である。サーメットとしては、Niと安定化ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア:YSZ)との混合物、Niとセリア系酸化物との混合物などが挙げられる。第2アノード触媒層31aがサーメットで構成されていると、水素を酸化させるための反応活性点が増え、酸化反応が促進される。また、水素の酸化により発生した水の拡散を促進するため、第2アノード触媒層31aは多孔体により形成されていてもよい。
【0043】
第2カソード32は、第2カソード触媒層32a及び第2カソード流路32bを有している。第2カソード32は、第2カソード触媒層32aと第2カソード流路32bとの間に第2カソード拡散層を有していてもよい。この場合、第2カソード触媒層32aと第2カソード拡散層とは一体的に形成されていてもよい。第2カソード流路32bは、供給口及び排出口を有している。
【0044】
第2カソード触媒層32aは、第2電解質膜33の他方面上に配置されており、酸素の電気化学的な還元反応を促進するための触媒を含んでいる。この触媒として、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む酸化物が挙げられる。触媒の具体例としては、ランタンストロンチウムコバルト鉄複合酸化物(LSCF)、ランタンストロンチウムコバルト複合酸化物(LSC)、ランタンストロンチウム鉄複合酸化物(LSF)、ランタンストロンチウムマンガン複合酸化物(LSM)、バリウムストロンチウムコバルト鉄複合酸化物(BSCF)、サマリウムストロンチウムコバルト複合酸化物(SSC)、ランタンニッケル鉄複合酸化物、ランタンニッケル複合酸化物、バリウムガドリニウムランタンコバルト複合酸化物などが挙げられる。また、触媒は、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む酸化物と、他の酸化物又は金属との複合体であってもよい。酸素の還元により生成した酸化物イオン(O2-)の拡散を促進するため、第2カソード32は多孔体により形成されていてもよい。
【0045】
第2電解質膜33は、第2アノード31と第2カソード32との間に挟まれている。第2電解質膜33は、固体酸化物系電解質を含んでいる。例えば、第2電解質膜33は、酸化物イオン伝導性の固体電解質により形成されており、安定化ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア:YSZ)、ランタンガレート系酸化物及びセリア系酸化物などの酸化物イオン伝導体が用いられる。第2電解質膜33は、例えば、その測定密度が理論密度の95%以上である緻密体により形成されていてもよい。
【0046】
SOFC30は、第2電解質膜33が酸化物イオン伝導を示す温度、例えば、600℃以上且つ1000℃以下、好ましくは700℃以上且つ1000℃以下で運転される。SOFC30の温度は、例えば温度測定器30aにより測定される。温度測定器30aは、例えば熱電対であり、第2電解質膜33に接する態様、第2電解質膜33の近傍の温度を測定する態様で設けられていてもよい。温度測定器30aはその他の公知の温度測定器であってもよく、スタックまたはセルの温度を測定する公知の態様で設置されていてもよい。
【0047】
電気化学ポンプ40は、第1アノード41における下記化学式(4)及び第1カソード42における下記化学式(5)に基づいて、水素を含有する水素含有ガスから水素を分離させる。
【0048】
第1アノード:H→2H+2e (4)
第1カソード:2H+2e→H (5)
【0049】
第1アノード41は、第1アノード触媒層41a及び第1アノード流路41bを有している。第1アノード41は、第1アノード触媒層41aと第1アノード流路41bとの間に第1アノード拡散層を有していてもよい。この場合、第1アノード触媒層41aと第1アノード拡散層とは一体的に形成されていてもよい。第1アノード流路41bは、供給口及び排出口を有している。
【0050】
第1アノード触媒層41aは、第1電解質膜43の一方面上に配置されており、水素の電気化学的な酸化反応を促進するための触媒を含んでいる。この触媒として、例えば、Niなどの金属を有している。第1アノード触媒層41aは、サーメットで構成されていてもよい。サーメットとしては、Niとプロトン伝導性酸化物との混合物であり、例えば、NiとBaZr1-x1Ybx13-δとの混合物などが挙げられる。第1アノード触媒層41aがサーメットで構成されていると、水素を酸化させるための反応活性点が多く設けられ、水素の酸化反応が速やかに行われる。水素及び水蒸気の拡散を促進するために、第1アノード触媒層41aは多孔体により形成されていてもよい。
【0051】
第1カソード42は、第1カソード触媒層42a及び第1カソード流路42bを有している。第1カソード42は、第1カソード触媒層42aと第1カソード流路42bとの間に第1カソード拡散層を有していてもよい。この場合、第1カソード触媒層42aと第1カソード拡散層とは一体的に形成されていてもよい。第1カソード流路42bは、排出口を有している。
【0052】
第1カソード触媒層42aは、第1電解質膜43の他方面上に配置されており、プロトン(H)の電気化学的な還元反応を促進するための触媒を含んでいる。触媒としてNiなどの金属を用いることができる。第1カソード触媒層42aは、サーメットで構成されていてもよい。サーメットとしては、Niとプロトン伝導性酸化物との混合物、例えば、NiとBaZr1-x1Ybx13-δとの混合物などが挙げられる。第1カソード触媒層42aがサーメットで構成されていると、プロトンを還元するための反応活性点が多く設けられ、プロトンの還元反応が速やかに行われる。プロトンの還元反応により形成された水素の拡散を促進するために、第1カソード42は多孔体により形成されていてもよい。
【0053】
