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特許7542308給電管理システム、給電管理方法及び給電管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】給電管理システム、給電管理方法及び給電管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240823BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240823BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240823BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240823BHJP
   H02J 3/12 20060101ALI20240823BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240823BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240823BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240823BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/04
H02J7/00 P
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J3/12
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/65
B60L53/66
B60L53/67
B60L58/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019238382
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107951
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】312002347
【氏名又は名称】株式会社エナリス
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝夫
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163026(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135804(WO,A1)
【文献】特開2014-017891(JP,A)
【文献】特開2010-081722(JP,A)
【文献】国際公開第2012/120965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H02J 7/00
H02J 3/00
H02J 3/12
H02J 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電の対象となる対象車両に搭載される対象蓄電装置の充電を行う給電管理システムであって、
前記対象蓄電装置を充電する充電装置と、
前記充電装置ごとに、対象車両への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置の蓄電量の変化を記録するデータ取得部と、
前記データ取得部が記録した情報に基づいて前記充電装置ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する需要予測部と、
前記需要予測部による予測に基づいて、前記充電装置に対する給電若しくは前記対象車両への充電を制御する給電制御部と
各ユーザーが消費した電力の電力量、時間帯及び発電方法を含むデータの解析結果に基づいて、環境に対する貢献度、若しくは生成された余剰電力の対価に応じたトークンを発行するトークン発行部と
を備え、
前記データ取得部は、各車両の運行スケジュールを収集し、
前記需要予測部は、収集された前記運行スケジュールに基づいて前記予測を行い、
前記給電制御部は、充電を行っている間に、間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を制御する
ことを特徴とする給電管理システム。
【請求項2】
前記運行スケジュールは、複数のユーザーが共有して使用するシェアリング用車両の出発地、出発時刻、目的地及び到着時刻に関する情報を保持し、
前記需要予測部は、前記運行スケジュールに基づいて、充電に適した充電装置を特定し、特定された充電装置において充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電管理システム。
【請求項3】
給電の対象となる対象車両に搭載される対象蓄電装置の充電を行うために、サーバー装置により前記給電の管理を行う給電管理方法であって、
充電をする前記対象蓄電装置ごとに、対象車両への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置の蓄電量の変化を、前記サーバー装置のデータ取得部が、記録するデータ取得ステップと、
前記データ取得部が記録した情報に基づいて、前記サーバー装置の需要予測部が、前記対象蓄電装置を充電する充電装置ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する需要予測ステップと、
前記サーバー装置の給電制御部が、前記需要予測部による予測に基づいて、前記充電装置に対する給電若しくは前記対象車両への充電を制御する給電制御ステップと
各ユーザーが消費した電力の電力量、時間帯及び発電方法を含むデータの解析結果に基づいて、トークン発行部が、環境に対する貢献度、若しくは生成された余剰電力の対価に応じたトークンを発行するステップと
を含み、
前記データ取得ステップにおいて前記データ取得部は、各車両の運行スケジュールを収集し、
前記需要予測ステップにおいて前記需要予測部は、収集された前記運行スケジュールに基づいて前記予測を行い、
前記給電制御ステップにおいて前記給電制御部は、充電を行っている間に、間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を制御する
ことを特徴とする給電管理方法。
【請求項4】
前記データ取得ステップにおいて前記運行スケジュールには、複数のユーザーが共有して使用するシェアリング用車両の出発地、出発時刻、目的地及び到着時刻に関する情報が保持され、
前記需要予測ステップにおいて前記需要予測部は、前記運行スケジュールに基づいて、充電に適した充電装置を特定し、特定された充電装置において充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する
ことを特徴とする請求項3に記載の給電管理方法。
【請求項5】
給電の対象となる対象車両に搭載される対象蓄電装置の充電を行う給電管理プログラムであって、
前記対象蓄電装置を充電する充電装置ごとに、対象車両への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置の蓄電量の変化を記録するデータ取得部と、
前記データ取得部が記録した情報に基づいて前記充電装置ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する需要予測部と、
前記需要予測部による予測に基づいて、前記充電装置に対する給電若しくは前記対象車両への充電を制御する給電制御部、及び
各ユーザーが消費した電力の電力量、時間帯及び発電方法を含むデータの解析結果に基づいて、環境に対する貢献度、若しくは生成された余剰電力の対価に応じたトークンを発行するトークン発行部
として機能させ、
前記データ取得部は、各車両の運行スケジュールを収集し、
前記需要予測部は、収集された前記運行スケジュールに基づいて前記予測を行い、
前記給電制御部は、充電を行っている間に、間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を制御する
ことを特徴とする給電管理プログラム。
【請求項6】
前記運行スケジュールは、複数のユーザーが共有して使用するシェアリング用車両の出発地、出発時刻、目的地及び到着時刻に関する情報を保持し、
前記需要予測部は、前記運行スケジュールに基づいて、充電に適した充電装置を特定し、特定された充電装置において充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する
ことを特徴とする請求項5に記載の給電管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EV(Electric Vehicle:電気自動車)に充電を行う給電管理システム、給電管理方法及び給電管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球環境問題からEV(Electric Vehicle:電気自動車)の普及が進められている。この場合、EVへの充電インフラの整備は必須であり、その一環として、従来型の充電スタンドの他、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ショッピングセンタ等の店舗や病院等の施設に充電スタンドを設置し、EVに充電するシステムの開発が行われている。
【0003】
ところで、給電施設における消費電力量は、時間帯や天候、季節等の環境により大きく変化し、時間帯によってはEVの充電需要が集中し、いわゆる電力ピークが発生してしまう。一般に、電力会社との契約により電気料金は基本料金と電力量料金から算出される。この基本料金は、予め定められたデマンド時間毎の施設全体における消費電力量積算値の最大値(最大デマンド)に基づいて決定されるため、ピークカットレベル(目標値)を超える電力消費が予想されるときには、消費電力量のピーク、即ち、電力ピークの発生を回避しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-212659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不特定多数のEVが出入りするような給電施設では、いわゆる動く蓄電池であるEVは行動予測若しくは滞在予測が難しく調整力として活用することが難しく、時間帯によってはEVの充電によって電力ピークが発生してしまう危険性があった。
【0006】
そこで、本発明は、係る従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、充電施設における電力ピークの発生を効果的に回避可能なEVの給電管理システム、給電管理方法及び給電管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、

給電の対象となる対象車両に搭載される対象蓄電装置の充電を行う給電管理システムであって、対象蓄電装置を充電する充電装置と、充電装置ごとに、対象車両への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置の蓄電量の変化を記録するデータ取得部と、データ取得部が記録した情報に基づいて充電装置ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する需要予測部と、需要予測部による予測に基づいて、充電装置に対する給電若しくは対象車両への充電を制御する給電制御部と、各ユーザーが消費した電力の電力量、時間帯及び発電方法を含むデータの解析結果に基づいて、環境に対する貢献度、若しくは生成された余剰電力の対価に応じたトークンを発行するトークン発行部とを備え、前記データ取得部は、各車両の運行スケジュールを収集し、前記需要予測部は、収集された前記運行スケジュールに基づいて前記予測を行い、前記給電制御部は、充電を行っている間に、間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を制御する。
【0008】
また、本発明は、給電の対象となる対象車両に搭載される対象蓄電装置の充電を行うために、サーバー装置により給電の管理を行う給電管理方法であって、充電をする対象蓄電装置ごとに、対象車両への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置の蓄電量の変化を、サーバー装置のデータ取得部が、記録するデータ取得ステップと、データ取得部が記録した情報に基づいて、サーバー装置の需要予測部が、対象蓄電装置を充電する充電装置ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する需要予測ステップと、サーバー装置の給電制御部が、需要予測部による予測に基づいて、充電装置に対する給電若しくは対象車両への充電を制御する給電制御ステップと、各ユーザーが消費した電力の電力量、時間帯及び発電方法を含むデータの解析結果に基づいて、トークン発行部が、環境に対する貢献度、若しくは生成された余剰電力の対価に応じたトークンを発行するステップとを含み、データ取得ステップにおいてデータ取得部は、各車両の運行スケジュールを収集し、需要予測ステップにおいて需要予測部は、収集された運行スケジュールに基づいて予測を行い、給電制御ステップにおいて給電制御部は、充電を行っている間に、間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を制御する。
【0009】
上記発明において、運行スケジュールは、複数のユーザーが共有して使用するシェアリング用車両の出発地、出発時刻、目的地及び到着時刻に関する情報を保持し、需要予測部は、運行スケジュールに基づいて、充電に適した充電装置を特定し、特定された充電装置において充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測することが好ましい。
【0010】
なお、上述した本発明に係る給電管理システムや給電管理方法は、所定の言語で記述された本発明の給電管理プログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明の給電管理プログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する給電管理システムを構築して、本発明に係る給電管理方法を実施することができる。
