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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021140946
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034620
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-11-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207066
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 毅
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 俊之
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-001055(JP,A)
【文献】特開2013-184233(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112207818(CN,A)
【文献】特開2019-209457(JP,A)
【文献】特開2004-314137(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0044987(KR,A)
【文献】特開2001-293638(JP,A)
【文献】特開2019-063912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された被搬送物を前記容器と共に搬送するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、を備えたロボット装置であって、
前記ロボットによって前記被搬送物又は前記容器に対して加えられるロボット加速度と反対向きの慣性加速度と、前記被搬送物又は前記容器に作用する重力加速度との、合成加速度ベクトルの向きに対応するように前記ロボットによって容器の姿勢を制御すると共に、
前記被搬送物又は前記容器が障害物を避けるように前記ロボットが前記被搬送物又は前記容器を搬送する軌道を設定し、
前記軌道に沿って前記ロボットを駆動したとき、前記ロボット加速度の変化量であるロボットジャークの上限を所定値に制限するように前記ロボットを制御し、
前記ロボット加速度に加速度上限値を設定し、前記加速度上限値にてジャークをゼロに設定することを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
合成加速度ベクトルの向きに対応するように前記ロボットによって容器の姿勢を制御する場合には、容器に収容された被搬送物の重心を中心にして姿勢を制御することを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記ロボットジャークの上限を制限する所定値は、前記ロボットの加速度指令値又は速度指令値の少なくとも一方に対する応答特性に応じて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記ロボットジャークの上限を制限する所定値は、10~200m/sであることを特徴とする請求項3に記載のロボット装置。
【請求項5】
容器に収容された被搬送物を前記容器と共に搬送するロボットを制御するロボット制御方法であって、
前記ロボットによって前記被搬送物又は前記容器に対して加えられるロボット加速度と反対向きの慣性加速度と、前記被搬送物又は前記容器に作用する重力加速度との、合成加速度ベクトルの向きに対応するように前記ロボットによって容器の姿勢を制御するステップと、
前記被搬送物又は前記容器が障害物を避けるように前記ロボットが前記被搬送物又は前記容器を搬送する軌道を設定するステップと、
前記軌道に沿って前記ロボットを駆動したとき、前記ロボット加速度の変化量であるロボットジャークの上限を所定値に制限するように前記ロボットを制御するステップと、
前記ロボット加速度に加速度上限値を設定し、前記加速度上限値にてジャークをゼロに設定するステップと、
を有することを特徴とするロボット制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のロボット制御方法の各ステップをコンピュータによって実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店における従業員不足等の背景から、飲食店におけるサービスの工程を自動化したいという要請がある。飲料提供を自動化するにあたり、容器に注がれた飲料をこぼさずに搬送することが求められる。
【0003】
