(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】創傷療法におけるセンサの静電気放電保護
(51)【国際特許分類】
A61B 5/053 20210101AFI20240823BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240823BHJP
A61F 13/00 20240101ALI20240823BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61B5/053
A61B5/00 102A
A61F13/00 301Z
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2020514544
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2018074180
(87)【国際公開番号】W WO2019048626
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2017-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン・アラン・アスケム
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド・ベッターニ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・ファサン
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー・スチュワード
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】渡▲辺▼ 純也
【審判官】榎本 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527112(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3060034(EP,A1)
【文献】特開2004-158605(JP,A)
【文献】特表2012-519038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0323098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/05
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷のモニタリングまたは治療で使用するための装置であって、
患者の創傷の上に位置付けされ、前記創傷から創傷滲出液を吸収するように構成された創傷被覆材と、
前記創傷被覆材に組み込まれたまたは連結された回路基板であって、前記回路基板が、前記回路基板の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を備え、前記第1の導電経路が、前記回路基板の電気接地に電気的に連結されている、回路基板と、
前記回路基板上に取り付けられたセンサであって、前記センサが、前記患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力するように構成されている、センサと、
生体適合材料から成ると共に前記回路基板及び前記センサを被包するコンフォーマルコーティングと、
を備え、
前記第1の導電経路が、静電気放電に対して前記センサを保護するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記回路基板が、可撓性プリント回路基板である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路基板が、伸縮可能である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路基板が、エラストマー基材上の導電性トラックを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記回路基板が、前記第1の側面の反対側の前記回路基板の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を備え、前記第2の導電経路が、前記電気接地に電気的に連結され、前記静電気放電に対して前記センサを保護するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の導電経路と前記第2の導電経路とを前記回路基板を介して電気的に接続する複数のビアをさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の導電経路が、前記第1の側面の前記周囲の少なくとも半分の周りに延び
る、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の導電経路が、前記第1の側面の前記周囲の少なくとも75%の周りに延びる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記センサが、前記創傷被覆材が除細動ショックに晒された後も前記信号を出力し続けるように構成されている、請求項1~
8いずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記回路基板が、前記創傷被覆材の創傷接触層に組み込まれている、請求項1~
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記センサが、温度センサ、インピーダンスセンサ、光学センサ、またはSpO2センサのうちの一つ以上を備える、請求項1~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記信号を受信し、前記値を判定し、提示のために前記値を出力するように構成されたコントローラをさらに備え、
前記コントローラが、前記回路基板上に取り付けられていない、請求項1~
11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
創傷のモニタリングまたは治療で使用するための装置を製造するための方法であって、
基材上にセンサを取り付けて、前記基材上の導電性トラックと電気的に通信するステップと、
コンフォーマルコーティングを前記基材に塗布するステップであって、前記コンフォーマルコーティングが、生体適合材料から成ると共に前記基材及び前記センサを被包する、前記ステップと、
前記基材
を穿孔するステップと、
前記基材の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を付加するステップと、
前記第1の導電経路を前記センサのための電気接地に電気的に接続するステップと
、
前記基材を創傷被覆材に組み込むまたは前記基材を前記創傷被覆材に連結するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記センサが、前記センサが患者に近接して位置付けられた時に、前記患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力するように構成されている、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記付加するステップが、前記基材上の前記第1の導電経路を浸漬またはオーバーモールドするステップを含む、請求項
13または
14に記載の方法。
【請求項16】
前記塗布するステップが、前記コンフォーマルコーティングを前記第1の側面および前記第1の側面の反対側の前記基材の第2の側面に塗布するステップを含む、請求項
13~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の側面の反対側の前記基材の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を付加するステップと、
前記第2の導電経路を前記電気接地に電気的に接続するステップと、
をさらに含む、請求項
13~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基材を介して、または、前記基材の縁部の周りに、前記第1の導電経路を前記第2の導電経路に電気的に接続するステップをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月10日に出願された米国特許仮出願第62/556,450号と2018年3月28日に出願された英国特許仮出願第1804971.8号の利益を主張するものであり、これらの開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、例えば、陰圧創傷療法または非陰圧創傷療法と組み合わせて被覆材を使用する、創傷の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
多くの異なる種類の創傷被覆材が、ヒトまたは動物の治癒プロセスを援助するものとして知られている。さまざまな種類の創傷被覆材には、さまざまな種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。真空補助閉鎖、陰圧創傷療法、または減圧創傷療法と呼ばれることもある、局所陰圧療法は、創傷の治癒率を改善するための有益なメカニズムとして広く認識されている。こうした療法は、切開創傷、開放創、及び腹部創などの広範な創傷に適用することができる。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、創傷のモニタリングまたは治療に使用するための装置が開示されている。装置は、創傷被覆材、回路基板、およびセンサを含むことができる。創傷被覆材は、患者の創傷の上に位置付けされ、創傷から創傷滲出液を吸収することができる。回路基板は、創傷被覆材に組み込まれるかまたは連結され、回路基板の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を含むことができる。第1の導電経路は、回路基板の電気接地に電気的に連結することができる。センサは、回路基板上に取り付けることができ、患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力することができる。第1の導電経路は、静電気放電に対してセンサを保護することができる。
【0005】
前段落の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。回路基板は、可撓性プリント回路基板にすることができる。回路基板は、伸縮可能とすることができる。回路基板は、エラストマー基材上の導電性トラックおよびエラストマー基材上のコンフォーマルコーティングを含むことができる。回路基板は、第1の側面の反対側の回路基板の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を含むことができ、第2の導電経路は電気接地に電気的に結合され、静電気放電に対してセンサを保護するように構成することができる。装置は、回路基板を通して第1の導電経路と第2の導電経路を電気的に接続する複数のビアをさらに含むことができる。第1の導電経路は、第1の側面の周囲の少なくとも半分の周りに延びることができる。第1の導電経路は、第1の側面の周囲の少なくとも75%の周りに延びることができる。センサは、創傷被覆材が除細動ショックに晒された後も信号を出力し続けることができる。回路基板は、創傷被覆材の創傷接触層に組み込むことができる。センサは、温度センサ、インピーダンスセンサ、光学センサ、またはSpO2センサのうちの一つまたは複数を含むことができる。装置は、信号を受信し、値を判定し、提示のために値を出力するように構成されたコントローラをさらに含むことができる。コントローラは,回路基板上に取り付けられない場合がある。
【0006】
いくつかの実施形態では、創傷のモニタリングまたは治療で使用するための装置を製造する方法が開示されている。本方法は、基材上に、かつ基材上の導電性トラックと電気的に通信するセンサを取り付けることと、基材にコンフォーマルコーティングを塗布することと、基材に孔を開けることと、基材の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を付加することと、第1の導電経路をセンサのための電気接地に電気的に接続することと、基材を創傷被覆材に組み込むか、基材を創傷被覆材に連結することと、を含むことができる。
