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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】チタン酸ビスマスナトリウムの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 29/00 20060101AFI20240823BHJP
   H10N 30/097 20230101ALI20240823BHJP
   H10N 30/40 20230101ALI20240823BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240823BHJP
【FI】
C01G29/00
H10N30/097
H10N30/40
H10N30/853
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021543338
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2020050177
(87)【国際公開番号】W WO2020152483
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】1901069.3
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521325846
【氏名又は名称】セラミック パウダー テクノロジー エーエス
【氏名又は名称原語表記】CERAMIC POWDER TECHNOLOGY AS
【住所又は居所原語表記】Kvenildmyra 6, 7093 Tiller Norway
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイナルスラッド, マリ-アン
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ, マッズ
(72)【発明者】
【氏名】ラボンノート-ウェーバー, ソフィー ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】シーベルトセン-ウィーグ, グットルム
(72)【発明者】
【氏名】グランデ, トール
(72)【発明者】
【氏名】ヨサン, レイフ オラフ
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-084408(JP,A)
【文献】JUNG, D S et al.,FINE-SIZED BI0.5NA0.5TIO3 POWDERS PREPARED BY SPRAY PYROLYSIS FROM POLYMERIC PRECURSORS,JOURNAL OF CERAMIC PROCESSING RESEARCH,KR,INTERNATIONAL ORGANIZATION FOR CERAMIC PROCESSING,2010年,VOL.11, No.4,pp.425-431,https://koreauniv.pure.elsevier.com/en/publications/fine-sized-bisub05subnasub05subtiosub3sub-powders-prepared-by-spr
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G
C04B
H10N
H01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のチタン酸ビスマスナトリウム(BNT)化合物の調製方法であって、
(Bi0.5-zNa0.51-xxTi1-yy3 (I)
(式中、
Aは、Bi、Na、Li、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Al、Cu、Eu、Ag及びZnの1種以上であり、
Bは、Ti、Nb、Ta、Zr、Fe、Nd、Eu及びCoの1種以上であり、
0≦x≦0.8、
0≦y≦0.8、かつ
-0.1≦z≦0.1である。)
Biイオン、Naイオン、Tiイオン、並びに存在する場合には、金属(A)及び/又は金属(B)イオンを含む水溶液の噴霧熱分解を含み、
前記噴霧熱分解が二相ノズル配列を使用して行われる
方法。
【請求項2】
AがBi、Na、Li、K、Ca、Sr、Baの1種以上であり、BがTi、Nb、Ta、Zrの1種以上であり、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、かつ-0.1≦z≦0.1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
AがBi、Na、Li、K、Baの1種以上であり、BがTi、Nb、Ta、Zrの1種以上であり、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、かつ-0.1≦z≦0.1である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
