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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ファン着脱装置およびレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240823BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20240823BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F04D29/62 C
F04D29/28 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020079405
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173493
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 克司
(72)【発明者】
【氏名】寺西 貫
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/026471(WO,A1)
【文献】特開2020-020484(JP,A)
【文献】特開平10-103331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F04D 29/62
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ネジ部を含む回転軸を有する駆動源の前記回転軸に着脱可能なファン部材と、
前記ファン部材に対して前記回転軸を中心に相対回転可能な取付アダプタと、を備え、
前記取付アダプタは、
第1方向に移動可能なレバー部材と、
雌ネジ部を有し、前記レバー部材の前記第1方向への移動にしたがって前記第1方向とは異なる方向であって前記回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する係合片と、を有し、
前記取付アダプタを前記ファン部材に対して前記回転軸を中心に相対回転させることにより前記係合片の前記雌ネジ部が前記回転軸の前記雄ネジ部にねじ込まれる、ファン着脱装置。
【請求項2】
前記ファン部材は、排気用ファンと、前記排気用ファンに相対回転不能に固定されたベース部材とを有し、
前記取付アダプタは前記ベース部材に対して相対回転可能に取付けられている、請求項1に記載のファン着脱装置。
【請求項3】
前記取付アダプタは、前記係合片が前記第1位置となるように前記レバー部材を前記第1方向に付勢するレバー用付勢部材をさらに有する、請求項1または請求項2に記載のファン着脱装置。
【請求項4】
前記取付アダプタは、前記係合片が前記第2位置を維持するように前記レバー部材をロックする作動部材をさらに有する、請求項3に記載のファン着脱装置。
【請求項5】
前記取付アダプタは、前記作動部材を前記レバー部材に向けて付勢する作動用付勢部材をさらに有し、
前記作動部材が前記作動用付勢部材の付勢力に抗して移動することにより前記作動部材による前記レバー部材のロックが解除され、前記レバー部材が前記レバー用付勢部材の付勢力により移動することにより、前記係合片は前記第1位置へ移動する、請求項4に記載のファン着脱装置。
【請求項6】
雄ネジ部を含む回転軸を有する駆動源と、
前記駆動源の前記回転軸に着脱可能なファン部材と、
前記ファン部材に対して前記回転軸を中心に相対回転可能な取付アダプタと、を備え、
前記取付アダプタは、
第1方向に移動可能なレバー部材と、
雌ネジ部を有し、前記レバー部材の前記第1方向への移動にしたがって前記第1方向とは異なる方向であって前記回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する係合片と、を有し、
前記取付アダプタを前記ファン部材に対して前記回転軸を中心に相対回転させることにより前記係合片の前記雌ネジ部が前記回転軸の前記雄ネジ部にねじ込まれる、レンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン着脱装置およびレンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンジフードにおけるファンの取り付け構造に関し、従来、ファンをワンタッチ操作で着脱可能なレンジフードが特開2018-71869号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のワンタッチ取り外し操作においては、まずファンボスの外周部に備えられた解除ノブがボス中心側に押し込み操作される。これにより、内蔵されているロック爪が係合付勢力に抗して係合解除方向に強制後退される。この状態で排気用ファンが下方に引き下げられることにより回転軸から引き抜かれて、レンジフードから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-71869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載のレンジフードでは、ワンタッチ着脱機構を構成する部材同士が油汚れ、錆などで固着することが考えられる。この場合、ワンタッチ着脱機構が正しく動作せず、排気用ファンが外せなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部材の固着が生じてもファンの着脱が容易なファン着脱装置およびレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のファン着脱装置は、ファン部材と、取付アダプタとを備える。ファン部材は、雄ネジ部を含む回転軸を有する駆動源の回転軸に着脱可能である。取付アダプタは、ファン部材に対して回転軸を中心に回転可能である。取付アダプタは、レバー部材と、係合片とを有する。レバー部材は、第1方向に移動可能である。係合片は、雌ネジ部を有し、レバー部材の第1方向への移動にしたがって第1方向とは異なる方向であって回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、雌ネジ部と雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、雌ネジ部と雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する。
