(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】絶縁異常検出装置および絶縁異常検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20240823BHJP
B60L 3/00 20190101ALN20240823BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20240823BHJP
B60L 58/10 20190101ALN20240823BHJP
【FI】
G01R31/52 ZHV
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
(21)【出願番号】P 2020175011
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 惇嗣
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-060323(JP,A)
【文献】特開2015-197406(JP,A)
【文献】特開2017-102084(JP,A)
【文献】特開2010-111311(JP,A)
【文献】特開2017-147142(JP,A)
【文献】特開2016-161354(JP,A)
【文献】特開2017-133965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/50-31/74、
27/00-27/32、
B60L 1/00-3/12、
7/00-13/00、
15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池に並列接続されるキャパシタと、2つの第1スイッチと、
2つの第2スイッチと
、前記キャパシタを短絡させるための第3スイッチとを有する電圧検出回路と
、
前記電圧検出回路の動作を制御し
、電圧検出部を介して前記電池の絶縁異常を検出する制御部と、を備え、
前記2つの第1スイッチの一方は前記電池の一方の極と前記キャパシタの一端とを接続し、他方は前記電池の他方の極と前記キャパシタの他端とを接続し、
前記2つの第2スイッチの一方は前記キャパシタの一端と前記電圧検出部とを接続し、他方は前記キャパシタの他端と前記電圧検出部とを接続し、
前記第3スイッチは前記2つの第2スイッチよりも前記電池に近い位置で前記キャパシタに並列接続され、
前記制御部は、
前記2つの第1スイッチの一方および
前記2つの第2スイッチの他方をオンして
前記一方の極と前記他方の極との間の絶縁抵抗を含む絶縁計測経路を形成した状態で前記第3スイッチをオンし、第1の時間経過後に前記第3スイッチをオフし、第2の時間経過後の前記キャパシタの電圧に基づいて前記絶縁異常を検出すること
を特徴とする絶縁異常検出装置。
【請求項2】
前記第1の時間は、
前記絶縁計測経路を形成してから浮遊容量の充電が完了するまでに要する時間であること
を特徴とする請求項1に記載の絶縁異常検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第3スイッチを前記第1の時間オンする以前に、前記絶縁計測経路を形成するとともに前記第3スイッチをオフすることで充電される前記キャパシタの電圧を計測し、当該電圧に基づき予測した浮遊容量に応じて前記第1の時間を決定すること
を特徴とする請求項1または2に記載の絶縁異常検出装置。
【請求項4】
前記キャパシタの容量は、浮遊容量を除いた容量が設定されること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の絶縁異常検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の時間経過後の前記キャパシタの電圧を計測し、当該電圧が所定値以上である場合、前記第3スイッチの開固着異常を検出すること
を特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の絶縁異常検出装置。
【請求項6】
前記第3スイッチは、
前記キャパシタを放電するための放電スイッチを兼ねること
を特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の絶縁異常検出装置。
【請求項7】
電池と、
電圧検出回路と、電圧検出部とを備える絶縁異常検出装置が実行する絶縁異常検出方法であって、
前記電圧検出回路は、前記電池に並列接続されるキャパシタと、2つの第1スイッチと、2つの第2スイッチと、前記キャパシタを短絡させるための第3スイッチとを有し、
前記2つの第1スイッチの一方は前記電池の一方の極と前記キャパシタの一端とを接続し、他方は前記電池の他方の極と前記キャパシタの他端とを接続し、
前記2つの第2スイッチの一方は前記キャパシタの一端と前記電圧検出部とを接続し、他方は前記キャパシタの他端と前記電圧検出部とを接続し、