【0011】
また、本発明の給電管理プログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、この発明によれば、充電装置毎に電力供給の過去実績(曜日、時間帯、空き充電容量、充電時間など)から学習してEVの滞在予測を行うため、充電装置単位で電力需要の予測を行うことができ、個々の行動予測及び滞在予測が困難な場合であっても、滞在予測に確度を設けて、短時間の低減期間を設けて所謂電力供給のスライスを行うことができる。これにより、複数のEVの滞在予測スライスを束ねて調整力可能量として管理し、EVを電力の調整力として利用して、ピークカットなどの電力制御を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る給電システムの全体構成を示す概念図である。
図2】実施形態に係る給電システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】電力管理装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る給電処理のフロー図である。
図5】実施形態に係る給電処理における予測値算出処理のフロー図である。
図6】実施形態に係る予測値算出処理を示すグラフ図である。
図7】変更例に係る給電システムの全体構成を示す概念図である。
図8】変更例に係る給電システムの車載装置の内部構成を示すブロック図である。
図9】変更例に係る給電システムの車両管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
図10】変更例に係る給電システムにおける返却先設定時の動作を示すシーケンス図である。
図11】実施形態に係る仲介サーバーの内部構成を示すブロック図である。
図12】実施形態に係る保証システムの内部構成を示すブロック図である。
図13】実施形態に係る給電システムの電力移転時における手順を示すフロー図である。
図14】実施形態に係る給電システムにおける公開鍵と秘密鍵との関係を例示する説明図である。
図15】実施形態に係る給電システムのブロックチェーンに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る給電システム、給電方法及び給電プログラムの一実施形態について説明する。以下の説明では各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置などを例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(給電システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る給電システムの全体構成を示すブロック図であり、図2は給電システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態にかかる給電システムは、充電対象である車両7に搭載された対象蓄電装置71を充電するために用いられる複数の充電装置43と、電力供給源3からの電力を複数の充電装置43に分配可能な分配給電装置2と、充電サービスを提供する充電ステーション4とから概略構成される。
【0016】
電力供給源3としては、太陽光発電や風力発電等の再可能エネルギーによる発電施設や、火力・水力・原子力等の発電所の他、PPS(Power Producer and Supplier:新電力企業)や、各家庭で生産された電力を売電したり調達したりする電力プロシューマまたはアグリゲータが含まれる。この電力供給源3からの電力は一旦分配給電装置2に入力され、入力された電力は分配給電装置2によって、充電ステーション4等の各給電設備に分配される。
【0017】
充電ステーション4は、充電サービスを提供する施設や事業者であり、従来型の充電スタンドの他、個人宅や、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ショッピングセンタ等の店舗や病院等の施設に設置されるものが含まれる。この充電ステーションには、電力を制御する電力制御端末40が設けられており、この電力制御端末40は、例えば、CPUを備えた情報処理端末で構成され、充電ステーションの各設備を統括的に制御する装置である。この電力制御端末40が制御する対象設備としては、充電ステーション4内に配備された充電ステーション4に含まれるスマートメータ41、蓄電池42、充電装置43などの他、必要に応じて発電や蓄電、電力消費を管理する装置が含まれる。なお、この電力制御端末40が制御対象とする各種装置は、必要に応じて省略することができる。
【0018】
(各装置の構成)
(1)車両7
車両7は、例えばEV、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)等といった乗用車である。具体的に車両7は、この給電システムに関する構成要素として、対象蓄電装置71と、充電器72と、車両制御ユニット73と、対象車両通信部74とを備えている。充電器72は、対象蓄電装置71に接続されて充電装置43から供給される充電用電力を、充電に適した電力に変換する装置であり、充電装置43と通信を行う無線或いは有線による通信装置である。また、車両制御ユニット73は充電器72及び対象車両通信部74を制御する制御装置である。
【0019】
なお、充電器72の具体的な構成は任意であるが、例えば充電装置43から、充電用電力として交流電力が車両7に供給される構成においては、充電器72は、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器としての機能を設けることができる。
【0020】
(2)充電装置43
前記充電装置43について説明すると、充電装置43は、充電サービスを提供する充電ステーションに設置された銃で装置であり、車両7に電気的に接続されることによって当該通信ネットワーク10を充電する装置であり、給電スイッチ43aと、充電装置制御ユニット43bと、充電装置報知部43cと、充電装置通信部43dとを備えている。
【0021】
給電スイッチ43aは、分配給電装置2から車両7に向かう電力線上に設けられ、電力の供給を入切する切り替え装置であり、充電装置制御ユニット43bは、給電スイッチ43aのON/OFF制御を行う制御装置である。充電装置制御ユニット43bは、給電スイッチ43aのON/OFF制御を行うことにより、分配給電装置2から供給される充電用電力を、車両7に伝送させるか否かを制御する。なお、給電スイッチ43aは、初期状態においては、分配給電装置2から車両7への電力伝送を遮断するOFF状態にある。なお、本実施形態では、充電装置43と分配給電装置2とが接続され、且つ、給電スイッチ43aがON状態となっている状態が、分配給電装置2から充電装置43に充電用電力が分配されている状態に対応する。一方、充電装置43と分配給電装置2とが接続され、且つ、給電スイッチ43aがOFF状態となっている状態は、分配給電装置2から充電装置43に充電用電力が分配されていない状態である。
【0022】
充電装置通信部43dは、対象車両通信部74と通信可能な有線或いは無線による通信装置である。充電装置制御ユニット43bと車両制御ユニット73とは、充電装置通信部43dと対象車両通信部74との通信を通じて、情報のやり取りを行うことができる。充電装置報知部43cは、各種報知を行う出力インターフェースであり、例えばモニタや音声スピーカ等を用いることができ、モニター表示や音声出力によって充電に関する情報を報知する。
【0023】
(3)分配給電装置2
次に分配給電装置2について説明すると、図1に示すように、分配給電装置2は、電力変換部21と、分配給電装置制御ユニット22と、分配給電装置通信部23と、位置情報取得部24と、無線通信部25と、分配給電装置報知部26とを備えている。
【0024】
電力変換部21は、電力供給源3から供給される電力を、車両7の充電に用いられる充電用電力としての交流電力に変換する装置である。分配給電装置2は、複数の充電装置43に接続されており、電力変換部21によって変換された交流電力を、各充電装置43に分配する。
【0025】
分配給電装置通信部23は、車両7及び充電装置通信部43dの双方と通信可能な通信装置である。分配給電装置制御ユニット22は、分配給電装置通信部23と充電装置通信部43dとの通信を介して、充電装置43側の充電装置制御ユニット43bと情報のやり取りが可能となっている。
【0026】
また、位置情報取得部24は、現在位置の情報を取得するモジュールであり、例えばGPS(Global Positioning System.)機能を有しており、自身の現在位置を取得する。無線通信部25は、無線通信を行う無線通信装置であり、分配給電装置制御ユニット22は、無線通信部25による無線通信を介してインターネットやサーバ等にアクセスして、各種配信を行うことが可能となっている。分配給電装置報知部26は、各種報知を行う出力装置であり、例えばモニタや音声スピーカ等であり、給電に関する情報等を報知するものである。分配給電装置制御ユニット22は、分配給電装置2及び複数の充電装置43の接続状態を監視し、分配給電装置通信部23と、充電装置通信部43d及び充電装置通信部43dとの間で確立された通信、または無線通信部25を用い、位置情報とともに給電可能であることを示す給電可能配信を行う。
【0027】
詳細には、充電装置制御ユニット43bは、車両7が接続された場合には、充電装置通信部43dを用いて、新規接続を確認した新規接続確認信号を分配給電装置制御ユニット22に送信する。例えば、ある充電装置43の充電装置制御ユニット43bは、充電装置43に車両7が接続されたことに基づいて、充電装置通信部43dを用いて、新規接続確認信号を分配給電装置制御ユニット22(詳細には分配給電装置通信部23)に送信する。そして、分配給電装置制御ユニット22は、分配給電装置通信部23によって上記新規接続確認信号が受信されることによって、未充電車両を把握する。分配給電装置制御ユニット22は、未充電車両が把握されたことに基づいて、新規に接続された車両7(すなわち未充電車両)への充電を開始する充電開始制御処理を実行する。
【0028】
(4)電力管理装置1
図3に示すように、電力管理装置1は、給電の対象となる車両7に搭載される対象蓄電装置の充電を行うために、多数の充電ステーション4における給電の管理を行うサーバー装置であり、具体的には、通信インターフェース11と、データ取得部12と、データベース13と、制御指示スケジュール管理部14と、給電制御部15と、需要予測部16と、実績情報解析部17とを備えている。
【0029】
通信インターフェース11は、通信インターフェース11は、データ通信を行うためのデバイスであり、無線等による非接触通信や、ケーブル、アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。
【0030】
データ取得部12は、充電装置43ごとに、車両7への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置71の蓄電量の変化を記録するモジュールであり、各充電装置43における給電状況を取得し、監視するとともに、その現況を制御指示スケジュール管理部14に入力するモジュールである。このデータ取得部12によって取得された給電状況は需要予測部16における需要予測のために提供される。
【0031】
なお、データ取得部12は、後述するようにレンタカーやカーシェアリングサービスの車両管理サーバー等と各車両の運行スケジュールを外部情報として収集する機能を設けるようにしてもよい。また、データ取得部12は、電力供給源3に関する電力源情報も収集する機能も備え、電力源情報には、所定の時間単位をもって、各電力源において受電或いは蓄電された時点における電力の市場価格、受電若しくは蓄電された電力量、及び蓄電した蓄電設備に関する情報が含まれている。このデータ取得部12によって収集された蓄電時情報(受電時情報を含む。)はデータベース13に保存されるとともに、実績情報解析部17及び制御指示スケジュール管理部14に入力される。
【0032】
また、データ取得部12は、インターネット上に分散配置された外部の情報源から外部情報(電力市場における価格変動、気象情報その他の外部環境情報等)を収集する市況情報収集機能も有している。この市況情報収集機能は、いわゆるクローリング処理によってインターネット上の外部情報源を巡回し定期的に所定の情報を収集するほか、関連するキーワードによって通信ネットワーク上の情報源を検索し、突発的なニュースや気象変動も収集しビッグデータとして蓄積する。
【0033】
制御指示スケジュール管理部14は、一般的な電力供給サービスや発電サービス、電力調達、蓄電設備における充放電、分配給電、低減期間を計画して電力調整(バランシング)などの制御スケジュールを管理するモジュールである。この制御指示スケジュール管理部14には、データ取得部12から入力される現在の給電状況や、外部情報(電力市場における価格変動、気象情報その他の外部環境情報等)が入力され、これらの情報に基づいて需要予測部16が予測した電力需給に基づいて、各充電ステーション4への分配給電、蓄電設備における充放電、低減期間を計画するなどの電力調整、その他の電力調達のスケジュールを作成し管理する。ここで、低減期間による電力調整とは、充電を行っている間に間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成することで給電または充電量を調整する処理である。
【0034】
給電制御部15は、需要予測部16による予測に基づいた制御スケジュールに従って、充電装置43に対する給電若しくは車両7への充電を制御するモジュールである。給電制御部15は、制御指示スケジュール管理部14による制御に従って、各充電ステーション4の充電装置43の駆動を制御する。
【0035】
実績情報解析部17は、各充電ステーション4に備えられたスマートメータ41から実績データを取得して解析することにより、各ステーション内で消費された電力量を算定するモジュールであり、この実績情報解析部17による解析結果は、需要予測部16に入力され、制御スケジュールの生成の用に供される。
【0036】
