(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】パネル部材の枠材、パネル部材の固定構造及びパネル部材の設置方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
E04B2/82 501E
(21)【出願番号】P 2020011696
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寿朗
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-083307(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が矩形に形成され空間を仕切るパネル部材の上端面又は下端面に配する水平部と、水平部の長手方向に延びる両側縁に鉛直方向に連結し、空間を仕切るパネル部材の上端部又は下端部を挟持可能な第1の側壁部及び第2の側壁部とを備え、
前記パネル部材を嵌め込む側に設けられた前記第2の側壁部には嵌合部が設けられ、
前記水平部の側縁には、前記嵌合部を回動自在に嵌め込む被嵌合部が形成され、
前記嵌合部には、
挿入部が形成され、
前記被嵌合部には、前記嵌合部を回動させることができる回動空間と、前記第2の側壁部を閉じた状態で前記挿入部を水平方向に押し込
みにより挿入させ且つ保持させる凹所を有し、
前記第2の側壁部が開閉自在となっているパネル部材の枠材。
【請求項2】
前記嵌合部及び前記被嵌合部のいずれか一方には、前記第2の側壁部を開けた状態で保持する係止部が形成され、
前記係止部が形成された前記嵌合部又は前記被嵌合部の他方側には、前記係止部に対応する被係止部が形成されている
請求項1に記載のパネル部材の枠材。
【請求項3】
前記凹所には、前記挿入部の嵌入時の通過を許し、前記挿入部の嵌入後の引き抜きを防止する段差部が形成されている
請求項1に記載のパネル部材の枠材。
【請求項4】
前記凹所は、前記挿入部の前記凹所への嵌入後に前記挿入部を引き抜き不能に形成されている
請求項1に記載のパネル部材の枠材。
【請求項5】
前記被嵌合部には、前記嵌合部の嵌合が容易に解除することを防止する爪部が形成されている
請求項1に記載のパネル部材の枠材。
【請求項6】
前記水平部、前記第1の側壁部及び前記第2の側壁部は、巾木を構成している請求項1から
5のいずれか一項に記載のパネル部材の枠材。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のパネル部材の枠材と、
前記パネル部材の枠材に固定されるパネル部材とを備えたパネル部材の固定構造。
【請求項8】
外形が矩形の長手方向の一方の端縁に第1の側壁部を連結させた水平部の他方の端縁に第2の側壁部を回動可能に取り付け、
前記第2の側壁部を前記水平部との間で90°を超える角度にした状態で前記水平部を天井又は床材に固定し、
パネル部材の上端部及び/又は下端部を前記第2の側壁部及び前記第1の側壁部により把持可能な位置に設置し、
前記第2の側壁部を回動させて前記パネル部材の表面に対向配置した後、前記パネル部材の表面に向かって水平方向に押込み、前記水平部に回動不能に固定して第1の側壁部と第2の側壁部とによって前記パネル部材を挟持し、
前記天井に固定された前記水平部、第1の側壁部及び第2の側壁部により構成される上枠に前記パネル部材を固定するパネル部材の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル部材の枠材、パネル部材の固定構造及びパネル部材の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル部材による空間の仕切り方として、パネル部材に取り付ける上枠の上端面と天井との間にできるだけ隙間をなくす設置方法がある。
上枠を天井にほぼ隙間なく固定した上でパネル部材を設置するには、一般的にはまず床に床レールを敷設し、巾木と上下方向に対応する天井の位置に上枠を固定しておく。
床レールの上には巾木をかぶせて高さ調整ボルトを巾木と床下レールとの間に設ける。
その上で、パネル部材を巾木と上枠との間に差し込むことにより設置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、パネルを上枠に差し込むためには広い施工スペースが必要となり、トイレなどの限られた空間では、そのスぺース確保が困難な場合がある。
そこで、本発明は、容易にパネル部材を設置することができる上枠、巾木、パネル部材の固定構造及びパネル部材の設置方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のパネル部材の枠材は、外形が矩形に形成され空間を仕切るパネル部材の上端面又は下端面に配する水平部と、水平部の長手方向に延びる両側縁に鉛直方向に連結し、空間を仕切るパネル部材の上端部又は下端部を挟持可能な第1の側壁部及び第2の側壁部とを備え、前記パネル部材を嵌め込む側に設けられた前記第2の側壁部が、前記水平部の側縁を軸として回動自在に形成されて開閉自在に構成されている。
この構成によれば、パネル部材を天井に達するように設置することが容易となる。
