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特許7542210キャリアテープ処理装置およびキャリアテープ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】キャリアテープ処理装置およびキャリアテープ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020053537
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021153153
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3098658(JP,U)
【文献】特開昭62-028377(JP,A)
【文献】特開2004-146553(JP,A)
【文献】特開2020-010045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納したキャリアテープを供給するキャリアテープ供給部と、
前記部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得部と、
前記キャリアテープを前記キャリアテープ供給部から引き出して軸部材に巻き付けてロール状のロール体とし、前記ロール体から前記軸部材を引き抜いて記憶部を有するケースに収納するキャリアテープ処理部と、
前記部品情報取得部により取得された前記部品情報を前記記憶部に書き込む書き込み部と、
前記ケースに収納された部品を他のケースに収納された部品と識別するために使用する識別情報と前記部品情報とを関連付けて記憶する情報管理部を備えたキャリアテープ処理装置。
【請求項2】
更に、前記識別情報を生成する識別情報生成部を備える請求項1に記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項3】
前記書き込み部は、前記識別情報生成部によって生成された前記識別情報を前記記憶部に書き込む請求項2に記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項4】
前記部品情報は、部品の種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報の少なくともひとつを含む請求項1に記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項5】
前記キャリアテープ処理部は、前記キャリアテープ供給部から引き出されたキャリアテープを切断する切断部を有する請求項1に記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項6】
前記キャリアテープ処理部は、前記キャリアテープ供給部から引き出されたキャリアテープの長さもしくは部品の数を計測する計測部と、前記計測部が予め指定されたキャリアテープの長さもしくは予め指定された部品の数を計測したら前記切断部にキャリアテープの切断を実行させる切断制御部とを有する請求項5に記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は無線通信可能であり、前記書き込み部は前記部品情報を無線通信によって前記記憶部に書き込む請求項1から6のいずれかに記載のキャリアテープ処理装置。
【請求項8】
部品を収納したキャリアテープを供給するキャリアテープ供給部からキャリアテープを引き出すキャリアテープ引き出し工程と、
前記部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得工程と、
前記キャリアテープ引き出し工程で引き出した前記キャリアテープを軸部材に巻き付けてロール状のロール体とし、前記ロール体から前記軸部材を引き抜いて記憶部を有するケースに収納するキャリアテープ処理工程と、
前記部品情報取得工程で取得した前記部品情報を前記記憶部に書き込む書き込み工程と、
前記部品情報取得工程で読み取った前記部品情報と前記ケースに収納された部品を他のケースに収納された部品と識別するために使用する識別情報とを関連付けて記憶する部品情報登録工程と、を含むキャリアテープ処理方法。
【請求項9】
更に、前記部品を他のケースに収納された部品を識別するために使用する識別情報を生成する識別情報生成工程を含む、請求項8に記載のキャリアテープ処理方法。
【請求項10】
前記書き込み工程は、前記識別情報生成工程で生成した前記識別情報を前記記憶部に書き込む、請求項9に記載のキャリアテープ処理方法。
【請求項11】
前記部品情報は、部品の種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報の少なくともひとつを含む請求項10に記載のキャリアテープ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納したキャリアテープを処理するキャリアテープ処理装置およびキャリアテープ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を搭載する部品実装装置における部品供給ユニットとして、部品を収納したキャリアテープを搬送することにより部品取出し位置に部品を供給するテープフィーダが知られている。テープフィーダにおいて使用されるキャリアテープはその保持体としてのリールに巻き付けられており、キャリアテープの運搬や保管および部品供給ユニットに対するセット等は、リールに巻き付けられた状態のまま(リール付きロール体のまま)行われる。
【0003】
このようなテープフィーダにおいて、リールは規格品であってその幅方向寸法を縮小化することは難しいことや、キャリアテープの使用が終了した後には空のリールが発生し、その処理や保管に手間がかかること等から、リールをなくし、キャリアテープをロール状に巻いたロール体の状態で部品供給ユニットに供給できるようにする装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1)。