需要予測部16は、データ取得部12が記録した情報に基づいて充電装置43ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測するモジュールであり、具体的に需要予測部16は、過去の電力の需給と外部情報との相関を分析して、将来発生する電力需給を予測する。この予測は、データ取得部12が収集した外部情報と、過去の電力需要の変化をビッグデータとして解析対象とし、ディープラーニング等のAI(人工知能)の機械学習機能を用いて、解析対象中の特徴点を集積し、特徴点の共通性に基づいて各情報間の相関(傾向)を抽出して、現在の市況情報と合致する特徴点の共通性から将来の電力需要の予測をする。
【0037】
(電力供給源における電力取引システムの構成)
本実施形態では、上述した電力供給源3においては、太陽光発電所や風力発電所、電力プロシューマ、その他発電設備を備えた需要家などが発電した電力のうち、売電可能な余剰電力に対して、電力方式や電力量に応じたトークンを発行し、トークンとして電力を取引できるようになっている。このトークンは、トークン取引プラットフォームの各種トークンプールに蓄積され、トークン取引の用に供されたり、精算して換金したりキャッシュバック等に利用したりできる。
【0038】
詳述すると、売電可能な余剰電力に対してその発電量に応じた電力取引トークンを発行するとともに、この電力取引トークンとともに、各電力の発電方式や蓄電方式の環境に対する貢献度に応じた価値情報である環境価値トークンが発行される。環境価値トークンは、例えば、自家消費の電力量やCO削減量など、環境に対する貢献度に応じて算定されて、発行されるトークンである。また、電力取引トークンとともに、各電力の発電方式や蓄電方式の環境に対する貢献度に応じた価値情報である環境価値トークンが生成されるとともに、電力需要の制御(DR制御)を実施することによる経済効果に応じた余剰電力を生成した対価としての価値情報であるDR制御トークンが生成される。
【0039】
環境価値トークンは、例えば、自家消費の電力量やCO削減量など、環境に対する貢献度に応じて算定されて、発行されるトークンであり、この環境価値トークンは、その状態のままでは、市場取引の対象とはできず換金もできないようになっている。この環境価値トークンは、移転する際に消却され、移転の事実が記述された取引履歴を記録した移転履歴が発行され、発行された移転履歴が譲渡取引の対象となる。消却された環境価値トークンに係る移転履歴は、トークン取引プラットフォームを介して、保証システムであるブロックチェーンに改ざん不能に記録される。
【0040】
特に、本実施形態においてこの環境価値トークンの評価方法の一つとして、発電した電力の方式と、消費又は蓄電した消費した電力に係る発電又は蓄電の種別に基づいて、環境に対する貢献度の高い発電種別による電力を、環境に対する貢献度の高い蓄電種別で蓄電した場合に、その価値を増大させるようにしている。図1に示した例では、太陽光発電などの再利用可能エネルギーにより発電された電力を、運送業者のEVトラックなどの電気自動車用バッテリーに蓄電し、消費したときには、再利用可能エネルギーによる環境貢献と、電気自動車の利用による環境貢献との相乗効果を奏することから、その評価として環境価値トークンを付与したり、その価額を高めたり等の処理を行う。
【0041】
このように発行された電力取引トークンや環境価値トークン、DR制御トークンは、太陽光発電所や風力発電所、DR制御を実施した事業所等に付与され、精算して換金したりキャッシュバック等に利用できることから、各需要家でのエネルギーマネジメントが容易となり、ピークカットなどの最適な計画充電制御が可能となる。
【0042】
本実施形態では、通信ネットワーク10上に構築された電力取引システムを通じて、トークンを利用した電力売買取引の仲介業務を行うサービスが提供されている。上述した給電システムを通じて給電量が調整されたときには、その給電に係る電力の取引は、この電力取引システムを介して行われる。具体的には、この電力取引サービスでは、各施設(発電所、需要家、アグリゲーター等)がそれぞれ備える電力制御端末を通じて、トークン取引プラットフォームにアクセスして電力の売買取引を行う。この電力の売買取引に際しては、電力の価値情報である電力取引トークンと併せて、DR(Demand Respons:電力需要)制御や環境価値に関する価値情報であるDR制御トークン及び環境価値トークンを発行して、これらのトークンを売手と買手との間で取り交わして電力やその付加価値の売買取引を成立させる。
【0043】
これらのトークンは、発電された電力の電力量と発電方式によって電力取引トークンが発行され、売却可能な電力が、その電力と等価の電力取引トークンとしてトークン取引プラットフォームの電力取引トークンプールに蓄積され、これらのトークンプールを通じて売買される。最終的にこの電力取引トークンは、電力を使用(消費)できる権利として需要家等が購入し、その購入した需要家等は、電力取引トークンと等価の電力を使用することができ、実際に電力を消費することによって、その消費された電力と等価の電力取引トークンが消却される。この電力取引トークンは、トークン取引プラットフォームにおける売買取引の需給バランスによって価額が変動される。電力取引トークンには、発電された際に、電力量、発電方式、発電場所、発電時期等の由来情報が紐付けられ、さらに、付加情報として、当該電力取引トークンから派生した環境価値トークン等の関連トークン情報、売買等による移転履歴を含む取引履歴なども関連付けられて保持されている。蓄積された各トークンは、それぞれ独立した仮想通貨として売買取引が可能である。
【0044】
また、発電された電力の電力取引トークンとともに、各電力の発電方式や蓄電方式の環境に対する貢献度に応じた価値情報である環境価値トークンが生成されるとともに、電力需要の制御(DR制御)を実施することによる経済効果に応じた余剰電力を生成した対価としての価値情報であるDR制御トークンが生成される。環境価値トークンは、例えば、自家消費の電力量やCO削減量など、環境に対する貢献度に応じて算定されて、発行されるトークンである。この環境価値トークンは、その状態のままでは、市場取引の対象とはできず換金もできないようになっている。この環境価値トークンは、移転する際に消却され、その移転が実行された日時、及び移転元(所有者ID)並びに移転先(新規の所有者ID)、移転の際の価額(対価量)、その他の取引履歴を記録した移転履歴が発行され、発行された移転履歴が譲渡取引の対象となる。この環境価値トークンの移転履歴には、消却された環境価値トークンの価額、発行元が記録され、譲渡取引による移転先が譲渡の度に取引履歴として追記されるようになっている。ここで、トークンの消却とはその価額を0としたり、秘密鍵を消去或いは不明にして所有者の書換を不能としたアカウントに収納するなど、通貨としての交換価値を消失させる処理を指す。そして、消却された環境トークンに係る移転履歴は、トークン取引プラットフォームを介して、保証システムであるブロックチェーンに改ざん不能に記録される。
【0045】
なお、この環境価値トークンの評価方法の一つとして、発電した電力の方式と、消費又は蓄電した消費した電力に係る発電又は蓄電の種別に基づいて、環境に対する貢献度の高い発電種別による電力を、環境に対する貢献度の高い蓄電種別で蓄電した場合に、その価値を増大させることが挙げられる。例えば、太陽光発電などの再利用可能エネルギーにより発電された電力を、EVトラックなどの電気自動車用バッテリーに蓄電し、消費したときには、再利用可能エネルギーによる環境貢献と、電気自動車の利用による環境貢献との相乗効果をそうすることから、その評価として環境価値トークンを付与したり、その価額を高めたり等の処理を行うことができる。これらの環境に対する貢献度(CO削減量や自家消費量)は、由来情報、その他関連情報としてトークン内に保持されるとともに、仲介サーバー8のトークン管理データベース81a、及びブロックチェーンインターフェース9の各ノードに保持される。
【0046】
また、環境価値トークンは、寄付金等の財源がトークン取引プラットフォームに提供されることにより、その財源の金額に相当する分が、譲渡取引可能な再エネトークンに変換できるようになっている。例えば、企業などから再生可能エネルギーの普及促進のための寄付がなされたときには、トークン取引プラットフォームの環境価値トークンプールに蓄積された環境価値トークンのうち、その寄付の金額に相当する分を再エネトークンに変換するとともに、その変換された分の環境価値トークンを消却する。この再エネトークンは、分配された寄付等の財源と等価の価値を有する仮想通貨として恒久的に取引が可能となる。この再エネトークンは、トークン取引プラットフォームにおける売買取引の需給バランスによって価額が変動される。
【0047】
DR制御トークンは、実績データを解析することによって、例えば、一定の期間にわたって電力を制御させてもらった実績値を算定し、その対価量が定められる。また、一定の期間にわたってピーク時の電力消費を回避(ピークカット)した実績値を算定し、そのピークカットが回避された月の当初に設定された最大電力を下回るときには、電力料金を支払いすぎたこととなることから、払いすぎた電力料金を経済的効果分として、DR制御トークンの対価量を定めるようにしてもよい。これに関する情報は、トークン内に保持されるとともに、仲介サーバー8のトークン管理データベース21a、及びブロックチェーンインターフェースの各ノードに保持される。このDR制御トークンを、DR制御を実施した企業等に発行することで節電分の電力料金をキャッシュバックすることができる。また、DR制御トークンは、支払いすぎた電力料金と等価の価値を有する仮想通貨として恒久的に取引が可能となる。このDR制御トークンも、トークン取引プラットフォームにおける売買取引の需給バランスによって価額が変動される。
【0048】
例えば、発電所や電力プロシューマ、発電設備を備えた需要家、或いはこれらの需要家をとりまとめるアグリゲーターは電力を提供し、発電量に応じた電力取引トークンを取得する。このとき、その電力の発電方式や発電時期(季節や時間帯)による環境に対する貢献度や、DR制御による経済効果に応じて環境価値トークン及びDR制御トークンも取得される。そして、取得した各種トークンは精算することにより換金することができるとともに、各トークンプールにプールすることで他者への売却を行いその対価を受け取ることができる。なお、アグリゲーターは、需要家の電力需要を束ねて集約して効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供する事業者であり、電力会社と需要者の間で、電力の需要と供給のバランスをコントロールするいわゆるDR制御を実施する。アグリゲーターは、DR制御を実施することによりDR制御トークンを取得することができ、精算して換金したりトークンプールに蓄積して売買取引を行うことができる。
【0049】
一方、発電所や電力プロシューマ、発電設備を備えた需要家から供給された電力は、需要先である需要家が電力取引トークンを購入することにより需要家に供給される。この電力の供給はPPS(Power Producer and Supplier:新電力企業)等を介して行うことができる。購入された電力が各需要家で消費されることによりその購入に用いられた電力取引トークンは焼却される。他方、各トークンプールに蓄積された各トークンは、独立した仮想通貨としてブロックチェーンインターフェースサービスを通じて、アグリゲーターやPPS、需要家、企業、その他の取引市場との間で取引することができる。この場合も、各種トークンは精算することにより換金することができるとともに、他者への売却を行いその対価を受け取ることができ、そのトークンが電力取引トークンであればその電力取引トークンに紐付けられた電力供給元から電力の供給を受けることができる。
【0050】
電力取引システムは、トークン取引プラットフォームを提供する仲介サーバー8、電力供給源3の各施設(発電所、PPS、需要家、電力プロシューマ等)に設けられた電力制御端末が通信ネットワーク10で相互に接続されて構成されている。また、通信ネットワーク10上には、電力取引の保証を行うブロックチェーンインターフェースサービスを提供する保証システム9が設けられている。
【0051】
電力制御端末は、例えば、CPUを備えた情報処理端末で構成されており、発電所や各需要家、PPS、電力プロシューマ、アグリゲーター等の各施設の設備を統括的に制御する装置である。この電力制御端末が制御する対象設備としては、需要家や電力プロシューマ等の施設内に配備されたユーザーシステムに含まれるスマートメータ、蓄電池、PV(Photovoltaics:太陽光発電)など、発電や蓄電、電力消費を管理する装置が含まれる。なお、この電力制御端末が制御対象とする各種装置は、必要に応じて省略することができる。例えば、需要家ではその電力消費がスマートメータにより測定されるが、需要家によっては発電設備及び蓄電設備を有するものもあれば、発電設備又は蓄電設備のいずれかの設備を有するもの、或いは発電・蓄電設備のいずれも備えずスマートメータだけが設けられ電力消費のみを行うものもある。また、電力プロシューマも電力消費をする立場にあるが、太陽光発電や蓄電池を備え、電力を供給する側にも位置することができる。
【0052】
仲介サーバー8は、売電側や買電側が電力制御端末を介して電力を取引するのを仲介するコンテンツサーバー装置である。この仲介サーバー8は、トークン取引プラットフォームとして仲介ウェブサイトをオンライン上に提供しており、当該仲介ウェブサイトを通じて売電側、買電側、その他の市場や企業に対して、各種のトークン取引仲介サービスを提供している。
【0053】
そして、この仲介サーバー8に電力制御端末からアクセスすることで、各施設や設備における発電・蓄電・電力消費に応じて各種トークンの取引サービスを利用することができる。このトークン取引サービスでは、例えば、図15に示すように、売手Uaによるトークンの発行及び売却と、電力を消費する側となる買手Ubによるトークンの購入及び消却を管理する。詳述すると、電力制御端末は、仲介サーバー8と連携して、各設備における発電・蓄電・電力消費に基づいて発電データ・蓄電データ及び消費データを生成し、当該電力に関する情報を記載した各種トークンを発行・売買及び消却を実行する。この各種トークンに記述された各情報と、当該トークンの発行・売買及び消却の履歴は、保証システム9によるブロックチェーンインターフェースサービスを通じ、分散台帳システムに改ざん不能な状態で保管される。
【0054】
また、トークン取引プラットフォームにおいて取引可能なトークンは、トークン取引プラットフォームにおける売買取引の需給バランスによって定められた価額によって、相互に等価交換可能であり、また各種トークンは、精算することによって、実際の通貨の他、仮想通貨やポイント、その他の交換価値を有する価値情報に換金することができる。
