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特許7542385駐車場予約装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】駐車場予約装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20240823BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240823BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020167429
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059686
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】秋鹿 陽介
(72)【発明者】
【氏名】蕨 美緒
(72)【発明者】
【氏名】中戸 英貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 英俊
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159996(JP,A)
【文献】特開2020-27474(JP,A)
【文献】特開2006-59056(JP,A)
【文献】特開2020-80102(JP,A)
【文献】特開2020-79973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車マスをそれぞれが備えた複数の駐車モールに対する予約システムであって、
駐車マスの予約者に係る端末から予約を希望する日時および予約者を特定するための予約者名等を含む申し込みデータを受信する申し込みデータ受信手段と、
その申し込みデータを蓄積する申し込みデータベースと、
その申し込みデータベースへ蓄積された申し込みデータに対して、申し込みに係る日時における時間帯毎に、複数の駐車モールへ振り分ける旨のタグ付けをした振り分け仮データを作成する申し込みデータ振り分け手段と、
前記の振り分け仮データを予め許諾された許諾端末にて閲覧可能とする振り分け仮データ閲覧手段と、
その振り分け仮データ閲覧手段によって閲覧可能とされた振り分け仮データの振り分け先を変更する調整データを前記の許諾端末から受信する調整データ受信手段と、
その調整データ受信手段にて受信した調整後データを蓄積する駐車マス管理データベースと、
前記の調整後データを、前記の申し込みデータを送信した予約者に係る端末へ送信する調整後データ送信手段と、
を備え、
前記の複数の駐車モールは、普遍的な便利さを備えた優先モールと、その優先モールよりも便利さに劣るエキストラモールとに大別し、
前記の申し込みデータ振り分け手段は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとした
駐車場予約装置。
【請求項2】
前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、一時間を複数分割した時間帯を予約者が選択することとした
請求項1に記載の駐車場管理装置。
【請求項3】
前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、予約に係る駐車マスへ集合するための列車の到着日時とすることした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の駐車場管理装置。
【請求項4】
前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータには、予約に係るバスの台数のデータを含むこととした
請求項1から請求項3のいずれかに記載の駐車場管理装置。
【請求項5】
前記の申し込みデータ振り分け手段が作成した振り分け仮データを、前記の振り分け仮データ閲覧手段が閲覧可能とする前に、前記の許諾端末へ送信する振り分け仮データ送信手段を備えることとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載の駐車場管理装置。
【請求項6】
前記の申し込みデータ振り分け手段は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数よりも少ない確定台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとした
請求項1から請求項5のいずれかに記載の駐車場管理装置。
【請求項7】
複数の駐車マスをそれぞれが備えた複数の駐車モールに対する駐車場予約装置を制御するコンピュータプログラムであって、
そのコンピュータプログラムは、
駐車マスの予約者に係る端末から予約を希望する日時および予約者を特定するための予約者名等を含む申し込みデータを受信する申し込みデータ受信手順と、
その申し込みデータを申し込みデータベースへ蓄積する申し込みデータ蓄積手順と、
前記の申し込みデータベースへ蓄積された申し込みデータに対して、申し込みに係る日時における時間帯毎に、複数の駐車モールへ振り分ける旨のタグ付けをした振り分け仮データを作成する申し込みデータ振り分け手順と、
前記の振り分け仮データを予め許諾された許諾端末にて閲覧可能とする振り分け仮データ閲覧手順と、
閲覧可能とされた前記の振り分け仮データの振り分け先を変更する調整データを前記の許諾端末から受信する調整データ受信手順と、
その調整データ受信手順にて受信した調整後データを駐車マス管理データベースへ蓄積する調整後データ蓄積手順と、
前記の調整後データを、前記の申し込みデータを送信した予約者に係る端末へ送信する調整後データ送信手順と、
を前記の駐車場予約装置に実行させ、
前記の複数の駐車モールは、普遍的な便利さを備えた優先モール(たとえば「駅直結モール」)と、その優先モールよりも便利さに劣るエキストラモール(たとえば「東本願寺乗降場」)とに大別し、
前記の申し込みデータ振り分け手順においては、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとしたコンピュータプログラム
【請求項8】
前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、一時間を複数分割した時間帯を予約者が選択することとした