第1電解質膜43は、プロトン伝導性を有する酸化物を含む。この酸化物は、例えば、プロトン伝導セラミックが挙げられ、前記第1電解質膜は、A1Zr1-x1M1x13-δ、A2Ce1-x2M2x23-δ及びA3Zr1-x3-y3Cex3M3y33-δからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、A1,A2,A3は、それぞれBa,Sr,Caからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、M1、M2及びM3は、それぞれ、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、In及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含み、x1が0<x1<1を満たし、x2が0<x2<1を満たし、x3が0<x3<1を満たし、y3が0<y3<1を満たしてもよい。また、A1Zr1-x1M1x13-δ、A2Ce1-x2M2x23-δ及びA3Zr1-x3-y3Cex3M3y33-δは、x3+y3<1、0<δ<0.5を満たしてもよい。また、第1電解質膜において、A1、A2,A3はBaを含んでもよい。
【0054】
なお、δの値は、x1の値及び第1電解質膜43の環境(例えば、温度、酸素分圧、水蒸気分圧)に応じて変化する。また、第1電解質膜43は、例えば、その測定密度が理論密度の95%以上である緻密体により形成されていてもよい。
【0055】
第1電解質膜43は、例えば、400℃以上の温度帯において、所定値(例えば、1.0×10-3S/cm)以上のプロトン伝導度を有する。具体例として、BaZr0.80.23-αを主成分として含む第1電解質膜43は、600℃以上の温度帯において、1.0×10-2 S/cm以上のプロトン伝導度を示す。電気化学ポンプ40は、第1電解質膜43が所定値以上のプロトン伝導度を示す温度、例えば、400℃以上且つ800℃以下、好ましくは600℃以上且つ800℃以下で運転される。
【0056】
また、第1電解質膜は、BaZr1-x1M1x13-δからなってもよい。BaZr1-x1M1x13-δ、BaCe1-x2M2x23-δ及びBaZr1-x3-y3Cex3M3y33-δは、高温帯(例えば、600℃以上)にてプロトン伝導性に加えて、酸化物イオン伝導性を有する。このうち、BaZr1-x1M1x13-δで表される複合酸化物は、高温帯においても高いプロトン輸率を発揮する。このため、BaZr1-x1M1x13-δで形成された第1電解質膜43を含む電気化学ポンプ40は、高効率で水素を分離することができる。なお、プロトン輸率は、酸素欠陥に由来する正孔伝導を含まない。
【0057】
さらに、第1電解質膜において、M1は少なくともYbを含んでもよい。第1電解質膜43は、BaZr1-x1M1x13-δのうち、BaZr1-x1Ybx13-δにより形成されていてもよい。このBaZr1-x1Ybx13-δは、BaZr1-x1M1x13-δの中でも高いプロトン伝導性を発揮することができる。これにより、電気化学ポンプ40は、高いプロトン輸率を有する高効率で水素を分離することができる。
【0058】
図2は、BaZr0.8Yb0.23-δの温度及びプロトン伝導度の関係を示すグラフである。図2の横軸は温度、及び1000/T(温度)の値を示し、縦軸はプロトン伝導度を示している。図2に示すように、BaZr0.8Yb0.23-δのプロトン伝導度は、400℃以上では破線aに沿って推移しており、400℃未満では破線bに沿って推移している。
【0059】
BaZr0.8Yb0.23-δの温度は、例えば、サンプル近傍の温度を熱電対で測定した値である。BaZr0.8Yb0.23-δのプロトン伝導度は、例えば、BaZr0.8Yb0.23-δの粉末から作製される評価用ペレットの抵抗および評価用ペレットの厚みから算出される。評価用ペレットの抵抗は、交流インピーダンス法に基づき測定されてもよい。評価用ペレットは、例えば、BaZr0.8Yb0.23-δの粉末をプレス、焼成した後の焼結体ペレットを、厚さ約500μmのディスク状に切断し、3μm砥粒のラッピングフィルムシートなどで両面を研磨することで作製される。また、研磨後の評価用ペレットの両面には、交流インピーダンス測定のための集電極が形成されてもよい。集電極としては、例えば、スクリーン印刷法により、Agペーストを塗布し、これを焼成することで得ることができる。
【0060】
プロトン伝導度の求め方は、例えば、以下の手法がある。ソーラートロン1287(Solartron Analytical製)を用いて、10mVの振幅で、1MHzから0.01Hzの周波数の範囲において、評価用ペレットに交流信号を印加する。この測定は、加湿水素雰囲気下、適宜測定を希望する温度で実施される。出力されるコールコールプロットの円弧をもとにして、円弧と実数軸との交点を求める。実数軸とは、コールコールプロットのグラフにおけるY軸の値が0となる軸である。求められた交点のうち、高周波側の交点を評価用ペレットの抵抗とする。求められた抵抗および評価用ペレットの厚みに基づき、サンプルのプロトン伝導度が算出される。
【0061】
BaZr0.8Yb0.23-δは400℃以上であればプロトン伝導度が良好である。なお、BaZr0.8Yb0.23-δ以外の上記のA1Zr1-x1M1x13-δ、A2Ce1-x2M2x23-δ及びA3Zr1-x3-y3Cex3M3y33-δで表される物質においても同様の傾向がある。
【0062】
電気化学ポンプ40の少なくとも一部又は全体は400℃以上で動作してもよい。これにより、電気化学ポンプ40は、第1電解質膜43のプロトン伝導度が良好な状態で作動させることができる。電気化学ポンプ40の少なくとも一部又は全体は、500℃以上、600℃以上で動作してもよい。電気化学ポンプ40の少なくとも一部又は全体は、900℃以下、800℃以下で動作してもよい。ここで、少なくとも一部とは、電気化学ポンプ40の構成の一部であり、例えば第1電解質膜43の一部であってもよい。電気化学ポンプ40の温度は、温度測定器40aにより測定される。温度測定器40aは、例えば熱電対であり、第1電解質膜43に接する態様、第1電解質膜43の近傍の温度を測定する態様で設けられていてもよい。温度測定器40aは公知の温度測定器でよく、スタック又はセルの温度を測定する公知の態様で設置されていてもよい。