特許文献1では、キャリアテープのロール体を部品の補充用の手段(部品補給手段)から部品供給ユニットの収納部に投入するようになっており、部品供給ユニットがキャリアテープを引き出し終わった後に不要なリールが実装作業現場に残らないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-21990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献では、部品供給ユニットにキャリアテープのロール体を供給するための大掛かりな装置(部品補給手段)が必要であってコストがかかるうえ、リールに貼り付けられた記録媒体に記録されていた部品に関する情報(部品情報)が失われて部品の管理が不十分になるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、部品情報を管理しつつ、安価な構成でリールなしの部品供給形態を実現できるキャリアテープ処理装置およびキャリアテープ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリアテープ処理装置は、部品を収納したキャリアテープを供給するキャリアテープ供給部と、前記部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得部と、前記キャリアテープを前記キャリアテープ供給部から引き出して軸部材に巻き付けてロール状のロール体とし、前記ロール体から前記軸部材を引き抜いて記憶部を有するケースに収納するキャリアテープ処理部と、前記部品情報取得部により取得された前記部品情報を前記記憶部に書き込む書き込み部と、前記ケースに収納された部品を他のケースに収納された部品と識別するために使用する識別情報と前記部品情報とを関連付けて記憶する情報管理部を備えた。
【0008】
本発明のキャリアテープ処理方法は、部品を収納したキャリアテープを供給するキャリアテープ供給部からキャリアテープを引き出すキャリアテープ引き出し工程と、前記部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得工程と、前記キャリアテープ引き出し工程で引き出した前記キャリアテープを軸部材に巻き付けてロール状のロール体とし、前記ロール体から前記軸部材を引き抜いて記憶部を有するケースに収納するキャリアテープ処理工程と、前記部品情報取得工程で取得した前記部品情報を前記記憶部に書き込む書き込み工程と、前記部品情報取得工程で読み取った前記部品情報と前記ケースに収納された部品を他のケースに収納された部品と識別するために使用する識別情報とを関連付けて記憶する部品情報登録工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品情報を管理しつつ、安価な構成でリールなしの部品供給形態を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの概略構成図
図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える部品実装装置の側面図
図3】本発明の一実施の形態における部品実装装置が使用するケース入りロール体の斜視図
図4】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置がケース入りロール体を製造する際に使用するケースの(a)斜視図(b)部分拡大図
図5】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置が製造したケース入りロール体の(a)斜視図(b)部分拡大図
図6】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置により製造したケース入りロール体の使用形態を示す図
図7】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の側面図
図8】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図9】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図10】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図11】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図12】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図13】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図15】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置の動作説明図
図16】本発明の一実施の形態における保管倉庫の斜視図
図17】本発明の一実施の形態における部品実装システムの制御系統を示すブロック図
図18】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置によりケース入りロール体を製造する作業の流れを示すフローチャート
図19】本発明の一実施の形態における保管倉庫によりケース入りロール体を保管する作業の流れを示すフローチャート
図20】本発明の一実施の形態におけるケース入りロール体の運用のイメージを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ処理装置を含む部品実装システム1の構成図を示している。部品実装システム1は、直列に連結された複数の装置の間で基板KBを受け渡しながら作業を施すことによって基板KBに部品が装着された実装基板JKを製造する製造ライン2のほか、製造ライン2に供給される部品の供給に関連するキャリアテープ処理装置3と、部品の保管と管理に関連する保管倉庫4を備えている。
【0012】
図1において、製造ライン2は情報管理端末5を通じて管理コンピュータ6に繋がっており、製造ライン2を構成する各装置の動作の管理を管理コンピュータ6から行うことができるようになっている。また、図1に示すように、キャリアテープ処理装置3と保管倉庫4も管理コンピュータ6と繋がっており、キャリアテープ処理装置3と保管倉庫4の動作の管理も管理コンピュータ6から行うことができるようになっている。図1に示すように、管理コンピュータ6には作業者用端末7が接続されており、部品実装システム1の作業者は作業者用端末7から部品実装システム1に対して種々の操作入力を行うことができるようになっている。
【0013】
先ず、製造ライン2について説明する。図1において、製造ライン2は、基板供給装置11、印刷装置12、印刷後検査装置13、複数の部品実装装置14、実装後検査装置15、リフロー装置16、最終検査装置17および基板回収装置18を備えている。
【0014】
基板供給装置11は基板KBを下流側の印刷装置12に順次供給する。印刷装置12は基板供給装置11から供給される基板KBを搬入し、基板KBの表面に形成された電極にペースト状の半田を塗布して下流側の印刷後検査装置13に搬出する。印刷後検査装置13は印刷装置12から搬出された基板KBを搬入し、半田の塗布状態が不良な箇所がないかどうかをカメラで観察して検査したうえで、下流側の部品実装装置14に基板KBを搬出する。
【0015】
