(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】アクセルペダル誤操作解消機構
(51)【国際特許分類】
B60K 28/10 20060101AFI20240823BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240823BHJP
G05G 5/00 20060101ALI20240823BHJP
G05G 7/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
G05G1/30 E
G05G5/00 Z
G05G7/00 Z
(21)【出願番号】P 2020138603
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2019217321
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593060931
【氏名又は名称】株式会社 英田エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】万殿 貴志
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正道
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-166699(JP,A)
【文献】特開平10-166890(JP,A)
【文献】特開平05-185862(JP,A)
【文献】特開2002-059817(JP,A)
【文献】特開2012-150743(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217039(JP,U)
【文献】特開2018-113003(JP,A)
【文献】特開2022-008657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/00-26/04,28/00-28/16
B60T 1/00- 7/10
G05G 1/00-13/02,25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取付け固着されたハウジング(11、12)と、
アクセルペダル(3a)を有し、前記ハウジング(11、12)に移動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(29、3)と、
アクセルアクチュエータ(46)を連結され、前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられたアクセルアクチュエータ作動アーム(22)と、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)とアクセルアクチュエータ作動アーム(22)との間に設けられたアクセル動作解除部材(24、26、28)と
を備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、アクセル動作解除部材(24、26、28)を介して前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作維持状態に保持してアクセル動作を可能とし、
また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセル動作解除部材(24、26、28)により、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ移動させて前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)によりアクセル動作を解除させ、
前記アクセル動作解除部材(24、26、28)は、
前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられた爪レバー支持回動ブロック(24)と、
前記爪レバー支持回動ブロック(24)に回動可能に取付けられ、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)の係合部(22d)に係合して第1の係合を実現する第1係合部(26a)を有する爪レバー(26)と、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)に回動可能に取付けられ、前記爪レバー(26)の第2の係合部(26b)に係合して第2の係合を実現する係合部(28a)を有する爪レバー係止ブロック(28)と
を備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、前記アクセルアーム
作動部材(29、3)の作動に伴い、前記第1の係合の維持により前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)を回動させてアクセル動作させ、
また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記爪レバー支持回動ブロック(24)が前記ハウジング(11)に当接して回動停止することにより前記第2の係合が解除され、これにより前記爪レバー(26)が係合解除方向に回動することにより前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ回動させ、前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)を戻り移動させてアクセル動作を解消する、
アクセルペダルの誤操作解消機構。
【請求項2】
車体に取付け固着されたハウジング(11、12)と、
アクセルペダル(3a)を有し、前記ハウジング(11、12)に回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(29、3)と、
アクセルアクチュエータ(46)を連結され、前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられたアクセルアクチュエータ作動アーム(22)と、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)とアクセルアクチュエータ作動アーム(22)との間に設けられたアクセル動作解除部材(24、26、28)と、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)に対して直接的に又は連結部材(31,32;102)を介して連結され、既設のブレーキアーム(6)に接離可能に離間して取付けられたブレーキアーム押圧部材(35、103b)と
を備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、アクセル動作解除部材(24、26、28)を介して前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作維持状態に保持してアクセル動作を可能とすると共に、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)を前記既設のブレーキアーム(6)に近接させるが当接するに至らず、
また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセル動作解除部材(24、26、28)により、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ移動させて前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)によりアクセル動作を解除させ、続いて、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)が前記既設のブレーキアーム(6)に当接しこれを回動させてブレーキを作動させる、
アクセルペダル誤操作解消機構。
【請求項3】
請求項2に記載のアクセルペダル誤操作解消機構において、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)は前記ブレーキアーム押圧部材(35)に対して前記連結部材(31,32)を介して連結され、
該連結部材(31,32)は、
前記ハウジング(11)に回動自在に互いに平行に取付けられた一対のブレーキ動作リンク(31)と、
前記一対のブレーキ動作リンク(31)と前記アクセルアーム作動部材(29、3)との間に介在連結された連結リンク(32)と
を備え、
前記連結部材(31,32)の機能により、前記ブレーキアーム押圧部材(35)をその水平状態を維持したままで前記のブレーキアーム(6)に当接可能としたことを特徴とする
前記機構。
【請求項4】
請求項2に記載のアクセルペダル誤操作解消機構において、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)は、前記ブレーキアーム押圧部材(35)に
対して直接的に連結されることを特徴とする
前記機構。
【請求項5】
請求項2に記載のアクセルペダル誤操作解消機構において、
前記連結部材(102)は、前記ハウジング(12)に対して枢支された回動支点(102a)と、前記アクセルアーム作動部材(29、3)により押圧される被押圧部(102b)とを少なくとも有し、