【0063】
燃料電池システム10は、さらに、アノード供給経路11、第1アノード第2アノード排出経路12、リサイクルガス経路13、電源14、第2アノード第1アノード排出経路15、カソード供給経路16及びカソード排出経路17を備えている。アノード供給経路11は、第2アノード31の供給口と燃料ガスの供給源とに接続され、第2アノード31に燃料ガスを供給する。燃料ガスは、水素を含有する水素含有ガスなどである。この供給源には、水素を貯留する水素タンク、水電解装置などの水素製造装置、並びに、水素タンク及び水素製造装置を有する水素ステーション及び水素インフラストラクチャーなどが挙げられる。
【0064】
第2アノード排出経路12は、第2アノード31の排出口と第1アノード41の供給口とに接続され、第2アノード31から排出された第2アノードオフガスを第1アノード41に供給する。第2アノードオフガスは、SOFC30における化学反応で生成した水、及び、この化学反応に用いられずに残った燃料ガスを有している。燃料ガスは水素を含有するため、燃料ガスを含む第2アノードオフガスは水素を含んでいる。例えば、SOFC30の燃料利用率が80%である場合、燃料ガスに含まれた水素のうち20%の水素がSOFC30の化学反応で消費されずに第2アノードオフガスに含まれる。
【0065】
リサイクルガス経路13は、第1カソード42の排出口とアノード供給経路11とに接続されている。リサイクルガス経路13は、第1カソード42から排出された第1カソードオフガスをアノード供給経路11へ戻す。第1カソードオフガスには、電気化学ポンプ40により第2アノードオフガスから分離された水素が含まれている。
【0066】
カソード供給経路16は、第2カソード32の供給口と酸化剤ガスの供給源とに接続され、第2カソード32に酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガスは、酸素を含有するガスであって、例えば、空気、及び、酸素含有の合成ガスが用いられる。酸化剤ガスに空気を用いる場合、酸化剤ガスの供給源には、空気を送るブロワ、及び、空気を燃料電池システム10内に吸入する吸入装置などが用いられる。
【0067】
第1アノード排出経路15は、第1アノード41の排出口に接続されており、例えば、燃料電池システム10の外部に連通している。第1アノード排出経路15により、第1アノード41から排出された第1アノードオフガスは燃料電池システム10の外に放出され、大気開放される。第1アノードオフガスは、第2アノードオフガスから電気化学ポンプ40によって水素が分離されて残ったガスである。
【0068】
カソード排出経路17は、第2カソード32の排出口に接続されており、例えば、燃料電池システム10の外部に連通している。カソード排出経路17により、第2カソード32から排出された第2カソードオフガスが燃料電池システム10の外に放出され、大気開放される。第2カソードオフガスは、SOFC30における化学反応に用いられずに残った酸化剤ガスを含んでいる。
【0069】
電源14は、バッテリなどであって、電気化学ポンプ40の第1アノード41及び第1カソード42に接続されており、電気化学ポンプ40に送電する。これにより、電気化学ポンプ40は、電源14からの電力によって駆動する。なお、電気化学ポンプ40は、外部電源に接続される端子を有し、端子に接続された外部電源から電流が印加されてもよい。
【0070】
<燃料電池システムの作動>
燃料電池システム10では、SOFC30は、その発電効率が高い温度、例えば、600℃以上且つ1000℃以下、好ましくは700℃以上且つ1000℃以下に保たれている。このSOFC30には、燃料ガスがアノード供給経路11を通じて第2アノード31に供給され、また、酸化剤ガスがカソード供給経路16を通じて第2カソード32に供給されている。
【0071】
これにより、第2カソード32では、第2カソード流路32bから第2カソード触媒層32aに酸化剤ガスが供給される。第2カソード触媒層32aにおいて上記化学式(2)のように、酸化剤ガスの酸素が還元されて、酸化物イオンが生じる。酸化物イオンが第2電解質膜33を第2カソード32から第2アノード31に伝導する。
【0072】
第2アノード31では、第2アノード流路31bから第2アノード触媒層31aに燃料ガスが供給される。第2アノード触媒層31aにおいて上記化学式(1)のように、燃料ガスの水素が酸化物イオンにより酸化されて、水及び電子が生成する。電子は外部回路を流れて発電する。
【0073】
そして、第2アノードオフガスがSOFC30の第2アノード31から第2アノード排出経路12を通じて電気化学ポンプ40の第1アノード41に供給される。この電気化学ポンプ40は、その水素分離効率が高い温度、例えば、400℃以上且つ800℃以下、好ましくは600℃以上且つ800℃以下に保たれている。また、電気化学ポンプ40に電源14から電流が印加されている。
【0074】
ここで、SOFC30の温度T1は、電気化学ポンプ40の温度T2よりも高くてもよい。また、SOFC30の温度T1と電気化学ポンプ40の温度T2との温度差が、T1が600℃以上800℃である場合には200℃以下、T1が800℃以上1000℃である場合は400℃以下であってもよい。上記構成によると、電気化学ポンプ及び固体酸化物形燃料電池は、互いに好適な温度で作動することができる。SOFC30の温度T1は、上述のように温度測定器30aにより測定され、電気化学ポンプ40の温度T2は上述のように温度測定器40aにより測定される。