前記第3スイッチは前記2つの第2スイッチよりも前記電池に近い位置で前記キャパシタに並列接続され、
前記2つの第1スイッチの一方および
前記2つの第2スイッチの他方をオンすることで前記一方の極と前記他方の極との間の絶縁抵抗を含む絶縁計測経路を形成し、前記絶縁計測経路により充電される前記キャパシタの電圧を計測し、当該電圧に基づいて絶縁異常を検出する制御工程、
を含み、
前記制御工程は、
前記絶縁計測経路を形成するとともに前記第3スイッチをオンし、第1の時間経過後に前記第3スイッチをオフした後の第2の時間経過後に計測した前記キャパシタの電圧に基づいて前記絶縁異常を検出す
る
絶縁異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁異常検出装置および絶縁異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両では、制御の複雑化に伴って電力供給を必要とするECU(Electric Control Unit)の搭載数が増えつつある。このECUの増加に伴って、例えば、グランドとして機能する車両ボディに蓄積する浮遊容量が増加傾向にあり、車両ボディの絶縁抵抗の抵抗値が低下する異常が生じた場合には、浮遊容量が電池を介して負荷に供給されることで負荷が誤作動を起こすおそれがある。
【0003】
これに対して、従来は、電池、フライングキャパシタ、車両絶縁抵抗および車両ボディ接地を接続した状態で充電したフライングキャパシタの電圧をもとに、車両の絶縁異常を検出する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、車両の絶縁異常を高精度に検出する点でさらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の絶縁異常を高精度に検出することができる絶縁異常検出装置および絶縁異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る絶縁異常検出装置は、電圧検出回路と、制御部とを備える。前記電圧検出回路は、電池と、前記電池に並列接続されるキャパシタと、前記キャパシタの両極の入力側にそれぞれ接続される複数の第1スイッチと、前記キャパシタの両極の出力側に接続される複数の第2スイッチと、前記キャパシタに並列接続される第3スイッチとを有する。前記制御部は、前記電圧検出回路における前記第2スイッチに接続され、前記キャパシタの一方の極に接続される前記第1スイッチおよび前記キャパシタの他方の極に接続される前記第2スイッチをオンすることで絶縁計測経路を形成し、前記絶縁計測経路により充電される前記キャパシタの電圧を計測し、当該電圧に基づいて絶縁異常を検出する。前記制御部は、前記絶縁計測経路を形成するとともに前記第3スイッチをオンし、第1の時間経過後に前記第3スイッチをオフした後の第2の時間経過後に計測した前記キャパシタの電圧に基づいて前記絶縁異常を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の絶縁異常を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車載システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電圧検出回路の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、計測されるVRpおよびVRnの電圧値を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電池ECUが実行する全体処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電池ECUが実行するVRp計測処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電池ECUが実行するVRn計測処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する絶縁異常検出装置および絶縁異常検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係る車載システムの一例を示す図である。車載システム1は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載されるシステムである。車載システム1は、車両の動力源であるモータへ電力を供給する電源の充放電を含む制御を行う。
【0012】
車載システム1は、電池2、SMR(System Main Relay)3a及び3b、モータ4、コンプレッサ5、電池ECU(絶縁異常検出装置の一例)10、PCU20、エアコンECU30、MG_ECU(Motor Generator ECU)40、HV_ECU(Hybrid ECU)50を含む。モータ4、コンプレッサ5、PCU20、エアコンECU30、MG_ECU40等の電装部品は、負荷回路の一例である。なお、PCUは、Power Control Unitの略である。また、ECUは、Electric Control Unitの略である。
