(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】竪配管ユニット及び竪配管ユニットの製造方法並びに竪配管ユニットの取付方法
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20240823BHJP
F16L 59/14 20060101ALI20240823BHJP
E04F 17/08 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F16L1/00 C
F16L59/14
E04F17/08 Z
(21)【出願番号】P 2020176856
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 憲成
(72)【発明者】
【氏名】渡會 正明
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-079776(JP,A)
【文献】特開2012-225403(JP,A)
【文献】特開昭57-042899(JP,A)
【文献】実開平02-018988(JP,U)
【文献】特開平07-062874(JP,A)
【文献】特開平10-121736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
F16L 59/14
E04F 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管(2)の上下端部(2a、2b)と建物への取付部(2c)を除いた配管(2)の外周面を覆うように装着されたスチロールからなる保温材(3)と、当該保温材(3)の外周面を覆うように装着されたアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材(4)と、先端部にフランジ(6)、パッキング(7)、蓋(8)及びボルト(9)で先端が塞がれた取出し管(5)を設けた
少なくとも2本の竪配管(1)を、施工完了する個所ではない作業場にて竪配管(1)を固定する固定手段(11)が設けられた架台(10)と、床(30)から配管のズレを防止する防止手段(25)であ
り、取り外しができる仮止め用架台(101)とで固定したことを特徴とする竪配管ユニット。
【請求項2】
前記竪配管(1)が、前記竪配管(1)を建物に配置した時に、前記建物の床の上面から所定の位置に相当する部分をラッキング仕上げしたものであることを特徴とする請求項1に記載の竪配管ユニット。
【請求項3】
前記建物の床の上面から所定の位置が、建物の床の上面から1900~2200mmの位置であることを特徴とする請求項2に記載の竪配管ユニット。
【請求項4】
前記竪配管(1)が、前記竪配管(1)を建物に配置した時に、建物の床を貫通する部分の配管(2)の建物への取付部(2C)の外周面のスチロールからなる保温材(3)が取り除かれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の竪配管ユニット。
【請求項5】
複数本の竪配管(1)の外周を囲み得る大きさの枠体形状からなり、施工完了する個所ではない作業場にて竪配管(1)を固定する固定手段(11)が設けられた架台(10)を、前記竪配管(1)を床に設置した際に床の上面に位置するよう竪配管(1)の上方の位置に少なくとも1台設置し、
そして床(30)から配管のズレを防止する防止手段(25)であ
り、取り外しができる仮止め用架台(101)を一定の間隔を設けて複数の配管(2)がそれぞれ水平になるように設置し、
複数本の前記竪配管(1)で、スチロールからなる保温材(3)の施されていない配管(2)の一端を、前記固定手段(11)に対し、締結又は溶接により架台(10)にわたすようにして並べて固定し、
他端を仮止め用架台(101)に固定し、
前記保温材(3)に長手方向に切りこみ(3a)を直径に対し2カ所設けて半割とし、前記半割となった保温材(3)にて配管(2)を挟み込むことから前記配管(2)の外周面を覆うように装着し、
先端部にフランジ(6)、パッキング(7)、蓋(8)及びボルト(9)で先端が塞がれた取出し管(5)が突出して位置する配管(2)へ装着する前記保温材(3)の箇所に孔(3b)を設け、当該孔(3b)で取出し管(5)を回避するようにして前記配管(2)の外周面を前記保温材(3)で覆い、
アルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材(4)を、前記保温材(3)の外周面を覆うように装着し、
施工完了する個所ではない作業場にて、竪配管(1)を水平にして竪配管ユニット(1a)を施工することを特徴とする竪配管ユニットの製造方法。
【請求項6】
複数本の竪配管(1)を
固定する固定手段(11)
が設けられた架台(10)
と、床(30)から配管のズレを防止する防止手段(25)であり、取り外しができる仮止め用架台(101)とで固定した竪配管ユニット(100)を建物の建設現場に運び、
当該竪配管ユニット(100)をタワークレー
ンで垂直状態で屋上まで揚重し、屋上から建物内の取付箇所まで吊り下げて、前記架台(10)と建物側支持部材(20)との間で、左右横方向と上下縦方向の位置を調整しながら、各竪配管(1)の配管(2)の下端部(2b)の管端を、既設置の別な竪配管(1)の上端部(2a)管端とを合わせた後、溶
接で管端同士を接続し、前記架台(10)も前記支持部材(20)に取付け固定し、
さらに、架台(10)が支持部材(20)に載置されて設置される床とは異なる、配管が貫通する床の上面においては、床の貫通部の配管(2)の保温未施工部分である配管の取付部(2
c)を配管(2)の貫通部貫通後に設置する
、建物側の支持である支持金物(21)とUボルトからなるズレ防止手段(25)に固定し、建物側の支持に取付け固定した後、 同様の工程で次の竪配管ユニット(100)を建物に取付け固定し、
その後接続した配管の上下端部(2a,2b)の接続部の周面を覆うようにスチロールからなる保温材(3)を装着し、建物の支持に取り付けた配管(2)の建物への取付部(2c)の周囲を覆うようにスチロールからなる保温材(3)を装着した後、
その上から前記保温材(3)の周面を覆うようにアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材(4)を装着することを特徴とする竪配管ユニット(100)の取付方法。
【請求項7】
複数本の竪配管(1)を固定する固定手段(11)が設けられた架台(10)と、床(30)から配管のズレを防止する防止手段(25)であり、取り外しができる仮止め用架台(101)とで固定した竪配管ユニット(100)を建物の建設現場に運んで仮止め用架台(101)を一旦取り外し、
当該竪配管ユニット(100)をタワークレーンで垂直状態で屋上まで揚重し、屋上から建物内の取付箇所まで吊り下げて、前記架台(10)と建物側支持部材(20)との間で、左右横方向と上下縦方向の位置を調整しながら、各竪配管(1)の配管(2)の下端部(2b)の管端を、既設置の別な竪配管(1)の上端部(2a)管端とを合わせた後、溶接で管端同士を接続し、前記架台(10)も前記支持部材(20)に取付け固定し、
さらに、架台(10)が支持部材(20)に載置されて設置される床とは異なる、配管が貫通する床の上面においては、床の貫通部の配管(2)の保温未施工部分である配管の取付部(2c)を配管(2)の貫通部貫通後に設置する、建物側の支持である支持金物(21)とUボルトからなるズレ防止手段(25)に固定し、建物側の支持に取付け固定した後、 同様の工程で次の竪配管ユニット(100)を建物に取付け固定し、
その後接続した配管の上下端部(2a,2b)の接続部の周面を覆うようにスチロールからなる保温材(3)を装着し、建物の支持に取り付けた配管(2)の建物への取付部(2c)の周囲を覆うようにスチロールからなる保温材(3)を装着した後、
その上から前記保温材(3)の周面を覆うようにアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材(4)を装着することを特徴とする竪配管ユニット(100)の取付方法。
【請求項8】
請求項
6または7に記載の工程で次の竪配管ユニット(100)を建物に取付け固定した後、