各部品実装装置14は、上流側から搬入した基板KBに部品を装着して下流側に搬出する。最も下流側に位置する部品実装装置14はその下流側に位置する実装後検査装置15に基板KBを搬出する。部品実装装置14については後述する。
【0016】
実装後検査装置15は、最も下流側に位置する部品実装装置14から搬出された基板KBを搬入し、部品の装着状態が不良な箇所がないかどうかをカメラで観察して検査したうえで、下流側のリフロー装置16に基板KBを搬出する。リフロー装置16は実装後検査装置15から搬出された基板KBを搬入し、リフロー炉を通過させることによって半田を溶融・固化させて部品を電極に接合させる。最終検査装置17はリフロー装置16を通過した基板KBを搬入し、部品の電極への接合状態をカメラで観察して検査したうえで、下流側の基板回収装置18に搬出する。基板回収装置18は最終検査装置17から搬出された基板KBを受け取って回収する。
【0017】
次に、図2を用いて部品実装装置14について説明する。図2において、部品実装装置14の基台21上には基台カバー22が設けられており、基台21と基台カバー22との間の作業空間23には基板KBを水平方向に搬送する基板搬送路24が設けられている。
【0018】
基台21上の基板搬送路24を挟んだ両側の位置にはフィーダ台車25が連結されている。各フィーダ台車25には複数の部品供給ユニット26が取り付けられている。ここでは部品供給ユニット26はテープフィーダであり、スプロケット26Sによってキャリアテープ27を搬送することにより、所定の部品供給位置に部品BHをひとつずつ供給する。
【0019】
図2において、作業空間23内には、ヘッド移動機構31によって水平面内方向に移動される装着ヘッド32を備えている。装着ヘッド32には部品吸着ノズル33が下方に延びて設けられている。部品吸着ノズル33の下端には、部品供給ユニット26が供給する部品BHを吸着させることができる。
【0020】
各部品実装装置14は、基板搬送路24が上流側から基板KBを搬入して位置決めしたら、部品供給ユニット26により部品BHを供給させながら装着ヘッド32に装着ターンを繰り返し行わせる。装着ヘッド32はひとつの装着ターンにおいて、部品供給ユニット26が供給する部品BHを吸着してピックアップする動作と基板KB上に定められた部品搭載位置に部品BHを装着する動作をこの順で行う。装着ヘッド32に装着ターンを繰り返し行わせて基板KBに装着させるべき部品BHを全て装着したら、基板搬送路24を作動させて、基板KBを下流側に搬出する。
【0021】
ここで、部品実装装置14が部品BHの供給に使用するキャリアテープ27は、本実施の形態では、ケース入りロール体41から繰り出されるようになっている。ここで「ケース入りロール体41」とは、キャリアテープ27をロール状にしたロール体27Rがケース42に収納されたものをいう(図3も参照)。このケース入りロール体41は、従来用いられているリール付きのロール体とは異なるものである。ここで「リール付きのロール体」とは、ロール体27Rがリールにより保持されたものをいう。
【0022】
ここで、ケース入りロール体41のケース42について説明する。ケース42は、図4(a)に示すように、左右の側壁51、底壁52、前壁53および後壁54を備えており、上方開口55と後開口56を有している。前壁53の外面には無線タグ42Mが貼り付けられている。後壁54の上部には、一方の側壁51の内面から内方へ張り出した上下の2つの突起ベース51Bが設けられており、これら2つの突起ベース51Bには、水平方向の外側に向かって突出したテープ先端保持部42Kが設けられている(図4(b))。また、突起ベース51Bを設けた方の側壁51は、2つの突起ベース51Bに挟まれた部分が切り取られた切り欠き部42Dを備えている。ケース42の左右の側壁51には、上方開口55側の縁部からそれぞれの側壁51の中央部側に向かってU字形状に延びた溝部51Mが設けられている。
【0023】
図5(a)に示すように、ケース42にロール体27Rを収納した場合であって、ロール体27Rからキャリアテープ27を引き出して使用する状況にないとき、すなわち、ケース入りロール体41を保管中或いは運搬中であるときには、図5(b)に示すように、キャリアテープ27が有する送り孔27K(スプロケット26Sの外周歯と係合する孔)を、ケース42に設けられたテープ先端保持部42Kに差し込んで係止しておくようにする。本実施の形態では2つの送り孔27Kを、ケース42に設けられた2つのテープ先端保持部42Kに差し込んで係止する。これにより保管中或いは運搬中にケース入りロール体41のケース42からキャリアテープ27が抜け出ることが防止され、ひいてはロール体27Rの全体がケース42から脱落することが防止される。
【0024】
一方、ケース入りロール体41からキャリアテープ27を引き出して使用する状況にあるときには、2つのテープ先端保持部42Kからキャリアテープ27の送り孔27Kを取り外し、更には図3に示すように前壁53が下面となるような姿勢にする。このように前壁53が下面となるような姿勢にしてキャリアテープ27を後開口56から引き出すことにより、キャリアテープ27を部品供給ユニット26に送ることが可能となる。このように、ケース42にテープ先端保持部42Kを設けることにより、ケース42におけるキャリアテープ27の先端部の位置が統一されるので、ケース42からキャリアテープ27の先端部を取り出す作業を容易に行うことができる。また、キャリアテープ27の先端部を取り出す作業をロボット等の自動化設備で行わせることにも容易に対応できる。
【0025】
部品供給ユニット26に対するケース入りロール体41の使用形態としては、例えば、図2の左側に示すケース入りロール体41のように、フィーダ台車25に取り付ける形態のほか、図2の右側および図6(a)に示すケース入りロール体41のように、アタッチメント26Aを介して部品供給ユニット26に取り付ける形態がある。或いは、図6(b)に示すように、ケース入りロール体41の全体を部品供給ユニット26の内部に収納する形態もある。また或いは、図6(c)に示すように、ケース入りロール体41からロール体27Rを取り出し、そのロール体27Rのみを部品供給ユニット26の内部に収納する形態もある。
【0026】
このように、本実施の形態において、ケース入りロール体41のケース42には、ロール体27Rを部品供給ユニット26の外部に設置して使用するときにおけるロール体27Rの支持手段の役割(従来のリール付きのロール体におけるリールの役割)を持たせることができる。
【0027】
次に、キャリアテープ処理装置3について説明する。キャリアテープ処理装置3は、部品実装装置14で使用されるキャリアテープ27を処理してケース入りロール体41を製造する装置である。キャリアテープ処理装置3は、図7に示すように、部品BHを収納したキャリアテープ27を供給するキャリアテープ供給部61、キャリアテープ27をキャリアテープ供給部61から引き出してロール状にしてケース42に収納するキャリアテープ処理部62、ハンディスキャナ63および書き込み部64を備えている。