【0013】
電池2は、図示しない車体と絶縁された電源(バッテリ)であり、直列に接続された複数、例えば2個の電池スタック2A、電池スタック2Bを含んで構成される。電池スタック2A、電池スタック2Bは、直列に接続された複数、例えば3個の電池セル2a、電池セル2bをそれぞれ含んで構成される。すなわち、電池2は、高圧直流電源である。
【0014】
なお、電池スタックの数、電池セルの数は、上記あるいは図示のものに限定されない。また、電池セルは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
SMR3aは、HV_ECU50の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、電池2の最上位の電圧側とPCU20とを接続する。また、SMR3bは、HV_ECU50の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、電池2の最低位の電圧側とPCU20とを接続する。
【0016】
電池ECU10は、電池2の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。電池ECU10は、監視IC(Integrated Circuit)11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D(Analog/Digital)変換部13、制御部14、電源IC15を含む。電源IC15は、監視IC11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D変換部13、制御部14へ電力を供給する。
【0017】
監視IC11aは、複数の電池セル2aそれぞれと接続され(接続ラインは省略している)、各電池セル2aの電圧を監視する。また、監視IC11aは、電池スタック2Aの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Aの電圧を監視する。また、監視IC11bは、複数の電池セル2bそれぞれと接続され(接続ラインは省略している)、各電池セル2bの電圧を監視する。また、監視IC11bは、電池スタック2Bの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Bの電圧を監視する。
【0018】
なお、1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられるとしてもよいし、電池2に対して1つの監視ICが設けられるとしてもよい。1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、各監視ICが監視する各電池スタックの電圧の合計を、電池2の総電圧として用いる。また、電池2に対して1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、監視ICが監視する電池2の総電圧を用いる。なお、監視IC11a及び11bは、制御部14に対する外部装置である。
【0019】
なお、電池ECU10の電圧検出回路12、A/D(Analog/Digital)変換部13、制御部14の構成および動作については
図2で後述する。
【0020】
PCU20は、モータ4や車両の電装機器等へ供給する電源電圧を昇圧すると共に、直流から交流の電圧に変換する。
図1に示すように、PCU20は、電池2の正極側及び負極側と接続される。PCU20は、DCDCコンバータ21、3相インバータ22、低圧側平滑用キャパシタ23a、高圧側平滑用キャパシタ23bを含む。
【0021】
エアコンECU30は、図示しない制御装置を含むとともに、コンプレッサ5へ供給する電源電圧を、直流から交流の電圧に変換するインバータ31を含む。
【0022】
MG_ECU40は、PCU20の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。具体的には、MG_ECU40は、DCDCコンバータ21及び3相インバータ22の各動作状態や、低圧側平滑用キャパシタ23a及び高圧側平滑用キャパシタ23bの充電状態を監視する。そして、MG_ECU40は、PCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報を取得し、上位装置であるHV_ECU50へ通知する。また、MG_ECU40は、HV_ECU50の指示に応じて、PCU20の動作を制御する。
【0023】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る電圧検出回路12について説明する。
図2は、実施形態に係る電圧検出回路12の一例を示す図である。なお、
図2では、電池2のうち、電池スタック2Aに接続される電圧検出回路12の構成を示しているが、電池スタック2Bについても