建物の床を貫通する部分の、外周面のスチロールからなる保温材(3)が取り除かれている配管(2)の建物への取付部(2c)の外周面に、貫通する床開口をふさぐように耐火材(40)を充填して装着することを特徴とする竪配管ユニット(100)の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や事務所などが入居する高層ビル等の階数の多い大型建造物(建物)に設置する熱媒体(温水、冷水、冷却水、または給湯など)を送る竪配管ユニット及び竪配管ユニットの製造方法並びに竪配管ユニットの建物への取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
階数の多い大型建造物(建物)の建設工事は、例えば、建築の建方クレーンで鉄骨梁や鋼ボックス材の柱等を吊り上げ、建物の構造体である柱や梁の組付けや床構造としてデッキプレートを敷設し、前記敷設されたデッキプレート上に鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設する等の工程を一層として、さらに柱構造の上部に位置する建方クレーンを上方へ移動して、上層の鉄骨梁や高ボックス材の柱棟を吊り上げて、を繰り返して、下層から上層に向けて建物を建設している。
昔は、建築工事を行う建築業者が運用する建方クレーンは、構造体や内装の搬送を優先して建物構造体及び内装の工事を進めていき、室やパイプシャフトなどの間仕切りが進んだところで、熱媒体を搬送する配管を施工する設備業者が乗り込んで、間仕切り内の狭いところで工事を行うことになり、手間と時間が掛かり、施工原価の押し上げとなっていた。
近年、建築工事の柱、梁、床の構造体施工直後に、建築の建方クレーンの早期の設備業者利用による、パイプシャフト予定位置への竪配管ユニットの吊り込みから配管接続までの工事工法、いわゆるライザ管工法が行われるようになり、建築の工程と並行して、地下に設けられた熱源設備予定地から屋上の冷却塔、或いは貯湯槽などへの熱媒体等(温水、冷水、冷却水、または給湯など)を送る竪配管の取付けが行われるようになってきた。
【0003】
例えば、高層で基準階の階高4,400mm程度の建物の場合、前記堅配管は、サイズが、冷水用の場合は300~10A(径)、温水用の場合は、200~80A(径)となり、その長さは、各140m×2(往・還)×4系統=1,120mとなり、配管の物量も多くなる。
竪配管の建物への取付けは、前述のように建方クレーンで配管を吊り上げ建物の所定個所に取付けることができるようになっているが、重量のある大きな竪配管ユニットを吊り所定の位置へ移動するのには、竪配管表面の保温材を傷めずに行うことは容易ではなく、保温前の鋼管の状態での吊り上げと取付けを行っていた。そのため、狭い間仕切り施工前に設置できた竪配管も、保温工程では間仕切りが立て込んだ後でないと施工できず、狭い個所での作業として、配管の周面にグラスウール保温筒を巻き、亜鉛鉄線で縛り、ポリエチレンフィルムを巻いた後、金属の薄板板金にて覆い(ラッキング)、配管の保温と保護を行っていた。
【0004】
竪配管の取付けは、前記のように建造中の建物内の施工する部位に先に堅配管を接続完了し、その後、現場で当該堅配管の周面にグラスウール保温筒を巻き、亜鉛鉄線で縛り、ポリエチレンフィルムを巻いた後、金属の薄板板金にて覆い(ラッキング)、竪配管の保温と保護を行う方法の他に、例えば細物の冷媒銅配管などでは、工場で配管ユニットを生産し、前記ユニットを現場に設置する方法がある。
例えば、実開昭56-173274号公報には、工場生産により現場での取付、接続、断熱等の作業を軽減できる断熱配管ユニットであって、並立接近する所定の長さをもった二本の管体が、その両端を除いて断熱材で共通被覆され、その途中に前記被覆から突出する取付具を備え、前記被覆で囲まれた前記管体間の隙間には少なくとも管体の一部に沿って遮蔽体が設けられている断熱配管ユニットが記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の竪配管の取付けは、例えば、取付ける先が竪穴区画のパイプシャフトである場合、堅配管を取り付ける建築物の基準階の階高が例えば4,400mm程度あったりすると、床が歩行可能となっていても区画のためグレーチングなどが設置されているので、強固な平滑面でないため高所作業車(高車)等の使用ができず、施工時にはパイプシャフト内高さ方向に全て足場を組んで施工する必要がある。
また、竪配管の周面にグラスウール保温筒を巻き、亜鉛鉄線で縛り、ポリエチレンフィルムを巻いた後、金属の薄板板金にてラッキングするため、竪配管の保温施行工程が遅くなり竪配管の取付工程が圧迫されていた。