特許文献1には、容器に入った被搬送物がこぼれないように、慣性加速度ベクトルと重力加速度ベクトルとを合成した合成加速度ベクトルを計算し、計算された合成加速度ベクトルに応じてロボット姿勢を制御するロボット装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-001055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、合成加速度ベクトルに応じてロボット姿勢を制御することにより容器に入った被搬送物をこぼさないことが記載されているが、例えば液体を搬送する場合には、液面が波立つために高速移動すると液体が容器からこぼれるという問題が生じる。特許文献1のロボット装置で液体がこぼれないようにするためには低速度でロボット装置を駆動するしかなかったが、これでは高速搬送が実現できないという問題があった。本発明の目的は容器に収容された被搬送物をこぼさずに、高速で被搬送物を搬送できるロボット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様のロボット装置は、容器に収容された被搬送物を前記容器と共に搬送するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、を備えたロボット装置であって、前記ロボットによって前記被搬送物又は前記容器に対して加えられるロボット加速度と反対向きの慣性加速度と、前記被搬送物又は前記容器に作用する重力加速度との、合成加速度ベクトルの向きに対応するように前記ロボットによって容器の姿勢を制御すると共に、前記被搬送物又は前記容器が障害物を避けるように前記ロボットが前記被搬送物又は前記容器を搬送する軌道を設定し、前記軌道に沿って前記ロボットを駆動したとき、前記ロボット加速度の変化量であるロボットジャークの上限を所定値に制限するように前記ロボットを制御し、前記ロボット加速度に加速度上限値を設定し、前記加速度上限値にてジャークをゼロに設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の態様のロボット装置によれば、被搬送物に作用する合成加速度ベクトルの向きに対応するように容器の姿勢が制御されるので被装置物が容器からこぼれることはなく、しかも、ロボット加速度の変化量であるロボットジャークの上限を所定値に制限することで、被搬送物の状態が安定する、例えば、被搬送物が液体であれば波立ちを抑えることができるため、容器に収容された被搬送物をこぼさずに、高速で被搬送物を搬送できる搬送ロボット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1のロボット装置を利用した飲料自動提供システムの説明図である。
図2】本発明の実施形態1の飲料自動提供システムの概略ブロック図である。
図3】本発明の実施形態1のロボット装置のハンド部についての説明図である。
図4】本発明の実施形態1のロボットアームの軌道制御の説明図である。
図5】本発明の実施形態1の容器の姿勢制御についての説明図である。
図6】本発明の実施形態1のロボットアームのジャーク制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るロボット装置を説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのロボット装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0010】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係るロボット装置20について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1のロボット装置20を利用した飲料自動提供システム10の説明図である。
【0011】
<飲料自動提供システム10について>
飲料自動提供システム10は、飲料の注文を受け付ける注文入力装置11と、飲料を供給するビールサーバ26、炭酸水サーバ25、氷ディスペンサ23、ワンショットメジャー24、及びウォーターサーバ(不図示)等の飲料供給装置と、容器Cを保管する容器保管庫14と、容器保管庫14に保管された容器Cを送出位置P1から供給位置P2まで搬送する容器供給装置13と、容器を冷却するチラー18とを有している。
【0012】
ロボット装置20はロボットコントローラ31(図2参照)と、ロボットアーム21とを備えている。ロボットアーム21は、特に限定されるものではないが、例えば6軸等の多関節のロボットアームである。ロボットアーム21は容器Cを把持するハンド部22を有しており、ハンド部22は容器Cを把持して、供給位置P2、注入位置P4、各飲料供給装置の注入位置、及び、提供位置P3の間を搬送する。
【0013】
容器保管庫14は飲料自動提供システム10の下部に組み込まれている。容器保管庫14は、保管庫本体部15と、保管庫本体部15に対してスライド可能に取り付けられ、複数の容器Cが収容された引出し部16と、引出し部16を駆動する保管庫駆動装置17とが設けられている。引出し部16は保管庫駆動装置17により、保管位置と外部の引き出し位置との間をスライド駆動される。引出し部16が保管位置にあるときに、容器Cは1個ずつ、容器供給装置13によって送出位置P1から供給位置P2まで取り出される。容器保管庫14は、飲料自動提供システム10の下部に組み込まれているため、容器Cの保管スペースをロボットアーム21の下方に確保することが可能であると共に、容器保管庫14に冷却装置を設けた場合には、冷気が下方に留まるため、冷却効率を向上することができる。
