(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】撹拌・脱泡処理データ分析装置、処理条件決定装置及び撹拌・脱泡処理システム
(51)【国際特許分類】
G01N 11/14 20060101AFI20240823BHJP
B01F 29/10 20220101ALI20240823BHJP
B01F 29/34 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/214 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/212 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/32 20220101ALI20240823BHJP
B01F 35/42 20220101ALI20240823BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20240823BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240823BHJP
B01F 35/20 20220101ALI20240823BHJP
【FI】
G01N11/14 D
B01F29/10
B01F29/34
B01F35/222
B01F35/214
B01F35/213
B01F35/212
B01F35/32
B01F35/42
B01D19/00 102
G06N20/00
B01F35/20
(21)【出願番号】P 2024049474
(22)【出願日】2024-03-26
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清彦
(72)【発明者】
【氏名】高岡 文彦
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166456(JP,A)
【文献】国際公開第2021/033390(WO,A1)
【文献】特開2008-036594(JP,A)
【文献】特開2022-079268(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116082579(CN,A)
【文献】特開2022-143379(JP,A)
【文献】特開2022-69875(JP,A)
【文献】特開2013-252480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00ー13/04
B01F 35/20
B01F 29/10
B01F 29/34
B01F 35/222
B01F 35/214
B01F 35/213
B01F 35/212
B01F 35/32
B01F 35/42
B01D 19/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する容器を公転及び自転させて前記被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で前記撹拌・脱泡処理を行った後の前記被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データを記憶する記憶部と、
前記撹拌・脱泡処理データの機械学習により、前記撹拌・脱泡処理条件と前記分散性指標値との間の相関関係を推定する相関関係推定部と、を備え、
前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理で前記容器を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の前記処理ステップ毎の前記処理時間と、前記処理ステップ毎の前記公転回転速度及び前記自転回転速度とを
含み、
前記分散性指標値は、前記被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む撹拌・脱泡処理データ分析装置。
【請求項2】
前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理を行う装置の特徴及び前記被処理物に含まれる材料の特徴の少なくとも一つの情報を付加条件として含む請求項1に記載の撹拌・脱泡処理データ分析装置。
【請求項3】
被処理物を収容する容器を公転及び自転させて前記被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で前記撹拌・脱泡処理を行った後の前記被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データの機械学習により推定される、前記撹拌・脱泡処理条件と前記分散性指標値との間の相関関係を記憶する記憶部と、
利用者から前記分散性指標値の目標値の入力を受け付ける入力受付部と、