【0055】
(5)電力取引システムの各装置
(5-1)ユーザーシステム
ユーザーシステムは、各需要家や電力プロシューマが有する電力設備全般であり、電力を消費する単位でもあり発電や蓄電の設備を備える場合がある。発電の設備としては、例えば太陽光発電や風力発電等が挙げられる。このユーザーシステム20には、電力売買部としての電力制御端末と、実績データ生成部としてのスマートメータ41とが含まれる。
【0056】
各ユーザーシステムに設置される電力制御端末は、通信機能やCPUを備えた情報処理端末であり、OS或いはファームウェア、各種アプリケーションソフトをインストールすることにより様々な機能が実装可能であり、本実施形態では、アプリケーションをインストールして実行することによって、電力売買部として機能される。このエージェント用の情報処理端末としては、パーソナルコンピューターの他、例えば、スマートフォンや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、タブレットPCやモバイルコンピューター、携帯電話機が含まれる。
【0057】
(5-2)仲介サーバー8の構成
仲介サーバー8は、電力取引仲介サービスの提供業者が管理運用するサーバー装置であり、電力の売買取引を希望するユーザーは、通信ネットワーク10を通じて仲介サーバー8にアクセスし、この仲介サーバー8が提供するトークン取引プラットフォームを介して、電力に関する取引を実行できる。具体的に仲介サーバー8は、図11に示すように、通信インターフェース83と、認証部82と、電力取引実行部85と、トークン管理データベース81aと、ユーザーデータベース81bと、実績管理データベース81cと、電力取引管理データベース81dと、トークン管理部84、実績データ管理部86と、精算部87とを備えている。
【0058】
通信インターフェース83は、通信ネットワーク10を通じて、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、本実施形態では、本サービスを提供するために各電力制御端末及びスマートメータ41、及び保証システム9に接続されている。
【0059】
認証部82は、電力取引に係るアクセス者の正当性を検証するコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアであり、ユーザーを特定するユーザーIDに基づいて認証処理を実行する。本実施形態では、通信ネットワーク10を通じてアクセス者の端末装置からユーザーID及びパスワードを取得し、ユーザーデータベース81bを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する。
【0060】
電力取引実行部85は、通信ネットワーク10を通じて電力取引の仲介を行うモジュールであり、本実施形態では、約定データ生成部85a及び保証システム連携部85bを備えている。
【0061】
約定データ生成部85aは、売出データD21及び買付データD22に基づいて成立した取引の約定データD1を生成する。詳述すると、電力取引実行部85は、買手Ubにおける需要条件及び売手Uaにおける供給可能条件である売出データD21及び買付データD22を照合して、対応する組合せをマッチングすることで取引を成立させ、図16に示すような、成立した取引の需要条件や供給可能条件である供給元や発電方式、供給可能時期、電力価格などの情報を記述した約定データD1を生成する。
【0062】
保証システム連携部85bは、ネットワーク上の保証システム9に対して、電力取引に関する与信や、セキュリティ管理、取引記録の保管など、電力取引に必要な処理を保証システム9に依頼し、協働して処理を進めるモジュールである。電力取引実行部85は、この保証システム連携部85bを通じて保証システム9と連携をとることによって、各種トークンの授受を管理し、トークンの取得者に関する公開アドレスを追加して、各トークンで証明される各種権利の所有者を変更することにより、各所有権を移転する。
【0063】
トークン管理部84は、各種トークンの生成(発行)、移転、消却を実行し、管理するモジュールであり、電力取引実行部85の保証システム連携部85bと連携して各種トークンの発行、移転又は消却を実行すべく、各種トークン内のデータの更新を行う。具体的にトークン管理部84は、トークン発行部84aと、トークン消却部84bと、トークン移転部84cとを備えている。
【0064】
トークン発行部84aは、ユーザーの要求に応じてユーザーに対して各種コイントークンを発行するモジュールである。例えば、実績データに基づいて、発電設備により売電可能な電力を有するユーザーに対して電力取引トークンを発行したり、また、実績データを解析することによって、発電された電力の電力取引トークンから派生させる形で、各電力の発電方式や蓄電方式の環境に対する貢献度に応じた価値情報である環境価値トークンを生成したり、電力需要の制御(DR制御)を実施することによる経済効果に応じた価値情報であるDR制御トークンを生成する。
【0065】
本実施形態においてトークン発行部84aは、実績データに含まれる発電方式によるCO削減量、又は自家消費量に基づいて環境価値トークンを発行する。例えば、トークン発行部84aは、実績データに含まれる発電方式が太陽光発電や風力発電などの再利用可能エネルギーによるものである場合には、その発電方式による発電量と、その発電方式によって削減されるCOの量との対応関係を一覧としたCO削減テーブルデータを保持しており、実績データに含まれる発電量に基づいてCO削減テーブルデータを参照して、環境価値トークンの価額や数量を決定し、決定された価額又は数量の環境価値トークンを発行する。発行された環境価値トークンは、実績データに含まれる発電者の所有として環境価値トークンプールに蓄積される。
【0066】
また、例えば、トークン発行部84aは、実績データに含まれる発電方式が太陽光発電や風力発電などの再利用可能エネルギーによるものである場合であって、その電力を自家消費しているときには、その自家消費によって削減されるCO量や、送配電による損失エネルギーとの対応関係を一覧とした自家消費テーブルデータを保持しており、実績データに含まれる自家消費量に基づいて自家消費テーブルデータを参照して、環境価値トークンの価額や数量を決定し、決定された価額又は数量の環境価値トークンを発行する。発行された環境価値トークンは、実績データに含まれる自家消費したユーザーの所有として環境価値トークンプールに蓄積される。
【0067】
さらに、本実施形態にかかるトークン発行部84aは、寄付金の金額を取得し、環境価値トークンのうち、取得された金額に相当する分を、取引可能な再エネトークンに変換し、変換された分の環境価値トークンを消却する再エネトークン発行部としての機能も果たしている。具体的には、トークン発行部84aに対して、寄付金等の金額と、寄付の対象となる発電方式とを検索条件として入力し、この検索条件に該当する発電方式の環境価値トークンをトークン管理データベース81a中の環境価値トークンプールを検索する。そして、トークン発行部84aは、該当する環境価値トークンを抽出し、入力された寄付金の額を該当する環境価値トークンの数量で分配し、分配された金額に相当する価額分の環境価値トークンを再エネトークンに変換し、変換された再エネトークンは、元の環境価値トークンの所有者のものとして発行され、発行された再エネトークンは、元の環境価値トークンの所有者であるユーザーの所有として再エネトークンプールに蓄積される。
【0068】
トークン消却部84bは、実績データD3に基づいて電力取引トークンを消却したり、移転要求に係る環境価値トークンを消却するモジュールである。ここで、トークンの消却とはその価額を0としたり、秘密鍵を消去或いは不明にして所有者の書換を不能としたアカウントに収納するなど、通貨としての交換価値を消失させる処理を指す。
【0069】
トークン移転部84cは、各トークンの所有権を書き換えることにより、トークンの譲受を制御するモジュールであり、本実施形態では、この書換にはブロックチェーンインターフェースサービスを用いる。このトークンの移転は、その移転を指示する移転要求に基づいて実行される。この移転要求は、例えば電力取引実行部85などにおいてトークンの売買が成立した際に電力取引実行部85から入力されたり、各ユーザーによる操作によって電力制御端末から直接入力されるデータであり、移転の対象となるトークンの種別や、移転元及び移転先に関するアカウント情報、その数量が含まれる。
【0070】
特に、トークン移転部84cは、入力された移転要求が、電力取引トークン又は環境価値トークンの移転を要求するものである場合、移転要求の対象が電力取引トークンであるときには要求に係る電力取引トークンを移転し、移転要求の対象が環境価値トークンであるときには要求に係る環境価値トークンをトークン消却部84bに消却させ、消却した環境価値トークンに係る移転要求に含まれる移転に関する情報を移転履歴として生成する機能を有している。この消却された環境トークンに係る移転履歴は、トークン取引プラットフォームを介して、保証システムであるブロックチェーンに改ざん不能に記録される。
【0071】
トークン管理データベース81aは、発行されたり消却されたりしたトークンに関する情報を蓄積する記憶装置であり、各トークンの所有者と、その種別、及び価額若しくは数量とを紐付けて蓄積する。各種トークンは、その種別に応じて、電力取引トークンプール、環境価値トークンプール、DR制御トークンプール、及び再エネトークンプールとして分類されて蓄積される。また、各トークンに関する取引履歴等の関連情報も、各トークンに紐付けられて記録される。例えば、環境価値トークンを移転する際に発行される移転履歴も、移転されて価額が0とされた変換元の環境価値トークンと紐付けられて記録されている。
【0072】
ユーザーデータベース81bは、各需要家のユーザーや、アグリゲーター等の業者に関する情報を蓄積する記憶装置である。なお、本実施形態において、ユーザー本人を特定する個人情報はユーザーデータベース81bには蓄積されておらず、各入居者・各ユーザーを識別する公開アカウント情報のみが格納されている。電力取引に必要な信用情報は、各入居者に属している公開アカウントに関する与信を保証システム9に対して要求し、それに対する応答内容で評価される。
【0073】
実績管理データベース81cは、発電所や需要家、アグリゲーター等の電力の授受に関係する者による実績データを収集し蓄積して管理する記憶装置である。各スマートメーターから受信した各実績データは、この実績管理データベースに蓄積され、トークン発行や消却、価値評価の用に供される。電力取引管理データベース81dは、トークンの取引実績を記録する記憶装置である。
【0074】
これら各データベース81a~dに蓄積されたデータの少なくとも一部は、保証システム連携部85bを通じて保証システム9に記録される。保証システム9は、各データベース81a~dに蓄積されたデータの少なくとも一部を、ノードにおいて、所定のタイミングで集約してブロック化し、ブロックを用いてブロックチェーンを形成し、このブロックチェーンを複数のノードで共有させて分散台帳として記憶させる。
【0075】
実績データ管理部86は、各ユーザーシステムから実績データを収集し、解析することによって、発行すべきトークンの種別や数量を算定するモジュールであり、この実績データ管理部86による解析結果は、トークン管理部84に入力され、トークンの発行や消却の用に供される。具体的に、実績データ管理部86は、価値評価部86aと、故障判定部86bとを備えている。
【0076】
価値評価部86aは、実績データに含まれる、各ユーザーが各電力使用期間中に発電又は消費した電力量の測定値や、発電方法及び発電したユーザーを示す発電データ、若しくは蓄電量及びその蓄電期間に関する蓄電データを解析する。トークン管理部84では、この価値評価部86aによる解析結果に基づいて、電力取引トークンを発行又は消却したり、電力取引トークン及び環境価値トークンを発行する。また、トークン発行部84aは、価値評価部86aによる発電データ又は蓄電データを含む実績データの解析結果に基づいて、環境価値トークン、又は余剰電力を生成した対価としての電力需要制御トークンを発行する。
【0077】
さらに、実績データには、消費した電力に係る発電又は蓄電の種別が含まれており、価値評価部86aは、実績データを解析して、環境に対する貢献度の高い発電種別による電力を、環境に対する貢献度の高い蓄電種別で蓄電した状態を抽出し、その電力量や時間帯を算出し、価値を評価する。トークン発行部84aは、この価値評価部86aによる実績データの解析結果に基づいて、環境に対する貢献度の高い発電種別による電力を、環境に対する貢献度の高い蓄電種別で蓄電した場合に、環境価値トークンの価値を増大させる。
【0078】
故障判定部86bは、実績データに含まれる、各ユーザーが各電力使用期間中に発電又は消費した電力量を解析して、その解析結果に基づいて、ユーザーシステム内における故障の発生を判定するモジュールである。この故障判定部86bによる判定結果は、トークン取引プラットフォームを介して、保証システムであるブロックチェーンに改ざん不能に記録される。
【0079】
精算部87は、各種トークンの時価に応じて換金するモジュールであり、各種トークンの時価に関する情報をネットワーク上から取得し、精算することによって、実際の通貨の他、仮想通貨やポイント、その他の交換価値を有する価値情報に換金する。また、精算部87は、図16に示すような、各ユーザーが各電力使用期間中に発電又は使用した電力量と当該電力量に係る対価量との確定値を含む確定データを生成又は取得し、その確定データに基づいて各ユーザーが支払い又は受け取る対価を精算する機能も備える。
【0080】
(5-3)保証システム9の構成
上述したように本実施形態では、各種トークンを介して電力取引を行う売電側と買電側の電力制御端末間に配置され、電力取引及びトークン取引の保証を行う保証システム9が設けられている。具体的に、保証システム9は、図7に示すように、通信インターフェース93と、認証部92と、トークン取引実行部94と、トークン取引履歴データベース91aと、鍵情報データベース91bと、アカウントデータベース91cとを備えている。
【0081】
