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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】接合アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/16 20060101AFI20240823BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F16B21/16 Z
F16B5/02 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019224127
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2020193707
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】16/421,937
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.ザフェッティ
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002077(JP,A)
【文献】特開2009-019700(JP,A)
【文献】実開昭49-142102(JP,U)
【文献】特開2003-314520(JP,A)
【文献】実開昭57-89012(JP,U)
【文献】特表2016-503508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/16
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接合構成要素と、
複数の第2の接合構成要素と、
第1の接合構成要素の第1の側を第2の接合構成要素の一つにボルト留めする複数の第1のボルト、および、第1の接合構成要素の第2の側を第2の接合構成要素の他の一つにボルト留めする複数の第2のボルト、と、
前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素とをともにボルト留めできるように、前記第1の接合構成要素の前記第1の側と前記第2の接合構成要素の一つとを整列させる第1の整列ピン、および、前記第1の接合構成要素の前記第2の側と前記第2の接合構成要素の他の一つとを整列させる第2の整列ピン、を含む複数の整列ピンと、を備え、
前記整列ピンの各々が、前記整列ピンに特定の負荷が印加された際に、降伏が生じるように構成されており、
前記特定の負荷の大きさが、ボルト留めが完了した後に、前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素との間を、前記複数の第1,第2のボルトを通して伝達されると予期される負荷の大きさよりも小であり、
ここで、前記第1の接合構成要素は、宇宙船の構成要素であり、前記第2の接合構成要素は、宇宙船の胴体に固定された取付けブラケットであり、
前記の予期される負荷は、宇宙船発射時の慣性負荷および熱的負荷である、
接合アセンブリ。
【請求項2】
前記整列ピンが、前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素とのそれぞれの接合表面においてノッチが形成されている、請求項1に記載の接合アセンブリ。
【請求項3】
前記整列ピンの材料が、前記第1の接合構成要素の材料及び前記第2の接合構成要素の材料、ならびに、前記ボルトの材料よりも低い降伏強度を有する、請求項1に記載の接合アセンブリ。
【請求項4】
前記整列ピンは、
前記第1の接合構成要素に密にフィット可能である第1の端部と、前記第2の接合構成要素に密にフィット可能である第2の端部とを有する本体と、
ボルト留めの前に、前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素との整列を促し、前記本体に前記特定の負荷が印加されると前記本体に降伏を生じさせるように構成された前記本体の機何学形状と、
備える、請求項1に記載の接合アセンブリ
【請求項5】
前記整列ピンが、剛性または準剛性の材料を含む、請求項4に記載の接合アセンブリ
【請求項6】
前記整列ピンが、前記第1の端部から前記第2の端部まで、実質的に直線状である、請求項4に記載の接合アセンブリ
【請求項7】
前記第1の端部にテーパが付されており、前記第2の端部にテーパが付されている、請求項4に記載の接合アセンブリ
【請求項8】
前記整列ピンが中空である、請求項4に記載の接合アセンブリ
【請求項9】
前記整列ピンが、前記第1の端部と前記第2の端部との間にノッチを有する、請求項4に記載の接合アセンブリ
【請求項10】
前記ノッチが、前記本体の外周全体の周りに延びている、請求項9に記載の接合アセンブリ
【請求項11】
前記本体が、前記第1の端部及び前記第2の端部において実質的に一様な直径を有し、前記ノッチにおいて低減された直径を有する、請求項10に記載の接合アセンブリ
【請求項12】
前記整列ピンは、
前記第1の接合構成要素に密にフィット可能である第1の端部と、前記第2の接合構成要素に密にフィット可能である第2の端部とを有する本体であって、前記本体が、ある降伏強度を有する材料で形成され、それにより、前記本体に前記特定の負荷が印加された際に、前記本体に降伏が生じるようになっている、前記本体、
備える、請求項1に記載の接合アセンブリ
【請求項13】
前記整列ピンが、前記第1の端部から前記第2の端部まで、実質的に直線状である、請求項12に記載の接合アセンブリ
【請求項14】
前記第1の端部にテーパが付されており、前記第2の端部にテーパが付されている、請求項12に記載の接合アセンブリ
【請求項15】
前記整列ピンが中空である、請求項12に記載の接合アセンブリ