前記記憶部に記憶されている前記相関関係に基づいて、前記入力受付部が受け付けた前記分散性指標値の前記目標値を得るための前記撹拌・脱泡処理条件を決定する条件決定部とを備え、
前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理で前記容器を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の前記処理ステップ毎の前記処理時間と、前記処理ステップ毎の前記公転回転速度及び前記自転回転速度とを
含み、
前記分散性指標値は、前記被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む、処理条件決定装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の処理条件決定装置と、
前記容器、前記容器を搭載する容器ホルダー、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構、及び、制御部を備え、前記制御部は、前記条件決定部が決定した前記撹拌・脱泡処理条件で前記駆動機構を動作させる撹拌・脱泡処理装置とを備える撹拌・脱泡処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撹拌・脱泡処理データ分析装置、処理条件決定装置及び撹拌・脱泡処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所望の特性を有する物質を製造しようとする場合、従来は、製造者の知識や経験などに基づいて製造条件の決定などが行われていた。そして、決定された製造条件で物質を実際に作製し、その製造された物質の特性を見て、製造条件を変更するといった手順が繰り返される。このように、製造条件を決定するためには製造者が知識や経験などを駆使して試行錯誤することが必要であり、且つ、製造条件を決定するまでに長い時間が必要になるという課題がある。
【0003】
特許文献1(特開2023-152953号公報)には、所望の特性を有するポリマー粒子を効率的に設計することを目的とした粒子製造条件設定プログラムなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被処理物を収容する容器を公転及び自転させて被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合でも、人が試行錯誤せずに被処理物に対する撹拌・脱泡処理条件を決定できれば好ましい。但し、撹拌・脱泡処理条件を決定する方法や装置は提案されていない。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被処理物の撹拌・脱泡処理を行う場合の適切な撹拌・脱泡処理条件についての知見を容易に得ることができる撹拌・脱泡処理データ分析装置、処理条件決定装置及び撹拌・脱泡処理システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る撹拌・脱泡処理データ分析装置の構成は、被処理物を収容する容器を公転及び自転させて前記被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で前記撹拌・脱泡処理を行った後の前記被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データを記憶する記憶部と、
前記撹拌・脱泡処理データの機械学習により、前記撹拌・脱泡処理条件と前記分散性指標値との間の相関関係を推定する相関関係推定部と、を備え、
前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理で前記容器を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の前記処理ステップ毎の前記処理時間と、前記処理ステップ毎の前記公転回転速度及び前記自転回転速度とを含み、
前記分散性指標値は、前記被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む。
【0008】
上記構成によれば、相関関係推定部は、被処理物を収容する容器を公転及び自転させて被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、撹拌・脱泡処理条件で撹拌・脱泡処理を行った後の被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データの機械学習により、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を推定する。つまり、相関関係推定部が推定した相関関係を用いれば、撹拌・脱泡処理装置で行われる被処理物の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、被処理物の撹拌・脱泡処理を行う場合の適切な撹拌・脱泡処理条件、即ち、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とについての知見を容易に得ることができる。