【0014】
図2は実施形態1の飲料自動提供システムの概略ブロック図である。飲料自動提供システム10は、システムコントローラ30は、注文入力装置11、ロボットコントローラ31、カメラ35、計量装置36,容器保管庫14、容器供給装置13、氷ディスペンサ23、ワンショットメジャー24、炭酸水サーバ25及びビールサーバ26等から構成されている。
【0015】
システムコントローラ30は、注文入力装置11、ロボットコントローラ31、カメラ35、計量装置36、容器保管庫14、容器供給装置13、氷ディスペンサ23、ワンショットメジャー24、炭酸水サーバ25及びビールサーバ26に接続されており、飲料自動提供システム10の全体の制御を行う。
【0016】
ロボットコントローラ31は、システムコントローラ30からの制御指令に基づきロボットアーム21を制御する。また、ロボットコントローラ31はティーチングペンダント32にも接続されており、ティーチングペンダント32からの入力に基づき、システムコントローラ30からの制御指令とは独立した制御設定を行うことができる。
【0017】
注文入力装置11は例えばタッチパネルディスプレイからなり、顧客に対してお勧めメニューを提示する等の対話式の入力により、飲料の注文を受け付ける。飲料の注文を受け付けると、容器Cが容器保管庫14から送出位置P1から送り出されて、容器供給装置13によって供給位置P2に供給される。ロボットアーム21はハンド部22により供給位置P2に供給された容器Cを把持して、チラー18の上方で容器Cの開口を下向きに伏せた状態で、ロボットアーム21によるチラー18を操作して、あるいは、ロボットアーム21の位置に応じてシステムコントローラ30からチラー18への制御指令により、容器C内にCOを噴霧して容器Cを冷却する。なお、容器保管庫14に冷却装置が設けられており、十分に冷却されている場合には、あるいは、注文された飲料によっては、チラー18による冷却工程を省略することもできる。
【0018】
次に、ロボットアーム21はロボットコントローラ31によってシステムコントローラ30からの制御指令に基づいて制御され、注文に応じて容器Cを、氷ディスペンサ23、ワンショットメジャー24、炭酸水サーバ25、ウォーターサーバ(不図示)、及び、ビールサーバ26等の飲料供給装置の注入口に順に搬送し、順に容器Cに各飲料を注入して注文どおりに飲料を自動的に調製する。飲料供給装置の注入動作はロボットアーム21の動作と同期させて制御してもよいし、飲料供給装置の操作レバー等をロボットアーム21のハンド部22により直接操作して飲料を容器Cに注入するようにしてもよい。
【0019】
飲料供給装置から容器に注入する飲料の分量は、注文に応じたレシピにより決定される。例えばワンショットメジャー24からは定量のウイスキー等の飲料が容器Cに供給される。氷ディスペンサ23からは注文に応じた定量の氷が容器Cに注入される。ビールサーバ26からは注文に応じた定量のビールが容器に注入され、泡の量も所定となるように設定されている。炭酸水サーバ25からは、注文に応じたレシピにより決定された分量だけ炭酸水が容器Cに注入される。ウォーターサーバからは、注文に応じたレシピにより決定された分量だけの水が容器Cに注入される。
【0020】
炭酸水サーバ25やウォーターサーバ等から容器Cに炭酸水又は水を注入する位置である注入位置P4には、計量装置が設けられており、例えば注入される炭酸水又は水の重量を測定することができる。これによって、注文に応じたレシピどおりの分量の飲料が容器Cに注入されているかどうかを確認することができる。なお、この時に把握された容器Cの飲料の分量は、後述の搬送時の容器Cの姿勢制御にも用いられる。また、提供位置P3にも、例えば容器Cの重量を測定する計量装置が設けられているので、注文どおりの分量の飲料が調製されているかどうかを判定し、容器Cに所定量の分量の飲料が注入されている場合には、提供口19の電磁ロックが解除され、提供口19が開放されて飲料が顧客に提供される。一方、容器Cに注がれた飲料の分量が所定量とは異なる場合には、容器Cは顧客に提供されずに、ロボットアーム21により適宜の回収手段(不図示)まで搬送されて、回収される。
【0021】
システムコントローラ30は、さらに通信ネットワーク40を介して、本部サーバ41、データベース42、他の飲料自動提供システム10a~10n等と通信することが可能である。本部サーバ41では、各店舗の飲料自動提供システム10、10a~10nからの情報を収集すると共に、データベース42からの情報等のビッグデータを用いて、機械学習などの手段を用いて各店舗の推奨メニューの情報や推奨されるレシピ等の分析を行い、分析の結果得られた訓練済みのデータを各店舗に提供することができる。各店舗の飲料自動提供システム10a~10nは相互に通信を行うことに顧客情報の共有やメニューの検討等を連携して行うことが可能であり、この場合には、本部サーバ41の情報だけに依存しない分散型の情報分析システムを構築することも可能である。
【0022】
<ロボット装置のハンド部22について>