【0028】
図7において、キャリアテープ供給部61は、部品BHを収納したキャリアテープ27が巻き付けられたリール61Rと、リール61Rを回転自在に支持したリール支持部61Sを備えている。リール61Rには、キャリアテープ27に収納された部品BHの情報(部品情報)が記録されたコードラベル61Lが貼り付けられている。コードラベル61Lは表面にバーコードや二次元コード等の識別子(シンボル)が印刷されている。リール61Rには、通常とは逆向きでキャリアテープ27を巻き取っている。8mm幅の紙テープのキャリアテープの場合、リール61Rから手前にキャリアテープ27を引き出すと左側に送り孔27Kが現れるが、部品供給ユニット26にキャリアテープ27を直接供給することが可能なリール(以下、通常のリールと呼ぶ)では右側に現れる。これは、後述するロール体作成部73で作成されたロール体27Rのキャリアテープ27の向きを通常のリールと同じ向きにするためである。
【0029】
図7において、キャリアテープ処理部62は、ケース保持部71、キャリアテープ送り部72、ロール体作成部73、計測部74、クランパ75、カッタ76および軸部材抜き取り部77を備えている。
【0030】
ケース保持部71は、水平なケース搬送方向(図7の紙面に垂直な方向)に延びたコンベア機構から構成されている。ケース保持部71は複数のケース42それぞれを上方開口55が上を向くように一列に並べて状態に保持し、かつ、ケース搬送方向に向けて間欠的に搬送する。
【0031】
キャリアテープ送り部72は、キャリアテープ供給部61のリール61Rから繰り出されるキャリアテープ27を下方に(すなわちケース保持部71に保持されたケース42に)向けて送る送り動作をする。
【0032】
図7において、ロール体作成部73は、軸部材81、軸部材移動部82、軸部材駆動部83を備えている。軸部材81は水平軸まわりに回転自在に設けられている。軸部材81にはチャック部81Aが設けられており、このチャック部81Aにより、キャリアテープ27の先端部27Tを挟み込むことができるようになっている図8図9)。
【0033】
軸部材移動部82は、キャリアテープ27の先端部27Tをチャック部81Aにより挟み込んだ軸部材81を、ケース42の上方の位置(図9)と、ケース42の溝部51M内の位置(「ケース内位置」と称する。図10)との間で移動させる機能を有する。軸部材駆動部83は、軸部材移動部82によって、軸部材81がケース内位置に移動された状態において、軸部材81を回転させる(図11中に示す矢印R)。これにより軸部材81のまわりにはキャリアテープ27が巻き付けられていく。
【0034】
このようにロール体作成部73は、キャリアテープ27の先端部27Tを保持する軸部材81を有し、その軸部材81を回転させることによりキャリアテープ27を軸部材81に巻き付けてロール状のロール体27Rを作成する構成となっている。
【0035】
図7において、計測部74は、長さセンサ74Aと部品カウンタ74Bから構成されている。長さセンサ74Aは、キャリアテープ送り部72の動作量に基づいて、キャリアテープ送り部72がキャリアテープ供給部61から引き出したキャリアテープ27の長さを計測する。キャリアテープ送り部72はキャリアテープ27を繰り出すスプロケット72Aを備えており、長さセンサ74Aはスプロケット72Aの回転量をエンコーダ等で検出して引き出されたキャリアテープ27の長さを計測する。部品カウンタ74Bは、長さセンサ74Aの下方に位置しており、キャリアテープ供給部61から引き出された部品BHの数をカウントする。
【0036】
図7において、クランパ75は部品カウンタ74Bの下方に設けられている。クランパ75は、ベース部75a上に一対のクランプ部材75b,75cを備えている。一対のクランプ部材75b,75cは互いに近接するように移動することによって、一対のクランプ部材75b,75cの間に位置するキャリアテープ27をクランプする(図11図12)。
【0037】
図7において、カッタ76は部品カウンタ74Bとクランパ75の間に設けられており、2つの切断部材76b,76cが刃面を対向させて配置されている。2つの切断部材76b,76cは互いに近接する方向に移動されることで、2つの切断部材76b,76cの間を下方に延び、かつ、クランパ75によってクランプされたキャリアテープ27を切断する(図12図13)。
【0038】
クランパ75のベース部75aは(すなわちクランパ75の全体は)、カッタ76がキャリアテープ27を切断した後、2つのクランプ部材75b,75cによってキャリアテープ27の先端部27Tとは反対側の端部である切断端部27E(図14(a))をクランプした状態のまま、クランパ移動部75K(図7)によって移動される。そして、クランプ部材75bがケース42に設けられた切り欠き部42Dへ進入することによって(図14(a)→図14(b))、キャリアテープ27の切断端部27Eをケース42に設けられたテープ先端保持部42Kにセット(固定)する(図14(b)。図5(b)も参照)。そして、クランパ75によるキャリアテープ27のクランプを解除したうえで、クランパ75のベース部75aをケース42から離れる方向へ水平に移動させて切り欠き部42Dからクランプ部材75bを引き抜き、その後、ベース部75aをケース42の上方に移動(退避)させる(図14(b)→図15)。これによりケース42内にはキャリアテープ27のロール体27Rが形成された状態となる。
【0039】
このように本実施の形態において、クランパ75およびクランパ移動部75Kは、カッタ76で切断されたキャリアテープ27の先端部27Tとは反対側の端部(切断端部27E)をケース42に設けたテープ先端保持部42Kにセットするキャリアテープ端セット部75Sとなっている。
【0040】
軸部材抜き取り部77は、ロール体作成部73が作成したロール体27Rから軸部材81を抜き取る。軸部材抜き取り部77は、軸部材81を、作成したロール体27Rの厚み方向へ移動させる機構を備える。軸部材抜き取り部77が軸部材81をロール体27Rの厚み方向へ移動させると、ロール体27Rはケース42の側壁51によって移動が妨げられるので、軸部材81はロール体27Rから引き抜かれる。これによりロール体作成部73によって作成されたロール体27Rは、ケース42に収納された状態となる。
【0041】
ハンディスキャナ63は、バーコード等の識別子を光学的に読み取る装置である。ハンディスキャナ63は作業者によって操作され、キャリアテープ供給部61のリール61Rに貼り付けられているコードラベル61Lの識別子から部品情報を読み取る。ここで「部品情報」とは、キャリアテープ供給部61のリール61Rに巻き付けられているキャリアテープ27に収納されている部品BHに関する情報であり、部品BHの種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報(URL等)の少なくともひとつを含んでいればよい。