前記ブレーキアーム押圧部材(103b)は、前記被押圧部(102b)が前記アクセルアーム作動部材(29、3)により押圧されて回動することにより、前記既設のブレーキアーム(6)に当接可能とした、
前記機構。
【請求項6】
請求項2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)は、前記アクセルアーム作動部材(29、3)又は連結部材(31,32;102)に対して位置調整可能に取付けられることにより、前記既設のブレーキアーム(6)に対する当接タイミングが調整可能であることを特徴とする
前記機構。
【請求項7】
請求項6に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)は、車体の前後方向に伸びる一の長孔(35b、103a)又は複数の孔を有し、
該一の長孔(35b、103a)を又は該複数の孔の何れかを貫通する締結部材(33、104)により、前記アクセルアーム作動部材(29、3)又は前記連結部材(31,32;102)に対して位置調整可能に取付けられることを特徴とする
前記機構。
【請求項8】
請求項2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記アクセル動作解除部材(24、26、28)は、
前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられた爪レバー支持回動ブロック(24)と、
前記爪レバー支持回動ブロック(24)に回動可能に取付けられ、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)の係合部(22d)に係合して第1の係合を実現する第1係合部(26a)を有する爪レバー(26)と、
前記アクセルアーム作動部材(29、3)に回動可能に取付けられ、前記爪レバー(26)の第2の係合部(26b)に係合して第2の係合を実現する係合部(28a)を有する爪レバー係止ブロック(28)と
を備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、前記アクセルアーム
作動部材(29、3)の作動に伴い、前記第1の係合の維持により前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)を回動させてアクセル動作させ、
また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記爪レバー支持回動ブロック(24)が前記ハウジング(11)に当接して回動停止することにより前記第2の係合が解除され、これにより前記爪レバー(26)が係合解除方向に回動することにより前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ回動させ、前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)を戻り移動させてアクセル動作を解消する、
前記機構。
【請求項9】
請求項8に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記爪レバー支持回動ブロック(24)は、
前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)と共に前記ハウジング(11)に同軸的に回動可能に取付けられ、
弾性手段(43)により前記アクセルアーム作動部材(29、3)へ近接する方向へ付勢されている、
前記機構。
【請求項10】
請求項9に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記弾性手段(43)は、
コイルバネであり、
前記爪レバー支持回動ブロック(24)から前記アクセルアーム作動部材(29、3)の第1バネ係止部(29a)を貫通して伸びる軸部材(41)に対して前記第1バネ係止部(29a)と前記軸部材(41)の先端側の第2バネ係止部(42)と間に巻装され、
前記爪レバー支持回動ブロック(24)及びアクセルアーム作動部材(29、3)を互いに近接する方向へ付勢している、
前記機構。
【請求項11】
請求項10に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
アクセルペダル(3a)の通常範囲の踏み込み角度で前記爪レバー係止ブロック(28)の前記踏み込み方向回動を阻止するバネ負荷キャンセルブロック(121)がバネ(123)により回動付勢されて取付けられ、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えて前記アクセルアーム作動部材(29、3)が踏み込み方向回動限位置へ至ったときに、前記アクセルアーム作動部材(29、3)の第1バネ係止部(29a)が前記バネ負荷キャンセルブロック(121)に当接して該ブロック(121)を回動させることにより、前記爪レバー係止ブロック(28)が前記回動阻止を解除されて反時計回りに前記第1バネ係止部(29a)の動きに追随して回動することにより、前記第1バネ係止部(29a)及び第2ばね係止部(42)間のバネ(43)の長さ寸法を初期長さ(d1)に維持せしめる、
前記機構。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
操作部(201b)及びストッパー部(201e)を少なくとも有する切換スイッチ(201)であって、前記操作部(201b)の操作により前記ストッパー部(201e)が第1の位置及び第2の位置間で移動可能なように前記ハウジング(11、12)に取付けられた前記切換スイッチ(201)を更に備え、
前記切換スイッチ(201)が第1の位置にあるときは、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに前記アクセルアーム作動部材(29、3)が前記ストッパー部(201e)に当接して踏み込みの角度が通常範囲内に制限され、
また前記切換スイッチ(201)が第2の位置にあるときは、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに前記アクセルアーム作動部材(29、3)が前記ストッパー部(201e)に当接しないために踏み込み角度が通常範囲を超えた過度の範囲に至るまで許容されることにより、少なくともアクセル動作の解除が行なわれる、
前記機構。
【請求項13】
請求項12に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記切換スイッチ(201)は前記ハウジング(11)に対して回動可能に取付けられ、
前記第1の位置及び第2の位置は異なる回動位置である、
前記機構。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記アクセルアクチュエータ(46)は、スロットルバルブに接続されたアクセルワイヤ(46)である、
前記機構。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のアクセルペダルの誤操作解消機構において、
前記アクセルアクチュエータ(302、303)は、既設のアクセルアーム(311)に接離可能の状態でアクセルアーム作動部材(29、3)に連結されており、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセルアクチュエータ(302、303))を介して前記既設のアクセルアーム(311)を過度に回動させてアクセル動作を解除させる、
前記機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルし更にブレーキを作動させて、車の暴走を防止し得るアクセルペダル誤操作解消機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車の運転時に運転者がアクセルペダルを踏み込んで車を加速させてアクセルペダルから足を離した後に、例えば前方の車が急減速した場合は、追突防止のためブレーキペダルを緊急に一杯に踏み込んで車を停止させる必要がある。しかしながら、このとき間違えてアクセルペダルを一杯に踏み込んでしまうと、車は減速・停止どころか反って急加速して暴走し追突事故に至る。これ以外にも、車の発進時にもブレーキペダルとアクセルペダルを間違えて急発進してしまい、前方の車や、壁又は建物に衝突してしまうこともある。
【0003】
これらの問題を解消するために、すでに完成した車に対して従来、種々の後付け方式のアクセルペダル誤操作解消装置が提案されている。例えば、特許文献1の発明では、(以下、特許文献1中の符号を使用して説明する)、アクセルアーム40と、ブレーキアーム10との間に伝達部材20(ロックレバー41で係止したストッパー杆70及びスロットルバルブワイヤWを連結したアーム機構47を有する)を設け、アクセルアーム(アクセルペダル)40を通常角度範囲で踏み込む時は、ストッパー杆70の前端が車体に当接してそれ以上移動しないので伝達部材20の揺動が禁止されている。しかるに、アクセルアーム(アクセルペダル)40を通常角度範囲を超えて過度に踏み込んだ時は、連動機構によりロックレバー41が揺動してストッパー杆70のロックが解除されるため揺動部材20がフリーとなって揺動することによりブレーキアーム10を押圧してブレーキ作動させると共に、アーム機構47が係合アーム56との係合を解除されてフリーとなってスロットルバルブワイヤWの戻り移動を許容してアクセル操作をキャンセルして暴走を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術によれば、伝達部材20は、アクセルアーム40以外に、ロックレバー41、ストッパー杆70、アーム機構47及び上記連動機構等の多くの部材を取付けられた状態で、ブレーキアーム10に取付けられる。このため、ブレーキアーム10の重量は車輌メーカーが当初想定していた重量より相当に大きくなってその動作負荷が大きくなり安全上の問題を生ずるおそれがあった。また、ストッパー杆70が長く前後に伸び、また伝達部材20はほぼブレーキアーム10と同等の大きさを有するため装置が大型化し、装置の取付けスペースの確保が難しく取付け可能車種が限られていた。