A及びBが各々単一金属である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
A又はBの一方のみが存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
噴霧熱分解が、前記溶液を炉内に少なくとも500℃の温度で霧化することによって行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水溶液が、少なくとも1種の金属クエン酸塩又は金属硝酸塩を含む水溶性前駆体から調製される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記BNT化合物が流動性粉体を噴霧熱分解直後に形成する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
噴霧熱分解直後に形成された前記BNT化合物がいかなる表面にも付着しない、請求項に記載の方法。
【請求項10】
噴霧熱分解直後に得られる粒子がペロブスカイト構造である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
噴霧熱分解微粉生成物をサイクロンによって収集し、400~1200℃の範囲の温度でか焼することを更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記か焼が550~1000℃の温度で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粉体をか焼後に粉砕することを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を空気中で焼結することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン酸ビスマスナトリウム(BNT)系材料の新しい製造方法に関する。該方法のBNT生成物も、変換器、超音波診断装置、圧電トランス、アクチュエータ、センサなどの装置に適用される電子及び光学製品の製造におけるそれらの使用と同様に、本発明に含まれる。
【背景技術】
【0002】
強誘電体材料は、機能材料として電子工学及び光学において多数の重要な用途がある。多数の強誘電体セラミックスが、誘電性、圧電性、焦電性、電気光学性などの強誘電性の間接的結果である性質を利用する。セラミック加工及び薄膜技術の発達に伴い、多数の新しい用途が出現した。強誘電体セラミックスの最大の用途は、キャパシタ用途の誘電体セラミックス、不揮発性メモリ用の強誘電体薄膜、医療用超音波イメージング及びアクチュエータ用の圧電材料、データ記憶及びディスプレイ用の電気光学材料などの領域にあった。
【0003】
最も一般的に使用される圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、化学式PbZrxTi1-x3を有し、PbZrO3(斜方晶)とPbTiO3(正方晶ペロブスカイト)の二元固溶体である。PZTは、Ti4+及びZr4+イオンがBサイトをランダムに占有したペロブスカイト型構造を有する。
【0004】
他の鉛系強誘電体化合物としては、タングステンブロンズ型構造を有するニオブ酸鉛であるPbNb26が挙げられる。タングステンブロンズファミリーはペロブスカイトと比較してより開放的な構造を有し、広範囲のカチオン及びアニオン置換が強誘電性を失わずに可能である。ニオブ酸鉛ビスマス(PbBi2Nb29)は別の例である。この材料は、(Bi222+層で分離された頂点共有ペロブスカイト様シートからなる酸化ビスマス層状型構造を有する。これらの化合物の板状結晶構造は、高い異方性の強誘電特性をもたらす。しかし、圧電特性は、極めて低いポーリング効率のために良好ではない。ポーリングは、材料のキュリー点未満の高温で直流電場を印加することによって、強誘電体セラミックにおいて圧電挙動を誘導するために用いられる処理である。外部場を印加すると、セラミックの各ドメイン内の自発分極が印加場の方向に配向し、ポーリング方向に正味の分極をもたらすが、分極の配向が結晶構造の対称性によって制限されるので、セラミックのドメインはポーリング軸に沿って完全に整列することができない。
【0005】
最も一般的に使用される圧電セラミックスは鉛系であり、電子機器廃棄物の毒性に関連する環境上の理由で段階的に廃止されつつあるので、無鉛の圧電/強誘電体材料に対する関心が最近高まっている。PZTを置換するために研究されてきた代替物としては、ニオブ酸アルカリ金属塩及びチタン酸ビスマスナトリウム(BNT)が挙げられる。
【0006】
BNTは一般式(Bi0.5Na0.5)TiO3を有し、ペロブスカイト型強誘電体材料である。それは、320℃の高いキュリー温度(Tc)及び室温で38mC/cm2の大きい残留分極(Pr)を有する。BNT系材料は、無鉛の圧電/強誘電体材料に使用される特に魅力的な候補である。