図3は、本実施形態のロボット装置のハンド部22についての説明図である。ロボットアーム21には、容器Cを把持するためのハンド部22が設けられている。ハンド部22は、複数仕様の容器Cを把持することができるようになっている。
【0023】
本実施形態では、ハンド部22は、挟持方向に向かい合う一対の把持片50を含み、各把持片50が中間部分の直線状の中間片状部分51に対して両端の端部片状部分52,53が下り傾斜状に連接されている。このようなハンド部22は、外径の異なる仕様の容器Cを把持する場合にも、複数の接点位置で容器Cに接触するため、仕様の異なる容器Cであっても同ハンド部22で確実に把持することができる。ハンド部22は、端部片状部分52、53により容器Cを把持するように設定されている。このため、大きさの異なる容器Cであっても、一方の把持片50の端部片状部分52、53の内側で容器Cに接触することに加え、他方の把持片50の端部片状部分52、53の内側でも容器Cに接触することにより、合計4箇所で容器Cの外周に接触して確実に容器Cを把持することができる。なお、ハンド部22は、容器Cを挟持する側の面に例えばウレタンスポンジ等のクッション材を設けることによって容器Cを柔らかく把持するようにすることもできる。
【0024】
<ロボットアーム21の軌道制御>
図4は本実施形態のロボットアーム21の軌道制御の説明図である。ロボットアーム21は、供給位置P2から供給された容器Cを開口が上を向いた姿勢でハンド部22により把持して取り上げ、容器をチラー18の上方まで移動させて容器Cの開口が下を向く姿勢に回転させてから、チラー18を操作して、あるいは、ロボットアーム21の位置に応じてシステムコントローラ30からチラー18への制御指令により、チラー18から噴出される冷却用COによって容器Cを冷却する。
【0025】
チラー18によって冷却された容器Cは再びロボットアーム21によって開口が上を向く姿勢に回転されてから、注文に応じて必要となる氷ディスペンサ23、ワンショットメジャー24、炭酸水サーバ25、ウォーターサーバ(不図示)、及び、ビールサーバ26等の飲料供給装置の注入口に順に搬送される。飲料が注文に応じた所定量だけ容器Cに飲料が注がれると、ロボットアーム21は容器Cをその注入位置から、提供位置P3に容器Cを置く位置まで搬送する。提供位置P3に搬送され、計量装置により注文どおりの分量の飲料が調製されていると判断された場合には、提供口19の電磁ロックが解除され、提供口19が開放されて飲料が顧客に提供される。
【0026】
炭酸水サーバ25やウォーターサーバ等から容器Cに炭酸水又は水を注入する位置については、注入位置P4に置かれるように容器Cはロボットアーム21により搬送される。注入位置P4には、計量装置が設けられており、例えば注入される炭酸水又は水の重量を測定することができる。これによって、注文に応じたレシピどおりの分量の飲料が容器Cに注入されているかどうかを確認することができる。なお、この時に把握された容器Cの飲料の分量は、後述の搬送時の容器Cの姿勢制御にも用いられる。
【0027】
例えば、ビールが注文された場合について説明する。ロボットアーム21は、供給位置P2から供給された容器Cを開口が上を向いた姿勢でハンド部22により把持して取り上げ、容器をチラー18の上方まで移動させて容器Cの開口が下を向く姿勢に回転させてから、チラー18を操作して、あるいは、ロボットアーム21の位置に応じてシステムコントローラ30からチラー18への制御指令により、チラー18から噴出される冷却用COによって容器Cを冷却する(工程a1)。
【0028】
チラー18によって冷却された容器Cは再びロボットアーム21によって開口が上を向く姿勢に回転されてから、ビールサーバ26の飲料供給装置の注入口に対応した注入位置に置かれる位置まで搬送される(工程a2)。次に、ロボットアーム21は一旦容器Cを離して、ビールサーバ26の操作ボタンを操作し、あるいは、システムコントローラ30によるビールサーバ26への操作指令により、注文に応じた所定量のビールが、所定量の泡をたてた状態で容器Cに注がれる。なお、ビールサーバ26は泡の量を所定量に調整するために容器Cの傾きを自動的に調整する動きを行う。このため、ロボットアーム21は、ビールサーバ26の注入位置に容器Cを置いた後、一旦容器Cの把持を解除している。なお、ビールサーバ26のタイプによっては、ロボットアーム21が容器Cを把持したままでビールサーバ26からビールを容器Cにビールを注いでもよい。
【0029】
ビールサーバ26によりビールが容器Cに所定量だけ注がれたことは、ビールサーバ26からシステムコントローラ30への報知信号、または、計時手段によるビール注入時間相当のカウントにより判定される。ビールが容器Cに所定量だけ注入されたことが判定されると、ロボットアーム21はビールサーバ26の注入位置にある容器Cをハンド部22により把持し、ロボットアーム21は容器Cを提供位置P3に容器Cを置く位置まで搬送する(工程a3)。
【0030】
次に、ウイスキーシングルハイボールが注文された場合について説明する。ロボットアーム21は、供給位置P2から供給された容器Cを開口が上を向いた姿勢でハンド部22により把持して取り上げ、この姿勢のまま容器Cを氷ディスペンサ23の氷注入口に対応する氷注入レバーを押し込む位置まで搬送する(工程b1)。この容器Cを氷注入レバーに押し込む操作により、氷ディスペンサ23から所定量の氷が容器Cに投入される。氷ディスペンサ23から所定量の氷が容器Cに投入されたことは、氷ディスペンサ23からシステムコントローラ30への報知信号、または、計時手段による氷注入時間相当のカウントにより判定される。