さらにまた、竪配管の周面にグラスウール保温筒を巻き、亜鉛鉄線で縛り、ポリエチレンフィルムを巻く作業を行う保温工と、当該保温材をラッキングする作業を行う板金工の作業工程の調整が必要であった。
また、工場や地組して竪配管ユニットに予め保温及びラッキングを施して建て方クレーンでのつり込みを行っても、他の建築部材にぶつかったりするため搬入や移動により、ラッキングが破損する場合が少なくなく、その場合の板金工による補修の手間が大きい。
このように従来の竪配管の取付工程では、施工性が悪く、また他の作業者との調整が必要であり、これに伴い各設備の工事の工期に遅れが生じるという問題があった。
【0007】
それに対して、特許文献1では、並立接近する二本の管体をその両端部を除いて断熱材で共通被覆された断熱配管ユニットを用いるので、現場での作業を少なく工期の遅れが生じにくく、かつ、高い保温効果が得られる。
しかし、この施工は冷媒銅配管など細物に限られていて、しかも建築部材や機械等の搬入や移動による断熱配管ユニットの破損を防止するのは難しく、当該配管ユニットの保護は難しい。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解消し、現場での工程数を減少できる竪配管ユニット及び竪配管ユニットの製造方法並びに竪配管ユニットの建物への取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を下記の手段により解決した。
〔1〕配管の上下端部と建物への取付部を除いた配管の外周面を覆うように装着されたスチロールからなる保温材と、当該保温材の外周面を覆うように装着されたアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材と、先端部にフランジ、パッキング、蓋及びボルトで先端が塞がれた取出し管を設けた 少なくとも2本の竪配管を、施工完了する個所ではない作業場にて竪配管を固定する固定手段が設けられた架台と、床から配管のズレを防止する防止手段であり、取り外しできる仮止め用架台とで固定したことを特徴とする竪配管ユニット。
〔2〕前記竪配管が、前記竪配管を建物に配置した時に、前記建物の床の上面から所定の位置に相当する部分をラッキング仕上げしたものであることを特徴とする〔1〕に記載の竪配管ユニット。
〔3〕前記建物の床の上面から所定の位置が、建物の床の上面から1900~2200mmの位置であることを特徴とする〔2〕に記載の竪配管ユニット。
〔4〕前記竪配管が、前記竪配管を建物に配置した時に、建物の床を貫通する部分の配管の建物への取付部の外周面のスチロールからなる保温材が取り除かれていることを特徴とする〔2〕または〔3〕に記載の竪配管ユニット。
【0010】
〔5〕複数本の竪配管の外周を囲み得る大きさの枠体形状からなり、施工完了する個所ではない作業場にて竪配管を固定する固定手段が設けられた架台を、前記竪配管を床に設置した際に床の上面に位置するよう竪配管の上方の位置に少なくとも1台設置し、
そして床から配管のズレを防止する防止手段であり、取り外しができる仮止め用架台を一定の間隔を設けて複数の配管(2)がそれぞれ水平になるように設置し、
複数本の前記竪配管で、スチロールからなる保温材の施されていない配管の一端を、前記固定手段に対し、締結又は溶接により架台にわたすようにして並べて固定し、
他端を仮止め用架台に固定し、
前記保温材に長手方向に切りこみを直径に対し2カ所設けて半割とし、前記半割となった保温材にて配管を挟み込むことから前記配管の外周面を覆うように装着し、
先端部にフランジ、パッキング、蓋及びボルトで先端が塞がれた取出し管が突出して位置する配管へ装着する前記保温材の箇所に孔を設け、当該孔で取出し管を回避するようにして前記配管の外周面を前記保温材で覆い、
アルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材を、前記保温材の外周面を覆うように装着し、
施工完了する個所ではない作業場にて、竪配管を水平にして竪配管ユニットを施工することを特徴とする竪配管ユニットの製造方法。
【0011】
〔6〕複数本の竪配管を固定する固定手段が設けられた架台と、床から配管のズレを防止する防止手段であり、取り外しができる仮止め用架台とで固定した竪配管ユニットを建物の建設現場に運び、