【0042】
このように本実施の形態において、ハンディスキャナ63は、キャリアテープ27に収納された部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得部となっている。なお、リール61Rが部品情報を記憶した無線タグを有している場合、ハンディスキャナ63に替えて、無線タグに記録されている情報を非接触で読み取る機能を有する非接触リーダを部品情報取得部として使用してもよい。
【0043】
書き込み部64は、ケース保持部71によって保持されているケース42の無線タグ42Mに情報を無線通信によって書き込む。書き込み部64が無線タグ42Mに書き込む情報は、ハンディスキャナ63を通じて取得した(読み取った)部品情報と、識別情報である。
【0044】
ここで「識別情報」とは、部品実装システム1において使用される一のロール体27Rに収納されている部品BHを他のロール体27Rに収納されている部品BHと識別するために使用する情報であり、例えば、部品実装システム1が設置される工場内において発行されるシリアル番号によって構成される。本実施の形態では、識別情報は、後述するように、キャリアテープ27のロール体27Rが生成された際に、管理コンピュータ6において生成(発行)される。また、識別情報はケース42を管理するための管理情報としても利用される。すなわち、識別情報は、ロール体27Rを識別する目的とケース42を識別する目的の両方で使用される。
【0045】
次に、保管倉庫4について説明する。保管倉庫4は、ケース入りロール体41を保管する。ここでいうケース入りロール体41とは、キャリアテープ処理装置3によって製造されたばかりのケース入りロール体41だけでなく、部品実装装置14において使用されて途中で戻されたような使用途中のケース入りロール体41も含まれる。
【0046】
図16において、保管倉庫4は、筐体91内に複数の棚部92を有している。筐体91の前面下方には、入口93が設けられており、筐体91の内部には、入口93を通じて筐体91の外部(作業者OPの手前側)への張り出し動作と筐体91の内部(作業者OPから見た奥側)への引き込み動作とを行う移動テーブル94が設けられている。移動テーブル94は、ケース入りロール体41が保管倉庫4に保管される際には作業者OPの手前側へ張り出され、移動テーブル94に載置されたケース入りロール体41を筐体91内に収容するときには奥側に引き込まれる。
【0047】
保管倉庫4が備える複数の棚部92のそれぞれには、ケース入りロール体41を保管(載置)するための複数の保管位置92Sが予め定められている。すなわち本実施の形態において、各棚部92は、ロール体27Rを収納したケース42(すなわちケース入りロール体41)を保管する保管位置92Sを複数備えた保管部となっている。
【0048】
図16において、筐体91内にはケース移送機構95が設けられている。ケース移送機構95は、上下方向(Z軸方向とする)に延びたZ軸テーブル96と、作業者OPから見た前後方向(Y軸方向とする)に延びてZ軸テーブル96によって上下方向に移動されるY軸テーブル97と、作業者OPから見た横方向(X軸方向とする)に延びてY軸テーブル97によって前後方向に移動されるX軸テーブル98と、X軸テーブル98によってX軸方向に移動される移送ヘッド99とを備えている。
【0049】
ケース移送機構95は、Z軸テーブル96によるY軸テーブル97のZ軸方向への移動動作と、Y軸テーブル97によるX軸テーブル98のY軸方向への移動と、X軸テーブル98による移送ヘッド99のX軸方向への移動とによって、移送ヘッド99を三次元的に移動させる。移送ヘッド99はX軸方向に並んだ2つのフィンガ99Fを備えている。
【0050】
2つのフィンガ99FはX軸方向に互いに近接或いは離間させることができる。2つのフィンガ99Fの間にケース入りロール体41が位置した状態で2つのフィンガ99Fが閉じるように作動されると、そのケース入りロール体41は2つのフィンガ99Fによって(すなわち移送ヘッド99によって)把持される。
【0051】
図16において、移送ヘッド99には、撮像視野を作業者OPから見た奥方向に向けた非接触リーダ100が設けられている。この非接触リーダ100は、移送ヘッド99がケース入りロール体41を把持する位置において、そのケース入りロール体41のケース42に設けられた無線タグ42Mと正対するようになっている。
【0052】
非接触リーダ100は、無線タグ42Mと正対した状態において、無線タグ42Mに書き込まれている情報(ロール体27Rに収納されている部品BHの部品情報と識別情報)を無線通信にて読み取る。本実施の形態において、非接触リーダ100は、記憶部としての無線タグ42Mに書き込まれた識別情報を読み取る識別情報読み取り手段として機能するようになっている。非接触リーダ100は、ケース入りロール体41の無線タグ42Mに書き込まれている情報を読み取ったら、その読み取った情報を管理コンピュータ6に記憶させる(後述)。
【0053】
複数の棚部92のそれぞれに定められた各保管位置92Sにはユニークな住所が与えられている。本実施の形態では、保管位置92Sにケース入りロール体41を保管(載置)するときには、そのケース入りロール体41のロール体27R(キャリアテープ27)に収納されている部品BHの情報(部品情報)と、そのケース入りロール体41の識別情報とを関連付けた(いわゆる紐付けした)情報が管理コンピュータ6に記憶されるほか、部品情報と、保管位置92Sの情報(保管位置情報)とを関連付けた情報が管理コンピュータ6に記憶される(後述)。これにより管理コンピュータ6は、保管倉庫4のどの保管位置92Sに、どの部品BHを収納したケース入りロール体41が保管されているかを把握することができる。
【0054】
図17は部品実装システム1の全体における制御系統をブロック図により示したものである。図17に示すように、管理コンピュータ6は、生産情報管理部101、部品監視部102、作業指示部103および情報管理部104を備えている。生産情報管理部101は部品実装システム1における生産計画データを記憶している。部品監視部102は、製造ライン2における部品BHの残数等を監視する。部品監視部102は部品切れが予測される場合、その旨を作業指示部103に伝達する。
【0055】
作業指示部103は、生産情報管理部101に記憶されている生産計画データに基づく機種の切り替え時の作業指示を、製造ライン2と作業者OPに対して行うとともに、次の機種の生産で使用する部品BHの払い出し等の指示を、保管倉庫4に対して行う。また作業指示部103は、部品監視部102からの情報に基づく作業指示(具体的には、保管倉庫4に対する補充用部品の払い出しの指示と、作業者OPに対する部品補充作業の指示)等を行う。