【0031】
氷ディスペンサ23から所定量の氷が容器Cに投入されたと判断されると、ロボットアーム21は容器Cを氷ディスペンサ23の氷注入口に対応する位置から、注文に応じたウイスキーのワンショットメジャー24の飲料供給位置に対応するワンショットメジャー24の操作レバーの位置まで搬送する(工程b2)。この位置からロボットアーム21は、容器Cによりワンショットメジャー24の操作レバーを押し込むことにより、ウイスキーがワンフィンガー(シングルに相当する分量)だけ容器Cに注入される。注文に応じた量のウイスキーがワンショットメジャー24から容器Cに注入されたことは、例えば計時手段によるウイスキー注入時間相当のカウントにより判定される。
【0032】
注文に応じた量のウイスキーがワンショットメジャー24から容器Cに注入されたと判定されると、ロボットアーム21は、ワンショットメジャー24の注入位置から、炭酸水サーバ25の注入位置P4に置く位置まで容器Cを搬送する(工程b3)。炭酸水サーバ25の操作レバーをロボットアーム21により操作することにより、あるいは、システムコントローラ30から炭酸水サーバ25に操作指令を送信することにより、容器Cに注文に応じた量の炭酸水が注入される。注入位置P4には計量装置が設けられているので、例えば容器Cの総重量の変化から容器Cに注入された炭酸水の量を測定可能である。容器Cに注入された炭酸水の量が注文に応じた所定量となった時に、炭酸水の注入は停止される。容器Cに注入された炭酸水の量が注文に応じた所定量となったことは、注入位置P4に設けられている計量装置により検出される。なお、炭酸水サーバに予め所定量の炭酸水が容器Cに注入されるように設定してある場合には、計量装置による測定の必要はない。容器Cに注入された炭酸水の量が注文に応じた所定量となったことは、計量装置により検出されるか、あるいは、計時手段による炭酸水注入時間相当のカウントにより判定される。
【0033】
容器Cに注入された炭酸水の量が注文に応じた所定量となったと判定されると、ロボットアーム21は、容器Cをハンド部22により把持して、炭酸水サーバの注入位置P4から、提供位置P3に容器Cを置く位置まで搬送する(工程b4)。
【0034】
ロボットアーム21が容器Cをハンド部22により把持して搬送する軌道は、システムコントローラ30からロボットコントローラ31に対して、始点ノードNsと終点ノードNeを指定することにより設定される。図4は、本実施形態のロボットアーム21の軌道制御の説明図である。
【0035】
始点ノードNsと終点ノードNeは、飲料自動提供システム10のロボットアーム21の設置空間である三次元空間の中における、ロボットアーム21の可到達作業領域内の2点として設定される。始点ノードNsと終点ノードNeとが設定されると、ロボットコントローラ31は中間ノードを0から所定数n(nは整数)の間で決定する。ロボットアーム21の移動距離が短い工程では、中間ノード数は0でもかまわない。本実施形態において特に限定されるものではないが、例えば前記工程a2、工程a3、工程b1及び工程b4においては、それぞれ中間ノードN1及びN2の2点の中間ノードを、軌跡が障害物を避けるように設定されるように、かつ、ロボットアーム21が特異姿勢となることを避けられるように、自動的に設定される。また、軌道の決定に際しては、軌道が急激なカーブとならないようにも配慮される。これは急激な加速度(ロボット加速度に対応する。以下「加速度」という。)の変化を避けるためにも有効である。ただし、ロボットコントローラ31は軌道として急激なカーブを設定することが可能である。このため、軌道が急激なカーブとなる場合には、軌道の曲率に応じて、自動的にロボットアームの加速度が低下するように設定されている。
【0036】
終点位置において容器Cの底面を容器設置位置の床面に接触させて置く場合には、終点ノードNeは、容器Cの底面が、床面との接触位置よりも所定の高さhだけ高い位置となるように設定される。特に限定されるものではないが、高さhは例えば0.05mm~10mm程度、好ましくは0.1~0.5mm程度に設定される。目標位置よりも高さhだけ高い位置である終点ノードNeに到達した後に、ロボットアーム21はハンド部22で把持した容器Cを所定の速度で高さhだけ下方に移動させて、容器Cを目標位置である床面に置くことで、ロボットアーム21は容器Cを目標位置まで搬送する。
【0037】
中間ノードN1、N2が自動的に設定された後に、始点ノードNsから、中間ノードN1、中間ノードN2の順にたどり、終点ノードNeに至るロボットアーム21のハンド部22の軌跡がロボットコントローラ31において計算される。本実施形態において特に限定されるものではないが、ハンド部22の先端の軌跡の計算上の基準点としては、ハンド部22が容器Cを把持した時の、一方の把持片50の端部片状部分52、53の内側で容器Cに接触する部位と、他方の把持片50の端部片状部分52、53の内側で容器Cに接触する部位とを含む合計4箇所で容器Cの外周に接触されている容器Cの高さ方向範囲における、容器Cの軸心を通る中心位置とする。容器Cは注文に応じて取り出されるので、容器Cの寸法は注文時には既知であるため、各飲料供給装置における飲料供給位置に対応するロボットアーム21のハンド部22の先端部の三次元座標を計算可能である。