当該竪配管ユニットをタワークレーンで垂直状態で屋上まで揚重し、屋上から建物内の取付箇所まで吊り下げて、前記架台と建物側支持部材との間で、左右横方向と上下縦方向の位置を調整しながら、各竪配管の配管の下端部の管端を、既設置の別な竪配管の上端部管端とを合わせた後、溶接で管端同士を接続し、前記架台も前記支持部材に取付け固定し、
さらに、架台が持部材に載置されて設置される床とは異なる、配管が貫通する床の上面においては、床の貫通部の配管の保温未施工部分である配管の取付部を配管の貫通部貫通後に設置する、建物側の指示である支持金物とUボルトからなるズレ防止手段に固定し、建物側の支持に取付け固定した後、 同様の工程で次の竪配管ユニットを建物に取付け固定し、
その後接続した配管の上下端部の接続部の周面を覆うようにスチロールからなる保温材を装着し、建物の支持に取り付けた配管の建物への取付部の周囲を覆うようにスチロールからなる保温材を装着した後、
その上から前記保温材の周面を覆うようにアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材を装着することを特徴とする竪配管ユニットの取付方法。
〔7〕複数本の竪配管を固定する固定手段が設けられた架台と、床から配管のズレを防止する防止手段であり、取り外しができる仮止め用架台とで固定した竪配管ユニットを建物の建設現場に運んで仮止め用架台を一旦取外し、
当該竪配管ユニットをタワークレーンで垂直状態で屋上まで揚重し、屋上から建物内の取付箇所まで吊り下げて、前記架台と建物側支持部材との間で、左右横方向と上下縦方向の位置を調整しながら、各竪配管の配管の下端部の管端を、既設置の別な竪配管の上端部管端とを合わせた後、溶接で管端同士を接続し、前記架台も前記支持部材に取付け固定し、
さらに、架台が持部材に載置されて設置される床とは異なる、配管が貫通する床の上面においては、床の貫通部の配管の保温未施工部分である配管の取付部を配管の貫通部貫通後に設置する、建物側の指示である支持金物とUボルトからなるズレ防止手段に固定し、建物側の支持に取付け固定した後、 同様の工程で次の竪配管ユニットを建物に取付け固定し、
その後接続した配管の上下端部の接続部の周面を覆うようにスチロールからなる保温材を装着し、建物の支持に取り付けた配管の建物への取付部の周囲を覆うようにスチロールからなる保温材を装着した後、
その上から前記保温材の周面を覆うようにアルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保護材からなる保護材を装着することを特徴とする竪配管ユニットの取付方法。
【0012】
〔8〕前記〔6〕または〔7〕に記載の工程で次の竪配管ユニットを建物に取付け固定した後、建物の床を貫通する部分の、外周面のスチロールからなる保温材が取り除かれている配管の建物への取付部の外周面に、貫通する床開口をふさぐように耐火材を充填して装着することを特徴とする竪配管ユニットの取付方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、竪配管ユニットの保温及び外装加工のほとんどを現場でなく、製造工場または地組で行うことが出来るので、建設現場における他職種との調整が不要であり、工期の遅れを防ぐことが出来る。
また、竪配管の周面に装着する保温材や保護材は、簡単に切ることができ加工が容易なため、板金工による作業の必要はなく、保温工による作業のみで製造でき、人員削除とコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1における竪配管を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1における配管の説明図である。
【
図4】竪配管ユニットの製造方法を表す説明図である。
【
図6】竪配管を建物の所定個所に取付ける場合の1例の説明図である。
【
図8】2本の竪配管を接続する方法の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る竪配管ユニットの実施例を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施例1における竪配管の斜視図、