【0008】
本発明のファン着脱装置によれば、レバー部材が第1方向へ移動することにより、係合片は、雌ネジ部と雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、雌ネジ部と雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する。このためレバー部材を操作して係合片を第1位置へ移動させることにより、取付アダプタを回転軸の雄ネジ部に螺合により着脱することが可能となる。またレバー部材を操作して係合片を第2位置へ移動させることにより、回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部との噛み合いを解除した状態で取付アダプタを回転軸に着脱することが可能となる。このように螺合による着脱と、螺合による噛み合いが解除された状態での着脱とを両立することができる。
【0009】
またレバー部材が油汚れ、錆などにより他の部材と固着することによりレバー操作ができない場合でも、レバー部材を操作せずに、取付アダプタを螺合により回転軸に対して着脱することができる。よって油汚れ、錆などによる固着が生じてもファン部材の着脱が容易である。
【0010】
また取付アダプタは、ファン部材に対して回転軸を中心に回転可能である。このため取付アダプタを回転軸に対して回転させれば、ファン部材全体を回転させることなく、回転軸へのファン部材の螺合による着脱が可能となる。
【0011】
また係合片は、回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、第1位置と第2位置との間で移動する。これにより係合片の雌ネジ部と回転軸の雄ネジ部との噛み合いが容易となる。
【0012】
上記ファン着脱装置において、取付アダプタは、係合片が第1位置となるようにレバー部材を第1方向に付勢するレバー用付勢部材をさらに有する。
【0013】
これにより係合片が第1位置となり、取付アダプタおよびファン部材を回転軸に螺合により取り付けることが可能となる。
【0014】
上記ファン着脱装置において、取付アダプタは、係合片が第2位置を維持するようにレバー部材をロックする作動部材をさらに有する。
【0015】
これにより係合片を第2位置に保持することができ、回転軸の雄ネジ部を係合片の雌ネジ部と対向する位置まで螺合させずに挿入することが可能となる。この後にレバー部材の第1方向への移動により回転軸の雄ネジ部に係合片の雌ネジ部を噛み合わせることによって、取付アダプタおよびファン部材を回転軸にワンタッチで取り付けることが可能となる。
【0016】
上記ファン着脱装置において、取付アダプタは、作動部材をレバー部材に向けて付勢する作動用付勢部材をさらに有する。作動部材が作動用付勢部材の付勢力に抗して移動することにより作動部材によるレバー部材のロックが解除され、レバー部材がレバー用付勢部材の付勢力により移動することにより、係合片は第1位置へ移動する。
【0017】
これにより、作動部材を作動用付勢部材の付勢力に抗して移動させるという簡易な動作で、作動部材によるレバー部材のロックを解除することができ、雌ネジ部を雄ネジ部に噛み合わせることが可能となる。
【0018】
本発明のレンジフードは、駆動源と、ファン部材と、取付アダプタとを備える。駆動源は、雄ネジ部を含む回転軸を有する。ファン部材は、駆動源の回転軸に着脱可能である。取付アダプタは、ファン部材に対して回転軸を中心に回転可能である。取付アダプタは、レバー部材と、係合片とを有する。レバー部材は、第1方向に移動可能である。係合片は、雌ネジ部を有し、レバー部材の第1方向への移動にしたがって第1方向とは異なる方向であって回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、雌ネジ部と雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、雌ネジ部と雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する。
【0019】
本発明のレンジフードによれば、レバー部材が第1方向へ移動することにより、係合片は、雌ネジ部と雄ネジ部とが噛み合う第1位置と、雌ネジ部と雄ネジ部との噛み合いが解除される第2位置との間で移動する。このためレバー部材を操作して係合片を第1位置へ移動させることにより、取付アダプタを回転軸の雄ネジ部に螺合により着脱することが可能となる。またレバー部材を操作して係合片を第2位置へ移動させることにより、回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部との噛み合いを解除した状態で取付アダプタを回転軸に着脱することが可能となる。このように螺合による着脱と、螺合による噛み合いが解除された状態での着脱とを両立することができる。
【0020】
またレバー部材が油汚れ、錆などにより他の部材と固着することによりレバー部材が操作できない場合でも、レバー部材を操作せずに、取付アダプタを螺合により回転軸に対して着脱することができる。よって油汚れ、錆などによる固着が生じてもファン部材の着脱が容易である。
【0021】
また取付アダプタは、ファン部材に対して回転軸を中心に回転可能である。このため取付アダプタを回転軸に対して回転させれば、ファン部材全体を回転させることなく、回転軸へのファン部材の螺合による着脱が可能となる。
【0022】
また係合片は、回転軸を中心とする径方向である第2方向に移動することによって、第1位置と第2位置との間で移動する。これにより係合片の雌ネジ部と回転軸の雄ネジ部との噛み合いが容易となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、部材の固着が生じてもファンの着脱が容易なファン着脱装置およびレンジフードを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態におけるレンジフードの構成を示す斜視図である。