【0007】
前段落の方法は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。センサは、センサが患者に近接して位置付けられた時に、患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力することができる。付加することは、基材上の第1の導電経路を浸漬またはオーバーモールドすることを含むことができる。基材は、熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。塗布することは、コンフォーマルコーティングを第1の側面および第1の側面の反対側の基材の第2の側面に塗布することを含むことができる。本方法は、第1の側面の反対側の基材の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を付加すること、および第2の導電経路を電気接地に電気的に接続すること、をさらに含むことができる。本方法は、基材を介して第1の導電経路を第2の導電経路に電気的に接続することをさらに含むことができる。本方法は、基材の縁の周りで第1の導電経路を第2の導電経路に電気的に接続することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ここで、本開示の実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として、以下に説明される。
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による、創傷治療システムを図示する。
【
図2】いくつかの実施形態による、創傷被覆材および流体コネクタを図示する。
【
図3A】いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれ得るセンサアレイ図示する。
【
図3B】いくつかの実施形態による、センサアレイのセンサ部分を図示する。
【
図3C-1】いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図3C-2】いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図3C-3】いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図4A】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4B】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4C】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4D】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4E】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4F】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4G】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図4H】いくつかの実施形態による、センサアレイを構築するためのプロセスを図示する。
【
図5】いくつかの実施形態による、回路基板の縁部エリアの上面図を図示する。
【
図6A】いくつかの実施形態による、静電気放電に対して保護するための縁面を含むセンサアレイを図示する。
【
図6B】いくつかの実施形態による、静電気放電に対して保護するための縁面を含むセンサアレイを図示する。
【
図6C】いくつかの実施形態による、静電気放電に対して保護するための縁面を含むセンサアレイを図示する。
【
図7】いくつかの実施形態による、放電からセンサを保護するための方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示する実施形態は、例えば、陰圧源、ならびに創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧して、もしくは減圧せずに創傷を治療する装置および方法に関する。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内部層を備える装置および構成要素は、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供されうる。
【0011】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。
【0012】
開示される技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または損傷した組織(例えば、本明細書に記載されるような創傷)の治療に関連し得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、カット、殴打、またはその他の衝撃によって引き起こされ得る生体組織に対する傷害、典型的には皮膚が切断または損傷されるものを含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害でありうる。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものでありうる。
【0014】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響を与えている、静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0015】
他の創傷の例としては、手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、またはその他の状態の結果として、腹部の傷またはその他の大きな傷または切開創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植、裂傷、擦過傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷、および静脈潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
創傷は、深部組織損傷も含み得る。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0017】
創傷はまた、本明細書で考察されるように、創傷になるリスクのある組織を含み得る。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態は、高度な履物、患者の向きを変えること、オフロードすること(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする、など)、感染症の治療、システミックス(systemix)、抗菌物質、抗生物質、外科手術、組織の除去、血流に影響を与えること、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質、等のうちの一つまたは複数と併せて本明細書に開示される技術を用いて創傷を治療する方法に関する。
【0019】
代替的または追加的に、創傷は、局所陰圧(「TNP」)または、印加陰圧の使用によって支援されない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療され得る。
【0020】
高度な創傷ケアには、吸収被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物内内の抗菌剤または創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングや包帯といった、緩衝または圧縮療法)、等が含まれ得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、伝統的な創傷ケアを使用して実施することができ、創傷の治癒を容易におよび促進するために、創傷に被覆材を適用することができる。
【0022】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材の製造方法に関する。
【0023】
開示される技術と併せて利用され得る創傷被覆材は、当技術分野において公知の任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つ以上の吸収層を備える。吸収層は、発泡体または超吸収体でありうる。
【0025】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンあるいはその混合物を含む、被覆材層を備え得る。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、セルロースであり得る。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含みうる。
【0028】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートであり得る。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有しうる。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートでありうる。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートでありうる。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルでありうる。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
セルロースアルキルスルホナートは、様々な置換の程度、セルロース骨格構造の鎖長、およびアルキルスルホナート置換基の構造を有し得る。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0030】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、最上層またはカバー層を備える。
【0031】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、あるいは3~7mmであり得る。
【0032】
非陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、開示される技術は、非陰圧被覆材と併せて使用され得る。創傷部位に保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、使用中の吸収層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素とを備え得る。
【0033】
遮断要素は、部分的に半透明であってもよい。
【0034】
遮断要素は、マスキング層であってもよい。
【0035】
非陰圧創傷被覆材は、吸収層を見ることを可能にするために遮断要素内またはそれに隣接した領域をさらに備え得る。例えば、遮断要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0036】
遮断要素は、三次元ニットスペーサファブリックを備え得る。スペーサ生地は当業界で周知であり、ニットスペーサファブリック層を含みうる。
【0037】
遮断要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに備え得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、遮断要素は、少なくとも部分的に吸収層の上に、使用中の吸収層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0039】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするために遮断要素内に複数の開口部をさらに備え得る。遮断要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆されうる。
【0040】
遮断要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的にマスクするように構成され得る。
【0041】
遮断要素は、光吸収を50%以上低減するように構成され得る。
【0042】
遮断要素は、CIEのL*値50以上、および任意選択で70以上を生み出すように構成されうる。いくつかの実施形態では、遮断要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成されうる。
【0043】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡体層、臭気制御要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも1つをさらに備え得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透過性フィルムである。典型的には、半透過性フィルムは、500g/m2/24時間以上の水蒸気浸透性を有する。
【0045】
半透過性フィルムは細菌バリアであり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層および創傷接触層の上にある吸収層を備える。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0047】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収層を備え得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、発泡体層を含み、遮断要素は、遮断要素の移動によって変位または破損され得る構成要素を含む材料でできている。
【0049】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、臭気制御要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気制御要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮断要素内またはそれに隣接して分散されうる。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供されうる。
【0050】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収層を提供することと、使用中の吸収層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素を提供することと、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、吸収層の上に、かつ吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられた遮蔽層とを含み、創傷部位での保護を提供するのに適切であり得る。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0052】
シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を25%以上、または最初の適用面積を増加させる。例えば、シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0053】
シールド層は、2つ以上のサブ層を備えてもよく、第1のサブ層は貫通孔を含み、かつさらなるサブ層は貫通孔を含み、第1のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からオフセットしている。
【0054】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気の透過を可能にする浸透性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層はシールド層の上に設けられ、カバー層の貫通孔はシールド層の貫通孔からオフセットしている。
【0055】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適であり得る。
【0056】
上記本明細書に開示された非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際特許第2013/007973号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層創傷被覆材であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不浸透性フィルム層をさらに備え、支持層は吸収層とフィルム層との間に位置決めされる。
【0059】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含みうる。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含みうる。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含みうる。
【0060】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成され得る。
【0061】
開口部は、0.005~0.32mm2の面積を有し得る。
【0062】
支持層は0.05~0.06Nmの引張り強度を有し得る。
【0063】
支持層は50~150μmの厚さを有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して位置決めされる。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに備えてもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含みうる。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、フィルム層を支持層に取り付ける接着層をさらに備える。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置付けするための吸収層に隣接して位置決めされた創傷接触層をさらに備える。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含みうる。
【0067】
上記本明細書に開示された多層創傷被覆材のより詳細な説明は、2016年10月28日に出願された英国特許出願第GB1618298.2号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
いくつかの実施形態では、開示された技術は、吸収層の材料の第1の層、および材料の第2の層を含む 垂直に重ねた材料を含む創傷被覆材に組み込まれてもよく、第1の層は、不織布繊維の少なくとも1つの層から構築され、不織布繊維は、複数の折り目に折り畳まれてひだ付き構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に結合された材料の第二の層を含む。
【0069】
典型的には、垂直に重ねた材料は、スリットが入れられている。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1の層は、ひだの深さによって、またはスリットの幅によって決められた深さを有する、ひだ付き構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層でありうる。
【0071】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース性、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含みうる。
【0072】
創傷被覆材は、材料が上下に積み重ねられた垂直に重ねた材料である吸収層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料が垂直に重ねた材料であるただ一つの層の吸収層を含んでもよい。
【0074】
吸収層の材料は、天然または合成、有機または無機繊維の混合、およびバインダー繊維、または、特定の温度で軟化して混合全体内で結合剤として作用する低溶融温度PETコーティングを備えた二成分繊維、典型的にはPET、である。
【0075】
いくつかの実施形態では、吸収層の材料は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体との混合であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第2の層を有する。
【0077】
発泡体は、ポリウレタン発泡体であってもよい。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有しうる。
【0078】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、または裏当て層を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、積層または接着剤によって第2の層に直接接続された材料の吸収層を含み、第2の層は被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤でありうる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維あるいはポリエステル繊維の層をさらに備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。バッキング層は、透明または不透明なフィルムでありうる。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0082】
上記本明細書に開示された多層創傷被覆材のより詳細な説明は、2016年12月12日に出願された英国特許出願第GB1621057.7号、および2017年6月22日に出願された英国特許出願第GB1709987.0号に提供されており、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性構成要素を備え得、その構成要素は、発泡体層に結合されたゲル形成繊維を含む創傷接触層を含み、発泡体層は、接着剤、ポリマーベースの溶融層によって、フレーム積層、または超音波によって、創傷接触層に直接結合される。
【0084】
吸収性構成要素は、シート形態でありうる。
【0085】
創傷接触層は、織布または不織布または編まれたゲル形成繊維の層を含み得る。
【0086】
発泡体層は、連続気泡発泡体、または独立発泡体であってもよく、典型的には連続気泡発泡体であり得る。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0087】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周囲によって囲まれた創傷と直接接触する島を形成する構成要素を含んでもよい。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤でありうる。
【0088】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面上のフィルム層によって覆われてもよい。
【0089】
上記本明細書のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP2498829に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用するための多層創傷被覆材を備えてもよく、被覆材が、少なくとも300gm2/24時間のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収および保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアおよび吸収性コア上に位置付けされたキーイング層に伝達するゲル形成繊維を含む創傷接触層と、被覆材内の滲出液の創傷領域への横方向の広がりを制限する吸収性コアおよび創傷接触層と、を備えることで特徴付けられる。
