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  • 特許-液体化粧料容器の中継芯保持機構 図1
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  • 特許-液体化粧料容器の中継芯保持機構 図3
  • 特許-液体化粧料容器の中継芯保持機構 図4
  • 特許-液体化粧料容器の中継芯保持機構 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】液体化粧料容器の中継芯保持機構
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
A45D34/04 525A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020079830
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021171528
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076071
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 恵治
(72)【発明者】
【氏名】麻沼 智照
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-086163(JP,A)
【文献】実開昭51-129829(JP,U)
【文献】特開平03-175094(JP,A)
【文献】特開平11-334276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B43K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇腹と中継芯を備えた液体化粧料容器において、蛇腹と中継芯間に存する気液流路の筆穂側の位置に閉塞部材を配設し、この閉塞部材は気液流路を遮断閉塞することができ、同時に中継芯を正確な位置に保持することができ、閉塞部材がベント可能な可撓性素材製の薄膜構造体であることを特徴とする液体化粧料容器の中継芯保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体化粧料容器の中継芯保持機構に係り、さらに詳しくは蛇腹と中継芯を備えた液状化粧料容器において、中継芯の位置固定と中継芯の外周面と蛇腹内周面との間に存する気液流路を確実に遮断閉塞できる液体化粧料容器の中継芯保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から筆型の化粧料容器でリキッドアイライナー、リキッドアイブローなどの化粧品を塗布する液体化粧料容器が知られている。
この液体化粧料容器は、図1に示すように液体化粧料容器10内に液体貯留部1を形成し、この液体貯留部1と筆穂2の間に中継芯3を介在させ、中継芯3の根元部を液体貯留部1内に位置させ、中継芯3の先端部を塗布部となる筆穂2に臨ませ、適量の液体化粧料(「バルク」と称されることもある)を継続的に、かつ円滑に筆穂2に供給する構成であった。
【0003】
筆穂2の後端には、筆穂を束ねて液体化粧料容器10内に安定保持できるようにツバ5が形成されている。
符号4は液体貯留部1の後端を閉塞する尾栓であり、液体貯留部1内には撹拌ボール6が収納されており、符号7は蛇腹である。
【0004】
また筆穂のツバ5と筆穂2を外側から覆うようにノーズピース11があてがわれてセットされ、多くの場合はノーズピース11の外形は、全体が略先細の筒状を呈する形態である(先細状以外の筒状からなるノーズピースも存在する)。
【0005】
さらに図2に示すように、中継芯3の外周面と蛇腹7の内周面との間に存する気液流路8が存在している。
この気液流路は液体化粧料が液体貯留部1から筆穂2の方向に向かったり、逆に大気が筆穂2から液体貯留部1方向に向かったりする際に通過する通路のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-269251号公報
【文献】特開2017-113128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の化粧料容器における中継芯保持機構は、気液流路8を遮断閉塞する効果が不十分であったり、中継芯を所定位置に安定的に保持することができないものであった。
このため、気液流路が十分に遮断閉塞されないと、必要ない外気が取り込まれて原因不明な液漏れが発生したり、中継芯3の内部を通過して筆穂2に供給される必要な液体化粧料の通過量をコントロールしようとしても、所期の目的を達成することができないという問題が発生していた。
【0008】
さらには中継芯3の筆穂側の位置固定をする機構が存在しなかったため、化粧料容器の組立時に、中継芯の正確な位置固定が困難となるなどの問題も発生していた。
【0009】
本発明は、中継芯3の筆穂側に、気液流路8を遮断閉塞すると同時に、中継芯3の筆穂側の位置固定を簡単に行える構造物を備えることで、設計上計算された液体化粧料や外気を必要十分に通過させられる気液通路8を確保し、化粧料容器の使用時には液体化粧料の吐出量を安定させることができ、液体化粧料容器の組立時には、中継芯の抜けや動きを防止して正確な組み立て加工を容易に行え、使用時には中継芯が不用意に動かない液体化粧料容器の中継芯保持機構を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、蛇腹と中継芯を備えた液体化粧料容器において、蛇腹と中継芯間に存する気液流路の筆穂側の位置に閉塞部材を配設し、この閉塞部材は気液流路を遮断閉塞することができ、同時に中継芯を正確な位置に保持することができ、閉塞部材がベント可能な可撓性素材製の薄膜構造体であることを特徴とする液体化粧料容器の中継芯保持機構である。