図2図1のレンジフードの構成を示す断面図である。
図3図1のレンジフードにおけるスピンナー付近の構成を示す斜視図である。
図4図1のレンジフードの一部の構成を示す分解斜視図である。
図5図1のレンジフードにおけるレバー部材、係合片およびレバー用付勢部材の構成を示す斜視図である。
図6】回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部とが噛み合った状態を示す図3のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部とが噛み合った状態を示す図3のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図6のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9】回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部との噛み合いが解除された状態を示す図3のVI-VI線に対応する断面図である。
図10】回転軸の雄ネジ部と係合片の雌ネジ部との噛み合いが解除された状態を示す図3のVII-VII線に対応する断面図である。
図11図9のXI-XI線に沿う断面図である。
図12】係合片が第2位置でロックされた状態を示す図3のVI-VI線に対応する断面図である。
図13】係合片が第2位置でロックされた状態を示す図3のVII-VII線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。
【0026】
<レンジフードの構成>
まず本発明の一実施の形態におけるレンジフードの構成について図1および図2を用いて説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施の形態におけるレンジフード10は、たとえばコンロ(図示せず)の上方に配設されるものである。このレンジフード10は、本体ハウジング11、フードケース12、整流板13、内装パネル14などを有している。
【0028】
本体ハウジング11は、箱形の形状を有している。本体ハウジング11の内部には、スピンナー1(取付アダプタ)、ファン部材4などが配置されている。本体ハウジング11の下端には、フードケース12が接続されている。フードケース12の下端には開口が設けられている。
【0029】
フードケース12の開口の内側には、整流板13と内装パネル14とが装着されている。整流板13と内装パネル14との間の隙間は、本体ハウジング11の内部空間11a(図2)に通じている。
【0030】
図2に示されるように、本体ハウジング11の内部空間11aには、スピンナー1と、ファン部材4、モータ6、ファンケーシング8などが配置されている。
【0031】
ファンケーシング8の底面には吸込口8aが設けられている。ファンケーシング8の内部空間8bは、吸込口8aを通じて、整流板13と内装パネル14との間の隙間15に通じている。またファンケーシング8は、本体ハウジング11の外方に延出された排気ダクト(図示せず)に接続されている。
【0032】
ファン部材4は、ファンケーシング8の内部空間8b内であって吸込口8aの上方に配置されている。ファン部材4は、ベース部材2と、排気用ファン3とを有している。
【0033】
排気用ファン3は、たとえばシロッコファンである。排気用ファン3は、複数のファンブレード3aと、上部支持板3bと、下部支持板3cとを有している。複数のファンブレード3aは、周方向に一定のピッチで配置されている。上部支持板3bは、複数のファンブレード3aの各々の上端を支持している。下部支持板3cは、複数のファンブレード3aの各々の下端を支持している。上部支持板3bおよび下部支持板3cの各々は、円環形状を有している。
【0034】
ベース部材2は、上部支持板3bにおける円環形状の中心に固定されている。ベース部材2は、たとえばボルトなどにより上部支持板3bに取り付けられている。
【0035】
モータ6は、たとえばAC(Alternating Current)モータである。モータ6は、モータ本体6aと、回転軸6bと、突出部6cとを有している。モータ本体6aは、本体ハウジング11に固定されている。モータ本体6aの一部は、ファンケーシング8の内部空間8b内に配置されている。回転軸6bは、ファンケーシング8の内部空間8b内においてモータ本体6aの下端から下方に延びている。突出部6cは、回転軸6bの外周面から回転軸6bの径方向外方に向かって突き出している。
【0036】
モータ6の回転軸6bには、ファン部材4が取り付けられている。ファン部材4に含まれるベース部材2は、モータ6の回転軸6bに嵌合する嵌合部2dを有している。ファン部材4の嵌合部2dがモータ6の突出部6cに嵌合することにより、ファン部材4は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。
【0037】
スピンナー1は、モータ6の回転軸6bに対して螺合により着脱可能である。またスピンナー1は、モータ6の回転軸6bに対してワンタッチ操作により着脱可能である。スピンナー1を回転軸6bに着脱することにより、スピンナー1とともにファン部材4も回転軸6bに着脱することができる。
【0038】
<スピンナー、ファン部材およびモータの構成>
次に、上記スピンナー1、ファン部材4(ベース部材2、排気用ファン3)およびモータ6の詳細な構成について図3図8を用いて説明する。
【0039】
図3に示されるように、スピンナー1は、排気用ファン3の上部支持板3bの下方に配置されている。スピンナー1は、図2に示されるファン部材4をモータ6の回転軸6bに着脱するためのものである。
【0040】
図4に示されるように、ファン部材4に含まれるベース部材2は、円筒部2aと、円環部2bと、フランジ部2cと、嵌合部2dと、貫通孔2eとを有している。
【0041】