請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、予約に係る駐車マスへ集合するための列車の到着日時とすることとした
請求項7または請求項8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータには、予約に係るバスの台数のデータを含むこととした
請求項7から請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の申し込みデータ振り分け手順にて作成した振り分け仮データを、前記の振り分け仮データ閲覧手順にて閲覧可能とする前に、前記の許諾端末へ送信する振り分け仮データ送信手順を備えることとした
請求項7から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記の申し込みデータ振り分け手順は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数よりも少ない確定台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとした
請求項7から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスやタクシーといった旅客車両に対して乗客が乗降する乗降スペースとして提供されている駐車マスを、予約して円滑に活用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を駐車するための空間を一時的に貸し出す、という駐車場提供というサービスは、情報通信技術の進歩とともにサービスの質が向上している。たとえば、混雑が予想される時間帯および場所にある駐車場を、予約しておくことによって円滑に利用できるようにする、といったサービスは、既に提供されている。
【0003】
特許文献1には、駐車しようとした駐車場が満車であった場合に、他の駐車場に空き駐車スペースがあったとしてもその満車の駐車場への入庫を待ち続けなければならないという問題や、駐車場に入場できるまでの待ち時間を把握できなかったという問題を解決する技術を提供している。
すなわち、満車駐車場における入庫待ち車両の有無を検出する入庫待ち検出手段と、前記入庫待ち検出手段によって入庫待ち車両があると検出された場合に、前記満車駐車場に近隣する一または複数の近隣駐車場における空き駐車スペースの有無を検出する満空検出手段と、前記満空検出手段によって検出された検出結果に基づいて、前記満車駐車場または前記近隣駐車場への駐車を促す誘導情報を出力する出力手段と、を備えた駐車支援装置を開示している(図1参照)。
【0004】
特許文献2には、イベントが開催される場所の周辺での駐車場予約と、イベント参加予約とを一括で実行できる技術が開示されている。
すなわち、イベント予約データを受信するイベント予約受信手段と、そのイベント予約データに含まれる場所および入出庫の予測時刻を用いて駐車場を検索する検索手段と、その検索手段が抽出した適合物件を送信する適合物件送信手段と、駐車場の予約データを受信したらその予約データを駐車場データベースへ送信する駐車場データベースアクセス手段と、を備えた一括予約サイトを開示している(図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4224521号公報
【文献】特開2018-77655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、日本有数の観光地であり、修学旅行の目的地としても人気のある京都駅をターミナルの例として、現状の課題について説明する。
【0007】
(京都駅周辺のバスモール)
京都駅のバス乗降スペースは、地上階の八条口で12台のバスが駐車できる駐車マスを備えた駅直結バスモール(以下、「駅直結モール」と略記)と、東本願寺前に設けられたバス約7台分のエキストラモールとが利用されている。この駅直結モールおよびエキストラモールでも足りない場合は、本来的には降車専用としているバス2台分の降車用モール、および行政が民有の土地と臨時契約して提供される暫定モールも利用される。
【0008】
たとえば、新幹線を利用して京都駅に到着する団体客(引率者を含む修学旅行生)を想定する。一車両に約100名が乗車するが、修学旅行のトップシーズン(5~6月および10~11月)には専用列車が臨時ダイヤとして組まれ、16両全て、すなわち約1600名が修学旅行生となる。1600名の修学旅行生(引率者を含む)が京都駅へ到着すると、修学のための拠点へ移動するためにバスへ乗り換える。バス一台の定員は約50名なので、32台のバスが必要となる。こうした臨時列車の他にも、数分おきに到着する新幹線からは次々と団体客が降車する。
こうした数字からも、乗客のバスへの乗車スペースが数多く必要であり、トップシーズンには駅直結バスモールのみでは足りず、エキストラモールや暫定モールが必要となることは想像できよう。
【0009】
バスへの乗車スペースという空間を、時間を割り振って効率的に運用するためには、予約を受け付け、時間帯毎に割り振るための予約管理システムが不可欠となる。そこで、「駐車場の予約システム」を応用することが考えられる。
【0010】
従来の駐車場予約システムは、貸し出せる駐車マスに個体識別をして管理し、個々の駐車マスに対してどのような予約を入れていくか、という情報通信技術に基づいて構築されている。
しかし、京都駅前のバス乗車スペース等に関するトップシーズンの予約を受け付けることは、従来の駐車場予約システムを単に応用しただけでは実現できない。その理由を以下に述べる。
【0011】
予約を希望する数に対して、管理対象となっている駐車マスの数が少なすぎるので、予約ができなかった数が膨大になってしまう。
しかし、バス乗車スペースを予約できなかったことを理由に、団体客を含めた旅行が取り止めになることはない。そのため、予約できなかった予約希望者を放置すると、京都駅周辺の道路で無秩序にバスを駐車させて、乗客を待ったり乗車させたりすることとなる。その結果、京都駅周辺に大渋滞が発生し、道路交通が麻痺するような事態となってしまう。
【0012】
こうした事態を未然に防ぐためには、予約できる期間にある程度の制限を設定するとしても、予約を希望する希望者には、バス乗車スペースを確保して提供することが求められることとなる。そのために必要とされるのが、駅直結モールやエキストラモールの効率的な運用と、前述した「暫定モール」の確保ということになる。換言すれば、駅直結モールやエキストラモールの効率的な運用に加え、暫定モールを必要に応じて確保可能であることによって、予約希望者には必ずバス乗車スペースを確保して提供する「全数予約システム」が可能となる。