【0006】
本発明の目的は、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルしブレーキを作動させて、車輌の暴走を防止し、しかも機構を収納・保持するハウジング部をブレーキアームでなく車体への取付ることにより、ブレーキ操作に過度の負荷を与えることなく、また揺動部材のような大型部材は不要で装置を小形化し得るアクセルペダル誤操作解消機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の本発明の構成は、車体に取付け固着されたハウジング(11、12)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記ハウジング(11、12)に移動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(29、3)と、アクセルアクチュエータ(46)を連結され、前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられたアクセルアクチュエータ作動アーム(22)と、前記アクセルアーム作動部材(29、3)とアクセルアクチュエータ作動アーム(22)との間に設けられたアクセル動作解除部材(24、26、28)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、アクセル動作解除部材(24、26、28)を介して前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作維持状態に保持してアクセル動作を可能とし、また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセル動作解除部材(24、26、28)により、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ移動させて前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)によりアクセル動作を解除させる、アクセルペダルの誤操作解消機構である。
【0008】
第2の本発明の構成は、車体に取付け固着されたハウジング(11、12)と、アクセルペダル(3a)を有し、前記ハウジング(11、12)に回動自在に取付けられたアクセルアーム作動部材(29、3)と、アクセルアクチュエータ(46)を連結され、前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられたアクセルアクチュエータ作動アーム(22)と、前記アクセルアーム作動部材(29、3)とアクセルアクチュエータ作動アーム(22)との間に設けられたアクセル動作解除部材(24、26、28)と、前記アクセルアーム作動部材(29、3)に対して直接的に又は連結部材(31,32;102)を介して連結され、既設のブレーキアーム(6)に接離可能に離間して取付けられブレーキアーム押圧部材(35、103b)とを備え、
前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、アクセル動作解除部材(24、26、28)を介して前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作維持状態に保持してアクセル動作を可能とすると共に、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)を前記既設のブレーキアーム(6)に近接させるが当接するに至らず、
また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセル動作解除部材(24、26、28)により、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ移動させて前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)によりアクセル動作を解除させ、続いて、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)が前記既設のブレーキアーム(6)に当接しこれを回動させてブレーキを作動させる、アクセルペダル誤操作解消機構である。
【0009】
第3の本発明の構成は、前記アクセルアーム作動部材(29、3)は前記ブレーキアーム押圧部材(35)に対して前記連結部材(31,32)を介して連結され、
該連結部材(31,32)は、前記ハウジング(11)に回動自在に互いに平行に取付けられた一対のブレーキ動作リンク(31)と、前記一対のブレーキ動作リンク(31)と前記アクセルアーム作動部材(29、3)との間に介在連結された連結リンク(32)とを備え、前記連結部材(31,32)の機能により、前記ブレーキアーム押圧部材(35)をその水平状態を維持したままで前記のブレーキアーム(6)に当接可能としたことを特徴とする前記機構である。
【0010】
第4の本発明の構成は、前記アクセルアーム作動部材(29、3)は前記ブレーキアーム押圧部材(35)に対して直接的に連結されることを特徴とする前記機構である。
【0011】
第5の本発明の構成は、前記連結部材(102)は、前記ハウジング(12)に対して枢支された回動支点(102a)と、前記アクセルアーム回動部材(29、3)により押圧される被押圧部(102b)とを少なくとも有し、前記ブレーキアーム押圧部材(103b)は、前記被押圧部(102b)が前記アクセルアーム回動部材(29、3)により押圧されて回動することにより、前記既設のブレーキアーム(6)に当接可能とした、前記機構である。
【0012】
第6の本発明の構成は、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)は、前記アクセルアーム作動部材(29、3)又は連結部材(31,32;102)に対して位置調整可能に取付けられることにより、前記既設のブレーキアーム(6)に対する当接タイミングが調整可能であることを特徴とする、前記機構である。
【0013】
第7の本発明の構成は、前記ブレーキアーム押圧部材(35、103b)は、車体の前後方向に伸びる一の長孔(35b、103a)又は複数の孔を有し、該一の長孔(35b、103a)を又は該複数の孔の何れかを貫通する締結部材(33、104)により、前記アクセルアーム作動部材(29、3)又は前記連結部材(31,32;102)に対して位置調整可能に取付けられることを特徴とする、前記機構である。
【0014】
第8の本発明の構成は、前記アクセル動作解除部材(24、26、28)は、前記ハウジング(11)に回動自在に取付けられた爪レバー支持回動ブロック(24)と、前記爪レバー支持回動ブロック(24)に回動可能に取付けられ、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)の係合部(22d)に係合して第1の係合を実現する第1係合部(26a)を有する爪レバー(26)と、前記アクセルアーム回動部材(29、3)に回動可能に取付けられ、前記爪レバー(26)の第2の係合部(26b)に係合して第2の係合を実現する係合部(28a)を有する爪レバー係止ブロック(28)とを備え、前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲内のときは、前記アクセルアーム取付け作動部材(29、3)の作動に伴い、前記第1の係合の維持により前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)を回動させてアクセル動作させ、また前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記爪レバー支持回動ブロック(24)が前記ハウジング(11)に当接して回動停止することにより前記第2の係合が解除され、これにより前記爪レバー(26)が係合解除方向に回動することにより前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)をアクセル動作解除方向へ回動させ、前記アクセルアクチュエータ(46;302、303)を戻り移動させてアクセル動作を解消する、前記機構である。
【0015】
第9の本発明の構成は、前記爪レバー支持回動ブロック(24)は、前記アクセルアクチュエータ作動アーム(22)と共に前記ハウジング(11)に同軸的に回動可能に取付けられ、弾性手段(43)により前記アクセルアーム作動部材(29、3)へ近接する方向へ付勢されている、前記機構である。
【0016】