【0091】
創傷被覆材は、24時間で10cm2の被覆材あたり少なくとも6g(または8gおよび15g)の流体を処理することができ得る。
【0092】
創傷被覆材は、化学修飾セルロース系繊維であるゲル形成繊維を布の形態で含んでもよい。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含みうる。
【0093】
創傷被覆材は、毎分5mm~毎分40mmの横方向の吸い上げ速度を有する創傷接触層を備え得る。創傷接触層は、35gm2など、25gm2~55gm2の繊維密度を有し得る。
【0094】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性、および典型的には毎分20mm未満の横方向吸い上げ速度を有し得る。
【0095】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維および重量で75%~100%のゲル形成繊維の範囲内の混合を有してもよい。
【0096】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維および重量で50%~100%のゲル形成繊維の範囲内の混合を有してもよい。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0097】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0098】
濡れたときの創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有し得る。
【0099】
創傷被覆材は、透過層を備えてもよく、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体でありうる。
【0100】
創傷被覆材は、可溶性薬用フィルム層、臭気吸収層、延展層、および追加の接着層を含む群から選択された一つ以上の層を備え得る。
【0101】
創傷被覆材は、厚さ2mmおよび4mmであってもよい。
【0102】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0103】
上記本明細書のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP1718257に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧縮包帯は、浮腫およびその他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために周知である。
【0105】
圧迫包帯システムは、典型的には、皮膚と圧迫層との間のパディング層を含む複数の層を使用する。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する等、創傷に有用でありうる。
【0106】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第1の層と吸収性不織ウェブの第2の層とを含み、内層および外層は、患者の手足の周りに巻くことができるように、十分細長くなっている。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0107】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、(i)細長い弾性基材と、(ii)発泡体の細長い層であって、前記発泡体層は、前記基材の面に固定され、前記基材の面を横切って横断方向に33%以上、および前記基材の面を横切って長手方向に67%以上延びる、発泡体の細長い層と、を備える、a)内側の皮膚に面した細長い弾性包帯と、b)外側の細長い自己接着弾性包帯であって、前記包帯は、延ばされたときに圧縮力を有する、外側の細長い自己接着弾性包帯と、を備え、使用時には、内側包帯の前記発泡体層は皮膚に面し、外側包帯は内側包帯の上に横たわる。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0108】
いくつかの実施形態では、他の圧迫包帯システムが、例えば米国特許第6,759,566号および米国特許第2002/0099318号に開示されており、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
陰圧創傷被覆材
創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、創傷の治癒を容易にして促進するために減圧または陰圧を創傷に印加することができる。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、必ずしも創傷のモニタリング、防止、および治療に限定されない。
【0110】
本開示の実施形態は、概して、TNP療法システムでの使用に適用可能であることが理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0111】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0112】
本開示のいくつかの実施形態に対する陰圧範囲は、およそ-80mmHg、または約-20mmHgと-200mmHg以上との間であり得る。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0113】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。陰圧は、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つ以上の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0114】
本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2013年5月22日に国際出願第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際特許第2013/175306号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158 A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0115】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を備えるTNP創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際特許2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0116】
創傷療法システムの概要
TNP療法などの創傷療法を実施するためのシステムは、電磁放射または静電気放電(ESD)などの環境条件に対するシステムの耐性を改善する一つ以上の特徴を含み得る。システムの改善された耐性は、例えば、システムが、理想的でない環境条件にもかかわらず機能する、または特定の環境条件の存在下でより安全に機能することを可能にすることができる。
【0117】
図1は、創傷空洞110の内部に配置される創傷充填材130を含み、創傷空洞は創傷カバー120によって封止された、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を図示する。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管140は、創傷カバー120と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ150とを接続する。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。本明細書で開示されるシステムの実施形態のいずれにおいても、
図1に図示される実施形態のように、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリであることができる(滲出液が、創傷被覆材に収集される、または別の場所に収集するために管140を介して移送されることを意味する)。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0118】
創傷充填材130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性の封止を提供することができる。創傷カバー120は、頂側および底側を有することができ、底側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0119】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端部を受け入れるように構成されたポート(図示せず)を有することができる。例えば、ポートは、Smith&Nephewから入手可能なRenays Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0120】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一物品または一体化された単一ユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバー120それ自体が創傷被覆材とみなされ得る。ついで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0121】
創傷カバー120は、治療されることになる創傷部位を覆って位置決めされ得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的に密封された空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。
【0122】
ポンプアセンブリ150は、およそ-80mmHgの陰圧、またはいくつかの実施では、約-20mmHgと200mmHgとの間の陰圧を送達するように構成することができる。これらの圧力は、正常な周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。
【0123】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110を封止するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または一つまたは複数の吸収性層(図示せず)によって吸収される。
【0124】
この開示全体を通して、創傷に言及していることが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈されるべきあり、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷が挫傷を引き起こす開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面的または他の状態もしくは欠陥、さもなければ減圧治療によって利益を得るものを包含する。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0125】
創傷被覆材の概要
図2は、
図1の創傷カバー120および創傷充填材130と類似または同一であり得る創傷被覆材200の断面図を図示し、
図1の導管140と類似または同一であり得る流体コネクタ204を備える。創傷被覆材200は、創傷接触層222に取り付けられた上部またはカバー層、または裏当て層220を含むことができ、それは、内部空間またはチャンバを画定するように一緒に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適合され得る追加構造と、他の機能とを備え得る。そのような構造の例には、本明細書に記載の透過層226および吸収層221が含まれる。さらに、センサアレイの一部であり得る一つ以上のセンサ250は、図示する創傷接触層222などの創傷被覆材200上またはその中へ組み込まれてもよい。
【0126】