図2と同様の電圧検出回路12が構成される。なお、
図2では、電池スタック2Aを電池2と称して説明することとする。
【0024】
図2に示すように、電圧検出回路12は、スイッチSW1~SW5、キャパシタC1、抵抗R1~R6を含む。なお、スイッチSW1~SW5としては、例えばソリッドステートリレー(SSR:Solid State Relay)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、スイッチSW1~SW5のうち、スイッチSW1およびスイッチSW2は、第1スイッチであり、スイッチSW4およびスイッチSW5は、第2スイッチであり、スイッチSW3は、第3スイッチである。
【0026】
図2に示すように、電池2(電池スタック2A)の正側には、電池2から近い順にスイッチSW1、抵抗R1、スイッチSW4および抵抗R3が直列に接続される。また、電池2(電池スタック2A)の負側には、電池2から近い順にスイッチSW2、抵抗R2、スイッチSW5および抵抗R4が直列に接続される。
【0027】
キャパシタC1は、電池2に並列接続され、フライングキャパシタとして機能する。具体的には、キャパシタC1は、一方の極が抵抗R1およびスイッチSW4の間に接続され、他方の極が抵抗R2およびスイッチSW5の間に接続される。言い換えれば、キャパシタC1の一方の極には入力側にスイッチSW1が、出力側にスイッチSW4が接続され、他方の極には入力側にスイッチSW2が、出力側にはスイッチSW5が接続される。すなわち、キャパシタC1の両極の入力側にそれぞれ複数の第1スイッチであるスイッチSW1とスイッチSW2が接続され、キャパシタC1の両極の出力側に複数の第2スイッチであるスイッチSW4とスイッチSW5が接続されル。また、スイッチSW3は、キャパシタC1に対して並列接続される。
【0028】
また、抵抗R5は、一方がスイッチSW4に対して抵抗R3と並列して接続されるとともに、他方が車両ボディ等に接地される。また、抵抗R6は、一方がスイッチSW5に対して抵抗R4と並列して接続されるとともに、他方が車両ボディ等に接地される。
【0029】
また、電池2の負側と、抵抗R5および抵抗R6の一端との間には、絶縁抵抗Rnおよび浮遊容量C2が並列して存在している。また、電池2の正側と、抵抗R5および抵抗R6の一端との間には、絶縁抵抗Rpおよび浮遊容量C3が並列して存在している。浮遊容量C2および浮遊容量C3は、略同じ値である。なお、浮遊容量はコモン容量とも呼ばれる。
【0030】
また、抵抗R3は、アンプとして構成されるAD変換部13のプラス端子に接続され、抵抗R4は、AD変換部13のマイナス端子に接続される。AD変換部13は、電圧検出回路12から入力されたアナログの電圧をデジタルの電圧へ変換して制御部14へ出力する。
【0031】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有するマイクロコンピュータ等の処理装置である。
【0032】
制御部14は、実施形態に係る絶縁異常検出方法を実行することで、絶縁抵抗Rp,Rnの絶縁異常を検出する。
【0033】
ここで、
図2を用いて、実施形態に係る絶縁異常検出方法を実行した場合の電圧検出回路12の回路動作について説明する。実施形態に係る絶縁異常検出方法では、下記に示す(1)~(4)の4つの処理が行われる。
(1)電池電圧計測処理
(2)VRp計測処理
(3)VRn計測処理
(4)絶縁異常検出処理
【0034】
実施形態に係る絶縁異常検出方法では、特に、(2)VRp計測および(3)VRn計測の計測方法を工夫することで、浮遊容量C2,C3の影響を排除したキャパシタC1の電圧計測が可能となり、これにより、高精度な絶縁異常検出を実現できる。
【0035】
(1)電池電圧計測処理
電池電圧計測処理は、電池2の電池電圧を計測する処理である。具体的には、制御部14は、まず、スイッチSW1、スイッチSW2をオンし、スイッチSW3、スイッチSW4、スイッチSW5をオフする。
【0036】
これにより、電池2、スイッチSW1、抵抗R1、キャパシタC1、抵抗R2およびスイッチSW2の順に充電経路が形成されることで、電池2によってキャパシタC1が充電される。
【0037】
つづいて、制御部14は、所定時間経過後、すなわち、キャパシタC1の充電が完了する時間経過後、スイッチSW1、スイッチSW2をオフし、スイッチSW4、スイッチSW5をオンする。これにより、キャパシタC1からグランド(車両ボディ)までが導通することで、キャパシタC1に蓄積した電荷が抵抗R5,R6を介して放電される。また、このとき、キャパシタC1のアナログ電圧が抵抗R3,R4を介してAD変換部13に出力され、AD変換部13によってデジタルの電圧に変換される。そして、制御部14は、AD変換部13から出力されるデジタルの電圧の値に基づいて、キャパシタC1の電圧、すなわち、電池2の電池電圧を計測する。
【0038】
そして、制御部14は、電池2の電池電圧を計測後、スイッチSW3をオンすることで、キャパシタC1の電荷を完全に放電し、電池電圧計測処理を終了する。