第10の本発明の構成は、前記弾性手段(43)はコイルバネであり、前記爪レバー支持回動ブロック(24)から前記アクセルアーム回動部材(29、3)の第1バネ係止部(29a)を貫通して伸びる軸部材(41)に対して前記第1バネ係止部(29a)と前記軸部材(41)の先端側の第2バネ係止部(42)と間に巻装され、前記爪レバー支持回動ブロック(24)及びアクセルアーム回動部材(29、3)を互いに近接する方向へ付勢している、前記機構である。
【0017】
第11の本発明の構成は、アクセルペダル(3a)の通常範囲の踏み込み角度で前記爪レバー係止ブロック(28)の前記踏み込み方向回動を阻止するバネ負荷キャンセルブロッ
ク(121)がバネ(123)により回動付勢されて取付けられ、前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えて前記アクセルアーム作動部材(29、3)が踏み込み方向回動限位置へ至ったときに、前記アクセルアーム回動部材(29、3)の第1バネ係止部(29a)が前記バネ負荷キャンセルブロック(121)に当接して該ブロック(121)を回動させることにより、前記爪レバー係止ブロック(28)が前記回動阻止を解除されて反時計回りに前記第1バネ係止部(29a)の動きに追随して回動することにより、前記第1バネ係止部(29a)及び第2ばね係止部(42)間のバネ(43)の長さ寸法を初期長さ(d1)に維持せしめる、前記機構である。
【0018】
第12の本発明の構成は、操作部(201b)及びストッパー部(201e)を少なくとも有する切換スイッチ(201)であって、前記操作部(201b)の操作により前記ストッパー部(201e)が第1の位置及び第2の位置間で移動可能なように前記ハウジング(11、12)に取付けられた前記切換スイッチ(201)を更に備え、
前記切換スイッチ(201)が第1の位置にあるときは、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに前記アクセルアーム作動部材(29、3)が前記ストッパー部(201e)に当接して踏み込みの角度が通常範囲内に制限され、また前記切換スイッチ(201)が第2の位置にあるときは、前記アクセルペダル(3a)を踏み込んだときに前記アクセルアーム作動部材(29、3)が前記ストッパー部(201e)に当接しないために踏み込み角度が通常範囲を超えた過度の範囲に至るまで許容されることにより、少なくともアクセル動作の解除が行なわれる、前記機構である。
【0019】
第13の本発明の構成は、前記切換スイッチ(201)は前記ハウジング(11)に対して回動可能に取付けられ、前記第1の位置及び第2の位置は異なる回動位置である、前記機構である。
【0020】
第14の本発明の構成は、前記アクセルアクチュエータ(46)はスロットルバルブに接続されたアクセルワイヤ(46)である、前記機構である。
【0021】
第15の本発明の構成は、前記アクセルアクチュエータ(302、303)は、既設のアクセルアーム(311)に接離可能の状態でアクセルアーム作動部材(29、3)に連結されており、前記アクセルペダル(3a)の踏み込み角度が通常範囲を超えたときは、前記アクセルアクチュエータ(302、303))を介して前記既設のアクセルアーム(311)を過度に回動させてアクセル動作を解除させる、前記機構である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のアクセルペダル誤操作解消機構によれば、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて過度に踏み込んだときにアクセル操作をキャンセルしブレーキを作動させて、車の暴走を防止し得、しかも機構を収納・保持するハウジング部をブレーキアームでなく車体へ取付ることにより、ブレーキ操作を過度の負荷を与えず、また装置自体を小形化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の運転待機状態の組立斜視図である。
【
図2】同上、要部の運転待機状態の拡大斜視図である。
【
図6】
図1の誤動作解消機構のアクセルの通常踏み込み角度範囲内の状態の左側面図である。
【
図8】
図1の誤動作解消機構のアクセルを第一段階の過度に踏み込んでアクセル解除された状態の左側面図である。
【
図10】
図1の誤動作解消機構のアクセルを第二段階の過度に踏み込んでブレーキ作動した状態の左側面図である。
【
図12】
図1の誤動作解消機構の要部の運転待機状態の左側面図である。
【
図13】同上、要部のアクセルの通常踏み込み角度範囲内の状態の左側面図である。
【
図14】同上、要部のアクセルを第一段階の過度に踏み込んだ状態の左側面図である。
【
図15】同上、要部のアクセルを第二段階の過度に踏み込んだ状態の左側面図である。
【
図16】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第2実施例の運転待機状態の組立斜視図である。
【
図18】
図16の誤動作解消機構の運転待機状態の右側面図である。
【
図19】同上、アクセルを第2段階の過度に踏み込んでブレーキ作動させた状態の右側面図である。
【
図20】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第3実施例の要部の運転待機状態の組立斜視図である。
【
図22】同上、アクセルの運転待機状態の右側面図である。
【
図23】同上、アクセルを全開位置まで踏み込んだ状態の右側面図である。
【
図24】同上、アクセルを第2段階の過度に踏み込んでブレーキ作動させた状態の右側面図である。
【
図25】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第4実施例の運転待機状態の要部の左側面図である。
【
図26】同上、要部のアクセルの通常踏み込み角度範囲内の状態の右側面図である。
【
図27】同上、要部のアクセルを第一段階の過度に踏み込んだ状態の右側面図である。
【
図28】同上、要部のアクセルを第二段階の過度に踏み込んだ状態の右側面図である。
【
図29】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第5実施例であり、その運転待機状態において、アクセルペダルの過度の踏込み動作許可用の有効無効切換スイッチを有効(スイッチON)に切換えた状態の左側面図である。
【
図30】同上、アクセルペダルを通常踏み込み角度範囲を超えて過度の踏み込み角度範囲まで踏み込んだ状態を示す左側面図である。
【
図31】同上、カバーを取り去った状態の組立斜視図である。
【
図32】同上、有効無効切換スイッチ単品の斜視図である。
【
図33】同上、運転待機状態において、有効無効切換スイッチを無効(スイッチOFF)に切換えた状態の左側面図である。
【
図34】同上、アクセルペダルを通常踏み込み角度範囲の限界位置まで踏み込んだ際に、有効無効切換スイッチによりそれ以上の過度の踏み込みが禁止になった状態を示す左側面図である。
【
図35】本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第6実施例の運転待機状態の組立斜視図である。
【
図38】同上、第6実施例の運転待機状態の右側面図である。
【
図39】同上、アクセルペダルを通常踏み込み角度範囲の限界位置まで踏み込んだ状態の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2は夫々、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の運転待機状態の組立斜視図及び拡大斜視図、
図3はその分解斜視図、
図4及び
図5は夫々、上記要部の運転待機状態の左側面図及び右側面図である。
【0025】
各図中、1はアクセルペダル誤操作解消機構で、
図2に示す如く、大略、ハウジングユニット2と、アクセルアーム3と、アクセルキャンセル機構4と、ブレーキ作動機構5とを備える。このアクセルペダル誤動作解消機構1は、完成した車に後付け式に取付け可能なものであり、この場合、アクセルアーム3はアクセルキャンセル機構4の後述するL形アーム29に取付けられる特有の形状で製作される、即ちアクセルアーム3は車に当初から既設のものではないから、通常は上記機構1に含まれて市場に流通するが、必ずしも機構1に含まれなくても良い。6はブレーキアームであるが、車種に応じて車に当初から既設のものであり、機構1には含まれない。
【0026】
ハウジングユニット2は、取付板7(一対の平行板8及び基板9をボルト10により組付けたもの)(
図1参照)と、ハウジング11(主ハウジング12と副ハウジング13とをボルト14により組付けたもの)(
図2参照)とを、ボルト15により、平行板8の比較的幅広の長孔8a(
図1)の機能により、ハウジング11が矢印AB方向(車の前後方向)移動調節可能に且つ幅広の長孔8a及びボルト15間の遊びによりハウジング11の水平方向からの取付け角度調整可能に取付けてなる。このハウジングユニット2は、車のダッシュボード下方の車体51(
図4及び
図5参照)にボルト10等により固定される。なお、副ハウジング13はその後方下部に、後述する爪レバー支持回動ブロック24の第1当接板部24aに当接するストッパー部13a(
図3、
図5)を有する。なお、ハウジング11の前後方向位置及び取付け角度位置が上記長孔8aの機能により調節可能ゆえ、車の運転席スペースが異なる種々に車に適用できて便利である。
【0027】
アクセルキャンセル機構4は、
図1乃至