【0010】
加えて、上記構成によれば、相関関係推定部は、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とを含む撹拌・脱泡処理条件と、被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む分散性指標値との相関関係を推定できる。
【0011】
本開示に係る撹拌・脱泡処理データ分析装置の別の構成は、前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理を行う装置の特徴及び前記被処理物に含まれる材料の特徴の少なくとも一つの情報を付加条件として含む。
【0012】
上記構成によれば、相関関係推定部は、分散性指標値と、撹拌・脱泡処理を行う装置の特徴及び被処理物に含まれる材料の特徴の少なくとも一つとの相関関係を推定できる。つまり、分散性指標値と、様々な撹拌・脱泡処理条件との相関関係を推定できる。
【0013】
本開示の一実施形態に係る処理条件決定装置の構成は、被処理物を収容する容器を公転及び自転させて前記被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で前記撹拌・脱泡処理を行った後の前記被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データの機械学習により推定される、前記撹拌・脱泡処理条件と前記分散性指標値との間の相関関係を記憶する記憶部と、
利用者から前記分散性指標値の目標値の入力を受け付ける入力受付部と、
前記記憶部に記憶されている前記相関関係に基づいて、前記入力受付部が受け付けた前記分散性指標値の前記目標値を得るための前記撹拌・脱泡処理条件を決定する条件決定部とを備え、
前記撹拌・脱泡処理条件は、前記撹拌・脱泡処理で前記容器を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の前記処理ステップ毎の前記処理時間と、前記処理ステップ毎の前記公転回転速度及び前記自転回転速度とを含み、
前記分散性指標値は、前記被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む。
【0014】
上記構成によれば、記憶部は、被処理物を収容する容器を公転及び自転させて前記被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で前記撹拌・脱泡処理を行った後の前記被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データの機械学習により推定される、前記撹拌・脱泡処理条件と前記分散性指標値との間の相関関係を記憶している。そして、入力受付部が、利用者から分散性指標値の目標値の入力を受け付けた場合、条件決定部は、記憶部に記憶している上記相関関係に基づいて、前記入力受付部が受け付けた前記分散性指標値の前記目標値を得るための前記撹拌・脱泡処理条件を決定できる。つまり、記憶部に記憶されている相関関係を用いれば、撹拌・脱泡処理装置で行われる被処理物の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、所望の分散性指標値を得るための適切な撹拌・脱泡処理条件、即ち、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とについての知見を容易に得ることができる。
加えて、上記構成によれば、条件決定部は、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とを含む撹拌・脱泡処理条件と、被処理物の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比、粒子沈降速度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つを含む分散性指標値と間の相関関係に基づいて、入力受付部が受け付けた分散性指標値の目標値を得るための撹拌・脱泡処理条件を決定できる。
【0015】
本開示の一実施形態に係る撹拌・脱泡処理システムの構成は、上記処理条件決定装置と、前記容器、前記容器を搭載する容器ホルダー、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構、及び、制御部を備え、前記制御部は、前記条件決定部が決定した前記撹拌・脱泡処理条件で前記駆動機構を動作させる撹拌・脱泡処理装置とを備える。
【0016】