【請求項16】
前記整列ピンの材料が、前記第1の接合構成要素の材料及び前記第2の接合構成要素の材料よりも低い降伏強度を有する、請求項12に記載の接合アセンブリ
【請求項17】
前記整列ピンの材料が、前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素とをともにボルト留めする第1,第2のボルトの材料よりも低い降伏強度を有する、請求項12に記載の接合アセンブリ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の詳細な説明は、整列ピンに関し、より詳細には、構成要素を、この構成要素がボルトで留められることになる取付けブラケットに対して整列させる際に使用するための、フューズ整列ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
整列ピンは、構成要素を、この構成要素がボルトで留められることになる取付けブラケットに対して整列させるために使用することができる。整列ピンは、ボルト接続のみで別様に可能であるような整列よりも正確な整列を可能にし、そのような正確さは、しばしば、ボルトで留める前に、取付けブラケットの、接合する取付け表面に対して構成要素を正確に配置するために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、整列ピンは、鋼または他の強力な材料で形成されている。したがって、ボルト留めが完了した後に整列ピンが定位置に置かれる場合、整列ピンの位置は、負荷の経路として作用することができる。この負荷の経路は、構成要素及び取付けブラケットを通る、意図された負荷の経路を変更し、ひいては、負荷の結果として、構成要素及び取付けブラケットのどこに応力が生じるかを変更する。
【0004】
有効な負荷の経路として作用することに加え、ボルト留めの後に元のままである整列ピンは、異なる熱環境に曝される間、拘束手段として作用することができる。この方法で、整列ピンは、ボルト接続のエリア以外のエリアにおいて、構成要素または取付けブラケットの熱膨張を制限することができ、こうして、通常は存在しない、構成要素または取付けブラケットの応力を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様によれば、接合アセンブリが提供され、第1の接合構成要素と、複数の第2の接合構成要素と、第1の接合構成要素の第1の側を第2の接合構成要素の一つにボルト留めする複数の第1のボルト、および、第1の接合構成要素の第2の側を第2の接合構成要素の他の一つにボルト留めする複数の第2のボルト、と、整列ピンとを含んでいる。整列ピンは、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とをともにボルト留めできるように、第1の接合構成要素の前記第1の側と第2の接合構成要素の一つとを整列させる第1の整列ピン、および、前記第1の接合構成要素の前記第2の側と前記第2の接合構成要素の他の一つとを整列させる第2の整列ピン、を含んでいる。整列ピンの各々は、整列ピンに特定の負荷が印加された際に、降伏が生じるように構成されている。特定の負荷の大きさは、ボルト留めが完了した後に、前記第1の接合構成要素と前記第2の接合構成要素との間を、前記複数の第1,第2のボルトを通して伝達されると予期される負荷の大きさよりも小である。第1の接合構成要素は、宇宙船の構成要素であり、第2の接合構成要素は、宇宙船の胴体に固定された取付けブラケットであり、前記の予期される負荷は、宇宙船発射時の慣性負荷および熱的負荷である。
【0006】
追加的または代替的な実施形態によれば、第1の接合構成要素は、乗り物構成要素を含み、第2の接合構成要素は、取付けブラケットを備えている。
【0007】
追加的または代替的な実施形態によれば、ボルトは、複数のボルトとして設けられ、整列ピンは、複数の整列ピンとして設けられている。
【0008】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とのそれぞれの接合表面においてノッチが形成されている。
【0009】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンの材料は、第1の接合構成要素の材料及び第2の接合構成要素の材料、ならびに、ボルトの材料よりも低い降伏強度を有する。
【0010】
本開示の別の態様によれば、整列ピンが、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とをともにボルト留めできるように、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とを整列させるために設けられる。整列ピンは、第1の接合構成要素に密にフィット可能である第1の端部と、第2の接合構成要素に密にフィット可能である第2の端部とを有する本体を含んでいる。本体の機何学形状は、ボルト留めの前に、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素との整列を促し、本体に特定の負荷が印加された際に本体に降伏を生じさせるように構成されている。特定の負荷の大きさは、ボルト留めが完了した後に、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素との間で伝達されると予期される負荷の大きさよりも小である。
【0011】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは、剛性または準剛性の材料を含んでいる。
【0012】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは、第1の端部から第2の端部まで、実質的に直線状である。
【0013】