【0039】
(2)VRp計測処理
電池電圧計測処理の後、VRp計測処理が行われる。なお、VRn計測処理が先に行われてもよい。VRp計測処理は、キャパシタC1の入力側に接続されたスイッチSW2およびキャパシタC1の出力側に接続されたスイッチSW4をオンすることにより絶縁計測経路を形成することで、電池2の正側の絶縁抵抗Rpの抵抗値を算出するための電圧であるVRpを計測する処理である。つまり、VRp計測処理における絶縁計測経路は、電池2の負側、スイッチSW2、抵抗R2、キャパシタC1、スイッチSW4、抵抗R5、絶縁抵抗Rpおよび浮遊容量C3、電池2の正側により形成される経路である。この絶縁計測経路を形成することで、絶縁抵抗Rpの抵抗値に応じた電圧(VRp)がキャパシタC1に充電される。本実施形態では、このVRpの計測動作に先立って、キャパシタC1に流れる浮遊容量C3を除去するための除去動作が行われることで、浮遊容量C3の影響を排除したVRp計測が可能となる。
【0040】
具体的には、制御部14は、除去動作として、スイッチSW2、スイッチSW3およびスイッチSW4をオンする。なお、スイッチSW3は、電池電圧計測処理の最後に行われた放電処理時にオンされているため、除去動作では引き続きオンされた状態となる。
【0041】
制御部14は、スイッチSW2、スイッチSW3およびスイッチSW4をオンした状態を一定時間(第1の時間)維持する。つまり、制御部14は、第1スイッチであるスイッチSW2および第2スイッチであるスイッチSW4をオンすることで絶縁計測経路を形成するとともに、第3スイッチであるスイッチSW3を第1の時間だけオンする除去動作を行う。
【0042】
これにより、絶縁計測経路がキャパシタC1ではなくスイッチSW3を通る経路になるため、浮遊容量C3の電荷は、キャパシタC1に充電されずに放電(除去)されることとなる。
【0043】
そして、除去動作後、VRpの計測動作が行われる。具体的には、制御部14は、第1の時間経過後にスイッチSW4およびスイッチSW5をオンすることでキャパシタC1の電圧をAD変換部13によって変換した後、スイッチSW3をオフする。つづいて、制御部14は、スイッチSW2およびスイッチSW4をオンして絶縁計測経路を形成し、スイッチSW3をオフした状態を一定時間(第2の時間)維持する。この場合、絶縁抵抗Rpが正常(抵抗値が十分に大きい値)であれば、絶縁計測経路は導通しないため、キャパシタC1は充電されず、絶縁抵抗Rpが劣化等の異常により抵抗値が低下した場合には、キャパシタC1は充電されることとなる。
【0044】
そして、制御部14は、第2の時間経過後に、スイッチSW2をオフし、スイッチSW4およびスイッチSW5をオンすることでキャパシタC1の電圧をAD変換部13によってAD変換しVRpとして計測する。なお、計測したVRpは、後段の絶縁異常検出処理によって用いられる。
【0045】
つまり、制御部14は、第3スイッチであるスイッチSW3をオフした後の第2の時間経過後に計測したキャパシタC1の電圧であるVRpに基づいて絶縁異常を検出する。
【0046】
そして、制御部14は、VRpを計測後、スイッチSW3をオンすることで、キャパシタC1の電荷を完全に放電し、VRp計測処理を終了する。つまり、第3スイッチであるスイッチSW3は、浮遊容量C3の電荷を除去するためのスイッチと、キャパシタC1の電荷を放電する放電スイッチとを兼ねる。これにより、それぞれのスイッチを配置する必要が無いため、コストを低減することができる。
【0047】
(3)VRn計測
VRp計測処理の後、VRn計測処理が行われる。VRn計測処理は、キャパシタC1の入力側に接続されたスイッチSW1およびキャパシタC1の出力側に接続されたスイッチSW5をオンすることにより絶縁計測経路を形成することで、電池2の負側の絶縁抵抗Rnの抵抗値を算出するための電圧であるVRnを計測する処理である。つまり、VRn計測処理における絶縁計測経路は、電池2の正側、スイッチSW1、抵抗R1、キャパシタC1、スイッチSW5、抵抗R6、絶縁抵抗Rnおよび浮遊容量C2、電池2の負側により形成される経路である。この絶縁計測経路を形成することで、絶縁抵抗Rnの抵抗値に応じた電圧(VRn)がキャパシタC1に充電される。本実施形態では、VRp計測処理と同様に、VRnの計測動作に先立って、キャパシタC1に流れる浮遊容量C2を除去するための除去動作が行われることで、浮遊容量C2の影響を排除したVRn計測が可能となる。
【0048】
具体的には、制御部14は、除去動作として、スイッチSW1、スイッチSW3およびスイッチSW5をオンする。なお、スイッチSW3は、VRp計測処理の最後に行われた放電処理時にオンされているため、除去動作では引き続きオンされた状態となる。
【0049】
制御部14は、スイッチSW1、スイッチSW3およびスイッチSW5をオンした状態を一定時間(第1の時間)維持する。つまり、制御部14は、第1スイッチであるスイッチSW1および第2スイッチであるスイッチSW5をオンすることで絶縁計測経路を形成するとともに、第3スイッチであるスイッチSW3を第1の時間だけオンする除去動作を行う。