上記構成によれば、撹拌・脱泡処理装置の制御部は、条件決定部が決定した撹拌・脱泡処理条件で、被処理物を収容する容器を搭載する容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構を動作させる。つまり、撹拌・脱泡処理装置で行われる被処理物の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、所望の分散性指標値を得るための撹拌・脱泡処理を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】撹拌・脱泡処理装置及び撹拌・脱泡処理データ分析装置の構成を示す図である。
【
図2】撹拌・脱泡処理装置の具体的な構成を示す図である。
【
図4】貯蔵弾性率の実測値と計算値とを示す図である。
【
図5】撹拌・脱泡処理条件を変更した場合の貯蔵弾性率の計算値を示す図である。
【
図6】撹拌・脱泡処理システムの構成を示す図である。
【
図7】撹拌・脱泡処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、撹拌・脱泡処理装置100及び撹拌・脱泡処理データ分析装置10の構成を示す図である。尚、本願明細書において、撹拌・脱泡という用語は、被処理物8の撹拌、被処理物8に含まれる泡を消失させるための脱泡、或いは、上記撹拌及び脱泡の両方、を意味する用語として記載している。
【0019】
撹拌・脱泡処理装置100は、容器1、容器1を搭載する容器ホルダー2、容器ホルダー2を自転軸心周りに自転させ且つ自転軸心を公転させる駆動機構4、及び、制御部5を備える。加えて、本実施形態の撹拌・脱泡処理装置100は、入力受付部3、出力部6及び記憶部7を備える。
図1において、制御部5は、例えば、プロセッサ等の半導体デバイスである。記憶部7及び記憶部12は、例えば、半導体記憶装置である。撹拌・脱泡処理データ分析装置10は、例えば、コンピュータ装置であり、データ取得部11及び相関関係推定部13を具現化する。制御部5及び撹拌・脱泡処理データ分析装置10は、本開示の方法を制御する。
【0020】
図2は、撹拌・脱泡処理装置100の具体的な構成を示す図である。図示するように、撹拌・脱泡処理装置100は、被処理物8を内部に収容する容器1と、容器1が搭載される容器ホルダー2と、容器ホルダー2を自転軸心X1周りに自転させ且つ自転軸心X1を公転させる駆動機構4とを備える。
図2には、撹拌・脱泡処理装置100に二つの容器ホルダー2が設けられる例を示しているが、容器ホルダー2の数は変更可能である。例えば、撹拌・脱泡処理装置100に一つの容器ホルダー2が設けられる場合、撹拌・脱泡処理装置100は、回転時のバランスを取るための錘を備えてもよい。
【0021】
図1に示す本実施形態の駆動機構4は、公転歯車101、回転ドラム102、公転軸103、駆動モータ104、公転テーブル105、自転歯車108、中間歯車109、太陽歯車110、歯車111、歯車112、及び、歯車113を備える。
【0022】
駆動機構4において、公転歯車101を有する回転ドラム102は、軸受を介して固定軸である公転軸103に対して回転自在に支持されている。駆動モータ104による回転運動が、公転歯車101を介して回転ドラム102に伝達され、回転ドラム102は、公転軸103の公転軸心X2を中心に回転する。公転体としての公転テーブル105は、回転ドラム102に連結されて固定されており、回転ドラム102と共に回転することで、容器ホルダー2に装着された容器1を公転させる。容器ホルダー2は、公転テーブル105に対してその自転軸心X1を中心に回転自在に支持されている。そのため、容器ホルダー2は、公転テーブル105の回転により、公転軸103の公転軸心X2を中心に回転、即ち、公転する。
【0023】
容器ホルダー2は、自転歯車108と共に回転するように自転歯車108に接続されている。自転歯車108は、軸受を介して公転テーブル105に回転自在に支持されている中間歯車109と噛合する。中間歯車109は、太陽歯車110と噛合する。太陽歯車110は、回転ドラム102の外側に配置されており、回転ドラム102に対して、軸受を介して回転自在に支持されている。
【0024】
太陽歯車110は、歯車111に噛合する。歯車111には、互いに噛合する歯車112及び歯車113を介して、パウダーブレーキ等の制動装置114の制動力が伝達される。
【0025】
太陽歯車110は、制動装置114により加えられる制動力が無い場合、即ち、制動力が0の場合、回転ドラム102に従動して回転する。
【0026】
制動装置114の制動力が歯車111を介して太陽歯車110に伝達された場合、太陽歯車110の回転速度が回転ドラム102の回転速度に比べて減少し、太陽歯車110の回転速度と回転ドラム102に連結されている公転テーブル105の回転速度との間に差が生じる。その結果、太陽歯車110に対して、中間歯車109が相対的に回転する。中間歯車109は、自転歯車108と噛合するため、自転歯車108が回転し、容器ホルダー2は、自転軸心X1を中心に回転、即ち、自転する。
【0027】
上記撹拌・脱泡処理装置100は、1つの駆動モータ104により容器ホルダー2を公転及び自転させる構成例であるが、撹拌・脱泡処理装置100の構成は