【0075】
電気化学ポンプ40では、第1アノード41において第1アノード流路41bから第1アノード触媒層41aに第2アノードオフガスが供給される。第1アノード触媒層41aにおいて上記化学式(4)のように、第2アノードオフガスの水素が酸化されて、プロトン及び電子が生じる。プロトンが第1電解質膜43を第1アノード41から第1カソード42に伝導する。
【0076】
第1カソード42では、第1カソード触媒層42aにおいて上記化学式(5)のように、プロトンが電子を得て還元されて、水素が生成し、第1カソード流路42bへ流れる。このように第2アノードオフガスから分離された水素は、第1カソードオフガスとして第1カソード42の第1カソード流路42bから排出されて、リサイクルガス経路13を通りアノード供給経路11へ戻る。そして、第1カソードオフガスは、アノード供給経路11を流れる燃料ガスと合流し、燃料ガスとしてSOFC30の第2アノード31に供給され、SOFC30の発電に用いられる。
【0077】
このように、燃料電池システム10では、SOFC30の発電で消費されなかった水素を電気化学ポンプ40により第2アノードオフガスから分離して、リサイクルガス経路13及びアノード供給経路11を介してSOFC30に戻している。これにより、SOFC30の燃料利用率(SOFC30に供給された燃料ガスに対する発電に利用される水素の割合)を向上することができる。SOFC30の発電効率は、電圧効率と燃料利用率との積で決定されるため、この燃料利用率の向上に伴い発電効率を向上することができる。
【0078】
また、燃料電池システム10では、プロトン伝導性を有する酸化物を含む第1電解質膜43を電気化学ポンプ40に用いている。これにより、電気化学ポンプ40の水素分離効率及びSOFC30の発電効率の低下を抑制しながら、電気化学ポンプ40の作動温度帯とSOFC30の作動温度帯とを互いに同じ又は近づけることができる。よって、SOFC30から電気化学ポンプ40に第2アノードオフガスを供給する際、及び、電気化学ポンプ40からSOFC30に第1カソードオフガスを戻す際における熱損失を低減することができる。
【0079】
さらに、電気化学ポンプ40及びSOFC30は、互いに同じ又は近い温度帯に作動することができる。このため、SOFC30から電気化学ポンプ40に第2アノードオフガスを供給する際に第2アノードオフガスの温度降下、及び、電気化学ポンプ40からSOFC30に第1カソードオフガスを戻す際の第1カソードオフガスの温度上昇が小さい。よって、電気化学ポンプ40とSOFC30との間における熱交換器の数を低減し、燃料電池システム10の小型化を図ることができる。
【0080】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る燃料電池システム10は、図3に示すように、第1実施形態に係る燃料電池システム10において、アノード供給経路11上に設けられ、燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器18をさらに備えている。
【0081】
アノード供給経路11は、第2アノード31の供給口と燃料の供給源とに接続されている。燃料は、メタン及びプロパンなどの炭化水素ガス、並びに、炭化水素ガスを含む天然ガス及びLPガスなどがある。燃料の供給源には、燃料を貯留する燃料ボンベ、及び、燃料インフラストラクチャーなどが挙げられる。
【0082】
改質器18は、アノード供給経路11とリサイクルガス経路13との接続点よりも上流のアノード供給経路11に配置されている。改質器18は、アノード供給経路11を通じて供給された燃料を、燃料ガスに改質する。この改質には、水蒸気改質法及び酸化改質法などが用いられる。水蒸気改質法では、燃料電池システム10は、加湿器19をさらに備えていてもよい。加湿器19は、改質器18よりも上流のアノード供給経路11に設けられている。
【0083】
加湿器19は、例えば、高分子膜及びスポンジなどの多孔質体、並びに、エンタルピーホイールを有している。加湿器19には、水(加湿水)が供給される。加湿水は、例えば、燃料電池システム10の外部から供給されてもよい。また、燃料電池システム10が燃焼器を有している場合には、燃焼器にて第1アノードオフガスを燃焼し、この燃焼後の燃焼オフガスから水蒸気を凝縮させて、この凝縮水を加湿器19として用いてもよい。
【0084】
加湿器19は、加湿水を水蒸気としてアノード供給経路11に供給し、アノード供給経路11を流れる燃料を加湿する。加湿された燃料は、例えば、露点温度80℃以上且つ90℃以下の水蒸気量を有し、改質器18に供給される。この改質器18に供給される単位時間当たりの水蒸気の分子数Sと、改質器18に供給される単位時間当たりの燃料の炭素原子数Cとする。Cに対するSの比(スチームカーボン比)は、例えば、1.5以上且つ3.5以下であり、好ましくは2.0以上且つ3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以上且つ2.5以下である。このようなスチームカーボン比S/Cにおいて、燃料が効率よく水蒸気改質される。
【0085】
また、水蒸気改質法では、改質器18は改質触媒を有している。改質触媒は、水蒸気改質反応の触媒であれば特に限定されない。例えば、改質触媒として、Ni,Rh,Ru,Ir,Pd,Pt,Re,Co,Fe及びMoの少なくとも一つを触媒金属として含む水蒸気改質用触媒が挙げられる。
【0086】
改質器18では、改質触媒の存在下において燃料を水蒸気と反応させて、水素及び一酸化炭素を生成する。例えば、C(n,mの値はともに正の実数)の燃料は、下記反応式(6)に示すように水蒸気改質反応する。また、メタン(CH)の燃料は、下記反応式(7)に示すように水蒸気改質反応する。
【0087】
+nHO→nCO+[(m/2)+n]H (6)
CH+HO→CO+3H (7)
【0088】