【0007】
BNTは、一般に、酸化ビスマス、炭酸ナトリウム及び酸化チタンの安価な工業規模の固相反応によって合成される。しかし、高いか焼温度が材料を反応させるために必要であ
る。したがって、Bi23(Tm=826℃)及びNa2CO3(Tm=851℃)が低融点であるために、Bi及びNaカチオンの高い蒸気圧は、Aサイトカチオンの損失及び制御されない非化学量論組成物をもたらし得る。主な課題は、改善された強誘電特性を得るために、所与の化学量論の単相、かつ微粒で再現性のある高密度セラミックスを提供することである。
【0008】
これらの問題を考慮して、代替の溶液系の製造法が研究されてきた。しかし、これらの方法の多くが、有害な又は可燃性の溶媒系を必要とし、より大きなバッチの製造を制限する。したがって、大規模生産に適合するBNT材料の新しい調製方法の開発が必要とされている。
【0009】
本発明者らは、噴霧熱分解技術が、無毒で安価なトン規模での製造にスケールアップ可能である極めて魅力的な代替法を提供することを見いだした。噴霧熱分解製法の固有の性質は、BNTセラミックスの製造に適している。NaとBiのどちらも、他の粉体合成経路(固相合成及び溶液系)に適用される温度及び時間においてBNT中で揮発性であるが、噴霧熱分解炉における短い反応時間は揮発性元素の蒸発を制限する。さらに、噴霧熱分解中に使用される溶液系の前駆体は、原子規模の均一性を可能にし、最終セラミック中の均一なカチオン分布のための低温後処理を十分なものにする。熱処理中のより低い温度及びより短い保持時間によって、噴霧熱分解によって得られる化学量論的で均一な制御は、競合するBNT製造技術では対抗できなくなる。
【0010】
噴霧熱分解BNT粉体を高密度BNTセラミックスにセラミック加工することによって、噴霧熱分解粉体から作製した材料が、文献に報告された最先端材料と一致した電気機械的性能及び電場誘起歪を有することを確認した。BNT粉体は、一軸加圧、テープ成形などの幾つかのセラミック加工技術に適している。
【0011】
本発明の合成経路は、カチオンの安定な溶液から出発して材料を構築する。溶液から小粒径を得るために、噴霧熱分解を使用して酸化物粉体を直接調製する。噴霧熱分解を使用することによって、高品質粉体の大規模調製が可能である。本発明の方法を適用して、広範囲のBNT材料を形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、第1の態様から見て、本発明は、式(I)のチタン酸ビスマスナトリウム(BNT)化合物の調製方法であって、
(Bi0.5-zNa0.51-xxTi1-yy3 (I)
(式中、
Aは、Bi、Na、Li、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Al、Cu、Eu、Ag及びZnの1種以上であり、
Bは、Ti、Nb、Ta、Zr、Fe、Nd、Eu及びCoの1種以上であり、
0≦x≦0.8、
0≦y≦0.8、かつ
-0.1≦z≦0.1である。)
Biイオン、Naイオン、Tiイオン、並びに存在する場合には、金属(A)及び/又は金属(B)イオンを含む溶液の噴霧熱分解を含む方法を提供する。
【0013】
更なる一態様においては、本発明は、上で定義した方法によって調製される式(I)のBNT化合物を提供する。
【0014】
更なる一態様においては、本発明は、上で定義したBNT化合物を含む強誘電体組成物を提供する。
【0015】
別の一態様においては、本発明は、電子及び/又は光学装置の製造における上で定義した強誘電体組成物の使用を提供する。
【0016】
更なる一態様においては、本発明は、上で定義したBNT化合物を含む圧電トランスを提供する。
【0017】
別の一態様においては、本発明は、上で定義した式(I)のBNT化合物を空気中で焼結することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、チタン酸ビスマスナトリウム(BNT)の調製方法及び該方法によって製造されるBNT材料に関する。
【0019】
<BNT>
本発明のBNT材料は、一般式(I)で表される。
(Bi0.5-zNa0.51-xxTi1-yy3 (I)
(式中、
Aは、Bi、Na、Li、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Al、Cu、Eu、Ag及びZnの1種以上であり、
Bは、Ti、Nb、Ta、Zr、Fe、Nd、Eu及びCoの1種以上であり、
0≦x≦0.8、
0≦y≦0.8、かつ
-0.1≦z≦0.1である。)
【0020】
一般式(I)は、化学量論的化合物と非化学量論的化合物の両方を包含する。カチオンとアニオンは、一般に、安定なペロブスカイト構造が形成されるような比率で存在する。
【0021】
しかし、本発明の化合物は本質的に化学量論的である場合が好ましい。したがって、本発明を化学量論的化合物に関して更に定義する。