【0005】
本発明は、パネル部材の枠材の前記第2の側壁部に嵌合部が設けられ、前記水平部に前記嵌合部を係止させる被嵌合部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部の回動が容易となる。
【0006】
本発明のパネル部材の枠材の前記嵌合部及び前記被嵌合部のいずれか一方には、前記第2の側壁部を開けた状態で保持する係止部が形成され、前記係止部が形成された前記嵌合部又は前記被嵌合部の他方側には、前記係止部に対応する被係止部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部を開口した姿勢で維持することが容易となる。
【0007】
本発明のパネル部材の枠材の前記被嵌合部には、前記第2の側壁部を閉じた状態で保持する凹所が形成され、前記嵌合部には、前記凹所に挿入する挿入部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部を閉じた状態での固定が確実となる。
【0008】
本発明のパネル部材の枠材の前記凹所には、前記凸部の嵌入時の通過を許し、前記凸部の嵌入後の引き抜きを防止する段差部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部を閉じた状態での固定がより確実となる。
【0009】
本発明のパネル部材の枠材の前記段差部は、前記凸部の前記凹所への嵌入後に引き抜き不能に形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部を閉じた状態での固定がより確実となる。
【0010】
本発明のパネル部材の枠材の前記被嵌合部には、前記嵌合部の嵌合が容易に解除することを防止する爪部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2の側壁部を開口した姿勢で維持することが容易となる。
【0011】
本発明のパネル部材の枠材の 前記水平部、前記第1の側壁部及び前記第2の側壁部は、巾木を構成していてもよい。
この構成によれば、パネル部材の設置後のパネル部材の高さ位置の調整が可能となる。
【0012】
本発明のパネル部材の固定構造は、上記いずれかに記載のパネル部材の枠材と、前記パネル部材の枠材に固定されるパネル部材とを備えている。
この構成によれば、上記いずれかの作用を奏する。
【0013】
本発明のパネル材の設置方法は、外形が矩形の長手方向の一方の端縁に第1の側壁部を連結させた水平部の他方の端縁に第2の側壁部を回動可能に取り付け、前記第2の側壁部を前記水平部との間で90°を超える角度にした状態で前記水平部を天井又は床材に固定し、前記パネル部材の上端部及び/又は下端部を前記第2の側壁部及び前記第1の側壁部により把持可能な位置に設置し、前記第2の側壁部を回動させて前記パネル部材の表面に対向配置して、第1の側壁部とよって前記パネル部材を挟持し、前記天井に固定された前記水平部、第1の側壁部及び第2の側壁部により構成される上枠に前記パネル部材を固定する。
この構成によれば、パネルの固定作業が容易となる。
【0014】
本発明のパネル材の設置方法において、前記第2の側壁部は、この第2の側壁部を回動させて前記パネル部材の表面に対向させた後、前記パネル部材の表面に向かって水平方向に押込み、前記水平部に回動不能に固定してもよい。
この構成によれば、パネルの固定作業が容易かつ安定的となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、容易にパネル部材を設置することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一の実施形態に係るパネル部材の固定構造を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の本発明の一の実施形態に係るパネル部材の枠材を拡大して示した右側面図である。
【
図3】(a),(b)本発明の一の実施形態に係るパネル部材の固定構造の設置工程を示す図である。
【
図4】本発明の一の実施形態に係るパネル部材の固定構造の設置工程を示す図である。
【
図5】(a),(b)本発明の一の実施形態に係るパネル部材の固定構造の設置工程を示す図である。
【
図6】本発明の一の実施形態に係るパネル部材の枠材の他の例を示す図である。
【
図7】本発明の一の実施形態に係るパネル部材の枠材の他の例の使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の上枠、巾木、パネル部材の固定構造及びパネル部材の設置方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0018】
図1に示すように、本発明のパネル部材の固定構造1は、空間を区画する間仕切りパネル部材2と、本発明の上枠3又は巾木4の少なくともいずれか一方とを備えており、本実施形態では、パネル部材2、本発明の上枠3、高さ調整ボルト50を備えた巾木4、及び床レール5を備えている。
【0019】
パネル部材2は、略矩形で偏平に形成された芯材6と、芯材6の(立設状態の)上下両側端部に配された角柱材7と、芯材6及び角柱材7を偏平面から挟み込む化粧板8とを有している。