そして、リサイクルガス経路13は、改質器18と第2アノード31との間のアノード供給経路11に接続されている。よって、改質器18により生成されたガスは、リサイクルガス経路13から戻された第1カソードオフガスとアノード供給経路11にて合流し、これらのガスは燃料ガスとしてSOFC30の第2アノード31に供給される。SOFC30では、燃料ガスと酸化剤ガスとが化学反応して、発電される。
【0089】
この改質器18により生成されたガスは、一酸化炭素を含んでいる。この一酸化炭素は、高温で作動するSOFC30において燃料ガスとして用いられる。このため、SOFC30は、一酸化炭素による触媒の被毒を抑えながら、発電効率の向上を図ることができる。
【0090】
また、電気化学ポンプ40も、SOFC30と同じ高温の温度帯で作動するため、一酸化炭素による触媒の被毒を抑えながら、一酸化炭素を含む第2アノードオフガスから水素を分離することができる。よって、燃料電池システム10は、改質器18により改質されたガスから一酸化炭素を除去するシフト反応器を用いなくてもよく、シフト反応器による燃料電池システム10の大型化を抑制することができる。
【0091】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る燃料電池システム10は、図4に示すように、第1又は第2実施形態に係る燃料電池システム10において、SOFC30及び電気化学ポンプ40を断熱空間51に収容した断熱部材50をさらに備えている。断熱部材50は、内部に断熱空間51を有し、断熱空間51を外部から断熱している。断熱部材50は、SOFC30及び電気化学ポンプ40に接するようにこれらを被覆していてもよいし、SOFC30及び電気化学ポンプ40との間に間隔を空けてこれらの周囲を取り囲んでいてもよい。
【0092】
断熱部材50の種類は、特に限定されず、断熱性を有する材料(断熱材)を用いることができる。この断熱材としては、マイクロポーラス断熱材(マイクロサーム)、グラスウール、スーパーウール、ロックウール、セラミックファイバー、ミネラルウール、ケイ酸カルシウム及び硬質ウレタンフォームなどが挙げられる。また、断熱材として、フュームドシリカを主成分とし、これに無機繊維状物質及び赤外線遮断材が配合された耐熱性及び断熱性を有する材料であってもよい。さらに、断熱部材50は、真空断熱材を有していてもよい。真空断熱材は外被材及び芯材を有し、外被材はその内部に芯材が収容されており減圧されて封止されている。特に、SOFCの好適な動作温度である700-1000℃での耐熱性と高い断熱性を有するマイクロポーラス断熱材などが好適である。外装材は、例えば、金属箔と樹脂フィルムとが積層された金属ラミネートフィルムである。芯材は、例えば、グラスウールなどの多孔質構造材である。
【0093】
リサイクルガス経路13の一部が断熱空間51に配置され、残りが断熱空間51の外に配置されている。なお、リサイクルガス経路13の全体が断熱空間51の外に配置されていてもよい。また、燃料電池システム10が改質器18を備える場合には、改質器18は断熱空間51の外に配置されている。さらに、断熱部材50は、例えば、直方体形状を有する断熱筐体を構成してもよい。断熱部材50は、金属板などの支持材によって覆われていてもよい。
【0094】
このように、SOFC30及び電気化学ポンプ40は、互いの間が断熱されておらず、互いに同じ断熱空間51に配置されている。この断熱空間51は、SOFC30及び電気化学ポンプ40に共通する作動温度帯、例えば、600℃以上且つ800℃以下、好ましくは700℃以上且つ800℃以下の温度に保たれている。このため、SOFC30及び電気化学ポンプ40を高温の作動温度帯に維持する熱を有効に利用することができる。また、断熱部材50はSOFC30及び電気化学ポンプ40を一体的に断熱するため、SOFC30及び電気化学ポンプ40により断熱部材50が共通化でき、断熱部材50によるコスト上昇を抑制することができると共に、燃料電池システム10の大型化を抑制することができる。
【0095】
<変形例1>
第3実施形態の変形例1に係る燃料電池システム10では、図5に示すように、断熱空間51は、SOFC30を収容した第1断熱空間51a、及び、電気化学ポンプ40を収容し且つ第1断熱空間51aから断熱された第2断熱空間51bを有している。
【0096】
すなわち、図4では、SOFC30を収容した第1断熱空間51aと、電気化学ポンプ40を収容した第2断熱空間51bとは、共通しており、断熱部材50において一体的に形成されていた。これに対し、図5では、断熱部材50において、第1断熱空間51aと第2断熱空間51bとは、それぞれ別個に設けられており、互いに独立し、これらの間は断熱されている。このため、第1断熱空間51aは、SOFC30に好適な作動温度帯に保たれ、第2断熱空間51bは、電気化学ポンプ40に好適な作動温度帯に保たれる。これにより、SOFC30の発電効率、及び、電気化学ポンプ40の水素分離効率の向上を図ることができる。
【0097】
断熱部材50は、第1断熱空間51aを形成する第1断熱部材50a、及び、第2断熱空間51bを形成する第2断熱部材50bを備えている。第1断熱部材50aはSOFC30を断熱し、第2断熱部材50bは電気化学ポンプ40を断熱する。第1断熱部材50aと第2断熱部材50bとはそれぞれ別個に形成されていてもよい。この場合、SOFC30と電気化学ポンプ40との配置の自由度が高められる。一方、第1断熱部材50aと第2断熱部材50bとは一体的に形成され、断熱部材50は第1断熱空間51aと第2断熱空間51bとを隔離する断熱壁を有していてもよい。この場合、断熱部材50によるコスト上昇及び大型化を抑制することができる。
【0098】
<変形例2>