本明細書で使用するとき、上層、最上層、または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0127】
創傷接触層222は、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または何らかの他の方法で穿孔された、さもなければ液体および気体に対して浸透性にされた、ポリウレタン層またはポリエチレン層または他の可撓性のある層とすることができる。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が創傷接触層222を通って流れることを可能にする。創傷接触層222は、創傷被覆材200の他の材料への組織内殖を防ぐのに役立つ。
【0128】
多孔質材料の多孔質層226は、創傷接触層222の上方に位置決めすることができる。この多孔質層または透過層226は、液体および気体を含む流体を創傷部位から創傷被覆材200の上層へと透過させることを可能にする。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷領域全体に陰圧を伝えるように維持されうることを保証できる。
【0129】
吸収材の層221は、透過層226の上に設けられる。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0130】
陰圧を創傷被覆材200に印加することを可能にするために、隙間、孔、またはオリフィス227が裏当て層220内に設けられている。流体コネクタ204は、創傷被覆材200の中に作られたオリフィス227の上で裏当て層220の頂部に取り付けられるかまたは封止され得、陰圧をオリフィス227を通して伝える。
【0131】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ204の下にあるように位置決めされた少なくとも1つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、裏当て層内の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きくても小さくてもよい。隙間または貫通孔228は、オリフィスが透過層226に直接接続されるように、オリフィス227の下の吸収層221に設けることができる。これにより、流体コネクタ204に印加された陰圧を、吸収層221を通過することなく透過層226に伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の隙間が提供されうる。
【0132】
ここで流体コネクタ204に目を転じると、いくつかの実施形態は、封止面216、近位端230および遠位端240を備えたブリッジ211、およびフィルタ214を含む。封止面216は、創傷被覆材200の頂面に封止される前述のアプリケータを形成することができる。流体コネクタ204の最下層は、封止面216を含み得る。流体コネクタ204は、いくつかの実施形態では流体コネクタ204の別個の上部層によって画定される、封止面216から垂直に間隔を空けられた上面をさらに備えてもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されうる。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材200と連通するようにその中に少なくとも1つの隙間229を備えてもよい。
【0133】
ブリッジ211は、陰圧源と連通する第1の流体通路212を含んでもよく、第1の流体通路212は、3D編み材料などの、多孔質層226と同じでも異なっていてもよい多孔質材料を含む。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに進入するのを実質的に妨げるように構成される。
【0134】
センサ対応創傷被覆材
図2の創傷被覆材200などの、創傷被覆材は、
図2の一つ以上のセンサ250などの、治癒する際に創傷の特性を監視するために、多数のセンサまたはセンサを組み込むことができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。
【0135】
多くのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する一つ以上の構成要素で使用することができる。例えば、
図2の創傷接触層222などの、創傷接触層の上または中に一つ以上のセンサを組み込むことができ、それは創傷と接触して配置することができ、創傷内の組織への損傷をほとんどまたは全く起こさずに、流体を通過させることを可能にする。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料で作ることができ、抗菌物質または他の治療薬を組み込むことができる。センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込むことができる。さらに他の実施では、一つ以上のセンサは、追加的または代替的に、吸収層またはスペーサ層などの、創傷被覆材の他の構成要素内に組み込むか、または被包することができる。
【0136】
いくつかの実装形態では、一つ以上のセンサは、温度(例えば、配列5×5、ピッチ~20mmの、25個のサーミスタセンサ)、パルスオキシメトリまたはSpO2(例えば、創傷接触層の中心から縁まで単一直線、ピッチ10mmの、4個または5個のSpO2センサ)、組織、滲出液または異物の光学的性質(例えば、配列2×5、ピッチ~20mmの、10個の光学センサ、配列の各列の5個のセンサすべてが整列する必要はない)、pH(例えば、組織の色と同じ光学センサを任意で使用して、pH感受性パッドの色を測定することによって)、およびインピーダンス(例えば、配列3×3、ピッチ~40mmの、9個のインピーダンス接点)、を監視するためのセンサを含むことができる。加えてまたは代替として、生体化合物もしくは化学化合物(例えば、色素コーティングされた比色センサ)、または類似のものを測定するように構成される、圧力、流量、ひずみ、比色センサなどの他のセンサが使用され得る。比色センサは、臭気、毒性などを測定するために使用され得る。本明細書に記載する、いかなる一つ以上のセンサも、創傷または皮膚のいかなる場所の測定値をも得るように、設置または位置付けされ得る。
【0137】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマーに加えて、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、または任意の他の好適な材料、を含む可撓性のあるポリマーから形成され得る可撓性のあるまたは実質的に可撓性のあるプリント回路(FPC)のうちの一つ以上など、可撓性のあるまたは実質的に可撓性のある基材によって支持されるか、またはその基材上に組み込まれ得る。実質的に可撓性のあるまたは可撓性のある基材は、片面、両面または多層回路を含み得る。一部の実装では、センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれ得る。一部の実施形態では、FPCは多層の可撓性プリント回路であり得る。一部の実施形態では、これらの可撓性プリント回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれ得る。一部の実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれ得る(例えば、創傷接触層上または中に位置し得る)。例えば、可撓性回路は、
図2Bおよび
図2Cを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。
【0138】
センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の2つの層の間に挟まれたFPCを備えた、第一および第2の創傷接触層を含むことができる。第1創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、FPCと接触するように意図する上表面とを有する。第2創傷接触層は、FPCと接触するように意図する下表面と、創傷被覆材または創傷被覆材置全体の一部を形成する一つ以上の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第1創傷接触層の上表面および第2創傷接触層の下表面は、2層の間に挟まれるFPCと共に接着され得る。
【0139】
図3Aは、センサ部分301、尾部分302およびコネクタパッド端部分303を含む、センサアレイ300を図示する。センサ部分301は、その他の可能性のあるセンサの中でも特に、温度センサ、インピーダンスセンサ、光センサ、およびSpO2センサのうちの一つ以上ならびに関連回路を含み得る。センサアレイ300は、可撓性のセンサアレイのプリント回路とし得る。尾部分302は、センサ部分301からコネクタパッド端部分303へと延び得る。尾部分302は、例えば創傷から離れたより都合の良い場所など、創傷から離れてコントロールモジュールを配置することを可能にすることができる。コネクタパッド端部分303は、センサ部分301からデータを受信するように、コントロールモジュールまたは他の処理ユニットに電気的または電子的に接続することができる。センサアレイ300は、創傷被覆材200の創傷接触層222内など、
図2の創傷被覆材200のような創傷被覆材の上または中に組み込むことができる。
【0140】
図3Bは、いくつかの実施形態による、
図3Aのセンサアレイ300のセンサ部分301を図示する。センサ部分301は、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲の周り、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延びる複数の部分を含むことができる。例えば、
図3Bに図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁部に平行であり得る複数の直線延在部分を含み、いくつかの実施形態では、創傷被覆材構成要素の全周囲を辿る。いくつかの実施形態では、センサ部分301は、第2の複数の平行な直線延在部分と垂直である第1の複数の平行な直線延在部分を含み得る。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材コンポーネントの内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。いくつかの実施形態では、センサ部分301は、創傷被覆材構成要素全体を覆わず、それにより、センサアレイ300の部分間に隙間が形成される。
【0141】
図3Bから分かるように、一つ以上の温度センサ、インピーダンスセンサ(または導電率センサ)、SpO2センサ、もしくは光学、紫外線(UV)、赤外線(IR)、または他のタイプの可視もしくは不可視の光センサが、創傷の状態に関係する情報を提供するために、センサアレイ上で使用され得る。光学、紫外線(UV)、赤外線(IR)もしくは他のタイプの可視もしくは不可視の光センサ、または他の電磁スペクトルセンサによって、創傷のスペクトル測定値を提供し得る。一つ以上のセンサは、臨床医が創傷の治癒を監視するのを支援し、個別にまたは互いに連携して動作して、創傷および創傷治癒特性に関係するデータを提供することができる。
【0142】
インピーダンスセンサは、例えば、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定したり、または病的組織の中で開いている創傷によるインピーダンスの変化を示すために使用され得る。インピーダンスセンサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含み得る。インピーダンスセンサは、例えば、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用され得る。インピーダンスセンサは、創傷床に、または創傷の周辺部で使用することも、または被覆材の接着不具合を検出するために使用することもできる。
【0143】