【0020】
上枠3は、略L字型の固定部材3aと可動部材3bとを備え、U字状(設置時は逆U字状となる)に設置される部材である。
図2に示すように、固定部材3aは、天井に固定される水平部10と、水平部10の長手方向に延びている一方の側縁から下方に延びた第1の側壁部11とを有している。
なお、パネル部材2は、上枠3の下方に垂れ下がる一方の側壁部側から嵌め込まれる。本明細書では、パネル部材2を嵌め込む手前側を第2の側壁部12、奥側を第1の側壁部11と称する。
【0021】
水平部10と第1の側壁部11とは、一体的に逆L字型に形成されている。
水平部10の端縁10aは、可動部材3bすなわち第2の側壁部12を取り付けて固定する被嵌合部15を有している。他方、第2の側壁部12の長手方向に延びる上端側は、被嵌合部15に嵌め込まれて固定される嵌合部16を有している。
【0022】
被嵌合部15は、嵌合部16を上下方向からそれぞれ把持する上側把持部17及び下側把持部18を備えている。上側把持部17及び下側把持部18は、共に側面視で
図2に示すように、水平部10の端縁10aに沿って(すなわち
図2において紙面奥行方向に)所定寸法延びている。
【0023】
上側把持部17は、具体的には、基端部17aにおいて側面視で水平部10の端縁からわずかに下方に延びた後、水平部10の短手方向の手前側に略水平に突出し、先端部17bにおいて下方に折れ曲がって、更に先端において手前側に反り返っている。
上側把持部17の先端部17bには、下方に僅かに突出する上側爪部(被係止部)19が形成されている。
【0024】
上側把持部17の上面には、可動部材3bの嵌入を止める第1の突起20が形成されている。
上側把持部17の基端部の下面には、可動部材3bの進入時に可動部材3bを下方に押し付ける第2の突起22が形成されている。
上側把持部17の水平に延びた部分の基端部は、上面及び下面に紙面奥行方向に貫かれた溝部23が形成された構成となっている。上下面に形成された溝部23は、互いに鉛直方向に対向する位置に形成されている。
【0025】
下側把持部18は、具体的には、右側面視で水平部10の端縁10aであって上側把持部17の基端から更に下方に延びた位置から上側把持部17に平行に手前側に所定寸法突出し、上側把持部17の第2の突起22よりも僅かに水平方向に延びた位置で下方に折れ曲がり、円弧形状に延びている。
上側把持部17の第2の突起22と下側把持部18の水平に延びた部分との間は、後述する可動部材3bを最終的に固定するための凹所24を構成している。
下側把持部18の先端は、上側把持部17の先端と上下方向に略同じ位置まで延びている。上側把持部17の凹所24よりも手前側は、可動部材3bを回動させることができる回動空間S1を構成している。
【0026】
下側把持部18の先端部には、上側把持部17の上側爪部19に鉛直下方に対向する位置に上方に僅かに突出する下側爪部(被係止部)25が形成されている。下側爪部25は、可動部材3bが不用意に抜けることを防止している。
下側把持部18の水平方向に延びた部分の先端には、上方に突出して、下側把持部18の基端側に凹所24との間に段差部27を形成する第3の突起26が形成されている。
【0027】
第2の側壁部12は、正面視で水平方向に長く延びる矩形に形成された主壁部30と、固定部材3aに取り付ける際に第1の側壁部11に対向させる面に形成された嵌合部16とを有している。
【0028】
嵌合部16は、主壁部30の板面を垂直に立ち上げた状態で、主壁部30の上端縁から下方に所定寸法下がった位置から水平方向に延びた後、上方に湾曲した基端部31と、略アーチ型に折れ曲がった先端部32とを有している。
嵌合部16の基端部31には、主壁部30側に突出する係止部33が形成されている。
係止部33は、主壁部30の板面を水平に寝かした際に上側把持部17の先端の上側爪部19に係止するように構成されている。
【0029】
アーチ側に形成された先端部32は、被嵌合部15に形成された凹所24内に挿入する挿入部を構成している。先端部32の頂面は略水平に形成されており、先端部32の高さ、すなわち
図2に示すように主壁部30を立ち上げた姿勢で見た際のアーチの高さは、凹所24の上底面を形成している第2の突起22及び下底面の距離とほぼ一致するように形成されている。
【0030】
以上のように構成された固定部材3a及び可動部材3bは、例えば次のようにしてパネル部材2を設置しつつパネル部材2の上枠3として用いられる。
図3(a)に示すように、まず固定部材3aと可動部材3bとを嵌合させる。
床レール5及び巾木4、左右縦枠は、パネル部材2を設置する場所に適宜予め設置しておく。
【0031】
可動部材3bの主壁部30を少なくとも水平部10に対して90°よりも大きい角度、好ましくは水平に寝かせた姿勢にして、主壁部30の長手方向(
図3(a)における紙面奥行き方向)に延びる上端縁30aを水平部10の長手方向(
図3(a)における紙面奥行き方向)に延びる端縁10aに平行に向けて対向させる。そして、
図3(a),(b)に示すように、嵌合部16の先端部32を被嵌合部15の上下把持部17,18の間に挿入する。
【0032】