第3実施形態の変形例2に係る燃料電池システム10では、図6に示すように、断熱部材50は、リサイクルガス経路13を断熱空間51に収容している。SOFC30、電気化学ポンプ40及びリサイクルガス経路13は、それぞれの断熱空間51が共通し、互いに同じ1つの断熱空間51に配置されている。断熱部材50は、SOFC30、電気化学ポンプ40及び、リサイクルガス経路13の全体を一体的に覆っている。
【0099】
このように、SOFC30、電気化学ポンプ40及びリサイクルガス経路13は互いに同一の断熱部材50で覆われているため、断熱部材50によるコスト上昇及び大型化を抑制することができる。また、SOFC30、電気化学ポンプ40及びリサイクルガス経路13を循環するガスの温度低下が断熱部材50により抑制されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。さらに、SOFC30及び電気化学ポンプ40における発熱反応の熱をリサイクルガス経路13の加熱に用い、燃料電池システム10の熱損失の低減を図ることができる。
【0100】
なお、燃料電池システム10は、コンピュータなどの制御装置、及び、アノードガス供給路に調整弁をさらに備えていてもよい。この場合、制御装置に記憶されているプログラム、及び、オペレータによる制御装置の操作によって、燃料電池システム10の熱収支を保つように燃料ガスの供給量を調整弁によって制御してもよい。
【0101】
また、変形例1のように、断熱空間51は、SOFC30を収容した第1断熱空間51a、及び、電気化学ポンプ40を収容した第2断熱空間51bを有していてもよい。この場合、リサイクルガス経路13は、第1断熱空間51a、第2断熱空間51b、及び、第1断熱空間51a及び第2断熱空間51b以外の第3断熱空間のいずれかに収容されていてもよい。このため、断熱部材50は、第1断熱部材50a、第2断熱部材50b、及び、第3断熱空間を形成する第3断熱部材を備えていてもよい。
【0102】
<変形例3>
第3実施形態の変形例3に係る燃料電池システム10では、図7に示すように、アノード供給経路11上に設けられ、燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器18をさらに備えている。断熱部材50は、改質器18を断熱空間51に収容している。
【0103】
具体的には、断熱部材50は、SOFC30、電気化学ポンプ40及び改質器18を一体的に覆っている。SOFC30、電気化学ポンプ40及び改質器18は、それぞれの断熱空間51が共通し、互いに同じ1つの断熱空間51に配置されている。
【0104】
このように、SOFC30、電気化学ポンプ40及び改質器18は互いに同一の断熱部材50で覆われているため、断熱部材50によるコスト上昇及び大型化を抑制することができる。また、SOFC30及び電気化学ポンプ40における発熱反応の熱を改質器18の加熱に用い、燃料電池システム10の熱損失の低減を図ることができる。
【0105】
さらに、断熱部材50は、SOFC30、電気化学ポンプ40、リサイクルガス経路13及び改質器18を一体的に覆っていてもよい。このように、断熱部材50を共通化することにより、断熱部材50のコスト上昇及び大型化を抑制することができる。また、SOFC30、電気化学ポンプ40、リサイクルガス経路13及び改質器18は、それぞれの断熱空間51が共通し、互いに同じ1つの断熱空間51に配置されている。これにより、SOFC30、電気化学ポンプ40及びリサイクルガス経路13を循環するガスの温度低下が断熱部材50により抑制されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。
【0106】
また、変形例1のように、断熱空間51は、SOFC30を収容した第1断熱空間51a、及び、電気化学ポンプ40を収容した第2断熱空間51bを有していてもよい。この場合、改質器18は、第1断熱空間51a、第2断熱空間51b、及び、第1断熱空間51a及び第2断熱空間51b以外の第4断熱空間のいずれかに収容されていてもよい。このため、断熱部材50は、第1断熱部材50a、第2断熱部材50b、及び、第4断熱空間を形成する第4断熱部材を備えていてもよい。
【0107】
<変形例4>
第3実施形態の変形例4に係る燃料電池システム10では、図8に示すように、変形例1と同様に断熱空間51は、SOFC30を収容した第1断熱空間51a、及び、電気化学ポンプ40を収容し且つ第1断熱空間51aから断熱された第2断熱空間51bを有している。また、アノード供給経路11上に設けられ、燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器18をさらに備えている。断熱部材50は、改質器18を第1断熱空間51aに収容している。これにより、SOFC30、電気化学ポンプ40、改質器18及びリサイクルガス経路13を循環するガスの温度低下が断熱部材50により抑制されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。
【0108】
<変形例5>
第3実施形態の変形例5に係る燃料電池システム10では、図9に示すように、変形例1と同様に、断熱空間51は、SOFC30を収容した第1断熱空間51a、及び、電気化学ポンプ40を収容し且つ第1断熱空間51aから断熱された第2断熱空間51bを有している。また、アノード供給経路11上に設けられ、燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器18をさらに備えている。断熱部材50は、改質器18を第2断熱空間51bに収容している。これにより、SOFC30、電気化学ポンプ40、改質器18及びリサイクルガス経路13を循環するガスの温度低下が断熱部材50により抑制されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。なお、図9においては、電源14、アノード供給経路11、リサイクルガス経路13、第1アソード排出経路15等の経路の一部は、第2断熱空間51bに収容されているが、実際には第2断熱空間51bの外部に配されていてもよい。