【0050】
これにより、絶縁計測経路がキャパシタC1ではなくスイッチSW3を通る経路になるため、浮遊容量C2の電荷は、キャパシタC1に充電されずに放電(除去)されることとなる。
【0051】
そして、除去動作後、VRnの計測動作が行われる。具体的には、制御部14は、第1の時間経過後にスイッチSW4およびスイッチSW5をオンすることでキャパシタC1の電圧をAD変換部13によって変換した後、スイッチSW3をオフする。つづいて、制御部14は、スイッチSW1およびスイッチSW5をオンして絶縁計測経路を形成し、スイッチSW3をオフした状態を一定時間(第2の時間)維持する。この場合、絶縁抵抗Rnが正常(抵抗値が十分に大きい値)であれば、絶縁計測経路は絶縁抵抗Rnを介して導通しないため、キャパシタC1は充電されず、絶縁抵抗Rnが劣化等の異常により抵抗値が低下した場合には、絶縁計測経路が絶縁抵抗Rnを介して導通するため、キャパシタC1は充電されることとなる。
【0052】
そして、制御部14は、第2の時間経過後に、スイッチSW1をオフし、スイッチSW4およびスイッチSW5をオンすることでキャパシタC1の電圧をAD変換部13によってAD変換しVRnとして計測する。なお、計測したVRnは、後段の絶縁異常検出処理によって用いられる。
【0053】
つまり、制御部14は、第3スイッチであるスイッチSW3をオフした後の第2の時間経過後に計測したキャパシタC1の電圧であるVRnに基づいて絶縁異常を検出する。
【0054】
そして、制御部14は、VRnを計測後、スイッチSW3をオンすることで、キャパシタC1の電荷を完全に放電し、VRn計測処理を終了する。つまり、第3スイッチであるスイッチSW3は、浮遊容量C2の電荷を除去するためのスイッチと、キャパシタC1の電荷を放電する放電スイッチとを兼ねる。これにより、それぞれのスイッチを配置する必要が無いため、コストを低減することができる。
【0055】
ここで、
図3を用いて、VRp計測処理およびVRn計測処理により計測されるVRpおよびVRnの電圧値について説明する。
図3は、計測されるVRpおよびVRnの電圧値を示す図である。
図3では、VRpおよびVRnの総和を縦軸に示し、キャパシタC1の充電時間を横軸に示す。なお、
図3では、VRpおよびVRnの総和を示したが、VRpおよびVRnがそれぞれ別々に示されてもよい。
【0056】
また、
図3に示す「コモン除去期間」とは、第1の時間であり、「絶縁抵抗算出期間」とは、第2の時間である。また、
図3では、参考例として、第3スイッチであるスイッチSW3を備えていない電圧検出回路において検出されるVRpおよびVRnの総和を示している。
【0057】
図3に示すように、参考例では、浮遊容量の電荷がキャパシタに充電されることとなるため、時刻t1から時刻t2の期間であるコモン除去期間において、キャパシタには、電池および浮遊容量の電荷が蓄積することとなる。このため、例えば、浮遊容量が大きくなると、キャパシタに蓄積する電荷が多くなるため、キャパシタの容量によっては電池電圧を正確に計測できないおそれがある。
【0058】
そこで、本実施形態では、制御部14は、浮遊容量C2,C3の電荷が影響するコモン除去期間(時刻t1から時刻t2の期間)において、絶縁計測経路を形成するとともにスイッチSW3をオンすることで、キャパシタC1に浮遊容量C2の電荷が蓄積しないようした。これにより、
図3に示すように、コモン除去期間では、スイッチSW3をオンすることでキャパシタC1が充電されないため、キャパシタC1の電圧が略ゼロとなる。
【0059】
そして、制御部14は、コモン除去期間経過後、すなわち、浮遊容量C2,C3の電荷を完全に放電後である時刻t2において、AD変換部13によりキャパシタC1の電圧をAD変換した後、絶縁計測経路を形成するとともにスイッチSW3をオフすることで、キャパシタC1の充電を開始する。すなわち、第1の時間であるコモン除去期間は、仮にスイッチSW3を備えていない場合に絶縁計測経路を形成してから浮遊容量C2の充電が完了するまでに要する時間である。これにより、浮遊容量C2,C3の影響を排除して電池2の電荷のみをキャパシタC1に蓄積することができる。
【0060】
そして、制御部14は、第2の時間である絶縁抵抗算出期間(時刻t2から時刻t3の期間)においてスイッチSW3を継続してオフすることで、キャパシタC1を充電する。すなわち、第2の時間は、電池2によりキャパシタC1の充電が完了するまでに要する時間である。
【0061】
そして、制御部14は、絶縁抵抗算出期間経過後である時刻t3において、AD変換部13によってキャパシタC1の電圧をAD変換し、AD変換されたキャパシタC1の電圧に基づいて、後述する(4)絶縁異常検出処理により、絶縁抵抗Rp,Rnの異常を検出する。
【0062】