【0013】
しかし、暫定モールのほとんどは私有地であり、私有地の権利者との交渉、調整に加え、契約などの「手続」が必要である。加えて、私有地の権利者の都合で、この日は貸せるがあの日はできない、この日の午前だけしか貸せない、といった「細かな条件」が含まれることも多い。こうした「細かな条件」を含んだ「手続」や、その前提となる交渉、調整は、行政(たとえば京都市役所の担当部署)が担当するのが一般的である。となると、「全数予約システム」の実現には、行政との事前調整が、現時点では不可欠ということとなる。
【0014】
さて、バスを提供するバス会社の団体と、駅直結モールやエキストラモールや暫定モールのいずれを使うのが合理的であるか、を事前調整することが望ましい事態も内在する。たとえば、バス会社Aとバス会社Bとを同じ時間帯に混在させた方が乗客の乗り間違いを防ぎやすいとか、目的地Xへ向かうには駅直結モールよりもエキストラモールの方が都合がよいとか、団体Mには車椅子の乗客が含まれているから駅直結モールとすべきとか、予約を申し込む際には得にくい情報をバス会社が保有している場合がある。
【0015】
したがって、バス会社に固有の事情やバス会社が得ている情報に基づいた考慮した「全数予約システム」を実現するには、バス会社との事前調整が現時点では必要ということになる。
【0016】
「全数予約システム」を、バス会社との事前調整まで含めて実現するためには、特許文献1や特許文献2に開示された技術を単純に組み合わせても、極めて困難である。
たとえば、特許文献2に開示された技術は、適合する条件の駐車場が見つからない場合に、他の駐車場予約サイトを検索したり予約条件データの再入力を促したりする技術が開示されている(段落番号0048付近)。しかし、全数予約を約束できる構造とはなっていない。
【0017】
バスへの乗車を前提としたバスの駐車マスに関する予約とその問題点を議論してきたが、公共交通機関のターミナルからは離れた場所で開催される屋外イベントを前提としても、臨時駐車場の確保といった行政との事前調整が必要となるような予約システムでは、同様の問題点が予測される。
また、駐車時に荷物を積み卸しするといった大型の貨物用車両が多数、入出庫をするような広い駐車スペースにおいても、同様の問題がある。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、行政やバス会社といった駐車場予約システムの運営者とは別の第三者との事前調整が可能な駐車場予約の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した課題を解決するため、駐車マスの予約とその予約に伴う事前調整とが可能な駐車場予約装置に係る第一の発明、および第一の発明に係る駐車場予約装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0020】
(第一の発明)
第一の発明は、複数の駐車マスをそれぞれが備えた複数の駐車モールに対する予約システムであって、
駐車マスの予約者に係る端末から予約を希望する日時および予約者を特定するための予約者名等を含む申し込みデータを受信する申し込みデータ受信手段と、
その申し込みデータを蓄積する申し込みデータベースと、
その申し込みデータベースへ蓄積された申し込みデータに対して、申し込みに係る日時における時間帯毎に、複数の駐車モールへ振り分ける旨のタグ付けをした振り分け仮データを作成する申し込みデータ振り分け手段と、
前記の振り分け仮データを予め許諾された許諾端末にて閲覧可能とする振り分け仮データ閲覧手段と、
その振り分け仮データ閲覧手段によって閲覧可能とされた振り分け仮データの振り分け先を変更する調整データを前記の許諾端末から受信する調整データ受信手段と、
その調整データ受信手段にて受信した調整後データを蓄積する駐車マス管理データベースと、
前記の調整後データを、前記の申し込みデータを送信した予約者に係る端末へ送信する調整後データ送信手段と、
を備え、
前記の複数の駐車モールは、普遍的な便利さを備えた優先モール(たとえば「駅直結モール」)と、その優先モールよりも便利さに劣るエキストラモール(たとえば「東本願寺乗降場」)とに大別し、
前記の申し込みデータ振り分け手段は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとした
駐車場予約装置に係る(図3参照)。
【0021】
(用語説明)
「許諾端末」とは、本願に係る駐車場予約装置の運営者とは別の第三者に係る通信端末である。ここで、前記の「別の第三者」とは、当該システムが管理する駐車場の円滑運用に関わる者、具体的には、当該駐車場を管轄する行政(の担当者)、駐車マスへの車両運行を管理するバス会社の団体(の担当者)である。バスを実際に利用する乗客とおよびバス会社の間に旅行代理店が介在する場合には、旅行代理店(の担当者)が操作する通信端末も、予め許諾された端末となる場合もある。
【0022】
「許容台数」とは、「時間帯」の時間内に入庫して出庫を完了する台数の予測値である。該当する駐車場の周辺状況、季節、駐車場で入出庫を補助するスタッフの技術などの運営ノウハウなどによって、同じ駐車場に対する許容台数であっても異なってくる。条件が最適な場合に入出庫を完了させられる「最大値」や、車両を同時に駐車させられる「マス数」とは当然異なるが、「許容台数」を「マス数」と概ね一致させておくと、管理が容易になる。そのため、後述する実施形態においては、「時間帯を20分」、「許容台数を12台」としている。
許容台数は、駐車場予約装置における予測値であるので、予約遂行当日の状況(乗車する客の集合具合、駐車場の周辺の交通事情など)によって、一つの時間帯にて入出庫を完了する台数と一致するわけではない。
【0023】
「振り分け条件」とは、たとえば、時間帯ごとに許容台数を下回っている場合に優先モールで確定させる、複数台が同じ団体からの申し込みである場合に同じモール(優先モールかエキストラモールのいずれか一方)へ収まるようにする、といった条件である(図10A,D参照)。
振り分け条件は、確定したものではなく、過去の経験などを踏まえて随時改訂する。また、そのシーズンに特有な事情が発生した場合などには、条件を追加したり適用順位を変更したりする。
【0024】
(作用)
予約者に係る端末から予約を希望する日時予約者を特定するための予約者名等を含む申し込みデータを、申し込みデータ受信手段が受信する。受信した申し込みデータは、申し込みデータベースへ蓄積する。