円筒部2aは、円筒形状を有している。円環部2bは、円筒部2aの下端において円筒部2aの外周面の全周から外方へ張り出している。円環部2bは、排気用ファン3の上部支持板3bにボルトなどの固定部材により固定される部分である。
【0042】
フランジ部2cは、円環部2bの下端において円環部2bの外周面の全周から外方へ張り出している。フランジ部2cは、後述する押さえ部材1hの内方張り出し部1hbと当接する部分である。
【0043】
嵌合部2dは、円筒部2aの上端に設けられている。嵌合部2dは、複数の凸部と、複数の凹部とにより構成されている。複数の凸部の各々は、円筒部2aの上端から上方に突き出している。複数の凹部の各々は、凸部の上端から下方に窪んだ部分である。複数の凸部および複数の凹部は、凸部と凹部とが周方向に交互に並ぶように配置されている。この凹部は、回転軸6bから突き出した突出部6cが嵌め込まれる部分である。本実施の形態では、凸部および凹部は周方向にたとえば4つずつ配置されている。
【0044】
貫通孔2eは、ベース部材2を貫通している。貫通孔2eは、モータ6の回転軸6bを挿通可能に構成されている。
【0045】
スピンナー1は、レバー部材1aと、レバー用付勢部材1bと、作動部材1cと、作動用付勢部材1dと、スピンナー本体1eと、カバー部材1fと、係合片1ga、1gbと、押さえ部材1hとを有している。
【0046】
スピンナー本体1eは、たとえば円形の縁部の全周が同一方向に折り曲げられた椀形状を有している。
【0047】
図5に示されるように、レバー部材1aは、レバー本体1aaと、底部1abと、付勢部材保持部1acと、1対の案内部1ad、1aeとを有している。レバー本体1aaは、スピンナー1およびファン部材4をレンジフード10に着脱する作業者が着脱作業時に操作する部分である。レバー本体1aaは、作業者が操作するための操作部OPを先端に有している。操作部OPは、レバー本体1aaの先端において下方に折れ曲がった部分である。
【0048】
1対の案内部1ad、1aeの各々はレバー本体1aaに接続されている。付勢部材保持部1acは、1対の案内部1ad、1aeに対してレバー本体1aaの反対側において1対の案内部1ad、1aeの各々に接続されている。
【0049】
1対の案内部1ad、1aeは互いに対向している。1対の案内部1ad、1aeの間の距離は、付勢部材保持部1acに近い位置とレバー本体1aaに近い位置とで異なっている。たとえば付勢部材保持部1acに近い位置における1対の案内部1ad、1ae間の距離LAは、レバー本体1aaに近い位置における1対の案内部1ad、1ae間の距離LBよりも小さい。
【0050】
底部1abは、1対の案内部1ad、1aeの双方の下端に接続されている。底部1abは、貫通孔1afを有している。貫通孔1afは、1対の案内部1ad、1aeに挟まれている。
【0051】
図4に示されるように、貫通孔1afは、大径部haと小径部hbとを有している。大径部haと小径部hbとは互いに接続されている。大径部haは小径部hbのレバー本体1aa側に位置し、小径部hbは大径部haの付勢部材保持部1ac側に位置する。
【0052】
レバー用付勢部材1bはたとえばバネである。レバー用付勢部材1bは、レバー部材1aの付勢部材保持部1acに取り付けられている。
【0053】
作動部材1cは、本体部1caと、突起部1cbと、フランジ部1ccとを有している。本体部1caは円筒形状を有している。突起部1cbは、本体部1caの上端から上方へ延びている。突起部1cbは円柱形状を有している。
【0054】
突起部1cbは本体部1caよりも細く構成されている。具体的には突起部1cbの円柱の径は本体部1caの円筒の外径よりも小さい。フランジ部1ccは、本体部1caの下端部において本体部1caの外周面から外方へ張り出している。
【0055】
突起部1cbは貫通孔1afの小径部hbに挿入可能であり、本体部1caおよびフランジ部1ccの各々は小径部hbに挿入不可能である。つまり突起部1cbの円柱の径は小径部hbの孔径よりも小さく、本体部の円筒の外径およびフランジ部1ccの外径の各々は小径部hbの孔径よりも大きい。
【0056】
また突起部1cbおよび本体部1caの各々は貫通孔1afの大径部haに挿入可能であり、フランジ部1ccは大径部haに挿入不可能である。つまり突起部1cbの円柱の径および本体部1caの円筒の外径の各々は大径部haの孔径よりも小さく、フランジ部1ccの外径は大径部haの孔径よりも大きい。
【0057】
作動用付勢部材1dは、作動部材1cをレバー部材1aに向けて付勢している。作動用付勢部材1dの一方端部は、作動部材1cにおける本体部1caの内部に配置されている。作動用付勢部材1dの他方端部は、スピンナー本体1eに接している。作動用付勢部材1dはたとえばバネである。
【0058】
図5に示されるように、1対の係合片1ga、1gbの各々はたとえば略逆U字形状を有している。係合片1gaは、レバー部材1aの案内部1adを跨ぐように配置されている。また係合片1gbは、レバー部材1aの案内部1aeを跨ぐように配置されている。
【0059】
レバー部材1aは、係合片1ga、1gbに対して相対的に第1方向D1へ移動可能である。レバー部材1aの第1方向D1への移動により係合片1ga、1gbの各々は、レバー部材1aに対して相対的に第2方向D2へ移動可能である。
【0060】
具体的には、レバー部材1aが係合片1ga、1gbに対して第1方向D1へ移動する際、係合片1gaは案内部1adに沿って第2方向D2へ移動し、係合片1gbは案内部1aeに沿って第2方向D2へ移動する。つまり案内部1ad、1aeのそれぞれは、係合片1ga、1gbの第2方向への移動を案内する。
【0061】
これにより1対の係合片1ga、1gbの間の距離は、1対の係合片1ga、1gbが、付勢部材保持部1acに近い位置(第1位置)に配された状態と、レバー本体1aaに近い位置(第2位置)に配された状態とで異なる。たとえば係合片1ga、1gbの間の距離は、係合片1ga、1gbが第1位置に配された状態では小さく、第2位置に配された状態では大きい。
【0062】
