(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240823BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2020167822
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120724(JP,A)
【文献】特開2007-235018(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119142(WO,A1)
【文献】特開2016-058603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、
前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、
前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、
前記基台に設けられた複数の第1基準部と、
前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え
、
前記第2基準部は、前記実装ヘッドによる部品の実装作業中に前記撮像部によって撮像される位置に設けられている、部品実装装置。
【請求項2】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、
前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、
前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、
前記基台に設けられた複数の第1基準部と、
前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え、
前記第2基準部は、前記実装ヘッドに部品を供給する部品供給部から部品を受け取った前記実装ヘッドが、前記作業位置に保持された基板に移動する経路中に設けられている
、部品実装装置。
【請求項3】
前記第2基準部は、前記基板搬送部に設けられている、請求項1
または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、
前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、
前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、
前記基台に設けられた複数の第1基準部と、
前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え、
前記撮像部が前記複数の第1基準部を撮像する頻度は、前記第2基準部を撮像する頻度より低い
、部品実装装置。
【請求項5】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、
前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、
前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、
前記基板搬送部に設けられた複数の第2基準部と、
前記撮像部により撮像された前記複数の第2基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
撮像された前記複数の第2基準部のうちの一の第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記一の第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備える、部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記実装ヘッドに部品を供給する部品供給部から部品を受け取った前記実装ヘッドが、前記作業位置に保持された基板に移動する途中に前記撮像部が前記一の第2基準部を撮像できるように前記実装ヘッド移動機構を制御する、請求項
5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
基板に部品を実装する部品実装方法であって、
基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記基台に設けられた基板搬送部の作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと一体的に移動して下方を撮像する撮像部によって、前記基台に設けられた複数の第1基準部を撮像し、
撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出し、
前記複数の第1基準部が撮像される際に、前記撮像部により第2基準部を撮像し、
前記第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出し、
前記実装ヘッドが部品供給部から部品を受け取り、前記作業位置に保持された基板に前記部品を実装するまでの間に、前記撮像部により前記第2基準部を撮像し、
前記第1補正値と、前記第2補正値と、撮像された前記第2基準部の画像に基づいて、第3補正値を算出し、
算出された前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する、部品実装方法。
【請求項8】
前記第2基準部は、前記基板搬送部に設けられている、請求項