その申し込みデータベースへ蓄積された複数の申し込みデータは、申し込みに係る日時における時間帯毎に、申し込みデータ振り分け手段が優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けをした振り分け仮データを作成する。なお、申し込みデータを全て受け付け、全ての申し込みデータを振り分けることは可能であり望ましくもある。しかし、「全数受付」を厳格に運用するのではなく、申し込みデータの全数を受け付けずに例外を定めたり、振り分け対象を全数とはせずに一部を除外したりすることは可能である。
【0025】
振り分け仮データ閲覧手段によって、振り分け仮データは許諾端末から閲覧可能となる。許諾端末を閲覧した担当者は、必要に応じて振り分け仮データに対する変更した調整データを許諾端末から入力し、送信する。送信された調整データは、調整データ受信手段が受信し、駐車マス管理データベースへ蓄積される。また、調整後データは、申し込みデータを送信した予約者に係る端末へ調整後データ送信手段が送信する。
【0026】
予約者は、自らの端末を用いてバス駐車マスの予約が可能である。また、その予約に伴う事前調整の関係者は、許諾端末を介して振り分け仮データを閲覧したり、振り分け仮データを変更した調整後データを送信したりすることができる。
【0027】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、一時間を複数分割した時間帯を予約者が選択することとするのである(図7(c)参照)。
【0028】
(用語説明)
「一時間を複数分割した時間帯」とは、たとえば、9時から10時という一時間を三分割する場合には、「9:00~9:20」、「9:20~9:40」、「9:40~10:00」という時間帯となる。予約者は、三つの時間帯の中から予約希望時刻が含まれる時間帯を選択することとなる。
なお、後述する実施形態においては、一時間を三分割する場合を例示しているが、四分割(15分ずつ)、二分割(30分ずつ)という分割を否定するものではないし、「一時間での分割」にそぐわない「25分ずつ」といった分割方法を否定するものでもない。
【0029】
(作用)
たとえば、予約に係る駐車マスへ集合するための列車の到着時刻が8:51であり、列車の到着ホームから駐車マスへの移動時間が約10分である場合、駐車マスへ到着するのが9:01前後となる。予約者は、それを考慮に入れ、予約希望日時として、日付を特定するとともに「9:00~9:20」を選択して申し込みデータとすることとなる(図7(c)参照)。
【0030】
駐車場予約装置としては、申し込みデータに含まれる予約希望日時を複数に分割された時間帯毎にグループ化した管理運営することができる。
【0031】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、予約に係る駐車マスへ集合するための列車の到着日時とすることができる(図5参照)。
前述したバリエーション1の場合のように、一時間を複数分割した時間帯が用意されている場合には、列車の到着時刻から、予約すべき時間帯へ自動的に割り振ることとする。
【0032】
(作用)
予約者としては、列車の到着日時を入力することで、申し込むべき予約希望日時としての最適時刻を自ら考える必要がない。
駐車場予約装置としては、予約者の思考を入れることなく、申し込みデータを取得することができる。
【0033】
前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータに、列車到着時刻とバス乗車時刻までの希望(a.なるべく早く b.余裕あり 等)とを入力(または選択入力)を含めることとして、最適な時間割へ割り振ることとしてもよい。
【0034】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手段が受信する申し込みデータには、予約に係るバスの台数のデータを含むこととしてもよい(図5参照)。
【0035】
(作用)
予約者としては、複数台の申し込みを一度に完了させることができるので、申し込みデータの入力や送信の作業繰り返しが必要ない。
駐車場予約装置としては、複数台分の申し込みデータを一度に取得することができる。
【0036】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の申し込みデータ振り分け手段が作成した振り分け仮データを、前記の振り分け仮データ閲覧手段が閲覧可能とする前に、前記の許諾端末へ送信する振り分け仮データ送信手段を備えることとするのである(図3における「振り分け仮データ(1)」参照)。
【0037】
(作用)
許諾端末の操作者(たとえば、行政の担当者)としては、振り分け仮データが閲覧可能となる前に、事前に振り分け仮データを入手することができる。
【0038】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の申し込みデータ振り分け手段は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数よりも少ない確定台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとするのである(図13参照)。
【0039】
「確定台数」は、トップシーズンにおける予約が修学旅行の関係で全て埋まってしまうことのないようにするため、許容台数から「一般枠」を確保するために定めている。たとえば、許容台数が12台であれば、確定台数は10台とすることで、一般枠を各時間帯で2台確保する。
【0040】
(第二の発明)
第二の発明は、複数の駐車マスをそれぞれが備えた複数の駐車モールに対する駐車場予約装置を制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、
駐車マスの予約者に係る端末から予約を希望する日時および予約者を特定するための予約者名等を含む申し込みデータを受信する申し込みデータ受信手順と、
その申し込みデータを申し込みデータベースへ蓄積する申し込みデータ蓄積手順と、
前記の申し込みデータベースへ蓄積された申し込みデータに対して、申し込みに係る日時における時間帯毎に、複数の駐車モールへ振り分ける旨のタグ付けをした振り分け仮データを作成する申し込みデータ振り分け手順と、
前記の振り分け仮データを予め許諾された許諾端末にて閲覧可能とする振り分け仮データ閲覧手順と、