【0022】
AとBの各々は、単一金属又は2種以上の金属の混合物として存在し得る。好ましくは、AとBは各々単一金属である。
【0023】
本発明の好ましい一態様においては、本発明の方法によって形成される式(I)のBNT化合物はドープされておらず、すなわち、xの値が0であり、yの値が0である。ドーピングイオンA又はBが存在する場合、1種のドーピングイオンのみが存在することが好ましく、すなわち、Aイオンが存在する場合にはyが0であり、Bイオンが存在する場合にはxが0であることが好ましい。
【0024】
本発明の別の一態様では、式(I)の化合物は、xの値が0~最大0.5であり、より好ましくは0~0.3であるようにドープすることができる。本発明の別の一態様では、式(I)の化合物は、yの値が0~最大0.5であり、より好ましくは0~0.3であるようにドープすることができる。
【0025】
好ましいドーピング金属イオン(A)は、Bi、Na、Li、K、Ca、Sr又はBa、特にBi、Na、Li、K又はBa、例えば、Ba又はKなどである。
【0026】
好ましいドーピング金属イオン(B)は、Ti、Nb、Ta又はZr、特にNbである。
【0027】
本発明の一態様においては、金属イオンAは、Ba、Li、Na及びKから選択される金属又は2種以上の金属の混合物とすることができる。好ましくは、金属はBa、Na若しくはK、又はBa、Na及びKの混合物であり、最も好ましくはBa、Na及びKの混合物である。2種のアルカリ金属、例えばNa及びKが存在する場合、各金属の好ましいモル比は0.4:0.6~0.6:0.4の範囲であり、より好ましくは0.45:0.55~0.55:0.45、最も好ましくは1:1である。
【0028】
式(I)の特に好ましい亜群は以下の通りである。
(Bi0.5-zNa0.51-xxTi1-yy3(式中、AはBi、Na、Li、K、Ca、Sr、Baの1種以上、BはTi、Nb、Ta、Zrの1種以上、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、かつ-0.1≦z≦0.1である。)、又は
(Bi0.5-zNa0.51-xxTi1-yy3(式中、AはBi、Na、Li、K、Baの1種以上、BはTi、Nb、Ta、Zrの1種以上、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3、かつ-0.1≦z≦0.1である。)
【0029】
噴霧熱分解プロセスで形成される本発明のBNT化合物が、極めて小さい粒径(ここでは「結晶子サイズ」とも呼ばれる)、例えば600nm未満、例えば500nm未満の粒径又は結晶子サイズを有する場合が特に好ましい。幾つかの特に好ましい実施形態においては、粒径又は結晶子サイズは、250nm未満、特に100nm未満、例えば60nm未満である。ここに引用した粒径は、平均粒径である。粒径又は結晶子サイズは、表面積又は電子顕微鏡評価によって測定することができる。
【0030】
本発明のBNT化合物の粒子の比表面積は、一般に、0.5~100m2/g、特に1~50m2/gであり、2~30m2/gのような、例えば、3~20m2/gの範囲である。
【0031】
本発明の好ましい特徴は、噴霧熱分解プロセスによって形成される一次粒子又は結晶子が、既に、粉砕手順なしに使用できるサイズであることである。しかし、噴霧熱分解中に形成し得る粒子の軟質凝集体を解砕する必要もあり得る。粒子の解砕は、一般に、粉砕機を使用して行われるが、一次粒子の軟質凝集体を解砕するのに必要なエネルギーは、一次粒子を粉砕するのに必要なエネルギーよりもはるかに低い。
【0032】
<方法>
本発明の方法は、式(I)の所望の化合物を形成するのに必要なすべての金属イオンを含有する溶液の噴霧熱分解を含む。したがって、本発明は、式(I)のBNT材料を形成するのに必要な金属イオンの溶液の形成に依拠する。したがって、各反応金属イオンの可溶性金属塩を提供する必要がある。
【0033】
いかなる金属イオンでも、任意の好都合な金属塩(それが可溶性であれば。)を使用することができる。好ましい金属塩は、硝酸塩、アルコキシド、カルボン酸塩、ケトン酸塩、シュウ酸塩及び/又は二シュウ酸塩、並びに有機酸の塩、特にクエン酸塩及び酢酸塩である。特に好ましいのは硝酸塩である。
【0034】
必要な溶液は、塩を溶媒に同時に若しくは順次溶解することによって調製することができ(can)、又は1種以上の反応金属イオンを含有する1種以上の前駆体溶液の調製を含み得る(could)。熟練者は必要な溶液を調製する方法を工夫することができる。好ましくは、本発明は、噴霧熱分解に供される前に順次混合された必要な各金属イオンの前駆体溶液を利用する。
【0035】