図3中、大略、支点ピン21によりハウジング11に回動可能に取付けられたアクセル作動レバー22(3つのアクセル作動レバー部材22a、22b、22cをボルト23により組付けたもの)と、支点ピン21によりアクセル作動レバー22と同軸的にハウジング11に回動可能に取付けられた爪レバー支持回動ブロック24と、前記爪レバー支持回動ブロック24に対して支点ピン25により回動可能に取付けられた爪レバー26と、後述するL形アーム29に対して支点ピン27により回動可能に取付けられた爪レバー係止ブロック28とを備える。上記アクセル作動レバー22は、これに対して連結部材45により連結されたアクセルアクチュエータとしてのアクセルワイヤ46(不図示のスロットルバルブに連結されている)の矢印A方向(車の前方向)付勢力により、常時時計回りへ付勢されている。(
図3、
図5参照)
爪レバー支持回動ブロック24は、副ハウジング13のストッパー部13aと当接し得る第1当接板部24aを有し、また爪レバー26は、アクセルの通常踏み込み角度範囲で、アクセル作動レバー22のフック部22dに係合する第1係合部としての爪部26aと、爪レバー係止ブロック28の係合部28aにより係合される第2係合部としての係合凹部26bとを有し、爪レバー支持回動ブロック24との間に張設したバネ37(
図3)により時計回りへ付勢されている。なお、爪レバー係止ブロック28はその長孔28bに爪レバー支持回動ブロック24に植設した規制ピン47が係合されているから、L形アーム29に対して支点ピン27の周りに、その長孔28bと上記規制ピン47との係合に基づく回動方向規制を受けながら回動する。
【0028】
ブレーキ作動機構5は、大略、支点ピン21によりハウジング11に回動可能に取付けられたアクセルアーム取付部材としてのL形アーム29と、ハウジング11(
図3)に対して一対の支点ピン30により回動可能に取付けられた一対の平行リンク31と、後側(
図3中左側)のリンク31とL形アーム29とを夫々連結ピン32a及び32b(
図3)を介して連結して相対的回動可能に配設された連結リンク32と、一対の平行リンク31下端にボルト33及び連結ブロック34を介して水平方向に伸びる状態で取付固定されたブレーキアーム押圧杆35(後端にブレーキアーム押圧部35aを有し、また前後方向に伸びる長孔35bを有する)とを備える。なお、L形アーム29はハウジング11との間に張設したバネ36により
図3、
図5中時計回りへ付勢されている。
【0029】
アクセルアーム3は、L形アーム29下部にボルト48により固定されて、アクセルアーム回動部材3、29を構成するが、両部材3、29は当初から一体部材として形成してもよい。従って、アクセルアーム3がそのペダル部3aを踏み込むことにより
図4、6、8、10中反時計回りへ回動すると、連結リンク32を介して一対の平行リンク31が
図4から
図10の位置まで反時計回りへ回動するので、アクセルアーム3が過度に回動したときは、ブレーキアーム押圧杆35が前方(矢印A方向)へ水平状態に維持したままで車の前方向へ移動してブレーキアーム6に当接して作動させることがわかる。
【0030】
また爪レバー支持回動ブロック24の第1当接板部24aに固着した軸体41(
図3、
図12)が、L形アーム29の第1バネ係止部としての切起こし部29aに設けた孔29b(
図3)を貫通して前方へ伸びており、前記切起こし部29a(第1バネ係止部)と軸体41の先端側のナット42(第2バネ係止部)との間で軸体41にコイルバネ43が巻装される。これにより、爪レバー支持回動ブロック24はコイルバネ43により
図5中、反時計回りへ付勢されてL形アーム29の切起し部29aに対して当接しているが、
図5の運転待機状態では、その第1の当接板部24aはハウジング11のストッパー部13aに対して離間している。(
図5、12参照)
ブレーキアーム6は車に既設のものであり、支点ピン44により回動可能に車体に取付けられている。
【0031】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第1実施例の動作について説明する。
最初に、車が停止した運転待機状態では、アクセルキャンセル機構4において、
図5及び
図12中、アクセル作動レバー22がアクセルワイヤ46により反時計回り(車の前方向)へ付勢されており、このとき、爪レバー26はその爪部26aがアクセル作動レバー22のフック部22dに係合し、係合凹部26aに爪レバー係止ブロック28の係合部28aが係合されている。従って、アクセル作動レバー22、爪レバー26、爪レバー係止ブロック28、爪レバー支持回動ブロック24及びL形アーム29(以下、これらを「一連部材」という)は、アクセルワイヤ46の張力及びバネ36により見かけ上一体に時計回り方向(
図5、
図12)へ付勢されている。
【0032】
次に、アクセルアーム3をそのアクセルペダル3aを踏み込んで、通常運転角度範囲内で踏み込んで例えばアクセル全開位置へ至ったとする(
図6、
図7、
図13)。この間、上記一連部材は見かけ上一体に
図4及び5の位置から
図6及び7の位置まで回動し、アクセルアーム3が
図7中、二点鎖線で示す待機位置3a1から実線で示すアクセル全開位置3a2まで回動する。この間、爪レバー支持回動ブロック24の第1当接板部24aが副ハウジング13のストッパー部13aに対して離間した状態(
図5、
図12)から反時計回りに回動近接して当接するため(
図7、
図13)、これ以後、爪レバー支持回動ブロック24(及び爪レバー26)は停止したままで反時計周り回動はしない。
【0033】
次に、運転者が、ブレーキペダル6aと間違えてアクセルペダル3aを過度に踏み込ん
で、アクセルアーム3を、通常運転角度範囲を超えて第1段階の過度の位置(
図8、
図9、
図14)まで回動させたとする。すると、
図9に示す如く、アクセルアーム3が二点鎖線で示すアクセル全開位置3a2から実線で示す第1段階の過度の回動位置3a3まで急速回動する。ここから更に、L形アーム29が反時計回りへ回動を続けると、爪レバー支持回動ブロック24及び爪レバー26は停止のままであるのに比して、L形アーム29及びに爪レバー係止ブロック28の両者のみが一体的に更に反時計回りに回動する。従って、爪レバー係止ブロック28は爪レバー26に対して相対的に回動するため両者の係合部28a、26bの係合機能により爪レバー26をその回動支点25の周りにバネ37に抗して反時計回りへ回動させる。これにより、爪レバー26の爪部26a及びアクセル作動レバー22のフック部22dの係合が解除される。(
図9、
図14)
従って、アクセル作動レバー22は
図9中アクセルワイヤ46の張力により時計回りへ回動して、アクセルワイヤ46を戻り方向へ移動させスロットルバルブを閉じる方向へ動作させてアクセル操作を解除し、車の加速が禁止される。なお、
図4及び
図5の運転待機状態から
図8及び
図9の第1段階過度の回動に至る間に、ブレーキ作動機構5において、L形アーム29の反時計回り回動に伴い、連結リンク6及び一対の平行リンク31のリンク機構を介してブレーキアーム押圧杆35は水平状態に維持して車の前方向へ移動しているが、ブレーキアーム押圧部35aはブレーキアーム6に近接するものの当接までには至っていない。
【0034】
続いて、運転者が、アクセルペダル3aを更に踏み込んで、アクセルアーム3を、第2段階の過度の位置(
図10、
図11、
図15)まで回動させたとする。すると、
図10及び
図11に示す如く、アクセルアーム3が二点鎖線で示す第1段階の過度の回動位置3a3から実線で示す第2段階の過度の回動位置3a4まで急速回動する。すると、L形アーム29が反時計回りに更に回動することにより、連結リンク6及び一対の平行リンク31のリンク機構を介してブレーキアーム押圧杆35が更に矢印A方向(車の前方向)へ移動するから、ブレーキアーム押圧部35aがブレーキアーム6に当接してこれを前方へ回動させて(
図11、
図15)、急ブレーキを作動させ、車を確実に停止させる。この第1実施例によれば、ブレーキアーム押圧杆35は車の前後方向へ移動する際にリンク機構第31、32、34の効果により、多少の上下動は伴うものの常に水平状態に維持しつつ前後方向へ移動してブレーキアーム6に当接するので、ブレーキアーム6に対して効率的円滑に力を伝達し得る。
【0035】
またこの第1実施例によれば、例えば
図6中、一対の平行リンク31の内右側の平行リンク31において、回動支点(支点ピン)30と、平行リンク31及び連結リンク32の連結点である連結ピン32aとの間の距離をX、また回動支点30と、平行リンク31及びブレーキアーム押圧杆35の連結点であるボルト33との間の距離をYとした場合に(ただし、Y>X)、L形アーム29の回動寸法、即ち、前方向移動距離がPでこれが前記連結ピン32aの同方向移動距離にほぼ等しいと仮定すれば、上部ブレーキアーム押圧杆部35aの前方向移動距離Q=P・(Y/X)となって、Q>Pである。即ち、小さなアクセルアーム3の踏み込み距離でブレーキアーム6を大きく移動させて、急速に効率良くブレーキを働かせることができる。なお、押圧杆部35aがブレーキアーム6に当接するタイミングは、上記長孔35b及びボルト33の取付け位置を変更してブレーキアーム押圧部材35が連結ブロック34から水平方向後方へ突出する長さ位置を調整することにより簡単に調整可能である。またハウジング11より後方の装置全体の車体に対する前後方向取付け位置を変更したい場合は、上記平行板8の長孔8a及びボルト15の取付け位置を水平方向へ移動調節することにより簡単に調整可能である。なお、上記長孔35b及びボルト33の取付け構成は、これに限ること無く、長孔35bの代わりに前後方向に並んだ複数の孔を形成し、ボルト33がこれら複数の孔の何れかに選択的に取付けられることにより、ブレーキアーム押圧部材35の車体前後方向位置を調整するようにしても良い。また、ブレーキアーム押圧部材35及び連結ブロック34どうしで逆に前者にボルトを設