【0038】
ロボットコントローラ31はハンド部22の軌跡計画を最適化する。ハンド部22の軌道計算には、PRM(Probabilistic Roadmap Method)やRRT(Rapidly-Exploring Random Tree)などのランダムサンプリングに基づく手法が採用できる。また、ノード間をスプライン関数で結ぶ手法が採用可能であり、例えばB-スプライン関数を用いて、ノード間を滑らかに補間することが可能である。様々な軌道計画が採用可能であり、特に限定されるものではないが本実施形態ではノード間を微小な直線補間の連続により補間する方法(図4参照)を採用した。
【0039】
各ステップの長さを0.5mm~2.0mm程度、例えば1.0mmとする。各ステップ間の移動時間は5msec~50msec程度に設定される。この微小な直線補間の各ステップSの配置及び間隔を調整することにより、補間された軌跡のカーブの度合いを調整することが可能である。このようにして設定された軌跡は急激なカーブを描くことがないように設定されている。図4では、各ステップSの長さを均一とする例を説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、ステップSの長さを異なるように設定することができる。例えば、カーブのアールが小さい部分ではステップSの長さを大きくし、カーブのアールの大きい部分ではステップSの長さを小さくすることも可能である。
【0040】
これにより、隣接する微小ステップ間で生じる加速度変化が小さくなることにより、滑らかなロボットアーム21の制御が実現可能であり、後述の容器Cの姿勢制御及びジャーク制御に際しても有利となる。このようにして、始点ノードNsから、中間ノードN1、中間ノードN2の順にたどり、終点ノードNeに至るロボットアーム21のハンド部22の軌跡が、例えばスプライン補間の場合と同様に、滑らかな軌跡となるように計算される。しかも、各ステップSが直線であるので、速度、加速度及びジャーク等の演算が簡潔となる。
【0041】
<容器Cの姿勢制御について>
飲料自動提供システム10は飲料を迅速に提供するために、飲料が注がれた容器Cを高速で移動させる必要がある。このため、容器Cに対して、正及び負の加速度が加えられる。容器Cが空の時、容器Cに氷だけが投入されている時、あるいは、容器Cに少量の飲料が注がれている場合、例えば、氷が投入されている容器Cにウイスキーがシングルの量だけ注がれている場合には、容器Cを高速で移動させるために加減速させても容器Cから飲料がこぼれることはない。
【0042】
一方、容器Cに多量の飲料が注がれている場合、すなわち、所定量以上の飲料が容器Cに注がれている場合、例えばビールが泡を含めて容器Cに満杯まで注がれている時、提供される量まで炭酸水が容器Cに注がれている時等には、容器Cをロボットアーム21のハンド部22で掴んで搬送する際に加速度が発生すると容器Cから飲料がこぼれてしまうおそれがある。そこで、容器Cに多量の飲料が注がれている場合には、ロボットコントローラ31は、容器Cに加えられる加速度に応じて容器Cの姿勢を傾けるように容器Cの姿勢を制御する。ただし、このような容器Cの姿勢制御は、容器Cに注がれている飲料が少ない場合等の容器Cから飲料がこぼれるおそれが無い場合には、実行されない。
【0043】
図5は本実施形態の容器Cの姿勢制御についての説明図である。ロボットアーム21がハンド部22により容器Cを把持して搬送する場合には、始点ノードNsからの加速時に容器Cには進行方向に対して正方向の加速度が加えられ、終点ノードNeへ向かう減速時には、容器Cには進行方向に対して負方向の加速度が加えられる。容器Cに対して、X-Y方向には加速度ベクトルa(X軸方向加速度ベクトルaxとY軸方向加速度ベクトルayの合成ベクトル)が加えられ、Z方向には加速度azが加えられると、容器Cに注入されている飲料には、重力に加え、進行方向と反対向きの慣性力が作用するため、X-Y方向には慣性力-Maとz方向に作用する力M(g+az)との合成力Matが作用するので、この合成力Matの向きに対応するように容器Cを傾けることにより、容器Cから飲料がこぼれることを防止することができる。
【0044】
飲料が所定量以上注入されている容器Cを搬送する際に容器Cを傾ける角度は、容器Cに加えられる加速度と重力加速度に応じて、次の式により求められる。
x方向の傾き=arctan(ax/(g+az)) (1)式
y方向の傾き=arctan(ay/(g+az)) (2)式
【0045】
容器Cを傾ける際の中心は、容器Cに注入された飲料の重心とする。したがって、飲料の注入量によって容器Cを傾ける際の中心は異なる。ビールを容器Cに注ぐ場合には、上方の泡の部分の重さは、ビールの液体部分の重量よりも軽いので、泡の部分の重量は別途の比重として計算する。より詳細には、アルコールの比重と、炭酸水の比重と、水の比重等、容器Cに注がれる飲料の内容物の比重を考慮するようにすることもできる。また、氷の量に応じた補正を行うこともできる。容器Cに注がれた飲料の重心と、容器Cを傾ける中心とを合わせることにより、加速度の影響をより精密に考慮して容器Cの姿勢制御を行ことができる。