【0056】
情報管理部104は、第1の情報管理部104a、第2の情報管理部104b、識別情報生成部104cおよび保管位置情報生成部104dを備えている(図17)。第1の情報管理部104aは部品情報を管理し、第2の情報管理部104bは保管倉庫4内における部品BHの保管位置92Sの情報(保管位置情報)を管理する。具体的には、第1の情報管理部104aは、生成されたロール体27Rについての部品情報と識別情報とを関連付けた状態で記憶し、第2の情報管理部104bは、生成されたロール体27Rについての識別情報と保管位置92Sの情報(保管位置情報)とを関連付けた状態で記憶する。
【0057】
識別情報生成部104cは、キャリアテープ処理装置3において、軸部材抜き取り部77がロール体27Rから軸部材81を抜き取ったとき等に、そのロール体27Rについての識別情報を生成(発行)する。保管位置情報生成部104dは、ケース入りロール体41が保管倉庫4に保管される際に、そのケース入りロール体41の保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成する。
【0058】
図17に示すように、キャリアテープ処理装置3は処理装置制御部3Cを備えている。処理装置制御部3Cはキャリアテープ処理装置3が備えるキャリアテープ処理部62(ケース保持部71、キャリアテープ送り部72、ロール体作成部73の軸部材移動部82と軸部材駆動部83、計測部74(長さセンサ74A、部品カウンタ74B)、クランパ75、クランパ移動部75K、カッタ76、軸部材抜き取り部77)、ハンディスキャナ63および書き込み部64の制御を行う。また図17に示すように、保管倉庫4は倉庫制御部4Cを備えている。倉庫制御部4Cは、保管倉庫4が備える移動テーブル94、ケース移送機構95および非接触リーダ100の制御を行う。
【0059】
次に、図18に示すフローチャートに従って、キャリアテープ処理装置3によるケース入りロール体41の製造作業(キャリアテープ27の処理作業)の流れを説明する。これには先ず、キャリアテープ処理装置3の処理装置制御部3Cは、キャリアテープ供給部61のリール61Rに巻き付けられているキャリアテープ27の部品情報を取得する(ステップST1における部品情報取得工程)。ここでは、部品情報の取得は、作業者OPがハンディスキャナ63によって、キャリアテープ供給部61のリール61Rに貼り付けられたコードラベル61Lの識別子を読み取ることによって行うが(図7)、他の方法によってもよい。例えば、作業者OPが、処理装置制御部3Cに繋がる入力装置(図示せず)から、コードラベル61Lの内容に相当する入力を行うのであってもよい。
【0060】
ステップST1でキャリアテープ供給部61のリール61Rに巻き付けられているキャリアテープ27の部品情報を取得したら、処理装置制御部3Cは、ケース保持部71を作動させて、これからロール体27Rを収納させようとするケース42(空のケース42)を、リール61Rの下方の作業位置に位置決めする(ステップST2のケース位置決め工程)。そして、ケース42を作業位置に位置決めしたら、処理装置制御部3Cは、軸部材移動部82を作動させて、ケース保持部71によって保持されている空のケース42の(すなわち作業位置の)上方の所定位置に軸部材81を移動させる(ステップST3の軸部材上方移動工程。図8)。
【0061】
処理装置制御部3Cは、ステップST3で軸部材81をケース42の上方の所定位置に移動させたら、リール61Rを回転させてキャリアテープ27を下方に繰り出させながらキャリアテープ送り部72によってキャリアテープ27を下方に送り、そのキャリアテープ27の先端部27Tを軸部材81に保持させる(ステップST4のテープ保持工程)。このテープ保持工程は、図示しないロボット等によって、キャリアテープ27の先端部27Tを把持させたうえで、そのキャリアテープ27の先端部27Tを軸部材81とチャック部81Aの間に挿通させるようにする。そして、その後にチャック部81Aを作動させることで、軸部材81とチャック部81Aとの間にキャリアテープ27の先端部27Tが挟み込まれるようにする(図9図10)。
【0062】
処理装置制御部3Cは、キャリアテープ27の先端部27Tを軸部材81に保持させたら、軸部材移動部82を作動させて、軸部材81をケース保持部71によって作業位置に位置決めされたケース42のケース内位置に位置するように移動させる(ステップST5の軸部材下方移動工程。図10)そして、処理装置制御部3Cは、軸部材81をケース内に位置に位置させたら、キャリアテープ送り部72によってキャリアテープ供給部61からキャリアテープ27を下方に引き出す一方で(ステップST6のキャリアテープ引き出し工程)、軸部材駆動部83により軸部材81を回転させることによって、キャリアテープ27を軸部材81に巻き付けてロール状のロール体27Rを作成する(ステップST7のロール体作成工程。図11)。
【0063】
処理装置制御部3Cは、ステップST6のキャリアテープ引き出し工程とステップST7のロール体作成工程では、軸部材81を回転させて軸部材81にキャリアテープ27を巻き付け始めた後、計測部74を構成する長さセンサ74Aによって、キャリアテープ27が引き出された長さを計測し(或いは計測部74を構成する部品カウンタ74Bによって、引き出された部品BHの数を計測し)、キャリアテープ供給部61から引き出されたキャリアテープ27の長さが予め定められた所定の長さに達した(或いは、キャリアテープ供給部61から引き出された部品BHの数が予め定められた所定の数に達した)場合に、軸部材81の回転を停止させるようにする。
【0064】
処理装置制御部3Cは、ロール体27Rが作成されたら、クランパ75によってキャリアテープ27をクランプする(ステップST8のクランプ工程。図11図12)。そして、カッタ76を作動させて、キャリアテープ27を切断する(ステップST9の切断工程。図12図13)。
【0065】
このように本実施の形態において、キャリアテープ処理装置3の処理装置制御部3Cは、計測部74が予め指定されたキャリアテープ27の長さもしくは予め指定された部品BHの数を計測したら、切断部としてのカッタ76にキャリアテープ27の切断を実行させる切断制御部として機能するようになっている。なお、ここでは、処理装置制御部3Cは、長さセンサ74Aが予め指定されたキャリアテープ27の長さを計測したときにカッタ76にキャリアテープ27を切断させるようになっているが、部品カウンタ74Bが予め指定された部品の数を計測したときにカッタ76にキャリアテープ27を切断させるようになっていてもよい。
【0066】