センサ部分301は、いくつかの実装形態では、インピーダンスセンサを利用して、創傷サイズまたは創傷形状の変化による周辺電極上のインピーダンスの変化を測定することができる。例えば、断層撮影の再構築または断層撮影法は、異なる間隔のインピーダンスセンサまたは電極を使用することによって、創傷サイズを推測するように使用され得る。電圧または電流プローブは、患者の神経応答を判定もしくは試験するために、または創傷治癒を促進するために、電圧または電流の刺激を印加するように使用され得る。インピーダンスは、生体適合層(例えば、創傷被覆材の)を通る、または創傷に接触する、生体適合性ゲル層(例えば、導電性ゲル層)もしくは食塩水を通る導電経路で測定され得る。測定は、約2.5kHz~約100kHzの周波数域で行われ得る。これは、大きなパッチクランプ測定の使用と類似し得る。
【0144】
代替的または追加的に、インピーダンスは、組織との直接接触を形成することなく(例えば、非接触電極を使用して)、静電容量または容量結合法を使用して測定され得る。例えば、約30kHzから約70kHzの周波数域における伝送が使用され得る。インピーダンスは、三点プローブ測定または四点プローブ測定を使用して測定され得る。創傷組織または滲出液の一つ以上のインピーダンスを測定することができ、細胞または組織の健康を推測するように使用され得る。創傷周辺の領域(創傷を囲む皮膚または組織など)のインピーダンスを測定し得る。インピーダンスセンサは、必要な場合には出入りするように、伸縮自在であり得る。インピーダンスセンサは、創傷および絶縁軸の中へ延びる導電性のある先端を伴う、微細またはマイクロプローブ針を含み得る。インピーダンスセンサは、創傷と接触する創傷接触層の真下にある、懸垂プローブであり得る。インピーダンスセンサは、乾燥接点電極を含み得る。インピーダンスセンサは、金、銀、白金または炭素電極など、生体適合性を保証または促進する電極を含み得る。
【0145】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理されうる。周囲空気温度を測定する周囲センサはまた、環境温度シフトに関連付けられた問題を排除するのを支援するために使用することができる。
【0146】
光学センサは、照明源付きのRGBセンサを使用して創傷の外観を測定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0147】
組織の中の光伝搬は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0148】
散乱プロセスはより複雑であり得、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定されうる。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、散乱事象は約100ミクロン離れており、そのため、1mmの光路距離は光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0149】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光学フィルタが、組織の色判別を通して測定するように光学センサの構成要素として使用され得る。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定されうる。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含みうる。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用されうる。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像しうる。
【0150】
加えて、光学センサは、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となりうる。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0151】
いくつかの実施形態では、pH変化パッドをpHセンサとして使用することができる。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用されうる。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下表面上とに提供されうる。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供されうる。
【0152】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサを使用することができる。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0153】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続を介して接続され得る。一部の実施形態では、サーミスタは、五個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、五つの各グループは共通の接地を有する。五組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。一部の実施形態では、九個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で九個の接続部を供給する。一部の実施形態では、五個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。一部の実施形態では、10色のpHセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは六個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの五個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および設置は別途考慮される。一部の実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび七個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態には、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5SpO2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0154】
特定の実施形態では、コントローラ(マイクロプロセッサなど)は、創傷被覆材上に載置され、一つ以上のセンサに接続され得る。そのように載置されたコントローラは、外部構成要素への接続に関連する負荷を軽減するように、3本または4本の有線接続(またはより少ないもしくは多い本数)などの接続によって、コントロールモジュールと通信し得る。例えば、尾部分302は3本または4本の有線接続を含み得る。一部の実装では、載置されたコントローラは無線通信し得る。
【0155】
コントローラまたはコントロールモジュールは、センサアレイ300とインターフェースするように使用され得る。コントロールモジュールは、バッテリなどの電源、およびセンサを駆動するための電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイ300で使用されるセンサと、センサによって収集されるデータとに応じて、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。コントロールモジュールは、数週間連続して着用するのに十分快適で、十分小さくすることができ、創傷被覆材の近くまたは創傷被覆材の上に位置付けされ得る。いくつかの実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随するセンサアレイ300から遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔のどこに位置していても、電線を介してまたは無線通信を介して、センサアレイ300および創傷被覆材と通信し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサアレイ300によって収集されたデータから創傷の特性を判定し、死んだ組織が検出されたことを示すためなど、特性に応答してアラームを作動させ得る。
【0156】
コントロールモジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むがこれらに限定されない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【0157】
【0158】
図3Cは、いくつかの実施形態による、コントロールモジュール390のブロック図を図示する。コントロールモジュール390は、インピーダンスドライバの特徴をサポートするインピーダンスドライバボックス391を含む。ボックス392は、温度センサ(例えば、サーミスタ)インターフェースの特徴をサポートし、ボックス393は光インターフェースの特徴をサポートする。コントロールモジュール390は、リアルタイムクロック(RTC)、ステータスLED、USBコネクタ、シリアルフラッシュ、およびデバッグコネクタを含む特徴を備えたコントローラまたはマイクロプロセッサ394を含み得る。
【0159】
マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つまたは複数を有し得る。2.4GHz、もしくは別の他の好適な周波数無線(統合型または外付けのいずれか);供給するBluetooth(登録商標)ソフトウェアスタック;SPIインターフェース;USB(または外付けUSBドライバ用UART);I2C;3チャネルPWM;32GPIO;または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要としうる。Bluetooth(登録商標)スタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされうる。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされうる。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアでありうる。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0160】
コントロールモジュールは、メモリ構成要素を含むことができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度に依存する。コントロールモジュールは、一つ以上のアナログスイッチを利用し得る。コントロールモジュールは、バッテリなどの電源を組み込むことができ、または代わりに、コントロールモジュールとは別個の電源を利用してもよい。コントロールモジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。コントロールモジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動されうる。
【0161】
センサアレイを通して収集されたデータは、コントロールモジュールを通して渡され、ホストソフトウェアによって処理され得る。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット形式のコンピュータデバイスもしくはタブレット、スマートフォンまたはホストソフトウェアを動かすことができる他のコンピュータ(例えば、特注のコンピュータデバイス)であり得る。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。
【0162】
一つ以上のセンサまたはコントロールモジュールを含む電子機器は、X線、MRIまたは他のタイプのスキャンに対して、互換性があるかまたは安全であるように構築され得る。電子機器は、体外または植込み型除細動器と適合し、またはそれらと使用しても安全であるように構築され得る。電子機器は、無線周波干渉(RFI)または電磁干渉(EMI)に対する保護を含み得る。例えば、フェライト、銅または別の材料から作られ得る、一つ以上のEMIシールドが使用され得る。ファラデー箱または類似のもの。
【0163】