通信インターフェース93は、通信ネットワーク10を通じて、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、本実施形態では、各仲介サーバー8や各電力制御端末に接続されている。認証部92は、アクセス者の正当性を検証するコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアであり、各ユーザーを特定するユーザーIDに基づいて認証処理を実行する。本実施形態では、通信ネットワーク10を通じてアクセス者の電力制御端末から、ユーザー固有の公開アドレスや公開鍵、ユーザーID及びパスワード等を取得し、鍵情報データベース91bを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する。
【0082】
トークン取引実行部94は、電力を販売する権利又は消費する権利を仮想コインとしてトークン化する電力取引トークン、各電力の発電方式や蓄電方式に由来する付加価値であって電力取引トークンから派生される環境トークン或いはDRトークンを取り扱うモジュールである。これら各種トークンは、各その正当な所有者の公開アカウントに紐付けられ、公開アカウントの関係を提示することでそのトークンの正当な権利者であることを証明することができ、また、正当な権利者でなければ、当該トークンについて譲渡等の移転手続を実行することができないようになっている。本実施形態において、トークン取引実行部94は、保証システム連携機能と、公開アドレス管理部94bと、正当性検証部94cと、データ更新部94dとを備える。
【0083】
保証システム連携機能は、電力取引に関する与信や、セキュリティ管理、取引記録、サービス履歴の保管など、トークン取引に関する処理を他のサービス機関の装置、例えば上記仲介サーバー8から依頼され、これらの各装置と協働して処理を進めるモジュールである。また、本実施形態では、保証システム連携機能は、各種トークンの取引値等の情報を仲介サーバー8側に提供する。
【0084】
公開アドレス管理部94bは、公開鍵暗号方式における公開鍵から生成されて特定のユーザーを識別するための公開アドレス、及び前記公開鍵とペアとなって公開鍵を特定可能な秘密鍵であって、公開アドレスを介した電力取引の電子署名に利用される秘密鍵を発行するアドレス発行部として機能し、これらの発行された公開アドレス及びそれに関する鍵情報については、鍵情報データベース91bに蓄積される。
【0085】
正当性検証部94cは、トークン取引或いは電力取引に係る各種トークンが、正当な取引を経て現在の所有者に属していることや、改ざんされていないことを検証するモジュールであり、公開アカウントに紐付けられた現所有者の公開鍵により、そのトークンの正当性を確認することができるとともに、そのトークンに係る全ての取引をトークン取引履歴データベース91aに蓄積しており、公開鍵に基づいてトークン取引履歴データベース91aを照合して、その正当性を確認できるようになっている。
【0086】
データ更新部94dは、各種トークンに係る電力情報を取得し、新しいトークン所有者に関する公開アドレスを追加して、分散台帳で証明されるトークン所有者を変更することにより、トークンの所有権を移転するモジュールである。このデータ更新部94dによるデータの更新は、高度なセキュリティにより保護されており、二重譲渡や取引履歴の改ざんが強固に防御されるようになっている。
【0087】
(給電時の動作)
図4に示すように、先ず、対象蓄電装置71ごとに、車両7への充電を行った時刻、所要時間及び電力量、並びに充電された対象蓄電装置71の蓄電量の変化をデータ取得部12が記録し、各時間帯毎の過去の実績データ(実績情報)を電力設備ごとに集計するデータ取得ステップを行う(S101)。
【0088】
ステップS101では、各充電装置43において、車両7に対応する充電装置43を検出する。ここで対象となる充電装置43とは、未充電車両である車両7の充電に用いられる充電装置43であり、具体的には未充電車両と接続された充電装置43である。分配給電装置制御ユニット22は、複数の充電装置43のうち、充電開始制御処理の実行契機となった新規接続確認信号を送信した充電装置43を対象充電装置と判定する。
【0089】
その後、分配給電装置制御ユニット22は、未充電車両の車種を確認する。具体的には、例えば、未充電車両の車両制御ユニット73は、対象充電装置の充電装置制御ユニット43bに向けて、自身の車種情報を送信し、対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、その車種情報を分配給電装置制御ユニット22に送信する。分配給電装置制御ユニット22は、未充電車両(車両7)の車種情報に基づいて、未充電車両の車種を特定する。なお、車両7の車種情報は、車種を特定することができれば、その具体的な内容は任意である。
【0090】
これと併せて、分配給電装置制御ユニット22は、当該分配給電装置制御ユニット22に記憶された電池容量データを参照して、未充電車両の対象蓄電装置71の電池容量及び蓄電残量を導出する。この電池容量データとは、車両7の車種情報と、対象蓄電装置71の電池容量と蓄電残量が対応付けられて設定されたデータである。分配給電装置制御ユニット22は、電池容量データを参照することにより、今回の未充電車両に対応する電池容量及び蓄電残量を導出する。なお、電池容量とは、対象蓄電装置71の最大蓄電量であり、車種ごとに予め定められた設計値であり、蓄電残量は対象蓄電装置71に残っている電力量である。
【0091】
次いで、データ取得部12が記録した情報の集計結果に基づいて、需要予測部16によって充電装置43ごとの充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測し、電力需要の予測値を充電装置毎に算出する需要予測ステップを行う(S102)。
【0092】
具体的にこの需要予測ステップ(S102)では、データ取得部12が収集した実績データを解析して、図5に示すように、各時間帯における消費電力の単位計測期間毎の予測消費電力と、実際の消費電力が予測消費電力となる単位計測期間毎の信頼度とを、各充電装置について需要単位毎に算出する(S201)。
【0093】
次いで、充電装置の負荷値から単位時間あたりの標準偏差を算出する(S202)。具体的には、充電装置の負荷値を基準に契約電力を上限とした充放電可能電力値帯を、信頼度に応じてランク分けし、累積された過去データに基づいて機械学習によりモデルを構築する。そのモデルおよび天候など外部条件により単位時間あたりの標準偏差を算出する(S202)。
【0094】
そして、算出した予測値及び標準偏差からの信頼度のランクに基づいて、必要調整量を充電装置毎に設定する(S203)。この必要調整量の設定では、同一の消費電力が継続する時間長に基づいて累積される電力量を、それぞれの消費電力、時間帯及び時間長を変化させて定義し、定義された時間帯及び時間長に含まれる単位計測期間毎の予測消費電力及び信頼度とに基づいて、最適な消費電力量、時間帯及び時間長を算出し、その最適な消費電力量を超える電力量を必要調整量として設定する。この設定された必要調整量に基づいて各充電装置毎の充電スケジュールを生成する(S204)。この充電スケジュールには、必要調整量及びその信頼度のランクに応じて、各充電装置が充電を行っている間に間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成して充電速度(単位時間当たりの充電量)を調整するように給電または充電量がスケジューリングされている。
【0095】
図4に戻り、需要予測ステップで算出された予測値に基づいて生成された充電スケジュールに従って、給電制御部15が充電装置43に対する給電若しくは車両7への充電を制御する給電制御ステップを行う(S103)。この給電制御ステップにおいて給電制御部15は、算出した予測値に基づいて、充電を行っている間に間欠的に給電量を減少させる低減期間を形成して充電速度(単位時間当たりの充電量)を調整するように、給電または充電量を制御する。
【0096】
なお、ステップS103において分配給電装置制御ユニット22は、現在の状況において車両7が供給可能な電力量である供給可能電力量を参照する。詳細には、分配給電装置制御ユニット22は、現在の電力供給源3の充電状態と、電力供給源3から供給可能な電力量を参照する。
【0097】
その後、このように給電または充電を実施しつつ、各充電装置ごとの充電結果を実績情報として記録する(S104)。具体的には、分配給電装置制御ユニット22が、未充電車両の充電を開始させる。詳細には、分配給電装置制御ユニット22は、分配給電装置2から未充電車両の充電に用いられる対象充電装置に向けて交流電力が分配され、対象充電装置から未充電車両への給電が行われるようにする。このとき、分配給電装置制御ユニット22は、対象充電装置の充電装置制御ユニット43bに対して充電開始指令を送信する。対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、充電装置通信部43dによって上記充電開始指令が受信されたことに基づいて、対象充電装置の給電スイッチ43aを、OFF状態からON状態に切り替える。これにより、分配給電装置2からの交流電力が未充電車両に供給される。
【0098】
なお、対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、対象充電装置の給電スイッチ43aを、OFF状態からON状態に切り替えることに基づいて、充電中である旨の報知が行われるように対象充電装置の充電装置報知部43cを制御する。一方、分配給電装置制御ユニット22は、給電可能電力量が未充電車両の電池容量以下である場合には、充電を行わないことに対応した処理を実行する。具体的には、分配給電装置制御ユニット22が、充電ができない旨の報知である充電不可報知が行われるように分配給電装置報知部26を制御する。また、分配給電装置制御ユニット22は、分配給電装置通信部23を用いて、対象充電装置の充電装置制御ユニット43bに、充電不可通知を送信する。
【0099】
対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、充電装置通信部43dによって上記充電不可通知が受信されたことに基づいて、対象充電装置の給電スイッチ43aをOFF状態に維持するとともに、充電不可報知が行われるように対象充電装置の充電装置報知部43cを制御する。そして、分配給電装置制御ユニット22は、無線通信部25を用いた給電可能配信を停止する配信停止処理を実行する。
【0100】
対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、未充電車両の充電が開始された場合、予め定められた充電終了条件が成立しているか否かを定期的に判定する。充電終了条件は任意であるが、例えば未充電車両の対象蓄電装置71の充電状態が満充電状態となったことや、充電装置43に充電停止ボタンが設けられている構成においては対象充電装置の充電停止ボタンが操作されたこと等が考えられる。対象充電装置の充電装置制御ユニット43bは、充電終了条件が成立したことに基づいて、対象充電装置の給電スイッチ43aを、ON状態からOFF状態に切り替える。これにより、充電対象となった車両7の充電が終了する。
【0101】
ここで、分配給電装置制御ユニット22は、充電対象となった車両7の充電が終了したことに基づいて、充電終了対応処理を実行する。当該充電終了対応処理について以下に詳細に説明する。
【0102】
分配給電装置制御ユニット22は、まずステップS301にて、今回の充電対象となった車両7の充電に使用された使用電力量を把握する。なお、使用電力量の把握態様は任意であるが、例えば車両7の対象蓄電装置71に流れる電流を検出する電流センサ等が設けられている構成においては、分配給電装置制御ユニット22は、当該電流センサの検出結果から使用電力量を算出する構成が考えられる。そして、分配給電装置制御ユニット22は、給電可能電力量を更新する。分配給電装置制御ユニット22は、更新前の給電可能電力量から使用電力量を差し引いた値を、新たな給電可能電力量とする。
【0103】
次いで、分配給電装置制御ユニット22は、車両7の充電を行った履歴である充電履歴を更新する。充電履歴には、例えば充電対象となった車両7ごとの使用電力量に関する情報が含まれる。すなわち、分配給電装置制御ユニット22は、車両7の充電が行われた度に、当該車両7の充電に要した使用電力量を記憶しておく。
【0104】
(トークン移転取引時の動作)
ここで、上記仲介サーバー8におけるトークン移転処理について詳述する。図13は本実施形態にかかる電力取引システムの移転時における処理手順を例示するフロー図であり、図14は本実施形態に係る公開鍵と秘密鍵との関係を例示する。
【0105】
本実施形態では、トークン移転処理及びトークン移転に関するアカウント処理を、本実施形態に係る分散台帳システムの仕組みを利用している。ここでは、トークン取引プラットフォームを通じて、売手Uaが新規の買手Ubに対し、電力取引トークンを販売する場合を例に説明する。この電力売買取引には、図13に示すように、公開アドレス及び秘密鍵の発行ステップS401と、関連するサービス履歴情報の登録処理ステップS402と、権利移転処理の実行ステップS403とが含まれる。
【0106】
先ず、ステップS401において、仲介サーバー8では、公開アドレス管理部94bがアドレス発行部として機能し、この公開アドレス管理部94bがトークン取引プラットフォームに固有の公開アドレスPA3と、この取引用公開アドレスPA3に対応する秘密鍵SK3とのペアを発行している。具体的には、図14に例示されるように、仲介サーバー8は、乱数発生器等を用いて、トークン取引プラットフォームに固有の公開アドレスに対応付けられた秘密鍵SK3を公開鍵暗号方式で生成する。乱数発生器は、例えば、プログラムとして公開アドレス管理部94bに内蔵させていてもよい。この秘密鍵SK3は、上述のとおり、ペアとなる取引用公開アドレスPA3を電力移転元とする取引(ここでは、トークン取引プラットフォームから買手Ubへの販売)の電子署名に利用される。
【0107】
次に、仲介サーバー8は、例えば、楕円曲線DSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm, ESDSA)等の電子署名のアルゴリズムに基づいて、秘密鍵SK3から公開鍵PK3を生成する。生成される公開鍵PK3と秘密鍵SK3とは公開鍵暗号方式における鍵ペアとなり、この公開鍵暗号方式の性質上、秘密鍵SK3から公開鍵PK3を生成することは可能であるものの、公開鍵PK3から秘密鍵SK3を生成することは計算量の観点から不可能に構成される。すなわち、公開鍵PK3から秘密鍵SK3を特定することはできないが、秘密鍵SK3から公開鍵PK3を特定することはできる。なお、利用する電子署名のアルゴリズムの種類は楕円曲線DSAに限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