追加的または代替的な実施形態によれば、第1の端部にはテーパが付されており、第2の端部にはテーパが付されている。
【0014】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは中空である。
【0015】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは、第1の端部と第2の端部との間にノッチを有する。
【0016】
追加的または代替的な実施形態によれば、ノッチは、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とのそれぞれの接合表面に位置している。
【0017】
追加的または代替的な実施形態によれば、ノッチは、本体の外周全体の周りに延びている。
【0018】
追加的または代替的な実施形態によれば、本体は、第1の端部及び第2の端部において実質的に一様な直径を有し、ノッチにおいて低減された直径を有する。
【0019】
本開示の別の態様によれば、整列ピンが、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とをともにボルト留めできるように、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とを整列させるために設けられる。整列ピンは、第1の接合構成要素に密にフィット可能である第1の端部と、第2の接合構成要素に密にフィット可能である第2の端部とを有する本体とを含んでいる。本体は、ある降伏強度を有する材料で形成され、それにより、本体に特定の負荷が印加された際に、本体に降伏が生じる。特定の負荷の大きさは、ボルト留めが完了した後に、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素との間で伝達されると予期される負荷の大きさよりも小である。
【0020】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは、第1の端部から第2の端部まで、実質的に直線状である。
【0021】
追加的または代替的な実施形態によれば、第1の端部にはテーパが付されており、第2の端部にはテーパが付されている。
【0022】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンは中空である。
【0023】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンの材料は、第1の接合構成要素の材料及び第2の接合構成要素の材料よりも低い降伏強度を有する。
【0024】
追加的または代替的な実施形態によれば、整列ピンの材料は、第1の接合構成要素と第2の接合構成要素とをともにボルト留めするボルトの材料よりも低い降伏強度を有する。
【0025】
これら及び他の利点及び特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【0026】
本開示として考えられる主題は、本明細書のまとめにおいて、特に指摘されるとともに、特許請求の範囲においてはっきりと請求される。本開示の前述及び他の特徴及び利点は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施形態に係る、整列ピンを有する接合アセンブリの側面図である。
図2図2Aは、整列ピンがもはや元の状態にはない、図1の接合アセンブリの負荷の経路を示す概略図である。図2Bは、整列ピンが元の状態にある、図1の接合アセンブリの負荷の経路を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る、整列ピンを有する接合アセンブリの分解斜視図である。
図4図4は、図3の一部の拡大図である。
図5図5は、さらなる実施形態に係る、ノッチを有する整列ピンの斜視図である。
図6図6は、さらなる実施形態に係る、ノッチがない中空整列ピンの斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る、整列ピンの動作の説明の概略側面図である。
図8図8は、実施形態に係る、整列ピンの動作の説明の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これら及び他の利点及び特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【0029】
接合構成要素を通して伝達される通常の負荷は、慣性負荷(宇宙船の発射の間のg力の負荷)、熱的負荷、歪曲による負荷、他の接続ハードウェア(配管など)によって与えられる負荷などであり得る。これら負荷は、接合構成要素を接続するボルトに、せん断応力と、軸方向応力と、曲げ応力と、ねじり応力との様々な組合せを与えることになる。負荷を考慮すると、ボルトの位置と、接合構成要素の取付け表面に対する位置の間の経路とが、応力に耐えるように設計されている。しかし、ボルト留めの前に接合構成要素を整列するために使用される整列ピンに、予期せずに負荷がかかり始める事象においては、接合構成要素の負荷及び応力が変化し、接合構成要素が変形する場合があるか、いくつかのケースでは、結果として破損する場合がある。
【0030】
このため、以下に記載するように、フューズ整列ピンが依然として、アセンブリの間の構成要素の整列を実施することを可能にしつつ、整列ピンが予期しない負荷の経路を形成することに係る問題を緩和するために、フューズ整列ピンが、特定の負荷レベルにおいて変形するか破損するように設けられている。フューズ整列ピンは、特定の負荷が整列ピンに印加されると、整列ピンが変形するか破損するように、比較的弱い材料と、変更された機何学形状との、少なくとも1つを有している。したがって、特定の負荷より上であり、この特定の負荷を超えるあらゆる著しい負荷が(すなわち、慣性負荷、熱的負荷、歪曲による負荷、他の接続ハードウェアによって与えられる負荷などに起因して)生じた場合、この負荷がフューズ整列ピンの位置を通過しようとする事象において、フューズ整列ピンに降伏が生じ、もはや負荷の経路を提供しない。このことは、負荷を取るように設計された、ボルト、及び接合構成要素の他のパーツを通して負荷を伝達させる。