7に記載の部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装装置および部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置では、部品供給部から取り出した部品を実装ヘッドを実装ヘッド移動機構によって基板に搭載する部品実装動作が反復して実行される。このような部品実装動作における実装位置精度は一定ではなく、稼働時間の経過に伴う経時変化、例えば実装ヘッド移動機構において実装ヘッドを移動させるビームの経時的な熱変形によって変動する。
【0003】
この経時変化による実装位置精度の低下を防止するため、部品実装動作を反復する過程における経時変化を検出して補正する機能を備えた部品実装装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に示す先行技術例では、基台面において基板の周囲の複数点に固定的に設置された位置基準ポストを、実装ヘッドとともに移動するカメラによって撮像して位置認識した結果に基づき、ビームの経時的な変形状態を検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1を含む従来技術では、位置基準位置を撮像する位置補正動作は、部品実装動作とは異なる動作であるため、部品実装効率の低下を防止する観点から位置補正動作は所定の間隔(例えば、基板枚数毎)で実行していたため、次の問題点があった。すなわち、熱変形に起因する経時変化は1枚の基板における複数回の部品実装動作の間にも刻々と変化するものであるため、実装精度を向上させるために位置補正動作の頻度を増やすと部品実装効率が低下するという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、経時変化による実装位置のずれを適正に補正することができる部品実装装置および部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、前記基台に設けられた複数の第1基準部と、前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え、前記第2基準部は、前記実装ヘッドによる部品の実装作業中に前記撮像部によって撮像される位置に設けられている。
また、本発明の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、前記基台に設けられた複数の第1基準部と、前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え、前記第2基準部は、前記実装ヘッドに部品を供給する部品供給部から部品を受け取った前記実装ヘッドが、前記作業位置に保持された基板に移動する経路中に設けられている。
さらに、本発明の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、前記基台に設けられた複数の第1基準部と、前記撮像部により撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、前記複数の第1基準部を撮像した際に前記撮像部により撮像された第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備え、前記撮像部が前記複数の第1基準部を撮像する頻度は、前記第2基準部を撮像する頻度より低い。
【0008】
本発明の他の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、基台に設けられ、基板を搬送して作業位置に保持する基板搬送部と、前記基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドを移動させる実装ヘッド移動機構と、前記実装ヘッドと一体的に移動して、下方を撮像する撮像部と、前記基板搬送部に設けられた複数の第2基準部と、前記撮像部により撮像された前記複数の第2基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出する第1補正値算出部と、撮像された前記複数の第2基準部のうちの一の第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出する第2補正値算出部と、前記第1補正値と、前記第2補正値と、その後に撮像された前記一の第2基準部の画像に基づき第3補正値を算出する第3補正値算出部と、前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが基板の実装点に部品を実装するように前記実装ヘッド移動機構を制御する制御部を備える。
【0009】
本発明の部品実装方法は、基板に部品を実装する部品実装方法であって、基台に対して相対的に移動可能に設けられ、前記基台に設けられた基板搬送部の作業位置に保持された基板の実装点に部品を実装する実装ヘッドと一体的に移動して下方を撮像する撮像部によって、前記基台に設けられた複数の第1基準部を撮像し、撮像された前記複数の第1基準部の画像に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する際の第1補正値を算出し、前記複数の第1基準部が撮像される際に、前記撮像部により第2基準部を撮像し、前記第2基準部の画像に基づいて、第2補正値を算出し、前記実装ヘッドが部品供給部から部品を受け取り、前記作業位置に保持された基板に前記部品を実装するまでの間に、前記撮像部により前記第2基準部を撮像し、前記第1補正値と、前記第2補正値と、撮像された前記第