閲覧可能とされた前記の振り分け仮データの振り分け先を変更する調整データを前記の許諾端末から受信する調整データ受信手順と、
その調整データ受信手順にて受信した調整後データを駐車マス管理データベースへ蓄積する調整後データ蓄積手順と、
前記の調整後データを、前記の申し込みデータを送信した予約者に係る端末へ送信する調整後データ送信手順と、
を前記の駐車場予約装置に実行させ、
前記の複数の駐車モールは、普遍的な便利さを備えた優先モール(たとえば「駅直結モール」)と、その優先モールよりも便利さに劣るエキストラモール(たとえば「東本願寺乗降場」)とに大別し、
前記の申し込みデータ振り分け手順においては、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとしたコンピュータプログラムである。
【0041】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、一時間を複数分割した時間帯を予約者が選択することとするのである。
【0042】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータに含まれる予約希望日時は、予約に係る駐車マスへ集合するための列車の到着日時とすることができる。
前述したバリエーション1の場合のように、一時間を複数分割した時間帯が用意されている場合には、列車の到着時刻から、予約すべき時間帯へ自動的に割り振ることとしてもよい。
【0043】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の申し込みデータ受信手順にて受信する申し込みデータには、予約に係るバスの台数のデータを含むこととしてもよい
【0044】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の申し込みデータ振り分け手順にて作成した振り分け仮データを、前記の振り分け仮データ閲覧手順にて閲覧可能とする前に、前記の許諾端末へ送信する振り分け仮データ送信手順を備えることとするのである(図3における「振り分け仮データ(1)」参照)。
【0045】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の申し込みデータ振り分け手順は、前記の時間帯毎に予め定めた許容台数よりも少ない確定台数および予め定めた振り分け条件に基づいて前記の申し込みデータに対し、前記の優先モールとするか前記のエキストラモールとするかのタグ付けを実行することとするのである(図13参照)。
【0046】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第二の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0047】
第一の発明によれば、行政やバス会社といった駐車場予約システムの運営者とは別の第三者との事前調整が可能な駐車場管理装置を提供することができた。
第二の発明によれば、行政やバス会社といった駐車場予約システムの運営者とは別の第三者との事前調整が可能な駐車場管理装置の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】先行技術を示すフローチャートである。
図2】先行技術を示すブロック図である。
図3】本発明に係る実施形態(トップシーズンの駐車マス予約システム)を示す概念図である。
図4】申し込みデータの入力画面の主要部を説明するための概念図である。
図5】予約の申し込み画面の一例を示す図である。
図6】予約内容の入力に際しての注意事項を示す図である。
図7】申し込みデータの入力画面の主要部を説明するための図である。
図8】申し込みを締め切って調整を実行する前の予約申し込みデータの構造を示す概念図である。
図9】申し込みデータを受信してから、調整を完了するまでのフローチャートである。
図10】振り分け条件を列挙した図である。
図11】駐車マスの種類を示す表である。
図12】申し込みデータの処理手順を示すブロック図である。
図13】申し込みデータについて、許容台数から一般枠を確保することを示すための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、図3から図13である。
【0050】
図3
図3では、5~6月または10~11月のトップシーズンにおける団体旅行用バスの乗車を実行するため、京都駅に直結したバス専用の駐車場(駐車マス)を予約するシステムをブロック図で示している。
【0051】
予約を希望する者は、通信端末を用いて予約サーバと双方向通信を開始し、自らを特定するための登録データを予約サーバへ送信する。予約サーバにおける登録データ受信手段は、登録データを受信し、予約サーバにおいて登録の可否を判断し、登録者には登録ID送信手段から登録IDを送信する。
【0052】
登録ID受信手段にて登録IDを受信した予約者端末の操作者(予約者)は、申し込みデータを作成し、登録IDを含めて申し込みデータを送信する。予約サーバでは、送信された申し込みデータを登録IDとともに受信し、申し込みデータベースへ格納する。申込期間の締め切りは、締め切りタイマーにて管理し、申込期間内に受信した申し込みデータのみを申し込みデータベースへ格納する。
【0053】
申し込みデータは、希望の時間帯へ当てはめることが全体の運用にとって合理的であるように、予め定めてある振り分け条件(振り分けアルゴリズム)に基づいて申し込みデータ振り分け手段が振り分け、振り分け仮データを作成する。この振り分け仮データ(1)は、振り分け仮データ送信手段を介して行政の担当者に係る通信端末(行政端末)へ(後述するが、三者または四者による閲覧に供する前に)送信しておくこととしてもよい。
【0054】
振り分け仮データは、予約サーバにおいて合理的と考えられる振り分け条件に基づいた振り分けとなっているが、京都市の観光を司る行政にとって合理的であるか否かは不明である。また、団体旅行の乗客を乗車させて運転するバス会社にとって合理的であるか否かも不明である。
【0055】
そこで、予め許諾された通信端末に限って、振り分け仮データを閲覧し、その振り分け仮データを改訂するための調整データを送信できるようにしておく。すなわち、バス会社の通信端末、および前述の行政端末は、振り分け仮データを閲覧等することができる権限を付与した許諾端末として、予め設定しておく。
なお、本実施形態においては、バスを実際に利用する乗客とおよびバス会社の間に旅行代理店が介在する場合に鑑み、旅行代理店(の担当者)が操作する通信端末も、予め許諾された端末としている。