【0031】
図1を参照すると、接合アセンブリ101が提供され、第1の接合構成要素110と、第2の接合構成要素120と、1つまたは複数のボルト130と、1つまたは複数の整列ピン140とを含んでいる。第1の接合構成要素110は、たとえば、乗り物または宇宙船の構成要素111として設けることができる。第2の接合構成要素120は、乗り物または宇宙船の胴体などの固定物1201に固定される取付けブラケット121として設けることができる。1つまたは複数のボルト130は、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とをともにボルトで留めるように配置及び構成されている。1つまたは複数の整列ピン140は、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とが、ともにボルト留めされ得るように、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とを整列させるように配置及び構成されている。1つまたは複数の整列ピンは、特定の負荷がこの整列ピンに印加されると、降伏が生じるようにも配置及び構成されている。特定の負荷の大きさは、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とをともにボルト留めすることが完了した後に、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120との間を、1つまたは複数のボルト130を通して伝達されることが予期される負荷の大きさより小である。
【0032】
接合アセンブリ101が、乗り物、または宇宙船、または任意の他の乗り物に配置される場合、接合アセンブリ101に通常印加される負荷には、限定ではないが、慣性負荷、熱的負荷、歪曲による負荷、他の接続ハードウェアによって与えられる負荷などが含まれ得る。これら負荷のそれぞれの大きさは、既知であり得、かつ、予期することができ、第1の接合構成要素110及び第2の接合構成要素120、ならびに、1つまたは複数のボルト130は、その負荷に耐えることができるような方法で設計されている。しかし、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とをともにボルトで留めることが完了した後に、1つまたは複数の整列ピン140が元の状態のままである事象では、第1の接合構成要素110及び第2の接合構成要素120、ならびに、1つまたは複数のボルト130は、これらが耐えるようには設計されていない、予期されない負荷に曝され得る。
【0033】
上述のシナリオは、図2A及び図2Bを参照して見ることができる。
【0034】
図2Aでは、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とをともにボルトで留めることが完了し、整列ピン140のいずれも、1つまたは複数の整列ピン140(図1参照)への特定の負荷が印加された後の、整列ピンの降伏に起因して、元の状態のままではない。このため、第2の接合構成要素120から第1の接合構成要素110に、1つまたは複数のボルト130のみを通って延びる負荷の経路が存在し、負荷に耐えるように設計された第1の接合構成要素110及び第2の接合構成要素120のそれら断面のみに残っている。
【0035】
対照的に、図2Bでは、第1の接合構成要素110と第2の接合構成要素120とをともにボルトで留めることが完了しているが、特定の負荷が印加された際に降伏が生じるようには構成されていない従来の整列ピンが、元の状態のままである。このため、第2の接合構成要素120から第1の接合構成要素110に、1つまたは複数のボルト130を通って延びる負荷の経路と、従来の整列ピンを通って延びる負荷の経路との両方が存在する。ここで、残りの元の状態の従来の整列ピンを通って延びるこれら負荷の経路は、負荷に耐えるようには設計されていない、第1の接合構成要素110及び第2の接合構成要素120の特定の断面内に延び得る。
【0036】
図3から図6を参照すると、整列ピン301は、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320とが、ボルト330によってともにボルト留めされ得るように、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320とを整列させるように設けられている。整列ピン301は、図1及び図2Aの実施形態で有用とすることができ、第1の接合構成要素310及び第2の接合構成要素320は、図1及び図2Aの第1の接合構成要素110及び第2の接合構成要素120と同じか類似のものとすることができる。
【0037】
整列ピン301は、複数の整列ピン301として設けることができる。いずれのケースでも、各整列ピン301は、第1の端部341と、この第1の端部341とは反対側の第2の端部342とを有する、本体340を含んでいる。第1の端部341は、第1の接合構成要素310の凹部311内に密にフィット可能であり、第2の端部342は、第2の接合構成要素320の凹部321内に密にフィット可能である。凹部311と凹部321とが、位置に関して第1の接合構成要素310のボルト穴と第2の接合構成要素320のボルト穴とに対応していることから、整列ピン301は、ボルト留めのために、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320とを整列させるために使用することができる。