【発明の効果】
【0014】
上記した請求項1に係る閉塞部材は、気液流路を遮断閉塞することができ、同時に中継芯を正確な位置に保持することができるため、中継芯3の内部を通過する液体化粧料の通過量をコントロールすることが可能となり、設計上計算された通りの液体化粧料を筆穂に送り込むことができ、使用時の液体化粧料の吐出量を安定させることが可能となり、また化粧料容器の組立時には、中継芯の保持位置を簡単に決めることができるので工場での生産コストが向上し、使用時には中継芯が不用意に動かないので使い勝手が向上するなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】液体化粧料容器の組立状態の縦断正面図である。
図2】液体化粧料容器の要部の拡大図である(閉塞部材が薄膜構造体)。
図3】液体化粧料容器の要部の拡大図である(閉塞部材が薄膜構造体)。
図4】液体化粧料容器の要部の拡大図である(閉塞部材がOリング)。
図5】液体化粧料容器の要部の拡大図である(閉塞部材が接着剤充填体)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面に基づいて、本発明に係る液体化粧料容器の実施の形態を詳説する。
液体化粧料容器10は化粧料容器でリキッドアイライナー、リキッドアイブローなどの化粧品を筆穂2で塗布するもので、液体貯留部1内の液体化粧料を中継芯3や蛇腹7を経由して、適量の液体化粧料を継続的に、かつ円滑に筆穂2に供給する。
中継芯3は、ポリエステル繊維やアクリル繊維などを樹脂バインダーで混合固化し、中継芯の形状に切削したものが一般的であるが、これ以外にもPOM樹脂やエラストマー樹脂、オレフィン系樹脂を金型成形固化した製品も存在する。
【0017】
筆穂2の後端にはツバ5が形成されており、筆穂のツバ5と筆穂2を外側から覆うようにノーズピース11があてがわれてセットされ、液体貯留部1の後端には尾栓4が設けられ、液体貯留部1内には撹拌ボール6が収納されている。
【0018】
図2に示すように、中継芯3の外周面と蛇腹7の内周面との間には、液体化粧料が液体貯留部1から筆穂2の方向に向かったり、逆に大気が筆穂2から液体貯留部1方向に向かったりする際の通路となる気液流路8が存在している。
本発明は、この気液流路8の筆穂側の位置に閉塞部材9を配設し、この閉塞部材9は気液流路を遮断閉塞することができ、同時に中継芯3を正確な位置に保持することができる。
【0019】
閉塞部材9は気液流路を確実に遮断閉塞して、気液流路8における液体化粧料や大気の通過を阻止し、同時に中継芯3を正確な位置に保持できるものであれば、材質や構成は特に制限されないし、その設置位置も蛇腹7に当接可能に取り付けられるものであっても、あるいは蛇腹7の一部を閉塞部材9に加工するものであってもよい。
【0020】
実施例1
まず図2及び図3に示す第1実施例では、閉塞部材9をベント可能な可撓性素材製の、薄膜構造体9aに形成したもので、素材と薄膜の特性よりベントしやすい特性があり、その先端が中継芯3の内部に差し込まれる位置にセットし(図2参照)、この状態で中継芯3を薄膜構造体9a方向に差し込むと、薄膜構造体9aの先端が中継芯3の外周に沿ってベントする状態となる(図3参照)。
【0021】
このようにして、薄膜構造体9aにより、気液流路8は確実に遮断閉塞され、中継芯3の先端部側は正確な位置に保持され、セット後は中継芯3が動いてしまうような弊害は起きなくなる。
薄膜構造体9aの厚さ寸法T1は0.01~1.0mm程度が好適であるが、上記の目的達成のために中継芯3の素材や構造に応じて薄膜構造体9aの中継芯への接触圧を随時最適の状態となるように変更調整することは可能である。
【0022】
実施例2
また図4に示す第2実施例では、閉塞部材9をOリング9bに形成したもので、Oリング9bの特性よりOリングが隙間になじむように変形しやすい特性がある(図4参照)。
【0023】
このようにして、Oリング9bにより、気液流路8は確実に遮断閉塞され、中継芯3の先端部側は正確な位置に保持され、セット後は中継芯3が動いてしまうような弊害は起きなくなる。
【0024】
実施例3
また図5に示す第3実施例では、閉塞部材9を接着剤充填体9cに形成したもので、接着剤充填体9cの特性より接着剤充填体が隙間になじむように変形しやすい特性がある(図5参照)。
【0025】
このようにして、接着剤充填体9cにより、気液流路8は確実に遮断閉塞され、中継芯3の先端部側は正確な位置に保持され、セット後は中継芯3が動いてしまうような弊害は起きなくなる。
【0026】
このような使い勝手の良い本発明の液体化粧料容器の中継芯保持機構を組み込んだ液体化粧料容器は、液漏れの事故が起こらず、液体化粧料の液の途切れが起こらず、液体貯留部1内の液体化粧料を最後まで不便を感じることなく使い切ることができ、使用時に中継芯が動く事故も防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、液体化粧料容器を使用したり製造したりする産業において利用される。
【符号の説明】
【0028】
1…液体貯留部
2…筆穂
3…中継芯
4…尾栓
5…筆穂のツバ
6…撹拌ボール
7…蛇腹
8…気液流路
9…閉塞部材
9a…薄膜構造体
9b…Oリング
9c…接着剤充填体
10…液体化粧料容器
11…ノーズピース
T1…薄膜構造体の厚さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5