【0109】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る燃料電池システム10は、図10に示すように、第1~第3実施形態及びその変形例のいずれかに係る燃料電池システム10において、第1アノード41に接続され、第1アノード41から排出された第1アノードオフガスが流れる第1アノード排出経路15と、第1アノード排出経路15に設けられ、第1アノードオフガスを燃焼する燃焼器20と、を備えている。
【0110】
具体的には、第1アノード排出経路15は、第1アノード41の排出口に接続されており、第1アノード41から排出された第1アノードオフガスが流れる。第1アノードオフガスは、電気化学ポンプ40により第2アノードオフガスから水素を分離して残ったガスである。このため、第1アノードオフガスは、SOFC30における化学反応に用いられずに残った燃料ガスから、電気化学ポンプ40で分離された水素を引いた残留ガスを可燃性ガスとして有している。
【0111】
燃焼器20は、第1アノード排出経路15に設けられ、第1アノード排出経路15から第1アノードオフガスが供給され、第1アノードオフガスの可燃性の残留ガスを燃焼し、燃焼オフガスを排出する。これにより、残留ガスに一酸化炭素が含まれている場合には、一酸化炭素を燃焼されて二酸化炭素として排出することができる。また、燃焼により生じた熱を改質器18など燃料電池システム10の構成の加熱に用い、燃料電池システム10の熱損失の低減を図ることができる。また、燃料電池システム10が貯水タンクを有している場合には、燃焼により生じた熱をこの貯水タンクの加熱に用い、燃料電池システム10の熱損失の低減を図ることができる。
【0112】
また、SOFC30の第2アノードオフガスから電気化学ポンプ40にて水素を分離し、これで残った第1カソードオフガスをSOFC30の燃料ガスとして再利用している。このため、電気化学ポンプ40から排出された第1アノードオフガスに含まれる水素は第2アノードオフガスよりも少なく、第1アノードオフガスの燃焼で生じる熱量が第2アノードオフガスよりも低い。このような場合であっても、SOFC30と電気化学ポンプ40との作動温度が互いに同じ又は近いため、電気化学ポンプ40からSOFC30へ第1カソードオフガスを加熱する熱量が少なくてもよい。よって、第1アノードオフガスを用いた燃焼器20による加熱不足によってSOFC30が熱自立できない事態を回避することができる。
【0113】
なお、燃焼器20は、第1アノード排出経路15及びカソード排出経路17に設けられていてもよい。この場合、燃焼器20は、第1アノード排出経路15から第1アノードオフガスが供給されると共に、カソード排出経路17から第2カソードオフガスが供給される。このため、燃焼器20は、第1アノードオフガスを、第2カソードオフガス中の残留酸化剤ガスによって効率良く燃焼することができる。また、燃焼器20は電気化学ポンプ40とともに断熱空間40に収容されていてもよい。また、図5等と同様に、第1断熱空間51a,第2断熱空間51bを設けて、SOFC30を第1断熱空間51aに収容し、燃焼器20を電気化学ポンプ40とともに第2断熱空間51bに収容してもよい。
【0114】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る燃料電池システム10は、図11に示すように、第1~第4実施形態及び変形例のいずれかに係る燃料電池システム10において、アノード供給経路11上に設けられ、燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器18と、第1アノード41から排出された第1アノードオフガスと、改質器18に供給される燃料ガスとの間で熱交換を行う第1熱交換器21と、を備えている。
【0115】
第1熱交換器21は、第1アノード排出経路15、及び、改質器18よりも上流のアノード供給経路11に配置されている。なお、燃料電池システム10が加湿器19を備える場合、第1熱交換器21は加湿器19と改質器18との間のアノード供給経路11に配置されている。また、燃料電池システム10が燃焼器20を備える場合、第1熱交換器21は、電気化学ポンプ40と燃焼器20との間の第1アノード排出経路15に配置されている。
【0116】
第1熱交換器21では、第1アノード排出経路15の第1アノードオフガスと、アノード供給経路11の燃料ガスとが熱交換を行う。この第1アノードオフガスは、高温で作動する電気化学ポンプ40から排出されたため、温度が高い。このため、燃料ガスは、高温の第1アノードオフガスによって加熱される。
【0117】
そして、昇温された燃料ガスは改質器18に供給される。改質器18では燃料ガスは高温で改質される。この燃料ガスの昇温には、第1アノードオフガスの熱が利用されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。
【0118】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る燃料電池システム10は、図12に示すように、第1~第5実施形態及び変形例のいずれかに係る燃料電池システム10において、第2カソード32に接続され、酸化剤ガスを第2カソード32へ供給するカソード供給経路16と、第2カソード32に接続され、第2カソード32から排出された第2カソードオフガスが流れるカソード排出経路17と、第2カソード32に供給される酸化剤ガスと、第2カソード32から排出された第2カソードオフガスとの間で熱交換を行う第2熱交換器22と、を備えている。
【0119】
第2熱交換器22は、カソード供給経路16及びカソード排出経路17に設けられている。なお、燃料電池システム10が燃焼器20を備える場合、第2熱交換器22は、SOFC30と燃焼器20との間のカソード排出経路17に配置されている。