け且つ後者に長孔又は複数の孔を設けて上記調整を行うようにしてもよい。なお、平行リンク31は、ハウジング11との枢支点である支点ピン30が回動支点、連結リンク32との連結点である連結ピン32a部分がL形アーム29からの回動力を受ける力点、ブレーキ押圧杆35との連結部であるボルト33が作用点の役割を果たす。
【0036】
なお、バネ43に着目すると、
図12の初期状態では、L形アーム29の切起し部29aとナット42との間で長さd1を有しているが、
図13の時点で爪レバー支持回動ブロック24の第1当接板部24aはがストッパー部13aに当接停止するため、それ以後はL形アーム29の切起し部29aのみが前記第1当接板部24aから相対的に離間しつつバネ43を圧縮しながら最後に
図15の位置に至る。このため、バネ43は
図15に示す如く、初期長さd1から最終長さd2までその差分長さd1-d2だけ縮んでいることが理解される。アクセルペダル3aの過度の踏み込みの繰り返しに伴い、バネ43は上記差分長さd1―d2の伸縮の繰り返しが生ずるとバネ43の耐久性上好ましくないため、その解消策を後述する第4実施例で述べる。次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第2実施例について
図16乃至
図19について説明するが、各図中、
図1乃至
図15と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
第2実施例が第1実施例と異なる点は、
図16及び17から明らかな如く、第2実施例のブレーキ作動機構5では第1実施例の連結リンク32、一対の平行リンク31及び連結ブロック34が設けられておらず、L形アーム29の下面にブレーキアーム押圧杆35がボルト33により直接取付けられていることである。
【0038】
第2実施例の動作としては、車の運転待機状態では、
図18に示す如く、ブレーキアーム押圧杆35はL形アーム29(アクセルアーム3)と共に時計回り回動限界位置にある。次に、アクセルペダル3aをアクセル全開位置及び第1段階の過度の回動位置を超えて、第2段階の過度の回動位置(
図19)まで回動させると、同図に示す如く、ブレーキアーム押圧杆35のブレーキアーム押圧部35aがブレーキアーム6に当接しこれを押圧して急速にブレーキ作動させる。その他の構成及び動作は第1実施例と同様である。なお、押圧杆部35aがブレーキアーム6に当接するタイミングは、上記第1実施例と同様に、長孔35b及びボルト33のL形アーム29に対する取付け位置を変更してブレーキアーム押圧部材35が連結ブロック34から水平方向後方へ突出する長さ位置を調整することにより調整可能である。また上記長孔35b及びボルト33の取付け構成は、上記第1実施例と同様に、これに限ること無く、長孔35bの代わりに前後方向に並んだ複数の孔を形成し、ボルト33がこれら複数の孔の何れかに選択的に取付けられるようにしても良く、またブレーキアーム押圧部材35及びL形アーム29どうしで逆に前者にボルトを設け且つ後者に長孔又は複数の孔を設けてもよい。
【0039】
この第2実施例によれば、ブレーキアーム押圧杆35は車の前後方向へ移動する際に第1実施例の如く水平状態に維持し続けることはないが、第1実施例のリンク機構31、32、34等が不要のため構成部品を簡略化し得る。
【0040】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第3実施例について
図20乃至
図24について説明するが、各図中、
図1乃至
図19と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。なお、この第3実施例においても第1及び第2実施例と同様のアクセルキャンセル機構4は存在するが、
図21(分解斜視図)中図面の複雑化を避けるために図示を省略している。
【0041】
第3実施例が第1及び第2実施例と異なる点は、第3実施例のブレーキ作動機構5では第1及び第2実施例のブレーキ押圧杆35の替わりに、変則形状のブレーキアーム押圧回動レバー101が設けられていることである。
【0042】
このブレーキアーム押圧回動レバー101は、
図21中、押圧レバー本体102とブレーキアーム押圧部材103とを、該押圧部材103の長孔103aを挿通するボルト104により組付けたものであり、押圧レバー本体102の下部の支点ピン102a(回動レバー101の回動支点)と中間部にL形アーム29により押圧される被押圧杆部102b(回動レバー101の力点)とを有し、またブレーキアーム押圧部材103に車の前後方向と直交する方向へ伸びるブレーキアーム押圧杆部103b(回動レバー101の作用点)とを有する。このブレーキアーム押圧回動レバー101は、主ハウジング12の下方にスペース材105を介してボルト106により設けられた一対の支持フレーム12a間において、上記支点ピン102aの周りに回動可能に取付けられている。
【0043】
第3実施例の動作としては、車の運転待機状態時では、
図22に示す如く、ブレーキアーム押圧回動レバー101は反時計回り回動限界位置にある。次に、アクセルペダル3aを通常踏み込み範囲内のアクセル全開位置まで踏み込んでアクセルアーム3を回動させると、
図23に示す如く、L形アーム29が時計回りへ回動してブレーキアーム押圧回動レバー101の被押圧杆部102bに近接するものの当接しないので、ブレーキアーム押圧回動レバー101も支点ピン102aの周りに回動開始しないから、ブレーキアーム6も作動しない。
【0044】
続いて、アクセルペダル3aを
図23の位置から第1段階の過度の回動位置(アクセルキャンセル操作が行われる)を超えて更に
図24に示す第2段階の過度の回動位置まで踏み込むと、ブレーキアーム押圧回動レバー101は、その被押圧杆部102bにL形アーム29が当接されて押圧されることにより
図24の位置まで回動される。従って、該回動レバー101のブレーキアーム押圧杆部103bがブレーキアーム6に当接してこれを前方へ押圧して急速ブレーキを作動させる。
【0045】
この第3実施例によれば、ブレーキアーム押圧回動レバー101において、例えば
図24中、支点ピン102a及ぶ中間被押圧杆部102b間の距離をX、また支点ピン102a及ぶ上部ブレーキアーム押圧杆部103b間の距離をYとした場合に(ただし、Y>X)、L形アーム29の回動寸法、即ち、前方方向移動距離がPの時に、上部ブレーキアーム押圧杆部103bの前方方向移動距離Q=P・(Y/X)となって、Q>Pである。即ち、小さなアクセルアーム3の踏み込み距離でブレーキアーム6を大きく移動させて、急速に効率良くブレーキを働かせることができる。なお、ブレーキアーム押圧杆部103bがブレーキアーム6に当接するタイミングは、上記長孔103a及びボルト104の取付け位置を変更してブレーキアーム押圧部材103が押圧レバー本体102から水平方向へ突出する長さ位置を調整することにより簡単に調整可能である。なお、上記長孔103a及びボルト104の取付け構成は、これに限ること無く、長孔103aの代わりに前後方向に並んだ複数の孔を形成し、ボルト104がこれら複数の孔の何れかに選択的に取付けられることにより、ブレーキアーム押圧杆部103bの車体前後方向位置を調整するようにしても良い。また、ブレーキアーム押圧杆部103b及び押圧レバー本体102どうしで逆に前者にボルトを設け且つ後者に長孔又は複数の孔を設けて上記調整を行うようにしてもよい。
【0046】
なお、上記第1及び第2実施例では、アクセルアーム3(アクセルペダル3a)を通常踏み込み範囲内で踏みこみ開始すると同時にブレーキアーム押圧杆35もブレーキアーム6の方向へ近接移動開始していた。これに対して、第3実施例では、アクセルアーム3を通常踏み込み範囲内で踏みこんでもL形アーム29のみが時計回りへ回動してブレーキアーム押圧回動レバー101の被押圧杆部102bに近接するものの当接しないので、前記ブレーキアーム押圧回動レバー101が回動開始しない。このため、そのブレーキアーム押圧杆部103bもブレーキアーム6の方向へ近接移動開始しておらず、アクセルアーム
3を過度の回動位置まで踏み込んで初めてブレーキアーム6に当接して作動させる点が異なる。
【0047】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第4実施例について
図25乃至
図28について説明するが、各図中、
図1乃至
図2724と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
第4実施例は、第1乃至第3実施例に比して、アクセルキャンセル機構4に新たにバネ負荷キャンセル回動ブロック121を設けた点が異なるが、このバネ負荷キャンセル回動ブロック121(以下、バネキャンセルブロックという)は、上記第1乃至第3実施例の何れに対しても適用可能である。
【0049】