【0046】
<ジャーク制御について>
前述のとおり、ハンド部22に把持されてロボットアーム21によって飲料の注がれた容器Cを搬送する場合に、ロボットアーム21によって容器Cに加えられる加速度を考慮して容器の姿勢を制御することにより、飲料の液面の角度を容器Cの軸心に対して垂直に維持することができる。しかしながら、ロボットアーム21によって注文に応じた容量の飲料が注がれた容器をこぼさずに高速搬送するためには、容器Cの液面の波立ちも抑える必要がある。容器Cの液面に波立ちが生じると、容器Cに加える加速度を低減したり、搬送速度を抑えたりする必要が生じるためである。容器Cの液面の波立ちも抑えるためには、容器Cに加えられる加速度の一階微分であるジャーク(加加速度、ロボットジャークに対応する。以下「ジャーク」という。)を考慮する必要がある。すなわち、ジャークを所定値以下に制限する必要がある。
【0047】
図6は、本実施形態のロボットアーム21のジャーク制御の説明図である。一般的なロボットアームの制御においては加速度の変化が大きい傾向があり、この場合にはジャークがパルス状に大きな値を取ることが多い。このようにロボットアーム21のジャークが大きな値となる場合にはハンド部22により把持されている容器Cに注がれている飲料の液面に大きな波立ちが生じてしまう。
【0048】
本実施形態では飲料が注文に応じた所定量注がれた状態の容器Cを、飲料をこぼさずに高速搬送可能にするために、上記加速度に応じた容器Cの姿勢制御と共に、ジャーク制御を併用している。図6において、実線がロボットアーム21のハンド部22先端のジャーク、破線がロボットアーム21のハンド部22先端の加速度、一点破線がロボットアーム21のハンド部22先端の速度、二点破線がロボットアーム21のハンド部22先端の位置である。ここで、ジャークは加速度の一階微分、加速度は速度の一階微分、速度は位置の一階微分である。
【0049】
図6においては、ロボットアーム21のハンド部22先端のジャークを20m/sで一定とする制御を行っている。始点ノードNsにおいて、ロボットアーム21の加速が開始され(時刻t1)、ジャークが20m/sで一定に制御される(時刻t1~t2)。ロボットアーム21の仕様に応じて加速度の上限値が定められている。このため、ジャーク一定として加速度が所定値まで上昇するとジャークを0m/sとする(時刻t2)。その後、加速度一定で加速する(時刻t2~t3)。加速度一定の間はジャークが0m/sとなる。また、加速度一定の間は速度が直線状に上昇する。
【0050】
ロボットアーム21の仕様に応じて速度の上限値が定められている。このため、加速度一定として速度が所定値まで上昇すると加速度は減少に転ずる(時刻t3)。時刻t3においてジャークは-20m/sとなり、一定に保たれる(時刻t3~t4)。加速度が0m/sとなると、ジャークが0m/sとなる(時刻t4)。時刻t4からt5までは加速度が0m/sであるので、速度はロボットアーム21の動作制限速度内の一定値に保たれる。
【0051】
ロボットアーム21のハンド部22の先端が終点ノードNeに近付くと、減速が開始される(時刻t5)。時刻t5~t6までの間はジャークが-20m/sとなり、一定に保たれ、加速度が負の方向へ変化する(時刻t5~t6)。ロボットアーム21の仕様に応じて加速度には負の値にも上限値が定められている。このため、ジャーク一定として加速度が負の方向に変化し所定値まで低下すると、ジャークを0m/sとする(時刻t6)。その後、加速度は負の一定の値で維持される、この間、ジャークは0m/sとなり、速度は直線状に減少する(時刻t6~t7)。速度が0m/sに近付くと、ジャークを20m/sの一定に保つ(時刻t7~t8)。時刻t7~t8の間では、加速度は負の所定値から0m/sへと直線状に変化し、速度は減速する。時刻t8では終点ノードNeに到達したところで、速度は0m/sとなる。時刻t8においては、ジャークも0m/sであり、加速度も0m/sである。
【0052】
このようにジャークが一定値に保たれることにより、加速度が緩やかに変化し、これによりロボットアーム21が、ハンド部22に把持した容器Cに注文に応じた所定量の飲料が注がれている状態で、飲料を溢すことなく容器Cを高速搬送することができる。
【0053】
<ジャークの制限について>
本実施形態では容器Cの姿勢制御と共に、ジャーク制御を併用している。この場合に、ロボットアーム21の仕様に応じて、ロボットアーム21のハンド部22先端のジャーク制御には制限がある。時刻t1~t2の間ではジャークが20m/sで一定であり、加速度が直線状に上昇している。時刻t1~t2の間では加速度の上昇に応じて、容器Cの姿勢制御を行うため、加速度の上昇に合わせて、前記(1)式及び(2)式に基づいて容器Cの姿勢が制御される。容器Cの姿勢制御によるロボットアーム21の姿勢変化が、加速度の上昇に追従する必要があるため、加速度の変化すなわちジャークに制限が生じる。また、上述のとおり、ロボットアーム21の加速度には仕様に応じて上限値があるため、ジャークの値も制限される。