可溶性金属塩は、任意の好都合な対イオン(例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩など)を用いて、又は1種以上の錯化剤と適切な溶媒を用いて調製することができる。適切な錯化剤は、六座、五座、四座、三座又は二座配位子、特にアミノポリカルボン酸キレート剤とすることができる。適切なリガンドとしては、EDTA、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、DOTA、DTPA及びエチレンジアミンが挙げられる。
【0036】
好ましくは、溶液は水溶液であり、すなわち水(例えば、蒸留水)を含む。金属イオンA、B、Bi及び/又はTiと一緒に使用される対イオン/錯化剤が、存在するいずれの他の金属イオンとも不溶性塩を形成しないことが必須であるが、金属塩が一般に容易に可溶であり、したがって、あらゆる種類の塩をここで使用することができるということを、熟練者は理解されたい。
【0037】
Bi前駆体溶液は、エタノールアミンなどの安定剤を更に含むことが一般的である。Biの安定化がないと、1より高いpHで沈殿が生じ、安全性及び他のカチオン前駆体との相溶性が制限される可能性がある。
【0038】
本発明の方法で使用される前駆体溶液のモル濃度は、好ましくは0.01~4M、例えば0.1~2Mの範囲である。撹拌、超音波処理又は他の混合技術を使用して、均一性を確保することができる。好ましくは、金属塩と水の混合を少なくとも6時間行う。この撹拌プロセス中に温度がわずかに上昇すること、例えば、容器が加圧されている場合には80℃以上まで上昇することも好ましい。
【0039】
次いで、Bi、Na及びTiのイオン、並びに任意のA及びBイオン(例えば、使用される各溶液のモル濃度及び最終生成物の所望の化学量論に応じて)適切な比で混合することができ、形成される溶液を噴霧熱分解することができる。撹拌、超音波処理又は他の混合技術を再度使用して、噴霧熱分解の前又は間に溶液の均一性を確保することができる。好ましくは、混合を少なくとも6時間行う。
【0040】
製造プロセス全体を通して使用される溶媒が水を含む(例えば、少なくとも90重量%の水を含むような、少なくとも80重量%の水を含む)場合が極めて好ましい。最も好ましくは、溶媒は水からなる。
【0041】
噴霧熱分解プロセスにおけるノズルでの圧力は、1~3バールの範囲とすることができる。これは、直径0.5~5mm、好ましくは1~2mmのノズルを用いて達成することができる。噴霧ガスは、空気を含めて、反応材料に対して不活性である任意のガスとすることができる。
【0042】
霧化は、少なくとも500℃の温度で炉内において生じる。理想的には、温度は700~1200℃、好ましくは750~950℃の範囲である。
【0043】
特に好ましい一実施形態においては、本発明の方法は、ノズルにおける超音波の使用を含まない。
【0044】
(例えば、約400~550℃の温度で)炉から出る粉体は、サイクロン又はフィルターによって回収することができる。
【0045】
本発明の粒子は、堆積表面なしで形成することができる。本発明者らは、表面に噴霧熱分解して粒子形成を誘導する必要がなく、本発明者らの粒子は、好ましくは後述する二相ノズルによって形成される、噴霧液滴からの溶媒の蒸発によって形成される。堆積は、実際に潜在的問題であり、形成粒子を堆積表面からこすり取り、したがって汚染をもたらす可能性がある。表面への堆積は、材料の層を該表面に形成し、すなわち膜も形成する。本発明は、主に識別可能な粒子の形成に関し、基板上の薄膜に関するものではない。粒子をサイクロンで回収して、膜ではなく流動性粉体を生成することが好ましい。
【0046】
したがって、粒子が流動性粉体を形成することが好ましい。噴霧熱分解直後の流動性粉体の形成は、本発明の更なる好ましい特徴である。したがって、本発明の特徴は、噴霧熱分解直後に形成された粒子が、好ましくはいかなる表面にも付着しないことである。
【0047】
特に、前記プロセスのこの段階で形成される軟質凝集体は、D(v、0.5)に適合する粒径分布が1~40μmであり、D(v、0.9)-D(v、0.1)とD(v、0.5)の比が3以下であることが好ましい。好ましくは、D(v、0.5)値が1~20μmである。これらの値は、噴霧熱分解直後及び後続の処理段階の前に達成される。
【0048】
粒径の制御は本発明の重要な一態様である。最良の制御を達成するために、本発明の噴霧熱分解法は、好ましくは、霧化、狭い粒径分布及び高収率を確保するために二相ノズル配列を使用する。この配列においては、粒子前駆体材料は、乳濁液又は溶液の形態で提供され、乳濁液又は溶液は、二相ノズルで霧化され、炉などの高温域に流入する。高温域では、各液滴は粒子に転化され、溶媒/乳濁液成分などはガスに分解される。粒径は、例えば、液滴サイズを変えることによって制御することができる。液滴サイズは、ノズル出口の操作によって制御される。Langmuir 2009,25,3402-3406は、酸化イットリウム粒子の製造における火炎噴霧熱分解の使用の記述を含み、この公知の方法の詳細を熟練者に提供する。粒径を制御することができる他の因子としては、前記プロセス中で使用される温度、及び出発溶液の金属イオン濃度が挙げられる。