図2は
図1の堅配管の上端部の拡大図であり、保護材3の一部を削除して表示している。
図3は、本発明の堅配管にかかる配管の説明図である。
図1~3において、1は竪配管、2は配管、3は保温材、4は保護材、5は取出し管、6はフランジ、7はパッキン、8は蓋、9はボルトである。
本発明にかかる実施例1において、竪配管1は、配管2と、前記配管2の外周面を覆うように装着される保温材3と、当該保温材3の外周面を覆うように装着される保護材4と、取出し管5とで構成される。
本実施例において、竪配管1は、約1100mmの長さからなり、保温材3は、フロア3階分の長さを有する配管2の上下端部(2a、2b)と建物への取付部(2c、2d)を除いて、配管2の外周面を覆うように装着される。
【0016】
前記保温材3は、例えば、所定の厚さを持った円筒状のスチロール、好ましくは発泡スチロールで構成され、前記配管2の外周面を覆うように装着される。従来技術のグラスウール保温筒は、表面にアルミガラスクロスがあるが柔らかく、保形性が低い。そのため表面にフィルムを直に貼ろうとしても形態が変わるのではがれやすい。従来は亜鉛鉄線で縛り付け、さらにポリエチレンフィルムはフィルム同士で保形できるように巻き付けている。また、水が入り込むと保温性能が極端に低下するし、構造上入り込んだ水分が蒸発しづらい。対して円筒状のスチロールは、保形性に優れ、スチロール表面に貼付する粘着剤があれば、表面にフィルム状のものを貼ってもはがれにくい。発明の実施形態においては、3階分の保温材3が装着されている。
【0017】
前記保護材4は、例えば、アルミと樹脂を多層ラミネートした基材に粘着剤を塗布したテープ型保温材被覆材料が好適に使用できる。前記粘着剤は、耐候性に優れたものが好ましい。例えば、化学的安定性が高いアクリル系感圧性のものを使用すると接合部からの水の侵入や剥がれを長期間防止できる。従来の金属板金であるラッキングでは、板金接合部に隙間があり雨水の侵入がどうしても生じたが、粘着剤で隙間が埋まるので雨水の侵入が防止できる。
本実施例においては、保護材4として、強靭で打撃等の外力に強く、板金外装に代わって屋外配管・ダクト外装に使用可能な耐候性・耐久性を備えたものを使用している。アルミと樹脂とを多層ラミネートしているので、この薄い材料は外力に対しては、撓みとその戻りに対していなしやすく、自己復元できる材質である。樹脂は例えばPETフィルムであれば自己復元に優れ、隣のアルミ層もそれに倣って復元できる。
【0018】
前記取出し管5は、先端部を各階の横引き配管(図示せず)に接続し前記竪配管1の配管2から、竪配管施工後の後工程で施工される横引き配管に熱媒体を送るもので、先端部に設けたフランジ6、パッキン7、蓋8及びボルト9で、竪配管施工時はゴミが入らないように塞がれている。
上記のように、竪配管1は、配管2の上下端部2a、2bと、建物への取付部2c、2dを除いてその外周面を覆うように保温材3及び保護材4が装着されている。
なお、上記本発明の実施態様においては竪配管1をフロア3階分の長さを有する配管2を用いているが、これに限定されるものではなくフロア2階分の長さを有する配管2を用いることもできる。
【0019】
図4は、本発明にかかる竪配管ユニットの製造方法を表す説明図、
図5は本発明にかかる竪配管を構成する保温材の説明図である。
本実施例において、保温材は、スチロールからなり、竪配管1を取付ける建物の階高に応じて装着される。
図5においては、保温材3を3個接合して配管2の外周面に装着する場合の保温材3を示している。
【0020】
図4に示す本実施例において、架台10は断面凹状の溝形鋼など鋼材10a、10b、10c、10dをそれぞれの端部で接続して直方体の枠体にして構成され、複数本の竪配管1の外周を囲み得る大きさの枠体形状を有している。
そして当該鋼材10aの下面には山形鋼などが直交するように配管表面の法線まで延長していて、その先に竪配管1を固定するUボルトの両端が締結されていたり、当該鋼材10a及び10cからそれぞれ配管2外周面に対し配管2に軸方向へ延びるブラケットがボルト締結にて支持され、ブラケットの先は配管2の外周面に溶接されていたりする等の固定手段11が設けられている。