【0056】
予約サーバにおいては、振り分け仮データ(2)を振り分け仮データ閲覧手段によって、許諾端末がアクセス可能であるようにする。このアクセス可能とする時間帯は、予約サーバの管理者、行政、バス会社の三者(場合によっては、旅行代理店を含めた四者)が予め定めた時間帯のみに限ることとするのが、運営上は好ましい。
【0057】
許諾端末から、調整データを受信し、その調整データに基づいて「調整後データ」を作成したら、その調整後データを予約の確定データとして駐車マス管理データベースへ蓄積する。そして、調整後データ送信手段に基づいて、登録IDに紐付けられた調整後データを予約者端末へ送信する。
【0058】
前述した振り分け条件は、過去の経験やバス会社および行政の知見などを含んで構築されている。しかし、行政にのみ提供されたデータ(たとえば、国や京都府からもたらされた情報や規則)、バス会社における変化する事情(たとえば、バス会社同士の車両の融通)などを考慮した場合、振り分け仮データが最も合理的とは限らない。そこで、許諾端末を介して調整が行える(振り分け仮データを調整後データに仕上げることができる)ようにしたのが、本実施形態の駐車場予約システム(駐車場予約装置)である。
【0059】
図4
図4(a)は、予約者端末において、申し込みデータを入力する前の段階の選択画面の一部を示している。
会員登録の有無を選択するボタンが用意されており、会員登録済みでないと申し込みデータを入力することができない旨の説明がある。予約者が「会員未登録」である場合には、予約者の所属先、連絡先などの属性データを登録し、会員IDが付与されたら、パスワードを設定し、申し込みデータの入力や送信を実行する。
「会員登録済み」のボタンを選択したら、会員IDとパスワードを入力し、申し込みデータの入力が可能となる。
【0060】
図4(b)もまた、予約者端末において、申し込みデータを入力する前の段階の選択画面の一部を示している。
トップシーズン且つ修学旅行の申し込みの場合、「修学旅行」のボタンを選択する。そうではない場合には、「一般の旅行」のボタンを選択する。
【0061】
トップシーズンとは、春(5~6月)、秋(10~11月)である。トップシーズン且つ修学旅行の場合には、バス駐車場の予約は、半年前からの一ヶ月間、申し込みデータの送信を可能としている。
トップシーズンであっても、修学旅行ではない一般の旅行の場合、「修学旅行」は選択できないこととなっている。逆に、修学旅行であっても、トップシーズンから外れている場合、「一般の旅行」を選択し、申し込みデータを送信することとしている。
【0062】
図5
図5は、予約者端末において、申し込みデータを入力する画面(備考欄など一部の図示を省略)を示している。
予約内容の入力、入力内容の確認、予約の完了、という三段階を経るが、図5に示しているのは、「予約内容の入力」の段階である。
【0063】
三段階のいずれであるかを最上部で示されているが、その直下には、予約内容の入力に際しての注意事項のページへ飛ぶことができるリンクが用意されている(図6参照)。
【0064】
「ご予約内容」は、必須の入力項目である旨が表示されている。
予約内容としては、予約日、予約種別(図7(a)参照)、乗車場の種別(図7(b)参照)を、利用時間帯(図7(c)参照)、駐車料金の支払い方法を選択入力する。
【0065】
「当日ご利用情報」についても、必須の入力項目である旨が表示されている。
入力すべきは、ツアー名、台数(コマ数)、バス運行会社名、京都駅への到着時刻などである。「京都駅への到着時刻」は未定の場合があり得る。
【0066】
台数については、最大で「7台」を選択できる。もし、7台以上である場合には、これらの入力をもう一度(この予約の完了後に)、入力する必要がある。
【0067】
「京都駅への到着時刻」を入力したら、前述の「ご利用時間帯」を自動設定するようにしても良い。または、自動設定のために算出した時間帯が、予約者によって選択された「ご利用時間帯」と不一致である場合には、選択した「ご利用時間帯」で誤りがないかどうか、確認させることとしても良い。
【0068】
「当日連絡が取れる担当者」についても、必須の入力項目である旨が表示されている。
会員登録をして会員IDを用いてログインしたユーザが、予約遂行の当日に、本予約システムやバス会社と連絡が取れる場合には、「ログインユーザと同じ」を選択する。この選択をした場合には、担当者名、読み方、携帯電話番号が自動入力される。
【0069】
「ログインユーザと異なる」を選択した場合には、担当者名、読み方、携帯電話番号を入力しなければならない。
【0070】
なお、この図5では、「備考欄」を省略している。この備考欄には、団体における特殊な事情や、配慮して欲しい点などを自由記載でテキスト入力する。たとえば、車椅子の乗客が含まれているとか、盲導犬や介助犬がいる、といった情報である(図6参照)。
【0071】
図6
図6は、図5において用意されていたリンクを予約者が指定した場合に表れる「予約内容の入力に際しての注意事項の画面の例示である。
「1.」として、トップシーズン予約についての説明がなされている。「トップシーズン」の定義、「先行予約」の定義、「一般予約」に付いての説明をしている。
【0072】
「2.」では、予約の時間帯について説明されている。一時間を20分ずつ三区分し、その区分毎に予約をすることを決まりとしている旨、列車到着時刻の10~15分後を目安とする旨、京都駅へ到着する列車の時刻が判明している場合には入力をお願いする旨、説明されている。
【0073】
「3.」では、備考欄へ記載する事項について、例示をしている。障がい者の乗降やリフト車がある場合、備考欄へその旨を記載するように、説明されている。
【0074】
「4.」では、先行予約の「二次予約」について説明している。すなわち、先行予約の時期を逃してしまった予約希望者や、キャンセルして申し込みをやり直す場合などの予約希望者が応募することとなる。
【0075】
「5.」では、不明な場合の問い合わせ先として、電話の場合、メールの場合が表示されている。
【0076】
図7
図7は、図5において用意されていた選択ボタンのいくつかについて、補足説明をするための図である。
図7(a)に示す「予約種別」とは、乗車場のみ、乗車および降車、のいずれかを選択できるが、トップシーズンの修学旅行申し込みの場面では、「乗車場のみ」しか選択できないように設定されている。
【0077】