嵌合部16の先端部32は、上下把持部17,18を弾性変形させ上下に僅かに拡開させながら進入する。上下把持部17,18は、先端部32が上側爪部19及び下側爪部25を乗り越えたところで弾性復帰し、嵌合部16の先端部32を把持する。また、この際に、係止部33が上側爪部19に係止し、先端部32の先端面が下側爪部25に係止する。
【0033】
また、主壁部30の上端縁30aは、上側把持部17の第1の突起20に当たり、固定部材3a側にそれ以上移動できなくなる。更に、上側把持部17は、主壁部30の上端部と嵌合部16とに挟まれた状態となる。このように、可動部材3bは、主壁部30が水平に寝た状態で固定部材3aに取り付けられる。
【0034】
その後、
図4に示すように、嵌合させた上枠3の可動部材3bを固定部材3a側斜め上方に向けて押し付けつつ回動させた状態で、固定部材3aを天井Cにしっかりと固定する。パネル部材2は、可動部材3bが同図に示すような状態まで回転していれば、差し込むのに十分なスペースが確保され、正面からケンドンで上枠と巾木との間に施工することができる。
【0035】
パネル部材2を差し込んだ後、
図5(a)に示すように、嵌合部16の先端部32が上側把持部17の先端部の内面に沿って回動空間S1の上方に進入し、
図5(b)に示すように、主壁部30が直立して、上側把持部17の水平に延びた部分に嵌合部16の先端部32がフィットする。さらに先端部32は下側把持部18に乗り上げて、空間S1に落下することがなくなる。この状態で更に、
図5(c)に示すように、可動部材3bを固定部材3aに向けて水平に押込み、凹所24に嵌合部16の先端部32を嵌める。
【0036】
嵌合部16の先端部32が凹所24に進入するときには、先端部32が第2の突起22を乗り越えたところで、アーチ形を成す先端部32の片方の脚部分32fが凹所24の底面に支持されかつ第3の突起26に係合して引き抜き困難になるとともに、先端部32の上面が第2の突起22に接して押えられた状態となる。したがって、主壁部30に開口する方向の力が働いても容易には回動しない状態となる。
【0037】
以上のとおり、上枠3の可動部材3bを開口した状態でパネル部材2を設置し、可動部材3bを閉じることで、
図1に示すように、パネル部材2を組み込みつつ、上枠3の設置及びパネル部材2の設置を完了することができる。
【0038】
すなわち、本発明の枠材は、上枠3の側壁の一方を開口させることができるため、パネル部材2を上枠3に干渉させることなく、容易にパネル部材2を設置することができるという効果を奏する。特に、本発明の枠材ないしパネル部材の固定構造1は、パネル部材2が天井に略達するように設置するために、上枠3を天井に固定する必要がある場合に特に有効である。
【0039】
また、本発明の枠材は、可動部材3bを開口した状態で維持することができるため、上枠3の設置作業とパネル部材2の設置作業を一人で完結することができる。また、パネル部材2の上枠3を含む枠部材への設置後は、パネル部材2を片手で軽く押えておいて、もう一方の片手で、容易に可動部材3bを閉じ、固定部材3aに嵌め込むことができる。したがって、本発明の枠材及びパネル部材の固定構造1によれば、作業者が一人でも容易にパネルの設置作業を行うことができるという効果を奏する。
【0040】
なお、上記実施形態において、嵌合部16の先端部32は、一度被嵌合部15の凹所24に挿入されると引き抜きが略できない、いわゆる嵌め殺しの構造に形成されていてもよい。具体的には、凹所24の上下面に奥側から手前側に傾斜する面を有する凹凸が形成され又は第2の突起22が凹所24の奥側から手前側に傾斜する面を有し、先端部32に凹凸又は第2の突起22にフィットする凹凸又は凸部が形成されているとよい。
【0041】
このように、嵌合部16の先端部32が凹所24から容易に抜けない構造とした場合には、可動部材3bが固定部材3aにより確実かつ安定的に固定される。
また、嵌合部16の基端部31にも、可動部を閉じた際に上側把持部17及び/又は下側把持部18に係合して容易に外れないようにする凹凸を設けていてもよい。このように、基端部31にも上側把持部17及び/又は下側把持部18を外れ難く係合させる凹凸を設けると、可動部材3bの固定部材3aへの固定がより一層確実となる。
【0042】
また、上記実施形態では、上枠3を開閉可能な構造としたが、本発明は、上記に説明した上枠3を上下反転させた構成とし、
図6及び
図7に示すように、巾木4ないし下枠に応用することもできる。
手前側の側壁を開口することができる巾木4とした場合には、可動部材3bを回動して開口させた状態で、床レール5に固定した高さ調整ボルト50をパネル部材2の設置前と設置後に調節し、可動部材3bを閉じて巾木4とすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル部材の固定構造
2 パネル部材
3 上枠
3a 固定部材
3b 可動部材
4 巾木
10 水平部
11 第1の側壁部
12 第2の側壁部
15 被嵌合部
16 嵌合部
17 上側把持部
18 下側把持部
19 上側爪部(被係止部)
24 凹所
25 下側爪部(被係止部)
26 第3の突起
27 段差部
30 主壁部
32 嵌合部の先端部(挿入部)
33 係止部