【0120】
第2熱交換器22では、カソード供給経路16の酸化剤ガスと、カソード排出経路17の第2カソードオフガスとが熱交換を行う。この第2カソードオフガスは、高温で作動するSOFC30から排出されたため、温度が高い。このため、酸化剤ガスは、高温の第2カソードオフガスによって加熱される。
【0121】
そして、昇温された酸化剤ガスは、SOFC30に供給され、SOFC30にて燃料ガスと化学反応して発電に用いられる。このように、酸化剤ガスの昇温には、第2カソードオフガスの熱が利用されるため、燃料電池システム10における熱損失を低減することができる。
【0122】
<その他の変形例>
上記第2~第6の実施形態及び変形例のいずれかに係る燃料電池システム10において、図11に示すように、燃料電池システム10が改質器18を備える場合、リサイクルガス経路13は、改質器18よりも上流のアノード供給経路11に接続されていてもよい。さらに、燃料電池システム10が加湿器19を備える場合、リサイクルガス経路13は、加湿器19と改質器18との間のアノード供給経路11に接続されていてもよい。
【0123】
さらに、燃料電池システム10が第1熱交換器21を備える場合、リサイクルガス経路13は、第1熱交換器21と改質器18との間のアノード供給経路11に接続されていてもよい。この場合、リサイクルガス経路13から戻された第1カソードオフガスは、第1熱交換器21に供給されないことにより、第1熱交換器21で燃料を効率的に昇温することができる。
【0124】
上記全ての実施形態及び変形例のいずれかに係る燃料電池システム10は、SOFC30及び電気化学ポンプ40の少なくともいずれか一方を加熱する加熱器を備えていてもよい。加熱器は、バーナなどの燃焼装置であってもよい。燃焼装置は、第2アノード排出経路12から分岐した分岐経路に接続されており、第2アノード排出経路12から分岐経路を介して供給された第2アノードオフガスを燃焼してもよい。
【0125】
上記全ての実施形態及び変形例に係る燃料電池システム10において、SOFC30が内部改質する場合には、メタンなどの炭化水素ガスが水素含有ガスであって燃料ガスとして用いられてもよい。この供給源には、炭化水素ガスなどの都市ガスのインフラストラクチャーなどが挙げられる。この場合、燃料ガスがSOFC30の第2アノード31にて内部改質され、水素が生成して発電に用いられる。また、発電に用いられなかった水素は第2アノードオフガスとして電気化学ポンプ40に供給される。
【0126】
上記全ての実施形態及び変形例に係る燃料電池システム10では、酸化物イオン伝導型のSOFC30が用いられたが、プロトン伝導型のSOFC30が用いられてもよい。この場合、プロトン伝導型のSOFC30では、第2アノード31にて、下記化学式(8)のように、燃料ガスの水素が還元されて、プロトン及び電子が生じ、電子は外部回路を流れて発電する。プロトンが第2電解質膜33を第2アノード31から第2カソード32に伝導する。第2カソード32では、下記化学式(9)のように、プロトンが酸化物ガスの酸素により酸化されて、水が生成する。
【0127】
第2アノード:2H→4H+4e (8)
第2カソード:4H+O+4e→2HO (9)
【0128】
そして、第2アノードオフガスがSOFC30の第2アノード31から第2アノード排出経路12を通じて電気化学ポンプ40の第1アノード41に供給される。電源14から電流が印加されている電気化学ポンプ40では、第2アノードオフガスから水素が分離される。
【0129】
なお、酸化物イオン伝導型のSOFC30では第2アノード31で水が生成することにより、第2アノードオフガス、及び、これに由来する第1カソードオフガス及び燃焼オフガスは水分を含んでいる。このため、この凝縮水を加湿器19に用いることができる。一方、プロトン伝導型のSOFC30では第2カソード32で水が生成するため、第2カソードオフガス及びこれに由来する燃焼オフガスは水分を含んでいる。このため、この凝縮水を加湿器19に用いることができる。
【0130】
上記全ての実施形態及び変形例に係る燃料電池システム10において、SOFC30及び電気化学ポンプ40は一体的に形成されていてもよい。この場合、SOFC30の第2アノード31と電気化学ポンプ40の第1アノード41とが互いに平行になるように、SOFC30のセルと電気化学ポンプ40のセルとが積層されたスタックが形成されていてもよい。SOFC30は、第2カソード32よりも第2アノード31が電気化学ポンプ40の近くになるように配置され、電気化学ポンプ40は、第1カソード42よりも第1アノード41がSOFC30の近くになるように配置されている。また、図3~12においては温度測定器の図示はしていないが、第1実施形態以外の実施形態及び変形例においても、燃料電池システム10は、温度測定器30a、40aを備えていてもよい。
【0131】
なお、上記全実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本開示の燃料電池システムは、燃料利用率の向上を図りつつ、熱損失の低減及び小型化を図ることができる燃料電池システムとして有用である。
【符号の説明】
【0133】
10 :燃料電池システム
11 :アノード供給経路
12 :第2アノード排出経路
13 :リサイクルガス経路
14 :電源
15 :第1アノード排出経路
16 :カソード供給経路
17 :カソード排出経路
18 :改質器
20 :燃焼器
21 :第1熱交換器
22 :第2熱交換器
30 :SOFC(固体酸化物形燃料電池)
31 :第2アノード
32 :第2カソード
33 :第2電解質膜
40 :電気化学ポンプ
41 :第1アノード
42 :第1カソード
43 :第1電解質膜
50 :断熱部材
51 :断熱空間
51a :第1断熱空間
51b :第2断熱空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12