図7(b)に示す「乗車場の種別」は、「京都駅八条口」と名付けられた貸切バス乗車場と、「東本願寺前」と名付けられた貸切バス乗車場とが選択できる。京都駅八条口の乗車場は、「駅直結モール」や「優先モール」という便宜上の別名もあり、JR京都駅の八条口を出た駅ビルの地上階にある。新幹線ホームから徒歩5分程度であり、バスの乗降には至便である。
【0078】
東本願寺前の乗車場は、駅から地下通路を通って徒歩5分(新幹線ホームからは約10分)ほどの場所にある。便宜上(機能上)、「エキストラモール」という別名があり、優先モールである京都駅八条口では捌ききれない場合などに用いられる。また、トップシーズンにおける修学旅行の場合には、選択できない。
【0079】
優先モールおよびエキストラモールでも捌ききれない場合には、京都市が「暫定モール」を準備することとなっている。暫定モールは、行政が民有の土地と臨時契約して提供される。
【0080】
一般的なバス乗降スペースは、ターミナルへ移動してきたバスから降車する団体客も利用する。したがって、乗車待ちをするバスだけでなく、乗客を乗せてきたバスがお客を降車させるためにも使っている。乗車に比べると降車は、掛かる時間(ひいては駐車時間)が比較的短い。
【0081】
そこで、乗車スペースと降車スペースとを物理的に分ける、という運用をするターミナルは多い。そして、乗車スペースが混雑した場合には降車スペースを臨時的に(バッファとして)利用する、といった合理的な運用をしている。
たとえば、予約なしに飛び込んできた(八条口乗車場へ入庫してきた)バスがあった場合、予約がないからという理由で入庫を断ると、出庫に手間取るなどして、八条口乗車場の混乱や駅周辺の渋滞を引き起こしかねな。それでは、円滑な運用の妨げになってしまうので、そうした場合に、降車スペースをバッファとして利用するのである。
【0082】
京都駅においては、降車専用(降車用モール)だが、臨時で(バッファとして)乗車にも使う2台分の降車スペースが確保されている。ここは「八条口降車場」と名付けられている。前述した「八条口乗車場(駅直結モール)」と「八条口降車場」とを合わせて、「八条口乗降場」と呼ぶ(図11参照)。
【0083】
図7(c)に示す「ご利用時間帯」とは、一時間を三分割した20分ごとの時間帯を選択する。
京都駅までの移動に列車を使う団体である場合、京都駅に列車が到着する時刻を入力(図5参照)すると、適切な時間帯を自動算出して表示させることとしても良い。その場合、その表示された時間帯を、予約者がそのまま選択するか、必要に応じて変更することとする。
【0084】
図8
図8に示したのは、申し込みデータベース(図3参照)に蓄積されたデータを、申込期間の締め切り後に、時間割毎に集計し、概念的に示したものである。
締め切り前の申し込みデータは、全てを受け付け、蓄積する。図8では、10月12日9:00~9:20の時間帯へ18台の申し込みがあったとして図示している。
【0085】
時間帯は20分を区切りとしているが、これは、優先モール(駅直結モール)における物理的な駐車マスの数が12であり、その駐車マスにバスが入庫して出庫するまでの時間の平均が約20分であったことから、運用上の経験から定められた。この20分ごとの12枠(台)を「許容枠(許容台数)」と呼ぶこととする。
【0086】
バス会社や団体の条件によっては、20分という一つの時間帯で16台前後の入出庫が可能である旨も把握している。そのため、16台から許容台数を差し引いた4台を「柔軟枠」として、後の仮調整にて用いる。
【0087】
許容台数に柔軟枠を加えても溢れてしまう台数は、「調整枠」となる。この調整枠の台数は、エキストラモールに割り当てられ、それでも溢れてしまう台数に対しては暫定モールを要請することとなる。
【0088】
申し込みデータは、申し込み順に許容枠、柔軟枠、暫定枠に割り振られるわけではなく、申し込みデータ割り振り手段が割り振り条件(図10参照)を用いて割り振られる。
【0089】
なお、許容台数の全てを使って割り振りを実行すると、トップシーズンに優先モール(駅直結モール)が利用できるバスは、全て修学旅行関係のバスとなってしまう。そこで、許容台数から「一般枠(たとえば2台)」を差し引いた数字を「確定枠」として運用することが臨まれる(図13参照)。
【0090】
図9
図9は、申し込みデータを受信してから、割り振りが完了するまでを示したフローチャートである。図3も参照させながら説明する。
【0091】
申し込みデータの受け付け開始期間になったら、申込者からの申し込みデータを受信する(S1)。申込期間が終了したら、申し込みデータの受信を締め切る(S2)。そして、締め切り後の申し込みデータを集計する(S3)。
【0092】
集計した申し込みデータは、至便な駅直結モールへ振り分ける条件を備えているか否か、で振り分ける(S4)。条件を備えていなければ、次の時間帯へ繰り下げるか、エキストラモールへ振り分けるか、暫定モールへの割り振りとなるか、を決定する(S5)。条件を備えていれば、駅直結モールへ割り振る(S6)。
【0093】
割り振りを終えた割り振り仮データは、バス会社および行政の担当者が閲覧可能とする。そして、閲覧するだけではなく、自らの視点で調整が必要な割り振り仮データを更に調整する(S7)。バス会社および行政の担当者による調整が終了したら、調整後データとして確定させる。
【0094】
調整後データは、駐車マス管理データベースへ格納し(S8)、予約者へ調整後データに決定した旨を連絡する(S9)。なお、このフローチャートには示していないが、行政によって用意された暫定モールへ割り振られた予約者に対しては、行政がいったん(S9の前に)連絡を入れることとしている。
【0095】
図10
図10には、駅直結モールへの振り分け条件(振り分け仮データの作成手引き)を列挙している。振り分け条件は例示であり、改訂、変更もありえる。
【0096】
まず、確定枠を越えていない時間帯は、八条口乗車場で確定する(A)。トップシーズンであっても早朝や夕方の時間帯は、申し込みデータの数が確定枠を越えない場合があり、その場合には、至便な八条口乗車場で確定する。
【0097】
確定枠に柔軟枠を加えた16台というのは、バス会社が統一されているなどの所定条件では対応できる。しかし、ギリギリの数字でもあるため、連続した時間帯で16台ずつ割り振ることはさけることとしている(B)。
【0098】
京都駅への到着時刻から20分以上の間隔を空けた時間帯への申し込みデータに対しては、エキストラモールである東本願寺乗降場へ振り分ける(C)。東本願寺前への振り分けが困難である場合には、暫定駐車場とする。
【0099】