図1の例に限定されない。例えば、撹拌・脱泡処理装置100は、制動装置114を用いる構成に代えて、公転用駆動モータと自転用駆動モータを別々に備え、容器ホルダー2を公転及び自転させる構成であってもよく、又は、他の構成であってもよい。公転用駆動モータと自転用駆動モータとを別々に備える場合、公転とは独立して自転単独での駆動を行うことができる。自転用駆動モータは公転体(例えば公転テーブル105)に固定して設けてもよいし、又は、公転体と分離して設けてもよい。制動装置114を用いる場合であっても公転用駆動モータ及び自転用駆動モータを用いる場合であっても、撹拌・脱泡処理装置100の容器1の自転の回転速度及び公転の回転速度は、適宜設定できる。
【0028】
撹拌・脱泡処理装置100は、利用者及び他の装置から情報の入力を受け付ける入力受付部3を備える。例えば、入力受付部3は、利用者が操作可能なスイッチ及びボタンなどを用いて実現できる。また、入力受付部3は、他の装置から情報を受信する通信部を用いて実現できる。
【0029】
また、撹拌・脱泡処理装置100は、利用者及び他の装置に情報を出力できる出力部6を備える。例えば、出力部6は、利用者に対して音声情報、文字情報、画像情報などを出力するスピーカや表示装置などを用いて実現できる。また、出力部6は、他の装置へ情報を送信する通信部を用いて実現できる。
【0030】
撹拌・脱泡処理データ分析装置10は、データ取得部11と、記憶部12と、相関関係推定部13とを備える。
【0031】
記憶部12は、被処理物8を収容する容器1を公転及び自転させて被処理物8に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、その撹拌・脱泡処理条件で撹拌・脱泡処理を行った後の被処理物8の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データを記憶する。
【0032】
撹拌・脱泡処理条件は、撹拌・脱泡処理で容器1を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とを含む。尚、撹拌・脱泡処理条件は、処理ステップの数を含んでもよい。
【0033】
撹拌・脱泡処理条件は、撹拌・脱泡処理を行う装置の特徴及び被処理物8に含まれる材料の特徴の少なくとも一つの情報を付加条件として含む。撹拌・脱泡処理を行う装置(即ち、撹拌・脱泡処理装置100)の特徴は、例えば、装置の名称、容器1の形状、公転の回転半径、自転の回転半径などに関する情報を含む。被処理物8に含まれる材料の特徴は、例えば、材料の名称、性状、量、混合比率、例えば密度や粘度などの物性などに関する情報を含む。また、撹拌・脱泡処理条件の付加条件は、撹拌・脱泡処理を開始する前に被処理物8を容器1に一括投入するか、又は、撹拌・脱泡処理の開始前と開始後の複数回に分けて被処理物8を容器1に投入するかに関する情報を含んでもよい。
【0034】
分散性指標値は、例えば、被処理物8の粘度、貯蔵弾性率、損失弾性率、パルスNMRによって測定される緩和速度比(即ち、Rsp値)、粒子沈降速度、温度、自転に関する駆動電流値、及び自転に要するトルク値の少なくとも一つである。自転に関する駆動電流値は、例えば、自転制御のためのパウダーブレーキ等の制動装置に印加する電流値、自転用駆動モータに印加する電流値などから知ることができる。自転に要するトルク値は、例えば、回転トルクメータによる自転軸のトルク測定により知ることができる。
【0035】
撹拌・脱泡処理データ分析装置10の記憶部12に記憶される上述の撹拌・脱泡処理データは、データ取得部11が、撹拌・脱泡処理データ分析装置10と情報通信可能に接続されている他の装置から取得した情報である。例えば、データ取得部11は、上述したように記憶部12に記憶される撹拌・脱泡処理データを撹拌・脱泡処理装置100から取得する。
図1には、1台の撹拌・脱泡処理装置100しか記載していないが、データ取得部11は複数台の撹拌・脱泡処理装置100から撹拌・脱泡処理データを取得してもよい。或いは、撹拌・脱泡処理データを記憶している記憶媒体(図示せず)から、撹拌・脱泡処理データ分析装置10が読み出した撹拌・脱泡処理データを記憶部12に記憶してもよい。撹拌・脱泡処理装置100と撹拌・脱泡処理データ分析装置10とは、一体に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
【0036】
相関関係推定部13は、記憶部12に記憶されている撹拌・脱泡処理データの機械学習により、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を推定する。例えば、相関関係推定部13は、回帰分析、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシンなどの手法を用いた機械学習により、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を推定する。
【0037】