図25中、爪レバー支持回動ブロック24には第2当接部24bが追加的に設けられ、また新たに設けたバネキャンセルブロック121が、副ハウジング13に対して支点ピン122により回動可能にねじりバネ123(副ハウジング13に植設したピン13bとバネキャンセルブロック121に植設したピン121aとの間に配設)により反時計回りに回動付勢されて取付けられる。バネキャンセルブロック121は上下に第1及び第2のストッパー部121b及び121cを有する。なお、副ハウジング13のストッパー部13aは、上記第1ストッパー部121bに置き換えられるため設けられていない。
【0050】
第4実施例の動作としては、車の運転待機状態時では
図25に示す状態(大略、第1実施例の
図12に対応する状態)であり、L形アーム29及び爪レバー支持回動ブロック24は時計周り回動限位置にある。なお、この
図25の状態では、爪レバー支持回動ブロック24(副ハウジング13に支点ピン21より支持)の第1当接板部24aは、L形アーム29の切起し部29aに対してバネ43の付勢力により当接しており、この時のバネ(コイルバネ)43の長さは初期長さd1であり、これは
図12の状態と同一である。
【0051】
次に、
図26に示す如く、アクセルペダル3aを通常範囲内のアクセル全開位置まで踏み込んでアクセルアーム3を同図の位置まで回動させると、L形アーム29及び爪レバー支持回動ブロック24が見かけ上一体的に反時計回りへ所定角度だけ回動する。そして、該爪レバー支持回動ブロック24の第2当接部24bがバネキャンセルブロック121の第1の図中上側ストッパー部121bに当接するので、以後、爪レバー支持動ブロック24の反時計周り回動が停止される。
【0052】
続いて、アクセルペダル3aを第1段階の過度の回動位置(
図27)まで踏み込むと、爪レバー支持回動ブロック24は上記の如く停止したままでL形アーム29のみが更に
図26から
図27の位置まで反時計回りに回動するので、その切起し部29aがバネキャンセルブロック121の図中下側第2のストッパー部121cに当接してこれを同方向へ押圧する。従って、バネキャンセルブロック121は
図27の位置から支点ピン122の周りにねじりばね123に抗して反時計回りに回動開始する。この時点でL形アーム29及びアクセル作動レバー22を介して上述したアクセルキャンセル動作が行われる。
【0053】
続いて、アクセルペダル3aを更に第2段階の過度の回動位置(
図28)まで踏み込むと、バネキャンセルブロック121は上述の如くねじりばね123に抗して反時計回りに
図28の位置まで回動する。従って、この間に爪レバー支持回動ブロック24の第2当接部24bとバネキャンセルブロック121の第1のストッパー部121aとの当接係合が解除されるため、爪レバー支持回動ブロック24の第1当接板部24aはバネ43の付勢により反時計周りに回動して、再び切起し部29aに当接して
図28の位置へ至る。このときのバネ43の長さは初期位置の
図25のバネ43の長さと同一のd1である。
【0054】
従って、第4実施例では、バネキャンセルブロック121の効果により、アクセルを第2段階の過度<U>に</U>踏み込んだ状態においても、バネ43の最終長さは初期長さと同じ長さd1を維持することができ、上記バネキャンセルブロック121が設けられていない場合(
図15)に、最終長さが初期長さd1より小さいd2まで縮んでその差分寸法d1-d2だけ繰り返し伸縮してバネ劣化を生ずるという問題を解決できる。
【0055】
また、バネキャンセルブロック121が無い場合、アクセルを第2段階の過度に踏み込んだ状態では、バネ43の圧縮により、ペダルを踏み込むときの抗力が増えていく。しかしながら、バネキャンセルブロック121が有る場合、アクセルを第2段階の過度に踏み込んだ状態では、バネ43が初期長さd1の自由長になる(即ち圧縮されない)為ペダル抗力が増えない為、ブレーキの踏みこみが円滑で効きやすいという効果がある。
【0056】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第5実施例について
図29乃至
図34を使用して説明するが、各図中、
図1乃至
図28と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。また
図29乃至
図34中では、便宜上、アクセルアーム3、アクセルキャンセル機構4、ブレーキ作動機構5、及びブレーキアーム6等は図示を省略して、第5実施例の要部のみを示している。なお、
図31では、内部構造を解りやすくするため、カバー板206(
図29、
図30参照)を取り去っている。
【0057】
図29乃至
図31中、符号201は、アクセルペダルの過度の踏込みを許可又は禁止する有効無効切換スイッチである。この有効無効切換スイッチ201は、
図32に示す如く、例えば、金属平板を所定形状に機械加工又はプレス打ち抜きしたもので、ロッド部201aの前方に手動操作部201b(係合凸部201cを有する)及びリミットスイッチ押圧部201dを有し、また後方にストッパー部201e及び取付孔201fを有する。有効無効切換スイッチ201は、
図29に示す如く、手動操作部201bが、ハウジング11の前方に取付けたON・OFF表示板205の前面に位置し且つロッド部201aがハウジング11の壁部11aを挿通する状態でハウジング11に取付けられる。このときロッド部201aの後端において取付孔201fに挿通されてナット203により取付けられたねじ202と壁部11aとの間にバネ204が介装され、これにより有効無効切換スイッチ201は後方へ付勢されて、ストッパー部201eが壁部11aに当接している。なお、有効無効切換スイッチ201は
図29中、右側部分のみを部分断面にて示す(他の図面でも同様)。
【0058】
有効無効切換スイッチ201は、アクセルペダル3aが通常踏み込み角度範囲を超えた過度の踏み込みを許容する(有効にする、即ちスイッチON)か又は禁止する(無効にする、即ちスイッチOFF)を切り換えるものである。
【0059】
次に、上記第5実施例の動作について説明する。最初に、
図29乃至
図31においては、有効無効切換スイッチ201は、その手動操作部201bが図中下方に回動されてその係合凸部201cがON・OFF表示板205の下方の第1の係合凹部205aに係合することにより、前記スイッチON状態を表示する。同時に、有効無効切換スイッチ201のストッパー部201eも下方へ回動してアクセルペダル3aの過度の踏み込み角度を許容する状態になっている。即ち、ストッパー部201eは、L形アーム29が垂直面内で回動する際に該L形アーム29に干渉しない位置にあるため、後述する如く、アクセルペダルの過度の回動を許容する。また同時にリミットスイッチ押圧部201dも垂直面内に位置してリミットスイッチ(図示せず)を押圧することによりスイッチON状態のLED表示(図示せず)を行わせる。
【0060】
図29の状態からアクセルペダル3aを踏み込んでアクセルアーム3(
図1乃至
図3参照)と一体のL形アーム29を、同図中時計方向へ通常の踏み込み角度範囲の上限(例え
ば20度)を超えて回動させたとする。すると、L形アーム29は、
図30に示す如く、前記ストッパー部201eに当接干渉することなく、過度の角度α(>20度)だけ回動して壁部11aの下端部11bに当接して停止する。この間、L形アーム29の回動角度が20度を超えた時点で、
図9において述べた如く、爪レバー26の爪部26aがアクセル作動レバー22のフック部22dから外れて、アクセルワイヤ46の引張を解除して車体前方へ復帰させるので、アクセル動作は強制的にキャンセルされる。続いて、L形アーム29の過度の回動に起因してブレーキアーム押圧杆35の移動を介してブレーキアーム6が回動されてブレーキ作動させる。即ち、有効無効切換スイッチ201が有効に切り換えられた状態では、アクセルペダルの通常の角度範囲を超えた踏み込みが有効となるが、過度の踏み込みが行われた時点で、
図8乃至
図11で説明したと同様に、アクセル動作がキャンセルされ且つブレーキ作動される。
【0061】
次に、
図31において、有効無効切換スイッチ201が、その手動操作部201bが図中反時計方向へ90度だけ回動されてその係合凸部201cがON・OFF表示板205の下方の第1の係合凹部205aから係合解除されて、上方の第2の係合凹部205bに係合されることにより、スイッチOFF態を表示する。このとき
図33に示す如く、手動操作部201bは水平方向を向いているから、同図中ではスイッチ201本体に隠れて見えない。同時に、有効無効切換スイッチ201のストッパー部201eも上方へ90度だけ回動して水平方向を向き、アクセルペダルの過度の踏み込み角度を禁止する状態になる。即ち、ストッパー部201eは、L形アーム29が垂直面内で回動する際に該L形アーム29に当接干渉する位置に至る。また同時にリミットスイッチ押圧部201dが水平面内に位置するように移動してリミットスイッチの押圧を解除することによりスイッチOFF状態のLED表示(又は単にLEDの消灯)を行わせる。
【0062】
図33の状態からアクセルペダル3aを踏み込んでL形アーム29を、同図中時計方向へ通常の踏み込み角度範囲の上限(例えば20度)まで回動させたとする。すると、
図34に示す如く、L形アーム29の所定部分が、壁部11aに接した上記ストッパー部201eに当接して強制的に停止される。即ち、有効無効切換スイッチ201が無効位置(スイッチOFF)に切り換えられた状態では、アクセルペダルの通常の角度範囲を超えた過度の踏み込み動作が禁止(無効)される。従って、この場合、そもそもアクセルの過度の踏み込み自体が不可能であるから、過度の踏み込みが行われることによるアクセルキャンセル動作、及びブレーキ動作も行われないことになる。なお、第5実施例(