処理装置制御部3Cは、カッタ76を作動させてキャリアテープ27を切断したら、クランパ移動部75Kを作動させ、前述の要領によって、カッタ76によって切断されたキャリアテープ27の切断端部27Eをケース42に設けられたテープ先端保持部42Kに固定する(ステップST10のテープ固定工程。図14(a)→図14(b))。
【0067】
処理装置制御部3Cは、ステップST10でキャリアテープ27の切断端部27Eをケース42に固定したら、クランパ75のベース部75aを上方移動させたうえで(図15)、軸部材移動部82を作動させて、ケース42から(ロール体27Rから)軸部材81を引き抜く。これにより軸部材81にキャリアテープ27が巻き付けられることによって作成されたロール体27Rが、ケース42に収納される(ステップST11のロール体収納工程)。このロール体収納工程により、ひとつの空のケース42に1個のロール体27Rが収納されることになる。
【0068】
ここで、上記のロール体作成工程(ステップST7)からロール体収納工程(ステップST11)までの一連の工程は、キャリアテープ引き出し工程で引き出したキャリアテープ27をロール状にしてケース42に収納するキャリアテープ処理工程となっている。
【0069】
処理装置制御部3Cは、ステップST11で軸部材81をケース42から抜き取るとき、管理コンピュータ6の識別情報生成部104cに、ケース42内のロール体27Rについての識別情報の生成を要請する。そして、処理装置制御部3Cから識別情報の生成を要請された識別情報生成部104cは、ケース42内のロール体27Rについての識別情報を生成する(ステップST12の識別情報生成工程)。
【0070】
ステップST12で識別情報生成部104cによって識別情報が生成されたら、処理装置制御部3Cは、その生成された識別情報を受け取る。そして、書き込み部64によって、ステップST1で取得した部品情報と、ステップST12で生成された識別情報を、ケース42(ロール体27Rが収納されているケース42)に取り付けられている無線タグ42Mに書き込む(ステップST13の書き込み工程)。
【0071】
処理装置制御部3Cは、部品情報と識別情報をケース42の無線タグ42Mに書き込んだら、その無線タグ42Mに書き込んだ情報(ロール体27Rについての部品情報および識別情報)を管理コンピュータ6に送信し、管理コンピュータ6の第1の情報管理部104aに、その情報(部品情報および識別情報)を記憶させる。これにより、ケース42内のロール体27Rについて、そのロール体27Rの固有の情報である識別情報と、そのロール体27Rに収納されている部品BHの情報である部品情報とが関連付けられた状態で管理コンピュータ6に登録される(ステップST14の部品情報登録工程)。
【0072】
処理装置制御部3Cは、ロール体27Rについての情報を管理コンピュータ6の第1の情報管理部104aに書き込んだら、製造しようとしているケース入りロール体41を全て製造したかどうかを判断する(ステップST15の終了判断工程)。そして、まだ全てのケース入りロール体41を製造していないと判断した場合にはステップST2に戻って新たにケース入りロール体41を製造し、全てのケース入りロール体41を製造したと判断した場合には、キャリアテープ処理装置3によるケース入りロール体41の製造(キャリアテープ27の処理作業)を終了する。
【0073】
次に、図19に示すフローチャートを用いて、ケース入りロール体41の保管作業の流れを説明する。これには先ず、保管倉庫4の倉庫制御部4Cが、筐体91に設けられた入口93から移動テーブル94を手前側に移動させる。そして、作業者OPが(あるいは図示しない移動ロボットが)、移動テーブル94にケース入りロール体41を載置する(ステップST21の載置工程。図19)。このときケース入りロール体41は、上方開口55が上を向き、かつ、前壁53が手前側(作業者OPの側)を向く姿勢で移動テーブル94に載置される。これによりケース42に設けられた無線タグ42Mは、手前側を向いた状態となる(図16)。
【0074】
移動テーブル94にケース入りロール体41が載置されたら、倉庫制御部4Cは移動テーブル94を作動させて、ケース入りロール体41を筐体91内に引き込む。ケース入りロール体41が筐体91内に引き込まれたら、倉庫制御部4Cは移動テーブル94に載置されているケース入りロール体41の手前側に移送ヘッド99を移動させる。そして、2つのフィンガ99Fを閉じるように作動させて、移送ヘッド99にケース入りロール体41を把持させる。このとき移送ヘッド99に設けられた非接触リーダ100はケース入りロール体41のケース42に設けられた無線タグ42Mと正対し、非接触リーダ100は無線タグ42Mに書き込まれている識別情報を読み取る(ステップST22の識別情報読み取り工程)。
【0075】
非接触リーダ100が無線タグ42Mに書き込まれている識別情報を読み取ったら、倉庫制御部4Cは、その非接触リーダ100が読み取った識別情報を管理コンピュータ6に送信する。そして、倉庫制御部4Cから識別情報の送信を受けた管理コンピュータ6は、保管位置情報生成部104dにおいて、その識別情報に対応するケース入りロール体41(非接触リーダ100が識別情報を読み取ったケース入りロール体41)の保管倉庫4内における保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成する(ステップST23の保管位置情報生成工程)。この保管位置92Sの特定は、その時点で空き状態となっている保管位置92Sの中から任意に或いは所定の規則に従って選択してなされる。
【0076】
ステップST23で保管位置情報生成部104dが保管位置情報を生成したら、管理コンピュータ6は、その生成された保管位置情報と、その保管位置情報に対応するケース入りロール体41の識別情報とを関連付けた状態で、第2の情報管理部104bに記憶させる。これにより、保管倉庫4に保管されようとしているケース入りロール体41について、そのロール体27Rの固有の情報である識別情報と、そのロール体27Rを含むケース入りロール体41の保管倉庫4内での保管位置の情報(保管位置情報)とが関連付けられた状態で管理コンピュータ6に登録される(ステップST24の保管位置情報登録工程)。
【0077】
管理コンピュータ6は、移動テーブル94に載置されたケース入りロール体41についての保管情報と識別情報とを関連付けた状態で第2の情報管理部104bに記憶させたら、ケース移送機構95を作動させて、移動テーブル94に載置されたケース入りロール体41を、保管位置情報に対応する保管位置92Sに移送して保管する(ステップST25の保管工程)。これによりケース入りロール体41の保管作業が終了する。
【0078】