以下に、相関関係推定部13が重回帰分析の手法を用いて撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を推定する場合の例を説明する。
【0038】
図7は、撹拌・脱泡処理の流れを示すフローチャートである。先ず、撹拌・脱泡処理データ分析装置10は、データセットとして撹拌・脱泡処理データを収集し、撹拌・脱泡処理データ分析装置10の記憶部12に、収集された撹拌・脱泡処理データを記憶する(ステップS11)。撹拌・脱泡処理データのうち、撹拌・脱泡処理条件は説明変数として記憶され、分散性指標値は目的変数として記憶される。
図3は、撹拌・脱泡処理データの例を示す図である。本データでは、分散性指標値として貯蔵弾性率を用いており、貯蔵弾性率が低い程、被処理物8の分散性は良好なことを示す。図示するように、重回帰分析の目的変数として貯蔵弾性率が記憶されており、重回帰分析の説明変数として、一括投入有無、処理ステップ1の公転回転速度(公転回転速度1)、処理ステップ1の自転回転速度(自転回転速度1)、処理ステップ2の公転回転速度(公転回転速度2)、処理ステップ2の自転回転速度(自転回転速度2)、処理ステップ1の処理時間(処理時間1)及び処理ステップ2の処理時間(処理時間2)が記憶されている。
【0039】
一括投入有無は、撹拌・脱泡処理を開始する前に被処理物8を容器1に一括投入するか、又は、撹拌・脱泡処理の開始前と開始後の複数回に分けて被処理物8を容器1に投入するかに関する情報である。
図3に示す例では、一括投入有りの場合を「1」で示し、一括投入無しの場合、即ち、複数回に分けて投入の場合を「0」で示す。
【0040】
相関関係推定部13は、収集した撹拌・脱泡処理データを用いて重回帰式を得る(ステップS12)。次に、相関関係推定部13は、重回帰式の係数及び定数項を推定し(ステップS13)、説明変数と目的変数との間の関係性が無い又は所定値よりも低い場合はステップS11に戻り、異なる撹拌・脱泡処理データを収集する。相関関係推定部13は、ステップS13において説明変数と目的変数との間の関係性が有る又は所定値よりも高い場合であって説明変数を除外できない場合は重回帰式をモデル化する(ステップS16)。また、相関関係推定部13は、ステップS13において説明変数と目的変数との間の関係性が有る又は所定値よりも高い場合であって何れかの説明変数を除外できる場合はその説明変数を除外して重回帰分析を行い(ステップS14)、重回帰式の係数及び定数項を推定する(ステップS15)。相関関係推定部13は、ステップS15において、多重共線性が有る場合(即ち、相関が高い説明変数の組合せが有る場合)はステップS14に戻り、相関が高い説明変数の一方を削除し、更に重回帰分析を行う。また、相関関係推定部13は、ステップS15において、多重共線性が無い場合は重回帰式をモデル化する(ステップS16)。以下の式1に記載する重回帰式の左辺は目的変数としての貯蔵弾性率であり、右辺は、複数の説明変数と各係数との積、及び、定数項の和である。定数項は「+11.99411」になっている。この重回帰式が、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係になる。
【0041】
〔式1〕
貯蔵弾性率=〔-2.566026〕×〔一括投入有無〕+〔-0.008497〕×〔公転回転速度1〕+〔-0.006335〕×〔自転回転速度1〕+〔+0.0117135〕×〔公転回転速度2〕+〔+0.002946〕×〔自転回転速度2〕+〔+0.025895〕×〔処理時間1〕+〔-0.042590〕×〔処理時間2〕+11.99411
【0042】
次に、上述したように推定した重回帰式の妥当性について説明する。
図4は、貯蔵弾性率の実測値と、
図3に記載した撹拌・脱泡処理データの説明変数を式1の重回帰式に対して代入した場合に導出される貯蔵弾性率の計算値とを示す図である。図示するように、各計算値は実測値と近い値になっている。従って、式1の重回帰式は、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を良好に説明していると言える。
【0043】
従って、式1の重回帰式がコンピュータ装置の記憶装置に記憶されている場合、そのコンピュータ装置の利用者は、撹拌・脱泡処理条件を変更すれば、被処理物8の分散性指標値がどのような値になるのかを予測することもできる。つまり、相関関係推定部13が推定した相関関係を用いれば、撹拌・脱泡処理装置100で行われる被処理物8の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、被処理物8の撹拌・脱泡処理を行う場合の適切な撹拌・脱泡処理条件、即ち、処理ステップの数と、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とについての知見を容易に得ることができる。
【0044】
図5は、
図3に示したデータ名:C22の撹拌・脱泡処理条件を変更した場合の貯蔵弾性率の計算値を示す図である。