このように、実施形態に係る絶縁異常検出方法では、コモン除去期間においてスイッチSW3をオンすることで、浮遊容量C2,C3の影響を排除したキャパシタC1の電圧計測が可能となる。すなわち、実施形態に係る絶縁異常検出方法によれば、高精度に絶縁抵抗Rp,Rnの異常を検出することができる。
【0063】
なお、上述したように、実施形態に係る絶縁異常検出方法では、キャパシタC1に浮遊容量C2の電荷が蓄積されないため、キャパシタC1の容量を浮遊容量C2の分だけ小さくできる。換言すれば、キャパシタC1の容量は、浮遊容量C2を除いた容量が設定される。これにより、キャパシタC1のコストを抑えることができる。
【0064】
(4)絶縁異常検出処理
絶縁異常検出処理は、計測したVRpおよびVRnに基づいて、絶縁抵抗RNの異常を検出する処理である。具体的には、制御部14は、
図3に示す時刻t2においてAD変換されたキャパシタC1の電圧(Vt2)と、時刻t3においてAD変換されたキャパシタC1の電圧(Vt3)の増加率(傾き)を算出する。すなわち、増加率は、(Vt3-Vt2)/(t3-t2)によって算出する。そして、制御部14は、かかる増加率が所定の閾値未満である場合、絶縁抵抗Rp,Rnが正常であると判定し、増加率が所定の閾値以上である場合には、絶縁抵抗Rp,Rnが異常であると判定する。つまり、制御部14は、
図3に示す絶縁抵抗算出期間(時刻t2から時刻t3の期間)におけるVRpおよびVRnの傾きに基づいて絶縁異常を検出する。
【0065】
なお、制御部14は、VRpおよびVRnの和の増加率であってもよく、VRpおよびVRnそれぞれについて増加率を算出することで、それぞれの絶縁異常を検出してもよい。
【0066】
また、制御部14は、増加率による絶縁異常判定を行う場合に限らず、VRpおよびVRnの和(あるいは、VRpおよびVRnそれぞれの値)が所定の閾値以上であるか否かにより絶縁異常を判定してもよい。
【0067】
また、制御部14は、時刻t2においてキャパシタC1の電圧をAD変換せずに絶縁異常を検出してもよい。かかる場合、制御部14は、Vt2=0として上記した増加率を算出することとしてもよい。
【0068】
また、制御部14は、キャパシタC1の電圧に基づいて、スイッチSW3の開固着異常を検出可能である。具体的には、制御部14は、第1の時間(
図3に示すコモン除去期間)経過後のキャパシタC1の電圧を計測し、かかる電圧が所定値以上である場合には、第3スイッチであるスイッチSW3の開固着異常を検出する。
【0069】
つまり、制御部14は、コモン除去期間後には本来略ゼロであるはずの電圧がゼロでない場合に、スイッチSW3がオンされない異常によりキャパシタC1が意図せずに充電されているとして、スイッチSW3の開固着異常を検出する。これにより、スイッチSW3の開固着異常を高精度に検出することができる。
【0070】
また、制御部14は、第1の時間であるコモン除去期間に先立って、浮遊容量C2を計測する処理を行い、浮遊容量C2に応じてコモン除去期間の長さを決定してもよい。具体的には、制御部14は、上記した(2)または(3)において、第3スイッチであるスイッチSW3を第1の時間オンする以前に、絶縁計測経路を形成するとともに、スイッチSW3を第1の時間オフすることで充電されるキャパシタC1の電圧を計測する。かかる電圧は浮遊容量C2に充電される電圧であるため、かかる電圧に基づいて予測した浮遊容量C2に応じて第1の時間を決定する。
【0071】
これにより、第1の時間であるコモン除去期間の長さを高精度に決定できるため、例えば、第1の時間が必要以上に長すぎたり、第1の時間が短すぎて絶縁抵抗算出期間に浮遊容量C2の電荷が残ってしまうことを高精度に回避することができる。
【0072】
次に、
図4~
図6を用いて、実施形態に係る絶縁異常検出装置である電池ECU10が実行する処理内容について説明する。
図4は、実施形態に係る電池ECU10が実行する全体処理の処理手順を示すフローチャートである。
図5は、実施形態に係る電池ECU10が実行するVRp計測処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6は、実施形態に係る電池ECU10が実行するVRn計測処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
まず、
図4を用いて、全体処理の処理手順について説明する。
【0074】
図4に示すように、電池ECU10の制御部14は、電圧検出回路12を制御して、電池2の電池電圧を計測する(ステップS101)。つづいて、制御部14は、電池電圧計測後、キャパシタC1の電荷を放電する放電処理を行う(ステップS102)。
【0075】
つづいて、制御部14は、電圧検出回路12を制御して、VRp計測処理を行う(ステップS103)。つづいて、制御部14は、VRp計測後、キャパシタC1の電荷を放電する放電処理を行う(ステップS104)。
【0076】
つづいて、制御部14は、電圧検出回路12を制御して、VRn計測処理を行う(ステップS105)。つづいて、制御部14は、VRn計測後、キャパシタC1の電荷を放電する放電処理を行う(ステップS106)。