2基準部の画像に基づいて、第3補正値を算出し、算出された前記第3補正値に基づいて、前記実装ヘッドが前記実装点に部品を実装する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、経時変化による実装位置のずれを適正に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装装置における第1基準部と第2基準部の撮像の説明図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置における(a)第1補正値の説明図(b)第2補正値の説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置における部品実装の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置における第3補正値の説明図
【
図7】本発明の第1実施の形態の部品実装方法を示すフロー図
【
図8】本発明の第2実施の形態の部品実装方法を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
図3(a)では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図3(a)における上下方向)が示される。
【0014】
まず
図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1は同様の構成をしており、以下、部品実装装置1について説明する。基台2の中央には、基板搬送部3がX方向に設置されている。基板搬送部3は並行に設置された2条の搬送レール3aを含んで構成され、上流側から搬入された基板BをX方向に搬送し、部品実装作業を実行するために設定された作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送部3は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。このように、基板搬送部3は、基台2に設けられ、基板Bを搬送して作業位置に保持する。
【0015】
基板搬送部3の両側方には、部品供給部4が設置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ6がX方向に並列に装着された台車5が取り付けられている。テープフィーダ6は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送部3に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
【0016】
図1において、基台2の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル7が配置されている。Y軸テーブル7には、同様にリニア機構を備えた2基のビーム8が、それぞれY方向に移動自在に結合されている。ビーム8には、それぞれ実装ヘッド9がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド9の下端部には、部品Dを吸着保持するノズル9aが装着されている(
図3(a)参照)。実装ヘッド9は、ノズル9aを昇降させ、Z軸を回転軸として回転させる。なお、実装ヘッド9、ノズル9aの代わりに、部品Dの側面を挟んで保持する一対のチャックを備えてもよい。
【0017】
Y軸テーブル7およびビーム8は実装ヘッド9を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構10を構成する。実装ヘッド9と実装ヘッド移動機構10、実装ヘッド9に装着されているノズル9aによって部品供給部4に装着されているテープフィーダ6から部品Dを取り出し、基板搬送部3の作業位置に保持された基板Bの実装点に移送する部品実装作業を実行する。このように、実装ヘッド9は、基台2に対して相対的に移動可能に設けられ、作業位置に保持された基板Bの実装点に部品Dを実装する。
【0018】
図1において、ビーム8には、ビーム8の下面側に位置して実装ヘッド9とともに一体的に移動するヘッドカメラ11がそれぞれ装着されている。実装ヘッド9が移動することにより、ヘッドカメラ11は基板搬送部3の作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。このように、ヘッドカメラ11は、実装ヘッド9と一体的に移動して、下方を撮像する撮像部である。
【0019】
部品供給部4と基板搬送部3との間には、部品認識カメラ12が設置されている。部品供給部4からノズル9aにより部品Dを取り出した実装ヘッド9が部品認識カメラ12の上方を移動する際に、部品認識カメラ12は実装ヘッド9のノズル9aに保持された部品Dを撮像して部品Dの保持位置を認識する。実装ヘッド9による部品Dの基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ11による基板Bの認識結果と部品認識カメラ12による部品Dの認識結果とを加味して実装点の補正が行われる。
【0020】
実装ヘッド9を実装ヘッド移動機構10によって移動させ、部品Dを部品供給部4から取り出して基板Bに移送搭載する部品実装作業では、実装ヘッド9を部品供給部4と基板Bとの間で反復して移動させる実装ターンが高頻度で実行される。この反復動作によって、実装ヘッド移動機構10を構成するY軸テーブル7、ビーム8のリニア駆動機構や摺動部から熱が発生し、Y軸テーブル7、ビーム8が熱膨張して曲がったりねじれたりする熱変形が生じる。この熱変形は、Y軸テーブル7、ビーム8の発熱と放熱で定まる温度に依存するため経時的に変化する。