【0049】
特に、熱分解プロセスにおいては、溶液、例えば水溶液と空気との流動混合物を生成するための混合手段が噴霧ノズルと組み合わせられ、極めて微細な液滴のジェットを生成するノズルアセンブリが提供される。ノズルアセンブリは、炉などの高温域と併用される。混合手段は、溶液及び空気のための別個の離れた入口を有する高温域の外側のパイプを備える。空気を加速するために、入口間のパイプ穴に縮径ノズルが配置される。
【0050】
空気は溶液と接触し、パイプ穴を乱流下降して、「気泡流」混合物として知られるものを生成する。混合物は、高温域の内側にあるノズルに供給される。ノズルは、入口;流れを、好ましくは超音速まで、加速し、それによって液滴のサイズを減少させるための、直径を減少させる第1の収縮部分;混合物が減速して衝撃波を誘導することができる、直径を拡大させる拡散部分;第1の収縮部分よりも混合物を加速するように作用する第2の収縮部分;およびジェット又は噴霧を生成するためのオリフィス出口を有する。ノズルアセンブリは、1~10μmの領域の液滴を与えるように設計される。
【0051】
二相ノズル配列の使用は、熟練者にはよく知られている。
【0052】
噴霧熱分解ステップ後に形成される粉体は強誘電体材料として直接使用することができるが、噴霧熱分解反応の生成物は、通常、少量の未燃焼有機材料及び分解されない塩からの微量のアニオンを含み、これらはか焼によって除去することができる(例えば、400
~1200℃、好ましくは550~1000℃、例えば、約600~800℃)。か焼中
に粉体は通常1~24時間、好ましくは4~12時間、高温に暴露される。最終結晶子サイズはか焼を行う温度によって制御され得ることが見いだされ、温度が低いほど結晶子サ
イズは小さくなる。本発明のプロセス中、一次粒子又は結晶子は凝集して、軟質凝集体を形成し得る。か焼前に、これらの凝集体はしばしば20ミクロン未満のオーダーであり、
したがって、依然として流動性粉体である。か焼後、凝集体は、好ましくは直径10~7
00nm、特に20~500nmの一次粒子のより小さな凝集体に分解した。
【0053】
か焼ステップは、形成粉体の結晶性も改善する。したがって、本発明の好ましい特徴は
、BNT化合物が結晶性固体であることである。
【0054】
また、か焼及び任意選択の粉砕の後に形成された生成物を直接使用することができる。
別の一態様から見て、本発明は、上で定義した噴霧熱分解プロセスによって、か焼後に得
られるBNTを提供する。
【0055】
しかし、か焼後に形成された粉体を粉砕して、一般には湿式粉砕して、その体積を減少
させることも可能である。これは必須ではないが、粉砕は、残存凝集体を一次粒子又は微結晶に分解することによって、より一貫した粒径分布を確保する。ジェットミル粉砕、ボールミル粉砕など、任意の適切なタイプの粉砕法を使用することができる。粉砕は、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン又は他の溶媒の存在下で行うこともできる。イットリア安定化ジルコニアは典型的な粉砕媒体である。粉砕は、圧縮空気又は任意の不活性ガスのジェットによって粒子を衝突させることによって行うこともできる。
【0056】
このプロセスによって形成される粉体は単相であり、一般にサブミクロンのサイズであり、凝集していない。
【0057】
この噴霧熱分解プロセスによって形成されるBNT材料のドーピングは、可溶性ドーピング金属イオン塩又は錯体を適量使用することによって容易に達成することができる。可溶性ドーピング金属イオン化合物は、金属イオンの前駆体溶液又は噴霧熱分解前の混合溶液に、存在することが望ましいドーピング金属イオンの量に応じて適量添加することができる。添加されるドーピング金属イオンの量を反映するために、1種以上の他の前駆体溶液又は他の金属塩の量を減少させることが明らかに必要な場合もある。
【0058】
ドーピング金属イオンを溶液中に導入する好都合な方法は、それらの硝酸塩が水溶性であることが多いので、それらを介することである。したがって、バリウムドーピング金属イオンの場合、硝酸バリウム又は硝酸バリウム固体の溶液を混合溶液に添加することができる。
【0059】
本発明の方法は、ノズル1個当たり0.5~10kg/h、好ましくは1~5kg/hの速度でBNT化合物を製造する。
【0060】
<用途>
本発明のBNT化合物は、強誘電特性が重要である一連の用途に使用することができる。
【0061】
したがって、本発明の方法によって形成される化合物は、好ましくは強誘電性であり、好ましくは圧電性である。強誘電性は、外部電場の印加によって反転させることができる材料の自発電気分極である。圧電性は、加えられた機械的応力に応じて電位を発生させる能力である。
【0062】
本発明の化合物は、無鉛であり、圧電セラミックスとして今日使用されている材料に対して環境的に許容される代替物である。
【0063】