【0038】
各整列ピン301の本体340は、ボルト留めの前に、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320との整列を容易にするように構成された機何学形状350を有している。すなわち、本体340は、第1の端部341から第2の端部342まで実質的に直線状であることと、鋼、アルミニウム、セラミック、プラスチック、チタン、または別の適切な金属、合金、もしくは非金属材料などの、剛性または準剛性の材料で形成されていることとの、少なくとも1つまたは複数である。さらに、本体340の機何学形状350は、特定の負荷が印加されると、本体340に降伏を生じさせるようにさらに構成されている。特定の負荷の大きさは、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320とをともにボルト留めすることが完了した後に、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320との間を伝達されることが予期される負荷の大きさより小である。
【0039】
様々な実施形態によれば、第1の端部341及び第2の端部342には、テーパを付すことができ、整列ピン301は、中実であるか中空とすることができる。
【0040】
図4及び図5に示すように、整列ピン301の本体340の機何学形状350は、整列ピン301が、第1の端部341と第2の端部342との間にノッチ401を有するような機何学形状にすることができる。ノッチ401は、第1の接合構成要素310および第2の接合構成要素320のそれぞれの接合表面312,322に配置することができる。各実施形態によれば、ノッチ401は、本体340の外周全体の周りに延びることができるか、より詳細には、本体340が、第1の端部341及び第2の端部342において実質的に一様な直径を有することができ、ノッチ401において直径が低減されるようにすることができる。いずれのケースでも、ノッチ401は、特定の負荷レベルで、負荷が印加されることに起因して、降伏が生じ、変形するか、破損するように設計された、応力集中位置としての役割を果たす。
【0041】
図5及び図6に示すように、本体340は、中実かつ充填されたもの(図5参照)であるか、中空(図6参照)とすることができる。
【0042】
図7を参照すると、整列ピン301の使用が示されている。第1のイメージは、ボルト留め操作の間に、整列ピン301が、凹部311及び凹部312内に受領可能であることから、第1の接合部310と第2の接合部320とを整列させるために、整列ピン301を使用できることを示している。このイメージでは、第1の接合部310と第2の接合部320とが、ボルト330によってともにボルト留めされている。第2のイメージは、第1の接合部310と第2の接合部320とが、完全に、ボルトでともに留められており、このポイントにおいて、負荷の経路が、第1の接合部310から第2の接合部320へ、ボルト330及び整列ピン301を通って存在していることを示している。第3のイメージは、特定の負荷が、第1の接合部310に印加されていることを示している。この負荷は、整列ピン301に降伏を生じさせるのに十分である。第4のイメージは、負荷の経路が、第1の接合部310から第2の接合部320へ、ボルト330のみを通って存在するように特定の負荷が印加されたことに起因して、整列ピン301が、ノッチ401の位置で降伏が生じていることを示している。
【0043】
図8を参照すると、整列ピン801の使用が示されており、この整列ピン801の使用は、図7に示す用途と類似であり、そのため、ふたたび論じる必要はない。しかし、このケースでは、整列ピン801の本体340は、ある降伏強度を有する材料で形成されている。この降伏強度は、図8の第3のイメージに示す特定の負荷が印加された際に本体340に降伏が生じるような降伏強度である。上のように、本体340に降伏が生じる特定の負荷の大きさは、ボルト330によるボルト留めすることが完了した後に、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320との間を伝達されることが予期される負荷の大きさより小である。
【0044】
各実施形態によれば、整列ピン801の材料は、第1の接合構成要素310の材料及び第2の接合構成要素320の材料よりも低い降伏強度を有している。さらなる実施形態によれば、整列ピン801の材料は、第1の接合構成要素310と第2の接合構成要素320とをともにボルト留めするボルト330(複数可)の材料よりも低い降伏強度を有している。
【0045】
技術的な効果及び利益は、接合構成要素をともにボルト留めする間に使用することができるが、ボルト留めが完了すると、負荷を支持する特徴としては作用しない、整列ピンを提供することである。整列ピンは、整列ピンの取外しのための穴を追加することを必要としない、接合アセンブリを提供することをも可能にする。
【0046】
本開示が、限られた数の実施形態のみに関して詳細に提供されているが、本開示が、そのような開示の実施形態に限定されないことは、容易に理解されるものとする。むしろ、本開示は、前述されていないが、本開示の趣旨及び範囲と同等の、任意の数の変形形態、変更形態、置換形態、または、均等の構成を組み込むように変更することができる。さらに、本開示の様々な実施形態を記載してきたが、例示的実施形態(複数可)が、記載の例示的態様のいくつかのみを含む場合があることを理解されたい。したがって、本開示は、前述の記載によっては限定されるものとは見られないが、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
図1
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