【0021】
Y軸テーブル7、ビーム8が熱変形すると、実際にノズル9aが部品Dを基板Bに実装する実装点と、Y軸テーブル7、ビーム8に熱変形などが発生していない理想状態の実装点(以下「理想実装点」と称する。)との間に位置ずれが生じる。この位置ずれなどを検出するために、基板搬送部3の周辺に複数の第1基準部13と第2基準部14が設けられている。
【0022】
図1、
図3(a)において、基台2の上面には、基板搬送部3に位置決めされた状態の基板Bを周囲から囲む配置で、4つの第1基準部13が立設されている。第1基準部13は、実装ヘッド9の水平方向の位置ずれを検出するためのものである。第1基準部13は基台2に設けられているため、実装ヘッド移動機構10の熱変形の影響を受けにくい。第1基準部13には、時計回りに(1)~(4)の番号が付番されており、それぞれを個別に特定できるようになっている。実装ヘッド9とともに移動するヘッドカメラ11によって第1基準部13(1)~13(4)を撮像し、理想状態の位置との比較を行うことにより、実装ヘッド9の水平方向の位置ずれが検出される。
【0023】
搬送レール3aの上面には、基板搬送部3に位置決めされた状態の基板Bを周囲から囲む配置で、6つの第2基準部14が設けられている。第2基準部14は、実装ヘッド9の水平方向の位置ずれを検出するためのものである。第2基準部14には、時計回りに(1)~(6)の番号が付番されており、それぞれを個別に特定できるようになっている。ヘッドカメラ11によって第2基準部14(1)~14(4)を撮像し、理想状態の位置との比較を行うことにより、実装ヘッド9の水平方向の位置ずれが検出される。
【0024】
このように、部品実装装置1は、基台2に設けられた複数の第1基準部13(1)~13(4)と、基板搬送部3に設けられた複数の第2基準部14(1)~14(6)を備えている。なお、ここに示す第1基準部13(1)~13(4)と第2基準部14(1)~14(4)の数、および配置は一例であり、部品実装装置1の構成、サイズに応じて適宜変更される。
【0025】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される入力部である操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0026】
次に
図2を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置20、基板搬送部3、テープフィーダ6、実装ヘッド9、実装ヘッド移動機構10、ヘッドカメラ11、部品認識カメラ12、タッチパネル15を備えている。制御装置20は、記憶部21、実装制御部22、撮像処理部23、第1補正値算出部24、第2補正値算出部25、第3補正値算出部26を備えている。
【0027】
記憶部21は記憶装置であり、実装データ27、基準部情報データ28、第1補正値データ29、第2補正値データ30などが記憶されている。実装データ27には、基板Bに実装される部品Dの部品種やサイズ、基板Bにおける実装点の座標(以下、単に「基板座標」と称する。)などの各種情報が、生産する実装基板の基板種ごとに記憶されている。基準部情報データ28には、部品実装装置1における第1基準部13(1)~13(4)および第2基準部14(1)~14(4)の座標などの情報が記憶されている。部品実装装置1における第1基準部13(1)~13(4)などの座標(以下、単に「装置座標」と称する。)は、例えば、基台2に設定された所定の原点からのX座標、Y座標、Z座標で指定される。
【0028】
図2において、撮像処理部23は、基準部情報データ28に基づいて、実装ヘッド移動機構10、ヘッドカメラ11(撮像部)を制御して、第1基準部13(1)~13(4)および第2基準部14(1)~14(4)を撮像させる。
図3(a)は、撮像処理部23が実装ヘッド移動機構10を制御して、ヘッドカメラ11を撮像対象の第1基準部13の上方に位置させた状態を示している。撮像処理部23は、基準部情報データ28に含まれる第1基準部13の装置座標に基づいて、ヘッドカメラ11の中心が第1基準部13の中心に位置するようにヘッドカメラ11を移動させる。そして、ヘッドカメラ11によって第1基準部13を撮像することにより、
図4(a)に示す撮像画像11aが得られる。
【0029】
図4(a)において、ヘッドカメラ11の撮像画像11aには、第1基準部13の上面を示す実線の画像が表示されている。この時の第1基準部13は、経時変化による変位状態に応じた位置ずれベクトルP(X方向成分px、Y方向成分py)だけ、撮像画像11aの光学座標原点から位置ずれした状態で現れる。すなわち、実装ヘッド9が位置ずれしていない状態では、撮像画像11aにおける第1基準部13の画像は光学座標系の原点に一致して現れる(図中に点線で示す状態)。そして、実装ヘッド9の位置ずれ量が大きいほど第1基準部13の位置ずれ状態を示す位置ずれベクトルPは大きくなる。
【0030】
図3(b)に示すように、この第1基準部13を対象とした撮像は、基板Bを囲んで配置された4つの第1基準部13(1)~13(4)について実行される。すなわち、撮像処理部23は、ヘッドカメラ11を順次移動させて、第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11aを撮像する。同様に、撮像処理部23は、ヘッドカメラ11を順次移動させて、第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aを撮像する。