したがって、別の一態様から見ると、本発明は、上で定義した方法によって形成される式(I)の強誘電性、好ましくは圧電性BNT化合物を提供する。別の一態様から見ると、本発明は、上で定義した方法によって形成される式(I)のBNT化合物を含む強誘電性、好ましくは圧電性組成物を提供する。本発明に係る強誘電体組成物は、組成物全体の総重量に対して、10~50重量%、より好ましくは15~30重量%、最も好ましくは20~25重量%の化合物(I)を含むことが好ましい。
【0064】
こうした強誘電体組成物を製造するために、化合物の焼結が必要な場合もある。加圧及び焼結は、公知の条件を用いて行うことができる。例えば、加圧は、一般に、任意の標準プレスにおいて周囲温度で行われる。焼結温度は組成に大きく依存する。通常、焼結は固相線温度付近で行う必要がある。したがって、焼結は、化合物の固相線温度までの温度、例えば最高1400℃、好ましくは800~1250℃、特に1225℃未満で行うことができる。焼結は0~20時間、例えば2~12時間継続することができる。
【0065】
したがって、上述したように、所望の製品の形成を完了するために、目的の粒子を好ましくは未焼結体に転化し、次いで焼結する。未焼結体は、加圧、鋳造などの任意の好都合な技術によって形成することができる。したがって、極めて好ましい一実施形態においては、本発明の焼結プロセスは空気中で行われる。
【0066】
別の一態様から見ると、本発明は、例えばその理論密度に対して少なくとも92%の密度を有するように空気中で焼結されるプロセスによって得られる、上記で定義した式(I)の化合物を提供する。
【0067】
したがって、本発明者らは、驚くべきことに、典型的な粒径がナノメートル範囲である式(I)のチタン酸ビスマスナトリウムの固溶体を製造することが可能であることを見いだした。これらの粒子は、焼結がより容易であるので、PZTの潜在的代替物として興味深い。予想されるペロブスカイト結晶構造は、良好なポーリング効率を生じ、それによって良好な圧電特性を生じるはずである。
【0068】
したがって、本発明は、超音波装置などの医療診断装置及び/又は圧電トランスを含めた電子及び光学装置を製造するための本発明の化合物の使用も含む。上記強誘電体組成物を含むこうした装置も本発明に包含される。好ましい装置は、特に、変換器、超音波診断装置、ガス点火装置、加速度計、変位変換器、アクチュエータ、センサ及び圧電トランスである。
【0069】
本発明の別の一態様においては、前記強誘電体組成物は、ポリマーを更に含むことができる。ポリマーは、強誘電体化合物よりも低い密度を有するべきである。例は、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン又はエポキシポリマーである。
【0070】
以下の非限定的実施例及び図を参照して、本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】BNT-BT材料のX線回折図
図2】BNT-BT粉体のSEM画像
図3】焼結BNT-BTペレットのSEM
図4】BNT-BT材料の歪み及び分極曲線
【実施例
【0072】
<試験方法>
X線回折
Lynxeye検出器並びにNi及びCuフィルターを備えたBruker製 D2 Phaserを用い、40kV及び40mAで加速したCuKα放射線を用いて、20~70度の粉体X線回折図を得た。
【0073】
SEM
走査型電子顕微鏡写真を、レンズ内二次電子検出器を用いて、電界放出形電子銃SEM(Zeiss製 Ultra 55、Limited Edition)で得た。
【0074】
歪みと分極
圧電試験システム(TF Analyzer 2000、aix ACCT Systems GmbH製)を使用して、印加電場に対するペレット試料の歪み及び分極挙動を調べた。強誘電ヒステリシス(P-E)ループを線形双極0.1Hz周波数サイクリングによって測定した。
【0075】
<実施例1>
噴霧熱分解によって調製したBi 0.5076 Na 0.47 Ba 0.06 TiO 3 (BNT-BT)粉体
1:2の比率のチタンイソプロポキシドC12284Tiとクエン酸C687を蒸留水にモル濃度約2Mで溶解して、Tiカチオン前駆体溶液を調製した。クエン酸ビスマスC65BiO7とエタノールアミンC27NOを1:1.5の比率で蒸留水にモル濃度約1Mで混合した。懸濁液が透明になるまで、pHを25%アンモニア(NH3)で7~8.5に増加させた。Biカチオン前駆体溶液を室温で終夜(12時間)撹拌した。1:1:2の比率の硝酸バリウムBa(NO32、EDTA C101628及びクエン酸C687を蒸留水にモル濃度約0.2Mで溶解した。懸濁液が透明になるまで、pHを25%アンモニア(NH3)で6~7に増加させた。Baカチオン前駆体溶液を室温で終夜(12時間)撹拌した。Ti溶液及び市販の水酸化ナトリウムNaOH(Alfa Aesar製)の濃度を熱重量分析によって正確に測定した。pHを各ステップにおいて25%アンモニア(NH3)で約7に調整しながら、Ti及びNa溶液の濃度に従って、適量の各溶液(Ti、Na、Bi及びBa)を順次添加した。