複数台の申し込みの場合、乗車場を同じにする(D)。八条口乗車場なのか、東本願寺なのか、いずれにしても、別の場所とはしないように振り分ける。
【0100】
5台以上のバスは、乗客(生徒)の集合に時間がかかる為、到着から20分以上空けている場合のみ、八条口利用枠へ振分け可能としている(E)。八条口乗車場の周辺は、人が滞留できるスペースに限りがあるので、乗車に時間が掛かってしまうことを避けるためである。東本願寺前であれば、スペースに余裕がある上、歩いて行く通路が滞留スペースとして機能する。
【0101】
「1台口」においては、列車到着時刻から5分前後で集合可能な場合がある。よって、列車到着時刻から5分後の時間帯へ仮に割り振り、予約者(旅行会社)へその割り振りで良いか、を確認する(F)。たとえば、予約した時間帯よりも一つ前の時間帯へ割り振ることもある。
【0102】
同じ時間帯に15台以上のバスを受け入れる場合は、できる限り同一バス会社とする(G)。バス会社が京都府バス協会へ加盟している場合には、受入れの相談が可能である。
【0103】
八条口乗車場には、2台分の降車用モールが隣接している。この降車用モールは、緊急事態などに対応するためのバッファとして機能させる。すなわち、乗車用として臨時利用する場合もある。その場合、2台口×2校であれば、10分ずつ(20分を二分割して)受入れる(H)。2台口+3台口の計5台を受け入れる場合は、同一バス会社 に限る。
【0104】
以上のような割り振り条件にて割り振られた結果、一つの時間帯(1コマ)で振り分ける予約枠がオーバーした場合は、京都市が駅周辺にて乗車スペース(暫定モール)を確保する(a)。暫定モールでの予約が確定後は、京都市が予約者へ連絡する(b)。すなわち、予約証は京都市が発行し、予約者へ送付する。
【0105】
先行予約について、調整を済ませた後に追加の予約は受け付けないこととしている(c)。追加予約については、旅行日の三ヶ月前から受け付ける「二次受付」にて追加の申し込みを受けるのである。また、確定した予約のキャンセルは、予約専用ページから操作が可能である(d)。
【0106】
図11
図11は、駐車マスの種類と特徴を表にして整理したものである。
「許容台数」について改めて説明すると、「時間帯」内に入出庫を完了する台数の予測値であり、経験を踏まえて決定されている。「許容台数」と物理的な駐車可能台数=マス数とは意味が異なるが、概ね一致するように「時間帯」(例えば「20分」)を決めると、管理しやすい。
「最大値」は、条件が最適な場合に最大で入出庫できる数である。
【0107】
これまで説明していなかった点として、駐車料金がある。駅直結モール、降車用モールを合わせた八条口乗降場においては、駐車料金を2000円としている。エキストラモールである東本願寺乗降場の許容台数は7台であるが、車間を詰めるなどの融通を利かせたりすることで、最大11台を受けられる。駅から徒歩5分という八条口乗降場よりも不便であるため、駐車料金は700円と設定されている。
【0108】
暫定モールは、不定期、不確定という特徴もあって、駐車料金は無料となっている。「暫定モール」の必要な日およびその時間帯に対して、必要な台数を駐車できる場所を、行政が民間の土地保有者などと交渉し、「臨時モール」として確保する。
予約者は、申込時に「暫定モール」および「降車用モール」を選択することはできない。
【0109】
図12
図12は、図3に示した主要部をより詳細に示している。
また、データ処理の手法については、図8図10を参照する旨、示している。
【0110】
申し込みデータベースへ格納された申し込みデータの中から、トップシーズンに該当する申し込みデータをトップシーズン申し込みデータ抽出手段が抽出し、申し込みデータ振り分け手段が振り分け仮データの作成を実行する。作成された振り分け仮データは、振り分け仮データ閲覧手段によって、許諾端末が閲覧できる。また、許諾端末からの調整データを調整データ受信手段が受信する。そして、調整後データとして駐車マス管理データベースへ蓄積され、許諾端末へ送られる。
【0111】
許諾端末として調整後データを受信したバス会社端末においては、予約遂行の当日、予約遂行するバスに搭載する予約証をプリンタにて出力する。
許諾端末としての行政端末は、暫定モールに決定した予約者に対しては、申込者送信手段を介して、暫定モールに決定した旨を連絡する。
許諾端末としての旅行代理店端末は、前記のバス会社端末に係るバス会社から直接の連絡をもらえないバス会社の代弁者、予約遂行の際に乗客となる団体の代弁者として振り分け仮データを閲覧したり、振り分け仮データに対する調整に参加したりする。
【0112】
図13
図13には、トップシーズンであっても、修学旅行の予約者以外が駅直結モールからのバス乗車が可能であるような「一般枠」たる2台を確保するため、それぞれの時間帯において、許容台数である12台よりも少ない10台を確定枠としたことを、概念的に示している。
【0113】
トップシーズンに対する先行予約期間(6~5ヶ月前)は、修学旅行の予約者のみしか予約を受け付けない、という運用を前提としつつ、修学旅行の予約者以外の一般予約者でもトップシーズンの予約が「一般予約期間」にも可能とするためである。「一般枠」を確保して「許容台数」から「確定枠」を減らす。そして、振り分け仮データの作成や、調整後データの作成には、柔軟枠や調整枠を活用して振り分けるのである。
【0114】
以上説明したように、20分ずつの時間帯に対し、駅直結モールへ許容台数を基準としつつも柔軟枠を活用したり、時間帯を次へずらしたり、エキストラモールへ割り振ったりしながら、全ての予約を割り振っていく。エキストラモールへ割り振ってもなお、捌ききれないと予想される台数の予約に対しては、暫定モールへの割り振りをすることとして、全ての予約に対して、バスの乗客が乗車できるようなバス駐車を可能とする。
【0115】
前記の実施形態では、京都駅における観光バスへの乗客の乗車と、その乗車に伴うバスの駐車に必要な駐車場の予約システムについて説明した。
この予約システムを応用すれば、生鮮食料品の市場における運搬車両の荷物の積み卸しと、その積み卸しに伴う運搬車両に必要な駐車場の予約システムの実現も可能と思われる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、駐車場の管理運営業、駐車場やバスを利用する旅行業、駐車場の運営に必要な機器の製造業やメンテナンス業、駐車場に関わるデータを扱うデータサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13