【0054】
時刻t3~t4の間ではジャークが-20m/sで一定であり、加速度が直線状に減少している。時刻t3~t4の間では加速度の減少に応じて、容器Cの姿勢制御を行うため、加速度の減少に合わせて容器Cの姿勢が制御される。容器Cの姿勢制御によるロボットアーム21の姿勢変化が、加速度の減少に追従する必要があるため、加速度の変化すなわちジャークに制限が生じる。
【0055】
時刻t5~t6及び時刻t7~t8の間のジャーク制御及び加速度変化に関しても、上記と同様に容器Cの姿勢制御によるロボットアーム21の姿勢変化が、加速度の変化に追従する必要があるため、加速度の変化すなわちジャークに制限が生じる。これは、加速度指令値がジャークの上限値に影響を及ぼすことを意味する。また、上述のようにロボットアーム21の仕様に応じて速度の上限値が定められているため、加速度にも制限が生じる。これは速度指令値もジャークの上限に影響を及ぼすことを意味する。
【0056】
図6の例では、ジャークを20m/sで一定にしたが、ロボットアーム21の仕様に応じてジャークの上限値は設定される。特に限定されるものではないが、図6の例ではジャークの上限を25m/sとするロボットアーム21を例示した。このジャークの上限値はロボットアーム21の仕様により設定され、特に限定されるものでは無いが、例えばジャークの上限を制限する所定値は、10~200m/sとすることができる。
【0057】
図6の例ではジャークを一定の値に制御したが、ジャークを図6の加速度変化の場合と同様に直線状に増減させたり、あるいは、滑らかに増減変化させたりすることも可能である。ジャーク変化を滑らかにすることにより、ジャークの一階微分であるスナップ(ジャウンス、加加加速度)の上限値も制限される。また、このようにジャークを滑らかに変化させた場合には、加速度の変化も直線状ではなく、より滑らかなものとなる。
【0058】
本実施形態ではノード間を微小な直線補間の連続により補間する方法を採用した。また、微小ステップによりなる軌跡は急激なカーブを描くことがないように設定されている。これにより、隣接する微小ステップ間で生じる加速度変化が小さくなることにより、滑らかなロボットアーム21の制御が実現可能であり、容器Cの姿勢制御及びジャーク制御に際しても、連続性が保たれるため、ロボットアームにより容器Cを高速移動しても容器Cに注がれた飲料をこぼさずに搬送することができる。始点ノードNsから、中間ノードN1、中間ノードN2の順にたどり、終点ノードNeに至るまで、三次元空間で設定されているため、ジャーク、加速度、速度の各ベクトルもその三次元の軌道、例えば微小な直線補間の連続によりなる軌跡に対応している。なお、ここでは、始点ノードNsから中間ノードN1、N2を経由して終点ノードNeまでの経路における一体的な加速度及びジャーク制御について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば始点ノードNsから終点ノードNeまでの加速度変化において、中間ノードN1及び中間ノードN2において、一旦加速度をゼロにするような加速度及びジャーク制御を行うことも可能であるし、また、始点ノードNsから終点ノードNeまでの距離が短い場合においては、中間ノードN1、N2のいずれか一方、又は、両方を省略することができる。
【0059】
以上の本実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのロボット装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、本実施形態に変更を加えたもの、本実施形態で説明された各技術を組み合わせたもの等、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。また、本実施形態では容器Cに飲料が注入されている例を説明したが、容器Cに収容されてロボットアーム21により搬送されるものは液体に限定されるではなく、例えば、粉体、粒体等の形状が定まっていないものに加え、例えば棒状体のように容器から落とさずに搬送するもの等、さまざまな被搬送物が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 …飲料自動提供システム
11 …注文入力装置
13 …容器供給装置
14 …容器保管庫
15 …保管庫本体部
16 …引出し部
17 …保管庫駆動装置
18 …チラー
20 …ロボット装置
21 …ロボットアーム
22 …ハンド部
23 …氷ディスペンサ
24 …ワンショットメジャー
25 …炭酸水サーバ
26 …ビールサーバ
30 …システムコントローラ
31 …ロボットコントローラ
32 …ティーチングペンダント
35 …カメラ
36 …計量装置
40 …情報ネットワーク
41 …本部サーバ
42 …データベース
50 …把持片
51 …中間片状部分
52、53 …端部片状部分
Ns …始点ノード
Ne …終点ノード
N1、N2 …中間ノード
S …ステップ(微小ステップ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6