図5には、データ名:C22の撹拌・脱泡処理条件、貯蔵弾性率の実測値及び貯蔵弾性率の計算値を示す。また、
図5には、データ名:C22の撹拌・脱泡処理条件を変更した場合のデータ(T1、T2)についての貯蔵弾性率の計算値を示す。データ名:T1は、データ名:C22から〔処理時間1〕変更したデータであり、データ名:T2は、データ名:C22から〔処理時間2〕を変更したデータである。
【0045】
図示するように、データ名:C22では、実際の貯蔵弾性率(1.8)と、式1の重回帰式で導出できる貯蔵弾性率の計算値(2.1)とは近い値になっており、データ名:C22にとって式1の重回帰式は信頼性が高いと言える。ここで、重回帰分析で得られた重回帰式の係数(偏回帰係数)について、その値が大きい程、重回帰式の算出結果への影響が大きい。本重回帰式の係数の内、振り幅が有り、且つ、係数値の大きいものは、処理時間1(係数:+0.025895)と処理時間2(係数:-0.042590)の2つである。この点を踏まえ、データ名:C22では〔処理時間1〕は300秒であるが、データ名:T1では、〔処理時間1〕を250秒へ変更している。その変更を行った場合、貯蔵弾性率の計算値は0.8になっている。また、データ名:C22では〔処理時間2〕は300秒であるが、データ名:T2では、〔処理時間2〕を330秒へ変更している。その変更を行った場合、貯蔵弾性率の計算値は0.9になっている。このように、信頼性のある重回帰式を用いることで、撹拌・脱泡処理条件を変更すれば、被処理物8の分散性指標値がどのような値になるのかを予測することができる。尚、重回帰式による予測精度の向上には、撹拌・脱泡処理データの数を増やした上で、更に重回帰分析を行うと良い。その場合、初回の重回帰分析の結果を基に、重回帰式結果への影響の大きい説明変数=撹拌・脱泡処理条件に着目し、その各条件の上下限内で数値を振ってデータ収集することが望ましく、そのデータ数の目安(最低数)は、データ数=(説明変数の総数)×3程度となる。例えば、説明変数の総数7の場合、データ数の目安は21程度となる。
【0046】
更に、例えば式1に示した重回帰式のような、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を用いれば、分散性指標値の目標値を得るための撹拌・脱泡処理条件を決定することもできる。
図6は、分散性指標値の目標値を得るための撹拌・脱泡処理条件を決定する処理条件決定装置20と、撹拌・脱泡処理装置100とを備える撹拌・脱泡処理システムの構成を示す図である。
【0047】
図6に示すように、処理条件決定装置20は、記憶部21と、入力受付部22と、条件決定部23と、出力部24とを備える。撹拌・脱泡処理装置100の構成は、
図1に示したのと同様である。また、記憶部21は、例えば、半導体記憶装置である。処理条件決定装置20は、例えば、コンピュータ装置であり、条件決定部23を具現化する。制御部5及び処理条件決定装置20は、本開示の方法を制御する。すなわち、制御部5及び処理条件決定装置20は、適切な撹拌・脱泡処理条件を選択して撹拌・脱泡処理を実行する。
【0048】
記憶部21は、被処理物8を収容する容器1を公転及び自転させて被処理物8に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、当該撹拌・脱泡処理条件で撹拌・脱泡処理を行った後の被処理物8の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データの機械学習により推定される、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を記憶する。この相関関係は、例えば上述した式1の重回帰式である。
【0049】
入力受付部22は、例えば、利用者が操作可能なスイッチ及びボタンなどを用いて実現できる。或いは、処理条件決定装置20がコンピュータ装置を用いて実現される場合、入力受付部22は、そのコンピュータ装置に接続されるキーボートやマウスなどを用いて実現される。そして、入力受付部22は、処理条件決定装置20の利用者から分散性指標値の目標値の入力を受け付ける。例えば、入力受付部22は、上述したような被処理物8の貯蔵弾性率の目標値などの入力を受け付ける。また、入力受付部22は、撹拌・脱泡処理条件の一部の入力を受け付けてもよい。
【0050】
条件決定部23は、記憶部21に記憶されている相関関係に基づいて、入力受付部22が受け付けた分散性指標値の目標値を得るための撹拌・脱泡処理条件を決定する。例えば、条件決定部23は、上述した式1の重回帰式に基づいて、入力受付部22が受け付けた分散性指標値の目標値を得るための撹拌・脱泡処理条件(即ち、撹拌・脱泡処理で容器1を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の処理ステップの数と、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度)を決定する。
【0051】