なお第1方向D1は、レバー本体1aaおよび付勢部材保持部1acが互いに向かい合う方向である。また第2方向D2は1対の係合片1ga、1gbが互いに向かい合う方向である。第1方向D1と第2方向D2とは互いに異なる方向であり、たとえば互いに直交する方向である。
【0063】
また後述のようにスピンナー1によりファン部材4がモータ6の回転軸6bに取り付けられた状態では、第1方向D1および第2方向D2の各々は回転軸6bを中心とした径方向である。
【0064】
係合片1gaは、係合片1gbと向かい合う部分に雌ネジ部1ga1を有している。また係合片1gbは、係合片1gaと向かい合う部分に雌ネジ部1gb1を有している。雌ネジ部1ga1と雌ネジ部1gb1とは、第2方向D2に互いに向かい合っている。
【0065】
ここで図8に示されるように1対の係合片1ga、1gbが第1位置に配された状態では、雌ネジ部1ga1、1gb1の各々と回転軸6bの雄ネジ部6dとは互いに噛み合う。また図11に示されるように1対の係合片1ga、1gbが第2位置に配された状態では、雌ネジ部1ga1、1gb1の各々と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合いは解除されている。
【0066】
図4に示されるように、カバー部材1fは、カバー部本体1faと、貫通孔1fbと、レバー案内部1fcと、係合片案内部1fdとを有している。カバー部本体1faは、スピンナー本体1eおよび押さえ部材1hの各々に取り付けられる部分であり平板形状を有している。貫通孔1fbは、カバー部本体1faの中央に設けられている。貫通孔1fbは、モータ6の回転軸6bを挿通可能に構成されている。
【0067】
レバー案内部1fcおよび係合片案内部1fdの各々は、カバー部本体1faの下面から下方に突き出すように配置されている。レバー案内部1fcは、第1方向D1に沿って延びている。レバー案内部1fcは、第2方向に互いに向かい合う1対の第1突片を有している。レバー部材1aは、1対の第1突片に挟まれた領域に配置されている。これによりレバー部材1aの第1方向D1への移動は、レバー案内部1fcにおける1対の第1突片によって案内される。
【0068】
係合片案内部1fdは、第2方向D2に沿って延びている。係合片案内部1fdは、第1方向に互いに向かい合う1対の第2突片を有している。係合片1ga、1gbの各々は、1対の第2突片に挟まれた領域に配置されている。これにより係合片1ga、1gbの各々の第2方向D2への移動は、係合片案内部1fdにおける1対の第2突片によって案内される。
【0069】
押さえ部材1hは、円環形状を有しており、中央に貫通孔1hcを有している。貫通孔1hcには、ベース部材2の円筒部2aおよび円環部2bが挿入可能で、かつフランジ部2cを挿入不可能に構成されている。具体的には、貫通孔1hcの径は、円環部2bの径よりも大きく、かつフランジ部2cの径よりも小さい。
【0070】
押さえ部材1hは、本体1haと、内方張り出し部1hbとを有している。本体1haは、円環形状を有している。内方張り出し部1hbは、本体1haの上端において本体1haの内周面から内周側へ張り出している。
【0071】
内方張り出し部1hbの内周端が上記貫通孔1hcを構成している。このため内方張り出し部1hbの内径は貫通孔1hcの径に等しい。本体1haの内径は、ベース部材2におけるフランジ部2cの外径よりも小さい。
【0072】
図6図8は、スピンナー1によりファン部材4がモータ6の回転軸6bに取り付けられた状態であって、回転軸6bの雄ネジ部6dと係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1とが噛み合った状態を示している。
【0073】
図6に示されるように、ファン部材4がモータ6の回転軸6bに取り付けられた状態においては、ベース部材2の円筒部2aは上部支持板3bの貫通孔3baに挿入されている。ベース部材2の貫通孔2eには、回転軸6bが挿入されている。また回転軸6bの外周側に突き出した突出部6cは、ベース部材2の嵌合部2dに嵌合している。これによりベース部材2は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。
【0074】
またベース部材2の円環部2bには、排気用ファン3の上部支持板3bがボルトなどの固定部材(図示せず)により固定されている。これにより回転軸6bが回転すると、ベース部材2および排気用ファン3の双方が回転軸6bとともに回転する。
【0075】
押さえ部材1hの貫通孔1hcにベース部材2の円環部2bが挿通されている。これにより押さえ部材1hにおける内方張り出し部1hbの下面とベース部材2におけるフランジ部2cの上面とが互いに当接している。これにより押さえ部材1hは、ファン部材4(ベース部材2、排気用ファン3)に対して回転軸6bを中心に相対的に回転可能である。
【0076】
押さえ部材1hの本体1haは、ボルトなどの固定部材(図示せず)によってスピンナー本体1eに取り付けられている。押さえ部材1hとスピンナー本体1eとの間にはカバー部材1fが挟まれている。
【0077】
スピンナー本体1eとカバー部材1fとの間の空間には、レバー部材1a、レバー用付勢部材1b、作動部材1c、作動用付勢部材1d、および1対の係合片1ga、1gb(図7)が配置されている。
【0078】
上記によりスピンナー1は、ファン部材4(ベース部材2、排気用ファン3)に対して回転軸6bを中心に相対的に回転可能である。
【0079】
レバー部材1aは、図6に示す第1スライド位置と、図9に示す第2スライド位置との間で第1方向D1にスライド可能である。
【0080】
図6に示されるように、第1スライド位置に配されたレバー部材1aの操作部OPは、第2スライド位置に配されたレバー部材1aの操作部OP(図9)よりもスピンナー本体1eの外方へ突き出している。レバー部材1aは、レバー用付勢部材1bにより操作部OPがスピンナー本体1eから突き出す側(図中右側)へ付勢されている。
【0081】
作動部材1cは、レバー部材1aの下方に位置している。作動部材1cは、作動用付勢部材1dによりレバー部材1a側に付勢されている。作動部材1cの突起部1cbは、貫通孔1afの小径部hbに挿入されている。