いくつかの実施形態では、陰圧源(ポンプなど)、および、電源(複数可)、センサ(複数可)、コネクタ(複数可)、ユーザインターフェース構成要素(複数可)(例えば、ボタン(複数可)、スイッチ(複数可)、スピーカ(複数可)、スクリーン(複数可)、等)などのような、TNPシステムの一部またはすべての他の構成要素は、創傷被覆材と一体化することができる。いくつかの実施形態では、構成要素は、バッキング層の最上部下方、最上部内、最上部上、またはバッキング層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の最も上の層であることができ、またはTNPシステムの統合された構成要素を取り囲んだ、別個の外皮であることができる。
【0164】
本明細書で使用するとき、上層、最上層、または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0165】
静電気放電保護
センサ、接続などの構成要素は、
図3Aのセンサアレイ300などのセンサアレイ上に取り付けることができる。次に、センサを備えたセンサアレイは、患者の創傷、皮膚、または創傷と皮膚の両方の中または上に位置付けされた創傷被覆材の一部であるか、それに連結することができる。センサを備えたセンサアレイを使用して、創傷、皮膚、または患者の生理学的パラメータを示す信号を生成することができる。さらに、センサを備えたセンサアレイは、環境条件へのセンサアレイの耐性を改善するように構築することができ、望ましくは、家庭用医療、空輸、自動車、ボート、列車、金属検出器、活性移植可能装置などのような様々な非制御環境で、電気的または機械的に適切にまたは安全に動作することができる。
【0166】
本明細書で説明する一つ以上の特徴は、センサを備えたセンサアレイが高レベルのESDに耐え、または防除細動であることを可能にすることができる。センサを備えたセンサアレイは、高レベルのESDに耐えるように構成され得、かつ接触:±2kV、±4kV、±6kV、±8kVまたはそれ以上、および空気:±2kV、±4kV、±6kV、±8kV、±15kV、±30kVまたはそれ以上などの複数のステップで耐えるように構成され得る。加えて、センサを備えたセンサアレイは、一部の実装形態では、IEC60601-1規格、別の規格、または他の業界に受け入れられる基準で定義されているような、耐除細動(例えば、適用部分全体として耐除細動)であることができる。センサを備えたセンサアレイは、例えば、センサアレイを着用する患者に単相または二相の除細動ショックが適用されるとき、通常の動作を継続することができる。センサアレイのセンサは、こうした条件下またはその後に、パフォーマンスを変更したり、誤った情報を提示したりすることはない。このような耐除細動構造は、センサアレイを使用している患者が心停止に陥った場合にセンサが外部除細動ショックを切り抜けることができるため、望ましくあり得る。さらに、センサアレイは、使いやすさを保持しながら耐除細動であり得る(例えば、金属ケースを有しておらず、金属ケースは、例えば、装置に過度な重量を加えうる)。
【0167】
本明細書に記載のセンサを備えたセンサアレイは、特定の実施形態において、
図4A~
図4Hよって図示されたプロセスもしくはプロセスまたはその変形の一つ以上の特徴を使用して有利に構築することができる。
【0168】
図4Aに図示するように、回路基板400を構築するプロセスは、提供されるエラストマー基材410で始めることができる。エラストマー基材410は、伸縮可能または創傷接触層であり得る。エラストマー基材410は、例えば、TPUで構成されるか、またはTPUを含むことができる。エラストマー基材410は、いくつかの実施形態では低い浸透性を有することができる。
【0169】
次に、
図4Bにおいて、導電性トラック420が、エラストマー基材410上に配置され得る。例えば、導電性トラック420は、銅注入、銀注入、塩化銀、または金注入インクトラックなどの、インクトラックを印刷することによって配置され得る。
図4Cにおいて、一つ以上の構成要素430をエラストマー基材410に追加し、導電性トラック420にコネクタ440で電気的に接続することができる。一つ以上の構成要素430は、例えば、温度センサ、インピーダンスセンサ(または導電率センサ)、SpO2センサ、もしくは光学、紫外線(UV)、赤外線(IR)、または他のタイプの可視もしくは不可視の光センサ、などを含むかそれであることができる。コネクタ440は、ピン、導線、バンプなどであり得る。導電性トラック420またはコネクタ440の少なくともいくつかは、可撓性または伸縮性であるか、または、実質的に可撓性または伸縮性であり得る。
【0170】
図4Dにおいて、コンフォーマルコーティング450が、エラストマー基材410の構成要素側に塗布され得る。コンフォーマルコーティング450は、エラストマー基材410またはエラストマー基材410のコーティングされた側に保持された物品のうち一つ以上を被包するために使用され得る。コンフォーマルコーティング450は、例えば、スプレー、ブラシ、または別のアプローチで塗布され、UV、光、または熱硬化のうちの一つ以上を使用して硬化され得る。コンフォーマルコーティング450は、好適なポリマー、1072-M UVなどの接着剤、光、または熱硬化性または硬化した接着剤、Optimax接着剤(NovaChem Optimax 8002-LV、など)、パリレン(パリレンC、など)、シリコン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、または別の好適な生体適合性および伸縮性材料、のうちの一つ以上で有り得る。コンフォーマルコーティング450は、約100ミクロンの厚さ、約100ミクロン未満の厚さ、または約100ミクロンを超える厚さ、といった薄さであり得る。
【0171】
図4Eにおいて、コンフォーマルコーティング460は、エラストマー基材410の非構成要素側に塗布され得る。コンフォーマルコーティング460は、エラストマー基材410またはエラストマー基材410のコーティングされた側に保持された物品のうち一つ以上を被包するために使用され得る。コンフォーマルコーティング460は、例えば、スプレー、ブラシ、または別のアプローチで塗布され、UV、光、または熱硬化のうちの一つ以上を使用して硬化され得る。コンフォーマルコーティング460は、コンフォーマルコーティング450と同じタイプまたは異なるタイプのコーティングであってもよい。
【0172】
図4Fにおいて、回路基板400は穿孔され得る。例えば、少なくともエラストマー基材410が、コールドピン穿孔、ホットピン穿孔、レーザアブレーション穿孔、超音波(ultrasonic)または超音波(ultrasound)穿孔などのうちの一つまたは複数を使用して穿孔されて、エラストマー基材410を液体または気体に対して浸透性とすることができる。
【0173】
図4Gにおいて、頂部縁面470および貫通ビア480が、エラストマー基材410に付加され得る。頂部縁面470および貫通ビア480は、例えば、エラストマー基材410上にインクトラックを印刷する、あるいはトラックを浸漬またはオーバーモールドすることによって付加され得る。頂部縁面470は、エラストマー基材410の周囲または一方の側の縁の全部または一部(例えば、長さの20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)、または一つ以上のセンサが配置されているエラストマー基材410の少なくとも一部の周りに延在する導電経路であり得る。
【0174】
頂部縁面470および貫通ビア480は、エラストマー基材410および一つ以上の構成要素430の電気接地(例えば、電源の負電圧に)に接続することができ、ESDの放電経路を提供することにより、エラストマー基材410がESDに晒された時に、一つ以上の構成要素430を保護する役割を果たし得る。貫通ビア480は、エラストマー基材410を通る導電経路であって、頂部縁面470をエラストマー基材410を通してエラストマー基材410の反対側の表面に電気的に接続する複数のビアを含むことができる。貫通ビア480の導電経路は、ビアを部分的にまたは完全に満たすことができる。貫通ビア480は、約1mmから約10mmの間、例えば約2.5mm、で互いに離間することができるが、いくつかの実装形態では、より少ない間隔またはより大きい間隔で離間することができる。
【0175】
図4Hにおいて、底部縁面490を、エラストマー基材410に付加することができる。底部縁面490は、例えば、頂部縁面470からのエラストマー基材の反対側に、インクトラックを印刷する、あるいはトラックを浸漬またはオーバーモールドすることによって付加され得る。底部縁面490は、エラストマー基材410の周囲または縁の全部または一部(例えば、長さの20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)、または一つ以上のセンサが配置されているエラストマー基材410の少なくとも一部の周りに延在する導電経路であり得る。底部縁面490は、貫通ビア480の導電経路に電気的に接続することができ、こうして電気的に接地して、ESDの放電経路を提供することによってエラストマー基材410がESDに晒された時に一つ以上の構成要素を保護する役割をさらに果たし得る。
【0176】
図4A~
図4Hによって図示されたプロセスが完了すると、一つ以上の構成要素430は、導電性トラック420を介して、
図3Cのコントロールモジュール390などのコントロールモジュールと通信することができる。コントロールモジュールは、次に、通信を通して一つ以上の構成要素430の動作をモニタリングまたは調整することができる。
【0177】
図4A~
図4Hに関連して説明したプロセスは、次の方法のうちの一つ以上において変えることができる。コンフォーマルコーティングは、
図4に示すように、エラストマー基材410の非構成要素側に塗布されなくてもよい。コンフォーマルコーティングは、導電性トラック420をエラストマー基材410上に配置する後ではなく配置する前に、エラストマー基材410の非構成要素側に塗布されてもよい。頂部縁面470および底部縁面490は、穿孔の前に配置されて、その後埋め戻されてもよい。頂部縁面470および底部縁面490は、貫通ビア480によってではなく、エラストマー基材410の外側の周りで連結されてもよい。エッジイミュニティは、オーバーラップし、オーバーハングが下側に接着され得る非コンポーネント側の材料を使用することによって達成することができ、それから、導電性材料(例えば、金属化ポリエチレンフィルムなど)または絶縁性材料(例えば、PVCフィルム)を使用して保護が提供され得る。フィルムが、追加的または代替的に、両側に配置され、重なり穿孔され、縁部と穿孔の両方を溶接することができる。
【0178】
図5は、
図4Gの回路基板400などの、頂部接地面502および貫通ビア504を含む、回路基板の縁部エリア500の上面図を示す。頂部接地面502は、回路基板の外縁または回路基板の内縁など、回路基板縁部に近接して位置する導電経路を含むことができる。導電経路は、回路基板上に取り付けられた回路基板構成要素から回路基板縁部を分離することができ、回路基板縁部に対して配置されても配置されなくてもよい。貫通ビア504は、導電経路内の孔とすることができる。
【0179】
図6Aは、センサ部分301の周囲の周りに延びる頂部縁面602が示されていることを除いて、
図3Aのセンサアレイ300と同じであり得るセンサアレイ600を図示する。頂部縁面602は、頂部縁面470と同様であることができ、センサ部分301または尾部分302に取り付けられた一つ以上のセンサまたは関連付けられた回路にESD保護を提供する。例えば、頂部縁面602は、センサアレイ600の外部からセンサアレイ600が受け取る電流から、センサ部分301に取り付けられた温度センサ、インピーダンスセンサ、光学センサ、およびSpO2センサのうちの一つ以上を保護することができる。本明細書で説明した通り、貫通ビアは、頂部縁面602に含まれてもよく、含まれなくてもよい。
【0180】
図6Bは、頂部縁面612が、尾部分およびコネクタパッド端部分303に沿って頂部縁面602よりも遠くに延び得ることを除いて、
図6Aのセンサアレイ600と同じであり得るセンサアレイ610を図示する。
【0181】
図6Cは、頂部縁面622が、コネクタパッド端部分303に沿って頂部縁面612よりも遠くに延びていて完全に接続されたループを形成し得ることを除いて、
図6Bのセンサアレイ610と同じであり得るセンサアレイ620を図示する。
【0182】
図6A~