処理条件決定装置20は、利用者及び他の装置に情報を出力できる出力部24を備える。例えば、出力部24は、利用者に対して音声情報、文字情報、画像情報などを出力するスピーカや表示装置などを用いて実現できる。また、出力部24は、他の装置へ情報を送信する通信部を用いて実現できる。そして、出力部24は、条件決定部23が決定した撹拌・脱泡処理条件を出力できる。
【0052】
条件決定部23が決定した撹拌・脱泡処理条件が、出力部24としての表示装置によって利用者に対して提示された場合、撹拌・脱泡処理装置100で行われる被処理物8の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、所望の分散性指標値を得るための適切な撹拌・脱泡処理条件、即ち、処理ステップの数と、処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とについての知見を容易に得ることができる。
【0053】
また、条件決定部23が決定した撹拌・脱泡処理条件が、出力部24としての通信部によって撹拌・脱泡処理装置100に対して出力された場合、即ち、処理条件決定装置20と撹拌・脱泡処理装置100とを備える撹拌・脱泡処理システムが構築された場合、処理条件決定装置20が決定した撹拌・脱泡処理条件は撹拌・脱泡処理装置100の入力受付部3で受け付けられ、記憶部7で記憶される。そして、撹拌・脱泡処理装置100の制御部5は、処理条件決定装置20の条件決定部23が決定した撹拌・脱泡処理条件で駆動部を動作させて、被処理物8の撹拌・脱泡処理を行う。従って、撹拌・脱泡処理装置100で行われる被処理物8の撹拌・脱泡処理について詳しくない者であっても、所望の分散性指標値を得るための撹拌・脱泡処理を行わせることができる。なお、撹拌・脱泡処理装置100と処理条件決定装置20とは、一体に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
【0054】
<別実施形態>
上記実施形態では、撹拌・脱泡処理データ分析装置10、処理条件決定装置20及び撹拌・脱泡処理装置100の構成について説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。
【0055】
上記実施形態では、撹拌・脱泡処理条件及び分散性指標値の例を幾つか記載したが、それらの内容は適宜変更可能である。また、上記実施形態では撹拌・脱泡処理条件及び分散性指標値についての具体的な数値例を記載したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0056】
上記実施形態において、相関関係推定部13が推定した重回帰モデル(相関関係)において、寄与率が所定値以下の説明変数が存在する場合、その説明変数が付加条件ならば、その説明変数を除外した上で重回帰モデルを再度推定してもよい。それに対して、寄与率が所定値以下の説明変数が存在しない場合、又は、寄与率が所定値以下の説明変数が必須条件ならば、説明変数を除外しなければよい。
【0057】
また、推定した重回帰モデル(相関関係)において、多重共線性が有る説明変数が存在する場合、その説明変数が付加条件ならば、その説明変数を除外した上で重回帰モデルを再度推定してもよい。それに対して、多重共線性が有る説明変数が存在しない場合、又は、多重共線性が有る説明変数が必須条件ならば、説明変数を除外しなければよい。
【0058】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、被処理物の撹拌・脱泡処理を行う場合の適切な撹拌・脱泡処理条件についての知見を容易に得ることができる撹拌・脱泡処理データ分析装置、処理条件決定装置及び撹拌・脱泡処理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 :容器
2 :容器ホルダー
4 :駆動機構
5 :制御部
8 :被処理物
10 :撹拌・脱泡処理データ分析装置
12 :記憶部
13 :相関関係推定部
20 :処理条件決定装置
21 :記憶部
22 :入力受付部
23 :条件決定部
100 :撹拌・脱泡処理装置
X1 :自転軸心
【要約】
【課題】被処理物の撹拌・脱泡処理を行う場合の適切な撹拌・脱泡処理条件についての知見を容易に得ることができる撹拌・脱泡処理データ分析装置を提供する。
【解決手段】撹拌・脱泡処理データ分析装置10が、被処理物に対する撹拌・脱泡処理を行う場合の撹拌・脱泡処理条件と、撹拌・脱泡処理を行った後の被処理物の分散性を示す分散性指標値との組み合わせである撹拌・脱泡処理データを記憶する記憶部12と、撹拌・脱泡処理データの機械学習により、撹拌・脱泡処理条件と分散性指標値との間の相関関係を推定する相関関係推定部13とを備え、撹拌・脱泡処理条件は、撹拌・脱泡処理で容器を所定の公転回転速度及び所定の自転回転速度で所定の処理時間だけ回転させる処理ステップを1回又は複数回行う場合の処理ステップ毎の処理時間と、処理ステップ毎の公転回転速度及び自転回転速度とを含む。
【選択図】
図1