溶液を終夜(12時間)室温で撹拌して、均一なBi0.5076Na0.47Ba0.06TiO3水溶液を得た。これをパイロット規模の装置を用いて噴霧熱分解した。前記水溶液を水冷ランスに200ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して霧化した。液滴を炉管内の高温域を通過させ、設定温度900℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の滞空時間は1秒未満であった。未焼結粉体と呼ばれる生成物をサイクロンで回収した。相純度を図1のX線回折図に示す。未焼結粉体を600℃で6時間か焼して残渣を除去し、結晶化度を増加させた。か焼粉体を更に30分間乾式粉砕して体積を減少させ、更に2-プロパノール中でイットリア安定化ジルコニアを粉砕媒体として用いて24時間ボールミル粉砕した。生成した単相粉体は、図2のSEM顕微鏡写真に示すようにサブミクロンの非凝集粉体であった。
【0076】
<実施例2>
噴霧熱分解によって調製したBi 0.5 Na 0.5 TiO 3 (BNT)粉体
前駆体水溶液を調製し、実施例1と同様に化学量論比で混合した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理した。
【0077】
<実施例3>
BNT-BTペレットの製作及び焼結
未焼結体の乾燥粉体一軸加圧は、バルクセラミック材料の最も適切な工業的調製法である。BNT-BT粉体を種々の寸法(直径5~15mm及び高さ1~20mm)の円柱体に入れ、75MPaの締固め力でプレスした。すべての加圧実験に複動ステンレス鋼ダイを使用した。ダイ壁にエタノール-ステアリン酸溶液を塗布し、乾燥し、ステアリン酸を潤滑剤として残した。2分間プレスしたままにした後、力を解除した。最後にプレスして底部パンチを着実に押すことによって、未焼結体をダイから取り出した。試料を空気中で200~400℃/hの加熱速度で、950~1200℃の範囲の温度まで2~6時間焼結した。図3は、1200℃で2時間焼結した直径5mmのBNT-BTペレットの表面微細構造を示す。
【0078】
<実施例4>
噴霧熱分解によって調製したBi 0.46 Na 0.47 0.01 Ba 0.06 Ti 0.98 Nb 0.02 3 又は0.92Bi 0.5 Na 0.5 TiO 3 -0.06BaTiO 3 -0.02K 0.5 Na 0.5 NbO 3 (BNT-BT-KNN)粉体
Ba、Na、Ti及びBiカチオンの前駆体水溶液を調製し、実施例1と同様に化学量論的に混合した。C44NNbO9・8H2Oを精製水に溶解し、終夜撹拌することによってNbの前駆体水溶液を調製した。生成した溶液の正確なNb濃度を熱重量分析で測定し、化学量論量のKNO3を精製水に溶解してカリウム溶液を調製した。濃度に従って、適量の各溶液(Ti、Na、K、Nb、Bi及びBa)を順次添加し、中和した。溶液を終夜(12時間)室温で撹拌して、均一なBi0.46Na0.50.01Ba0.06Ti0.98Nb0.023水溶液を得た。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理した。
【0079】
<実施例5>
噴霧熱分解によって調製したBi 0.5 Na 0.385 0.1 Li 0.015 TiO 3 又は0.77Bi 0.5 Na 0.5 TiO 3 -0.2Bi 0.5 0.5 TiO 3 -0.03Bi 0.5 Li 0.5 TiO 3 (BNT-BKT-BLT)
Na、Ti及びBiカチオンの前駆体水溶液を実施例1と同様に調製した。化学量論量のKNO3及びLiNO3を精製水に溶解してK及びLi前駆体溶液を調製した。濃度に従って、適量の各溶液(Ti、Na、K、Li及びBi)を順次添加し、中和した。溶液を終夜(12時間)室温で撹拌して、均一なBi0.5Na0.3850.1Li0.015TiO3水溶液を得た。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理した。
【0080】
<実施例6>
噴霧熱分解によって調製したBi 0.48 Na 0.4032 0.0768 Sr 0.04 TiO 3 又は0.96Bi 0.5 (Na 0.84 0.16 0.5 TiO 3 -0.04SrTiO 3 (BNKT-ST)粉体
Bi、Na及びKカチオンの前駆体水溶液を実施例5と同様に調製した。化学量論量のSr(NO32無水和物を精製水に溶解してSr溶液前駆体を調製した。濃度に従って、化学量論量の各溶液を以下の順序、すなわちTi、Na、Bi、K及びSrで添加し、NaOH及びBi添加後に中和した。溶液を終夜(12時間)室温で撹拌して、均一なBi0.48Na0.40320.0768Sr0.04TiO3水溶液を得た。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理した。
図1
図2
図3
図4