【0031】
図2において、第1補正値算出部24は、4つの第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11aに基づいて、基板搬送部3の作業位置に保持された基板Bの実装点の部品Dを実装する際に、実装ヘッド移動機構10の経時変化を補正するための第1補正値Sを算出する。具体的には、第1補正値算出部24は、4つの第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11aから4つの位置ずれベクトルP(1)~P(4)を算出する。そして、基板Bの実装点における4つの位置ずれベクトルP(1)~P(4)の合成ベクトルを打ち消す補正量を第1補正値Sとして算出する。
【0032】
すなわち、第1補正値Sは、基板Bの実装点毎に算出される。算出された第1補正値Sは、第1補正値データ29として記憶部21に記憶される。なお、第1補正値算出部24は、4つの位置ずれベクトルP(1)~P(4)の平均を算出し、この平均ベクトルを打ち消す補正量を第1補正値Sとして算出し、全ての実装点に適用するようにしてもよい。このように、第1補正値算出部24は、ヘッドカメラ11(撮像部)により撮像された複数の第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11aに基づいて、実装ヘッド9が実装点に部品Dを実装する際の第1補正値Sを算出する。
【0033】
図4(b)は、ヘッドカメラ11によって撮像された第2基準部14の撮像画像11aの例を示している。撮像画像11aに実線で示す第2基準部14の画像は、経時変化により、点線で示す位置ずれしていない状態の第2基準部14の画像からX方向にqx、Y方向にqyだけ変位している。
図2において、第2補正値算出部25は、複数の第1基準部13(1)~13(4)を撮像した際にヘッドカメラ11(撮像部)により撮像された第2基準部14(1)~14(6)の画像に基づいて、第2補正値T(qx,qy)を算出する。
【0034】
すなわち、第2補正値Tは、第2基準部14(1)~14(6)毎に算出される。算出された第2補正値Tは、第2補正値データ30として記憶部21に記憶される。なお、第1補正値算出部24は、ヘッドカメラ11(撮像部)により撮像された複数の第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aに基づいて、実装ヘッド9が実装点に部品Dを実装する際の第1補正値Sを算出してもよい。この場合、ヘッドカメラ11は、第1基準部13(1)~13(4)を撮像する必要はない。
【0035】
図2において、実装制御部22は、実装データ27、基準部情報データ28に基づいて実装ヘッド9、実装ヘッド移動機構10、ヘッドカメラ11、部品認識カメラ12を制御して、実装ヘッド9のノズル9aにより部品供給部4のテープフィーダ6から部品Dを受け取り、作業位置に保持された基板Bに部品Dを実装する部品実装動作を実行させる。
【0036】
ここで
図5を参照して、部品実装動作の詳細について説明する。まず、部品供給部4に装着されたテープフィーダ6Aが供給する部品Dを、基板Bの実装点K1に実装する例を説明する。基板Bの実装点K1,K2の周囲には、ランドEが形成されている。ランドEは、部品Dの端子と接合される基板Bに形成された電極である。実装制御部22は、テープフィーダ6Aの部品取出し位置に供給されている部品Dをノズル9aで取り出し、部品Dを保持するノズル9aを部品認識カメラ12の横に移動させる(矢印a)。
【0037】
次いで実装制御部22は、部品Dを保持するノズル9aを部品認識カメラ12の上を横方向(X方向)に移動させながら(矢印b)、部品認識カメラ12にノズル9aに保持された部品Dを撮像させる。部品認識カメラ12による撮像結果から、ノズル9aが保持する部品Dの吸着位置が認識される。次いで実装制御部22は、ヘッドカメラ11を第2基準部14(4)の上方に移動させ(矢印c)、ヘッドカメラ11により第2基準部14(4)を撮像させた後、部品Dを保持するノズル9aを実装点K1の上方に移動させる(矢印d)。
【0038】
図2において、第3補正値算出部26は、ヘッドカメラ11(撮像部)により撮像された第2基準部14(4)の撮像画像11aと、記憶部21に記憶されている第1補正値データ29に含まれる実装点K1の第1補正値Sと第2補正値データ30に含まれる第2基準部14(4)の第2補正値Tに基づいて、基板搬送部3の作業位置に保持された基板Bの実装点K1に部品Dを実装する際に使用される第3補正値Uを算出する。
【0039】
図6は、部品実装動作中にヘッドカメラ11により撮像された撮像画像11aを示している。撮像画像11aには、撮像された現在の第2基準部14(4)の画像が実線で、第2補正値T(qx,qy)が算出された際に撮像された基準の第2基準部14(4)が点線で表示されている。現在の第2基準部14(4)の画像は、光学座標原点から(rx,ry)の位置にある。すなわち、現在の第2基準部14(4)は、基準の第2基準部14(4)の位置から、X方向にqx-rx、Y方向にqy-ryだけ、その後の経時変化により移動している。
【0040】
そこで、第3補正値算出部26は、基準となる第2基準部14(4)を撮像した時に算出した実装点K1の第1補正値S(ΔX1,ΔY1)に、その後の経時変化を加味して、第3補正値U(ΔX1-qx+rx,ΔY1-qy+ry)を算出する。このように、第3補正値算出部26は、実装点K1の第1補正値S(ΔX1,ΔY1)と、第2基準部14(4)の第2補正値T(qx,qy)と、その後に撮像された第2基準部14(4)の画像(rx,ry)に基づき、実装点K1の第3補正値U(ΔX1-qx+rx,ΔY1-qy+ry)を算出する。