【0108】
続いて、仲介サーバー8は、SHA-259、RIPEMD-190等の一方向ハッシュ関数を公開鍵PK3に適用することで、公開鍵PK3から取引用公開アドレスPA3を生成する。例えば、仲介サーバー8は、SHA-259を公開鍵PK3に2回適用することによって、取引用公開アドレスPA3を生成することができる。すなわち、この取引用公開アドレスPA3は、上述したトランザクションの署名に利用される公開鍵のハッシュ値であり、トークンの移転先及び移転元を識別するために利用される。なお、取引用公開アドレスPA3の生成には一方向ハッシュ関数を利用するため、図11に示されるように、公開鍵PK3から取引用公開アドレスPA3を生成することは可能であるものの、取引用公開アドレスPA3から公開鍵PK3を生成することは不可能に構成される。
【0109】
次のステップS402では、売電元である売手Uaが電力トークン取引プラットフォームに提供されたサービスの履歴など、各トークンに関連付けられる取引履歴データを、ステップS401で生成された取引用公開アドレスPA3に紐付けてノードへの記録を行う。具体的には、図10に例示されるように、仲介サーバー8で取得された実績データなどが取引用公開アドレスPA3に紐付けられて公開される。この実績データは、取引用公開アドレスPA3に関する公開鍵PK3を入手したものであれば、自由に閲覧ができるようになっている。この結果、その電力が由来する発電方法や発電箇所等の履歴や取引履歴に不正があったり、改ざんされたり等の不正行為に対する検証が誰でも行えるようになる。
【0110】
その後、ステップS403では、仲介サーバー8は、所定の電力移転条件に従って、ステップS401で生成した取引用公開アドレスPA3に対する権利移転の取引を行う。そして、当該移転が完了すると、仲介サーバー8は、本動作例に係る処理を終了する。ここで、本実施形態に係る各種トークンのやり取りには、電力制御端末等上で実行されるアプリケーションが用いられる。そのため、図10では、仲介サーバー8の公開アドレス管理部94bにも、トークン取引の仕組みを実行するアプリケーションがインストールされており、このアプリケーションによって、プラットフォームが管理するプール用公開アドレスが制御されている。
【0111】
電力トークンが、売手Uaに属している間は、トークンは、売手Uaの電力制御端末において、売手Ua固有の公開アドレスPAaはペアとなる秘密鍵SKaと対応付けられており、トークン取引プラットフォームにおいて、移転手続が取られる際に、売手Uaは、電力制御端末を用いて、公開アドレスPAa(移転元)から、ステップS401で電力取引業者が生成した取引用公開アドレスPA3(移転先)にトークンを一時的に移転させてプールすることができる。
【0112】
これに対して、新たに電力の購入を希望する買手Ubは、図15に例示されるように、自身の電力制御端末を用いて、電力取引トークンが紐付けられている公開鍵PK3を入手し、当該買手Ubは、トークン取引プラットフォームの取引用公開アドレスPA3に紐付けられた電力に関する発電データや取引経過情報や、関連する電力別履歴を閲覧することができる。
【0113】
具体的には、買手Ubの電力制御端末にもアプリケーションがインストールされており、このアプリケーションによって、買手Ubの保有する公開アドレスPAbが管理されている。公開アドレスPAbには自己の秘密鍵SKbが対応付けられており、これによって、自己の公開アドレスPAbからトークンを、さらに他人に移転することができる。つまり、各秘密鍵SKbによって、買手Ubは、公開アドレスPAbに格納されたトークンやその取引履歴を自在に利用することができる。ここでは、買手Ubが、電力制御端末においてアプリケーションを利用して、電力固有の取引用公開アドレスPA3から公開アドレスPAbに移転されたトークンを受け取る。
【0114】
(保証システムの動作)
ここで、上述した保証システムで採用している分散台帳システムの仕組みについて詳述する。本実施形態において保証システム9は、ブロックチェーンインターフェースサービスを提供しており、このサービスでは、各ユーザーシステム或いは仲介サーバー8が生成したデータの少なくとも一部又は全部を記憶する複数のノードを備え、これらのノードは、記憶したデータを所定のタイミングで集約してブロック化し、該ブロックを用いてブロックチェーンを形成し、該ブロックチェーンを複数の前記ノードで共有して分散台帳として記憶する。
【0115】
具体的には、図15に示すように、本実施形態に係る電力取引システムは、各種トークン発行・移転・消却にあたり、保証システム9を通じて、公開鍵暗号方式に基づく公開鍵PKaと秘密鍵SKaとの鍵ペアを発行するとともに、発行したトークンに対応する公開鍵PKaから公開アドレスPAaを生成する。この公開アドレスPAaは、電力取引契約における譲受人(買手Ub)及び譲渡人(売手Ua)を示すアドレスとして活用される一方、秘密鍵SKaは、公開アドレスPAaを移転元とする取引の電子署名に利用される。
【0116】
本実施形態に係る電力取引はP2P(Peer-to-Peer)ネットワーク90上の2つのノード間で行われ(ここでは、売手Ua及び買手Ub間)、その取引情報はP2Pネットワーク90内の各ノード90a~90fにブロードキャストされて共有される。これにより、P2Pネットワーク90上において、分散台帳システムによる取引履歴データベース(いわゆるブロックチェーン)が形成され、各種トークン及び電力取引の取引履歴が保存される。
【0117】
本実施形態では、この分散台帳システムによる取引履歴データベースは、仲介サーバー8を通じて、各種トークンの所有者の書き換えを行う際に、電力取引契約の実行、承認及び管理を実施する。電力取引の仲介人(各電力制御端末)は、売手Uaと買手Ubの間で取引の仲介をするために、トークン取引プラットフォーム(仲介サーバー8)に固有の取引用公開アドレスPA3を生成して、取引対象となっているトークンが、トークン取引プラットフォームのトークンプールに一時的に預けられているとして、トークンの移転の中継を行う。
【0118】
そして、取引の当事者(売手Ua及び買手Ub)は、電力取引システムを利用して、現在の売手Uaから、トークン取引プラットフォーム固有の取引用公開アドレスPA3へトークンを移転させることで一旦受領し、さらに取引用公開アドレスPA3を介して、新たな買手Ubに対して移転させることで、売手Uaと買手Ubとの間における電力トークン取引プラットフォームの売買契約を成立させる。
【0119】
これにより、譲受人である買手Ubは、トークンを自分の公開アドレスPAbで受領することができ、この取引用公開アドレスPA3に紐付けられたサービス履歴の閲覧や、サービスの利用が可能になる。なお、この公開アドレスの発行は、仲介サーバー8が行ってもよく、各取引ユーザー端末上のソフトウェアや、独立したサービス管理機関や金融機関のサーバーで行うこともできる。
【0120】
ここで、この電子暗号通貨の取引の詳細な仕組みについて具体的に説明する。各トークンの発行・移転・消却に関する取引履歴が、一連の電子署名の連鎖として定義される。この各トークンの所有者は、次の所有者にその取引履歴を移転する場合に、直前の取引のハッシュ値と、次の所有者に係る公開鍵のハッシュ値とを自身の秘密鍵で電子署名したものをトークンの取引履歴に追加する。なお、これらのハッシュ値の計算には、例えば、SHA-259、RIPEMD-190等の一方向ハッシュ関数が用いられる。
【0121】
各種トークンは一連の電子署名の連鎖として定義することができる。ここで、公開鍵のハッシュ値は公開アドレスである。すなわち、この公開アドレスに保管されるトークン等を移転できるのは、この公開アドレスを移転元とする電力取引の電子署名を行える者、すなわち、この公開アドレスに対応する秘密鍵を有する者に限られる。そのため、秘密鍵は、一般的には、所有者以外に漏えいしないように秘匿される。なお、トークンやそれに関する取引履歴等のデータは、現在の所有者に紐付けられた公開アドレスに保管される。また、この電子署名だけでは、このトークンの過去における所有者のうちの誰かが当該トークンを多重使用(多重譲渡)していることを検証することはできないことから、本実施形態に係るトークン取引の仕組みでは、ブロックチェーンという仕組みを用いて、この多重使用を防止している。
【0122】
トークン等に記録される各ブロックは、複数のトランザクションとNonceと直前のブロックのハッシュ値とを格納している。Nonceは暗号通信で用いられる使い捨てのランダムな値であり、ノード(マイナー)90a~90fのうち、この値を最初に発見したノード(マイナー)が、承認者として、Nonceを発見したブロックをブロックチェーンの末尾に追加することでブロックチェーンの更新を行う。これにより、ブロックチェーンには一貫した取引履歴が記録されることになり、このブロックチェーンをP2Pネットワーク90に参加するノード90a~90f全体で共有することで、一貫した取引履歴をP2Pネットワーク90全体で共有することができる。すなわち、このブロックチェーンが、上述した保証システム9におけるトークン取引履歴データベース91a及び鍵情報データベース91bの一部又は全部を担うこととなる。本実施形態において、公開鍵暗号方式に基づく電力取引では、このような仕組みによって各種トークンの取引が行われる。
【0123】
(変更例)
なお、以上説明した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0124】
例えば、上述したデータ取得ステップ(図4におけるステップS101)においてデータ取得部12によって各車両のレンタカーやカーシェアリング等の運行スケジュールを収集し、需要予測ステップ(同図ステップS102)において収集された運行スケジュールに基づいて需要予測部16が予測を行うようにしてもよい。この場合、上記運行スケジュールには、複数のユーザーが共有して使用するシェアリング用車両の出発地、出発時刻、目的地及び到着時刻に関する情報が保持され、需要予測部16は、運行スケジュールに基づいて、充電に適した充電装置を特定し、特定された充電装置において充電に要する電力及び充電を行うべき時間帯を予測する。
【0125】
詳述すると、図7に示すように、本変更例では、上述した給電システムの電力管理装置1と連携する機能を有するレンタカー管理システムが設けられている。このレンタカー管理システムは、レンタカーサービスに係る自動車の運用を管理するシステムである。このレンタカー管理システムは、レンタカーの運用に関する情報を蓄積し、通信ネットワーク10を通じて利用状況に関する情報を閲覧可能に提供する車両管理サーバ5と、レンタカーに用いられる車両に搭載される車載端末6とから概略構成される。
【0126】
車両管理サーバ5は、自動車の貸渡しに関する情報を蓄積したデータベースサーバや、この貸渡しに関する情報を配信するWebサーバなど、複数のサーバ群から構成される。各サーバ装置の機能は、各種情報処理を実行するサーバコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアで実現される。
【0127】
ここで、Webサーバとしては、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、HTML文書や画像などの貸渡しに関する情報を蓄積しておき、車載端末6からの要求に応じて、通信ネットワーク10を通じて、レンタカーに関する情報を送信する。
【0128】
車載端末6は、カーナビゲーションシステムなどの機能とともに、通信機能によってサーバーとデータ送受信を行うなどの機能を備え、車両内のインストルメントパネル等に固定された装置であり、自動車の現在位置及びその変位を測定し、電子的に自動車の走行時に現在位置や目的地への経路案内を行う機能を有する電子機器である。なお、この車載装置としては、車両内に固定された装置に限らず、例えば、スマートフォンや携帯電話機、タブレットPC、モバイルコンピューターのように、無線通信を利用した携帯可能な情報端末装置としてもよい。この車載端末6は、GPS等で現在位置を取得するとともに、無線基地局10a等の中継点と無線で通信し、データ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、5G方式やLTE方式、3G方式、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMAのほか、PHS(Personal Handyphone System)方式、公衆無線LAN方式等が挙げられる。
【0129】
目的地Dは、車両7の最終移動目的地であり、例えば、自動車を管理するレンタカー会社の営業所や、レンタカー会社と駐車スペースの利用契約を結んだ駐車場又はコンビニエンスストア、カーシェアリングの車両受け渡し場所等が挙げられ、敷地内に所定数の駐車スペースが確保されている。
【0130】
無線基地局10aは通信ネットワーク10に接続され、車載端末6との間で無線通信接続を確立し、車載端末6によるデータ通信を提供する装置である。なお、無線基地局10aには中継装置などの通信ネットワーク10に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置が含まれており、この中継装置によって通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局10aと、通信ネットワーク10との間における中継処理を行う。
【0131】
(各装置の機能モジュール)
次いで、各装置の内部構成について詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る車載端末6の内部構成を示すブロック図であり、図9は、本実施形態に係る車両管理サーバ5の内部構成を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0132】
(1)車載端末6
車載端末6は、図8に示すように、ユーザーインターフェース系のモジュールとして入力インターフェース62と、出力インターフェース63とを備えている。入力インターフェース62は、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスである。出力インターフェース63は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース63には、液晶ディスプレイなどの表示部63aが含まれている。