【0077】
つづいて、制御部14は、計測したVRpおよびVRnに基づいて、絶縁抵抗RNの絶縁異常を検出する絶縁異常検出処理を行い(ステップS107)、処理を終了する。
【0078】
次に、
図5を用いて、VRp計測処理の処理手順について説明する。
【0079】
図5に示すように、制御部14は、電圧検出回路12におけるスイッチSW2、スイッチSW3およびスイッチSW4をオンする(ステップS201)。なお、スイッチSW3は、前段の放電処理(
図4に示すステップS102)により既にオンされているため、ステップS201では、継続してオンされることとなる。
【0080】
つづいて、制御部14は、スイッチSW2、スイッチSW3およびスイッチSW4をオンしてから第1の時間が経過したか否かを判定し(ステップS202)、第1の時間経過していない場合(ステップS202:No)、第1の時間が経過するまでステップS202を繰り返し実行する。
【0081】
制御部14は、第1の時間が経過した場合(ステップS202:Yes)、AD変換部13によりキャパシタC1の電圧をAD変換しスイッチSW3をオフする(ステップS203)。これにより、キャパシタC1の充電が開始される(ステップS204)。
【0082】
つづいて、制御部14は、スイッチSW3がオフされてから第2の時間が経過したか否かを判定し(ステップS205)、第2の時間経過していない場合(ステップS205:No)、第2の時間が経過するまでステップS205を繰り返し実行する。
【0083】
制御部14は、第2の時間が経過した場合(ステップS205:Yes)、AD変換部13のADサンプリングによりVRpを取得し(ステップS206)、処理を終了する。
【0084】
次に、
図6を用いて、VRn計測処理の処理手順について説明する。
【0085】
図6に示すように、制御部14は、電圧検出回路12におけるスイッチSW1、スイッチSW3およびスイッチSW5をオンする(ステップS301)。なお、スイッチSW3は、前段の放電処理(
図4に示すステップS104)により既にオンされているため、ステップS301では、継続してオンされることとなる。
【0086】
つづいて、制御部14は、スイッチSW1、スイッチSW3およびスイッチSW5をオンしてから第1の時間が経過したか否かを判定し(ステップS302)、第1の時間経過していない場合(ステップS302:No)、第1の時間が経過するまでステップS302を繰り返し実行する。
【0087】
制御部14は、第1の時間が経過した場合(ステップS302:Yes)、AD変換部13によりキャパシタC1の電圧をAD変換後しスイッチSW3をオフする(ステップS303)。これにより、キャパシタC1の充電が開始される(ステップS304)。
【0088】
つづいて、制御部14は、スイッチSW3がオフされてから第2の時間が経過したか否かを判定し(ステップS305)、第2の時間経過していない場合(ステップS305:No)、第2の時間が経過するまでステップS305を繰り返し実行する。
【0089】
制御部14は、第2の時間が経過した場合(ステップS305:Yes)、AD変換部13のADサンプリングによりVRpを取得し(ステップS306)、処理を終了する。
【0090】
上述してきたように、実施形態に係る絶縁異常検出装置(電池ECU10)は、電圧検出回路12と、制御部14とを備える。電圧検出回路12は、電池2と、電池2に並列接続されるキャパシタC1と、キャパシタC1の両極の入力側にそれぞれ接続される複数の第1スイッチ(スイッチSW1,SW2)と、キャパシタC1の両極側の出力側に接続される複数の第2スイッチ(スイッチSW4,スイッチSW5)と、キャパシタC1に並列接続される第3スイッチ(スイッチSW3)とを有する。制御部14は、電圧検出回路12における第2スイッチに接続され、キャパシタC1の一方の極に接続される第1スイッチおよびキャパシタC1の他方の極に接続される第2スイッチをオンすることで絶縁計測経路を形成し、絶縁計測経路により充電されるキャパシタC1の電圧を計測し、当該電圧に基づいて絶縁異常を検出する。制御部14は、絶縁計測経路を形成するとともに第3スイッチをオンし、第1の時間経過後に第3スイッチをオフした後の第2の時間経過後に計測したキャパシタC1の電圧に基づいて絶縁異常を検出する。これにより、車両の絶縁異常を高精度に検出することができる。
【0091】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 車載システム
2 電池
2A、2B 電池スタック
2a、2b 電池セル
4 モータ
5 コンプレッサ
10 電池ECU
12 電圧検出回路
13 AD変換部
14 制御部
15 電源IC
21 DCDCコンバータ
30 エアコンECU
31 インバータ
40 MG_ECU
50 HV_ECU
C1 キャパシタ
C2 浮遊容量
11a、11b 監視IC
R 絶縁抵抗
R1~R6 抵抗
Rp、Rn 絶縁抵抗
SW1~SW5 スイッチ