【0041】
図5において、実装制御部22(制御部)は、実装点K1の第3補正値U(ΔX1-qx+rx,ΔY1-qy+ry)と部品認識カメラ12により認識された部品Dの吸着位置に基づいて、実装ヘッド9が基板Bの実装点K1に部品Dを実装するように実装ヘッド移動機構10を制御する。これにより、経時変化による現状の実装点K1のずれを精度よく補正することができる。
【0042】
また、テープフィーダ6Bが供給する部品Dを、基板Bの実装点K2に実装する場合、実装制御部22は、テープフィーダ6Bから部品Dを取り出したノズル9aを部品認識カメラ12の横に移動させ(矢印e)、部品認識カメラ12にノズル9aに保持された部品Dを撮像させる(矢印b)。次いで実装制御部22は、ヘッドカメラ11を第2基準部14(5)の上方に移動させ(矢印f)、ヘッドカメラ11により第2基準部14(5)を撮像させた後、部品Dを保持するノズル9aを実装点K2の上方に移動させる(矢印g)。
【0043】
第3補正値算出部26は、実装点K2の第1補正値Sと、第2基準部14(5)の第2補正値Tと、その後に撮像された第2基準部14(5)の画像に基づき第3補正値Uを算出する。そして、実装制御部22(制御部)は、実装点K2の第3補正値Uと部品認識カメラ12により認識された部品Dの吸着位置に基づいて、実装ヘッド9が基板Bの実装点K2に部品Dを実装するように実装ヘッド移動機構10を制御する。
【0044】
図5において、第2基準部14(1)~14(6)は、実装ヘッド9に部品Dを供給する部品供給部4から部品Dを受け取った実装ヘッド9が、作業位置に保持された基板Bに移動する経路(例えば、矢印cから矢印d、または矢印fから矢印g)中に設けられている。すなわち、第2基準部14(1)~14(6)は、実装ヘッド9による部品Dの実装作業中(部品実装動作中)にヘッドカメラ11(撮像部)によって撮像される位置に設けられている。
【0045】
そして、実装制御部22(制御部)は、実装ヘッド9が部品供給部4から部品Dを受け取る位置と、基板Bの実装点K1,K2の位置に基づいて、部品実装動作中にヘッドカメラ11に撮像させる第2基準部14(1)~14(6)を選択する。また、第3補正値算出部26は、選択された第2基準部14(1)~14(6)の第2補正値Sに基づいて、第3補正値Uを算出する。
【0046】
次に
図7のフローに沿って、
図5を参照しながら、基板Bに部品Dを実装する第1実施の形態の部品実装方法について説明する。まず、撮像処理部23は、ヘッドカメラ11(撮像部)によって、基台2に設けられた複数の第1基準部13(1)~13(4)を撮像させる(ST1)。次いで第1補正値算出部24は、撮像された複数の第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11a(
図4(a))に基づいて、実装ヘッド9が実装点K1,K2に部品Dを実装する際の第1補正値Sを算出する(ST2)。算出された第1補正値Sは第1補正値データ29として記憶部21に記憶される。
【0047】
次いで撮像処理部23は、ヘッドカメラ11(撮像部)により第2基準部14(1)~14(6)を撮像させる(ST3)。すなわち、複数の第1基準部13(1)~13(4)が撮像される際(ST1)、または、第1補正値Sの算出中(ST2)に、ヘッドカメラ11により第2基準部14(1)~14(6)が撮像される(ST3)。次いで第2補正値算出部25は、第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11a(
図4(b))に基づいて、第2補正値Tをそれぞれ算出する(ST4:第2補正値算出工程)。算出された第2補正値Tは第2補正値データ30として記憶部21に記憶される。
【0048】
図7において、次いで基板搬送部3により基板Bが作業位置に搬入されて保持される(ST5:基板搬入工程)。次いで実装制御部22は、部品供給部4のテープフィーダ6Aが供給する部品Dをノズル9aで吸着して取り出し(ST6:部品吸着工程)、部品認識カメラ12でノズル9aが保持する部品Dを撮像させる(ST7)(
図5の矢印a、矢印b)。次いで実装制御部22は、ヘッドカメラ11(撮像部)を第2基準部14(4)の上方に移動させ(
図5の矢印c)、ヘッドカメラ11により第2基準部14(4)を撮像させる(ST8)。次いで第3補正値算出部26は、実装点K1の第1補正値Sと、第2基準部14(4)の第2補正値Tと、撮像された第2基準部14(4)の画像に基づいて、実装点K1の第3補正値Uを算出する(ST9:第3補正値算出工程)。
【0049】
次いで実装制御部22は、部品Dを保持するノズル9aを実装点K1の上方に移動させ(
図5の矢印d)、算出された実装点K1の第3補正値Uに基づいて、実装点K1に部品Dを実装させる(ST10:部品実装工程)。このように、実装ヘッド9が部品供給部4から部品Dを受け取り、作業位置に保持された基板Bの実装点K1に部品Dを実装するまでの間に(ST6~ST10)、ヘッドカメラ11(撮像部)により、第2基準部14(4)を撮像する(ST8)。これにより、ヘッドカメラ11が第2基準部14(4)の上方に移動することで追加される移動時間の増加が抑制できる。
【0050】
図7において、全ての部品Dが基板Bに実装されたか否かが判断される(ST11)。実装していない部品Dがある場合(ST11においてNo)、部品吸着工程(ST6)に戻って、次の部品Dが基板Bに装着される。