【0082】
図8に示されるように、この状態において1対の係合片1ga、1gbの各々は、第1位置(付勢部材保持部1acに近い位置)に配されている。付勢部材保持部1acに近い位置における1対の案内部1ad、1ae間の距離LAは、レバー本体1aaに近い位置における1対の案内部1ad、1ae間の距離LBよりも小さい。このため1対の係合片1ga、1gbは、互いに近づいた位置に配置されている。
【0083】
図7に示されるように、1対の係合片1ga、1gbが互いに近づくことにより、1対の係合片1ga、1gbのそれぞれの雌ネジ部1ga1、1gb1が回転軸6bの雄ネジ部6dと噛み合っている。
【0084】
<スピンナーおよびファン部材の組立方法>
次に、上記スピンナー1およびファン部材4の組立方法について図4を用いて説明する。
【0085】
図4に示されるように、スピンナー本体1eの内部に、レバー部材1a、作動部材1c、付勢部材1b、1d、および1対の係合片1ga、1gbが配置される。
【0086】
具体的には、スピンナー本体1eの内部に作動用付勢部材1dが配置される。作動用付勢部材1dにより作動部材1cがスピンナー本体1eに対して上方へ付勢されるように組み付けられる。作動部材1cの上にレバー部材1aが配置される。この際、レバー部材1aの操作部OPがスピンナー本体1eの外部に位置づけられる。
【0087】
レバー部材1aは、レバー用付勢部材1bにより操作部OPがスピンナー本体1eの外部へ突き出す方向に付勢されるように組み付けられる。係合片1gaが、レバー部材1aの案内部1adを跨ぐように配置される。また係合片1gbが、レバー部材1aの案内部1aeを跨ぐように配置される。
【0088】
レバー部材1aおよび係合片1ga、1gbの上を覆うようにカバー部材1fが配置される。この際、カバー部材1fのレバー案内部1fcを構成する1対の第1突片の間にレバー部材1aが配置される。またカバー部材1fの係合片案内部1fdを構成する1対の第2突片の間に係合片1ga、1gbの各々が配置される。
【0089】
この状態でカバー部材1fの上に、ベース部材2が配置される。ベース部材2の円筒部2aおよび円環部2bが、押さえ部材1hの貫通孔1hcに挿通される。これにより押さえ部材1hの内方張り出し部1hbの下面と、ベース部材2のフランジ部2cの上面とが互いに当接する。押さえ部材1hの貫通孔1hcにベース部材2が挿通された状態で、押さえ部材1hの本体1haがスピンナー本体1eにボルトなどの固定部材により固定される。
【0090】
これによりレバー部材1a、作動部材1c、付勢部材1b、1d、スピンナー本体1e、カバー部材1f、係合片1ga、1gbおよび押さえ部材1hよりなるスピンナー1が組み立てられる。
【0091】
ベース部材2のフランジ部2cがカバー部材1fと押さえ部材1hとの間で挟み込まれている。これによってベース部材2がスピンナー1から抜け落ちることが防止されている。またスピンナー1はベース部材2に固定されていないため、ベース部材2に対して相対回転可能である。
【0092】
この後、ベース部材2の円筒部2aが、上部支持板3bの貫通孔3baに挿通される。この円筒部2aが貫通孔3baに挿通された状態で、上部支持板3bがベース部材2の円環部2bにボルトなどの固定部材により固定される。これによりベース部材2は上部支持板3bに相対回転不能に取り付けられる。
【0093】
上記のように、スピンナー1およびファン部材4が組み立てられる。
なお図4においては、排気用ファン3の上部支持板3bのみが示されており、複数のファンブレード3aおよび下部支持板3cが示されていないが、上記組立の際には上部支持板3bには複数のファンブレード3aおよび下部支持板3cが組み付けられている。
【0094】
<スピンナーとファン部材との組立体をレンジフードに取り付ける方法>
次に、上記のように組み立てられたスピンナー1およびファン部材4の組立体をレンジフード10に取り付ける方法について図6図11などを用いて説明する。
【0095】
まず、スピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bに螺合により取り付ける方法について図6図8を用いて説明する。
【0096】
螺合による取付は、図6に示されるようにレバー部材1aが第1スライド位置にある状態で行われる。この状態においては、レバー部材1aがレバー用付勢部材1bで付勢されることにより、レバー部材1aの操作部OPがスピンナー本体1eの外側に大きく突き出している。
【0097】
レバー部材1aが第1スライド位置にある状態では、図8に示されるように1対の係合片1ga、1gbの各々は、第1位置に配されている。第1位置に配された1対の係合片1ga、1gbは、第2位置に配された1対の係合片1ga、1gbよりも互いに近づいた位置に配されている。
【0098】
上記の状態で、図7に示されるように、ベース部材2の貫通孔2eにモータ6の回転軸6bが挿入される。回転軸6bの先端が1対の係合片1ga、1gbに達した時点から、回転軸6bに対してスピンナー1が相対的に回転される。この回転により係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1が回転軸6bの雄ネジ部6dにねじ込まれる。これによりスピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bに螺合により取り付けることができる。
【0099】
またスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから螺合により取り外す際には、図7に示される状態から、スピンナー1がベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転される。係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1と回転軸6bの雄ネジ部6dとの螺合状態が解除されるまでスピンナー1が回転軸6bに対して回転される。これにより、スピンナー1およびファン部材4が回転軸6bから取り外される。
【0100】