図6Cは、センサ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部分303の外周の一部または全部の周りに延びる頂部縁面を図示するが、頂部縁面は、センサ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部303上で異なる位置に配置することができ、さらに他の縁面をセンサ部301、尾部302、およびコネクタパッド端部303上に配置することができる。例えば、縁面は、センサ部分301の外周ではなく、またはそれに加えて。センサ部分301の内周の周りに延びることができる。別の例として、縁面は、センサアレイ上に取り付けられたセンサまたは他の構成要素のうちの一つ以上の周りに個々に、またはグループ内で延びることができる。
【0183】
さらに、図示されていないが、底部縁面は、
図6A~
図6Cに図示した頂部端面からセンサ部分301、尾部分302、およびのコネクタパッド端部分303の反対側に含まれてもよい。したがって、底部縁面は、貫通ビアによって頂部縁面に電気的に接続することができる。
【0184】
図7は、放電からセンサを保護するための方法700を図示する。方法700は、
図4Hの回路基板400、
図6Aのセンサアレイ600、
図6Bのセンサアレイ610、
図6Cのセンサアレイ620などのセンサをサポートする回路基板によって実施され得る。便宜上、方法700は、本明細書に記載の回路基板の文脈で説明されているが、代わりに、示されていない他のシステムで実施されてもよい。方法700は、有利なことに、特定の実施形態において、従来、センサを損傷させていたであろう放電からセンサが保護されることを可能にすることができる。さらに、方法700は、創傷の近くまたは近接圧力療法などの、敏感なエリアに位置付けられ得るセンサに対して強化された保護を提供することができ、ここでセンサの問題をトラブルシューティングまたは解決することが困難であったり、または不可能ですらある場合がある。
【0185】
ブロック702で、方法700は、回路基板上に取り付けられたセンサから信号を出力することができる。例えば、センサアレイ600の尾部分301上に取り付けられたセンサは、生理学的パラメータを示す値を判定するのに応答して使用可能な信号を出力することができる。回路基板は、創傷被覆材の一部とすることができ、または連結することができる。
【0186】
ブロック704で、方法700は、外部から回路基板に電流を受け取ることができる。例えば、センサアレイ600は、除細動ショックから創傷被覆材の着用者へなど、外部から創傷被覆材への放電を受け得、それはセンサアレイ600に通り過ぎる。
【0187】
ブロック706で、方法700は、回路基板上の周囲経路を介して接地に電流を流すことができる。周辺経路は、回路基板の接地に電気的に連結された導電経路であることができ、それは回路基板の側面の内周または外周の全てまたは一部(例えば、長さの20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)、または回路基板上の一つ以上の要素または回路基板内の孔の周囲の周りに延在する。周辺経路は、望ましくは、回路基板に取り付けられている一つ以上のセンサまたは関連付けられた回路を損傷することなく、電流を消散するために使用することができる。周辺経路の一例は、頂部縁面602である。
【0188】
他の変形
本明細書で提供される閾値、制限、持続期間等の値は、絶対的な値を意図したものではなく、したがって、おおよその値とすることができる。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによって、固定されるかまたは変えられうる。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明されうるが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈されうる。
【0189】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0190】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされうる。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々なコンポーネントが、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0191】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特性、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特性、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味しうる。
【0192】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」等の連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語等が、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも一つのXと、少なくとも一つYと、少なくとも一つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0193】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味しうる。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特徴を意味する。
【0194】
本明細書(付随する参照書類、特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくはプロセスのステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いずれの組み合わせで組み合わせられてもよい。開示対象は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせ、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせに及ぶ。
【0195】
本開示に記載する実装に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する一般的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用され得る。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。
[付記項1]
創傷のモニタリングまたは治療で使用するための装置であって、
患者の創傷の上に位置付けされ、前記創傷から創傷滲出液を吸収するように構成された創傷被覆材と、
前記創傷被覆材に組み込まれたまたは連結された回路基板であって、前記回路基板が、前記回路基板の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を備え、前記第1の導電経路が、前記回路基板の電気接地に電気的に連結されている、回路基板と、
前記回路基板上に取り付けられたセンサであって、前記センサが、前記患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力するように構成されている、センサと、を備え、
前記第1の導電経路が、静電気放電に対して前記センサを保護するように構成されている、装置。
[付記項2]
前記回路基板が、可撓性プリント回路基板である、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記回路基板が、伸縮可能である、付記項1~2のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項4]
前記回路基板が、エラストマー基材上の導電性トラックおよび前記エラストマー基材上のコンフォーマルコーティングを備える、付記項1~3のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項5]
前記回路基板が、前記第1の側面の反対側の前記回路基板の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を備え、前記第2の導電経路が、前記電気接地に電気的に連結され、前記静電気放電に対して前記センサを保護するように構成されている、付記項1~4のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項6]
前記第1の導電経路と前記第2の導電経路とを前記回路基板を介して電気的に接続する複数のビアをさらに備える、付記項5に記載の装置。
[付記項7]
前記第1の導電経路が、前記第1の側面の前記周囲の少なくとも半分の周りに延びる、付記項1~6のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項8]
前記第1の導電経路が、前記第1の側面の前記周囲の少なくとも75%の周りに延びる、付記項1~7のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項9]
前記センサが、前記創傷被覆材が除細動ショックに晒された後も前記信号を出力し続けるように構成されている、付記項1~8のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項10]
前記回路基板が、前記創傷被覆材の創傷接触層に組み込まれている、付記項1~9のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項11]
前記センサが、温度センサ、インピーダンスセンサ、光学センサ、またはSpO2センサのうちの一つ以上を備える、付記項1~10のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項12]
前記信号を受信し、前記値を判定し、提示のために前記値を出力するように構成されたコントローラをさらに備える、付記項1~11のいずれか1項または複数項に記載の装置。
[付記項13]
前記コントローラが、前記回路基板上に取り付けられていない、付記項12に記載の装置。
[付記項14]
創傷のモニタリングまたは治療で使用するための装置を製造するための方法であって、
基材上にセンサを取り付けて、前記基材上の導電性トラックと電気的に通信することと、
前記基材にコンフォーマルコーティングを塗布することと、
前記基材の穿孔することと、
前記基材の第1の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第1の導電経路を付加することと、
前記第1の導電経路を前記センサのための電気接地に電気的に接続することと、
前記基材を創傷被覆材に組み込むか、または前記基材を前記創傷被覆材に連結することと、を含む、方法。
[付記項15]
前記センサが、前記センサが患者に近接して位置付けられた時に、前記患者の生理学的パラメータを示す値を判定するために使用可能な信号を出力するように構成されている、付記項14に記載の方法。
[付記項16]
前記付加することが、前記基材上の前記第1の導電経路を浸漬またはオーバーモールドすることを含む、付記項14~15のいずれか1項または複数項に記載の方法。
[付記項17]
前記基材が、熱可塑性ポリウレタンを含む、付記項14~16のいずれか1項または複数項に記載の方法。
[付記項18]
前記塗布することが、前記コンフォーマルコーティングを前記第1の側面および前記第1の側面の反対側の前記基材の第2の側面に塗布することを含む、付記項14~17のいずれか1項または複数項に記載の方法。
[付記項19]
前記第1の側面の反対側の前記基材の第2の側面の周囲の少なくとも一部の周りに延びる第2の導電経路を付加することと、
前記第2の導電経路を前記電気接地に電気的に接続することと、をさらに含む、付記項14~18のいずれか1項または複数項に記載の方法。
[付記項20]
前記基材を介して前記第1の導電経路を前記第2の導電経路に電気的に接続することをさらに含む、付記項19に記載の方法。
[付記項21]
前記第1の導電経路を前記基材の縁部の周りの前記第2の導電経路に電気的に接続することをさらに含む、付記項19または20に記載の方法。