図5の例では、次の部品Dがテープフィーダ6Bから取りされ(ST6)、部品認識カメラ12で撮像され(ST7)、第2基準部14(5)の上方に移動し(矢印f)、ヘッドカメラ11で第2基準部14(5)が撮像される(ST8)。次いで実装点K2の第1補正値Sと、第2基準部14(5)の第2補正値Tと、撮像された第2基準部14(5)の画像より実装点K2の第3補正値Uが算出され(ST9)、算出された第3補正値Uに基づいて、実装点K2に部品Dが実装される(ST10)。
【0051】
図7において、全ての部品Dの基板Bへの実装が終了すると(ST11においてYes)、基板搬送部3により実装が終了した基板Bが搬出される(ST12:基板搬出工程)。未実装の基板Bがある場合は、基板搬入工程(ST5)に戻り、次の基板Bに対する部品実装作業が行われる(ST6~ST12)。所定枚数(例えば10枚)の基板Bの部品実装作業が終わると、(ST1)に戻って、現在の部品実装装置1における第1補正値S、第2補正値Tが取得される(ST1~ST4)。
【0052】
以降は、新たに取得された第1補正値S、第2補正値Tに基づいて、第3補正値Uが算出される。このように、ヘッドカメラ11(撮像部)が複数の第1基準部13(1)~13(4)を撮像する頻度(ST1)は、第2基準部14(1)~14(6)を撮像する頻度(ST3、ST8)より低い。これによって、部品実装効率の低下を抑えて経時変化による実装点K1,K2のずれを補正することができる。
【0053】
次に
図8のフローに沿って、基板Bに部品Dを実装する第2実施の形態の部品実装方法について説明する。第2実施の形態の部品実装方法は、第1補正値Sを複数の第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aに基づいて算出するところが第1実施の形態の部品実装方法とは異なる。以下、第1実施の形態の部品実装方法と同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。まず、撮像処理部23は、ヘッドカメラ11(撮像部)によって、基板搬送部3に設けられた複数の第2基準部14(1)~14(6)を撮像させる(ST21)。
【0054】
次いで第1補正値算出部24は、撮像された複数の第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aに基づいて、実装ヘッド9が実装点K1,K2に部品Dを実装する際の第1補正値Sを算出する(ST22)。算出された第1補正値Sは第1補正値データ29として記憶部21に記憶される。次いで第2補正値算出工程(ST4)が実行され、第2補正値Tが算出される。次いで基板搬入工程(ST5)、部品吸着工程(ST6)が実行される。次いで、実装制御部22は、ヘッドカメラ11(撮像部)を複数の第2基準部14(1)~14(6)のうちの一の第2基準部14(4)の上方に移動させ(
図5の矢印c)、ヘッドカメラ11により一の第2基準部14(4)を撮像させる(ST23)。
【0055】
図8において、次いで第3補正値算出工程(ST9)が実行され、実装点K1の第1補正値Sと、第2基準部14(4)の第2補正値Tと、撮像された一の第2基準部14(4)の画像に基づいて、実装点K1の第3補正値Uが算出される。次いで部品実装工程(ST10)が実行され、基板Bに実装していない部品Dがある場合(ST11においてNo)、部品吸着工程(ST6)に戻って、次の部品Dが基板Bに装着される。そして、全ての部品Dの基板Bへの実装が終了すると(ST11においてYes)、基板搬出工程(ST12)が実行される。
【0056】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、実装ヘッド9と一体的に移動する撮像部(ヘッドカメラ11)により撮像された、複数の第1基準部13(1)~13(4)の撮像画像11aに基づき算出された実装ヘッド9が実装点K1,K2に部品Dを実装する際の第1補正値Sと、第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aに基づき算出された第2補正値Tと、その後に撮像された第2基準部14(1)~14(6)の撮像画像11aに基づき算出された第3補正値Uに基づいて、制御部(実装制御部22)が実装ヘッド9が基板Bの実装点K1,K2に部品Dを実装するように実装ヘッド移動機構10を制御する。これによって、経時変化による実装点K1,K2のずれを適正に補正することができる。
【0057】
なお、上記で説明した第2基準部14(1)~14(6)は、基板搬送部3の搬送レール3aに形成されていたが、第2基準部14(1)~14(6)はこれに限定されることはない。すなわち、第2基準部14(1)~14(6)は、基台2または基台2に設けられた部材に設けられ、部品供給部4から部品Dを受け取った実装ヘッド9が作業位置に保持された基板Bの実装点K1,K2の上方に移動する経路中にあればよい。例えば、第2基準部14(1)~14(6)は、基台2に設けられた部品認識カメラ12に設けられても、台車5が取り付けられる基台2の接続部分に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の部品実装装置および部品実装方法は、経時変化による実装点のずれを適正に補正することができるという効果を有し、部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 部品実装装置
2 基台
3 基板搬送部
9 実装ヘッド
10 実装ヘッド移動機構
11 ヘッドカメラ(撮像部)
13(1)~13(4) 第1基準部
14(1)~14(6) 第2基準部
B 基板
D 部品
K1,K2 実装点