次に、スピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bにワンタッチで取り付ける方法について図9図13を用いて説明する。
【0101】
ワンタッチでの取付は、図12に示されるようにレバー部材1aが第2スライド位置にある状態で行われる。この状態においては、レバー用付勢部材1bの付勢力に抗してレバー部材1aがスピンナー本体1e内に押し込められている。このためスピンナー本体1eからの操作部OPの突き出し量は、図6に示す状態よりも少ない。
【0102】
レバー部材1aが第2スライド位置にある状態では、図11に示されるように1対の係合片1ga、1gbの各々は、第2位置に配されている。第2位置に配された1対の係合片1ga、1gbは、第1位置に配された1対の係合片1ga、1gb(図8)よりも互いに離れた位置に配されている。
【0103】
上記の状態では図13に示されるように、作動部材1cは作動用付勢部材1dの付勢力によりレバー部材1aに向けて付勢されている。この付勢力により作動部材1cの本体部1caは、レバー部材1aにおける貫通孔1afの大径部haに挿入されている。これにより作動部材1cは、レバー用付勢部材1bの付勢力に抗してレバー部材1aを第2スライド位置に維持している。つまり作動部材1cは1対の係合片1ga、1gbが第2位置となるようにレバー部材1aを第2スライド位置にロックしている。
【0104】
上記の状態で、図9に示されるように、スピンナー1とファン部材4との組立体がレンジフードに取り付けられる。具体的には、レバー部材1aが第2スライド位置にロックされ、かつ1対の係合片1ga、1gbの各々が第2位置に配された状態で、ベース部材2の貫通孔2eにモータ6の回転軸6bが挿入されていく。これにより回転軸6bの雄ネジ部6dが係合片1gaの雌ネジ部1ga1と係合片1gbの雌ネジ部1gb1との間に挿入される。
【0105】
この際、1対の係合片1ga、1gbの各々は第2位置に配され、第1位置に配された状態よりも互いに離れている。このため図11に示されるように、雌ネジ部1ga1と雌ネジ部1gb1との間の距離は雄ネジ部6dの外径よりも大きくなっている。よって雄ネジ部6dは雌ネジ部1ga1、1gb1間に挿入可能である。
【0106】
回転軸6bが雌ネジ部1ga1、1gb1間に挿入されることにより、図10に示されるように回転軸6bが作動部材1cを作動用付勢部材1dの付勢力に抗して下方へ押し込む。作動部材1cが下方に押し込まれると、作動部材1cの本体部1caが貫通孔1afの大径部haから抜ける。これにより作動部材1cによるレバー部材1aの第2スライド位置でのロックが解除される。
【0107】
これによりレバー部材1aは、図6に示されるようにレバー用付勢部材1bの付勢力により操作部OPがスピンナー本体1eの外部へ突き出す方向(図中右側)にスライド移動する。つまりレバー部材1aは、図9に示される第2スライド位置から図6に示される第1スライド位置へ移動する。
【0108】
レバー部材1aが上記のように第1スライド位置へ移動することにより、図8に示されるように、1対の係合片1ga、1gbの各々は、第2位置(図11)から第1位置へ移動する。1対の係合片1ga、1gbの各々は、第1位置に配されることにより、第2位置に配された状態よりも互いに近づく。
【0109】
これにより図7に示されるように、雌ネジ部1ga1、1gb1の各々は雄ネジ部6dに噛み合う。またレバー用付勢部材1bの付勢力により雌ネジ部1ga1、1gb1の各々と雄ネジ部6dとの噛み合い状態が維持される。これによりスピンナー1およびファン部材4は、ネジ部の締め上げ無しにワンタッチ操作でモータ6の回転軸6bに固定される。
【0110】
なおスピンナー1はベース部材2に対して相対回転可能に取り付けられている。このため上記のようにスピンナー1およびファン部材4の組立体が回転軸6bに取り付けられた状態において、スピンナー1をベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転させることができる。これにより、係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合いがさらに締め上げられてもよい。
【0111】
また回転軸6bから突き出た突出部6cとファン部材4の嵌合部2dとが互いに嵌合することにより、ファン部材4は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。このため回転軸6bがモータ本体6aから駆動力を受けて回転すると、ファン部材4は回転軸6bとともに回転する。
【0112】
なおスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bからワンタッチ操作で取り外す際には、図6に示される状態から、レバー部材1aの操作部OPがスピンナー本体1eの内部へ押し込まれるように操作される。この押し込み操作により、図9に示されるように、レバー部材1aがレバー用付勢部材1b側(図中左側)にスライド移動する。つまりレバー部材1aは、図6に示される第1スライド位置から図9に示される第2スライド位置へ移動する。
【0113】
これにより係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合い状態が解除される。このためスピンナー1をベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転させることなく、レバー部材1aの操作部OPを押し込むようにスライド操作しながらスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから引き抜くというワンタッチ操作で、スピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから取り外すことができる。
【0114】
<作用効果>
次に、本実施の形態におけるスピンナー1(取付アダプタ)およびレンジフード10の効果について説明する。
【0115】