図29乃至
図34)の有効無効切換スイッチ201は、アクセル作動レバー22(22a)を介してアクセルワイヤ46(
図1参照)の引張又はその解除によりスロットルバルブを制御する実施例に適用されていたが、これに限らず、後述する第6実施例(既設アクセルアームのアクチュエータ機構301)に適用しても良い。
【0063】
なお、上記第5実施例の有効無効切換スイッチ201は自身のロッド部201aの周りに90度だけ往復的に回動することにより、L形アーム29の過度の回動の許容又は禁止を切り換える構成であったが、これに限ることなく、有効無効切換スイッチは、例えば、
図31中矢印A方向に見て、回動するのでなく同一水平面内で左右に往復スライド又はロッド部201aの後端部を支点として同一水平面内で往復的に揺動することにより、ストッパー部201eがL形アーム29の回動面内に出入りしてL形アーム29の過度の回動を許容又は禁止をするようにしても良い。また、操作部201bは、手動操作に限らず、単にボタンの押し下しにより、電気信号による電子プランジャ等の動作を介して有効無効切換スイッチ201を切り換えるようにしても良い。
【0064】
次に、本発明のアクセルペダル誤動作解消機構の第6実施例について
図35乃至
図39を使用して説明する。この第6実施例は、特に上記第3実施例(
図20乃至
図24)に対して適用したものであり、各図中、
図20乃至
図24と同一部分には同一符号を付してそ
の説明を省略する。なお、上記第3実施例では、アクセル作動レバー22のアクセル作動レバー部材22a(以下、「第1アクセル作動レバー22a」という)にアクセル動作用にアクセルワイヤ46(
図1参照)を連結していたが、本第6実施例では、アクセルワイヤ46を取り去って、その代わりに第1アクセル作動レバー22aに対して、アクセルワイヤ46と同等の機能を果たすべく、既設アクセルアーム311を連動的に動作させる機構(以下、既設アクセルアームのアクチュエータ機構という)301を連結している。
図35中、311が既設のアクセルアームであるが、この場合、既設のアクセルペダル部分311a(二点鎖線で示す)が切断除去されている。
【0065】
上記第6実施例の既設アクセルアームのアクチュエータ機構301は、
図36乃至
図38に示す如く、大略、第2アクセル作動レバー302と、アクチュエータバー303と、第1アクセル作動レバー22a及び第2アクセル作動レバー302を連結する連結リンク304とから構成される。第2アクセル作動レバー302は、そのボス孔302aが、車体に固定の平行板8(
図1参照)に取付けた支点ピン305に対してワッシャー306を介在して嵌合され、且つ支点ピン305先端の取付孔305aに止めワイヤ307が係合され、これにより該支点ピン305の周りに回動自在に支持される。
【0066】
スリーブ状のアクチュエータバー303は、
図36に示す如く、第2アクセル作動レバー302の下方取付孔302bに対してボルト308及びナット309によりワッシャ-310を介在して取付け固着される。また、連結リンク304は、両端支点アイボルト321及び322に中間長尺ナット323をナット324を介在して軸方向寸法(連結リンク304の全長が)調節自在に接続した構造で有り、一方の支点アイボルト321がボルト325によりナット326を介在して第1アクセル作動レバー22aの取付孔22a1に枢動自在に取付けられ、また反対の支点アイボルト322がボルト327により第2アクセル作動レバー302の上端取付孔302cにナット328により枢動自在に取付けられている。なお、連結リンク304の長さが中間長尺ナット323により軸方向長さが調整可能であることにより、アクチュエータバー303と既設のアクセルアーム311との初期当接角度位置を適宜調整し得る。なお、331はアクセル関連部材を収納する既設のハウジングである。
【0067】
次に、第6実施例の動作について説明する。最初に、運転待機状態(
図35、37及び38参照)においては、上記第5実施例で述べた有効無効切換スイッチ201の手動操作部201bが下方(スイッチON)に切り換えられて、アクセルペダルの過度の踏み込み操作が許可状態になっていることが解る。また、アクチュエータバー303は、
図38中、時計方向(矢印C方向)に常時回動付勢された既設アクセルアーム311により常時当接押圧されることにより、第2アクセル作動レバー302も同方向(矢印C方向)回動限界位置にある。従って、第1アクセル作動レバー22aも、連結リンク304を介して同方向(矢印C方向)回動限界の初期位置にある。
【0068】
ここで、
図38に示す運転待機状態から、新設アクセルペダル3aを、既設のアクセルアーム311から常時作用する連動的押圧力に抗して踏み込んで、新設アクセルアーム3を反時計方向(矢印D方向)へ回動させて、
図39に示す通常踏み込み限界角度位置まで移動させる。すると、第1の実施例で説明したと同様に、第1アクセル作動レバー22aが、アクセルキャンセル機構4の爪レバー26との係合により、
図38の初期(運転待機)位置から
図39の通常回動限界位置まで回動される。これにより、連結リンク304を介して第2アクセル作動レバー302も
図39の位置まで矢印D方向へ回動される。従って、アクチュエータバー303を介して既設アクセルアーム311が反時計方向(矢印D方向)へ同図の位置まで回動されるので、車が通常限界範囲まで加速される。
【0069】
次に、
図39に示した時点から、アクセルペダル3aを通常角度範囲を超えて更に踏み
込むと、第1の実施例で説明したと同様に、爪レバー26と第1アクセル作動レバー22aのフック部22bとの係合が解除される。従って、第1及び第2のアクセル作動レバー22a、302及び連結リンク304からなるアクチュエータ機構301と新設アクセルペダル3aからの踏み込み力との連動が遮断される。かくして、アクチュエータバー303には、既設アクセルアーム311からの時計方向(矢印C方向)押圧力のみが作用するので、アクチュエータ機構301の各部材(第1及び第2のアクセル作動レバー22a、302及び連結リンク304)及び既設アクセルアーム311は、前記通常角度範囲を超えた位置から
図38に示した初期位置まで戻り移動して、アクセル動作がキャンセルされる。なお、有効無効切換スイッチ201の手動操作部201bが横方向(スイッチOFF)に切り換えられた状態では、L形アーム29が通常角度範囲を超えて回動することは禁止されるから(
図34参照)、新設アクセルペダル3aの過度の踏み込み操作も禁止される。
【0070】
上記第6の実施例は、特に第3の実施例に適用した場合について説明したが、これに限ることなく、第1、第2又は第4実施例に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 アクセルペダル誤操作解消機構
2 ハウジングユニット
3 アクセルアーム
3a アクセルペダル
4 アクセルキャンセル機構
5 ブレーキ作動機構
6 ブレーキアーム
6a ブレーキペダル
7 取付板
8 平行板
8a 長孔
9 基板
10、14、15、23、33、48、104、106 ボルト
11 ハウジング
11a 壁部
11b 壁下端部
12 主ハウジング
12a 支持フレーム
12b 孔
13 副ハウジング
13a ストッパー部
13b ピン
21、25、27、30、44、102 支点ピン
22 アクセル作動レバー(第1アクセル作動レバー)
22a、22b、22c アクセル作動レバー部材
22a1 取付孔
22d フック部
24 爪レバー支持回動ブロック
24a 第1当接板部
24b 第2当接部
26 爪レバー
26a 爪部(第1係合部)
26b 係合凹部(第2係合部)
28 爪レバー係止ブロック
28a 係合爪部
28b 長孔
29 L形アーム(アクセルアーム取付け部材)
29a 切起し部(第1バネ係止部)
29b 孔
31 平行リンク
32 連結リンク
32a、32b 連結ピン
34 連結ブロック
35 ブレーキアーム押圧杆
35a ブレーキアーム押圧部
35b 長孔
37 ばね
41 ばね取付用軸体
42 ナット(第2バネ係止部)
43 コイルバネ
45 連結部材
46 アクセルワイヤ
47 規制ピン
51 車体
101 ブレーキアーム押圧回動レバー
101a ブレーキアーム押圧杆部
101b 被押圧杆部
102 押圧レバー本体
102a 支点ピン
102b 被押圧部
103 ブレーキアーム押圧部材
103a 長孔
103b ブレーキアーム押圧杆部
105 スペース材
121 バネ負荷キャンセル回動ブロック(バネキャンセルブロック)
121a ピン
121b 第1ストッパー部
121c 第2ストッパー部
122 支点ピン
123 ねじりバネ
201 有効無効切換スイッチ
201a ロッド部
201b 手動操作部
201c 係合凸部
201d リミットスイッチ押圧部
201e ストッパー部
201f 貫通孔
202 ねじ
203 ナット
204 バネ
205 ON・OFF切換表示板
205a、205b 係合凹部
206 カバー板
301 既設アクセルアームのアクチュエータ機構
302 第2アクセル作動レバー
302a ボス孔部
302b、302c 取付孔
303 アクチュエータバー
304 連結リンク
305 支点ピン
305a 取付孔
306 ワッシャー
307 止めワイヤ
308、325、327 ボルト
309、324、326、328 ナット
311 既設のアクセルアーム
321、322 支点アイボルト
323 中間長尺ナット
331 ハウジング