このように、本実施の形態では、キャリアテープ供給部61のリール61Rから引き出したキャリアテープ27をロール状にしたロール体27Rをケース42に収納することで、ロール体27Rをケース入りロール体41として取り扱うことができるようになっている。ケース入りロール体41はリール付きのロール体よりも幅方向寸法を小さくしてコンパクト化を図ることができるうえ、ロール体27Rを(すなわちキャリアテープ27を)使い切った後にリールが廃棄物として残らないので作業性もよい。また、ケース42はそれ自体が安価であるだけでなく、リールと異なって再使用(使い回し)ができるので、その面でもコストを安価にすることができる。
【0079】
更に、本実施の形態では、ケース42に部品情報を記憶させることができる記憶部としての無線タグ42Mが設けられており、リール61Rに巻き付けられているキャリアテープ27の部品情報を無線タグ42Mに書き込んで記憶させることができる。また、部品情報とロール体27Rの固有の情報である識別情報とを関連付けられて記憶されせることができるので、ケース入りロール体41ひとつひとつの単位で部品情報を管理することが可能である。
【0080】
上述の部品実装システム1において、キャリアテープ処理装置3のキャリアテープ処理部62、部品情報読み取り部としてのハンディスキャナ63、書き込み部64、保管倉庫4(棚部92、ケース移送機構95、識別情報読み取り部としての非接触リーダ100)、情報管理部104(第1の情報管理部104a、第2の情報管理部104b、識別情報生成部104cおよび保管位置情報生成部104d)は部品管理装置110を構成している(図17)。
【0081】
この部品管理装置110を用いた部品BHの管理作業(部品管理方法)は、先ず、部品情報を取得し(部品情報取得工程)、識別情報を生成したうえで(識別情報生成工程)、これら部品情報と識別情報をケース42に設けられた無線タグ42Mに書き込み(書き込み工程)、その書き込んだ部品情報と識別情報とを関連付けて第1の情報管理部104aに記憶させる(部品情報登録工程)。そして、無線タグ42Mに書き込んだ識別情報を識別情報読み取り部(非接触リーダ100)によって読み取り(識別情報読み取り工程)、保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成したうえで(保管位置情報生成工程)、識別情報と保管位置情報とを関連付けて第2の情報管理部104bに記憶させる(保管位置情報登録工程)という手順で実行される。
【0082】
このような部品管理方法によれば、ケース入りロール体41についての部品情報と識別情報が関連付けて記憶されるほか、そのケース入りロール体41の識別情報と保管位置情報とが関連付けて記憶されるので、保管倉庫4におけるケース入りロール体41の保管および取り出しをスムーズに行うことができる。このため本実施の形態における部品管理装置110(部品管理方法)によれば、部品BHの入庫および出庫を簡単かつ効率よく行うことができる。
【0083】
図20は、本実施の形態における部品実装システム1におけるケース入りロール体41の運用のイメージを図示したものである。この図に示すように、本実施の形態におけるケース入りロール体41は、キャリアテープ27が巻き付けられたリール61Rとケース42がそれぞれキャリアテープ処理装置3に供給されることで製造される。キャリアテープ処理装置3で製造されたケース入りロール体41の一部は製造ライン2に送られて使用され、他の一部は保管倉庫4に保管(入庫)される。保管倉庫4に保管されたケース入りロール体41は、そこから出庫されて製造ライン2に送られ、使用される。そして、製造ライン2でケース入りロール体41のキャリアテープ27が使い切られることによって生じたケース42は回収されてキャリアテープ処理装置3に供給され、新たなケース入りロール体41の製造に再利用される。また、製造ライン2に送られたケース入りロール体41であって、キャリアテープ27がまだ使い切られていない状態のものの一部は、保管倉庫4に戻されて保管(入庫)される。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態のおけるキャリアテープ処理装置3(キャリアテープ処理方法)では、キャリアテープ供給部61のリール61Rから引き出したキャリアテープ27をロール状にしたロール体27Rをケース42に収納することで、ロール体27Rをケース入りロール体41として取り扱うことができるようになっている。ケース入りロール体41はリール付きのロール体よりも幅方向寸法を小さくしてコンパクト化を図ることができるうえ、ロール体27Rを(すなわちキャリアテープ27を)使い切った後にリールが廃棄物として残らないので作業性もよい。また、ケース42はそれ自体が安価であるだけでなく、リールと異なって再使用(使い回し)ができるので、その面でもコストを安価にすることができる。
【0085】
更に、本実施の形態では、ケース42に部品情報を記憶させることができる記憶部としての無線タグ42Mが設けられており、リール61Rに巻き付けられているキャリアテープ27の部品情報を無線タグ42Mに書き込んで記憶させることができ、また、部品情報とロール体27Rの固有の情報である識別情報とを関連付けられて記憶されせることができるので、ケース入りロール体41ひとつひとつの単位で部品情報を管理することが可能である。このため本実施の形態におけるキャリアテープ処理装置3(キャリアテープ処理方法)によれば、部品情報を管理しつつ、安価な構成でリールなしの部品供給形態を実現できる。
【0086】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態において示したキャリアテープ処理部62の具体的構成は例示に過ぎず、キャリアテープ27をキャリアテープ供給部61から引き出してロール状にしてケース42に収納することができれば、その構成は自由である。また、リール61Rには、一般的に流通している通常のリールからキャリアテープ27を巻き取ったものを使用してもよい。この場合、ハンディスキャナ63はリール61Rからではなく、通常のリールの識別子から部品情報を読み取るようにする。
【産業上の利用可能性】
【0087】
部品情報を管理しつつ、安価な構成でリールなしの部品供給形態を実現できるキャリアテープ処理装置およびキャリアテープ処理方法を提供する。
【符号の説明】
【0088】
3 キャリアテープ処理装置
3C 処理装置制御部(切断制御部)
27 キャリアテープ
27R ロール体
41 ケース入りロール体
42 ケース
42M 無線タグ(記憶部)
61 キャリアテープ供給部
62 キャリアテープ処理部
63 ハンディスキャナ(部品情報取得部)
64 書き込み部
74 計測部
76 カッタ(切断部)
77 軸部材抜き取り部
81 軸部材
104 情報管理部
104a 第1の情報管理部
104b 第2の情報管理部
104c 識別情報生成部
BH 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20