本実施の形態によれば、図4に示されるようにレバー部材1aが第1方向D1へ移動する。これにより、係合片1ga、1gbは、図7に示されるように雌ネジ部1ga1、1gb1と雄ネジ部6dとが噛み合う第1位置と、図10に示されるように雌ネジ部1ga1、1gb1と雄ネジ部6dとの噛み合いが解除される第2位置との間で移動する。このためレバー部材1aを操作して係合片1ga、1gbを図7に示される第1位置へ移動させることにより、スピンナー1を回転軸6bの雄ネジ部6dに螺合により着脱することが可能となる。またレバー部材1aを操作して係合片1ga、1gbを図10に示される第2位置へ移動させることにより、回転軸6bの雄ネジ部6dと係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1との噛み合いを解除した状態でスピンナー1を回転軸6bに着脱することが可能となる。このように螺合による着脱と、螺合による噛み合いが解除された状態での着脱(ワンタッチ着脱)とを両立することができる。
【0116】
またレバー部材1aが油汚れ、錆などにより他の部材と固着することによりレバー部材1aを操作できない場合でも、レバー部材1aを操作せずに、スピンナー1を螺合により回転軸6bに対して着脱することができる。よって油汚れ、錆などによる固着が生じてもファン部材4の着脱が容易である。
【0117】
またスピンナー1は、ファン部材4に対して回転軸6bを中心に回転可能である。このためスピンナー1を回転軸6bに対して回転させれば、ファン部材4全体を回転させることなく、回転軸6bへのファン部材4の螺合による着脱が可能となる。これにより図7に示されるように、スピンナー1およびファン部材4の組立体がワンタッチで回転軸6bに取り付けられた状態において、スピンナー1をベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転させることができる。よって、係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合いをさらに締め上げることも可能となる。
【0118】
また係合片1ga、1gbの各々は、回転軸6bを中心とする径方向である第2方向D2に移動することによって、第1位置(図7図8)と第2位置(図10図11)との間で移動する。これにより係合片1ga、1gbの雌ネジ部1ga1、1gb1と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合いが容易となる。
【0119】
また本実施の形態においては図6に示されるように、スピンナー1は、係合片1ga、1gbが第1位置となるようにレバー部材1aを第1方向D1に付勢するレバー用付勢部材1bを有する。これにより係合片1ga、1gbが第1位置となり、上記螺合によりスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bに螺合により取り付けることが可能となる。
【0120】
また本実施の形態においては図6に示されるように、スピンナー1は、係合片1ga、1gbが第2位置を維持するようにレバー部材1aをロックする作動部材1cを有する。これにより係合片1ga、1gbを第2位置に保持することができ、図11に示されるように雌ネジ部1ga1、1gb1の間の距離は雄ネジ部6dの外径よりも大きくなる。このため、雄ネジ部6dを雌ネジ部1ga1、1gb1間へ挿入することが可能となる。よってスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bにワンタッチで取り付けることが可能となる。
【0121】
また本実施の形態においては、作動部材1cが作動用付勢部材1dの付勢力に抗して図12に示す状態から図6に示す状態へ移動することにより作動部材1cによるレバー部材1aのロックが解除され、レバー部材1aはレバー用付勢部材1bの付勢力により移動することにより、係合片1ga、1gbは図8に示す第1位置へ移動する。これにより、作動部材1cを作動用付勢部材1dの付勢力に抗して移動させるという簡易な動作で、雌ネジ部1ga1、1gb1を雄ネジ部6dに噛み合わせることができる。
【0122】
上記実施の形態においては、排気用ファン3を回転させる駆動源としてモータ6について説明したが、駆動源はモータ6に限定されず、排気用ファン3を回転可能なものであればよい。
【0123】
また上記実施の形態においては、図5に示されるように、回転軸6bとスピンナー1とは、回転軸6bの回転方向に対して回転軸6bとスピンナー1との螺合が締まるように構成されている。具体的には回転軸6bの雄ネジ部6dが回転軸6bの回転方向に対して逆ネジとなっている。これにより回転軸6bの回転により回転軸6bとスピンナー1とが強固に締結されることになる。
【0124】
また上記実施の形態においては、スピンナー1がファン部材4に相対回転可能に取り付けられた構成について説明したが、スピンナー1はファン部材4と別体であってもよい。
【0125】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 スピンナー、1a レバー部材、1aa レバー本体、1ab 底部、1ad,1ae 案内部、1af,1fb,1hc,2e,3ba 貫通孔、1b レバー用付勢部材、1c 作動部材、1ca 本体部、1cb 突起部、1cc,2c フランジ部、1d 作動用付勢部材、1e スピンナー本体、1f カバー部材、1fa カバー部本体、1fc レバー案内部、1fd 係合片案内部、1ga1,1gb1 雌ネジ部、1ga,1gb 係合片、1h 押さえ部材、1ha 本体、1hb 内方張り出し部、2 ベース部材、2a 円筒部、2b 円環部、2d 嵌合部、3 排気用ファン、3a ファンブレード、3b 上部支持板、3c 下部支持板、4 ファン部材、6 モータ、6a モータ本体、6b 回転軸、6c 突出部、6d 雄ネジ部、8 ファンケーシング、8a 吸込口、8b,11a 内部空間、10 レンジフード、11 本体ハウジング、12 フードケース、13 整流板、14 内装パネル、15 隙間、D1 第1方向、D2 第2方向、OP 操作部、ha 大径部、hb 小径部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13