【0133】
また、車載端末6は、通信系のモジュールとして無線インターフェース61を備えている。この無線インターフェース61は、通話やデータ通信が可能な無線通信インターフェースであり、無線データ通信によるパケットデータの送受信を行うことができる。また、無線インターフェース61には、ブルートゥース(登録商標)方式やUWB(Ultra Wide Band)方式、赤外線などによる近距離無線通信を行うためのデバイスである近距離無線通信部61aも備えている。さらに、無線インターフェース61には、FM多重放送や道路上の発信機から送信されているVICS(登録商標)信号を受信することにより、例えば渋滞や交通規制、駐車場の混雑状況等の交通情報や道路情報をリアルタイムに取得する機能も備えられている。
【0134】
さらに、車載端末6は、位置情報取得部64及びメモリ65を備えている。位置情報取得部64は、自機の現在位置を測定するモジュールであり、例えば、衛星からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、通信相手である基地局の基地局識別子や、この基地局からの信号強度などの電波状況から、車載端末6自身で自機の位置情報を取得することが可能となっている。
【0135】
メモリ65は、各種データを蓄積するための記憶装置であり、制御部67が各部を制御するための制御プログラムや各種の初期設定値、フォントデータ、各辞書データ、ナビゲーション機能を実行するためのナビゲーションプログラム、本実施形態に係るレンタカー管理プログラム、当該自動車を識別する車両IDなどを記憶している。また、メモリ65には、車両管理サーバ5から現在の利用者及び予約者の利用状況に関する情報(ユーザーID及び利用時刻等)を受信して蓄積している。
【0136】
さらに、車載端末6は、アプリケーション実行系のモジュールとして、制御部67と、利用情報送信部66とを備えている。制御部67は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。特に本実施形態の場合、制御部67は、メモリ65のナビゲーションプログラムによって一般的な道案内機能を実行し、また、レンタカー管理プログラムによって、レンタカー返却機能等を実行する。
【0137】
また、制御部67は、ナビ制御部67aと、運行計画設定部67bと、到着情報通知部67cとを備えている。ナビ制御部67aは、カーナビゲーションアプリケーションを実行することによって構築され、Webページを閲覧するためのモジュールであり、車両管理サーバ5にアクセスして、地図情報やレンタカーサービスの利用に必要な情報をダウンロードし、レイアウトを解析して表示・再生する。特に、本実施形態において、ナビ制御部67aは、カーナビゲーションシステムに必要な情報の他、レンタカーサービスに関する情報として、レンタカーの予約画面や、返却先を設定する画面をWebページとして表示部63aに表示させて閲覧可能とする。
【0138】
運行計画設定部67bは、ユーザー操作に応じて、レンタカーの運行計画を設定するモジュールであり、運行中の自動車の出発地或いは目的地に関する情報、及び返却時における到着情報に基づいて、運行計画を設定するようになっている。具体的には、表示部63aに表示された地図表示画面から、レンタル中における出発地や目的地を決定することで、その情報に基づいて検索されたルートや時刻を含む運行計画が車両管理サーバ5へ送信され記録される。
【0139】
また、運行計画設定部67bは、到着情報を設定する前に、次の利用者U2の操作に基づいて、当該車両の受け渡し希望地点を目的地の指定として受け付け、希望地点における車両7の貸渡しについての事前予約を設定する機能を備えている。この事前予約は、例えば、次の利用者の操作によって選択された地点(例えば、目的地D)及び利用開始希望時刻が入力されることで、それらの情報が事前予約情報として設定され、車両管理サーバ5へ送信される。
【0140】
到着情報通知部67cは、利用者の操作に基づいて自動車の目的地を返却先として設定するモジュールである。この際、到着情報通知部67cは、位置情報取得部64、又は車載端末6の位置情報取得部64による測定結果(位置情報)に応じて、返却先への到着予定時刻を算出し、算出された到着予定時刻及び設定された返却先に関する情報を到着情報として車両管理サーバ5に通知する機能も備えている。具体的に、到着情報通知部67cは、現在の位置情報と、目的地の位置情報とから走行距離を算出するとともに、道路の規制速度に基づいて到着予定時刻を算出する。なお、この際、道路の交通状況に関する情報を取得して到着予定時刻を変動させることもできる。
【0141】
また、到着情報通知部67cは、返却先を設定する際、検索条件を受け付け、目的地を絞り込む機能も備えている。この検索条件としては、各種設定可能であり、例えば、所定エリアで検索することもできる、また、レンタカー運営会社の営業所や、コンビニエンスストアなど店舗種別で検索も可能であり、さらに同系列の店舗内のみの検索も可能である。
【0142】
さらに、本実施形態において、到着情報通知部67cは、運転手U1が目的地を設定する際、地図情報を参照して、事前予約として指定された希望地点を候補地として選択可能に表示する機能を備えている。この事前予約の情報は、目的地設定操作時に車両管理サーバ5から随時、受信されるようになっている。
【0143】
そして、車両管理サーバ5は、この到着情報通知部67cからの到着情報を、電力管理装置1へ転送する。電力管理装置1の需要予測部16は、この到着情報に記述された目的地や到着時刻、消費電力量(必要充電量)などを算出し、電力の需要予測に反映させる。
【0144】
なお、制御部67には、メール機能も備えており、車両管理サーバ5から、予約完了の確認メールを受信するようになっている。また、制御部67は、レンタカー管理プログラムを本端末にインストールした際、初期設定画面を表示させて、利用者の氏名、住所、生年月日等の個人情報の入力を受け付ける。そして、これらの個人情報に加え、メモリ65内から当該端末の電話番号及びICチップ等のシリアルナンバーを抽出して、車両管理サーバ5へ送信するようになっている。
【0145】
利用情報送信部66は、入力インターフェース62の操作信号を車両管理サーバ5に送信するモジュールであり、例えば、ユーザーの操作に応じて、予約・返却画面の閲覧要求や、予約情報、到着情報等を送信する。この際、利用情報送信部66は、操作信号とともに、現在の位置情報やユーザーIDを車両管理サーバ5に送信するようになっている。
【0146】
(2)車両管理サーバ5
図9は、車両管理サーバ5の内部構成を示すブロック図である。この車両管理サーバ5は、記憶領域を提供するストレージサーバとしての機能と、レンタカー情報の配信や管理を行うWebサーバとしての機能を併せ持っており、単一のサーバ装置、或いは複数のサーバ群で構成することができ、これらサーバ装置上で実行されるサーバ管理アプリケーションにより、各種の機能モジュールが構築される。具体的には、図9に示すように、車両管理サーバ5は、通信インターフェース51と、制御部52と、各種の記憶装置53(531~535)とを備えている。
【0147】
記憶装置53は、地図情報を蓄積する地図情報蓄積部531と、利用者に関する情報を蓄積する利用者情報データベース532と、給電設備に関する情報を蓄積する給電設備情報データベース533と、レンタカーの申込情報や利用状況を蓄積する利用状況データベース534と、自動車に関する情報を蓄積する自動車情報データベース535とが含まれている。これらは、図6に示すように、複数のテーブルデータとリレーションを相互に形成したリレーショナルデータベースであり、各データベースに蓄積された利用者情報、店舗情報、利用状況情報、自動車情報が相互に関連付けられて、車両ID、ユーザーID、及び店舗IDに基づいて管理可能となっている。
【0148】
具体的に、利用者情報データベース532は、レンタカー管理サービスを利用する利用者に関するデータベースであり、このデータベースには、顧客を識別するユーザーIDが付与され、このユーザーIDをインデックスとして、使用する携帯電話番号、氏名、住所や、付与されるポイント数等が記録されている。
【0149】
給電設備情報データベース533は、車両7を充電可能な充電設備に関する情報を蓄積するデータベースであり、このデータベースには、充電ステーション等の給電設備を識別する充電装置IDが付与され、この充電装置IDをインデックスとして、給電設備の位置情報、営業時間、設置可能台数、現在の空きスペース等の情報が記憶されている。
【0150】
自動車情報データベース535は、車両7に関する情報に関するテーブルデータであり、このテーブルデータには、例えば、自動車登録番号などの車両7を識別する車両IDと、この車両IDをインデックスとして、車種に関する情報、利用状況、待機している店舗ID、及びレンタル料金等が含まれている。
【0151】
利用状況データベース534は、レンタカーの予約情報を含んだ利用状況に関するテーブルデータであり、利用の申し込みを受け付けた際に付与される予約IDをインデックスとして、貸渡予定時刻、貸渡店舗を識別する店舗ID、返却予定時刻、返却予定の店舗ID、ユーザーID、車両ID等が含まれている。
【0152】
地図情報蓄積部531は、所定地域の地理的情報を蓄積する地図情報を蓄積する記憶装置であり、一般的な地図情報や観光情報の他、本実施形態では、自動車の貸渡しや返却となる目的地の候補地(店舗等)が、緯度及び経度の座標上にベクトルデータ等で蓄積されている。また、この地図情報は、例えば、都道府県、市区町村毎や、駅の西口、東口など、複数の店舗が点在するエリアを所定エリアとして区画しており、隣接するエリア同士は重複する部分があり、その重複部分には単数又は複数の店舗が配置されている。なお、この地図情報は、車載端末6に送信されそれぞれのメモリ内に蓄積されている。
【0153】
通信インターフェース51は、通信ネットワーク10を通じて車載端末6との間でデータの送受信を行うインターフェースである。この通信インターフェース51を通じて、例えば、レンタカーの申込に関するデータが送信され、そのレンタカーに関する予約情報等が受信される。
【0154】
制御部52は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。
【0155】
本実施形態において、制御部52は、レンタカーに関する登録及び申込に関するモジュール群として、認証部521と、操作信号取得部522と、情報提供部525と、会員登録部524と、運行管理部523とを備えている。
【0156】
認証部521は、認証情報を用いて認証処理を実行するモジュールである。具体的に認証部521は、アクセス者の正当性を検証するコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、通信ネットワーク10を通じて、ユーザーID、及び店舗IDを取得し、利用者情報データベース532及び給電設備情報データベース533を照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する。なお、認証方法としては、例えば、Webページ上においてID及びパスワードを入力させ、そのID及びパスワードに基づいて認証する構成としてもよい。また、定期的に変更されるパスワードを車載端末6及びM2に配信させ、認証時にパスワードを入力することで認証を行うワンタイムパスワードを用いて、認証処理してもよい。
【0157】
操作信号取得部522は、車載端末6及びM2からのユーザー操作を取得するモジュールである。本実施形態において、操作信号取得部522は、その操作信号が会員登録に関する操作であれば、その情報を会員登録部524へ送信し、自動車の予約や返却に関する操作である場合には、運行管理部523へ送信する。
【0158】
情報提供部525は、通信ネットワーク10を通じて、各種のWebデータを配信するモジュールである。具体的に、情報提供部525は、運行管理部523からの制御信号に応じて、予約設定や返却先設定のWebデータを車載端末6及びM2にする。また、情報提供部525は、会員登録部524の制御によって、利用者の会員登録に関する会員登録用のWebデータを車載端末6及びM2に配信する機能も備えている
会員登録部524は、会員登録用のWebデータに対する入力操作に基づいて、利用者に対する会員登録を受け付けるモジュールであり、利用者の氏名、住所、電話番号、決済情報等を取得する。そして、会員登録部524で受け付けた情報は、利用者情報データベース532に蓄積される。
【0159】
運行管理部523は、車両7の貸渡及び返却を管理するモジュールであり、本実施形態では、予約受付部523aと、返却受付部523bとを備えている。返却受付部523bは、車両7の返却に関する到着情報を受け付けるモジュールである。本実施形態において、返却受付部523bは、車載端末6から返却先の設定を行うための操作信号を取得すると、同時に取得した位置情報に基づいて、所定エリアから空きスペースのある店舗を選択する。そして、返却受付部523bは、情報提供部525を制御して、この店舗の店舗IDを車載端末6に送信させる。このとき、返却受付部523bは、分配給電装置2から事前予約情報を取得している場合には、貸渡し希望地点の情報についても送信させる。
【0160】
この返却受付部523bは、顧客が設定した到着情報を車載端末6から取得すると、その到着情報に含まれる返却先の店舗ID及び到着予定時刻を利用状況データベース534に記録する。この際、返却受付部523bは、取得した到着情報が事前予約として指定された希望地点である場合には、その情報を予約受付部523aに通知する。なお、返却受付部523bは、現在時刻と到着予定時刻との時間差が大きい場合には、利用状況データベース534に記録せず、到着予定時刻との時間差が所定の範囲内となった場合に反映させてもよい。この場合には、予定変更などによって次の利用者が利用できないことを未然に防止することができる。
【0161】
さらに、返却受付部523bは、返却先としての目的地の設定を行う運転手に対して、所定の店舗へ返却先を変更するように依頼する機能も備えている。この返却先の依頼機能は、車載端末6から送信された目的地が、事前予約情報に含まれたエリアに隣接するエリアの店舗である場合に実行される。具体的に、返却受付部523bは、隣接するエリアの重複している店舗に返却先を変更して欲しい旨のメッセージを車載端末6に通知する。その後、返却先の変更に対する承諾情報を返却受付部523bが取得すると返却先の変更を確定させる。