なお、作業者の負担や効率を考慮すると、配管2の上端部2aの管端は3フロアの最上階の床の上面から500mm~700mmの位置になるように、配管2が架台10に固定されることが望ましい。
【0021】
上記のように構成された架台10を用いて、施工完了する個所でない工場内や現場の地組作業場で竪配管ユニット100を製造する方法を説明する。
前記架台10を配管2の上端部2aの管端は3フロアの最上階の床の上面から500mm~700mmの位置になるように設け、さらに作業が簡便になるように、別フロアで利用するズレ防止手段25である仮止め用架台101を一定の間隔を設けて複数の配管2がそれぞれ水平になるように設置し、そして前記架台10は前出の固定手段11によって、仮止め用の架台101ではUボルトにより締結することで、配管2を架台10にわたすようにして並べて固定する。
そして、
図5に示すように保温材3に長手方向に切り込み3aを直径に対し2カ所設けて半割とし、前記半割となった保温材3にて配管2を挟み込むことから前記配管2の外周面を覆うように装着する。なお、前記保温材3の配管2を挿入する切り込み3aは、あらかじめ保温材3に形成しておいてもよく、また作業時にカッター等で切り込みをいれて形成してもよい。
【0022】
なお、配管2に設けられた取出し管5に前記保温材3を装着する場合は、保温材3の取出し管5に該当する箇所に、孔3bを開け、当該孔で取出し管5を挟むようにして前記配管2の外周面を覆うように装着し、前記取出し管5を含め配管2の外周面に保温材3を装着する。
前記孔3bは、前記取出し管5の位置に適合するように作業時に半割れの端部に半円状にカッター等で形成してもよく、あらかじめ形成しておいてもよい。
このように、取付ける建物の階高に応じて構成される堅配管1に適合するように、複数の保温材3を組み合わせて接合して配管2の外周面に装着する。
【0023】
その後、保護材4を、前記保温材3の外周面を覆うように装着する。前記保護材4は、裏面に粘着層を備えたものであれば、作業時に粘着層に貼付された剥離紙を剥がして保温材3の外周面に巻くだけで保護材4を装着できるので、作業効率がよく好適である。なお、保護材4は、保温材3の外周面を覆うように接着できればよく、裏面に接着剤を塗布して装着するものであってもよい。
また、取出し管5の部分は、別途別の保護材4で覆って装着する。
なお、架台10に複数本の配管2を固定した場合は、上記と同様の方法により、竪配管ユニット100を製造すればよい。
【0024】
なお、建設中の管理等の巡回の際に接触して傷を付ける恐れやスラブ床で耐火充填する場合に備えて、堅配管1を建物に配置した時に、床の上面から所定の位置に相当する部分をラッキングしてもよい。また、保護材4の表面がアルミやPETフィルム面となるとその表面等には管種などをペンキで記載することが困難なため、所定の位置、すなわち見える位置までラッキングとすることで、管種や行先、管径などを記載することができるようにもなる。
例えば、竪配管1を設置した場合における建物の床面から1900~2200mmの位置に相当する部分に、保護材4の仕上げに替えてラッキング仕上げとする。
【0025】
上記本発明の実施例においては、架台10を溝形鋼など鋼材10a、10b、10c、10dをそれぞれの端部で接続して直方体の枠体にして構成しているが、これに限定されるものではなく前記枠が一体成型で製造されたものであっても、またアングル材や板材等を用いることもできる。
【0026】
図6は、竪配管ユニット100を建物の所定個所に取付ける場合の1例の説明図、
図7は
図6の架台10設置以外の床貫通部分の拡大部分を示し
図6を側面からみた図、
図8は、既設置の竪配管ユニットの配管2上端部2aと、今回設置の竪配管ユニット100の配管2の下端部2bとの2本の配管を接続した後の保温する方法の一例の説明図である。
図6~8に示す例において、20は建物の床に固定される支持部材であり、25は架台10が載置されない床の固定を取る支持金物21とUボルト22からなるズレ防止手段、30は床である。
【0027】
前記のように構成された竪配管ユニット100を建物の所定個所に取付ける方法の一例を説明する。
構造体であるデッキプレートを型枠とした合成床を施工した後、建築工事では危険な開 口を次々に塞いでいく。パイプシャフトが予定されている施工箇所でも、竪穴区画でも作 業ができるグレーチング床が施工され、床から竪配管のずれを防止する固定を取るズレ防 止手段25が載置される、つまりズレ防止手段25より小さな開口にされていく。工場な ど、施工完了する個所ではない作業場にて仮固定のための仮止め用架台101を用いて複 数の配管2を架台10に固定して製造した竪配管ユニット100から、仮固定のための仮 止め用架台101を取り除いた形で搬送準備を行う。
複数本の竪配管1を固定手段11にて架台10に固定し一体化した竪配管ユニット10 0を、作業場のクレーン等で吊り上げトレーラー等に乗せ建物の建設現場に運び、
当該竪配管ユニット100を施工する現場の建方クレーンで垂直状態で屋上まで揚重し 、屋上から建物内の取付箇所まで吊り下げて、前記架台10と建物側支持部材20との間で、左右横方向と上下縦方向の位置を調整しながら、各配管2の配管の下端部の管端を、既設置の別な竪配管の上端部管端とを合わせた後、溶接などで管端同士を接続し、前記架 台10も前記支持部材20に取付け固定し、さらに、架台10が支持部材20に載置され て設置される床とは異なる、配管が貫通する床の上面においては、床の貫通部の配管2の 保温未施工部分である配管の取付部2cを配管2の貫通部貫通後に設置する、建物側の支 持であるズレ防止手段25に固定する。
同様の工程で次の竪配管ユニットを建物に取付け固定し、
その後接続した配管の上下端部の接続部の周面を覆うように保温材を装着し、建物の支持に取り付けた配管の建物への取付部の周囲を覆うように保温材を装着した後、その上から保温材の周面を覆うように保護材を装着する。
これにより、例えば、1階から3階に跨って竪配管1が建物の取付箇所に取付け固定される。
【0028】
上記と同様の工程で次の竪配管ユニット1aを、例えば、4階から6階に跨って建物の取付箇所に取付け固定する。
その後、先に建物に取付固定された竪配管1の配管2の上端部2aと後から建物に取り付け固定された竪配管1の配管2の下端部2bとを溶接等により接続し、その後接続した箇所の周面を覆うように保温材3を装着し、その上から保温材3の周面を覆うように保護材4を装着する。
なお、前記保温材の装着は水圧テストで機密を確認してから行う。
以上の工程を繰り返し下から上に向かって竪配管1を接続する。
作業者の溶接の負担や作業効率を考慮すると、床面から700mm~900mmの腰の高さの位置に溶接個所が来るように両竪配管1が建物に取り付け固定されることが望ましい。
【0029】
なお、架台10が載置される床以外の床を貫通する個所が、箱抜きされ、大開口となっていて、竪配管ユニット設置後に開口を狭くするような施工を行う現場では、竪配管ユニット100に架台10と仮止め用架台101とが固定されたまま建方クレーンで吊り込まれても良い。
【0030】
さらにまた、別の取り付け方法として
1)架台10に複数本の竪配管1を固定し、当該架台10をタワークレーンを使い1階、4階・・と3階おきに設置階まで吊り下げ床に水平に配置し、
2)1階に配置された架台から竪配管をクレーンや電動ウインチなどで吊り上げ建物の取付箇所に取付ける。
3)その後4階に配置された竪配管を電動ウインチで吊り上げ、前記取付箇所に取り付けられた先の竪配管の上端部分と、後から設置された竪配管の下端部分を溶接し先の竪配管と後の竪配管とを接続する。
4)そして、前記先の竪配管と後の竪配管の接続部分に保温材3を装着し、その上から保護材4を装着する。
【0031】
以上の工程を繰り返し下から上に向かって竪配管を接続する方法もある。
なお、本発明の実施形態においては、竪配管1の取り付けを下から上に向かい行っているが、逆に上から下に向かって竪配管1を取り付ける場合であっても同様の方法が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、建物に設置する熱媒体(温水または冷水)を送る竪配管及び竪配管の製造方法並びに竪配管の建物への取付方法の他屋上のポンプユニット等にも使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 竪配管
2 配管
3 保温材
4 保護材
5 取出し管、
6 フランジ
7 パッキン
8 蓋
9 ボルト
10 架台
101 仮止め用架台
11 固定手段
20 支持部材
25 ズレ防止手段
21 支持金物
22 Uボルト
30 床
40 耐火材
100 竪配管ユニット