【0162】
予約受付部523aは、車両7の貸渡しについての予約を受け付けるモジュールである。本実施形態において、予約受付部523aは、車載端末6から申し込みに関する操作信号を取得すると、同時に取得した車載端末6の位置情報に基づいて、顧客が滞在している場所に近い店舗を給電設備情報データベース533から選択し、その店舗から待機中及び返却予定の自動車を選択する。
【0163】
この車両7の選択は、選択した店舗IDに基づいて、自動車情報データベース535を参照して、待機店舗の欄に選択された店舗IDが含まれている車両を選択するとともに、利用状況データベース534を参照して、返却店舗IDの欄に選択された店舗IDが含まれている自動車を選択するようになっている。そして、予約受付部523aは、情報提供部525を制御し、貸渡可能な自動車の情報(待機中及び返却予定の車両)及びその店舗情報を車載端末6に対して送信する。なお、返却予定の自動車情報については、返却予定時刻情報についても合わせて送信する。
【0164】
その後、予約受付部523aは、車載端末6から自動車の貸渡を希望する予約情報を取得すると、新たな予約IDを付加して、予約情報に含まれる車両ID及び利用時刻情報等を関連付けて利用状況データベース534に記録する。また、予約受付部523aは、車載端末6から事前予約の情報を取得すると、利用状況データベース534に、貸渡し希望地点である店舗又は所定エリア内の店舗の店舗IDと、利用予定時刻情報を記録する。
【0165】
また、予約受付部523aは、事前予約の希望地点と、返却予定者の目的地とのマッチングを行う機能も備えている。具体的には、次の利用者から事前予約情報を受け付けており、その後、運転手の車載端末6から返却先として希望地点が選択されると、時間等の条件が一致していることを条件に、その車両7を事前予約した次の利用者に貸し渡すように突き合わせを行う。なお、予約受付部523aは、事前予約情報が希望エリアを選択している場合は、選択された目的地がこの希望エリアに含まれている否かを判断して突き合わせを行う。
【0166】
さらに、予約受付部523aは、予約の設定を行う利用者に対して、所定の店舗で自動車を貸渡しするように依頼する機能も備えている。この貸渡先依頼機能は、例えば、予約者が所定のエリアにおいて車両7の貸渡を希望したが、その店舗又はエリアに自動車がない場合に、他の店舗、又はエリアを返却先としている車両7を検索し、発見した場合には、予約者の車載端末6に対して、貸渡し店舗の変更依頼に関するメッセージを送信するものである。なお、運行管理部523には、メール機能も備えており、予約受付部523a及び返却受付部523bが、車両7の予約及び返却の設定を受け付けた場合には、その受付が完了した旨の確認メールを車載端末6及びM2に送信するようになっている。
【0167】
制御部52は、給電側の手続、及び利用終了後の管理に関するモジュール群として、給電設備情報取得部526と、照合部528と、決済処理部527と、計時部54とを備えている。給電設備情報取得部526は、給電設備に関する情報を各給電設備から収集して、給電設備情報データベース533に蓄積するモジュールである。計時部54は、現在時刻を取得するモジュールであり、本実施形態においては、車載端末6から送信された貸渡手続の操作信号、又は返却手続の操作信号が取得された際の時刻を利用開始時刻又は利用終了時刻として取得して、その時刻情報を照合部528へ送信する。
【0168】
照合部528は、車載端末6から取得した貸渡手続、又は返却手続に関する情報と、予約情報とを照合するモジュールである。具体的に、照合部528は、レンタル開始時における貸渡手続の操作信号を取得した場合、同時に取得したユーザーIDに基づいて、利用状況データベース534から当該ユーザーIDに該当する予約情報を取得する。そして、照合部528は、取得した予約情報に含まれた出発地付近の地図情報を検索し、周辺の給電設備のうち給電が可能な設備を照合する。また、照合部528は、予約情報の利用時刻情報と、計時部54が取得した時刻情報を比較し、予定時刻内か否かを判断する。
【0169】
そして、給電可能な給電設備が検出され、且つ利用時刻情報内である場合には、予約した自動車が給電可能である旨の情報をWebデータ又は電子メールにて車載端末6に送信する。一方、いずれの給電設備か検出されない場合には、自動車の給電はできない旨の情報をWebデータ又は電子メールにて車載端末6に送信する。また、照合部528は、貸渡しを許可した場合、その車両IDに基づいて、自動車情報データベースの「利用状況」の項目を貸渡中に変換する機能も備えている。
【0170】
一方、レンタル終了時における返却手続の操作信号を取得した場合も、照合部528は、取得したユーザーIDに基づいて、利用状況データベース534から当該ユーザーIDに該当する予約情報を取得する。そして、照合部528は、取得した予約情報に含まれた目的地付近の地図情報を検索し、周辺の給電設備のうち給電が可能な設備を照合する。
【0171】
そして、給電可能な設備が検出されない場合には、他のタイミングでの給電を促す旨の情報をWebデータ又は電子メールにて車載端末6に送信する。一方、宮殿可能な設備が検出された場合には、返却可能である旨の情報をWebデータ又は電子メールにて車載端末6に送信する。返却を許可した後、照合部528は、自動車情報データベースの「利用状況」の項目を待機中に変換する。
【0172】
決済処理部527は、利用状況データベース534に蓄積された情報に基づいて、決済処理を実行するモジュールである。具体的には、利用状況データベースに蓄積された利用状況に関する情報を参照し、利用者情報データベース532の決済情報に基づいて運転手に対して課金処理を行う。この課金処理としては、例えば、自動車返却の受付を許可するデータを車載端末6に送信する際に合わせて通知して、店舗側において顧客から直接料金を徴収してもよいし、予め登録したクレジットカード等によって決済処理してもよい。
【0173】
(レンタカー管理と連携した給電管理方法)
以上の構成を有するレンタカー管理システムと上記給電管理システムを連携させることによって、本発明の給電管理方法を実施することができる。図10はレンタカーの返却時における動作を示すフローチャート図である。なお、ここでは利用者が予め、車両管理サーバ5に対して会員登録がされているものとし、運転手が現在利用している自動車をレンタカーサービス店舗に返却する場合を例に説明する。
【0174】
本実施形態においてレンタカー管理システムと給電管理システムの連携は、レンタカーの予約時や利用開始時などに行われる目的地設定操作の際に実行される。詳述すると、車両7を利用している運転手が、車載端末6やスマートフォンにおいてレンタカー管理アプリケーションを起動させ、例えばレンタカー返却場所を目的地として設定するための目的地設定開始ボタン等を押下するなどの操作をすると(S301)、利用情報送信部66は、この目的地設定操作信号をユーザーIDとともに、車両管理サーバ5に送信する(S302)。
【0175】
車両管理サーバ5では、車載端末6から目的地設定操作信号を取得すると(S303)、認証部521において、ユーザーID又は車両IDにより認証処理が行われる。認証されると、返却受付部523bでは、レンタカーの返却に必要なスペースが各サービス店舗や周辺の駐車場に確保可能か否かなど、最新の空きスペースに関する情報を抽出するとともに、その空きスペース周辺に存在する充電ステーション等の給電設備の給電可能状態や位置情報を給電設備情報として抽出する。そして、返却受付部523bは、これら抽出された空きスペース及び給電設備を選択して、その位置情報を車載端末6に送信する(S304)。そして、表示部63aは、この位置情報に基づいて、画面上に返却可能な空きスペース及び給電可能な給電設備の位置情報や関連情報を表示する(S305)。
【0176】
その後、運転手の操作によって、返却先の店舗などの目的地が選択されると(S306)、到着情報通知部67cは、位置情報取得部64から位置情報を取得して(S307)、目的地への到着予定時刻を算出し(S308)、到着予定時刻、返却先の店舗に関する情報、及び給電設備を到着情報として車両管理サーバ5に通知する(S309)。返却受付部523bは、この到着情報を取得し(S310)、この目的地及び利用予定の給電設備の位置情報や店舗ID及び到着予定時刻を利用状況データベース534に記録する。そして、選択された給電設備に関する到着時刻及び必要とされる給電量を電力管理装置1に通知する(S311)。この通知を受けた電力管理装置1は、前記ステップS102で行われる電力需要の予測値算出に反映させる。具体的には、上記到着情報に含まれる給電設備について、レンタカーの返却に際し、その車両の到着時刻に給電が行われる予定を加味して、電力需要の予測値を算出する。この際、車両管理サーバ5から、当該レンタカーのレンタル期間中に走行した距離から消費電力量を算出したり、車両から直接蓄電池の残量等の蓄電情報を取得して、給電の際に必要とされる電力量を予測する。
【0177】
(給電管理プログラム)
上述した実施形態及び変更例に係る給電管理システム及び給電管理方法は、所定の言語で記述された給電管理プログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することができる。すなわち、サーバー装置やスマートフォン、タブレットPC、車載端末などの専用装置、又はICチップに給電管理プログラムをインストールし、これらのCPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを容易に構築することができる。このプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またスタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。
【0178】
そして、このようなプログラムは、パーソナルコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、USBメモリやメモリカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。
【0179】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態によれば、充電装置毎に電力供給の過去実績(曜日、時間帯、空き充電容量、充電時間など)から学習してEVの滞在予測を行うため、充電装置単位で電力需要の予測を行うことができ、個々の行動予測及び滞在予測が困難な場合であっても、滞在予測に確度を設けて(直近の方が確度が高い)短時間の低減期間を設けて所謂電力供給のスライスを行うことができる。これにより、複数のEVの滞在予測スライスを束ねて調整力可能量として管理し、EVを電力の調整力として利用して、ピークカットなどの電力制御を実施できる。
【0180】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0181】
また、本実施形態によれば、電力供給源3における電力の発電時期や場所、発電方式に基づいて各種トークンを発行し、そのトークンを用いて、電力の売買取引や、対価の精算を行うことができる。これにより、環境価値取引、調整力取引など多様化する電力取引において、各取引単位で付加価値をトークンとして蓄積し配分することができる。例えば、トークンを用いることにより、市場価値と比較し自家消費、他者融通、市場売買、PPS提供など取引単位で自由に供給先と需要先を紐付けることができる。また、プラットフォームへインターフェースするためのAPIや端末を提供することで容易に当該プラットフォームへ参入することができる。さらに、ブロックチェーンインターフェースサービスも実装しているので既存インターフェースからの参入も容易に行うことができる。結果として、本発明によれば、多様化した電力価値が混在する電力取引市場において、電力の価値を適正に評価しつつ自由に供給元と需要先を紐付けて課金や売買を行うことができる。
【0182】
特に、保証システムとして、分散データベースの仕組みを採用したため、強固な単一のシステム管理・運用のための設備を事業者ごとに設ける必要がなく、業者間での情報を授受する際、情報を連携するためのデータベースの共通化や、プライバシー保護、データの改ざんに対する高度なセキュリティ対策が分散データベースの仕組みで担保されることから、その設備費や運用コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0183】
PAa…公開アドレス
PAb…公開アドレス
PKa…公開鍵
SKa…秘密鍵
SKb…秘密鍵
U1…運転手
U2…利用者
Ua…売手
Ub…買手
1…電力管理装置
2…分配給電装置
3…電力供給源
4…充電ステーション
5…車両管理サーバ
6…車載端末
7…車両
8…仲介サーバー
9…保証システム
10…通信ネットワーク
10a…無線基地局
11…通信インターフェース
12…データ取得部
13…データベース
14…制御指示スケジュール管理部
15…給電制御部
16…需要予測部
17…実績情報解析部
20…ユーザーシステム
21…電力変換部
21a…トークン管理データベース
22…分配給電装置制御ユニット
23…分配給電装置通信部
24…位置情報取得部
25…無線通信部
26…分配給電装置報知部
40…電力制御端末
41…スマートメータ
42…蓄電池
43…充電装置
43a…給電スイッチ
43b…充電装置制御ユニット
43c…充電装置報知部
43d…充電装置通信部
51…通信インターフェース
52…制御部
53…記憶装置
54…計時部
61…無線インターフェース
61a…近距離無線通信部
62…入力インターフェース
63…出力インターフェース
63a…表示部
64…位置情報取得部
65…メモリ
66…利用情報送信部
67…制御部
67a…ナビ制御部
67b…運行計画設定部
67c…到着情報通知部
71…対象蓄電装置
72…充電器
73…車両制御ユニット
74…対象車両通信部
521…認証部
522…操作信号取得部
523…運行管理部
523a…予約受付部
523b…返却受付部
524…会員登録部
525…情報提供部
526…給電設備情報取得部
527…決済処理部
528…照合部
531…地図情報蓄積部
532…利用者情報データベース
533…給電設備情報データベース
534…利用状況データベース
535…自動車情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15